JP2023090993A - 油性固形化粧料 - Google Patents

Abstract

【課題】 指で弾力性を十分に感じることができる固形化粧料でありながらも、十分な耐衝撃性と、良好な使用性及び使用感（指で適量取ることが容易、化粧料の伸びが良い、密着性に優れ、パールむらの少ない化粧膜、しっとりとした仕上がり）とを有する油性固形化粧料を提供すること。【解決手段】 油性固形化粧料は、紛体成分を４０～７０質量％含有する油性固形化粧料であって、粉体成分が光輝性粉体を含み、（Ａ）融点２５～５５℃のシリコーンワックスと、（Ｂ）架橋型シリコーンエラストマーとを含む。【選択図】 なし

Description

本発明は、油性固形化粧料に関する。

アイシャドウ、ファンデーション、チーク等のメーキャップ化粧料として、粉体成分を圧縮成形した固形の粉末化粧料が広く利用されている。粉末化粧料は、伸び広がりが軽く、パウダリーでさらさらとした感触が得られやすいという特徴を有するが、粉体成分が肌に密着しづらく、また、しっとりとした仕上がり感を得ることが難しい。また、パール顔料などの光輝性粉体は、通常の着色顔料と比較して粒径が非常に大きいため肌に密着しにくく、光輝性粉体が高配合された粉末化粧料は、パールむらのない均一な化粧膜を形成することは困難であった。

近年、粉末化粧料と油性化粧料との中間領域（ファニキュラー領域）において、粉末化粧料の特徴と、しっとり感、付着性、化粧持続性といった油性化粧料の特徴とを併せ持つ化粧料の検討が進められている。そうした中で、従来の粉末化粧料や油性化粧料では得られない新しい感触として、指で触れたときに柔軟性や弾力性を感じる固形化粧料も開発されている（例えば、下記特許文献１及び２を参照）。このような固形化粧料は、弾力性を求めると耐衝撃性が劣る傾向にあることから、油性成分の調整や重合体の配合によって耐衝撃性と弾力性とを両立させる検討もなされている（例えば、下記特許文献３及び４を参照）。

特開２００６－１８８３号公報 特開２００５－３１４３６９号公報 特開２０１４－２１８４６９号公報 特開２０１６－１９０８３７号公報

しかしながら、上記の固形化粧料であっても、しっとりとした仕上がりを得るには未だ十分ではない。また、化粧料を指で塗布する場合、消費者は化粧料の弾力性をより感じることができるが、上記の固形化粧料は、指で取るとボソボソとした状態で取れるなどして適量を取り分けることが難しい面もある。

そこで本発明は、指で弾力性を十分に感じることができる固形化粧料でありながらも、十分な耐衝撃性と、良好な使用性及び使用感（指で適量取ることが容易、化粧料の伸びが良い、密着性に優れ、パールむらの少ない化粧膜、しっとりとした仕上がり）とを有する油性固形化粧料を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、粉体成分を特定量含有する油性固形化粧料において、特定の融点を有するシリコーンワックスと、架橋型シリコーンエラストマーとを組み合わせて配合することにより、粉体成分として光輝性粉体が多く含まれる場合であっても、弾力性及び耐衝撃性を両立しつつ上記の使用性及び使用感が得られる成形体を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。

すなわち、本発明は、粉体成分を４０～７０質量％含有する油性固形化粧料であって、粉体成分が光輝性粉体を含み、（Ａ）融点２５～５５℃のシリコーンワックスと、（Ｂ）架橋型シリコーンエラストマーとを含む油性固形化粧料を提供する。

本発明の油性固形化粧料によれば、指で弾力性を十分に感じることができ、十分な耐衝撃性と、良好な使用性及び使用感（指で適量取ることが容易、化粧料の伸びが良い、密着性に優れ、パールむらの少ない化粧膜、しっとりとした仕上がり）とを有する成形体を形成することができる。

本発明の油性固形化粧料において、上記光輝性粉体の含有量が、油性固形化粧料全量を基準として３０質量％以上であってもよい。粉体成分として光輝性粉体が多く含まれる場合であっても、上記の効果を得ることができる。

本発明の油性固形化粧料は、弾力性、指での取れ、及び耐衝撃性を更に向上させる観点から、上記（Ａ）成分として、融点が４５℃以下であり、レオメーターで測定される２５℃の硬度（測定条件：感圧軸の先端形状が直径５ｍｍの円盤状、針入速度２ｃｍ／分、針入度３ｍｍ）が０．５～５．０Ｎであるシリコーンワックスを含有することが好ましい。

また、本発明の油性固形化粧料は、弾力性付与の観点から、２５℃における粘度が５～５０ｍＰａ・ｓである低粘度油と、該低粘度油に分散する前記架橋型シリコーンエラストマーとを含む混合物が、油性固形化粧料全量を基準として２０～４５質量％配合されており、混合物のレオメーターで測定される２５℃の硬度（測定条件：感圧軸の先端形状が直径１０ｍｍの球状、針入速度６ｃｍ／分、針入度１０ｍｍ）が０．０５～０．５Ｎであることが好ましい。

本発明の油性固形化粧料は圧縮成形体であってもよい。

本発明によれば、指で弾力性を十分に感じることができる固形化粧料でありながらも、十分な耐衝撃性と、良好な使用性及び使用感（指で適量取ることが容易、化粧料の伸びが良い、密着性に優れ、パールむらの少ない化粧膜、しっとりとした仕上がり）とを有する油性固形化粧料を提供することができる。

本実施形態の油性固形化粧料は、粉体成分を４０～７０質量％含有し、粉体成分が光輝性粉体を含み、（Ａ）融点２５～５５℃のシリコーンワックス（以下、（Ａ）成分ということもある）と、（Ｂ）架橋型シリコーンエラストマー（以下、（Ｂ）成分ということもある）とを含む。

（融点２５～５５℃のシリコーンワックス）
融点２５～５５℃のシリコーンワックスとしては、シリコーン変性アクリルポリマー、アルキル変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーンなどを用いることができる。これらのうち、シリコーンエラストマーの分散性の観点から、アルキル変性シリコーンが好ましい。

シリコーン変性アクリルポリマーは、ポリシロキサンを含有するアクリルポリマーであり、例えば、（アクリレーツ／アクリル酸ステアリル／メタクリル酸ジメチコン）コポリマー、（アクリレーツ／アクリル酸ベヘニル／メタクリル酸ジメチコン）コポリマーなどが挙げられる。これらは、ＫＰ５６１Ｐ（信越化学工業社製、製品名）及びＫＰ５６２Ｐ（信越化学工業社製、製品名）などの市販品を用いることができる。

アルキル変性シリコーンは、アルキル基を含有するシリコーンであり、アルキル基は炭素数１２～５０の直鎖又は分岐鎖であることが好ましく、１８～４０の直鎖又は分岐鎖であることがより好ましく、ポリシロキサン鎖の側鎖、片末端、両末端のいずれに置換していてもよい。このようなアルキル変性シリコーンとしては、例えば、ステアリルジメチコン、アルキル（Ｃ２６－２８）ジメチコン、セテアリルメチコンなどが挙げられ、２５０３Ｃｏｓｍｅｔｉｃ ＷＡＸ（東レ・ダウコーニング社製、製品名）、ＢＥＬＳＩＬ ＳＤＭ ５０５５ＶＰ（旭化成ワッカーシリコーン社製、製品名）、ＢＥＬＳＩＬ ＣＤＭ ３５２６ＶＰ（旭化成ワッカーシリコーン社製、製品名）、ＳＦ１６３２（モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、製品名）などの市販品を用いることができる。

脂肪族アルコール変性シリコーンは、アルコキシ基を含有するシリコーンであり、アルコキシ基は炭素数１２～５０の直鎖又は分岐鎖であることが好ましく、１８～４０の直鎖又は分岐鎖であることがより好ましく、ポリシロキサン鎖の側鎖、片末端、両末端のいずれに置換していてもよい。このような脂肪族アルコール変性シリコーンとしては、例えば、（ステアロキシメチコン／ジメチコン）コポリマー、ステアロキシジメチコン、ベヘノキシジメチコンなどが挙げられ、ＫＦ７００２（信越化学工業社製、製品名）、ＢＥＬＳＩＬ Ｗ３２３０（旭化成ワッカーシリコーン社製、製品名）、ＡＢＩＬ Ｗａｘ２４３４（エボニックジャパン社、製品名）、ＡＢＩＬ Ｗａｘ２４４０（エボニックジャパン社、製品名）などの市販品を用いることができる。

本実施形態の油性固形化粧料においては、十分な耐衝撃性を確保しつつ、指で適量を取ることを更に容易にする観点から、融点２５～４５℃のシリコーンワックスを含むことが好ましい。

なお、本明細書において、シリコーンワックスの融点は、以下の方法によって測定される値を意味する。
試料を約５ｍｇ秤量し、アルミニウム試料パン中に入れる。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、示差走査熱量計「ＤＳＣ７０２０」（日立ハイテクサイエンス社製、製品名）中に設置する。電気冷却ユニット「Ｐｏｌｙｓｃｉｅｎｃｅ」（日立ハイテクサイエンス社製、製品名）を用いて、窒素ガス流量３０～５０ｍＬ／ｍｉｎのもと試料及び基準試料を－１０℃で１分間保持した後、昇温速度１０℃／ｍｉｎで－１０℃から１００℃まで昇温させ、降温条件－１０℃／ｍｉｎで１００℃から－１０℃まで降温させ、再び昇温速度１０℃／ｍｉｎで－１０℃から１００℃まで昇温することにより、融解吸熱カーブを得る。このときの２回目の昇温における融解吸熱カーブのピーク温度を融点として採用する。なお、ピーク温度が複数ある場合、融解温度が最も高いピーク温度を融点とする。

また、弾力性及び指での取れやすさの観点から、（Ａ）成分は、２５℃で流動性を示さず、半固形状又はペースト状であるものが好ましい。

なお、半固形状又はペースト状とは、レオメーター（レオテック社製）で測定される２５℃の硬度（測定条件：感圧軸の先端形状が直径５ｍｍの円盤状、針入速度２ｃｍ／分、針入度３ｍｍ）が０．１Ｎ～１０Ｎであることを指す。

本実施形態の油性固形化粧料は、適度な弾力性付与の観点から、上記の条件で測定される硬度が０．５Ｎ以上のシリコーンワックスを含むことが好ましく、弾力性及び指での取れやすさの観点から、０．５～５．０Ｎ、より好ましくは０．５～３．５Ｎのシリコーンワックスを含むことが好ましい。

本実施形態の油性固形化粧料は、弾力性、指での取れ、及び耐衝撃性を更に向上させる観点から、融点が４５℃以下であり、上記の条件で測定される硬度が０．５～５．０Ｎであるシリコーンワックスを含有することが好ましい。

（Ａ）成分は、１種を単独で又は２種以上を組み合わせて用いることができる。

本実施形態の油性固形化粧料における（Ａ）成分の含有量は、油性固形化粧料全量を基準として、１～２５質量％とすることができ、３～２０質量％であることが好ましく、５～１５質量％であることがより好ましい。

（架橋型シリコーンエラストマー）
架橋型シリコーンエラストマーとしては、架橋オルガノポリシロキサン（又はシロキサン）エラストマーを用いることができる。エラストマーは、乳化性及び非乳化性のシリコーンエラストマーのいずれであってもよい。なお、「乳化性」とは、架橋部分に親水基（例えば、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン等のポリオキシアルキレン又はポリグリセリン部分）を有する架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを意味し、「非乳化性」とは、架橋部に親水基（例えば、ポリオキシアルキレン又はポリグリセリン部分）を本質的に含まず、乳化能がない架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを意味する。

架橋型シリコーンエラストマーとしては、例えば、ジメチコンクロスポリマー、（ジメチコン／ビニルジメチコン）クロスポリマー、（ジメチコン／フェニルビニルジメチコン）クロスポリマー、（ビニルジメチコン／ラウリルジメチコン）クロスポリマー、ジメチコン／ビニルトリメチルシロキシケイ酸）クロスポリマーなどが挙げられる。

架橋型シリコーンエラストマーは、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサンとメチルビニルポリシロキサンを付加重合して得たシロキサン結合を骨格として架橋反応することによって得ることができる。

本実施形態の油性固形化粧料において、架橋型シリコーンエラストマーは、２５℃における粘度が５～５０ｍＰａ・ｓである低粘度油に分散させた混合物として配合されていてもよい。なお、２５℃における粘度は、Ｂ型粘度計（回転速度：１２ｒｐｍ）によって測定される値を意味する。

低粘度油としては、ジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリエチルヘキサノイン、スクワランなどが挙げられる。

混合物は、ゲル状又はペースト状などの膨潤物の形態であってもよい。混合物は、市販品を用いることも可能であり、市販品の例としては、以下のようなものが挙げられる。

ＫＳＧ－１５（（ジメチコン／ビニルジメチコン）クロスポリマーと、シクロペンタシロキサンとの混合物、エラストマー成分：約５質量％）、ＫＳＧ－１６（（ジメチコン／ビニルジメチコン）クロスポリマーと、ジメチコン６ｍＰａ・ｓとの混合物、エラストマー成分：約２５質量％）、ＫＳＧ－１８Ａ（（ジメチコン／フェニルビニルジメチコン）クロスポリマーと、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンとの混合物、エラストマー成分：約１５質量％）、ＫＳＧ－２１０（（ジメチコン／（ＰＥＧ－１０／１５））クロスポリマーと、ジメチコンとの混合物、エラストマー成分：約２５質量％）、ＫＳＧ－７１０（（ジメチコン／ポリグリセリン－３）クロスポリマーと、ジメチコンとの混合物、エラストマー成分：約２５質量％）ＫＳＧ－４１（（ビニルジメチコン／ラウリルジメチコン）クロスポリマーと、流動パラフィンとの混合物、エラストマー成分：約３０質量％）、ＫＳＧ－４２（（ビニルジメチコン／ラウリルジメチコン）クロスポリマーと、軽質イソパラフィンとの混合物、エラストマー成分：約２５質量％）、ＫＳＧ－４３（（ビニルジメチコン／ラウリルジメチコン）クロスポリマーと、トリ２－エチルヘキサン酸グリセリルとの混合物、エラストマー成分：約３０質量％）、ＫＳＧ－４４（（ビニルジメチコン／ラウリルジメチコン）クロスポリマーと、スクワランとの混合物、エラストマー成分：約５質量％）（以上、信越化学工業株式会社製）。

ＧＲＡＮＳＩＬ ＧＣＭ（ポリシリコーン－１１と、オクタメチルシクロテトラシロキサンとの混合物、エラストマー成分：約６質量％）、ＧＲＡＮＳＩＬ ＧＣＭ－５（ポリシリコーン－１１と、デカメチルシクロペンタシロキサンとの混合物、エラストマー成分：約６質量％）、ＧＲＡＮＳＩＬ ＩＤＳ（ポリシリコーン－１１と、イソデカンとの混合物、エラストマー成分：約７質量％）、ＧＲＡＮＳＩＬ ＤＭＧ－６（ポリシリコーン－１１と、ジメチコン６ｍＰａ・ｓとの混合物、エラストマー成分：約１８質量％）、ＧＲＡＮＳＩＬ ＤＭＧ－２０（ポリシリコーン－１１と、ジメチコン２０ｍＰａ・ｓとの混合物、エラストマー成分：約２５質量％）、ＧＲＡＮＳＩＬ ＤＭＧ－５０（ポリシリコーン－１１と、ジメチコン５０ｍＰａ・ｓとの混合物、エラストマー成分：約２６質量％）、ＧＲＡＮＳＩＬ ＰＭ（ポリシリコーン－１１と、フェニルトリメチコンとの混合物、エラストマー成分：約２０質量％）、ＧＲＡＮＳＩＬＩＮＩＮ（ポリシリコーン－１１と、イソノナン酸イソノニルとの混合物、エラストマー成分：約１５質量％）（以上、ＧＲＡＮＴ社製）。

ＶＥＬＶＥＳＩＬ １２５（アルキル（Ｃ３０－４５）セテアリルジメチコンクロスポリマーと、シクロペンタシロキサンとの混合物、エラストマー成分：約１２．５質量％）、ＶＥＬＶＥＳＩＬ Ｐｌｕｓ（アルキル（Ｃ３０－４５）セテアリルジメチコンクロスポリマーと、シクロペンタシロキサンと、ＰＥＧ／ＰＰＧ－２０／２３ジメチコン５ｍＰａ・ｓとの混合物、エラストマー成分：約２０質量％）、ＶＥＬＶＥＳＩＬ ＤＭ（セテアリルジメチコンクロスポリマーと、ジメチコン５ｍＰａ・ｓとの混合物、エラストマー成分：約１７質量％）（以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製）、ＢＥＬＳＩＬ ＥＧ ７（（ジメチコン／ビニルジメチコン）クロスポリマーと、ジメチコン５ｍＰａ・ｓとの混合物、エラストマー成分：約２２質量％）、ＢＥＬＳＩＬ ＲＥＧ １１０２（（ジメチコン／ビニルトリメチルシロキシケイ酸）クロスポリマーと、ジメチコン５ｍＰａ・ｓとの混合物、エラストマー成分：約１６質量％）（以上、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製）。

「シリコーンエラストマーブレンド９０４５」（ジメチコンクロスポリマーとデカメチルシクロペンタシロキサンとの混合物で架橋物（実分）は１２．５％）、「シリコーンエラストマーブレンド９０４１」（ジメチコンクロスポリマーとジメチコン５ｍＰａ・ｓとの混合物で架橋物（実分）は１６％）、「シリコーンエラストマーブレンド９０４０」（ジメチコンクロスポリマーとデカメチルシクロペンタシロキサンとの混合物で架橋物（実分）は１２％）（以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製）

本実施形態の油性固形化粧料における（Ｂ）成分の含有量（エラストマー成分）は、油性固形化粧料全量を基準として、３～１０質量％とすることができ、弾力性付与の観点から、４～８質量％であることが好ましく、５～７質量％であることがより好ましい。

本実施形態の油性固形化粧料は、２５℃における粘度が５～５０ｍＰａ・ｓである低粘度油と、該低粘度油に分散する前記架橋型シリコーンエラストマーとを含む混合物が、油性固形化粧料全量を基準として２０～４５質量％配合されることが好ましく、２５～４０質量％配合されることがより好ましい。

この場合、混合物における架橋型シリコーンエラストマー（エラストマー成分）の含有量は、混合物全量基準で、１０～３０質量％であることが好ましく、１５～２５質量％であることがより好ましい。エラストマー成分の含有量が上記の範囲であると、適度な弾力性と取れやすさとを両立することが容易となる。

また、混合物は、レオメーター（レオテック社製）で測定される２５℃の硬度（測定条件：感圧軸の先端形状が直径１０ｍｍの球状、針入速度６ｃｍ／分、針入度１０ｍｍ）が０．０５～０．５Ｎであるものが好ましく、０．０５～０．３Ｎであるものがより好ましく、０．１～０．２Ｎであるものが更に好ましい。このような混合物を上記の配合量で配合することにより、適度な弾力性と取れやすさとを両立することが容易となる。

上記の条件を満たす混合物として、上述した市販品を用いることができる。

本実施形態の油性固形化粧料においては、（Ａ）成分の含有量と（Ｂ）成分を含む上記混合物の含有量との合計が、油性固形化粧料全量を基準として、３０質量％～５５質量％とすることができ、弾力性付与の観点から、３５質量％～４５質量％であることがより好ましい。

また、（Ａ）成分と、（Ｂ）成分を含む上記混合物との好適な組み合わせとして、下記（ｉ）～（ｉｉｉ）が挙げられる。
（ｉ）硬度が０．５～５．０Ｎである（Ａ）シリコーンワックス１００質量部と、硬度が０．０５～０．５Ｎである混合物２００～５００質量部との組み合わせ。
（ｉｉ）硬度が５．０Ｎ超である（Ａ）シリコーンワックス１００質量部と、混合物５００～２０００質量部との組み合わせ。
（ｉｉｉ）硬度が５．０Ｎ超である（Ａ）シリコーンワックス１００質量部と、硬度が０．０５～０．１Ｎである混合物２００～５００質量部との組み合わせ。
なお、上記の（Ａ）成分及び混合物の硬度はそれぞれ上述した条件で測定される２５℃の硬度を意味する。

（粉体成分）
粉体成分の含有量は、油性固形化粧料全量を基準として４０～７０質量％とすることができ、成形性の観点から、５０～６０質量％であることが好ましい。また、本実施形態の油性固形化粧料においては、粉体成分が光輝性粉体を含み、光輝性粉体の含有量は、油性固形化粧料全量を基準として３０質量％以上とすることができ、パール感付与と成形性との両立の観点から、５～５０質量％であることが好ましく、３０～５０質量％であることがより好ましい。

光輝性粉体としては、例えば、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、ベンガラ被覆雲母チタン、ベンガラ・黒酸化鉄被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、魚鱗箔、酸化鉄被覆合成金雲母、アルミニウムフレーク、二酸化チタン被覆ガラスフレーク、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末等が挙げられる。

光輝性粉体は、平均粒径１０～１５０μｍの薄片状の光輝性粉体が好ましい。また、アスペクト比（長辺／厚み）は、均一な取れや密着性の点から、５～１０００が好ましく、１０～３００がより好ましい。

粉体成分は光輝性粉体以外の粉体を含むことができる。そのような粉体としては、通常、化粧料に用いられる粉体であれば、特に限定なく用いることができ、例えば、体質粉体、白色顔料、着色顔料等が挙げられる。粉体の形状についても特に限定されず、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造を有していてもよい。

具体的には、マイカ、合成マイカ、セリサイト、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化アルミニウムマグネシウム等の体質顔料類、酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料類、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル－メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン－メタクリル酸共重合体、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、セルロースパウダー、Ｎ－アシルリジンパウダー等の有機粉体類、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化チタン被覆ナイロン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカ等の複合粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸が挙げられる。

着色顔料としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機性着色顔料、赤色２２８号、赤色２２６号、青色４０４号、赤色２０１号、赤色２０２号、黄色４号アルミニウムレーキ等の有機性着色顔料、カルミン、ベニバナ等の天然色素などが挙げられる。

粉体成分は、１種を単独で又は２種以上を組み合わせて用いることができる。

（その他の油性成分）
本実施形態の油性固形化粧料は、上記（Ａ）成分以外の油性成分として、通常、化粧料に用いられる油剤であれば、固形油及び固形油以外の油剤など、特に限定なく用いることができる。油性成分は、１種を単独で又は２種以上を組み合わせて用いることができる。

固形油としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン等の炭化水素類、硬化ヒマシ油、水添ホホバ油、カルナウバロウ、ライスワックス等の植物由来油脂、トリベヘン酸グリセリル、コレステロール脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸類、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、上記（Ａ）成分以外のアルキル変性シリコーン、上記（Ａ）成分以外のアクリル変性シリコーン等のシリコーン類、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸イヌリン等の糖脂肪酸エステル類等が挙げられる。これらは、１種を単独で又は２種以上を組み合わせて用いることができる。

固形油以外の油剤としては、ペースト状油、液状油を用いることができる。ペースト状油としては、例えば、ワセリン、ヘキサ（ヒドロキシステアリン酸／ステアリン酸／ロジン酸）ジペンタエリスリチル、テトラ（ヒドロキシステアリン酸／イソステアリン酸）ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリ（カプリル酸／カプリン酸／ミリスチン酸／ステアリン酸）グリセリル、イソステアリン酸水添ヒマシ油、オレイン酸フィトステリル、ヘキサ（オレイン酸／パルミチン酸／ステアリン酸）スクロース、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス（ベヘニル／イソステアリル／フィトステリル）、ダイマージリノール酸（フィトステリル／イソステアリル／セチル／ステアリル／ベヘニル）、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、ビスジグリセリルポリアシルアジペート－２等が挙げられる。

液状油としては、例えば、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、トリエチルヘキサノイン、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ（カプリル・カプリン酸）グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸プロパンジオール、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン等のエステル油；ジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油；流動パラフィン、スクワラン、オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、スクワラン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油；ヒマワリ種子油、ホホバ種子油、オリーブ油、ヒマシ油等の植物油；イソステアリン酸等の高級脂肪酸；イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコール等の高級アルコール、などが挙げられる。

本実施形態の油性固形化粧料における上記（Ａ）成分以外の油性成分の含有量は、油性固形化粧料全量を基準として、２０～５５質量％が好ましく、２５～５０質量％がより好ましい。

本実施形態の油性固形化粧料は、粉体成分の分散における作業性の観点から、界面活性剤を含有してもよい。

界面活性剤としては、例えば、親水性ノニオン界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができる。親水性ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及び、それらのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、スルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリアスパラギン酸塩などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、レシチン、カルボベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤は１種を単独で又は２種以上を組み合わせて用いることができる。

上記の界面活性剤のなかでも、粉体成分の分散性の観点から、ポリエーテル変性シリコーンが好ましい。ポリエーテル変性シリコーンとしては、ＰＥＧ－１０ジメチコン、ＰＥＧ－９ジメチコン、ＰＥＧ－３ジメチコン、ＰＥＧ－１１メチルエーテルジメチコン、ＰＥＧ－９ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルＰＥＧ－９ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが挙げられる。

本実施形態の油性固形化粧料が界面活性剤を含む場合、その含有量は、油性固形化粧料全量を基準として、２．０質量％以下とすることができ、耐水性の観点から、０．５質量％以下が好ましい。

本実施形態の油性固形化粧料は、上記成分の他に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、ｐＨ調整剤、香料、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、キレート剤、消炎剤などを含有することができる。

本実施形態の油性固形化粧料は、ファンデーション、チーク、フェイスカラー、アイシャドウ、アイブロウ、口紅、コンシーラー等のメーキャップ化粧料などとして好適である。

次に、本実施形態の油性固形化粧料の製造方法について説明する。

本実施形態の油性固形化粧料の製造方法は、化粧料基材を圧縮成形する工程を備える。化粧料基材は、上述した、（Ａ）成分と、（Ｂ）成分又は（Ｂ）成分と低粘度油との混合物と、粉体成分と、必要に応じてその他の成分を含有することができる。

化粧料基材は、上述した本実施形態の油性固形化粧料が得られるように組成を適宜設定することができる。化粧料基材における各成分の配合量も上述した油性固形化粧料における好ましい範囲と同様にすることができる。

例えば、化粧料基材における粉体成分の含有量は、化粧料基材全量を基準として４０～７０質量％とすることができる。また、化粧料基材における光輝性粉体の含有量は、化粧料基材全量を基準として３０質量％以上とすることができる。更に、化粧料基材における（Ａ）成分の含有量は、化粧料基材全量を基準として１～２５質量％とすることができる。また、化粧料基材における（Ｂ）成分の含有量は、化粧料基材全量を基準として３～１０質量％とすることができる。更に、（Ｂ）成分は、低粘度油に分散させた混合物として化粧料基材に配合することができ、この場合、化粧料基材における混合物の含有量は、化粧料基材全量を基準として２０～４５質量％とすることができる。

化粧料基材はスラリーであってもよい。スラリーの調製は、上述した、（Ａ）成分と、（Ｂ）成分又は（Ｂ）成分と低粘度油との混合物と、粉体成分と、必要に応じてその他の成分とを混合する方法が挙げられる。混合は、例えば、粉体成分を混合した第１の混合物を得るステップと、（Ａ）成分と、（Ｂ）成分又は（Ｂ）成分と低粘度油との混合物と、必要に応じて配合されるその他の成分とを混合した第２の混合物を得るステップと、第１の混合物及び第２の混合物を混合するステップとを経て行うことができる。

第１の混合物を得るステップは、例えば、スーパーミキサー又はヘンシェルミキサーなどを用いて行うことができ、必要に応じてアトマイザーなどを用いて粉砕が行われてもよい。

第２の混合物を得るステップは、例えば、ディスパー、ホモミキサーなどを用いて行うことができ、２５～５０℃で上記各成分を混合することができる。

第１の混合物及び第２の混合物を混合するステップは、例えば、スーパーミキサーやヘンシェルミキサーなどを用いて行うことができ、必要に応じてアトマイザーなどを用いて粉砕が行われてもよい。

化粧料基材のスラリーは、圧縮成形後に除去される分散媒を含んでいてもよいが、油性成分として液状油が配合されている場合、そのような分散媒を用いなくても調製することができる。

化粧料基材の圧縮成形は、化粧料基材のスラリーを必要に応じて脱泡し、所定の容器に充填した後、これを吸引圧縮成形等でプレスすることにより行うことができる。プレスの条件は、特に限定されないが、例えば、室温、圧力２～６ｋｇｆ／ｃｍ^２の条件が挙げられる。プレスは１回であってもよく、２回以上であってもよい。圧縮成形した化粧料基材は、乾燥させてもよい。

所定の容器としては、金皿、樹脂皿などの中皿などが挙げられる。

以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。なお、表中の数値は、化粧料基材全量を基準とする含有量（質量％）を示す。

実施例に先立ち、各実施例で採用した評価方法を説明する。

（１）成形性
化粧料基材のスラリーを金皿に充填し、圧縮成形した際の表面の均一性、ヒビ、はがれ、亀裂等の有無を目視にて観察した。下記判定基準に従って４段階評価を行い、サンプル毎に評点を付し、ｎ＝５での平均点を以下の基準に従って判定した。
［評価基準］
４点：変化なく、均一である
３点：ヒビ、はがれ、亀裂等の発生がわずかに確認される
２点：ヒビ、はがれ、亀裂等の発生が確認される
１点：ヒビ、はがれ、亀裂等の発生頻度が非常に多い
［判定基準（評点の平均点）］
◎：３．５以上
○：３．０以上～３．５未満
△：２．０以上～３．０未満
×：２．０未満

（２）使用性及び使用感（弾力性、指での取れ）
化粧品評価専門パネル２０名に、油性固形化粧料のサンプルを指を使って使用してもらい、弾力性（化粧料を指で触れたときに、弾力性を感じるか）及び指での取れ（化粧料を指で取るときに、適量取れるか）について、各自が以下の評価基準に従って５段階評価を行いサンプル毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の基準に従って判定した。
［評価基準］
５点：非常に良い
４点：良い
３点：普通
２点：悪い
１点：非常に悪い
［判定基準（評点の平均点）］
◎：４以上
○：３以上４未満
△：２以上３未満
×：２未満

（３）使用性及び使用感（伸び、密着性、しっとり感、パールむらのなさ）
化粧品評価専門パネル２０名に、油性固形化粧料のサンプルを指を使って使用してもらい、伸び、密着性、しっとり感、及びパールむらのなさについて、各自が以下の評価基準に従って５段階評価を行いサンプル毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の基準に従って判定した。
［評価基準］
５点：非常に良い
４点：良い
３点：普通
２点：悪い
１点：非常に悪い
［判定基準（評点の平均点）］
◎：４以上
○：３以上４未満
△：２以上３未満
×：２未満

（４）耐衝撃性（落下強度）
各油性固形化粧料のサンプルを、内容物が上向きとなる向きで、７０ｃｍの高さからＰタイル上に１０回落下させた後の状態を観察し、下記判定基準に従って４段階評価を行いサンプル毎に評点を付し、ｎ＝５での平均点を以下の基準に従って判定した。
［評価基準］
４点：変化無し
３点：若干浮き、欠け、割れが生じるが問題なし
２点：部分的に浮き、欠け、割れがある
１点：全体的に浮き、欠け、割れがある
［判定基準（評点の平均点）］
◎：３．５以上
○：３．０以上～３．５未満
△：２．０以上～３．０未満
×：２．０未満

（実施例１～１９及び比較例１～６）
表１～６に示す組成のアイシャドウを以下の製法により調製し、上記の評価を行った。その結果を併せて表１～６に示す。

＜製法＞
成分１～１５を５０℃で均一に分散し、分散物Ｉを得た。成分１６～２２の粉体成分をヘンシェルミキサーで均一に分散し、混合物ＩＩを得た。分散物Ｉと混合物ＩＩとを混合し、化粧料基材のスラリーを調製した。化粧料基材のスラリーを金皿へ充填し、下記のプレス条件で圧縮成形を行い、油性固形化粧料を得た。
プレス条件：荷重３ｋｇｆ／ｃｍ^２で２秒間のプレスを２回

表１～５中、各成分の詳細は下記のとおりである。

シリコーンワックスＡ１：ＢＥＬＳＩＬ ＣＤＭ ３５２６ ＶＰ（東レ・ダウコーニング社製、製品名、アルキル（Ｃ２６－２８）ジメチコン）、融点４３．４℃、硬度０．６２７３Ｎ、２５℃においてペースト状
シリコーンワックスＡ２：ＢＥＬＳＩＬ ＳＤＭ ５０５５ ＶＰ（東レ・ダウコーニング社製、製品名、ステアリルジメチコン）、融点３０．７℃、硬度１９．６Ｎ超、２５℃において固形～半固形状
シリコーンワックスＡ３：ＫＦ－７００２（信越化学工業株式会社製、製品名、（ステアロキシメチコン／ジメチコン）コポリマー）、融点５４．５℃、硬度３．６２６Ｎ、２５℃において半固形状
シリコーンワックスＡ４：ＫＰ－５６１Ｐ（信越化学工業株式会社製、製品名、（アクリレーツ／アクリル酸ステアリル／メタクリル酸ジメチコン）コポリマー）、融点２９．７℃、硬度３．３３２Ｎ、２５℃において半固形状
シリコーンワックスＡ５：ＫＰ－５６２Ｐ（信越化学工業株式会社製、製品名、（アクリレーツ／アクリル酸ベヘニル／メタクリル酸ジメチコン）コポリマー）、融点５０．４℃、硬度１９．６Ｎ超、２５℃において固形状

ヘキサ（ヒドロキシステアリン酸／ステアリン酸／ロジン酸）ジペンタエリスリチル：コスモール １６８ＡＲＶ（日清オイリオグループ株式会社製、製品名）、融点２５．９℃、硬度０．９９９６Ｎ、２５℃においてペースト状
トリ（カプリル酸／カプリン酸／ミリスチン酸／ステアリン酸）グリセリル：サラコス３３４（日清オイリオグループ株式会社製、製品名）、融点３７．３℃、硬度８．６２４Ｎ、２５℃において半固形状
ラウリン酸：ＮＡＡ－１２２（日油株式会社製、製品名）、融点４７．８℃、硬度１９．６Ｎ超、２５℃において固形状

上記の油性成分の融点及び硬度は以下の方法で測定した。

（融点の測定）
試料を約５ｍｇ秤量し、アルミニウム試料パン中に入れた。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、示差走査熱量計「ＤＳＣ７０２０」（日立ハイテクサイエンス社製、製品名）中に設置する。電気冷却ユニット「Ｐｏｌｙｓｃｉｅｎｃｅ」（日立ハイテクサイエンス社製、製品名）を用いて、窒素ガス流量３０～５０ｍＬ／ｍｉｎのもと試料及び基準試料を－１０℃で１分間保持した後、昇温速度１０℃／ｍｉｎで－１０℃から１００℃まで昇温させ、降温条件－１０℃／ｍｉｎで１００℃から－１０℃まで降温させ、再び昇温速度１０℃／ｍｉｎで－１０℃から１００℃まで昇温することにより、融解吸熱カーブを得た。このときの２回目の昇温における融解吸熱カーブのピーク温度を融点として採用した。なお、ピーク温度が複数ある場合、融解温度が最も高いピーク温度を融点とした。

（硬度の測定）
レオメーター（レオテック社製）を用い、感圧軸の先端形状：直径５ｍｍの円盤状、針入速度２ｃｍ／分、針入度３ｍｍ、温度２５℃の条件で硬度を測定した。

シリコーンエラストマーＢ１：９０４１ Ｓｉｌｉｃｏｎｅ Ｅｌａｓｔｏｍｅｒ Ｂｌｅｎｄ（東レ・ダウコーニング社製、製品名、（ジメチコンクロスポリマー１６質量％とジメチコン８４質量％との混合物）、硬度０．１９６Ｎ
シリコーンエラストマーＢ２：ＢＥＬＳＩＬ ＥＧ ７（旭化成ワッカーシリコーン株式会社製、製品名、（ジメチコン／ビニルジメチコン）クロスポリマー約２２質量％とジメチコン約７８質量％との混合物）、硬度０．２９４Ｎ
シリコーンエラストマーＢ３：ＢＥＬＳＩＬ ＲＥＧ １１０２（旭化成ワッカーシリコーン株式会社製、製品名、（ジメチコン／ビニルトリメチルシロキシケイ酸）クロスポリマー約１６質量％とジメチコン約８４質量％との混合物）、硬度０．０７８４Ｎ
シリコーンエラストマーＢ４：ＫＳＧ－１６（信越化学工業株式会社製、製品名、（ジメチコン／ビニルジメチコン）クロスポリマー約１５質量％とジメチコン約８５質量％との混合物）、硬度０．０８８２Ｎ
シリコーンエラストマーＢ５：ＫＳＧ－１８Ａ（信越化学工業株式会社製、製品名、（ジメチコン／フェニルビニルジメチコン）クロスポリマー約１５質量％とジフェニルシロキシフェニルトリメチコン約８５質量％との混合物）、硬度０．１９６Ｎ

上記の混合物の硬度は、レオメーター（レオテック社製）を用い、感圧軸の形状：直径１０ｍｍの球状、針入速度６ｃｍ／分、針入度１０ｍｍ、温度２５℃の条件で測定した値である。

表１～４に示されるように、実施例１～１９で得られる油性固形化粧料は、（１）成形性、（２）弾力性、指での均一な取れ、（３）伸び、密着性、パールむらのなさ、しっとりとした仕上がり、（４）耐衝撃性のすべてにおいて十分な評価であることが確認された。

（実施例２０：チーク）
（成分） （配合割合（質量％））
１． シリコーンワックスＡ１ １０．００
２． シリコーンエラストマーＢ１ ３０．００
３． シリコーンエラストマーＢ４ ５．００
４． トリ（カプリル・カプリン酸）グリセリル ５．００
５． タルク １０．００
６． マイカ １０．００
７． 合成金雲母 ２０．５０
８． シリカ ３．００
９． 雲母チタン ５．００
１０．赤色２０１号 ０．５０
１１．赤色２０２号 ０．５０
１２．黄色４号アルミニウムレーキ ０．５０

＜製法＞
成分１～４を５０℃で均一に分散し、分散物Ｉを得た。成分５～１２の粉体成分をヘンシェルミキサーで均一に分散し、混合物ＩＩを得た。分散物Ｉと混合物ＩＩとを混合し、化粧料基材のスラリーを調製した。化粧料基材のスラリーを金皿へ充填し、下記のプレス条件で圧縮成形を行い、チークを得た。
プレス条件：荷重３ｋｇｆ／ｃｍ^２で２秒間のプレスを２回

＜評価＞
得られたチークについて、上記と同様の評価を行ったところ、成形性、弾力性、指での均一な取れ、伸び、密着性、パールむらのなさ、しっとりとした仕上がり、耐衝撃性のすべてにおいて「◎」であった。

Claims (5)

1. 粉体成分を４０～７０質量％含有する油性固形化粧料であって、
   前記粉体成分が光輝性粉体を含み、
   （Ａ）融点２５～４５℃のシリコーンワックスと、（Ｂ）架橋型シリコーンエラストマーと、を含み、
   前記（Ａ）成分の含有量が、油性固形化粧料全量に対して、３～２５質量％であり、
   前記（Ｂ）成分の含有量が、油性固形化粧料全量を基準として、３～１０質量％である、油性固形化粧料。
2. 粉体成分を４０～７０質量％含有する油性固形化粧料であって、
   前記粉体成分が光輝性粉体を含み、
   （Ａ）融点２５～４５℃のシリコーンワックスと、（Ｂ）架橋型シリコーンエラストマーと、を含み、
   前記（Ａ）成分の含有量が、油性固形化粧料全量に対して、３～２５質量％であり、
   前記（Ｂ）成分の含有量が、油性固形化粧料全量を基準として、３～１０質量％であり、
   前記（Ａ）成分は、レオメーターで測定される２５℃の硬度（測定条件：感圧軸の先端形状が直径５ｍｍの円盤状、針入速度２ｃｍ／分、針入度３ｍｍ）硬度が０．５～５．０Ｎであり、
   前記油性固形化粧料は、２５℃における粘度が５～５０ｍＰａ・ｓである低粘度油をさらに含み、
   前記（Ａ）成分、前記低粘度油及び前記（Ｂ）成分の合計含有量が、油性固形化粧料全量を基準として、３０質量％～４５質量％であり、
   前記低粘度油及び前記（Ｂ）成分の質量の合計が、前記（Ａ）成分１００質量部に対して、２００～５００質量部であり、
   前記（Ｂ）成分の含有量が、前記低粘度油及び前記（Ｂ）成分の質量の合計基準で１０～３０質量％であり、
   前記低粘度油及び前記（Ｂ）成分の混合物のレオメーターで測定される２５℃の硬度（測定条件：感圧軸の先端形状が直径１０ｍｍの球状、針入速度６ｃｍ／分、針入度１０ｍｍ）が、０．１～０．３Ｎである、油性固形化粧料。
3. 前記光輝性粉体の含有量が、油性固形化粧料全量を基準として、５～５０質量％である、請求項１又は２に記載の油性固形化粧料。
4. 前記光輝性粉体の含有量が、油性固形化粧料全量を基準として３０質量％以上である、請求項１～３のいずれか一項に記載の油性固形化粧料。
5. 圧縮成形体である、請求項１～４のいずれか一項に記載の油性固形化粧料。