JP2024501901A - 電池電解質用プロトン伝導性合成添加物 - Google Patents

電池電解質用プロトン伝導性合成添加物 Download PDF

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Abstract

(開示の要約)電解質性能特性を改善するための電解質系が提供される。前記電解質系は、電解質、およびプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む。また、前記電解質系を含むセルおよびその製造方法も本明細書に開示される。前記プロトン伝導性ポリマー合成添加物は、バイポーラ過電圧バッテリ・パルサーと併用して、全体の電池性能を改善し得る。【選択図】 図1

Description

(関連出願への相互参照)
本出願は、2020年12月18日付けで出願された米国仮特許出願第63/127,290号の優先権およびその利益を主張し、その内容をここに出典明示してそのすべてを本明細書の一部とみなす。
(発明の分野)
本開示の例示的な実施形態は、概して電解質性能特性を改善するための電解質系(または、電解質システム:electrolyte system)に関し、より詳細には、プロトン伝導性ポリマー合成(または、合成プロトン伝導性ポリマー:synthetic proton-conductive polymer)添加物(または、添加剤:additive)を組み込んだ電解質系、その調製方法、およびそれを含む電池(または、バッテリ:battery)に関する。
(背景)
種々のタイプの鉛酸電池(または、鉛電池、鉛酸蓄電池、鉛蓄電池、鉛酸バッテリもしくは鉛バッテリ:lead-acid battery)についてのより高い専門的および技術的(technical and technological)要件の改善は、採用された現代の技術的および環境的基準に基づいている。これらの基準は、すべての産業、軍事および国家安全保障、医療、教育ならびに研究の全ての部門、ならびに日常生活における新たな専門的および技術的進歩に対処している。したがって、現在の鉛酸電池は、採用された基準および規則において定められたすべての性能要件を十分に満たすべきである。
現在の鉛酸電池が基準要件を満たすために有すべき基本的性能特性は、長寿命、高信頼性、最小限のメンテナンスまたはメンテナンスフリーサービス、寿命(または、耐用年数:service life)を通じて十分に高いエネルギーリターン因子(return factor)、および種々の電気エネルギー消費者に接続された場合の管理容易性(manageability)を含む。
鉛酸電池を構成する基本的構成要素は、正極活物質および負極活物質、ならびに硫酸水溶液を含む電解質であることが知られている。いくつかの鉛酸電池はセパレータ(複数可)をさらに含む。鉛酸電池の高いエネルギー回収効率および長寿命を達成するためには、正極活性物質(または、活物質:active mass)および負極活性物質の適切な化学組成ならびに相組成を有するだけでなく、それぞれの質的基準を満たす適切な組成および濃度の電解質を使用することが必須である。かくして、電解質の組成および濃度は、電池の基本的な構成要素の1つとして、電池の製造および作動中に起こる電気化学的プロセスに大きな影響を奏する。電解質の特異性(または、特有の特性:specific property)は、含まれる添加物(または、添加剤:additive)の特異性に依存する。さらに、鉛酸電池の電解質に導入される添加物の量は非常に重要である。それぞれの電解質添加物の量は、鉛酸電池の製造および作動中の鉛酸電池内で進行する電気化学的プロセスに関してかなりの影響を有し得る。
鉛酸電池は、最も広範囲に使用されているタイプの二次エネルギー源の1つである。現代の鉛酸電池は、他の二次電源化学と比較してそれらを好ましい選択とする多数の有利さを有する。これらの有利さは、それらの製造のための90%を超える資源がリサイクル材料である事実による低製造コスト;長期にわたる大量生産の実践の結果としての電池製造および保守についての信頼性がある技術;充放電電流の許容可能な高い上限を可能にする電気特性;ならびにほぼ完全なリサイクル性を含む。
それらの長所にも拘らず、鉛酸電池は、同様にいくつかの不利益を有し、現在、それらの適用分野を限定している。これらの不利益の例は、放電状態で保存した場合の比較的短い寿命(または、保存寿命:shelf life)、深放電サイクル用途で電池が完了できる比較的低いサイクル数、高電流でのサイクルに対する比較的長い充電時間、および低い周囲温度で作動するための不能(inability)を含む。
したがって、鉛酸電池のこれらの欠点を解消する添加物の必要性は依然として存在する。
(概要)
本発明の1つ以上の実施形態は、前記の課題の1つ以上に対処し得る。本発明によるある種の実施形態は、プロトン伝導性ポリマー合成添加物を組み込んだ電解質系、その調製方法、およびそれを含む電池を提供する。特に、本発明の第1の態様により、電解質性能特性を改善するための電解質系が提供される。この電解質系は、電解質およびプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む。
ある種の実施形態により、プロトン伝導性ポリマー合成添加物は、ポリビニルピロリドンまたはその誘導体を含み得る。いくつかの実施形態において、ポリビニルピロリドン誘導体は、ポリビニルピロリドン-co-スチレン(または、ポリビニルピロリドン-コ-スチレン:polyvinylpyrrolidone-co-styrene)、コポビドン、ポリビニルピロリドン-ビニルアセテート、またはNH、S、Oもしくはハロゲンを含む1つ以上の官能基を有するポリビニルピロリドンを含み得る。
ある種の実施形態により、電解質系は、約0.01~約3重量%(wt%)のプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含み得る。さらなる実施形態において、電解質系は、約0.1~約0.6重量パーセントのプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含み得る。
ある種の実施形態により、電解質は高度の電解質解離を含み得る。
本発明の第2の態様によれば、改善された電解質性能特性を有する電池が提供される。電池は少なくとも2つの電極および電解質系を含む。電解質系は、電解質およびプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む。
ある種の実施形態により、プロトン伝導性ポリマー合成添加物は、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体を含み得る。いくつかの実施形態において、ポリビニルピロリドン誘導体は、ポリビニルピロリドン-co-スチレン、コポビドン、ポリビニルピロリドン-ビニルアセテート、またはNH、S、Oもしくはハロゲンを含む1つ以上の官能基を有するポリビニルピロリドンを含み得る。
ある種の実施形態により、電解質系は、約0.01~約3重量%のプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含み得る。さらなる実施形態において、電解質系は、約0.1~約0.6重量パーセントのプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含み得る。
ある種の実施形態により、電解質は高度の電解質解離を含み得る。
ある種の実施形態により、電池(または、バッテリもしくは蓄電池:battery)は鉛酸電池を含み得る。いくつかの実施形態において、鉛酸電池は、スターター鉛酸電池、定置用(または、据置用:stationary)鉛酸電池、産業用鉛酸電池、または電動車両用(または、トラクション用もしくは牽引用:traction)鉛酸電池を含み得る。
ある種の実施形態により、電池をバイポーラ過電圧バッテリ・パルサーと連結する。
本発明の第3の態様によれば、改善された電解質性能特性を有する電池の調製方法が提供される。本明細書に記載された方法は、いずれかの強制的な順序で記載されていなく、ステップは、電池の調製中にいつ発生するかに関して流動的であることに留意される。ある種の実施形態において、方法は、電解質系を形成することを含み、電解質系を形成することは、電解質を供することと、プロトン伝導性ポリマー合成添加物を供することと;電池を形成することとを含む。
ある種の実施形態により、電解質および合成プロトン伝導性ポリマーを含む電解質系は、電池を形成する前にプロトン伝導性ポリマー合成添加物を電解質に添加することによって形成し得る。他の実施形態において、合成プロトン伝導性ポリマーを供することは、電池を形成した後にプロトン伝導性ポリマー合成添加物を電解質に添加すること(すなわち、電解質およびプロトン伝導性ポリマー合成添加物を独立して外側ケーシング(outer casing)に分注し、それにより外側ケーシング内に電解質系を形成すること)を含み得る。さらなる実施形態において、電池は、少なくとも2つの電極を含むこともでき、電解質系を形成することは、プロトン伝導性ポリマー合成添加物の粒子を1つ以上の電極の表面に堆積させることを含み得る。
加えてまたは別法として、いくつかの実施形態において、電池を形成することは、外側ケーシングを供することを含む。外側ケーシングは、電解質系および2つ以上の電極を含むように機能するいずれかの容器または同様のもので有り得、少なくとも1つの電極は正に帯電した電極であり、少なくとも1つの電極は負に帯電した電極である。加えてまたは別法として、ある種の実施形態において、電池を形成することは、セパレータを供することを含む。
ある種の実施形態により、プロトン伝導性ポリマー合成添加物は、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体を含み得る。
ある種の実施形態により、方法は、電池をバイポーラ過電圧バッテリ・パルサーと連結することをさらに含み得る。
前記要約は、単に、本開示のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、いくつかの例示的な実施形態を要約する目的で提供される。したがって、前記実施形態は単なる例示であり、本開示の範囲または精神を狭めるように解釈されるべきではないことが理解されるであろう。本開示の範囲は、ここに要約されたものに加えて、多数の潜在的な実施形態を包含し、そのいくつかがさらに後記されることが理解されるであろう。主題の他の特徴、態様および有利さは、本明細書、図面および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
(図面の簡単な説明)
かくして、本開示のある種の例示的な実施形態を前記に一般的な用語において説明したが、今や、必ずしも縮尺通りに示されていない添付図面を参照して、主題開示の非限定的および非網羅的な実施形態を説明するであろう。添付図面に示されている構成要素は、本明細書に記載されたある種の実施形態に存在し得るかまたは存在し得ない。いくつかの実施形態は、図面に示された構成要素よりも少ない(または多い)構成要素を含み得る。
図1は、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による例示的な電池を示す。 図2は、本開示の種々の態様による電池を製造する方法に関与する例示的なステップを示すフローチャートである。 図3は、本開示の2つの実施形態の性能特性を相互および対照電池と比較した試験(trial)結果を示す。 図4は、本開示の2つの実施形態の性能特性を、電池をバイポーラ過電圧バッテリ・パルサーと連結させたおよび連結させていないの双方での、相互および対照電池と比較した試験結果を示す。
(詳細な説明)
本発明の1つ以上の実施形態を今や、添付図面を参照して以下により十分に説明し、本発明のすべてでないが、そのいくつかを示す。実際、本発明は、多数の異なる形態で具体化でき、本明細書に記載の実施形態に限定して解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用される法的要件を満たすように提供される。本明細書に用いた記載は、例示的な「装置」を参照し得る。しかしながら、本明細書に記載された装置の要素は、特許請求された系(または、システム:system)および/または方法に同様に適用でき得る。したがって、いずれのかかる用語の使用も、本開示の実施形態の精神および範囲を限定するものと取るべきではない。同様の数字は、全体を通して同様の要素をいう。本明細書および添付の特許請求の範囲に用いた、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈が明らかにそうでない指示をしない限りは、複数の参照を含む。
本明細書に前記のごとく、現代の鉛酸電池は、他の二次電源化学と比較して好ましい選択とする多数の有利さを有する。これらの有利さは、それらの製造のための90%を超える資源がリサイクル材料に由来するという事実による低製造コスト;長期にわたる大量生産の実践の結果としての電池製造および保守についての信頼性が高い技術;充放電電流の許容できる高い上限を可能にする電気特性;およびほぼ完全なリサイクル性を含む。
それにもかかわらず、鉛酸電池は、多数の不利益も有する。これらの不利益の例は、放電状態で保存した場合の比較的短い寿命であり、深放電サイクル用途における電池が完了できる比較的低いサイクル数、高電流でのサイクルに対する比較的長い充電時間、および低い周囲温度で作動するための不能である。
努力および革新の組合せを介して、本発明者らは、これらの欠陥のいくつかを軽減または克服するためのアプローチを開発し、すなわち、本明細書の開示は、電池の性能特性を改善させる(または、向上させる:improve)ために、電池の電解質においてプロトン伝導性合成添加物を使用することを記載する。ポリビニルピロリドンまたはその誘導体のごとき合成プロトン伝導性ポリマーの鉛酸電池の電解質への添加は、(i)放電状態で保存した場合の電池の寿命を延ばす、(ii)深放電サイクル用途において、電池が完了できるサイクル数を増加させる条件を創生する、(iii)高電流でのサイクルにおける充電時間を短縮し(または、低下させ:reducing)、かくして、電池の充電に必要な時間を短縮でき、および(iv)低い周囲温度での作動条件を創生することによって、鉛酸電池の不利のいくつかを緩和するのを助けるであろう。このように、鉛酸電池の電解質用プロトン伝導性合成添加物としてのポリビニルピロリドンまたはその誘導体の特有の特徴により、活物質形成中の電気化学的プロセス、ならびに電池作動中の充放電プロセスはより効率的に進行するであろう。
図1を参照すると、いくつかの実施形態による例示的な電池100が示されている。電池100は、2つ以上の電極105、110および電解質系120を含む。いくつかの実施形態において、2つ以上の電極105、110は、少なくとも1つの負電極105および少なくとも1つの正電極110を含む。いくつかの実施形態において、電池100は、セパレータ115をさらに含む。いくつかの実施形態において、電解質系120は、電解質120aおよびプロトン伝導性ポリマー合成添加物120bを含む。いくつかのさらなる実施形態において、電池100は、外側ケーシング101および2つ以上の電極105、110を含み、電解質系120は、図1に示されるごとく、電池100の外側ケーシング101内に配置される。
これに関して、本発明は、ある種の実施形態により、プロトン伝導性ポリマー合成添加物を組み込んだ電解質系、これを含む電池、およびこの調製方法を含む。特に、本発明の第1の態様により、電解質性能特性を改善するための電解質系が提供される。電解質系は、電解質およびプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む。
ある種の実施形態により、プロトン伝導性ポリマー合成添加物は、ポリビニルピロリドン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリスルフィド-r-フェニレン、ポリ-パラ-フェニレン-ビニル、またはそれらの誘導体を含み得る。いくつかの実施形態において、プロトン伝導性ポリマー合成添加物130bは、ポリビニルピロリドンまたはその誘導体である。ポリビニルピロリドン誘導体は、ポリビニルピロリドン-co-スチレン、コポビドン、ポリビニルピロリドン-ビニルアセテート、またはP-O、P-N、P-NO、NH、S、O、ハロゲン(例えば、I、Cl、Br等)を含む1つ以上の官能基を有するポリビニルピロリドンおよび/またはなどを含み得る。さらなる誘導体は、ビニルピロリドンのホモ誘導体(例えば、N-ビニルピロリドンモノマー)、ならびに粘度の異なる非晶質線状ポリマーを含み得る。さらに、いくつかの実施形態において、ポリビニルピロリドンは、それが配置される媒体(例えば、水性媒体、酸性媒体、アルコール媒体等)の組成に依存して、種々の化学化合物と結合し得る。
ある種の実施形態により、1つ以上のプロトン伝導性ポリマー合成添加物を電解質中に使用し得る。いくつかの実施形態において、鉛酸電池および他のタイプの二次電気化学電源の双方について、より多数の添加物の存在が、充放電のプロセスまたはフロート充電のモードの場合、核生成および結晶成長のプロセスに悪影響し得るため、1つの添加物のみを使用し得る。さらなる実施形態において、鉛酸電池の電解質に添加する場合に主要プロトン伝導性添加物のポジティブな主要特性を低下させない他の添加物を使用し得る。例えば、使用される他の添加物は、鉛酸電池の正極および負極を形成する結晶相の表面上に吸着するためのプロトン伝導性ポリマー合成添加物の能力を妨害しないもので有り得る。
ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン誘導体のプロトン伝導性合成添加物は、本開示全体を通して参照されるが、プロトン伝導性ポリマー合成添加物はそのように限定されない。ある種の実施形態において、例えば、プロトン伝導性ポリマー合成添加物は、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリスルフィド-r-フェニレン、ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリインドール、ポリピレン、ポリカルバゾール、ポリアズレン、ポリアゼリン、ポリフルオレン、ポリナフタレン、またはそれらの誘導体、あるいはそれらのいずれかの組み合わせを含み得る。
ポリビニルピロリドンは、アセチレンの誘導体である合成プロトン伝導性ポリマーであり、有機物質N-ビニルピロリドンから生成される。また、ポリビニルピロリドン(PVP)は、ポビドン、ポリビドン、ポリ-N-ビニルピロリドン、ポリ-[1-(2-オキソ-1-ピロリジニル)-エチレン]としても知られている。それは、粘度の異なる両性ポリマーの混合物を含む非毒性の合成ポリマーである。ポリビニルピロリドンおよびその誘導体は水に溶解し、すべてのpHレベルにて化学的に安定である。
ポリビニルピロリドン(PVP)の化学式はCNO、そのモル質量は2500~2,500,000グラム/モル(g/mol)で変化し、その密度は1.2g/cm、その融点は150~180℃であり、10C/cmの導電率を有し、以下の構造式を有する:
Figure 2024501901000002
ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン誘導体のプロトン伝導性合成添加物は、硫酸溶液中で化学的に安定であり、高い正電位に対して耐性である。かかる添加物が鉛酸電池の電解質に導入される場合、それらは、活性物質の構造、組成、形態の安定化に寄与する。鉛酸電池の電解質添加物としての本明細書に記載の合成プロトン伝導性ポリマーの使用の観察されるポジティブな効果は、鉛酸電池の充放電中に正負の活性物質を構築する結晶構造の形成に導く核生成および結晶成長の電気化学的プロセスの条件の全体的な改善による。
鉛酸電池電解質中でのポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン誘導体のプロトン伝導性合成添加物の具体的なメカニズムは、結晶核形成中およびその後の結晶成長中の電気化学的結晶化プロセスの熱力学的パラメータによって支配される。鉛酸電池の電気化学系(または、システム)において、鉛、硫酸塩、酸素、水素イオン、プロトンが関与しており、これらは電解質の体積中に存在するため、これらのプロセスは均質である。電気化学的結晶化プロセスを行うメカニズムは、電解質中に存在する物質の原子の熱振動と比較した、電極の結晶相および電解質溶液の電気化学的ポテンシャルの差によって決定される。
鉛酸電池の作動パラメータの向上は、かかる電池の電解質中のプロトン伝導性添加物が、主に電池の電流状態に影響するという事実のためである。この状態は、2つの電極の電位差、温度、電解質濃度、電流強度によって決定される。電解質中のプロトン伝導性添加物の存在は、それらの寿命の間長時間これらの熱力学的パラメータが維持され、充電および放電の電気化学的プロセスの可逆的かつ効果的な流れの条件を創生する。
鉛酸電池の電解質中のこれらの物質の存在は、電池の作動中、2つの電極における結晶化および結晶相の変化(transformation)の電気化学的プロセスに対して強い影響を奏し、電池電極の不可逆的な硫酸化のプロセスを妨げるのに好ましい(または、有利な:favorable)条件を創生する。さらに、本明細書に記載されたポリマー添加物は、鉛酸電池においてより高い電気伝導性を持続し、それらの充電受容性を改善させ、かくして、電池の充電時間を短縮する。この効果は、ポリビニルピロリドンまたはその誘導体の添加作用下、電解質のプロトン伝導性の輸送特性の改善に関連する。
ある種の実施形態により、電解質は高度の電解質解離を含み得る。例えば、電解質の高度の解離度により特徴付けられる他の電解質を使用し得るが、例えば、電解質は硫酸水溶液を含み得る。すべての場合において、種々のタイプの適切な電解質における添加物の有効性は、電解解離の可能性を有する酸または高導電性電解質のタイプ、組成、濃度に依存するであろう。しかしながら、プロトン伝導性添加物が、それぞれの電気化学系において電解質のそれらの酸化還元パートナーと電荷を交換できる物質、官能基、またはラジカル(radical)を含む電解質に使用されることが可能である。
図2を参照すると、改善された電解質性能特性を有する電池の調製方法の例示的な方法を示すフローチャートが示される。示された実施形態において、方法は、ブロック201に示された電解質系を形成することを含む。いくつかの実施形態において、電解質系を形成することは、電解質120aを供すること、およびプロトン伝導性ポリマー合成添加物120bを供することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、ブロック202に示されるごとく、電池100を形成することをさらに含む。
ある種の実施形態によれば、電解質系を形成することは種々の方法で行うことができる。すなわち、ポリビニルピロリドンまたはその誘導体を2つの可能な方法で鉛酸電池の電解質に添加することができる。第1に、いくつかの実施形態において、適切な量の添加物を、鉛酸電池の形成前に、鉛酸電池に充填される電解質に添加する(または、加える:add)ことができる。ポリビニルピロリドンまたはその誘導体を含有する電解質によるこの電池形成方法は、AGMタイプまたはゲルタイプの定置用および産業用鉛酸電池に適している。これらの用途において、電解質中の添加物は、正極および負極での活性物質構造の形成に寄与し、この活性物質構造は、それらの作動中により長期間、比較的安定を維持し、かくして、これらのタイプの電池の耐用年数(service life)が延長される。いくつかの実施形態において、ポリビニルピロリドンまたはその誘導体の添加物を電解質に導入することは、電池形成ステップ後に、必要量の添加物を含有する電解質を電池に充填することを含む。
いくつかの実施形態において、電池は少なくとも2つの電極を含み、プロトン伝導性ポリマー合成添加物を供することは、プロトン伝導性ポリマー合成添加物の粒子を2つ以上の電極の少なくとも1つの表面に堆積させることを含む。すなわち、ある種の実施形態によれば、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン誘導体のプロトン伝導性合成添加物が使用される場合、これらのポリマーの粒子が電極の表面上に堆積することが可能である。添加物は親水性特性を所有するため、それらは正極および負極の内部とセル(cell)容積内の電解質との間の電解質の交換を促進する。そのため、鉛酸電池の作動中に充電と放電の電気化学的プロセスについて、適切な条件が創生されて、より効率的に進行し、これはその性能特性を向上させる。
ある種の実施形態により、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン誘導体のプロトン伝導性合成添加物は、それぞれの電気化学系において2つの異なる電極間に電位差が存在する場合、いずれの電極でも使用し得る。このように、添加物の影響は熱力学によって決定され、添加物がそれぞれの電極を作製する結晶相の自由表面エネルギーの値に影響し得る電極に有用で有り得る。また、電極を構成する結晶表面に吸着されるためのポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン誘導体のプロトン伝導性合成添加物の能力も重要である。
実際、電解質中に存在するプロトン伝導性添加物は、鉛酸電池の正極と負極を作製する活物質(または、活性物質:active material)の表面上の吸着についての特定の親和性により特徴付け得る。鉛酸電池における電解質の添加に伴う電極中の塩基性物質の共結晶化の内部速度論的メカニズムは、電気化学プロセスに作用するプロトン伝導性添加物の作用について主として重要である。電解質添加物が電極に作用する他の具体的なメカニズムは、それぞれの電極の結晶相のアクセス可能な表面上へのプロトン伝導性添加物の吸着の吸着速度論的メカニズムである。鉛酸電池の性能における改善は、鉛酸電池の電解質に導入されるプロトン伝導性添加物が、正極と負極を作製する結晶の表面上で吸着されるという事実による。その結果、電極のそれぞれの活性物質の結晶物質の比表面エネルギーおよび形状(ハビタス(habitus))が変化し、今度は、充放電の電気化学的プロセスの可逆的で効率的な性能の条件を改善する。
ポリビニルピロリドンまたはその誘導体の鉛酸電池の電解質への添加は、電池作動中に大きな硫酸鉛結晶の形成および成長のプロセスに対する抑制効果を有し、かくして、鉛酸電池の作動サイクル寿命を延ばすことができる。理論に限定されることを意図することなく、鉛酸電池の活性物質または電解質においてある種の目的のために添加される不純物は、結晶成長に大きな影響を有する。原理的には、添加物の作用は、それらの起源、組成、量に依存して、所与の結晶物質のそれぞれの結晶壁の成長に選択的に影響することができ、その形状(ハビタス)およびサイズの変化に導く。ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン-co-スチレン等のプロトン伝導性添加物は、PbSO結晶の表面上に吸着する特有の(specific)能力により、鉛酸電池の放電中にこれらの結晶の成長を低下させる条件を創生する。鉛酸電池の電解質中のこれらのプロトン伝導性添加物が、PbSOの特定の結晶壁に特異的かつ選択的な吸着を介して結晶成長のメカニズムを変化させるため、これらの結晶の成長をある種のより小さなサイズに制御し、これは、鉛酸電池の次の充電中に、主に負極で行われる金属鉛のより完全な再結晶化を可能にする。この効果は、正極および負極を形成する結晶相の比表面エネルギー値に影響するための鉛酸電池の電解質中のプロトン伝導性添加物の能力に起因する。成長速度および結晶サイズを決定する比表面エネルギーの形状と値のかかる効果的な修飾剤(または、調整剤もしくは改質剤:modifier)は、ポリビニルピロリドンタイプのプロトン伝導性ポリマーおよび、それぞれの基およびラジカルが結合したその炭素長鎖誘導体である。
ある種の実施形態によれば、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン誘導体のプロトン伝導性合成添加物は、いずれかのタイプの定置用、電動車両用、およびスターター鉛酸電池における電解質への添加物として使用し得る。さらに、本開示の全体を通して鉛酸電池を参照するが、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン誘導体のプロトン伝導性合成添加物は、電解質が解離し得る他のタイプの電池にも使用し得る。例えば、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン誘導体のプロトン伝導性合成添加物は、限定されるものではないが、ニッケル-鉄電池、ニッケル-カドミウム電池、亜鉛-空気電池を含めたアルカリ二次エネルギー源に使用し得る。また、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン誘導体のプロトン伝導性合成添加物は、プロトン伝導性添加物が錯体を形成して所与の電気化学系において電極と電荷を交換できる官能基およびラジカルとの交換の可能性を持って電解質が使用される一次および二次電気化学エネルギー源にも使用し得る。
ある種の実施形態によれば、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン誘導体のプロトン伝導性合成添加物は、約0.1~約0.5重量%の間で変化する濃度で鉛酸電池の電解質に添加し得る。また、鉛電池の電解質への約0.2~約0.6重量%のポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン-co-スチレンを鉛酸電池の添加は、エネルギー特性の改善ならびに耐用年数(service life)の延長に導くことも確立されている。1つ以上の添加物のみを用いるいくつかの実施形態において、添加物の総量は約0.1~約0.6重量%以下であろう。
スターター用または電動車両用鉛酸電池が使用されるさらなる実施形態において、例えば、電解質は、約0.01~約3重量パーセントのプロトン伝導性合成添加物を含み得る。かかる電池は、電解質再循環(recirculation)技術によって形成し得る。形成の技術的プロセスの終わりのかかる技術的製造プロセスにおいて、電池は十分に形成された鉛電池に対応する濃度の電解質で満たされる。この形成技術において、プロセスの終わりに透明な酸溶液を加えることにより、電解質濃度を調整する。この理由のため、これらの濃度は、種々のタイプの鉛電池の電解質の最終組成において、必要な残留量(または、残存量:residual amount)の添加物を有するために、使用される特定の技術による。
ある種の実施形態によれば、本明細書に記載の電解質系およびプロトン伝導性合成添加物を使用する電池は、クリスタル制御技術(またはCCT)と呼ばれ、例えば、米国特許第8,436,587号および米国特許第8,716,982号により詳細に記載された、バイポーラ過電圧バッテリ・パルサーと連結し得る。CCTをプロトン伝導性合成添加物と組み合わせることによって、電池性能特徴に指数関数的なポジティブな効果が提供される。
プロトン伝導性ポリマー添加物の構造が、炭素鎖において周期的に繰り返されるPフラグメントで構成されているため、フラグメントが、所与の電気化学系において酸化還元パートナーと電荷を十分に交換することが示されている。これらの特性により、プロトン伝導性ポリマーは、ある酸化還元状態からもう一つの酸化還元状態に変化できる。Pフラグメントの関与でのこれらの反応の結果として、カチオン性(またはアニオン性)ラジカルが形成され、条件は、ジカチオン(またはジアニオン)の形成のために創生され、そのプロセスは、以下のスキームにより表すことができる:
Figure 2024501901000003
CCTは、電解質の体積に存在するすべてのイオンのイオン状態を積極的に維持する。CCTのこの付加的効果は、プロトン伝導性添加物がそれぞれの電極の結晶相のアクセス可能な表面に堆積する場合に、プロトン伝導性添加物の吸着の吸着速度論的メカニズムをかなり支持する。これにより、鉛酸電池の充放電の場合に電気化学的結晶化プロセスが大幅に促進される。
また、本明細書に記載のCCTとプロトン伝導性合成添加物の組合せは、低温での鉛酸電池の性能を改善し得る。実際、CCTとプロトン伝導性合成添加物の組合せは、最終的放電容量において有益な結果を提供し、今度は、電池の充放電の電気化学的プロセスの効率的かつ可逆的な流れについて熱力学的要件をより十分に満たす。
実施例
よく知られているごとく、鉛酸電池の性能特性を決定する電気化学プロセスの効率は、電解質、すなわち、硫酸溶液の組成および特性に大部分依存する。
ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン誘導体のプロトン伝導性合成添加物を含む電解質の使用は、正極および負極にて形成される活性物質の形態に影響する。これらの電解質添加物のポジティブな効果は、正および負の活性物質における核生成および結晶成長プロセスに有利な条件を創生し、異なる濃度および作動温度での電解質の電気伝導度を改善するという事実に起因する。
ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン誘導体のプロトン伝導性合成添加物を含有する本明細書に記載の電解質系の使用を介して、鉛酸電池のサイクル中に2タイプの電極で、鉛および二酸化鉛の硫酸鉛への変換、および再び鉛または二酸化鉛へ戻す変換の電気化学的プロセスの効率を改善することが可能である。
鉛酸電池の電解質におけるポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン誘導体のプロトン伝導性合成添加物の存在は、正極および負極の機械的特性は損なわず、電池内の不可逆的プロセスの発生を促進せず、むしろ抑制し、これらの電池の作動寿命にポジティブな効果を発揮する。
以下の実施例は、限定されるものではないが、本明細書に記載されたある種の実施形態を例示する。
実施例1
硫酸水溶液およびポリビニルピロリドンを含む電解質系(E1)を、スターター鉛酸セルおよび電池に使用するために調製した。
第1に、最初のポリビニルピロリドン溶液(P1)を調製した:
380gのポリビニルピロリドン(分子量360,000、ロット番号090H0614)を2000ml容器に入れ、密度1.28g/cmのHSO溶液を1000mlの体積に達するまで連続撹拌下で注いだ。
次いで、非形成鉛酸電池のフラッディング(flooding)用電解質系(E1)を調製した:
密度1.25g/cmの5200mlのHSO溶液を適当な容量の容器に注ぎ、ポリビニルピロリドンを含有する12.48mlの初期(P1)溶液を容器中でHSO溶液に連続撹拌下で添加した。容器内の電解質系の撹拌は、さらに10~15分間続けた。調製された電解質は5~7時間静置し、使用可能とした。
調製中の電解質系の温度は、25~28℃を超えず、12~15℃を下回らなくすべきである。
実施例2
硫酸水溶液およびポリビニルピロリドン-co-スチレンを含む電解質系(E2)を定置用鉛酸セルおよび電池の使用のために調製した。
第1に、初期のポリビニルピロリドン-co-スチレン溶液(P2)を調製した:
100mlのポリ(1-ビニルピロリドン-co-スチレン)、水中38%エマルジョン、ブルックフィールド粘度2,000,000~800,000を容積2000ml容器に注いだ。次いで、密度1.28g/cmの900mlのHSO溶液を連続撹拌下、容器に添加した。
次いで、非形成の定置用鉛酸電池のフラッディングのための電解質系(E2)を調製した:
密度1.25g/cmの5200mlのHSO溶液を適当な容量の容器に注ぎ、ポリビニルピロリドン-co-スチレンを含む25mlの初期(P2)溶液を連続撹拌下、添加した。容器内の電解質の撹拌をさらに10~20分間続け、調製した電解質(E2)を2時間静置し、その後、使用可能とした。
調製中の電解質系の温度は、25~28℃を超えず、12~15℃を下回らなくすべきである。
実施例3
E1およびE2の性能特性を、相互におよび対照電池と比較した。これらの試験から収集されたデータを示す棒グラフを図3に示す。
電解質系E1およびE2を用いて作製された45Ahのスターター鉛電池の最終放電容量の測定は、10時間の放電に対応する電流での標準試験モードで行い、30回の充放電サイクルについて対照電池の最終放電容量の値よりも高値を示した。
電解質系E1で作製した45Ahのスターター鉛電池について、最終放電容量の値は、C10モード下、30回の連続試験充放電サイクル後の対照電池の最終放電容量の値よりも平均で20~25%高かった。
電解質系E2で作製した45Ahのスターター鉛酸電池について、最終放電容量の値は、C10モード下の連続30回の試験充放電サイクル後、対照電池の最終放電容量の値よりも平均25~30%高かった。
実施例4
E1およびE2の性能特性は、CCTと連結させた(または、と結合させたもしくはと対にさせた:coupled with)場合の相互および対照電池と比較し、CCTと連結させていない場合の結果と比較した。これらの試験から収集されたデータを示す棒グラフを図4に示す。
電解質系E1およびE2で作製された45Ahのスターター鉛電池の最終放電容量の測定は、10時間の放電に対応する電流での標準試験モードで行い、30回の充放電サイクルについて対照電池の最終放電容量の値よりも高値を示した。
対照電池について、最終放電容量の値は、C10モード下の30回の連続試験充放電サイクルの後、CCTと連結させていない電池の最終放電容量の値より、CCTと連結させたそれらの電池について平均9%高かった。
電解質系E1で作製された45Ahのスターター鉛電池について、最終放電容量の値は、C10モード下の30回の連続試験充放電サイクルを行った後、CCTと連結させていない電池の最終放電容量の値より、CCTと連結させたそれらの電池について、平均11%高かった。
電解質系E2で作製された45Ahのスターター鉛酸電池について、最終放電容量の値は、C10モード下の30回の連続試験充放電サイクルを行った後、CCTと連結させていない電池の最終放電容量の値より、CCTと連結させたそれらの電池について、平均で12%高かった。
実施例5
提案された添加物での電解質の伝導率を決定する実験中に、さまざまな(または、変化するもしくは可変の:varying)温度が観察された。異なる温度にて対照試料と比較して電解質の伝導率に変化は見られなかった。
以下の例示的な実施形態が提供され、その番号付けは、重要性のレベルを指定するものとして解釈されるべきではない。
実施形態1は、電解質性能特性を改善するための電解質系を提供し、電解質系は、電解質およびプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む。
実施形態2は、プロトン伝導性ポリマー合成添加物が、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体を含む、実施形態1の電解質系を提供する。
実施形態3は、プロトン伝導性ポリマー合成添加物が、ポリビニルピロリドン誘導体を含み、ポリビニルピロリドン誘導体が、ポリビニルピロリドン-co-スチレン、コポビドン、ポリビニルピロリドン-ビニルアセテート、またはNH、S、Oもしくはハロゲンを含む1つ以上の官能基を有するポリビニルピロリドンを含む、実施形態2に記載の電解質系を提供する。
実施形態4は、電解質系が、約0.01~約3重量%のプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む、実施形態1に記載の電解質系を提供する。
実施形態5は、電解質系が、約0.1~約0.6重量パーセントのプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む、実施形態1に記載の電解質系を提供する。
実施形態6は、電解質が高度の電解質解離を含む、実施形態1に記載の電解質系を提供する。
実施形態7は、改善された電解質性能特性を有する電池を提供し、電池は、2つ以上の電極および電解質系を含み、電解質系は、電解質およびプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む。
実施形態8は、プロトン伝導性ポリマー合成添加物が、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体を含む、実施形態7に記載の電池を提供する。
実施形態9は、プロトン伝導性ポリマー合成添加物が、ポリビニルピロリドン誘導体を含み、ポリビニルピロリドン誘導体が、ポリビニルピロリドン-co-スチレン、コポビドン、ポリビニルピロリドン-ビニルアセテート、またはNH、S、Oもしくはハロゲンを含む1つ以上の官能基を有するポリビニルピロリドンを含む、実施形態7に記載の電池を提供する。
実施形態10は、電解質系が、約0.01~約3重量%のプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む、実施形態7に記載の電池を提供する。
実施形態11は、電解質系が、約0.1~約0.6重量パーセントのプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む、実施形態7に記載の電池を提供する。
実施形態12は、電解質が高度の電解質解離を含む、実施形態7に記載の電池を提供する。
実施形態13は、電池が鉛酸電池を有してなる、実施形態7に記載の電池を提供する。
実施形態14は、電池をバイポーラ過電圧バッテリ・パルサーと連結する、実施形態13に記載の電池を提供する。
実施形態15は、改善された電解質性能特性を有する電池の調製方法を提供し、この調製方法は、電解質系を形成することを含み、電解質系を形成することは、電解質を供することと、プロトン伝導性ポリマー合成添加物を供することと、電池を形成することとを含む。
実施形態16は、電解質系を形成することが、電池を形成する前にプロトン伝導性ポリマー合成添加物を電解質に添加することを含む、実施形態15に記載の調製方法を提供する。
実施形態17は、電解質系を形成することが、電池を形成した後に電解質にプロトン伝導性ポリマー合成添加物を添加することを含む、実施形態15に記載の調製方法を提供する。
実施形態18は、電池が、少なくとも2つの電極を備え、プロトン伝導性ポリマー合成添加物を供することは、プロトン伝導性ポリマー合成添加物の粒子を、2つ以上の電極の少なくとも1つの電極の表面に堆積させることを含む、実施形態15に記載の調製方法を提供する。
実施形態19は、プロトン伝導性ポリマー合成添加物が、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体を含む、実施形態15に記載の調製方法を提供する。
実施形態20は、電池をバイポーラ過電圧バッテリ・パルサーと連結することをさらに含む、実施形態15に記載の調製方法を提供する。
本明細書に記載された本発明の変更は、本発明が属する当業者ならば思い付き、前記の記載および関連する図面に示された教示の利益を有するであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変更および他の実施形態が添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されていることが理解されるべきである。特定の用語が本明細書に使用されているが、これらは一般的でかつ説明的な意味でのみ使用されており、限定の目的ために使用されていない。

Claims (20)

  1. 電解質の性能特性を改善するための電解質系であって、
    電解質;および
    プロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む、前記電解質系。
  2. 前記プロトン伝導性ポリマー合成添加物が、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体を含む、請求項1に記載の電解質系。
  3. 前記プロトン伝導性ポリマー合成添加物が、ポリビニルピロリドン誘導体を含み、前記ポリビニルピロリドン誘導体が、ポリビニルピロリドン-co-スチレン、コポビドン、ポリビニルピロリドン-ビニルアセテート、またはNH、S、Oもしくはハロゲンを含む1つ以上の官能基を有するポリビニルピロリドンを含む、請求項2に記載の電解質系。
  4. 前記電解質系が、約0.01~約3重量%の前記プロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む、請求項1に記載の電解質系。
  5. 前記電解質系が、約0.1~約0.6重量パーセントの前記プロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む、請求項1に記載の電解質系。
  6. 前記電解質が、高度の電解質解離を含む、請求項1に記載の電解質系。
  7. 改善された電解質性能特性を有する電池であって、
    2つ以上の電極;および
    電解質およびプロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む電解質系
    を含む、前記電池。
  8. 前記プロトン伝導性ポリマー合成添加物が、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体を含む、請求項7に記載の電池。
  9. 前記プロトン伝導性ポリマー合成添加物が、ポリビニルピロリドン誘導体を含み、前記ポリビニルピロリドン誘導体が、ポリビニルピロリドン-co-スチレン、コポビドン、ポリビニルピロリドン-ビニルアセテート、またはNH、S、Oもしくはハロゲンを含む1つ以上の官能基を有するポリビニルピロリドンを含む、請求項7に記載の電池。
  10. 前記電解質系が、約0.01~約3重量%の前記プロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む、請求項7に記載の電池。
  11. 前記電解質系が、約0.1~約0.6重量パーセントの前記プロトン伝導性ポリマー合成添加物を含む、請求項7に記載の電池。
  12. 前記電解質が高度の電解質解離を含む、請求項7に記載の電池。
  13. 前記電池が鉛酸電池を有してなる、請求項7に記載の電池。
  14. 前記電池をバイポーラ過電圧バッテリ・パルサーと連結する、請求項13に記載の電池。
  15. 改善された電解質性能特性を有する電池の調製方法であって、
    電解質系を形成することであって、前記電解質系を形成することが、電解質を供することと、プロトン伝導性ポリマー合成添加物を供することとを含む、前記電解質系を形成すること;および
    前記電池を形成することと
    を含む、前記調製方法。
  16. 前記電解質系を形成することが、前記電池を形成する前に前記プロトン伝導性ポリマー合成添加物を前記電解質に添加することをさらに含む、請求項15に記載の調製方法。
  17. 前記電解質系を形成することが、前記電池を形成した後に前記プロトン伝導性ポリマー合成添加物を前記電解質に添加することをさらに含む、請求項15に記載の調製方法。
  18. 前記電池が少なくとも2つの電極を含み、前記プロトン伝導性ポリマー合成添加物を供することが、前記プロトン伝導性ポリマー合成添加物の粒子を、2つ以上の電極の少なくとも1つの表面上に堆積させる、請求項15に記載の調製方法。
  19. 前記プロトン伝導性ポリマー合成添加物が、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドン誘導体を含む、請求項15に記載の調製方法。
  20. 前記電池をバイポーラ過電圧バッテリ・パルサーと連結することをさらに含む請求項15に記載の調製方法。
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