JP6561115B2 - ダイシングシート、ダイシングシートの製造方法、およびモールドチップの製造方法 - Google Patents
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Description
(1)基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層とを備えたダイシングシートであって、前記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率は、エネルギー線が照射される前の状態において50kPa以上80kPa以下、かつエネルギー線が照射された後の状態において5.0MPa以上120MPa以下であり、前記粘着剤層の厚さは20μm未満であり、前記粘着剤層の面は、エネルギー線が照射される前の状態において、JIS Z0237:1991に記載された方法において、剥離速度を1mm/分に変更した条件によりプローブタックを用いて測定したエネルギー量が、0.10mJ/5mmφ以上0.8mJ/5mmφ以下であることを特徴とするダイシングシート。
1.ダイシングシート
本発明の一実施形態に係るダイシングシートは、基材および粘着剤層を備える。
本実施形態に係るダイシングシートの基材は、ピックアップ工程などにおいて破断しない限り、その構成材料は、特に限定はされず、通常は樹脂系の材料を主材とするフィルムから構成される。そのフィルムの具体例として、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム等のポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン−ノルボルネン共重合体フィルム、ノルボルネン樹脂フィルム等のポリオレフィン系フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等のポリ塩化ビニル系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム;ポリウレタンフィルム;ポリイミドフィルム;アイオノマー樹脂フィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のエチレン系共重合フィルム;ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム;フッ素樹脂フィルム;ならびにこれらの樹脂の水添加物および変性物を主材とするフィルムなどが挙げられる。またこれらの架橋フィルム、共重合体フィルムも用いられる。上記の基材は1種単独でもよいし、さらにこれらを2種類以上組み合わせた積層フィルムであってもよい。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語についても同様である。
本実施形態に係るダイシングシートが備える粘着剤層は、次に説明するように、厚さが20μm未満であって、貯蔵弾性率など所定の特性を備える。当該粘着剤層は、好ましい一形態において、エネルギー線重合性基および反応性官能基を有するアクリル系重合体(A)、および反応性官能基と架橋反応が可能なイソシアネート系架橋剤(B)を含有する粘着剤組成物から形成されたものである。
本実施形態に係るダイシングシートが備える粘着剤層の厚さは20μm未満である。粘着剤層の厚さが20μm未満であることにより、糊残りが生じにくくなって、ダイシング工程において不具合が生じる可能性が低減される。また、前述のモールドチップにおける印字視認性に関する問題を生じさせにくい。特に、ダイシング工程を実施してモールドパッケージを個片化してモールドチップとした後、エネルギー線の照射が行われるまでの期間が長い(例えば30日間)場合には、粘着剤層の厚さが20μm以上であると、モールドチップの面に対する粘着剤層の粘着性が過度に高くなって、エネルギー線を照射しても上記の粘着性が適切に低減されず、前述のモールドチップにおける印字視認性に関する問題が生じやすくなることがある。本実施形態に係るダイシングシートは、粘着剤層の厚さが20μm未満であるため、このような前述のモールドチップにおける印字視認性に関する問題を生じさせにくい。本実施形態に係るダイシングシートが備える粘着剤層の厚さは、17μm以下とすることが好ましく、13μm以下とすることがより好ましく、10μm以下とすることが特に好ましい。粘着剤層が被着面に対して適切な粘着性を有することを安定的に実現する観点から、粘着剤層の厚さは2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましく、5μm以上とすることが特に好ましい。したがって、粘着剤層の最も好ましい厚さは、5μm以上10μm以下である。
本実施形態に係るダイシングシートが備える粘着剤層に対してエネルギー線を照射する前の当該粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率(本明細書において「照射前弾性率」ともいう。)は、50kPa以上80kPa以下である。
本実施形態に係るダイシングシートの粘着剤層の面は、エネルギー線が照射される前の状態において、JIS Z0237:1991に記載された方法において、剥離速度を1mm/分に変更した条件によりプローブタックを用いて測定したエネルギー量(本明細書において「タック値」ともいう。)が0.10mJ/5mmφ以上0.8mJ/5mmφ以下である。このタック値は、測定開始からプローブが剥離するまでに測定されたピークの積算値として求められる。タック値が上記の範囲であることにより、チップ飛散の発生を抑制することができる。チップ飛散が生じる可能性をより安定的に低減させる観点から、タック値は、0.13mJ/5mmφ以上0.75mJ/5mmφ以下であることが好ましく、0.15mJ/5mmφ以上0.7mJ/5mmφ以下であることがより好ましく、0.18mJ/5mmφ以上0.65mJ/5mmφ以下であることが特に好ましい。
本実施形態に係るダイシングシートが備える粘着剤層を形成するための粘着剤組成物は、好ましい一形態において、エネルギー線重合性基および反応性官能基を有するアクリル系重合体(A)を含有する。アクリル系重合体(A)は、エネルギー線重合性基および反応性官能基を有するアクリル系化合物に基づく構成単位をその骨格を構成する単位として含むアクリル系重合体である。アクリル系重合体(A)は、1種類の単量体が重合してなる単独重合体であってもよいし、複数種類の単量体が重合してなる共重合体であってもよい。重合体の物理的特性や化学的特性を制御しやすい観点から、アクリル系重合体(A)は共重合体であることが好ましい。
アクリル系重合体(A1)は、前述の反応性官能基を有するアクリル系重合体である。アクリル系重合体(A1)における反応性官能基を有する構成単位を与える単量体(m1)の、アクリル系重合体(A1)を与える単量体全体に対する質量比率は、5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。上記の質量比率に関する規定を満たすことにより、アクリル系重合体(A1)から得られたアクリル系重合体(A)を含有する粘着剤組成物は、適切な照射前弾性率および適切なタック値を有する粘着剤層を形成することが可能となる。上記の質量比率は、7質量%以上25質量%以下であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、12質量%以上17質量%以下であることが特に好ましい。
イソシアネート系化合物(A2)は、エネルギー線重合性基を有するとともに、アクリル系重合体(A1)が有する反応性官能基との反応に際してイソシアネート基を有することができる化合物である。かかるイソシアネート系化合物として、イソシアネート基を有する化合物、ブロックイソシアネート基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物のビウレット体やイソシアヌレート体、イソシアネート基を有する化合物と、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の非芳香族性低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などの変性体などが例示される。
本明細書において「イソシアネート系架橋剤」とは、ポリイソシアネート化合物であって、架橋性を有するものの総称を意味する。その具体例として、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環式イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の非環式脂肪族イソシアネートおよびそのビウレット体やイソシアヌレート体、イソシアネート基を有する化合物と、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の非芳香族性低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などの変性体などが挙げられる。粘着剤組成物においてイソシアネート系架橋剤(B)として機能する化合物は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
有機金属触媒(C)は、チタンおよびジルコニウムの少なくとも一方を含有する。具体的には、チタンおよびジルコニウムの少なくとも一方を含有する有機金属化合物からなる。かかる有機金属化合物として、これらの金属元素のアルコキシド、キレート、アシレートなどが例示され、具体例として、チタンアルコキシド、チタンキレート、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムキレートなどが挙げられる。これらの中でも、有機金属化合物が含有する金属元素がジルコニウムを含むことが好ましく、かかる金属元素がジルコニウムであることが好ましい。また、有機金属化合物はキレート化合物であることが好ましい。したがって、有機金属触媒(C)は、ジルコニウム含有キレート化合物を含むことが好ましく、ジルコニウム含有キレート化合物からなることがより好ましい。
本実施形態に係るダイシングシートが備える粘着剤層を形成するための粘着剤組成物は、上記の成分に加えて、光重合開始剤(D)、粘着付与樹脂、染料や顔料などの着色材料、難燃剤、フィラー、帯電防止剤等の各種添加剤を含有してもよい。
本発明の一実施形態に係るダイシングシートが備える粘着剤層が、エネルギー線重合性基および反応性官能基を有するアクリル系重合体(A)、および反応性官能基と架橋反応が可能なイソシアネート系架橋剤(B)を含有する粘着剤組成物から形成されたものである場合において、その粘着剤組成物の製造方法は限定されない。次に説明する方法により製造することが好ましい。
本実施形態に係るダイシングシートは、その粘着剤層を被着体であるモールドパッケージ(半導体パッケージが具体例として挙げられる。)に貼付するまでの間において粘着剤層を保護する目的で、粘着剤層の基材に対向する側と反対側の面に、剥離シートの剥離面が貼合されていてもよい。剥離シートの構成は任意であり、プラスチックフィルムに剥離剤を塗布したものが例示される。プラスチックフィルムの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンフィルムが挙げられる。剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系などを用いることができるが、これらの中で、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。上記の剥離シートのプラスチックフィルムに代えて、グラシン紙、コート紙、上質紙などの紙基材または紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙を用いてもよい。該剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常20μm以上250μm以下程度である。
本発明の一実施形態に係るダイシングシートの製造方法の製造方法は限定されない。本発明の一実施形態に係るダイシングシートが備える粘着剤層が、エネルギー線重合性基および反応性官能基を有するアクリル系重合体(A)、および反応性官能基と架橋反応が可能なイソシアネート系架橋剤(B)を含有する粘着剤組成物から形成されたものである場合には、前述の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を基材の一の面に積層できれば、詳細な方法は特に限定されない。一例を挙げれば、前述の粘着剤組成物、および所望によりさらに溶媒を含有する塗工液を調製し、基材の一の面上に、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーター等によりその塗工液を塗布し、当該一の面上の塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層を形成することができる。塗工液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、粘着剤層を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。
アクリル系重合体(A)およびイソシアネート系架橋剤(B)を含有する粘着剤組成物を、基材の一方の面に塗布し、得られた塗膜から粘着剤層を形成して、前記ダイシングシートを得る工程;および
粘着剤組成物を剥離シートの剥離面に塗布し、得られた塗膜から粘着剤層を形成し、剥離シート上の粘着剤層における剥離シートに対向する側と反対側の面を基材の一方の面に貼付して、ダイシングシートを、粘着剤層側の面に剥離シートが貼付した状態で得る工程。
本実施形態に係るダイシングシートを用いてモールドパッケージからモールドチップを製造する方法を、モールドパッケージが半導体パッケージからなる場合を具体例として以下に説明する。
(1)塗工液の調製
次の組成を有する塗工液を調製した。
75質量部の2−エチルヘキシルアクリレートと10質量部のメチルメタクリレートと15質量部の2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)とを共重合して、共重合体(ポリスチレン換算重量平均分子量70万)を、アクリル系重合体(A1)として得た。
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製基材フィルムの一方の面上にシリコーン系の剥離剤層が形成されてなる剥離面を備える剥離シート(リンテック社製「SP−PET381031」)を用意した。この剥離シートの剥離面上に、前述の塗工液をナイフコーターにて塗布した。得られた塗膜を剥離シートごと100℃の環境下に1分間経過させることにより塗膜を乾燥するとともに架橋反応を進行させて、剥離シートと粘着剤層(厚さ10μm)とからなる積層体を得た。
厚さ140μmのエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)フィルムからなる基材の一方の面(コロナ処理済、表面張力:54mN/m)に、上記の積層体の粘着剤層側の面を貼付して、基材と粘着剤層とからなるダイシングシートを、粘着剤層側の面に剥離シートがさらに積層された状態で得た。
アクリル系重合体(A)を得るために使用した有機金属触媒(C)を、ジルコニウムキレート触媒に代えて、チタンキレート触媒(マツモトファインケミカル社製「TC−750」)とし、その使用量を、アクリル系重合体(A1)の固形分100質量部に対して0.03質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ダイシングシートを、粘着剤層側の面に剥離シートが積層された状態で得た。
アクリル系重合体(A)を得るために使用した有機金属触媒(C)を、ジルコニウムキレート触媒に代えて、スズ触媒(トーヨーケム社製「BXX−3778」)とし、その使用量を、アクリル系重合体(A1)の固形分100質量部に対して0.03質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ダイシングシートを、粘着剤層側の面に剥離シートが積層された状態で得た。
アクリル系重合体(A)を得るために使用した化合物(A2)としてのMOIの使用量を、HEAに対して0.7当量としたこと以外は、実施例1と同様にして、ダイシングシートを、粘着剤層側の面に剥離シートが積層された状態で得た。
アクリル系重合体(A)を得るために使用した化合物(A2)としてのMOIの使用量を、HEAに対して0.9当量としたこと以外は、実施例1と同様にして、ダイシングシートを、粘着剤層側の面に剥離シートが積層された状態で得た。
アクリル系重合体(A)を得るために使用した化合物(A2)としてのMOIの使用量を、HEAに対して0.3当量としたこと以外は、実施例1と同様にして、ダイシングシートを、粘着剤層側の面に剥離シートが積層された状態で得た。
粘着剤層の厚さを30μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ダイシングシートを、粘着剤層側の面に剥離シートが積層された状態で得た。
85質量部の2−エチルヘキシルアクリレートと15質量部の2−ヒドロキシエチルアクリレートとを共重合して共重合体(ポリスチレン換算重量平均分子量70万)を得た。アクリル系重合体(A1)に代えてこの共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ダイシングシートを、粘着剤層側の面に剥離シートが積層された状態で得た。
粘着剤組成物を、次に説明する方法により調製したこと以外は、実施例1と同様にして、ダイシングシートを、粘着剤層側の面に剥離シートが積層された状態で得た。
共重合体100質量部に対し、架橋剤を10質量部、エネルギー線硬化性化合物を40質量部(配合量はいずれも固形分量)添加し、有機溶媒の溶液としての粘着剤塗工用組成物を得た。
上記の共重合体、架橋剤およびエネルギー線硬化性化合物の詳細は次のとおりであった。
共重合体:2−エチルヘキシルアクリレート/メチルアクリレート/アクリル酸=50/40/10の組成比、ポリスチレン換算重量平均分子量:80万
架橋剤:トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(TDI−TMP)、トーヨーケム社製「BHS 8515」
エネルギー線硬化性化合物:10官能ウレタンアクリレート、分子量:1700、日本合成化学工業社製「UV−1700B」
半導体パッケージ用樹脂(住友ベークライト社製「G700」)を用いて、50mm×50mm、厚さ600μmであって、封止樹脂面の算術平均粗さRaが1μmである模擬半導体パッケージを作製した。上記の実施例および比較例により製造したダイシングシートの粘着剤層側の面を、テープマウンター(リンテック社製「Adwill RAD2500」)を用いて、上述の作製した模擬半導体パッケージの封止樹脂面に貼付した。こうして得られたダイシングシートと模擬半導体パッケージとの積層体をダイシング用リングフレーム(ディスコ社製「2−6−1」)に装着し、ダイシング装置(ディスコ社製「DFD−651」)を用いて、模擬半導体パッケージ側から切断するダイシング工程を行い、1mm×1mmの大きさのモールドチップに分割した。なお、ダイシング条件は下記のとおりであった。
ダイシングブレード :ディスコ社製「ZBT−5074(Z1110LS3)」
ブレード厚さ :0.17mm
刃出し量 :3.3mm
ブレード回転数 :30000rpm
切断速度 :100mm/分
基材への切り込み深さ:50μm
切削水量 :1.0L/min
切削水温度 :20℃
半導体パッケージ用樹脂(住友ベークライト社製「G700」)を用いて、50mm×50mm、厚さ600μmであって、封止樹脂面の算術平均粗さRaが1μmである模擬半導体パッケージを作製した。模擬半導体パッケージの樹脂封止面に、次の条件で印字加工を行って、印字部を形成した。
レーザー印字装置:Panasonic社製「LP-V10U-W20」
印字用レーザー:FAYb Laser
レーザー波長:1064nm
スキャンスピード:400mm/秒
印字パルス周期:1000μs
印字部の凹部の平均深さは2μmであった。印字部の凹部の平均深さは次のようにして求めた。レーザー顕微鏡(KEYENCE社製「VK−9700」)で半導体パッケージの印字部以外の樹脂封止表面と印字部を構成する凹部の平面とを観測し、その高低差を測定した。なお、印字部と印字部以外の境界線を含む領域での5点を測定点とし、測定点における高低差の平均値を印字部の凹部の平均深さとした。
ダイシングブレード :ディスコ社製「ZBT−5074(Z1110LS3)」
ブレード厚さ :0.17mm
刃出し量 :3.3mm
ブレード回転数 :30000rpm
切断速度 :100mm/分
基材への切り込み深さ:50μm
切削水量 :1.0L/min
切削水温度 :20℃
ピックアップされたモールドチップの樹脂封止面の印字部を含む領域を観察し、必要に応じ顕微FT−IR(パーキンエルマー社製「Spectrum One」)により印字部の凹部を測定して、モールドチップにおける印字視認性を次の基準で評価した。結果を表1に示す。
A:印字の視認性が低下したと認められるモールドチップはなかった。
B:印字の視認性がわずかに低下したと認められるモールドチップが存在したが、多くのモールドチップについては視認性の低下は認められなかった。視認性がわずかに低下したと認められるモールドチップについては、顕微FT−IRを用いて印字部の凹部を測定したが、粘着剤層を構成する材料と同定される物質の付着は確認されなかった。
C:印字の視認性がわずかに低下したと認められるモールドチップが相当数存在した。視認性がわずかに低下したと認められるモールドチップについては、顕微FT−IRを用いて印字部の凹部を測定したが、粘着剤層を構成する材料と同定される物質の付着は確認されなかった。
D:印字の視認性が明らかに低下したと認められるモールドチップが存在した。視認性が明らかに低下したと認められるモールドチップについては、顕微FT−IRを用いて印字部の凹部を測定したところ、粘着剤層を構成する材料と同定される物質の付着が確認された。
実施例および比較例において製造したダイシングシートが備える粘着剤層におけるエネルギー線が照射される前の状態の面について、直径5mm(5mmφ)のプローブを用いて、プローブタック試験機(レスカ社製「RPT−100」)により測定した。測定方法は、JIS Z0237:1991に記載の方法において、剥離速度を1mm/分に変更する一方、荷重は100gf/cm2、接触時間は1秒間と、上記のJIS規定の記載のとおりとした。測定したエネルギー量(ピーク積算値)を求め、タック値(単位:mJ/5mmφ)とした。結果を表1に示す。
実施例および比較例において使用した粘着剤組成物を、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製フィルムの一方の面上に、実施例および比較例と同条件で塗布・乾燥して、フィルムと粘着剤層とからなる積層体を得た。この積層体の厚さを、定圧厚さ測定器(テックロック社製「PG−02J」)を用いて測定し、得られた測定値からフィルムの厚さを差し引いて、粘着剤層の厚さ(単位:μm)を求めた。結果を表1に示す。
実施例および比較例において使用した粘着剤組成物を、厚さ38μmの剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031」)の剥離面上に乾燥後の厚さが40μmとなるように塗布し、得られた塗膜および剥離フィルムからなる積層体を100℃で1分間保持することにより、塗膜の乾燥を行った。この手順により得られる剥離フィルム上の粘着剤層を複数準備し、厚さ800μmとなるまで貼り合せた積層体を作製し、直径10mmの円形に打ち抜いて測定のための試料とした。粘弾性測定装置(TAインスツルメンツ社製「ARES」)により、試料に周波数1Hzのひずみを与え、−50〜150℃の貯蔵弾性率を測定し、23℃における貯蔵弾性率の値を照射前弾性率(単位:kPa)として得た。結果を表1に示す。
Claims (7)
- 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層とを備えたダイシングシートであって、
前記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率は、エネルギー線が照射される前の状態において50kPa以上80kPa以下、かつエネルギー線が照射された後の状態において5.0MPa以上120MPa以下であり、
前記粘着剤層の厚さは20μm未満であり、
前記粘着剤層の面は、エネルギー線が照射される前の状態において、JIS Z0237:1991に記載された方法において、剥離速度を1mm/分に変更した条件によりプローブタックを用いて測定したエネルギー量が、0.10mJ/5mmφ以上0.8mJ/5mmφ以下であること
を特徴とするダイシングシート。 - 使用に際して、前記粘着剤層の前記基材側と反対側の面には、モールドパッケージの樹脂封止面が貼付され、
前記樹脂封止面は凹部により形成された印字部を有する、請求項1に記載のダイシングシート。 - 前記樹脂封止面の前記印字部の凹部の平均深さが0.5μm以上である、請求項2に記載のダイシングシート。
- 前記粘着剤層は、エネルギー線重合性基および反応性官能基を有するアクリル系重合体(A)、および前記反応性官能基と架橋反応が可能なイソシアネート系架橋剤(B)を含有する粘着剤組成物から形成されたものであり、
前記アクリル系重合体(A)は、前記反応性官能基を有するアクリル系重合体(A1)と、前記エネルギー線重合性基を有するイソシアネート系化合物(A2)とが、チタンおよびジルコニウムの少なくとも一方を含有する有機金属触媒(C)の存在下で反応することにより得られたものである、請求項1から3のいずれか一項に記載のダイシングシート。 - 前記アクリル系重合体(A1)における前記反応性官能基を有する構成単位を与える単量体(m1)の、前記アクリル系重合体(A1)を与える単量体全体に対する質量比率が、5質量%以上30質量%以下であり、
前記アクリル系重合体(A)を形成するための反応において、前記化合物(A2)の使用量は、前記単量体(m1)に対して0.4当量以上0.8当量以下である、請求項4に記載のダイシングシート。 - 前記有機金属触媒(C)はジルコニウム含有キレート化合物を含む、請求項4または5に記載のダイシングシート。
- 請求項1から6のいずれか一項に記載されるダイシングシートの前記粘着剤層側の面を、前記モールドパッケージの前記樹脂封止面に貼付し、前記ダイシングシート上の前記モールドパッケージを切断して個片化し、複数のモールドチップを得る、モールドチップの製造方法。
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