JP2521241Y2 - ラミネートシート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、身分証明用カード、運転免許証、パスポー
トブックを構成する身分証明用頁等として使用されるシ
ート、特に顔写真等が貼付されているシートを有するラ
ミネートシートの改良に関する。特に、上記の各種ラミ
ネートシートが偽造・改竄されることができないように
する目的をもってなす改良に関する。

〔従来の技術〕

本明細書におけるラミネートシートとは、身分証明用
カード、運転免許証、パスポートブック中の身分証明用
頁等における身分証明等の表示がなされ、その上、顔写
真等の貼付がなされている身分証明用書類の顔写真等の
貼付がなされている１面または両面が透明合成樹脂フィ
ルムをもってカバーされ、融着されているラミネートシ
ートを云う。

身分証明用カード、運転免許証、パスポートブック中
の身分証明用頁には、その所持者の氏名、その所持者の
識別番号、その所持者の身分、その所持者に特に許され
た利益等の表示とゝもに、その所持者の顔写真等が貼付
されることが一般である。そして、これらの表示を改竄
したり、写真等を擦り換えたりして、身分証明用書類を
偽造・改竄することを困難にするために、身分証明用書
類、特に顔写真等の表面を透明合成樹脂フィルムをもっ
てカバーするなり、上記の身分証明用書類、顔写真等を
２枚の透明合成樹脂フィルムの間に挟入し、これらのフ
ィルムを加熱・加圧して相互に融着するなりして、上記
目的のラミネートシートを製造している。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、上記の構造のラミネートシートは、これを再
度加熱して融着剤を軟化した状態で、機械的に融着面を
剥離することが必ずしも不可能ではないため、身分証明
用書類に表示された内容の改竄、または、顔写真等の擦
り換えが全く不可能とは言い難いという欠点を有してい
る。

本考案の目的は、この欠点を解消することにあり、ラ
ミネートシートを構成する透明合成樹脂フィルムを情報
記録媒体から、一旦剥離すると、復元が困難であり、偽
造・改竄することが困難であるラミネートシートを提供
することにある。

〔課題を解決するための手段」 上記の目的は、下記のいずれの手段をもっても達成さ
れる。

第１の手段は、透明合成樹脂フィルム（１）が情報記
録媒体（２）をカバーして、相互に融着されてなるラミ
ネートシートにおいて、前記の透明合成樹脂フィルム
（１）が前記の情報記録媒体（２）と融着される面（1
2）の一部領域、または、前記の情報記録媒体（２）が
前記の透明合成樹脂フィルム（１）と融着される面（2
3）の一部領域に、発泡温度が前記の透明合成樹脂フィ
ルム（１）と前記の情報記録媒体（２）とを融着する温
度よりいくらか高い発泡インキをもって発泡印刷がなさ
れているパターン（４）を有するラミネートシートであ
る。

第２の手段は、情報記録媒体（２）を挟んで２枚の透
明合成樹脂フィルム（１）・（３）が融着されているラ
ミネートシートにおいて、前記の情報記録媒体（２）と
前記の透明合成樹脂フィルム（１）・（３）とが融着さ
れる面のいづれか１面または複数の面に、発泡温度が前
記の透明合成樹脂フィルム（１）・（３）と前記の情報
記録媒体（２）とを融着する温度よりいくらか高い発泡
インキをもって発泡印刷がなされているパターン（４）
を有するラミネートシートである。

いづれの手段においても、発泡インキは、液化ガスが
エマルジョン樹脂に封入されているマイクロカプセルが
溶剤に溶解されている発泡インキが使用される。

上記したとおり、発泡インキの発泡温度はラミネート
シートの製造工程における加熱温度よりいくらか高くさ
れているので、ラミネートシートの製造工程における加
熱によっては発泡しない。よって、ラミネートシートが
製造された状態では平坦である。もし、発泡インキが無
色インキであれば、発泡印刷パターン（４）は所謂隠し
マークとなる。そして、ラミネートシートの偽造を目的
として、ラミネートシートの製造工程における加熱温度
よりも、いくらか高温で加熱してラミネートシートの融
着されている部分を再溶融すると、その時始めて発泡剤
が発泡して、発泡印刷されたパターン（４）が凸部に変
形する。このように、偽造しようとすると、突然凸部状
の発泡印刷されたパターン（４）が現れるので、偽造を
防止する目的のためには高い効果がある。

〔作用〕

本考案は、発泡印刷法を積極的に利用して、身分証明
用カード、運転免許証、パスポートブックを構成する身
分証明用頁等として使用される顔写真入りのラミネート
シートの偽造・改竄を困難にしたものである。

発泡印刷法とは、発泡剤を含有する印刷インキを使用
してなす印刷方法を云う。この用途に使用される発泡剤
としては、液化ガス（イソブタン）等をエマルジョン樹
脂（サラン）等に封入し、直径が８μｍ程度のマイクロ
カプセルとなして、印刷用インキの溶剤をなす油性物質
と混合して製造した発泡インキが好適である。このマイ
クロカプセル化された発泡剤を100〜120℃に加熱する
と、上記の液化ガス等が気化してイソブタンガス等とな
るためマイクロカプセルが膨張し、カプセルの直径が30
〜40μｍ程度に拡大する。したがって、発泡印刷された
パターンを発泡温度以上に加熱すると印刷されたパター
ンが凸部に変形する。

本考案の要旨は、上記の発泡インキを使用して、本考
案に係る身分証明用カード、運転免許証、パスポートブ
ック中の身分証明用頁等に使用されるラミネートシート
を構成する透明合成樹脂フィルム１の裏面（情報記録媒
体２と融着される面）12、情報記録媒体２の表面23、情
報記録媒体２の裏面24、透明合成樹脂フィルム３の表面
（情報記録媒体２と融着される面）31のいずれか１面ま
たは複数の面に発泡印刷をなして発泡インキよりなるパ
ターンを形成しておき、所望により、加熱型接着剤も塗
布しておき、透明合成樹脂フィルム１または透明合成樹
脂フィルム１・３と情報記録媒体２とを積層し、加熱・
加圧して相互に融着し、ラミネートシートを作成するも
のである。

このラミネートシートの発泡インキよりなるパターン
は、製造工程における加熱によっては発泡剤が発泡しな
いので、発泡印刷パターン４は凸部に変形せず平面のま
ゝである。しかし、ラミネートシートを偽造する目的を
もって、ラミネートシートを製造する工程における加熱
温度よりもいくらか高温で加熱してラミネートシートの
融着されている部分を再溶融すると、この加熱によて発
泡剤が発泡して発泡印刷されたパターン４が凸部に変形
するので、透明合成樹脂フィルム１または透明合成樹脂
フィルム１・３を、再度、情報記録媒体２に貼り合わせ
ても、一見して、偽造したラミネートシートであること
が認識できる。

その結果、身分証明用カード、運転免許証、パスポー
トブックを構成する身分証明用頁等として使用される顔
写真入りのラミネートシートの偽造を有効に防止するこ
とが可能となる。

〔実施例〕

以下、図面を参照しつゝ、本考案の二つの実施例に係
るラミネートシートについて説明する。

第１実施例 本実施例は、パスポートブック中の身分証明用頁のよ
うに、身分証明書類上に透明合成樹脂フィルムが密着さ
れているラミネートシートである。

第１図参照 図において、１は透明合成樹脂フィルム例えば透明な
ポリエステルフィルムであり、その裏面12（後の工程に
おいて、身分証明等の表示がなされる情報記録媒体２と
融着される面）の一部領域に、本考案の要旨に係る発泡
インキよりなるパターン４が、エマルジョン樹脂（サラ
ン）等をもってマイクロカプセル化された液化ガス（イ
ソブタン）等を含有する発泡インキを使用して印刷され
ている。たゞ、この発泡インキの発泡温度は、ラミネー
トシートを製造するときの加熱温度よりいくらか高くさ
れているので、この発泡印刷パターン４は凸部にはなっ
てない。したがって、発泡インキが無色インキの場合は
隠しマークである。また、発泡インキよりなるパターン
４は下記する情報記録媒体２の面23に形成されてもよ
い。また、透明合成樹脂フィルム１の裏面12には、所望
により、接着剤が塗布されていてもよい。

２は情報記録媒体であり、紙等をもって構成される。
この情報記録媒体２には、各種の記録21が印刷・記載さ
れるとともに、顔写真等22が貼付される。また、この情
報記録媒体２の表面23にも、所望により、接着剤が塗布
されていてもよい。

第２図参照 情報記録媒体２の上に、その裏面12に発泡印刷がなさ
れて形成されている発泡インキよりなるパターン４（図
ではパターン４を凸部13として示してあるが、この状態
は、偽造者が、偽造の目的をもって、情報記録媒体２か
ら透明合成樹脂フィルム１及び／または３を剥離するた
めに、ラミネートシート製造工程で加熱される温度より
高い温度（発泡温度）で加熱した後の状態であり、ラミ
ネートシート製造時には、凸部13は未だ存在せず、発泡
インキよりなるパターン４は平面である。）を有する透
明合成樹脂フィルム１を載置して、ラミネートシート製
造装置を使用して、加熱・加圧して、上記の透明合成樹
脂フィルム１と情報記録媒体２とを融着して、ラミネー
トシートを製造する。

このようにして製造したラミネートシートは、製造さ
れた状態では発泡印刷パターン４が凸部に変形しておら
ず、ラミネートシートの表面で平坦であるが、ラミネー
トシートを偽造する目的をもって、融着部分を再溶融す
るためにラミネートシート製造工程における加熱温度よ
りもいくらか高温で加熱すると、この加熱によって発泡
剤が発泡温度に到達して発泡し、発泡印刷されたパター
ン４に対応する凸部が、上記の透明合成樹脂フィルム上
に形成される。この発泡印刷されたパターン４は、偽造
者が加熱するまでは表面が平坦であるから、所謂、隠し
マークとして機能し、偽造者が偽造しようとして加熱し
たときに突然発泡して凸部を形成するので、偽造者は驚
愕するこおになり、偽造者の偽造意欲を挫き、偽造を防
止する効果は高くなる。また、このラミネートシートは
製品状態ではその表面が平坦であるので占積率が小さ
く、携帯するときに便利であるので、パスポートブック
等においては、特に有利であるという副次的効果もあ
る。

第２実施例 本実施例は身分証明用カードのように、身分証明書類
が２枚の透明合成樹脂フィルムの間に挟入されているラ
ミネートシートである。

第３図・第４図参照 本実施例と第１の実施例との相違は、第１の実施例に
係るラミネートシートの裏面（情報記録媒体２の裏面）
にも、透明合成樹脂フィルム３が融着されていることで
ある。なお、情報記録媒体２の裏面24または透明合成樹
脂フィルム３の表面31に、所望により、接着剤が塗布さ
れていてもよい。

このようにして製造されたラミネートシートよりなる
身分証明用カードを、偽造する目的をもって、このラミ
ネートシートを加熱して融着部分を再溶融すると、発泡
印刷されたパターン４に対応する凸部が形成されるの
で、偽造を有効に防止することが可能であることは、第
１実施例の場合と同一である。

〔考案の効果〕

以上説明せるとおり、本考案に係るラミネートシート
は、製品状態ではラミネートシートの表面は平坦をなし
ているが、ラミネートシートを偽造しようとして高温加
熱したときに発泡印刷されたパターンに対応する凸部が
突然形成されるから、偽造者は驚愕し、偽造者は偽造意
欲を挫かれ、ラミネートシートを偽造することを有効に
防止することができる。さらに、このラミネートシート
は常時はその表面が平坦であるので、携帯に便利である
という副次的効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の第１実施例に係るラミネートシート
（パスポートブック中の身分証明用頁）の分解斜視図で
ある。 第２図は、本考案の第１実施例に係るラミネートシート
（パスポートブック中の身分証明用頁）の発泡状態の断
面図である。 第３図は、本考案の第２実施例に係るラミネートシート
（ポスポートブック中の身分証明用頁）の分解斜視図で
ある。 第４図は、本考案の第２実施例に係るラミネートシート
（身分証明書類）の発泡状態の断面図である。 １……透明合成樹脂フィルム、12……記情報記録媒体と
融着される透明合成樹脂フィルムの面（透明合成樹脂フ
ィルムの裏面）、13……発泡よりなるパターン状の凸
部、２……情報記録媒体、21……情報記録媒体の記録、
22……情報記録媒体に貼付される顔写真等、23……情報
記録媒体の表面、24……情報記録媒体の裏面（他の
面）、３……他の透明合成樹脂フィルム、31……他の透
明合成樹脂フィルムの表面、４……発泡印刷されてなる
パターン。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】透明合成樹脂フィルム（１）が情報記録媒
   体（２）をカバーして、相互に融着されてなるラミネー
   トシートにおいて、 前記透明合成樹脂フィルム（１）が前記情報記録媒体
   （２）と融着される面（12）の一部領域、または、前記
   情報記録媒体（２）が前記透明合成樹脂フィルム（１）
   と融着される面（23）の一部領域に、発泡温度が前記透
   明合成樹脂フィルム（１）と前記情報記録媒体（２）と
   を融着する温度よりいくらか高い発泡インキをもって発
   泡印刷がなされてなるパターン（４）を有する ことを特徴とするラミネートシート。
2. 【請求項２】情報記録媒体（２）を挟んで２枚の透明合
   成樹脂フィルム（１）・（３）が融着されてなるラミネ
   ートシートにおいて、 前記情報記録媒体（２）と前記透明合成樹脂フィルム
   （１）・（３）とが融着される面のいづれか１面または
   複数の面に、発泡温度が前記透明合成樹脂フィルム
   （１）・（３）と前記情報記録媒体（２）とを融着する
   温度よりいくらか高い発泡インキをもって発泡印刷がな
   されてなるパターン（４）を有する ことを特徴とするラミネートシート。