JP2024032536A - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリ塩化ビニル樹脂を用いて形成した場合も優れた耐候性を有し、さらに加工適正およびリサイクル性に優れた化粧シート及び化粧材を提供する。【解決手段】化粧シート1は、少なくとも着色原反層2と、透明樹脂層4と、表面保護層5と、がこの順に積層されており、着色原反層2は、着色ポリ塩化ビニル樹脂で形成され、透明樹脂層4は、透明ポリ塩化ビニル樹脂で形成され紫外線吸収剤を含有しており、表面保護層5は、紫外線吸収剤および光安定剤を含有している。【選択図】図1

Description

本開示は、化粧シート及び化粧材に関する。
従来、住宅用内装材等の加飾に用いる化粧シートとして塩化ビニル樹脂を材料とするものが知られている(例えば、特許文献1)。
特開平5-278173号公報
環境問題への関心が高まるにつれ、一時はポリ塩化ビニル樹脂を用いた化粧シートの使用が抑制され、ポリ塩化ビニル製の化粧シートに代わる化粧シートとしてオレフィン系樹脂を使用した化粧シートの使用が増加していた。
しかし、近年では焼却設備や排ガス処理技術の向上により有害物質の発生が抑制されるようになっており、ポリ塩化ビニル樹脂の存在が見直されつつある。また、ポリ塩化ビニル樹脂の原料はその半分以上が塩から作られており、石化由来のエチレン重合比もオレフィン系樹脂と比べて低い事から省資源型の樹脂ともいわれている。さらにポリ塩化ビニル樹脂は加工適正に優れ、リサイクルをしやすいという利点もある。
このため、環境負荷低減の観点においても、ポリ塩化ビニル樹脂を用いた化粧シートの需要が高まっている。
また、ゼロ・エネルギー住宅(ZEH)などのへの意識の高まりから、ポリ塩化ビニル樹脂を使用した高断熱の樹脂サッシや窓枠への需要が高まっており、化粧シートによってそれらの基材に加飾を施すことも考えられるが、オレフィン系樹脂シートではリサイクルが難しいなどの問題もある。
このため、上述のようにポリ塩化ビニル樹脂を使用した樹脂サッシや、窓枠の基材と併せて、ポリ塩化ビニル樹脂を用いた化粧シートを使用することで環境負荷低減に大きく貢献する事が期待できる。
しかしながら、従来のポリ塩化ビニルシートは内装材としての用途が多く耐候性が十分でなかった。このため、屋外で長期間使用することで変色などが発生してしまうという問題があった。
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ポリ塩化ビニル樹脂を用いて形成した場合も優れた耐候性を有し、さらに加工適正およびリサイクル性に優れた化粧シート及び化粧材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示の一態様による化粧シートは、少なくとも着色原反層と、透明樹脂層と、表面保護層と、がこの順に積層されており、前記着色原反層は、着色ポリ塩化ビニル樹脂で形成され、前記透明樹脂層は、透明ポリ塩化ビニル樹脂で形成され紫外線吸収剤を含有しており、前記表面保護層は、紫外線吸収剤および光安定剤を含有していることを特徴とする。
また、本開示の他の態様による化粧材は、化粧材用基材と、前記化粧材用基材に貼り合わされた上記化粧シートと、を備えることを特徴とする。
本開示の一態様によれば、ポリ塩化ビニル樹脂を用いて形成した場合も優れた耐候性を有し、さらに加工適正およびリサイクル性に優れた化粧シートを提供することができる。
本開示の一実施形態に係る化粧材を表す断面図である。
以下、本開示の実施形態に係る化粧シート及び化粧部材について、図面を参照しつつ説明する。ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。本開示の範囲内にあるものであれば、必ずしも図面に示す順に積層してある必要はない。またこの図面に記載されていない層が付加されていても良い。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本開示の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」になり、「右」が「左」になることは勿論である。
以下、図1を参照して、化粧材10の構成について説明する。
化粧材10は、図1に示すように、化粧シート1と、化粧材用基材であって化粧シート1の被貼付基材である基材8とを備える。
本例において基材8は、一方の面(図1では、上側の面)に、化粧シート1が積層されている。すなわち、化粧材10は、基材8と、基材8の一方の面に積層された化粧シート1を備える。なお、化粧シート1および基材8の具体的な構成については、後述する。
(化粧シートの構成)
図1に示すように、化粧シート1は、着色原反層2と、絵柄層3と、透明樹脂層4と、表面保護層5と、エンボス部7と、を備える。
具体的には、化粧シート1において着色原反層2上(着色原反層2の一方の面側)に絵柄層3、透明樹脂層4、表面保護層5がこの順に積層されている。また、化粧シート1の最表層となる表面保護層5の表面(透明樹脂層4とは反対側の面)にはエンボス部7が形成されている。
なお本実施形態に係る化粧シート1において、絵柄層3は必須の構成ではなく、必要に応じて設けることができる。
つまり、化粧シート1は、少なくとも着色原反層2と、透明樹脂層4と、表面保護層5と、がこの順に積層された構成であればよい。
(着色原反層)
着色原反層2は、化粧シート1の支持体となる構成である。本実施形態における着色原反層2は、不透明に着色されており、隠蔽性を有する。これにより、着色原反層2は、例えば化粧シート1と所定の基板とを貼り合わせて化粧部材を形成する際に、基板表面の色のばらつきや欠陥等を隠蔽することができる。
また、着色原反層2の材料としては、柔軟性があり、熱可塑性で成形性・加工適性が良好であり、さらに印刷適性のあるポリ塩化ビニル(PVC)樹脂フィルムを用いる。つまり、本実施形態に係る化粧シート1において、着色原反層2は着色されたポリ塩化ビニル樹脂(着色ポリ塩化ビニル樹脂)で形成される、着色ポリ塩化ビニル樹脂層である。原反層をPVCで形成することにより、化粧材10の作製時における化粧シート1の端材や、使用済みの化粧シート1を融解させて押し出し機等で押出し、リサイクル基材として再利用することができる。また、PVCはオレフィン系樹脂に比べて融解による再利用が容易である。
つまり、本実施形態に係る化粧シート1は、着色原反層2をPVCで形成することにより、加工適正およびリサイクル性を向上することができる。
また、不透明に着色されたポリ塩化ビニル製の着色シート(着色フィルム)としての着色原反層2は、絵柄層3の下地色として色相を適宜、選択することができる。また、化粧材用基材である基材8の表面の質感を活かす場合、着色原反層2は、基材8の表面を透視可能な程度の透明性を有する着色ポリ塩化ビニル樹脂層であることが好ましい。
例えば、着色原反層2を構成する樹脂材料(ポリ塩化ビニル)に顔料などの着色剤を混合、練りこむなどしておくことで、着色原反層2を着色することができる。着色剤としては、有機、無機顔料が使用できるが、無機顔料を用いることが好ましい。つまり、着色原反層2は、着色剤として無機物を含んでいることが好ましい。例えば着色原反層2は、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、シリカ、クロム、アンチモン、チタン複合物、及びその他酸化物等のうちのいずれか一つ又は複数の無機物を含有することが好ましい。
また、着色原反層2には、必要に応じて、例えば、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤及び艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を添加してもよい。
(絵柄層)
絵柄層3は、着色原反層2の一方の面(図1では、上側の面)に積層されており、意匠性を付与するための絵柄を付加するための層である。より具体的には、絵柄層3は、着色原反層2と透明樹脂層4との間に設けられている。なお、絵柄層3は、着色原反層2の着色で代用することが可能である場合には、省略も可能である。
また、絵柄層3は、印刷インキ又は塗料等を用いて形成される。絵柄層3を形成する印刷インキ又は塗料等は、例えば、染料又は顔料等の着色剤を、適当なバインダ樹脂とともに適当な希釈溶媒中に溶解又は分散させて形成される。顔料としては、例えば、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。
絵柄層3を形成する印刷インキ又は塗料等は、例えば、グラビア印刷法又はオフセット印刷法等の各種印刷法や、グラビアコート法又はロールコート法等の各種塗工法等を用いて塗布される。
バインダ樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、硝化綿等、又はそれらの混合物等を用いることが可能であるが、これらに限定されるものではない。
絵柄としては、任意の絵柄を用いることが可能であり、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字、記号、単色無地等、又はそれらの組み合わせ等を用いること可能である。また、化粧シート1の隠蔽性を向上するために、絵柄層3と着色原反層2との間に、隠蔽層を設けてもよい。隠蔽層は、例えば、二酸化チタンや酸化鉄等の不透明顔料を多く含む不透明な印刷インキや塗料を用いて形成する。
絵柄層3の厚さは、1μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましい。これは、絵柄層3の厚さが1μm以上である場合、印刷を明瞭にすることが可能であることに起因する。また、絵柄層3の厚さが10μm以下である場合、化粧シート1を製造する際の印刷作業性が向上し、且つ製造コストを抑制することが可能であることに起因する。
また、絵柄層3には、各種機能を付与するために、例えば、体質顔料、可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾燥剤、硬化剤、硬化促進剤及び硬化遅延剤等の機能性添加剤を添加してもよい。
また、絵柄層3は、例えば、化粧シート1が貼りつけられる下地の色・模様を隠蔽するために、ベタ塗りされた着色原反層と、意匠性を付与するための絵柄を付加するための絵柄模様層とを有する構成としてもよい。
(透明樹脂層)
透明樹脂層4は、化粧シート1の耐候性を向上させるための層である。本実施形態に係る化粧シート1において、透明樹脂層4の材料としては、柔軟性があり、熱可塑性で成形性・加工適性が良く、印刷適性のあるポリ塩化ビニル(PVC)樹脂フィルムを用いる。つまり、本実施形態に係る化粧シート1において、透明樹脂層4は透明のポリ塩化ビニル樹脂(透明ポリ塩化ビニル樹脂)で形成される、透明ポリ塩化ビニル樹脂層である。上述のように、PVCは、融解して押し出しすることで、リサイクル基材として用いることができ、またオレフィン系樹脂に比べて融解による再利用が容易である。
つまり、本実施形態に係る化粧シート1は、着色原反層2および透明樹脂層4をPVCで形成することにより、加工適正およびリサイクル性を確実に向上することができる。
なお、透明樹脂層4は、例えば着色原反層2側の面(図1では下側の面)に設けられた絵柄層3を透視可能な程度の透明性を有するものが好ましい。例えば、無色透明、有色透明、半透明とする。
〔紫外線吸収剤〕
また、本実施形態において透明樹脂層4は紫外線吸収剤を含有する。つまり、本実施形態に係る化粧シート1において透明樹脂層4は、透明ポリ塩化ビニル樹脂で形成され紫外線吸収剤を含有している。これにより、透明樹脂層4に優れた耐候性を付与することができる。
より具体的には、透明樹脂層4は、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤又はトリアジン系紫外線吸収剤のうち少なくとも一方の紫外線吸収剤を含むことが好ましい。これにより、透明樹脂層4を形成する透明塩化ビニル樹脂に優れた耐候性を付与して化粧シート1の耐候性を向上することができる。
透明樹脂層4における紫外線吸収剤の添加量は所望の耐候性に応じて添加すればよいが、例えば透明樹脂層4を構成する透明塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましい。これにより、化粧シート1の耐候性を確実に向上することができる。
(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)
「ベンゾトリアゾール系」の紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール,2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール,2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール,2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体が挙げられる。
(トリアジン系の紫外線吸収剤)
「トリアジン系」の紫外線吸収剤としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソ-オクチルオキシフェニル)-s-トリアジン等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体が挙げられる。
透明樹脂層4の厚みは、50μm以上150μm以下の範囲内が好ましく、50μm以上100μm以下の範囲内がより好ましく、60μm以上80μm以下の範囲内がさらに好ましい。厚みが50μm以上である場合、化粧シート1の耐候性を確実に向上し、さらに被貼着基材(本例では、基材8)の凹凸等を吸収して化粧シート1の施工仕上がりを良好にすることができる。また、透明樹脂層4の厚さが150μm以下である場合、透明樹脂層4を必要以上に厚く形成することがなく、加工適正(例えば曲げ加工性)が向上するとともに、化粧シート1の製造コストを削減することができる。
(表面保護層)
本実施形態に係る化粧シート1の表面保護層5は、化粧シート1に、耐候性、耐傷性、耐汚染性、意匠性などの機能を付与するために設けられた層である。表面保護層5を構成する材料としては特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン系、アクリル系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系などの樹脂材料から適宜選択して用いることができる。
表面保護層5は、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤等の各種添加剤を配合してもよい。以下、本実施形態に係る表面保護層5の一例について、具体例を挙げて説明する。
本実施形態において表面保護層5は、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレートをモノマー成分として含有するアクリル系樹脂組成物を主成分としてもよい。なお、本実施形態において、シクロヘキシル(メタ)アクリレートとは、シクロヘキシルアクリレート又はシクロヘキシルメタクリレートを意味する。シクロヘキシル(メタ)アクリレートをモノマー成分として含有させることで、水に対する親和性を低下させることができ、加水分解などによる劣化を抑制することができる。
シクロヘキシル(メタ)アクリレートの含有量としては、全てのアクリル系樹脂組成物のモノマー成分のうち、即ち表面保護層5の主成分となるアクリル系樹脂組成物のモノマー成分のうち、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが5質量%以上50質量%以下の範囲内となることが望ましい。シクロヘキシル(メタ)アクリレートの含有量を5質量%以上とすることで、充分な劣化抑制効果を得ることができる。また、シクロヘキシル(メタ)アクリレートの含有量を50質量%以下とすることで、表面硬度維持向上や耐汚染性向上や表面の艶調節という化粧シートの表面保護層5の諸性能を大きく変えることなく、経時の高耐候性を付与することが可能になる。ここで、上述した「主成分」とは、表面保護層5を構成するアクリル系樹脂組成物の含有量が、表面保護層5全体の質量に対して、50質量%以上であることを意味する。
本実施形態に係る表面保護層5に用いることができるアクリル系樹脂組成物のモノマー成分としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレートの他に、例えば、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、ジメチルシクロヘキサンモノ(メタ)アクリレート、ジメチルシクロヘキサンジ(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキサンモノ(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキサンジ(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキサントリ(メタ)アクリレート、テトラメチルシクロヘキサンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチルシクロヘキサンジ(メタ)アクリレート、テトラメチルシクロヘキサントリ(メタ)アクリレート、テトラメチルシクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、フェノキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、メトキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの内、異性体を含むものは、各異性体単独および/または各異性体混合物でもよい。
また、本実施形態において、表面保護層5は、上述したシクロヘキシル(メタ)アクリレートをモノマー成分として含有するアクリル系樹脂組成物と、後述する紫外線吸収剤等の耐候剤とを含む塗液を、化粧シートの最表面に塗工して形成してもよい。詳しくは後述するが、例えば、上述したアクリル系樹脂組成物と耐候剤とを含む塗液を、エンボス部7を形成した透明樹脂層4上に塗工した後、ワイピングすることで、エンボス部7内にその塗液を埋め込んで表面保護層5を形成してもよい。
表面保護層5を形成するための塗液の硬化方法としては、例えば、1液硬化タイプ、硬化剤を用いる2液硬化タイプ、あるいは紫外線や電離放射線等を照射して硬化する活性エネルギー線硬化タイプのいずれも使用可能であるが、耐候性を考慮すると2液硬化タイプ若しくは活性エネルギー線硬化タイプが好ましく、各種基材に貼り合わされて化粧部材となった後の後加工性を考慮するならば、イソシアネート硬化によって架橋される2液硬化タイプが望ましい。
2液硬化タイプのアクリル系樹脂組成物としては、例えば、水酸基、アミノ基およびカルボキシル基から選ばれる1種以上の官能基を一分子内に2個以上有するアクリル系樹脂と、その官能基と反応し得るイソシアネート基を一分子内に2個以上有するポリイソシアネート化合物とを含有する組成物が好ましい。特に好ましくは、水酸基を一分子内に2個以上有するアクリルポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを含有する組成物である。
水酸基を一分子内に2個以上有するアクリルポリオールとしては、上述したシクロヘキシル(メタ)アクリレートに加えて、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートをモノマー成分として含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体が利用できる。一方、イソシアネート基を一分子内に2個以上有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)およびこれらの水添化合物、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)や、これらから選ばれる1種類以上の化合物を公知の技術により合成した3量体タイプ、TMPアダクトタイプ、ビュレットタイプ等が挙げられる。また、これらの異なるタイプのポリイソシアネートから選ばれる1種類以上を混合した組成物を使用することができる。なかでも、HDI、もしくはHDIの3量体タイプ、TMPアダクトタイプ、ビュレットタイプが耐候性の観点からも好ましい。上述した樹脂成分に対するイソシアネート化合物の含有量は任意に設定できるが、水酸基/イソシアネート基の当量比が1/1~1/3程度となるように設定することが望ましい。特に水酸基の当量がイソシアネート基の当量よりも多くなると、架橋が充分に進まずに表面保護層5に所望の性能が付加されず、好ましく
ない場合がある。
表面保護層5を形成するための塗液の硬化方法を活性エネルギー線硬化とする場合は、活性エネルギー線硬化タイプのアクリル系樹脂組成物としては、公知の(メタ)アクリロイル基を有するモノマー、オリゴマー等が使用でき、これらのモノマー、オリゴマーに加えて、上述したシクロヘキシル(メタ)アクリレートを配合すれば良い。
化粧シート1の耐候性をより向上させるため、本実施形態において表面保護層5には耐候剤として紫外線吸収剤および光安定剤が添加されている。つまり、表面保護層5は紫外線吸収剤および光安定剤を含有している。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系(例えばヒドロキシフェニルトリアジン系)、ベンゾフェノン系など公知のものが使用できる。これらのなかでもヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤を選定すれば、トリアジン骨格がブリードを抑制すること、またトリアジン骨格がベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤の骨格と比較して化学的に安定であることなどにより、長期に亘る紫外線吸収性能を保持することが可能となる。つまり、表面保護層5は、紫外線吸収剤としてトリアジン系紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
ヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2-(2ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、2-〔4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル〕-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-エチル-ヘキサノイックアシッド、2-[4-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシ-フェノキシ]-エチルエステル、オクタノイックアシッド、2-[4-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシ-フェノキシ]-エチルエステル、2,4,6-トリス{2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)}-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソ-オクチルオキシフェニル)-s-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。本実施形態においては、表面保護層5に、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン(以下、便宜的に「紫外線吸収剤A」と称する)を含有させてもよい。なお、紫外線吸収剤Aとした、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジンは、「チヌビン479:BASFジャパン(株)製」の主成分として一般に知られている。
本実施形態の表面保護層5においては、上述したトリアジン系(ヒドロキシフェニルトリアジン系)紫外線吸収剤の添加量は、表面保護層5を形成する樹脂組成物(例えばアクリル系樹脂組成物)100質量部に対して1質量部以上30質量部以下の範囲内であることが好ましい。上述した紫外線吸収剤の添加量を1質量部以上とすることで、耐候性向上効果が発揮され、30質量部以下とすることで表面保護層5の耐候性以外の物性への影響を実用上問題ないレベルに抑えることができる。
特に、表面保護層5に添加する紫外線吸収剤として、上述した紫外線吸収剤Aを用いた場合には、その添加量は、アクリル系樹脂組成物100質量部に対して1質量部以上20質量部以下の範囲内であることが好ましく、5質量部以上15質量部以下の範囲内であることがより好ましく、8質量部以上12質量部以下の範囲内であることがさらに好ましい。紫外線吸収剤Aの添加量を1質量部以上とすることで、耐候性向上効果が発揮され、20質量部以下とすることで表面保護層5の耐候性以外の物性への影響を実用上問題ないレベルに抑えることができる。
また、本実施形態においては、表面保護層5中のトリアジン系(ヒドロキシフェニルトリアジン系)の紫外線吸収剤として、紫外線吸収剤Aと、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール(以下、便宜的に「紫外線吸収剤B」と称する)とを併用することで、更に優れた耐候性能が付与される。これは、紫外線吸収剤Bが、紫外線の中でも相対的に高エネルギーである短波長領域の紫外線吸収能力が高く、且つほぼ同等の波長領域を吸収する他の紫外線吸収剤と比較して化学的に安定なため、併用により紫外線を吸収する波長領域が広くなるためである。なお、紫外線吸収剤Bとした、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノールは、「アデカスタブLA-46:(株)ADEKA製」の主成分として一般に知られている。
本実施形態においては、表面保護層5における紫外線吸収剤Aの添加量を、紫外線吸収剤Bの質量100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下の範囲内とすることが好ましく、20質量部以上100質量部以下の範囲内とすることがより好ましく、40質量部以上80質量部以下の範囲内とすることがさらに好ましい。紫外線吸収剤Aの添加量を上記数値範囲内とすることで、さらに優れた耐候性を付与することができる。
〈光安定剤〉
本実施形態において表面保護層5は、耐候剤として、紫外線吸収剤に加えてさらに光安定剤を含んでいる。これにより、化粧シート1の耐候性能を良好とすることができる。
表面保護層5に添加する光安定剤としては、例えばラジカル捕捉剤を用いることができる。上述のトリアジン系紫外線吸収剤と、当該ラジカル捕捉剤とを併用することで、化粧シート1の耐候性能は更に向上させることができる。本実施形態で使用可能なヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、1-オキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノ-ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-第三オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8-12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネートシクロヘキサンと過酸化N-ブチル2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミン-2,4,6-トリクロロ1,3,5-トリアジンとの反応生成物と2-アミノエタノールとの反応生成物などが挙げられるが、これに限るものではない。
本実施形態において、表面保護層5における光安定剤(例えばヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤)の添加量は、表面保護層5を形成する樹脂組成物(例えばアクリル系樹脂組成物)100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲内が好適である。光安定剤を1質量部以上添加することで、所望の耐候性を得ることができ、30質量部以下とすることで、耐候剤のブリードアウトを抑制することができる他、表面保護層5の他の物性への影響を抑えることができる。
なお、本実施形態において表面保護層5には紫外線吸収剤および光安定剤を含むとしたが、本開示はこれに限られない。表面保護層5には用途に合わせて所望の耐候性を付与すればよく、表面保護層5は、紫外線吸収剤および光安定剤のうち、少なくとも一方を含む構成であってもよい。
<塗布量>
表面保護層5の塗布量、すなわち透明樹脂層4上における表面保護層5の材料の塗布量は、3g/m以上10g/m未満の範囲内が好ましい。塗布量が3g/m未満であると、良好な耐候性が得られず、10g/m以上だとリサイクル性を阻害してしまうおそれがあるので、塗布量を当該範囲とすることにより、良好な耐候性とリサイクル性を両立させることができる。また、塗布量を当該範囲内とすることにより、生産性および加工適性(例えば、曲げ加工性)を良好にすることができる。
(エンボス部)
図1中に示すように、本実施形態に係る化粧シート1の最表面にはエンボス部7が設けられている。最表面にエンボス部7を設けることにより、例えば化粧シート1表面のマット感を維持しながら耐指紋性を向上させることが可能となる。またエンボス部7は、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等の種々の凹凸形状とすることで、化粧シート1の表面に所与の意匠性を付与することができる。エンボス部7は、例えば絵柄層3のデザインに応じて、又は所望の意匠性に応じて種々の凹凸形状とすることができる。
エンボス部7は、化粧シート1の最表層となる表面保護層5の表面(最表面)側に形成されており、凹凸模様を構成している。本実施形態では、この凹凸模様を構成するエンボス部7に上述した表面保護層5が埋め込まれている。以下、この点について説明する。
本実施形態に係る化粧シート1において、エンボス部7は透明樹脂層4に設けられている。つまり、透明樹脂層4は、エンボス部7が形成された層である。透明樹脂層4の表面に設けられた凹凸模様の形状は、特に制限されるものではないが、凹凸模様を構成するエンボス部7の形状は、透明樹脂層4の裏面側(本例では、絵柄層3)から表面側(表面保護層5)に向かって開口径が大きくなるような形状であることが好ましい。このような形状であれば、表面保護層組成物(塗液)をワイピングによってエンボス部7に埋め込む際に、その埋め込みが容易となる。
また、エンボス部7を形成する側面は、傾斜面であることが好ましい。エンボス部7を形成する側面が傾斜面であれば、表面保護層組成物(塗液)をワイピングによってエンボス部7に埋め込む際に、その埋め込みが容易となる。
また、エンボス部7を形成する側面の全ては、表面保護層5で覆われていてもよい。
また、エンボス部7の深さは、透明樹脂層4の厚さ方向に対して、1μm以上50μm以下の範囲内が好ましい。エンボス部7の深さが上記数値範囲であれば、表面保護層組成物(塗液)をワイピングによってエンボス部7に埋め込む際にその埋め込みが容易となり、且つ表面保護層の剥落を防止することができる。
また、エンボス部7の幅は、1μm以上20μm以下の範囲内が好ましい。エンボス部7の幅が上記数値範囲であれば、表面保護層組成物(塗液)をワイピングによってエンボス部7に埋め込む際にその埋め込みが容易となり、且つエンボス部7内に埋め込まれた表面保護層の剥落を防止することができる。
また、エンボス部7は、表面保護層組成物(塗液)で全て満たされている(充填されている)ことが好ましいが、エンボス部7の容積に対する表面保護層5の充填率は10%以上であれば好ましい。エンボス部7の容積に対する表面保護層5の充填率が10%以上であれば、エンボス部7における耐候性を向上させることができる。即ち、エンボス部7の容積に対する表面保護層5の充填率が10%以上であれば、導管部における白化の発生や破断の発生を低減することができる。また、上述のように、エンボス部7の容積に対する表面保護層5の充填率は100%であることが好ましいが、エンボス部7の容積に対する表面保護層5の充填率が80%以下であればより好ましく、エンボス部7の容積に対する表面保護層5の充填率が60%以下であればより好ましいエンボス部7の容積に対する表面保護層5の充填率が80%以下であれば、エンボス部7において十分な触感を得ることができる。
また、エンボス部7の容積に対する表面保護層5の充填率を100%にすることで、エンボス部7に充填された表面保護層5の表面と、エンボス部7を備えない領域の透明樹脂層4の表面とを、所謂面一にしてもよい。
(耐候性樹脂層)
以上説明したように、本実施形態において透明樹脂層4は紫外線吸収剤を含有しており、さらに表面保護層5は紫外線吸収剤および光安定剤を含有している。本実施形態において、透明樹脂層4および表面保護層5の2層を合わせた積層体を、耐候性樹脂層ともいう。耐候性樹脂層は、構成され化粧シート1に優れた耐候性を付与するものであり、耐候性樹脂層(透明樹脂層4および表面保護層5)を備えることで、本実施形態に係る化粧シート1には、優れた耐候性が付与され、例えば外装用途の化粧材の表面を加飾する加飾シートとして屋外での使用に長期間耐え得ることが期待できる。
さらに、本実施形態に係る化粧シート1において、透明樹脂層4および表面保護層5の2層を合わせた場合における波長380nmの紫外線の透過率は、20%T以下であることが好ましい。すなわち、耐候性樹脂層において、波長380nmの紫外線の透過率は、20%T以下であることが好ましい。これにより、化粧シート1の耐候性をさらに向上することができる。
(シートの総厚)
本実施形態に係る化粧シート1全体の厚み(総厚)は、100μm以上300μm以下の範囲内が好ましく、120μm以上200μm以下の範囲内がより好ましい。これにより、例えば、従来のオレフィン系樹脂を用いて形成した化粧シートと同等程度の隠蔽性を有し、かつ加工適性が良好な化粧シート1を形成することが可能となる。なお、本例において着色原反層2および透明樹脂層4の2層の厚みの合計を化粧シート1の総厚とする。
以上説明したように、本実施形態に係る化粧シート1は、少なくとも着色原反層2と、透明樹脂層4と、表面保護層5と、がこの順に積層されており、着色原反層2は、着色ポリ塩化ビニル樹脂で形成され、透明樹脂層4は、透明ポリ塩化ビニル樹脂で形成され紫外線吸収剤を含有しており、表面保護層5は、紫外線吸収剤および光安定剤を含有している。これにより、ポリ塩化ビニル樹脂を用いて形成した場合も優れた耐候性を有し、さらに加工適正およびリサイクル性に優れた化粧シートを得ることができる
(化粧材)
本実施形態では、上述した化粧シート1を化粧材用基材である基材8に貼り合せて、化粧材10としてもよい。
(基材)
基材8としては、木質基材又は金属基材を使用することができる。木質基材としては、例えば木材単板、木材合板、集成材、パーティクルボード、中密度繊維板、硬質繊維板を採用することができる。また、金属基材としては、鋼板・アルミ板などを採用することができる。また、基材8は、プラスチックなどの樹脂、またはそれらの複合材料であっても良い。基材8を樹脂基材とする場合、例えば塩化ビニル樹脂を採用することができる。塩化ビニル樹脂による基材8は、断熱性が高く窓枠用建具(サッシ)としての需要が高まっている。また、塩化ビニル樹脂による基材8を化粧シート1で加飾した化粧材10は、基材8および化粧シート1の両方を溶解して再利用することが可能であり、リサイクル性をより良好とすることができる。
また基材8は、例えば不燃仕様の鋼板又は建設省告示1400号で定められた不燃材料から構成しても良い。
図1に示すように、基材8の一方の面(図1では、上側の面)には、化粧シート1が積層されている。つまり本実施形態に係る化粧材10は、化粧材用基材である基材8と、基材8に貼り合わされた化粧シート1とを備えている。
基材8に本実施形態に係る化粧シート1を貼り合わせることで、ポリ塩化ビニル樹脂を用いて形成した場合も優れた耐候性を有し、さらに加工適正およびリサイクル性に優れた化粧材を得ることができる。
より具体的には、化粧材10は、基材8と、基材8の一方の面に積層された化粧シート1とを備える。なお、化粧材10の構成は、図1に示す例に限定するものではない。すなわち、化粧材10の構成を、基材8の一方の面に加え、基材8の他方の面(図1では、下側の面)に積層された化粧シート1を備える構成としてもよい。
(化粧シート及び化粧部材の製造方法)
以下、本実施形態に係る化粧シート1の製造方法の一例について、簡単に説明する。
上述した着色原反層2上に絵柄層3を印刷する。
次に、絵柄層3を形成した着色原反層2上に、熱ラミネートにより透明樹脂層4を形成すると同時に、透明樹脂層4の着色原反層2と反対側の表面にエンボス加工により凹凸模様を設けてエンボス部7を形成する。
次に、凹凸模様(エンボス部7)を形成した透明樹脂層4の表面に表面保護層5を形成するための塗液を塗布する。
最後に、この塗液を、凹凸模様を構成するエンボス部7に埋め込むようにワイピングし、塗液を硬化させることで、透明樹脂層4上に表面保護層5を形成する。
こうして、本実施形態に係る化粧シート1を形成する。
以下、本実施形態に係る化粧材10の製造方法の一例について、簡単に説明する。
上述した化粧シート1と基材8とを貼り合せて化粧材10を形成する。
<変形例>
表面保護層5に添加可能なヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤について説明したが、本実施形態において使用可能なヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤はこれらに限定されるものではない。本実施形態に係る表面保護層5は、例えば、下記一般式(1)で表される構造を有するヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を含有していてもよい。また、表面保護層5は、下記一般式(2)で表される構造を有する紫外線吸収剤を含有していてもよい。具体的には、下記式(3)に示す、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-(2-エチルヘキシルオキシ)フェニル)]-6-(4-メトキシフェニル)-s-トリアジンを含有していてもよいし、下記式(4)に示すヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を含有していてもよい。
Figure 2024032536000002
なお、一般式(1)中、R1からR3はそれぞれ独立し、水素原子またはメチル基またはフェニル基またはアルコキシ基を示し、かつ少なくとも2つがカルボニル基を含まない炭素数8から18のアルコキシ基であり、R4、R5はそれぞれ独立し、ヒドロキシル基またはメチル基または水素原子を示し、R6からR8はそれぞれ独立し、メチル基または水素原子を示す。
Figure 2024032536000003
なお、一般式(2)中、R1、R2は炭素数8から18のアルコキシ基、R3は炭素数1から4のアルコキシ基、R4はヒドロキシル基、R5からR8は水素原子を示す。
Figure 2024032536000004
Figure 2024032536000005
更に、紫外線吸収剤として、ヒドロキシフェニルトリアジン系とベンゾトリアゾール系のものを併用することで、その相互作用により、更に優れた耐候性能を付与することができる。これは、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤が、ヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤よりも、更に長波長側に吸収のピークを持つため、併用により紫外線を吸収する波長領域を更に広くするためである。ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤の添加量としては、アクリル系樹脂組成物100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲内が好適であり、1質量部以上添加することで、所望の効果を得ることができ、30質量部以下とすることで、耐候剤のブリードアウトを抑制することができる。但し、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤は、長波長側に吸収ピークがあるために、黄色味を帯びている場合があり、色相に注意を必要とする場合には、添加量を抑制すると良い。
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ第三ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-5’-第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2,2’-メチレンビス(4-第三オクチル-6-(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられるが、これに限るものではない。
(本実施形態の効果)
本実施形態に係る化粧シート1及び化粧材10は、以下の効果を有する。
(1)
化粧シート1は、少なくとも着色原反層2と、透明樹脂層4と、表面保護層5と、がこの順に積層されており、着色原反層2は、着色ポリ塩化ビニル樹脂で形成され、透明樹脂層4は、透明ポリ塩化ビニル樹脂で形成され紫外線吸収剤を含有しており、表面保護層5は、紫外線吸収剤および光安定剤を含有している。
上記構成によれば、ポリ塩化ビニル樹脂を用いて形成した場合も優れた耐候性を有し、さらに加工適正およびリサイクル性に優れた化粧シートを提供することができる。
(2)
また、化粧シート1において透明樹脂層4は、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤またはトリアジン系紫外線吸収剤のうち少なくとも一方を含有する。
上記構成によれば、透明樹脂層4を形成する透明塩化ビニル樹脂に優れた耐候性を付与して化粧シート1の耐候性を向上することができる。
(3)
また、化粧シート1において透明樹脂層4および表面保護層5の2層を合わせた場合における波長380nmの紫外線の透過率は、20%T以下である。
上記構成によれば、化粧シート1の耐候性をさらに向上することができる。
(4)
また、化粧シート1において表面保護層5は、紫外線吸収剤としてトリアジン系紫外線吸収剤を含有する。
上記構成によれば、化粧シート1は長期に亘る紫外線吸収性能を保持することが可能となる。
(5)
また、化粧シート1においてシートの総厚が、100μm以上300μm以下の範囲内である。
上記構成によれば、従来のオレフィン系樹脂を用いて形成した化粧シートと同等程度の隠蔽性を有し、かつ加工適性が良好な化粧シート1を形成することが可能となる。
(6)
また、化粧シート1において着色原反層2は、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、シリカ、クロム、アンチモン、チタン複合物、及びその他の酸化物のうちのいずれか一つ又は複数の無機物を含有する。
上記構成によれば、着色原反層2を良好に着色して隠蔽性を向上することができる。
(7)
また、化粧シート1において表面保護層5の塗布量は、3g/m以上10g/m未満の範囲内である。
上記構成によれば、良好な耐候性とリサイクル性を両立させることができる。
(8)
透明樹脂層4の厚みは、50μm以上150μm以下の範囲内である。
上記構成によれば、耐候性を確実に向上し、且つ化粧シート1の仕上がりを良好とするとともに、加工性を向上しつつ製造コストを削減することができる。
(9)
また、化粧シート1において表面保護層5の表面側に、エンボス部7が形成されている。
上記構成によれば、化粧シート1表面の耐指紋性を向上することができる。
(10)
また、化粧シート1は、着色原反層2と透明樹脂層4との間に設けられた絵柄層3をさらに備える。
上記構成によれば、化粧シート1に意匠性を付与することができる。
(11)
化粧材10は、基材8と、基材8に貼り合わされた化粧シート1と、を備える。
上記構成によれば、ポリ塩化ビニル樹脂を用いて形成した場合も優れた耐候性を有し、さらに加工適正およびリサイクル性に優れた化粧材を提供することができる。
<実施例>
以下、実施例及び比較例を示して本開示を詳細に説明するが、本開示は下記例に制限されるものではない。
(実施例1)
着色原反層として着色したポリ塩化ビニル樹脂(以下、PVC:Poly Vinyl Cloride)シート上にPVC用の印刷インキをグラビア印刷して絵柄層を設けた。その後、絵柄層を設けた着色原反層に透明樹脂層として透明PVCシートを熱ラミネートし、透明樹脂層上にアクリル系樹脂組成物を主成分とする表面保護層を形成した。
その後、着色原反層(着色PVCシート)の絵柄層とは反対側の面にPVC基材を貼り合せることで実施例1による化粧材を得た。本実施例による各層の構成を以下に示す。
〔着色原反層〕
材質:PVC、厚み:80μm
〔透明樹脂層〕
材質:PVC、厚み:80μm
添加剤:トリアジン系紫外線吸収剤(PVC100質量部に対して0.5質量部)
〔表面保護層〕
・主剤(メチルメタクリレート/2ヒドロキシエチルメタクリレート=95/5 共重合体) ・・・90質量部
・紫外線吸収剤(チヌビン479;BASFジャパン(株)製) ・・・9質量部
・光安定剤(チヌビン123;BASFジャパン(株)製) ・・・1質量部
・硬化剤(タケネートD170;三井化学(株)製) ・・10質量部
・溶剤(酢酸エチル) ・・・240質量部
・塗布量:3g/m
〔シート総厚〕
160μm(=着色原反層の厚み:80μm+透明樹脂層の厚み:80μm)
(実施例2)
透明樹脂層の厚みを150μmとした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2の化粧シートおよび化粧材を得た。
(実施例3)
透明樹脂層の厚みを50μmとした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例3の化粧シートおよび化粧材を得た。
(実施例4)
表面保護層の塗布量を9g/mとした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例4の化粧シートおよび化粧材を得た。
(実施例5)
透明樹脂層の厚みを155μmとした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例5の化粧シートおよび化粧材を得た。
(実施例6)
透明樹脂層の厚みを45μmとした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例6の化粧シートおよび化粧材を得た。
(実施例7)
表面保護層の塗布量を10g/mとした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例7の化粧シートおよび化粧材を得た。
(実施例8)
表面保護層の塗布量を2.5g/mとした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例8の化粧シートおよび化粧材を得た。
(実施例9)
表面保護層の塗布量を5g/mとした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例9の化粧シートおよび化粧材を得た。
(比較例1)
表面保護層を設けなかった。それ以外は実施例1と同様にして比較例1の化粧シートおよび化粧材を得た。
(比較例2)
表面保護層に耐候剤(紫外線吸収剤および光安定剤)を添加しなかった。それ以外は実施例1と同様にして比較例2の化粧シートおよび化粧材を得た。
(比較例3)
透明樹脂層に紫外線吸収剤を添加しなかった。それ以外は実施例1と同様にして比較例3の化粧シートおよび化粧材を得た。
(比較例4)
透明樹脂層の樹脂材料としてアクリル樹脂、具体的にはポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA:Poly Methyl Methacrylate)を用いた。つまり、比較例4は透明樹脂層にポリ塩化ビニルPVCを用いない化粧シートの構成を示す参考例である。それ以外は実施例1と同様にして比較例4の化粧シートおよび化粧材を得た。
<評価>
上記実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、以下の方法で生産性、加工適性、耐候性およびリサイクル性を評価した。評価結果を表1に示す。
(生産性)
各実施例および比較例の化粧シートについて、表面状態等の製膜性、フィッシュアイの有無、厚みムラの有無等といった不良度合を目視により判定した。不良がほとんどなく、従来のオレフィン系樹脂による化粧シート(現行品)と遜色がない場合を「◎」、不良が存在し現行品より劣るが、生産には影響がない場合を「○」、生産は可能であるが生産に影響する不良があり、生産時に工夫が必要な場合を「△」、生産不可の場合を「×」とした。なお、不良個所が平米あたりに1~2個程度である場合には「○」と判定した。
本実施例では、「△」以上を合格とした。
(ラッピング加工性試験)
各実施例および比較例の化粧シートを用いてPVC基材にラッピング加工を実施した。ラッピング加工後の化粧シートの表面の折れ曲がった部分に白化やクラック(亀裂・ひび割れ)などの異常が生じていないかを目視で観察し、加工適性の状態について評価を行った。なおこのラッピング加工性が、加工適性のうち、いわゆる曲げ加工性に相当する。
評価基準は、下記のとおりとした。
◎:異常は確認されず、オレフィン系樹脂製の化粧シートと同等のラッピング加工性を有する
〇:わずかに異常が確認され、オレフィン系樹脂製の化粧シートより劣るもののラッピング加工が可能である
△:部分的に異常が確認され、ラッピング加工に工夫が必要である
×:全面に異常が確認され、ラッピング加工が不可能である
本実施例では、「△」以上を合格とした。
(耐候性試験)
各実施例および比較例の化粧部材の耐候促進試験後の外観を以下の基準により目視評価した。耐候促進試験はダイプラ・ウィンテス(株)製・メタルウェザー試験機(KU-R5DCI-A)を用い、ブラックパネル温度63℃、照度65mW/cmにて、(UV照射20時間+結露4時間)を1サイクルとし21サイクル(504時間)実施した。本評価基準を以下に示す。
◎:耐候性試験の前後での色差が△E=2未満である
〇:耐候性試験の前後での色差が△E=2以上4以下である
△:部分的に、耐候性試験の前後での色差が△E=4以上の箇所がある
×:全体的に、耐候性試験の前後での色差が△E=4以上である
本実施例では、「△」以上を合格とした。
(リサイクル性試験)
各実施例および比較例の化粧材(PVC基材および化粧シート)を融解させ、融解後にリサイクル基材として押し出し機により押し出した際の状態を評価した。本評価基準を以下に示す。
◎:リサイクル基材に未融解の化粧シートが残存しておらず、通常のPVC(再利用でないPVC)基材と同等の状態である
〇:通常のPVC基材に比べて押出性は劣るものの、押し出しに問題がない
△:押出性が良好でなく、押し出しに工夫が必要である
×:押し出しが非常に困難である。
本実施例では、「△」以上を合格とした。
上記の各評価結果を、化粧シートの組成とともに表1に示す。なお表1において表面保護層における紫外線吸収剤および光安定剤を「耐候剤」と記載した。
Figure 2024032536000006
表1から分かるように、実施例1から実施例9の化粧シートを用いた化粧材では、着色原反層は、着色ポリ塩化ビニル樹脂で形成され、透明樹脂層は、透明ポリ塩化ビニル樹脂で形成され紫外線吸収剤を含有しており、表面保護層は、紫外線吸収剤および光安定剤を含有している。これにより、実施例1から実施例9の化粧シートを適用した化粧材では、耐候性、加工適性およびリサイクル性がすべて合格(「△」以上)であり、さらに生産性についても合格(「△」以上)であった。つまり、実施例1から実施例9の化粧シートは、優れた耐候性を有し、さらに加工適正およびリサイクル性に優れていることが分かった。
また、実施例1から実施例4及び実施例9の化粧シートは、透明樹脂層の層厚が80μm以上150μm以下の範囲内であり、且つ表面保護層の塗布量が3g/m以上10g/m未満範囲内であり、さらにシートの総厚が100μm以上300μm以下の範囲内であった。これにより、実施例1~4及び実施例9の化粧シートを用いた化粧材では、耐候性、加工適性、リサイクル性および生産性がすべて「〇」以上であり、より優れた性能を有することが分かった。
一方、比較例1-3の化粧材は、透明樹脂層が透明ポリ塩化ビニル樹脂で形成され紫外線吸収剤を含有しており、表面保護層が紫外線吸収剤および光安定剤を含有しているという条件を満たしておらず、いずれも耐候性が不合格「×」となった。
また表1に示すように、実施例1~9の化粧シートを用いた化粧材はいずれも、上記のようにリサイクル性が合格(「△」以上)であったのに対し、透明樹脂層にポリ塩化ビニルPVCを用いない化粧シートによる化粧材を示す参考例である比較例4の化粧材はリサイクル性が不合格(×)であった。つまり、実施例1~9の化粧材はいずれも、参考例の化粧シートに比べてリサイクル性が良好であることが分かった。
また、実施例1~4及び実施例9の化粧シートを用いた化粧材は、耐候性、加工適性がすべて「〇」以上であり、さらに生産性についても「〇」以上であることから、透明樹脂層にポリ塩化ビニルPVCを用いない化粧シートによる化粧材を示す参考例である比較例4と同程度の性能を有することが分かった。
なお、本開示の化粧シートおよび化粧材は、上記の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能である。
また、例えば、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)
少なくとも着色原反層と、透明樹脂層と、表面保護層と、がこの順に積層されており、
前記着色原反層は、着色ポリ塩化ビニル樹脂で形成され、
前記透明樹脂層は、透明ポリ塩化ビニル樹脂で形成され紫外線吸収剤を含有しており、
前記表面保護層は、紫外線吸収剤および光安定剤を含有している
ことを特徴とする化粧シート。
(2)
前記透明樹脂層は、前記紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤またはトリアジン系紫外線吸収剤のうち少なくとも一方を含有する
ことを特徴とする上記(1)に記載の化粧シート。
(3)
前記透明樹脂層および前記表面保護層の2層を合わせた場合における波長380nmの紫外線の透過率は、20%T以下である
ことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の化粧シート。
(4)
前記表面保護層は、前記紫外線吸収剤としてトリアジン系紫外線吸収剤を含有する
ことを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の化粧シート。
(5)
シートの総厚が、100μm以上300μm以下の範囲内である
ことを特徴とする上記(1)から(4)のいずれか1項に記載の化粧シート。
(6)
前記着色原反層は、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、シリカ、クロム、アンチモン、チタン複合物、及びその他の酸化物のうちのいずれか一つ又は複数の無機物を含有する
ことを特徴とする上記(1)から(5)のいずれか1項に記載の化粧シート。
(7)
前記表面保護層の塗布量は、3g/m以上10g/m未満の範囲内である
ことを特徴とする上記(1)から(6)のいずれか1項に記載の化粧シート。
(8)
前記透明樹脂層の厚みは、50μm以上150μm以下の範囲内である
ことを特徴とする上記(1)から(7)のいずれか1項に記載の化粧シート。
(9)
前記表面保護層の表面側に、エンボス部が形成されている
ことを特徴とする上記(1)から(8)のいずれか1項に記載の化粧シート。
(10)
前記着色原反層と前記透明樹脂層との間に設けられた絵柄層をさらに備える
ことを特徴とする上記(1)から(9)のいずれか1項に記載の化粧シート。
(11)
化粧材用基材と、
前記化粧材用基材に貼り合わされた上記(1)から(10)のいずれか1項に記載の化粧シートと、
を備えることを特徴とする化粧材。
本開示は、建物外装や建築準外装すなわち玄関ドア、同枠材、窓枠及び出窓カウンター等の表面化粧材などに好適な技術である。
1 化粧シート
2 着色原反層
3 絵柄層
4 透明樹脂層
5 表面保護層
7 エンボス部
8 基材
10 化粧材

Claims (11)

  1. 少なくとも着色原反層と、透明樹脂層と、表面保護層と、がこの順に積層されており、
    前記着色原反層は、着色ポリ塩化ビニル樹脂で形成され、
    前記透明樹脂層は、透明ポリ塩化ビニル樹脂で形成され紫外線吸収剤を含有しており、
    前記表面保護層は、紫外線吸収剤および光安定剤を含有している
    ことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記透明樹脂層は、前記紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤またはトリアジン系紫外線吸収剤のうち少なくとも一方を含有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記透明樹脂層および前記表面保護層の2層を合わせた場合における波長380nmの紫外線の透過率は、20%T以下である
    ことを特徴とする請求項2に記載の化粧シート。
  4. 前記表面保護層は、前記紫外線吸収剤としてトリアジン系紫外線吸収剤を含有する
    ことを特徴とする請求項3に記載の化粧シート。
  5. シートの総厚が、100μm以上300μm以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項4に記載の化粧シート。
  6. 前記着色原反層は、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、シリカ、クロム、アンチモン、チタン複合物、及びその他の酸化物のうちのいずれか一つ又は複数の無機物を含有する
    ことを特徴とする請求項5に記載の化粧シート。
  7. 前記表面保護層の塗布量は、3g/m以上10g/m未満の範囲内である
    ことを特徴とする請求項6に記載の化粧シート。
  8. 前記透明樹脂層の厚みは、50μm以上150μm以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項7に記載の化粧シート。
  9. 前記表面保護層の表面側に、エンボス部が形成されている
    ことを特徴とする請求項8に記載の化粧シート。
  10. 前記着色原反層と前記透明樹脂層との間に設けられた絵柄層をさらに備える
    ことを特徴とする請求項9に記載の化粧シート。
  11. 化粧材用基材と、
    前記化粧材用基材に貼り合わされた請求項1から10のいずれか1項に記載の化粧シートと、
    を備えることを特徴とする化粧材。
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