JP2023164356A - オーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤 - Google Patents

オーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2023164356A
JP2023164356A JP2023071807A JP2023071807A JP2023164356A JP 2023164356 A JP2023164356 A JP 2023164356A JP 2023071807 A JP2023071807 A JP 2023071807A JP 2023071807 A JP2023071807 A JP 2023071807A JP 2023164356 A JP2023164356 A JP 2023164356A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
auxin
acid
amino
benzoic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023071807A
Other languages
English (en)
Inventor
祐子 眞木
Yuko Maki
洋 副島
Hiroshi Soejima
淳二 山口
Junji Yamaguchi
雅昭 綿引
Masaaki Watabiki
長緒 佐藤
Takeo Sato
圭持 谷野
Keiji Tanino
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Snow Brand Seed Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Seed Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Snow Brand Seed Co Ltd filed Critical Snow Brand Seed Co Ltd
Publication of JP2023164356A publication Critical patent/JP2023164356A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

【課題】新たなオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤及び植物成長調整剤を提供すること。【解決手段】下記の式1で表される化合物、またはその塩を有効成分とするオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤。JPEG2023164356000026.jpg40170(但し、Aは-CH(=O)-NH-または-CH=CH-構造を介した単結合であり、R1が水素原子、ハロゲン原子、アルキル基のいずれかであり、R2が水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基のいずれかであり、R3が水素原子、アルキル基又はハロゲン原子であり、R4がOH又はOCH3であり、R5がアミノ基、ハロゲン原子、水酸基、又は水素原子のいずれかである。またR1とR2が閉環したベンゼン環を形成しても良い。)【選択図】図1

Description

本発明は、オーキシンとアントラニル酸の両方の活性を阻害する剤及び植物成長調整剤に関する。
農業分野において、植物の成長を制御することは、生産性向上のために重要な技術である。現在では植物の成長調節を目的とした様々な種類の植物成長調整剤が実用化され、植物成長調整剤は、作物の収量や生産物の品質向上に貢献している。
なかでもオーキシン(auxin)は植物の成長を制御するホルモンとして著名な物質の一つである。
オーキシンは、主に植物の成長(伸長成長)を促す作用を持つ植物ホルモンの一群で、植物の茎の先端で合成され、その基部に向かって移動しながら作用を発揮する。主な作用としては、茎の伸長促進、側芽の生育抑制、葉の上偏生長、果実の肥大促進、老化促進、発根促進などが知られているが、細胞***そのものにも関与しているため、これら以外にも間接的に様々な作用をもっていると考えられる。天然に存在するオーキシンとしてはインドール-3-酢酸(IAA)やフェニル酢酸(PAA)が最も豊富に存在しており、他にもインドール-3-酪酸(IBA)はトウモロコシなどに含まれている。合成オーキシンとして、ナフタレン酢酸、ナフトキシ酢酸、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)、2メチル,4クロロフェノキシ酢酸(MCP)、ピクロラム(picloram)、ジカンバ(dicamba)などがある。
これらオーキシンは芳香環とカルボキシル基を有する点が共通するが、構造的に分類すると、芳香環に直接カルボキシル基が付いているもの(ピクロラム、ジカンバなど)と芳香環とカルボキシル基との間にアルキレン基が介在しているもの(インドール-3-酢酸、インドール-3-酪酸、ナフタレン酢酸、フェニル酢酸など)や芳香環とカルボキシル基との間にアルキレンオキシ基が介在しているもの(2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸、2メチル4クロロフェノキシ酢酸(MCP)など)に分けることができる。オーキシンの作用が阻害され、或いはオーキシンの合成が阻害されると、植物の伸長が抑制され、矮性化などが問題となるが、その一方で、植物成長調整剤によってその作用を人為的に制御できれば、農業上の利用可能性は極めて高いと考えられる。
また、オーキシンの発見以来70年以上の間不明であったオーキシンの受容体についての研究が進み、1998年にシロイヌナズナでTIR1(transport inhibitor response 1)たんぱく質がオーキシンの受容体であることが発見され(非特許文献1)、続いてこのたんぱく質のホモログAFB(auxin sign
aling F boxprotein)1~5も発見され、オーキシンの作用機構が明らかにされつつある。これらのうちTIR1、AFB1、AFB2、AFB3はIAA、2,4-Dなど芳香環とカルボキシル基との間にアルキレン基やアルキレンオキシ基が介在するオーキシンの主要な受容体であることが判明しており(非特許文献2)、AFB5はピクロラム(芳香環に直接カルボキシル基が結合しているオーキシン)の受容体であることが判明している(非特許文献3)。さらにこれらのたんぱく質の相同遺伝子が植物全般に存在することも判明してきており、シロイヌナズナで明らかにされたオーキシン作用機構が他の植物にも適用可能であることが判明してきている。また、従来異なる生合成経路に存在すると考えられていたトリプトファンアミノ基転移酵素(TAA1)とフラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)が、実際は同じ経路に存在する酵素であることが明らかにされ、シロイヌナズナにおいてYUCCAが作用して、IAA生合成中間物質であるインドール-3-ピルビン酸からIAAを生合成する主経路が明らかとなっている(非特許文献4)。
そして、オーキシンに関するこのような知見が明らかになることによって、オーキシンの活性発現を阻害する物質の探索研究が進み多数のオーキシン活性阻害物質や植物成長化学調整剤が提案されている(特許文献1~5)。オーキシンの阻害剤としては、オーキシンの生合成を阻害するもの、オーキシンの植物体内での能動輸送を阻害するもの、オーキシン受容体への結合を阻害するものなどがある。この中で、オーキシン受容体阻害剤は天然オーキシンであるIAAに側鎖を結合することによって、受容体の正常な反応を阻害するものが開発されている(非特許文献5、6)。このため、これらのオーキシン阻害剤は芳香環とカルボキシル基との間にアルキレン基が介在する構造であった。
一方、本発明者らはオーキシン作用を有する化合物の探索研究を継続して行っている。この過程で、インドール酢酸の前駆体として考えられていたアントラニル酸が、直接不定根の発生を誘導し、さらに根系の発達を促進させることを見出した。そしてこの作用について研究を進め、アントラニル酸の骨格を有する誘導体にも同様のオーキシン活性が存在することを見出し、すでに特許出願している(特許文献6~9)。すなわちアントラニル酸は、植物の不定根を発生させ、根系を発達させる。
この作用を有するため、アントラニル酸は、オーキシンと同様に植物の生育調整剤として有用であると考えられている。
植物体内の、このオーキシン及び/又はアントラニル酸の活性を阻害することができる物質も、植物の成長調整剤として有用であると考えられる。しかし、これまでオーキシンとアントラニル酸の両方の活性を両方とも阻害する物質は、提供されていない。
<立体構造の説明>
ところで、一般に薬物・低分子生理活性物質の活性は、その立体構造が係わっていることが知られている。
2つの芳香族炭化水素がアミド構造を介して結合している場合、炭素骨格全体が平面構造となることが知られている。アミド構造の場合、炭素骨格は、固い平面構造(rigid,planar structure)をとることが知られ、この平面構造は「アミド平面」(amide plane)と呼ばれている(非特許文献7参照)。これは、アミド構造の窒素のp軌道とカルボニル基のp軌道が重なることによって起こることが分かっている(非特許文献8参照)。このため、アミド結合を介して芳香族炭化水素が結合した場合、それらのp軌道とも重なるため、炭素骨格全体が同一平面上に配置される。また、アミド結合の代わりにビニレン基を置換した場合も、ビニレン基中の2重結合部分のp軌道が芳香族炭化水素のp軌道と重なるため、同様に炭素骨格全体が同一平面上に配置される。
<活性との関係の説明>
このため、炭素骨格が平面構造を有していることが生物活性発現に必要な化合物の場合、全体の生物学的活性を変えることなく、分子の平面構造を維持しながら部分構造を変化させることができることは、生物学的等価性(バイオアイソスター,bioisostere)としてよく知られている。アミド結合のアミノ基とカルボニル基の順序がどちらでも同一の活性が維持される例は特にアミドアイソスター(amide isoster)が知られている(非特許文献8参照)。
また、上述のアミド構造をビニレン構造に置換しても同様の活性を維持することが知られており、同じくバイオアイソスターとされている(非特許文献8参照)。このような、化合物の炭素骨格の立体構造(平面状態)の維持を考慮した、オーキシンやアントラニル酸の阻害剤を探索する試みはこれまで行なわれていない。
国際公開第2008/150031号 特開2013-67656号公報 特開2014-118404号公報 特開2014-169246号公報 特開2016-169221号公報 国際公開第2016/035685号 特開2017-178852号公報 特開2018-52865号公報 特開2018-52866号公報
Ruegger et al (1998) The TIR1 protein of Arabidopsis functions in auxin response and is related to human SKP2 and yeast Grr1p. Genes and development 12 198-207 Dharmasiri et al. (2005) Plant development is regulated by ad family of auxin receptor F box proteins, Developmental Cell, Vol. 9, 109-119, 2005 Walsh et al. (2006) Mutations in an auxin receptor homolog AFB5 and in SGT1b confer resistance to synthetic piclinate auxins and not to 2,4-dichlorophenoxyacetic acid or indole-3-acetic acid in Arabidopsis, Plant Physiology, Vol. 142, 542-552 Mashiguchi et al. (2011) The main auxin biosynthesis pathwayin Arabidopsis. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 2011, doi:10.1073/pnas.1108434108 Hayashi et al. (2008) Small-molecule agonists and antagonists of F-box protein-substrate interactions in auxin perception and signaling. PNAS, vol. 105, no.14 Hayashi et al. (2012) Rational design of an auxin antagonistof the SCF(TIR1) auxin receptor complex. ACS Chem Biol, 16;7(3):590-8 Voet and voet (2011) Three dimensional structures of proteins "Biochemistry" (4th edition), p221 Silverman and Holladay (2014).Lead Discovery and Lead Modification. In "The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action (3rd edition)" p71. Yang et al. (2008) Inactive methyl indole-3-acetic acid ester can be hydrolyzed and activated by several esterases belonging to the AtMES esterase family of Arabidopsis. Plant Physiology, Vol.147, pp.1034-1045
オーキシンとアントラニル酸の両方の活性を阻害することは、新たな植物成長調整剤の開発に結び付くと考えられる。
本発明の課題は、オーキシンとアントラニル酸の両方の活性を阻害する物質、及びオーキシンとアントラニル酸の両方の活性を阻害する物質を含む植物の成長を調節する剤を提供することである。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1.下記の式1で表される化合物、またはその塩を有効成分とするオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤。
(但し、Aは-CH(=O)-NH-または-CH=CH-構造を介した単結合であり、R1が水素原子、ハロゲン原子、アルキル基のいずれかであり、R2が水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基のいずれかであり、R3が水素原子、アルキル基又はハロゲン原子であり、R4がOH又はOCH3であり、R5がアミノ基、ハロゲン原子、水酸基、又は水素原子のいずれかである。またR1とR2が閉環したベンゼン環を形成しても良い。)
2.R1、R2、R3のハロゲン原子がフッ素原子、R1、R2、R4のアルキル基がメチル基である化合物、その塩又はエステル体を有効成分とする、1に記載のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤。
3.次の(1)~(15)の化合物から選択される1以上の化合物を有効成分として含有するオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤。
(1)4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
(4-[(phenylamino)carbonyl]-benzoic acid)(2)2-アミノ-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
(2-Amino-4-[(phenylamino)carbonyl]-benzoic acid)
(3)2-アミノ-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸メチル
(Methyl-2-Amino-4-[(phenylamino)carbonyl]-benzoate)
(4)2-アミノ-4-[(1-ナフチルアミノ)カルボニル]-安息香酸
(2-Amino-4-[(1-naphthylamino)carbonyl]-benzoic acid)
(5)2-アミノ-4-[(2,3-ジメチルフェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸(2-Amino-4-[(2,3-dimethylphenylamino)carbonyl]-benzoic acid)
(6)2-アミノ-4-[(2-フルオロフェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
(2-Amino-4-[(2-fluorophenylamino)carbonyl]-benzoic acid)
(7)2-アミノ-4-[(3-フルオロフェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
(2-Amino-4-[(3-fluorophenylamino)carbonyl]-benzoic acid)
(8)2-アミノ-4-[(4-フルオロフェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
(2-Amino-4-[(4-fluorophenylamino)carbonyl]-benzoic acid)
(9)4-(ベンゾイルアミノ)安息香酸
(4-(benzoylamino)benzoic acid)
(10)2-ヒドロキシ-4-(ベンゾイルアミノ)安息香酸
(2-hydroxy-4-(benzoylamino)benzoic acid)(11)2-クロロ-4-(ベンゾイルアミノ)安息香酸
(2-Chloro-4-(benzoylamino)benzoic acid)
(12)4-(4-フルオロベンゾイルアミノ)安息香酸
(4-(4-fluorobenzoylamino)benzoic acid)
(13)4-スチルベン-カルボン酸
(4-Stilbenecarboxylic acid)
(14)2-アミノ-4-(ベンゾイルアミノ)安息香酸
(2-amino-4-(benzoylamino)benzoic acid)
(15)2―アミノ―4-スチリル安息香酸
(2-Amino-4-styrylbenzoic acid)
4.1~3のいずれかに記載のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤を含む植物成長調整剤。
5.1~3のいずれかに記載のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤を含む側根発生抑制剤。
6.1~3のいずれかに記載のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤を含む主根伸長促進剤。
7.1~3のいずれかに記載のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤を含む植物体過徒長抑制剤。
8.1~3のいずれかに記載のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤を含む分枝発達促進剤。
9.1~3のいずれかに記載のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤を含む花卉鮮度保持剤。
本発明により、オーキシンとアントラニル酸の両方の阻害作用を有する活性阻害剤及びこれを含有する新規な植物成長調整剤が提供される。
本発明の植物成長調整剤は、生育期の植物体に使用すると、オーキシンによる植物体の成長作用を抑制して、直根(主根)の伸長促進、不定根の伸長抑制、萌芽の抑制、花粉形成抑制、側芽成長促進、植物体地上部の成長抑制などの効果を発揮する。また植物体の内生オーキシンの作用を抑制し、育苗時の過徒長を抑制し、分枝の形成を促進する。
さらにまた、本発明の植物成長調整剤は、側根の成長を抑制する濃度を投与するときにオーキシン阻害剤で発生する植物体の枯死が発生しない。
そして、本発明の植物成長調整剤は、成熟した植物体にあっては、分枝の発達を促進し、開花期間を延長する。
さらに加えて、本発明の植物成長調整剤は、花卉に使用すると花の萎みを遅らせて花卉の鮮度を長期間維持することができる。
化合物1(AAA12)のアズキ発根試験の結果を示すグラフである。 化合物2(AAA1)のアズキ発根試験におけるインドール酢酸(IAA)に対する試験の結果を示すグラフである。 化合物2(AAA1)のアズキ発根試験におけるアントラニル酸に対する試験の結果を示すグラフである。 化合物3(AAA1-me)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物4(AAA11)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物5(AAA18)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物6(AAA23)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物7(AAA24)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物8(AAA25)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物9(AAA19)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物10(AAA14)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物11(AAA30)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物12(AAA36)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物13(AAA34)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物14(AAA38)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物101(比較例1)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物102(比較例2)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物103(比較例3)のアズキ発根試験結果のグラフである。 化合物104(比較例4)のアズキ発根試験結果のグラフである。 シロイヌナズナを用いた主根伸長抑制試験における播種7日後の主根長の観察画像である。 シロイヌナズナを用いた主根伸長抑制試験の主根長測定結果のグラフである。 シロイヌナズナを用いた主根伸長抑制試験における、播種11日後の主根発育状態の観察画像である。 シロイヌナズナを用いた主根伸長抑制試験における、播種11日後の主根長測定結果を示すグラフである。 シロイヌナズナを用いた主根伸長抑制試験における、播種11日後の側根数密度測定結果を示すグラフである。 内生オーキシンに対する試験における、試験培地1での側根密度の観察画像及び試験培地2での観察画像である。 内生オーキシンに対する試験における側根密度の測定結果のグラフである。 オーキシン応答遺伝子の発現パターンの変化による効果確認試験の観察画像である。 ナフタレン酢酸の側根形成に対する化合物2の効果試験の結果のグラフである。 ブロッコリー苗に対する徒長抑制効果試験の結果を示すグラフである。 ブロッコリー苗に対する徒長抑制効果試験の観察画像である。 エンドウ豆に対する分枝発達効果試験の結果を示すグラフである。 ポットカーネーション花の開花期間延長試験における開花数の測定結果である。 ポットカーネーション花の開花期間延長試験における萎れ花数の経日累積グラフである。 ポットカーネーション花の開花期間延長試験における総萎れ花数のグラフである。 化合物15の合成反応を示す図1である。 化合物15の合成反応を示す図2である。 化合物15の合成反応を示す図3である。 化合物15の合成反応を示す図4である。 シロイヌナズナを用いた主根伸長抑制試験における、播種15日後の主根長測定結果を示すグラフである。 ブロッコリー苗に対する徒長抑制効果試験の結果を示すグラフである。
本発明者らは、オーキシンやアントラニル酸の阻害作用を有する化合物を探索する過程で、アントラニル酸骨格中のベンゼン環の4位に、その炭素骨格が同一平面となるような化学構造を介して、かつ適切な分子間距離をとるように芳香族炭化水素が結合した物質には、アントラニル酸の阻害作用とオーキシン阻害作用の両方の作用があることを見出した
。そしてこの両方の阻害作用を有する物質は、植物成長調整剤として有用であることを見出した。
なお、本発明でいう「植物成長調整剤」とは、植物を当該剤で直接処理することによって成長と発育に対して調節作用をもち、農作物の生育調節に使われる薬剤をいう。
本発明のオーキシンとアントラニル酸の阻害作用を有し、植物成長調整剤となる化合物は、式1で表される次の化合物である。
(但し、Aは-CH(=O)-NH-または-CH=CH-構造を介した単結合であり、R1が水素原子、ハロゲン原子、アルキル基のいずれかであり、R2が水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基のいずれかであり、R3が水素原子、アルキル基又はハロゲン原子であり、R4がOH又はOCH3であり、R5がアミノ基、ハロゲン原子、水酸基、又は水素原子のいずれかである。またR1とR2が閉環したベンゼン環を形成しても良い。)
なお説明の便宜上Aの左側の構造を「左環構造」、右側を「右環構造」と本明細書において称する。
当該化合物は、左環構造と右環構造をつなぐAの構造が、-CH(=O)-NH-またはCH=CH構造であることによって、Aを介した左環構造-A-右環構造の炭素骨格の化学的な立体配置が、すべて同一平面上に配置されるようになる(ただしR4は、配置上から除外される)。このような配置によって、化合物は、オーキシンとアントラニル酸の両方に対する阻害作用を示す。
本発明者らは、多数の化合物の探索から、上記式1で表される化合物がオーキシンとアントラニル酸の作用の両方を阻害することを見出した。
なお、式1の化合物は、化学構造においてAが-CH(=O)-NH-の場合は、二重結合性を帯びているため、固い平面構造(rigid,planar structure)をとる。この平面構造は「アミド平面」(amide plane)と呼ばれている(非特許文献7参照)。これは、アミド構造の窒素のp軌道とカルボニル基のp軌道が重なることによって起こることが分かっている(非特許文献7参照)。このため、Aが-CH(=O)-NH-である場合、Aに隣接するベンゼン環・ナフタレン環のp軌道とも重なるため、化合物のR4のアルキルエステル以外の炭素骨格全体が同一平面上に配置される。また、-CH(=O)-NH内のNH-と-CH(=O)-結合順序は逆でも良い。
このように全体の生物学的活性を変えることなく、分子の構造を変化させることができることは、生物学的等価性(バイオアイソスター、bioisostere)として知られている。また、-CH(=O)-NH-構造の-NH-と-CH(=O)-の順序が入れ替わっても同一の活性が維持される例が、アミドアイソスター(amide isoster)としてよく知られている(非特許文献8参照)。
本発明の植物成長調整剤に用いる化合物も同様に-CH(=O)-NH-構造のアミノ
基とカルボニル基の順序が入れ替わっても同一の活性が維持されることが明らかになった。
また、上述の-CH(=O)-NH-構造を-CH=CH-構造に置換しても同様に置換前の化合物が持つ生物活性を維持することが知られている(非特許文献8参照)。本発明の植物成長調整剤に用いる化合物も、同様に-CH(=O)-NH-構造を-CH=CH-構造に置換しても、オーキシンとアントラニル酸の阻害作用が維持されることが明らかになった。
この場合も、-CH(=O)-NH-構造と同様に-CH=CH-構造のp軌道が隣接するベンゼン環・ナフタレン環のp軌道とも重なるため、当該化合物のR4以外の炭素骨格全体が同一平面上に配置される。
一方、炭素骨格が同一平面上にあっても、左環構造と右環構造との間に炭素1つしか介在しない4-ベンゾイル安息香酸(4-benzoylbenzoic acid、式15)や、左環構造と右環構造が原子を介さず直接結合しているビフェニル-4-カルボン酸(Biphenyl-4-carboxylic acid、式16)はオーキシン阻害作用もアントラニル酸阻害作用も示さないことが分かった。このことから、活性を維持するには左環構造と右環構造との間に適切な分子間距離が必要であることが見いだされた。
また、左環構造と右環構造との間の分子間距離が適切であっても、左環構造が平面上にない2-アミノ-4-[(シクロヘキシルアミノ)カルボニル]安息香酸(2-amino-4-[(cyclohexylamino)carbonyl]benzoic a
cid、式17)や、左環構造上に立体的な側鎖が結合して左環構造全体としては平面でない2-アミノ-4-[(4-tert-ブチルフェニルアミノ)カルボニル]安息香酸(2-amino-4-[(4-tert-butylphenylamino)carbonyl]benzoic acid、式18)もオーキシン阻害作用もアントラニル
酸阻害作用も示さないことが分かった。このことから、活性を維持するには左環構造と右環構造の全体が平面構造をもつことが必要であることが明らかになった。
本発明のオーキシンとアントラニル酸の阻害作用を有する剤は、植物成長調整剤に使用できる。式1で表される化合物、中でも実施例で明示する化合物1~15は、いずれもオーキシン阻害作用並びにアントラニル酸の阻害作用の両方の強い阻害作用を有している。
なおオーキシン阻害作用は、インドール酢酸(IAA)などの公知物質を陽性対象物として、頂芽の伸長抑制試験や不定根の発生抑制試験等で評価することができる。
またアントラニル酸の阻害作用は、アントラニル酸を陽性対象物として、不定根発生の抑制作用を指標として比較することで抗アントラニル酸活性として効果を確認することができる。この抗アントラニル酸活性は、特許文献6に開示されたアズキ苗切り口の浸漬処理による不定根の発生と伸長を観察する方法によって評価ができる。アントラニル酸の阻害作用は、以下本願明細書においては、抗アントラニル酸活性と記載する。
式1で示した化合物は、必要に応じて合成できる。
例えば、Aが-CH(=O)-NH-構造であり、R4がOCH3である化合物の合成は、2-アミノテレフタル酸1-メチルまたはテレフタル酸モノメチル、4-アミノ安息香酸メチルを出発物質として、各種のR1~R3に対応する置換基を有する化合物を得ることができる。
なお、R4がOHである化合物の合成は、上記のR4がOCH3である化合物を加水分解することで得ることができる。加水分解法としては、アルカリ加水分解、酸加水分解、酵素処理などを用いることができる。操作が簡便であることからアルカリ加水分解が好ましい。
Aが-CH=CH-構造である化合物は、trans-2-フェニルビニルボロン酸と4位にハロゲン置換がなされた安息香酸誘導体から常法によりクロスカップリングするこ
とで合成できる。
合成反応終了後、反応液から生成物を採取するには、反応溶媒を留去し、水と混合しない生成物可溶性有機溶媒と水を加え、適宜水相のpHを調整後、溶媒抽出を行い、有機溶媒層を回収後、乾燥し、有機溶媒を留去した後、必要に応じて単一もしくは混合溶媒から再結晶すればよい。また、必要に応じて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの分離手段によって単離すればよい。
以下に、本発明の植物成長調整剤として用いる代表的な化合物の名称、英語名称、並びに化学式を例示する。当然本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
化合物1(AAA12)
カッコ内の記号は便宜上付した略称である。以下に示す化合物についても同様である。4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
4-[(phenylamino)carbonyl]-benzoic acid
化合物2(AAA1)
2-アミノ-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
2-Amino-4-[(phenylamino)carbonyl]-benzoic acid
化合物3(AAA1-me)
2-アミノ-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸メチル
Methyl-2-Amino-4-[(phenylamino)carbonyl]-benzoate
化合物4(AAA11)
2-アミノ-4-[(1-ナフチルアミノ)カルボニル]-安息香酸
2-Amino-4-[(1-naphthylamino)carbonyl]-benzoic acid
化合物5(AAA18)
2-アミノ-4-[(2,3-ジメチルフェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
2-Amino-4-[(2,3-dimethylphenylamino)carbonyl]-benzoic acid
化合物6(AAA23)
2-アミノ-4-[(2-フルオロフェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
2-Amino-4-[(2-fluorophenylamino)carbonyl]-benzoic acid
化合物7(AAA24)
2-アミノ-4-[(3-フルオロフェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
2-Amino-4-[(3-fluorophenylamino)carbonyl]-benzoic acid
化合物8(AAA25)
2-アミノ-4-[(4-フルオロフェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
2-Amino-4-[(4-fluorophenylamino)carbonyl]-benzoic acid
化合物9(AAA19)
4-(ベンゾイルアミノ)安息香酸
4-(benzoylamino)benzoic acid
化合物10(AAA14)
2-ヒドロキシ-4-(ベンゾイルアミノ)安息香酸
2-hydroxy-4-(benzoylamino)benzoic acid
化合物11(AAA30)
2-クロロ-4-(ベンゾイルアミノ)安息香酸
2-Chloro-4-(benzoylamino)benzoic acid
化合物12(AAA36)
4-(4-フルオロベンゾイルアミノ)安息香酸
4-(4-fluorobenzoylamino)benzoic acid
化合物13(AAA34)
4-スチルベン-カルボン酸
4-Stilbenecarboxylic acid
化合物14(AAA38)
2-アミノ-4-(ベンゾイルアミノ)安息香酸
2-amino-4-(benzoylamino)benzoic acid
化合物15(AAA37)
2―アミノ―4-スチリル安息香酸
2-Amino-4-styrylbenzoic acid
本発明のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤は、2種以上の複数化合物を組み合わせ、使用することもできる。また公知のオーキシン合成阻害剤と併用することができる。
本発明のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤は、化合物の水溶液又は分散液をそのまま植物成長調整剤、側根発生抑制剤、主根伸長促進剤、植物体過徒長抑制剤、分枝発達促進剤、並びに花卉鮮度保持剤として用いることができる。
また、水和剤、乳剤、粒剤、粉剤、界面活性剤など、通常の農業分野で用いる植物成長調整剤や農薬に用いられる担体を用いて製剤化してもよい。例えば、固体担体としては鉱物質粉末(カオリン、ベントナイト、クレー、モンモリロナイト、タルク、ケイソウ土、雲母、バーミキュライト、セッコウ、炭酸カルシウム、リン石灰など)、植物質粉末(大豆粉、小麦粉、木粉、タバコ粉、デンプン、結晶セルロースなど)、高分子化合物(石油樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル酢酸樹脂、ポリ塩化ビニル、ケトン樹脂など)、更に、アルミナ、ワックス類などを使用することができる。また、液体担体としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ベンジルアルコールなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、塩素化炭化水素類(クロロホルム、四塩化炭素、モノクロルベンゼンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、酸アミド類(N,N-ジメチルアセトアミドなど)、エーテルアルコール類(エチレングリコールエチルエーテルなど)、又は水などを使用することができる。
乳化、分散、拡散などの目的で使用される界面活性剤としては、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性及び両イオン性のいずれも使用することができる。本発明において使用することができる界面活性剤の例を挙げると、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンポリマー、オキシプロピレンポリマー、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、第四級アンモニウム塩、オキシアルキルアミン、レシチン、サポニン等である。また、必要に応じてゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、デンプン、寒天、ポリビニルアルコールなどを補助剤として用いることができる。
本発明のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤、植物成長調整剤、側根発生抑制剤、主根伸長促進剤、植物体過徒長抑制剤、分枝発達促進剤、並びに花卉鮮度保持剤は、製剤の形状に制限はなく、粉剤、顆粒剤、粒剤、水和剤、フロアブル剤、乳剤及びペースト剤等のあらゆる製剤形態に成形することができる。その他の成分を常法に従い、混合、撹
拌、噴霧乾燥等することにより製造することができる。
植物に適用する場合、土壌処理剤、茎葉処理剤、播種前の種子処理剤、移植前植物の処理剤及び移植時の植物に対する処理剤等として使用することができる。また、水耕栽培においては水耕液に混合して使用してもよく、組織培養では培地中に懸濁又は溶解させて用いてもよい。
本発明のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤、植物成長調整剤、側根発生抑制剤、主根伸長促進剤、植物体過徒長抑制剤、分枝発達促進剤、並びに花卉鮮度保持剤は、植物の不定根発生を抑制し、直根の成長を促進する。また目的の植物に適用すれば、直根が伸長し、蓄積される糖分やデンプンなどの収量が増加し、分枝発達が促進され収量が増加する。また育苗中に適用すると、苗の軟弱化が抑制され、丈夫な移植用苗を提供することができる。さらに、ジャガイモやサツマイモなどの保存中に適用すれば、発根や発芽が抑制され、長期間の保存が可能となる。
本発明のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤、植物成長調整剤、側根発生抑制剤、主根伸長促進剤、植物体過徒長抑制剤、分枝発達促進剤、並びに花卉鮮度保持剤を散布用として用いる場合の使用濃度は、式1の化合物を好ましくは0.01~10000ppm、より好ましくは1~5000ppm、特に好ましくは5~1000ppmの範囲とすることができる。特に育苗期の苗に使用する場合は、上記濃度の希釈液を培養土1L当たり50~200ml散布することが望ましい。この場合、展着剤を使用してもよく、用いる展着剤の種類及び使用量については特に制限されない。また葉面散布しても効果を発揮する。
肥料と混合する場合を含め、土壌に直接施用する場合の使用量としては、1ヘクタール当たり100~10000g、特に500~5000g用いるのが好ましい。特に育苗期の苗に使用する場合は、培養土1L当たり0.001~10g用いるのが望ましい。この場合、播種前の培養土に予め混合しておいてもよく、育苗期間中に散布してもよい。
播種前の種子処理用として用いる場合は、水、アルコール類(メタノール、エタノールなど)、ケトン類(アセトンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、ベンゼンなど)、塩素化炭化水素類(クロロホルム、塩化メチレンなど)、エーテル類(ジエチルエーテルなど)、エステル類(酢酸エチルなど)等の液体担体に0.01~100000ppmとなるように希釈し、乾燥種子に噴霧するか、乾燥種子を希釈液に浸漬して種子に吸収させることもできる。浸漬時間としては特に制限されないが、1秒~120分が好ましい。また、処理した種子は、風乾、減圧乾燥、加熱乾燥、真空乾燥などによって液体担体を蒸発させてもよい。クレーなどの鉱物質粉末の固体担体を用いて製剤化したものを種子表面に付着させ使用することもできる。通常用いられている種子コーティング剤、種子コーティングフィルムに混合して種子に被覆することもできる。
組織培養や細胞培養時に使用する場合は、通常用いられる植物組織培養用の培地(MS培地、ホワイト培地、ガンボルグのB5培地など)に培地中濃度として、式1の化合物を好ましくは0.01~10000ppm、特に好ましくは0.1~1000ppmの範囲で溶解又は懸濁して用いることができる。
移植前の植物に直接吸収させる場合は、使用濃度として式1の化合物を0.1~1000ppmに希釈又は懸濁した液に、植物の根部あるいは全体を浸漬して使用することができる。
本発明のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤、植物成長調整剤、側根発生抑制剤、主根伸長促進剤、植物体過徒長抑制剤、分枝発達促進剤、並びに花卉鮮度保持剤の投与時期としては、生育期間中いかなる時期にも使用が可能であるが、特に生育状況を確認しながら適宜散布する。通常は、育苗時の徒長が過大な場合、これを抑制するために植物体に直接散布する。あるいは、収穫後の根茎の保存期間中に適宜散布して、発芽や発根を抑制する目的で散布する。
除草を目的として散布する場合は、除草を必要とする適切な時期にいつでも散布可能である。
本発明のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤、植物成長調整剤、側根発生抑制剤、主根伸長促進剤、植物体過徒長抑制剤、分枝発達促進剤、並びに花卉鮮度保持剤の適用対象となる植物としては、特に限定されないが、例えば、トマト、ピーマン、トウガラシ、ナス等のナス科類、キュウリ、カボチャ、メロン、スイカ等のウリ類、セルリー、パセリー、レタス等の生菜・香辛菜類、ネギ、タマネギ、ニンニク等のネギ類、ダイズ、ラッカセイ、インゲン、エンドウ、アズキ等の豆類、イチゴ等のその他果菜類、ダイコン、カブ、ニンジン、ゴボウ等の直根類、サトイモ、キャッサバ、バレイショ、サツマイモ、ナガイモ等の芋類、アスパラガス、ホウレンソウ、ミツバ等の柔菜類、トルコギキョウ、ストック、カーネーション、キク等の花卉類、イネ、トウモロコシ等の穀物類、ベントグラス、コウライシバ等の芝類、ナタネ、ヒマワリ等の油料作物類、サトウキビ、テンサイ等の糖料作物類、ワタ、イグサ等の繊維料作物類、クローバー、ソルガム、デントコーン等の飼料作物類、リンゴ、ナシ、ブドウ、モモ等の落葉性果樹類、ウンシュウミカン、レモン、グレープフルーツ等の柑橘類、サツキ、ツツジ、スギ等の木本類が挙げられる。これらのうち、トマト、ピーマン、トウガラシ、ナス、キュウリ、カボチャ、メロン、スイカ、セルリー、パセリー、レタス、ネギ、タマネギ、アスパラガス、トルコギキョウ、ストック、イネ、ベントグラス、コウライシバ、テンサイ、イグサ等の植物や、キク、カーネーション、サツキ、ツツジ、ブドウに対しては特に有効である。また、倒伏防止を目的とする場合のイネ科の植物としては、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ等が挙げられる。
また、本発明の効果向上を目的として、上記したように他の植物成長調整剤(オーキシン合成阻害剤)と併用することもでき、場合によっては相乗効果を期待することもできる。
例えば、高い栽植密度、高湿度、日照不足などといった極めて徒長しやすい条件下での育苗時には、地上部地下部重比の小さい良質な苗の育成を目的として抗ジベレリン剤(パクロブトラゾール、ウニコナゾールP、アンシミドールなど)、成長抑制剤(ダミノジッドなど)、エチレン発生剤(エテホンなど)と併用してもよい。
本発明の植物成長調整剤、側根発生抑制剤、主根伸長促進剤、植物体過徒長抑制剤、分枝発達促進剤、並びに花卉鮮度保持剤は、各種殺虫剤、殺菌剤、微生物農薬、肥料等と混用又は併用することも可能である。
1.製造例
<化合物1(AAA12)>
テレフタル酸モノメチル5.0gを塩化メチレン溶液50mLに溶解させ溶液とした。
アニリン5.14g、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩5.33g、トリエチルアミン3.88ml、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.38gを塩化メチレン溶液200mLに溶解させ溶液とした。先の溶液を後の溶液に氷冷下で添加し、室温にて一夜撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて塩化メチレンを留去した。得られた結晶をアセトンにて再結晶した後、減圧乾燥した。得られた化合物0.2g、50%エタノール50mL、および1規定水酸化ナトリウム5mLを容器に順次加え、65℃にて1時間撹拌した。反応液に濃塩酸を加えてpH8.0にし、酢酸エチルで抽出した後、水相に濃塩酸を加えてpH2.5にし、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去し、得られた結晶をアセトンおよびメタノールで洗浄し、減圧乾燥し、0.12g(収率1.8%)の化合物を
得た。この化合物についてマススペクトル、融点を測定し、式5の構造を確認した。
この化合物についてプロトンNMR、マススペクトル、融点を測定し、式2の構造を確認した。
<化合物2(AAA1)>
2-アミノテレフタル酸1-メチル5.0gを塩化メチレン溶液50mLに溶解させ溶
液とした。アニリン10ml、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩4.9g、トリエチルアミン10.7ml、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.3gを塩化メチレン溶液200mLに溶解させ溶液とした。先の溶液を後の溶液に氷冷下で添加し、室温にて一夜撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて塩化メチレンを留去した。得られた結晶(化合物2)をアセトンにて再結晶した後、減圧乾燥した。得られた化合物3g、50%エタノール50mL、および1規定水酸化ナトリウム5mLを容器に順次加え、65℃にて1時間撹拌した。反応液に濃塩酸を加えてpH8.0にし、酢酸エチルで抽出した後、水相に濃塩酸を加えてpH2.5にし、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去し、得られた結晶をアセトンにて再結晶後、減圧乾燥し、0.36g(収率12.9%)の化合物を得た。
この化合物についてプロトンNMR、マススペクトル、融点を測定し、式3の構造を確認した。
<化合物3(AAA1-me)>
2-アミノテレフタル酸1-メチル5.0gを塩化メチレン溶液50mLに溶解させ溶
液とした。アニリン10ml、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩4.9g、トリエチルアミン10.7ml、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.3gを塩化メチレン溶液200mLに溶解させ溶液とした。先の溶液を後の溶液に氷冷下で添加し、室温にて一夜撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて塩化メチレンを留去し、3.489g(50.4%)の化合物を得た。この化合物についてマススペクトル、融点を測定し、式4の構造を確認した。
<化合物4(AAA11)>
2-アミノテレフタル酸1-メチル5.0gを塩化メチレン溶液50mLに溶解させ溶
液とした。1-ナフチルアミン7.16g、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩4.9g、トリエチルアミン3.58ml、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.35gを塩化メチレン溶液200mLに溶解させ溶液とした。先の溶液を後の溶液に氷冷下で添加し、室温にて一夜撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて塩化メチレンを留去した。得られた結晶をアセトンにて再結晶した後、減圧乾燥した。得られた化合物1g、50%エタノール50mL、および1規定水酸化ナトリウム5mLを容器に順次加え、65℃にて1.5時間撹拌した。反応液に濃塩酸を加えてpH8.0にし、酢酸エチルで抽出した後、水相に濃塩酸を加えてpH2.5にし、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去し、得られた結晶をアセトンにて再結晶後、減圧乾燥し、0.33g(収率4.2%)の化合物を得た。
この化合物についてプロトンNMR、マススペクトル、融点を測定し、式5の構造を確認した。
<化合物5(AAA18)>
2-アミノテレフタル酸1-メチル5.0gを塩化メチレン溶液25mLに溶解させ溶
液とした。2,3-ジメチルアミン6.51g、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩4.9g、トリエチルアミン3.58ml、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.35gを塩化メチレン溶液125mLに溶解させ溶液とした。先の溶液を後の溶液に氷冷下で添加し、室温にて一夜撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて塩化メチレンを留去した。得られた結晶をアセトンとメタノールの混合液にて再結晶した後、減圧乾燥した。得られた化合物2.1g、50%エタノール100mL、および1規定水酸化ナトリウム10mLを容器に順次加え、65℃にて1時間撹拌した。反応液に濃塩酸を加えてpH8.0にし、酢酸エチルで抽出した後、水相に濃塩酸を加えてpH2.5にし、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去し、得られた結晶をアセトンにて再結晶後、減圧乾燥し、0.30g(収率14.9%)の化合物を得た。
この化合物についてプロトンNMR、マススペクトル、融点を測定し、式6の構造を確認した。
<化合物6(AAA23)>
2-アミノテレフタル酸1-メチル5.0gを塩化メチレン溶液50mLに溶解させ溶
液とした。2-フルオロアニリン5.97g、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩4.9g、トリエチルアミン3.58ml、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.35gを塩化メチレン溶液200mLに溶解させ溶液とした。先の溶液を後の溶液に氷冷下で添加し、室温にて一夜撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて塩化メチレンを留去した。得られた結晶をアセトンにて再結晶した後、減圧乾燥した。得られた化合物0.57g、50%エタノール50mL、および1規定水酸化ナトリウム5mLを容器に順次加え、65℃にて1時間撹拌した。反応液に濃塩酸を加えてpH8.0にし、酢酸エチルで抽出した後、水相に濃塩酸を加えてpH2.5にし、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去し、得られた結晶をアセトンにて再結晶後、減圧乾燥し、0.23(収率3.3%)の化合物を得た。
この化合物についてプロトンNMR、マススペクトル、融点を測定し、式7の構造を確認した。
<化合物7(AAA24)>
2-アミノテレフタル酸1-メチル5.0gを塩化メチレン溶液50mLに溶解させ溶
液とした。3-フルオロアニリン5.97g、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩4.9g、トリエチルアミン3.58ml、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.35gを塩化メチレン溶液200mLに溶解させ溶液とした。先の溶液を後の溶液に氷冷下で添加し、室温にて一夜撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて塩化メチレンを留去した。得られた結晶をアセトンにて再結晶した後、減圧乾燥した。得られた化合物0.27g、50%エタノール100mL、および1規定水酸化ナトリウム10mLを容器に順次加え、65℃にて1時間撹拌した。反応液に濃塩酸を加えてpH8.0にし、酢酸エチルで抽出した後、水相に濃塩酸を加えてpH2.5にし、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去し、得られた結晶をアセトンにて再結晶後、減圧乾燥し、0.15g(収率2.1%)の化合物を得た。
この化合物についてマススペクトル、融点を測定し、式8の構造を確認した。
<化合物8(AAA25)>
2-アミノテレフタル酸1-メチル5.0gを塩化メチレン溶液50mLに溶解させ溶
液とした。4-フルオロアニリン5.97g、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩4.9g、トリエチルアミン3.58ml、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.35gを塩化メチレン溶液200mLに溶解させ溶液とした。先の溶液を後の溶液に氷冷下で添加し、室温にて一夜撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて塩化メチレンを留去した。得られた結晶をアセトンにて再結晶した後、減圧乾燥した。得られた化合物0.17g、50%エタノール100mL、および1規定水酸化ナトリウム10mLを容器に順次加え、65℃にて1時間撹拌した。反応液に濃塩酸を加えてpH8.0にし、酢酸エチルで抽出した後、水相に濃塩酸を加えてpH2.5にし、酢酸エチルにて3回抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去し、得られた結晶をアセトンにて再結晶後、減圧乾燥し、0.08g(収率1.2%)の化合物を得た。
この化合物についてプロトンNMR、マススペクトル、融点を測定し、式9の構造を確認した。
<化合物9(AAA19)>
4-アミノ安息香酸メチル5.0gを塩化メチレン溶液50mLに溶解させ溶液とした。安息香酸4.0g、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩6.9g、トリエチルアミン5ml、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.5gを塩化メチレン溶液100mLに溶解させ溶液とした。先の溶液を後の溶液に氷冷下で添加し、室温にて一夜撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて塩化メチレンを留去した。得られた結晶をアセトンにて再結晶した後、減圧乾燥した。得られた化合物1.0g、50%エタノール100mL、および1規定水酸化ナトリウム10mLを容器に順次加え、65℃にて1時間撹拌した。反応液に濃塩酸を加えてpH8.0にし、酢酸エチルで抽出した後、水相に濃塩酸を加えてpH2.5にし、酢酸エチルにて3回抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去し、得られた結晶をアセトンとメタノールの混合液にて再結晶後、減圧乾燥し、0.41g(収率5.1%)の化合物を得た。
この化合物についてプロトンNMR、マススペクトル、融点を測定し、式10の構造を確認した。
<化合物10(AAA14)>
4-アミノサリチル酸メチル5.0gを塩化メチレン溶液50mLに溶解させ溶液とした。安息香酸3.65g、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩6.2g、トリエチルアミン4.5ml、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.4gを塩化メチレン溶液200mLに溶解させ溶液とした。先の溶液を後の溶液に氷冷下で添加し、室温にて一夜撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて塩化メチレンを留去した。得られた結晶をアセトンにて再結晶した後、減圧乾燥した。得られた化合物0.7g、50%エタノール50mL、および1規定水酸化ナトリウム6mLを容器に順次加え、65℃にて1時間撹拌した。反応液に濃塩酸を加えてpH8.0にし、酢酸エチルで抽出した後、水相に濃塩酸を加えてpH2.5にし、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去し、得られた結晶をアセトンにて再結晶後、減圧乾燥し、0.25g(収率3.3%)の化合物を得た。
この化合物についてマススペクトル、融点を測定し、式11の構造を確認した。
<化合物11(AAA30)>
4-アミノ-2-クロロ安息香酸5gをメタノール15mlに溶解し、トリメチルシリルジアゾメタン(約10%ヘキサン溶液、約0.6mol/L)20mlを滴下して室温
にて一夜攪拌した。反応液を酢酸エチルにてスケールアップし、水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて酢酸エチルを留去した。得られた結晶をアセトンにて再結晶した後、減圧乾燥した。得られた化合物0.56g、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩0.41g、トリエチルアミン0.3ml、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.3gを塩化メチレン溶液20mLに溶解させ溶液とした。安息香酸0.23gを塩化メチレン5mlに溶解した。後の溶液を先の溶液に氷冷下で添加し、室温にて一夜撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて塩化メチレンを留去した。得られた結晶をアセトンにて再結晶した後、減圧乾燥した。得られた化合物0.19g、50%エタノール20mL、および1規定水酸化ナトリウム5mLを容器に順次加え、60℃にて3時間撹拌した。反応液に濃塩酸を加えてpH8.0にし、酢酸エチルで抽出した後、水相に濃塩酸を加えてpH2.5にし、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去し、得られた結晶をメタノールにて再結晶後、減圧乾燥し、0.1g(収率1.3%)の化合物を得た。
この化合物についてマススペクトル、融点を測定し、式12の構造を確認した。
<化合物12(AAA36)>
4-アミノ安息香酸メチル5.0gを塩化メチレン溶液50mLに溶解させ溶液とした。4-フルオロ安息香酸4.6g、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩6.86g、トリエチルアミン5ml、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.5gを塩化メチレン溶液200mLに溶解させ溶液とした。先の溶液を後の溶液に氷冷下で添加し、室温にて一夜撹拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定塩酸、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて塩化メチレンを留去した。得られた結晶をアセトンにて再結晶した後、減圧乾燥した。得られた化合物1g、50%エタノール50mL、および1規定水酸化ナトリウム5mLを容器に順次加え、65℃にて1時間撹拌した。反応液に濃塩酸を加えてpH8.0にし、酢酸エチルで抽出した後、水相に濃塩酸を加えてpH2.5にし、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去し、得られた結晶をアセトンとメタノールの混合液にて再結晶後、減圧乾燥し、0.21g(収率2.5%)の化合物を得た。
この化合物についてマススペクトル、融点を測定し、式13の構造を確認した。
<化合物13(AAA34)>
スチルベン-4-カルボン酸エチル5gを50%エタノール50mL、および1規定水酸化ナトリウム10mLを容器に順次加え、65℃にて6時間撹拌した。反応液に濃塩酸を加えてpH8.0にし、酢酸エチルで2回抽出した後、水相に濃塩酸を加えてpH2.5にし、酢酸エチルにて2回抽出した。酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去し、得られた結晶をアセトンとメタノールの混合液にて再結晶後、減圧乾燥し、0.16g(収率3.3%)の化合物を得た。
この化合物についてマススペクトル、融点を測定し、式14の構造を確認した。
<化合物14(AAA38)>
4-アミノ-2-ニトロ安息香酸0.5gをメタノール25mL、トリメチルシリルジアゾメタン25mLを添加し室温にて2時間攪拌した。反応液をpH8.0に調整後、酢酸エチルにて抽出した画分を乾固させて得た化合物0.3gをジクロロメタン40mlに溶解し、ピリジン0.27mLを添加した。反応液を氷冷し、ジクロロメタン40mLと混合した塩化ベンゾイル0.3mLを添加し、その後室温に戻しながら20時間攪拌した。反応液を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1規定酢酸、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水後乾固した。結晶を20%酢酸エチル含有ノルマルヘキサンに溶解し、2
0%酢酸エチル含有ノルマルヘキサンで調製したシリカゲル(ワコーゲルC-100)カラムに吸着させ、50%酢酸エチル含有ノルマルヘキサンで溶出したものを乾固後、ジエチルエーテルで洗浄し、乾固して結晶160mgを得た。結晶をアルゴン雰囲気下で酢酸エチルに溶解し、10%パラジウム炭素19.2gを添加した。反応容器内を水素ガスに置換し、4時間攪拌後、さらに10%パラジウム炭素34.6mgを添加し、4時間攪拌した。反応容器内をアルゴンに置換し、セライトにてろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた結晶110.6mgを50%エタノール15mLに溶解し、加熱して65℃とした。これに1規定水酸化ナトリウム1mLを添加し、3時間攪拌した。反応液は、酢酸エチルを用いて洗浄し、pH2.5に調製して酢酸エチルを用いて抽出し、さらに酢酸エチル層を分離回収して、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥、減圧下にて乾固し、74mg(10.5%)の化合物14を得た。
この化合物についてマススペクトル、融点を測定し、式15の構造を確認した。
<化合物15(AAA37)>
2-アミノ-4-スチリル安息香酸(化合物15)の合成
(工程1)
工程1の反応を図35に示す。
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(0.374mL)に-78℃でn-BuLiの2.64Mヘキサン溶液(0.85mL)を添加した後、テトラメチルピペリジンが溶
解するまで昇温し、再び-78℃に冷却して10分間攪拌した。ジエチル亜鉛の1.09Mヘキサン溶液(1.93mL)を添加し、50分かけて室温まで昇温した。得られた混合物をTHF(1.6mL)で希釈して、LiTMP0.1[ZnEt2(TMP)]の0.5Mヘキサン-THF溶液を調製した。
4-シアノ-trans-スチルベン(205.3mg)とTHF(2mL)の混合物に、 LiTMP0.1[ZnEt2(TMP)]の0.5M ヘキサン-THF溶液(3
.0mL)を添加し、1時間攪拌した。氷冷後、2-エチルヘキサン酸銅(II)(35.0mg)のTHF溶液(1.6mL)を添加した。氷冷下、得られた混合物を無溶媒の化合
物(R1)(838.0mg)に添加し、室温で一晩攪拌した。
得られた混合物に2-プロパノールを加えた後、アルミナ濾過を行い、得られた濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=49:1)に付し、上記式で示される中間体IM-2を収率58%で142.7mg得た。
得られた中間体IM-2の1H-NMRデータを以下に示す。
1H-NMR(CDCl3, 500.16MHz):δ 7.59 (d, 1H, J = 8.0 Hz, Ar-H), 7.55 (d, 2H, J = 6.9 Hz, 2H, Ar-H), 7.41 (t, 2H, J = 8.0 Hz, Ar-H), 7.35-7.33 (m, 2H, Ar-H), 7.31 (s, 1H, Ar-H), 7.24 (d, 1H, J = 15.8 Hz, =CH-), 7.07 (d, 1H, J = 16.0 Hz, =CH-)
(工程2)
工程2の反応を図36に示す。
中間体IM-2(71.4mg)およびジクロロメタン(2.9mL)の混合物に、-78℃でDIBAL-Hの1.03Mヘキサン溶液(5.7mL)を添加し、30分かけて-30℃まで昇温した。
得られた混合物に1M塩酸を加え、室温で1時間攪拌後、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。
中間体IM-3を含む濃縮残渣にtert-ブチルアルコール(2.18mL)、水(0.73mL)、THF(1.5mL)、2-メチル-2-ブテン(0.31mL)リン酸二水素ナトリウム二水和物(113.0mg)、亜塩素酸ナトリウム(108.0mg)を加え、室温で40分攪拌した。
得られた混合物に飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。
中間体IM-4を含む濃縮残渣にアセトニトリル(2.16mL)とヨウ化ナトリウム(48.0mg)を加えて5分攪拌した。トリメチルシリルクロリドの3Mアセトニトリル溶液(0.11mL)を添加し、室温で75分間攪拌した。
得られた混合物に10%チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を熱トルエン中での再結晶に付して、化合物Aを収率16%で12.4mg得た。
得られた化合物についてプロトンNMRを測定した。
Aが-CH=CH-構造である化合物は、trans-2-フェニルビニルボロン酸と4位にハロゲン置換がなされた安息香酸誘導体から常法によりクロスカップリングすることで合成できる。
また、例えばR5にアミノ基をもちAが-CH=CH-構造である化合物はシアノスチルベンからオルト位アジド化を用いて合成したニトリル中間体からDIBIAL-H還元によりイミンとし生じたイミンを加水分解して生成した中間体のアルデヒドを酸化してカルボン酸へ誘導し、最後にアジド基を還元することで合成できる(図37参照)。
式(IM-2)の化合物は、式(IM-1)のシアノスチルベンに対し、LiTMP0.1[ZnEt2(TMP)]/Cu(eh)2を用いた、オルト位アジド化を行うことで調製することができる。
この場合、Journal of American Chemical Society, Volume 139, Issue 33, Pages 11622-11628, 2017に記載の方法を参考にすることができる。
式(IM-3)の化合物は、式(IM-2)のニトリルに対し、DIBIAL-H還元を行いイミンとし、生じたイミンを加水分解することで調製することができる。このアルデヒドを酸化してカルボン酸へと誘導し、最後にアジド基を還元することで式(A)の化合物を調製できる。酸化の条件は官能基選択性が高いピニック-クラウス酸化を用いることが好ましい(図38参照)。アジド基の還元については、Tetrahedron Letters, Volume 38, Issue 39, Pages 6945-6948, 1997に記載の方法を参考にすることができる。
化合物1~15の融点、NMR、マススペクトル値を下記表1に示す。
化合物1~15は、上記の合成方法によらずに調製されたものを使用することができる
。また市販されている化合物を使用することもできる。精製純度は、必ずしも高純度品でなくとも本発明に使用可能である。
2.試験例
<オーキシンまたはアントラニル酸浸漬処理アズキ切り口の不定根発生に対する効果確認試験>
アズキ苗切り口の不定根発生を指標として、化合物1~15の抗オーキシン、抗アントラニル酸活性を評価した。
(1)被験化合物
上記の化合物1~15および、化学構造式が類似の化合物としてA部がC(=O)である化合物として、安息香酸の4位にベンゾイル基を導入した4-ベンゾイル安息香酸(化合物101、比較例1)、A部がない化合物として、Aに原子を介さず直結させた構造であるビフェニル-4-カルボン酸(化合物102、比較例2)、また炭素骨格が同一平面上にない類似化合物である2-アミノ-4-[(シクロヘキシルアミノ)カルボニル]-安息香酸(化合物103、AAA8、比較例3)、2-アミノ-4-[(4-tert-ブチルフェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸(化合物104、AAA9、比較例4)を用いて試験を行った。
比較例の化合物101、102、103、104の化学式は次の通りである。
<比較例1:化合物101>
4-ベンゾイル安息香酸
<比較例2:化合物102>
ビフェニル-4-カルボン酸
<比較例3:化合物103>
2-アミノ-4-[(シクロヘキシルアミノ)カルボニル]-安息香酸
<比較例4:化合物104>
2-アミノ-4-[(4-tert-ブチルフェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
なお化合物103は、化合物2の左環をシクロヘキサンに置換することで、また化合物104は、化合物2の左環にtert-ブチルが結合することで、炭素骨格の同一平面性が失われた化合物の例である。
(2)試験方法
各被験化合物を適切な溶媒に溶解後、蒸留水で希釈し、最終の試験濃度を10μM~1mMの濃度範囲になるよう水溶液を調製した。溶液のpHをpH7に調整し、アズキ不定根発生促進アッセイ(Itagaki et al. 2003. Biological activities and structure-activity relationship of substitution compounds of N-[2-(3-indolyl)ethyl] succinamic
acid and N-[2-(1-naphthyl)ethyl] succinamic acid,derived from a new category of root-promoting substance,N-(phenethyl)succinamic acid analogs. Plant Soil 255: 67-75.)を行った。
また、各被験化合物の抗オーキシン活性及び抗アントラニル酸活性は、オーキシンであるインドール酢酸(IAA)又はアトラニル酸(AntA)と併用する試験で、インドール酢酸またはアントラニル酸の示す発根作用に対する阻害の大きさとして直接検出した。
なお、試験に用いたアズキ苗切片は、所定の手段で切断し、切断基部を48時間各被検液に浸漬した。そして、7日後に発生した不定根数を数えた。
なお試験の反復数は、1試験当たりアズキ苗5本とした。
また、各化合物の活性を測定する際に、対照として蒸留水(DW)で処理したアズキ苗を用いて、同様に不定根数を測定した。測定結果は、発根数の総平均値で表した。
(3)試験結果
1)化合物1(AAA12)の試験結果
図1に試験結果のグラフを示す。
化合物1(AAA12)は、0.1mMの濃度で、アズキの発根を完全に抑制した。ま
た濃度依存性でインドール酢酸10μM溶液又はアントラニル酸1mM溶液の発根を抑制した。
2)化合物2(AAA1)の試験結果
図2に化合物2(AAA1)のインドール酢酸に対する試験、及び図3にアントラニル酸に対する試験結果のグラフを示す。
化合物2(AAA1)は、濃度依存性でインドール酢酸10μM溶液の発根を抑制した(図2参照)。なお0.3mMの濃度でインドール酢酸の作用を完全に抑制した。また、化合物2は、アントラニル酸0.3mM溶液の発根を抑制した(図3)。
3)化合物3(AAA1-me)の試験結果
図4に化合物3(AAA1-me)の試験結果のグラフを示す。
化合物3(AAA1-me)は、インドール酢酸10μM溶液又はアントラニル酸1mM溶液の発根を抑制した。
4)化合物4(AAA11)の試験結果
図5に化合物4(AAA11)の試験結果のグラフを示す。
化合物4(AAA11)は、濃度依存性で、インドール酢酸10μM溶液又はアントラニル酸1mM溶液の発根を抑制した。
5)化合物5(AAA18)の試験結果
図6に化合物5(AAA18)の試験結果のグラフを示す。
化合物5(AAA18)は、濃度依存性で、インドール酢酸10μM溶液の発根を抑制した。又化合物5は、アントラニル酸1mM溶液の発根を抑制した。
6)化合物6(AAA23)の試験結果
図7に化合物6(AAA23)の試験結果のグラフを示す。
化合物6(AAA23)は、濃度依存性で、インドール酢酸10μM溶液の発根を抑制した。また、アントラニル酸1mMの発根を抑制した。
7)化合物7(AAA24)の試験結果
図8に化合物7(AAA24)の試験結果のグラフを示す。
化合物7(AAA24)は、濃度依存性で、インドール酢酸10μM溶液及びアントラニル酸1mMの発根を抑制した。
8)化合物8(AAA25)の試験結果
図9に化合物8(AAA25)の試験結果のグラフを示す。
化合物8(AAA25)は、インドール酢酸10μM溶液及びアントラニル酸1mMの発根を濃度依存性に抑制した。
9)化合物9(AAA19)の試験結果
図10に化合物9(AAA19)の試験結果のグラフを示す。
化合物9(AAA19)は、インドール酢酸10μM溶液及びアントラニル酸1mMの発根を、0.1mMの濃度でほぼ完全に抑制した。
10)化合物10(AAA14)の試験結果
図11に化合物10(AAA14)の試験結果のグラフを示す。
化合物10(AAA14)は、インドール酢酸10μM溶液及びアントラニル酸1mMの発根を0.1mM濃度でほぼ完全に抑制した。
11)化合物11(AAA30)の試験結果
図12に化合物11(AAA30)の試験結果のグラフを示す。
化合物11(AAA30)は、インドール酢酸10μM溶液及びアントラニル酸1mMの発根を濃度依存性に抑制した。
12)化合物12(AAA36)の試験結果
図13に化合物12(AAA36)の試験結果のグラフを示す。
化合物12(AAA36)は、インドール酢酸10μM溶液及びアントラニル酸1mMの発根を濃度依存性に抑制した。
13)化合物13(AAA34)の試験結果
図14に化合物13(AAA34)の試験結果のグラフを示した。
化合物13(AAA34)は、インドール酢酸10μM溶液の発根作用を濃度依存性に抑制した。またアントラニル酸1mMの発根を0.1mMの濃度で完全に抑制した。
14)化合物14(AAA38)の試験結果
図15に化合物14(AAA38)の試験結果のグラフを示した。
化合物14(AAA38)は、蒸留水の発根を0.3mMの濃度で抑制した。
15)化合物101(比較例1)の試験結果
化合物101の試験結果を図16に示した。
化合物101はインドール酢酸10μM溶液及びアントラニル酸1mMの発根作用を抑制せず、増強した。
16)化合物102(比較例2)の試験結果
化合物102の試験結果を図17に示した。
化合物102はインドール酢酸10μM溶液及びアントラニル酸1mMの発根作用を抑制せず、増強した。0.3mMの化合物102は試験対象のアズキ切断苗を枯死させた。
17)化合物103(比較例3)の試験結果
化合物103の試験結果を図18に示した。
化合物103は、インドール酢酸10μM溶液及びアントラニル酸1mMの発根作用を抑制せず、増強した。
18)化合物104(比較例4)の試験結果
化合物104の試験結果を図19に示した。
化合物104は、インドール酢酸10μM溶液及びアントラニル酸1mMの発根作用を抑制しなかった。0.3mMの化合物104は、試験対象とした切断アズキ苗を枯死させた。
以上の試験結果及びこれまでの知見を、総合して下記表2にまとめて示した。
表2に示すように、化合物1~15は、炭素骨格平面構造を有している。そして、抗オーキシン及び抗アントラニル酸作用を有している。また平面構造を有し、A部の骨格の原子数が2となる化合物1、2、4~14および、R4がエステル結合したアルキルである化合物3は、抗オーキシンおよび抗アントラニル酸作用を示す。一方類似構造を有するが
A部がカルボニルまたは原子を介さず直接結合した化合物101、102(比較例1、2)、炭素骨格平面構造を有しない化合物103、104(比較例3、4)は、抗オーキシン及び抗アントラニル酸作用を示さなかった。したがって、式1で表される化合物は、炭素骨格平面構造を有することおよびA部が-CH(=O)-NH-または-CH=CH-のように原子2個が介在した(例えば、-CH=CCH3-でも活性があった場合にも牽制できるような)構造となっていることが、抗オーキシン及び抗アントラニル酸の両方の作用を示す上で必要と考えられた。
(4)試験結果についての考察
試験結果から、アミド結合のアミノ基とカルボニル基の順序が互いに逆である化合物1と化合物8および化合物2と化合物14において、いずれも抗オーキシン活性を示すことから、アミノ基とカルボニル基の順序がどちらでも良いことが確認できた。
また対照とした化合物101、102は、左環構造と右環構造が同一平面構造であるが、Aの結合様式が異なる化合物である。この化合物101、102は、抗オーキシン活性及び抗アントラニル酸活性を示さなかった。また炭素骨格が同一平面上にない化合物103、104は、抗オーキシン、抗アントラニル酸活性を示さなかった。
一方、式1のR4がエステル結合したアルキルであって、アルキル基を構成する炭素が同一平面上に存在しない化合物3は、抗オーキシン活性を示した。その理由としては、植物体内には多種のエステラーゼが存在するため(非特許文献9参照)、R4のエステル構造が予め除去されることにより、抗オーキシン活性や抗アントラニル酸活性には関与しないものと考えられた。
以上のことから、抗オーキシン活性および抗アントラニル酸活性には、式1のR4のエステル化合物以外の炭素骨格が、同一平面上にあることが必須であるものと考えられる。
また、式1の構造中のAがカルボニルである4-ベンゾイル安息香酸(4-benzoylbenzoic acid)(化合物101)、Aに原子を介さず直結させた構造であるビフェニル-4-カルボン酸(Biphenyl-4-carboxylic acid)(化合物102)は抗オーキシン活性を示さなかった。このことから、Aは-CH(=O)-NH-または-CH=CH-構造が必須であると考えられた。
<外生オーキシンに対する本発明化合物の効果試験>
次に、本発明の化合物から、任意に化合物2(AAA1)を選択し、これを用いた外生オーキシンに対する成長調節試験を行った。
シロイヌナズナを用いた主根伸長抑制試験1
(1)試験方法
本発明の化合物2(AAA1)を、10μM、20μM、40μMの濃度、及びインドール酢酸(IAA)200nMの濃度で含む1%ショ糖含有1/2MS固形培地(日本製薬(株))を試験培地とした。この培地にシロイヌナズナ野生型Col.-0(Arabidopsis Biological Resource Center;Stock
number CS7000)を播種し、長日条件(16時間明期、8時間暗期)、温度23℃の条件で栽培した。
なお、化合物2及びインドール酢酸(IAA)無添加の培地をコントロール(Cont)、IAAのみ添加した培地(IAA)を比較対照として設定した。
次いで、播種7日後に、発芽した個体の主根長を測定した。また播種11日後の個体を、同様に主根長の測定を行い、さらに側根数の計数を行った。側根数は、主根長1mm当たりの本数(本数/mm)として均質化した。
なお試験の反復数を8とした。
(2)結果
1)播種7日後の主根長
a.主根長
図20に播種7日経過後の主根長の観察画像を示した。また、図21に主根長測定結果を示した。
対照(Cont)は主根長が約25mmであった。一方IAA200nM添加すると、主根の成長は顕著に抑制された。これに化合物2を添加すると、IAAによる主根の成長抑制は、解消されて、化合物2の添加量に比例して主根が伸長した(図21)。
b.発根状態
図20に示す通り、Contは、正常な発根を示した。一方IAAを添加した場合は、主根の伸長が著しく妨げられ側根が密生することが目立って観察された。また化合物2を添加すると、主根の伸長阻害が抑制され、Contと同様の状態が観察された。
この観察結果から、化合物2は、抗オーキシン作用によって、主根伸長阻害を抑制することが確認された。
2)播種11日後の主根長及び側根数
a.主根長
主根発育状態の観察画像を図22、主根長測定結果を図23、側根数密度を図24に示した。
主根長は、図23に示すとおり、Contでは50mmを超えたが、IAA添加では8mmしか伸長せず、7日目の測定結果とほとんど変わらなかった。一方化合物2とIAAを添加した培地では、化合物2の添加濃度10μMで40mm、20μMでは50mmと伸長し、40μMの添加では40mmをわずかに超えていた。
b.側根密度
主根長1mm当たりの側根密度は、図22の画像及び図24の測定結果のグラフに示す通り、IAAのみ添加した培地では主根の伸長が抑制されて側根が発生、伸長し、そのため主根長当たりの側根の密度(数)が極めて高かった。しかし、化合物2を添加することによって、Contと同程度となることが分かった。
c.発根状態の外観変化の観察
図22に示す通り、発根状態を撮影した画像から、IAAのみの培地への添加では、主根がほとんど伸長しないことが観察された(左から2番目の画像参照)。一方、化合物2の添加によって主根と側根が好ましい状態で発根していることが観察された。
以上のa、b、cの測定及び観察結果から、化合物2、すなわち本発明の組成物に係る化合物は、抗オーキシン活性を示し、オーキシン添加条件下において発芽後の主根を成長させ、主根に沿って側根を均等に発生させて、さらに伸長させることが分かった。
シロイヌナズナを用いた主根長抑制試験2
(1)試験方法
本発明の化合物15(AAA37)を、10μM、20μM、40μMの濃度、及びインドール酢酸(IAA)200nMの濃度で含む1%ショ糖含有1/2MS固形培地(日本製薬(株))を試験培地とした。この培地にシロイヌナズナ野生型Col.-0(Arabidopsis Biological Resource Center;Stock number CS7000)を播種し、長日条件(16時間明期、8時間暗期)、温度23℃の条件で栽培した。 なお、化合物15及びインドール酢酸(IAA)無添加の培地をコントロール(Cont)、IAAのみ添加した培地(IAA)を比較対照として設定した。
次いで、播種15日後に、発芽した個体の主根長を測定した。なお試験の反復数を8とした。
(2)結果
図39に播種15日目の主根長測定結果を示した。主根長は、図39に示すとおり、Contでは70mmを超えたが、IAA添加では5mmしか伸長しなかった。一方化合物15とIAAを添加した培地では、化合物15の添加濃度0.04mMで30mm、0.1mMでは50mmと伸長した。
<内生オーキシンに対する抑制効果試験>
植物体内では、成長を制御するためにオーキシン(内生オーキシン)が産生されている。この内生オーキシンに対する化合物2の効果を確認した。
1.試験方法
10μM、20μM,40μMの4段階濃度の化合物2(AAA1)を含む1%ショ糖含有1/2MS固形培地(日本製薬(株))を試験培地とした。
また別に、化合物2に加えてIAA200nM含有培地を調製し、これを試験培地2とした。この試験培地1及び試験培地2にシロイヌナズナ野生型Col.-0(Arabidopsis Biological Resource Center)を播種し、長日条件(16時間明期、8時間暗期)、温度23℃の条件で栽培した。播種11日後の側根数の測定を行った。側根数は、主根長1mm当たりの本数(本数/mm)として測定結果を均質化した。
反復は8とした。
2.結果
a.主根長の伸長の観察
図25に試験培地1(Cont)に化合物2を添加した場合の主根の生育観察画像を示した(上段)。また試験培地2(+IAA)で化合物2を添加した場合の観察画像を示した(下段)。
いずれの場合も主根は順調に伸長した。
b.側根密度
図26に側根密度のグラフを示す。試験培地1(黒の棒グラフ)に示すように、化合物2は濃度依存的に側根密度を減らす。これは、化合物2の添加によって内生オーキシンの不足が生じたものと考えられる。一方、試験培地2(白の棒グラフ)ではインドール酢酸の添加によって側根密度が化合物2の添加のみに比べて増加していることがわかった。これは、化合物2による内生オーキシンの不足が、IAAの添加によって補われたためと考えられた。
3.考察
化合物2は、黒の棒グラフで示すように単独では側根密度の増加を抑制している。しかし、この化合物2の作用はIAAを添加することで解消される(白の棒グラフ)。すなわち化合物2は、内生IAAを抑制しており、側根の成長を制御し、植物の成長を調整することが明らかとなった。
<オーキシン応答遺伝子の発現変化による化合物2の効果確認試験>
シロイヌナズナ形質転換体であるプロモーターIAA19:GUSライン(The Plant Journal(2014), 77,393-403参照)は、オーキシンに対する応答を確認できることが知ら
れている。このプロモーターIAA19:GUSラインを用いて化合物2のオーキシンに対する抑制効果を確認した。
1.試験方法
上記のシロイヌナズナ形質転換体プロモーターIAA19:GUSライン(以下「形質
転換体」)を、化合物2を40μM濃度で含有する1%ショ糖含有1/2MS固形培地(日本製薬(株))に播種し、長日条件(16時間明期、8時間暗期)、23℃の条件で栽培した。比較対照として、化合物2を含有しない1%ショ糖含有1/2MS固形培地(日本製薬(株))に同様に形質転換体を播種して栽培した(Cont)。
播種10日後に、生育した個体全体を、GUS染色液(2mM potassium ferricyanide,2mM potassium ferrocyanide,10mM EDTA,0.1% Triton X-100,50mM Na Phosphate buffer pH7.0,0.5mM 5-bromo-4-chloro-3-indolyl β-D-glucuronide(X-Gluc))で30分間 37℃で染色を行った。
染色後、エタノール:酢酸=6:1液で反応を止め、100%エタノール液にて脱色して実体顕微鏡で観察を行った。この染色方法によりオーキシン応答性を示す部位が特異的に染色された。
2.結果
観察画像を図27に示す。
化合物2(AAA1)を含有しない培地に生育した形質転換体では、図27左画像に示す通り、オーキシン応答性を示す部位として発達中の側根原基が多数染色された(↓部が染色された箇所)。
一方化合物2を添加した培地で生育した形質転換体は、側根原基の発達が止まり、図27右画像に示す通り、染色される部位がなかった。すなわち、化合物2は、植物体のオーキシン応答性を低下させているものと考えられた。
本発明化合物の抗オーキシン作用は、植物体のオーキシン応答性を低下させることで発揮されていることが明らかとなった。
<ナフタレン酢酸の側根形成に対する化合物2の効果試験>
ナフタレン酢酸(別名:1-ナフタレン酢酸、以下「NAA」)は、オーキシン様活性を示す植物成長調整剤であり、果実における着果数調整や落果防止、肥大促進、夏芽伸長抑制等の作用を有することが知られている。このNAAに対する化合物2の効果を試験した。
1.試験方法
NAAを50nM、100nMを含む1%ショ糖含有1/2MS固形培地、さらにこの培地に化合物2(AAA1)を20μM、40μM、100μMを含む1%ショ糖含有1/2MS(日本製薬(株))固形培地を準備し、これにシロイヌナズナ野生型Col.-0株の種子を播種し、長日条件(16時間明期、8時間暗期)、23℃の条件にて栽培した。播種10日後の側根数の測定を行った。
2.試験結果
主根1cm当たりの側根数の測定結果を図28に示した。
NAAは50nM、100nMの両方の濃度で、主根1cm当たりの側根数が、NAA添加によって増加するが化合物2の添加によって濃度依存性で抑制された。
NAAは、IAAとは異なるタイプのオーキシンである。NAAは、取り込み担体を介さずに植物体に取り込まれるタイプのオーキシンとして知られている(Planta (1996) 198: 532-541参照)。
化合物2は、NAAが示す側根形成を抑制することが確認された。この結果は、化合物2の抗オーキシン作用の抑制は、オーキシンの輸送を抑制するものではないことが確認された。
<ブロッコリーに対する徒長抑制効果>
化合物2の野菜苗の密植による徒長抑制効果を確認した試験を行った。
1.試験方法
育苗用培土Bタイプ(北海道農材工業)を288穴セルトレイに充填し、ブロッコリー種子(品種:ピクセル(サカタのタネ))を播種した。
ついで温室で19日間栽培し、その後展着剤として0.1%アプローチBI(花王株式会社)を添加した、0.1mM、1mM、10mMの化合物2の水溶液を葉面散布した。
散布14日経過後に、成長したブロッコリーの最大葉長を測定した。また調査は10個体とし反復は2(2トレイ)とした。
2.試験結果
結果を図29に示した。また測定した苗の画像を図30に示した。
育苗したブロッコリー苗は、最大葉長が、化合物2の散布濃度に依存して小型化していた。また化合物2の散布によって草丈が短くなりがっしりした苗になったことが確認できた。
すなわち化合物2は、ブロッコリー密植栽培に伴う徒長を抑制することが明らかとなった。これは密植条件において発生するオーキシンによるshade avoidance(避陰反応)効果の抑制をもたらすものと考えられた。
<エンドウに対する分枝発達効果試験>
1.試験方法
1/5000aワグネルポットに、栽培用土壌としてすくすく倶楽部30(雪印種苗)を充填し、エンドウ種子(品種:三十日絹莢(雪印種苗))を播種した。
温室で50日間栽培し、5節目で生長点を切除した。
その後、展着剤として0.1%アプローチBI(花王株式会社)を添加した、1mMの化合物2(AAA1)の水溶液を葉面散布した。なお葉面散布は、一週間に1回実施した。
対照(Cont)は展着剤含有水溶液のみを同様に葉面散布した。
その後栽培を継続し、播種後4月経過時の分枝の節数を数えた。
試験群の反復は2(2ポット)とし、平均値を算出した。
2.結果
結果を図31に示す。分枝節数は、対照が16に対して、化合物2を散布すると22.5と明らかに分枝節数が増加した。
化合物2は、エンドウ豆の分岐数を増加させる効果を有することが判明した。
<ポットカーネーション花の開花期間延長に対する散布効果試験>
1.試験方法
開花期のポットカーネーション(品種:シャボンローズ(雪印種苗)に1mMのAAA1を1株当たり100ml灌注施用した。
施用翌日より、開花数及び萎み花数を調査した。
反復は3(3ポット)とし、毎日の開花数と萎み花数を数え、その平均値を算出した。
2.結果
開花数の経時変化を図32に、萎れた花数の変化を図33に示した。観察期間中の最終日において化合物2で処理したポットの開花数は56.3輪、無処理のポットの開花数は49輪であった。
また、萎れた花の累積数は、試験開始15日までの期間中は、出現しなかった。16日目以降は、経時的に増加した。17日目以降は、無処理の対照ポットの萎れ花数が経時的に増加するのに対して、化合物2を灌水処理したポットの萎れ花数は、図33に示すよう
に増加が顕著に抑制されていた。観察最終日の累積萎れ花数は、図34に示すように、化合物2で処理したポットでは平均6.7輪であったのに対して対照は9.3輪であった。
観察最終日のポットの外観は、化合物2を灌水処理したポットが、満開状態を維持していたのに対して無添加のポット(対照)は開花した花数が少なく萎れた花が目立っていた。
以上の試験結果から、化合物2は開花後の花の萎れを抑制して開花期間を延長し、花鉢の外観を引き立たせる効果があった。
<ブロッコリーに対する徒長抑制効果>
化合物9、10の野菜苗の密植による徒長抑制効果を確認した試験を行った。
1.試験方法
育苗用培土Bタイプ(北海道農材工業)を200穴セルトレイに充填し、ブロッコリー
種子(品種:ピクセル(サカタのタネ))を播種した。
ついで恒温室(22℃)で14日間栽培し、その後展着剤として0.1%アプローチBI(花王株式会社)を添加した、1mM、10mMの化合物9および10の水溶液を1m2あたり100mlとなるように葉面散布した。
散布15日経過後に、成長したブロッコリーの本葉の葉長を測定した。また調査は9個
体とし反復は3とした。
2.試験結果
結果を図40に示す。
育苗したブロッコリー苗は、散布後に生じた本葉の葉長が、10mM化合物9、10の散布濃度により小型化していた。化合物9の方が低濃度でも化合物10よりも小型化する傾向がみられる。
すなわち化合物9、10は、ブロッコリー密植栽培に伴う徒長を抑制することが明らかとなった。これは密植条件において発生するオーキシンによるshade avoidance(避陰反応)効果の抑制をもたらすものと考えられた。

Claims (9)

  1. 下記の式1で表される化合物、またはその塩を有効成分とするオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤。
    (但し、Aは-CH(=O)-NH-または-CH=CH-構造を介した単結合であり、R1が水素原子、ハロゲン原子、アルキル基のいずれかであり、R2が水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基のいずれかであり、R3が水素原子、アルキル基又はハロゲン原子であり、R4がOH又はOCH3であり、R5がアミノ基、ハロゲン原子、水酸基、又は水素原子のいずれかである。またR1とR2が閉環したベンゼン環を形成しても良い。)
  2. R1、R2、R3のハロゲン原子がフッ素原子、R1、R2、R4のアルキル基がメチル基である化合物、その塩又はエステル体を有効成分とする、請求項1に記載のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤。
  3. 次の(1)~(15)の化合物から選択される1以上の化合物を有効成分として含有するオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤。
    (1)4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
    (4-[(phenylamino)carbonyl]-benzoic acid)(2)2-アミノ-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
    (2-Amino-4-[(phenylamino)carbonyl]-benzoic acid)
    (3)2-アミノ-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸メチル
    (Methyl-2-Amino-4-[(phenylamino)carbonyl]-benzoate)
    (4)2-アミノ-4-[(1-ナフチルアミノ)カルボニル]-安息香酸
    (2-Amino-4-[(1-naphthylamino)carbonyl]-benzoic acid)
    (5)2-アミノ-4-[(2,3-ジメチルフェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸(2-Amino-4-[(2,3-dimethylphenylamino)carbonyl]-benzoic acid)
    (6)2-アミノ-4-[(2-フルオロフェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
    (2-Amino-4-[(2-fluorophenylamino)carbonyl]-benzoic acid)
    (7)2-アミノ-4-[(3-フルオロフェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
    (2-Amino-4-[(3-fluorophenylamino)carbonyl]-benzoic acid)
    (8)2-アミノ-4-[(4-フルオロフェニルアミノ)カルボニル]-安息香酸
    (2-Amino-4-[(4-fluorophenylamino)carbonyl]-benzoic acid)
    (9)4-(ベンゾイルアミノ)安息香酸
    (4-(benzoylamino)benzoic acid)
    (10)2-ヒドロキシ-4-(ベンゾイルアミノ)安息香酸
    (2-hydroxy-4-(benzoylamino)benzoic acid)(11)2-クロロ-4-(ベンゾイルアミノ)安息香酸
    (2-Chloro-4-(benzoylamino)benzoic acid)
    (12)4-(4-フルオロベンゾイルアミノ)安息香酸
    (4-(4-fluorobenzoylamino)benzoic acid)
    (13)4-スチルベン-カルボン酸
    (4-Stilbenecarboxylic acid)
    (14)2-アミノ-4-(ベンゾイルアミノ)安息香酸
    (2-amino-4-(benzoylamino)benzoic acid)
    (15)2-アミノ-4-スチリル安息香酸
    (2-Amino-4-styrylbenzoic acid)
  4. 請求項1~3のいずれかに記載のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤を含む植物成長調整剤。
  5. 請求項1~3のいずれかに記載のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤を含む側根発生抑制剤。
  6. 請求項1~3のいずれかに記載のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤を含む主根伸長促進剤。
  7. 請求項1~3のいずれかに記載のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤を含む植物体過徒長抑制剤。
  8. 請求項1~3のいずれかに記載のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤を含む分枝発達促進剤。
  9. 請求項1~3のいずれかに記載のオーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤を含む花卉鮮度保持剤。
JP2023071807A 2022-04-28 2023-04-25 オーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤 Pending JP2023164356A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022074554 2022-04-28
JP2022074554 2022-04-28

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023164356A true JP2023164356A (ja) 2023-11-10

Family

ID=88651755

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023071807A Pending JP2023164356A (ja) 2022-04-28 2023-04-25 オーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023164356A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN117581875A (zh) * 2024-01-19 2024-02-23 北京林业大学 一种复合植物生长调节剂及其应用

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN117581875A (zh) * 2024-01-19 2024-02-23 北京林业大学 一种复合植物生长调节剂及其应用
CN117581875B (zh) * 2024-01-19 2024-05-17 北京林业大学 一种复合植物生长调节剂及其应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4087942B2 (ja) 植物成長調整剤
JP5389677B2 (ja) 植物成長調整剤組成物
JP3529095B2 (ja) 植物成長促進剤
WO2012043813A1 (ja) ストリゴラクトン様活性を有する新規化合物及びその用途
JP4877679B2 (ja) 植物成長調整剤
JP2023164356A (ja) オーキシンとアントラニル酸の活性阻害剤
WO1994028011A1 (fr) Derives brassinosteroidiens et regulateur de la croissance vegetale contenant ces derives
JP6706949B2 (ja) 不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤
WO2011086988A1 (ja) ストリゴラクトン生合成阻害剤
JPS62132804A (ja) 植物生長調節剤
JPS58134079A (ja) トリアゾ−ル又はイミダゾ−ル化合物、それらの製造法及びそれらを活性成分とする殺カビ又は植物生長調節剤
JP6842082B2 (ja) 植物成長調整剤
JP6902748B2 (ja) 植物成長調整剤
WO2016035685A1 (ja) 不定根発生誘導剤及び根系発達促進剤
JP2014080406A (ja) 植物成長調整剤
EP0374736B1 (en) Benzamide derivatives and plant growth regulants containing them
JP3726845B2 (ja) 作物の低温障害防止剤
JPH0859408A (ja) ブラシノステロイド含有組成物およびその水分散体
US5227511A (en) Benzamide derivatives and plant growth regulants containing them
JP2002047104A (ja) 植物用落花果防止剤および落花果防止方法
JPWO2018008717A1 (ja) 植物成長調整剤
JP7315912B2 (ja) ストリゴラクトン生合成阻害剤
RU2186768C1 (ru) Тетрагидрат(+)гидротартрата(+)цис-[2s,5r-1,5-диметил-2-(1-окси-3-пропил)]- пирролидиния, проявляющий морфогенетическую и росторегулирующую активность
JP2007238476A (ja) ブテノリド化合物及びその植物生長促進用途、並びにその製造中間体
JP2003335607A (ja) 作物成長調節剤および作物の成長調節方法