JP2023085952A - サイプブレード及びタイヤ成型金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】成型面に対してぐらつきにくいサイプブレードを提供する。【解決手段】実施形態のサイプブレード30は、空気入りタイヤのトレッドを成型する成型部材12に埋め込まれる埋め込み部分31と、成型部材12から突出するサイプ形成部分32とを有するサイプブレード30において、サイプ形成部分32は、トレッドにサイプを形成する薄板34と、薄板34から埋め込み部分31にかけて徐々に厚くなる根元35とを有することを特徴とする。【選択図】図6
Description
本発明はサイプブレード及びタイヤ成型金型に関する。
空気入りタイヤのトレッドにサイプと呼ばれる細溝が設けられることがある。サイプはタイヤが加硫成型される際に形成される。例えば特許文献1に記載のように、サイプを形成するために、加硫成型に用いられるタイヤ成型金型にはサイプブレードと呼ばれる薄板が取り付けられる。取り付け方としては、タイヤ成型金型の成型面に形成された取り付け溝に板状のサイプブレードが嵌め込まれた形となっている。
ところで、特許文献1に開示されているようなサイプブレードは薄い1枚の板状の部材であるため、サイプブレードが成型面に対してぐらつきやすく、成型面に設けられた取り付け溝とサイプブレードとの間にゴムが侵入しやすかった。そのようにゴムが侵入すると加硫成型後の空気入りタイヤにバリとして残り、空気入りタイヤの外観を悪化させたり、排水性を低下させたりするおそれがあった。そしてそれらの問題を防ぐためにバリを取るという余計な工数が必要となっていた。
そこで本発明は、成型面に対してぐらつきにくいサイプブレード及びそのようなサイプブレードを備えるタイヤ成型金型を提供することを課題とする。
実施形態のサイプブレードは、空気入りタイヤのトレッドを成型する成型部材に埋め込まれる埋め込み部分と、前記成型部材から突出するサイプ形成部分とを有するサイプブレードにおいて、前記サイプ形成部分は、前記トレッドにサイプを形成する薄板と、前記薄板から前記埋め込み部分にかけて徐々に厚くなる根元とを有することを特徴とする。
実施形態のサイプブレードは上記の特徴を有するため成型面に対してぐらつきにくい。
図1に本実施形態のタイヤ成型金型10を示す。タイヤ成型金型10は、円周状に並べられた複数のセクター12と、複数のセクター12が形成する円周の軸方向両側に設けられた一対のサイドプレート14と、同じく一対のビードリング16とを備えている。サイドプレート14及びビードリング16は前記軸方向から見て円形である。
セクター12、サイドプレート14及びビードリング16は、空気入りタイヤ(以下「タイヤ」)を成型するための成型面12a、14a、16aを有する成型部材である。複数のセクター12の成型面12aは主にタイヤのトレッドを、一対のサイドプレート14の成型面14aは主にタイヤのサイド部を、一対のビードリング16の成型面16aは主にタイヤのビード部を、それぞれ成型する。
セクター12の材質は、限定されないが、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金(例えばAl-Cu系、Al-Mg系、Al-Mn系、Al-Si系の合金)である。またサイドプレート14及びビードリング16の材質は、限定されないが、例えば、一般構造用圧延鋼材(例えばSS400)等の鋼材である。セクター12、サイドプレート14、ビードリング16は、加硫成型時には、図示しない電気ヒータや高温蒸気により加硫成型温度(例えば130~200℃)に熱せられる。
セクター12には、金型内部に向かって突出した凸条20が形成されている。凸条20はタイヤのトレッドに溝を形成するためのものである。図1に示されている凸条20はタイヤ周方向に延びる主溝を形成するためのものだが、他にタイヤ幅方向に延びる横溝を形成するための凸条も金型内部に向かって突出して形成されている。そして、複数の凸条によって囲まれた凹部が形成されている。この凹部は、タイヤのトレッドにブロックを形成するためのブロック形成部22である。
ブロック形成部22の成型面12aから金型内部に向かって、サイプブレード30が突出している。サイプブレード30はタイヤのブロックにサイプを形成するためのものである。ここでサイプとは、タイヤのトレッドが接地したときに閉じる程度に十分に細い溝のことである。
図2~図6に示すように、サイプブレード30はセクター12に埋め込まれる埋め込み部分31と、セクター12の成型面12aから金型内部に向かって突出するサイプ形成部分32とを有している。以下の説明において、埋め込み部分31の方を「埋め込み側」、サイプ形成部分32の方を「突出側」とする。「突出側から見る」とは図2の矢印Bの方向から見ることを意味する。
埋め込み部分31はサイプ形成部分32よりも厚みのある板状の部分である。埋め込み部分31の平均厚みT1(図2参照)は例えば2.2mm以上2.8mm以下である。埋め込み部分31には、表面から裏面へ貫通する複数(図では3つ)の貫通孔33が設けられている。
また、図3及び図6に示すように、サイプ形成部分32は、トレッドにサイプを形成する薄板34と、薄板34から埋め込み部分31にかけて徐々に厚くなる根元35とを有している。
図4に示すように、薄板34は突出側から見て波形となっている。また図2等からわかるように、薄板34は互いに直交する3方向(例えば図4の上下方向、左右方向及び前記2方向に直交する方向)へ形状が変化する。そのことからわかるように、薄板34は、タイヤのトレッドにいわゆる3Dサイプを形成するための部分である。薄板34の突出側の端部にあたる先端34aは、タイヤのサイプの底部を形成する部分である。薄板34の厚みT2(図6参照)は例えば0.5mm以上0.8mm以下である。
図6に示すように、根元35においてはサイプ形成部分32の片面側のみへ厚みが増している。そのため、根元35はサイプ形成部分32の前記片面において凸となっている。根元35は、埋め込み側(図6の下側)ほど厚く、突出側(図6の上側)ほど薄くなっている。そして根元35の前記片面側の表面は、薄板34の表面に対して傾斜した傾斜面35aとなっている。傾斜面35aは、セクター12に埋め込まれたときに成型面12aに対して傾斜する。成型面12aに対する傾斜面35aの傾斜角度は例えば20°以上70°以下である。傾斜面35aは平面である。薄板34の前記片面の反対側の面(図6において右側の面)は、根元35の表面及び埋め込み部分31の表面と同一平面上にある。
このようなサイプブレード30は、3Dプリンタを使用した積層造形法により全体を一体として作製することができる。積層造形法では、金属粉が所定厚みずつ積層され、1層積層される毎にその層にレーザが照射されて焼結層が形成される。そのような焼結層が順次積層されることにより立体的なサイプブレード30の全体が完成する。金属としてはSUS630等のステンレス鋼が使用される。
完成したサイプブレード30はセクター12に取り付けられる。詳細には、まず、セクター12を鋳造するための型の内面にサイプブレード30が取り付けられる。このとき、サイプブレード30のサイプ形成部分32の全体が型に埋め込まれ、埋め込み部分31だけが型の内面から突出している。その型の内部に、セクター12の材料である熱された金属流体(例えばアルミニウムの流体)が流し込まれる。金属流体は埋め込み部分31の周囲はもちろんのこと埋め込み部分31に開けられた貫通孔33の内部にも流入する。
その後金属が冷却されて固まるとセクター12が完成する。そのセクター12にはサイプブレード30が固定されている。セクター12の材料である金属がサイプブレード30の埋め込み部分31の貫通孔33の内部に入り込んで固まっているため、サイプブレード30はセクター12から抜けない。セクター12において、サイプブレード30の埋め込み部分31が埋め込まれている部分が取り付け溝24(図6参照)となっている。
図6に示すように、サイプブレード30の埋め込み部分31の全体がセクター12の取り付け溝24の中にある。また、サイプブレード30のサイプ形成部分32の全体がセクター12の成型面12aから突出している。そのため、サイプ形成部分32の根元35の傾斜面35a全体が成型面12aから突出している。そして、成型面12a、傾斜面35a及び薄板34の前記片面が屈曲しながら連結されている。埋め込み部分31とサイプ形成部分32との境界面が成型面12aと同一面上にある。
セクター12とは別に、サイドプレート14、ビードリング16等のタイヤ成型金型10を構成する各部材が既知の方法で製造される。それらの各部材が組み立てられてタイヤ成型金型10が完成する。
タイヤ成型金型10でタイヤの加硫成型が行われると、セクター12の成型面12aによってトレッドが成型される。そのとき、成型面12aから突出したサイプブレード30のサイプ形成部分32によってトレッドにサイプが形成される。詳細には、サイプ形成部分32の薄板34によって3Dサイプが形成される。また、サイプ形成部分32の根元35によって、3Dサイプの接地面への開口端に面取り状の傾斜面が形成される。
以上のように、本実施形態のサイプブレード30は、セクター12に埋め込まれる埋め込み部分31と、セクター12の成型面12aから突出するサイプ形成部分32とを有している。そして、サイプ形成部分32は、タイヤのトレッドにサイプを形成する薄板34と、薄板34から埋め込み部分31にかけて徐々に厚くなる根元35とを有している。
このようにサイプ形成部分32の根元35が厚くなっているため、サイプ形成部分32が成型面12aに対してぐらつきにくくなっている。そして、サイプ形成部分32がぐらつきにくいため、セクター12に形成された取り付け溝24とサイプブレード30との間にゴムが侵入しにくく、加硫成型後のタイヤにバリが発生しにくい。そのため、バリ取りをしなくても、空気入りタイヤの外観が悪化しにくく、排水性が低下しにくい。また、厚い根元35の存在により、サイプブレード30の剛性が高くなっておりサイプブレード30が変形しにくくなっている。
また、上記のように、サイプ形成部分32の根元35が成型面12aに対して傾斜した傾斜面35aとなっており、成型面12a、傾斜面35a及び薄板34の表面が屈曲しながら連結されている。そのため、加硫成型時にサイプ形成部分32の根元35においてゴムが流動しやすくなっており、完成するタイヤのトレッドに欠陥が生じにくくなっている。
また、サイプブレード30は積層造形法により全体が一体として作製されたものであるため、強度が高く、また作製しやすい。
以上の実施形態に対して様々な変更を行うことができる。例えば、サイプブレードの根元においてサイプ形成部分の両面側へ厚みが増して両面側に傾斜面が形成されていても良い。また、サイプブレードの根元の面が、上記実施形態の傾斜面35aのような平面ではなく、曲面であっても良い。
10…タイヤ成型金型、12…セクター、12a…成型面、14…サイドプレート、14a…成型面、16…ビードリング、16a…成型面、20…凸条、22…ブロック形成部、24…取り付け溝、30…サイプブレード、31…埋め込み部分、32…サイプ形成部分、33…貫通孔、34…薄板、34a…先端、35…根元、35a…傾斜面
Claims (2)
- 空気入りタイヤのトレッドを成型する成型部材に埋め込まれる埋め込み部分と、前記成型部材から突出するサイプ形成部分とを有するサイプブレードにおいて、
前記サイプ形成部分は、前記トレッドにサイプを形成する薄板と、前記薄板から前記埋め込み部分にかけて徐々に厚くなる根元とを有することを特徴とする、サイプブレード。 - 空気入りタイヤのトレッドを成型する成型部材と、前記成型部材に取り付けられたサイプブレードとを有するタイヤ成型金型において、
前記サイプブレードは、前記成型部材に埋め込まれた埋め込み部分と、前記成型部材から突出したサイプ形成部分とを有し、
前記サイプ形成部分は、前記トレッドにサイプを形成する薄板と、前記薄板から前記埋め込み部分にかけて徐々に厚くなる根元とを有することを特徴とする、タイヤ成型金型。
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