JP2023056723A - 透明物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造を容易にしつつ、反射防止効果を得ることを可能にした透明物品を提供する。【解決手段】透明物品10は、主面11aを有する透明基材11と、主面11aに設けられ、表面に凹凸構造20を有するアンチグレア層12と、を備える。アンチグレア層12の屈折率は、透明基材11の屈折率と異なっている。そして、アンチグレア層12は、アンチグレア膜厚tの波長550nmに対する光学膜厚が43nm以上、かつ101nm以下であり、凹凸構造20の凸部22の突出高さであるアンチグレア高さhが、110nm以上、かつ180nm以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、例えば表示装置等の表示面に設けられる透明物品に関するものである。
例えば、特許文献1に示されるように、表示装置の視認性を向上する観点から、表示装置の表示面に配置されるカバーガラス等の透明物品の表面をアンチグレア面として防眩効果を付与することが提案されている。アンチグレア面による防眩効果は、アンチグレア面の凹凸構造に基づいて発揮される。また、特許文献1には、透明物品のアンチグレア面に対し、反射防止膜を施すことが開示されている。この反射防止膜の反射防止効果によって防眩効果を得ることが可能である。
しかしながら、十分な反射防止効果を得るための反射防止膜は、例えば4層以上の誘電体多層膜である必要がある。誘電体多層膜の成膜には、スパッタ法等の真空プロセスを用いる必要があるため、それが反射防止膜付きの透明物品の製造を煩雑にする要因となっていた。
本発明の目的は、製造を容易にしつつ、反射防止効果を得ることを可能にした透明物品を提供することにある。
上記課題を解決する透明物品は、主面を有する透明基材と、前記主面に設けられ、表面に凹凸構造を有するアンチグレア層と、を備え、前記アンチグレア層の屈折率は、前記透明基材の屈折率と異なっており、前記アンチグレア層は、前記凹凸構造の凹部での波長550nmに対する光学膜厚が43nm以上、かつ101nm以下であり、前記凹凸構造の凸部の突出高さが、110nm以上、かつ180nm以下である。
この構成によれば、図9に示すように、アンチグレア層の表面の視感反射率を小さく抑えることが可能となる。その結果、成形が煩雑な誘電体多層膜などからなる反射防止膜を不要として透明物品の製造を容易にしつつも、アンチグレア層による十分な反射防止効果を得ることが可能となる。
上記透明物品において、前記凹凸構造の算術平均高さSaが、20nm以上、かつ200nm以下であることが好ましい。
この構成によれば、アンチグレア層における映り込みをより好適に抑えることが可能となる。
この構成によれば、アンチグレア層における映り込みをより好適に抑えることが可能となる。
上記透明物品において、前記凹凸構造の粗さ曲線要素の平均長さRSmが、5μm以上、かつ40μm以下であることが好ましい。
この構成によれば、アンチグレア層における映り込みをより好適に抑えることが可能となる。
この構成によれば、アンチグレア層における映り込みをより好適に抑えることが可能となる。
上記透明物品において、前記アンチグレア層の前記凹凸構造の表面には、防汚層が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、アンチグレア層の表面に対する汚れの付着を防汚層によって抑制することが可能となる。
この構成によれば、アンチグレア層の表面に対する汚れの付着を防汚層によって抑制することが可能となる。
上記透明物品において、前記アンチグレア層の前記凹凸構造の表面に誘電体多層膜を有していないことが好ましい。
この構成によれば、透明物品の製造を容易にすることが可能となる。
この構成によれば、透明物品の製造を容易にすることが可能となる。
本発明の透明物品によれば、製造を容易にしつつ、反射防止効果を得ることが可能となる。
以下、透明物品の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
図1に示す本実施形態の透明物品10は、例えば、表示装置の表示面に配置して用いられる。この場合、透明物品10は、表示装置の表示面の上に取り付けられる部材であってもよい。すなわち、透明物品10は、表示装置に事後的に取り付けられる部材であってもよい。
透明物品10は、主面11aを有する透明基材11と、主面11aに設けられ、表面に凹凸構造20を有する透光性のアンチグレア層12と、を備えている。アンチグレア層12の表面の凹凸構造20は、例えば、透明基材11の主面11aに対して、シリカ成分を含む液をスプレー法により吹き付けることで形成される。なお、凹凸構造20の形成方法としては、他にも、コーティング剤を塗布する処理や、ブラスト処理やエッチング処理等が挙げられる。
透明基材11は、例えば、シート状または板状をなしている。なお、透明基材11の透明とは、例えば、可視光(400~700nmの波長域)を平均して80%以上透過することを意味する。透明基材11の材質は特に限定されるものではない。透明基材11の材質としては、例えば、ガラス、樹脂等が挙げられる。透明基材11の材質は、ガラスであることが好ましく、ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、化学強化ガラス等の公知のガラスを用いることができる。可視光の透過率が経時的に変化し難い点において、透明基材11はガラスからなることが好ましい。
アンチグレア層12の屈折率は、透明基材11の屈折率と異なっている。例えば、同波長に対する屈折率は、透明基材11よりもアンチグレア層12の方が小さく設定されている。より具体的には、透明基材11の波長550nmでの屈折率がおよそ1.52に対して、アンチグレア層12の同波長での屈折率がおよそ1.44に設定されている。なお、透明基材11とアンチグレア層12の各々の屈折率は、透明物品10に求められる特性に応じて適宜変更可能である。
上記のようにアンチグレア層12の屈折率が透明基材11の屈折率と異なっているため、アンチグレア層12の表面での反射光と、アンチグレア層12と透明基材11との境界面13での反射光との干渉により防眩効果を発揮される。さらに、アンチグレア層12の凹凸構造20によっても反射光の干渉が生じるため、より効果の高い防眩効果を発揮される。
透明物品10は、例えば4層以上の誘電体多層膜を凹凸構造20の表面に有しないが、防汚層等の誘電体多層膜以外の層を凹凸構造20の表面に有するものであってもよい。例えば、本実施形態の透明物品10は、凹凸構造20の表面に防汚層14を有している。防汚層14は、例えばフッ素含有有機ケイ素化合物からなる。
(アンチグレア膜厚t及びアンチグレア高さh)
アンチグレア層12の凹凸構造20は、凹部21と凸部22とを有している。アンチグレア層12の凹凸構造20の特徴は、凹部21での膜厚であるアンチグレア膜厚tと、凸部22の突出高さであるアンチグレア高さhにて表すことができる。アンチグレア膜厚tは、境界面13から凹部21の表面までの物理膜厚である。なお、アンチグレア膜厚tの効果的な範囲を示す際には、(物理膜厚)×(屈折率)で表される光学膜厚で範囲を規定する。
アンチグレア層12の凹凸構造20は、凹部21と凸部22とを有している。アンチグレア層12の凹凸構造20の特徴は、凹部21での膜厚であるアンチグレア膜厚tと、凸部22の突出高さであるアンチグレア高さhにて表すことができる。アンチグレア膜厚tは、境界面13から凹部21の表面までの物理膜厚である。なお、アンチグレア膜厚tの効果的な範囲を示す際には、(物理膜厚)×(屈折率)で表される光学膜厚で範囲を規定する。
アンチグレア膜厚tとアンチグレア高さhは、下記式(1)に示す高さ分布関数H(x)にて定義することができる。
各正規分布関数G1,G2,G3は下記式(2)で表され、各シグモイド関数S1,S2は下記式(3)で表される。
図2には、高さ分布関数H(x)の一例を示している。同図に示すように、高さ分布関数H(x)は、アンチグレア層12における高さ毎の度数を示すヒストグラムとして表される。なお、横軸となる高さは、アンチグレア層12と透明基材11の境界面13を基準とする高さである。
なお、図2に示す高さ分布関数H(x)における各パラメータを、下記の表1及び表2に示す。
アンチグレア膜厚t及びアンチグレア高さhは、高さ分布関数H(x)から得られる。
高さ分布関数H(x)が示すグラフは、横軸の高さが0から大きくなるにつれ、急峻に度数が大きくなっていき、第1のピークP1を有する。すなわち、アンチグレア層12において、高さがアンチグレア膜厚tとなる部分が最も多く分布していることを表している。従って、アンチグレア膜厚tは、0から第1のピークP1までの高さとして定義できる。
高さ分布関数H(x)が示すグラフは、横軸の高さが0から大きくなるにつれ、急峻に度数が大きくなっていき、第1のピークP1を有する。すなわち、アンチグレア層12において、高さがアンチグレア膜厚tとなる部分が最も多く分布していることを表している。従って、アンチグレア膜厚tは、0から第1のピークP1までの高さとして定義できる。
また、高さ分布関数H(x)のグラフは、第1のピークP1よりも高さが高い部分で、アンチグレア高さhに相当する第2のピークP2を有する。アンチグレア高さhは、高さ分布関数H(x)の横軸の高さにおいて、第2のピークP2の高さと第1のピークP1の高さとの差分として定義できる。
(高さ分布関数H(x)の算出方法)
以下には、高さ分布関数H(x)の算出方法について説明する。
高さ分布関数H(x)の算出方法は、以下に記載する測定ステップと、高さ分布算出ステップとを含む。
以下には、高さ分布関数H(x)の算出方法について説明する。
高さ分布関数H(x)の算出方法は、以下に記載する測定ステップと、高さ分布算出ステップとを含む。
(測定ステップ)
測定ステップでは、透明物品10と同様の測定サンプルを複数用意する。当該測定サンプルは、透明物品10の製造工程と同じ製造工程を経て作製されるものである。そして、本実施形態では、測定サンプルを基に、図3に示す第1サンプル31と、図4に示す第2サンプル32を作製する。
測定ステップでは、透明物品10と同様の測定サンプルを複数用意する。当該測定サンプルは、透明物品10の製造工程と同じ製造工程を経て作製されるものである。そして、本実施形態では、測定サンプルを基に、図3に示す第1サンプル31と、図4に示す第2サンプル32を作製する。
第1サンプル31と第2サンプル32では、凹凸構造20の表面付近において、厚さ方向における屈折率の分布が相互に異なるように構成している。例えば、第2サンプル32においては、凹凸構造20の表面に光学膜33を設けている。一方、第1サンプル31においては、凹凸構造20の表面に光学膜を設けない。これにより、第1サンプル31と第2サンプル32とで、凹凸構造20の表面付近における厚さ方向の屈折率分布を異ならせている。なお、測定サンプルの裏面反射の影響を無くすため、測定サンプルの裏面はブラスト処理を施しておくことが好ましい。
第2サンプル32の光学膜33は、単層または複数層の膜構成を有している。光学膜33は、例えば、単層または複数層の二酸化ケイ素や、単層または複数層の五酸化ニオブ等を含んで構成される。
なお、第1サンプル31のアンチグレア層12の表面に光学膜を設けた場合であっても、光学膜の膜構成を異ならせることで、厚さ方向における屈折率分布を第1サンプル31と第2サンプル32とで異ならせることは可能である。
同測定ステップでは、第1サンプル31と第2サンプル32の各々における正反射スペクトルを、図5に示す測定装置41を用いて測定する。
図5に示すように、測定装置41は、光源42と、二分岐光ファイバ43と、コリメータレンズ44と、分光器45とを備える。光源42から出射された光は、二分岐光ファイバ43に導入され、コリメータレンズ44にて平行光Lとなって測定サンプルとしての第1サンプル31または第2サンプル32に照射される。コリメータレンズ44の光軸CLは、測定サンプルのアンチグレア層12の表面に対し垂直に設定されている。これにより、コリメータレンズ44から出射された光が、アンチグレア層12の表面に垂直に入射する。
図5に示すように、測定装置41は、光源42と、二分岐光ファイバ43と、コリメータレンズ44と、分光器45とを備える。光源42から出射された光は、二分岐光ファイバ43に導入され、コリメータレンズ44にて平行光Lとなって測定サンプルとしての第1サンプル31または第2サンプル32に照射される。コリメータレンズ44の光軸CLは、測定サンプルのアンチグレア層12の表面に対し垂直に設定されている。これにより、コリメータレンズ44から出射された光が、アンチグレア層12の表面に垂直に入射する。
そして、アンチグレア層12の表面で反射した光の正反射成分のみがコリメータレンズ44により二分岐光ファイバ43を介して分光器45に導入され、分光器45にて当該正反射成分のスペクトル測定が行われる。例えば、図6は、第1サンプル31に対するスペクトル測定で得られる第1サンプル正反射スペクトルSp1を示している。また例えば、図7は、第2サンプル32に対するスペクトル測定で得られる第2サンプル正反射スペクトルSp2を示している。なお、第2サンプル32における光学膜33の膜構成は、第1サンプル正反射スペクトルSp1と第2サンプル正反射スペクトルSp2とでピークとなる波長が大きくずれるように設定されることが望ましい。これは、後段の高さ分布算出ステップにおいて、正確な高さ分布関数H(x)を算出するためである。
(反射率Rについて)
次に、透明物品10のアンチグレア層12側の表面における反射率Rの計算方法について説明する。反射率Rは、下記式(4)に基づいて算出できる。
次に、透明物品10のアンチグレア層12側の表面における反射率Rの計算方法について説明する。反射率Rは、下記式(4)に基づいて算出できる。
以下、上記式(4)について説明する。図8に示すように、位置Pから透明基材11に照射された平行光が、アンチグレア層12の表面で反射して位置Pへ帰ってくる正反射を考える。このとき、平行光が凹凸構造20の凹部で反射したか凸部で反射したかに応じて、位置Pに帰ってくる反射光L1はそれぞれ位相差を生じる。また、透明基材11とアンチグレア層12とに屈折率差がある場合は、アンチグレア層12の表面で反射する反射光L1と、アンチグレア層12を透過して透明基材11とアンチグレア層12の境界面13で反射する反射光L2との干渉を考慮する。この考えにより、透明基材11の反射光は、振幅の反射率と位相の変化をまとめて複素数で表した複素数振幅反射率r(x)として表される。また、凹凸構造20の周期が十分に短く、かつ、アンチグレア層12の表面から位置Pまでの距離が十分に長い場合、位置Pにて複素数振幅反射率r(x)が干渉を生じるとする。高さxは高さ分布関数H(x)で表される密度を持つため、高さ分布関数H(x)を重みとして複素数振幅反射率r(x)を高さxで積分することで反射率Rを計算することができる。そして、高さ分布関数H(x)に基づいて各波長毎の反射率Rを計算することで、透明物品10のアンチグレア層12側の表面における正反射スペクトルを計算できる。
(高さ分布算出ステップ)
高さ分布算出ステップでは、前記測定ステップで測定された第1サンプル正反射スペクトルSp1と第2サンプル正反射スペクトルSp2とに基づいて、アンチグレア層12の凹凸構造20の高さ分布関数H(x)を算出する。詳しくは、上記式(4)の反射率Rから計算される正反射スペクトルが、第1サンプル正反射スペクトルSp1及び第2サンプル正反射スペクトルSp2のそれぞれで合致する高さ分布関数H(x)の解を求める。すなわち、高さ分布関数H(x)において、比例定数k2,k3、シフト量d、標準偏差σ、及びゲインaの各パラメータを変更し、第1サンプル正反射スペクトルSp1及び第2サンプル正反射スペクトルSp2のそれぞれで合致する各パラメータの値を求める。これにより、高さ分布関数H(x)が得られる。そして、高さ分布関数H(x)から、アンチグレア膜厚tとアンチグレア高さhとが得られる。
高さ分布算出ステップでは、前記測定ステップで測定された第1サンプル正反射スペクトルSp1と第2サンプル正反射スペクトルSp2とに基づいて、アンチグレア層12の凹凸構造20の高さ分布関数H(x)を算出する。詳しくは、上記式(4)の反射率Rから計算される正反射スペクトルが、第1サンプル正反射スペクトルSp1及び第2サンプル正反射スペクトルSp2のそれぞれで合致する高さ分布関数H(x)の解を求める。すなわち、高さ分布関数H(x)において、比例定数k2,k3、シフト量d、標準偏差σ、及びゲインaの各パラメータを変更し、第1サンプル正反射スペクトルSp1及び第2サンプル正反射スペクトルSp2のそれぞれで合致する各パラメータの値を求める。これにより、高さ分布関数H(x)が得られる。そして、高さ分布関数H(x)から、アンチグレア膜厚tとアンチグレア高さhとが得られる。
(アンチグレア高さhと視感反射率との関係)
図9は、透明物品10におけるアンチグレア高さhと視感反射率との関係を表すグラフである。
図9は、透明物品10におけるアンチグレア高さhと視感反射率との関係を表すグラフである。
<視感反射率>
光源はD65光源、およびCIE 1964測色補助標準観測者とし、図5に示す測定装置41を用いて測定された正反射スペクトルを分光反射率として、JIS Z8722に準拠し三刺激値Y(視感反射率)を計算した。
光源はD65光源、およびCIE 1964測色補助標準観測者とし、図5に示す測定装置41を用いて測定された正反射スペクトルを分光反射率として、JIS Z8722に準拠し三刺激値Y(視感反射率)を計算した。
図9に示すように、各種寸法のアンチグレア膜厚tにおいて、アンチグレア高さhが110~190nmの範囲では、110nmから大きくなるにつれて視感反射率が低下する。そして、アンチグレア高さhが120~150nmの範囲内で、視感反射率の低下のピークを迎えた後、アンチグレア高さhが大きくなるにつれて視感反射率が上昇する。同図に示すように、アンチグレア膜厚tが30~70nm、すなわち本実施形態では光学膜厚が43~101nmであり、かつ、アンチグレア高さhが110~180nmの範囲であると、視感反射率が0.06%以下となる。従って、透明物品10のアンチグレア層12における正反射像の映り込みが好適に抑制される。さらに、アンチグレア膜厚tが30~70nm、すなわち光学膜厚が43~101nmであり、かつ、アンチグレア高さhが120~160nmの範囲であると、視感反射率が0.03%以下にまで低下し、より効果的である。
以下には、実施例1~4及び比較例1,2を挙げて、上記実施形態についてさらに具体的に説明する。なお、本発明は、実施例1~4に限定されるものではない。
表3に示すように、各実施例1~4と比較例1では、透明基材としてのガラスに、シリカ成分を含む液をスプレー法により吹き付けることで、凹凸構造を有するアンチグレア層を形成している。各実施例1~4及び比較例1では、アンチグレア膜厚t、アンチグレア高さh、算術平均高さSa、粗さ曲線要素の平均長さRSmがそれぞれ異なるように設定した。比較例2は、透明基材としてのガラスにアンチグレア層を設けない構成である。
表3において、算術平均高さSaは、アンチグレア層12の凹凸構造20の算術平均高さである。算術平均高さSaは、ISO25178に準拠して測定することができる。算術平均高さSaが、20nm以上、かつ200nm以下であると、アンチグレア層12における正反射像の映り込みを好適に抑えることが可能となる。
表3において、粗さ曲線要素の平均長さRSmは、アンチグレア層12の凹凸構造20における粗さ曲線要素の平均長さである。粗さ曲線要素の平均長さRSmは、JIS B 0601(2001)に準拠して測定することができる。粗さ曲線要素の平均長さRSmが、5μm以上、かつ40μm以下であると、アンチグレア層12における正反射像の映り込みを好適に抑えることが可能となる。
<視感反射率>
表3に示すように、各実施例1~4において、視感反射率は0.0300%以下であり、アンチグレア層の映り込みが十分に抑えられていると言える。また、実施例1~3では、視感反射率が0.0030%以下であり、アンチグレア層の映り込みがさらに抑えられている。またさらに、実施例1では、視感反射率が0.0005%であり、各例の中で視感反射率が最も抑えられている。
表3に示すように、各実施例1~4において、視感反射率は0.0300%以下であり、アンチグレア層の映り込みが十分に抑えられていると言える。また、実施例1~3では、視感反射率が0.0030%以下であり、アンチグレア層の映り込みがさらに抑えられている。またさらに、実施例1では、視感反射率が0.0005%であり、各例の中で視感反射率が最も抑えられている。
<クラリティ値>
クラリティ値は、アンチグレア層12の凹凸構造20を有する表面に光源を映り込ませた像の輝度分布データから得られる全反射光の輝度に対する正反射成分の割合の値である。このクラリティ値は、アンチグレア層12の表面における映り込みの度合いを示す値であり、アンチグレア層12の表面における映り込みが抑制されているほど、クラリティ値は小さくなる。クラリティ値を測定することで、アンチグレア層12の表面の映り込みについて、人の視覚に基づく画像認識に近い定量的な評価を行うことができる。クラリティ値は、0.05以下であることが好ましい。表3に示すように、各実施例1~4において、クラリティ値が0.05以下であり、アンチグレア層の映り込みがさらに抑えられている。また、実施例1~3では、クラリティ値が0.03以下であり、アンチグレア層の映り込みがさらに抑えられている。またさらに、実施例1では、クラリティ値が0.01であり、各例の中でクラリティ値が最も抑えられている。
クラリティ値は、アンチグレア層12の凹凸構造20を有する表面に光源を映り込ませた像の輝度分布データから得られる全反射光の輝度に対する正反射成分の割合の値である。このクラリティ値は、アンチグレア層12の表面における映り込みの度合いを示す値であり、アンチグレア層12の表面における映り込みが抑制されているほど、クラリティ値は小さくなる。クラリティ値を測定することで、アンチグレア層12の表面の映り込みについて、人の視覚に基づく画像認識に近い定量的な評価を行うことができる。クラリティ値は、0.05以下であることが好ましい。表3に示すように、各実施例1~4において、クラリティ値が0.05以下であり、アンチグレア層の映り込みがさらに抑えられている。また、実施例1~3では、クラリティ値が0.03以下であり、アンチグレア層の映り込みがさらに抑えられている。またさらに、実施例1では、クラリティ値が0.01であり、各例の中でクラリティ値が最も抑えられている。
<アンチグレア層の映り込み抑制効果>
表3には、各例の評価用サンプルを目視で観察して評価した結果を示している。各実施例1~4では映り込み抑制効果に優れる結果が得られ、特に実施例1~3ではより優れた結果が得られた。一方、比較例1,2では、映り込み抑制効果に劣る結果であった。
表3には、各例の評価用サンプルを目視で観察して評価した結果を示している。各実施例1~4では映り込み抑制効果に優れる結果が得られ、特に実施例1~3ではより優れた結果が得られた。一方、比較例1,2では、映り込み抑制効果に劣る結果であった。
本実施形態の効果について説明する。
(1)アンチグレア層12は、アンチグレア膜厚tの波長550nmに対する光学膜厚が43nm以上、かつ101nm以下であり、凹凸構造20の凸部22の突出高さであるアンチグレア高さhが、110nm以上、かつ180nm以下である。この構成によれば、図9に示すように、アンチグレア層12の表面の視感反射率を小さく抑えることが可能となる。その結果、成形が煩雑な誘電体多層膜などからなる反射防止膜を不要として透明物品10の製造を容易にしつつも、アンチグレア層12による十分な反射防止効果を得ることが可能となる。
(1)アンチグレア層12は、アンチグレア膜厚tの波長550nmに対する光学膜厚が43nm以上、かつ101nm以下であり、凹凸構造20の凸部22の突出高さであるアンチグレア高さhが、110nm以上、かつ180nm以下である。この構成によれば、図9に示すように、アンチグレア層12の表面の視感反射率を小さく抑えることが可能となる。その結果、成形が煩雑な誘電体多層膜などからなる反射防止膜を不要として透明物品10の製造を容易にしつつも、アンチグレア層12による十分な反射防止効果を得ることが可能となる。
(2)上記透明物品10において、凹凸構造20の算術平均高さSaが、20nm以上、かつ200nm以下であることが好ましい。この構成によれば、アンチグレア層12における映り込みをより好適に抑えることが可能となる。
(3)上記透明物品10において、凹凸構造20の粗さ曲線要素の平均長さRSmが、5μm以上、かつ40μm以下であることが好ましい。この構成によれば、アンチグレア層12における映り込みをより好適に抑えることが可能となる。
(4)アンチグレア層12の凹凸構造20の表面には、防汚層14が設けられている。この構成によれば、アンチグレア層12の表面に対する汚れの付着を防汚層14によって抑制することが可能となる。
(5)透明物品10は、アンチグレア層12の凹凸構造20の表面において誘電体多層膜を有していない。この構成によれば、透明物品10の製造を容易にすることが可能となる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態の透明物品10において、アンチグレア層12の屈折率を、透明基材11の屈折率よりも大きく設定してもよい。
・上記実施形態の透明物品10において、アンチグレア層12の屈折率を、透明基材11の屈折率よりも大きく設定してもよい。
・上記実施形態の透明物品10において、防汚層14を省略してもよい。
・測定ステップにおいて、アンチグレア層12の表面に対して傾斜した角度で入射させた光の正反射光によりサンプル正反射スペクトルを測定してもよい。
・測定ステップにおいて、アンチグレア層12の表面に対して傾斜した角度で入射させた光の正反射光によりサンプル正反射スペクトルを測定してもよい。
・上記実施形態の第1サンプル31では、アンチグレア層12の表面に光学膜を設けていないが、これに特に限定されるものではない。アンチグレア層12の表面における厚さ方向の屈折率の分布が第2サンプル32と異なるようにすれば、第1サンプル31にも光学膜を設けてもよい。
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10…透明物品
11…透明基材
11a…主面
12…アンチグレア層
13…境界面
14…防汚層
20…凹凸構造
21…凹部
22…凸部
t…アンチグレア膜厚
h…アンチグレア高さ(突出高さ)
11…透明基材
11a…主面
12…アンチグレア層
13…境界面
14…防汚層
20…凹凸構造
21…凹部
22…凸部
t…アンチグレア膜厚
h…アンチグレア高さ(突出高さ)
Claims (5)
- 主面を有する透明基材と、
前記主面に設けられ、表面に凹凸構造を有するアンチグレア層と、
を備え、
前記アンチグレア層の屈折率は、前記透明基材の屈折率と異なっており、
前記アンチグレア層は、前記凹凸構造の凹部での波長550nmに対する光学膜厚が43nm以上、かつ101nm以下であり、
前記凹凸構造の凸部の突出高さが、110nm以上、かつ180nm以下である、
透明物品。 - 前記凹凸構造の算術平均高さSaが、20nm以上、かつ200nm以下である、
請求項1に記載の透明物品。 - 前記凹凸構造の粗さ曲線要素の平均長さRSmが、5μm以上、かつ40μm以下である、
請求項1または2に記載の透明物品。 - 前記アンチグレア層の前記凹凸構造の表面には、防汚層が設けられている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の透明物品。 - 前記アンチグレア層の前記凹凸構造の表面に誘電体多層膜を有していない、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の透明物品。
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JP2021166102A JP2023056723A (ja) | 2021-10-08 | 2021-10-08 | 透明物品 |
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2022
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