JP2023136019A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】演算負荷を抑えつつ、磁気式の回転角センサの出力誤差を低減することができるモータ制御装置を提供する。【解決手段】モータ20の制御装置30は、モータ20の出力軸に対して軸方向に対向する基板と、出力軸と同軸に設けられる磁気式の回転角センサ33と、基板に設けられるMPU31aと、を備えている。回転角センサ33は、出力軸の回転に応じた電気信号S1を生成する。MPU31aは、電気信号S1に基づきモータ20の回転角θを演算し、回転角θを使用してモータ20を制御する。電気信号S1は、モータ20に供給される電流Iu,Iv,Iwに起因して発生する磁界の影響を受ける。MPU31aは、モータ20に供給される電流Iu,Iv,Iwの値に対して、定められた比例定数を乗算することにより電気信号S1に対する補正値S2を演算し、補正値S2を使用して電気信号S1を補正する。【選択図】図3

Description

本発明は、モータ制御装置に関する。
たとえば特許文献1のモータ制御装置は、センサ出力補正回路を有している。センサ出力補正回路は、モータに内蔵された磁極位置センサの出力情報を補正する。センサ出力補正回路は、磁極位置センサの出力信号、および、電流センサの出力信号を取り込む。電流センサの出力信号は、モータの固定子巻線に供給される3相電流の検知信号である。センサ出力補正回路は、電流センサの出力信号に基づきセンサ出力補正情報を生成し、このセンサ出力補正情報に基づき磁極位置センサの出力信号を補正する。これにより、モータの固定子巻線が発生する漏洩磁束の影響による、磁極位置センサの出力誤差を低減することができる。
特開2007-049862号公報
特許文献1のモータ制御装置は、電流センサの出力信号に基づきセンサ出力補正情報を、都度生成する必要がある。モータ制御装置には、演算負荷を抑えつつ、磁気位置センサの出力誤差を低減することが求められる。
上記課題を解決し得るモータ制御装置は、モータの出力軸に対して軸方向に対向する基板と、前記出力軸と同軸に設けられる回転角センサであって、前記出力軸の回転に応じた電気信号を生成する磁気式の回転角センサと、前記基板に設けられる制御回路であって、前記電気信号に基づき前記モータの回転角を演算し、前記回転角を使用して前記モータを制御する制御回路と、を備えている。前記電気信号は、前記モータに供給される電流に起因して発生する磁界の影響を受ける。前記制御回路は、前記モータに供給される電流の値に対して、定められた比例定数を乗算することにより前記電気信号に対する補正値を演算し、前記補正値を使用して前記電気信号を補正するように構成される。
この構成によれば、モータに供給される電流の値に対して、定められた比例定数を乗算することにより、回転角センサにより生成される電気信号に対する補正値が演算される。比例定数をモータの電流値に乗算するだけ補正値が得られるため、制御回路の演算負荷を低減することができる。また、補正値を使用して回転角センサにより生成される電気信号を補正することにより、電気信号から磁界の影響を除去することができる。磁界の影響が除去された電気信号を使用することにより、より正確な回転角を演算することができる。
上記のモータ制御装置において、前記補正値は、前記磁界の影響を受けることにより発生する前記電気信号の誤差成分であって、前記制御回路は、前記電気信号から前記補正値を減算することにより、前記電気信号を補正するように構成されてもよい。
この構成によれば、電気信号から補正値を減算することにより、電気信号の誤差成分を除去することができる。電気信号から補正値を減算するだけでよいので、制御回路の演算負荷を低減することができる。
上記のモータ制御装置において、前記電気信号は、前記モータの回転に対して正弦状に変化する電気信号である正弦信号と、前記正弦信号に対して90°だけ位相が遅れた電気信号である余弦信号と、を含んでいてもよい。この場合、前記制御回路は、前記正弦信号に対する第1の補正値、および、前記余弦信号に対する第2の補正値を演算するようにしてもよい。また、前記制御回路は、前記正弦信号から前記第1の補正値を減算することにより前記正弦信号を補正するとともに、前記余弦信号から前記第2の補正値を減算することにより前記余弦信号を補正するようにしてもよい。また、制御回路は、前記正弦信号および前記余弦信号に基づき逆正接値を演算することにより、前記回転角を演算するように構成されてもよい。
この構成によれば、正弦信号から第1の補正値を減算することにより、磁界の影響による正弦信号の誤差成分を除去することができる。また、余弦信号から第2の補正値を減算することにより、磁界の影響による余弦信号の誤差成分を除去することができる。また、磁界の影響が除去された正弦信号および余弦信号を使用することにより、より正確な回転角を演算することができる。
上記のモータ制御装置において、前記モータの極対数が「Pn」であるとき、前記補正値は、前記電気信号の「Pn±1」次の誤差成分であってもよい。
モータの極対数が「Pn」であるとき、回転角センサにより生成される電気信号には、Pn次の高調波が重畳する。Pn次の高調波が重畳した電気信号を使用して回転角を演算すると、「Pn±1」次の誤差が発生する。上記の構成によれば、補正値を使用して電気信号を補正することにより、電気信号の「Pn±1」次の誤差成分を除去することができる。
上記のモータ制御装置において、前記比例定数の値は、前記モータの電流値に比例するPn次の高調波が重畳する前記電気信号を使用して前記回転角を演算する予測モデルを使用して決定されるものであってもよい。この場合、前記予測モデルから得られる前記回転角の誤差が、実際に計測される前記回転角の誤差と一致するように、前記比例定数の値が設定されることが好ましい。
この構成によれば、回転角の予測モデルを使用することにより、比例定数の値を適切に設定することができる。
上記のモータ制御装置において、前記回転角センサは、前記出力軸の軸方向の端部に固定された磁石に対して軸方向に対向するように前記基板に設けられる磁気センサを有し、前記磁気センサは、前記磁石の回転に伴う磁界の変化に応じた電気信号を生成するように構成されてもよい。
この構成によれば、磁気センサ、あるいは磁気センサが生成する電気信号は、モータに供給される電流に起因して発生する磁界の影響を受けるおそれがある。このため、制御回路は、補正値を使用して磁気センサにより生成される電気信号を補正することにより、電気信号から磁界の影響を除去する機能を有することが好ましい。
上記のモータ制御装置において、前記モータは、電動パワーステアリング装置の駆動源であって、ステアリングホイールの操作を補助するためのアシスト力を発生するアシストモータであってもよい。
電動パワーステアリング装置には、動作に対する信頼性が要求される。電気信号の補正機能を有する上記のモータ制御装置は、電動パワーステアリング装置に好適である。
上記のモータ制御装置において、前記モータは、ステアバイワイヤ方式の操舵装置の駆動源であって、転舵輪を転舵させるための転舵力を発生する転舵モータ、または、ステアリングホイールに付与する操舵反力を発生する反力モータであってもよい。
ステアバイワイヤ方式の操舵装置には、動作に対する信頼性が要求される。電気信号の補正機能を有する上記のモータ制御装置は、ステアバイワイヤ方式の操舵装置に好適である。
本発明のモータ制御装置によれば、演算負荷を抑えつつ、磁気式の回転角センサの出力誤差を低減することができる。
モータ制御装置の一実施の形態を含むモータ装置の断面図。 一実施の形態にかかる回転角センサの斜視図。 モータ制御装置の一実施の形態の電気的構成を示すブロック図である。 モータの回転角に対する角度誤差の一例を示すグラフである。 モータの回転角の補正処理に使用する比例定数の設定方法を示すフローチャートである。
以下、モータ制御装置の一実施の形態を説明する。
モータ制御装置は、モータの駆動を制御する。モータは、三相(U,V,W)のブラシレスモータであって、たとえば車両の電動パワーステアリング装置の動力源として使用される。モータは、ステアリングホイールの操作を補助するためのアシスト力を発生するアシストモータである。
<モータ装置>
図1に示すように、モータ装置10は、モータ20および制御装置30を有している。モータ20と制御装置30とは、一体的に設けられている。
モータ20は、円筒状のハウジング21、ステータ22、出力軸23、およびロータ24を有している。ステータ22は、円筒状のステータコア22a、およびステータコア22aに設けられたステータコイル22bを有している。ステータコア22aは、ハウジング21の内周面に対して嵌められた状態で固定されている。出力軸23は、2つの軸受23a,23bを介してハウジング21に対して回転可能に支持されている。出力軸23の2つの端部は、それぞれハウジング21を軸方向に貫通している。ロータ24は、ステータ22の内部に設けられている。ロータ24は、出力軸23の外周面に固定された円柱状のロータコア24a、およびロータコア24aの表面に固定された円筒状の永久磁石24bを有している。
制御装置30は、基板31、回転角センサ33およびカバー34を有している。カバー34は、円筒状である。カバー34の一端は、軸方向に開口している。カバー34は、その開口をハウジング21へ向けた状態で、ハウジング21の第1の端部(図1中の上端部)に固定されている。カバー34の内部には、基板31および回転角センサ33がそれぞれ収容されている。基板31は、出力軸23の軸線に対して直交する姿勢で、カバー34に固定されている。基板31は、出力軸23の第1の端部に対して、軸方向に対向している。第1の端部は、カバー34の内部に位置する出力軸23の端部である。出力軸23の第2の端部は、ハウジング21の第2の端部を軸方向に貫通している。
基板31は、MPU(microprocessing unit)31a、およびインバータ回路31bを有している。インバータ回路31bは、複数のスイッチング素子を有する。これらスイッチング素子がMPU31aにより生成されるスイッチング指令に基づきスイッチングすることにより三相の交流電力が生成される。当該生成される交流電力は、図示しない給電経路を介して三相各相のステータコイル22bに供給される。回転角センサ33は、ロータ24の回転角を検出する。ロータ24の回転角は、モータ20の回転角である。MPU31aは、回転角センサ33を通じて検出されるロータ24の回転角に基づき、インバータ回路31bに対するスイッチング指令を生成する。スイッチング指令は、モータ20の駆動を制御するためのモータ制御信号である。
<回転角センサ>
つぎに、回転角センサ33の構成を説明する。回転角センサ33は、磁気式である。
図1に示すように、回転角センサ33は、円柱状のバイアス磁石41および磁気センサ42を有している。磁気センサ42は、たとえばMRセンサ(磁気抵抗効果センサ)である。バイアス磁石41は、出力軸23の第1の端部に固定されている。磁気センサ42は、基板31に設けられている。磁気センサ42は、バイアス磁石41に対して軸方向に対向している。
図2に示すように、バイアス磁石41は、その半径方向にN極およびS極が着磁された2極の永久磁石である。バイアス磁石41によって、磁気センサ42にはN極からS極へ向かう実線の矢印43で示される方向の磁界が付与される。たとえば出力軸23が図中の位置から矢印44で示される方向へ向けて回転角θだけ回転したとき、バイアス磁石41も矢印44で示される方向へ向けて回転角θだけ回転する。これにより、磁気センサ42に付与されるバイアス磁界の向きが、実線の矢印43で示される方向から軸線Oを中心として回転角θだけ回転した一点鎖線の矢印45で示される方向に変化する。このように、磁気センサ42に付与される磁界の方向は、出力軸23の回転角θに応じて変化する。磁気センサ42は、バイアス磁界の向きに応じた電気信号を生成する。MPU31aは、磁気センサ42により生成される電気信号に基づき、出力軸23、すなわちロータ24の回転角θを演算する。
<制御装置の電気的構成>
つぎに、制御装置30の電気的構成について説明する。
図3に示すように、制御装置30は、MPU31aおよびインバータ回路31bを有している。また、制御装置30は、メモリ(図示略)を有している。メモリは、コンピュータ(ここでは、MPU31a)により読み取り可能とされた媒体であって、コンピュータに対する処理あるいは命令を記述したプログラムを記憶している。メモリは、RAM(random access memory)およびROM(read only memory)を含む。
インバータ回路31bは、モータ駆動回路である。インバータ回路31bの電力変換方式は、PWM(pulse width modulation)方式である。インバータ回路31bは、直列に接続された一対のスイッチング素子を含む3つのアームを有している。スイッチング素子は、たとえば電界効果型トランジスタ(FET:field effect transistor)である。各アームは、三相の各相に対応する。3つのアームは、並列に接続されている。MPU31aが生成するスイッチング指令は、各スイッチング素子のデューティ比を規定する。スイッチング指令は、各スイッチング素子のゲート端子に印加される。スイッチング指令に応答して各スイッチング素子がオンオフすることにより、車載されるバッテリ53の直流電圧が三相の交流電力に変換される。交流電力は、モータ20に供給される。交流電力は、モータ20の駆動電力である。
MPU31aは、メモリに記憶されたプログラムを、定められた演算周期で実行することによって各種の制御を実行する制御回路あるいは処理部である。MPU31aは、車載のトルクセンサ(図示略)を通じて検出される操舵トルクTh、および、車載の車速センサ(図示略)を通じて検出される車速Vを取り込む。また、MPU31aは、3つの電流センサ54u,54v,54wを通じて検出されるモータ20の三相各相の電流Iu,Iv,Iwの値を取り込む。電流センサ54u,54v,54wは、インバータ回路31bとモータ20との間の給電経路に設けられている。また、MPU31aは、回転角センサ33により生成される電気信号S1を取り込む。MPU31aは、電気信号S1を使用して、ロータ24の回転角θを演算する。
MPU31aは、操舵トルクTh、車速V、モータ20の電流Iu,Iv,Iwの値、およびロータ24の回転角θに基づき、モータ20への給電を制御する。MPU31aは、たとえば、ステアリングホイールの操作状態、あるいは車両の走行状態に応じた適切なアシスト力が得られるように、モータ20への給電を制御する。制御装置30は、2相の回転座標系であるdq座標系で記述されるベクトル制御によりモータ20を制御する。
<MPUの詳細構成>
つぎに、MPU31aの構成を詳細に説明する。
図2に示されるように、MPU31aは、回転角演算部61、回転速度演算部62、電流指令値演算部63、三相/二相座標変換部64、フィードバック制御部65、二相/三相座標変換部66、および制御信号生成部67を有している。
回転角演算部61は、回転角センサ33により生成される電気信号S1に基づき、ロータ24の回転角θを演算する。電気信号S1は、正弦信号Ssinおよび余弦信号Scosを含む。
正弦信号Ssinは、ロータ24の回転角θに対して、正弦状に変化する電気信号であって、つぎの数式(1)で表される。
Figure 2023136019000002
ただし、「R」は振幅である。
余弦信号Scosは、正弦信号Ssinに対して90°だけ位相が遅れた電気信号であって、つぎの数式(2)で表される。
Figure 2023136019000003
ただし、「R」は振幅である。
回転角演算部61は、つぎの数式(3)で表されるように、正弦信号Ssinおよび余弦信号Scosに基づき逆正接値を演算することによりロータ24の回転角θを演算する。
Figure 2023136019000004
ただし、「Atan」は、「Arctan」を略記したものであって、逆正接関数であることを示す。
回転速度演算部62は、微分器であって、回転角演算部61により演算されるロータ24の回転角θを時間で微分することによりロータ24の回転速度ωを演算する。
電流指令値演算部63は、q軸電流指令値演算部71およびd軸電流指令値演算部72を有している。
q軸電流指令値演算部71は、トルクセンサを通じて検出される操舵トルクThおよび車速センサを通じて検出される車速Vに基づき、基本アシストトルクを演算する。q軸電流指令値演算部71は、操舵トルクThの絶対値が大きいほど、また車速Vが遅いほど、より絶対値の大きい目標アシストトルクを演算する。また、q軸電流指令値演算部71は、回転速度演算部62により演算されるロータ24の回転速度ωを使用して、基本アシストトルクに対する補償値を演算する。補償値は、たとえば、操舵角に比例して大きくなるステアリングホイールの中立位置への復帰力と、ロータ24の回転速度ωに比例して大きくなるステアリングホイールの回転に対する抵抗力に対応した戻しトルクとの和である。q軸電流指令値演算部71は、基本アシストトルクと補償値との和を目標アシストトルクとして設定する。q軸電流指令値演算部71は、目標アシストトルクをトルク定数で除算することにより、dq座標系におけるq軸電流指令値Iqを演算する。
d軸電流指令値演算部72は、回転速度演算部62により演算されるロータ24の回転速度ωに基づき、dq座標系におけるd軸電流指令値Idを演算する。d軸電流指令値演算部72は、ロータ24の回転速度ωに応じてd軸電流指令値Idを負の値とする弱め界磁制御を実行する。詳述すると、ロータ24の回転速度ωが増大するにつれて各相のステータコイル22bに生ずる誘起電圧(逆起電力)が増大する。しかし、ロータ24の回転速度には上限(基底速度)がある。そこで、d軸電流指令値Idを負の値、すなわち負方向のd軸電流を流すことにより、d軸電機子反作用による減磁起磁力を利用してd軸方向の磁束を減少させて誘起電圧を低く抑えることが可能である。これにより、基底速度を超えた高速領域までロータ24の運転範囲(回転領域)を拡張することが可能となる。
三相/二相座標変換部64は、回転角演算部61により演算されるロータ24の回転角θ、および電流センサ54u,54v,54wを通じて検出されるモータ20の三相各相の電流Iu,Iv,Iwの値を取り込む。三相/二相座標変換部64は、ロータ24の回転角θに基づき、モータ20の三相各相の電流Iu,Iv,Iwの値をdq座標系における二相の電流であるq軸電流値Iqおよびd軸電流値Idに変換する。
フィードバック制御部65は、電流指令値演算部63により演算されるq軸電流指令値Iqおよびd軸電流指令値Idを取り込む。また、フィードバック制御部65は、三相/二相座標変換部64により演算されるq軸電流値Iqおよびd軸電流値Idを取り込む。フィードバック制御部65は、q軸電流指令値Iqとq軸電流値Iqとの差の値であるq軸電流偏差、ならびにd軸電流指令値Idとd軸電流値Idとの差の値であるd軸電流偏差を演算する。フィードバック制御部65は、q軸電流値Iqをq軸電流指令値Iqに追従させるべくq軸電圧指令値Vqを演算する。フィードバック制御部65は、d軸電流値Idをd軸電流指令値Idに追従させるべくd軸電圧指令値Vdを演算する。フィードバック制御部65は、たとえばq軸電流偏差およびd軸電流偏差に所定のフィードバックゲインを乗ずることによってq軸電圧指令値Vqおよびd軸電圧指令値Vdを演算する。
二相/三相座標変換部66は、フィードバック制御部65により演算されるq軸電圧指令値Vqおよびd軸電圧指令値Vdを取り込む。二相/三相座標変換部66は、回転角演算部61により演算されるロータ24の回転角θに応じてq軸電圧指令値Vqおよびd軸電圧指令値Vdを3相の電圧指令値Vu,Vv,Vwに変換する。
制御信号生成部67は、二相/三相座標変換部66により演算される三相の電圧指令値Vu,Vv,Vwを取り込む。制御信号生成部67は、電圧指令値Vu,Vv,Vwに基づき、モータ制御信号Du,Dv,Dwを生成する。モータ制御信号Du,Dv,Dwは、電圧指令値Vu,Vv,Vwに対応するデューティ比を有するPWM信号である。これらモータ制御信号Du,Dv,Dwに基づきインバータ回路31bの各スイッチング素子がスイッチング動作を行うことにより、目標アシストトルクに応じた電流がモータ20へ供給される。
<磁界の影響>
モータ装置は、つぎの懸念事項を有する。
モータ20の三相各相のステータコイル22bは、三相各相のバスバーを介して、基板31に接続されている。三相各相のバスバーは、基板31に設けられるパターン配線を介して、インバータ回路31bの三相各相のアームに接続されている。バスバーおよびパターン配線は、インバータ回路31bとモータ20との間の給電経路を構成する。インバータ回路31bおよび給電経路の周囲には、電流の値に比例する磁界が発生する。
インバータ回路31bおよび給電経路には、大電流が流れるため、インバータ回路31bおよび給電経路の周囲には、より強い磁界が発生する。このため、たとえば制御装置30の小型化に伴い、インバータ回路31bあるいは給電経路が回転角センサ33(磁気センサ42およびバイアス磁石41)の近傍に位置する場合、磁気センサ42がインバータ回路31bあるいは給電経路の周囲に形成される磁界の影響を受けるおそれがある。
たとえばバイアス磁石41からの理想的な磁束以外にも、インバータ回路31bあるいは給電経路からの磁束が磁気センサ42に印加されることが考えられる。また、インバータ回路31bあるいは給電経路からの磁束がバイアス磁石41からの磁束に干渉することによって、バイアス磁石41の磁界が歪められることも考えられる。この場合、磁気センサ42を通じて検出されるロータ24の回転角θと実際の回転角θとの間に誤差が生じることが懸念される。
図2に示すように、たとえば、出力軸23が図中の位置から矢印44で示される方向へ向けて回転角θだけ回転したとき、本来であれば磁気センサ42に付与されるバイアス磁界の向きは実線の矢印43で示される方向から軸線Oを中心として回転角θだけ回転した一点鎖線の矢印45で示される方向に変化する。
しかし、磁気センサ42あるいはバイアス磁石41からの理想的な磁束が、インバータ回路31bあるいは給電経路からの磁束の影響を受ける場合、磁気センサ42に付与されるバイアス磁界の向きは矢印45で示される本来の方向ではなく、たとえば、二点鎖線の矢印46で示される方向となる。この矢印46で示される方向は、図2に実線の矢印43で示される方向から回転角θよりも大きな回転角θ1だけ回転した方向になることもあるし、回転角θよりも小さな回転角θ2だけ回転した方向になることもある。このため、磁気センサ42は本来の回転角θではなく、回転角θ1または回転角θ2に応じた電気信号を生成する。したがって、MPU31aは、回転角θ1または回転角θ2に応じた電気信号に基づき、誤ったロータ24の回転角θ1または回転角θ2を演算する。
図4のグラフに示すように、誤って演算される回転角θ1,θ2は、実際の回転角θに対して誤差Δθを含む。誤差Δθは、つぎの数式(4)または数式(5)で表される。誤差Δθは、機械角誤差である。
Figure 2023136019000005
Figure 2023136019000006
モータ20の極対数が「Pn」であるとき、正弦信号および余弦信号には、Pn次の高調波が重畳する。Pn次の高調波が重畳した正弦信号および余弦信号を使用して回転角θを演算すると、「Pn±1」次/revの誤差Δθが発生する。たとえば、モータ20の極対数Pnが「5」である場合、4次/revおよび6次/revの誤差Δθが発生する。誤差Δθは、モータ20の三相各相の電流Iu,Iv,Iwの値の大きさに比例して大きくなる。
そこで、本実施の形態では、インバータ回路31bあるいは給電経路からの磁束の影響を補償するために、つぎの構成を採用している。
<補正処理部>
図3に示すように、MPU31aは、補正処理部68を有している。補正処理部68は、回転角センサ33により生成される電気信号S1から、インバータ回路31bあるいは給電経路からの磁束の影響を除去するための処理を実行する。
補正処理部68は、補正値演算部68aおよび減算器68bを有している。
補正値演算部68aは、電流センサ54u,54v,54wを通じて検出されるモータ20の三相各相の電流Iu,Iv,Iwの値を取り込む。つぎの数式(6)に示すように、補正値演算部68aは、取り込まれる三相各相の電流Iu,Iv,Iwの値に、定められた比例定数を乗算することにより、電気信号S1に対する補正値S2を演算する。
Figure 2023136019000007
ただし、「MUC」,「MUS」は、U相の電流Iuに対する比例定数である。「MVC」,「MVS」は、V相の電流Ivに対する比例定数である。「MWC」,「MWS」は、W相の電流Iwに対する比例定数である。
比例定数は、モータ20の回転角θを予測する予測モデルを使用して決定される。予測モデルは、モータ20の電流値に比例するPn次の高調波が重畳した電気信号S1を使用して、モータ20の回転角θを演算するモデルである。このため、予測モデルから得られる回転角θは、「Pn±1」次/revの誤差Δθを含む。この予測モデルから得られる誤差Δθが実際に計測される誤差Δθと一致するように、比例定数の値が設定される。比例定数は、制御装置30の不揮発性メモリに記憶されている。比例定数の設定方法については、後に詳述する。
補正値S2は、正弦信号Ssinに対する第1の補正値S21、および余弦信号Scosに対する第2の補正値S22を含む。第1の補正値S21は、インバータ回路31bあるいは給電経路からの磁束の影響による正弦信号Ssinの変化に対応する値を有する。第2の補正値S22は、インバータ回路31bあるいは給電経路からの磁束の影響による余弦信号Scosの変化に対応する値を有する。第1の補正値S21および第2の補正値S22の値は、電圧値である。
第1の補正値S21は、つぎの数式(7)で表される。
Figure 2023136019000008
ただし、「MUS・Iu」は、U相の電流Iuの値に応じた正弦信号Ssinの誤差成分である。「MVS・Iv」は、V相の電流Ivの値に応じた正弦信号Ssinの誤差成分である。「MWS・Iw」は、W相の電流Iwの値に応じた正弦信号Ssinの誤差成分である。
第2の補正値S22は、つぎの数式(8)で表される。
Figure 2023136019000009
ただし、「MUC・Iu」は、U相の電流Iuの値に応じた余弦信号Scosの誤差成分である。「MVC・Iv」は、V相の電流Ivの値に応じた余弦信号Scosの誤差成分である。「MWC・Iw」は、W相の電流Iwの値に応じた余弦信号Scosの誤差成分である。
減算器68bは、回転角センサ33により生成される電気信号S1から、補正値演算部68aにより演算される補正値S2を減算することにより、モータ20の制御に使用する最終的な電気信号S3を演算する。最終的な電気信号S3は、正弦信号Ssinおよび余弦信号Scosを含む。
減算器68bは、回転角センサ33により生成される正弦信号Ssinから第1の補正値S21を減算することにより、モータ20の制御に使用する最終的な正弦信号Ssinを演算する。最終的な正弦信号Ssinは、つぎの数式(9)で表される。
Figure 2023136019000010
ただし、「θ」はロータ24の回転角であって、添字「M」は機械角であることを示す。
減算器68bは、回転角センサ33により生成される余弦信号Scosから第2の補正値S22を減算することにより、モータ20の制御に使用する最終的な余弦信号Scosを演算する。最終的な余弦信号Scosは、つぎの数式(10)で表される。
Figure 2023136019000011
ただし、「θ」はロータ24の回転角であって、添字「M」は機械角であることを示す。
回転角演算部61は、減算器68bにより演算される最終的な正弦信号Ssinおよび最終的な余弦信号Scosを使用して、ロータ24の回転角θを演算する。最終的な正弦信号Ssin、および最終的な余弦信号Scosは、三相の電流Iu,Iv,Iwの値に応じた誤差成分を含まない電気信号である。このため、最終的な正弦信号Ssinおよび最終的な余弦信号Scosを使用して得られる回転角θは、誤差Δθを含まない正確な値を有する。
<比例定数の設定方法>
つぎに、比例定数の設定方法について説明する。比例定数は、制御装置30とは異なる外部のコンピュータ装置を使用したシミュレーションによって決定される。
図5のフローチャートに示すように、コンピュータ装置は、誤差Δθを測定する三相の電流Iu,Iv,Iwの値を取り込む(ステップS101)。三相の電流Iu,Iv,Iwの値は、コンピュータ装置のキーボードなどの入力装置を介して入力される。実測条件として、三相の電流Iu,Iv,Iwの値は、所定の値に設定される。
三相の電流Iu,Iv,Iwは、つぎの数式(11)で表される。
Figure 2023136019000012
ただし、「θe」はロータ24の回転角であって、添字「e」は電気角であることを示す。「Id」は、d軸電流値である。「Iq」は、q軸電流値である。
つぎに、コンピュータ装置は、予測モデルを使用して、モータ20の回転角θを演算する(ステップS102)。コンピュータ装置は、ステップS101で取り込まれる三相の電流Iu,Iv,Iwの値を予測モデルに適用する。予測モデルは、つぎの数式(12)で表される。
Figure 2023136019000013
ただし、「θ」はロータ24の回転角であって、添字「M」は機械角であることを示す。「Atan」は、「Arctan」を略記したものであって、逆正接関数であることを示す。「Ssin」は、正弦信号である。「Scos」は余弦信号である。
予測モデルの正弦信号Ssinは、三相の電流Iu,Iv,Iwの値に応じた誤差成分を含んでいる。予測モデルの正弦信号Ssinは、つぎの数式(13)で表される。
Figure 2023136019000014
ただし、「R」は、振幅である。「θ」はロータ24の回転角であって、添字「M」は機械角であることを示す。「MUS・Iu」は、U相の電流Iuの値に応じた正弦信号Ssinの誤差成分である。「MVS・Iv」は、V相の電流Ivの値に応じた正弦信号Ssinの誤差成分である。「MWS・Iw」は、W相の電流Iwの値に応じた正弦信号Ssinの誤差成分である。
なお、シミュレーションの実行開始時、比例定数MUS,MVS,MWSの値は、所定の初期値に設定されている。
予測モデルの余弦信号Scosは、三相の電流Iu,Iv,Iwの値に応じた誤差成分を含んでいる。予測モデルの余弦信号Scosは、つぎの数式(14)で表される。
Figure 2023136019000015
ただし、「R」は、振幅である。「θ」はロータ24の回転角であって、添字「M」は機械角であることを示す。「MUC・Iu」は、U相の電流Iuの値に応じた余弦信号Scosの誤差成分である。「MVC・Iv」は、V相の電流Ivの値に応じた余弦信号Scosの誤差成分である。「MWC・Iw」は、W相の電流Iwの値に応じた余弦信号Scosの誤差成分である。
なお、シミュレーションの実行開始時、比例定数MUC,MVC,MWCの値は、所定の初期値に設定されている。
つぎに、コンピュータ装置は、ステップS102で演算されるモータ20の回転角θについて、FFT分析(Fast Fourier Transform Analysis)を実行する(ステップS103)。FFT分析は、時間領域の電気信号を周波数領域の電気信号へ変換することにより、時刻軸上の電気信号に含まれる周波数成分と、周波数成分ごとの大きさ(レベル)とを検出する処理である。
FFT分析によって、ステップS102で演算されるモータ20の回転角θは、各周波数成分に分解される。各周波数成分は、さらに、余弦波成分である実部と、正弦波成分である虚部とに分解することができる。コンピュータ装置は、「Pn±1」次/revの周波数成分の余弦波成分である実部と、正弦波成分である虚部とを抽出する。モータ20の極対数Pnが「5」である場合、コンピュータ装置は、4次/revおよび6次/revの周波数成分の余弦波成分である実部と、正弦波成分である虚部とを抽出する。コンピュータ装置は、抽出した余弦波成分の振幅および位相を演算する。また、コンピュータ装置は、抽出した正弦波成分の振幅および位相を演算する。
つぎに、コンピュータ装置は、予測モデルから得られる回転角θに含まれる「Pn±1」次/revの誤差Δθが、実測の回転角θに含まれる「Pn±1」次/revの誤差Δθと一致するかどうかを判定する(ステップS104)。
実測のモータ20の回転角θは、モータ装置10を実際に駆動させた状態で制御装置30が演算する回転角θである。実測条件として、モータ20には、先のステップS101で予測モデルに適用される三相の電流Iu,Iv,Iwと同じ値の三相の電流Iu,Iv,Iwが供給される。コンピュータ装置は、制御装置30が演算する回転角θを、定められたサンプリング周期で取得する。取得されるロータ24の1回転分の回転角θと、理想的なロータ24の1回転分の回転角θとの差の値が、実測の回転角θに含まれる誤差Δθである。
コンピュータ装置は、実測の回転角θにおける「Pn±1」次/revの周波数成分の余弦波成分の振幅および位相を記憶している。また、コンピュータ装置は、実測の回転角θにおける「Pn±1」次/revの周波数成分の正弦波成分の振幅および位相を記憶している。これら振幅および位相は、つぎのようにして得られる。
コンピュータ装置は、取得されるロータ24の1回転分の回転角θ、すなわち「0°~360°」を2個のデータに線形補間する。「n」は自然数であって、たとえば、ロータ24の回転速度ωに応じて設定される。コンピュータ装置は、補間した2個のデータについて、FFT分析を実行することにより、実測の回転角θを各周波数成分に分解するとともに、各周波数成分の余弦波成分である実部と、正弦波成分である虚部とを取得する。
コンピュータ装置は、「Pn±1」次/revの周波数成分における余弦波成分および正弦波成分を抽出する。コンピュータ装置は、抽出した余弦波成分の振幅および位相を演算する。また、コンピュータ装置は、抽出した正弦波成分の振幅および位相を演算する。コンピュータ装置は、抽出した余弦波成分の振幅および位相、ならびに、抽出した正弦波成分の振幅および位相を、自己の不揮発性のメモリに記憶する。
コンピュータ装置は、つぎの2つの条件(A1),(A2)の両方が満たされるとき、予測モデルから得られる回転角θに含まれる「Pn±1」次/revの誤差Δθが、実測の回転角θに含まれる「Pn±1」次/revの誤差Δθと一致すると判定する(ステップS104でYES)。このとき予測モデルで使用された比例定数が、補正値演算部68aで使用される比例定数として、制御装置30の不揮発性メモリに記憶される。
(A1)ステップS103で得られた予想モデルに基づく回転角θにおける「Pn±1」次/revの余弦波成分の振幅および位相が、コンピュータ装置に記憶されている実測の回転角θにおける「Pn±1」次/revの余弦波成分の振幅および位相と一致すること。
(A2)ステップS103で得られた予想モデルに基づく回転角θにおける「Pn±1」次/revの正弦波成分の振幅および位相が、コンピュータ装置に記憶されている実測の回転角θにおける「Pn±1」次/revの正弦波成分の振幅および位相と一致すること。
コンピュータ装置は、2つの条件(A1),(A2)の少なくとも一方を満たさないとき、予測モデルから得られる回転角θに含まれる「Pn±1」次/revの誤差Δθが、実測の回転角θに含まれる「Pn±1」次/revの誤差Δθと一致しないと判定する(ステップS104でNO)。
このとき、コンピュータ装置は、予測モデルの比例定数の値を変更し(ステップS105)、先のステップS102へ処理を移行する。コンピュータ装置は、予測モデルの比例定数の現在値に対して所定の値を加算または減算することにより、予測モデルの比例定数の値を変更する。ステップS102~ステップS105の処理は、先の2つの条件(A1),(A2)の両方が満たされるまで繰り返し実行される。
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)MPU31aは、モータ20に供給される電流の値に対して、定められた比例定数を乗算することにより電気信号S1に対する補正値S2を演算し、補正値S2を使用して電気信号S1を補正する。モータに供給される電流の値に対して、定められた比例定数を乗算することにより、電気信号S1に対する補正値が得られるため、MPU31aの演算負荷を低減することができる。また、補正値S2を使用して電気信号S1を補正することにより、電気信号S1から磁界の影響を除去することができる。磁界の影響が除去された補正後の電気信号S3を使用することにより、誤差Δθを含まない、より正確な回転角θを演算することができる。
なお、回転角センサ33により生成される電気信号S1に対してローパスフィルタ処理を施すことにより、磁界の影響による電気信号S1の誤差成分を除去することが考えられる。しかし、ロータ24の回転速度が遅いときには、電気信号S1が限りなく低周波の信号になる。また、応答速度も低下する。このため、ローパスフィルタのみでは、磁界の影響による電気信号S1の誤差成分を除去することができないおそれがある。
(2)補正値S2は、磁界の影響を受けることにより発生する電気信号S1の誤差成分である。MPU31aは、電気信号S1から補正値S2を減算することにより、電気信号S1を補正する。電気信号S1から補正値S2を減算することにより、電気信号の誤差成分を除去することができる。また、電気信号S1から補正値S2を減算するだけでよいので、MPU31aの演算負荷を低減することができる。
(3)電気信号S1は、正弦信号Ssinと余弦信号Scosとを含んでいる。MPU31aは、正弦信号Ssinに対する第1の補正値S21、および、余弦信号Scosに対する第2の補正値S22を演算する。MPU31aは、正弦信号Ssinから第1の補正値S21を減算することにより正弦信号Ssinを補正する。すなわち、正弦信号Ssinから第1の補正値S21を減算することにより、磁界の影響による正弦信号Ssinの誤差成分を除去することができる。MPU31aは、余弦信号Scosから第2の補正値S22を減算することにより余弦信号Scosを補正する。すなわち、余弦信号Scosから第2の補正値S22を減算することにより、磁界の影響による余弦信号Scosの誤差成分を除去することができる。そして、MPU31aは、磁界の影響が除去された正弦信号Ssinおよび余弦信号Scosを使用することにより、より正確な回転角θを演算することができる。
(4)モータ20の極対数が「Pn」であるとき、補正値S2は、電気信号S1の「Pn±1」次の誤差成分である。
モータ20の極対数が「Pn」であるとき、回転角センサ33により生成される電気信号S1には、Pn次の高調波が重畳する。Pn次の高調波が重畳した電気信号S1を使用して回転角θを演算すると、「Pn±1」次の誤差が発生する。この点、補正値S2を使用して電気信号S1を補正することにより、電気信号S1の「Pn±1」次の誤差成分を除去することができる。
なお、「Pn±1」次/revの補正マップを使用して、回転角センサ33により生成される電気信号S1を補正することが考えられる。この場合、演算周期毎に補正マップを参照して、電気信号S1の適切な振幅および位相を取得する。電気信号S1は、ロータ24の回転角θに応じて、「Pn±1」次/revのサインテーブルを参照して補正される。サインテーブルは、たとえば、Rsin{(Pn-1)θ+φ1}、および、Rsin{(Pn+1)θ+φ2}である。「Pn」は極対数、「R1,R2」は振幅、「φ1,φ2」は位相である。
しかし、この補正処理を実行する場合、MPU31aの演算負荷が増加するおそれがある。また、メモリの消費量も増加するおそれがある。このため、より高性能なMPU31aが必要となることにより、製品コストの増加が懸念される。この点、本実施の形態によれば、三相の電流に応じた補正マップを作成する必要がない。また、新テーブルを参照する必要もない。このため、MPU31aの演算負荷を低減することができる。また、メモリの使用量も抑えることができる。したがって、製品コストを低減することができる。
(5)比例定数の値は、モータ20の電流値に比例するPn次の高調波が重畳する電気信号S1を使用して回転角θを演算する予測モデルを使用して決定される。予測モデルから得られる回転角θの誤差Δθが、実際に計測される回転角θの誤差Δと一致するように、比例定数の値が設定される。このように、回転角θの予測モデルを使用することにより、比例定数の値を適切に設定することができる。
(6)回転角センサ33は、磁気センサ42を有している。磁気センサ42は、モータ20の出力軸23の軸方向の端部に固定されたバイアス磁石41に対して軸方向に対向するように、基板31に設けられている。磁気センサ42は、バイアス磁石41の回転に伴う磁界の変化に応じた電気信号S1を生成する。磁気センサ42、あるいは磁気センサが生成する電気信号S1は、モータ20に供給される電流に起因して発生する磁界の影響を受けるおそれがある。このため、MPU31aは、補正値S2を使用して電気信号S1を補正することにより、電気信号S1から磁界の影響を除去する機能を有することが好ましい。
(7)モータ20は、電動パワーステアリング装置の駆動源であって、ステアリングホイールの操作を補助するためのアシスト力を発生するアシストモータである。電動パワーステアリング装置には、動作に対する信頼性が要求される。電気信号S1の補正機能を有する制御装置30は、電動パワーステアリング装置に好適である。
<他の実施の形態>
本実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・バッテリ53からの直流電力は、バスバーを介して基板31に供給される。このため、磁気センサ42が、バスバーの周囲に形成される磁界の影響を受けるおそれがある。この直流電力に起因する電気信号S1の誤差成分も、本実施の形態と同様にして除去することができる。ただし、この場合、直流電流が余弦信号Scosおよび正弦信号Ssinに与える影響を考慮するため、2つの比例定数を追加する必要がある。すなわち、合計8つの比例定数が必要となる。
・回転角センサ33は、磁気式のレゾルバであってもよい。レゾルバは、磁気センサであって、モータ20と同軸に設けられる。このため、レゾルバにより生成される電気信号が、三相の電流Iu,Iv,Iwに起因して発生する磁界の影響を受けるおそれがある。
・モータ20は、ステアリングホイールと転舵輪との間の動力伝達が分離されたステアバイワイヤ方式の操舵装置の駆動源であってもよい。たとえば、モータ20は、ステアリングホイールに付与する操舵反力を発生する反力モータであってもよい。また、モータ20は、転舵輪を転舵させるための転舵力を発生する転舵モータであってもよい。ステアバイワイヤ方式の操舵装置には、動作に対する信頼性が要求される。電気信号S1の補正機能を有する制御装置30は、ステアバイワイヤ方式の操舵装置に好適である。
・モータ20は、車両の操舵装置の駆動源にかぎらず、各種の機械装置の駆動源であってもよい。機械装置は、たとえばモータにより駆動する工作機械であってもよい。
20…モータ
23…出力軸
30…制御装置(モータ制御装置)
31…基板
31a…MPU(制御回路)
33…回転角センサ
41…バイアス磁石(永久磁石)
42…磁気センサ
US,MVS,MWS…正弦信号に対する比例定数
UC,MVC,MWC…余弦信号に対する比例定数
S1…電気信号
S2…補正値
S21…第1の補正値
S22…第2の補正値
sin…正弦信号
cos…余弦信号

Claims (8)

  1. モータの出力軸に対して軸方向に対向する基板と、
    前記出力軸と同軸に設けられる回転角センサであって、前記出力軸の回転に応じた電気信号を生成する磁気式の回転角センサと、
    前記基板に設けられる制御回路であって、前記電気信号に基づき前記モータの回転角を演算し、前記回転角を使用して前記モータを制御する制御回路と、を備え、
    前記電気信号は、前記モータに供給される電流に起因して発生する磁界の影響を受け、
    前記制御回路は、前記モータに供給される電流の値に対して、定められた比例定数を乗算することにより前記電気信号に対する補正値を演算し、前記補正値を使用して前記電気信号を補正するように構成されるモータ制御装置。
  2. 前記補正値は、前記磁界の影響を受けることにより発生する前記電気信号の誤差成分であって、
    前記制御回路は、前記電気信号から前記補正値を減算することにより、前記電気信号を補正するように構成される請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記電気信号は、前記モータの回転に対して正弦状に変化する電気信号である正弦信号と、
    前記正弦信号に対して90°だけ位相が遅れた電気信号である余弦信号と、を含み、
    前記制御回路は、前記正弦信号に対する第1の補正値、および、前記余弦信号に対する第2の補正値を演算し、
    前記正弦信号から前記第1の補正値を減算することにより前記正弦信号を補正するとともに、前記余弦信号から前記第2の補正値を減算することにより前記余弦信号を補正し、
    前記正弦信号および前記余弦信号に基づき逆正接値を演算することにより、前記回転角を演算するように構成される請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記モータの極対数が「Pn」であるとき、前記補正値は、前記電気信号の「Pn±1」次の誤差成分である請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  5. 前記比例定数の値は、前記モータの電流値に比例するPn次の高調波が重畳する前記電気信号を使用して前記回転角を演算する予測モデルを使用して決定されるものであって、
    前記予測モデルから得られる前記回転角の誤差が、実際に計測される前記回転角の誤差と一致するように、前記比例定数の値が設定される請求項4に記載のモータ制御装置。
  6. 前記回転角センサは、前記出力軸の軸方向の端部に固定された磁石に対して軸方向に対向するように前記基板に設けられる磁気センサを有し、
    前記磁気センサは、前記磁石の回転に伴う磁界の変化に応じた電気信号を生成するように構成される請求項1~請求項5のうちいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  7. 前記モータは、電動パワーステアリング装置の駆動源であって、ステアリングホイールの操作を補助するためのアシスト力を発生するアシストモータである請求項1~請求項6のうちいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  8. 前記モータは、ステアバイワイヤ方式の操舵装置の駆動源であって、転舵輪を転舵させるための転舵力を発生する転舵モータ、または、ステアリングホイールに付与する操舵反力を発生する反力モータである請求項1~請求項6のうちいずれか一項に記載のモータ制御装置。
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