JP2521467B2 - 半透明化粧水 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は新規な半透明化粧水に関し、更に詳しくは、
水素添加リン脂質を安定に配合した半透明化粧水に関す
るものである。

［従来の技術］ リン脂質は生体膜の構成成分であり、皮膚への安全性
が極めて高く、皮膚の保護効果、保湿効果、界面活性効
果を有することから化粧品原料として利用されている。

しかしながら、天然のリン脂質は不飽和脂肪酸を多く
含んでいるため、酸化や熱に対して不安定であって、化
粧料に安定に配合するのに問題があった。

水素添加リン脂質は、リン脂質に水素添加することに
よって得られるもので、酸化や熱に対しての安定性が非
常に向上している。

しかしながら、水素添加リン脂質は結晶性が強く、化
粧水に配合した場合は、その結晶化防止が困難であり、
しばしば結晶化が進行し、化粧水の外観がパール様外観
を呈することもあった。例えば、特開昭59−212418号で
は、水素添加レシチンの結晶性を利用して、香粧品用の
真珠光沢付与剤を提案している。また、化粧水に於い
て、水素添加リン脂質の結晶化を防止するために、界面
活性剤の使用量を増加させること等も試みられている。

［発明が解決しようとする問題点］ 上記の如く、従来、化粧水にリン脂質を安定に配合す
べく種々検討されてきた。

しかしながら、リン脂質として安定な水素添加リン脂
質を利用したとしても、化粧水に配合した場合には、そ
の結晶化防止が困難であった。またその結晶化を防止す
る為に多量の界面活性剤を配合した場合には、化粧料と
しての官能性ならびに安全性の点で満足すべきものは得
られなかった。

［問題点を解決するための手段］ 本発明者等は、係る点に鑑み、リン脂質を安定に配合
し、かつ使用感、安全性に優れた化粧水を得るべく鋭意
研究した結果、水素添加リン脂質に対して特定割合の液
状炭化水素ならびに特定割合の界面活性剤を配合するこ
とにより、優れた安定性、使用感を有する化粧水が得ら
れるおとを見い出し、本発明を完成させた。

すなわち、本発明は、水素添加リン脂質（Ａ成分）0.
05〜５重量％と、液状炭化水素（Ｂ成分）0.05〜５重量
％と、アニオン界面活性剤およびノニオン界面活性剤か
ら選ばれるHLB値12以上の界面活性剤（Ｃ成分）0.05〜
５重量％と、エタノール１〜40重量％とからなり、Ａ成
分/C成分の重量比が0.2〜５であり、かつ（Ａ成分＋Ｃ
成分）/B成分の重量比が0.2〜５であることを特徴とす
る半透明化粧水である。

本発明に使用する水素添加リン脂質は、ヨウ素価が30
以下のものが好ましく、大豆レシチン、卵黄レシチン等
の天然レシチンを常法に従って水素添加したものの他、
ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミ
ン、ホスファチジルセリン等を水素添加したもの等が挙
げられ、これらの１種または２種以上を組み合せて用い
得る。

また、本発明に使用する液状炭化水素は、常温で液状
のものであって、通常化粧品用原料として使われるもの
であれば良く、例えばスクワラン、プリスタン、流動パ
ラフィン、低粘度ポリブテン（粘度５〜1000cst）等が
挙げられ、これらの１種または２種以上を組み合わせて
用い得る。

本発明に使用するアニオン界面活性剤は、例えば、脂
肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスル
ホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルス
ルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、ナトリウム
Ｎ−メチル−Ｎ−アルイルタウリン、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル燐酸塩、オリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、Ｎ−アシルグルタ
ミン酸塩、Ｎ−アシル−Ｎ−アルキルアミノ酸塩、ｏ−
アルキル置換リンゴ酸塩等であり、HLB値12以上のもの
が、１種もしくは２種以上の組み合わせで用い得る。

ノニオン界面活性剤は、例えば、デカグリセリン脂肪
酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレング
リセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレ
ンフィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプ
ロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポ
リオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラ
ノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリ
オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂
肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホル
ムアルデヒド縮合物、ショ糖脂肪酸エステル等であり、
HLB値12以上のものが、１種もしくは２種以上の組み合
わせで用い得る。

本発明に用いられる各成分は、特定量、特定割合で配
合される。すなわち、水素添加リン脂質（Ａ成分）の配
合量は0.05〜５重量％であり、液状炭化水素（Ｂ成分）
の配合量は0.05〜５重量％であり、アニオン界面活性剤
およびノニオン界面活性剤から選ばれるHLB値12以上の
界面活性剤（Ｃ成分）の配合量は0.05〜５重量％であ
り、エタノールの配合量は１〜40重量％である。

かつまた、Ａ成分/C成分の重量比が0.2〜５であり、
（Ａ成分＋Ｃ成分）/B成分の重量比が0.2〜５である。
該範囲内であれば、広い温度領域に於いて、白濁度の変
化や、沈殿、分離、結晶の析出、白濁の消滅等がなく、
水素添加リン脂質を安定に配合した半透明化粧水が得ら
れ、かつまた、その使用感、安全性も良好である。

本発明の半透明化粧水は外観が半透明のものを指し、
分光光度計で透過率を測定した時、18〜95％程度のもの
である。

本発明でいう半透明化粧水とは、精製水を主成分とし
て、柔軟化粧水、栄養化粧水、収斂化粧水、洗浄用化粧
水、美容液、ヘアローション等である。

本発明の半透明化粧水の製造方法は、水素添加リン脂
質と、液状炭化水素と、アニオン界面活性剤およびノニ
オン界面活性剤から選ばれるLB値12以上の界面活性剤
と、エタノールとからなるアルコール部を、精製水を主
成分とする水部に添加する方法であっても良いし、逆
に、水部をアルコール部に添加する方法であっても良
い。また、この時、アルコール部、水部を適宜加温もし
くは加熱してもよい。

更に本発明に於いては、上記必須成分のほか、本発明
の目的を妨げない範囲に於いて、通常の化粧水等に使用
される、香料、色素、防腐剤、殺菌剤、湿潤剤、紫外線
吸収剤、塩、塩基、キレート剤、増粘剤、パール剤、界
面活性剤、油剤、各種薬剤等を適宜配合し得る。

［実施例］ 次に、本発明について実施例を挙げて更に説明する。
これらは本発明をなんら限定するものではない。

実施例１〜３、比較例１〜６ 実施例１〜３につき、比較例１〜６と共に、表１に処
方を示す。表中配合量は重量％である。各実施例ならび
に比較例につき、製造当日に透過率の測定を行なうと共
に、３ケ月後の経時安定性のチェックを行なった。結果
は同じく表１に示す。

（透過率の測定） 島津製作所社製分光光度計UV−160を用いた。測定条
件は光波長500nm、セル厚1cmである。表中測定値は％で
あり、100は完全透明を、０は完全白濁を示すものであ
る。

（経時安定性のチェック） 経時安定性は、５℃、室温、40℃各温度にそれぞれセ
ットしたものを３ケ月後にその外観をチェックすること
により行なった。なお、安定なものについては、更に透
過率の測定をも行なった。

（製法） A.1〜７を60℃にて加温混合する。

B.8、９を60℃にて加温溶解する。

C.BにＡを加えて乳化をする。

D.Cを35℃まで冷却して完了とする。

表１の結果から明らかな如く、本発明の実施例１〜３
に於いては、種々の半透明化粧水が得られ、また、広く
温度領域にて経時安定性に優れ、かつその濁度の変化も
ほとんどない半透明化粧水が得られた。

一方、液状炭化水素を配合しないもの（比較例１、
２）は水素添加リン脂質が結晶として析出し安定性が悪
い。また、液状炭化水素以外の液状油を配合したもの
（比較例３）は分離してしまっている。液状炭化水素の
配合比が少ないもの（比較例４）は高温での安定性が悪
い。さらに、HLB値12以上の界面活性剤の配合比が多い
もの（比較例５）も、配合比が少ないもの（比較例６）
も、安定性が悪い。

実施例４〜７、比較例７、８ 実施例４〜７につき、比較例７、８と共に、表２に処
方を示す。表中配合量は重量％である。製法は実施例１
に準ずる。各実施例ならびに比較例につき、透過率の測
定ならびに官能評価を行なった。結果を同じく表２に示
す。

（官能評価） 官能評価は、女性10名からなる専門パネルを対象とし
た使用テストを行ない、３項目につき５点評価を行なっ
た。

評価項目:1.使用中のみずみずしさ 2.使用後のさっぱり感 3.使用後のしっとり感 ５点評価： ２ 非常に感じる １ 感じる ０ どちらともいえない −１ 感じない −２ まったく感じられない 官能評価： 10名の専門パネルの平均値をもって、次のように示し
た。

◎ １〜２ ○ ０〜１ △ −１〜０ × −２〜−１ 表２の結果より明らかな如く、本発明の実施例４〜７
に於いては、種々の半透明化粧水が得られ、また、使用
中にはみずみずしさが感じられ、使用後にはさっぱり感
が感じられると共にしっとり感も感じられるという官能
に優れた半透明化粧水が得られた。

一方、各必須成分の配合量が少ないもの（比較例７）
は、使用後のしっとり感がない。また液状炭化水素の配
合量が多いもの（比較例８）は使用中のみずみずしさ並
びに使用後のさっぱり感が感じられない。

実施例８ 栄養化粧水 （処方） （重量％） 1.水素添加卵黄レシチン 0.6 2.スクワラン 2.0 3.デカグリセリルモノラウレート（HLB値15.5） 0.4 4.香料 0.1 5.防腐剤 0.1 6.エタノール 10.0 7.1,3−ブチレングリコール 6.0 8.色素 適量 9.精製水 残量 （製法） A.1〜６を60℃にて加温混合する。

B.7〜９を60℃にて加温溶解する。

C.BにＡを加えて乳化をする。

D.Cを35℃まで冷却して、栄養化粧水を得る。

以上のようにして得られた栄養化粧水は、白濁度の高
い半透明の美しい外観を有し、さっぱりした使用感を有
しながらも、使用後の肌をしっとりと潤わせた。また安
定性も良好であった。

実施例９ 収斂化粧水 （処方） （重量％） 1.水素添加大豆レシチン 0.6 2.プリスタン 0.3 3.グリチルリチン酸ジカリウム（アニオン） 0.2 4.酢酸dl−α−トロフェロール 0.05 5.香料 0.1 6.防腐剤 0.1 7.エタノール 20.0 8.加水分解コラーゲン 0.1 9.色素 適量 10.精製水 残量 （製法） A.1〜７を60℃にて加温混合する。

B.8〜10を60℃にて加温溶解する。

C.BにＡを加えて乳化する。

D.Cを35℃まで冷却して、収斂化粧水を得る。

以上のようにして得られた収斂化粧水は、半透明の外
観を有し、のびや肌へのなじみが良く、みずみずしい使
用感を有していた。半透明性も変化なく経時安定性が良
好であった。

実施例10 ヘアローション （処方） （重量％） 1.水素添加卵黄レシチン 1.0 2.流動パラフィン 2.0 3.ショ糖脂肪酸エステル（HLB値16.0） 1.5 4.香料 0.2 5.殺菌剤 0.1 6.l−メントール 0.01 7.エタノール 35.0 8.プロピレングリコール 3.0 9.カチオン化セルロース 0.05 10.精製水 残量 （製法） A.1〜７を60℃にて加温混合する。

B.8〜10を60℃にて加温溶解する。

C.AにＢを加えて乳化する。

D.Cを35℃まで冷却して、ヘアローションを得る。

以上のようにして得られたヘアローションは、白濁度
の高い半透明の美しい外観を示し、べたつきのない、し
っとりとした使用感を有していた。また経時安定性も良
好であった。

実施例11 美容液 （処方） （重量％） 1.水素添加大豆レシチン 1.5 2.スクワラン 0.8 3.胆汁酸ナトリウム（アニオン） 0.8 4.ホホバオイル 0.1 5.香料 0.1 6.防腐剤 0.1 7.エタノール 5.0 8.グリセリン 6.0 9.ヒアルロン酸ナトリウム 0.1 10.カルボキシビニルポリマー 0.15 11.水酸化ナトリウム 0.03 12.精製水 残量 （製法） A.1〜７を60℃にて加温混合する。

B.8〜12を60℃にて加温溶解する。

C.BにＡを加えて乳化をする。

D.Cを35℃まで冷却して、美容液を得る。

以上のようにして得られた美容液は、半透明の外観を
有し、コクを有しながらもみずみずしい使用感を有する
と共に、あと肌はべたつきもなくしっとりするものであ
った。半透明性も変化なく経時安定性も良好であった。

［発明の効果］ 本発明の半透明化粧水は、以上詳述した如く、リン脂
質を安定に配合した半透明の化粧水であって、広い温度
領域に於いて、白濁度の変化や、沈殿、分離、結晶の析
出、白濁の消滅等がない。また、水素添加リン脂質、液
状炭化水素、エタノールを効果的に配合しているので、
しっとり感を有しながら、べたつき感を感じさせず、み
ずみずしい使用感を有する半透明化粧水を提供すること
が可能になった。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】水素添加リン脂質（Ａ成分）0.05〜５重量
   ％と、液状炭化水素（Ｂ成分）0.05〜５重量％と、アニ
   オン海面活性剤およびノニオン界面活性剤から選ばれる
   HLB値12以上の界面活性剤（Ｃ成分）0.05〜５重量％
   と、エタノール１〜40重量％とからなり、Ａ成分/C成分
   の重量比が0.2〜５であり、かつ（Ａ成分＋Ｃ成分）/B
   成分の重量比が0.2〜５であることを特徴とする半透明
   化粧水。