JP2023147938A - 発泡成形体及び発泡成形体の製造方法 - Google Patents

発泡成形体及び発泡成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、独立気泡を有し成形加工性に優れ、軽量な成形体、該成形体の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】 本発明は、エラストマー樹脂を含む基材樹脂中にセルが分散した成形体であり、前記セルの平均円形度が0.5~0.9である成形体である。前記セルの円形度分布の標準偏差が0.05~0.15であると好ましい。前記セルが中空粒子を含み、前記中空粒子が熱可塑性樹脂を含む外殻部と、外殻部に囲まれた中空部とを有する粒子であると好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、発泡成形体及び発泡成形体の製造方法に関する。
熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーに発泡剤を添加し、発泡成形体を得る方法は種々検討されている。一般的に用いられている発泡成形方法としては、マトリックス樹脂(樹脂成分)に化学発泡剤を混合し、樹脂溶融時の熱により化学発泡剤が分解、その際に発生したガスにより発泡させる化学発泡法や、溶融させたマトリックス樹脂中に水蒸気や窒素ガス、炭酸ガスなどのガス(物理発泡剤)を導入し発泡させる物理発泡法などが挙げられる。しかし、これらの方法では、ガスが樹脂外部に逃げ易いため連通気泡が形成され易く、得られる成形体の外観が悪化してしまう。また、セルが不均一となることから、均一で微細なセルを有する発泡成形体を得ることが難しいという問題がある。さらに、これらの方法による発泡のメカニズムでは、樹脂の溶融張力や圧力の制御が必要であり、発泡成形体を得ることが可能な樹脂の種類、成形条件が限られる問題がある。
そこで、近年、熱可塑性樹脂を外殻とし、その内部に膨張剤が封入された構造を有する熱膨張性微小球を発泡剤として用いることで、均一で微細な独立気泡を有する発泡成形体を得る方法が提案されている(特許文献1~3参照)。
日本国特開2000-17140号公報 日本国特開平11-043551号公報 日本国特開2001-97594号公報
しかし、発泡剤として熱膨張性微小球を用いた従来の発泡成形の場合、成形体中に独立気泡を導入することは可能であるが、成形加工性が悪く、複雑な形状の加工品を作製することが困難となる場合があった。そこで、係る成形加工性の低下の原因を調査した結果、成形体中のセルの真球度が高いことで、成形加工性が低下していることが判明した。
本発明の目的は、独立気泡を有し成形加工性の高い成形体、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の基材樹脂中にセルが分散した成形体であり、前記セルの平均円形度が特定の範囲内である成形体とすることで、上記課題を解決出来ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、エラストマー樹脂を含む基材樹脂中にセルが分散した成形体であり、前記セルの平均円形度が0.5~0.9である成形体である。
本発明の成形体は次の1)~5)から選ばれる少なくとも一つをさらに満足すると好ましい。
1)前記セルの円形度分布の標準偏差が0.05~0.15である。
2)前記セルが中空粒子を含み、前記中空粒子が熱可塑性樹脂を含む外殻部と、外殻部に囲まれた中空部とを有する粒子である。
3)前記中空粒子の外殻部の平均厚みが0.1~1.0μmである。
4)前記熱可塑性樹脂がカルボキシル基を有する構成単位を含有する。
5)前記エラストマー樹脂が、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも1種を含む。
本発明の成形体は、熱膨張性微小球と、前記エラストマー樹脂を含む基材樹脂とを含有する発泡成形用組成物を押出成形する工程1と、前記工程1において押し出された成形中間体が冷却槽を経由し冷却される工程2とを有する製造方法により製造されると好ましい。
前記冷却槽の温度が50℃以下であると好ましい。
本発明は、独立気泡を有し成形加工性に優れる成形体を提供する。
本発明の成形体は、軽量である。
本発明の製造方法は、上記成形体を効率良く作製できる。
熱膨張性微小球の一例を示す概略図である。 中空粒子の一例を示す概略図である。
本発明はエラストマーを含む基材樹脂中にセルが分散した成形体であって、前記セルの平均円形度が0.5~0.9である。
以下に本発明を詳述する。
〔エラストマー樹脂〕
エラストマー樹脂は本発明の成形体の基材樹脂に含まれる必須成分である。
基材樹脂に占めるエラストマー樹脂の重量割合は特に限定はされないが、生産安定性の点で50~100重量%であると好ましい。該重量割合の上限はより好ましくは99重量%、さらに好ましくは97重量%、特に好ましくは95重量%である。一方、該重量割合の下限はより好ましくは60重量%、さらに好ましくは80重量%、特に好ましくは90重量%である。
本発明の成形体に占める基材樹脂の重量割合は特に限定されないが、セルの分散性向上の点で50~99重量%であると好ましい。該重量割合の上限はより好ましくは98重量%、さらに好ましくは97重量%、特に好ましくは95重量%である。一方、該重量割合の下限はより好ましくは60重量%、さらに好ましくは80重量%、特に好ましくは90重量%である。
エラストマー樹脂としては、発泡成形に通常用いられるエラストマー樹脂であれば特に限定はされないが、熱可塑性エラストマー及びゴムから選ばれる1種を含むと好ましい。
熱可塑性エラストマーとは、加熱により軟化し、所望の形に成形可能な可塑性を示し、常温ではゴム弾性を示す物質をさし、ハードセグメントからなる重合体とソフトセグメントからなる重合体との混合物や、ハードセグメントからなる重合体とソフトセグメントからなる重合体との共重合物等を挙げることができる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO、TPV)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ニトリル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしては、たとえば、ポリプロピレンやプロピレン-エチレンの共重合体、ポリエチレン等からなるセグメント等を挙げることができる。また、ソフトセグメントとしては、たとえば、ポリエチレンや、エチレンと共に少量のジエン成分を共重合したもの(たとえば、エチレン-プロピレン-共重合体(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、EPDMに有機過酸化物を添加することにより部分架橋したもの等)からなるセグメント等を挙げることができる。
また、オレフィン系熱可塑性エラストマーとしての重合体の混合物や共重合物は、不飽和ヒドロキシ単量体およびその誘導体、不飽和カルボン酸単量体およびその誘導体等でグラフト変性されたものでもよい。
オレフィン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、たとえば、エクソンモービル株式会社製「Santoprene」、「Vistamaxx」、JSR株式会社製「エクセリンク」、昭和化成工業株式会社製「マキシロン」、住友化学株式会社製「エスポレックスTPEシリーズ」、ダウケミカル日本株式会社製「エンゲージ」、プライムポリマー株式会社製「プライムTPO」、三井化学株式会社製「ミラストマー」、三菱ケミカル株式会社製「ゼラス」、「サーモラン」、リケンテクノス株式会社製「マルチユースレオストマー」、「アクティマー」、「トリニティ」等を挙げることができる。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしては、たとえば、ポリスチレンからなるセグメント等を挙げることができる。また、ソフトセグメントとしては、たとえば、ポリブタジエン、水素添加されたポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加されたポリイソプレンからなるセグメント等を挙げることができる。このようなスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、たとえば、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)共重合体、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン(SBBS)共重合体等のブロック共重合体を挙げることができる。
スチレン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、たとえば、旭化成株式会社製「タフブレン」、「アサブレン」、「タフテック」、「S.O.E.」、アロン化成株式会社製「エラストマーAR」、クラレ株式会社製「セプトン」、「ハイブラー」、JSR株式会社製「JSR TR」、「JSR SIS」、昭和化成工業株式会社製「マキシロン」、神興化成株式会社製「トリブレン」、「スーパトリブレン」、住友化学株式会社製「エスポレックスSBシリーズ」、リケンテクノス株式会社製「レオストマー」、「アクティマー」、「高機能アロイアクティマー」、「アクティマーG」等を挙げることができる。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしては、たとえばジイソシアネート類と鎖延長剤である短鎖ジオール類等との反応により生成するポリウレタンを挙げることができる。また、ソフトセグメントとしては、たとえば、ポリエステルジオール類、ポリエーテルジオール類、ポリカーボネートジオール類等のポリマージオールとジイソシアネートとの反応により生成するポリウレタンが挙げられ、ポリウレタン系エラストマーはハードセグメントとソフトセグメントとの交互配列により構成されるブロック共重合体である。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、大日精化株式会社製「レザミン」、東ソー株式会社製「ミラクトラン」、BASFジャパン株式会社製「エラストラン」、日本ループリゾール株式会社製「エステン」、DICコベストロポリマー株式会社製「Desmopan」、[Texin」、昭和化成工業株式会社製「マキシロン」等を挙げることができる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしては、たとえば、ポリブチレンテレフタレートからなるセグメント等を挙げることができる。また、ソフトセグメントとしては、たとえば、長鎖のポリオールやポリエステルからなるセグメント等を挙げることができる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、三菱ケミカル株式会社製「テファブロック」、東レ・デュポン株式会社製「ハイトレル」、東洋紡株式会社製「ペルプレン」、アロン化成株式会社製「エステラール」等を挙げることができる。
ゴムとしては、たとえば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、エチレン-α-オレフィン共重合体ゴム、エチレン-α-オレフィン-非共役ジエン共重合体ゴム、ハロゲン化エチレン-α-オレフィン-非共役ジエン共重合体ゴム、スルフォン化エチレン-α-オレフィン-非共役ジエン共重合体ゴム、マレイン化エチレン-α-オレフィン-非共役ジエン共重合体ゴム、ブチルゴム、イソブチレンイソプレンゴム等のジエン系ゴム;水素添加ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、プロピレンオキシドゴム等の非ジエン系ゴム等を挙げることができる。
熱可塑性エラストマーの中でも、成形体を安定に製造できる点でオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO、TPV)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)及びポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)から選ばれる少なくとも1種を含むと好ましく、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO、TPV)を含むと特に好ましい。
〔基材樹脂〕
本発明の成形体の基材樹脂はエラストマー樹脂を含むものであれば限定はないが、本願効果を奏する点で熱膨張性微小球の膨張開始温度以下の融点または軟化温度を有するものがよい。
基材樹脂は、エラストマー樹脂以外のその他樹脂を含んでいてもよい。
その他樹脂としてはポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル―ブタジエン-スチレン樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の一般的な熱可塑性樹脂が挙げられる。
これらの中でも、安定分散性の点でポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を含むと好ましい。
前記基材樹脂がその他樹脂を含む場合、基材樹脂に占めるその他樹脂の重量割合は特に限定はないが、セルの分散性向上の点で、0.01重量%~20重量%が好ましい。該割合の上限は、より好ましくは15重量%、さらに好ましくは10重量%、特に好ましくは5重量%である。一方、該割合の下限は、より好ましくは0.1重量%、さらに好ましくは0.5重量%、特に好ましくは1重量%である。
前記基材樹脂のMFR(メルトフローレート)は特に限定はないが、流動性が低く取り扱い性が良好な点で、0~200g/10minが好ましい。該MFRの上限は、より好ましくは150g/10min、さらに好ましくは130g/10min、特に好ましくは100g/10minである。一方、該MFRの下限は、より好ましくは0.01g/10min、さらに好ましくは0.1g/10min、特に好ましくは1g/10minである。MFRはJIS K7210に準拠し、測定温度190℃、荷重2.16kgの条件下でキャピラリーレオメーターにより測定した値である。
前記基材樹脂の融点は特に限定はないが、100~300℃が好ましい。該温度が100℃以上であると樹脂同士の融着が抑制され作業性が向上し、該温度が300℃以下であると成型時の熱膨張性微小球の過加熱を抑制し安定した発泡性を発現させることができる。該温度の上限は、より好ましくは280℃、さらに好ましくは260℃、特に好ましくは250℃である。一方、該温度の下限は、より好ましくは120℃、さらに好ましくは130℃、特に好ましくは150℃である。
〔セル〕
本発明の成形体中に分散したセルは基材樹脂中に分散した空孔部分を意味する。なお、セルは独立気泡を有する。
本発明の成形体に含まれるセルの平均円形度は0.5~0.9である。該セルの平均円形度が0.5~0.9であることで成形加工性の高い成形体となる要因は定かではないが、該平均円形度が0.5未満であると基材の耐久性が著しく低下してしまい、0.9超であると基材の機械特性が高くなるためと推測している。該平均円形度の下限は好ましくは0.53、さらに好ましくは0.55、特に好ましくは0.6、最も好ましくは0.65である。一方、該平均円形度の上限は、好ましくは0.85、さらに好ましくは0.83、特に好ましくは0.80、最も好ましくは0.75である。なお、本発明に記載のセルの平均円形度の測定方法は実施例に記載の方法によるものである。
セルの円形度分布の標準偏差は特に限定はないが、均一分散性の点で0.05~0.15が好ましい。該標準偏差の上限はより好ましくは0.13、さらに好ましくは0.1である。該標準偏差の下限はより好ましくは0.06、さらに好ましくは0.07である。なお、本発明に記載のセルの平均円形度の分布の標準偏差の測定方法は実施例に記載の方法によるものである。
セルの円形度が0.9以上のセルの個数割合は特に限定はないが、基材樹脂中に均一分散できる点で0~20%であると好ましい。該個数割合の上限は18%がより好ましく、15%がさらに好ましい。なお、本発明に記載の円形度が0.9以上のセルの個数割合の測定方法は実施例に記載の方法によるものである。
セルの円形度が0.4以下の前記セルの個数割合は特に限定はないが、成形体の耐久性を維持する点で0~10%であると好ましい。該個数割合の上限は8%がより好ましく、6%がさらに好ましく、5%が特に好ましい。なお、本発明に記載の円形度が0.4以下のセルの個数割合の測定方法は実施例に記載の方法によるものである。
セルの平均直径は特に限定はないが、外観が良い成形体を得る点で1~200μmであると好ましい。該直径の上限は、より好ましくは150μm、さらに好ましくは100μmである。一方、該直径の下限は、より好ましくは10μm、さらに好ましくは15μm、特に好ましくは20μmである。なお、本発明に記載のセルの平均直径の測定方法は実施例に記載の方法である。
セルの直径の分布の変動係数CVは特に限定はないが、セルの均一分散性の点で1~50%であると好ましい。該CVの上限は、より好ましくは40%、さらに好ましくは35%である。一方、該CVの下限はより好ましくは5%である。セルの直径の変動係数CVの測定方法は、実施例に記載の方法によるものである。
〔中空粒子〕
本発明の成形体に含まれるセルは、特に限定はないが、中空粒子を含むと好ましい。
中空粒子は熱可塑性樹脂を含む外殻部と、外殻部に囲まれた中空部とを有する粒子であると好ましい。また、該中空粒子は、後述する熱膨張性微小球の膨張体であってもよい。
中空粒子の外殻部に含まれる熱可塑性樹脂は、特に限定はないが、重合性成分の重合体であると好ましい。なお、中空粒子が熱膨張性微小球の膨張体である場合、熱膨張性微小球の外殻部を形成する熱可塑性樹脂においても、重合性成分の重合体であると好ましい。
重合性成分は、ラジカル反応性を有する炭素-炭素二重結合を1つ有する単量体成分(以下、単にモノマーということがある)を必須に含み、ラジカル反応性を有する炭素-炭素二重結合を2つ以上有する架橋剤(以下、単に架橋剤ということがある)を含むことがある成分である。モノマー及び架橋剤は共に付加反応が可能な成分であり、架橋剤は熱可塑性樹脂に橋掛け構造を導入できる成分である。
モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル等のニトリル系単量体;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル系単量体;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸や、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等の不飽和ジカルボン酸や、不飽和ジカルボン酸の無水物や、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸モノエステル等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;ビニルメチルケトン等のビニルケトン系単量体;N-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドン等のN-ビニル系単量体;ビニルナフタリン塩;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体等が挙げられる。カルボキシル基含有単量体は、一部または全部のカルボキシル基が重合時や重合後に中和されていてもよい。なお、本発明では、アクリル酸又はメタクリル酸を合わせて(メタ)アクリル酸ということもあり、アクリレート又はメタクリレートを合わせて(メタ)アクリレートということもある。また、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味するものとする。これらのその他の単量体成分は、1種又は2種以上を併用してもよい。
重合性成分がカルボキシル基含有単量体を含むと、耐熱性が向上するため、好ましい。重合性成分がカルボキシル基含有単量体を含む場合、重合性成分に占めるカルボキシル基含有単量体の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは10~70重量%である。該重量割合の上限はより好ましくは60重量%、さらに好ましくは55重量%、特に好ましくは50重量%である。一方、該重量割合の下限は、より好ましくは15重量%、さらに好ましくは20重量%、特に好ましくは25重量%である。
重合性成分がニトリル基含有単量体を含むと、ガスバリア性が向上するため、好ましい。重合性成分がニトリル基含有単量体を含む場合、重合性成分に占めるニトリル基含有単量体の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは10~80重量%である。該重量割合の上限はより好ましくは70重量%、さらに好ましくは65重量%、特に好ましくは60重量%である。一方、該重量割合の下限は、より好ましくは15重量%、さらに好ましくは20重量%、特に好ましくは25重量%である。
重合性成分が(メタ)アクリルアミド系単量体を含むと、耐熱性が向上するため、好ましい。重合性成分が(メタ)アクリルアミド系単量体を含む場合、重合性成分に占める(メタ)アクリルアミド系単量体の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは0.1~50重量%である。該重量割合の上限は、より好ましくは40重量%、さらに好ましくは30重量%、特に好ましくは20重量%である。一方、該重量割合の下限は、より好ましくは1重量%、さらに好ましくは3重量%、特に好ましくは5重量%である。
重合性成分がスチレン系単量体を含むと、発泡性が向上するため、好ましい。重合性成分がスチレン系単量体を含む場合、重合性成分に占めるスチレン系単量体の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは0.1~50重量%である。該重量割合の上限は、より好ましくは40重量%、さらに好ましくは30重量%、特に好ましくは20重量%である。一方、該重量割合の下限は、より好ましくは2重量%、さらに好ましくは3重量%、特に好ましくは5重量%である。
重合性成分が(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含むと、発泡性が向上するため、好ましい。重合性成分が(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む場合、重合性成分に占める(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは0.1~50重量%である。該重量割合の上限は、より好ましくは40重量%、さらに好ましくは30重量%、特に好ましくは20重量%である。一方、該重量割合の下限は、より好ましくは1重量%、さらに好ましくは3重量%、特に好ましくは5重量%である。
重合性成分は、上記のとおり、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤を含むことにより、中空粒子や後述する熱膨張性微小球の内包保持率の低下を抑制させることができる。
架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8オクタンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート(化合物名中の#200は分子内のポリアルキレングリコール鎖部分の重量平均分子量が200であることを表し、以下記載の#アラビア数字も同様である。)、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、PEG#1000ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール#650ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコール#700ジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(EO付加2~30)、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エトキシ化グリセリントリアクリレート、1,3,5-トリ(メタ)アクリロイル・ヘキサヒドロ1,3,5-トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,2,4-トリビニルベンゼン、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の二官能架橋性単量体、三官能性単量体、及び四官能以上の架橋性単量体などが挙げられる。上記架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
架橋剤の量については特に限定はなく、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0~5.0重量部、より好ましくは0.01~3.0重量部、さらに好ましくは0.02~2.0重量部、特に好ましくは0.05~1.5重量部である。架橋剤の含有量が5.0重量部超であると、熱膨張性微小球の膨張性能が低下することがある。
前記熱可塑性樹脂は分散性を向上させる点でカルボキシル基を有する構成単位を含有すると好ましく、耐熱性向上の点でニトリル基を有する構成単位を含有すると好ましく、成形体の強度を高める点でフェニル基を有する構成単位を含有すると好ましい。これらのなかでも、カルボキシル基を有する構成単位及び/又はニトリル基を有する構成単位を含むとより好ましく、カルボキシル基を有する構成単位を含むと更に好ましく、カルボキシル基を有する構成単位及びニトリル基を有する構成単位を含むと特に好ましい。
前記熱可塑性樹脂がニトリル基を有する構成単位とカルボキシル基を有する構成単位とを有する場合、ニトリル基を有する構成単位(U)とカルボキシル基を有する構成単位(U)の比率(U/U)は耐熱性、耐溶剤性の点で1/2~10/1であると好ましい。該比率の上限は、より好ましくは8/1、さらに好ましくは6/1、特に好ましくは4/1である。該構成単位の比は重合性成分に占める、ニトリル基を有するモノマーの重量割合及びカルボキシル基を有するモノマーの重量割合の比に相当する。
また、該構成単位の比は赤外分光法(IR)における各官能基の吸収ピークの比によって測定することができる。
中空粒子は加熱により気化する成分を含んでいてもよい。また、中空粒子が後述する熱膨張性微小球の膨張体である場合、加熱により気化する成分は熱膨張性微小球が含有する発泡剤であってもよい。
加熱により気化する成分は、たとえば、プロパン、(イソ)ブタン、(イソ)ペンタン、(イソ)ヘキサン、(イソ)ヘプタン、(イソ)オクタン、(イソ)ノナン、(イソ)デカン、(イソ)ウンデカン、(イソ)ドデカン、(イソ)トリデカン等の炭素数3~13の炭化水素;(イソ)ヘキサデカン、(イソ)エイコサン等の炭素数13超で20以下の炭化水素;プソイドクメン、石油エーテル、初留点150~260℃および/または蒸留範囲70~360℃であるノルマルパラフィンやイソパラフィン等の石油分留物等の炭化水素;それらのハロゲン化物;ハイドロフルオロエーテル等の含弗素化合物;テトラアルキルシラン;加熱により熱分解してガスを生成する化合物等を挙げることができる。加熱により気化する成分は、1種または2種以上を併用してもよい。加熱により気化する成分は、直鎖状、分岐状、脂環状のいずれでもよく、脂肪族であるものが好ましい。
中空粒子に含まれる加熱により気化する成分の内包率は、中空粒子の重量に対する中空粒子に内包された加熱により気化する成分の重量の百分率で定義される。該成分の内包率については、特に限定されないが、中空粒子の重量に対して、好ましくは1~50重量%、より好ましくは2~45重量%、さらに好ましくは5~40重量%、特に好ましくは10~30重量%である。
中空粒子の平均粒子径は、成形体の外観が良好となる点で0.5~100μmが好ましい。該平均粒子径の上限は、より好ましくは80μm、さらに好ましくは70μm、特に好ましくは50μmである。一方、該平均粒子径の下限は、より好ましくは1μm、さらに好ましくは5μm、特に好ましくは10μmである。
中空粒子の外殻部の平均厚みは、十分な軽量効果を得る点で0.1~1.0μmであると好ましい。該平均厚みの上限は、より好ましくは0.9μm、さらに好ましくは0.7μm、特に好ましくは0.5μmである。一方、該平均厚みの下限は、より好ましくは0.2μm、さらに好ましくは0.3μmである。なお、本発明に記載のセルに含まれる中空粒子の外殻部の平均厚みの測定方法は実施例に記載の方法によるものである。
本発明の成形体が中空粒子を含む場合、成形体に占める中空粒子の重量割合は、0.1~30重量%が好ましい。中空粒子の重量割合が30重量%以下であると成形品の強度が向上する傾向があり、中空粒子の重量割合0.1重量%以上であると十分な軽量効果が得られる。該重量部の上限は、より好ましくは25重量%、さらに好ましくは20重量%、特に好ましくは15重量%である。一方、該重量部の下限は、より好ましくは0.5重量%、さらに好ましくは0.8重量%、特に好ましくは1重量%である。
〔成形体〕
本発明の成形体の比重は、表面性が良好となる点で好ましくは0.2~0.8である。該比重の上限は、より好ましくは0.75、さらに好ましくは0.7、特に好ましくは0.65である。一方、該比重の下限は、より好ましくは0.3、特に好ましくは0.35、最も好ましくは0.4である。なお、成形体の比重の評価方法は、実施例で説明する。
本発明の成形体の発泡倍率は、好ましくは1.2~5倍、より好ましくは1.3~3倍である。発泡倍率が5倍以下であると、得られた成形体の強度が高くなり、成形体の表面のささくれを抑制できる。なお、成形体の発泡倍率の評価方法は、実施例に記載の方法によるものである。
本発明の成形体は、例えば、軽量で断熱性、遮音性を持ち、外観も良好であるため、建築物の窓枠シール材や扉のパッキン等の建材用シール材や、自動車用のグラスランやボディシール等の自動車用シール材、インパネやドアトリム等の自動車用内装材、バンパー等の自動車用外装材、建築物の壁紙、建築物の床材、靴底、転写ロールや給紙ロール等のOA機器用ロール、製鉄用ロール、製紙用ロール、印刷用電線ロール、または工業用ロール等の工業用ロールの用途に好適であり、特に建材用シール材、自動車用シール材、壁紙、靴底、人工コルク、または床材に特に好適である。
〔成形体の製造方法〕
本発明の成形体は、熱膨張性微小球と、エラストマー樹脂を含む基材樹脂とを含有する発泡成形用組成物を成形することで製造することができる。この際、熱膨張性微小球のマスターバッチを使用してもよい。
発泡成形用組成物に占める熱膨張性微小球の重量割合は、0.1~30重量%であると好ましい。熱膨張性微小球の重量割合が30重量%以下であると分散性が向上する傾向があり、熱膨張性微小球の重量割合0.1重量%以上であると十分な軽量効果が得られる。該重量割合の上限は、より好ましくは25重量%、さらに好ましくは20重量%、特に好ましくは15重量%である。一方、該重量部の下限は、より好ましくは0.5重量%、さらに好ましくは0.8重量%、特に好ましくは1重量%である。
〔熱膨張性微小球及びその製造方法〕
本発明の成形体を製造する際に使用される熱膨張性微小球は、熱可塑性樹脂を含む外殻部と、それに内包され且つ加熱することによって気化する発泡剤とから構成されるコア-シェル構造をとっており、熱膨張性(微小球全体が加熱により膨らむ性質)を示すものである。
熱膨張性微小球の外殻部を形成する熱可塑性樹脂は、上記の重合性成分の重合体であるとよい。また、熱膨張性微小球に内包される発泡剤は、上記加熱により気化する成分であるとよい。
熱膨張性微小球の平均粒子径は、特に限定はないが、0.5~100μmが好ましい。該粒子径が上記範囲内であると、得られる気泡サイズが適正となり、十分な軽量効果と成形体の強度を両立できる。該平均粒子径の上限は、より好ましくは80μm、さらに好ましくは65μm、特に好ましくは50μmである。一方、該平均粒子径の下限は、より好ましくは1μm、さらに好ましくは5μm、特に好ましくは10μmである。
熱膨張性微小球の粒度分布の変動係数CVは、特に限定はないが、好ましくは50%以下、さらに好ましくは45%以下、特に好ましくは40%以下である。変動係数CVは、以下に示す計算式(1)及び(2)で算出される。
Figure 2023147938000002
(式中、sは粒子径の標準偏差、<x>は平均粒子径、xiはi番目の粒子径、nは粒子の数である。)
熱膨張性微小球の膨張開始温度(T)は、特に限定はないが、耐熱性が優れる点で好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上、特に好ましくは130℃以上、最も好ましくは150℃以上である。熱膨張性微小球の膨張開始温度の上限値は、好ましくは300℃である。
熱膨張性微小球の最大膨張温度(Tmax)は、特に限定はないが、耐熱性と膨張倍率が優れる点で好ましくは150℃以上、より好ましくは170℃以上、さらに好ましくは180℃以上、特に好ましくは190℃以上、最も好ましくは200℃以上である。また、最大膨張温度の上限値は、好ましくは350℃である。なお、熱膨張性微小球の膨張開始温度(T)及び最大膨張温度(Tmax)の測定方法は実施例に記載の方法によるものである。
熱膨張性微小球の体積最大膨張倍率は、特に限定されないが、好ましくは3倍以上、より好ましくは10倍以上、さらにより好ましくは20倍以上、特に好ましくは30倍以上、さらに好ましくは50倍以上、最も好ましくは70倍以上である。一方、最大膨張倍率の上限値は、好ましくは200倍である。
熱膨張性微小球の製造方法は、水性分散媒中に重合性成分と発泡剤とを含む油性混合物を分散させ、重合性成分を重合させる工程(以下、単に重合工程ということがある)を含む。熱膨張性微小球の製造方法において使用される重合性成分、及び発泡剤は、上記のものを使用する。
熱膨張性微小球の製造方法においては、重合性成分を重合開始剤の存在下で重合させてもよい。重合開始剤を使用することで、効率的に熱膨張性微小球を製造できるため好ましい。重合開始剤は、重合性成分や発泡剤とともに油性混合物に含まれるとよい。
重合開始剤としては、過酸化物やアゾ化合物等が挙げられる。
過酸化物としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジベンジルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール;クメンハイドロパーキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステルを挙げることができる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)等を挙げることができる。
重合開始剤の量は、特に限定はないが、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.05~10重量部であり、さらに好ましくは0.1~8重量部、最も好ましくは0.2~5重量部である。重合開始剤の量が上記範囲内であると、得られる熱膨張性微小球の耐熱性と膨張性能が高くなる傾向がある。
重合工程では、水性分散媒は重合性成分および発泡剤を必須とする油性混合物を分散させる媒体であり、イオン交換水等の水を主成分とする。水性分散媒は、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールや、アセトン等の親水性有機性の溶媒をさらに含有してもよい。本発明における親水性とは、水に任意に混和できる状態であることを意味する。水性分散媒の使用量については、特に限定はないが、重合性成分100重量部に対して、100~1000重量部の水性分散媒を使用するのが好ましい。
水性分散媒は、電解質をさらに含有してもよい。電解質としては、たとえば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。これらの電解質は、1種または2種以上を併用してもよい。
電解質の含有量については、特に限定はないが、水性分散媒100重量部に対して0.1~50重量部含有するのが好ましい。
水性分散媒は、水酸基、カルボン酸(塩)基およびホスホン酸(塩)基から選ばれる親水性官能基とヘテロ原子とが同一の炭素原子に結合した構造を有する水溶性1,1-置換化合物類、重クロム酸カリウム、亜硝酸アルカリ金属塩、金属(III)ハロゲン化物、ホウ酸、水溶性アスコルビン酸類、水溶性ポリフェノール類、水溶性ビタミンB類および水溶性ホスホン酸(塩)類から選ばれる少なくとも1種の水溶性化合物を含有してもよい。なお、本発明における水溶性とは、水100gあたり1g以上溶解する状態であることを意味する。
水性分散媒中に含まれる水溶性化合物の量については、特に限定はないが、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.0001~1.0重量部、さらに好ましくは0.0003~0.1重量部、特に好ましくは0.001~0.05重量部である。水溶性化合物の量が少なすぎると、水溶性化合物による効果が十分に得られないことがある。また、水溶性化合物の量が多すぎると、重合速度が低下したり、原料である重合性成分の残存量が増加したりすることがある。
水性分散媒は、電解質や水溶性化合物以外に、分散安定剤や分散安定補助剤を含んでもよい。
分散安定剤としては、例えば、第三リン酸カルシウム、複分解生成法により得られるピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウムや、コロイダルシリカ、アルミナゾル、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの分散安定剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
分散安定剤の量は、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.05~30重量部、さらに好ましくは0.2~20重量部である。
分散安定補助剤としては、特に限定はないが、たとえば、高分子タイプの分散安定補助剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤等が挙げられる。これらの分散安定補助剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
水性分散媒は、たとえば、水(イオン交換水)に、水溶性化合物とともに、必要に応じて分散安定剤及び/又は分散安定補助剤等を配合して調製される。重合時の水性分散媒のpHは、水溶性化合物、分散安定剤、分散安定補助剤の種類によって適宜決められる。具体的には、コロイダルシリカを分散安定剤として使用する場合は、好ましくは酸性領域に調整し、水酸化マグネシウムを分散安定剤として使用する場合は、好ましくはアルカリ領域に調整する。
重合工程においては、連鎖移動剤、有機顔料、表面が疎水性処理された無機顔料や無機粒子等をさらに使用してもよく、水酸化ナトリウムや、水酸化ナトリウムおよび塩化亜鉛の存在下で重合を行ってもよい。
重合工程では、所定粒子径の球状油滴が調製されるように、油性混合物を水性分散媒中に懸濁分散させる。
油性混合物を懸濁分散させる方法としては、例えば、ホモミキサー(例えば、プライミクス株式会社製)等により攪拌する方法や、スタティックミキサー(例えば、株式会社ノリタケカンパニーリミテド製)等の静止型分散装置を用いる方法、膜乳化法、超音波分散法等の一般的な分散方法を挙げることができる。
次いで、油性混合物が球状油滴として水性分散媒に分散された水系懸濁液を加熱することにより、懸濁重合を開始する。重合反応中は、水系懸濁液を攪拌するのが好ましく、その攪拌は、たとえば、単量体成分の浮上や重合後の熱膨張性微小球の沈降を防止できる程度に緩く行えばよい。
重合温度は、重合開始剤の種類によって自由に設定されるが、好ましくは30~100℃、さらに好ましくは40~90℃の範囲で制御される。反応温度を保持する時間は、0.1~20時間程度が好ましい。重合初期圧力については特に限定はないが、ゲージ圧で0~5.0MPa、さらに好ましくは0.1~3.0MPaである。
本発明の成形体の製造方法は、発泡成形用組成物を、発泡成形用組成物に含有される熱膨張性微小球の最大膨張温度に近い温度で成形する工程を含むと好ましい。成形する方法としては、特に限定はないが、本願効果を奏する点で押出成形が好適である。押出成形の他には、射出成形、カレンダー成形、インフレーション成形、中空成形、混練成形、圧縮成形、真空成形、熱成形等挙げられる。
本発明の成形体の製造方法は、熱膨張性微小球とエラストマー樹脂を含む基材樹脂とを含有する発泡成形用組成物を押出成形する工程1と、前記工程1において押し出された成形中間体が冷却槽を経由し冷却される工程2とを有すると本発明の成形体を安定生産できる点で好ましい。
使用する押出成形機としては、シリンダー部にヒーター及び熱電対を備えており、中間体を供給するための原料供給口を装備していると好ましい。シリンダー内部には中間体をさらに溶融及び/軟化させて、混練しながら原料供給口から押出し方向へ移動させるためのスクリューが設置されていると好ましい。
工程1において、シリンダー内に供給された発泡成形用組成物は、シリンダー内で、基材樹脂の融点又は軟化点以上でかつ含有される熱膨張成微小球の最大膨張温度に近い温度(成形体の成形温度)に加熱されることにより溶融及び/又は軟化した混練物となり、目的の形状に成形可能となり、ヒーターおよび熱電対を備えたダイを経て、押出成形され、成形体が得られる。
ここで、成形体の成形温度とは、溶融及び/又は軟化した混練物が成形機のシリンダー内を移動する時の溶融及び/又は軟化した混練物の温度をいう。
成形体の成形温度は、成形体の発泡倍率の点から、160~250℃が好ましい。該温度の上限はより好ましくは230℃、さらに好ましくは220℃、特に好ましくは210℃である。一方、該温度の下限はより好ましくは170℃、さらに好ましくは175℃、特に好ましくは180℃である。
成形体の製造工程において押出成形機にベントが設けられている場合、ベントを閉じた状態で成形を行うことが望ましい。ベントを開放した状態では、ベントより溶融混練物が押出され、軽量な成形体が得られにくいことがある。
また、押出成形においては、ダイ直前に設けられたベントに真空ポンプ等を接続し、排気して、混練時に発生したボイドを抜くことも可能である。
成形体の製造工程において、発泡成形用組成物を原料供給口に投入してからダイより押出されるまでの時間はスクリューの回転数により調整することができる。スクリューの回転数は、設備および基材樹脂の種類等により適宜設定すればよいが、成形用組成物を原料供給口に投入してからダイより押出されるまでの時間(滞留時間)は0.5~20分が好ましく、より好ましくは0.7~15分、さらに好ましくは0.7~10分、特に好ましくは1~7分である。該滞留時間が0.5分以上であると、加熱が十分となり膨張性微小球が十分に膨張しやすく、成形体が所望の発泡倍率となる傾向がある。一方、該滞留時間が20分以下であると、作業効率が向上し生産性が向上する傾向がある。
工程2において、軟化した発泡成形用組成物がダイを経た後、ダイから押し出された成形中間体が水冷、ロール等の冷却槽にて冷却されると、本願効果を奏する点で好ましい。冷却槽を通過した成形中間体は、その後所望の長さ、形状に成形され、軽量な成形体となる。
工程2において、急冷による成形性向上の点で冷却槽の温度が50℃以下であると好ましい。該温度の下限は、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは10℃以上である。一方、該温度の上限はより好ましくは45℃以下、さらに好ましくは40℃以下、特に好ましくは30℃以下である。また、冷却槽の温度は、50℃以下で維持されているとよい。
冷却槽の冷媒は冷却効率の点で水が好ましい。
発泡成形用組成物は、必要に応じて化学発泡剤、安定剤、充填剤、可塑剤、滑剤、軟化剤、湿化剤、着色剤、帯電防止剤、ゴム加硫・架橋剤、加硫促進剤等のその他成分をさらに含んでもよい。
化学発泡剤としては、たとえば、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、無水硝酸ナトリウム等の無機系化学発泡剤;ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N´-ジメチル-N,N´-ジニトロソテレフタルアミド、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、p,p´-オキシビス(ベンゼンスルフォニルヒドラジド)、アゾジカルボアミド等の有機系化学発泡剤等を挙げることができる。また、これらの化学発泡剤とともに、尿素系、有機酸系、金属塩系等の発泡助剤を併用してもよい。これらの化学発泡剤および発泡助剤は、1種または2種以上を併用することができる。
安定剤としては、フェノール系安定剤、硫黄系安定剤、リン系安定剤、有機スズ系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム-亜鉛系安定剤、カルシウム-亜鉛系安定剤等の酸化防止剤や、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系安定剤などの光安定剤や、ハイドロタルサイトが挙げられる。これら安定剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
充填剤としては、例えば、無機系充填剤でも有機系充填剤でもよい。無機系充填剤としては、たとえば、ガラス繊維(金属を被覆したものを含む)、炭素繊維(金属を被覆したものを含む)、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、セラミック繊維、金属繊維、アラミド繊維、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、二硫化モリブデン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、マイカ、タルク、カオリン、パイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、ウォラストナイト、アルミナ、クレー、フェライト、黒鉛、石膏、ガラスビーズ、ガラスバルーン、石英等からなる充填剤が挙げられる。また、有機系充填剤としては、たとえば、セルロース、ケナフ、フスマの植物繊維類;羊毛、絹等の動物繊維類;アラミド繊維、フェノール繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、フッ素樹脂系繊維等の合成繊維類;レーヨン等の再生繊維;セルロースアセテート等の半合成繊維;木粉、竹粉、おから、籾殻、果実殻粉、単糖類、でんぷん等の多糖類等からなる充填剤が挙げられる。これらの充填剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
可塑剤としては、例えば、フタル酸ジイソノニル(DINP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ブチルオクチルフタレート(BOP)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、トリメット酸トリオクチル(TOTM)、リン酸トリクレシル(TCP)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等を挙げることができる。これらの可塑剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム等の金属石鹸;パラフィンワックス、流動パラフィン等の炭化水素;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等のアミド系ワックス;ステアリン酸モノグリセリド、ステアリルステアレート、ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル;ステアリン酸等の脂肪酸;ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリテトラフルオロエチレンの変性物等が挙げられる。これらの滑剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
軟化剤又は湿化剤としては、基材樹脂と混合して基材樹脂を軟化させることができるもの、前述の熱膨張性微小球と混合して、熱膨張性微小球の粉立ちを抑制できる湿粉状熱膨張性微小球(以下、湿粉状微小球ということがある)を作成できる液状化合物であれば、特に限定はなく、たとえば、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、グリセリン、プロセスオイル、流動パラフィン、ナフテン系オイル、アロマ系オイル、油脂類等の有機系液状化合物;シリコーンオイル等の無機系液状化合物が挙げられ、本願効果を奏する点から有機系液状化合物が好ましく、プロセスオイル、シリコーンオイル、流動パラフィンがより好ましい。これらの軟化剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、カオリン、クロム黄、フタロシアニンブルー、赤鉛等が挙げられる。
帯電防止剤としては、特に限定はないが、たとえば、アニオン系帯電防止剤、非イオン系帯電防止剤等が挙げられる。
ゴム加硫・架橋剤としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄等の硫黄;塩化イオウ、セレン、テルル等の無機系加硫剤;モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド類、チウラムジスルフィド類、ジチオカルバミン酸塩等の含硫黄有機化合物;1,1-ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3-ビス-(t-ブチルペルオキシ-イソプロピル)ベンゼン等の有機過酸化物類等が挙げられる。これらのゴム加硫・架橋剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
加硫促進剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン等のアルデヒドアンモニア類;ジフェニルグアニジン、ジ(o-トリル)グアニジン、o-トリルーピグアニド等のグアニジン類;チオカルバニリド、ジ(o-トリル)チオウレア、N,N’-ジエチルチオウレア、ジラウリルチオウレア等のチオウレア類;メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾールジスルフィド、N,N’-ジ(エチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール等のチアゾール類;N-t-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラム類;ジメチルチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルチオカルバミン酸テルル、ジメチルチオカルバミン酸鉄等のカルバミン酸塩類;ブチルチオキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸塩類等が挙げられる。これらの加硫促進剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
上記その他成分の中で、化学発泡剤、安定剤、充填剤、可塑剤、滑剤、軟化剤、湿化剤、着色剤、帯電防止剤、ゴム加硫・架橋剤、加硫促進剤及びこれらの分解物は成形体に含まれていてもよい。
以下に、本発明の成形体の実施例について、具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、断りのない限り、「%」とは「重量%」を意味し、「部」とは「重量部」を意味するものである。
以下の製造例で挙げた熱膨張性微小球並びに、実施例及び比較例で挙げた成形体について、次に示す要領で物性を測定し、さらに性能を評価した。以下では、熱膨張性微小球を簡単のために「微小球」ということがある。
(熱膨張性微小球の評価)
〔熱膨張性微小球の平均粒子径(D50)の測定〕
測定装置として、日機装株式会社製のマイクロトラック粒度分布計(型式9320-HRA)を使用し、体積基準測定によるD50値を平均粒子径とした。
〔熱膨張性微小球の膨張開始温度(T)及び最大膨張温度(Tmax)の測定〕
測定装置として、DMA(DMA Q800型 TA instruments社製)を使用した。微小球0.5mgを直径5.6mm、深さ4.8mmのアルミカップに入れ、微小球層の上部にアルミ蓋(直径5.6mm、厚み0.1mm)をのせて試料を準備した。その試料に上から加圧子により0.01Nの力を加えた状態でサンプル高さを測定した。加圧子により0.01Nの力を加えた状態で20℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し、加圧子の垂直方向における変位量を測定した。正方向への変位開始温度を膨張開始温度(T)とし、最大変位量(Hmax)を示した温度を最大膨張温度(Tmax)とした。Tmaxが高い値を示すことが耐熱性に優れ、高い膨張特性を有する事を意味する。
〔熱膨張性微小球の含水率(Cw1)の測定〕
測定装置として、カールフィッシャー水分計(MKA-510N型 京都電子工業株式会社製)を用いて測定した。熱膨張性微小球の含水率(重量%)をCw1とした。
〔熱膨張性微小球の発泡剤の内包率(C)の測定〕
熱膨張性微小球1.0gを直径80mm、深さ15mmのステンレス製蒸発皿に入れ、その重量(W(g))を測定した。アセトニトリルを30ml加え均一に分散させ、24時間室温で放置した後に、130℃で2時間減圧乾燥後の重量(W(g))を測定した。
熱膨張性微小球の発泡剤の内包率(C)は、下記の式により算出した。
(重量%)=100×{100×(W-W)/1.0-Cw1}/(100-Cw1
(式中、熱膨張性微小球の含水率Cw1は、上記方法で測定した。)
(成形体の評価)
〔セルの平均直径及びCVの測定〕
成形体を切断し、得られた断面を白金でスパッタリングした後、走査式電子顕微鏡(株式会社キーエンス社製、VE-8800)を用いて、加速電圧20kV、倍率30倍の条件で撮影し、電子顕微鏡写真を得た。その電子顕微鏡写真の中から任意の100個のセル(気泡)について、画像解析式粒度分布測定ソフトウェアMac-View(マウンテック株式会社)を用いて、気泡の直径、CV値を解析した。
〔セルの平均円形度及び標準偏差の測定〕
前記セルの平均直径と同様に電子顕微鏡にて観察し、任意の100個のセル(気泡)について、投影される気泡の面積(A)(投影面積)及び周囲長(B)を測定し、下記式にてそれぞれのセルの円形度を算出した。得られた100個のセルの円形度から平均円形度及び標準偏差を算出した。
円形度=4πA/B
また、上記で算出したセルの円形度について、円形度が0.9以上のセルの個数および円形度が0.4以下のセルの個数をカウントし、下記式にて円形度0.9以上のセルの個数割合(%)と円形度0.4以下のセルの個数割合(%)を算出した。
円形度0.9以上のセルの個数割合(%)=円形度0.9以上のセルの個数/測定したセルの個数×100
円形度0.4以下のセルの個数割合(%)=円形度0.4以下のセルの個数/測定したセルの個数×100
〔セルに含まれる中空粒子の外殻部の平均厚みの測定〕
得られた成形体の断面を100倍で撮影したSEM写真より、任意の中空粒子のシェルの厚みを測定し、20個の中空粒子のシェルの厚みの平均値から算出した。
〔成形体のヤング率の測定〕
JIS K7171に基づき、得られた成形体から切り出した長さ80mm×幅25mm×厚み2mmの試験片に対してインストロン万能試験機(インストロン社)を用いて3点曲げ柔軟性の評価を行った。間隔64mmで設置された1対の支柱を有する治具上に、試験片をセットし、支柱間の中心に当たる位置において、試験片を、1mm/分の速度で上方から押し込みながら、曲げ弾性率(MPa)を測定した。測定した曲げ弾性率及び基材樹脂の弾性率から下記式より成形加工性度を算出し、以下の評価基準に基づいて成形体の成形性を判定し、○以上を合格とした。
成型加工度=成形体の弾性率/基材樹脂の弾性率
◎:成形加工度が0.7以上0.8以下であり成形加工性に優れる。
〇:成形加工度が0.6以上0.7未満または0.8超0.9以下であり、成形加工性に優れる。
×:成形加工度が0.6未満または0.9超であり、成形加工性に劣る。
〔成形体の比重及び発泡倍率の測定〕
精密比重計AX200(島津製作所社製)を用いた液浸法により、成形体の比重(D1)を測定した。次に基材樹脂を成形したベース成形体の比重(D2)を測定した。成形体の発泡倍率は下記式より算出した。
成形体の発泡倍率(倍)=D2/D1
〔成形体の外観の評価〕
得られた発泡成形体を幅15cm、長さ50cmに調製し、調製した発泡成形体を目視により確認し、以下の評価基準に基づいて判定し、○以上を合格とした。
◎:熱膨張性微小球の破壊による凹みが5箇所未満で、表面荒れがなく、良好。
〇:熱膨張性微小球の破壊による凹みが5箇所以上15箇所未満で、表面荒れが少なく、良好。
×:熱膨張性微小球の破壊による凹みが15箇所以上で、表面荒れが多く、不良。
(熱膨張性微小球の製造)
<製造例1>
イオン交換水500部に、塩化ナトリウム130部を溶解させ、ポリビニルピロリドン1.0部、カルボキシメチル化ポリエチレンイミン・Na塩0.05部及びコロイダルシリカ(有効濃度20%)65部を添加し、pHを3.0に調整し水性分散媒を調製した。
これとは別に、アクリロニトリル40部、メタクリル酸25部、メタクリロニトリル25部、メタクリルアミド5部、スチレン5部、1,9-ノナンジオールジアクリレート0.8部、パーロイルOPP(ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(純度70%))0.8部、イソペンタン36部を混合、溶解し油性混合物とした。
水性分散媒体と油性混合物を混合し、得られた混合液をホモミキサー(プライミクス株式会社製、TKホモミキサー)により回転数10000rpmで1分間分散して、水系懸濁液を調製した。
得られた水系懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.35MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度60℃で20時間重合反応した。重合後、生成物を濾過、乾燥し、熱膨張性微小球A1を得た。得られた熱膨張性微小球の物性について評価した。その結果を表1に示す。
<製造例2~5>
製造例2~5は、製造例1と同様に表1に示すように変更する以外は、同様にして熱膨張性微小球A2~A5を得た。その結果を表1に示す。
(実施例1~9及び比較例1~5)
(実施例1)
オレフィン系エラストマー(三井化学社製、ミラストマー8032BS、曲げ弾性率60MPa、A硬度79、比重0.89)950重量部と、製造例1で得られた微小球A1を50重量部とを配合した1000重量部の混合物を、押出成形機であるラボプラストミル(東洋精機社製)の原料供給口から供給し、シリンダー内での混練物の温度を200℃、Tダイ(幅150mm、リップ厚み2.1mm)の温度を200℃とし、スクリュー回転数40rpmにて成形中間体を押し出した。押し出された成形中間体を温度20℃に調整した冷却槽(冷却媒体:水)を経由させて冷却し、独立気泡を有するシート状発泡成形体(幅148mm、厚み2.0mm)を得た。
得られた成形体の物性について評価した結果を表2に示す。
(実施例2~9及び比較例1~5)
実施例2~7及び比較例1~5は実施例1と同様の基材樹脂を使用し、その他の条件を表2~4に示すように変更する以外は、同様にして独立気泡を有する成形体を作製した。その結果を表2~4に示す。
実施例8は実施例1の基材樹脂をスチレン系エラストマー(曲げ弾性率10.4MPa、A硬度75、比重0.93)とし、その他の条件を表3に示すように変更する以外は、同様にして独立気泡を有する成形体を作製した。その結果を表3に示す。
実施例9は実施例1の基材樹脂をポリエステル系エラストマー(東レ・デュポン株式会社製、ハイトレル4777、曲げ弾性率94.1MPa、D硬度47、比重1.15)とし、その他の条件を表3に示すように変更する以外は、同様にして独立気泡を有する成形体を作製した。その結果を表3に示す。
Figure 2023147938000003
Figure 2023147938000004
Figure 2023147938000005
Figure 2023147938000006
表2~4から分かるように、エラストマー樹脂を含む基材樹脂中にセルが分散した成形体であり、前記セルの平均円形度が0.5~0.9である成形体であると、成形加工性が高いことがわかる(実施例1~9)。
一方、成形体中の円形度が0.5~0.9でない場合(比較1~5)、成形加工性が劣る。
本発明によれば、独立気泡を有し成形加工性に優れ、軽量な成形体を提供できる。また、前記成形体を効率よく製造できる製造方法を提供できる。
1熱可塑性樹脂を含む外殻(シェル)
2発泡剤(コア)
3熱可塑性樹脂を含む外殻
4中空部

Claims (8)

  1. エラストマー樹脂を含む基材樹脂中にセルが分散した成形体であり、前記セルの平均円形度が0.5~0.9である成形体。
  2. 前記セルの円形度分布の標準偏差が0.05~0.15である、請求項1に記載の成形体。
  3. 前記セルが中空粒子を含み、前記中空粒子が熱可塑性樹脂を含む外殻部と、外殻部に囲まれた中空部とを有する粒子である、請求項1又は2に記載の成形体。
  4. 前記中空粒子の外殻部の平均厚みが0.1~1.0μmである、請求項3に記載の成形体。
  5. 前記熱可塑性樹脂がカルボキシル基を有する構成単位を含有する、請求項3又は4に記載の成形体。
  6. 前記エラストマー樹脂が、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれかに記載の成形体。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の成形体の製造方法であって、
    熱膨張性微小球と、前記エラストマー樹脂を含む基材樹脂とを含有する発泡成形用組成物を押出成形する工程1と、前記工程1において押し出された成形中間体が冷却槽を経由し冷却される工程2とを有する、成形体の製造方法。
  8. 前記冷却槽の温度が50℃以下である、請求項7に記載の成形体の製造方法。

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