JP2521613Y2 - 容器用蓋 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、容器用蓋に関し、特に電子レンジで容器ご
と加熱する食品を収納する容器に適した蓋に関する。

〔従来の技術〕

合成樹脂フィルムや金属箔を使用したフィルムで包装
した食品を電子レンジで加熱する場合、加熱調理時に発
生する蒸気による包装内の内圧上昇を防止するため、従
来から各種の方法がとられている。例えば、レトルト殺
菌した米飯類等を収納したトレイタイプの容器の場合、
レンジ調理する際に容器に被冠した蓋を一部剥離した
り、つま楊子等で数個所孔を開けたりしている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、電子レンジ食品用容器の蓋を一部剥離
するものでは、この部分からの水分蒸散が多くなって調
理ムラの原因となる。また、蓋に孔を開けるには、その
為の道具が必要であり、さらに孔の開け方が不十分であ
ると、調理中に容器内の圧力が上昇し、破裂する危険性
がある。

さらに電子レンジの機種や調理時の雰囲気の状態、調
理前の食品の状態等によって調理完了時間にバラツキが
あるため、同じ時間調理を行っても、前記バラツキのた
めに同様の仕上がり具合にならないことがある。

そこで、本考案は、電子レンジ加熱食品を収納する容
器の蓋に適し、加熱に伴って自動的に通気孔を形成する
ことができ、最適な調理状態を得ることのできる容器用
蓋を提供することを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記した目的を達成するために、本考案は、容器の開
口部を覆う天板部と、該天板部の外周に形成され、容器
の開口鍔部に嵌合する嵌合部とを有する容器用蓋におい
て、前記天板部に開口部を形成し、該開口部を覆う積層
フィルムを前記天板部の外面に貼着するとともに、該積
層フィルムを、前記天板部に貼着される、多数の通気孔
を有する有孔フィルムと、該有孔フィルムに剥離可能に
積層した熱収縮性フィルムとで形成したことを特徴とし
ている。

〔作用〕

上記のごとく構成した容器用蓋を電子レンジ加熱食品
を収納する容器に被せた状態で加熱すると、加熱による
温度上昇により熱収縮性フィルムが収縮して有孔フィル
ムから剥離し、有孔フィルムの通気孔が開口する。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示す一実施例に基づいて説明す
る。

第１図は本考案の容器用蓋を容器に嵌合させた状態を
示す断面図、第２図は蓋の開口部に貼着するのに適した
積層フィルムを示す断面図、第３図は熱収縮性フィルム
が収縮した状態を示す断面図である。

本考案の容器用蓋１は、容器２の開口部2aを覆う天板
部1aと、該天板部1aの外周に形成されて、容器２の開口
鍔部2bに嵌合する嵌合部1bとを有するもので、天板部1a
の例えば中央部に開口部1cを形成し、該開口部1cを覆う
積層フィルム３を天板部1aの外面に貼着したものであ
る。該積層フィルム３は、天板部1aに貼着される有孔フ
ィルム４と該有孔フィルム４に剥離可能に積層した熱収
縮性フィルム５とで形成され、有孔フィルム４は適度な
通気孔4aを多数有している。

前記容器用蓋１は、各種材質により形成することがで
きるが、加熱に耐える耐熱性、有孔フィルム４との貼着
性、製作の容易性等から、例えばポリプロピレン，ポリ
エチレンテレフタレート等の耐熱性合成樹脂により形成
することが好ましい。

また、容器用蓋１は、容器２の開口鍔部2bに嵌合可能
な嵌合部1bと、適宜な形状，面積，個数の開口部1cを形
成した天板部1aとを備えるとともに、天板部1aの開口部
1cの周辺に積層フィルム３の貼着部を有する形状であれ
ば、任意の形状で製作することができる。尚、開口部1c
は、比較的大径のものを１か所形成してもよいが、比較
的小径のものを１乃至数か所形成してもよい。

前記熱収縮性フィルム５としては、90〜100℃の熱水
浸漬10秒間で10％以上の収縮率を有するフィルムであっ
て、好ましくはバリア性を有するフィルム、例えば共押
出複合延伸フィルムを用いることが望ましいが、使用状
態や食品の加熱温度、使用面積等により適宜な収縮率の
ものを用いることができる。また、その厚さは特に限定
されないが、５〜300μ、好ましくは20〜100μの範囲が
コストの強度の面から適当である。

熱収縮性を有するフィルム５として具体的には、ポリ
塩化ビニル，ポリプロピレン，スチレン−ブタジエン共
重合体，ポリエチレンテレフタレート，ポリスチレン，
ナイロン等を挙げることができ、これらの一軸あるいは
二軸延伸フィルム、もしくはこれらの熱収縮性を有する
フィルムを他のバリア性を有するフィルムに積層したも
のを用いることができる。

特に熱収縮性を有するフィルム５として偏熱収縮性フ
ィルム、即ち一方向の熱収縮率が、これと直交する方向
の熱収縮性よりも大きなものを用いることにより、該フ
ィルムの剥離方向を制御することができ、剥離時の外観
を向上できる。このような偏熱収縮性フィルムは、フィ
ルムの延伸方向を調節すること、あるいは熱収縮率の異
なるフィルムを貼合せることなどにより得ることができ
る。

一方、有孔フィルム４は、耐熱性，非熱収縮性又は低
熱収縮性を有するとともに、適当な径，間隔の通気孔4a
により透気性を付与された各種フィルム、あるいは不織
布等を用いることができる。この有孔フィルム４の素材
としては、各種のものを挙げることができるが、例えば
ポリエチレン，ポリプロピレン，エチレン酢酸ビニル共
重合体、これらに易剥離剤層を積層したもの等を使用す
ることができる。この有孔フィルム４は、厚さが15〜10
0μ，通気孔4aの直径が0.1〜3mm程度，間隔が0.5〜20mm
程度であることが好ましい。

このような有孔フィルム４を開口部1cを覆うように天
板部1a外面の開口部1cの周辺に貼着することにより、熱
収縮性フィルム５が剥離した際の透気性の制御が可能と
なり、容器用蓋１に比較的大きな開口部1cを形成して、
このような有孔フィルム４を用いることにより、容器用
蓋１の天板部1a全体に適度な透気性を付与することが容
易となる。これにより、容器用蓋１の一部分からの水分
蒸散による調理ムラを防止できる。

前記有孔フィルム４と熱収縮性フィルム５とは、熱収
縮フィルム５の収縮時に両者が剥離できる接着強度で積
層する必要があるが、例えば、両フィルム4,5の貼り合
わせ面の少なくともいずれか一方をコロナ放電処理した
後に熱圧着することにより、両フィルム4,5の界面の接
着強度を適当な範囲、例えば５〜250g/20mm幅（20℃，
引張速度200mm/分,180°剥離）に調整することができ
る。さらに第２図に示すように、熱収縮性フィルム５の
外層に他のフィルム51、例えばバリア性フィルムや常温
での強度が大きな保護用フィルムを積層して多層構造と
する場合には、その界面に接着剤層52を設けて積層し、
熱収縮性フィルム５と外層のフィルム51との間の接着強
度を大きくし、使用前に外層のフィルム51が剥離するこ
とを防止して所定のバリア性や保護能力を維持させるこ
とが好ましい。

また、前記積層フィルム３と容器用蓋１との貼り合わ
せは、一般的なヒートシールあるいは接着剤等により行
うことができる。

尚、本考案の容器用蓋は、食品を充填した容器の包装
用の蓋として用いることもできるが、別のバリア性包材
で包装された電子レンジ加熱食品を加熱調理する際に、
包材を取除いた後の容器の開口鍔部に嵌合させ、加熱調
理専用に用いることもできる。このように本考案の容器
用蓋を加熱調理の際にのみ用いるようにし、製造過程で
は別の耐熱性包材を用いることにより、レトルト殺菌等
の加熱殺菌を行うことが可能となる。

実施例１ 一軸延伸ポリ塩化ビニルフィルム／（接着剤層）／熱
収縮性多層フィルム（エチレン酢酸ビニル共重合体／エ
チレン酢酸ビニル共重合体ケン化物／ナイロン樹脂／エ
チレン酢酸ビニル共重合体）／有孔ポリプロピレンフィ
ルムからなる積層フィルムを、147mm×114mmの大きさの
ポリプロピレン単体の容器用蓋の天板部の中央部に設け
た直径40mmの開口部の全面を覆うようにヒートシールし
た。尚、上記熱収縮性多層フィルムと有孔ポリプロピレ
ンフィルムとは、両フィルムの界面にコロナ放電処理を
行った後に熱圧着を行い、両者の界面の接着強度を、70
g/20mm幅（引張強度200mm/分,180°剥離）とした。

この容器用蓋を、市販のレトルト食品のエビピラフ20
0gを充填した容器に被せ、電子レンジ（松下電気産業製
NE-M330型，定格高周波出力500W）に入れ、出力500Wに
て３分間の加熱を行ったところ、容器用蓋の開口部にヒ
ートシールした積層フィルムの一軸延伸ポリ塩化ビニル
フィルム／熱収縮性多層フィルムからなる熱収縮性ベー
スフィルムが収縮して有孔フィルムから剥離し、外巻き
にカールした（第３図参照）。その時、有孔フィルムの
通気孔から適度に蒸気が吹出し、加熱ムラの無い食感良
好なエビピラフを作ることができた。

実施例２ 径98mmの容器用蓋の天板部の中心部に形成した径30mm
の開口部に、実施例１と同様の積層フィルムをヒートシ
ールした。この容器用蓋を、容器開口部径88mm（鍔部外
径98mm）のポリプロピレン製丸型容器にレトルト食品の
ポタージュスープ180gを充填したものに被せ、実施例１
と同様に電子レンジで加熱した。約２分30秒加熱したと
ころで熱収縮性ベースフィルムが収縮剥離したので、そ
こで加熱を止めたところ、スープは食感良好な状態に調
理されていた。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案の容器用蓋は、容器の開
口部を覆う天板部に開口部を形成し、該開口部を覆う積
層フィルムを天板部の外面に貼着するとともに、該積層
フィルムを、天板部に貼着される、多数の通気孔を有す
る有孔フィルムと、該有孔フィルムに剥離可能に積層し
た熱収縮性フィルムとで形成したから、容器用蓋を電子
レンジ加熱食品を収納する容器に被せて電子レンジで加
熱すると、適度に昇温したときに熱収縮性フィルムが収
縮して有孔フィルムから剥離し、有孔フィルムの通気孔
が開口する。

したがって、孔開け用の道具を必要とせず、また破裂
したり吹きこぼれたりすることがない。しかも、熱収縮
性フィルムが有孔フィルムから剥離した際に、有孔フィ
ルムの通気孔が開口することにより、透気性の制御が可
能となり、ムラのない適度な加熱調理を行うことができ
る。また、熱収縮性フィルムの収縮剥離により適正な調
理状態を知ることができ、安定した仕上がり状態を得る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の容器用蓋を容器に嵌合させた状態を示
す断面図、第２図は容器用蓋の開口部に貼着するのに適
した積層フィルムを示す断面図、第３図は熱収縮性フィ
ルムが収縮した状態を示す断面図である。 １……容器用蓋材、1a……天板部、1b……嵌合部、1c…
…開口部、２……容器、2a……容器２の開口部、2b……
容器２の開口鍔部、３……積層フィルム、４……有孔フ
ィルム、4a……通気孔、５……熱収縮性フィルム

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】容器の開口部を覆う天板部と、該天板部の
   外周に形成され、容器の開口鍔部に嵌合する嵌合部とを
   有する容器用蓋において、前記天板部に開口部を形成
   し、該開口部を覆う積層フィルムを前記天板部の外面に
   貼着するとともに、該積層フィルムを、前記天板部に貼
   着される、多数の通気孔を有する有孔フィルムと、該有
   孔フィルムに剥離可能に積層した熱収縮性フィルムとで
   形成したことを特徴とする容器用蓋。