JP2510416C - - Google Patents

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JP2510416C
JP2510416C JP2510416C JP 2510416 C JP2510416 C JP 2510416C JP 2510416 C JP2510416 C JP 2510416C
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は半導体ウエハーのダイシング方法に関し、詳しくは、半導体ウエハー
をダイシングフイルムに比較的強い接着力にて接着固定して、ダイシングした後
、 ダイシングフイルムの接着力を顕著に低減すると共に、得られたダイスへの糊残
りなしに、ダイスをピツクアツプすることができる半導体ウエハーのダイシング
方法に関する。従来の技術 集積回路の製作に際して、半導体ウエハー、例えば、シリコンウエハーを所定
の寸法に裁断する、即ち、ダイシングを行なつて、所定寸法のダイスを得るため
には、所謂ダイシングフイルムと呼ばれる感圧接着性シート上にシリコンウエハ
ーを載置し、ダイシングフイルム上に感圧接着による固定下に裁断した後、これ
をフイルムからピツクアツプ、即ち、剥離して取り上げる。従つて、シリコンウ
エハーを正確にダイシングするためには、ダイシング時にはダイシングフイルム
がシリコンウエハーに対して強い接着力を有し、一方、得られたダイスをダイシ
ングフイルムからピツクアツプするに際しては、ダイシングフイルムはその接着
力が弱いことが必要である。何ら制限されるものではないが、例えば、シリコン
ウエハーのダイシングに際しては、ダイシングフイルムは100〜500g/2
5mm程度又はこれ以上の接着力を有し、一方、ダイスのピツクアツプに際しては
、ダイシングフイルムは約20〜50g/25mm程度又はこれ以下の接着力を有
することが望ましいといわれている。 しかし、このように、被着面に適用後に、必要に応じて、その接着力を低減さ
せ得る感圧接着剤は、未だ知られておらず、従つて、前記したような要求特性を
満たすダイシングフイルムは、従来、知られていない。 他方、一般に接着剤の分野において、光重合性オリゴマー、光重合性モノマー
、光重合開始剤及びその他の添加剤からなる紫外線架橋性接着剤が既に知られて
おり、これは無溶剤型、一液型の接着剤であり、速硬化性であつて、加熱を要し
ない等の点ですぐれているが、この接着剤においては、紫外線照射は、本来、接
着剤に所要の接着力を発現させるために行なわれる。発明が解決しようとする問題点 本発明者らは、当初は強い接着力を有し、必要に応じてその接着力を低減し得
る感圧接着剤を得るために鋭意研究した結果、予期しないことに、弾性重合体と
紫外線架橋性アクリル酸エステルと重合開始剤とを主成分として含有する感圧接 着剤組成物が、これに紫外線を照射するとき、その接着力が著しく低減すること
を見出した。 従つて、紫外線を透過し得る基材樹脂シート上にかかる感圧接着剤組成物の層
を形成して、これをダイシングフイルムとすれば、かかるダイシングフイルムは
、ダイシング時にはシリコンウエハーに対して強い接着力を有し、一方、このダ
イシング後にダイシングフイルムの裏面から紫外線を照射すれば、感圧接着剤組
成物はその接着力を著しく低滅するので、得られたダイスをダイシングフイルム
から容易にピツクアツプすることができる。 しかしながら、他方、かかる方法において、ダイシングフイルムにウエハーを
接着固定するに際して、ダイシングフイルムとウエハーとの間に空気が入り込ん
で、気泡が形成されるとき、ダイシングフイルムから剥離したダイスに感圧接着
剤組成物が残存し、所謂糊残りする。必ずしも明らかではないが、気泡の周縁に
おいてウエハーに接触する感圧性接着剤組成物中の紫外線架橋性アクリル酸エス
テルがダイシングフイルムに紫外線を照射した後も、気泡(酸素)のために、十
分な硬化反応が阻害され、接着剤組成物が尚、十分な接着力を保持しており、そ
の結果として、ウエハーに糊移りして、糊残りが生じるものとみられ、同時に、
ウエハーをダイシングした後、ダイスをダイシングフイルムから剥離する際に、
尚、大きい剥離力を必要とすることとなる。 このように、ダイスに糊残りが生じるときは、ダイスに導線を接続することが
困難となつたり、或いはダイス加工後のチツプからの熱拡散性が悪くなり、半導
体デバイスの信頼性を低下させ、また、故障させる原因となる。 そこで、本発明者らは、かかる問題を解決するために鋭意研究した結果、前記
したように、紫外線照射によつてその接着力が著しく低減される接着剤組成物を
有するダイシングフイルムを用いて半導体ウエハーをダイシングするに際して、
不活性気体下にダイシングフイルムにウエハーを接着固定するとき、ダイスに糊
残りが生じないことを見出して、本発明に至つたものである。 従つて、本発明は、一般的には、半導体ウエハーのダイシング方法に関し、特
に、半導体ウエハーをダイシングフイルムに比較的強い接着力にて接着固定して
、ダイシングした後、ダイシングフイルムの接着力を低減すると共に、得られる
ダ イスに糊残りなしに、ダイスをピツクアツプすることができる半導体ウエハーの
ダイシング方法を提供することを目的とする。問題点を解決するための手段 本発明による半導体ウエハーのダイシング方法は、紫外線を透過させ得る基材
樹脂シート上に飽和ポリエステル樹脂又はポリアクリル酸エステル又はアクリル
酸エステルの共重合体からなる弾性重合体100重量部に対して、紫外線架橋性
アクリル酸エステル15〜200重量部と重合開始剤とを含有する感圧接着剤の
層を形成してなるダイシングフイルム上に、半導体ウエハーを不活性気体下に載
置し接着固定して、ダイシングした後、上記ダイシングフイルムの裏面から紫外
線を照射し、上記感圧接着剤の接着力を低減させた後、ダイスを取り上げること
を特徴とする。 本発明の方法において用いるダイシングフイルムは、紫外線を透過させ得る基
材シート上に弾性重合体と紫外線架橋性アクリル酸エステルと重合開始剤とを主
成分として含有する感圧接着剤組成物の層が形成されてなり、かかるダイシング
フイルムに不活性気体下に半導体ウエハーを接着固定すれば、ダイシングフイル
ムは、紫外線照射前は、精度の高いダイシングを可能にする程度に強い接着力を
有し、この後にその裏面から紫外線を照射することによつて、得られたダイスに
糊残りを生じさせないで、ダイスに対する接着力を著しく低減させることができ
、かくして、ダイスを容易にピツクアツプすることができ、このようにして得ら
れたダイスは清浄であつて、その後の加工に何らの支障を生じることもなく、信
頼性の高い半導体デバイスを与える。 先ず、上記感圧接着剤組成物について説明する。従来、種々の感圧接着剤組成
物が、例えば「接着ハンドブツク(第2版)」(日本接着協会編集、日刊工業新
聞社発行、1980年)第398〜414頁に記載されているように知られているが
、代表的な感圧接着剤組成物は弾性重合体を主成分とし、これに相溶性の良好な
粘着付与剤や可塑剤、更には、必要に応じて充填剤、老化防止剤、着色剤等を均
一に混合してなる混合物である。本発明においては、かかる弾性重合体として、
飽和共重合ポリエステル樹脂又はポリアクリル酸エステル又はアクリル酸エステ
ルの共重合体からなるものが用いられる。 上記飽和共重合ポリエステル樹脂は、例えば、「工業材料」第25巻第11号
第101〜106頁に記載されているように、通常、異なる2種以上の飽和2価
カルボン酸と飽和2価アルコールとを重縮合させて得られるガラス転移点の比較
的低い飽和共重合樹脂であり、通常、飽和2価カルボン酸として、芳香族2価カ
ルボン酸と脂肪族2価カルボン酸とが併用され、飽和2価アルコールとして脂肪
族又は脂環式2価アルコール、即ち、グリコールが用いられる。特に、本発明に
おいては、芳香族2価カルボン酸/脂肪族2価カルボン酸モル比が80/20乃
至20/80、好ましくは70/30乃至50/50である飽和2価カルボン酸
混合物とグリコールとを等モルにて重縮合させて得られる飽和共重合ポリエステ
ル樹脂が好ましく用いられる。本発明においては、芳香族2価カルボン酸として
テレフタル酸、脂肪族多価カルボン酸としてセバシン酸、アジピン酸、グリコー
ルとしてエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール等
を用いて得られる飽和共重合ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。尚、必要
に応じて、飽和共重合ポリエステル樹脂の製造においては、カルボン酸成分とし
て3価以上の飽和多価カルボン酸や、3価以上の多価アルコールが一部併用され
てもよい。 また、ポリアクリル酸エステル又はアクリル酸の共重合体としては、従来より
アクリル系粘着剤として知られている粘着剤において、主成分である弾性重合体
として用いられている任意のものを含む。アクリル系粘着剤において弾性重合体
として用いられている重合体は、通常、実質的にアクリル酸エステル共重合体で
ある。この共重合体は、通常、粘着性を有せしめるために低いガラス転移点を有
する重合体を形成するアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−
エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、凝集性を有
せしめるために高いガラス転移点を有する硬い重合体を形成するコモノマー、例
えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリ
ル酸メチル等、及び架橋性や接着性の改良のためにカルボン酸基、水酸基、アミ
ド基、グリシジル基、ヒドロキシルメチル基等の官能基を有する単量体、例えば
、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシルエチルメタクリレート
、ヒドロキシルプロピルメタクリレート、アクリルアミド、グリシジルメタクリ
レ ート等のモノマーを共重合させてなる共重合体である。 本発明において用いる紫外線架橋性アクリル酸エステルは、紫外線の照射によ
つて架橋するオリゴマー又はモノマーとしてのアクリル酸エステル又はメタクリ
ル酸エステルをいい、分子内に少なくとも2つのアクリロイル基又はメタクリロ
イル基を有する。具体的には、かかるオリゴマーとしては、例えばオリゴエステ
ルアクリレート等を、また、モノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオー
ルジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロー
ルメタンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の
多価アルコールとアクリル酸のエステル、或いは1,6−ヘキサンジオールジメタ
クリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメ
タンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等の
多価アルコールとメタクリル酸のエステル等を挙げることができる。 本発明において用いる感圧接着剤組成物は、前記弾性重合体100重量部につ
いて、上記紫外線架橋性アクリル酸エステルを15〜200重量部、好ましくは
50〜150重量部の範囲にて含有する。弾性重合体100重量部について、上
記紫外線架橋性アクリル酸エステルが15重量部よりも少ないときは、得られる
接着剤組成物に紫外線を照射しても、その接着力は実質的に変化せず、一方、2
00重量部を越えるときは、紫外線照射によつて、ダイシングフイルムの接着力
を低減させることはできるが、しかし、シリコンウエハーのダイシング後のダイ
スのピツクアツプ時に、ダイスに紫外線架橋性アクリル酸エステルが残留するこ
とがあり、好ましくないからである。 本発明において用いる感圧接着剤組成物は、更に重合開始剤又は光増感剤を含
有し、必要に応じて重合禁止剤を含有する。重合開始剤は、上記紫外線架橋性ア
クリル酸エステルの紫外線照射による架橋を促進するために用いられる。このよ
うな重合開始剤は、一般に、紫外線架橋重合の技術分野においてよく知られてお
り、本発明においては、従来より一般に知られている重合開始剤を用いることが
できる。かかる重合開始剤の具体例として、例えば、ベンゾインメチルエーテル
、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類や、ベン
ゾイン、ベンジル、ベンゾフエノン等の芳香族オキシケトン類や芳香族ケトン類
、 ベンジルジメチルケタール、ポリビニルベンゾフエノン等を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。 熱重合禁止剤は、上記紫外線架橋性アクリル酸エステルが紫外線照射によらず
、例えば、熱によつて重合することを防止するために、必要に応じて添加される
もので、かかる重合禁止剤としても、従来より知られている通常の重合禁止剤を
用いることができる。このような重合禁止剤としては、例えば、ピクリン酸、フ
エノール、ハイドロキノン、ハイドルキノンモノメチルエーテル等を用いること
ができる。 上記重合開始剤及び重合禁止剤の配合量は、紫外線架橋重合の技術分野におい
て一般に使用されているところに従えばよく、例えば、重合開始剤は、前記紫外
線架橋性アクリル酸エステル100重量部について1〜20重量部、重合禁止剤
は必要に応じて0.1〜1重量部の範囲で用いられる。 本発明において用いる感圧接着剤組成物は、好ましくは、更に粘着付与剤を含
有する。用い得る粘着付与剤は特に制限されず、従来より一般に粘着剤と呼ばれ
ている感圧接着剤組成物の製造において用いられているものが適宜に用いられる
。このような粘着付与剤として、例えば、キシレン樹脂、ロジンや重合ロジン、
水添ロジン、ロジンエステル等の変性ロジン系樹脂、テルペン樹脂、テルペンフ
エノール樹脂、ロジンフエノール樹脂等のテルペン系樹脂、脂肪族系、芳香族系
及び脂環式系石油樹脂、クマロン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフエノール樹
脂等を挙げることができる。粘着付与剤は、弾性重合体100重量部について、
通常、10〜200重量部の範囲で用いられる。粘着付与剤の配合量が余りに少
ないときは、接着力又は粘着力が不十分であり、他方、多すぎるときは、得られ
る接着剤組成物に紫外線を照射した後の接着力の低下幅が小さく、また、かかる
接着剤組成物をダイシングフイルムに適用した場合、シリコンウエハーのダイシ
ング後のダイスのピツクアツプ時に、ダイスに粘着付与剤が残留することがあり
、好ましくないからである。 本発明において用いる感圧接着剤組成物は、上記した配合量にて弾性重合体、
紫外線架橋性アクリル酸エステル及び重合開始剤を、必要に応じて粘着付与剤、
重合禁止剤、充填剤、老化防止剤、着色剤等と共に、これらを溶解する適宜の有 機溶剤、例えば、芳香族炭化水素、ケトン類、又はこれらの混合物に溶解するこ
とによつて得ることができる。溶剤としては、例えば、具体的にはトルエンとメ
チルエチルケトンとの混合溶剤が好ましく用いられるが、しかし、これに限定さ
れるものではない。また、接着剤組成物における弾性重合体の含有量は、用途等
に応じて適宜に選ばれるが、通常、10〜50重量%の範囲である。しかし、こ
れに限定されるものではない。 特に、弾性重合体及び粘着付与剤は、通常、溶液の形態にて市販されており、
これらを使用することが便利であるので、例えば、これらの溶液を混合し、これ
に紫外線架橋性アクリル酸エステルと重合開始剤、更に必要に応じてその他の添
加剤を添加混合し、均一に溶解すればよい。 本発明の方法において用いるダイシングフイルムは、上記のような感圧接着剤
組成物の層を紫外線を透過し得る基材シート上に常法に従つて形成することによ
つて得ることができる。 上記基材シートとしては、紫外線を透過し得る限りは、特に制限されることな
く、種々のシートを用いることができるが、通常は、透明乃至半透明の合成樹脂
シートが用いられる。例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共
重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
オレフイン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネ
ート、アセチルセルロース等からなる樹脂シートが好適に用いられる。 上記した種々の基材樹脂シートのなかでも、可塑剤を含有するポリ塩化ビニル
又は塩化ビニルの共重合体からなる樹脂シートは、柔軟であり、更に、廉価でも
あるので、本発明の方法において特に好適に用いることができる。また、塩化ビ
ニル樹脂シート以外にも、可塑剤を含有する基材シートとして、好適に用いる得
るものもある。例えば、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体樹脂、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体樹脂、ポ
リ塩化ビニリデン、アセチルセルロース等を挙げることができる。 ここに、上記可塑剤は、特に制限されるものではないが、例えば、ジブチルフ
タレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジトリデシルフタレー
ト、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸ジエステル、トリクレジルホスフエ ート、トリオクチルホスフエート、トリフエニルホスフエート、2-エチルヘキシ
ルジフエニルホスフエート、クレジルジフエニルホスフエート等のリン酸エステ
ル、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ア
セチルクエン酸トリ−2-エチルヘキシル等の脂肪酸ジエステル、ポリプロピレン
アジペート、ポリプロピレンセバケート等のポリエステル系可塑剤、エポキシ化
大豆油等のエポキシ系可塑剤、塩素化パラフイン、塩素化脂肪酸エステル等の塩
素系可塑剤等を挙げることができる。 しかしながら、このように、ダイシングフイルムの基材シートとして、可塑剤
を含有する樹脂シートを用いる場合は、この樹脂シートから可塑剤が感圧接着剤
組成物中に移行し、また、通常、可塑剤と紫外線架橋性アクリル酸エステルとは
相溶性がよいために、感圧接着剤組成物に含まれる紫外線架橋性アクリル酸エス
テルが樹脂シート中に移行し、このような相互移行によつて、ダイシングフイル
ムの紫外線照射後の接着力の低減効果が著しく減少する場合がある。 従つて、本発明においては、ダイシングフイルムの基材シートとして、可塑剤
を含有する樹脂シートを用いる場合は、この基材シートと感圧接着性シートとの
間に紫外線は透過させるが、可塑剤及び紫外線架橋性アクリル酸エステルを透過
させない樹脂層からなるバリヤー層を介在させることが好ましい。 即ち、このバリヤー層は、紫外線の透過は何ら妨げないが、基材樹脂シートに
含まれている可塑剤が感圧接着剤組成物中に移行するのを阻止すると共に、感圧
接着剤組成物に含まれている紫外線架橋性アクリル酸エステルが基材樹脂シート
に移行するのを阻止し、このようにして、基材樹脂シートに含まれている可塑剤
をこの基材中に保持し、感圧接着剤組成物に含まれている紫外線架橋性アクリル
酸エステルを接着剤組成物中に保持して、感圧接着性シートの紫外線照射による
接着力の経時的な低下を防止する。 前記バリヤー層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリ−α−オレ
フイン、ポリエチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートのフイ
ルムや、樹脂塗膜、例えば、変性ポリアクリル樹脂等の樹脂塗膜層が好適に用い
られる。従つて、バリヤー層は、基材樹脂シート上に前記例示した樹脂からなる
フイルムを圧着し、又はこの樹脂の溶融液を塗布して冷却し、若しくは上記樹脂 の溶液を塗布し、乾燥することによつて、形成することができる。また、例えば
、変性ポリアクリル樹脂溶液を塗布し、必要に応じて加熱乾燥させて、塗膜を形
成させることによつても、バリヤー層を得ることができる。 上記変性ポリアクリル樹脂としては、従来、種々のものが知られているが、本
発明においては、一般に、耐溶剤性にすぐれ、従つて、紫外線架橋性アクリル酸
エステルや基材樹脂シートに含まれる可塑剤に溶解、膨潤しないアルキド変性ポ
リアクリル樹脂や、熱硬化型ポリアクリル樹脂が好適である。熱硬化ポリアクリ
ル樹脂としては、例えば、酸型、水酸基型、エポキシ型、アミド型等が好適に用
いられる。 しかし、本発明においては、バリヤー層は、前述したように、感圧接着剤組成
物に含まれる紫外線架橋性アクリル酸エステル及び基材樹脂シートに含まれる可
塑剤を実質的に透過させない限りは、特に、その素材において制限されるもので
はないことは容易に理解されるところであつて、本発明において用いられる個々
の具体的な紫外線架橋性アクリル酸エステル及び可塑剤に応じて選択される。 従つて、本発明によるダイシングフイルムは、例えば、基材樹脂シート上に上
記バリヤー層を積層し、この上に上述したような感圧接着剤組成物の溶液を基材
シート上に塗布し、乾燥することによつて得ることができる。 本発明の方法は、不活性気体下に上記したようなダイシングフイルム上に半導
体ウエハーを載置し、感圧接着して固定した後、ダイシングを行なつて所定の寸
法のダイスを得、この後、ダイシングフイルムの裏面から紫外線を照射して、上
記感圧接着剤組成物の接着力を低減させ、次いで、ダイスをピツクアツプする。
ここに、不活性気体としては、窒素、ヘリウム、アルゴン等が用いられるが、特
に、実用上は、窒素が好適である。 ダイシングフイルムの裏面への紫外線の照射手段及び照射方法は特に制限され
ず、紫外線硬化性樹脂塗料や紫外線硬化性接着剤の技術分野において、従来より
通常に行なわれている手段及び方法によることができる。例えば、照射手段とし
て、キセノンランプ、低圧、中圧、高圧或いは超高圧水銀灯灯のような紫外線源
を使用し、数秒乃至数分、照射すればよい。発明の効果 以上のように、弾性重合体と紫外線架橋性アクリル酸エステルと重合開始剤と
を主成分として含有してなる感圧接着剤組成物は、その理由は必ずしも明らかで
はないが、紫外線を照射する前は強い接着力を有し、一方、紫外線の照射によつ
てその接着力が著しく低減する。 従つて、かかる感圧接着剤組成物の層を有するダイシングフイルムは、当初は
例えば数百g/25mmの接着力を有するが、紫外線照射によつて接着力が著しく
低減し、特に、紫外線架橋性アクリル酸エステルの適正な配合によつて、接着力
を数十g/25mm程度とすることができる。従つて、紫外線照射前の強い接着力
を利用して、半導体ウエハーのダイシングを高精度で行なうことができ、この後
にダイシングフイルムの裏面から紫外線を照射して、ダイシングフイルムの接着
力を低減させることにより、容易にダイスをダイシングフイルムからピツクアツ
プすることができる。このようにして、本発明の方法によれば、寸法精度にすぐ
れるダイスを生産性高く得ることができる。 特に、本発明の方法に従つて、ダイシングフイルムに不活性気体下に半導体ウ
エハーを接着固定することによつて、ダイシングフイルムとウエハーとの間に気
泡が形成されても、この気泡は、紫外線照射による感圧接着剤組成物の接着力の
低減効果を何ら阻害しないので、紫外線照射後に被着体を感圧接着性シートから
剥離したとき、被着体に糊残りがなく、紫外線照射によつて、常に糊残りなしに
その接着力を低減させることができ、このようにして、本発明の方法によれば、
安定して信頼性の高いダイスを得ることができる。実施例 以下に、実施例を示すが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。ま
た、実施例中、部とあるのは重量部を示す。 離型紙上に第1表に示す配合の感圧接着剤を塗布し、120℃で1分間乾燥し
、感圧接着剤の層を固形分として10μm厚みに形成した。 ここに、弾性重合体として飽和共重合ポリエステル樹脂を用いる場合は、テレ
フタル酸/セバシン酸モル比70/30の飽和2価カルボン酸混合物とエチレン
グリコールとを等モルにて重縮合させて得られるガラス転移点約10℃の樹脂を
用いた。 また、ポリアクリル酸エステル又はアクリル酸エステルの共重合体を弾性重合
体として用いる場合は、ポリアクリル酸エステル又はアクリル酸エステルの共重
合体を含むアクリル系粘着剤溶液(三洋化成工業(株)ポリシツク610SA、ポ
リアクリル酸エステル又はアクリル酸エステル共重合体含有量約40重量%)1
00重量部に第1表に示す量にて光架橋性アクリル酸エステル、重合開始剤、光
増感剤等を溶解して、感圧接着剤組成物を調製した。 この感圧接着剤組成物を離型紙上に塗布し、120℃で1分間乾燥し、感圧接
着剤の層を固形分として10μm厚みに形成した。 次に、平均重合度1300のポリ塩化ビニル100部、可塑剤としてジオクチ
ルフタレート又はポリエステル系可塑剤35部及び適宜量の安定剤からなる塩化
ビニル樹脂組成物から成形した厚み0.1mmのシート上に変性アクリル樹脂を塗布
し、乾燥して、バリヤー層を形成した後、この基材樹脂シートのバリヤー層の表
面に上記感圧接着剤層を重ねて貼り合わせて、本発明による感圧接着性シートを
得た。 このようにして得たそれぞれの感圧接着性シートについて、離型紙を剥離した
後、次のようにして、種々の条件下における接着力を測定した。紫外線照射前の接着力 感圧接着性シートを幅25mm、長さ100mmに裁断して試験片とし、窒素下に
おいて、その間に気泡を形成させないようにして、これを被着体としてのステン
レス板上に重ね、3kgローラにて5回往復して押圧密着させ、室温で20分間放
置した後、シヨツパーにて引張速度300mm/分にて180°剥離試験を行なつ
た。紫外線照射後の接着力 大気下又は窒素下に感圧接着性シートをステンレス板上に重ねる際に、強制的
に試験片とステンレス板との間に気泡を残存させ、塩化ビニル樹脂シート側から
主波長365mμ、120W/cmにて紫外線を7秒間又は4秒間照射した後、試
験片をステンレス板から剥離し、目視及び50倍顕微鏡にてステンレス板への糊
残りの有無を観察した。 また、上記と同様にして、感圧性接着シートをステンレス板に重ねる際に、幅 25mm、長さ100mmの試験片を得ることができる程度に十分に大きい気泡をシ
ートとステンレス板との間に強制的に残存させ、塩化ビニル樹脂シート側から主
波長365μm、120W/cmにて紫外線を7秒間照射した。 次いで、感圧接着性シートを幅25mm、長さ100mmに裁断して試験片とし、
その間に気泡を形成させないようにして、ステンレス板上に重ね、3kgローラに
て5回往復して押圧密着させ、室温で20分間放置した後、シヨツパーにて引張
速度300mm/分にて180°剥離試験を行なつた。結果を第1表に示す。 【第1表】 本発明の方法によれば、これを被着体に接着させ、紫外線を照射した後、被着
体を剥離したとき、被着体に糊残りが生じない。また、その結果、紫外線照射後
の接着力は、紫外線照射前に比較して、著しく低減されている。従つて、本発明
の方法によれば、半導体ウエハーのダイシング後、安定した弱い接着力にてダイ
スをダイシングフイルムから剥離することができると共に、得られるダイスは信
頼性が高い。 これに対して、比較例としての大気下での接着試験によれば、感圧接着性シー
トを被着体に接着させ、紫外線を照射した後、被着体を剥離したとき、被着体に
糊残りが生じていると共に、紫外線照射後の接着力が尚高い。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1) 紫外線を透過させ得る基材樹脂シート上に飽和共重合ポリエステル樹脂又は
    ポリアクリル酸エステル又はアクリル酸エステルの共重合体からなる弾性重合体
    100重量部に対して、紫外線架橋性アクリル酸エステル15〜200重量部と
    重合開始剤とを含有する感圧接着剤の層を形成してなるダイシングフイルム上に
    、半導体ウエハーを不活性気体下に載置し接着固定して、ダイシングした後、上
    記ダイシングフイルムの裏面から紫外線を照射し、上記感圧接着剤の接着力を低
    減させた後、ダイスを取り上げることを特徴とする半導体ウエハーのダイシング
    方法。 (2) 感圧接着剤が粘着付与剤を含有することを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の半導体ウエハーのダイシング方法。 (3) 不活性気体が窒素であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の半導
    体ウエハーのダイシング方法。 (4) ダイシングフイルムにおいて、基材樹脂シートが可塑剤を含有し、且つ、紫
    外線を透過させ得る樹脂シートであり、弾性重合体と紫外線架橋性アクリル酸エ
    ステルと重合開始剤とを含有する感圧接着剤の層が、上記可塑剤及び紫外線架橋
    性アクリル酸エステルを透過させないが、紫外線を透過させる樹脂層を介して、
    上記基材樹脂シート上に形成されていることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の半導体ウエハーのダイシング方法。 (5) 基材樹脂シートがポリ塩化ビニル又は塩化ビニルの共重合体からなる樹脂シ
    ートであることを特徴とする特許請求の範囲第4項記載の半導体ウエハーのダイ
    シング方法。

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