JP2023532595A - カルシウム活性化塩素イオンチャネルペプチド活性化剤の治療的使用 - Google Patents

カルシウム活性化塩素イオンチャネルペプチド活性化剤の治療的使用 Download PDF

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Abstract

本開示は、カルシウム活性化塩素イオンチャネルペプチド活性化剤及びこの治療的使用に関する。

Description

本開示は、カルシウム活性化塩素イオンチャネルペプチド活性化剤及びこの治療的使用に関する。
アノクタミンタンパク質スーパーファミリーに属するカルシウム活性化塩素イオンチャネル(CaCC)は、とりわけシグナル伝達、心臓及び神経細胞の興奮性の制御、上皮分泌、並びに筋収縮を含む、細胞生理学における主要な役割を果たす(Hartzellら、2005; Pedemonte及びGalietta、2014)。この広範囲にわたる機能を考慮すると、塩素イオンチャネル機能不全により幅広い範囲にわたる疾患が引き起こされる。このような多様な病態は、嚢胞性線維症、例えば、シェーグレン症候群において生じ、放射線障害に起因する唾液腺機能不全、ドライアイ症候群、ドライマウス、胃腸運動低下疾患、及び心不整脈を含む。
TMEM16Aは、最初に同定されたこのスーパーファミリーのメンバーであった(Caputoら、2008; Schroederら、2008; Yangら、2008)。TMEM16Aの構造は最近解明され、このチャネルは、1サブユニットあたり膜貫通ドメイン10個とともに、フェレドキシン様フォールディングの形をとる広範囲の細胞内ドメインからなるホモ二量体であると定義された(Dangら、2017)。それでも、このチャネルでは、βサブユニットは、これまで同定されていなかった。
いくつかのTMEM16Aアゴニストが同定されている。例えば、低分子のコレクションの機能細胞に基づくスクリーニングにより、TMEM16Aを活性化することが報告されている低分子の同定が可能となる(Namkung, W.らFASEB J. 2011、25、4048~4062頁;国際公開第2013/002793号)。しかし、このような化合物は、内因性TMEM16Aを細胞において活性化することができない可能性がある(Centeio R.らInt. J. Mol. Sci. 2020、21、2557)。
したがって、Ca2+-活性化塩素イオンチャネルをカルシウムの存在とは独立的に特異的に活性化し、Cl-コンダクタンスの持続的活性化をもたらす、新たな化合物を発見する必要性が残存している。
KCNE1は、単一の短い疎水性細胞膜貫通ドメイン並びに細胞内及び細胞外側にそれぞれ面するカルボキシ及びアミノ末端ドメインを有する129残基のペプチドである(Takumi, T.,ら2018、Science、242、1042~1045頁)。アフリカツメガエル卵母細胞に注入すると、KCNE1により、K+電流の緩徐な活性化がもたらされる(Takumi, T.,ら2018、Science、242、1042~1045頁)。このため、KCNE1は当初、K+チャネルをコード可能な最小配列であると考えられていた(Goldstein, S.A.,及びMiller, C. 1991、Neuron 7、403~408頁; Wang, K.W.,及びGoldstein, S.A. 1995. Neuron 14、1303~9頁)。他の異種細胞モデルにおける実験では、KCNE1単独の発現により、哺乳動物細胞株において電流を誘導することが不可能であるため、この知見は疑問視された(Lesage, F.,ら1993、Receptors Channels、1、143~152頁)。この謎は、アフリカツメガエル卵母細胞が、KCNE1により調節される内因性KCNQ1チャネルを発現するという発見により解決した(Barhanin, J.ら1996. Nature 384、78~80頁; Sanguinetti, M.C.ら1996、Nature 384、80~83頁)。このような実験により、KCNE1が、心筋活動電位(IKs)における緩徐な再分極成分の根底にある電位依存性カリウムKCNQ1チャネルのαサブユニットはコードしていないが、付属的(β)サブユニットはコードしていることが示された(Barhanin, J.ら1996. Nature 384、78~80頁; Sanguinetti, M.C.ら1996、Nature 384、80~83頁)。上記のK+電流に加えて、電位依存性Cl-電流が、アフリカツメガエル卵母細胞へのKCNE1のcRNAの注入時に観察され(Attali, B.ら1993. Nature 365、850~852頁)、これまでは、この電流の分子同一性は定義困難なままであった。
国際公開第2013/002793号 米国特許出願公開第2007/0184015号、SoonKap Hahnら
Namkung, W.らFASEB J. 2011、25、4048~4062頁 Centeio R.らInt. J. Mol. Sci. 2020、21、2557 Takumi, T.,ら2018、Science、242、1042~1045頁 Goldstein, S.A.,及びMiller, C. 1991、Neuron 7、403~408頁 Wang, K.W.,及びGoldstein, S.A. 1995. Neuron 14、1303~9頁 Lesage, F.,ら1993、Receptors Channels、1、143~152頁 Barhanin, J.ら1996. Nature 384、78~80頁 Sanguinetti, M.C.ら1996、Nature 384、80~83頁 Attali, B.ら1993. Nature 365、850~852頁 http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/ http://www.ebi.ac.uk/Tools/emboss/ Catalan MA,らProc Natl Acad Sci U S A. 2015;112(7):2263~8頁 Romanenkoら、2010. J. Biol. Chem. 285、12990~13001頁 RiordanらScience 245:1066~73頁、1989 Jainら、2011. Nature 473、484~488頁 Callejo 2015、Pain; 156(3):483~495頁 Kovacs、2016、Pain. ;157(2):399~417頁 Davis, A.J.ら2013. Br J Pharmacol. 168、773~784頁 Seo, Y.ら2016、PLoS One 11、e0155771 Cao, Y.J.,及びHouamed, K.M、1999. FEBS Lett 446、137~141頁 Levitz, J.ら2016. Proc Natl Acad Sci U S A. 113、4194~4199頁 Royal, P.ら2019. Neuron. 101、232~245頁.e236 Ulbrich, M.H.,及びIsacoff, E.Y. Nat Methods、4、319~2 321 Zacharias, D.A.ら2002. Science、296、913~916頁 Dang, S.ら2017. Nature. 552、426~429頁 Takumi, T.ら1988. Science、242、1042~1045頁 Barriere, H.ら2003. J Membr Biol. 193、153~170頁 Faria, D.ら2014. Kidney Int. 85、1369~1381頁 Vallon, Vら2001. J Am Soc Nephrol、12、2003~2011頁 Sala-Rabanal, M.ら2017. J Biol Chem、292、9164~9174頁 Crump, S.M.,及びAbbott, G.W. 2014. Front Genet 5、3 Adelman、1995、Curr Opin Neurobiol. 5、286~295頁 Cannon、2007、Neurotherapeutics. 4、174~183頁 Vergultら、2015、Eur J Hum Genet. 23、628~632頁 Sanguinettiら、1995、Cell. 81、299~307頁 Marionneauら、2012. J Neurosci. 32、5716~5727頁 Nguyenら、2012. Proc Natl Acad Sci U S A. 109、18577~18582頁 Moranら、2015、J Exp Biol. 218、515~525頁 Morin及びKobertz、2008. Proc Natl Acad Sci U S A. 105、1478~1482頁 Murrayら、2016. Elife. 5 Nakajoら、2010. Proc Natl Acad Sci U S A. 107、18862~18867頁 Plantら、2014. Proc Natl Acad Sci U S A. 111、E1438~1446頁 Hegyiら、2017. Ca. J Mol Cell Cardiol 109、27~37頁 Arikkath及びCampbell、2003. Curr Opin Neurobiol. 13、298~307. J Biol Chem. 271、27975~27978頁 Gurnett及びCampbell、1996. Neuron. 7、403~408頁 Trimmer、1998. Curr Opin Neurobiol. 8、370~374頁
発明者らは、30年前に記載されたように(Attali,B.ら1993. Nature 365、850~852頁)、KCNE1が、ポア形成TMEM16Aサブユニットのβサブユニットとして作用してKCNE1誘導Cl-電流が誘導され、Ca2+によってはもはや開閉制御されないが、電位によっては独占的に開閉制御されると仮定した。異種及び天然の系における電気生理学並びに単一分子プルダウンアッセイを使用して、発明者らは、KCNE1が、TMEM16Aと物理的に相互作用し、細胞質Ca2+が上昇しない条件下で、持続的な電位依存性塩素イオン電流を誘導することを実証する。重要なことには、発明者らは、一般的S38G多型を含む、KCNE1制御ドメインにおいて臨床的に関連する遺伝的多型によってTMEM16AのKCNE1依存的制御が無効となり、この電流が遺伝的病態の一因となり得ることを示すことを見出した。
本発明は、L-A-R-X1-S-X2-X3-X4-X5の配列(配列番号3)を含むか又はこれからなる、医薬としての使用のためのTMEM16Aペプチド活性化剤であって、このX1がアルギニン、リジン又はヒスチジンであり、X2がプロリン又はグルタミンであり、X3がアルギニン又はロイシンであり、X4がセリン又はアルギニンであり、X5がグリシン又はアスパラギン酸である、TMEM16Aペプチド活性化剤に関する。
特には、ペプチドは、L-A-R-X1-S-X2-X3-X4-X5-D-X6-K-Lの配列(配列番号4)を含むか又はこれからなり、ここで、このX1がアルギニン、リジン又はヒスチジンであり、X2がプロリン又はグルタミンであり、X3がアルギニン又はロイシンであり、X4がセリン又はアルギニンであり、X5がグリシン又はアスパラギン酸であり、X6がグリシン又はセリンである。
好ましい実施形態では、本発明による使用のためのこのペプチドは、L-A-R-R-S-P-R-S-Sのアミノ酸配列(配列番号1)又はこの機能性バリアント、より好ましくは、L-A-R-R-S-P-R-S-S-D-G-K-Lのアミノ酸配列(配列番号2)又はこの機能性バリアントを含む。別の好ましい実施形態では、このペプチドは、8~100アミノ酸残基、好ましくは、8~20アミノ酸残基、より好ましくは、13~20アミノ酸残基のペプチドである。本発明による使用のためのペプチドは、配列番号1又は2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ配列を含むか又はこれからなり、より詳細には、配列番号1又は2と比較して3つ以下のアミノ酸残基の保存的置換を有するアミノ酸配列を含むか又はこれからなるアミノ酸配列を含むか又はこれからなる。
別の態様では、本発明は、医薬としての使用のための、上記のペプチドをコードする核酸、又はこの核酸を含む発現ベクターに関する。
好ましい実施形態では、ペプチド、核酸又は発現ベクターは、塩素イオンチャネル機能不全に起因する疾患、好ましくは、TMEM16-Aチャネル機能不全に起因する疾患、より好ましくは、嚢胞性線維症、ドライマウス、ドライアイ症候群、心不整脈、及び胃腸運動低下疾患からなる群から選択される疾患、好ましくは、ドライアイ症候群の治療における使用のためのペプチド、核酸又は発現ベクターである。
別の態様では、本発明はまた、上記のペプチド、核酸又は発現ベクター及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。本発明はまた、配列番号1若しくは2のアミノ酸配列、又は配列番号1若しくは2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ配列を含む、8~100アミノ酸残基、好ましくは、8~20アミノ酸残基、より好ましくは、13~20アミノ酸残基のペプチドに関する。
最終的には、本発明はまた、上記のペプチド、核酸又は発現ベクターの塩素イオンチャネル活性化剤としての使用に関する。
KCNE1により、CaCC TMEM16Aが電位依存性塩素イオンチャネルに転換されることを示す図である。(A)HEK293T細胞におけるKCNE1若しくはTMEM16A又はTMEM16A及びKCNE1両方のいずれかの発現の作用を示す代表的電流トレースである。トレースは、-80mVの保持電位から20mV間隔で-100~+100mVのパルスを使用して作製した。(B)+100mVにおいて得られた電流密度の概要である。(C~D)ニフルミン酸(NFA、100μM、C)、T16A(inh)A01(10μM、C)又はAni9(300nM、D)のいずれかの適用の作用を示す代表的トレースである。(E~F)1mMのBAPTAの存在下で単独(E)又はKCNE1と同時発現した(F)TMEM16Aの代表的トレースである。電流は、ランプ電圧(-100~+100mV、持続時間1s)により誘発した。挿入図は、+100mVにおいて得られた電流密度の概要を示す。マン・ホイットニー検定(**p<0.01、***p<0.001)。平均値±SEM。 KCNE1発現により細胞内Ca2+の上昇が引き起こされないことを示す図である。(A)SK4及び空ベクター又はKCNE1のいずれかを種々のCa2+濃度でトランスフェクトしたHEK293T細胞から得られた代表的電流トレースである。SK4電流は、KCNE1同時発現により活性化されず、細胞内カルシウムが上昇しないことを示す。トレースは、-80mVの保持電位から-100~+100mVのパルスを使用して作製した。(B)+100mVにおいて得られた電流密度の概要である。マン・ホイットニー検定(**p<0.05、***p<0.001)。平均値±SEM。 KCNE1及びTMEM16Aが2α:2β複合体において相互作用することを示す図である。(A)TMEM16Aの単一分子プルダウン(SiMPull)アッセイの模式図である。TMEM16A-GFP及びHA-タグ化KCNE1を同時発現するHEK293T細胞の溶解物を、ビオチン化抗HA抗体にコンジュゲートさせたPEG不動態化カバーガラス上に固定化した。(B)HA-KCNE1によるTMEM16A-GFPのプルダウンを示す単一分子の代表的TIRF画像である。(C)TMEM16A-GFPの2つの光退色工程(赤色の矢)を示す代表的トレースである(AUは任意単位)。(D)TMEM16A-GFPの光退色工程分布の概要である。(E~H)HA-TMEM16AによるKCNE1-GFPのSiMPullについての(A~D)と同様の図である。(I~L)抗HA抗体の特異性を示す。(I~J)HA-KCNE1の非存在下におけるTMEM16A-GFPによるSiMPullアッセイを示す。(K~L)HA-TMEM16Aの非存在下におけるKCNE1-GFPによるSiMPullアッセイを示す。 KCNE1-TMEM16A複合体により、近位曲尿細管(PCT)細胞において電位依存性塩素イオン電流が生成されることを示す図である。(A)野生型及びkcne1-/-PCT細胞から得られた代表的トレースである。(B~D)NFA(100μM、B)、A01(10μM、C)、Ani9(5μM、D)とのインキュベーション後に野生型細胞から得られた代表的トレースである。(E)TMEM16Aに対するsiRNAによるトランスフェクション後に得られたトレースである。(F)KCNE1 cDNAによるトランスフェクション後にkcne1-/-PCT細胞から得られたトレースである。電流は、ランプ電圧(-100~+100mV、持続時間1s)により生成した。挿入図は、電流密度を示す。マン・ホイットニー検定(***p<0.001)。平均値±SEM。 KCNE1の前膜貫通ドメイン(Nter13)が、KCNE1により誘導されるTMEM16Aの転換に十分な能力を有することを示す図である。(A)TMEM16A相互作用に関係づけられるドメインの決定に使用したKCNE1切断型を示す模式図である。(B~C)TMEM16A及びKCNE1ΔCt、KCNE1ΔNt(B)、KCNE1ΔNt16又はKCNE1ΔNt30(C)を同時発現するHEK293T細胞から得られた代表的トレースである。(D)TMEM16A単独を発現するHEK293T細胞に対するNter13及びスクランブルペプチドの作用を示す代表的トレースである。電流は、ランプ電圧(-100~+100mV、持続時間1s)により誘発した。挿入図は、+100mVにおいて種々の条件について得られた電流密度の概要を示す。マン・ホイットニー検定(***p<0.001)。平均値±SEM。 Nter13ペプチドがTMEM16Aの機能モードを転換するのに十分な能力を有することを示す図である。(A)Nter13ペプチド(100μM)の適用及び洗浄後に得られた、TMEM16Aを内因的に発現するアフリカツメガエル卵母細胞の代表的電流トレースである。(B)TMEM16A単独を発現するHEK293T細胞に対するNter13ペプチド適用(100μM)の作用及びそのAni9(5μM)による逆転を示す代表的トレースである。(C)HEK293T細胞におけるTMEM16A電流に対する経時的な、Nter13ペプチドの後、Ani9の同時適用による阻害の作用を示す。(D)TMEM16Aを発現するHEK293T細胞において種々のペプチド濃度について観察された電流密度を表す濃度応答曲線である。平均値±SEM。 KCNE1 S38G及びR32HによりKCNQ1制御は障害されないが、TMEM16A制御が無効となることを示す図である。(A)野生型KCNQ1単独をトランスフェクトし、KCNE1又はKCNE1R32H若しくはKCNE1S38Gを同時トランスフェクトした細胞のホールセルパッチクランプ記録の電流トレースである。(B)+40mVにおいて種々の条件について得られた電流密度の概要である。(C~D)KCNE1及びTMEM16Aを同時発現する細胞によるA~Bと同様の図である。電流密度は、+100mVにおいて算出した。マン・ホイットニー検定(**p<0.05、***p<0.001)。平均値±SEM。 hS38GペプチドがTMEM16Aに対する作用を有しないことを示す図である。(A)hN13(配列番号2)及びhS38G配列(配列番号5)の比較である。(B)TMEM16Aを発現するHEK293T細胞に対するhN13(100μM)又はhS38G(100μM)のいずれかの灌流を示す。電流をランプ電圧(-100~+100mV、持続時間1s)により誘発し、電流を+100mvにおいて取得した。平均値±SEM。 hN13ペプチドがTMEM16Aに対してrN13よりも強力であることを示す図である。(A)hN13(配列番号2)及びrN13配列(配列番号6)の比較である。(B)TMEM16Aを発現するHEK293T細胞に対するhN13(100μM)又はrN13(100μM)のいずれかの灌流を示す。(C~D)アフリカツメガエル卵母細胞に対するhN13(100μM、C)又はrN13(100μM、D)のいずれかの灌流の後、Ani-9(5μM)適用の作用を示す代表的電流を示す。電流をランプ電圧(-100~+100mV、持続時間1s)により誘発し、電流を+100mvにおいて取得した。平均値±SEM。 流涙率に対するN13ter、ビヒクル、アミロライド及びスクランブルペプチドの作用の比較を示す図である。比較目的のために、データは、各眼について基底流涙率(100%)に対して正規化し、各群において平均した。A)N13ter又はスクランブルペプチド(ともに10mM)を0hにおいて局所的に適用し、1、3、6、12及び24hにおいて流涙率を測定した。N13ter(n=20眼、ラット10匹)、スクランブル(n=20眼、ラット10匹)。*p<0.05対スクランブル群、Two-wayANOVAに加えてボンフェローニの事後検定。#p<0.05対基底、One-wayANOVAに加えてボンフェローニの事後検定。B)B(基底流涙率)。PBS、アミロライド(1mM)又はN13ter(10mM)を0hにおいて局所的に適用し、1、3、6、12及び24h流涙率を測定した。ビヒクル(n=14眼、ラット14匹)、アミロライド(n=14眼、ラット7匹)、N13ter(n=12眼、ラット6匹)。*p<0.05 N13対ビヒクル群、Two-wayANOVAに加えてボンフェローニの事後検定。#p<0.05対基底、One-wayANOVAに加えてボンフェローニの事後検定。 流涙率に対するN13ter対ビヒクルの急性的作用の比較を示す図である。N13terペプチド(10mM)を定量する種々の試験に関するすべてのデータは、単一群においてまとめた(ラット16匹によるn=32眼)。ビヒクル群(ラット7匹によるn=14眼)。比較目的のために、データは、各眼について基底流涙率(100%)に対して正規化し、各群において平均した。*p<0.05、***p<0.001、N13ter対ビヒクル群、Two-wayANOVAに加えてボンフェローニの事後検定。#p<0.05 N13ter対基底(B)、One-wayANOVAに加えてボンフェローニの事後検定。 ドライアイモデルにおける流涙率に対するN13terペプチド又はビヒクルの作用を示す図である。B(手術前基底流涙率)。1~5週目(眼窩外涙腺の外科的除去後1、2、3、4及び5週目に流涙率を測定)。5週の流涙率の値を基底として使用して、ペプチド適用後の種々の時点と比較した。N13terペプチド(10mM)又はビヒクル(PBS)を0hにおいて局所的に適用し、1、3、6、12及び24hにおいて流涙率を測定した。N13ter(n=14眼、ラット9匹)、ビヒクル(n=12眼、ラット8匹)。**p<0.01対ビヒクル群、Two-wayANOVAに加えてボンフェローニの事後検定。"p<0.01対5週の基底、One-wayANOVAに加えてボンフェローニの事後検定。
発明者らは、KCNE1サブユニットが、TMEM16-Aカルシウム活性化塩素イオンチャネルと相互作用してCl-コンダクタンスが活性化され、TMEM16-Aがカルシウム依存性から電位依存性チャネルへ転換されることを示した。特には、発明者らは、KCNE1の膜貫通ドメインに更に近いKCNE1のN末端断片により、TMEM16-AチャネルCl-コンダクタンスに対するKCNE1の作用が再現されることを示した。
カルシウム依存性塩素イオンチャネルペプチド活性化剤
したがって、本開示は、TMEM16Aに結合し、塩素イオンコンダクタンス活性化を誘導するKCNE1タンパク質の機能性N末端断片を含むか又はこれからなる、本明細書においてTMEM16Aペプチド活性化剤とも名付けるカルシウム依存性塩素イオンチャネルペプチド活性化剤に関する。
「カルシウム依存性塩素イオンチャネル活性化剤」により、カルシウム依存性塩素イオンチャネルに結合し、Cl-コンダクタンスを上昇させる化合物を意味する。本開示によれば、このカルシウム依存性塩素イオンチャネル活性化剤は、TMEM16Aに結合し、Cl-コンダクタンスを上昇させる。
本明細書では、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」の用語は、互換的に利用し、この鎖を形成するアミノ酸の数にかかわらず、ペプチド結合により連結するアミノ酸の鎖を指す。
ISK、JLNS、LQT5、MinK、JLNS2又はLQT2/5ヒト遺伝子(遺伝子ID: 3753、2020年6月1日更新)としても知られるカリウム電位依存型チャネルサブファミリーE制御サブユニット1(KCNE1)は、129個のアミノ酸のタンパク質をコードする(NCBI参照: NP_000210.2)。
本開示によるTMEM16-A活性化ペプチドは、ヒトKCNE1タンパク質配列(NCBI参照: NP_000210.2)の30~38番目(配列番号1)、好ましくは、30~42番目(配列番号2)(Nter 13ペプチド)の連続するアミノ酸残基を含むか又はこれらからなる。
KCNE1 N末端断片は良く保存されているため、他の動物種に起源を有する断片、例えば、マウス又はラットKCNE1タンパク質を使用することができる。ヒトKCNE1タンパク質の位置に対応するKCNE1アミノ酸の位置は、配列アラインメントにより容易に同定することができる。
例えば、ラットKCNE1タンパク質配列(NCBI参照配列: NP_0371105.1)の31~39、好ましくは、31~43番目の連続するアミノ酸残基を含むか又はこれらからなるTMEM16-A活性化ペプチドも使用することができる。有利には、TMEM16Aペプチド活性化剤は、ヒトN末端KCNE1断片を含むか又はこれからなり、ヒトTMEM16Aに結合する。
特定の実施形態では、本開示によるペプチドは、上に開示するTMEM16Aペプチド活性化剤の機能性バリアントであり得る。
本明細書において使用する場合、「TMEM16Aペプチド活性化機能性バリアント」の用語は、上記のTMEM16Aペプチド活性化剤に由来するポリペプチド配列を指し、1つ又は複数の(いくつかの)位置における変更、即ち、置換、挿入、及び/又は欠失を含むが、TMEM16Aチャネルを活性化する能力を保持する。バリアントは、当技術分野において周知の種々の技術により得られ得る。天然タンパク質をコードするDNA配列を変更するための技術の例としては、部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発及び合成オリゴヌクレオチド構築が挙げられるが、これらに限定されない。
好ましくは、本明細書において使用する場合、「バリアント」又は「機能性バリアント」の用語は、配列番号1又は2のアミノ酸配列との少なくとも70、75、80、85、90、95又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。本明細書において使用する場合、「配列同一性」又は「同一性」の用語は、2つのポリペプチド配列のアラインメントの位置における一致(同一アミノ酸残基)の数(%)を指す。配列同一性は、オーバーラップ及び同一性を最大化する一方、配列ギャップを最小化するようにアラインメントする場合に、配列を比較することにより判定する。特には、配列同一性は、2つの配列の長さに応じて、多数の数学的な大域又は局所的アラインメントアルゴリズムのいずれかを使用して判定し得る。類似の長さの配列は、好ましくは、全長にわたって配列を最適にアラインメントする、大域アラインメントアルゴリズム(例えば、Needleman及びWunschのアルゴリズム; Needleman及びWunsch、1970)を使用してアラインメントし、一方、実質的に異なる長さの配列は、好ましくは、局所的アラインメントアルゴリズム(例えば、Smith及びWatermanのアルゴリズム(Smith及びWaterman、1981)又はAltschulアルゴリズム(Altschulら、1997; Altschulら、2005))を使用してアラインメントする。パーセントアミノ酸配列同一性を判定する目的のためのアラインメントを、当業者の技能範囲内の種々の方法により、例えば、インターネットウェブサイト上で入手可能な公開されているコンピュータソフトウェア、例えば、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/又はhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/emboss/を使用して達成することができる。当業者は、比較する配列の全長にわたる最大アラインメントの達成に必要とされる任意のアルゴリズムを含む、アラインメントの測定に適切なパラメータを決定することができる。本明細書における目的では、%アミノ酸配列同一性の値は、Needleman-Wunschアルゴリズムを使用した2つの配列の最適な大域アラインメントを生成するペアワイズ配列アラインメントプログラムEMBOSS Needleを使用して生成する値を指し、ここで、すべての検索パラメータは、デフォルト値、即ち、Scoring matrix = BLOSUM62、Gap open = 10、Gap extend = 0.5、End gap penalty = false、End gap open = 10及びEnd gap extend = 0.5に設定する。
好ましくは、「バリアント」又は「機能性バリアント」の用語は、5、4、3又は2つ未満の置換、挿入及び/又は欠失により配列番号1の配列とは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。
より好ましくは、「バリアント」又は「機能性バリアント」の用語は、6、5、4、3又は2つ未満の置換、挿入及び/又は欠失により配列番号2の配列とは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。
特には、機能性バリアントは、配列番号1又は2のアミノ酸配列と実質的に相同である。1つ又は複数のアミノ酸残基を生物学的に類似する残基により置換する、即ち保存的置換の場合、2つのアミノ酸配列は、「相同」、「実質的に相同」又は「実質的に類似」である。
好ましい実施形態では、機能性バリアントは、1つ又は複数の保存的置換、好ましくは、5、4、3又は2つ未満の保存的置換により配列番号1のアミノ酸配列とは異なる。
より好ましい実施形態では、機能性バリアントは、1つ又は複数の保存的置換、好ましくは、6、5、4、3又は2つ未満の保存的置換により配列番号2のアミノ酸配列とは異なる。
「置換」又は「修飾」によって、本発明では、天然に存在するアミノ酸から変更又は修飾したアミノ酸を含む。
「保存的置換」の用語は、本明細書において使用する場合、ペプチドの全体的立体構造及び機能を変更しない、別のアミノ酸残基によるアミノ酸残基の交換を意味し、類似の特性(例えば、極性、水素結合力、酸性、塩基性、形状、疎水性、芳香族性等)を有するアミノ酸とのアミノ酸の置換を含むが、これらに限定されない。
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン及びアスパラギン)、疎水性アミノ酸(メチオニン、ロイシン、イソロイシン及びバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)並びに低分子アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン及びスレオニン)の群内の置換である。
TMEM16Aチャネルを活性化するバリアントのTMEM16ペプチド活性化能は、上記のような当業者に公知の任意の方法により評価し得る。例えば、TMEM16A活性は、電気生理学アッセイの実施例に記載のパッチクランプ又は2電極電位固定(TEVC)実験により評価し得る。特には、上記の電位依存性電流を誘導するペプチド機能性バリアントの能力は、TMEM16A及びこのペプチドを同時発現するHEK293T細胞のような細胞におけるパッチクランプ実験、又はTMEM16Aを内因的に発現するアフリカツメガエル卵母細胞に対するTEVC実験により測定することができる。
好ましくは、TMEM16A活性化に重要なアミノ酸残基は、機能性バリアントにおいて保存され、この残基は、ヒトKCNE1タンパク質配列(NCBI参照: NP_000210.2 2020年7月4日受託)の32番目のアルギニン及び/又は38番目のセリンに対応する。
特定の実施形態では、このTMEM16Aペプチド活性化剤は、L-A-R-X1-S-X2-X3-X4-X5の配列(配列番号3)を含むか又はこれからなり、この
- X1は、20個のアミノ酸のいずれか1つ、好ましくは、アルギニン、リジン又はヒスチジンであり、
- X2は、20個のアミノ酸のいずれか1つ、好ましくは、プロリン又はグルタミンであり、
- X3は、20個のアミノ酸のいずれか1つ、好ましくは、アルギニン又はロイシンであり、
- X4は、20個のアミノ酸のいずれか1つ、好ましくは、セリン又はアルギニンであり、
- X5は、20個のアミノ酸のいずれか1つ、好ましくは、セリン又はアスパラギン酸である。
より好ましい実施形態では、このTMEM16Aペプチド活性化剤は、L-A-R-X1-S-X2-X3-X4-X5-D-X6-K-Lの配列(配列番号4)を含むか又はこれからなり、この
- X1は、20個のアミノ酸のいずれか1つ、好ましくは、アルギニン、リジン又はヒスチジンであり、
- X2は、20個のアミノ酸のいずれか1つ、好ましくは、プロリン又はグルタミンであり、
- X3は、20個のアミノ酸のいずれか1つ、好ましくは、アルギニン又はロイシンであり、
- X4は、20個のアミノ酸のいずれか1つ、好ましくは、セリン又はアルギニンであり、
- X5は、20個のアミノ酸のいずれか1つ、好ましくは、セリン又はアスパラギン酸であり、
- X6は、20個のアミノ酸のいずれか1つ、好ましくは、グリシン又はセリンである。
より好ましい実施形態では、このTMEM16Aペプチド活性化剤は、配列番号1又は2のアミノ酸配列を含むか又はこれからなる。
好ましくは、上記のTMEM16A活性化ペプチドは、8~100アミノ酸残基、好ましくは、8~20アミノ酸残基、より好ましくは、13~20アミノ酸残基のペプチドである。
より好ましくは、TMEM16A活性化ペプチドは、8~100アミノ酸残基、好ましくは、8~20アミノ酸残基、より好ましくは、13~20アミノ酸残基のペプチドであり、配列番号1若しくは2のアミノ酸配列、又は配列番号1若しくは2のアミノ酸配列と少なくとも70、75、80、85、90、95若しくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又は1つ若しくは複数の保存的置換、好ましくは、6、5、4、3若しくは2つ未満の保存的置換により配列番号1若しくは2のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。
ペプチド調製
本明細書に記載のペプチドは、当業者に公知の標準的合成方法、例えば、化学合成又は遺伝子組換えを使用して合成することができる。
好ましい実施形態では、ペプチドは、ペプチド結合に関与するものを除くアミノ酸官能基を縮合中に保護すると同時に、アミノ酸配列を適切な順序で既に含む事前形成した断片の縮合又は事前調製したいくつかの断片の縮合のいずれかにより、アミノ酸残基を段階的に縮合することによって得られる。特には、ペプチドは、Merrifieldにより最初に記載された方法に従って合成することができる。
化学合成技術の例は、固相合成及び液相合成である。固相合成としては、例えば、合成するペプチドのC末端に対応するアミノ酸を、有機溶剤に不溶性の支持体に結合させ、適切な保護基で保護したアミノ基及び側鎖官能基を有するアミノ酸をC末端からN末端へ順に1つずつ縮合する反応、及び樹脂又はペプチドのアミノ基の保護基に結合するアミノ酸を遊離する反応を交互に反復することにより、この様式でペプチド鎖を伸長する。固相合成方法は、使用する保護基の種類に応じて、tBoc法及びFmoc法により大きく分類される。典型的に使用される保護基としては、アミノ基ではtBoc(t-ブトキシカルボニル)、Cl-Z(2-クロロベンジルオキシカルボニル)、Br-Z(2-ブロモベンジルオキシカルボニル)、Bzl(ベンジル)、Fmoc(9-フルオレニルメトキシカルボニル)、Mbh(4,4'-ジメトキシジベンズヒドリル)、Mtr(4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル)、Trt(トリチル)、Tos(トシル)、Z(ベンジルオキシカルボニル)及びClz-Bzl(2,6-ジクロロベンジル)、グアニジノ基ではN02(ニトロ)及びPmc(2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル)、並びにヒドロキシ基ではtBu(t-ブチル)が挙げられる。所望のペプチドの合成後、これを脱保護反応に供し、固体支持体から切り離す。このようなペプチド切断反応は、Boc法ではフッ化水素又はトリフルオロメタンスルホン酸、Fmoc法ではTFAを用いて行い得る。
或いは、ペプチドは、組換え技術を使用して合成し得る。この場合、核酸構築物は、本開示によるペプチドをコードする核酸配列、上の配列のうちの1つに相補的な核酸配列を有するポリヌクレオチド、及びストリンジェント条件下でこのポリヌクレオチドにハイブリダイズする配列を含むか又はこれからなる。
本明細書に記載のペプチドのN及びC末端は、任意選択で、タンパク質分解から保護し得る。例えば、N末端は、アセチル基の形態であってもよく、及び/又はC末端は、アミド基の形態であってもよい。タンパク質分解に対して抵抗性となるペプチドの内部修飾も想定し、ここで、例えば、少なくとも-CONH-ペプチド結合を修飾し、(CH2NH)還元結合、(NHCO)レトロ・インベルソ(retro-inverso)結合、(CH2-0)メチレン-オキシ結合、(CH2-S)チオメチレン結合、(CH2CH2)カルバ結合、(CO-CH2)セトメチレン(cetomethylene)結合、(CHOH-CH2)ヒドロキシエチレン結合、(N-N)結合、E-アルセン(alcene)結合、又は-CH=CH-結合によっても置換する。
例えば、ペプチドは、アセチル化、アシル化、アミド化、架橋結合、環化、ジスルフィド結合形成、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリスチル化、酸化、リン酸化等により修飾し得る。
本発明のペプチドは、D立体配置のアミノ酸からなってもよく、これにより、ペプチドがタンパク質分解に対して抵抗性となる。また、これらは、Walenskyら、2004に記載の所謂「ステープル」技術に従って、分子内架橋結合、例えば、少なくとも2つのアミノ酸残基をオレフィン側鎖、好ましくは、C3~C8アルケニル鎖、好ましくは、ペンテン-2-イル鎖により修飾した後、鎖を化学的に架橋結合させることによって安定化し得る。例えば、i及びi+4~i+7番目のアミノ酸を、反応性オレフィン残基を示す非天然アミノ酸により置換することができる。このようなすべてのタンパク質分解抵抗性化学修飾ペプチドは、本開示に包含する。
本発明の別の態様では、ペプチドは、それらのC末端又はリジン残基によりポリエチレングリコール(PEG)分子、特には、1500又は4000MWのPEGに共有結合させて、尿クリアランス及び使用する治療用量を低下させ、血漿の半減期を延長させる。また別の実施形態では、ペプチドを生物分解性かつ生体適合性ポリマー材料に含有させて、ミクロスフィアにより薬物送達系を形成させることによって、ペプチド半減期を延長させる。ポリマー及びコポリマーは、例えば、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)である(米国特許出願公開第2007/0184015号、SoonKap Hahnらに例示)。
核酸構築物及び発現ベクター
本開示は、本開示によるTMEM16Aペプチド活性化剤をコードする核酸に更に関する。
好ましい実施形態では、TMEM16Aペプチドをコードするこの核酸は、核酸構築物に含まれ、これは、宿主細胞における本開示によるペプチドの発現(例えば、転写及び翻訳)が可能となる制御配列(例えば、適するプロモーター、エンハンサー、ターミネーター等)を更に含む。
「核酸構築物」の用語は、本明細書において使用する場合、組換えDNA技術の使用により生じる人工核酸分子を指す。核酸構築物は、天然には存在しないであろう様式で、複合及び並置した核酸配列のセグメントを含むように修飾した、1本又は2本鎖のいずれかの核酸分子である。核酸構築物は、通常、「ベクター」、即ち、外因的に生成したDNAを宿主細胞内に送達するのに使用する核酸分子である。
上記の核酸構築物は、発現ベクターに含み得る。ベクターは、自己複製ベクター、即ち、染色体外の実体として存在するベクターであってもよく、この複製は、染色体複製から独立しており、例えば、プラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体、又は人工染色体が挙げられる。ベクターは、自己複製を保証するための任意の手段を含み得る。或いは、ベクターは、宿主細胞内に導入する場合、ゲノムに組み込み、組み込んだ染色体とともに複製するベクターであり得る。
適切なベクターの例としては、組換えの組込み又は非組込みウイルスベクター及び組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA又はコスミドDNAに由来するベクターが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、ベクターは、組換えの組込み又は非組込みウイルスベクターである。組換えウイルスベクターの例としては、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス又はウシパピローマウイルスに由来するベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
好ましいが非限定的な態様では、本発明の遺伝子構築物は、ii)1つ又は複数の制御エレメント、例えば、プロモーター及び任意選択で、適するターミネーター、並びに任意選択で、iii)遺伝子構築物の1つ若しくは複数の更なるエレメント、例えば、3'-若しくは5'-UTR配列、リーダー配列、選択マーカー、発現マーカー/レポーター遺伝子、及び/又は形質転換若しくは組込み(の効率)を促進若しくは向上させるエレメントにも動作可能に結合する、i)本発明の少なくとも1つの核酸を含む。
調節配列は、上皮細胞により認識されるプロモーターを含み得る。プロモーターは、宿主細胞内への導入時にTMEM16Aペプチド活性化剤の発現を媒介する転写調節配列を含む。プロモーターは、細胞において転写活性を示す任意のポリヌクレオチドであってもよく、変異、切断、及びハイブリッドプロモーターを含む。プロモーターは、構成的又は誘導性プロモーター、好ましくは、構成的プロモーター、より好ましくは、強力な構成的なプロモーターであり得る。
別の態様では、本発明は、本開示のペプチドを発現するか(若しくは適する環境下で発現することが可能な)、及び/又は本発明の核酸構築物を含む、宿主又は宿主細胞に関する。ペプチドを生成する方法は、任意選択で、このペプチドを精製する工程、このペプチドを化学修飾する工程、及び/又はこのペプチドを医薬組成物に製剤化する工程を含む。
医薬組成物
更なる態様では、TMEM16Aペプチド活性化剤、上記のこのペプチドをコードする核酸又は発現ベクター、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物をも本開示において提供する。
薬学的に許容される賦形剤は、投与経路、及び活性成分、例えば、ペプチド、核酸又は発現ベクターの性質に従って選択される。本明細書において使用する場合、「薬学的に許容される」の用語は、動物及び/又はヒトにおける使用について規制機関又は認められた薬局方、例えば、欧州薬局方により承認されることを意味する。「賦形剤」の用語は、治療剤をともに投与する希釈剤、アジュバント、担体、又はビヒクルを指す。当技術分野において周知のように、薬学的に許容される賦形剤は、薬理学的に有効な物質の投与が促進され、溶液若しくは懸濁液、乳濁液、又は使用前に液体による溶解若しくは懸濁に適する固形として供給することができる、相対的に不活性な物質である。例えば、賦形剤により、希釈剤としての形態又は一貫性又は作用を付与することができる。適する賦形剤としては、安定化剤、湿潤及び乳化剤、浸透圧を変えるための塩、封入剤、pH緩衝物質、及び緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。このような賦形剤は、過度の毒性を有せずに投与し得る、眼への直接送達に適する任意の医薬品を含む。
医薬組成物は、限定されないが、経口、非経口及び局所を含む多数の経路による投与のために製剤化する。
薬学的に許容される担体は、慣習的に使用されるものである。医薬組成物は、例えば、これを投与する個体に対する利点を示すのに十分な、治療有効量のペプチド/ポリヌクレオチド/ベクターを含む。薬学的に有効な用量は、使用する組成物、投与経路、治療する哺乳動物種(ヒト又は動物)、検討中の特定の哺乳動物の身体特性、併用薬物治療、及び医術分野の当業者が認識する他の因子に依存する。
可能な医薬組成物としては、経口、直腸、局所、眼内又は非経口投与に適するものが挙げられる。このような製剤では、当業者に周知の技術に従って、従来の賦形剤を使用することができる。
好ましくは、医薬組成物は、非経口投与又は点眼に適する。より好ましくは、医薬組成物は、局所点眼及び眼内投与を含む点眼、又は鼻内噴霧を含む経粘膜投与に適する。
本発明による医薬組成物は、投与され次第実質的に即時、又は投与後所定の任意の時間若しくは期間に活性薬物を放出するように製剤化し得る。
治療的使用
また、本開示は、医薬としての使用、好ましくは、塩素イオンチャネル機能不全に起因する疾患の治療に対する使用のための本開示によるTMEM16Aペプチド活性化剤、核酸、発現ベクターに関する。
塩素イオンチャネル機能不全に起因する疾患は、非限定的な例として、唾液腺機能不全、例えば、シェーグレン症候群又は放射線障害により生じる腺機能不全、嚢胞性線維症、胃腸運動低下疾患、心不整脈、例えば、早期再分極症候群、ドライマウス、及びドライアイ症候群を含む。塩素イオンチャネル機能不全に起因する疾患は、塩素イオンチャネルの活性化、特には、TMEM16Aチャネル活性化剤により治療可能であり得る。
唾液腺機能不全によるドライマウスは、シェーグレン症候群を含む複数の疾患、並びに頭頸部がんのための放射線療法及び薬物治療に起因する。ドライマウスは、嚥下障害、味覚低下及び日和見感染症と関連することが多い。TMEM16Aチャネルは、唾液腺における体液分泌に必須の役割を果たす(Catalan MA,らProc Natl Acad Sci U S A.2015;112(7):2263~8頁)。
ドライアイ(乾性角結膜炎)は、高齢者において非常に一般的な関連障害であり、涙腺又はマイボーム腺機能不全から生じる。TMEM16Aは、唾液腺腺房上皮細胞により唾液分泌を制御する、主要なイオンチャネルである(Romanenkoら、2010. J. Biol. Chem. 285、12990~13001頁)。
胃腸運動低下疾患は、収縮力の低下又は緩徐な輸送に伴う遺伝的又は後天的変化を指す。胃腸運動低下疾患は、重症型、例えば、偽性閉塞又はイレウス、中等度型、例えば、機能性ディスペプシア、胃不全麻痺、慢性便秘、及び過敏性腸症候群(IBS)を含む。
嚢胞性線維症は、様々な組織の分泌上皮をおかす遺伝性疾患である。気道、肝臓、膵臓、小腸、生殖器系及び他の組織における上皮細胞の塩素イオンを輸送する能力、並びに付随するナトリウム及び水は、嚢胞性線維症患者において著しく低下し、呼吸器、膵臓及び腸の病気が生じる。嚢胞性線維症では、塩素イオン輸送の不全は一般に、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR、RiordanらScience 245:1066~73頁、1989を参照)として知られる塩素イオンチャネルにおける変異のためである。
心不整脈は、心拍が不規則となる症状の一群である。本開示によれば、心不整脈は、好ましくは、早期再分極症候群である。早期再分極症候群の患者は、心外膜層と心内膜層との間の電流不均衡を呈し、脱分極及び再分極の分散が生じる。
また、本開示では、上記の治療有効量のTMEM16Aペプチド活性化剤、核酸、発現ベクター又は医薬組成物を患者に投与する工程を含む、本開示による塩素イオンチャネル機能不全に起因する疾患を治療するための方法を提供する。
「治療有効量」により、必要な投与量及び期間において、所望の治療結果を達成するのに有効な量を指す。本開示の治療有効量の生成物、又はこれを含む医薬組成物は、病状、年齢、性別、及び個体の体重、並びに生成物又は医薬組成物の個体における所望の応答を誘発する能力等の因子に応じて変動し得る。投与計画は、最適な治療応答をもたらすように調整し得る。また、治療有効量は典型的に、生成物又は医薬組成物の任意の毒性又は有害作用を、治療的に有益な作用が上回る量である。
本明細書において使用する場合、「患者」又は「個体」の用語は、哺乳動物を意味する。好ましくは、本開示による患者又は個体は、ヒトである。
本開示の文脈では、「治療(treating又はtreatment)」の用語は、本明細書において使用する場合、このような用語を適用する塩素イオンチャネル機能不全に起因する疾患若しくは症状の進行の逆転、軽減若しくは阻害、又はこのような用語を適用する障害若しくは症状の1つ若しくは複数の症候の進行の逆転、軽減若しくは阻害を意味する。
本開示の生成物は、患者における治療作用を誘導するのに有効な投与量及び期間において、公知の手順に従って一般に投与する。
投与は、全身的又は局所的であり得る。全身投与は、好ましくは、非経口、例えば、皮下(SC)、筋肉内(IM)、血管内、例えば、静脈内(IV)又は動脈内、腹腔内(IP)、皮内(ID)、間質内投与等であり得る。投与は、例えば、注入又は灌流による投与であり得る。一部の好ましい実施形態では、投与は、非経口、好ましくは、血管内、例えば、静脈内(IV)又は動脈内投与である。本開示の実践では、他に指示しない限り、当業者の技能範囲内の従来技術を利用する。このような技術は、文献において十分に説明されている。
好ましい実施形態では、この投与は、非経口投与又は点眼である。より好ましくは、局所点眼及び眼内投与を含む点眼は、ドライアイ症候群の治療のために使用し、鼻内噴霧を含む経粘膜投与は、嚢胞性線維症の治療のために使用することができる。
更なる態様では、本発明は、例えば、TMEM16Aチャネルを活性化するin vitroでの診断試薬、薬物スクリーニング試薬又は研究ツールのための、塩素イオンチャネル、特には、TMEM16Aチャネルを活性化する使用のための上記のTMEM16Aペプチド活性化剤、核酸、ベクターにも関する。
次の実施例は、制限のためではなく、例示目的のために示す。
1.実験モデル及び対象詳細
分子生物学、遺伝子発現及び細胞培養
mTMEM16A(Dr Lily Yeh Janにより寄贈)及びhKCNE1cDNAをpIRES2eGFP、pXOOM、pcDNA3.1、pCDNA3.1-GFP及びpCMV-HAベクターにサブクローニングした。KCNE1に対する切断及び変異をPCRにより生成した。SiMPull実験では、HAタグを配列のN末端に融合させ、一方、GFPタグをC末端部分に融合させた。HEK293T及びPCT細胞は、リポフェクタミン2000又はリン酸カルシウム法を使用して、総量1及び3.5μgのDNAをそれぞれ一過性に同時トランスフェクトし、直径18mmのカバーガラス上に播種した。HEK細胞は、12ウェルプレート内のポリ-L-リジンでコーティングしたカバーガラス上で5%のFBSを有するDMEM中に維持した。野生型及びノックアウトマウス由来のPCT細胞を、これまでに記載のように顕微解剖し、コラーゲンでコーティングしたカバーガラス上でF12(Gibco社)中に維持した。
電気生理学
トランスフェクション後24~48hにHEK293T及びPCT細胞の電気生理学実験を実施した。ホールセルパッチクランプ実験では、細胞を(mMで)150 NaCl、5 KCl、2 CaCl2及び10 HEPES、pH7.4並びに0.05%のBSAを含む浴液中で記録した。ガラスピペット(抵抗2~5MΩ)を(mMで)5 NaCl、135 CsCl、2 MgCl2、5 EGTA、10 HEPES、pH 7.3で満たした。ペプチドによる30minのインキュベーション後又はペプチドによる灌流中に細胞を記録した。カルシウム総濃度をMaxchelator(maxchelator.standford.edu)により温度20℃において算出した。HEK293T及びPCT細胞は、Axopatch200A(Molecular Devices社)増幅器を使用して電位固定モードにより室温で記録した。シグナルを10kHzで選別し、20kHzでデジタル化した。ホールセル電流をランプ電圧(-100~+100mV、1s)及びI~Vのパルス刺激(20mV単位で-100~+100mV、各パルス1s)により誘発し、細胞を-80mVで保持した。電流密度は+100mVで測定した。電気生理学実験の細胞記録、データ収集及び解析は、pClampソフトウェア(Molecular Devices社)を使用して実施した。
卵母細胞電流の測定は、3MのKClで満たした2つの標準的微小電極(抵抗1~2.5MΩ)を使用して行い、電位固定下でDagan TEV 200増幅器を使用して、0.05%のBSAを有する標準的ND96溶液(mMで96 NaCl、2 KCl、1.8 CaCl2、1 MgCl2、10 HEPES、pH7.4)中に維持した。上記の同一ランプ電圧プロトコールを使用して電流を誘発した。
ペプチド設計
目的の配列に従い、ペプチドをGenscriptに注文した。純度≧80%(≧85%にアップグレード)を有する4~20mgの範囲の量を、単一のバイアルに等分した。これらの注文前に超純水、DPBS(pH7.1)及びDMSOの更なる溶解性検査を依頼した。最終的には、ペプチドを超純水に希釈した。
単一分子プルダウンアッセイ
SiMPullアッセイでは、発明者らは、Jainら、2011. Nature 473、484~488頁のこれまでに記載のプロトコールに従った。簡潔には、HAタグ化ベイトタンパク質及びGFP融合プレイタンパク質(広範に使用されるeGFP A206K変異体を適用、これはホモ二量体化現象を大幅に低下させる)を同時トランスフェクトしたHEK293T細胞を、(mMで)150 NaCl、10 Tris pH7.5、1 EDTA、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Thermo Scientific社)及び1.5%のIGEPAL(Sigma社)を含む緩衝液に溶解した。溶解物を採取し、PEG(99%)及びビオチン-PEG(1%)で不動態化したカバーガラス上でプルダウンを行い、ニュートラアビジン(1.4mg/mL、Pierce社)及びビオチン化抗HA抗体(15nM、abcam社、#ab26228)で処理した。T50緩衝液(mMで50 NaCl、10 Tris、20 EDTA;0.1mg/mLのBSA、pH7.5)による数回の洗浄を実施して、タンパク質の非特異的結合を回避した。最終的に、100×対物レンズ(Olympus社)を有する全反射照明蛍光顕微鏡により488nmのアルゴンレーザーを使用して単一分子複合体を画像化した。250フレームの動画13×13μm2をフレーム率10~30Hzで撮像し、Fijiソフトウェア(NIH)を使用して解析した。複数の独立的実験を各条件について実施し、照明の終了時に完全に退色したスポットのみを考慮した。代表的データセットを提示して、種々の条件を定量的に比較する(1条件あたり最低動画15本、少なくとも動画1本あたりのトレースを解析)。
動物
スプラーグ・ドーリーラット(雄、およそ200g)をCharles River社から購入し、実験実行前に1週間、適応させた。1ケージあたり2-3ラットを、12時間間隔の明暗サイクルの制御環境下で飼育し、食餌及び水を自由に入手可能とした。動物実験は、バルセロナ大学の動物実験委員会(CEEA)及びスペイン、Catalonia、Generalitat de CatalunyaのDepartament de Territori i Sostenibilitat(319/19; 10935)により認められ、国際疼痛学会の倫理ガイドラインに従った。
ペプチド
N13ter(Nter13ペプチド又はN13とも名付けられる)(LARRSPRSGDGKL)及びスクランブル(LLAKRGRDSGPSR)ペプチドは、GenScript Biotech社(Leiden、オランダ)から購入され、CNRSにより提供された。両方のペプチドを10mMのリン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解し、局所点眼に使用した(1眼あたり5μl)。
涙液分泌の測定
涙液分泌(流涙率)を、局所麻酔をせずに下眼瞼に30s間配置したフェノールレッド糸(Zone-Quick、Menicon社、名古屋、日本)を使用して測定した(Trost、2007; Acosta 2013)。流涙率は、糸の赤色部分の長さの測定により±0.5mmの精度で決定した。
ビヒクル、陽性対照、N13ter又はスクランブルペプチドの急性的作用
動物の馴化後、ペプチドの局所適用前に両眼において基底流涙率を測定した。次いで、動物を種々の群に分け、ビヒクル(PBS)、アミロライド(1mM)、N13ペプチド又はスクランブルペプチドを含む溶液を眼表面に局所的に適用し(5μl)、1、3、6、12及び24hに流涙率を測定した。流涙率の測定は、動物が受ける処置に対し盲検で行った。
ドライアイ動物モデル
ドライアイモデルを確立するために、これまでに記載されているものと類似の手順を使用した(Callejo 2015、Pain; 156(3):483~495頁、Kovacs、2016、Pain. ;157(2):399~417頁)。ラットの腹腔内にケタミン/キシラジン(80:10mg/kg)で麻酔した。外眼角後方の側頭側の皮膚切開の実施後に主涙腺(眼窩外)の両側的除去手術を行った。眼窩外腺の線維性被膜を露出して切断し、涙腺を注意深く切除した。手術終了時に、抗生剤/抗炎症剤溶液(3mg/mlのゲンタマイシン;0.5mg/mlのデキサメタゾン;Colircusi Gentadexa;NTC Ophthalmics社、スペイン)の液滴を手術領域上に適用した。5~0のシルクブレード縫合糸を使用して皮膚切開を縫合した。動物は、個別に収容し、結膜及び角膜の外観を定期的に確認した。手術前(基底)並びに手術後1、2、3及び4週に週1回、局所麻酔をせずに下眼瞼に30s間配置したフェノールレッド糸(Zone-Quick、Menicon社、名古屋、日本)を使用して、両眼における涙液分泌を測定した(Trost、2007; Acosta 2013)。流涙率は、糸の赤色部分の長さの測定により±0.5mmの精度で決定した。4週目の流涙率測定後、動物を2つの群に分け、ペプチドのうちの1つ(N13ter又はPBS)を含む溶液を眼表面に局所的に適用し(5μl)、1、3、6、12及び24hに流涙率を測定した。流涙率の測定は、受ける処置に対し盲検で行った。4週目に涙量の低下(乾燥)を呈しなかったか、又は何らかの炎症若しくは眼疾患の可能性を示す発赤を呈した眼は、試験から除外した。
データ解析
データは、平均値±平均値の標準誤差(SEM)として表す。種々のデータセット間の統計学的差異は、反復測定One-wayANOVAに加えてボンフェローニの事後検定(実験群における各データ点対基底値)又は反復測定Two-wayANOVAに加えてボンフェローニの事後検定(N13ter群対スクランブル若しくはビヒクル群における各データ点、又はN13ter若しくはアミロライド群対ビヒクル群における点)を、Prism9(GraphPad Software社、San Diego、CA)を使用して実施することにより評価した。有意性レベルは、すべての統計学的解析においてp<0.05に設定した。
2.結果
KCNE1によりTMEM16Aがカルシウム依存性から電位依存性Cl-チャネルに転換する
TMEM16Aを制御するKCNE1の能力を検査するために、発明者らは、TMEM16AもKCNE1も内因的に発現しないHEK293T細胞モデルを使用した。TMEM16A又はKCNE1のいずれか単独によるHEK293T細胞のトランスフェクションによって有意な電流は生成されなかったが、両タンパク質の同時発現によって電位依存性電流が誘導され、この密度は、+100mVにおいて18.1±2.8pA/pFであった(図1A及び図1B)。逆転電位は、-4.8±1.3mVであり、これは、使用した実験条件下での予想Cl-逆転電位に類似した。この塩素イオン電流は、NFA、T16Ainh-A01(Davis, A.J.ら2013. Br J Pharmacol. 168、773~784頁)によって、及び最も特異的なTMEM16A阻害剤であるAni9(Seo, Y.ら2016、PLoS One 11、e0155771)によっても阻害された(図1C~図1E)。これは、KCNE1によりTMEM16Aがカルシウム依存性から電位依存性塩素イオンチャネルに転換されることを示唆する。
KCNE1により内因性カルシウムチャネルが活性化される可能性を排除するために、発明者らは、即効性カルシウムキレート剤BAPTAの存在下で類似の実験を行った。図1Fに示すように、BAPTAによって、両タンパク質の同時発現により誘発される電位依存性電流の形成は無効とならなかった(BAPTAの存在又は非存在下で3.70±0.41pA/pF対21.98±5.32pA/pF、P<0.001)。TMEM16A活性化が生じるKCNE1による内因性カルシウムチャネル調節の可能性を完全に除外するために、発明者らは、TMEM16Aと類似のカルシウム感受性を有するCa2+活性化SK4チャネル(Cao, Y.J.,及びHouamed, K.M、1999. FEBS Lett 446、137~141頁)とKCNE1を同時発現させた。図2に示すように、KCNE1の高発現により、カルシウムの非存在下でSK4電流のいかなる上昇も誘導されなかった。まとめると、このような結果により、KCNE1により誘導されるTMEM16A活性化による細胞内Ca2+の意義は除外される。
KCNE1によるTMEM16A活性化は物理的相互作用を伴う
補助的サブユニットであると考えるためには、タンパク質は、αサブユニットと直接かつ安定に相互作用するはずである。TMEM16AとKCNE1との間の物理的関連を検査するために、発明者らは、最近開発された単一分子プルダウン(SiMPull)アッセイ(Jain, A.ら2011. Nature. 473、484~488頁; Levitz, J.ら2016. Proc Natl Acad Sci U S A. 113、4194~4199頁; Royal, P.ら2019. Neuron. 101、232~245頁.e236)を使用した。この技術により、抗体固定化タンパク質複合体の直接的可視化が可能となり(図3A及び図3E)、フルオロフォア退色を計数することによって単一のタンパク質複合体における組成及び化学量論の判定が可能となる(Jain, A.ら2011. Nature. 473、484~488頁; Levitz, J.ら2016. Proc Natl Acad Sci U S A. 113、4194~4199頁; Royal, P.ら2019. Neuron. 101、232~245頁.e236)。2つの推定パートナーKCNE1及びTMEM16Aとの同時トランスフェクション後、これらのうちの一方をHA親和性タグと、他方をGFP標識と融合させた後、プルダウンを行うと、発明者らは、TMEM16A-GFP+HA-KCNE1(図3B)及びKCNE1-GFP+HA-TMEM16A(図3F)の両条件において多くの蛍光スポットを観察した。これは、KCNE1とTMEM16Aとの間の物理的相互作用を実証する。重要なことには、HA-KCNE1又はHA-TMEM16Aが同時発現しなかった場合、GFPに融合させたタンパク質は単離されず(図3J及び図3L)、SiMPullアッセイに使用したHA-抗体の特異性が確認された。固定化したHA-KCNE1-TMEM16A-GFP複合体の退色工程を解析することにより、発明者らは、複合体におけるTMEM16A-GFPサブユニット数を決定することが可能となった。彼らは、蛍光強度の軌跡の大多数が2工程の退色を示し(約70%)、残りのスポットは1工程(約20%)又は時々3工程(約10%)で退色することを見出した(図3C及び図2D)。この分布は、約75%の推定GFP成熟確率に基づく厳密な二量体に予想される二項分布(Ulbrich, M.H.,及びIsacoff, E.Y. Nat Methods、4、319~2 321; Zacharias, D.A.ら2002. Science、296、913~916頁)とよく一致する。HA-TMEM16A-KCNE1-GFPによるSiMPull実験の解析により、殆どの複合体が2退色工程を呈し(約65%)、残りの一部のスポットは、1工程(約25%)及び3工程(約10%)で退色することが示された(図3G及び図3H)。この分泌は、タンパク質複合体における2つのKCNE1-GFPサブユニットの存在に対応する。したがって、2つのKCNE1サブユニットは、2α:2β化学量論に従って、単一TMEM16Aチャネルと会合する(Dang, S.ら2017. Nature. 552、426~429頁; Takumi, T.ら1988. Science、242、1042~1045頁)。
複合体KCNE1-TMEM16Aにより近位尿細管細胞において電位依存性Cl-電流が生成される
真の補助的サブユニットであると考えるためには、タンパク質は、天然環境下でアルファサブユニットと相互作用するはずである。KCNE1が天然組織におけるTMEM16Aの補助的サブユニットであることを確認し、異種性高発現による可能な人為的結果を排除するために、発明者らは、野生型及びkcne1 KOマウスから得た腎臓近位曲尿細管(PCT)細胞を利用した(Barriere, H.ら2003. J Membr Biol. 193、153~170頁)。PCT細胞は、TMEM16A及びKCNE1の両方を天然に同時発現し(Faria, D.ら2014. Kidney Int. 85、1369~1381頁; Vallon, Vら2001. J Am Soc Nephrol、12、2003~2011頁)、TMEM16Aチャネルにより流れる電流の記録にいかなる遺伝子操作をも必要としないため、適切なモデルであると考えられる。その上、K+電流の修飾は、野生型と比較してkcne1 KOマウス由来のPCT細胞には見出されなかったが、DIDS(4,4'-ジイソチオシアノスチルベン-2,2'-ジスルホン酸)感受性Cl-コンダクタンスが障害された(Barriereら、2003)。発明者らは、電流の低下を確認し、この逆転電位は、kcne1欠損PCT細胞における予想したCl-逆転電位に類似した(PCT野生型及びKOマウスについてそれぞれ18.07±1.21pA/pF対5.37±0.56pA/pF、P<0.001)(図4A)。この電流は、NFA(4.51±0.28pA/pF)、T16A(inh)-A01(5.52±0.72pA/pF)及びAni9(2.88±0.38pA/pF)により阻害された(図4B~図4D)。その上、野生型PCT細胞における、これまでに検証されたsiRNAトランスフェクションによるTMEM16Aのノックダウン(Sala-Rabanal, M.ら2017. J Biol Chem、292、9164~9174頁)によって、Cl-電流振幅が有意に低下した(4.23±0.48pA/pF)(図4E)。これは、本明細書において試験するCl-電流を司るチャネル複合体におけるTMEM16Aサブユニットの関与を実証する。kcnel-/-細胞におけるKCNE1トランスフェクションによるレスキュー実験により、電位依存性Cl-電流が十分に回復し(21.59±1.38pA/pF)(図4F)、このような細胞における塩素イオン電流の非存在が、kcnelのKOのためのみであり、培養プロセス中に生じ得る任意の修飾のためではないことを示した。
N末端のKCNE1前膜貫通ドメインはTMEM16A制御の鍵である
KCNE1は、細胞外N末端部分及びC末端ドメインを細胞質内に有する単一の膜貫通タンパク質である(Takumi,T.ら1988.Science、242、1042~1045頁)。TMEM16Aとの相互作用部位を決定するために、発明者らは、一連の切断型KCNE1を生成し(図5A)、これらのTMEM16Aを制御する能力について検査した。C末端のKCNE1完全ドメインの切断によって、KCNE1により媒介されるTMEM16A制御は無効とならなかった(25.04±4.9pA/pF、P>0.15)(図5B)。対照的に、N末端完全ドメインの欠失により、TMEM16Aを制御するKCNE1の能力が抑制された(6.56±0.89pA/pF、P<0.001)(図5B)。N末端切断部分ΔNt16(25.43±4.46pA/pF)だけでなくΔNt30(25.23±6.62pA/pF)の作用も観察されず(図5C)、膜貫通ドメインの前の13残基(L30~L42)の配列が、TMEM16A活性化に必須であることを実証した。この結果は、13アミノ酸のうちの8つ(KCNE1Δ11~38)を含むKCNE1の部分的欠失によって、KCNE1により誘導される塩素イオン電流が、アフリカツメガエル卵母細胞において無効となるという、これまでの観察と一致している(Attali,Bら1993.Nature、365、850~852頁)。この小型ドメインが、TMEM16A電流に対する全KCNE1の特性を再現するのに十分な能力を有するかどうかを確認するために、発明者らは、L30~L42配列を有する、対応する合成ペプチド(Nter13)を使用した。TMEM16Aを発現するHEK293T細胞では、100μMのNter13を適用すると、Ani9感受性の電流が誘発された(15.48±3.25pA/pF)(図5D、図6A及び図6B)。この場合もやはり、逆転電位は、KCNE1が同時発現する場合に観察される電流に類似したが、スクランブルペプチド適用の作用は観察されなかった(図5D)。
TMEM16A制御配列内部のKCNE1多型によりCl-電流が抑制される
13残基のKCNE1細胞外ドメインでは、これまでの研究により、KCNE1により媒介されるKCNQ1の制御に影響しないか又は不十分に影響するのみの一般的S38G及びR32H多型(図7A及び図7B)(Westenskowら、2004; Yaoら2018)が、心不整脈に関連し得ることが示された(Crump, S.M.,及びAbbott, G.W. 2014. Front Genet 5、3)。したがって、発明者らは、このような2つのKCNE1バリアントのTMEM16Aを制御する可能性を検査した。制御ドメインにはない関連疾患変異T7Iを対照として使用した。T7I変異によりKCNE1依存性のTMEM16A制御が変化しなかった(24.69±1.57pA/pF、P>0.4)(図7C及び7D)一方、R32H及びS38Gの両変異により、TMEM16A電流特性を調節するKCNE1の能力が無効となり(R32H及びS38Gについてそれぞれ5.69±1.18pA/pF及び6.96±0.78pA/pF)(図7C及び図7D)、ヒト疾患におけるKCNE1-KCNQ1の潜在的意義を示唆した。
TMEM16Aを発現するHEK293T細胞では、100μMのヒトNter13ペプチドを適用するとTMEM16A電流特性が誘導されるが、S38G多型を呈するN13ペプチドは、TMEM16A電流特性に対する作用を有しない(図8)。
ヒトNter13ペプチドは、TMEM16Aに対してラットN13ペプチドよりも強力である(図9)。実際、100μMでは、ラットN13ペプチドは、TMEM16Aに対するわずかな作用しか呈しない(図9)。
考察
イオンチャネルの殆どは、補助的(β)サブユニットと関連する、ポア形成αサブユニットの複合体として会合する。この試験では、発明者らは、電位依存性Kvチャネルスーパーファミリーに属する心臓のKCNQ1ポア形成サブユニットのβサブユニットであると古典的に考えられるKCNE1が、Ca2+活性化Cl-チャネル(CaCC)であるアノクタミンスーパーファミリーチャネルTMEM16Aの補助的サブユニットとしても作用することを実証する。2α:2β化学量論に従ってTMEM16Aと安定に相互作用させることによって、細胞内カルシウムが上昇しない条件下で、KCNE1により電位依存性電流が誘導される。TMEM16A相互作用ドメイン内のKCNE1多型により、TMEM16Aを制御するこの能力が無効となり、この電位依存性塩素イオン電流のヒト疾患における潜在的意義を示唆する。イオンチャネルのβサブユニットにより、細胞における電気的シグナル伝達の担い手である分子の重要な多様性の源がもたらされる。これらにより天然の電流それ自体を誘導することは不可能であるが、イオンチャネルのポア形成サブユニットと関連し、これらの薬理学的かつ生物物理学的特性が調節される。これらの生理学的重要性は、これらの変異と関連する多数の疾患、例えば、筋肉病態、てんかん及び心不整脈によって反映される(Adelman、1995、Curr Opin Neurobiol. 5、286~295頁; Cannon、2007、Neurotherapeutics. 4、174~183頁; Crump及びAbbott、2014、Front Genet. 5、3; Vergultら、2015、Eur J Hum Genet. 23、628~632頁)。KCNE1は、Kvβサブユニットの有名な例であり、これは、KCNQ1及びhERGと関連して心筋活動電位のIKs及びIKrの両成分を調節し、60種を超えるこの遺伝子バリアントが、ヒト疾患、特には、心不整脈と関連することが報告されている(Barhaninら、1996、Nature. 384、78~80頁; Crump及びAbbott、2014、Front Genet. 5、3; Sanguinettiら、1996、Nature. 384、80~83頁; Sanguinettiら、1995、Cell. 81、299~307頁)。イオンチャネルの同一スーパーファミリー由来ポア形成αサブユニットのβサブユニットによる交差調節が、Nav及びKvチャネルについて示された(Marionneauら、2012. J Neurosci. 32、5716~5727頁; Nguyenら、2012. Proc Natl Acad Sci U S A. 109、18577~18582頁)。Navβ1は、Kv及びNavチャネルの調節を協調させることが見出され(Moranら、2015、J Exp Biol. 218、515~525頁)、これらのチャネルは同一祖先から派生し、電位依存型イオンチャネルのスーパーファミリーに属する。結果は、系統的に関連しない2つの異なるスーパーファミリー:電位依存型チャネル及びアノクタミンの交差調節を実証する。発明者らは、TMEM16Aと相互作用させることにより、KCNE1によって、アノクタミンスーパーファミリーのこのメンバーの開閉制御が修飾され、このTMEM16Aがカルシウム依存性から電位依存性チャネルへ転換されることを見出した。種々のCa2+キレート剤及び非常に高感度のレポーターとしてCa2+活性化SKチャネルを用いた実験では、このCaCCの活性化が、KCNE1の非存在下で、チャネルの天然活性化因子である細胞質Ca2+のいかなる上昇からも独立していることが実証された(Caputoら、2008. Science 322、590~594頁; Schroederら、2008. Cell 134、1019~1029頁; Yangら、2008. Nature 455、1210~1215頁)。明らかに、電位依存性塩素イオンチャネルスーパーファミリーは、ClCファミリーに制限されず、KCNE1と複合した場合、アノクタミンファミリーに及ぶ。これは、Ca2+及び電位依存性チャネル間の差異がそれほど厳重なものではなく、この差異が、むしろ一連の生物物理学的特性であると考えるべきであることも示す。
KCNQ1-KCNE1化学量論は依然として議論の余地がある(Morin及びKobertz、2008. Proc Natl Acad Sci U S A. 105、1478~1482頁; Murrayら、2016. Elife. 5; Nakajoら、2010. Proc Natl Acad Sci U S A. 107、18862~18867頁; Plantら、2014. Proc Natl Acad Sci U S A. 111、E1438~1446頁)が、発明者らは、SiMPullアッセイ(Jainら、2011. Nature. 473、484~488頁; Levitzら、2016. Proc Natl Acad Sci U S A. 113、4194~4199; Royalら、2019. Neuron. 101、232~245頁.e236)を使用することにより、TMEM16A-KCNE1複合体が2α:2βサブユニットからなることを見出した。発明者らは、この複合体がHEK細胞において異種発現時に生じることを示しているが、これが、TMEM16A阻害剤に対して感受性のCl-コンダクタンスを媒介する天然腎臓細胞に存在することも示す。このCl-コンダクタンスは、KCNE1ノックアウト細胞又はKCNE1がノックダウンされている細胞において記録することができず、これは、このような細胞においてKCNE1再発現によりトランスフェクション時に回復する。したがって、TMEM16A-KCNE1の会合は、組換えによる高発現時のみに見出されるものではなく、静止膜電位の維持に関与する天然細胞においても観察することができる。
βサブユニットに基づくKCNE1の切断型及び合成ペプチドを使用する電気生理学アッセイにより、TMEM16A制御におけるKCNE1のN末端の重大な役割の決定が可能となった。より詳細には、発明者らは、KCNE1の膜貫通ドメインに更に近いセグメントが、TMEM16A電流に対する全KCNE1の作用を再現するのに必要かつ十分な能力を有することを観察した。このセグメントの配列に基づいて生成した合成ペプチドは、最初に設計されたTMEM16Aアゴニストであり、臨床適用に有用であり得る。注目すべきことには、頂端側塩素イオンチャネル、例えば、TMEM16Aの活性化により、水の分泌が引き起こされ、これによってTMEM16A標的活性化剤が、嚢胞性線維症又はドライアイ症候群の治療のための潜在的薬物候補となる。
この13アミノ酸セグメントは、心不整脈と関連する、多型に供される少なくとも2つの残基(R32H及びS38G)を有する(Crump及びAbbott、2014. Front Genet 5、3)。
KCNQ1を制御する能力を修飾して、このような変異及び多型と心不整脈との間の関連をもたらす、臨床的に関連するいくつかのKCNE1バリアントが見出されたが、KCNE1のS38Gは、KCNE1によるKCNQ1制御の障害が不十分である(Yaoら、2018. Exp Cell Res 18 363、315~320頁)。発明者らは、KCNE1のS38G並びにR32H変異体がTMEM16Aを制御する能力を失い、心不整脈におけるこの塩素イオン電流の潜在的役割を示唆することを見出した。
これと一致して、イヌの心臓において実施された最近の研究は、心臓再分極及び早期後脱分極の空間的及び時間的不均一性を低下させることによる、不整脈のリスクに対するTMEM16の保護的役割を示唆する(Hegyiら、2017. Ca. J Mol Cell Cardiol 109、27~37頁)。
要約すると、発明者らは、電位依存性K+チャネルの周知の補助的サブユニットであるKCNE1が、アノクタミンアニオンチャネルスーパーファミリーの補助的サブユニットであると考えるのに必要とされる4つの条件:第1に、KCNE1は、それ自体によるいかなるイオンチャネル活性をも示さないこと、第2に、KCNE1及びTMEM16Aは、固定化学量論により直接かつ安定に相互作用すること(2α:2β)、第3に、KCNE1により、TMEM16A機能が大幅に修飾され、細胞質カルシウムが上昇しない条件下でチャネルが作用することが可能となること、第4に、KCNE1により、天然組織においてTMEM16Aが制御されることを満たすことを見出した(Adelman、1995. Curr Opin Neurobiol. 5、286~295頁; Arikkath及びCampbell、2003. Curr Opin Neurobiol. 13、298~307. J Biol Chem. 271、27975~27978頁; Cannon、2007. Neurotherapeutics. 4、174~183頁; Gurnett及びCampbell、1996. Neuron. 7、403~408頁; Trimmer、1998. Curr Opin Neurobiol. 8、370~374頁)。したがって、KCNE1は、系統的に関連しない2つの異なるクラスのイオンチャネルスーパーファミリー:電位依存型カチオンチャネル及びアノクタミンスーパーファミリーの真の補助的サブユニットのすべての基準を満たす。最終的に、TMEM16A-KCNE1の会合は、臨床的に関連するKCNE1変異の転帰を解析する場合、S38Gを含む2つの公知の心不整脈関連KCNE1バリアントが、TMEM16Aを制御する能力を失うという知見により強調されるものと考えるべきである。
眼球を流涙させた眼におけるN13ペプチドに関する試験
a)涙液分泌に対するN13terの急性的作用
各実験群(N13ter及びスクランブル)についてラット10匹の20眼において、ペプチドの作用を評価した。ラットは眼の外部構造におけるいかなる変化も、いかなる過敏、感染又は炎症の徴候も呈しなかったため、すべての眼を試験対象とした。基底流涙率は、N13ter群では7.65±0.49mmであり、スクランブル群では8.10±0.54mmであった(それぞれn=20眼;動物10匹)。N13ter適用では、流涙率の小規模ではあるが有意な上昇が、スクランブル適用と比較してもたらされた(Two-wayANOVA:p=0.0027)。ボンフェローニの事後検定では、6h(9.65±0.57mm;*p<0.05)及び12h(8.85±0.73mm;*p<0.05)の時点において、スクランブル群と比較して有意差が示された。種々の時点を基底値と比較した場合、6hにおいて有意差が得られた(#p<0.05;One-wayANOVAに加えてボンフェローニの事後検定)。
スクランブル群では、基底値及びN13ter群と比較して小規模な持続的低下がもたらされた。有意差は、基底値と比較した場合、12hにおいて得られた(6.45±0.34mm;#p<0.05;One-wayANOVAに加えてボンフェローニの事後検定)。データは、スクランブルペプチドと比較した場合、N13ter適用によって流涙率に対する増強作用がもたらされ、この作用が、ペプチド適用の6~12h後に有意となることを示唆する。有意ではないが、適用後24hに得られた値は、基底値に完全に戻り、いくらかの治療の持続的作用を示唆した。
ビヒクル及びアミロライド(陽性対照)の作用は、各実験群(ビヒクル及びアミロライド)についてラット7匹の14眼において評価した。並行してN13terペプチドの群検査を、ラット6匹の12眼において、これまでの試験で行ったものと同一条件下で行った。ラットは眼の外部構造におけるいかなる変化も、いかなる過敏、感染又は炎症の徴候も呈しなかったため、すべての眼を試験対象とした。基底流涙率は、ビヒクル群では5.06±0.38mm、アミロライド群では4.78±0.56mm、N13ter群では4.53±0.43であった(それぞれn=14、14及び12眼)。
N13ter適用では、流涙率の有意な上昇が、ビヒクル適用と比較してもたらされた(Two-wayANOVA:p=0.029)。ボンフェローニの事後検定では、12h(6.66±0.64mm;*p<0.05)の時点において、ビヒクル群と比較して有意差が示された。種々の時点を基底値と比較した場合、12hにおいて有意差が得られた(#p<0.05;One-wayANOVAに加えてボンフェローニの事後検定)。種々の時点でビヒクル値を基底値と比較した場合、有意差は見出されず、ビヒクル適用の作用の欠如を示唆した。
アミロライド適用では、流涙率上昇の一過的作用がもたらされ、3hでピークとなった(5.89±0.0.23mm;n=14)。試験した眼の中でも、14のうち7眼では、アミロライドにより1h~3hに流涙率が上昇したが、他の2眼では、いかなる作用も誘導されないか又は流涙率がわずかに低下した。ビヒクル群との比較では、統計学的に有意な作用は示されず、恐らくこれは一部のデータ分散並びに多重比較の実施のためであり、これにより統計学的検出力が減少した。
図10A及び図10Bでは、他の変数(動物の集団、1年のうちの試験時期等)による差異を比較及び最小化するために、データは各眼について、基底値に対して正規化し(基底流涙率を100%と考え、それに基づいて他の値を算出)、各実験群について平均した。局所適用後2~6hに増強作用が生じる。流涙率は、数時間上昇したままとなり、その後、基底値に戻る。対照的に、ビヒクル適用(PBS)では、いかなる方向へも有意な作用はもたらされなかった。
N13terペプチドの作用を検査する実験を同一のプロトコールに従って実施したため、すべてのデータは、図11に示すように、単一群においてまとめた。ビヒクル群との比較により、1、3、6、12及び24hにおいて統計学的に有意な作用が示され、6及び12hにおいて最大の上昇が得られる(図11)。
まとめると、N13ペプチドは、ラットの眼表面に局所的に適用する場合、流涙率に対する増強作用を発現すると思われる。この増強作用は、数時間持続し、一部の作用は、24h後もなお存在する。
ドライアイモデルにおける涙液分泌に対するN13ter及びビヒクルの作用
N13ter群では14眼(ラット9匹)及びビヒクル群では12眼(ラット8匹)において、ペプチドの作用を評価した。5週において流涙率を測定した後、N13ter(10mM)又はビヒクル(PBS)を局所適用した。手術から5週後、流涙率の値(5週の基底)は、これ以前の週と比べて類似の値に留まり(N13ter群では4.04±0.49mm及びビヒクル群では4.75±0.58mm)、眼球乾燥が類似のレベルに留まったことを示した。図12に示すように、N13ter適用では、これまでの実験と比べて類似の作用がもたらされ、これは、ビヒクル群と比較して統計学的に有意であった(Two-wayANOVA:p=0.0044)。N13ter適用後、3hでピークとなる流涙率の漸進的上昇が観察され(6.54±0.78mm;"p<0.01対ビヒクル;Two-wayANOVAに加えてボンフェローニの事後検定)、数時間基底レベル超に留まった後、24h以内に基底値に戻った。5週の基底値に対するone-wayANOVA検定の反復測定によるデータの解析によって、有意差が示された(p=0.0277)が、ボンフェローニの事後検定では、各時点において有意差は示されず、恐らくこれは、統計学的検出力の必要及び一部のデータ分散のためである。これに対して、ビヒクル適用では、流涙率の初期低下がもたらされ、わずかに基底値に戻り(5週のデータ点)、残りの実験の間は安定を維持した。5週の基底値に対するone-wayANOVA検定の反復測定では、有意差は示されなかったが、値は、非常に近似し(p=0.0517)、ボンフェローニの事後検定では、3hにおいて有意差が示された(3.21±0.47mm;np<0.01)。データは、N13terの適用後に流涙率の増強が生じる一方、ビヒクル適用によって流涙率に対する逆の作用がもたらされると考えられることを示す。
まとめると、N13terペプチドは、ラットの眼表面に局所的に適用する場合、無処置動物と眼球乾燥を生じた動物の両方において、流涙率に対する増強作用を発現すると考えられる。
NCBI NP_000210.2
NCBI NP_0371105.1

Claims (14)

  1. L-A-R-X1-S-X2-X3-X4-X5の配列(配列番号3)を含むか又はこれからなる、医薬としての使用のためのTMEM16Aペプチド活性化剤であって、前記
    - X1がアルギニン、リジン又はヒスチジンであり、
    - X2がプロリン又はグルタミンであり、
    - X3がアルギニン又はロイシンであり、
    - X4がセリン又はアルギニンであり、
    - X5がグリシン又はアスパラギン酸である、
    TMEM16Aペプチド活性化剤。
  2. L-A-R-X1-S-X2-X3-X4-X5-D-X6-K-Lの配列(配列番号4)を含むか又はこれからなる、請求項1に規定の使用のためのペプチドであって、前記
    - X1がアルギニン、リジン又はヒスチジンであり、
    - X2がプロリン又はグルタミンであり、
    - X3がアルギニン又はロイシンであり、
    - X4がセリン又はアルギニンであり、
    - X5がグリシン又はアスパラギン酸であり、
    - X6がグリシン又はセリンである、
    ペプチド。
  3. L-A-R-R-S-P-R-Sのアミノ酸配列(配列番号1)又はこの機能性バリアントを含むか又はこれからなる、請求項1又は2に規定の使用のためのペプチド。
  4. L-A-R-R-S-P-R-S-S-D-G-K-Lのアミノ酸配列(配列番号2)又はこの機能性バリアントを含むか又はこれからなる、請求項1から3のいずれか一項に規定の使用のためのペプチド。
  5. 前記ペプチドが、8~100アミノ酸残基、好ましくは、8~20アミノ酸残基、より好ましくは、13~20アミノ酸残基のペプチドである、請求項1から4のいずれか一項に規定の使用のためのペプチド。
  6. 配列番号1又は2のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含むか又はこれからなる、請求項1から5のいずれか一項に規定の使用のためのペプチド。
  7. 配列番号1又は2と比較して3つ以下のアミノ酸残基の保存的置換を有するアミノ酸配列を含むか又はこれからなる、請求項1から6のいずれか一項に規定の使用のためのペプチド。
  8. 医薬としての使用のための、請求項1から7のいずれか一項に記載のペプチドをコードする核酸。
  9. 医薬としての使用のための、請求項8に記載の核酸を含む発現ベクター。
  10. 塩素イオンチャネル機能不全に起因する疾患、特には、TMEM16Aチャネル機能不全に起因する疾患の治療における使用のための、請求項1から7のいずれか一項に記載のペプチド、請求項8に記載の核酸、又は請求項9に記載の発現ベクター。
  11. 塩素イオンチャネル機能不全に起因する前記疾患が、嚢胞性線維症、ドライマウス、ドライアイ症候群、心不整脈、及び胃腸運動低下疾患からなる群から選択され、好ましくは、ドライアイ症候群である、請求項10に規定の使用のためのペプチド、核酸、又はベクター。
  12. 請求項1から7のいずれか一項に記載のペプチド、請求項8に記載の核酸、又は請求項9に記載の発現ベクター及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  13. 配列番号1若しくは2のアミノ酸配列、又は配列番号1若しくは2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、8~100アミノ酸残基、好ましくは、8~20アミノ酸残基、より好ましくは、13~20アミノ酸残基のペプチド。
  14. 請求項1から7のいずれか一項に記載のペプチド、請求項8に記載の核酸、又は請求項9に記載の発現ベクターの塩素イオンチャネル活性化剤としての使用。
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