JP2023056722A - 光学スペクトルの計算方法及びプログラム - Google Patents

光学スペクトルの計算方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】所望の特性を持つ反射防止膜の設計を容易に行うことを可能にした光学スペクトルの計算方法及びプログラムを提供する。【解決手段】本実施形態の光学スペクトルの計算方法は、測定ステップと、高さ分布算出ステップと、スペクトル計算ステップと、を有する。測定ステップでは、表面付近での厚さ方向における屈折率分布が互いに異なる複数のサンプル基材を用意し、当該複数のサンプル基材におけるサンプル正反射スペクトルをそれぞれ測定する。高さ分布算出ステップでは、上記測定ステップで測定された複数のサンプル正反射スペクトルに基づいて、アンチグレア面の高さ分布関数H(x)を算出する。スペクトル計算ステップでは、アンチグレア面の凹凸構造による光の干渉を高さ分布関数H(x)に基づいて計算し、当該光の干渉を考慮して光学スペクトルを求める。【選択図】図8

Description

本発明は、光学スペクトルの計算方法及びプログラムに関するものである。
表示装置の視認性を向上する観点から、表示装置の表示面に配置されるカバーガラス等の透明物品の表面をアンチグレア面として防眩効果を付与することが提案されている。アンチグレア面による防眩効果は、アンチグレア面の凹凸構造に基づいて発揮される。
また、例えば特許文献1には、透明物品の表面に対し、例えば光学多層膜からなる反射防止膜を施すことが開示されている。この反射防止膜によって、防眩効果とコントラストの向上を図ることが可能である。
国際公開第2018/179825号
上記反射防止膜の膜設計において、反射防止膜を設ける透明物品の表面が凹凸の無い平面の場合には、反射光の光学スペクトルを容易に計算することが可能であるため、所望の特性を持つ反射防止膜を容易に設計することが可能である。
しかしながら、さらなる防眩効果の向上を図るべく、透明物品の表面を、凹凸構造を有するアンチグレア面とし、さらにそのアンチグレア面に反射防止膜を設ける場合には、アンチグレア面の凹凸で反射した光が干渉すること等によって反射光の光学スペクトルの計算が困難であった。その結果、所望の特性を持つ反射防止膜を設計することが難しかった。
本発明の目的は、所望の特性を持つ反射防止膜の設計を容易に行うことを可能にした光学スペクトルの計算方法及びプログラムを提供することにある。
上記課題を解決する光学スペクトルの計算方法は、凹凸構造を有するアンチグレア面を表面に備える透明基材と、前記アンチグレア面上に設けられる反射防止膜とを備えた膜付透明基材における光学スペクトルの計算方法であって、各々前記アンチグレア面を表面に有し、当該表面付近での厚さ方向における屈折率の分布が相互に異なる複数のサンプル基材を用い、前記複数のサンプル基材の表面におけるサンプル正反射スペクトルを測定する測定ステップと、前記測定ステップで測定された複数の前記サンプル正反射スペクトルに基づいて、前記アンチグレア面の高さ分布関数を算出する高さ分布算出ステップと、前記凹凸構造による光の干渉を前記高さ分布関数に基づいて計算し、当該光の干渉を考慮して前記光学スペクトルを求めるスペクトル計算ステップと、を有する。
この態様によれば、複数のサンプル基材の各々におけるサンプル正反射スペクトルに基づいて、アンチグレア面の高さ分布関数を算出する。これにより、算出したアンチグレア面の高さ分布関数に基づき、アンチグレア面の凹凸構造による光の干渉を計算することができる。その結果、反射防止膜が設けられたアンチグレア面における光学スペクトルを、アンチグレア面の凹凸構造の光の干渉を考慮して容易に計算することが可能となる。
上記光学スペクトルの計算方法の前記測定ステップにおいて、前記サンプル基材の前記アンチグレア面に垂直に入射させた光の反射光により前記サンプル正反射スペクトルを測定することが好ましい。
この態様によれば、高さ分布算出ステップにおける高さ分布関数を算出する計算式を単純化することが可能となり、その結果、膜付透明基材の光学スペクトルをより容易に計算することが可能となる。
上記光学スペクトルの計算方法において、前記複数のサンプル基材は、前記アンチグレア面に光学膜が設けられていない第1サンプル基材と、前記アンチグレア面に光学膜が設けられた第2サンプル基材と、を含むことが好ましい。
この態様によれば、第1サンプル基材に光学膜を設けなくてもよいため、工程の簡素化を図ることが可能となる。
上記課題を解決するプログラムは、凹凸構造を有するアンチグレア面を表面に備える透明基材と、前記アンチグレア面上に設けられる反射防止膜とを備えた膜付透明基材における光学スペクトルを計算する計算装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、入力値として得られた複数のサンプル正反射スペクトルに基づいて、前記アンチグレア面の高さ分布関数を算出する高さ分布算出ステップと、前記凹凸構造による光の干渉を前記高さ分布関数に基づいて計算し、当該光の干渉を考慮して前記光学スペクトルを求めるスペクトル計算ステップと、を有する。
この態様によれば、複数のサンプル基材の各々におけるサンプル正反射スペクトルに基づいて、アンチグレア面の高さ分布関数を算出する。これにより、算出したアンチグレア面の高さ分布関数に基づき、アンチグレア面の凹凸構造による光の干渉を計算することができる。その結果、反射防止膜が設けられたアンチグレア面における光学スペクトルを、アンチグレア面の凹凸構造の光の干渉を考慮して容易に計算することが可能となる。
本発明の光学スペクトルの計算方法及びプログラムによれば、所望の特性を持つ反射防止膜の設計を容易に行うことが可能となる。
実施形態の光学スペクトルの計算の対象となる膜付透明基材10を示す模式図である。 同形態の測定ステップで用いる第1サンプル基材を示す模式図である。 同形態の測定ステップで用いる第2サンプル基材を示す模式図である。 同形態の測定ステップで用いる測定装置を示す模式図である。 第1サンプル正反射スペクトルを示すグラフである。 第2サンプル正反射スペクトルを示すグラフである。 反射率Rの算出方法を説明するための説明図である。 高さ分布関数を示すグラフである。 光学スペクトルのシミュレーション値と実測値を示すグラフである。
以下、光学スペクトルの計算方法及びプログラムの一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
(膜付透明基材10)
まず、光学スペクトルの計算の対象となる膜付透明基材10について説明する。
図1に示すように、膜付透明基材10は、例えば、表示装置の表示面に配置して用いられる。この場合、膜付透明基材10は、表示装置の表示面の上に取り付けられる部材であってもよい。すなわち、膜付透明基材10は、表示装置に事後的に取り付けられる部材であってもよい。
膜付透明基材10は、透明基材11と、反射防止膜12とを備えている。なお、膜付透明基材10は、防汚層等のその他の層を有するものであってもよい。
透明基材11は、互いに対向する一対の主面を有するシート状又は板状をなしている。透明基材11の材質は特に限定されるものではない。透明基材11の材質としては、例えば、ガラス、樹脂等が挙げられる。透明基材11の材質は、ガラスであることが好ましく、ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、化学強化ガラス等の公知のガラスを用いることができる。可視光の透過率が経時的に変化し難い点において、透明基材11はガラスからなることが好ましい。
(透明基材11)
透明基材11は、凹凸構造によるアンチグレア面13を一方の主面に有している。本実施形態の透明基材11は、例えば、基材本体21と、基材本体21の表面に設けられる透光性のアンチグレア層22とを備えている。そして、アンチグレア面13は、アンチグレア層22に設けられている。なお、アンチグレア面の構造は特に限定されるものではない。アンチグレア面としては、例えば、コーティング剤を塗布する処理により形成されるアンチグレア面、及びブラスト処理やエッチング処理により形成されるアンチグレア面が挙げられる。また、アンチグレア層22を省略し、基材本体21の表面に直接アンチグレア面13を形成した構成であってもよい。
(反射防止膜12)
反射防止膜12は、アンチグレア面13に成膜されている。反射防止膜12は、例えば光学多層膜である。反射防止膜12として用いられる光学多層膜は、例えば、単層または複数層の二酸化ケイ素や、単層または複数層の五酸化ニオブ等を含んで構成される。なお、反射防止膜12における層数、各層の材質および各層の厚さは、所望する反射特性に応じて設定される。また、反射防止膜12は、単層の膜構成であってもよい。
(光学スペクトルの計算方法)
次に、上記の膜付透明基材10における光学スペクトルの計算方法について説明する。本計算方法は、以下に記載する測定ステップと、高さ分布算出ステップと、スペクトル計算ステップとを順に経ることにより実施される。
なお、上記の3つのステップのうちの高さ分布算出ステップとスペクトル計算ステップは、例えば、計算装置としてのコンピュータのメモリに記憶されたプログラムを実行することによって実行される。コンピュータは、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよいし、そのようなプロセッサと、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。あるいは、上記プロセッサを含むコンピュータに代えて、各種処理の全てを実行する1つ以上の専用のハードウェア回路によって構成された処理回路が用いられてもよい。
(測定ステップ)
測定ステップでは、透明基材11のアンチグレア面13と同様のアンチグレア面を有する透明基材を測定サンプルとして複数用意する。当該測定サンプルは、透明基材11の製造工程と同じ製造工程を経て作製されるものである。そして、本実施形態では、測定サンプルを基に、図2に示す第1サンプル基材31と、図3に示す第2サンプル基材32を作製する。
第1サンプル基材31と第2サンプル基材32では、測定サンプルとしての透明基材11のアンチグレア面13において、厚さ方向における屈折率の分布が相互に異なるように構成している。例えば、第2サンプル基材32においては、透明基材11のアンチグレア面13に光学膜33を設けている。一方、第1サンプル基材31においては、透明基材11のアンチグレア面13に光学膜を設けない。これにより、第1サンプル基材31と第2サンプル基材32とで、アンチグレア面13における厚さ方向の屈折率分布を異ならせている。なお、測定サンプルの裏面反射の影響を無くすため、測定サンプルの裏面はブラスト処理を施しておくことが好ましい。
第2サンプル基材32の光学膜33は、単層または複数層の膜構成を有している。光学膜33は、例えば、単層または複数層の二酸化ケイ素や、単層または複数層の五酸化ニオブ等を含んで構成される。
なお、第1サンプル基材31のアンチグレア面13に光学膜を設けた場合であっても、光学膜の膜構成を異ならせることで、厚さ方向における屈折率分布を第1サンプル基材31と第2サンプル基材32とで異ならせることは可能である。
同測定ステップでは、第1サンプル基材31と第2サンプル基材32の各々における正反射スペクトルを、図4に示す測定装置41を用いて測定する。
図4に示すように、測定装置41は、光源42と、二分岐光ファイバ43と、コリメータレンズ44と、分光器45とを備える。光源42から出射された光は、二分岐光ファイバ43に導入され、コリメータレンズ44にて平行光Lとなって測定サンプルとしての第1サンプル基材31または第2サンプル基材32に照射される。コリメータレンズ44の光軸CLは、測定サンプルのアンチグレア面13に対し垂直に設定されている。これにより、コリメータレンズ44から出射された光が、測定サンプルのアンチグレア面13に垂直に入射する。
そして、アンチグレア面13で反射した光の正反射成分のみがコリメータレンズ44により二分岐光ファイバ43を介して分光器45に導入され、分光器45にて当該正反射成分のスペクトル測定が行われる。例えば、図5は、第1サンプル基材31に対するスペクトル測定で得られる第1サンプル正反射スペクトルSp1を示している。また例えば、図6は、第2サンプル基材32に対するスペクトル測定で得られる第2サンプル正反射スペクトルSp2を示している。なお、第2サンプル基材32における光学膜33の膜構成は、第1サンプル正反射スペクトルSp1と第2サンプル正反射スペクトルSp2とでピークとなる波長が大きくずれるように設定されることが望ましい。これは、後段の高さ分布算出ステップにおいて、正確な高さ分布関数H(x)を算出するためである。
(反射率Rの算出方法)
次に、膜付透明基材10のアンチグレア面13側の主面における反射率Rの計算方法について説明する。反射率Rは、下記式(1)に基づいて算出できる。
Figure 2023056722000002
上記式(1)に示すように、反射率Rは、高さ分布関数H(x)を重みとして、複素数振幅反射率r(x)をアンチグレア高さxで積分することで計算される。アンチグレア高さxは、厚方向における境界面23からアンチグレア面13の凹凸構造における凸部の先端までの長さである。
以下、上記式(1)について説明する。図7に示すように、位置Pから透明基材11に照射された平行光が、アンチグレア面13で反射して位置Pへ帰ってくる正反射を考える。このとき、平行光がアンチグレア面13の凹部で反射したか凸部で反射したかに応じて、位置Pに帰ってくる反射光L1はそれぞれ位相差を生じる。また、基材本体21とアンチグレア層22とに屈折率差がある場合は、アンチグレア面13で反射する反射光L1と、アンチグレア層22を透過して基材本体21とアンチグレア層22の境界面23で反射する反射光L2との干渉を考慮する。この考えにより、透明基材11の反射光は、振幅の反射率と位相の変化をまとめて複素数で表した複素数振幅反射率r(x)として表される。また、アンチグレア面13の凹凸構造の周期が十分に短く、かつ、アンチグレア面13から位置Pまでの距離が十分に長い場合、位置Pにて複素数振幅反射率r(x)が干渉を生じるとする。アンチグレア高さxは高さ分布関数H(x)で表される密度を持つため、高さ分布関数H(x)を重みとして複素数振幅反射率r(x)をアンチグレア高さxで積分することで反射率Rを計算することができる。そして、高さ分布関数H(x)に基づいて各波長毎の反射率Rを計算することで、膜付透明基材10のアンチグレア面13側の主面における光学スペクトルを計算できる。すなわち、高さ分布関数H(x)を得られれば、膜付透明基材10の光学スペクトルを計算できる。
(高さ分布算出ステップ)
高さ分布算出ステップでは、前記測定ステップで測定された第1サンプル正反射スペクトルSp1と第2サンプル正反射スペクトルSp2とに基づいて、透明基材11のアンチグレア面13の高さ分布関数H(x)を算出する。なお、高さ分布算出ステップを実行する前記プログラムを実行するコンピュータは、第1サンプル正反射スペクトルSp1と第2サンプル正反射スペクトルSp2とを入力値として得る。
高さ分布関数H(x)は、例えば下記式(2)とする。
Figure 2023056722000003
上記式(2)に示すように、高さ分布関数H(x)は、3つの正規分布関数G,G,Gと、歪みを与えるための2つのシグモイド関数S,Sとを合成した関数である。上記式(2)において、k,kは比例定数である。
各正規分布関数G,G,Gは下記式(3)で表され、各シグモイド関数S,Sは下記式(4)で表される。
Figure 2023056722000004
Figure 2023056722000005
上記式(3)において、dはシフト量であり、σは標準偏差である。上記式(4)において、aはゲインであり、dはシフト量である。
本実施形態の高さ分布算出ステップでは、上記式(1)の反射率Rから計算される正反射スペクトルが、第1サンプル正反射スペクトルSp1及び第2サンプル正反射スペクトルSp2のそれぞれで合致する高さ分布関数H(x)の解を求める。すなわち、高さ分布関数H(x)において、比例定数k,k、シフト量d、標準偏差σ、及びゲインaの各パラメータを変更し、第1サンプル正反射スペクトルSp1及び第2サンプル正反射スペクトルSp2のそれぞれで合致する各パラメータの値を求める。
図8には、高さ分布関数H(x)の一例を示している。同図に示すように、高さ分布関数H(x)は、アンチグレア面13における高さ毎の度数を示すヒストグラムとして表される。なお、横軸となる高さは、アンチグレア層22と基材本体21の境界面23を基準とする高さである。
なお、図1に示すように、アンチグレア層22と基材本体21の境界面23からアンチグレア面13の凹凸構造の凹部表面までの厚さをアンチグレア膜厚tとする。また、同図において、アンチグレア面13の凹凸構造における凸部の突出高さを、突出高さhとしている。
図8に示すように、高さ分布関数H(x)は、横軸の高さがアンチグレア膜厚tとなる値で最も度数が大きくなる第1のピークP1を有する。すなわち、アンチグレア面13において、高さがアンチグレア膜厚tとなる部分が最も多く分布していることを表している。また、高さ分布関数H(x)は、第1のピークP1よりも高さが高い部分で、アンチグレア面13のアンチグレア高さxに相当する第2のピークP2を有する。なお、図8においては、本例の高さ分布関数H(x)に含まれるシグモイド関数S,Sも合わせて示している。
また、図8に示す高さ分布関数H(x)における各パラメータを、下記の表1及び表2に示す。
Figure 2023056722000006
Figure 2023056722000007
(スペクトル計算ステップ)
高さ分布算出ステップの後、スペクトル計算ステップを行う。同スペクトル計算ステップでは、膜付透明基材10において、反射防止膜12における光の干渉、及びアンチグレア面13の凹凸構造による光の干渉を計算し、それら各干渉を考慮して膜付透明基材10の光学スペクトルを求める。アンチグレア面13の凹凸構造による光の干渉は、上記式(1)に基づいて計算する。このとき、上記式(1)に含まれる高さ分布関数H(x)は、上記高さ分布算出ステップで算出した高さ分布関数H(x)を代入する。また、反射防止膜12における光の干渉は、任意の膜構成の反射防止膜12における各層界面反射による干渉であり、同光の干渉は計算によって得ることができる。
図9には、膜付透明基材10の光学スペクトルにおいて、スペクトル計算ステップにて計算されたシミュレーション値と、実測値との比較を示している。同図に示すように、シミュレーション値と実測値とで、光学スペクトルがピークを示す波長に大きなずれはない。従って、本実施形態の計算方法によって膜付透明基材10の光学スペクトルが好適に計算できるといえる。
本実施形態の効果について説明する。
(1)測定ステップでは、表面付近での厚さ方向における屈折率分布が互いに異なる複数のサンプル基材を用意し、当該複数のサンプル基材におけるサンプル正反射スペクトルをそれぞれ測定する。高さ分布算出ステップでは、上記測定ステップで測定された複数のサンプル正反射スペクトルに基づいて、アンチグレア面13の高さ分布関数H(x)を算出する。スペクトル計算ステップでは、アンチグレア面13の凹凸構造による光の干渉を高さ分布関数H(x)に基づいて計算し、当該光の干渉を考慮して光学スペクトルを求める。
この態様によれば、複数のサンプル基材の各々におけるサンプル正反射スペクトルに基づいて、アンチグレア面13の高さ分布関数H(x)を算出する。これにより、算出したアンチグレア面13の高さ分布関数H(x)に基づき、アンチグレア面13の凹凸構造による光の干渉を計算することができる。その結果、反射防止膜12が設けられたアンチグレア面13における光学スペクトルを、アンチグレア面13の凹凸構造の光の干渉を考慮して容易に計算することが可能となる。
(2)測定ステップにおいて、サンプル基材のアンチグレア面13に垂直に入射させた光の反射光によりサンプル正反射スペクトルを測定する。この態様によれば、高さ分布算出ステップにおける高さ分布関数H(x)を算出する計算式を単純化することが可能となり、その結果、膜付透明基材10の光学スペクトルをより容易に計算することが可能となる。
(3)複数のサンプル基材は、アンチグレア面13に光学膜が設けられていない第1サンプル基材31と、アンチグレア面13に光学膜33が設けられた第2サンプル基材32と、を含む。この態様によれば、第1サンプル基材31に光学膜を設けなくてもよいため、工程の簡素化を図ることが可能となる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・測定ステップにおいて、サンプル基材のアンチグレア面13に対して傾斜した角度で入射させた光の正反射光によりサンプル正反射スペクトルを測定してもよい。
・上記実施形態の第1サンプル基材31では、アンチグレア面13に光学膜を設けていないが、これに特に限定されるものではない。アンチグレア面13における厚さ方向の屈折率の分布が第2サンプル基材32と異なるようにすれば、第1サンプル基材31のアンチグレア面13にも光学膜を設けてもよい。
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10…膜付透明基材
11…透明基材
12…反射防止膜
13…アンチグレア面
21…基材本体
22…アンチグレア層
23…境界面
31…第1サンプル基材
32…第2サンプル基材
33…光学膜
41…測定装置
42…光源
43…二分岐光ファイバ
44…コリメータレンズ
45…分光器
Sp1…第1サンプル正反射スペクトル
Sp2…第2サンプル正反射スペクトル
t…アンチグレア膜厚
x…アンチグレア高さ

Claims (4)

  1. 凹凸構造を有するアンチグレア面を表面に備える透明基材と、前記アンチグレア面上に設けられる反射防止膜とを備えた膜付透明基材における光学スペクトルの計算方法であって、
    各々前記アンチグレア面を表面に有し、当該表面付近での厚さ方向における屈折率の分布が相互に異なる複数のサンプル基材を用い、前記複数のサンプル基材の表面におけるサンプル正反射スペクトルを測定する測定ステップと、
    前記測定ステップで測定された複数の前記サンプル正反射スペクトルに基づいて、前記アンチグレア面の高さ分布関数を算出する高さ分布算出ステップと、
    前記凹凸構造による光の干渉を前記高さ分布関数に基づいて計算し、当該光の干渉を考慮して前記光学スペクトルを求めるスペクトル計算ステップと、
    を有する、
    光学スペクトルの計算方法。
  2. 前記測定ステップにおいて、前記サンプル基材の前記アンチグレア面に垂直に入射させた光の反射光により前記サンプル正反射スペクトルを測定する、
    請求項1に記載の光学スペクトルの計算方法。
  3. 前記複数のサンプル基材は、前記アンチグレア面に光学膜が設けられていない第1サンプル基材と、前記アンチグレア面に光学膜が設けられた第2サンプル基材と、を含む、
    請求項1に記載の光学スペクトルの計算方法。
  4. 凹凸構造を有するアンチグレア面を表面に備える透明基材と、前記アンチグレア面上に設けられる反射防止膜とを備えた膜付透明基材における光学スペクトルを計算する計算装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
    入力値として得られた複数のサンプル正反射スペクトルに基づいて、前記アンチグレア面の高さ分布関数を算出する高さ分布算出ステップと、
    前記凹凸構造による光の干渉を前記高さ分布関数に基づいて計算し、当該光の干渉を考慮して前記光学スペクトルを求めるスペクトル計算ステップと、
    を有する、
    プログラム。
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