JP2023073033A - 椅子及びその背もたれ - Google Patents

椅子及びその背もたれ Download PDF

Info

Publication number
JP2023073033A
JP2023073033A JP2021185832A JP2021185832A JP2023073033A JP 2023073033 A JP2023073033 A JP 2023073033A JP 2021185832 A JP2021185832 A JP 2021185832A JP 2021185832 A JP2021185832 A JP 2021185832A JP 2023073033 A JP2023073033 A JP 2023073033A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
support portion
backrest
lumbar support
chair
backrest plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021185832A
Other languages
English (en)
Inventor
佑太 松本
Yuta Matsumoto
大基 富山
Daiki Tomiyama
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Itoki Corp
Original Assignee
Itoki Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Itoki Corp filed Critical Itoki Corp
Priority to JP2021185832A priority Critical patent/JP2023073033A/ja
Publication of JP2023073033A publication Critical patent/JP2023073033A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Chair Legs, Seat Parts, And Backrests (AREA)

Abstract

【課題】背もたれ板を露出させたタイプの背もたれにおいて、デザイン性を確保しつつクッション性・フィット性と強度とをバランスさせた構造を実現する。【解決手段】背もたれ板5はエラストマのような軟質材から成っており、前向きに突出したランバーサポート部26とこれに連続したメインサポート部27及びロアサポート部28を有する。各サポート部26,27,28に抜き穴29,30,31が多段・多列に形成されている。ランバーサポート部26の箇所の抜き穴29は最も小さく、上下に行くに従って抜き穴30,31の大きさが大きくなっている。ランバーサポート部26の箇所で抜き穴29の開口面積は小さいため、着座者の身体への当たりの柔らかさを保持しつつ、必要な強度を確保してランバーサポート機能は損なわれない。【選択図】図6

Description

本願発明は椅子及びその背もたれに関するもので、特に、クッション材を設けずに背もたれ板が露出した状態で使用される背もたれ、及びこれを備えた椅子を好適な対象にしている。
椅子において背もたれは重要な要素であり、快適性を追求するために様々な工夫が成されている。背もたれに快適性を付与する重要な要素は、フィット性やクッション性、当たりの柔らかさであり、そこで、背もたれの前面をクッション材で構成したり、メッシュ材で身体を支持したりしている。メッシュ材は、通気性に優れているため蒸れを防止できる利点もある。
さて、着座者が背もたれに凭れる場合、上半身の中心線を背もたれの中心線に揃えているとは限らず、上半身を右又は左に倒した状態で凭れたり、背もたれに凭れつつ身体を右や左に捩じって後ろを向いたりすることがあるが、これらの場合、着座者の凭れ掛かりによる押圧力(体圧)は、背もたれの左側部又は右側部に偏って強く作用する。
そして、椅子の背もたれは、基本的には、着座者の押圧力によっては殆ど変形しない剛性を有していることが多いが、背もたれが剛性構造であると、着座者が身体を捩じった場合、身体の一部が背もたれの一部に強く当たることになって、快適性が損なわれてしまう。
そこで、背もたれが着座者の押圧力によって曲がり変形(捩じれ変形)することを許容する椅子が提案されており、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1は本願出願人の先願に係るもので、背支柱の上端に、左右長手のアッパサポートがばねに抗して水平旋回するように取付けられて、アッパサポートの左右両端に背もたれの左右両端部が連結されており、使用者の荷重が左右いずれかに偏って作用すると、アッパサポートが水平旋回することによって背もたれが捩れ変形する。
特開2020-58759号公報
特許文献1では、背もたれは着座者の押圧力によって曲がり変形(捩じれ変形)するため、上半身を右又は左にずらして背もたれに凭れ掛かった場合に、背もたれが追従して変形する。従って、着座者の身体の動きを許容できると共に、身体に対する当たりを柔らかくすることができる。その結果、快適性を大きく向上できる。
さて、合成樹脂製の背もたれ板を露出させたタイプの背もたれも広く知られている。このタイプの背もたれは、クッションタイプやメッシュタイプとは異なったシンプルな美観を有するが、背もたれ板はポリプロピレンのような硬い合成樹脂で作られていることが多いため、パイプ椅子のような簡易な椅子に多く見られ、オフィス用回転椅子のように人が長時間使用して執務する椅子への展開例は多くはないといえる。
しかし、背もたれ板で直接に着座者の身体を受けるタイプであっても、背もたれ板をエラストマのように弾性変形しやすい軟質の素材で作ったり、背もたれ板に多数の抜き穴を空けて弾性変形し易くしたりすると、シンプルな外観を呈しつつ高いクッション性・フィット性を確保して、オフィス用回転椅子にも展開可能である。抜き穴は模様としても機能するため、個々の抜き穴の形状と全体の配置パターンとを工夫することにより、高いデザイン性を確保できる。この点は、クッションタイプの背もたれやメッシュタイプの背もたれでは実現できない独自の利点である。
他方、背もたれは、着座した人の腰部を支えるランバーサポート部を有していることが多い。そして、背もたれ板が露出した背もたれでは、着座者の腰部が当たる部位が最も前に位置するように縦断側面視で前向きに膨れた形状に形成して、最も前に位置した部位をランバーサポート部と成すことになるが、背もたれ板に多数の抜き穴を形成していると、ランバーサポート部の強度が低下して適切な支持機能を損なう等の問題が懸念される。
本願発明はこのような現状を背景にして成されたものであり、ランバーサポート部を有する背もたれ板に関し、着座者の腰部の支持機能や全体的な変形の容易性、強度等を確保できる技術を開示せんとするものである。
本願発明は多くの構成を備えており、典型例を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明は、
「支持部材に支持される背もたれ板を有し、前記背もたれ板に、前後に開口した抜き穴が多数形成されている椅子の背もたれにおいて、
前記背もたれ板は、着座者の腰部を支持するように縦断側面視で前向きに膨れたランバーサポート部と、前記ランバーサポート部の上方に広がるメインサポート部と、前記ランバーサポート部の下方に位置したロアサポート部と、を有し、
前記ランバーサポート部に形成される前記抜き穴は、前記メインサポート部及び前記ロアサポート部に形成される前記抜き穴よりも正面視での開口面積が小さい」
という構成になっている。
請求項2の発明は請求項1の展開例であり、
「前記ランバーサポート部では、高さ方向の中央に近い位置ほど前記抜き穴の開口面積が小さい」
という構成になっている。
請求項3の発明は請求項1又は2の展開例であり、
「前記背もたれ板の前記ランバーサポート部では、最も前に位置した稜線部とその上下両側とに抜き穴の列が形成されており、前記稜線部において曲げ強度が最も高くなるように、前記稜線部に位置した各抜き穴の開口面積が前記稜線部の上下両側に位置した各抜き穴の開口面積よりも小さくなっている」
という構成になっている。
請求項4の発明は請求項1~3のうちのいずれかの展開例であり、
「前記背もたれ板の各抜き穴は左右幅よりも高さが大きい縦長の形態になっており、前記ランバーサポート部における前記抜き穴の高さの平均が、前記メインサポート部及びロアサポート部における前記抜き穴の高さの平均よりも小さくなっている」
という構成になっている。なお、背もたれ板の縁部に位置した抜き穴は、背もたれ板の形状によっては縦長でない形状になる可能性があるが、請求項4は、そのようなものを除いて基本的な抜き穴を対象にしている。従って、請求項4では、多数の抜き穴は主として縦長になっていたら足りる。
請求項5の発明は請求項4を具体化したもので、
「前記背もたれ板を構成するランバーサポート部とメインサポート部とロアサポート部には、左右方向に並んだ前記抜き穴の群よりなる抜き穴列が多段に形成されており、
前記ランバーサポート部における前記抜き穴列の単位横幅当たりの前記抜き穴の数が、前記メインサポート部及びロアサポート部における前記抜き穴列の単位横幅当たりの前記抜き穴の数よりも多くなっている」
という構成になっている。
請求項6の発明は請求項5を具体化したもので、
「前記背もたれ板のランバーサポート部には、稜線の箇所に形成された前記抜き穴の群と、その上下に位置した前記抜き穴の群とが形成されており、稜線の箇所の前記抜き穴はその上下の箇所の前記抜き穴よりも高さが小さくなっている」
という構成になっている。
請求項7の発明は、請求項1~6のうちのいずれかの展開例であり、
「前記背もたれ板において上下に隣り合った前記抜き穴は、水平方向にオフセットされている」
という構成になっている。
請求項8の発明は背もたれ板の素材を特定したもので、請求項1~7のうちのいずれかにおいて、
「前記背もたれ板は、着座者の押圧力によって撓み変形し得るようにエラストマ又は他の軟質材で作られている」
という構成になっている。
請求項9の発明は椅子を対象にしており、
「請求項1~8のうちのいずれかに記載した椅子の背もたれ及び支持部材を備える」
という構成である。
背もたれ板がポリプロピレンのような比較的硬い合成樹脂製で作られていても、薄肉化すると着座者の押圧力で撓み変形させることができるが、背もたれ板が薄すぎると破損や塑性変形のおそれが現れるため、薄くすることには限度がある。
これに対して本願発明のように背もたれ板に多数の抜き穴を形成していると、背もたれ板は、適度の弾性の素材を選択することにより、耐久性を確保できる厚さを保持しつつ、人が凭れ掛かったときの撓み変形を許容して、背もたれ板の耐久性とクッション性・フィット性とを両立できる。また、メッシュ仕様の背もたれと同様の高い通気性を確保できる。
さて、ランバーサポート部は縦断側面視で前向きに膨れているため、この面では、前からの押圧力に対する抵抗は平板の場合に比べて高くなっているが、平面視では、着座者の腰部を包むために前向きに凹むように緩く湾曲しているのが普通であり、この面では、ランバーサポート部は平板の場合よりも後ろ向きの押圧力で変形しやすくなっているといえる。
従って、ランバーサポート部は、三次元に曲がっていることに起因して、後ろ向きの押圧力に対して抵抗として作用する(突っ張る)要素と、後ろ向きの押圧力によって容易に伸び変形する要素とがあるが、ランバーサポート部には両端支持の状態で荷重(押圧力)が掛かるため、突っ張り力は弱くて容易に伸び変形する傾向が強いと云える。従って、抜き穴が背もたれ板に一様な大きさ・密度で形成されていると、ランバーサポート部が押圧力に負けて後ろ向きに伸び変形し過ぎることが想定される。
これに対して本願発明のように、ランバーサポート部に形成した多数の抜き穴の面積が、それぞれメインサポート部及びロアサポート部よりも小さく設定されていると、単位面積当たりの曲げ強度を高くして後ろ向きの押圧力に対する抵抗を増大できるため、着座者の押圧力(体圧)によってランバーサポート部が凹み変形してしまうことを防止して、着座者の腰部をしっかり支持できる。
オフィス等において、椅子に腰掛けた状態でパソコン操作等の執務を行う場合、腰部をランバーサポート部に当てることによって上半身をほぼ直立させた姿勢を安定的に採ることが多く、この場合、ランバーサポート部には着座者の押圧力がある程度の強さで作用するが、本願発明では、ランバーサポート部は、抜き穴の存在によって若干の変形は許容しつつ必要な強度を確保できるため、着座者の腰部を、適度のクッション性とフィット性とを保持しつつ、しっかりと支えることができる。
また、椅子の使用態様として、腰部をランバーサポート部に当てた状態で、背中はメインサポート部から浮かせた状態で後傾することもよくあり、この場合は、上半身を直立させた状態よりも強い押圧力がランバーサポート部に作用するが、本願発明では、ランバーサポート部は単位面積当たりの曲げ強度が高くなっているため、このようにランバーサポート部のみで上半身を支持しつつ身体を後傾させる動きに際しても、着座者の腰部を的確に支持できる。
メインサポート部にも多数の抜き穴が存在するため、着座者が上半身を後傾させて背中をメインサポート部に当てた状態では、メインサポート部は身体に追従して膨れ変形できる。従って、リクライニング時のように、上半身を背もたれに全体的に当てた状態でのクッション性・フィット性は確保できる。
このように、本願発明では、凭れ掛かり時のクッション性・フィット性を保持しつつ、ランバーサポート部に必要な強度を保持できる。また、多数の抜き穴は、例えば、形状を揃えつつ大きさを変えることによってそれぞれの部位に必要な強度を保持することを容易に実現できるため、デザイン的な統一性を確保して商品価値を向上できる利点もある。
ランバーサポート部に上下複数段の抜き穴群が形成されている場合は、請求項2,3の構成を採用すると、ランバーサポート部としての形状は確保しつつ、平面視及び縦断側面視での適度の弾性変形を許容できるため、ランバーサポート部が硬すぎる現象を防止して、着座者の体格にフィットさせることができる。また、曲げ強度がメインサポート部及びロアサポート部に向けて徐々に変化するため、背もたれ板全体としての滑らかな変形を許容して、違和感のない身体支持状態を実現できる利点もある。
抜き穴は様々な形状を採用できるが、請求項4のように縦長の形態を採用すると、背もたれ板は着座者の押圧力によって左右方向に広がる状態で変形しやすくなるため、身体に対する高いフィット性を確保できる。すなわち、背もたれ板が上半身を包むように変形することを容易に実現できる。
また、抜き穴の高さを徐々に変えてもデザイン的な違和感は無いため、美観の面でも優れている。更に、抜き穴が縦長であると、背もたれ板は上下方向の引っ張り強度は高くて左右方向の引っ張り強度は低くなるため、着座者が身体を後傾させたときに、上半身を包み込むように変形することが容易になって、フィット性を向上できる一方、上下方向の伸びに対する弾性抵抗は強いため、高いクッション性も確保できる。従って、クッション性とフィット性との両方を向上させる上で好適である。
背もたれ板においてランバーサポート部は最も前に位置しており、着座者の身体が最も当たりやすいため、左右全幅にわたって当たりの柔らかさを確保できるのが好ましい。また、着座者はランバーサポート部に腰を当てた状態で身体を捩じることもあり、すると、ランバーサポート部の左部位又は右部位に腰部が片当たりする現象も生じるが、このような状態でも、着座者に突き上げ感を感じさせないのが好ましい。
この点、請求項5の構成を採用すると、着座者の腰部が当たり得る範囲の全体にわたって抜き穴が形成されていて、ランバーサポート部は全幅にわたって弾性変形を許容できる。従って、ランバーサポート部は、適度の強度を保持しつつ適度のクッション性・フィット性を保持できるのであり、これにより、着座者が様々な態勢でランバーサポート部に腰部を当てても、当たりの柔らかさを確保できる。従って、椅子の品質を向上できる。
なお、メインサポート部は着座者の背中を支持するが、人の背中は、平面視で後ろ向きに膨れるように湾曲しているものの、湾曲の程度は小さくてかなり平坦面に近い状態になっているので、メインサポート部もランバーサポート部に比べると平板に近い形状になる。従って、全幅に対する抜き穴の数がランバーサポート部よりも少なくても、着座者の押圧や捩じりに対して追従良く撓み変形させることができる。
結局、本願発明は、背もたれ板の形状や荷重の掛かり方に応じて抜き穴の大きさ(開口面積)や配置等を各請求項において工夫しているものであり、これにより、デザイン性を考慮しつつ各部位の強度をバランスさせて高い品質を確保できる。
請求項6の発明は請求項2,3の具体例としての意味を持つものであり、ランバーサポート部の形状保持機能を確保しつつ、ランバーサポート部の全体としての変形を許容して高いフィット性・クッション性を確保できる。
請求項7のように上下の抜き穴を水平方向(左右方向)にオフセットさせる(すなわち、抜き穴を千鳥配列させる)と、肉の部分は斜め格子状に連続するため、背もたれ板が押圧力によって後ろ向きに伸び変形しやすくなる。従って、過剰に軟質の材料を使用することなく、クッション性・フィット性を向上できる。
背もたれ板は様々な材料で製造できるが、請求項8のようにエラストマ又は他の軟質材で作ると、好適である。
実施形態の椅子の外観図であり、(A)は前から見た斜視図、(B)は側面図、(C)は後ろから見た斜視図、(D)は平面図である。 (A)は座クッションを分離した正面図、(B)は下方から見た斜視図、(C)は背面図である。 (A)は主要要素を分離した斜視図、(B)は背もたれのみの側面図(鉛直線Vを傾斜させた姿勢で表示している)、(C)は下方から見た分離斜視図である。 (A)は背もたれのみを後ろから見た斜視図、(B)は背部を前から見た分離斜視図、(C)は背部を後ろから見た分離斜視図、(D)はロア補強体の部分斜視図である。 (A)は裏カバーを除去して背部を後ろから見た斜視図、(B)は(A)と同様に後ろから見つつ方向を少し変えて見た斜視図、(C)はセンター裏カバーの前方斜視図、(D)はサイド裏カバーの前方斜視図である。 背もたれ板の正面図である。 背もたれを示す図で、(A)は背面図、(B)は平面図、(C)は底面図である。 (A)は図6の VIIIA-VIIIA視断面図、(B)は(A)の下端部の拡大図、(C)は切断位置を(A)よりも少し左右方向に半ピッチずらした状態での縦断側面図である。 (A)は背もたれ板の上部の正面図、(B)は図8(A)の上端部の拡大図、(C)は左右中間部での縦断側面図である。 (A)は背もたれ板の上端部の部分的な斜視図、(B)は図6のB-B視平断面図、(C)は図6のC-C視平断面図である。
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下では、方向を特定するため前後・左右の文言を使用するが、これの方向は、普通に着座した人から見た状態として特定している。正面視方向は、着座者と対向した方向である。
(1).椅子の基本構造
まず、椅子の概要を説明する。本実施形態の椅子は、オフィス等で多用されている回転椅子に適用している。図1,2に示すように、椅子は、主要部材として、座1と背もたれ2、背もたれ2が取り付けられたバックフレーム3、及び脚装置4を備えている。バックフレーム3は支持部材の一例である。
図4(A)~(C)から理解できるように、背もたれ2は、背もたれ板5と、その上端部に後ろから重なったアッパ補強部材6と、背もたれ板5の下部に後ろから重なったロア補強部材7とで構成されており、これらの三者は、インサート成型法によって一体に接合されている。背もたれ板5はエラストマのような樹脂系の軟質材からなっており、補強部材6,7はポリプロピレンやポリカーボネート等の硬い合成樹脂材からなっている。
他方、バックフレーム3は、背支柱8と、その上端に水平旋回可能に取り付けられた左右長手のアッパサポート9と、背支柱8の下端に一体に設けた左右長手のロアサポート10とを有しており、おおまかには全体として横向き正面視H形に形成されている。そして、アッパサポート9に背もたれ2のアッパ補強部材6が連結されて、ロアサポート10に背もたれ2のロア補強部材7が連結されている。アッパサポート9は、ばね手段に抗して水平旋回する。従って、アッパサポート9の水平旋回により背もたれ板5の捩れ変形が許容されている。
図1(A)のとおり、脚装置4は、キャスタを備えた枝足の群を有している。また、図2(B)及び図3(A)に示すように、脚装置4の中央部には脚支柱(ガスシリンダ)11が立設されていて、脚支柱11にベース体12が固定され、ベース体12に、バックフレーム3が後傾動自在に連結されている。正確に述べると、図3(C)に示すように、バックフレーム3の下端には前向き部3aが一体に設けられており、前向き部3aがジョイント部材13に固定されて、ジョイント部材13が、ベース体12に左右長手の支軸14(図3(A)参照)を介して後傾動自在に連結されている。
なお、支軸14は、ばね手段の一例としてのトーションバーを介してベース体12に回転自在に保持されている。従って、本実施形態の椅子は、背もたれ2が弾性手段に抗して後傾動するリクライニング椅子である。
なお、座1は、図示しないインナーシェルにクッション材を重ね保持して表皮材で覆った構造であり、インナーシェルは、図3(A)及び図2(B)に示すアウターシェル15に取付けられている。アウターシェル15は、固定部15aに可動部15bが前後スライド可能に装着された構造であり、固定部15aは、ベース体12とジョイント部材13とに相対回動自在に連結されている。従って、背もたれ2が後傾すると、座1は背もたれ2に連動して後傾する(シンクロする)。
例えば図1(C)(D)のように、バックフレーム3のアッパサポート9は、背支柱8から左右両方に延びており、平面視では全体として前向きに凹んだ(後ろ向きに膨れた)弓形(円弧状)の形態を成している。他方、背もたれ2の上端を構成するアッパ補強部材6は、平面視で前向きに僅かに凹んでいるが、凹みの程度はアッパサポート9よりも遥かに緩くなっており、アッパ補強部材6の左右両端がアッパサポート9の左右両端に連結されている。
従って、アッパ補強部材6とアッパサポート9との間に三日月状の空間が空いている。背もたれ2のアッパ補強部材6は既述のとおりポリプロピレン等の合成樹脂製であり、三日月状の空間の存在により、若干は後ろ向きに膨れるように撓み変形することが許容されている。但し、変形の程度は大きくはない。
なお、図4(C)に示すように、アッパ補強部材6の左右両端に係合突起16が後ろ向きに突設されている一方、図4(B)に示すように、アッパサポート9の左右両端部には係合凹所17が前向きに開口しており、係合突起16が係合凹所17に嵌合している。本願発明との直接の関係はないので図示は省略しているが、係合突起16に設けた係合爪が係合凹所17に設けた係合穴に上から嵌合して、図示しないクリップ体によって係合爪が上向き移動不能に保持されている。なお、アッパ補強部材6はビス止め等の他の手段でアッパサポート9に固定してもよい。また、アッパ補強部材6を全長に亙ってアッパサポート9に重ねることも可能である。
図4(B)(C)に示すように、ロアサポート10は、背面視において全体として上向きに凹むように湾曲しつつ、平面視でも、全体として前向きに凹むように大きく湾曲している。従って、バックフレーム3は、全体として錨に似た形態になっている。
図7に明示するように、背もたれ2の下端は、正面視では下向きに膨れるように湾曲した形状で、底面視では前向きに凹む(後ろ向きに膨れる)ように湾曲している。従って、ロア補強部材7も、正面図(及び背面視)で下向きに膨れるように(上向きに凹むように)湾曲して、平面視(及び底面視)では前向きに凹む(後ろ向きに膨れる)ように湾曲している。
例えば図4(C)から理解できるように、背もたれ2を構成するロア補強部材7は、全長にわたってバックフレーム3のロアサポート10に重なっている。そして、図4(D)に示すように、ロア補強部材7の左右端部に、ブロック状で後ろ向きに窄まったボス体18を設けている一方、図3(D)に示すように、バックフレーム3におけるロアサポート10の左右両端に、ボス体18が嵌入する凹所19を形成し、凹所19に向けてロアサポート10に後ろから挿通したビス24(図3(D)参照)をボス体18にねじ込むことにより、ロア補強部材7を(背もたれ板5の下部を)をロアサポート10に固定している。
バックフレーム3を構成する背支柱8及びロアサポート10は例えばアルミダイキャスト品であり、強度メンバーとして後ろ向きに開口した凹所が多数形成されているため、裏面は、図4(C)に示すように、センター裏カバー20と左右のサイド裏カバー21とで覆われている。センター裏カバー20には前向きに突出したボス22を突設しており、ボス22がロアサポート10に螺着されている。サイド裏カバー21は、係合爪23の群を利用してロアサポート10に固定している。なお、ロアサポート10には肘掛けを取り付け可能であり、肘掛けのベースはサイド裏カバー21と同じ形状になっている。
(2).背もたれの基本構造
図3(B)や図8(A)に示すように、背もたれ2は下端寄り部位が最も前に出るように縦断側面視で曲がっており、最も前に位置した部位がランバーサポート部26になって、ランバーサポート部26よりも上の部分はメインサポート部27になり、ランバーサポート部26よりも下方の部位はロアサポート部28になっている。
ランバーサポート部26について述べると、ランバーサポート部26は側断面視で緩く湾曲した左右横長の稜線部を有しているが、人の身体はランバーサポート部26に線接触する訳ではなく、例えば背中をメインサポート部27に対して浮かせつつ少し後傾したり、逆に、上半身を前傾させつつ腰部をランバーサポート部26に当てたりすることがあり、従って、ランバーサポート部26はある程度の上下幅を有している。
背もたれ2について見ると、平面視及び底面視では、ロアサポート部28の下端が前向きに大きく凹んだ弓なりの形状を成して、ランバーサポート部26の頂点(稜線)は、ロアサポート部28の下端よりは緩く湾曲しつつ前向きに凹んでおり、更に、メインサポート部27の上端は、ランバーサポート部26の稜線よりも緩い曲率で前向きに凹んでいるものの、平坦に近い状態になっている。従って、図7に示すように、平面視におけるランバーサポート部26の最大凹み寸法L1と、メインサポート部27の上端の平面視での最大凹み寸法L2と、ロアサポート部28の下端の最大凹み寸法L3との三者は、H2<H1<H3の関係になっている。
図6に明示するように、背もたれ板5には、抜き穴29,30,31が多段多列に形成されている。すなわち、ランバーサポート部26には多数の3段の抜き穴29の群が形成されて、メインサポート部27には6段の抜き穴30の群が形成されて、ロアサポート部28には2段の抜き穴31の群が形成されている。各抜き穴29,30,31は、基本的には、高さが左右幅よりも大きい縦長(上下長手)の長方形の形態を成しているが、外周部に位置したものは、背もたれ板5の外形の湾曲や傾斜に起因して長方形でない形態を成しているものもある。
背もたれ板5の外周部の前面には、サイドダミー凹所33とアッパダミー凹所34とロアダミー凹所35の群が形成されている。これらダミー凹所33,34,35は、背もたれ板5の剛性(強度)を確保しつつ抜き穴29,30,31の例の一部を成すように見せて見た目を良くするために設けている。
詳細に見ると、サイドダミー凹所33の群は最下段のものを除いて抜き穴29,30から独立しており、アッパダミー凹所34は左右端部のものを除いて抜き穴30と連続しており、ロアダミー凹所35の群は、左右端部の2本を除いて抜き穴31と連続している。なお、上コーナー部のダミー凹所はサイドダミー凹所33の一部と見ることもできるが、アッパダミー凹所34に含めている。
さて、背もたれ板5の上端部には裏側からアッパ補強部材6が一体に接合されているため、アッパ補強部材6の接合代としてある程度の上下幅が必要であるが、本実施形態では、最上段のメイン抜き穴30を上端縁の近くまで延ばしたような形態を呈しつつ、アッパ補強部材6と重なっている部分をアッパダミー凹所34と成すことにより、美観と強度とを両立させている。
但し、図9(A)(B)及び図10(A)に示すように、各アッパダミー凹所34の上端は前後に貫通した開口36と連通している。開口36は、図9(B)(C)及び図10(A)に示すように密着・離反する一対の金型37,38を使用してアッパ補強部材6に背もたれ板5をインサート成型するに際して、アッパ補強部材6を一対の金型37,38の金型でしっかりと挟持するために形成されたものである。
すなわち、図9(B)(C)に示すように、アッパ補強部材6は、背面板6aと、アッパ抜き穴30の上端部の高さに位置して背面板6aから前向きに突出した第1リブ板6bとを有しているが、背面板6aを一方の金型37で支持しつつ、他方の金型38に、アッパダミー凹所34を形成する部分と連続してアッパ補強部材6の第1リブ板6bを押さえる突部が形成されているが、成型後に突部が抜けた部位が開口36として現れているものである。
図9(B)(C)に示すように、背もたれ板5の上端部は、アッパ補強部材6と一体化するための上厚肉部5aになっている。そして、アッパ補強部材6は、第1リブ板6bの下に位置して背面板6aと一体に繋がった前向きの第2リブ板6cを備えているが、第2リブ板6cに、上下に開口した第1連通穴39の群を左右方向に断続的に形成して、第1連通穴39に背もたれ板5の上厚肉部5aを通している。
また、背もたれ板5を構成する上厚肉部5aの上部はアッパ補強部材6の上部裏面に回り込んでいるが、背面板9aの上部に多数の第2連通穴40を左右に断続的に形成して、第2連通穴40に背もたれ板5の上厚肉部5aを通している。これら連通穴39,40に上厚肉部5aが通っているアンカー効果により、アッパ補強部材6の剥離を防止している。
図8(B)(C)に示すように、背もたれ板5の下端部はロア補強部材7の前面及び下面に重なる下重合部5bを備えている一方、図4(D)に部分的に示すように、ロア補強部材7は後ろ向きに開口したチャンネル状の形態を成して、その内部を1本の横長リブ41と多数の縦長リブ42とで多数の小室43に区分しており、各小室43の前板(底部)に複数の第3連通穴44を空けて、第3連通穴44から背もたれ板5の樹脂を小室43に流し込んでいる。
従って、背もたれ板5の下重合部5bに、ロア補強部材7の小室43に充満したアンカー部5cが繋がっており、アンカー部5cは後ろ向きに露出している。図4(A)に示すように、ロア補強部材7の上面も露出している。これら後ろ向きに露出した部位は、インサート成型に際しては、一方の金型37に密着している。
例えば図7(A)に明示するように、背もたれ2の下面は下向きに膨れるように湾曲している。そこで、バックフレーム3のロアサポート10は、美観の点から背もたれ2の下面に沿って延びるように形成しているが、この場合、背もたれ2に後ろ向きの外力が作用すると、背もたれ板5のうちランバーサポート部26の左右側方部に強い曲げ力が作用して、ランバーサポート部26の支持機能が低下するおそれがある。
そこで、本実施形態では、 図4(A)(C)(D)や図7(A)に示すように、ロア補強部材7の左右両端に、ランバーサポート部26の側方まで延びる上向き張り出し部7aを設けて、上向き張り出し部7aで背もたれ板5のうちランバーサポート部26の側方部を支持することにより、ランバーサポート部26の過剰な変形を防止している。
例えば図6を代表として示すように、背もたれ2(背もたれ板5)は、ランバーサポート部26とロアサポート部28との境界のあたりが最も幅広になるように形成され、メインサポート部27は上に向けて左右幅が狭まった略台形に形成されている。従って、背もたれ2(背もたれ板5)は、平面視で全体として下膨れ形状になっている。
図10(B)及び図7(A)に示すように、メインサポート部27の左右両側部は後ろ向きに肉盛りしたような厚肉状のサイド枠部45を形成しており、これにより、背もたれ板5の保形性を確保している。そして、サイドダミー凹所33がある程度の左右幅を有することから、正面視でサイド枠部45に重なるサイドダミー凹所33を形成して、抜き穴29,30,31が背もたれ板5の前面全体に広がっているように見せている。このようなデザインの統一性により、背もたれ板5に必要な強度を保持させつつ美観を確保している。
図10(B)(C)に明示するように、抜き穴29,30,31の左右両側に位置した肉部には、各抜き穴29(30,31)の間隔を広げるように機能する前向き傾斜面46と後ろ向き傾斜面47とを形成している。前向き傾斜面46は外側面を斜めにカットして形成されており、正面方向からのフロントビューにおいて抜き穴29,30,31を目立たせる効果を発揮している。他方、後ろ向き傾斜面47は内側面を斜めにカットして形成されており、背面方向からのバックビューにおいて抜き穴29,30,31を目立たせる効果を発揮している。従って、肉部の幅をできるだけ大きくして強度と成形時の樹脂の流れ性とを確保しつつ、抜き穴29,30,31を強調してデザイン性を高めている。
(3).抜き穴の特徴・まとめ
本実施形態では、ランバーサポート部26には3段の抜き穴29が形成されているが、図6から理解できるように、ランバーサポート部26の抜き穴29の高さHを、中間高さの段のものが最も小さく、その上下両側に行くに従って徐々に大きくなるように設定している(但し、背もたれ板5の縁部の形状に起因して上下高さが小さくなっているものは除く。)。各抜き穴29,30,31の左右幅Wは一定に保持されている。
従って、ランバーサポート部26の3段の抜き穴29は、メインサポート部27及びロアサポート部28の抜き穴31,31よりも開口面積が小さく、かつ、ランバーサポート部26に設けた3段の抜き穴29は、中段高さのものの開口面積が上段及び下段のものの開口面積よりも小さくなっている。
また、各サポート部26,27,28において、上下に隣り合った抜き穴29,30,31は左右にオフセットされている。すなわち、抜き穴29,30,31は、左右に隣り合ったものは各段は一列に並びつつ、上下に隣り合ったものは左右にずれるように千鳥配列されている。従って、上下方向に見ていくと、抜き穴29,30,31と肉部とが交互に連続しており、抜き穴29,30,31と肉部も、ランバーサポート部26の中段部を最も低い高さとして、上下方向に徐々に高さHが高くなっている。
更に、背もたれ2の縦長中心線Oを境にした左右両側で、抜き穴29,30,31と肉部とが縦に並んだ列が左右に並んでいるが(或いは、抜き穴29,30,31の縦列又は肉部の縦列が左右に並んでいるが)、抜き穴29,30,31と肉部との縦列は、正面視において左右外向きに緩く凹むように湾曲しており、湾曲の頂点は、ランバーサポート部26の中間高さ位置おいて最も内側に位置している(背もたれ2の縦長中心線Oに最も近くなる。)。
従って、隣り合った抜き穴29,30,31のピッチP(肉部と肉部との間隔、抜き穴29,30,31と肉部との間隔も同様である)は、ランバーサポート部26の中間高さの箇所で最も小さくなって、その上下に離れると徐々に増大している。
このように、各抜き穴29,30,31の幅Wは一定にしつつ、抜き穴29,30,31のピッチPと高さHとがランバーサポート部26の中間高さ部(すなわち稜線の箇所)で最も小さくなっているため、背もたれ板5を抜き穴29,30,31の各段ごとに分けて見た曲げ強度は、ランバーサポート部26の箇所で最も高く、ランバーサポート部26から上下に離れるに従って低くなっている。
但し、背もたれ板5の実際の曲げ強度は、背もたれ板5の形状やバックフレーム3への取り付け構造にも依存する。ランバーサポート部26について見ると、図8(A)のように背もたれ板5がランバーサポート部26の箇所を頂点にして縦断側面視で前向きに膨れるように曲がっていることは、後ろ向きの押圧力Fに対して断面係数を大きくする効果を発揮するが、図7(A)のように、ランバーサポート部26が前向きに凹むように曲がっていることは、後ろ向きの押圧力Fによって伸び変形しやすくなる効果を発揮している。
更に、ランバーサポート部26はメインサポート部27とロアサポート部28とに連続しているため、メインサポート部27とロアサポート部28との突っ張り作用もロアサポート部28の曲げ強度に影響している。押圧力Fに対するメインサポート部27の突っ張り効果は殆ど無いが、ロアサポート部28は高さも小さくて左右全長にわたってバックフレーム3のロアサポート10で支持されているため、押圧力Fが作用してもロアサポート部28は殆ど変形せず、突っ張り効果は高い。
また、背もたれ2(背もたれ板5)は軟質で柔軟性があって、大まかには上端と下端との二点支持(正確には上2か所と下1箇所との3点支持)になっているため、後ろ向きの押圧力Fにより、左右両側部がロア補強部材7の上端との連接部を支点にして後ろ向きに曲がる傾向も呈するが、既述のとおり、ロア補強部材7の上向き張り出し部7aがランバーサポート部26の左右側方に位置していることにより、ランバーサポート部26はその左右両端部をしっかりとクランプされたような状態になっているため、ランバーサポート部26が全体として後ろに折れ曲がる現象は発生しない。
さて、本実施形態の背もたれ板5は全体が露出しているため、着座者の腰や背中は背もたれ板5に当たる。従って、ランバーサポート部26にも適度のクッション性・フィット性は必要であり、従って、抜き穴29の群を形成することは必要である。
そして、ランバーサポート部26において抜き穴29のピッチPが最も小さくなっていることは、身体への当たりを柔らかくしてクッション性・フィット性を得る効果を発揮している一方、ランバーサポート部26の箇所で抜き穴29の高さが小さくなっている(ランバーサポート部26の箇所で抜き穴29の開口面積(大きさ)が最も小さくなっている)ことは、曲げ強度を高める効果を発揮しており、基本的には、この効果により、クッション性・フィット性と曲げ強度との調和が図られている。
また、背もたれ板5を全体として見ると、抜き穴29,30,31は、ランバーサポート部26の箇所で最も上下幅が小さくて、ランバーサポート部26から上部に離れるほど高さが大きくなっているが、このような高さの変化により、ランバーサポート部26の箇所の支持強度が最も高くなっているように人に認識させる視覚的効果を発揮して、一種の機能美を醸し出している。
更に、ロアサポート部28が高い突っ張り効果を有することと、ロア補強部材7の上向き張り出し部7aでランバーサポート部26の左右側部が支持されていることにより、ランバーサポート部26が過剰に曲がり変形してしまうことを防止している。その結果、ランバーサポート部26は、必要な強度を保持して着座者の腰部を安定的に支持しつつ、クッション性とフィット性とを確保できる。
ランバーサポート部26において、稜線に位置した中段の抜き穴29の高さが小さくて曲げ強度が高いため、ランバーサポート部26の保形機能に優れて、着座者の腰部をしっかりと支持できる。かつ、上下両側の抜き穴29は高さが高くなっていてこの箇所の曲げ強度は低くなっているため、ランバーサポート部26はその形状を保持しつつ、全体として後ろ向きに伸び変形することが許容されて、高いクッション性を保持できる。
次に、メインサポート部27の変形の挙動について見ると、メインサポート部27では、抜き穴30の左右ピッチPは上に向けて徐々に広がっているが、高さHが上に向けて大きくなっていることと、上に行くに従って平坦に近づいていくことにより、基本的には、曲げ強度は上に行くに従って小さくなっていると云える。但し、背もたれ板5の上端にはアッパ補強部材6が一体成形されているため、背もたれ板5の上端部はアッパ補強部材6によって保形されている。
してみると、メインサポート部27は、その上端と下端との間で曲げ強度が最も低くなっており、メインサポート部27は、着座者の押圧力Fによって後ろ向きに膨れるような変形が許容される。従って、リクライニングに際して着座者の上半身を包むように変形して、安息状態を確保できる。
抜き穴29,30,31が縦長であると、上下方向には伸びにくくて左右方向(水平方向)には伸びやすくなるため、身体を包むようなフィット性にとって有益である。更に、上下に隣り合った抜き穴29,30,31を左右にずらして千鳥配列を採用すると、上下方向にも左右方向にも伸びやすくなるため、クッション性及びフィット性を更に向上できる。
既に説明したが、着座者が身体を捩じると、アッパ補強部材6が水平旋回して背もたれ板5もねじれ変形する。従って、背もたれ2は、着座者の姿勢変化に対する追従性に優れている。この場合、アッパ補強部材6は基本的にはあまり変形しないため、身体の安定性は確保されている。実施形態のように背もたれ板5を軟質材であるエラストマで作ると、柔軟性に富んでいるため、着座者の身体の動きに対して変形する追従性に優れていて、好適である。
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、実施形態のようにアッパサポートが水平旋回する場合、アッパ補強部材を剛体構造に構成してもよい。更に、実施形態では背もたれ板の上下に補強部材を配置したが、左右側縁に補強部材を固着して、左右補強部材の上下両端をバックフレームに連結するといったことも可能である。前後に開口しフレーム状の補強部材に背もたれ板を接合することも可能である。
補強部材は必ずしもインサート成形等で背もたれ板に一体成形する必要はないのであり、ビス等のファスナによって背もたれ板に固定したり、弾性変形を利用した係合手段によって固定してもよい。実施形態の場合、アッパ補強部材をバックフレームにビス等のファスナで固定することも可能である。
抜き穴は、正方形や左右長手の長方形、四角形以外の多角形、円形、楕円形などの様々な形態を採用できる。異なる形状の抜き穴を組み合わせることも可能である。例えば、ランバーサポート部の箇所では抜き穴を円形に形成して、メインサポート部及びロアサポート部は抜き穴を上下長手の楕円に形成しつつ、ランバーサポート部から離れるに従って上下高さが大きくなるように形成するといったことも可能である。或いは、ランバーサポート部の抜き穴は角形に形成して他の部位の抜き穴は円形や菱形に形成する、といったことも可能である。
抜き穴の配列としては、斜め格子状などのパターンも採用可能である。千鳥配列する場合、左右に隣り合ったものを上下にずらす態様も採用可能である。ランバーサポート部の抜き穴は、1段のみであってもよい。或いは、上下2段に形成して、上下の段の間の肉部を稜線部と成すことも可能である。抜き穴の開口面積を変える手段としては、高さは同じにして左右幅を変えることも可能であるし、高さと幅との両方を変えることも可能である。ランバーサポート部における稜線部に抜き穴を1段だけ形成した場合、抜き穴を、上下中間部が括れた鼓形に形成するといったことも可能である。
更に、本願発明は背もたれ板を露出させた背もたれに好適であるが、背もたれ板にクッション材を重ねた構造の背もたれにも適用可能である。実施形態では背もたれの支持部材としてバックフレームを採用したが、シェル状の構造体も採用できる。バックフレームを採用する場合は、左右のサイドメンバーを有する四角形なども採用できる。
本願発明は、椅子の背もたれに具体化できる。従って、産業上利用できる。
2 背もたれ
3 支持部材の一例としてのバックフレーム
5 背もたれ板
6 アッパ補強部材
7 ロア補強部材
7a 上向き張り出し部
8 背支柱
9 アッパサポート
10 ロアサポート
26 ランバーサポート部
27 メインサポート部
28 ロアサポート部
29,30,31 抜き穴
33,34,35 ダミー凹所

Claims (9)

  1. 支持部材に支持される背もたれ板を有し、前記背もたれ板に、前後に開口した抜き穴が多数形成されている椅子の背もたれであって、
    前記背もたれ板は、着座者の腰部を支持するように縦断側面視で前向きに膨れたランバーサポート部と、前記ランバーサポート部の上方に広がるメインサポート部と、前記ランバーサポート部の下方に位置したロアサポート部と、を有し、
    前記ランバーサポート部に形成される前記抜き穴は、前記メインサポート部及び前記ロアサポート部に形成される前記抜き穴よりも正面視での開口面積が小さい、
    椅子の背もたれ。
  2. 前記ランバーサポート部では、高さ方向の中央に近い位置ほど前記抜き穴の開口面積が小さい、
    請求項1に記載した椅子の背もたれ。
  3. 前記背もたれ板の前記ランバーサポート部では、最も前に位置した稜線部とその上下両側とに抜き穴の列が形成されており、前記稜線部において曲げ強度が最も高くなるように、前記稜線部に位置した各抜き穴の開口面積が前記稜線部の上下両側に位置した各抜き穴の開口面積よりも小さくなっている、
    請求項1又は2に記載した椅子の背もたれ。
  4. 前記背もたれ板の各抜き穴は左右幅よりも高さが大きい縦長の形態になっており、前記ランバーサポート部における前記抜き穴の高さの平均が、前記メインサポート部及びロアサポート部における前記抜き穴の高さの平均よりも小さくなっている、
    請求項1~3のうちのいずれかに記載した椅子の背もたれ。
  5. 前記背もたれ板を構成するランバーサポート部とメインサポート部とロアサポート部には、左右方向に並んだ前記抜き穴の群よりなる抜き穴列が多段に形成されており、
    前記ランバーサポート部における前記抜き穴列の単位横幅当たりの前記抜き穴の数が、前記メインサポート部及びロアサポート部における前記抜き穴列の単位横幅当たりの前記抜き穴の数よりも多くなっている、
    請求項4に記載した椅子の背もたれ。
  6. 前記背もたれ板のランバーサポート部には、稜線の箇所に形成された前記抜き穴の群と、その上下に位置した前記抜き穴の群とが形成されており、稜線の箇所の前記抜き穴はその上下の箇所の前記抜き穴よりも高さが小さくなっている、
    請求項5に記載した椅子の背もたれ。
  7. 前記背もたれ板において上下に隣り合った前記抜き穴は、水平方向にオフセットされている、
    椅子の背もたれ。
    請求項1~6のうちのいずれかに記載した椅子の背もたれ。
  8. 前記背もたれ板は、着座者の押圧力によって撓み変形し得るようにエラストマ又は他の軟質材で作られている、
    請求項1~7のうちのいずれかに記載した椅子の背もたれ。
  9. 請求項1~8のうちのいずれかに記載した椅子の背もたれ及び支持部材を備えている椅子。
JP2021185832A 2021-11-15 2021-11-15 椅子及びその背もたれ Pending JP2023073033A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021185832A JP2023073033A (ja) 2021-11-15 2021-11-15 椅子及びその背もたれ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021185832A JP2023073033A (ja) 2021-11-15 2021-11-15 椅子及びその背もたれ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023073033A true JP2023073033A (ja) 2023-05-25

Family

ID=86425466

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021185832A Pending JP2023073033A (ja) 2021-11-15 2021-11-15 椅子及びその背もたれ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023073033A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6810107B2 (ja) 椅子
CA2906736C (en) Chair with activated back flex
US9480339B2 (en) Seat with pelvic support
JP2017200599A5 (ja)
JP2016073692A5 (ja)
JP5260027B2 (ja) 椅子
JP2002119366A (ja) 椅 子
JP4238122B2 (ja) 椅子の座板並びに背板
WO2007055145A1 (ja) 椅子用基板
JP3974636B2 (ja) 椅子用基板および椅子
JP4183084B2 (ja) 椅子及びその背もたれ
JP2007151582A (ja) 身体支持板及び椅子
KR100772167B1 (ko) 보조등받침을 갖는 의자
KR200422122Y1 (ko) 요추받이용 의자 등받이
JP2023073033A (ja) 椅子及びその背もたれ
JP4625399B2 (ja) 椅子類の座
JP2010099104A (ja) 背もたれ付き椅子
JP2009106420A (ja) 背もたれ付き椅子
JPH0795913A (ja) 背もたれ付き椅子
JP2012143634A (ja) 身体支持板及び椅子
JP2023073034A (ja) 椅子及びその背もたれ
JP7245000B2 (ja) 椅子のランバーサポート装置
JP2023073035A (ja) 椅子及びその背もたれ
JP6964487B2 (ja) 椅子
JP5611919B2 (ja) 椅子の背もたれ板及び座板