JP2023147970A - 伝動ベルト用組成物および伝動ベルト - Google Patents

伝動ベルト用組成物および伝動ベルト Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、自動車用、各種産業機械用、家庭用品などの種々の分野に幅広く用いることができ、高い硬度を有するとともに、広範囲の温度領域においてtanδ(損失係数)が低く発熱性の低い伝動ベルト、該伝動ベルトを製造しうる伝動ベルト用組成物及びその架橋体を提供することを課題としている。【解決手段】エチレンに由来する構造単位(a1)と、炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(a2)と、非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)とを有するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、反応性ビニル基を有するオルガノシランを用いた表面変性沈降シリカ(B)とを含み、前記表面変性沈降シリカ(B)の含有量が1~200phrである、伝動ベルト用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は伝動ベルト用組成物および該伝動ベルト用組成物の架橋体を含む伝動ベルトに関する。
伝動ベルトは、主に原動機であるモーターあるいはエンジンの回転による動力を、プーリなどを介して、他の機械、機器に伝えるために用いられ、従来よりゴム組成物が用いられている。伝動ベルトには、動力を無駄なく伝えることが求められ、さらに高い剛性を有すること、低発熱性であることが求められる。
特許文献1には、剛性が高く発熱性の低い、トラックベルトパターン用ゴム組成物を提供することが、課題として開示されており、具体的には、天然ゴム、ブタジエンゴムおよび硫黄と、特定の吸着比表面積と吸油量を有する2種のカーボンブラックとを特定量比で含有することにより、スノーモービルのトラックベルトパターン用ゴム組成物の剛性を高め、発熱性を低下させることが開示されている。
また伝動ベルトの用途によっては、さらに高い耐熱性が求められる。特許文献2には、天然ゴム系材料よりも優れた耐熱性を有し、防振特性と耐熱性を有するゴム組成物として、エチレン・α-オレフィン・トリエンランダム共重合ゴムと、充填剤、加硫剤を含む組成物が提案されている。
特開2000-319448号公報 特開2001-151957号公報
しかしながら、高温条件で用いられる場合のある伝動ベルトには、耐熱性に優れるとともに、高い剛性と低発熱性とをさらにバランスよく有することが求められる。
本発明は、自動車用、各種産業機械用、家庭用品などの種々の分野に幅広く用いることができ、高い硬度を有するとともに、広範囲の温度領域においてtanδ(損失係数)が低く発熱性の低い伝動ベルト、該伝動ベルトを製造しうる伝動ベルト用組成物及びその架橋体を提供することを課題としている。
本発明者は、上記の状況において鋭意検討した結果、特定の共重合体と、特定の表面変性シリカを用いた組成物を用いることにより、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば以下の〔1〕~〔5〕に関する。
〔1〕エチレンに由来する構造単位(a1)と、炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(a2)と、非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)とを有するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、
反応性ビニル基を有するオルガノシランを用いた表面変性沈降シリカ(B)とを含み、
前記表面変性沈降シリカ(B)の含有量が1~200phrである、伝動ベルト用組成物。
〔2〕前記非共役ポリエンが、下記一般式(I)および(II)から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエンである、〔1〕に記載の伝動ベルト用組成物。
〔3〕前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)が、下記要件(i)~(v)の要件を満たす、〔1〕または〔2〕に記載の伝動ベルト用組成物。
(i)エチレンに由来する構造単位(a1)と、炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(a2)とのモル比[(a1)/(a2)]が、40/60~99.9/0.1である;
(ii)非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の質量分率が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量%中、0.07質量%~10質量%である;
(iii)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の質量分率((a3)の質量分率(質量%))と、非共役ポリエンの分子量とが、下記式(1)を満たす;
4.5≦Mw×(a3)の質量分率/100/非共役ポリエンの分子量≦40 … 式(1)
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*(ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η*(ω=100)(Pa・sec)との比P(η*(ω=0.1)/η*(ω=100))と、極限粘度[η]と、非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の質量分率((a3)の質量分率(質量%))とが、下記式(2)を満たす;
P/([η]2.9)≦(a3)の質量分率×6 … 式(2)
(v)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(分子量分布;Mw/Mn)が4~80の範囲にある。
〔4〕前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の少なくとも一部が架橋されている、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の伝動ベルト用組成物の架橋体。
〔5〕〔4〕に記載の架橋体を含む伝動ベルト。
本発明によれば、自動車用、各種産業機械用、家庭用品などの種々の分野に幅広く用いることができ、耐熱性に優れ、高い硬度を有するとともに、広範囲の温度領域においてtanδ(損失係数)が低く発熱性の低い伝動ベルト、該伝動ベルトを製造しうる伝動ベルト用組成物及びその架橋体を提供することができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
伝動ベルト用組成物
本発明の伝導ベルト用組成物は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、反応性ビニル基を有するオルガノシランを用いた表面変性沈降シリカ(B)とを含む。
<エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)>
本発明の伝導ベルト用組成物は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)(以下、「共重合体(A)」ともいう)を含有する。
共重合体(A)は、エチレンに由来する構造単位(a1)と、炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(a2)と、非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)とを有する。このような共重合体(A)は、エチレンと、炭素数3~20のα-オレフィンと、非共役ポリエンとを共重合することにより得ることができる。
炭素数3~20のα-オレフィンとしては、炭素数が3~8のα-オレフィンであることがより好ましい。
前記α-オレフィンの例としては、プロピレン、1-ブテン、4-メチルペンテン-1、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチルデセン-1、11-メチルドデセン-1および12-エチルテトラデセン-1が挙げられる。これらの中でも、プロピレン、1-ブテン、4-メチルペンテン-1、1-ヘキセンおよび1-オクテンが好ましく、プロピレンが特に好ましい。すなわち、前記炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(a2)は、プロピレン、1-ブテン、4-メチルペンテン-1、1-ヘキセンおよび1-オクテンから選ばれるα-オレフィンに由来する構造単位を含むことが好ましく、プロピレンに由来する構造単位を含むことがより好ましい。
これらのα-オレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記非共役ポリエンの例としては、
1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、8-メチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエンおよび4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;
メチルテトラヒドロインデン、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-ビニリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-イソブテニル-2-ノルボルネン、シクロペンタジエンおよびノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;
2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン等のトリエン
等が挙げられる。
前記非共役ポリエンとしては、好ましくは、下記一般式(I)および(II)から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエンが挙げられる。非共役ポリエンがこのような非共役ポリエンであると、たとえば-20~80℃等の広範な温度範囲において、tanδが低く低発熱性の伝動ベルトが得られやすい組成物となるため好ましい。
上記の一般式(I)および(II)から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエンとしては、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ノルボルナジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。これらのうちでは、入手容易性が高く、重合後の架橋反応時に過酸化物との反応性が良好で、重合体組成物の耐熱性が向上しやすいことから、非共役ポリエンがVNBを含むことが好ましく、非共役ポリエンがVNBであることがより好ましい。
すなわち、前記非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)は、上記の一般式(I)および(II)から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエンに由来する構造単位を含むことが好ましく、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)に由来する構造単位を含むことがより好ましい。
上記の非共役ポリエンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記共重合体(A)は、下記要件(i)~(v)の一つ以上を満たすことが好ましく、下記要件(i)~(v)をすべて満たすことがより好ましい。
(i)エチレンに由来する構造単位(a1)と、炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(a2)とのモル比[(a1)/(a2)]が、40/60~99.9/0.1である;
(ii)非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の質量分率が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量%中、0.07質量%~10質量%である;
(iii)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の質量分率((a3)の質量分率(質量%))と、非共役ポリエンの分子量とが、下記式(1)を満たす;
4.5≦Mw×(a3)の質量分率/100/非共役ポリエンの分子量≦40 … 式(1)
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*(ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η*(ω=100)(Pa・sec)との比P(η*(ω=0.1)/η*(ω=100))と、極限粘度[η]と、非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の質量分率((a3)の質量分率(質量%))とが、下記式(2)を満たす;
P/([η]2.9)≦(a3)の質量分率×6 … 式(2)
(v)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(分子量分布;Mw/Mn)が4~80の範囲にある。
以下、これらの各要件についてさらに説明する。
≪要件(i)≫
要件(i)は、上記共重合体(A)中のエチレンに由来する構造単位(a1)と、炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(a2)とのモル比[(a1)/(a2)]が、40/60~99.9/0.1であることを特定するものであり、このモル比は、好ましくは40/60~90/10、より好ましくは50/50~90/10、さらに好ましくは55/45~85/15、またさらに好ましくは55/45~78/22である。
要件(i)を満たす共重合体(A)を用いることにより、耐熱性、機械的強度(剛性)に優れた伝動ベルトを得ることができる。なお、共重合体(A)中のエチレンに由来する構造単位(a1)の含量(エチレン含量)およびα-オレフィンに由来する構造単位(a2)の含量(α-オレフィン含量)は、13C-NMRにより求めることができる。
≪要件(ii)≫
要件(ii)は、上記共重合体(A)中において、非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の質量分率が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量%(すなわち全構造単位の質量分率の合計100質量%中)中、0.07質量%~10質量%であることを特定するものである。この非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の質量分率は、好ましくは0.1質量%~8.0質量%、より好ましくは0.5質量%~5.0質量%である。
要件(ii)を満たす共重合体(A)は、充分な剛性を有し、機械特性に優れたものとなり、また、過酸化物を用いて架橋した場合、早い架橋速度を示すものとなる。なお、共重合体(A)中の非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の含量(非共役ポリエン含量)は、13C-NMRにより求めることができる。
≪要件(iii)≫
要件(iii)は、上記共重合体(A)において、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の質量分率((a3)の質量分率(質量%))と、非共役ポリエンの分子量((a3)の分子量)とが、下記式(1)を満たすことを特定するものである。
4.5≦Mw×(a3)の質量分率/100/非共役ポリエンの分子量≦40 … 式(1)
要件(iii)の上記式(1)は、下記式(1')であることが好ましい。
4.5≦Mw×(a3)の質量分率/100/非共役ポリエンの分子量≦35 …式(1')
上記共重合体(A)が、要件(iii)を満たすことにより、非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の含有量が適切であり、十分な架橋性能を示し、架橋速度に優れるとともに、優れた機械特性を示す伝動ベルトを製造することができる。なお、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数値として求めることができる。
上記共重合体(A)において、「Mw×(a3)の質量分率/100/非共役ポリエンの分子量」が上記式(1)又は(1')を満たす場合、架橋程度が適切となり、機械的物性に優れた伝動ベルトを製造することができる。「Mw×(a3)の質量分率/100/非共役ポリエンの分子量」の値が低すぎると、架橋性が不足して架橋速度が遅くなることなることがあり、また該値が高すぎると、過度に架橋が生じて機械的物性が悪化することがある。
≪要件(iv)≫
要件(iv)は、上記共重合体(A)の、レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*(ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η*(ω=100)(Pa・sec)との比P(η*(ω=0.1)/η*(ω=100))と、極限粘度[η]と、非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の質量分率((a3)の質量分率(質量%))とが、下記式(2)を満たすことを特定するものである。
P/([η]2.9)≦(a3)の質量分率×6 … 式(2)
要件(iv)の上記式(2)は、下記式(2')であることが好ましい。
P/([η]2.9)≦(a3)の重量分率×5.7 …式(2')
ここで、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η* (ω=0.1)と、周波数ω=100
rad/sでの複素粘度η* (ω=100)との比P(η* (ω=0.1)/η* (ω=100))は、粘度の周波数依存性を表すものであって、式(2)の左辺にあたるP/([η]2.9)は、短鎖分岐や分子量などの影響はあるものの、長鎖分岐が多い場合に高い値を示す傾向がある。一般に、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体では、非共役ポリエンに由来する構造単位を多く含むほど、長鎖分岐を多く含む傾向があるが、本発明で好適に用いられる共重合体(A)は、長鎖分岐が比較的少ないことにより、上記式(2)を満たすことができると考えられる。
本発明において、P値は、粘弾性測定装置Ares(Rheometric Scientific社製)を用い、190℃、歪み1.0%、周波数を変えた条件で測定を行って求めた、0.1rad/sでの複素粘度と、100rad/sでの複素粘度とから、比(η*比)を求めたものである。なお、極限粘度[η]は、135℃のデカリン中で測定された値を意味する。
≪要件(v)≫
要件(v)は、上記共重合体(A)の、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(分子量分布;Mw/Mn)が4~80の範囲にあることを特定するものである。上記共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは5~78、より好ましくは6~75の範囲である。共重合体(A)の分子量分布が、上記の範囲であると、適切な機械的特性を有する伝動ベルトが得られやすいため好ましい。
<反応性ビニル基を有するオルガノシランを用いた表面変性沈降シリカ(B)>
本発明の伝動ベルト用組成物は、反応性ビニル基を有するオルガノシランを用いた表面変性沈降シリカ(B)(以下、「表面変性沈降シリカ(B)」ともいう)を含有する。
表面変性沈降シリカ(B)としては、、反応性ビニル基を有するオルガノシランで、沈降シリカの表面を処理したものをいずれも用いることができるが、たとえば、反応性ビニル基と加水分解性無機トリエトキシシリル基を有する二官能性有機シランで、沈降シリカを表面処理(表面修飾)した、表面変性沈降シリカが挙げられる。このような表面変性沈降シリカ(B)としては、反応性ビニル基を有するオルガノシランを沈降シリカと接触させて表面処理して得た表面変性沈降シリカ(B)を用いてもよく、また、市販品を用いてもよい。市販の表面変性沈降シリカ(B)としては、例えば、反応性ビニル基と加水分解性無機トリエトキシシリル基を有する二官能性有機シランであるDYNASYLAN(登録商標)VTEO(EVONIC社製)で、沈降シリカの表面を処理したものであるCOUPSIL(登録商標)VP6508(EVONIC社製)などが挙げられる。
本発明の伝動ベルト用組成物中において、表面変性沈降シリカ(B)の含有量は、1~200phr、好ましくは15~160phr、より好ましくは30~120phrである。
本発明の伝動ベルト用組成物は、前記表面変性沈降シリカ(B)をこのような範囲で含有することにより、得られる伝動ベルトが高い剛性を有するとともに、広範囲な温度領域においてtanδが低く低発熱性なものとなる。
その他の成分
本発明の伝動ベルト用組成物は、上述した共重合体(A)および表面変性沈降シリカ(B)に加えて、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の成分を含有することができる。
その他の成分としては、例えば、可塑剤(C)、架橋剤(D)、架橋助剤(E)、表面変性沈降シリカ(B)以外の無機充填剤(F)、共重合体(A)以外のポリマー、その他添加剤等が挙げられる。
≪可塑剤(C)≫
本発明の伝動ベルト用組成物は、可塑剤(C)を含んでもよい。
可塑剤(C)としては、ゴム組成物に添加可能な公知の可塑剤を用いることができる。具体的には、たとえば、
プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;
コールタール等のコールタール系軟化剤;
ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;
蜜ロウ、カルナウバロウ等のロウ類;
リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその塩;
ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;
テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;
ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系軟化剤;
その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)
が挙げられる。
これらの中では、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイルが好ましく用いられる。
本発明の伝動ベルト用組成物中において、可塑剤(C)の含有量は、共重合体(A)100質量部に対して、通常100質量部以下、好ましくは80質量部以下である。
≪架橋剤(D)≫
本発明の伝動ベルト用組成物は、架橋剤(D)を含んでもよい。
架橋剤としては、過酸化物系架橋剤、硫黄系化合物、フェノール樹脂、ヒドロシリコーン系化合物、アミノ樹脂、キノンまたはその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物等が挙げられる。
過酸化物系架橋剤の具体例としては、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルヒドロパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシン)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-モノ(t-ブチルパーオキシ)-ヘキサン、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンが挙げられる。これらの中でも、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本発明の伝動ベルト用組成物が、過酸化物系架橋剤を含む場合、その含有量は、共重合体(A)100質量部に対して、通常1~10質量部、好ましくは2~10質量部、より好ましくは3~10質量部である。
本発明の伝動ベルト用組成物が、過酸化物系架橋剤を含む場合には、後述する架橋助剤(E)を併用することが好ましい。
硫黄系化合物の具体例としては、硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレンが挙げられる。
架橋剤として硫黄系化合物を用いる場合、加硫促進剤を併用することが好ましい。加硫促進剤としては、例えば、
N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N'-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(4-モルホリノジチオ)ペンゾチアゾール)、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルフォリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;
ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤;
アセトアルデヒド・アニリン縮合物、ブチルアルデヒド・アニリン縮合物等のアルデヒドアミン系加硫促進剤;
2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系加硫促進剤;
ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア等のチオウレア系加硫促進剤;
テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;
ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系加硫促進剤;
エチレンチオ尿素(例えば、サンセラー22C(商品名;三新化学工業社製))、N,N'-ジエチルチオ尿素、N,N'-ジブチルチオ尿素等のチオウレア系加硫促進剤;
ジブチルキサトゲン酸亜鉛等のザンテート系加硫促進剤;
亜鉛華
等が挙げられる。
本発明の伝動ベルト用組成物が、加硫促進剤を含有する場合、加硫促進剤の含有量は、共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な任意のポリマーの合計100質量部に対して、通常は0.1~20質量部、好ましくは0.2~15質量部、さらに好ましくは0.5~10質量部である。
≪架橋助剤(E)≫
本発明の伝動ベルト用組成物は、架橋助剤(E)を含んでもよい。架橋助剤(E)は、伝動ベルト用組成物が上述の架橋剤(D)として過酸化物系架橋剤を用いた場合に好適に用いられる。
架橋助剤(E)としては、例えば、イオウ;p-キノンジオキシム等のキノンジオキシム系架橋助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系架橋助剤;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系架橋助剤;マレイミド系架橋助剤;ジビニルベンゼン;酸化マグネシウム、酸化亜鉛2種(JIS K1410)(例えば、「ZnO#1」;ハクスイテック(株)製)、亜鉛華(例えば、「META-Z 102」(商品名;井上石灰工業(株)製))などの酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられる。
本発明の伝動ベルト用組成物が、架橋助剤(E)を含有する場合、架橋助剤(E)の含有量は、架橋剤(D)1モルに対して、通常は0.5~10モル、好ましくは0.5~7モル、より好ましくは1~5モルである。
≪表面変性沈降シリカ(B)以外の無機充填剤(F)≫
本発明の伝動ベルト用組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、表面変性沈降シリカ(B)以外の無機充填剤(F)を含んでもよい。
無機充填剤(補強材)としては、例えば、表面変性沈降シリカ(B)以外のシリカ、炭酸カルシウム(例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、活性化炭酸カルシウム)、タルク(例えば、微粉タルク)、クレー、微粉ケイ酸、カーボンブラックが挙げられる。
本発明の伝動ベルト用組成物が、無機充填剤(F)を含有する場合、無機充填剤(F)と前記表面変性沈降シリカ(B)との合計の含有量が、共重合体(A)および必要に応じて配合される共重合体(A)以外のポリマーの合計100質量部に対して、通常0.1~200質量部、好ましくは10~200質量部であることが望ましい。
≪共重合体(A)以外のポリマー≫
本発明の伝動ベルト用組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、共重合体(A)以外のポリマー(任意のポリマー)を含んでもよい。共重合体(A)以外のポリマーは、架橋性ポリマー(架橋が必要なポリマー)であってもよく、非架橋性ポリマー(架橋が不要なポリマー)であってもよい。任意のポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
架橋が必要な他のポリマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴムが挙げられる。
架橋が不要な他のポリマーとしては、例えば、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体(SBS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレン(SEBS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)-ポリスチレン(SEPS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、塩ビ系エラストマー(TPVC)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、アミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、その他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等のエラストマーが挙げられる。
本発明の伝動ベルト用組成物が、共重合体(A)以外のポリマー(任意のポリマー)を含有する場合、その含有量は、共重合体(A)100質量部に対して、通常は100質量部以下、好ましくは80質量部以下である。
≪その他添加剤≫
本発明の伝動ベルト用組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、ゴム組成物に添加しうる公知の添加剤を用いることができる。
その他の添加剤としては、例えば、老化防止剤、加工助剤、活性剤、吸湿剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤および増粘剤などが挙げられる。その他の添加剤は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
・老化防止剤(安定剤)
本発明の伝動ベルト用組成物は、老化防止剤(安定剤)を含有することにより、当該組成物から得られる伝動ベルトの寿命を長くすることができる。老化防止剤としては、例えば、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤が挙げられる。
アミン系老化防止剤としては、例えば、フェニルブチルアミン、N,N-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等の芳香族第2アミン系老化防止剤が挙げられる。
フェノール系老化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]が挙げられる。
イオウ系老化防止剤としては、例えば、ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2-メルカプトベンゾイルイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートが挙げられる。
本発明の伝動ベルト用組成物が老化防止剤を含有する場合、老化防止剤の含有量は、共重合体(A)および任意のポリマーの合計100質量部に対して、通常は0.3~10質量部、好ましくは0.5~7.0質量部である。
・加工助剤
加工助剤としては、一般的に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く用いることができる。加工助剤としては、例えば、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、エステル類が挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸が好ましい。
本発明の伝動ベルト用組成物が加工助剤を含有する場合、加工助剤の含有量は、共重合体(A)および任意のポリマーの合計100質量部に対して、通常は10質量部以下、好ましくは8.0質量部以下である。
・活性剤
活性剤としては、例えば、ジ-n-ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエラノールアミン等のアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチン、トリアリルートメリレート、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の亜鉛化合物等の活性剤;過酸化亜鉛調整物;クタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物が挙げられる。
本発明の伝動ベルト用組成物が活性剤を含有する場合、活性剤の含有量は、共重合体(A)および任意のポリマーの合計100質量部に対して、通常は0.2~10質量部、好ましくは0.3~5質量部である。
・吸湿剤
吸湿剤としては、例えば、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボンが挙げられる。
本発明の伝動ベルト用組成物が吸湿剤を含有する場合、吸湿剤の含有量は、共重合体(A)および任意のポリマーの合計100質量部に対して、通常は0.5~15質量部、好ましくは1.0~12質量部である。
伝動ベルト用組成物の製造方法
本発明の伝動ベルト用組成物は、その原料として前記共重合体(A)、表面変性沈降シリカ(B)および上述した各成分を使用することを除いて、ゴム組成物の従来公知の製造方法によって製造することができる。
本発明の伝動ベルト用組成物の製造方法としては、たとえばバンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類により、各成分を逐次または同時に混合・混練することにより得ることができる。
具体的には、例えば、前記共重合体(A)、表面変性沈降シリカ(B)および必要に応じて任意の各成分(架橋剤(D)を除く)を、80~170℃の温度で3~10分間混練する。得られた配合物を冷却し、そこへ必要に応じて架橋剤(D)および未配合の各成分を加えて、オープンロール等のロール類、あるいはニーダーを使用して、ロール温度を、架橋が実質的に進行しない温度、たとえば40~80℃で5~30分間混練した後、分出しすることにより製造することができる。
架橋体および伝動ベルト
本発明の架橋体は、上述した本発明の伝動ベルト用組成物を架橋したものである。
本発明の架橋体は、通常のゴム材料を加硫(架橋)するときと同様に、未加硫の本発明に係る伝動ベルト用組成物を調製し、次いで(または同時に)所望の形状に成形し、次いで加硫(架橋)することにより製造できる。本発明の架橋体は、本発明に係る伝動ベルトを構成する素材として好適に用いることができる。
本発明では、伝動ベルト用組成物が上述した表面変性沈降シリカ(B)を含むことにより、これを用いて得られる本発明の架橋体およびそれを含む伝動ベルトが、例えば従来公知の表面処理シリカを含む場合よりも、剛性に優れ、、高い硬度を有するとともに、広範囲の温度領域においてtanδ(損失係数)が低く伝動ベルトとして用いた場合にも発熱性が低いものとなる。
本発明の伝動ベルトは、産業用機械、工作機器、自動車、農業機械などの工業分野だけでなく、洗濯機、乾燥機、ミシン、カメラなどの家庭用品など、身近に用いられる機器にも幅広く用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[測定・評価方法]
架橋前の組成物(以下「未加硫ゴム」とも記載する。)およびその架橋体(以下「加硫ゴム」とも記載する)の物性を、以下の方法で測定あるいは評価した。
〔未加硫ゴム特性〕
(1)加硫速度(TC90(分))
未架橋のゴム配合物をサンプルとして用いて、測定装置としてMDR2000(ALPHA TECHNOLOGIES社製)を用い、温度170℃かつ時間20分の測定条件下で、加硫速度(TC90)を以下のとおり測定した。
サンプルを測定装置にセットし、一定温度および一定のせん断速度の条件下で得られるトルク変化を測定し、加硫曲線を得た。この加硫曲線からトルクの最小値S'Minおよび最大値S'Maxを求め、測定開始時を基準としてトルクが(S'Max-S'Min)×0.9となるまでの時間、すなわちトルクの最大値と最小値との差の90%のトルクに達成するまでの時間を、加硫速度(TC90;分)とした。
(2)加硫誘導時間(TS1)
未架橋のゴム配合物をサンプルとして用いて、加硫測定装置:MDR2000(ALPHA TECHNOLOGIES 社製)により、温度170℃および時間20分の測定条件下で、一定温度および一定のせん断速度の条件下で得られるトルク変化を測定した。最小トルク値からトルク1point(1dNm)上がるまでの時間を加硫誘導時間(TS1;分)とした。
〔加硫ゴム特性〕
(1)硬さ試験(デュロ-A硬度)
未加硫ゴムから、プレス成形機を用いて170℃で15分間加硫を行なって、厚さ2mmのシート(架橋体)を得た。
JIS K 6253に従い、シートの硬度(タイプAデュロメータ、HA)の測定は、平滑な表面をもっている2mmの加硫ゴムシート6枚を用いて、平らな部分を積み重ねて厚み約12mmとして行った。ただし、試験片に異物の混入したもの、気泡のあるもの、およびキズのあるものは用いなかった。また、試験片の測定面の寸法は、押針先端が試験片の端から12mm以上離れた位置で測定できる大きさとした。
(2)引張試験
未加硫ゴムから、プレス成形機を用いて170℃で15分間加硫を行なって、厚さ2mmのシート(架橋体)を得た。
得られた加硫ゴムシートを打抜いてJIS K 6251(2001年)に記載されている3号形ダンベル試験片を調製した。この試験片を用いて同JIS K 6251に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、100%モジュラス(M100)、200%モジュラス(M200)、300%モジュラス(M300)、引張破断点応力(TB)〔MPa〕および引張破断点伸び(EB)〔%〕を測定した。
(3)架橋密度
架橋密度νは下記の平衡膨潤を利用したFlory-Rehnerの式(a)から算出した。式(a)中のVRは架橋した2mmシートを37℃×72hの条件でトルエン抽出して求めた。
(4)圧縮永久歪
圧縮永久歪(CS)測定用試験片は、厚さ12.7mm、直径29mmの直円柱形の試験片を、未加硫ゴムから、プレス成形機を用いて170℃で20分間加硫して得た。得られた試験片をJIS K6262(1997)に従って、120℃×24時間処理後の圧縮永久歪を測定した。
(5)粘弾性
未加硫ゴムから、プレス成形機を用いて170℃で15分間加硫を行なって、厚さ3mmのシート(架橋体)を作製し、さらに動的粘弾性測定に必要な45mm×10mm×3mmの短冊片を切り出し、試験片とした。ANTONPaar社製 MCR301を用いて、10rad/sの周波数で、-20~80℃の範囲で動的粘弾性測定を行った。
[原料]
実施例等で使用した原料は以下のとおりである。
<共重合体(A)>
・共重合体(A-1):三井EPT 3070(商品名)(エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)三元共重合体、三井化学(株)製)
・共重合体(A-2):PX-006M(商品名)(エチレン・プロピレン・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)三元共重合体、三井化学(株)製)
・共重合体(A-3):PX-009M(商品名)(エチレン・プロピレン・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)三元共重合体、三井化学(株)製)
<表面変性沈降シリカ(B)>
・表面変性沈降シリカ(B-1):COUPSIL(登録商標)VP6508(EVONIC社製);反応性ビニル基と加水分解性無機トリエトキシシリル基を有する二官能性有機シランであるDYNASYLAN(登録商標)VTEO(EVONIC社製)で、沈降シリカの表面を処理したもの。
・疎水性シリカ(B’-2):アエロジルRX200(商品名)アエロジルRX200(商品名)(ヘキサメチルジシラザン表面処理シリカ、平均粒径12nm、比表面積115-165m2/g、日本アエロジル(株)製)
<可塑剤(C)>
・オイル(C-1):ダイアナプロセスオイルPW-32(商品名)(パラフィン系プロセスオイル、動粘度(40℃):約31mm2/s)
<架橋剤(D)>
・過酸化物系架橋剤(D-1):DCP-40C(ジクミルパーオキサイド(濃度:40%))
<架橋助剤(E)>
・活性亜鉛華(E-1):META-Z 102(商品名)(井上石灰工業(株)製)
<添加剤>
・ステアリン酸(内部離型剤)
・ポリエチレングリコール(活性剤):PEG#4000(商品名)(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
[実施例1]
共重合体(A-1)を100質量部、活性亜鉛華(E-1)を5質量部、ステアリン酸を1質量部、ポリエチレングリコールを1質量部、表面変性沈降シリカ(B-1)を100質量部、および、オイル(C-1)を60質量部、1.7リットル容量のバンバリーミキサーに投入し5分間混練した。
次いでこの混練物を表面温度が50℃の6インチロールに巻き付けた後、この配合物267質量部に対し、過酸化物系架橋剤(D-1)を10.2質量部加えて8分間混練し、得られた配合物を放冷し、伝動ベルト用組成物(未加硫ゴム)を得た。
得られた未加硫ゴム及びその架橋体について、上記の方法により各種物性を測定あるいは評価した。結果を表1に示す。
[実施例2~3、比較例1~3]
実施例1において、配合成分の種類および量を、表1に記載のとおり変更したこと以外は、実施例1と同様にして未加硫ゴムを得た。得られた各未加硫ゴム及びその架橋体について、上記の方法により各種物性を測定した。結果を表1に示す。
本発明に係る伝動ベルト用組成物は、架橋体および伝動ベルトの製造に好適に用いられる。また本発明に係る伝動ベルトは、産業用機械、工作機器、自動車、農業機械などの工業分野や、洗濯機、乾燥機、ミシン、カメラなどの家庭用品分野等に広く用いることができる。

Claims (5)

  1. エチレンに由来する構造単位(a1)と、炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(a2)と、非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)とを有するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、
    反応性ビニル基を有するオルガノシランを用いた表面変性沈降シリカ(B)とを含み、
    前記表面変性沈降シリカ(B)の含有量が1~200phrである、伝動ベルト用組成物。
  2. 前記非共役ポリエンが、下記一般式(I)および(II)から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエンである、請求項1に記載の伝動ベルト用組成物。
  3. 前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)が、下記要件(i)~(v)の要件を満たす、請求項1または2に記載の伝動ベルト用組成物。
    (i)エチレンに由来する構造単位(a1)と、炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(a2)とのモル比[(a1)/(a2)]が、40/60~99.9/0.1である;
    (ii)非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の質量分率が、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量%中、0.07質量%~10質量%である;
    (iii)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の質量分率((a3)の質量分率(質量%))と、非共役ポリエンの分子量とが、下記式(1)を満たす;
    4.5≦Mw×(a3)の質量分率/100/非共役ポリエンの分子量≦40 … 式(1)
    (iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*(ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η*(ω=100)(Pa・sec)との比P(η*(ω=0.1)/η*(ω=100))と、極限粘度[η]と、非共役ポリエンに由来する構造単位(a3)の質量分率((a3)の質量分率(質量%))とが、下記式(2)を満たす;
    P/([η]2.9)≦(a3)の質量分率×6 … 式(2)
    (v)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(分子量分布;Mw/Mn)が4~80の範囲にある。
  4. 前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の少なくとも一部が架橋されている、請求項1~3のいずれかに記載の伝動ベルト用組成物の架橋体。
  5. 請求項4に記載の架橋体を含む伝動ベルト。
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