JP2023070743A - 建築工事用シート - Google Patents

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弘平 池田
Kohei Ikeda
慧 丸山
Kei Maruyama
浩紀 室谷
Hironori Murotani
卓也 上野山
Takuya Uenoyama
祐輔 大門
Yusuke DAIMON
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Abstract

【課題】建築工事用シートとしての実用強度を有し、美観性を有する建築工事用シートを提供することを課題とする。【解決手段】2種のマルチフィラメント糸が引き揃えまたは合撚された糸によって構成される織物であり、一方が、顔料を含む単相型ポリエステル繊維により構成される非熱融着マルチフィラメント糸であり、他方が、芯部が高融点ポリエステル、鞘部が低融点ポリエステルにより構成され、顔料を含む芯鞘型複合ポリエステル繊維により構成される熱融着マルチフィラメント糸であり、熱融着マルチフィラメント糸を構成する鞘部の溶融固化により、芯鞘型複合ポリエステル繊維相互間を一体化するとともに、熱融着マルチフィラメント糸と非熱融着マルチフィラメント糸とを低融点ポリエステルの溶融固化により一体化してなり、単相型ポリエステル繊維に含まれる顔料の量が、芯鞘型複合ポリエステル繊維に含まれる顔料の量よりも多い建築工事用シート。【選択図】 なし

Description

本発明は、建築工事用シートに関するものである。
建築工事用シートは、建築工事現場において飛散防止のために用いられるシートであり、風圧事故防止のために通気性が良好で軽量であるメッシュ形態のものが用いられている。また、建築工事用シートには、工事現場を覆うことにより美観性を与える機能も求められることから、通常、シートの多くは着色されている。
特許文献1には、着色剤を含む芯鞘型複合ポリエステル繊維からなるマルチフィラメント糸を用いたメッシュシートが開示されている。このメッシュシートによれば、メッシュシートの目合いである交点が、鞘部により溶融接着されているため、樹脂加工等による交点接合する工程が省略でき、軽量で取り扱い性が良好なものである。しかしながら、芯鞘型複合ポリエステル繊維の鞘部は熱接着剤として機能することから、シート全体が硬くなる懸念がある。
特開2001-27270号公報
本発明者等は、建築工事用シートにおいて、樹脂加工等を施さないシートであって通気性が良好で軽量であるシートを得ようと検討し、熱融着性を有する芯鞘型複合ポリエステル繊維と融着しない高融点のポリエステル繊維とを用いることで、シート全体が硬くならず、融着しない高融点のポリエステル繊維により強度を担わせようと考えた。このような検討の過程で、建築工事用シートに求められる美観性の観点も考慮して、2種の特定の繊維を用い、かつこれらの繊維に含有させる顔料の含有量を特定の関係とすることにより、顔料の発色性が良好なシートが得られることを見出した。本発明は、樹脂加工を施さないシートであって軽量で通気性が良好であり、かつ美観性を有する建築工事用シートを提供することを課題とする。
本発明は、2種のマルチフィラメント糸が引き揃えまたは合撚された糸によって構成される織物であり、
2種のマルチフィラメン糸のうち、一方のマルチフィラメント糸は、顔料を含む単相型ポリエステル繊維により構成される非熱融着マルチフィラメント糸であり、
他方のマルチフィラメント糸は、芯部が高融点ポリエステル、鞘部が低融点ポリエステルにより構成され、顔料を含む芯鞘型複合ポリエステル繊維により構成される熱融着マルチフィラメント糸であり、
熱融着マルチフィラメント糸を構成する鞘部の低融点ポリエステルの溶融固化により、芯鞘型複合ポリエステル繊維相互間を一体化するとともに、熱融着マルチフィラメント糸と引き揃えまたは合撚してなる非熱融着マルチフィラメント糸とを低融点ポリエステルの溶融固化により一体化してなり、
単相型ポリエステル繊維に含まれる顔料の量が、芯鞘型複合ポリエステル繊維に含まれる顔料の量よりも多いことを特徴とする建築工事用シートを要旨とする。
本発明によれば、軽量で取り扱いが良好で、かつ美観性に優れる建築工事用シートを提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は建築工事用シートであり、シートは、2種のマルチフィラメント糸が引き揃えまたは合撚された糸によって構成される織物により構成される。
2種のマルチフィラメン糸のうち、一方のマルチフィラメント糸は、顔料を含む単相型ポリエステル繊維が複数本集束してなる非熱融着マルチフィラメント糸である。単相型ポリエステル繊維からなるマルチフィラメント糸は、後述する芯鞘型複合ポリエステル繊維の鞘部が溶融する温度では熱の影響を受けないため、非熱融着マルチフィラメント糸である。また、熱の影響を受けないため、繊維としての機械的強度を維持し、シートの強度向上に寄与する。単相型ポリエステル繊維を構成する重合体は、機械的強度や耐候性に優れること、汎用性が高いことからポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、また、ポリエチレンテレフタレートに少量のポリブチレンテレフタレートが混合されてなるものでもよい。
単相型ポリエステル繊維の繊度は5~15デシテックス程度がよく、この単相型ポリエステル繊維が30~200本程度集束して、非熱融着マルチフィラメント糸を形成する。
他方のマルチフィラメント糸は、芯部が高融点ポリエステル、鞘部が低融点ポリエステルよりなる芯鞘型複合ポリエステル繊維が複数本集束してなる熱融着マルチフィラメント糸である。芯部の高融点ポリエステルと鞘部の低融点ポリエステルの融点差は、30℃以上であることが好ましい。低融点ポリエステルが溶融する温度で高融点ポリエステルは熱の影響を受けず繊維形態を維持し強度を担うためである。より具体的には、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点約255℃)、鞘部が融点120~190℃の共重合ポリエステルにより構成されるものが好ましい例として挙げられる。なお、芯部のポリエチレンテレフタレートには少量のポリブチレンテレフタレート(融点約225℃)を含んでもよい。
芯鞘型複合ポリエステル繊維の繊度は5~15デシテックス程度がよく、この芯鞘型複合ポリステル繊維が30~200本程度集束して、熱融着マルチフィラメント糸を形成する。
本発明においては、上記した熱融着マルチフィラメント糸と非熱融着マルチフィラメント糸とが、合撚された合撚糸または引き揃えられた引き揃え糸が用いられる。本発明における織物は、2種のマルチフィラメント糸が合撚または引き揃えられた糸を用いて製織され、熱融着マルチフィラメント糸を構成する芯鞘型複合ポリエステル繊維の鞘部が溶融固化していることから、2種のマルチフィラメント糸がより強固に一体化してなるものである。なお、合撚糸とする場合は、撚回数は任意であるが、50~200回/m程度がよい。
また、熱融着マルチフィラメント糸と非熱融着マルチフィラメント糸との合撚または引き揃えする際の複合比率(繊度比)は、本発明の効果やシート強度等を考慮して、同等もしくは非熱融着マルチフィラメント糸の比率を大きくすることが好ましく、熱融着マルチフィラメント糸:非熱融着マルチフィラメント糸=1:1~3(繊度比)の範囲が好ましい。
本発明において、非熱融着マルチフィラメント糸を構成する単相型ポリエステル繊維および熱融着マルチフィラメント糸を構成する芯鞘型複合ポリエステル繊維のいずれにも着色顔料を含んでいる。いずれのマルチフィラメント糸を構成する繊維にも着色顔料を含ませることにより、美観に優れた建築用シートを得ることができる。顔料の色は、適宜選択すればよく、青、黒、緑、茶等が挙げられる。また、建築工事用シートに所望の色とするために、2種以上の顔料を適宜混合して用いるとよい、なお、単相型ポリエステル繊維と芯鞘型複合ポリエステル繊維とに含まれる着色顔料は同種のものを選択する。
それぞれのマルチフィラメント糸を構成する繊維の顔料の量については、単相型ポリエステル繊維に含まれる顔料の量が、芯鞘型複合ポリエステル繊維に含まれる顔料の量よりも多い。単相型ポリエステル繊維と芯鞘型複合ポリエステル繊維とにおいて、繊維中の顔料の含有量が同量でない場合、当然ながら色の濃淡が生じ、濃淡を有する2種のマルチフィラメント糸からなる合撚糸または引き揃え糸は、濃淡を有することから杢調の色を発する糸となる。しかしながら、本発明においては、この濃淡を有する杢調の糸を発する合撚糸または引き揃え糸を用いて製織後に、熱処理によって、芯鞘型複合ポリエステル繊維の鞘部を溶融固化させる。そうすると、鞘部の溶融固化により、繊維同士が融着し、熱融着マルチフィラメント糸表面は溶融固化によって表面が平滑となるとともに、2つのマルチフィラメント同士は融着一体化して密着したものとなり、色の濃淡が和らいで杢調ではなくなり、艶感を有する美観に優れたものとなる。それぞれのマルチフィラメント糸を構成する繊維の顔料の量については、単相型ポリエステル繊維に含まれる顔料の量が、芯鞘型複合ポリエステル繊維に含まれる顔料の量よりも多くすることにより、すなわち、溶融軟化する芯鞘型複合ポリエステル繊維の顔料を少なくすることにより、上記効果を奏することとなる。逆に、単相型ポリエステル繊維に含まれる顔料の量が、芯鞘型複合ポリエステル繊維に含まれる顔料の量よりも同量か少ない場合は、上記した効果は奏されず、本発明が目的とする美観性が良好な建築工事用シートを得られない。
また、単相型ポリエステル繊維と芯鞘型複合ポリエステル繊維においては、繊維の構造上、単相型ポリエステル繊維の強度が高いが、顔料の含有量において、芯鞘型複合ポリエステル繊維の含有量を小さくすることにより、芯鞘型複合繊維における繊維強度の低下を防止でき、両者の繊維強度差が大きくなり過ぎることなく、取り扱い性が良好となる。さらに、2種のマルチフィラメント糸を合撚や引き揃え等を行う際に、2種のマルチフィラメント糸に濃淡差を設けることにより、視覚的な識別性も有することから、両者を誤って取り扱うことなく、作業性も向上する。
単相型ポリエステル繊維と芯鞘型複合ポリエステル繊維との顔料の含量濃度は、顔料の種類や色合いによって選択すればよいが、単相型ポリエステル繊維の繊維中の顔料含有率は、繊維強度や発色性等を考慮して、0.01~1質量%が好ましく、単相型ポリエステル繊維の繊維中の顔料含有率と芯鞘型複合ポリエステル繊維の繊維中の顔料含有率との比は、単相型ポリエステル繊維の顔料含有率/芯鞘型複合ポリエステル繊維の顔料含有率=1.5~3/1が好ましい。また、芯鞘型複合ポリエステル繊維の繊維中の顔料含有率は、0.0003~0.7質量%が好ましい。
なお、芯鞘型複合ポリエステル繊維においては、芯部および鞘部の両者に顔料を含有させてもよいが、上記した溶融固化後の艶感を発揮したうえで良好に発色するには、溶融固化する鞘部よりも芯部のみに顔料を含有させることが好ましい。また、芯部のみに顔料を含有させる場合において、芯鞘型複合ポリエステル繊維の芯部中の顔料含有率は、単相型ポリエステル繊維の繊維中の顔料含有率と同等以下であるものとし、芯部中の顔料含有率が小さいことがより好ましい。
単相型ポリエステル繊維を構成するポリエステルおよび芯鞘型複合ポリエステルを構成する高融点ポリエステルおよび低融点ポリエステルは、各々、難燃性であるのが好ましい。特に、建築現場での火災の危険を防止するため、難燃性の重合体を用いるのが好ましい。難燃性を付与するためには、繊維を構成するポリエステル中に難燃剤を混合しておいてもよいし、ポリエステル分子中にリン化合物等の難燃化合物を共重合したものを用いることも好ましい。
本発明の建築工事用シートは、上記した2種のマルチフィラメント糸からなる織物であるが、織組織としては、摩耗性に優れ、頑丈であることから、平織組織が好ましい。なお、製織後に熱処理によって、芯鞘型複合ポリエステル繊維の鞘部の溶融固化により、織組織としての形状も固定され、目づれや目曲がりが生じない。
本発明の建築工事用シートは、シートの端縁に鳩目等を設けて、建築現場における仮設構造物に取り付けて、資材の落下防止、粉塵の飛散防止又は防風等のために用いられる。特に、JIS A 8952 建築工事用シートの2類に規定されるシートとして、良好な外観と美観性を発揮するため、好適に使用できる。
本発明においては、以下の方法により、建築工事用シートを製造することができる。まず、上記した顔料を含む単相型ポリエステル繊維により構成される非熱融着マルチフィラメント糸と、芯部が高融点ポリエステル、鞘部が低融点ポリエステルにより構成され、単相型ポリエステル繊維中に含まれる顔料の量よりも少ない量の顔料を含む芯鞘型複合ポリエステル繊維により構成される熱融着マルチフィラメント糸とを準備し、これら2種のマルチフィラメント糸を引き揃えまたは合撚し、2種のマルチフィラメント糸からなる引き揃え糸または合撚糸を得る。このときは、それぞれのマルチフィラメント糸を構成する繊維中の着色顔料の含有率に差があるため、非熱融着マルチフィラメント糸が濃い色であり、熱融着マルチフィラメント糸は非熱融着マルチフィラメント糸よりも色が薄く発色しているため、引き揃え糸または合撚糸は濃淡を有する糸である。得られた引き揃え糸または合撚糸を用いて製織して織物を得る。このときもまた、引き揃え糸または合撚糸は濃淡を有する糸であるため、得られた織物(生機)は、杢調の色合いを発している。次いで、得られた織物(生機)を、熱融着マルチフィラメント糸を構成する芯鞘型複合ポリエステル繊維の鞘部である低融点ポリエステルが溶融し、芯部の高融点ポリエステルや非熱融着マルチフィラメント糸の構成繊維が熱の影響を受けない温度で熱処理を施し、低融点ポリエステルを溶融固化させて、建築工事用シートを得る。このときの熱処理温度は、低融点ポリエステルの融点よりも10~20℃高い温度とするとよい。また、熱処理時間は、熱処理設定温度等に応じて適宜選択すればよいが、30秒~数分程度とする。熱処理により溶融した低融点ポリエステルを固化する方法としては、特に限定されるものではなく、放冷、空冷、風冷、炉冷、水冷などを用いて冷却すればよい。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
[非熱融着マルチフィラメント糸の準備]
ベースチップとして、難燃剤として(2、5ジヒドロキシフェニル)ジフェニルホスフィンオキシドのエチレンオキシド付加物をリン濃度で4200ppm共重合した相対粘度1.42のポリエチレンテレフタレート樹脂を用意した。また、ポリエチレンテレフタレート65質量%、ポリブチレンテレフタレート12質量%、顔料として銅フタロシアニン20質量%、ペリノン系有機顔料3重量%を混錬したマスターチップを用意した。
ベースチップとマスターチップを質量比でベースチップ:マスターチップ=32:1の配合比でドライブブレンドした(繊維中の顔料濃度は0.70質量%となる。)。
ドライブレンドしたチップを常用の溶融紡糸装置を用いて、孔径0.55mm、ホール数48個の紡糸口金を装着し、口金温度280℃として紡出した。紡糸口金直下に設けた温度200℃、長さ20cmの加熱筒内を通過させた後、長さ150cmの横型吹付装置で、冷却温度15℃、速度0.7m/秒で冷却した。次に、油剤を付着して非加熱の1ローラーに引き取り、連続して温度75℃の2ローラーで1.01倍に引き揃えを行い、直径が2.2mmで糸道に対称に2個配置されたオリフィスから、繊維の進行方向に向かって45度の角度で温度500℃、圧力0.4MPaのスチームを吹き出すスチーム処理機内を通過させて、温度140℃の3ローラーで5.2倍の延伸を行い、温度140℃の4ローラーで2.5%、温度130℃の5ローラーで1%の弛緩処理を行って、0.2%のリラックスを掛けて速度3000m/分のワインダーに巻き取り、470dtex/48フィラメントの濃い青色の難燃原着の単相型ポリエステル繊維からなる非熱融着マルチフィラメント糸を得た。
[熱融着マルチフィラメント糸の準備]
芯部に配するポリエステルとして、ベースチップとして、相対粘度1.42のポリエチレンテレフタレート樹脂を用意した。また、前記した非熱融着マルチフィラメント糸の準備にて用いた顔料を含むマスターチップを用意した。ベースチップとマスターチップを質量比で、ベースチップ:マスターチップ=64:1の配合比でドライブブレンドした。(芯部中の顔料濃度は0.35質量%となる。)
また、鞘部に配するポリエステルとして、テレフタル酸成分とエチレングリコールとのエステル化反応で得られたテレフタル酸成分とエチレングリコール成分とのモル比が、1:1.13のオリゴマーに、ε-カプロラクトンを酸成分に対して15モル%、1,4-ブタンジオールをジオール成分に対して50モル%の割合で共重合させた融点160℃の共重合ポリエステルを用意した。
常用の複合溶融紡糸装置を用いて、孔径0.8mm、ホール数48個の芯鞘型複合紡糸口金を装着し、口金温度280℃、芯鞘質量比2.7/1として紡出した(繊維中の顔料濃度は0.26質量%となる。)。紡糸口金直下に設けた温度200℃、長さ20cmの加熱筒内を通過させた後、長さ150cmの横型吹付装置で、冷却温度15℃、速度0.7m/秒で冷却した。
次に、油剤を付着して非加熱の1ローラーに引き取り、連続して温度70℃の2ローラーで1.01倍に引き揃えを行い、直径が1.8mmで糸道に対称に2個配置されたオリフィスから、繊維の進行方向に向かって45度の角度で温度500℃、圧力0.2MPaのスチームを吹き出すスチーム処理機内を通過させて、温度135℃の3ローラーで4.8倍の延伸を行い、温度130℃の4ローラーで1.5%、温度115℃の5ローラーで0.5%の弛緩処理を行って、0.2%のリラックスを掛けて速度3000m/分のワインダーに巻き取り、円形断面形状(芯部と鞘部が略同心に配置された)の芯鞘型複合ポリエステル繊維からなる280dtex/48フィラメントの熱融着マルチフィラメント糸を得た。得られた熱融着マルチフィラメント糸は、非熱融着マルチフィラメント糸と比較して、淡い青色であった。
[合撚糸~建築工事用シートの作製]
上記で得られた非熱融着マルチフィラメント糸と熱融着マルチフィラメント糸とを各々1本ずつをS-120T/mの条件で合撚して、合撚糸を得た。得られた合撚糸を用いて、常用のレピア織機を用いて、経密度=17.8本/インチ、緯密度17.7本/インチのメッシュ状の平織組織にて製織して、生機を得た。得られた生機を常用のピンテンター型熱処理装置を用いて、温度170℃、処理時間1分の熱処理を行い、芯鞘型複合ポリエステル繊維の鞘部を溶融固化させ、本発明の建築工事用シートを得た。生機は青色の杢調であったが、熱処理により得られた建築工事用シートは、艶感があり、鮮やかな青色を全体に発する美観性が良好なものであった。また、得られた建築工事用シートは、引張強さ 経方向603N、緯方向594N、引裂強さ 経糸引裂き292N、緯糸引裂き329Nであり、軽量で、折り畳みやロール巻きしやすく、取り扱い性が良好であった。
なお、実施例において引張強さおよび引裂強さは、JIS A 8952 に記載の方法に準じて測定した。
実施例2
[非熱融着マルチフィラメント糸の準備]
ベースチップとしては、実施例1の非熱融着マルチフィラメント糸と同じものを用意した。また、ポリエチレンテレフタレート99質量%、カーボンブラック0.5質量%、シアニンブルー0.5質量%を混錬したマスターチップを用意した。
ベースチップとマスターチップを質量比でベースチップ:マスターチップ=80:1の配合比でドライブブレンドした(繊維中の顔料濃度は0.012質量%となる。)。
上記以外は、実施例1と同様にして、濃いグレー色の非熱融着マルチフィラメント糸を得た。
[熱融着マルチフィラメント糸の準備]
芯部に配するポリエステルとして、実施例1の熱融着マルチフィラメント糸の芯部に用いたベースチップと、実施例2の非熱融着マルチフィラメント糸に用いたマスターチップとを用意した。ベースチップとマスターチップを質量比で、ベースチップ:マスターチップ=100:1の配合比でドライブブレンドした。(芯部中の顔料濃度は0.010質量%となる。)
上記以外は、実施例1と同様にして、熱融着マルチフィラメント糸を得た。得られた熱融着マルチフィラメント糸(繊維中の顔料濃度は0.007質量%)は、前記した濃いグレー色の非熱融着マルチフィラメント糸と比較して淡いグレーの色であった。
得られた非熱融着マルチフィラメント糸と熱融着マルチフィラメント糸とを用いて、実施例1と同様にして、建築工事用シートを得た。生機は、グレー色の杢調であったが、熱処理により得られた建築工事用シートは、艶感があり、鮮やかなグレー色を全体に発する美観性が良好なものであった。また、得られた建築工事用シートは、引張強さ 経方向628N、緯方向608N、引裂強さ 経糸引裂き285N、緯糸引裂き306Nであり、軽量で、折り畳みやロール巻きしやすく取り扱い性が良好であった。
実施例3
[非熱融着マルチフィラメント糸の準備]
ベースチップとしては、実施例1の非熱融着マルチフィラメント糸と同じものを用意した。また、ポリエチレンテレフタレート95質量%、シアニングリーン5質量%を混錬したマスターチップを用意した。
ベースチップとマスターチップを質量比でベースチップ:マスターチップ=50:1の配合比でドライブブレンドした(繊維中の顔料濃度は0.098質量%となる。)
上記以外は、実施例1と同様にして、濃い緑色の非熱融着マルチフィラメント糸を得た。
[熱融着マルチフィラメント糸の準備]
芯部に配するポリエステルとして、実施例1の熱融着マルチフィラメント糸の芯部に用いたベースチップと、実施例3の非熱融着マルチフィラメント糸に用いたマスターチップとを用意した。ベースチップとマスターチップを質量比で、ベースチップ:マスターチップ=100:1の配合比でドライブブレンドした。(芯部中の顔料濃度は0.050質量%となる。)
上記以外は、実施例1と同様にして、熱融着マルチフィラメント糸を得た。得られた熱融着マルチフィラメント糸(繊維中の顔料濃度は0.036質量%)は、前記した濃い緑色の非熱融着マルチフィラメント糸と比較して淡い緑色であった。
得られた非熱融着マルチフィラメント糸と熱融着マルチフィラメント糸とを用いて、実施例1と同様にして、建築工事用シートを得た。生機は、緑色の杢調であったが、熱処理により得られた建築工事用シートは、艶感があり、鮮やかな緑色を全体に発する美観性が良好なものであった。また、引張強さ 経方向611N、緯方向608N、引裂強さ 経糸引裂き279N、緯糸引裂き328Nであり、軽量で、折り畳みやロール巻きしやすく取り扱い性が良好であった。
比較例
非熱郵着マルチフィラメント糸として、実施例1で用いた非熱融着マルチフィラメント糸を用意した。
[熱融着マルチフィラメント糸の準備]
実施例1において、芯部に配するポリエステルとして、ベースチップとマスターチップを質量比で、ベースチップ:マスターチップ=20:1の配合比でドライブブレンドした(芯部中の顔料濃度は1.10質量%となる。)。
上記以外は、実施例1と同様にして、熱融着マルチフィラメント糸を得た。得られた熱融着マルチフィラメント糸(繊維中の顔料濃度は0.80質量%)は、前記した濃い青色の非熱融着マルチフィラメント糸と同等程度の濃い青色であった。
得られた非熱融着マルチフィラメント糸と熱融着マルチフィラメント糸とを用いて、実施例1と同様にして、建築工事用シートを得た。生機は、ほぼ均一な濃い青色を発していたが、熱処理により得られた建築工事用シートは、濃い青色の部分とより濃い青色の部分とが存在し、本発明が目的とする美観性を有するものではなかった。

Claims (5)

  1. 2種のマルチフィラメント糸が引き揃えまたは合撚された糸によって構成される織物であり、
    2種のマルチフィラメン糸のうち、一方のマルチフィラメント糸は、顔料を含む単相型ポリエステル繊維により構成される非熱融着マルチフィラメント糸であり、
    他方のマルチフィラメント糸は、芯部が高融点ポリエステル、鞘部が低融点ポリエステルにより構成され、顔料を含む芯鞘型複合ポリエステル繊維により構成される熱融着マルチフィラメント糸であり、
    熱融着マルチフィラメント糸を構成する鞘部の低融点ポリエステルの溶融固化により、芯鞘型複合ポリエステル繊維相互間を一体化するとともに、熱融着マルチフィラメント糸と引き揃えまたは合撚してなる非熱融着マルチフィラメント糸とを低融点ポリエステルの溶融固化により一体化してなり、
    単相型ポリエステル繊維に含まれる顔料の量が、芯鞘型複合ポリエステル繊維に含まれる顔料の量よりも多いことを特徴とする建築工事用シート。
  2. 単相型ポリエステル繊維はポリエチレンテレフタレート系重合体により構成され、
    芯鞘型複合ポリエステル繊維は芯部がポリエチレンテレフタレート系重合体、鞘部が共重合ポリエステルにより構成されることを特徴とする請求項1記載の建築工事用シート。
  3. 芯鞘型複合ポリエステル繊維の芯部が顔料を含むことを特徴とする請求項1または2記載の建築工事用シート。
  4. 織物が平織組織であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の建築工事用シート。
  5. 顔料を含む単相型ポリエステル繊維により構成される非熱融着マルチフィラメント糸と、芯部が高融点ポリエステル、鞘部が低融点ポリエステルにより構成され、単相型ポリエステル繊維中に含まれる顔料の量よりも少ない量の顔料を含む芯鞘型複合ポリエステル繊維により構成される熱融着マルチフィラメント糸とを準備し、これら2種のマルチフィラメント糸を引き揃えまたは合撚し、
    得られた引き揃え糸または合撚糸を用いて製織した後、
    低融点ポリエステルが溶融する温度で熱処理を施し、低融点ポリエステルを溶融固化させることを特徴とする建築工事用シートの製造方法。

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