JP2506333B2 - 耐摩耗性鉄基焼結合金 - Google Patents

耐摩耗性鉄基焼結合金

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JP2506333B2 JP61054150A JP5415086A JP2506333B2 JP 2506333 B2 JP2506333 B2 JP 2506333B2 JP 61054150 A JP61054150 A JP 61054150A JP 5415086 A JP5415086 A JP 5415086A JP 2506333 B2 JP2506333 B2 JP 2506333B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、耐摩耗性が要求される部品の素材として利
用され、例えば内燃機関のロッカアームやタペット等の
高面圧のかかる摺動部に使用した場合に優れた耐摩耗性
となじみ性を発揮する鉄基焼結合金に関するものであ
る。
(従来の技術) 近年、内燃機関に対する高速化および高出力化などの
要求に伴って内燃機関の動弁系部材の摩耗が問題となり
つつあり、特にロッカアームやタペットのカムシャフト
との摺動部に対する耐久性の要求は極めて厳しいものと
なっている。
一般に、ロッカアームやタペットのカムシャフトとの
摺動部は高い面圧を受けるものであるため、優れた耐摩
耗性,耐スカッフィング性および耐ピッチング性を兼ね
備えかつカムシャフトとのなじみ性を合わせ持つことが
要求される。
従来、ロッカアームには、チル鋳鉄製のもの、ロッカ
アーム摺動部にCrめっきや自溶性合金の溶射肉盛などの
表面処理を施したもの(例えば、新編 自動車工学便覧
第12編 第1−54頁〜第1〜55頁)、あるいはFe−Cr
−C系の高合金粉末を液相焼結したもの(例えば、特開
昭57−108246号)などが使用されている。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、上記のうち、チル鋳鉄製のロッカアー
ムは耐ピッチング性や耐摩耗性の点で問題があり、Crめ
っきを施したロッカアームではめっき層の剥離の問題が
あり、溶射肉盛を施したロッカアームではスカッフィン
グや相手部材のカムシャフトに対する摩耗などの問題が
ある。また、Fe−Cr−C系焼結合金製のロッカアームの
場合は前記チル鋳物,Crめっき,溶射肉盛製のロッカア
ームに比べるとかなり良好な特性を示すことが多いが、
面圧が非常に高くなる場合等には自分自身の耐摩耗性が
十分でないばかりでなく、カムシャフトの摩耗量も大き
くなってしまい、要求特性を満足するものになっていな
いのが現状である。
そこで本発明者等は、上述のような観点から、優れた
耐摩耗性,耐スカッフィング性および耐ピッチング性を
持つだけでなく、相手部材とのなじみ性をも併せ持つ材
料を開発することを目的として種々の研究を実施した結
果、本発明を完成した。
[発明の構成] (問題点を解決するための手段) 本発明者等の第一発明による耐摩耗性鉄基焼結合金
は、全体組成が重量%で、MoおよびWのいずれか1種ま
たは2種;5〜20%、Cr;2〜10%、Si;0.1〜0.9%、Mn;0.
7%以下、P;0.05%以下、C;0.1〜0.8%、B;0.5〜2.0
%、残部Feおよび不純物からなり、第二発明による耐摩
耗性鉄基焼結合金は、上記第一発明の成分に加えて、V,
Nb,Taのうちの1種または2種以上:0.5〜8%を含み、
第三発明による耐摩耗性鉄基焼結合金は、上記第一発明
の成分に加えて、Ti,Zr,Hf,Coのうちの1種または2種
以上:12%以下を含み、第四発明による耐摩耗性鉄基焼
結合金は、上記第一発明の成分に加えて、V,Nb,Taのう
ちの1種または2種以上:0.5〜8%と、Ti,Zr,Hf,Coの
うちの1種または2種以上:12%以下を含み、第五発明
による耐摩耗性鉄基焼結合金は、上記第一発明の成分に
加えて、V,Nb,Taのうちの1種または2種以上:0.5〜8
%と、Ni:8%以下を含み、このうち、MoおよびWの総含
有料とB含有料との割合がモル比で0.8〜1.5の範囲内に
あり、且つ、微細な炭化物と硼化物および/または炭硼
化物が基地中に均一に分散した組織を呈するものとした
ことを特徴としている。
本発明者等は、上記の組成を持つ二つの発明に係る耐
摩耗性鉄基焼結合金において、特にマトリックス組織中
に微細な炭化物と硼化物および/または炭硼化物が均一
に分散している組織を有するものが優れた摺動摩耗特性
を有し、とりわけ例えばロッカアームの摺動部に使用し
た場合には極めて優れた性能を発揮するという知見を見
いだした。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、以
下に成分組成を上記の通りに限定した理由を説明する。
MoおよびW; MoおよびWは成分中のFeやCrとともにCやBと結合し
て複炭化物や複硼化物あるいは複炭硼化物を形成して耐
摩耗性を与え、一部はマトリックス中に固溶してマトリ
ックスを強化するとともに焼戻し硬化能を高める作用が
あるが、5%未満では所望の効果が得られずに耐摩耗性
不足となり、20%を超えて含有させてもより一層の改善
効果は認められず、経済的でないことからその含有量を
5〜20%と定めた。
Cr; CrはMo,W等とともに複炭化物や複硼化物を形成し耐摩
耗性を向上させると同時に、マトリックス中に固溶して
焼入性を増大し、さらに焼戻し硬化能を高める効果を有
するとともに基地の耐食性を高める効果もあるが、2%
未満ではその効果が認められず、10%を超えて含有させ
てもより一層の改善効果がないばかりでなく、機械的強
度が低下して相手剤への攻撃性が増大してしまうことか
らその含有量を2〜10%と定めた。
Si; Siは0.1%未満の添加量では脱酸効果が少なく、粉末
中の酸素含有量が多くなって焼結性が低下するとともに
M2C系の粗大な板状の炭化物が析出しやすくなり相手部
材とのなじみ性が低下する。一方、添加量が0.9%を超
えても脱酸効果の向上もなく、粉末が丸くなってしまい
成形性が低下するだけであることから、その含有量を0.
1〜0.9%と定めた。
Mn; Mnは前述したSiと同じように脱酸効果があり、添加す
ることにより粉末中の酸素含有量を下げて焼結性を向上
させるが、0.7%を超えると粉末の形状が丸くなって粉
末の成形性が低下することにより成形体エッジ部の欠け
等が生じやすくなることから、添加するとしてもその含
有量を0.7%以下と定めた。
P; Pは耐摩耗性焼結合金の場合において焼結促進元素と
して一般に0.2〜0.8%程度添加する手法が広く用いられ
ているが、本発明による焼結合金の場合はPの添加量が
0.05%を超えた場合に、複硼化物あるいは複硼化物が粗
大化して相手剤とのなじみ性が低下するとともに、粒界
に複硼化物あるいは複炭硼化物がネットワーク状に析出
して強度が低下してしまうことにより、特に高面圧がか
かった場合の耐ピッチング特性も低下してしまうことか
らその含有量を0.05%以下と定めた。
C; Cはその一部がMo,W,Cr,Vなどの炭化物形成元素と結
合して複炭化物を形成して耐摩耗性を向上させ、残りは
マトリックス中に固溶して高い室温硬さと強度を与える
作用を有するが、0.1%未満ではその効果が認められ
ず、0.8%を超えると複炭化物の析出量増加と粗大化が
起こり、相手材とのなじみ性が低下することから、その
含有量を0.1〜0.8%と定めた。
このCの添加方法としては、このCを単独にグラファ
イト粉末の形で添加する方法が従来技術としてある(特
開昭58−22359号公報に開示された鉄基焼結合金では、
りん片状黒鉛粉末の形で添加している)が、真空焼鈍を
施したFe−Mo−W−Cr−V−Si−(Mn)−(Co)−C系
アトマイズ合金粉末の形で添加する必要がある。これは
上記従来技術のようにCを単独にグラファイト粉末の形
で添加すると、後述するB源として添加するFe−Bある
いはFe−Cr−Bと結びついて焼結時に粗大な炭硼化物を
粒界に沿ってネットワーク状に析出させ相手材への攻撃
性を増大してしまうのに対して、真空焼鈍を施したFe−
Mo−W−Cr−V−Si−(Mn)−(Co)−C系アトマイズ
合金粉末の形で添加した場合は、アトマイズ後の真空焼
鈍時にCは大部分がMo,W,Cr,V,Fe等と結びついて微細な
複炭化物としアトマイズ合金粉末中に析出することか
ら、Fe−BやFe−Cr−Bを添加しても焼結時に粒界ある
いは粒界に近い部分の複炭化物がFe−BやFe−Cr−Bと
結びついてもとの複炭化物よりは若干大きな複炭硼化物
となるだけで、粒内の微細な複炭化物は焼結後もそのま
ま残り、Fe−BやFe−Cr−Bとアトマイズ合金粉末中の
MoおよびWなどとの間の分解・析出により生じた微細な
複硼化物とともに均一に分散した本発明による焼結合金
特有の組織が得られるためである。
B; Bは成分中のMo,W,V,Cr,Feとともに複硼化物を形成し
て耐摩耗性と耐なじみ性を与えるとともに、一部はマト
リックス中に固溶して焼入性を改善する。また、上記複
硼化物の一部はCとも結びついて複炭硼化物を形成して
耐摩耗性を向上させる。
このようにBは微細な複硼化物あるいは複炭硼化物を
形成して本発明焼結合金の耐摩耗性と耐なじみ性を向上
させるのに必須の主要成分であるが、0.5%未満の添加
ではその効果が認められず、一方2.0%を超えても一層
の改善効果が認められずかえって複硼化物の粗大化が起
り、相手材とのなじみ性が低下することからその含有量
を0.5〜2.0%と定めた。
本発明による焼結合金のB添加量としては上述したよ
うに0.5〜2.0%とする必要があるが、特に優れた特性を
示すのはB含有量がMo+Wの総含有量との間で、[Mo
(モル量)+W(モル量)]/1B(モル量)=0.8〜1.5
の関係を満たしている時である。これは上記モル比が1.
5を超える場合は、複硼化物の生成量が少なく本発明合
金の特徴であるなじみ性が低下してしまい、また前記モ
ル比が0.8未満では複硼化物が粗大化するとともにネッ
トワーク状に粒界に析出してしまい、相手材とのなじみ
性が低下すると同時に自分自身の耐ピッチング性が低下
してしまうためである。
ここで、前記のモル比を表1の本発明合金および比較
合金について示すと、本発明合金の場合は16例の最小値
が0.95(試料4)から最大値1.19(試料9〜15)までと
前記の範囲内にあり、比較合金の場合は試料1が0.71、
試料8が3.96、試料9が0.48(ただし、Moの原子量を9
5.9、Wの原子量を183.8,Bの原子量を10.8として算出)
となっている。そして、このBの添加方法としてはFe−
BあるいはFe−Cr−B系合金粉末の形で添加することが
好ましい。
V,Nb,Ta; V,Nb,TaはFeやCrとともにCと結合して極めて硬い複
炭化物を作るとともに、Mo,Wの一部と置換した形の複炭
化物や複硼化物を形成して耐摩耗性を与え、一部はマト
リックス中に固溶してマトリックスを強化するととも
に、焼戻し硬化能を高める作用がある。またV,Nb,Taは
焼結時の結晶粒の粗大化を防止するとともに炭化物の粗
大化を防止する効果もある。これらの効果はV,Nb,Taが
0.5%未満の場合ではあまり認められず、耐摩耗性や強
度の低下をきたし、一方8%を超えて添加しても一層の
改善効果は認められず経済的でないことから、添加する
ものとしてもその含有量を0.5〜8%とするのが良い。
Ti,Zr,Hf,Co; Ti,Zr,Hf,CoはMo,Wなどの一部と置換して複硼化物を
形成し耐摩耗性、なじみ性の向上に寄与するため、必要
に応じて添加しても良い。特にCoは複硼化物を形成する
だけでなく、マトリックス中に固溶して赤熱硬さを向上
させるため、熱間での耐摩耗性が要求される場合には添
加することが特に効果的である。しかし、これらの元素
を12%を超えて添加すると、生成する硼化物の量が多く
なり、靱性の低下および相手材への攻撃性の増大等が生
じることから、その含有量を12%以下とするのが良い。
Ni; Niはマトリックスの耐食性の向上に寄与し、特にディ
ーゼルエンジンのEGR仕様のロッカアームや油圧リフタ
のように耐食摩耗が厳しい部品への適用に効果がある。
しかし、Niの添加量が多くなると、マトリックスがオー
ステナイト化し、硬さが低下するだけでなく、相手材と
の凝着性が大きくなってしまうため、添加するとしても
オーステナイト化しない範囲(8%以下)で添加するの
が良い。
そして、以上のV,Nb,Ta,Ti,Zr,Hf,Co,Niは合計で20%
を超えて含有しても改善効果が認められなくなるほか、
硼化物の粗大化により靱性の低下および相手材への攻撃
性の増大等の不具合が生じることから合計で20%以下と
するのが良い。
本発明による焼結合金の硬さとしては、HRC50〜65の
範囲が好ましい。これはHRC50未満では耐摩耗性が不足
し、HRC65を超えると相手材となじみ性が低下するため
である。
また、本発明による焼結合金の理論密度比としては90
%以上とすることが好ましい。これは90%未満の理論密
度比ではマトリックスの強度が低く、かつ空孔も大き
く、しかもこの空孔の持つ切欠作用によってマトリック
スが破壊されやすくなってピッチング摩耗が生じやすく
なるためである。
(実施例) 以下、本発明による耐摩耗性鉄基焼結合金の実施例を
比較例と対比しながら説明する。
原料粉末として真空焼鈍を施した粒度−100メッシュ
のFe−Cr−Mo−W−Si−C系アトマイズ合金粉末(必要
に応じV,Nb,Ta,Coも添加),−325メッシュのFe−Mo粉
末あるいは純Mo粉末,−325メッシュのFe−W粉末ある
いは純W粉末,−250メッシュのFe−B合金粉末(B;20
%含有),−250メッシュのFe−26%P合金粉末,−250
メッシュのフェロチタン,フェロジルコニウム,フェロ
ハフニウム各合金粉末,−325メッシュのカーボニルNi
粉末等を表1に示される最終成分組成を持つように適宜
配合し、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を加えて混合
し、この混合粉末を7tonf/cm2の圧力で圧粉末を成形
し、ついで前記圧粉末体を真空中で1150〜1250℃の温度
にて60分保持して焼結した後焼入れ焼戻し処理を行って
本発明合金1〜16および比較合金1〜10を製造した。
ついで、この結果得られた本発明合金1〜16および比
較合金1〜10をそれぞれラッシュアジャスタ内蔵型のロ
ッカアームのカムシャフトとの摺動部に使用し、4気筒
OHCガソリンエンジンにそれぞれ組み込み、カムシャフ
ト;チル鋳物、エンジン回転数;650rpm、オイル;ガソ
リン用1万km走行廃油、運転時間;600rpm、およびその
他の条件は実際の市場走行と同一の条件で摩耗試験を行
ない、ロッカアーム摺動部における摩耗量および相手部
材であるカムの摩耗量を測定すると共に、同摺動部にお
けるスカッフィングおよびピッチングの発生状況を観察
した。この測定結果および観察結果を表1に併わせて示
した。また、表1には比較の目的で、従来材1としてチ
ル鋳鉄製ロッカアーム、従来材2としてCrめっきを施し
たロッカアーム、従来材3としてFe−12Cr−C系焼結合
金製ロッカアームについて同一条件で摩耗試験を行った
結果を示した。
表1より明らかなように、摩耗条件は極めて苛酷な条
件で行われたため、従来材であるチル鋳物,Crめっき,Fe
−12Cr−C系焼結合金製ロッカアームはともに当該ロッ
カアーム摺動部およびカムシャフトとも著しい摩耗を起
こしており、しかもスカッフィングやピッチングも発生
していることが認められた。
また、比較合金1〜10で示したように、成分組成の範
囲が本発明合金からはずれた合金の場合は、それぞれロ
ッカアームやカムシャフトの摩耗が大きかったり、スカ
ッフィングやピッチングの発生は認められたりし、とも
に満足のできる良好な特性を示していない。
これに対して本発明合金1〜16の場合はいずれも優れ
た耐摩耗性を示すほか、相手部材であるカムを損傷させ
ることもほとんどなく、さらに耐スカッフィング性およ
び耐ピッチング性の極めて優れたものとなっている。
なお、ここに示した本発明合金は熱処理によりマトリ
ックス組織は焼戻しマルテンサイト組織となっている
が、この熱処理条件を適宜選択することによって、素地
の組織をベイナイト,パーライト,ベイナイト+パーラ
イト等の組織とすることができるのはもちろんである。
なお、前記実施例では本発明合金をロッカアームの摺
動部に適用した場合について述べたが、タペット,カ
ム,スリーブおよびバルブシートなどの高面圧のかかる
用途に使用しても同様に優れた耐摩耗性を示すものであ
る。
[発明の効果] 上述のように、本発明者等の第一発明による鉄基焼結
合金は、全体組成が、重量%で、MoおよびWのいずれか
1種または2種;5〜20%、Cr;2〜10%、Si;0.1〜0.9
%、Mn;0.7%以下、P;0.05%以下、C;0.1〜0.8%、B;0.
5〜2.0%、残部Feおよび不純物よりなる組成を有するも
のであり、第二発明による耐摩耗性鉄基焼結合金は、上
記第一発明の成分に加えて、V,Nb,Taのうちの1種また
は2種以上:0.5〜8%を含み、第三発明による耐摩耗性
鉄基焼結合金は、上記第一発明の成分に加えて、Ti,Zr,
Hf,Coのうちの1種または2種以上:12%以下を含み、第
四発明による耐摩耗性鉄基焼結合金は、上記第一発明の
成分に加え、V,Nb,Taのうちの1種または2種以上:0.5
〜8%と、Ti,Zr,Hf,Coのうちの1種または2種以上:12
%以下を含み、第五発明による耐摩耗性鉄基焼結合金
は、上記第一発明の成分に加えて、V,Nb,Taのうちの1
種または2種以上:0.5〜8%と、Ni:8%以下を含む組成
を有するものであって、これらの発明においてMoおよび
Wの総含有量とBの含有量との割合がモル比で0.8〜1.5
の範囲内にあり、且つ、微細な炭化物と硼化物および/
または炭硼化物が基地中に均一に分散した組織を呈する
ものであるから、いずれの発明においてもマトリックス
中に硬質粒子として微細な複炭化物と複硼化物および/
または複炭硼化物とが均一に分散している組織となって
いることによって、本発明合金を例えば高い面圧のかか
る用途に使用した場合に、前記面圧が前記硬質粒子によ
って分散されるようになり、それゆえ優れた耐摩耗性,
耐スカッフィング性および耐ピッチング性を示し、特に
V,Nb,Ta,Ti,Zr,Hf,Co,Niのうちの1種以上を添加した鉄
基焼結合金においてはさらに優れた耐摩耗性,耐スカッ
フィング性および耐ピッチング性を示し、さらには複硼
化物および/または複炭硼化物の優れたなじみ性により
相手部材の摩耗をも改善させるなど、工業上極めて有益
な特性を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤木 章 横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車 株式会社内 (72)発明者 谷本 一郎 横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車 株式会社内 (72)発明者 遠藤 弘之 我孫子市つくし野3丁目3−208 (72)発明者 池ノ上 寛 松戸市常盤平3−26−3−102 (72)発明者 石井 啓 横浜市港南区芦が谷3丁目31−15 (56)参考文献 特開 昭58−22359(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】全体組成が、重量%で、MoおよびWのいず
    れか1種または2種:5〜20%、Cr:2〜10%、Si:0.1〜0.
    9%、Mn:0.7%以下、P:0.05%以下、C:0.1〜0.8%、B:
    0.5〜2.0%、残部Feおよび不純物からなり、このうち、
    MoおよびWの総含有量とBの含有量との割合がモル比で
    0.8〜1.5の範囲内にあり、且つ、微細な炭化物と硼化物
    および/または炭硼化物が基地中に均一に分散した組織
    を呈することを特徴とする耐摩耗性鉄基焼結合金。
  2. 【請求項2】全体組成が、重量%で、MoおよびWのいず
    れか1種または2種:5〜20%、Cr:2〜10%、Si:0.1〜0.
    9%、Mn:0.7%以下、P:0.05%以下、C:0.1〜0.8%、B:
    0.5〜2.0%、V,Nb,Taのうちの1種または2種以上:0.5
    〜8%、残部Feおよび不純物からなり、このうち、Moお
    よびWの総含有量とBの含有量との割合がモル比で0.8
    〜1.5の範囲内にあり、且つ、微細な炭化物と硼化物お
    よび/または炭硼化物が基地中に均一に分散した組織を
    呈することを特徴とする耐摩耗性鉄基焼結合金。
  3. 【請求項3】全体組成が、重量%で、MoおよびWのいず
    れか1種または2種:5〜20%、Cr:2〜10%、Si:0.1〜0.
    9%、Mn:0.7%以下、P:0.05%以下、C:0.1〜0.8%、B:
    0.5〜2.0%、Ti,Zr,Hf,Coのうちの1種または2種以上:
    12%以下、残部Feおよび不純物からなり、このうち、Mo
    およびWの総含有量とBの含有量との割合がモル比で0.
    8〜1.5の範囲内にあり、且つ、微細な炭化物と硼化物お
    よび/または炭硼化物が基地中に均一に分散した組織を
    呈することを特徴とする耐摩耗性鉄基焼結合金。
  4. 【請求項4】全体組成が、重量%で、MoおよびWのいず
    れか1種または2種:5〜20%、Cr:2〜10%、Si:0.1〜0.
    9%、Mn:0.7%以下、P:0.05%以下、C:0.1〜0.8%、B:
    0.5〜2.0%、V,Nb,Taのうちの1種または2種以上:0.5
    〜8%、Ti,Zr,Hf,Coのうちの1種または2種以上:12%
    以下、残部Feおよび不純物からなり、このうち、Moおよ
    びWの総含有量とBの含有量との割合がモル比で0.8〜
    1.5の範囲内にあり、且つ、微細な炭化物と硼化物およ
    び/または炭硼化物が基地中に均一に分散した組織を呈
    することを特徴とする耐摩耗性鉄基焼結合金。
  5. 【請求項5】全体組成が、重量%で、MoおよびWのいず
    れか1種または2種:5〜20%、Cr:2〜10%、Si:0.1〜0.
    9%、Mn:0.7%以下、P:0.05%以下、C:0.1〜0.8%、B:
    0.5〜2.0%、V,Nb,Taのうちの1種または2種以上:0.5
    〜8%、Ni:8%以下、残部Feおよび不純物からなり、こ
    のうち、MoおよびWの総含有量とBの含有量との割合が
    モル比で0.8〜1.5の範囲内にあり、且つ、微細な炭化物
    と硼化物および/または炭硼化物が基地中に均一に分散
    した組織を呈することを特徴とする耐摩耗性鉄基焼結合
    金。
JP61054150A 1986-03-12 1986-03-12 耐摩耗性鉄基焼結合金 Expired - Fee Related JP2506333B2 (ja)

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