JP2024008796A - アルコール感増強方法 - Google Patents

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謙 堀井
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Abstract

【課題】アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に対してアルコール感を増強するための技術を提供する。【解決手段】アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に苦味物質、ピぺリン、メンチルエステル及びフーゼルオイルを配合する。【選択図】なし

Description

本発明は、アルコール飲料、またはアルコールを含まないもののアルコールテイストを有する飲料(アルコールテイスト飲料)に対するアルコール感を増強する方法に関する。また、アルコール飲料、またはアルコールテイスト飲料に対するアルコール感増強剤に関する。また、アルコール感が増強されたアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に関する。
近年の健康志向の高まりの中でアルコール摂取量を自己管理する消費者が増加している。また、飲酒運転に対する罰則の強化やコロナ感染蔓延防止策のため、アルコールテイスト飲料の需要が増えている。このような中で、実際のアルコール濃度よりも強くアルコール感が感じられる飲料の需要が一段と高まっている。
特許文献1には、辛味付与成分(ピペリンなど)と苦味付与成分とを含んでなる、アルコール感が付与された非アルコール飲料が開示されている。特許文献2には、苦味物質(ナリンギンなど)により飲料の酒感を増強できることが開示されている。特許文献3には、メンチルエステル(メンチルイソバレレートなど)がアルコール飲料に冷涼感を付与できることが開示されている。特許文献4には、アルコール感を得るために冷感物質を添加することが開示されている。なお、酒にフーゼルオイルが含まれることは周知である。
しかし、苦味物質、ピぺリン、メンチルエステル及びフーゼルオイルを組み合わせることで、アルコール飲料が有するアルコール感をより一層増強できることは知られていない。
特開2013-128451号公報 特開2017-212932号公報 特開2009-189365号公報 特開2015-50955号公報
Azuma T et al., Phytochemistry 2008; 69: 2743-2748
本発明は、アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料が有するアルコール感を増強する方法、アルコール感増強剤、及びアルコール感が増強されたアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねていたところ、アルコール飲料に苦味物質、ピぺリン、メンチルエステル及びフーゼルオイルを添加することで、実際よりも多くのアルコールが含まれているかの如く、アルコール感が増強されることを見出した。また、アルコールを含まないアルコールテイスト飲料に苦味物質、ピぺリン、メンチルエステル及びフーゼルオイルを添加することで、アルコール感がより感じられるようになることを見出した。
本発明は下記の実施形態を有する。
(I)アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料のアルコール感増強方法
アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料のアルコール感を増強する方法であって、アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に苦味物質、ピぺリン、メンチルエステル及びフーゼルオイルを配合することを特徴とする、前記方法。
(II)アルコール感増強剤
苦味物質、ピぺリン、メンチルエステル及びフーゼルオイルを含有する、アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に対するアルコール感増強剤。
(III)アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料
苦味物質、ピぺリン、メンチルエステル及びフーゼルオイルを含有する、アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料。
本発明によれば、アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料が有するアルコール感を増強する方法を提供できる。かかる方法によれば、実際のアルコール濃度よりも強くアルコール感を感じることができるアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料を調製し、提供することができる。
(I)用語の説明
アルコール感とは、アルコール飲料を口腔内に入れて嚥下する際に感じるアルコール特有の感覚をいう。本発明が対象とする「アルコール感」は、前記のアルコール感のうち、アルコールを摂取する際に感じられる清涼感や爽快感、舌に感じられる清涼感や、舌や喉の奥に低く染み渡る刺激や重たい感覚である。本発明が対象とするアルコール感には、前記アルコール特有の感覚に加えて、アルコール特有の感覚に擬似した感覚(アルコール様の感覚)が含まれる。以下、本発明では、これらを総称して「アルコール感」と称する。
本発明において「アルコール飲料」とは、食用アルコールであるエタノールを含有する飲料であり、アルコール濃度が0.05体積%よりも多く5体積%以下の低アルコール飲料も含まれる。また、本発明でいう「アルコールテイスト飲料」とは、食用アルコールであるエタノールを実質的に含有しない飲料を意味する。具体的にはアルコール度数が0.00体積%から、果物の天然果汁にごく微量に含まれるアルコール分とほぼ同じとされる0.05体積%以下の飲料が含まれる。但し、アルコールテイストの飲料である点で、ソフトドリンクとは異なる飲料である。つまり、アルコールテイスト飲料とは、アルコールを配合することなく、アルコール飲料に似せた風味(味や香り)を有する飲料である。言い換えると、アルコールを実質的に含んでいないにもかかわらずアルコール飲料を飲用したかのような擬似的感覚(アルコールに擬似した刺激感)を飲用者に与えることができる飲料である。
本発明において「アルコール感の増強」とは、アルコール飲料については、本来含有するアルコール濃度以上のアルコールが含まれているかのような感覚を飲用者に与えることである。また、アルコールテイスト飲料については、その飲料が有するアルコールが含まれているかのような擬似的感覚が、より増強されることで、アルコールが含まれているかのような感覚をテイスト面から飲用者に与えることである。
本発明は、苦味物質、ピぺリン、メンチルエステル及びフーゼルオイルを有効成分とすることを特徴とする。
(苦味物質)
苦味物質は、飲料に配合することによって味覚に苦味を知覚せしめる物質であれば特に制限されず、天然物を抽出した物を用いることもできるし、市販される食品添加物(苦味料など)を配合することもできる。具体的には、例えば、ナリンギン、糖転移ナリンギン、キナ抽出物、苦丁茶抽出物、クエン酸エステル類(例えトリブチルシトレート、トリエチルシトレート等)、クワシン、ホップ由来成分、カフェイン等を挙げることができるが、ナリンギン、糖転移ナリンギン、キナ抽出物、苦丁茶抽出物及びトリブチルシトレートからなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。
ナリンギンは、ナリンゲニン(5,7,4´-トリヒドロキシフラバノン)の7位の水酸基にL-ラムノシル-(α1→2)-グルコースがβ結合した構造を有するフラボノイド配糖体の一種であり、柑橘果皮などに多く含まれる苦味を呈する化合物であって、ナリンジンとも呼ばれる。また、酵素処理によりナリンギンにグルコースを付加することで水溶性を向上させた糖転移ナリンギンも知られており、市販品としては例えば林原株式会社製の「ナリンビッド」が挙げられる。 キナ抽出物は、例えば、キナ属植物〔例えば、アカキナ(Cinchona succ
irubra)〕の樹皮などと、精製水、エチルアルコール、1,3-ブチレングリコー
ルなどの抽出溶媒とを用いて抽出を行なうことによって得られ、市販品を用いてもよい。
苦丁茶抽出物は、例えば、苦丁茶の基原植物の一部又は全部を水蒸気蒸留し、水蒸気蒸留工程後に残った基原植物の一部又は全部を、水又は水と水溶性有機溶媒との混合液を用いて抽出処理し、抽出液を回収することによって得られ、市販品を用いてもよい。
トリブチルシトレートは、ヒドロキシ酸エステル類のなかのクエン酸エステル類の1種である。
(ピペリン)
ピペリンは、コショウの辛味の主要成分である。コショウの果実をそのまま、あるいは必要に応じて、乾燥、破砕、粉砕処理等を行った後に抽出することにより得られる。抽出処理方法は、特に限定されず、常法に従って行うことができる。
(メンチルエステル)
メンチルエステルは、例えば、メンチルプロピオネート、メンチルヘプタノエート、メンチルノナノエート、メンチルバレレート、メンチルイソバレレート、メンチルラクテート、メンチルアセテート、メンチルフェニルアセテート、メンチルカプリレート、メンチルブチレート、メンチル 3-ヒドロキシブチレート、メンチルカプレート、メンチルカプロエート、メンチル 2-メチルブチレートなどが挙げられ、メンチルイソバレレート、メンチルラクテート、メンチルアセテート及びメンチル 3-ヒドロキシブチレートからなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。
(フーゼルオイル)
フーゼルオイルは、デンプンや糖類の発酵でエタノールをつくる際、精製時の副産物として分離される高級アルコールの混合物である。
上記有効成分は個々にアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に配合してもよいし、製剤化したものを配合してもよく、その添加方法は、特に制限はされない。例えば、アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に本発明に係る有効成分をそのまま添加することができるが、水、アルコール、グリセリン、プロピレングリコール等の単独又は混合の溶剤に溶解させた希釈液剤としてアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に添加してもよい。また、例えば、本発明に係る有効成分を、天然香料・合成香料などを原料素材とする香料組成物に配合した香料製剤としてアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に添加してもよく、更に、例えば、上記有効成分をデキストリン等の賦形剤を用いて噴霧乾燥した粉末製剤としてアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に添加してもよい。本発明の有効成分の利用上の利便性からは、希釈液剤、香料製剤もしくは粉末製剤として飲食物に添加することが好ましく、香料製剤として添加することがより好ましい。
上記有効成分は、アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料の製造に際して原料の一つとして用いることができる。または、アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料を飲用する際に、これらの飲料に添加して用いることができる。
こうすることで、アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料が有するアルコール感が増強され、本来含有するアルコール濃度よりも高濃度のアルコールを含むかの感覚を飲用者に与えることができる。
アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料への苦味物質の配合量としては特に制限されないが、苦味物質がナリンギン及び/又は糖転移ナリンギンの場合は1~100ppmの範囲を挙げることができ、好ましくは2~50ppm、より好ましくは5~30ppmである。また、苦味物質がキナ抽出物の場合は、10~600ppmの範囲を挙げることができ、好ましくは30~500ppm、より好ましくは50~300ppmである。また、苦味物質が苦丁茶抽出物の場合は、5~500ppmの範囲を挙げることができ、好ましくは10~300ppm、より好ましくは30~200ppmである。また、苦味物質がトリブチルシトレートの場合は、0.5~100ppmの範囲を挙げることができ、好ましくは1~50ppm、より好ましくは2~20ppmである。
アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料へのピペリンの配合量としては、0.02~1.0ppmの範囲を挙げることができる。好ましくは0.05~0.8ppm、より好ましくは0.1~0.5ppmである。
アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料へのメンチルエステルの配合量としては特に制限されないが、メンチルエステルがメンチルイソバレレート、メンチルラクテート、メンチルアセテート及びメンチル 3-ヒドロキシブチレートからなる群より選択される1種以上である場合は0.001~0.1ppmの範囲を挙げることができ、好ましくは0.002~0.05ppm、より好ましくは0.005~0.03ppmである。
アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料へのフーゼルオイルの配合量としては、0.1~10ppmの範囲を挙げることができる。好ましくは0.2~10ppm、より好ましくは0.5~5ppmである。
本発明が対象とするアルコール飲料は、エタノールを含有する飲料であり、そのエタノール濃度は制限されないものの、0.05体積%より多く40体積%以下の範囲が含まれる。好ましくは0.1~9体積%、より好ましくは0.5~7体積%を例示することができる。また、低アルコール飲料のエタノール濃度は、0.05体積%より多く5体積%以下であり、好ましくは4.00体積%以下、より好ましくは3.00体積%以下、さらに好ましくは2.00体積%以下、よりさらに好ましくは1.00体積%以下である。
なお、飲料中のアルコール含有量は、国税庁所定分析法(昭和36年1月11日 国税庁訓令第1号,改正平19国税庁訓令第6号)に記載される方法に従って測定することができる。具体的には、ショ糖などの糖類を添加したものと添加していないもののそれぞれについて、例えば特許文献4の段落[0042]~[0044]に記載する方法で測定することができる。なお、飲料中のアルコールの含有量が国税庁所定分析法で定量できない程度の極めて少量である場合は、ガスクロマトグラフィーを用いて分析することができる。
アルコール飲料には、制限されないものの、ビール、発泡酒、及びその他の発泡性酒類(ビール及び発泡酒以外の酒類のうち、アルコール分が10度未満で発泡性を有するもの)等の発泡性酒類;清酒、果実酒、その他の醸造酒などの醸造酒類;連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、スピリッツなどの蒸留酒類;甘味果実酒、リキュール等の混成酒類;及びこれらをベースとして果汁、フレーバー、炭酸ガス、飲用水、または炭酸ガス入り飲用水などを加えて調製される各種のアルコール飲料(例えば、カクテル、フィズ、水割り、炭酸割り、お茶割り、各種の果実テイスト飲料)が含まれる。
アルコールテイスト飲料には、制限されないものの、上記アルコール飲料に擬似したアルコールテイストを有しながらも、エタノール濃度が0.05体積%未満の飲料が含まれる。制限されないものの、アルコールテイスト飲料には、例えば、ビールテイスト飲料(ノンアルコールビール)、発泡酒テイスト飲料、ワインテイスト飲料(ノンアルコールワイン、ノンアルコールスパークリングワイン)、果実酒テイスト飲料、酎ハイテイスト飲料(ノンアルコール酎ハイ)、カクテルテイスト飲料(ノンアルコールカクテル)、日本酒テイスト飲料(ノンアルコール日本酒、ノンアルコールスパークリング日本酒)、焼酎テイスト飲料(ノンアルコール焼酎)、梅酒テイスト飲料(ノンアルコール梅酒)等のアルコール飲料との代替性がある飲料のほか、シャンメリー、甘酒などが含まれる。
本発明に係る有効成分を含有することでアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料のアルコール感が増強されているか否かは、本発明に係る有効成分を配合した飲料と、本発明に係る有効成分を配合しない以外は同じ飲料(対照飲料)とを飲み比べることで評価することができる。その詳細は、後述する実験例の記載を参照することができ、それに基づいて実施することができる。対照飲料と比較して、アルコール感が増強されていれば、本発明に係る有効成分を含有することでアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料のアルコール感が増強されていると判断することができる。
本発明に係る有効成分と組み合わせて、他のアルコール感を増強する成分を配合することもできる。好ましくはブラックジンジャー抽出物及び/又はラカンカ抽出物である。ブラックジンジャー抽出物及び/又はラカンカ抽出物をアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料にさらに配合することで、アルコールを添加または増量することなく、アルコールに起因して感じる口腔内及び口腔から鼻腔にかけて感じる感覚、具体的には口腔内での軽快感または/および口腔から鼻腔に抜ける清涼感や、厚みをより一層増強することができ、飲用者にアルコール含有飲料を飲んでいるかのよう飲み心地を与えることができる。ブラックジンジャー抽出物及び/又はラカンカ抽出物によって得られる感覚は、アルコール飲料を口腔内に入れて嚥下する際に感じるアルコール特有の感覚であるものの、本発明に係る有効成分によって得られるアルコール感とは異なる感覚である。このため、ブラックジンジャー抽出物及び/又はラカンカ抽出物と併用することで、アルコールテイスト飲料またはアルコールテイスト飲料に対して、総合的にアルコール特有の感覚を付与することが可能になる。なお、ラカンカ抽出物と組み合わせて、さらにステビア抽出物、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、及びネオテームから選択される少なくとも1種を配合することもできる。
ブラックジンジャー抽出物及びラカンカ抽出物のアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に対する配合量としては、下記の範囲を例示することができる。
(ブラックジンジャー抽出物)
飲料中のブラックジンジャー抽出物に特異的に含まれるポリメトキシフラボンの量(総量)に換算して、0.04~80ppm(質量百万分率濃度、以下同じ。)、好ましくは0.04~4ppm、より好ましくは0.4~4ppm
なお、ブラックジンジャー抽出物由来のポリメトキシフラボンとしては、下記を挙げることができる(非特許文献1参照):
1)5,7-ジメトキシフラボン
2)5,7,4’-トリメトキシフラボン
3)3,5,7-トリメトキシフラボン
4)3,5,7,4’-テトラメトキシフラボン
5)5,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン
6)3,5,7,3’,4’-ペンタメトキシフラボン。
また、ブラックジンジャー抽出物に含まれるこれらの各ポリメトキシフラボンの量は、液体クロマトグラフィーを用いて測定することができる。詳細には後述する実施例の欄に記載するように、液体クロマトグラフィーで測定される各ポリメトキシフラボンのピーク面積を、対応するポリメトキシフラボンの標準品のピーク面積と対比することで定量することができる。
(ラカンカ抽出物)
飲料中のモグロシドV(以下、MogVと略記する)含有量が0.00002~0.004質量%の範囲になる割合、好ましくは0.0001~0.004質量%、より好ましくは0.0001~0.0025質量%。
本発明によるアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料は、好ましくは、容器詰飲料として提供される。本発明によるアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に使用される容器は、飲料の充填に通常使用される容器であればよく、例えば、金属缶、樽容器、プラスチック製ボトル( 例えば、PETボトル、カップ)、紙容器、瓶、パウチ容器等が挙げられるが、好ましくは、金属缶・樽容器、プラスチック製ボトル、瓶である。
以上、本明細書において、「含む」及び「含有する」の用語には、「からなる」及び「から実質的になる」という意味が含まれる。
以下、本発明の構成及び効果について、その理解を助けるために、実験例を用いて本発明を説明する。但し、本発明はこれらの実験例によって何ら制限を受けるものではない。
以下の実験は、特に言及しない限り、室温(25±5℃)、及び大気圧条件下で実施した。
また、各実験例で採用した被験者はいずれも、飲食品の風味やフレーバーの官能評価に従事し訓練して社内試験に合格した官能評価適格者である。各被験者は各実験にあたり、被験対象の飲料のうち、コントロール飲料を飲用し、各飲料のアルコール感(口腔内及び嚥下した際に感じるアルコール様の感覚、具体的には清涼感や爽快感、好ましくは、舌に感じられる清涼感や、舌や喉の奥に低く染み渡る刺激やであり重たい感覚)を確認し、被験者間同士でその感覚とその程度を確認しあった後、評価基準を摺り合わせて、各自の内的基準が互いに等しくなるように調整した。
以下の実験例で使用した原料は下記の通りである。
・ ナリンギン
・ 糖転移ナリンギン
林原株式会社製「ナリンビッド」
・ キナ抽出物
・ 苦丁茶抽出物
(5)ピペリン
(6)メンチルイソバレレート
(7)メンチル 3-ヒドロキシブチレート
(8)メンチルラクテート
(9)メンチルアセテート
(10)フーゼルオイル
イソペンタノール70~85%、イソブタノール10~25%、ブタノール1~3%、プロパノール1~10%、エタノール1%未満の割合で含む。
(11)ブラックジンジャー抽出物
丸善製薬株式会社製
ブラックジンジャー(クラチャイダム)根茎部の乾燥物を含水エタノール抽出し、ろ過濃縮後にデキストリン及びシクロデキストリンを加え噴霧乾燥した粉末製剤。粉末製剤中にポリメトキシフラボンを8質量%の割合で含む。
(12)ラカンカ抽出物
サンナチュレ(登録商標)M50(乾燥粉末製品、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)。羅漢果の生果実(未乾燥果実)を水で抽出した後、濾過して回収した水抽出液を脱色及び濃縮した後、スプレードライにより乾燥粉末としてモグロシドVを50%の割合で含むように調製された、ショ糖の約300倍の甘味を有する高甘味度甘味料。
実験例1 アルコール飲料のアルコール感増強効果の評価(No.1)
エタノール3体積%水溶液に表1に記載する素材を添加した被験試料(実施例1-1~及び1-2、比較例1-1~1-4)を調製し、品温を10℃に調整した後、4名の被験者に各被験試料を摂取させた。
被験試料のアルコール感の強さを、下記の基準に従い各被験者にスコアを付けさせた。
[評価基準]
5点:エタノール5体積%水溶液と同等のアルコール感を有する。
4点:エタノール4体積%水溶液より強いがエタノール5体積%水溶液より弱いアルコール感を有する。
3点:エタノール4体積%水溶液と同等のアルコール感を有する。
2点:エタノール3体積%水溶液より強いがエタノール4体積%水溶液より弱いアルコール感を有する。
1点:エタノール3体積%水溶液と同等のアルコール感を有する。
被験試料の評価結果を表2に示す。
表2に示すように、各素材を単独で添加した比較例1-1~1-4に比べ、素材を組み合わせて添加した実施例1-1及び1-2ではエタノールそのものが有するアルコール感を増強する効果が優れることが確認された。特に、サンナチュレM50及びブラックジンジャー抽出物を含む実施例1-2では、エタノール5体積%水溶液と同等のアルコール感が得られることが確認された。
実験例2 アルコール飲料のアルコール感増強効果の評価(No.2)
被験試料(実施例2-1及び2-2)として、表3及び4に記載する素材を添加した炭酸無添加のレモンチューハイ(アルコール度数3%換算)を調製し、品温を10℃に調整した後、実験例1と同様に、4名の被験者に各被験試料を摂取させ、被験試料のアルコール感の強さを評価させた。

(※1)「(F)レモン香料722」三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製
被験試料のアルコール感の強さについて、下記の基準に従い4名の被験者にスコアをつけさせた。
[評価基準]
5点:エタノール5体積%コントロール(参考例3)と同等のアルコール感を有する。
4点:エタノール4体積%コントロール(参考例2)より強いがエタノール5体積%コントロール(参考例3)より弱いアルコール感を有する。
3点:エタノール4体積%コントロール(参考例2)と同等のアルコール感を有する。
2点:エタノール3体積%コントロール(参考例1)より強いがエタノール4体積%コントロール(参考例2)より弱いアルコール感を有する。
1点:エタノール3体積%コントロール(参考例1)と同等のアルコール感を有する。
被験試料の評価結果を表5に示す。
表5に示すように、素材を組み合わせて添加した実施例2-1及び2-2ではエタノールそのものが有するアルコール感を増強する効果が優れることが確認された。特に、サンナチュレM50及びブラックジンジャー抽出物を含む実施例2-2では、より優れたアルコール感増強効果が得られることが確認された。
実験例3 アルコール飲料のアルコール感増強効果の評価(No.3)
被験試料(実施例3)として、表6及び7に記載する素材を添加した炭酸ありレモンチューハイ(アルコール度数3%換算)を調製し、品温を10℃に調整した後、実験例1と同様に、4名の被験者に各被験試料を摂取させ、被験試料のアルコール感の強さを評価させた。
被験試料のアルコール感の強さについて、下記の基準に従い各被験者にスコアをつけさせた。
[評価基準]
5点:エタノール5体積%コントロール(参考例6)と同等のアルコール感を有する。
4点:エタノール4体積%コントロール(参考例5)より強いがエタノール5体積%コントロール(参考例6)より弱いアルコール感を有する。
3点:エタノール4体積%コントロール(参考例5)と同等のアルコール感を有する。
2点:エタノール3体積%コントロール(参考例4)より強いがエタノール4体積%コントロール(参考例5)より弱いアルコール感を有する。
1点:エタノール3体積%コントロール(参考例4)と同等のアルコール感を有する。
被験試料の評価結果を表8に示す。
表8に示すように、素材を組み合わせて添加した実施例3ではエタノールそのものが有するアルコール感を増強する効果が優れることが確認された。
実験例4 アルコールテイスト飲料のアルコール感増強効果の評価(No.4)
被験試料(実施例4)として、表9及び10に記載する素材を添加したノンアルコールレモンチューハイ(炭酸無添加)を調製し、品温を10℃に調整した後、実験例1と同様に、4名の被験者に各被験試料を摂取させ、被験試料のアルコール感の強さを評価させた。
被験試料のアルコール感の強さについて、下記の基準に従い各被験者にスコアをつけさせた。
[評価基準]
3点:コントロール(参考例7)よりもアルコール感を有する。
2点:コントロール(参考例7)よりもややアルコール感を有する。
1点:コントロール(参考例7)と同等のアルコール感を有する。
被験試料の評価結果を表11に示す。
表11に示すように、素材を組み合わせて添加した実施例4では、アルコールを実質的に含んでいないにもかかわらずアルコール飲料を飲用したかのような擬似的感覚を付与する作用があることが確認された。
実験例5 アルコールテイスト飲料のアルコール感増強効果の評価(No.5)
被験試料(実施例5)として、表12及び13に記載する素材を添加したノンアルコールレモンチューハイ(炭酸添加)を調製し、品温を10℃に調整した後、実験例1と同様に、4名の被験者に各被験試料を摂取させ、被験試料のアルコール感の強さを評価させた。
被験試料のアルコール感の強さについて、下記の基準に従い各被験者にスコアをつけさせた。
[評価基準]
3点:コントロール(参考例8)よりもアルコール感を有する。
2点:コントロール(参考例8)よりもややアルコール感を有する。
1点:コントロール(参考例8)と同等のアルコール感を有する。
被験試料の評価結果を表14に示す。
表14に示すように、素材を組み合わせて添加した実施例5では、アルコールを含有しないアルコールテイスト飲料が有するアルコール感についても増強する作用があることが確認された。
実験例6 アルコール飲料のアルコール感増強効果の評価(No.6)
エタノール3体積%水溶液に表15に記載する素材を添加した被験試料(実施例5-1~5-7)を調製し、品温を10℃に調整した後、4名の被験者に各被験試料を摂取させた。
被験試料のアルコール感の強さを、実験例1と同じ基準に従い各被験者にスコアを付けさせた。被験試料の評価結果を表16に示す。
表16に示すように、各素材を組み合わせて添加した実施例5-1~5-7ではエタノールそのものが有するアルコール感を増強する効果が優れることが確認された。
(苦味物質)
苦味物質は、味覚に苦味を知覚せしめる物質であれば特に制限されず、天然物を抽出した物を用いることもできるし、市販される食品添加物(苦味料など)を配合することもできる。具体的には、例えば、ナリンギン、糖転移ナリンギン、キナ抽出物、苦丁茶抽出物、クエン酸エステル類(例えトリブチルシトレート、トリエチルシトレート等)、クワシン、ホップ由来成分、カフェイン等を挙げることができるが、ナリンギン、糖転移ナリンギン、キナ抽出物、苦丁茶抽出物及びトリブチルシトレートからなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。
ナリンギンは、ナリンゲニン(5,7,4´-トリヒドロキシフラバノン)の7位の水酸基にL-ラムノシル-(α1→2)-グルコースがβ結合した構造を有するフラボノイド配糖体の一種であり、柑橘果皮などに多く含まれる苦味を呈する化合物であって、ナリンジンとも呼ばれる。また、酵素処理によりナリンギンにグルコースを付加することで水溶性を向上させた糖転移ナリンギンも知られており、市販品としては例えば林原株式会社製の「ナリンビッド」が挙げられる。 キナ抽出物は、例えば、キナ属植物〔例えば、アカキナ(Cinchona succirubra)〕の樹皮などと、精製水、エチルアルコール、1,3-ブチレングリコールなどの抽出溶媒とを用いて抽出を行なうことによって得られ、市販品を用いてもよい。
苦丁茶抽出物は、例えば、苦丁茶の基原植物の一部又は全部を水蒸気蒸留し、水蒸気蒸留工程後に残った基原植物の一部又は全部を、水又は水と水溶性有機溶媒との混合液を用いて抽出処理し、抽出液を回収することによって得られ、市販品を用いてもよい。
トリブチルシトレートは、ヒドロキシ酸エステル類のなかのクエン酸エステル類の1種である。
上記有効成分は個々にアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に配合してもよいし、製剤化したものを配合してもよく、その添加方法は、特に制限はされない。例えば、アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に本発明に係る有効成分をそのまま添加することができるが、水、アルコール、グリセリン、プロピレングリコール等の単独又は混合の溶剤に溶解させた希釈液剤としてアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に添加してもよい。また、例えば、本発明に係る有効成分を、天然香料・合成香料などを原料素材とする香料組成物に配合した製剤としてアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に添加してもよく、更に、例えば、上記有効成分をデキストリン等の賦形剤を用いて噴霧乾燥した粉末製剤としてアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に添加してもよい。

Claims (9)

  1. アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料のアルコール感を増強する方法であって、アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に苦味物質、ピぺリン、メンチルエステル及びフーゼルオイルを配合することを特徴とする、前記方法。
  2. 苦味物質がナリンギン、糖転移ナリンギン、キナ抽出物、苦丁茶抽出物及びトリブチルシトレートからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の方法。
  3. メンチルエステルがメンチルイソバレレート、メンチルラクテート、メンチルアセテート及びメンチル 3-ヒドロキシブチレートからなる群より選択される1種以上である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 苦味物質、ピぺリン、メンチルエステル及びフーゼルオイルを含有する、アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料に対するアルコール感増強剤。
  5. 苦味物質がナリンギン、糖転移ナリンギン、キナ抽出物、苦丁茶抽出物及びトリブチルシトレートからなる群より選択される1種以上である、請求項4に記載のアルコール感増強剤。
  6. メンチルエステルがメンチルイソバレレート、メンチルラクテート、メンチルアセテート及びメンチル 3-ヒドロキシブチレートからなる群より選択される1種以上である、請求項4又は5に記載のアルコール感増強剤。
  7. ナリンギン、ピぺリン、メンチルイソバレレート及びフーゼルオイルを含有する、アルコール飲料またはアルコールテイスト飲料。
  8. 苦味物質がナリンギン、糖転移ナリンギン、キナ抽出物、苦丁茶抽出物及びトリブチルシトレートからなる群より選択される1種以上である、請求項7に記載のアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料。
  9. メンチルエステルがメンチルイソバレレート、メンチルラクテート、メンチルアセテート及びメンチル 3-ヒドロキシブチレートからなる群より選択される1種以上である、請求項7又は8に記載のアルコール飲料またはアルコールテイスト飲料。
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