JP2023133981A - ワーク加工用粘着シート、及び半導体装置 - Google Patents

ワーク加工用粘着シート、及び半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ゆず肌の発生が抑制されるワーク加工用粘着シートを提供すること。【解決手段】基材(10)と、前記基材(10)の一方の面に設けられた粘着剤層(20)と、前記粘着剤層(20)の前記基材(10)と反対側の面(20A)に設けられた剥離フィルム(30)とを備えるワーク加工用粘着シート(100)であって、前記剥離フィルム(30)における前記粘着剤層(20)側の面(30B)の最大断面高さStが、0.45μm以上であり、二乗平均平方根高さSqが、17.5nm以上である、ワーク加工用粘着シート(100)。【選択図】図1

Description

本発明は、ワーク加工用粘着シート、及び半導体装置に関する。
例えば、半導体装置は、バックグラインド工程、ダイシング工程、エキスパンド工程、転写工程、及びピックアップ工程などの各工程を経て製造される。具体的には、例えば、半導体ウエハは、予め定められた形状、及び寸法に切断され、複数の半導体チップに個片化される。個片化された複数のチップは、個片化した各チップの相互間隔を広げてから、リードフレーム、及び基板等の被搭載物上に搭載することなどが行われている。半導体装置の製造工程において、半導体ウエハ、及び半導体パッケージ等のワークは、基材と、基材上に設けられた粘着剤層とを備えたワーク加工用粘着シートの粘着剤層に貼付された状態で、上記の各工程において、各種の加工が行われる。
また、例えば、基材と粘着剤層とを備えたワーク加工用粘着シートを用いて、ガラス基板、及びガラス板などの透明部材を加工することも行われている。例えば、ワーク加工用粘着シートの粘着剤層の上に、透明部材が貼付された状態で、予め定められた形状、及び寸法に切断され、複数のチップ状の透明部材(例えば、ガラスチップ)に個片化される。
特許文献1には、剥離処理した剥離処理面を備えた剥離フィルムと、該剥離処理面上に形成した粘着剤層とを少なくとも備えた粘着シートが記載されている。当該粘着シートは、(1)剥離フィルムの剥離処理面の表面粗さ(Ra)が100nm以下であり、(2)剥離フィルムの剥離処理面の粘着剤層からの180°剥離強度が、剥離速度5mm/分及び500mm/分において、10.0gf/25mm幅以上50.0gf/25mm幅以下である物性を備える。
特開2010-185038号公報
ワーク加工用粘着シートでは、粘着剤層の基材が設けられる面とは反対側の面(以下、粘着剤層の粘着面と称する場合がある)に、剥離フィルムが設けられている場合がある。例えば、ワーク加工用粘着シートは、ワーク加工用粘着シートを使用するまでの間、粘着剤層の粘着面を保護する目的で、剥離フィルムが、粘着剤層の粘着面に接して積層されていている。
剥離フィルムが、粘着剤層の粘着面に接して積層された状態において、粘着剤層の粘着面に微細な凹凸形状が生じ、ワーク加工用粘着シートには、外観不良となる問題が起こる場合がある。この現象は、いわゆる「ゆず肌」と呼ばれる。理由は不明であるが、粘着剤層と接する側の面(すなわち、剥離フィルムの剥離処理面)の平滑性が高い剥離フィルムを粘着剤層に積層すると、外観不良が発生しやすい傾向がみられることが分かってきた。
本発明の目的は、ゆず肌の発生が抑制されるワーク加工用粘着シート、及び当該ワーク加工用粘着シートを用いてなる半導体装置を提供することである。
本実施形態に係る一態様によれば、基材と、前記基材の一方の面に設けられた粘着剤層と、前記粘着剤層の前記基材と反対側の面に設けられた剥離フィルムとを備えるワーク加工用粘着シートであって、前記剥離フィルムにおける前記粘着剤層側の面の最大断面高さStが、0.45μm以上であり、二乗平均平方根高さSqが、17.5nm以上である、ワーク加工用粘着シートが提供される。
本実施形態の一態様に係るワーク加工用粘着シートにおいて、
前記粘着剤層に、算術平均粗さRaが0.005μm以下であるワークの表面が貼付されることが好ましい。
本実施形態の一態様に係るワーク加工用粘着シートにおいて、前記剥離フィルムが、フィラーを含むことが好ましい。
本実施形態の一態様に係るワーク加工用粘着シートにおいて、前記粘着剤層が、エネルギー線硬化性を有する粘着剤層であることが好ましい。
本実施形態の一態様に係るワーク加工用粘着シートにおいて、前記粘着剤層に貼付されるワークが透明部材であることが好ましい。
本実施形態の一態様に係るワーク加工用粘着シートにおいて、前記透明部材がガラスであることが好ましい。
本実施形態の一態様に係るワーク加工用粘着シートにおいて、前記ワーク加工用粘着シートが、ダイシングシートであることが好ましい。
本実施形態に係る一態様によれば、本実施形態の一態様に係るワーク加工用粘着シートを用いて製造された半導体装置が提供される。
本発明によれば、ゆず肌の発生が抑制されるワーク加工用粘着シート、及び当該ワーク加工用粘着シートを用いてなる半導体装置が提供できる。
本実施形態に係るワーク加工用粘着シートの一例を表す概略図である。 本実施形態に係るワーク加工用粘着シートの剥離フィルムを剥がした状態を表す概略図である。
以下、本発明に係るワーク加工用粘着シートの好ましい実施形態について説明する。
[ワーク加工用粘着シート]
本実施形態に係るワーク加工用粘着シートは、基材と、前記基材の一方の面に設けられた粘着剤層と、前記粘着剤層の前記基材と反対側の面に設けられた剥離フィルムとを備えるワーク加工用粘着シートであって、前記剥離フィルムにおける前記粘着剤層側の面の最大断面高さStが、0.45μm以上であり、二乗平均平方根高さSqが、17.5nm以上である。
本実施形態に係るワーク加工用粘着シートは、上記構成を備えることにより、粘着剤層の粘着面におけるゆず肌発生が抑制される。剥離フィルムの粘着剤層と接する側の面(すなわち、剥離フィルムの剥離処理面)が、凹凸を有する面であり、この凹凸を有する面に粘着剤層が積層されることにより、ワーク加工用粘着シートのワークに貼付される面(すなわち、粘着剤層の粘着面)がゆず肌のない平滑な面となる。ゆず肌発生が抑制されることで、製品歩留まりが向上する。なお、剥離フィルムは、例えば、ワーク加工用粘着シートが使用されるまでの間、粘着剤層の粘着面に積層されている。
ここで「ゆず肌」とは、柑橘類の一種である「ゆず」の皮の表面のような凹凸を意味する。ゆず肌は、粘着剤層の粘着面から剥離フィルムを剥がした状態で観察できるし、剥離フィルムが透明である場合には、粘着剤層の粘着面に剥離フィルムが接して、積層されている状態でも観察することができる。
本実施形態に係るワーク加工用粘着シートについて、図面を参照して説明する。図1は、一実施形態に係るワーク加工用粘着シートの断面を模式的に表しており、図2は、一実施形態に係るワーク加工用粘着シートにおいて、剥離フィルムを剥離した状態の断面を模式的に表している。なお、図面においては、説明を容易にするために拡大又は縮小をして図示した部分がある。
図1に示されるように、ワーク加工用粘着シート100は、基材第一面10A、及び基材第一面10Aと反対側の基材第二面10Bとを備える基材10と、粘着剤層第一面20A、及び粘着剤層第一面20Aと反対側の粘着剤層第二面20Bとを備える粘着剤層20と、剥離フィルム第一面30A、及び剥離フィルム第一面30Aと反対側の剥離フィルム第二面30Bとを備える剥離フィルム30とを備えている。基材第一面10Aは、粘着剤層20側に配される面であり、基材第二面10Bは、基材10の外表面である。粘着剤層第一面20Aは、剥離フィルム30側に配される面であり、粘着剤層第二面20Bは、基材10側に配される面である。剥離フィルム第一面30Aは、剥離フィルム30の外表面であり、剥離フィルム第二面30Bは、粘着剤層20側に配される面である。ワーク加工用粘着シート100において、粘着剤層20は、基材第一面10Aに、直接、接して積層されており、粘着剤層第二面20Bは、基材第一面10Aに対面している。剥離フィルム30は、粘着剤層第一面20A(すなわち、粘着剤層20の基材10と反対側の面)に、直接、接して積層されており、剥離フィルム第二面30Bが、粘着剤層第一面20Aに対面している。つまり、ワーク加工用粘着シート100は、基材10の片面(基材第一面10A)に、粘着剤層20、及び剥離フィルム30が設けられている。剥離フィルム30は、例えば、ワーク加工用粘着シート100が使用されるまでの間、粘着剤層20の粘着面である粘着剤層第一面20Aに積層されていている。
図2に示されるように、ワーク加工用粘着シート100が使用されるとき、ワーク加工用粘着シート100の剥離フィルム30は剥離される。ワーク加工用粘着シート100において、剥離フィルム第二面30B(すなわち、粘着剤層20側の面)は、最大断面高さStが、0.45μm以上であり、二乗平均平方根高さSqが、17.5nm以上である。
以上、図面を参照して説明したが、本発明は、図1及び図2に示される形態に限定されない。本実施形態に係るワーク加工用粘着シート100は、粘着剤層20の粘着面(粘着剤層第一面20A)に剥離フィルム30が接しており、剥離フィルム30における粘着剤層20側の面(剥離フィルム第二面30B)の最大断面高さStが、0.45μm以上であり、二乗平均平方根高さSqが、17.5nm以上であれば、特に限定されず、基材10と粘着剤層20との間に粘着剤層20以外の層を設けてもよい。
以下、本実施形態に係るワーク加工用粘着シートを構成する各層の具体例について説明する。以下の説明において、符号は省略して説明する。
<基材>
基材は、特に限定されず、ワーク加工用粘着シートが使用される工程に適した性能を有していればよい。基材は、樹脂から構成されることが好ましく、樹脂フィルムであることがより好ましい。
基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレートなど)、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン-ノルボルネン共重合体、ノルボルネン樹脂、及びエチレン共重合体(エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、及びエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)など)、ポリ塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、及び塩化ビニル共重合体など)、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂、及びアイオノマーなどが挙げられる。基材は、上記の樹脂の単層フィルムでもよく、2層以上積層された積層フィルムであってもよい。基材が積層フィルムである場合、各層の樹脂は、同種の樹脂であってよく、異種の樹脂であってもよい。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両方を意味する。他の類似用語についても同様である。
基材の少なくとも一方の面には、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー処理、及びアンカーコーティング処理などの易接着処理が施されていてもよい。基材に接して他の層が設けられる側の面(例えば、粘着剤層と接する面)に、易接着処理が施されていれば、他の層(例えば、粘着剤層)との密着性が向上する。
基材は、必要に応じて、着色剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、及びフィラー等の各種添加剤を含有してもよい。また、粘着剤層が、後述するエネルギー線硬化性化合物を含む場合、基材はエネルギー線に対する透過性を有することが好ましい。
基材の厚さは、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましく、50μm以上であることがよりさらに好ましい。基材の厚さは、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましく、90μm以下であることがよりさらに好ましい。
基材の厚さが5μm以上であれば、ワーク加工用粘着シートが、ワークの加工を行うために適した適度な強度を備えやすくなるため、ワークを支持しやすくなる。基材の厚さが500μm以下であれば、ワーク加工用粘着シートが柔軟性を備えやすくなる。
また、基材の厚さが5μm以上であれば、例えば、ワークのダイシングを行いやすくなる。基材の厚さが500μm以下であれば、例えば、エキスパンドが行いやすくなる。
基材は、公知の方法によって得られる。例えば、基材は、樹脂と必要に応じて添加される添加剤を含む樹脂組成物を、キャスティング法、カレンダー法、Tダイ押出法、及びインフレーション法などにより成形することによって作製することができる。
<粘着剤層>
粘着剤層は、特に限定されず、様々な種類の粘着剤を含む粘着剤組成物から形成される。粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ウレタン系、ポリエステル系、及びポリビニルエーテル系等の粘着剤が挙げられる。粘着剤は、用途及び貼付されるワークの種類等を考慮して選択される。これらの中でも、ワークとの粘着力を発揮しやすい観点から、粘着剤は、アクリル系の粘着剤であることが好ましい。
粘着剤は、エネルギー線硬化性を有しない非エネルギー線硬化性の粘着剤であってもよく、エネルギー線硬化性を有する粘着剤であってもよい。エネルギー線としては、例えば、紫外線、及び電子線等が挙げられる。
粘着剤は、エネルギー線硬化性であれば、エネルギー線の照射により、粘着剤が硬化した粘着剤層が形成される。このため、粘着剤層の粘着性が低下し、ワーク加工用粘着シートのワークに対する粘着力を低下させることができる。この観点で、粘着剤は、エネルギー線硬化性の粘着剤であることが好ましく、紫外線硬化性の粘着剤であることがより好ましい。
(エネルギー線硬化性を有する粘着剤)
粘着剤組成物がエネルギー線硬化性を有する場合、粘着剤組成物は、下記の(I)から(III)に例示する成分を含有する態様が挙げられ、(I)、(II)、又は(III)のいずれかの態様であることが好ましい。以下、エネルギー線硬化性を有する粘着剤組成物に含まれる上記(I)から(III)に例示した成分を総称して、粘着性樹脂と称する場合がある。
(I):非エネルギー線硬化性の重合体と、エネルギー線硬化性化合物とを含有する成分。
(II):エネルギー線硬化性化合物を含有せず、非エネルギー線硬化性の重合体の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の重合体を含有する成分。
(III):エネルギー線硬化性の重合体と、非エネルギー線硬化性の重合体の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の重合体とを含有する成分。
粘着性樹脂において、非エネルギー線硬化性の重合体は、(メタ)アクリル系共重合体であることが好ましい。粘着剤組成物は、エネルギー線硬化性化合物を含有することが好ましい。
〔エネルギー線硬化性化合物〕
エネルギー線硬化性化合物は、分子内に、エネルギー線硬化性の二重結合を有する。エネルギー線硬化性化合物は、エネルギー線(例えば、紫外線)の照射を受けると重合硬化する化合物である。
エネルギー線硬化性化合物は、(メタ)アクリル系化合物であることが好ましい。エネルギー線硬化性化合物は、紫外線硬化性化合物であることが好ましい。エネルギー線硬化性化合物は、紫外線硬化性の(メタ)アクリル系化合物であることがより好ましい。
エネルギー線硬化性化合物の例としては、エネルギー線重合性基を有する低分子量化合物(単官能のモノマー、多官能のモノマー、単官能のオリゴマー、及び多官能のオリゴマー)が挙げられる。エネルギー線硬化性化合物は、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4-ブチレングリコールジアクリレート、及び1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等のアクリレート、ジシクロペンタジエンジメトキシジアクリレート、及びイソボルニルアクリレート等の環状脂肪族骨格含有アクリレート、並びにポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレート、及びイタコン酸オリゴマー等のアクリレート系化合物が用いられる。エネルギー線硬化性化合物は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エネルギー線硬化性化合物の分子量は、通常、100以上、30000以下であり、300以上、10000以下程度であることが好ましい。
〔(メタ)アクリル系共重合体〕
粘着剤は、(メタ)アクリル系共重合体をさらに含んでいることも好ましい。(メタ)アクリル系共重合体は、前述したエネルギー線硬化性化合物とは異なる。
(メタ)アクリル系共重合体は、エネルギー線硬化性の炭素-炭素二重結合を有することが好ましい。すなわち、粘着剤は、エネルギー線硬化性化合物と、エネルギー線硬化性の(メタ)アクリル系共重合体とを含有することが好ましい。
粘着剤は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、エネルギー線硬化性化合物を10質量部以上の割合で含有することが好ましく、20質量部以上の割合で含有することがより好ましく、25質量部以上の割合で含有することがさらに好ましい。
粘着剤は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、エネルギー線硬化性化合物を200質量部以下の割合で含有することが好ましく、160質量部以下の割合で含有することがより好ましく、120質量部以下の割合で含有することがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、50000(5万)以上であることが好ましく、100000(10万)以上であることがより好ましく、300000(30万)以上であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1500000(150万)以下であることが好ましく、1000000(100万)以下であることがより好ましい。
なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
(メタ)アクリル系共重合体は、側鎖にエネルギー線硬化性を有する官能基(エネルギー線硬化性基)が導入された(メタ)アクリル酸エステル重合体(以下「エネルギー線硬化性重合体」という場合がある。)であることが好ましい。
・エネルギー線硬化性重合体
エネルギー線硬化性重合体は、官能基含有モノマー単位を有する(メタ)アクリル系共重合体と、当該(メタ)アクリル系共重合体が持つ官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物とを反応させて得られる共重合体であることが好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体は、官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、又は(メタ)アクリル酸エステルモノマーの誘導体から導かれる構成単位とを含むことが好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体の構成単位としての官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、官能基と、を分子内に有するモノマーであることが好ましい。官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基、及びエポキシ基等からなる群から選択される少なくともいずれかの官能基であることが好ましい。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ヒドロキシ基含有モノマーは、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、及びシトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。カルボキシ基含有モノマーは、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ基含有モノマー又は置換アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、及びn-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アミノ基含有モノマー又は置換アミノ基含有モノマーは、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル系共重合体を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が、1以上、20以下であるアルキル(メタ)アクリレートの他、例えば、分子内に脂環式構造を有するモノマー(脂環式構造含有モノマー)が好ましく用いられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、アルキル基の炭素数が、1以上、18以下であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等がより好ましい。アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環式構造含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、及び(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等が好ましく用いられる。脂環式構造含有モノマーは、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(メタ)アクリル系共重合体は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を、1質量%以上の割合で含有することが好ましく、5質量%以上の割合で含有することがより好ましく、10質量%以上の割合で含有することがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を、35質量%以下の割合で含有することが好ましく、30質量%以下の割合で含有することがより好ましく、25質量%以下の割合で含有することがさらに好ましい。
さらに、(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸エステルモノマー又はその誘導体から導かれる構成単位を、50質量%以上の割合で含有することが好ましく、60質量%以上の割合で含有することがより好ましく、70質量%以上の割合で含有することがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸エステルモノマー又はその誘導体から導かれる構成単位を、99質量%以下の割合で含有することが好ましく、95質量%以下の割合で含有することがより好ましく、90質量%以下の割合で含有することがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体は、上記のような官能基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマー又はその誘導体とを常法で共重合することにより得られる。
(メタ)アクリル系共重合体は、上述のモノマーの他にも、ジメチルアクリルアミド、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、及びスチレン等からなる群から選択される少なくともいずれかの構成単位を含有していてもよい。
上記官能基含有モノマー単位を有する(メタ)アクリル系共重合体を、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物と反応させることにより、エネルギー線硬化性重合体が得られる。
不飽和基含有化合物が有する官能基は、(メタ)アクリル系共重合体が有する官能基含有モノマー単位の官能基の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、(メタ)アクリル系共重合体が有する官能基がヒドロキシ基、アミノ基又は置換アミノ基の場合、不飽和基含有化合物が有する官能基としてはイソシアネート基又はエポキシ基が好ましく、(メタ)アクリル系共重合体が有する官能基がエポキシ基の場合、不飽和基含有化合物が有する官能基としてはアミノ基、カルボキシ基又はアジリジニル基が好ましい。
不飽和基含有化合物は、エネルギー線重合性の炭素-炭素二重結合を、1分子中に少なくとも1個含み、1個以上、6個以下含むことが好ましく、1個以上、4個以下含むことがより好ましい。
不飽和基含有化合物としては、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2-イソシアナトエチルメタクリレート)、メタ-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2-(1-アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン等が挙げられる。
不飽和基含有化合物は、(メタ)アクリル系共重合体の官能基含有モノマーのモル数に対して、50モル%以上の割合(付加率)で用いられることが好ましく、60モル%以上の割合で用いられることがより好ましく、70モル%以上の割合で用いられることが更に好ましい。
不飽和基含有化合物は、(メタ)アクリル系共重合体の官能基含有モノマーのモル数に対して、95モル%以下の割合(付加率)で用いられることが好ましく、93モル%以下の割合で用いられることがより好ましく、90モル%以下の割合で用いられることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体と不飽和基含有化合物との反応においては、(メタ)アクリル系共重合体が有する官能基と不飽和基含有化合物が有する官能基との組合せに応じて、反応の温度、圧力、溶媒、時間、触媒の有無、及び触媒の種類を適宜選択することができる。これにより、(メタ)アクリル系共重合体が有する官能基と、不飽和基含有化合物が有する官能基とが反応し、不飽和基が(メタ)アクリル系共重合体の側鎖に導入され、エネルギー線硬化性重合体が得られる。
エネルギー線硬化性重合体の重量平均分子量(Mw)は、50000(5万)以上であることが好ましく、100000(10万)以上であることがより好ましく、300000(30万)以上であることがさらに好ましい。
エネルギー線硬化性重合体の重量平均分子量(Mw)は、1500000(150万)以下であることが好ましく、1000000(100万)以下であることがより好ましい。
〔光重合開始剤〕
粘着剤組成物が、光硬化性の化合物、具体的には、紫外線硬化性の化合物(例えば、紫外線硬化性樹脂)を含有する場合、粘着剤組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。
粘着剤組成物が、光重合開始剤を含有することにより、重合硬化時間及び光線照射量を低減することができる。
光重合開始剤の具体例は、例えば、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィノキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物及びパーオキサイド化合物が挙げられる。さらには、光重合開始剤としては、例えば、アミン又はキノン等の光増感剤等が挙げられる。
より具体的な光重合開始剤の例としては、例えば、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロルニトリル、ジベンジル、ジアセチル、8-クロールアンスラキノン及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシドが挙げられる。光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤は、上記(I)、上記(II)、又は上記(III)のいずれかの態様である粘着性樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上の量で用いられることが好ましく、0.03質量部以上の量で用いられることがより好ましく、0.05質量部以上の量で用いられることがより好ましい。
光重合開始剤は、上記(I)、上記(II)、又は上記(III)のいずれかの態様である粘着性樹脂100質量部に対して、10質量部以下の量で用いられることが好ましく、5質量部以下の量で用いられることがより好ましい。
光重合開始剤は、粘着性樹脂として、(メタ)アクリル系共重合体と、エネルギー線硬化性化合物とを含有する場合、エネルギー線硬化性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上の量で用いられることが好ましく、0.5質量部以上の量で用いられることがより好ましい。
光重合開始剤は、粘着性樹脂として、(メタ)アクリル系共重合体と、エネルギー線硬化性化合物とを含有する場合、エネルギー線硬化性化合物100質量部に対して、10質量部以下の量で用いられることが好ましく、6質量部以下の量で用いられることがより好ましい。
〔架橋剤〕
粘着剤組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、(メタ)アクリル系共重合体等が有する官能基との反応性を有する多官能性化合物を用いることができる。粘着剤組成物における多官能性化合物の例としては、イソシアナート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、メラミン化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、オキサゾリン化合物、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属塩、アンモニウム塩及び反応性フェノール樹脂等を挙げることができる。
上記(I)の態様である粘着性樹脂の場合、架橋剤の配合量は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。
上記(I)の態様である粘着性樹脂の場合、架橋剤の配合量は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。
上記(II)の態様である粘着性樹脂の場合、架橋剤の配合量は、非エネルギー線硬化性の重合体の側鎖に不飽和基が導入された重合体100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましい。
上記(II)の態様である粘着性樹脂の場合、架橋剤の配合量は、非エネルギー線硬化性の重合体の側鎖に不飽和基が導入された重合体100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。
上記(III)の態様である粘着性樹脂の場合、架橋剤の配合量は、非エネルギー線硬化性の重合体の側鎖に不飽和基が導入された重合体100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましい。
上記(III)の態様である粘着性樹脂の場合、架橋剤の配合量は、非エネルギー線硬化性の重合体の側鎖に不飽和基が導入された重合体100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。
粘着剤組成物は、上記成分以外にも、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填剤、防錆剤、顔料、及び染料等の他の成分を含んでいてもよい。
粘着剤層の均一性、及び粘着力のバラつき抑制の観点で、粘着剤層の厚さは、例えば、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。
同様の観点で、粘着剤層の厚さは、例えば、70μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましく、10μm以下であることがよりさらに好ましい。
<剥離フィルム>
剥離フィルムは、粘着剤層に貼り付けられた後、粘着剤層から剥離することが可能であれば、特に限定されない。剥離フィルムは、例えば、剥離基材と、剥離基材上に設けられた剥離剤層とを備える剥離フィルムであることが好ましい。剥離フィルムが、剥離基材上に設けられた剥離剤層を備える場合、剥離剤層の剥離基材側と反対側の面が、粘着剤層の粘着面と接する面である。
剥離基材は、樹脂を含むことが好ましい。剥離基材に含まれる樹脂としては、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン-ノルボルネン共重合体、ノルボルネン樹脂、及びエチレン共重合体(エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、及びエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体など))、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリブチレンテレフタレートなど)、ポリ塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、及び塩化ビニル共重合体など)、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、及びフッ素樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の観点から、剥離基材を構成する樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂であることが好ましい。
剥離基材は、樹脂の他に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐電防止剤、無機又は有機のフィラー、及び可塑剤等の各種の添加剤を含んでいてもよい。
剥離基材は、公知の方法によって得られる。例えば、基材は、樹脂と、必要に応じて添加される添加剤を含む樹脂組成物を、キャスティング法、カレンダー法、Tダイ押出法、インフレーション法などにより成形することによって作製することができる。具体的には、例えば、剥離基材は、樹脂を含む樹脂組成物を溶融押出して、未延伸フィルムを成形し、次いで、成形した未延伸フィルムを逐次二軸延伸法、又は、同時二軸延伸法等によって得られる。
剥離剤層に含まれる剥離剤としては、例えば、シリコーン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、長鎖アルキル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びワックス等の剥離剤が挙げられる。これらの中でも、剥離剤層は、剥離剤としてシリコーン樹脂を用いることが好ましい。シリコーン樹脂としては、ジメチルポリシロキサンを基本骨格とするシリコーン樹脂が挙げられる。シリコーン樹脂としては、付加反応型、縮合反応型、紫外線硬化型、及び電子線硬化型等が挙げられる。剥離剤として、付加反応型シリコーン樹脂を用いる場合、架橋剤、及び触媒を併用することが好ましい。架橋剤としては、例えば1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。触媒としては、白金、パラジウム、及びロジウム等の白金属の金属系化合物などが挙げられる。
剥離剤を含む剥離剤組成物は、必要に応じて、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、無機又は有機のフィラー、帯電防止剤、及び界面活性剤等の各種添加剤を含ませてもよい。
剥離フィルムは、例えば、剥離剤組成物に、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ヘキサン、及びヘプタン等の有機溶剤を混合した塗布液を調製し、当該塗布液を、公知の塗布方法によって、上記の剥離基材に塗布して、乾燥、加熱することによって得られる。
剥離シートの厚さは、特に限定されない。例えば、剥離シートの厚さは、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。剥離シートの厚さは、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。
剥離基材の厚さ、及び剥離剤層の厚さも、特に限定されない。例えば、剥離基材の厚さは、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることが好ましい。剥離基材の厚さは、50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。
例えば、剥離剤層の厚さは、0.01μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることがより好ましい。剥離剤層の厚さは、2.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましい。
本実施形態において、剥離フィルムの粘着剤層側の面(剥離処理面)の最大断面高さStが、0.45μm以上であり、二乗平均平方根高さSqが17.5nm以上である。最大断面高さStは、ゆず肌の発生をより抑制し易くなる観点で、0.5μm以上であることが好ましく、0.55μm以上であることがより好ましい。最大断面高さStの上限値は特に限定されない。ゆず肌の発生をより抑制し易くなる観点で、例えば、0.9μm以下であってもよく、0.7μm以下であってもよい。
二乗平均平方根高さSqは、ゆず肌の発生をより抑制し易くなる観点で、17.7nm以上であることが好ましく、20.0nm以上であることがより好ましく、25.0nm以上であることがさらに好ましい。二乗平均平方根高さSqの上限値は特に限定されない。ゆず肌の発生をより抑制し易くなる観点で、例えば、50nm以下であってもよく、40nm以下であってもよい。
最大断面高さStは、JIS B 0601:2013に規定される線粗さを表す表面性状パラメータの「粗さ曲線の最大断面高さRt」を、三次元に拡張したパラメータである。二乗平均平方根高さSqは、JIS B 0681-2:2018に規定される面粗さを表す表面性状パラメータである。以下、最大断面高さSt、及び二乗平均平方根高さSqを総称する場合、表面性状と称する場合がある。表面性状の測定方法は、後述する実施例の項目において説明する方法により測定できる。
剥離フィルムは、目的とする表面性状が得られやすくなる点で、フィラーを含むことが好ましい。また、剥離フィルム自体の繰り出し性をよくする点でも、剥離フィルムは、フィラーを含むことが好ましい。剥離フィルム粘着剤層側の面の表面性状を調整する方法としては、例えば、下記(A)、及び下記(B)の少なくとも1つの方法などが挙げられる。剥離フィルムの粘着剤層側の面の表面性状は、フィラーの形状、粒子径、及び含有量等によって、調整することが可能である。
(A)剥離フィルムの剥離基材に、無機又は有機のフィラーを含ませる方法。
(B)剥離剤層の剥離剤組成物に、無機又は有機のフィラーを含ませる方法。
目的とする表面性状が得られやすくなる点で、上記(A)の方法を採用することが好ましい。また、上記(A)の方法であれば、粘着剤層との剥離力に影響を及ぼす可能性が抑えられる観点でも上記(A)の方法を採用することが好ましい。以下、上記(A)の方法によって、剥離フィルム粘着剤層側の面の表面性状を調整する方法について説明する。
上記(A)の方法を採用する場合、無機又は有機のフィラーを樹脂と混合する方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。例えば、下記(A1)から下記(A3)に示す方法が挙げられる。
(A1)フィラーと樹脂とを直接ブレンドして混練する方法。
(A2)フィラーを高濃度で混合した樹脂組成物を準備しておき、フィラーが目的とする含有量になるように、樹脂で希釈する方法(いわゆるマスターバッチ法)。
(A3)樹脂の原料にフィラーを分散させた原料スラリーを作製し、原料スラリーを、樹脂の製造工程のいずれかの過程で添加する方法。
これらの中でも、目的とする表面性状が得られやすくなる点で、(A3)の方法を採用することが好ましい。剥離基材に含まれる樹脂が、例えば、ポリエチレンテレフタレートである場合、原料となるエチレングリコールに、フィラーを分散させたエチレングリコールスラリーとする。そして、例えば、エステル化又はエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階で、エチレングリコールスラリーを添加し、重縮合反応を行い、フィラーを含有するポリエチレンテレフタレートが得られる。
目的とする表面性状を有する剥離フィルムは、例えば、上記の(A1)、(A2)、又は(A3)のいずれかの方法によってフィラーが混合された樹脂を前述の公知の方法でフィルム状に成形して剥離基材を得た後、得られた剥離基材の上に、剥離剤層を設けることで得られる。
無機のフィラーとしては、シリカ粒子、アルミナ粒子、炭酸カルシウム粒子、カオリン粒子、炭酸マグネシウム粒子、ケイ酸マグネシウム粒子、ケイ酸アルミニウム粒子、及び酸化チタン粒子等の無機フィラーが挙げられる。有機のフィラーとしては、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル粒子、及び有機シリコーン粒子等の有機フィラーが挙げられる。これら有機又は無機のフィラーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら例示した無機又は有機のフィラーの中でも、無機フィラーを用いることが好ましい。以下、無機フィラーを用いる場合について説明する。
上記に例示した無機フィラーの中でも、目的とする表面性状が得られやすくなる点で、無機フィラーとしては、シリカ粒子を用いることが好ましい。目的とする表面性状がより得られやすくなる点で、球状シリカ粒子を用いることがより好ましい。球状シリカ粒子は、表面が多孔質である多孔質粒子であってもよく、表面が無孔質である無孔質粒子であってもよい。
目的とする表面性状が得られやすくなる点で、無機フィラーの平均粒子径は、4μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、8μm以上であることがさらに好ましく、10μm以上であることがなおさらに好ましい。同様の点で、無機フィラーの平均粒子径は、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。無機フィラーの平均粒子径は、体積基準の平均粒子径であり、レーザー式光散乱法、又は、樹脂成分を燃焼させ、残った無機物を電子顕微鏡で観察、計測する方法によって測定することができる。
目的とする表面性状が得られやすくなる点で、無機フィラーの含有量は、剥離基材に含まれる樹脂全体に対し、0.1質量部以上であることが好ましく、0.2質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがさらに好ましい。同様の点で、無機フィラーの含有量は、剥離基材に含まれる樹脂全体に対し、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることがさらに好ましい。
[ワーク加工用粘着シートの製造方法]
本実施形態に係るワーク加工用粘着シートの好ましい製造方法の一例について説明する。ワーク加工用粘着シートの製造方法は、特に限定されない。ワーク加工用粘着シートの製造方法は、例えば、基材、粘着剤組成物、及び剥離フィルムを準備する工程と、前記剥離フィルムの剥離性を有する面(剥離処理面)に、前記粘着剤組成物を塗布して、前記粘着剤組成物から形成される粘着剤層を設ける工程と、前記粘着剤層の剥離フィルム側と反対側の面に、前記基材を積層する工程とを有することが好ましい。基材、粘着剤組成物、及び剥離フィルムは、それぞれ、既に説明した基材、粘着剤組成物、及び剥離フィルムを準備すればよい。上記の粘着剤組成物を塗布する方法は、粘着剤組成物と、必要に応じて、溶媒、又は分散媒とを含有する塗布液を調製し、当該塗布液を塗布する方法が挙げられる。塗布方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ロールナイフコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の塗布方法が挙げられる。
上記の溶媒、又は分散媒としては、例えば、芳香族炭化水素系溶媒(ベンゼン、及びトルエン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、及び酢酸ブチル等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等)、脂肪族炭化水素系溶媒(n-ペンタン、n-ヘキサン、及びn-ヘプタン等)、及び脂環式炭化水素系溶媒(シクロペンタン、及びシクロヘキサン等)が挙げられる。これらの溶媒、又は分散媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着剤層は、粘着剤組成物を含む塗布液を塗布して塗膜を形成した後、塗膜を加熱、乾燥することで、粘着剤層を形成することができる。
本実施形態に係るワーク加工用粘着シートの製造方法は、上記に限られず、基材、粘着剤組成物、及び剥離フィルムを準備する工程と、前記基材の上に、前記粘着剤組成物を積層して、前記粘着剤組成物から形成される粘着剤層を設ける工程と、前記粘着剤層の前記基材側と反対側の面に、前記剥離フィルムの剥離性を有する面を積層する工程とを有する製造方法であってもよい。
粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合には、例えば、粘着剤組成物を含む塗布液を塗布した塗膜の乾燥条件(温度、及び時間等)の変更、又は乾燥以外の加熱処理を設けることにより、粘着剤層に架橋構造を形成させることが好ましい。上記の工程によって得られたワーク加工用粘着シートをシーズニングする工程を有していてもよい。シーズニングの条件は、例えば、20℃以上、50℃以下の温度(例えば、23℃)で、20%RH以上、50%RH以下の相対湿度(例えば、50%RH)の環境下に、3日以上、14日以下の期間(例えば、7日間)で静置する条件が挙げられる。
[ワーク加工用粘着シートの使用方法]
本実施形態に係るワーク加工用粘着シートの形状は、基材と、基材の表面に設けられた粘着剤層と、粘着剤層の基材と反対側の面に設けられた剥離フィルムとを備えていれば、特に限定されない。ワーク加工用粘着シートは、テープ状、ラベル状などのあらゆる形状をとり得る。
本実施形態に係るワーク加工用粘着シートは、ワークを加工するときに用いる粘着シートとして使用できる。ワーク加工用粘着シートは、粘着剤層にワークを貼付した後、ワークがワーク加工用粘着シートの粘着剤層に貼付された状態で各種の加工が施される。粘着剤層に貼付されるワークは、例えば、半導体ウエハ、及び半導体パッケージ等の半導体部材、並びに、ガラス基板、及びガラス板等の透明部材が挙げられる。半導体ウエハは、例えば、シリコンウエハであってもよいし、ガリウム・砒素等の化合物半導体ウエハであってもよい。透明部材は、ガラスに限られず、光線を透過する透明部材を含む概念であり、例えば、可視光透過率が50%以上の透過率である状態を示す部材を含む。透明部材は、ガラス(ガラス基板、及びガラス板等)であることが好ましい。
ワークは、算術平均粗さRaが0.006μm以下である表面を備えていてもよい。ワークは、算術平均粗さRaが0.006μm以下である表面を備えている場合、粘着剤層に、ワークの算術平均粗さRaが0.006μm以下である表面を貼付することが好ましい。当該算術平均粗さRaは、0.005μm以下であることがより好ましい。算術平均粗さRaの下限は特に限定されず、例えば、0.0001μm以上であることが挙げられる。
本実施形態に係るワーク加工用粘着シートは、具体的には、例えば、バックグラインドシート、ダイシングシート、エキスパンドシート、及びピックアップシートからなる群から選ばれる少なくともいずれかとして適用される。ワーク加工用粘着シートは、例えば、剥離フィルムを剥離した後の粘着剤層に、ワークを貼付し、粘着剤層に貼付された状態で、ワークがダイシングされることにより個片化され、個片化されたワークを、粘着剤層から剥離される工程に用いられることが好ましい。この点で、ワーク加工用粘着シートは、ダイシングシートであることが好ましい。
ワーク加工用粘着シートが、例えば、ダイシングシートとして適用される場合、具体的には、ワーク加工用粘着シートの粘着剤層にワーク(例えば、半導体ウエハ、半導体パッケージ、ガラス基板、又はガラス板などのワーク)を貼付した状態で、ダイシング加工が施される。ダイシング加工が施された加工済みのワークは、ワーク加工用粘着シートの粘着剤層から、ピックアップされる。粘着剤層が、エネルギー線硬化性粘着剤を含む場合、加工済みワークに貼付されているワーク加工用粘着シートの粘着剤層に対し、エネルギー線(例えば紫外線)を照射して粘着剤層を硬化させた後、硬化後の粘着剤層から、加工済みワークをピックアップしてもよい。
ワークが透明部材(例えば、ガラス基板、及びガラス板など)である場合、加工済みのワーク(例えば、ガラスチップ)は、高い透明性が求められる。本実施形態に係るワーク加工用粘着シートは、ゆず肌の発生が抑制される。このため、本実施形態に係るワーク加工用粘着シートを用いて透明部材に加工を施すことで、加工済みの透明部材は、高い透明性を確保できる。具体的には、例えば、本実施形態に係るワーク加工用粘着シートをダイシングシートとして適用し、ガラス基板、又はガラス板をダイシング加工することができる。
[半導体装置と半導体装置の製造方法]
本実施形態に係る半導体装置は、本実施形態に係るワーク加工用粘着シートを使用して製造される。本実施形態に係る半導体装置は、本実施形態に係るワーク加工用粘着シートを使用して得られたのであれば、特に限定されない。例えば、上記のワーク加工用粘着シートの使用方法で説明した内容において、ワークが半導体部材である場合、本実施形態に係る半導体装置が得られる。
本実施形態に係るワーク加工用粘着シートを用いてなる半導体装置(すなわち、本実施形態に係るワーク加工用粘着シートを使用して製造された半導体装置)は、例えば、具体的には、半導体ウエハの表面を研削する工程と、前記半導体ウエハの研削された面を、本実施形態に係るワーク加工用粘着シートの粘着剤層の表面に貼付する工程と、前記ワーク加工用粘着シートに貼付された状態で、前記半導体ウエハを個片化された半導体チップを得る工程と、個片化された前記半導体チップを本実施形態に係るワーク加工用粘着シートから分離する工程と、を有する半導体装置の製法方法によって得られる。本実施形態に係るワーク加工用粘着シートは、半導体装置の製造方法の複数の工程で使用することもできる。さらに、ワーク加工用粘着シートがエネルギー線硬化型粘着剤層を有する場合には、ワークの個片化工程後、シートから分離する工程の前に、エネルギー線照射工程を有する。この製造方法では、半導体ウエハの表面を研削する工程において、本実施形態に係る他のワーク加工用粘着シートを用いて、半導体ウエハの表面を研削してもよい。さらに、個片化された半導体ウエハを本実施形態に係るワーク加工用粘着シートから分離する工程において、本実施形態に係るさらに他のワーク加工用粘着シートを用いて、個片化された前記半導体ウエハを本実施形態に係るワーク加工用粘着シートから分離してもよい。
また、本実施形態に係るワーク加工用粘着シートを用いてなる半導体装置は、例えば、基板上に載置された複数の半導体素子を覆うように封止して、封止体を得る工程と、前記封止体を本実施形態に係るワーク加工用粘着シートの粘着剤層に貼付する工程と、本実施形態に係るワーク加工用粘着シートに貼付された前記封止体を個片化する工程と、個片化された前記封止体を本実施形態に係るワーク加工用粘着シートから分離する工程と、を有する半導体装置の製法方法によっても得られる。さらに、ワーク加工用粘着シートがエネルギー線硬化型粘着剤層を有する場合には、ワークの個片化工程後、シートから分離する工程の前に、エネルギー線照射工程を有する。この製造方法では、個片化された前記封止体を本実施形態に係るワーク加工用粘着シートから分離する工程において、本実施形態に係る他のワーク加工用粘着シートを用いて、個片化された前記封止体を本実施形態に係るワーク加工用粘着シートから分離してもよい。
また、本実施形態に係るワーク加工用粘着シートを用いてなる半導体装置は、上記の他、再配線形成工程、端子形成工程などの公知の工程が追加の工程として挙げられる。
[実施形態の変形]
本発明は、上述の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的を達成できる範囲で、上述の実施形態を変形した態様等を含む。例えば、図1及び図2に示されるワーク加工用粘着シート100は、基材第一面10A上に設けられた、粘着剤層20、及び剥離フィルム30備える態様について説明した。本実施形態に係るワーク加工用粘着シートは、これに限られず、基材の両面に、粘着剤層、及び剥離フィルムが設けられていてもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
以下の実施例及び比較例における測定又は評価は、以下に示す方法により行った。
[表面粗さ評価]
(剥離フィルム表面の表面性状)
剥離フィルムの粘着剤層の表面に接する側の面(剥離処理面)に対し、非接触表面計測システムを用いて、最大断面高さ(St)、及び二乗平均平方根高さ(Sq)を計測した。非接触表面計測システムは、直接位相検出干渉法、いわゆるマイケルソンの干渉を利用した2光束干渉法を用いた、非接触表面計測システム「株式会社日立ハイテクサイエンス製、Vertscan」を使用した。剥離フィルムの表面性状の測定は、試料のサイズを3cm×3cmとし、n=1(すなわち、評価に用いた試料の数は1つである。)で測定した。なお、最大断面高さ(St)、及び二乗平均平方根高さ(Sq)の測定は、ISO25178に準拠して計測される。
[ゆず肌評価]
実施例、及び比較例で得られたワーク加工用粘着シートから、テープ状のゆず肌評価用試料を採取した。当該評価用試料は、基材、粘着剤層、及び剥離フィルムがこの順で積層された3層構造のワーク加工用粘着シートである。当該試料における剥離フィルムの外表面(粘着剤層側とは反対側の面)を黒アクリル板(三菱ケミカル社製)に接するように、試料端部を両面テープで固定した。その後、蛍光灯の光を当該試料における基材側から入射させ、入射した光を黒アクリル板に反射させて、評価用試料の基材側から観察し、写り込んだ蛍光灯の像の歪みを以下の基準において判断した。
<評価基準>
A(〇):基材に写り込んだ蛍光灯の像の歪みがなく、ゆず肌の発生が完全に抑制されている。
F(×):基材に写り込んだ蛍光灯の像が歪んで見え、ゆず肌が発生している。
[実施例1]
(1)粘着剤組成物の調製
アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)40質量部と、メタクリル酸(MA)50質量部と、アクリル酸(AA)10質量部とを、溶液重合法により重合させて、アクリル酸エステル共重合体(重量平均分子量(Mw):50万)を得た。これに、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(トーヨーケム社製、製品名「BHS-8518」)7質量部と、紫外線硬化性樹脂(三菱ケミカル社製、シコウUV-5806、重量平均分子量(Mw):1700、多官能型ウレタンアクリレート、官能基数:およそ10官能)90質量部と、光重合開始剤としてのOMNIRAD184(BASF社製)1質量部とを混合し、メチルエチルケトンにて希釈して、固形分の含有量が30質量%である粘着剤組成物の塗布液を得た。
(2)剥離フィルムの作製
テレフタル酸100質量部、及びエチレングリコール45質量部を、攪拌装置、昇温装置、及び留出液分離塔を備えたエステル反応槽に仕込み、250℃に加熱してテレフタル酸を溶融させた。
次いで、得られるポリエチレンテレフタレート(以下、ポリエチレンテレフタレートをPETと称する場合がある)100質量部に対し、三酸化アンチモンの添加量が0.02質量部となるように、三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液を添加した。
その後、常圧下で、4時間攪拌保持すると共に、水を留去しながらエステル反応を行ない、実質的にエステル反応を終了して、PET低重合体(以下、PETオリゴマーと称する)を得た。
この得られたPETオリゴマーを、留出管を備えた攪拌機付き重縮合反応槽へ移送した。
移送後のPETオリゴマーに、フィラーとして、球状多孔質シリカ粒子をエチレングリコールに分散させてなる、粒子エチレングリコールスラリー(粒子種類:AGCエスアイテック社製、サンスフェアH-201、平均粒子径20μm)を、得られるPET100質量部に対して粒子が0.6質量部となるように添加した。
さらに、酢酸マグネシウムを、得られるPET100質量部に対し、酢酸マグネシウムの添加量が0.03質量部となるように、酢酸マグネシウム四水塩のエチレングリコール溶液を添加した。
その後、熱安定剤として、エチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液、及び重縮合触媒として、三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液を、前記PETオリゴマーに添加した。
その後、101.3kPaから0.4kPaまで、85分間で減圧して0.4kPaに保持するとともに、250℃から280℃まで、1時間55分かけて昇温させ、280℃で2.5時間保持して溶融重縮合反応を行った。反応終了後に、ストランド状に抜出、及び水冷しながらカッティングを行い、ペレット状のPET(A)を得た。
なお、エチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液は、得られるPET100質量部に対し、エチルアシッドホスフェートの添加量が0.0202質量部となるように添加した。また、三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液は、得られるPET100質量部に対し、三酸化アンチモンの添加量が0.02質量部となるように添加した。PET(A)を二軸押出機により押し出し、二軸延伸することで、厚さ38μmのPETフィルムを得た。このPETフィルムを剥離基材として用いた。
ビニル基を官能基とするポリジメチルシロキサンと、架橋剤(ポリメチルハイドロジェンシロキサン)とからなる主剤を主成分とした、付加反応型シリコーン樹脂剥離剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名:SRX-211)100質量部に、白金系触媒(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名:SRX-212)を1.8質量部加えた。さらに、該主剤100質量部当たり、光増感剤としてのα-ジケトンジアルキルアセタール類のベンジルジメチルアセタール0.1質量部を添加した。その後、トルエンを主成分とする有機溶剤で希釈して、固形分濃度1質量%の塗布液を調製した。
この塗布液を、上記で得た厚さ38μmの二軸延伸PETフィルムの表面に、乾燥後の厚さが0.1μm(固形分塗布量0.1g/m)になるように、グラビアコート法により均一に近い状態で塗布した。
次いで、50℃の熱風循環式乾燥機にて20秒間加熱処理した後、直ちに、フュージョン社製の無電極紫外線ランプ(Hバルブ使用、ランプ出力240W/cm)が1灯取付けられたコンベア式紫外線照射機(熱線カットフィルターはハイディフュージョンタイプを使用)により、コンベアスピード200m/分の条件で紫外線照射し、塗布液中のシリコーン樹脂剥離剤を硬化させ、剥離剤層を形成した。このようにして、剥離基材上に剥離剤層が形成された剥離フィルムを作製した。実施例1で作製した剥離フィルムを、表1中、SP1と表記する。
(3)ワーク加工用粘着シートの作製
上記(2)で作製した剥離フィルムの剥離処理面に対して、上記(1)で調製した粘着剤組成物の塗布液を塗布し、加熱により乾燥させることで、剥離フィルム上に厚さ10μmの粘着剤層を形成した。基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:100μm、最大断面高さRt=0.43μm)を用意した。この基材の少なくとも一方の面には、易接着処理が施されている。基材の易接着処理が施されている面を、剥離フィルム上に形成した粘着剤層側の面に貼付して、基材と粘着剤層と剥離フィルムとからなるワーク加工用粘着シートを得た。
[実施例2]
実施例1における上記(2)の剥離フィルムの作製で使用した粒子エチレングリコールスラリーの粒子を、実施例2に係るシリカ粒子(粒子種類:AGCエスアイテック社製、サンスフェアH-51、平均粒子径5μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様な方法で、ワーク加工用粘着シートを作製した。実施例2で作製した剥離フィルムを、表1中、SP2と表記する。
[比較例1]
実施例1における上記(2)の剥離フィルムの作製で使用した粒子エチレングリコールスラリーの粒子を、比較例1に係るシリカ粒子(粒子種類:AGCエスアイテック社製、サンスフェアH-31、平均粒子径3μm)に変更したこと以外は、上記(2)の剥離フィルムの作製と同様な方法で、剥離フィルムを作製した。比較例1で作製した剥離フィルムを、表1中、SP3と表記する。
そして、上記(3)のワーク加工用粘着シートの作製で用いたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:100μm、最大断面高さRt=0.43μm)をポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:50μm、最大断面高さRt=0.43μm)に変更した以外は、実施例1と同様な方法でワーク加工用粘着シートを作製した。
Figure 2023133981000002
各実施例は、比較例に比べ、最大断面高さSt及び二乗平均平方根高さSqが高く、ゆず肌が発生せず、評価結果が良好であった。各実施例で得られたワーク加工用粘着シートによれば、粘着剤層に基材側と反対側の面におけるゆず肌の発生が抑制されることが分かる。
10…基材、10A…基材第一面、10B…基材第二面、20…粘着剤層、20A…粘着剤層第一面、20B…粘着剤層第二面、30…剥離フィルム、30A…剥離フィルム第一面、30B…剥離フィルム第二面、100…ワーク加工用粘着シート。

Claims (8)

  1. 基材と、前記基材の一方の面に設けられた粘着剤層と、前記粘着剤層の前記基材と反対側の面に設けられた剥離フィルムとを備えるワーク加工用粘着シートであって、
    前記剥離フィルムにおける前記粘着剤層側の面の最大断面高さStが、0.45μm以上であり、二乗平均平方根高さSqが、17.5nm以上である、
    ワーク加工用粘着シート。
  2. 請求項1に記載のワーク加工用粘着シートにおいて、
    前記粘着剤層に、算術平均粗さRaが0.005μm以下であるワークの表面が貼付される、
    ワーク加工用粘着シート。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のワーク加工用粘着シートにおいて、
    前記剥離フィルムが、フィラーを含む、
    ワーク加工用粘着シート。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のワーク加工用粘着シートにおいて、
    前記粘着剤層が、エネルギー線硬化性を有する粘着剤層である、
    ワーク加工用粘着シート。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のワーク加工用粘着シートにおいて、
    前記粘着剤層に貼付されるワークが透明部材である、
    ワーク加工用粘着シート。
  6. 請求項5に記載のワーク加工用粘着シートにおいて、
    前記透明部材がガラスである、
    ワーク加工用粘着シート。
  7. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のワーク加工用粘着シートにおいて、
    前記ワーク加工用粘着シートが、ダイシングシートである、
    ワーク加工用粘着シート。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のワーク加工用粘着シートを用いて製造された半導体装置。
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