JP2023056486A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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栄一 中田
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Abstract

【課題】写像性に優れているとともに、保存後のインクを用いた場合であっても、保存前のインクを用いた場合と同等の写像性を示す画像を低~非吸収性の記録媒体に記録することが可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】水性インク及び反応液を記録媒体に付与して画像を記録するインクジェット記録方法である。水性インクを記録ヘッドから吐出して記録媒体に付与する工程と、反応液を記録ヘッドから吐出して記録媒体に付与する工程とを有し、水性インクが、アニオン性基の量が150μmol/g以下の樹脂粒子及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有し、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、炭素数16以上のアルキル基を有するとともに、グリフィン法により求められるHLB値が14.0以上であり、記録媒体が、ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
近年、インクジェット記録方法は、ポスターや大きなサイズの広告の記録など、サイン&ディスプレイの分野で使用されることが増えている。この分野では、記録媒体の耐久性やコストなどの観点から、記録媒体として、ポリ塩化ビニルシートやポリエチレンテレフタレート(PET)シートなどが用いられることが多い。これらは、記録媒体の記録面に水性インクの吸収層を持たないか、ほぼ持たない記録媒体であり、いわゆる非吸収性の記録媒体(水性インクの吸収性を有しない記録媒体)や低吸収性の記録媒体(水性インクの吸収性が低い記録媒体)と呼ばれる。これらの記録媒体に画像を記録する際には、従来、溶剤系インクや硬化型インクなどが用いられていた。しかし、環境負荷や臭気などを低減する観点から、水性媒体を用いた水性インクのニーズが高まっている。
非吸収性の記録媒体に良好な画像を記録するための手法が種々検討されている。例えば、記録媒体に付着したインクを速やかに固定してムラが抑制された高品位な画像を記録すべく、インク中の成分を凝集させる凝集剤を含有する反応液を用いる記録方法が提案されている(特許文献1)。また、反応液とともに用いて耐擦過性に優れた画像を記録すべく、樹脂微粒子及びノニオン性界面活性剤を含有する、保存性が担保されたインクが提案されている(特許文献2)。
特開2018-162341号公報 特開2018-165314号公報
しかし、特許文献1で提案された方法の場合、本発明者らが検討したところ、保存前のインクで記録した画像の写像性と、保存後のインクで記録した画像の写像性とが異なり、保存後のインクを用いて記録した画像の写像性が劣ることが明らかとなった。また、特許文献2で提案されたインクを用いた場合には、要求されるレベルの写像性を示す画像を記録することは困難であることがわかった。さらに、保存前のインクで記録した画像の写像性と、保存後のインクで記録した画像の写像性とが異なることも判明した。
したがって、本発明の目的は、写像性に優れているとともに、保存後のインクを用いた場合であっても、保存前のインクを用いた場合と同等の写像性を示す画像を低~非吸収性の記録媒体に記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、水性インク及び前記水性インクと反応する水性の反応液をインクジェット方式の記録ヘッドから吐出し、記録媒体に付与して画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記水性インクを前記記録ヘッドから吐出して前記記録媒体に付与する工程と、前記反応液を前記記録ヘッドから吐出して前記記録媒体に付与する工程と、を有し、前記水性インクが、アニオン性基の量が150μmol/g以下の樹脂粒子及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有し、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、炭素数16以上のアルキル基を有するとともに、グリフィン法により求められるHLB値が14.0以上であり、前記記録媒体が、ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下であることを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、写像性に優れているとともに、保存後のインクを用いた場合であっても、保存前のインクを用いた場合と同等の写像性を示す画像を低~非吸収性の記録媒体に記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を模式的に示す側面図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)、常圧(1気圧)における値である。
また、本明細書においては、「ユニット」とは、特に断りのない限り、1のモノマーに対応する単位構造のことを意味する。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載する場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を表すものとする。インクジェット用の水性インクに汎用のポリエステル樹脂は、多価アルコールに由来するユニット、及び多価カルボン酸に由来するユニットで構成される。多価アルコールに由来するユニットと多価カルボン酸に由来するユニットとで構成される、エステル結合(-COO-)を含む構造を「エステルユニット」と呼ぶことがある。
さらに、本明細書においては、低吸収~非吸収の記録媒体をまとめて「非吸収性の記録媒体」と記載することがある。低吸収~非吸収の記録媒体であることを、ブリストー(Bristow)法において、接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である、と定義する。
非吸収性の記録媒体において良好な画像品位を得るためには、インクと反応液を組み合わせた、いわゆる「反応系システム」であるインクと反応液の組み合わせを利用する必要がある。反応系システムにより写像性が向上した画像を記録する場合には、例えば、樹脂粒子を含有するインクを用いる。そして、インクの保存安定性を考慮し、アニオン性基の量が比較的少ない樹脂粒子を用いる。しかし、アニオン性基の量が少ない樹脂粒子は、反応液中の反応剤との反応により凝集しやすいため、画像の写像性を向上させることが困難である。検討の結果、本発明者らは、界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテルを添加したインクを用いることで、画像の写像性が向上することを見出した。但し、保存後のインクを用いて画像を記録したところ、保存前のインクを用いて記録した画像に比して写像性が低下することが判明した。その理由について、本発明者らは以下のように推測している。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル基が樹脂粒子に吸着することで、インク中の樹脂粒子と、反応液中の反応剤(凝集成分)との反応が緩和され、画像の写像性が向上する。しかし、インクを保存すると、樹脂粒子に吸着していた界面活性剤が脱離するので、樹脂粒子と反応剤が反応しやすくなり、樹脂粒子が凝集して画像の写像性が低下すると考えられる。本発明者らは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを構成するアルキル基の炭素数、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルのHLB値に着目し、さらに検討した。その結果、炭素数16以上のアルキル基を有するとともに、HLB値が14.0以上のポリオキシエチルアルキルエーテルをインクに含有させることで、保存後のインクを用いた場合であっても写像性が変化しにくくなることを見出した。その理由について、本発明者らは以下のように推測している。
アニオン性基の量が少ない樹脂粒子には、疎水性部分が多く存在する。炭素数の多いアルキル基を持ったポリオキシエチルアルキルエーテルは、樹脂粒子の疎水性部分に多点で吸着して安定化するため、樹脂粒子から脱離しにくいと考えられる。また、HLB値が小さいポリオキシエチレンアルキルエーテルは、水性媒体への溶解性に乏しいため、インクの保存前後で凝集性が変化し、得られる画像の写像性も変化すると考えられる。これに対して、HLB値が14.0以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルは樹脂粒子に速やかに吸着しやすく、インクの保存後も樹脂粒子から脱離しにくいため、得られる画像の写像性が安定すると考えられる。
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法は、水性インク及び水性インクと反応する水性の反応液をインクジェット方式の記録ヘッドから吐出し、記録媒体に付与して画像を記録する方法である。本発明のインクジェット記録方法は、水性インクを記録ヘッドから吐出して記録媒体に付与する工程と、反応液を記録ヘッドから吐出して記録媒体に付与する工程とを有する。水性インクは、アニオン性基の量が150μmol/g以下の樹脂粒子及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有する。そして、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、炭素数16以上のアルキル基を有するとともに、グリフィン法により求められるHLB値が14.0以上である。また、本発明のインクジェット記録装置は、水性インク及び水性インクと反応する水性の反応液をインクジェット方式の記録ヘッドから吐出し、記録媒体に付与して画像を記録するインクジェット記録方法に用いる装置である。本発明のインクジェット記録装置は、上記の記録方法に好適に用いられる装置である。以下、本発明のインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置(以下、単に「記録方法及び記録装置」とも記す)について詳細に説明する。
(水性インク)
インクは、樹脂粒子及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有する。以下、インクを構成する各成分などについて詳細に説明する。
〔樹脂粒子〕
樹脂粒子は、アニオン性基の量が150μmol/g以下である。「樹脂粒子のアニオン性基の量」は、単位質量(g)当たりの樹脂粒子の粒子表面に存在するアニオン性基の量(μmol)で表される物性値である。アニオン性基の量が150μmol/g超であると、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが樹脂粒子に吸着しにくくなり、写像性を向上する効果が弱くなる場合があり、また、保存後のインクで記録した画像の写像性が損なわれる。樹脂粒子のアニオン性基の量は、電位差を利用したコロイド滴定により測定することができる。
インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子は、分散状態、すなわち、樹脂エマルションの形態でインク中に存在する。樹脂粒子は色材を内包しないものであることが好ましい。
本明細書における「樹脂粒子」とは、インクを構成する水性媒体に溶解しない樹脂をいい、具体的には、動的光散乱法により粒子径を測定可能な粒子を形成した状態で水性媒体中に存在しうる樹脂を意味する。一方、「水溶性樹脂」とは、インクを構成する水性媒体に溶解しうる樹脂をいい、具体的には、動的光散乱法により粒子径を測定可能な粒子を形成しない状態で水性媒体中に存在しうる樹脂を意味する。「樹脂粒子」を「水分散性樹脂(水不溶性樹脂)」と言い換えることもできる。
ある樹脂が「樹脂粒子」であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、判断対象の樹脂を含む液体(樹脂の含有量:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体をイオン交換水で10倍(体積基準)に希釈して試料を調製する。そして、試料中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されれば、その粒子は「樹脂粒子」(水分散性樹脂)であると判断する。一方、粒子径を有する粒子が測定されなければ、その樹脂は「樹脂粒子」ではない(「水溶性樹脂」である)と判断する。この際の測定条件は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:真球形、屈折率:1.59、とすることができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「ナノトラックUPA-EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
樹脂粒子を構成する樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができる。なかでも、ポリエステル樹脂が好ましい。すなわち、インクに含有させる樹脂粒子は、ポリエステル樹脂粒子であることが好ましい。樹脂粒子のなかでもポリエステル樹脂粒子は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとの親和性が良好であるため、インクを保存しても樹脂粒子よりポリオキシエチレンアルキルエーテルが脱離しにくい。このため、保存後のインクで記録した画像の写像性の変化をより抑制することができる。
[アクリル樹脂]
アクリル樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有する単量体及び(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有する樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、スチレン及びα-メチルスチレンの少なくとも一方の単量体に由来する疎水性ユニットとを有する樹脂が好ましい。これらの樹脂は、顔料との相互作用が生じやすいため、顔料を分散させるための樹脂分散剤として好適に利用することができる。
親水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有する親水性単量体を重合することで形成することができる。親水性基を有する親水性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性単量体、これらの酸性単量体の無水物や塩などのアニオン性単量体などを挙げることができる。酸性単量体の塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。疎水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、アニオン性基などの親水性基を有しない、疎水性単量体を重合することで形成することができる。疎水性単量体の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有する単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体などを挙げることができる。
[ウレタン樹脂、オレフィン樹脂]
ウレタン樹脂は、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得ることができる。また、鎖延長剤をさらに反応させたものであってもよい。オレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
[ポリエステル樹脂]
ポリエステル樹脂は、通常、多価アルコールに由来するユニット及び多価カルボン酸に由来するユニットで構成される。ポリエステル樹脂の末端には、未反応のヒドロキシ基又はカルボン酸基が存在する。ポリエステル樹脂に占める、多価アルコールに由来するユニットの割合(質量%)及び多価カルボン酸に由来するユニットの割合(質量%)の合計は、90.0質量%以上であることが好ましい。また、95.0質量%以上であることがさらに好ましく、100.0質量%であってもよい。
多価アルコールとしては、2乃至4価の多価アルコールを挙げることができる。多価アルコールとしては、脂肪族基を有する多価アルコール、芳香族基を有する多価アルコール、糖アルコールなどを挙げることができる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール〔1,2-エタンジオール〕、ネオペンチルグリコール〔2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール〕、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ベンゼンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕などの2価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリスリトールなどの4価アルコール;などを挙げることができる。多価アルコールとして、オリゴマー(分子量1,000以下の低分子量の重合体)を用いることもできる。ポリエステル樹脂に占める、多価アルコールに由来するユニットの割合(質量%)は、40.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましい。
多価カルボン酸としては、2乃至4価の多価カルボン酸を挙げることができる。多価カルボン酸としては、脂肪族基を有する多価カルボン酸、芳香族基を有する多価カルボン酸、含窒素多価カルボン酸などを挙げることができる。多価カルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などの2価カルボン酸;トリメリット酸などの3価カルボン酸;エチレンジアミン四酢酸などの4価カルボン酸;などを挙げることができる。多価カルボン酸として、オリゴマー(分子量1,000以下の低分子量の重合体)を用いることもできる。ポリエステル樹脂に占める、多価カルボン酸に由来するユニットの割合(質量%)は、40.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましい。
ポリエステル樹脂粒子(ポリエステル樹脂粒子を構成するポリエステル樹脂)の重量平均分子量は、30,000以上70,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が30,000未満であると、ポリエステル樹脂の分子鎖が短すぎるため、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが脱離しやすく、保存後のインクで記録した画像の写像性を向上する効果がやや弱くなる場合がある。一方、重量平均分子量が70,000超であると、ポリエステル樹脂の分子鎖が長すぎるため、分子運動が生じにくく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとの相互作用が生じにくいため、記録した画像の写像性がやや弱くなる場合がある。本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の値である。
[樹脂粒子の分析]
樹脂粒子を構成する樹脂の組成については、例えば、以下に示す方法で分析することができる。まず、樹脂粒子を溶解しうるテトラヒドロフランなどの有機溶剤に樹脂粒子を溶解させて試料を調製する。有機溶剤に溶解させる樹脂粒子は、水分散液の状態であってもよく、乾燥状態であってもよい。調製した試料について、核磁気共鳴(NMR)分光法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI-MS)などの分析法で分析することで、樹脂を構成するユニット(単量体)の種類や割合を知ることができる。また、樹脂粒子を熱分解ガスクロマトグラフィーで分析することで、樹脂を構成するユニット(単量体)を検出することもできる。試料を調製する際に、有機溶剤に溶解しない不溶分が生ずる場合、生じた不溶分を熱分解ガスクロマトグラフィーで分析して、樹脂を構成するユニット(単量体)を検出することもできる。
〔その他の樹脂〕
インクには、樹脂粒子以外の樹脂(その他の樹脂)をさらに含有させてもよい。その他の樹脂の種類や形態は、水性インク中に安定に存在しうるものであればよい。その他の樹脂としては、具体的には、水溶性樹脂を挙げることができる。その他の樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂の溶解性を向上させるために、塩基をインクに添加してもよい。塩基としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミンメチルプロパノール、N,N-ジメチルエタノールアミンなどの有機アミン;水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの無機塩基;を用いることができる。
〔ポリオキシエチレンアルキルエーテル〕
インクは、炭素数16以上のアルキル基(炭化水素基)を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有する。ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、いわゆる界面活性剤として機能する成分であり、例えば、下記一般式(1)で表される。アルキル基の炭素数が16未満であると、記録した画像の写像性が劣るとともに、保存することで樹脂粒子から脱離しやすくなり、保存後のインクで記録した画像の写像性が損なわれる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの炭素数は30以下であることが好ましく、24以下であることがさらに好ましい。炭化水素基としては、アルキル基及びアルケニル基を挙げることができる。nは10以上50以下であることが好ましく、15以上30以下であることがさらに好ましい。
R-O-(CHCHO)-H ・・・(1)
(一般式(1)中、Rは、炭素数16以上の炭化水素基を表し、nは自然数を表す)
グリフィン法により求められるポリオキシエチレンアルキルエーテルのHLB値は、14.0以上である。ポリオキシエチレンアルキルエーテルのHLB値が14.0未満であると、記録した画像の写像性を向上する効果が弱くなる場合がある。また、水性媒体中への溶解性が低下し、樹脂粒子への吸着がゆっくりと進むため、保存後のインクで記録した画像の写像性が損なわれる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルのHLB値は、16.0以下であることが好ましい。HLB値が16.0以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルは水性媒体への溶解性が高すぎず、インクを保存しても樹脂粒子より脱離しにくい。このため、保存後のインクで記録した画像の写像性の変化をより抑制することができる。また、樹脂粒子へのポリオキシエチレンアルキルエーテルの吸着をより生じさせやすくするため、アクリル樹脂粒子を用いる場合は、そのHLB値が16.0以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることが好ましい。
グリフィン法によるHLB値は、下記式(2)より算出することができる。グリフィン法により求められるHLB値は、界面活性剤の親水性や親油性の程度を表す物性値であり、0.0乃至20.0の値をとる。HLB値が小さいほど親油性が高く、HLB値が大きいほど親水性が高い。
HLB値
=20×(界面活性剤の親水性基の式量/界面活性剤の分子量) ・・・(2)
インク中のポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上0.8質量%以下であることが好ましい。インク中のポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量(質量%)は、樹脂粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.10倍以下であることが好ましく、0.05倍以下であることがさらに好ましい。上記の質量比率が0.10倍超であると、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがミセル化しやすくなることがあり、保存後のインクで記録した画像の写像性を向上する効果がやや弱くなる場合がある。上記の質量比率は、0.01倍以上であることが好ましい。
〔色材〕
インクには、顔料や染料などの色材を含有させることができる。なかでも、色材としては顔料が好ましく、後述する樹脂分散顔料が特に好ましい。インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ペリノンなどの有機顔料;を挙げることができる。顔料のなかでも、カーボンブラック、有機顔料を用いることが好ましい。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを挙げることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを挙げることができる。
顔料を水性媒体中に分散させるための樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させうるものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、水溶性樹脂を用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などを挙げることができる。なかでも、アクリル樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルに由来するユニットで構成されるアクリル樹脂がさらに好ましい。
染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができる。染料骨格の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、フタロシアニン、アザフタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどを挙げることができる。
〔水性媒体〕
インクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。通常「水溶性有機溶剤」とは液体を指すものであるが、本発明においては、25℃(常温)で固体であるものも水溶性有機溶剤に含めることとする。水性インクに汎用であり、25℃で固体である水溶性有機溶剤としては、例えば、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、エチレン尿素、尿素、数平均分子量1,000のポリエチレングリコールなどを挙げることができる。水溶性有機溶剤としては、水よりも沸点が高いものを用いることが好ましい。
インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以上30.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、ポリエステル樹脂粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上4.0倍以下であることが好ましい。上記の質量比率が1.0倍未満であると、水溶性有機溶剤がポリエステル樹脂粒子に対して少なすぎるため、水溶性有機溶剤によるポリエステル樹脂粒子の軟化が生じにくく、写像性を向上する効果が弱くなる場合がある。一方、上記の質量比率が4.0倍超であると、水溶性有機溶剤がポリエステル樹脂粒子に対して多すぎるため、記録媒体上に残存している水溶性有機溶剤によってポリエステル樹脂粒子が移動しやすく、写像性を向上する効果が弱くなる場合がある。
インクは、さらに、沸点が220℃以下である第1水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。インクが記録媒体に付与されると、水などの液体成分が蒸発し、樹脂粒子及び水溶性有機溶剤が濃縮される。この際、水溶性有機溶剤と樹脂粒子の相溶性が高いと、樹脂粒子が軟化して、写像性が高まりやすく、このような現象は、沸点が220℃以下の第1水溶性有機溶剤が存在すると生じやすい。第1水溶性有機溶剤の沸点は、100℃超であることが好ましい。沸点が220℃以下である第1水溶性有機溶剤としては、例えば、1,3-プロパンジオール(214℃)、2-メチル-1,3-プロパンジオール(214℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(202℃)、エチレングリコール(198℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)、1,2-ブタンジオール(193℃)、プロピレングリコール(188℃)などを挙げることができる。なかでも、画像の写像性に優れるため、第1水溶性有機溶剤としては、1,2-ブタンジオールを用いることが好ましい。
〔その他の成分〕
インクには、必要に応じて、前述のポリオキシエチレンアルキルエーテル以外の界面活性剤(その他の界面活性剤)、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。その他の界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などを挙げることができる。その他の界面活性剤は、例えば、インクの表面張力を調整するために用いることができる。インク中の界面活性剤(前述のポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む)の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。
〔インクの物性〕
インクはインクジェット方式の記録ヘッドから吐出されるため、物性値が適切に制御されていることが好ましい。例えば、プレート法により測定される、25℃におけるインクの表面張力は、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、25mN/m以上45mN/m以下であることがさらに好ましい。25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。25℃におけるインクのpHは、7.0以上10.0以下であることが好ましい。
(反応液)
反応液は、インクと接触することでインクと反応し、インク中の成分(樹脂や自己分散顔料などのアニオン性基を有する成分)を凝集させる反応剤を含有する。
[反応剤]
反応液としては、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分;有機酸;など挙げることができる。なかでも、反応剤は、有機酸及び2価以上の多価カルボン酸(塩や水素塩であってもよい)が好ましい。
多価金属イオンとしては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、及びZn2+などの2価の金属イオン;Fe3+、Cr3+、Y3+、及びAl3+などの3価の金属イオン;を挙げることができる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、例えば、Cl、Br、I、ClO、ClO 、ClO 、ClO 、NO 、NO 、SO 2-、CO 2-、HCO 、PO 3-、HPO 2-、及びHPO などの無機アニオン;HCOO、(COO、COOH(COO)、CHCOO、C(COO、CCOO、C(COO、及びCHSO などの有機アニオン;を挙げることができる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、反応液中の多価金属塩換算の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0~5.0)に緩衝能を有することによって、インク中に存在する成分のアニオン性基を効率よく酸型にして凝集させることができる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸などのモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸などのジカルボン酸及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸及びその塩や水素塩;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸及びその塩や水素塩;などを挙げることができる。反応液中の有機酸の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
カチオン性樹脂としては、例えば、1~3級アミン構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂などを挙げることができる。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジンなどの構造を有する樹脂を挙げることができる。反応液中での溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、4級化処理を施したカチオン性樹脂を用いたりすることもできる。反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、反応液中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
〔水性媒体〕
反応液は、水性媒体として少なくとも水を含有する水性の液体である。反応液には、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。反応液中の水の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、反応液中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上30.0質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。反応液を構成する水溶性有機溶剤としては、インクに用いる水溶性有機溶剤と同じ種類のものを少なくとも用いることが好ましい。
〔その他の成分〕
反応液には、上記成分以外にも必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(記録媒体)
本発明の記録方法及び記録装置では、記録媒体として、非吸収性の記録媒体(低~非吸収性の記録媒体)を用いる。非吸収性の記録媒体は、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.51の「紙及び板紙の液体吸収性試験方法」に記載のブリストー(Bristow)法において、接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下の記録媒体である。本発明においては、上記水吸収量の条件を満たす記録媒体を「非吸収性の記録媒体」と定義する。無機粒子で形成されたコート層(インク受容層)を有するインクジェット記録用の記録媒体(光沢紙、マット紙など)や、コート層を有しない普通紙は、上記水吸収量が10mL/mを超える「吸収性記録媒体」である。
低~非吸収性の記録媒体としては、プラスチックフィルム;基材の記録面にプラスチックフィルムが接着された記録媒体;セルロースパルプを含有する基材の記録面に有機樹脂コート層が設けられた記録媒体;などを用いることができる。これらのなかでも、プラスチックフィルムが好ましく、また、セルロースパルプを含有する基材の記録面に有機樹脂層としての有機樹脂コート層が設けられた記録媒体も好ましい。
本発明の記録方法及び記録装置で用いる前述の反応液は、吸収性の記録媒体に付与されると速やかに浸透するため、非吸収性の記録媒体と比して、反応液を用いても画像品位が向上しにくい。その一方で、吸収性の記録媒体を用いると、インクと反応液との反応が生じにくく、画像表面が平滑になりやすいため、画像の写像性が劣るという課題が生じにくい。なお、本明細書における記録媒体とは、転写体ではなく、記録物としての画像が記録される対象の記録媒体をいう。
(インクジェット記録装置)
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を模式的に示す斜視図である。また、図2は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を模式的に示す側面図である。図1及び2に示すように、本実施形態の記録装置は、インク及び反応液を吐出するインクジェット方式の記録ヘッド22を備える。記録ヘッドとしては、力学的エネルギーの作用によりインク及び反応液を吐出する記録ヘッドや、熱エネルギーの作用によりインク及び反応液を吐出する記録ヘッドを挙げることができる。なかでも、熱エネルギーの作用によりインク及び反応液を吐出する記録ヘッドが好ましい。熱エネルギーの作用によりインク及び反応液を吐出する記録ヘッドは、電気熱変換素子に電気パルスを加えることでインク及び反応液に熱エネルギーを付与し、吐出口からインク及び反応液を吐出させるサーマル方式の記録ヘッドである。このサーマル方式の記録ヘッドは、記録ヘッドから吐出して記録媒体に付与する水性インクを所定の温度に加熱する機構(温調機構)を備えることが好ましい。
〔加熱工程〕
本発明の記録方法は、さらに、インクが付与された記録媒体を加熱(加熱処理)する工程を有することが好ましい。インク及び反応液が付与された記録媒体を加熱することで樹脂粒子の成膜を促進し、写像性により優れた画像を記録することができる。インクが付与された記録媒体の加熱温度は、90℃以下とすることが好ましく、50℃以上とすることが好ましい。インクが付与された記録媒体の加熱温度は、記録装置の加熱手段に対応する位置に組み込んだセンサにより読み取ってもよいし、インクと記録媒体の種類に応じて定めておいた熱量と記録媒体の温度との関係から判断してもよい。
加熱の手段は、特に限定されず、例えば、ヒータなどの公知の加温手段、ドライヤなどの送風を利用した送風手段、及びこれらを組み合わせた手段などの加熱手段により行うことができる。すなわち、インクジェット記録装置は、インク及び反応液が付与された記録媒体を加熱する機構(加熱手段)を備えることが好ましい。加熱手段としては、上記の加温手段、送風手段、及びこれらを組み合わせた手段などを挙げることができる。加熱処理の方法としては、記録媒体の記録面(インク及び反応液の付与面)とは反対側(裏面)からヒータなどで熱を与える方法、記録媒体の記録面に温風又は熱風を当てる方法、記録面又は裏面から赤外線ヒータを用いて加熱する方法などを挙げることができる。また、これらの複数を組み合わせてもよい。
図1及び2に示す記録装置では、記録ヘッド22が主走査方向Bに往復走査する位置よりも、副走査方向Aの下流側の位置に、フレーム(図示せず)に支持されたヒータ25が配置されている。インク及び反応液が付与された記録媒体1をヒータ25によって加熱することができる。ヒータ25の具体例としては、シーズヒータやハロゲンヒータなどを挙げることができる。ヒータ25はヒータカバー26に覆われている。ヒータカバー26は、ヒータ25から生じた熱を記録媒体1に効率よく照射するための部材である。さらに、ヒータカバー26は、ヒータ25を保護する部材でもある。記録ヘッド22から吐出されたインク及び反応液が付与された記録媒体1は、巻き取りスプール27により巻き取られ、ロール状の巻き取り媒体24を形成する。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
水溶性樹脂であるスチレン/アクリル酸共重合体(組成(モル)比=33:67)を、酸価と等モルの水酸化ナトリウムを添加してイオン交換水に溶解させ、樹脂の含有量が20.0%である樹脂分散剤の水溶液を調製した。この水溶性樹脂の重量平均分子量は10,000であり、酸価は200mgKOH/gである。顔料(カーボンブラック)15.0部、樹脂分散剤の水溶液30.0部、及び水55.0部の混合物をサンドグラインダーに入れ、1時間分散処理を行った。その後、遠心分離処理を行って粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、適量のイオン交換水を加えて、顔料分散液1を得た。顔料分散液1中の顔料の含有量は15.0%、樹脂の含有量は6.0%であった。
(顔料分散液2)
水5.5gに濃塩酸5.0gを溶かした溶液を5℃に冷却した状態とし、この状態で4-アミノ-1,2-ベンゼンジカルボン酸1.5gを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れ、撹拌して溶液の温度を10℃以下に保持しながら、5℃の水9.0gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かして得た溶液を加えた。15分間撹拌後、比表面積220m/g、DBP吸油量105mL/100gのカーボンブラック(D50=100nm)6.0gを撹拌下で加えた。さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過し、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。その後、イオン交換法によりナトリウムイオンをカリウムイオンに置換して、顔料の粒子表面に-C-(COOK)基が結合した自己分散顔料を得た。適量の水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液2を得た。
(顔料分散液3)
イオン交換水500.0g及びカーボンブラック15.0gを混合し、15,000rpmで30分間撹拌して顔料(カーボンブラック)を予備湿潤させた。イオン交換水4,485gを添加し、高圧ホモジナイザーで分散させて分散液を得た。分散液中の顔料のD50は100nmであった。得られた分散液を高圧容器に入れ、圧力3.0MPaで加圧した後、オゾン濃度100ppmのオゾン水を導入してオゾン酸化処理を行い、顔料分散液を得た。水酸化カリウムを用いて顔料分散液のpHを10.0に調整した後、固形分濃度を調整して顔料分散液3を得た。顔料分散液3には、カーボンブラックの粒子表面に-COOK基が結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は15.0%であった。
<物性値の測定方法>
(樹脂の重量平均分子量)
以下の手順にしたがって、樹脂(粒子)の重量平均分子量を測定した。樹脂をテトラヒドロフランに添加し、25℃で24時間かけて溶解させた後、メンブレンフィルターでろ過して試料を調製した。試料中の樹脂の含有量は約0.3%となるように調整した。調製した試料について、以下に示す条件にしたがってゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行い、標準ポリスチレン樹脂を用いて作成した分子量校正曲線を使用して数平均分子量を算出した。標準ポリスチレン樹脂としては、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」(東ソー製)を用いた。
・HPLC装置:商品名「2695 Separations Module」(Waters製)
・示差屈折率(RI)検出器:商品名「2414 detector」(Waters製)
・カラム:商品名「GPC KF-806M」の4連カラム(昭和電工製)
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
・オーブン温度:40℃
・試料注入量:100μL
(樹脂が樹脂粒子であるか否かの判断)
樹脂を含む液体をイオン交換水で希釈し、樹脂の含有量が約1.0%である試料を調製した。この試料について、動的光散乱法による粒度分布計を使用し、以下に示す測定条件にしたがって樹脂粒子の粒子径(体積基準の累積50%粒子径D50)を測定した。粒度分布計としては、商品名「ナノトラックWAVEII-Q」(マイクロトラック・ベル製)を使用した。この測定方法によって粒子径を有する粒子が測定された場合、その樹脂は「樹脂粒子」である(「水分散性樹脂」である)と判断した。一方、この測定方法によって粒子径を有する粒子が測定されなかった場合、その樹脂は「樹脂粒子」ではない(「水溶性樹脂」である)と判断した。
[測定条件]:
・SetZero:30s
・測定回数:3回
・測定時間:180秒
・形状:真球形
・屈折率:1.6
・密度:1.0
(樹脂粒子のアニオン性基の量)
樹脂粒子の分散液を試料とし、電位差を利用したコロイド滴定によって樹脂粒子のアニオン性基の量(粒子表面のアニオン性基の量)を測定した。コロイド滴定には、流動電位滴定ユニット(商品名「PCD-500」、京都電子工業製)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT510」、京都電子工業製)を用いた。滴定試薬としては、0.005mol/Lのメチルグリコールキトサン溶液を用いた。
<樹脂粒子の製造>
オートクレーブ内に設置した反応容器に、エチレングリコール60.0部、ネオペンチルグリコール40.0部、テレフタル酸54.5部、及びイソフタル酸54.5部を入れ、220℃で4時間加熱してエステル化反応を行った。240℃に昇温し、オートクレーブ内の圧力を90分間かけて13Paまで減圧した。240℃、13Paの減圧状態を5時間保ってエステル化(脱水縮合)反応を継続した後、オートクレーブ内に窒素ガスを導入して常圧に戻した。反応容器内の温度を220℃まで下げた後、触媒(テトラ-n-ブチルチタネート)及びトリメット酸1.0部を添加し、220℃で2時間加熱してエステル交換反応を行った。触媒の量(mol)は、「3×10-4×多価カルボン酸の合計使用量(mol)」とした。その後、オートクレーブ内に窒素ガスを導入して加圧状態とし、シート状の樹脂を取り出した。取り出した樹脂を25℃まで冷却した後、クラッシャーで粉砕してポリエステル樹脂を得た。
容積2Lのビーカーに、撹拌機(商品名「トルネード撹拌機スタンダードSM-104」、アズワン製)をセットした。このビーカーに、ポリエステル樹脂200g及びメチルエチルケトン(MEK)を入れ、30℃で撹拌してポリエステル樹脂を溶解させた。次いで、5%水酸化カリウム水溶液15.9gを添加して30分間撹拌した。30℃で撹拌しながら、脱イオン水500gを20mL/minの速度で滴下した。60℃に昇温した後、MEK及び一部の水を留去した。25℃まで冷却後、150メッシュの金網でろ過し、脱イオン水を添加して、樹脂粒子の含有量が30.0%であるポリエステル樹脂粒子1の分散液を得た。
また、アニオン性基の量(μmol/g)が表1に示す値となるようにトリメリット酸の使用量を適宜変更するとともに、重量平均分子量が表1に示す値となるように反応時間を調整した。これらのこと以外は、上述のポリエステル樹脂粒子1と同様にして、樹脂粒子の含有量が30.0%であるポリエステル樹脂粒子2~8の分散液を得た。
(アクリル樹脂粒子)
反応容器に水1,160mLを入れて90℃に加熱した。これとは別に、水160mLに過硫酸カリウム(開始剤)1.39gを溶解させた溶液を調製した。まず、この溶液のうち32mLを反応容器に入れ撹拌した。これとは別に、水159.4mLに、スチレン183g、ベンジルアクリレート80g、メタクリル酸1.5g、イソオクチルチオグリコレート(連鎖移動剤)1.6g、及び乳化剤の30%水溶液9.98gを混合してモノマー混合液を調製した。乳化剤としては、脂肪族リン酸エステル(エチレンオキサイド基の付加モル数10)である、商品名「Rhodafac RS 710」(Rhodia Novecare製)を用いた。この混合物を、撹拌下で、反応容器に30分かけて滴下した。これと並行して、開始剤溶液129.4gを反応容器に30分かけて滴下した。この反応物を撹拌し、3時間90℃にて維持して、反応させた。その後、50℃にまで冷却した。その後、水酸化カリウム(水中50%)を添加して、樹脂粒子を含む液体のpHを8.5にした。25℃まで冷却し、200メッシュのフィルタを用いてろ過した後、適量のイオン交換水を添加して、樹脂粒子の含有量が30.0%であるアクリル樹脂粒子の分散液を得た。
Figure 2023056486000001
<界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)の構造及び物性>
表2に示す種類の界面活性剤を用意した。用意した界面活性剤は、いずれも日光ケミカルズ製の界面活性剤である。HLB値はグリフィン法により算出された値である。
Figure 2023056486000002
<インクの調製>
(インク1~34)
表3-1~3-3に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ0.8μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、各インクを調製した。表3-1~3-3中、「Zonyl FS-3100」は、Chemours製のフッ素系界面活性剤の商品名であり、「BYK348」は、ビックケミー製のシリコーン系界面活性剤の商品名である。また、「プロキセルGXL(S)」は、アーチケミカルズ製の防黴剤の商品名である。
Figure 2023056486000003
Figure 2023056486000004
Figure 2023056486000005
(インク35)
特許文献1に記載された「インク3」の調製方法に準じて、インク35を調製した。樹脂エマルジョン1は、アクリル樹脂で形成された樹脂粒子であり、アニオン性基の量は440μmol/gである。サーフィノール465(商品名、界面活性剤)は、日信化学工業製のアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物である。エトキシ化脂肪族アルコールの炭化水素基の炭素数は16~18である。
・顔料分散体(固形分):5.00%
・樹脂エマルジョン1(固形分):5.00%
・ワックスエマルジョン3(固形分):3.00%
・グリセリン(沸点290℃):15.00%
・ジエチレングリコール(沸点246℃):10.00%
・1,2-ヘキサンジオール(沸点223℃):2.00%
・トリメチロールプロパン(沸点296℃):5.00%
・サーフィノール465:1.00%
・ラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤A、イオン性):0.06%
・エトキシ化脂肪族アルコール(界面活性剤A、ノニオン性):0.24%
・イオン交換水:53.70%
(インク36)
特許文献2に記載された「実施例1」のインクの調製方法に準じて、インク36を調製した。分散剤樹脂2は水溶性のアクリル樹脂である。樹脂エマルジョン1は、アクリル樹脂で形成された樹脂粒子であり、アニオン性基の量は18μmol/gである。界面活性剤1は、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(商品名「エマルゲン320P」、花王製)であり、炭化水素基の炭素数は18、HLB値は13.9である。
・顔料1(固形分):4.0%
・分散剤樹脂2(固形分):0.5%
・樹脂エマルジョン1(固形分):6.0%
・界面活性剤1:0.5%
・2-ピロリドン(沸点245℃):8.0%
・1,2-ペンタンジオール(沸点210℃):3.0%
・ジエチレングリコール(沸点246℃):7.0%
・イオン交換水:71.5%
<反応液の調製>
表4に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、各反応液を調製した。表4中、「Zonyl FS-3100」は、Chemours製のフッ素系界面活性剤の商品名である。
Figure 2023056486000006
<記録媒体の準備>
以下の記録媒体を準備した。
・記録媒体1:商品名「スコッチカル グラフィックフィルム IJ1220」、3M製、ポリ塩化ビニルで形成されたシート。この記録媒体1は、ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下の、非吸収性の記録媒体である。
・記録媒体2:商品名「GL-101」、キヤノン製、光沢紙。この記録媒体は、ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/mを超える、吸収性の記録媒体である。
<評価>
インクジェット記録装置(商品名「imagePROGRAF PRO-2000」、キヤノン製)に加熱機構を組み込んだものを使用して以下に示す評価を行った。このインクジェット記録装置は、1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に4ngのインクを1滴付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティが100%であると定義される。インク及び反応液をそれぞれインクカートリッジに充填し、表5に示す組み合わせで上記のインクジェット記録装置に搭載した。表5に示す記録媒体に、記録デューティが20%である2cm×2cmの反応液のベタ画像と、記録デューティが100%である2cm×2cmのインクのベタ画像を重ねて付与して画像を記録した。本発明においては、以下に示す各項目の評価基準で、「AA」、「A」及び「B」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表5に示す。
(写像性)
5cm間隔と10cm間隔で配置した2本の蛍光灯を観察光源として使用し、2m離れた位置から画像に対して蛍光灯を投影した。画像に投影された蛍光灯の形状を、照明角度45度、観察角度45度の条件下、目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の写像性を評価した。
AA:投影された5cm間隔の2本の蛍光灯が画像にはっきり投影されていた。
A:投影された5cm間隔の2本の蛍光灯のエッジ部分がぼやけていたが、境目は判別できた。
B:投影された5cm間隔の2本の蛍光灯の境目はわからなかったが、10cm間隔の2本の蛍光灯の境目は判別できた。
C:投影された10cm間隔の2本の蛍光灯の境目がわからなかった。
(写像性の変化)
上述の写像性を「保存前のランク」とした。また、60℃で2週間保存したインクを用いて同様にして写像性の評価を行い、「保存後のランク」とした。そして、保存前後のランクをと比較し、以下に示す評価基準にしたがって写像性の変化を評価した。
(評価基準)
A:保存前後で写像性のランクが同じであった。
B:保存前後で写像性のランクが異なっていたが、保存後の写像性がA又はBランクであった。
C:保存前後で写像性のランクが異なっており、保存後の写像性がCランクであった。
Figure 2023056486000007
参考例1~3では反応液を用いていないため、画像品位はいずれの実施例と比較しても劣っていた。また、吸収性の記録媒体を用いた参考例4~6では、記録媒体に反応液が浸透したため、画像品位は参考例1~3よりは良好であるものの、いずれの実施例と比較しても劣っていた。但し、参考例4~6で記録した画像の写像性は、インクの種類によらずに同等であった。
本実施形態の開示は、以下の方法及び構成を含む。
(方法1)水性インク及び前記水性インクと反応する水性の反応液をインクジェット方式の記録ヘッドから吐出し、記録媒体に付与して画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記水性インクを前記記録ヘッドから吐出して前記記録媒体に付与する工程と、
前記反応液を前記記録ヘッドから吐出して前記記録媒体に付与する工程と、を有し、
前記水性インクが、アニオン性基の量が150μmol/g以下の樹脂粒子及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有し、
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、炭素数16以上のアルキル基を有するとともに、グリフィン法により求められるHLB値が14.0以上であり、
前記記録媒体が、ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
(方法2)前記水性インク中の前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量(質量%)が、前記樹脂粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.10倍以下である方法1に記載のインクジェット記録方法。
(方法3)前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルのグリフィン法により求められるHLB値が、16.0以下である方法1又は2に記載のインクジェット記録方法。
(方法4)前記樹脂粒子が、ポリエステル樹脂粒子である方法1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(方法5)前記ポリエステル樹脂粒子が、その重量平均分子量が30,000以上70,000以下であるポリエステル樹脂によって形成されるものである方法4に記載のインクジェット記録方法。
(方法6)
前記水性インクが、さらに、水溶性有機溶剤を含有し、
前記水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記ポリエステル樹脂粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上4.0倍以下である方法4又は5に記載のインクジェット記録方法。
(方法7)前記水性インクが、さらに、沸点が220℃以下である第1水溶性有機溶剤を含有する方法1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(方法8)前記第1水溶性有機溶剤が、1,2-ブタンジオールである方法7に記載のインクジェット記録方法。
(方法9)前記水性インクが、さらに、顔料を含有する方法1乃至8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
(構成1)水性インク及び前記水性インクと反応する水性の反応液をインクジェット方式の記録ヘッドから吐出し、記録媒体に付与して画像を記録するインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置であって、
前記水性インクが、アニオン性基の量が150μmol/g以下の樹脂粒子及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有し、
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、炭素数16以上のアルキル基を有するとともに、グリフィン法により求められるHLB値が14.0以上であり、
前記記録媒体が、ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下であることを特徴とするインクジェット記録装置。

Claims (10)

  1. 水性インク及び前記水性インクと反応する水性の反応液をインクジェット方式の記録ヘッドから吐出し、記録媒体に付与して画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記水性インクを前記記録ヘッドから吐出して前記記録媒体に付与する工程と、
    前記反応液を前記記録ヘッドから吐出して前記記録媒体に付与する工程と、を有し、
    前記水性インクが、アニオン性基の量が150μmol/g以下の樹脂粒子及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有し、
    前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、炭素数16以上のアルキル基を有するとともに、グリフィン法により求められるHLB値が14.0以上であり、
    前記記録媒体が、ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記水性インク中の前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量(質量%)が、前記樹脂粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.10倍以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルのグリフィン法により求められるHLB値が、16.0以下である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記樹脂粒子が、ポリエステル樹脂粒子である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記ポリエステル樹脂粒子が、その重量平均分子量が30,000以上70,000以下であるポリエステル樹脂によって形成されるものである請求項4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記水性インクが、さらに、水溶性有機溶剤を含有し、
    前記水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記ポリエステル樹脂粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上4.0倍以下である請求項4に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記水性インクが、さらに、沸点が220℃以下である第1水溶性有機溶剤を含有する請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記第1水溶性有機溶剤が、1,2-ブタンジオールである請求項7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記水性インクが、さらに、顔料を含有する請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  10. 水性インク及び前記水性インクと反応する水性の反応液をインクジェット方式の記録ヘッドから吐出し、記録媒体に付与して画像を記録するインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置であって、
    前記水性インクが、アニオン性基の量が150μmol/g以下の樹脂粒子及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有し、
    前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、炭素数16以上のアルキル基を有するとともに、グリフィン法により求められるHLB値が14.0以上であり、
    前記記録媒体が、ブリストー法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下であることを特徴とするインクジェット記録装置。
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