JP2020179568A - エンボス化粧シート - Google Patents

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Abstract

【課題】凹凸模様による意匠性、耐摩耗性、不燃性、耐候性、層間密着性、後加工性及び下地隠蔽性を有するエンボス化粧シートを提供する。【解決手段】透明熱可塑性樹脂層5を、接着剤層4側に配置された第1の層51、及び表面保護層6側に配置された第2の層52を積層して形成した。また、第1の層51の厚さを5μm以上10μm以下とし、第2の層52の厚さを25μm以上50μm以下とした。さらに、透明熱可塑性樹脂層5の厚さを35μm以上85μm以下とした。また、表面保護層6の厚さを4μm以上10μm以下とした。さらに、熱可塑性樹脂基材シート2の総質量を40g/m2以上とし、熱可塑性樹脂基材シート2の有機質量を70g/m2以下とした。また、透明熱可塑性樹脂層5の有機質量を25g/m2以上55g/m2以下とし、エンボス化粧シート1全体の有機質量を121g/m2以下とした。【選択図】図1

Description

本発明は、エンボス化粧シートに関する。
従来、木質系ボード類や無機系ボード類、鋼鈑等の表面に、接着剤で貼り合されて化粧板を形成するエンボス化粧シートがある。このようなエンボス化粧シートとしては、塩化ビニール樹脂を用いたものが一般的であったが、近年、焼却時の塩素発生等が問題とされ、塩化ビニール樹脂を用いないものが要望されている。塩化ビニール樹脂の代替としては、オレフィン系の熱可塑性樹脂シートの使用が一般的である(例えば特許文献1参照。)。
また、建築基準法施工例等に規定されている「特殊建築物」や、都市計画法によって指定されている「防火地域」に使用する建築材料は、不燃材料であることが求められる。具体的には、建築基準法・同法施工令に規定されている発熱性試験(不燃材料:コーンカロリーメータ試験機にて20分加熱し、総発熱量が8MJ/m未満、200k超過総時間が10秒未満の材料であることを示す試験)に合格し、国交省の認定を通る必要がある。
しかしながら、通常使われているオレフィン系樹脂は、塩化ビニール樹脂と比較して、燃焼エネルギーが高く、また塩化ビニール樹脂のような自己消火性も有していない。そのため、上述したような発熱性試験(不燃材料)の基準を満たすことは非常に困難である。
過去には、ポリエステル系樹脂からなる単層シートによって、発熱性試験に合格したものもあるが、単層であるため、意匠面の単調さや耐摩耗性・耐傷性・耐候性に劣る等の問題があった。そのため、例えば、複層シートとして、各層の材料・厚み・質量範囲を調整することで、複層ゆえの凹凸模様による意匠性や耐摩耗性等を有し且つ発熱性試験(不燃申請)に通る十分な不燃性能を有したエンボス化粧シートの提供を試みる動きがある。
また、凹凸模様による意匠性、耐摩耗性、不燃性に加え、エンボス化粧シートには、近年、耐候性、層間密着性、後加工性及び下地隠蔽性等を有することも要望されている。
特開2013−22836号公報
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、凹凸模様による意匠性、耐摩耗性、不燃性、耐候性、層間密着性、後加工性及び下地隠蔽性を有するエンボス化粧シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、(a)熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、接着剤層、透明熱可塑性樹脂層及び表面保護層がこの順に積層され、最表層に凹凸模様を有するエンボス化粧シートであって、(b)透明熱可塑性樹脂層は、接着剤層側に配置されて第1の樹脂を含んでなる第1の層、及び表面保護層側に配置されて第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含んでなる第2の層が積層されて形成されており、(d)表面保護層は、シクロヘキシル(メタ)アクリレートをモノマー成分として含有するアクリル系樹脂組成分を主成分とし、下記化学式Aに示す構造を有するヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤を1種類以上含有してなり、アクリル系樹脂組成物100質量部に対して、全てのヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤の合計が1質量部以上30質量部であり、(e)第1の層の厚さは、5μm以上10μm以下であり、(f)第2の層の厚さは、25μm以上50μm以下であり、(g)熱可塑性樹脂基材シートの厚さは、35μm以上85μm以下であり、(h)表面保護層の厚さは、4μm以上10μm以下であり、(i)熱可塑性樹脂基材シートの総質量は、40g/m以上であり、(j)熱可塑性樹脂基材シートの有機質量は、70g/m以下であり、(k)透明熱可塑性樹脂層の有機質量は、25g/m以上55g/m以下であり、(l)エンボス化粧シート全体の有機質量は、121g/m以下であり、(m)凹凸模様の凹部の最深部における透明熱可塑性樹脂層の厚さは、20μm以上であり、(n)ISO5660−1に準拠し、建築基準法第2条第9号及び建築基準法施工令第108条の2に基づく防耐火試験方法と性能評価規格に従うコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験において(1)加熱開始後20分間の総発熱量(MJ/m)が8MJ/m以下であり(2)加熱開始後20分間の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず(3)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないという条件を満たす不燃性を有するエンボス化粧シートであることを要旨とする。
Figure 2020179568
本発明の一態様によれば、各層の厚さや質量範囲等が適切であるため、凹凸模様による意匠性、耐摩耗性、不燃性、耐候性、層間密着性、後加工性及び下地隠蔽性を有するエンボス化粧シートを提供することができる。
本発明の実施形態に係るエンボス化粧シートを表す断面図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(エンボス化粧シート)
図1に示すように、本発明の実施形態に係るエンボス化粧シート1は、熱可塑性樹脂基材シート2の表面2a上に、絵柄模様層3、接着剤層4及び透明熱可塑性樹脂層5がこの順に積層されて形成されている。また、透明熱可塑性樹脂層5に、表面の艶の調整と立体感の付与とを行うために、凹凸模様が形成されている。さらに、透明熱可塑性樹脂層5の凹凸模様が形成されている面に表面保護層6が積層されている。また、本発明の実施形態に係るエンボス化粧シート1は、熱可塑性樹脂基材シート2の裏面2bに、表面活性化処理が施されており、その表面活性化処理された面にプライマー層7が設けられている。
また、エンボス化粧シート1全体の有機質量としては、121g/m以下が好適である。さらに、エンボス化粧シート1は、各層の厚さや質量範囲等が適切な範囲に調節されることにより、ISO5660−1に準拠し、建築基準法第2条第9号及び建築基準法施工令第108条の2に基づく防耐火試験方法と性能評価規格に従うコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験において、(1)加熱開始後20分間の総発熱量(MJ/m)が8MJ/m以下であり、(2)加熱開始後20分間の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず、(3)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がない、という条件を満たす不燃性を有するようになっている。
(熱可塑性樹脂基材シート)
熱可塑性樹脂基材シート2は、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂を含んでなる基材シートである。ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂を用いることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸等が用いられる。特に、ポリブチレンテレフタレートが好適に用いられる。また、接着剤層4との密着性を向上させるため、易接着層を設けたり適宜コロナ処理等を施してもよい。
着色方法は、特に限定されるものではなく、顔料を分散助剤や界面活性剤で処理した微粉末状の着色剤を使用するドライカラー法、樹脂と高濃度の顔料とを溶融混連して予備分散したマスターバッチペレットを作製し、押出しホッパー内で着色のされていない通常の樹脂とドライブレンドするマスターバッチ法等を用いることができる。また、顔料の種類は、特に限定されるものではないが、耐候性、耐熱性等を考慮すると、酸化チタン、群青、カドミウム顔料、酸化鉄等の無機顔料が好適に用いられる。また、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料を使用することもできる。また、顔料の色や配合比率は、特に限定されるものではなく、隠蔽の度合いや意匠性等を鑑みて、任意に決められる。
熱可塑性樹脂基材シート2の厚さとしては、35μm以上85μm以下が好適である。また、熱可塑性樹脂基材シート2の総質量としては、40g/m以上が好適である。さらに、熱可塑性樹脂基材シート2の有機質量としては、70g/m以下が好適である。
(絵柄模様層)
絵柄模様層3は、熱可塑性樹脂基材シート2上に印刷により形成され、意匠性を付与するための絵柄を付加する層である。絵柄としては、例えば、木目模様、コルク模様、石目模様、タイル模様、抽象柄等を用いることができる。印刷インキの顔料としては、例えば、イソインドリノンイエロー、ポリアゾレッド、フタロシアニンブルー、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタンの何れか、或いはこれらの混合物を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、酢酸エチル、酢酸nブチル、イソブタノール及びメチルイソブチルケトンを用いることができる。特に、熱可塑性樹脂基材シート2との接着性等を考慮すると、イソシアネート硬化剤と活性水素とを含むバインダーが好適に用いられる。
また、印刷インキには、可塑剤、安定剤、ワックス、グリース、乾燥剤、硬化剤、増粘剤、分散剤、充填剤等を添加するようにしてもよい。さらに、印刷方法としては、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、凹版印刷、シルク印刷、静電印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷を用いることができる。
(接着剤層)
接着剤層4は、絵柄模様層3と透明熱可塑性樹脂層5とを接着するための接着剤を含んでなる層である。接着剤は、特に限定されるものではなく、絵柄模様層3を構成する印刷インキと透明熱可塑性樹脂層5を構成する熱可塑性樹脂との組み合わせに応じて、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、及びポリエステル系接着剤等から適宜選択してもよい。
(透明熱可塑性樹脂層)
透明熱可塑性樹脂層5は、複数層からなるシート状の層である。各層は、絵柄模様層3の絵柄が透けて見える、透明な熱可塑性樹脂で形成される。熱可塑性樹脂としては、塩化ビニール樹脂以外の種々の樹脂を用いることができる。各層の樹脂の組み合わせは、目的とする特性により、様々な組合せが可能である。層の数としては、4層以上も可能であるが、押出し機の構造が複雑化し、作業の煩雑さが大きくなるため、3層までが好ましい。
図1では、透明熱可塑性樹脂層5を、接着剤層4側に配置され、予め定めた第1の樹脂を含んでなる第1の層5、及び表面保護層6側に配置され、第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含んでなる第2の層5の2層を積層して形成した場合を一例として示している。エンボス化粧シート1の表面の耐傷性、耐候性、耐汚染性、耐光性、透明性、折り曲げ性、熱成形性、材料コスト等を考慮すれば、第1の樹脂としては透明マレイン酸変性ポリプロピレンを含むものが好ましく、第2の樹脂としては透明ポリプロピレン、紫外線吸収剤及び光安定剤を含むものが好ましい。また、第1の層5の厚さは5μm以上10μm以下、第2の層5の厚さは25μm以上50μm以下が好適である。すなわち、透明熱可塑性樹脂層5の厚さは、30μm以上60μm以下が好適である。また、凹凸模様の凹部の最深部における透明熱可塑性樹脂層5の厚さは、20μm以上が好適である。また、透明熱可塑性樹脂層5の有機質量は、25g/m以上55g/m以下が好適である。
(ポリプロピレン樹脂)
透明熱可塑性樹脂層5に用いるポリプロピレン樹脂としては、例えば、自由末端長鎖分岐を付与したポリプロピレン樹脂(a)と、自由末端長鎖分岐を付与していないポリプロピレン樹脂(b)との混合物で、その混合物の質量平均分子量/数平均分子量として定義される分子量分布Mw/Mnが1以上5以下の範囲内にあり、かつ、(a)と(b)の混合樹脂の、沸騰ヘプタン可溶残分率として規定されるアイソタクチック指数が、1%以上90%以下の範囲内にあるものを用いるようにしてもよい。これにより、エンボス化粧シート1を鋼板基材に貼り合わせた後の折り曲げ加工において、白化や割れを抑制できる。
ここで、分子量分布は、分子量Miの分子がNi個存在する場合に、数平均分子量Mn(=Σ(Mi×Ni)/ΣNi)と、質量平均分子量Mw(=Σ(Ni×Mi2)/Σ(Ni×Mi))との比Mw/Mnとして定義される値である。1に近いほど分子量の分布が狭く、均一性が高くなる。この分子量分布が5以下になるようにすれば、分子量を必要十分な大きさに揃えることができ、白化や割れの抑制に寄与するようになる。一般的には、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定できる。
また、沸騰ヘプタン可溶残分率として規定されるアイソタクチック指数は、ポリプロピレン樹脂中の結晶化度を調べる指標として有用である。具体的には、試料を沸騰n−ヘプタンで一定時間抽出を行い、抽出されない部分の質量(%)を求めてアイソタクチックインデックスを算出する。詳しくは、円筒濾紙を110±5℃で2時間乾燥し、恒温恒湿の室内で2時間以上放置してから、円筒濾紙中に試料(粉体又はフレーク状)8g以上10g以下を入れ、秤量カップ、ピンセットを用いて精秤する。これをヘプタン約80ccの入った抽出器の上部にセットし、抽出器と冷却器を組み立てる。これをオイルバス又は電機ヒーターで加熱し、12時間抽出する。加熱は、冷却器からの滴下数が1分間130滴以上であるように調節する。続いて、抽出残分の入った円筒濾紙を取り出し、真空乾燥器にいれて80℃、100mmHg以下の真空度で5時間乾燥する。乾燥後、恒温恒湿中に2時間放置した後、精秤し、(P/Po)×100によりアイソタクチック指数を算出する。ただし、Poは抽出前の試料質量(g)、Pは抽出後の試料質量(g)である。
アイソタクチック指数を90%以下にすることで、ポリプロピレン結晶起因によるシート剛性を抑制することができる。アイソタクチック指数を下げる方法としては、例えば、非晶質ポリプロピレン成分(シンジオタクチックポリプロピレンやアダクチックポリプロピレン等)を一部に使う方法や、エチレンやα−オレフィン等のオレフィンモノマーを1種類以上ランダム共重合させる方法、各種ゴム成分(例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレンープロピレンージエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)等のゴム成分)を添加する方法を用いることができる。
また、ポリプロピレン樹脂(a)と(b)との混合樹脂の溶融張力(2.0mm径のノズルキャピラリーレオメーターを用い、温度条件230℃、60mm/分で押し出し、2mm/分で引き取るときの張力)は、100mN以上500mN以下の範囲内にあることが望ましい。500mNを超えると、溶融粘度が高くなりすぎて、安定した成膜ができなくなる。また100mN以下では、長鎖分岐成分が不十分となり、所望の性能を得難い。
また、ポリプロピレン樹脂(a)と(b)との混合物の、JIS−K6760にて規定される230℃におけるメルトフローレートが5g/10min以上50g/10min以下の範囲内にすることで、分子量をある一定値以上で、かつ安定的な製膜状態を保持することができる。より好適なメルトフローレートの範囲は、10g/10min以上30g/10min以下であり、さらに好ましくは10g/10min以上25g/10min以下である。メルトフローレートが50g/10minを超えると、Tダイによる溶融押出時に、Tダイから溶融押出された樹脂が、中央に集まろうとする効果(ネックイン)が大きくなり、Tダイから溶融押出された樹脂の端部厚みが増大してしまう。端部の厚み増大は冷却効率の低下と巾方向の厚み安定性に影響を与えるため、安定した製膜がしづらくなる。また、5g/10minよりも低いと、溶融樹脂のドローレゾナンスが悪くなり、Tダイから出た直後の溶融樹脂の速度(初速)と冷却ロールに触れた直後の樹脂の速度とのギャップに溶融樹脂が対応できなくなってしまい、安定した製膜がしづらくなる。
(紫外線吸収剤)
透明熱可塑性樹脂層5に添加する紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等から適宜選択するようにしてもよい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール,2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール,2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体を用いることができる。
また、トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体を用いることができる。
さらに、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、オクタベンゾンや変性物、重合物、誘導体等を用いることができる。紫外線吸収剤としては、イソシアネート添加による架橋による樹脂成分との結合を望めるため、水酸基を有するものが好適に用いられる。また、紫外線吸収剤の添加部数は、所望の耐候性に応じて設定すればよいが、樹脂固形分に対して、0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは1質量%以上30質量%以下とする。
(光安定剤)
透明熱可塑性樹脂層5に添加する光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ポペリジニル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体等を用いることができる。光安定剤の添加部数は、所望の耐候性に応じて添加すればよいが、樹脂固形分に対して、0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは1質量%以上30質量%以下とする。
(その他の添加剤)
上記以外では、例えば、熱安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤等を添加することができる。熱安定剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]−プロピオネート、2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトに代表される燐系酸化防止剤等やこれらの混合物、つまり、1種又は2種以上を組み合わせたものを用いることができる。
また、透明熱可塑性樹脂層5に添加する難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機系化合物や燐酸エステル系の難燃剤等を用いることができる。さらに、透明熱可塑性樹脂層5に添加するブロッキング防止剤としては、珪酸アルミニウム、酸化珪素、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム等の無機系ブロッキング防止剤、脂肪酸アミド等の有機系ブロッキング防止剤等を用いることができる。
(表面保護層)
表面保護層6は、エンボス化粧シート1の表面を保護するための層である。表面保護層6の材料としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレートをモノマー成分として含有するアクリル系樹脂組成物を主成分とするものを用いることができる。シクロヘキシル(メタ)アクリレートとは、シクロヘキシルアクリレート又はシクロヘキシルメタアクリレートを意味する。シクロヘキシル(メタ)アクリレートをモノマー成分として含有することで、水に対する親和性を低下でき、加水分解等による劣化を抑制できる。シクロヘキシル(メタ)アクリレートの量としては、全てのアクリル系樹脂組成物のモノマー成分の内、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが5質量部以上50質量部以下となることが望ましい。5質量部以上とすることで、十分な劣化抑制効果を得ることができ、また50質量部以下とすることで、表面硬度性や耐汚染性向上や表面の艶調節という、表面保護層6の諸性能を大きく変えることなく、経時の高耐候性を付与することが可能となる。
表面保護層6に用いるアクリル系樹脂組成物のモノマー成分としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレートの他に、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、ジメチルシクロヘキサンモノ(メタ)アクリレート、ジメチルシクロヘキサンジ(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキサンモノ(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキサンジ(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキサントリ(メタ)アクリレート、テトラメチルシクロヘキサンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチルシクロヘキサンジ(メタ)アクリレート、テトラメチルシクロヘキサントリ(メタ)アクリレート、テトラメチルシクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、フェノキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、メトキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの内、異性体を含むものは各異性体及び/又は各異性体混合物でもよい。
表面保護層6の形成方法としては、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートをモノマー成分として含有するアクリル系樹脂組成物からなる塗液をエンボス化粧シート1の最表面に塗工する方法を用いることができる。硬化方法としては、1液硬化タイプ、硬化剤を用いる2液硬化タイプ、或いは紫外線や電離放射線等を照射して硬化する活性エネルギー線硬化タイプの何れも使用可能であるが、耐候性を考慮すると2液硬化タイプや活性エネルギー線硬化タイプが好ましく、各種基材に貼り合されて化粧材となった後の後加工性を考慮するならば、イソシアネート硬化によって架橋される2液硬化タイプが望ましい。
2液硬化タイプのアクリル系樹脂組成物としては、水酸基、アミノ基及びカルボキシル基から選ばれる1種以上の官能基を一分子内に2個以上有するアクリル系樹脂と、その官能基と反応し得るイソシアネート基を一分子内に2個以上有するポリイソシアネート化合物とを含有する組成物が好ましい。特に、水酸基を一分子内に2個以上有するアクリルポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを含有する組成物がより好ましい。
水酸基を一分子内に2個以上有するアクリルポリオールとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレートに加えて、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートをモノマー成分として含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いることができる。一方、イソシアネート基を一分子内に2個以上有するポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)及びそれらの水添加物、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)や、これらから選ばれる1種類以上の化合物を公知の技術により合成した3量体タイプ、TMPアダクトタイプ、ビュレットタイプ等を用いることができる。また、これらの異なるタイプのポリイソシアネートから選ばれる1種類以上を混合した組成物を用いることができる。なかでも、HDI、若しくはHDIの3量体タイプ、TMPアダクトタイプ、ビュレットタイプが、耐候性の観点からも好ましい。上記した樹脂成分に対するイソシアネート化合物の含有量は、任意に設定できるが、水酸基/イソシアネート基の当量比が1/1〜1/3程度となるように設定することが望ましい。特に、水酸基の当量がイソシアネート基の当量よりも多くなると、架橋が十分に進まず、表面保護層6に所望の性能が付加されないため好ましくない。
表面保護層6には、エンボス化粧シート1の耐候性をより向上させるために、紫外線吸収剤やラジカル補足剤等の耐候剤の添加が一般的に用いられる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤等の公知のものを使用できる。なかでも、ヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤を選定すれば、トリアジン骨格がブリードを抑制すること、トリアジン骨格がベンゾニトリアゾール系やベンゾフェノン系の骨格と比較して科学的に安定であること等により、長期にわたる紫外線吸収性能の保持が可能となる。
ヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2−(2ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−〔4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−エチル−ヘキサノイックアシッド 2−[4−(4,6−ジフェニル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−フェノキシ]−エチルエステル、オクタノイックアシッド 2−[4−(4,6−ジフェニル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−3−ヒドロキシ−フェノキシ]−エチルエステル、2,4,6−トリス{2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)}−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチルオキシフェニル)−6−(2,4−ビス−ブチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチルオキシフェニル)−6−(2,4−ビス−ブチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられるが、本発明においては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノールの構造(下記化学式Aに示す構造)を持つ紫外線吸収剤を1種以上含有するものを用いる。これは、下記化学式Aで表されるヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤が、紫外線のなかでも相対的に高エネルギーである低波長領域の紫外線吸収能力が高く、また、ほぼ同等の波長領域を吸収する他の紫外線吸収剤と比較して化学的に安定であり、長期に亘って紫外線吸収性能を持続できるためである。
Figure 2020179568
上記化学式Aの構造を持つものを含めた全てのヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤の添加量は、アクリル系樹脂組成物100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好適である。1質量部以上とすることで、耐候性向上効果を得ることができる。また、30質量部以下とすることで、表面保護層6の耐候性以外の物性への影響を実用上問題ないレベルに抑えることができる。
また、紫外線吸収剤として、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とを併用することで、その相互作用により、さらに優れた耐候性能を付与することができる。これは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤よりも、さらに長波長側に吸収のピークを持つため、併用により紫外線を吸収する波長領域をさらに広くするためである。ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられるが、これに限るものではない。
紫外線吸収剤の添加量としては、アクリル系樹脂組成物100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好適である。1質量部以上とすることで、所望の効果を得ることができる。また、30質量部以下とすることで、耐候剤のブリードアウトを抑制することができる。但し、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤は、長波長側に吸収ピークがあるため、黄色味を帯びている場合があり、色相に注意する場合には、添加量を抑制する。
また、ヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤を併用することで、エンボス化粧シート1の耐候性能をさらに向上させることができる。ヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、1−オキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネートシクロヘキサンと過酸化N−ブチル2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミン−2,4,6−トリクロロ1,3,5−トリアジンとの反応生成物と2−アミノエタノールとの反応生成物等が挙げられるが、これに限るものではない。
ヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤の添加量は、アクリル系樹脂組成物100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好適である。1質量部以上とすることで、所望の効果を得ることができる。また、30質量部以下とすることで、耐候剤のブリードアウトを抑制することができる他、表面保護層6の他の物性への影響を抑えることができる。
また、表面保護層6の厚さは、紫外線吸収剤の添加量が同じであれば、厚膜化した方が良好な耐候性能を得ることができるが、十分な不燃性能を有するためには厚膜化にも限界がある。さらに、厚膜化すると、エンボス化粧シート1の柔軟性は損なわれ、後加工時等にエンボス化粧シート1表層へのクラックが入り易くなる等の問題が起きやすくなる。逆に、薄膜化すると、耐候性能が損なわれてしまうという問題がある。そのため、表面保護層6の厚さは4μm以上10μm以下が好適である。 また、表面保護層6の形成方法としては、グラビアコート、リバースコート、グラビアリバースコート、ダイコート、フローコート等、公知のコート方式を用いることができる。さらに、表面保護層6には、必要に応じて、減摩剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤等の各種添加剤を加えてもよい。
(プライマー層)
プライマー層7としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂の何れか、或いはこれらの混合物を用いることができる。さらに、ポリオールとイソシアネートとによる2液タイプにすることで、熱可塑性樹脂基材シート2とプライマー層7との密着性及びプライマー層7自体の凝集力を向上できる。ポリオールとしては、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオールを用いることができる。また、イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4‘ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系のイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の脂肪族系のイソシアネートを用いることができる。特に、反応性の早さの点や耐熱性の点から、芳香族系のイソシアネートが好ましい。
プライマー層7の厚さは1μm以上が好ましい。1μm未満である場合、接着剤の溶剤種によっては溶解してしまい、プライマー層7が消失することから密着性が向上しない。
プライマーに含有するシリカは、粒径1〜4μm、細孔容積は0.4ml/g以上2.0ml/g以下であれば、接着剤の吸収がよく、かつプライマーの凝集力に影響しない。シリカの含有量は、接着剤の吸収・浸透性、耐ブロッキング性を考慮して、プライマー樹脂100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下の割合とする。5質量部未満である場合、接着力、耐ブロッキング性が悪く、30質量部を超える場合、プライマーの層間剥離現象が見られる。
(効果その他)
以上説明したように、本発明の実施形態に係るエンボス化粧シート1は、熱可塑性樹脂基材シート2上に、絵柄模様層3、接着剤層4、透明熱可塑性樹脂層5及び表面保護層6がこの順に積層され、最表層に凹凸模様を有するものとした。そして、透明熱可塑性樹脂層5を、接着剤層4側に配置された第1の層5、及び表面保護層6側に配置された第2の層5を積層して形成した。また、第1の層5の厚さを5μm以上10μm以下とし、第2の層5の厚さを25μm以上50μm以下とした。さらに、透明熱可塑性樹脂層5の厚さを35μm以上85μm以下とした。また、表面保護層6の厚さを2μm以上10μm以下とした。さらに、熱可塑性樹脂基材シート2の総質量を40g/m以上とし、熱可塑性樹脂基材シート2の有機質量を70g/m以下とした。また、透明熱可塑性樹脂層5の有機質量を25g/m以上55g/m以下とし、エンボス化粧シート1全体の有機質量を121g/m以下とした。さらに、ISO5660−1に準拠し、建築基準法第2条第9号及び建築基準法施工令第108条の2に基づく防耐火試験方法と性能評価規格に従うコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験において(1)加熱開始後20分間の総発熱量(MJ/m)が8MJ/m以下であり(2)加熱開始後20分間の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず(3)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないという条件を満たす不燃性を有するようにした。それゆえ、凹凸模様による意匠性、不燃性を向上することができる。
また、第1の層5が第1の樹脂を含んでなり、第2の層5が第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含んでなるものとした。それゆえ、第1の層5が熱可塑性樹脂基材シート2との接着性を担保し、第2の層5が透明熱可塑性樹脂層5の主要部分となって、その他の物性を担う等、材料の設計の巾を広げることができる。また、表面保護層6がシクロヘキシル(メタ)アクリレートをモノマー成分として含有するアクリル系樹脂組成分を主成分とし、上記化学式Aに示す構造を有するヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤を1種類以上含有してなり、アクリル系樹脂組成物100質量部に対して、全てのヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤の合計を1質量部以上30質量部とした。それゆえ、表面保護層6にシクロヘキシル(メタ)アクリレートを用いることで、表面保護層6の疎水性を向上でき、耐候試験若しくは長期間に渡る実使用における、水分(湿度・結露等)に由来するエンボス化粧シート1の脆化を抑制できる。また、上記化学式Aに示す構造を有するヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤を導入することで、波長270〜300nm前後の、地表に降り注ぐ紫外線の中でも比較的低波長且つ高エネルギーな領域を、高レベル且つ経時でも持続的に吸収し続けることが可能となり、エンボス化粧シート1の耐候性を大きく向上できる。これらを併用し、紫外線吸収剤の合計含有量をアクリル系樹脂組成物100質量部に対して1質量部以上30質量部以下とすることで、耐候性が向上し長期の使用にも耐え得る性能を有するエンボス化粧シート1が得られる。
さらに、凹凸模様の凹部の最深部における透明熱可塑性樹脂層5の厚みを20μm以上とした。それゆえ、凹凸模様による意匠性を維持しつつ、凹凸模様の凹部の耐候性を向上でき、エンボス化粧シート1全体としてさらなる耐候性向上を図ることができる。
このような構成により、本発明の実施形態に係るエンボス化粧シート1では、各層の厚さや質量の範囲等が適切であるため、凹凸模様による意匠性、耐摩耗性、不燃性、耐候性、層間密着性、後加工性及び下地隠蔽性を有するエンボス化粧シート1を提供できる。
また、本発明の実施形態に係るエンボス化粧シート1では、第1の樹脂が透明マレイン酸変性ポリプロピレンを含み、第2の樹脂が透明ポリプロピレン、紫外線吸収剤及び光安定剤を含むものとした。それゆえ、第1の層5を透明マレイン酸変性ポリプロピレンとすることで、熱可塑性樹脂基材シート2との接着性を向上でき、第2の層5を透明ポリプロピレン、紫外線吸収剤及び光安定剤を含むものとすることで、樹脂内部の耐脆化を向上できる。
また、本発明の実施形態に係るエンボス化粧シート1では、熱可塑性樹脂基材シート2がポリエステル系樹脂を含むものとしたため、焼却時に塩素発生等が発生しない。
次に、本発明の実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
まず、厚さ60μm、総質量75g/m、有機質量60g/mのポリブチレン系無機充填シート(大倉工業(株)製)を熱可塑性樹脂基材シート2として用意した。続いて、熱可塑性樹脂基材シート2の表面2aに、グラビア印刷法によって木目模様を印刷して絵柄模様層3を形成した。続いて、絵柄模様層3上に、ウレタン樹脂系接着剤を塗布したのち温風乾燥して接着剤層4を形成した。続いて、接着剤層4上に、溶融した透明熱可塑性樹脂(第1の樹脂、第2の樹脂)を含んでなる複数層(第1の層5、第2の層5)を多軸エクストルーダーからTダイで押し出して積層して透明熱可塑性樹脂層5を形成した。
第1の樹脂としては、透明マレイン酸変性ポリプロピレン(理研ビタミン(株)製)を用いた。また、第2の樹脂としては、ポリプロピレン樹脂にフェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「イルガノックス1010」)を0.2質量部、ヒンダードアミン系光安定剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「チヌビン622」)を0.3質量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「チヌビン326」)を0.5質量部添加した樹脂を用いた。第1の層5の厚さは8μmとした。また、第2の層5の厚さは、32μmとした。また、透明熱可塑性樹脂層5の総質量は40g/mとした。また、透明熱可塑性樹脂層5の有機質量は40g/mとした。
同時に、導管エンボス版(版深30μ)とゴムロールとで、熱可塑性樹脂基材シート2、絵柄模様層3、接着剤層4及び透明熱可塑性樹脂層5の積層体をニップして、エンボス加工とラミネートとを行った。第1の層5の厚さは8μmとし、第2の層5の厚さは32μmとした。、そのときの(第1の層5+第2の層5)の質量は36g/mであり、凹凸模様の凹部の最深部における透明熱可塑性樹脂層5の厚さは25μmであった。
この化粧シートのエンボス面に表面処理を施した後、トップコート樹脂としてメチルメタクリレートモノマー80質量部とシクロヘキシルメタクリレート20質量部の混合物からなるアクリル系樹脂組成物を主成分とし、ここに、そのアクリル系樹脂組成物の固形分を100質量部として、上記化学式Aに示す構造を有するヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤((株)ADEKA製「アデカスタブLA−46」)を6質量部、上記化学式Aに示す構造とは別の組成のヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「チヌビン479」)を6質量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「チヌビン329」)を3質量部、ヒンダートアミン系ラジカル補足剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「チヌビン292」)を5質量部添加し、さらに固形分調整用に酢酸エチル溶剤を添加した固形分量33質量部の主剤溶液と、固形分調整用に酢酸エチル溶剤を添加した固形分量75質量部ヘキサメチレンジイソシアネート型硬化剤溶液とを、主剤溶液と硬化剤溶液の比率が10:1(この時の主剤溶液中の水酸基数と硬化剤溶液中のイソシアネート基数の比率は1:2)となるように混合し、さらに溶剤成分として酢酸エチルを添加して固形分量を20質量部に調整した塗工液を、溶剤揮発後の厚さで6μmとなるように塗工し、表面保護層6を得た。
続いて、熱可塑性樹脂基材シート2の裏面2bに表面処理を施した後、この面にポリオール(東洋インキ(株)製「ラミスターEM」)100質量部に対して、シリカ10質量部を添加して含有させ、イソシアネート(東洋インキ(株)製「LPNYB硬化剤」)3質量部を加えたものをプライマー塗工液とし、グラビアコートで乾燥後の塗布量が1.2g/mとなるようにコートしてプライマー層7を得た。
このような手順により、実施例1のエンボス化粧シート1を形成した。エンボス化粧シート1の総質量は121g/m、有機質量は109g/mであった。
(実施例2)
実施例2では、表面保護層6の厚さを10μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(実施例3)
実施例3では、表面保護層6の厚さを4μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(実施例4)
実施例4では、透明熱可塑性樹脂層5中の第1の層5の厚さを10μmとし、第2の層5の厚さを20μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(実施例5)
実施例5では、透明熱可塑性樹脂層5中の第1の層5の厚みを5μmとし、第2の層5の厚みを35μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(実施例6)
実施例6では、透明熱可塑性樹脂層5中の第1の層5の厚さを10μmとし、第2の層5の厚さを25μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(実施例7)
実施例7では、透明熱可塑性樹脂層5中の第1の層5の厚みを5μmとし、第2の層5の厚みを50μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(実施例8)
実施例8では、熱可塑性樹脂基材シート2の厚さを35μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(実施例9)
実施例9では、熱可塑性樹脂基材シート2の厚さを85μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(実施例10)
実施例10では、熱可塑性樹脂基材シート2の総質量を40g/mとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(実施例11)
実施例11では、熱可塑性樹脂基材シート2の有機質量を70g/mとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(実施例12)
実施例12では、透明熱可塑性樹脂層5の有機質量を25g/mとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(実施例13)
実施例13では、透明熱可塑性樹脂層5の有機質量を55g/mとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(実施例14)
実施例14では、凹凸模様の凹部の最深部における透明熱可塑性樹脂層5の厚さを20μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(比較例1)
比較例1では、表面保護層6の厚さを11μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(比較例2)
比較例2では、表面保護層6の厚さを2μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(比較例3)
比較例3では、透明熱可塑性樹脂層5中の第1の層5の厚みを11μmとし、第2の層5の厚みを25μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(比較例4)
比較例4では、透明熱可塑性樹脂層5中の第1の層5の厚みを4μmとし、第2の層5の厚みを37μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(比較例5)
比較例5では、透明熱可塑性樹脂層5中の第1の層5の厚みを10μmとし、第2の層5の厚みを24μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(比較例6)
比較例6では、透明熱可塑性樹脂層5中の第1の層5の厚みを5μmとし、第2の層5の厚みを51μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(比較例7)
比較例7では、熱可塑性樹脂基材シート2の厚さを86μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(比較例8)
比較例8では、熱可塑性樹脂基材シート2の厚さを34μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(比較例9)
比較例9では、透明熱可塑性樹脂層5の有機質量を24g/mとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(比較例10)
比較例10では、表面保護層6中の耐候剤として、上記化学式Aに示す構造を有するヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤((株)ADEKA製「アデカスタブLA−46」)を用いず、代わりに上記化学式Aに示す構造とは別の組成のヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「チヌビン479」)を12質量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「チヌビン329」)を3質量部、ヒンダートアミン系ラジカル補足剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「チヌビン292」)を5質量部添加した。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(比較例11)
比較例11では、第1の層5の第1の樹脂を、第2の層5の第2の樹脂と同一の樹脂とした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(比較例12)
実施例12では、エンボス谷部の透明熱可塑性樹脂層5の厚みを15μmとした。それ以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
(評価方法)
以上の各実施例及び各比較例のエンボス化粧シート1について、次の評価を実施した。
(発熱性評価)
エンボス化粧シート1から99mm角の試験片を切り出し、切り出した試験片に対して、ISO5660−1に準拠し、建築基準法第2条第9号及び建築基準法施工令第108条の2に基づく防耐火試験方法と性能評価規格に従うコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験を実施した。
評価項目は以下の通りとした。
合格「〇」:(1)加熱開始後20分間の総発熱量(MJ/m)が8MJ/m以下であり、(2)加熱開始後20分間の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず、(3)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がない、という条件(不燃材料の基準)を満たした。
不合格「×」:不燃材料の基準を満たさなかった。
(凹凸による意匠性評価)
エンボス化粧シート1の表面を目視にて確認し、凹凸模様による意匠感を評価した。
合格「〇」:凹凸模様の凹凸による意匠の効果があった。
不合格「×」:凹凸模様の凹凸が浅く意匠としての効果がなかった。
(耐摩耗性評価)
12mmのMDF基材にエチレン−酢酸ビニル共重合エマルジョン型接着剤を塗布し、エンボス化粧シート1のプライマー層7側と貼り合せて化粧板を得た。このようにして得られた化粧板から120mm角のサンプルを切り出し、合板の日本農林規格記載の摩耗C試験を実施し、表面状態を確認した。
合格「○」:絵柄模様層3に達する傷は発生しなかった。
合格「△」:絵柄模様層3に達する傷があるが柄消失の程度はごく軽微であった。
不合格「×」:絵柄模様層3に達する傷があり、意匠を大きく阻害していた。
(耐候性評価)
メタルウェザー試験機(ダイプラ・ウィンテス(株)製「ダイプラ・メタルウェザーKU−R5DC1−A」)を用いて、以下の試験条件で促進耐候性試験を実施した。
試験条件:照度65mW/cm、Light(53℃、50%RH)20時間のあとDew(30℃、95%RH)4時間で1サイクルを終了する。散水はDewの前後に30秒を1サイクルとする。
評価項目は以下の通りとした。
合格「〇」:240時間(10サイクル)までに表面のひび割れ・クラックや絵柄模様層の変退色等の発生がなかった。
合格「△」:192時間(8サイクル)までは表面のひび割れ・クラックや絵柄模様層の変退色なかったが、240時間(10サイクル)までに表面の軽微なひび割れ・クラックや絵柄模様層の変退色等が発生した。
不合格「×」:192時間(8サイクル)までで明らかなひびや変退色が発生した。
(層間密着性評価)
エンボス化粧シート1を1インチ巾にカットし、溶剤を用いてエンボス化粧シート1の熱可塑性樹脂層を絵柄模様層3から一部剥離させた状態(図中5/4、もしくは4/3の界面で剥離)にした上で、テンシロンを用いて20mm/minで180°剥離試験を行って層間密着強度を測定した。
評価項目は以下の通りとした。
合格「〇」:層間密着強度が20N/inch以上(実使用上十分な層間密着強度を有する)であった。
不合格「×」:層間密着強度が20N/inch未満であった、もしくはジッパー剥離が発生した。
(後加工性評価)
12mmのMDF基材にエチレン−酢酸ビニル共重合エマルジョン型接着剤を塗布し、エンボス化粧シート1のプライマー層7側と貼り合せて化粧板を得て、得られた化粧材に対して、以下の折り曲げ加工条件で折り曲げ加工テストを行った。
折り曲げ加工条件を以下に示す。
雰囲気温度:5℃
折り曲げ方向:TD方向曲げ(ラミネート時の流れ方向に対し垂直な方向への曲げ)
折り曲げ角度:90°のL形曲げ(但し、エンボス化粧シート1側が外面となるようにする)
試験条件:化粧板から50mm角の試験片を切り出し、切り出した試験片をL型の鋭角治具と鈍角治具の間にセットし、プレス機でエアプレスすることで後加工を実施する。
評価項目は以下の通りとした。
合格「○」:曲げ加工部に白化や割れがなかった。
合格「△」:曲げ加工部に軽微な白化や割れが発生した。
不合格「×」:曲げ加工部に明らかな白化や割れが発生した。
(下地隠蔽性)
12mmのMDF基材にエチレン−酢酸ビニル共重合エマルジョン型接着剤を塗布し、エンボス化粧シート1のプライマー層7側と貼り合せて化粧板を得た。このようにして得られた化粧板の表面状態を確認した。
合格「◎」:下地の異物除去などを特に行わずとも良好な表面状態であった。
合格「〇」:下地由来の凹凸を拾うことなく良好な表面状態であった。
合格「△」:下地由来の凹凸がエンボス化粧シート越しに確認されるが、意匠への影響は軽微であった。
不合格「×」:下地由来の凹凸がエンボス化粧シート1越しに確認され、意匠を著しく阻害していた。
(評価結果)
評価結果を、以下の表1〜表4に示す。
Figure 2020179568
Figure 2020179568
Figure 2020179568
Figure 2020179568
表1〜表4に示すように、実施例1〜14のエンボス化粧シート1では、発熱性評価、凹凸による意匠性評価、耐摩耗性評価、耐候性評価、層間密着性評価、及び後加工性のすべてが合格「◎」「○」「△」の何れかとなった。これに対し、比較例1〜12のエンボス化粧シート1では、発熱性評価、凹凸による意匠性評価、耐摩耗性評価、耐候性評価、層間密着性評価、及び後加工性の何れか1つ以上が不合格「×」となった。したがって、実施例1〜16のエンボス化粧シート1は、比較例1〜13のエンボス化粧シート1と異なり、凹凸模様による意匠性、耐摩耗性、不燃性、耐候性、層間密着性、後加工性及び下地隠蔽性に優れることが確認された。
1…エンボス化粧シート、2…熱可塑性樹脂基材シート、2a…熱可塑性樹脂基材シートの表面、2b…熱可塑性樹脂基材シートの裏面、3…絵柄模様層、4…接着剤層、5…透明熱可塑性樹脂層、5…第1の層、5…第2の層、6…表面保護層、7…プライマー層

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、接着剤層、透明熱可塑性樹脂層及び表面保護層がこの順に積層され、最表層に凹凸模様を有するエンボス化粧シートであって、
    前記透明熱可塑性樹脂層は、前記接着剤層側に配置されて第1の樹脂を含んでなる第1の層、及び前記表面保護層側に配置されて前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含んでなる第2の層が積層されて形成されており、
    前記表面保護層は、シクロヘキシル(メタ)アクリレートをモノマー成分として含有するアクリル系樹脂組成分を主成分とし、下記化学式Aに示す構造を有するヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤を1種類以上含有してなり、アクリル系樹脂組成物100質量部に対して、全てのヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤の合計が1質量部以上30質量部であり、
    前記第1の層の厚さは、5μm以上10μm以下であり、
    前記第2の層の厚さは、25μm以上50μm以下であり、
    前記熱可塑性樹脂基材シートの厚さは、35μm以上85μm以下であり、
    前記表面保護層の厚さは、4μm以上10μm以下であり、
    前記熱可塑性樹脂基材シートの総質量は、40g/m以上であり、
    前記熱可塑性樹脂基材シートの有機質量は、70g/m以下であり、
    前記透明熱可塑性樹脂層の有機質量は、25g/m以上55g/m以下であり、
    エンボス化粧シート全体の有機質量は、121g/m以下であり、
    前記凹凸模様の凹部の最深部における前記透明熱可塑性樹脂層の厚さは、20μm以上であり、
    ISO5660−1に準拠し、建築基準法第2条第9号及び建築基準法施工令第108条の2に基づく防耐火試験方法と性能評価規格に従うコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験において(1)加熱開始後20分間の総発熱量(MJ/m)が8MJ/m以下であり(2)加熱開始後20分間の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず(3)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないという条件を満たす不燃性を有することを特徴とするエンボス化粧シート。
    Figure 2020179568
  2. 前記第1の樹脂は、透明マレイン酸変性ポリプロピレンを含み、
    前記第2の樹脂は、透明ポリプロピレン、紫外線吸収剤及び光安定剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のエンボス化粧シート。
  3. 前記熱可塑性樹脂基材シートは、ポリエステル系樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンボス化粧シート。
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