JP2023054768A - Hpk1阻害薬としてのアザラクタム化合物 - Google Patents

Hpk1阻害薬としてのアザラクタム化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】HPK1キナーゼの活性を阻害し、それにより、生物学的機能を果たすことができる化合物または塩、及び当該化合物等と追加の抗がん治療薬または緩和薬と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。【解決手段】具体的には、例えば4-[1-アミノプロピル]-2-{6-[5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンが示される。【選択図】なし

Description

本発明は、式Iの化合物、およびその薬学的に許容できる塩、そのような化合物および塩を含む医薬組成物、ならびにその使用に関する。本発明の化合物、塩および組成物はHPK1阻害薬であり、したがって、がんなどの異常な細胞増殖障害の処置または改善、およびワクチン治療の改善において免疫系の活性化を増強するために使用することができる。
マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼキナーゼキナーゼ1(MAP4K1)としても公知の造血前駆細胞キナーゼ1(HPK1)は、JNKおよびERKシグナル伝達経路により作動するセリン/トレオニンキナーゼの哺乳類Ste20様ファミリーのメンバーである。HPK1は、造血器官および細胞(例えば、T細胞、B細胞、および樹状細胞)で主に発現され、リンパ球を含む造血系におけるシグナル伝達の調節にHPK1が関与している可能性を示唆している(Shuiら、「Hematoppietic progenitor kinase 1 negatively regulates T cell receptor signaling and T cel-mediated immune responses」、Nature Immunology 8、84~91(2006))。
例えば、T細胞受容体(TCR)の刺激は、HPK1チロシン379リン酸化および形質膜の再配置を誘導する。HPK1の酵素活性化は、HPK1キナーゼ活性化ループ内の調節部位のリン酸化に伴って起こる。HPK1の完全な活性化は、トレオニン165の自己リン酸化およびプロテインキナーゼD(PKD)によるセリン171のリン酸化に依存する(Arnoldら、「Activation of Hematopoietic Progenitor Kinase 1 Involves Relocation, Autophosphorylation, and Transphosphorylation by Protein Kinase D1.」、Mol Cell Biol 25 (6)、2364-83(2005))。アダプタータンパク質SLP76のHPK1媒介リン酸化は最終的に、TCRシグナル伝達複合体の不安定化をもたらし、これは、T細胞活性化および増殖に必要な下流のマイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼシグナル伝達事象を妨害し、減弱させる(Hernandezら、「The kinase activity of hematopoietic progenitor kinase 1 is esential for the regulation of T cell function」、Cell Reports 25、(1)、80~94、(2018))。HPK1キナーゼは、PKA依存的にPGE受容体によるT細胞シグナル伝達を負に調節することも示されている。さらに、HPK1キナーゼは、:i)活性化誘導細胞死(AICD)およびJNK活性化;ii)SLP76 SH2-ドメインの結合についての、接着および脱顆粒促進アダプタータンパク質(ADAP)との直接的な競合によるT細胞での白血球機能関連抗原-1(LFA-1)インテグリン活性化の調節;ならびにiii)IKK-αおよび-βと相互作用することによる核因子кB(NF-кB)シグナル伝達を介しての活性化の調節において役割を果たすことが報告されている。研究によると、HPK1がMAPキナーゼ経路シグナル伝達およびT細胞におけるAP-1転写を負に調節することも示されている(Hernandezら、2018において概説)。
HPK1キナーゼについて今日までに行われた調査により、HPK1阻害が、樹状およびT細胞応答の増強において役割を果たし、それによって、抗腫瘍免疫、ウイルスクリアランスおよびワクチン治療に対する応答を高めることが示唆されている。
本発明は、一部では、式Iの化合物、およびその薬学的に許容できる塩を提供する。そのような化合物は、HPK1キナーゼの活性を阻害し、それにより、生物学的機能を果たすことができる。本発明の化合物または塩を単独で、または追加の抗がん治療薬または緩和薬と組み合わせて含む医薬組成物および医薬も提供する。
本発明はまた、一部では、本発明の化合物、薬学的に許容できる塩および組成物を調製するための方法、ならびに前述を使用する方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、式Iの化合物:
Figure 2023054768000001
またはその薬学的に許容できる塩を提供する:
[式中、
は、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロ(C~C)アルコキシ、-N(R)(R)、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、および(C~C)シクロアルキルは、ヒドロキシ、シアノ、(C~C)アルキル、または(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されており、
およびRはそれぞれ独立に、水素か、またはハロゲン、(C~C)アルコキシ、シアノ、およびヒドロキシからなる群から独立に選択される0、1、もしくは2個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであるか、または
およびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ハロゲン、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびハロ(C~C)アルコキシからなる群から独立に選択される0、1、または2個の置換基で置換されている(4~8員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
は、N(R)(R)であり、
およびRはそれぞれ独立に、水素か、またはハロゲン、(C~C)アルコキシ、シアノ、もしくはヒドロキシである0、もしくは1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであるか、または
は、水素か、またはハロゲン、(C~C)アルコキシ、シアノ、もしくはヒドロキシである0、もしくは1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、Rは、それが結合している窒素と一緒になって、かつそれが結合しているR3aおよび炭素と一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシ、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびハロ(C~C)アルコキシから独立に選択される0、1、または2個の置換基で置換されている(4~6員)ヘテロシクロアルキルを形成しているか、または
およびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシ、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびハロ(C~C)アルコキシから独立に選択される0、1、または2個の置換基で置換されている(4~6員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
3aは、水素か、またはヒドロキシ、もしくは(C~C)アルコキシである0もしくは1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、
3bは、水素か、または(C~C)アルキルであるが、ただし、Rが(R-i)である場合、R3aおよびR3bは、両方一緒にはHではなく、
は、(R-i)または(R-ii)
Figure 2023054768000002
であり、
4Nは、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)アルキルは、ヒドロキシである0または1個の置換基で置換されており、
4Cは、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロ(C~C)アルコキシ、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)アルキルおよびハロ(C~C)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ、または(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されており、
4Dは、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロ(C~C)アルコキシ、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)アルキルおよびハロ(C~C)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ、または(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されており、
4Eは、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、または(C~C)アルキルであり、
4Fは、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロ(C~C)アルコキシ、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)アルキルおよびハロ(C~C)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ、または(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されている]。
本発明はまた、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を投与することを含む治療方法および使用を提供する。
別の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において異常な細胞増殖、特にがんを処置するための方法であって、対象に、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。本発明の化合物を単一の薬剤として投与することもできるし、または特定のがんに適した他の抗がん治療薬、特に標準治療薬と組み合わせて投与することもできる。
さらなる実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において異常な細胞増殖、特にがんを処置するための方法であって、対象に、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の量を、追加の抗がん治療薬の量と組み合わせて投与することを含み、それらの量は、合わさると、前記異常な細胞増殖を処置する際に有効である、方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、医薬、特に、がんを処置するための医薬として使用するための本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
別の実施形態では、本発明は、対象において、異常な細胞増殖、特にがんの処置で使用するための本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
さらなる実施形態では、本発明は、対象において、異常な細胞増殖、特にがんの処置における本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
別の実施形態では、本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体または添加剤とを含む、それを必要とする対象における異常な細胞増殖の処置において使用するための医薬組成物に関する。
また別の実施形態では、本発明は、対象において異常な細胞または病原体増殖を処置するための医薬を調製するための本明細書に記載のとおりの式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
前述の化合物、方法および使用の多くの実施形態では、異常な細胞増殖はがんである。
一部の実施形態では、提供される方法および使用は、次の作用のうちの1つまたは複数をもたらす:(1)がん細胞増殖の阻害;(2)がん細胞侵襲性の阻害;(3)がん細胞のアポトーシスの誘導;(4)がん細胞転移の阻害;(5)血管新生の阻害;(6)T細胞応答の増強;または(7)樹状およびB細胞応答の増強;(8)抗腫瘍活性の強化;(9)ワクチン治療の増強;ならびに(10)ウイルス、細菌、もしくは寄生虫(例えば、腸内寄生虫)などの病原体の免疫系媒介除去の増強。
別の実施形態では、本発明は、対象においてHPK1依存性障害を処置する、および免疫応答を増強するための方法であって、対象に、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を、前記障害を処置する、または前記免疫応答を増強するために有効な量で投与することを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法および使用は、対象に、それらの量は、合わさると、前記異常な細胞増殖または病原体を処置する際に有効である、追加の抗がん治療薬、ワクチン、抗菌薬、抗ウイルス薬、または緩和薬の量を投与することをさらに含む。下記の本発明の化合物の実施形態のそれぞれを、組み合わされる実施形態と矛盾しない本明細書に記載の本発明の化合物の1つまたは複数の他の実施形態と組み合わせることができる。
前述の概説および次の詳細な説明は両方とも、例示および説明であるに過ぎず、特許請求の範囲に記載のとおりの本発明を限定するものではないことは理解されるべきである。
加えて、本発明を説明する下の実施形態はそれぞれ、その範囲内に、本発明の化合物の薬学的に許容できる塩を構想している。したがって、「またはその薬学的に許容できる塩」という語句が、本明細書に記載のすべての化合物の説明において暗に示されている。
詳細な説明
定義および例示
本明細書に含まれる本発明の好ましい実施形態および実施例の次の詳細な説明を参照することにより、本発明は、より容易に理解され得る。本明細書において使用される専門用語は、具体的な実施形態を説明することを目的としたものに過ぎず、限定的であることは意図されていないことは理解されるべきである。さらに、本明細書において具体的に定義されていない限り、本明細書において使用される専門用語は、関連分野において公知のとおりの、その従来の意味が与えられていることは理解されるべきである。
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段に示されていない限り、複数形の言及も含む。例えば、「a」置換基には、1個または複数の置換基が含まれる。
「約」という用語は、関連する公称値のプラスまたはマイナス10%、一実施形態では、プラスまたはマイナス5%、別の実施形態では、プラスまたはマイナス2%の近似値を示す相対的な用語を指す。本開示の分野では、その値が、より厳密な範囲を必要とすると具体的に述べられていない限り、このレベルの近似値は適切である。
本明細書の様々な箇所において、本発明の化合物の置換基を群または範囲で開示している。本発明は、そのような群および範囲のメンバーのいずれもすべての個々の部分的組み合わせを含むことが特に意図されている。例えば、「C1~6アルキル」という用語は、Cアルキル(メチル)、Cアルキル(エチル)、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、およびCアルキルを含むことが具体的に意図されている。
本明細書で使用される場合、「HPK1アンタゴニスト」または「HPK1阻害薬」は、HPK1の生物学的活性(例えば、セリン/トレオニンキナーゼ活性、TCR活性化でのTCR複合体への動員、SLP76などのタンパク質結合パートナーとの相互作用)のうちの1つまたは複数を減少させる、阻害する、または別段に縮小させる分子である。HPK1アンタゴニストを用いての拮抗作用は、HPK1活性の全体的除去を必ずしも示さない。代わりに、活性は、統計学的に有意な量で低下し得るであろう。例えば、本発明の化合物は、適切な対照と比較して、HPK1活性を少なくとも約2.5%~約100%、約10%~約90%、約20%~約70%、約30%~約60%、約40%~約50%低下させ得る。一部の実施形態では、HPK1アンタゴニストは、HPK1のセリン/トレオニンキナーゼ活性を減少させる、阻害する、または別段に縮小させる。これらの実施形態の一部では、HPK1アンタゴニストは、SLP76および/またはGadsのHPK1媒介リン酸化を減少させる、阻害する、または別段に縮小させる。本明細書に開示の化合物はHPK1に直接結合して、そのキナーゼ活性を阻害する。
本明細書に記載の発明は、本明細書に具体的に開示されていないいずれかの要素の非存在下でも適切に実行され得る。したがって、例えば、本明細書のそれぞれの事例において、「含む」、「から本質的になる」、および「からなる」という用語のいずれも、他の2つの用語のいずれとも交換することができる。
「(C~C)アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、x~y個の炭素原子を含有する飽和分枝鎖または直鎖アルキル基を指す。例えば、「(C~C)アルキル」は、1~6個の炭素原子を含有するアルキル基であり、これには、これに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、およびn-ヘキシルが含まれる。「(C~C)アルキル」という用語は、1~3個の炭素原子を含有し、「(C~C)アルキル」のうちに含まれる。
「ハロ(C~C)アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、アルキル基が1個または複数のハロゲン原子で置換されている、上記で定義したとおりの(C~C)アルキル基を指す。ハロゲン置換基の代表的な個数は、1~3個の置換基である。ハロ(C~C)アルキルの代表的な例には、これに限定されないが、フルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロメチル、ジフルオロエチル、トリフルオロメチル、およびトリフルオロエチルが含まれる。
「(C~C)アルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、酸素原子を介して親分子部分に結合している、上記で定義したとおりの(C~C)アルキル基を指す。(C~C)アルコキシの代表的な例には、これに限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、およびヘキシルオキシが含まれる。
「ハロ(C~C)アルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、アルコキシ基が1個または複数のハロゲン原子で置換されている、上記で定義したとおりの(C~C)アルコキシ基を指す。ハロゲン置換基の代表的な個数は、1~3個の置換基である。ハロ(C~C)アルコキシの代表的な例には、これに限定されないが、フルオロメトキシ、フルオロエトキシ、ジフルオロメトキシ、ジフルオロエトキシ、およびトリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシが含まれる。
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、少なくとも3個の炭素原子を含有する式-CH(2n-1)の環式一価炭化水素基を指す。「(C~C)シクロアルキル」は、3~y個の炭素原子を有するシクロアルキルを指す。「(C~C)シクロアルキル」は、単環式環であってよく、その例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれる。
「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、環炭素原子の少なくとも1個が窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子で置き換えられている、上記で定義したとおりのシクロアルキルを指す。本明細書で使用される場合、「n員」(ここで、nは整数である)という用語は典型的には、ある部分における環形成原子の数を説明しており、環形成原子の個数がnである。「(4~6員)ヘテロシクロアルキル」という用語は、ヘテロシクロアルキル置換基が合計4~6個の環原子を含有し、そのうちの少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。「(4~8員)ヘテロシクロアルキル」という用語は、ヘテロシクロアルキル置換基が合計4~8個の環原子を含有し、そのうちの少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。「(6員)ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロアルキル置換基が合計6個の環原子を含有し、そのうちの少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。「(5員)ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロアルキル置換基が合計5個の環原子を含有し、そのうちの少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。ヘテロシクロアルキル置換基は、適切な原子価を有する窒素原子を介して、または任意の環炭素原子を介して結合していてよい。ヘテロシクロアルキル部分は、適切な原子価を有する窒素原子のところで、または任意の利用可能な炭素原子のところで、(C~C)アルキルなどの1個または複数の置換基で置換されていてもよい。
ヘテロシクロアルキル環の例には、これに限定されないが、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラゾリル、テトラヒドロオキサジニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロ-オキサゾリル、モルホリニル、およびオキセタニルが含まれる。
「ハロ」または「ハロゲン」は、本明細書で使用される場合、塩素、フッ素、臭素、またはヨウ素原子を指す。
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、本明細書で使用される場合、-OH基を意味する。
「シアノ」は、本明細書で使用される場合、-CN基を意味し、これは:
Figure 2023054768000003
とも図示され得る。
「患者」または「対象」は、例えば、ブタ、ウシ、ニワトリ、ウマ、モルモット、マウス、ラット、アレチネズミ、ネコ、ウサギ、イヌ、サル、チンパンジー、およびヒトなどの温血動物を指す。
「薬学的に許容できる」は、物質または組成物が、製剤を構成する他の成分および/またはそれで処置される哺乳類と化学的および/または毒物学的に適合性でなければならないことを示している。
「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、処置される障害の症状のうちの1つまたは複数をある程度まで軽減するであろう投与される化合物の量を指す。HPK1キナーゼ媒介障害(例えば、がん)の処置に関しては、治療有効量は、HPK1キナーゼ媒介障害と関連する1つまたは複数の症状をある程度まで軽減する(または、例えば、除去する)作用を有する量を指す。例えば、治療有効量は、(1)腫瘍のサイズを縮小する、(2)腫瘍転位を阻害する(すなわち、ある程度まで減速させる、好ましくは、停止させる)、(3)腫瘍増殖または腫瘍侵襲性をある程度まで阻害する(すなわち、ある程度まで減速させる、好ましくは、停止させる)、および/または(4)がんと関連する1つまたは複数の徴候または症状をある程度まで軽減する(または、好ましくは、除去する)作用を有する量を指す。
「処置する」という用語は、本明細書で使用される場合、別段に示されていない限り、そのような用語が適用されている障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1種もしくは複数の症状を好転させる、緩和する、その進行を阻害する、または予防することを意味する。「処置」という用語は、本明細書で使用される場合、別段に示されていない限り、「処置する」が本明細書に定義されているとおり、処置する行為を指す。「処置する」という用語はまた、対象のアジュバントおよびネオアジュバント処置を含む。
「異性体」は、下で定義されるとおりの「立体異性体」および「幾何異性体」を意味する。
「立体異性体」は、1つまたは複数のキラル中心を有し、RまたはS立体配置でそれぞれ存在し得る化合物を指す。立体異性体には、すべてのジアステレオ異性、鏡像異性およびエピマー型、さらには、そのラセミ体および混合物が含まれる。
「幾何異性体」は、cis、trans、anti、entgegen(E)、およびzusammen(Z)型、さらにはその混合物で存在し得る化合物を指す。
本明細書では、「置換基」、「ラジカル」、および「基」という用語を互換的に使用する。
置換基が、ある群から「独立に選択される」と記載されている場合、置換基の各事例は相互に独立して選択される。したがって、各置換基は、他の置換基と同一であっても、または異なってもよい。
化合物
式Iの化合物は、本明細書に記載のとおり、アザラクタム(2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン)核を含有し、ピロロ環は、その窒素原子を介して、Rで置換されているピリジンに結合している。
別の実施形態では、本発明は、
が、(R-i)であり、
4Nが、(C~C)アルキル、または(C~C)シクロアルキルであり、
4Cが、水素、または(C~C)アルキルであり、R、R、R3a、およびR3bが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、
式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
が、(R-i)であり、Rが、-N(R)(R)、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)シクロアルキルが、シクロプロピルであり、(C~C)アルキルである0または1個の置換基で置換されており、前記(C~C)アルキルが、メチルであり、
およびRがそれぞれ独立に、水素または(C~C)アルキルであるか、または
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、(C~C)アルキルである0、または1個の置換基で置換されている(5員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
が、N(R)(R)であり、RおよびRがそれぞれ独立に、水素か、またはメチルである(C~C)アルキルであり、
3aが、(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、
3bが、水素、または(C~C)アルキルである、
式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
が、(R-ii)であり、
4Dが、水素、(C~C)アルキル、またはハロ(C~C)アルキルであり、前記(C~C)アルキルが、ヒドロキシである0または1個の置換基で置換されており、
4Eが、水素であり、
4Fが、水素、(C~C)アルキル、またはハロ(C~C)アルキルであり、前記(C~C)アルキルが、ヒドロキシである0または1個の置換基で置換されており、R、R、R3a、およびR3bが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、
式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
が、(R-ii)であり、Rが、-N(R)(R)、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)シクロアルキルが、シクロプロピルであり、(C~C)アルキルである0または1個の置換基で置換されており、前記(C~C)アルキルが、メチルであり、
およびRがそれぞれ独立に、水素または(C~C)アルキルであるか、または
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、(C~C)アルキルである0、または1個の置換基で置換されている(5員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
が、N(R)(R)であり、RおよびRがそれぞれ独立に、水素か、またはメチルである(C~C)アルキルであり、
3aが、水素か、または(C~C)アルコキシである0もしくは1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、
3bが、水素、または(C~C)アルキルである、
式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
が、2-メチル-ピロリジン-1-イル、または2(R)-メチル-ピロリジン-1-イルであり、R、R3a、R3bおよびRが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、
式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
が、N(R)(R)であり、RおよびRがそれぞれ水素であり、R、R3a、R3bおよびRが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、
式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
3aが、(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、R、R、R3bおよびRが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、
式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
3bが、(C~C)アルキルであり、R、R、R3aおよびRが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、
式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
が、N(R)(R)であり、RおよびRがそれぞれ、水素であり、R、R3a、R3bおよびRが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、
式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
が、N(R)(R)であり、Rが、水素であり、Rが、(C~C)アルキルであり、R、R3a、R3bおよびRが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、
式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、式I-Aの化合物(Rが(R-i)である式Iの化合物):
Figure 2023054768000004
またはその薬学的に許容できる塩を提供する
[式中、
は、-N(R)(R)、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)シクロアルキルは、シクロプロピルであり、(C~C)アルキルである0または1個の置換基で置換されており、前記(C~C)アルキルは、メチルであり、
およびRはそれぞれ独立に、水素または(C~C)アルキルであるか、または
およびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、(C~C)アルキルである0、または1個の置換基で置換されている(5員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
は、N(R)(R)であり、RおよびRはそれぞれ独立に、水素か、またはメチルである(C~C)アルキルであり、
3aは、(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、
3bは、水素、または(C~C)アルキルであり、
4Nは、(C~C)アルキル、または(C~C)シクロアルキルであり、
4Cは、水素、または(C~C)アルキルである]。
別の実施形態では、本発明は、
3aが、(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、
3bが、(C~C)アルキルである、
式I-Aの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
一部の実施形態では、Rが(R-i)である場合、式I-Aの化合物は、式I-A-iまたはI-A-ii:
Figure 2023054768000005
またはその薬学的に許容できる塩において示されるとおりの絶対立体化学を有し、R、R、R3a、R3b、およびR4Cは、式I-Aでの任意の実施形態において定義される。
別の実施形態では、本発明は、式I-Bの化合物(Rが(R-ii)である式Iの化合物):
Figure 2023054768000006
またはその薬学的に許容できる塩を提供する
[式中、
は、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロ(C~C)アルコキシ、-N(R)(R)、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、および(C~C)シクロアルキルは、ヒドロキシ、シアノ、(C~C)アルキル、または(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されており:
およびRはそれぞれ独立に、水素か、またはハロゲン、(C~C)アルコキシ、シアノ、およびヒドロキシからなる群から独立に選択される0、1、もしくは2個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであるか、または
およびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ハロゲン、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびハロ(C~C)アルコキシからなる群から独立に選択される0、1、または2個の置換基で置換されている(4~8員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
は、N(R)(R)であり、
およびRはそれぞれ独立に、水素か、またはハロゲン、(C~C)アルコキシ、シアノ、もしくはヒドロキシである0、もしくは1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであるか、または
は、水素か、またはハロゲン、(C~C)アルコキシ、シアノ、もしくはヒドロキシである0、もしくは1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、かつRは、それが結合している窒素と一緒になって、かつそれが結合しているR3aおよび炭素と一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシ、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、もしくはハロ(C~C)アルコキシから独立に選択される0、1、または2個の置換基で置換されている(4~6員)ヘテロシクロアルキルを形成しているか、または
およびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシ、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびハロ(C~C)アルコキシから独立に選択される0、1、または2個の置換基で置換されている(4~6員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
3aは、水素か、またはヒドロキシ、もしくは(C~C)アルコキシである0もしくは1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、
3bは、水素、または(C~C)アルキルであり、
4Dは、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロ(C~C)アルコキシ、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)アルキルおよびハロ(C~C)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ、または(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されており、
4Eは、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、または(C~C)アルキルであり、
4Fは、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロ(C~C)アルコキシ、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)アルキルおよびハロ(C~C)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ、または(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されており、Rは、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである]。
別の実施形態では、本発明は、
が、-N(R)(R)、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)シクロアルキルが、(C~C)アルキルである0または1個の置換基で置換されており、
およびRがそれぞれ独立に、水素または(C~C)アルキルであるか、または
およびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、(C~C)アルキルである0、1、または2個の置換基で置換されている(4~8員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
が、N(R)(R)であり、RおよびRがそれぞれ独立に、水素または(C~C)アルキルであり、
3aが、水素か、または(C~C)アルコキシである0もしくは1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、
3bが、水素、または(C~C)アルキルであり、
4Dが、水素、(C~C)アルキル、またはハロ(C~C)アルキルであり、前記(C~C)アルキルが、ヒドロキシ、シアノ、または(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されており、
4Eが、水素であり、
4Fが、水素、(C~C)アルキル、またはハロ(C~C)アルキルであり、前記(C~C)アルキルが、ヒドロキシである0または1個の置換基で置換されている、
式I-Bの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、R3bが、水素、または(C~C)アルキルである、式I-Bの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、R4Dが、水素、(C~C)アルキル、またはハロ(C~C)アルキルであり、前記(C~C)アルキルが、ヒドロキシである0または1個の置換基で置換されており、R、R3a、R3b、R4EおよびR4Fが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、式I-Bの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
3aが、(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、
3bが、(C~C)アルキルであり、R、R、R4D、R4E、およびR4Fが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、
式I-Bの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
が、-N(R)(R)、または(C~C)シクロアルキルであり、(C~C)シクロアルキルが、0または1個の(C~C)アルキルで置換されており、
およびRがそれぞれ、(C~C)アルキルからなる群から独立に選択されるか、またはRおよびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、0または1個の(C~C)アルキルで置換されている(5員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
が、N(R)(R)であり、RおよびRがそれぞれ、水素であり、
3aが、水素、または(C~C)アルキルであり、前記(C~C)アルキルが、0または1個の(C~C)アルコキシで置換されており、
3bが、水素、または(C~C)アルキルであり、
4Dが、水素、または(C~C)アルキルであり、(C~C)アルキルが、OH、およびFから選択される0~1個の置換基で置換されており、
4Eが、水素であり、
4Fが、水素、または(C~C)アルキルである、
式I-Bの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
が、-N(R)(R)、またはメチルである0もしくは1個の置換基で置換されているシクロプロピルであり、
およびRがそれぞれ独立に、水素または(C~C)アルキルであるか、または
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、メチルである0、または1個の置換基で置換されている(5員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
が、N(R)(R)であり、RおよびRがそれぞれ独立に、水素またはメチルであり、
3aが、(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、
3bが、水素、または(C~C)アルキルであり、R4D、R4E、およびR4Fが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、
式I-Bの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
が、(R-ii)であり、
4Dが、水素、(C~C)アルキル、またはハロ(C~C)アルキルであり、前記(C~C)アルキルが、ヒドロキシである0または1個の置換基で置換されており、
4Eが、水素であり、
4Fが、水素、(C~C)アルキル、またはハロ(C~C)アルキルであり、前記(C~C)アルキルが、ヒドロキシである0または1個の置換基で置換されており、R、R、R3a、およびR3bが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、
式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
別の実施形態では、本発明は、
が、(R-ii)であり、
4Dが、水素、メチル、フルオロメチル、ヒドロキシメチル、またはエチルであり、
4Eが、水素であり、
4Fが、水素であり、R、R、R3a、およびR3bが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、
式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
別の実施形態では、本発明は、R3aがR3bとは異なる場合に、R、R3a、およびR3bの配向について特異的な立体化学を有する式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩に関する。例えば、R3bが水素である(R3bが存在しない)場合、式Iの化合物は、次のとおりに生じるであろう:
Figure 2023054768000007
[式中、R、R3a、およびRは、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである]。
別の実施形態では、本発明は、
が、-N(R)(R)か、またはメチルである1個の置換基で置換されているシクロプロピルであり、
およびRがそれぞれ独立に、水素または(C~C)アルキルであるか、または
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、メチルである0、または1個の置換基で置換されている(5員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
が、N(R)(R)であり、RおよびRがそれぞれ独立に、水素またはメチルであり、
3aが、(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、
3bが、水素であり、
が、(R-ii)であり、
4Dが、水素、メチル、フルオロメチル、ヒドロキシメチル、またはエチルであり、
4Eが、水素であり、
4Fが、水素、またはメチルである、
式I(R)もしくは式I(S)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
また別の実施形態では、本発明は、
3bが水素であり(R3bが存在せず):
Figure 2023054768000008
、R3a、およびRが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、
式I(R)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
また別の実施形態では、本発明は、
3bが水素であり(R3bが存在せず):
Figure 2023054768000009
、R3a、およびRが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、
式I(R)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
別の実施形態では、本発明は、Rが、5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル、(5R)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル、(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル、5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル、(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル、または(5R)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イルであり、前記メチルがFまたはOHである0または1個の置換基で置換されており、R、R、R3a、およびR3bが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、式I-Bの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
別の実施形態では、本発明は、Rが、(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル、または(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イルであり、前記メチルが、FまたはOHである0または1個の置換基で置換されており、R、R、R3a、およびR3bが、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて定義されているとおりである、式I-Bの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
式Iに関して本明細書に記載の実施形態はそれぞれ、式I-A-i、I-A-ii、I-B-i、およびI-B-iiの化合物にも適用可能である。
別の実施形態では、本発明は、4-[1-アミノプロピル]-2-{6-[5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
4-[1-アミノエチル]-2-{6-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
4-[1-アミノエチル]-2-{6-[5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
4-[1-アミノエチル]-2-{6-[5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
4-[1-アミノプロピル]-2-{3-[5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]フェニル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;もしくは
4-[1-アミノ-2-メトキシエチル]-6-(1-メチルシクロプロピル)-2-{6-[5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
である化合物;またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
例えば、本発明の化合物は、4-[(1R)-1-アミノプロピル]-2-{6-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
4-[(1R)-1-アミノエチル]-2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
4-[(1S)-1-アミノエチル]-2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
4-[(1R)-1-アミノエチル]-2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
4-[(1R)-1-アミノプロピル]-2-{3-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]フェニル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
4-[(1R)-1-アミノ-2-メトキシエチル]-6-(1-メチルシクロプロピル)-2-{6-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;もしくは
4-[(1S)-1-アミノ-2-メトキシエチル]-6-(1-メチルシクロプロピル)-2-{6-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
である化合物;またはその薬学的に許容できる塩である。
別の実施形態では、本発明は、R3aがR3bとは異なる場合に、R、R3a、およびR3bの配向に関して特異的な立体化学を有する式I(R)の化合物または式I(S)の化合物である式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩に関する。
別の実施形態では、本発明は、4-[(1R)-1-アミノプロピル]-2-{6-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンである化合物;またはその薬学的に許容できる塩に関する。
別の実施形態では、本発明は、4-[(1R)-1-アミノエチル]-2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンである化合物;またはその薬学的に許容できる塩に関する。
別の実施形態では、本発明は、4-[(1S)-1-アミノエチル]-2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンである化合物;またはその薬学的に許容できる塩に関する。
別の態様では、本発明は、本明細書に例示の化合物からなる群から選択される化合物、またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
本発明の化合物は、HPK1キナーゼに対して選択的である。
「医薬組成物」は、活性成分としての本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグの1種または複数と、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体または添加剤との混合物を指す。一部の実施形態では、医薬組成物は、2種以上の薬学的に許容できる担体および/または添加剤を含む。
一部の実施形態では、医薬組成物はさらに、少なくとも1つの追加の抗がん治療薬または緩和薬を含む。一部のそのような実施形態では、少なくとも1つの追加の薬剤は、後記の抗がん治療薬である。一部のそのような実施形態では、組み合わせは、相加的、相加を超える、または相乗的抗がん作用を提供する。
一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において異常な細胞増殖を処置するための方法であって、対象に、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において異常な細胞増殖を処置するための方法であって、対象に、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の量を、追加の治療薬(例えば、抗がん治療薬)の量と組み合わせて投与することを含み、それらの量は、合わさると、前記異常な細胞増殖の処置において有効である、方法を提供する。
本明細書において提供される方法の多くの実施形態では、異常な細胞増殖はがんである。本発明の化合物を、単一の薬剤として投与してもよいし、または他の抗がん治療薬、特に、特定のがんに適した標準治療薬と組み合わせて投与してもよい。
一部の実施形態では、提供される方法は、次の作用のうちの1つまたは複数をもたらす:(1)がん細胞増殖の阻害;(2)がん細胞侵襲性の阻害;(3)がん細胞のアポトーシスの誘導;(4)がん細胞転移の阻害;(5)血管新生の阻害;(6)T細胞応答の増強;(7)樹状およびB細胞応答の増強;(8)抗腫瘍活性の強化;(9)ワクチン治療の増強;および(10)ウイルス、細菌、もしくは寄生虫などの病原体の免疫系媒介除去の増強。
別の態様では、本発明は、対象において、ある特定のがんなどのHPK1キナーゼ活性により媒介される障害を処置するための方法であって、対象に、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を、前記障害を処置するために有効な量で投与することを含む方法を提供する。
別段に示されていない限り、本発明の化合物に対する本明細書における言及はすべて、その多形体、立体異性体、および同位体標識されたバージョンを含めて、その塩、溶媒和物、水和物および複合体、ならびにその塩の溶媒和物、水和物および複合体に対する言及を含む。
本発明の化合物は、例えば、本明細書において提供される式Iの化合物の酸付加塩および塩基付加塩などの薬学的に許容できる塩の形態で存在し得る。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容できる塩」という用語は、親化合物の生物学的有効性および特性を維持している塩を指す。「薬学的に許容できる塩」という語句は、本明細書で使用される場合、別段に示されていない限り、本明細書に開示の式Iの化合物中に存在し得る酸性または塩基性基の塩を含む。
例えば、もともと塩基性である本発明の化合物は、様々な無機および有機酸と共に広範囲の様々な塩を形成することができる。そのような塩は、動物に投与するために薬学的に許容できなければならないが、実際問題として、反応混合物から本発明の化合物を薬学的に許容できない塩として初めは単離し、次いで、それを、アルカリ試薬で処理することにより遊離塩基化合物へ単純に戻し変換し、続いて、その遊離塩基を薬学的に許容できる酸付加塩に変換することが多くの場合に望ましい。水性溶媒媒体中、またはメタノールもしくはエタノールなどの適切な有機溶媒中で、塩基化合物を実質的に等量の選択された無機酸または有機酸で処理することにより、本発明の塩基化合物の酸付加塩を調製することができる。溶媒を蒸発させると、所望の固体塩が得られる。また、適切な無機酸または有機酸を溶液に添加することにより、有機溶媒中の遊離塩基の溶液から、所望の酸塩を沈殿させることもできる。
そのような塩基性化合物の薬学的に許容できる酸付加塩を調製するために使用することができる酸は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ピロ亜硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩[すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトアート)]塩など、非毒性酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容されるアニオンを含有する塩を形成するものである。
塩の例には、これらだけに限定されないが、酢酸塩、アクリル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩(クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、およびメトキシ安息香酸塩など)、炭酸水素塩、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、ブチン-1,4-二酸塩、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、カプロン酸塩、カプリル酸塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、デカン酸塩、二塩酸塩、二水素リン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩(edislyate)、エストル酸塩、エシル酸塩、エチルコハク酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グリコリルアルサニル酸塩(glycollylarsanilate)、ヘプタン酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、ヘキシルレソルシン酸塩(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、ヨウ化物、イソ酪酸塩、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタリン酸塩、メタン-スルホン酸塩、メチル硫酸塩、一水素リン酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニル酪酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フタル酸塩、リン酸塩(phospate)/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロパンスルホン酸塩、プロピオン酸塩、プロピオール酸塩、ピロリン酸塩、ピロ硫酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、スベリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、亜硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエトヨウ化物(triethiodode)および吉草酸塩が含まれる。
適切な塩の実例には、グリシンおよびアルギニンなどのアミノ酸、アンモニア、第一級、第二級、および第三級アミン、ならびにピペリジン、モルホリンおよびピペラジンなどの環式アミンから誘導される有機塩、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびリチウムから誘導される無機塩が含まれる。
アミノ基などの塩基性部分を含む本発明の化合物は、前述の酸に加えて、様々なアミノ酸と共に薬学的に許容できる塩を形成し得る。
もともと酸性である本発明の化合物は、様々な薬理学的に許容できるカチオンと共に塩基塩を形成し得る。そのような塩の例には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、特に、ナトリウムおよびカリウム塩が含まれる。これらの塩はすべて、従来の技術により調製される。本発明の薬学的に許容できる塩基塩を調製するための試薬として使用される化学塩基は、本明細書の酸性化合物と非毒性の塩基塩を形成するものである。任意の適切な方法により、例えば、遊離酸をアミン(第一級、第二級、または第三級)、アルカリ金属水酸化物、またはアルカリ土類金属水酸化物などの無機または有機塩基で処理することにより、これらの塩を調製することができる。また、対応する酸性化合物を、所望の薬理学的に許容できるカチオンを含有する水溶液で処理し、次いで、得られた溶液を好ましくは、減圧下で蒸発乾固させることにより、これらの塩を調製することもできる。別法では、酸性化合物の低級アルカノール溶液および所望のアルカリ金属アルコキシドを一緒に混合し、次いで、上記と同じ手法で、得られた溶液を蒸発乾固させることにより、これらを調製することもできる。いずれの場合も、好ましくは、化学量論的量の試薬を使用して、反応の完了および所望の最終生成物の最大収率を確実にする。
もともと酸性である本発明の化合物の薬学的に許容できる塩基塩を調製するために試薬として使用することができる化学的塩基は、そのような化合物と共に非毒性塩基塩を形成するものである。そのような非毒性塩基塩には、これらに限定されないが、アルカリ金属カチオン(例えば、カリウムおよびナトリウム)およびアルカリ土類金属カチオン(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)など、そのような薬理学的に許容できるカチオンから誘導されるもの、N-メチルグルカミン-(メグルミン)、および低級アルカノールアンモニウムなどのアンモニウムまたは水溶性アミン付加塩、ならびに薬学的に許容できる有機アミンの他の塩基塩が含まれる。
酸および塩基の半塩、例えば、半硫酸塩および半カルシウム塩も、形成され得る。
適切な塩の総説については、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use by Stahl and Wermuth(Wiley-VCH,2002)を参照されたい。本発明の化合物の薬学的に許容できる塩を作製するための方法は、当業者に公知である。
本発明の塩は、当業者に公知の方法により調製することができる。本発明の化合物の薬学的に許容できる塩は、化合物の溶液および所望の酸または塩基を適切に一緒に混合することにより容易に調製することができる。塩を溶液から沈殿させ、濾取してもよいし、または溶媒の蒸発により回収してもよい。塩におけるイオン化の程度は、完全なイオン化からほぼ非イオン化まで様々であってよい。
化学量論的過剰の適切な酸で処理することにより、塩基性官能基を有する遊離塩基の形態の本発明の化合物を酸付加塩に変換することができることは、当業者に理解されるであろう。典型的には水性溶媒の存在下で、約0℃~100℃の温度で化学量論的過剰の炭酸カリウムまたは水酸化ナトリウムなどの適切な塩基で処理することにより、本発明の化合物の酸付加塩を、対応する遊離塩基に再変換することができる。有機溶媒での抽出などの慣用の手段で、遊離塩基の形態を単離することができる。加えて、本発明の化合物の酸付加塩を、塩の差次的溶解度、揮発性もしくは酸の酸性度を利用することにより、または適切に充填されたイオン交換樹脂で処理することにより相互変換することができる。例えば、本発明の化合物の塩を、やや化学量論的過剰の、出発塩の酸性成分よりも低いpKの酸と反応させることにより、相互変換に影響を及ぼすことができる。この変換を典型的には、約0℃から、手順のための媒体として使用される溶媒の沸点の温度までの間で実施する。塩基付加塩を用いる、典型的には、遊離塩基の形態の中間体を介する、同様の変換が可能である。
本発明の化合物は、非溶媒和形態および溶媒和形態の両方で存在し得る。溶媒または水が緊密に結合していると、複合体は、湿度とは独立に、十分に定義される化学量論組成を有するはずである。しかしながら、チャネル溶媒和物および吸湿性化合物においてのように、溶媒または水の結合が弱い場合、水/溶媒含有率は、湿度および乾燥状態に左右される。そのようなケースでは、非化学量論組成が標準となる。「溶媒和物」という用語は本明細書では、本発明の化合物と、1種または複数の薬学的に許容できる溶媒分子、例えば、エタノールとを含む分子複合体を記載するために使用される。「水和物」という用語は、溶媒が水である場合に使用される。本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体置換されていてもよい(例えば、DO、d-アセトン、d-DMSOである)水和物および溶媒和物が含まれる。
前述の溶媒和物とは対照的に、薬物およびホストが化学量論的または非化学量論的量で存在するクラスレート、薬物-ホスト包接錯体などの複合体も、本発明の範囲内に含まれる。化学量論的または非化学量論的量で存在してよい2種以上の有機および/または無機成分を含有する薬物の複合体も包含される。得られた複合体は、イオン化、部分イオン化、または非イオン化していてもよい。そのような複合体の総説については、その開示が全体で参照により本明細書に援用されるJ Pharm Sci、64(8)、1269~1288、Haleblian(1975年8月)を参照されたい。
本発明はまた、本明細書において提供される式Iの化合物のプロドラッグに関する。したがって、それ自体は薬理活性をほとんど有さないか、または有さなくてもよい本発明の化合物のある特定の誘導体は、患者に投与されると、例えば加水分解による切断により変換されて、本発明の化合物になり得る。そのような誘導体は、「プロドラッグ」と称される。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、それらの開示が全体で参照により本明細書に援用される「Pro-drugs as Novel Delivery Systems、Vol.14、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella)および「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)において見出され得る。
例えば、本発明の化合物中に存在する適切な官能基を、例えば、その開示が全体で参照により本明細書に援用されるH Bundgaardによる「Design of Prodrugs」(Elsevier、1985)に記載されているとおりの「プロ部分」として当業者に公知のある特定の部分に置き換えることにより、本発明によるプロドラッグを生成することができる。
本発明によるプロドラッグのいくつかの非限定的例には:
(i)化合物がカルボン酸官能基(-COOH)を含有する場合、そのエステル、例えば、(C~C)アルキルでの水素の置き換え;
(ii)化合物がアルコール官能基(-OH)を含有する場合、そのエーテル、例えば、(C~C)アルカノイルオキシメチルでの、またはホスファートエーテル基での水素の置き換え;および
(iii)化合物が第一級または第二級アミノ官能基(-NHまたは-NHR、ここで、R≠H)を含有する場合、そのアミド、例えば、アミド、カルバマート、尿素、ホスホナート、スルホナートなどの適切に代謝不安定性な基での一方または両方の水素の置き換え
が含まれる。
前述の例による置換基のさらなる例および他のプロドラッグ種の例は、前述の参照文献において見い出すことができる。
最後に、ある特定の本発明の化合物は、それ自体が、本発明の化合物の他のもののプロドラッグとして作用し得る。
本明細書に記載のとおりの式Iの化合物の代謝産物、すなわち、薬物を投与するとin vivoで形成される化合物も、本発明の範囲内に含まれる。
本明細書において提供される式Iの化合物は、不斉炭素原子を有することがある。本発明の化合物の炭素-炭素結合は、本明細書において、実線
Figure 2023054768000010
、中実のくさび型
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、または破線のくさび型
Figure 2023054768000012
を使用して示されていることがある。不斉炭素原子への結合を示すための実線の使用は、その炭素原子で可能な立体異性体(例えば、特定の鏡像異性体、ラセミ混合物など)のすべてが含まれることを示すこととする。不斉炭素原子への結合を示すための中実または破線くさび型の使用は、示されている立体異性体のみが含まれることを意味することを示すこととする。本発明の化合物は、1個を超える不斉炭素原子を含有することも可能である。それらの化合物では、不斉炭素原子への結合を示すための実線の使用は、可能な立体異性体のすべてが含まれること、および結合立体中心を意味することを示すこととする。例えば、別段に述べられていない限り、本発明の化合物は、鏡像異性体およびジアステレオ異性体として、またはラセミ体およびそれらの混合物として存在し得ることが意図されている。本発明の化合物中の1個または複数の不斉炭素原子への結合を示すための実線の使用ならびに同じ化合物中の他の不斉炭素原子への結合を示すための中実または破線くさび型の使用は、ジアステレオ異性体の混合物が存在することを示すこととする。
キラル中心を有する本発明の化合物は、ラセミ体、鏡像異性体、またはジアステレオ異性体などの立体異性体として存在し得る。
本明細書に記載の式Iの化合物の立体異性体には、1種超の異性を示す化合物を含む、本発明の化合物のシスおよびトランス異性体、(R)および(S)鏡像異性体などの光学異性体、ジアステレオ異性体、幾何異性体、回転異性体、アトロプ異性体、配座異性体、および互変異性体;ならびにそれらの混合物(ラセミ体およびジアステレオ異性対など)が含まれ得る。
対イオンが光学的に活性である酸付加塩または塩基付加塩、例えば、d-乳酸塩もしくはl-リシン、またはラセミ体、例えば、dl-酒石酸塩もしくはdl-アルギニンも含まれる。
任意のラセミ体が結晶化すると、2種の異なる種類の結晶が可能である。第1の種類は、等モル量で両方の鏡像異性体を含有する1種の均一な形態の結晶が生じる、上で言及したラセミ化合物(真のラセミ化合物)である。第2の種類は、それぞれ単一の鏡像異性体を含む2種の形態の結晶が等モル量で生じるラセミ混合物または集合体である。
本発明の化合物は、互変異性および構造異性の現象を示し得る。例えば、化合物は、エノールおよびイミンの形態や、ケトおよびエナミンの形態を含む複数の互変異性型ならびに幾何異性体、ならびにそれらの混合物で存在し得る。そのような互変異性型のすべてが、本発明の化合物の範囲内に含まれる。互変異性体は、溶液中では互変異性セットの混合物として存在する。固体形態では、通常、1種の互変異性体が優勢である。1種の互変異性体が記載されていることがあるとしても、本発明は、提供されている式Iの化合物の互変異性体のすべてを含む。
加えて、本発明の化合物の一部は、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)を形成し得る。アトロプ異性体は、分子の他の部分との立体的相互作用の結果として、分子中で単結合の周囲の回転が阻止されるか、または著しく減速され、かつその単結合の両端にある置換基が非対称である場合に起こる立体配座異性体である。アトロプ異性体の相互変換は、所定の条件下での分離および単離を可能にするのに十分にゆっくりである。熱的ラセミ化に対するエネルギー障壁は、キラル軸を形成する1つまたは複数の結合の自由回転に対する立体障害により決定され得る。
個々の鏡像異性体を調製/単離するための従来の技術には、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)または超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を使用してのラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。
別法では、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を適切な光学的に活性な化合物、例えば、アルコールと、または化合物が酸性もしくは塩基性部分を含有する場合には、酒石酸もしくは1-フェニルエチルアミンなどの酸もしくは塩基と反応させることができる。得られたジアステレオ異性体の混合物を、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶化により分離し、そのジアステレオ異性体の一方または両方を、当業者に周知の手段により、対応する純粋な鏡像異性体に変換することもできる。
クロマトグラフィー、典型的にはHPLCを不斉樹脂上で、炭化水素、典型的には、イソプロパノール0~50%、典型的には2~20%およびアルキルアミン0~5%、典型的にはジエチルアミン0.1%を含有するヘプタンまたはヘキサンからなる移動相と共に使用して、本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)を鏡像異性的に濃縮された形態で得ることができる。溶離液を濃縮すると、濃縮混合物が得られる。
立体異性体の混合物は、当業者に公知の従来の技術により分離することができる;例えば、その開示が全体で参照により本明細書に援用されるE.L.Elielによる「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley、New York、1994)を参照されたい。
本明細書に記載の化合物のエナンチオマ純度は、鏡像異性体過剰率(ee)の点において記載することができ、これは、試料が一方の鏡像異性体を他方よりも多量に含有する程度を示している。ラセミ混合物は0%のeeを有するが、単一の完全に純粋な鏡像異性体は、100%のeeを有する。同様に、ジアステレオ異性体純度は、ジアステレオ異性体過剰率(de)の点において記載することができる。
本発明は、提供されている式の1つにおいて列挙されたものと同一であるが、1個または複数の原子が、天然に通常見い出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子により置き換えられているという事実のある同位体標識化合物も含む。
本発明の同位体標識化合物は一般に、当業者に公知の慣用の技術により、または本明細書に記載のプロセスと類似のプロセスにより、そうでなければ使用される非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して調製することができる。
本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例には、これらに限定されないが、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体が含まれる。ある特定の同位体標識された本発明の化合物、例えば、Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれているものは、薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化、すなわち、H、および炭素14、すなわち、14C同位体は、それらの調製の容易さおよび検出性において特に好ましい。さらに、ジュウテリウム、すなわち、Hなどの重い同位体での置換は、より高い代謝安定性、例えば、in vivo半減期の延長または投薬量要求の低減から生じるある特定の治療上の利点をもたらし得、したがって、一部の状況においては好ましいことがある。一般的に、同位体標識試薬を同位体標識されていない試薬の代わりに用いて、下のスキームならびに/または実施例および調製例に開示の手順を実施することにより、同位体標識された本発明の化合物を調製することができる。
医薬的使用のために意図されている本発明の化合物は、結晶性もしくは非結晶性生成物、またはその混合物として投与することができる。それらは、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥などの方法により、例えば、固体プラグ、粉末、またはフィルムとして得ることができる。この目的のために、マイクロ波または高周波乾燥を使用することができる。本発明の化合物は、完全な非晶質から完全な結晶質までの範囲の連続した固体状態で存在し得る。用語「非晶質」は、その物質が、分子レベルで長距離秩序を欠いていて、温度に応じて固体または液体の物理的特性を示し得る状態を指す。典型的には、このような物質は、特有のX線回折図を示さず、固体の特性を示しながらも、より形式的には液体として記載される。加熱すると、固体特性から液体特性への変化が生じ、これは、典型的には二次の状態変化により特徴づけられる(「ガラス遷移」)。「結晶質」という用語は、その物質が、分子レベルで規則的に配列している内部構造を有し、規定のピークを有する特有のX線回折図を示す固相を指す。このような物質は十分に加熱すると、液体の特性も示すが、固体から液体への変化は、典型的には一次の相変化により特徴づけられる(「融点」)。
式Iの化合物は、適切な条件に置いた場合に、中間状態(中間相または液晶)でも存在し得る。中間状態は、真の結晶状態と真の液体状態(溶融体または溶液)との中間である。温度変化の結果として生じる液晶性は、「サーモトロピック」と記載され、水または他の溶媒などの第2の成分を加えると生じる液晶性は、「リオトロピック」と記載される。リオトロピック中間相を形成する可能性のある化合物は、「両親媒性」と記載され、イオン性極性ヘッド基(-COONa、-COO、または-SO Naなど)または非イオン性極性ヘッド基(-N(CHなど)を持つ分子からなる。さらなる情報については、参照により本明細書に組み込まれるN.H.HartshorneおよびA.Stuartによる「Crystals and the Polarizing Microscope」、第4版(Edward Arnold、1970)を参照されたい。
式Iの化合物は、多型性および/または1種または複数の異性(例えば、光学、幾何または互変異性)を示すことがある。式Iの化合物は、同位体標識されていてもよい。そのような変形は、それらの構造的特徴を参照することによりそれらとして定義される式Iの化合物を黙示しており、したがって、本発明の範囲内である。
治療方法および使用
本発明はさらに、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を単独で、または他の治療薬もしくは緩和薬と組み合わせて投与することを含む治療方法および使用を提供する。
一実施形態では、本発明は、対象において異常な細胞増殖を処置するための方法であって、対象に、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。多くの実施形態で、異常な細胞増殖はがんである。
別の実施形態では、本発明は、対象においてがんを処置するための方法であって、対象に、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の量を、追加の抗がん治療薬の量と組み合わせて投与することを含み、それらの量は、合わさると、前記がんを処置する際に有効である、方法を提供する。
本発明の化合物は、本明細書に記載のとおりの式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩を含む。
さらに別の実施形態では、本発明は、対象においてがん細胞増殖を阻害する方法であって、対象に、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、対象においてがん細胞侵襲性を阻害する方法であって、対象に、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、対象において、がん細胞における細胞死を惹起する方法であって、対象に、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
さらに別の実施形態では、本発明は、哺乳類においてワクチン治療を増強する方法であって、哺乳類に、ワクチンの治療有効量を投与することを含み、さらに、哺乳類に、請求項1から16のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
さらに別の実施形態では、本発明は、対象においてウイルス感染、細菌感染、または病原体(腸内寄生虫を含む)を解消する免疫系の能力を改善する方法であって、対象に、本発明の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。本発明は、病原体の免疫系媒介除去を増強するための方法であって、哺乳類に、請求項1から16のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容できる塩の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。この方法は、感染症または病原体を処置するために、本発明の化合物を単独治療として、または他の薬剤と組み合わせて投与することを含む。
本明細書に開示の化合物は、HPK1キナーゼの活性を阻害する際に使用される。マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼキナーゼキナーゼ1またはMAP4K1とも称されるHPK1は、Ste20-関連セリン/トレオニンキナーゼの胚中心キナーゼサブファミリーのメンバーである。HPK1キナーゼは、MEKKl、MLK3およびTAK1を含むMAP3Kタンパク質をリン酸化して、活性化することによりMAP4Kとして機能して、MAPK Jnkの活性化をもたらす。
HPK1ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、当技術分野で公知である(その全体が参照により本明細書に援用されるHuら(1996) Genes Dev.10:2251~2264)。HPK1ポリペプチドは、様々な保存構造モチーフを含む。HPK1ポリペプチドは、アミノ酸残基23~46からのATP結合部位を含む、アミノ酸残基17~293に及ぶアミノ末端Ste20様キナーゼドメインを含む。キナーゼドメインには、4つのプロラインリッチ(PR)モチーフが続き、これらは、CrkL、Grb2、HIP-55、Gads、Nek、およびCrkなどのSH3含有タンパク質のための結合部位として役立つ。4つのPRモチーフはそれぞれ、アミノ酸残基308~407、394~402、432~443、および468~477に及ぶ。HPK1は、TCRまたはBCR刺激に応じてリン酸化および活性化される。PR1とPR2との間に位置する381位のチロシンのTCRおよびBCR誘導リン酸化は、SLP-76またはBLNK SH2ドメインを介してT細胞ではSLP-76またはB細胞ではBLNKへの結合を媒介し、キナーゼの活性化に必要とされる。およそ残基495~800に及ぶHPK1のC末端において見い出されるシトロン相同性ドメインは、調節ドメインとして作用し得て、高分子相互作用に関係し得る。
本明細書に開示の化合物は、HPK1に直接結合して、そのキナーゼ活性を阻害する。一部の実施形態では、本明細書に開示の化合物は、SLP76および/またはGadsのHPK1媒介リン酸化を減少させる、阻害する、または別段に縮小させる。本明細書に開示の化合物は、特異的HPK1阻害薬であってもよいし、またはそうでなくてもよい。特異的HPK1阻害薬は、任意の他のタンパク質(例えば、他のセリン/トレオニンキナーゼ)に対する阻害薬の阻害作用よりも統計学的に大きな量で、HPK1の生物学的活性を低下させる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示の化合物は、HPK1のセリン/トレオニンキナーゼ活性を特異的に阻害する。
本明細書に開示の化合物は、HPK1を阻害するための方法において使用することができる。そのような方法は、HPK1を、本明細書に開示の化合物の有効量と接触させることを含む。「接触させる」という用語は、化合物を、単離されたHPK1酵素またはHPK1を発現する細胞(例えば、T細胞、B細胞、樹状細胞)と、化合物がHPK1に結合して、その活性を阻害し得るほど十分に近接させることを意味する。化合物を、対象への化合物の投与を介して、in vitroまたはin vivoでHPK1と接触させることができる。
in vitroキナーゼアッセイか、SLP76およびGadsなどのHPK1のリン酸化標的に特異的な抗体を用いるイムノブロットか、またはリン酸化SLP7およびGadsへの14-3-3タンパク質の動員、LAT含有マイクロクラスターからのSLP76-Gads-14-3-3複合体の放出、またはTもしくはB細胞活性化などのHPK1キナーゼ活性の下流生物学的作用の測定を含めて、HPK1が阻害されているかどうかを決定するために、HPK1のキナーゼ活性を測定するための当技術分野で公知の任意の方法を使用することができる。
本明細書に開示の化合物は、HPK1依存性障害を処置するために使用することができる。本明細書で使用される場合、「HPK1依存性障害」は、病的状態の発生または維持のためにHPK1活性が必要である病的状態である。
本明細書に開示の化合物は、それを必要とする対象において、免疫応答を増強する際にも使用される。そのような方法は、本明細書に開示の化合物(すなわち、式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩、プロドラッグ、代謝産物、もしくは誘導体のいずれか)の有効量を投与することを含む。「免疫応答を増強する」という用語は、抗原に対する何らかの免疫原性応答の改善を指す。抗原に対する免疫原性応答の改善の非限定的例には、樹状細胞の成熟または遊走の増強、T細胞(例えば、CD4 T細胞、CD8 T細胞)の活性化の増強、T細胞(例えば、CD4 T細胞、CD8 T細胞)増殖の増強、B細胞増殖の増強、T細胞および/またはB細胞の生存の増大、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)による抗原提示の改善、抗原クリアランスの改善、T細胞によるサイトカイン(例えば、インターロイキン-2)の産生の増加、プロスタグランジンE2-またはアデノシン誘導免疫抑制に対する抵抗性の増大、およびCD8 T細胞のプライミングおよび/または細胞溶解活性の増強が含まれる。一部の実施形態では、対象におけるCD8 T細胞は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩、プロドラッグ、代謝産物、もしくは誘導体の投与前と比べて、プライミング、活性化、増殖および/または細胞溶解活性が増強している。一部の実施形態では、CD8 T細胞プライミングは、CD8 T細胞におけるCD44発現の上昇および/または細胞溶解活性の増強により特徴づけられる。一部の実施形態では、CD8 T細胞活性化は、IFNyCD8 T細胞の頻度の上昇により特徴づけられる。一部の実施形態では、CD8 T細胞は、抗原特異的T細胞である。
一部の実施形態では、対象における抗原提示細胞は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩、プロドラッグ、代謝産物、もしくは誘導体の投与前と比べて、成熟および活性化が増強されている。一部の実施形態では、抗原提示細胞は樹状細胞である。一部の実施形態では、抗原提示細胞の成熟は、CD83樹状細胞の頻度の上昇により特徴づけられる。一部の実施形態では、抗原提示細胞の活性化は、樹状細胞でのCD80およびCD86の発現の増大により特徴づけられる。
TCRのエンゲージメントは、HPK1活性化につながり、これは、TCR誘導AP-1応答経路の負の調節因子として機能する。HPK1は、SLP76をSer376で(Di Bartoloら(2007)JEM 204:681~691)およびGadsをThr254でリン酸化することによりシグナル伝達マイクロクラスターの持続性を低減させることによりT細胞活性化を負に調節し、リン酸化されたSLP76およびGadsに結合する14-3-3タンパク質の動員をもたらし、LAT含有マイクロクラスターからSLP76-Gads-14-3-3複合体を放出し、これが、アネルギーおよび消耗を含むT細胞機能不全をもたらすと考えられる(Lasserreら(2011)J Cell Biol 195(5):839~853)。「機能不全」という用語は、免疫機能不全の情況において、抗原性刺激に対する免疫応答性が低下した状態を指す。この用語は、抗原認識が生じ得るが、次の免疫応答が、感染または腫瘍増殖を制御するには効果がない、消耗および/またはアネルギーの両方の共通要素を含む。
「機能不全性」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原認識に対する不応性または無応答性、具体的には、抗原認識を増殖、サイトカイン産生(例えば、IL-2、ガンマ-IFN)および/または標的細胞死滅などの下流のT細胞エフェクター機能へと変換する能力の障害も含む。
「アネルギー」という用語は、T細胞受容体を介して送達される不完全または不十分なシグナル(例えば、ras活性化の非存在下での細胞内Caの増加)に起因する、抗原刺激に対する無応答性の状態を指す。T細胞アネルギーは、共刺激の非存在下での抗原による刺激の際にも生じ得、共刺激の情況であっても抗原による引き続く活性化に対して不応性になる細胞を生じる。この無応答性状態は、インターロイキン-2の存在により多くの場合に覆され得る。アネルギー性T細胞は、クローン増殖を受けない、および/またはエフェクター機能を獲得しない。
「消耗」という用語は、多くの慢性感染およびがんの間に生じる持続性のTCRシグナル伝達から生じるT細胞機能不全の状態としての、T細胞消耗を指す。これは、不完全なまたは欠損したシグナル伝達を介してではなく、持続性のシグナル伝達から生じるという点で、アネルギーから識別される。これは、不十分なエフェクター機能、阻害受容体の持続性の発現、および機能的エフェクターまたはメモリーT細胞のものとは異なる転写状態により規定される。消耗は、感染および腫瘍の最適な制御を防止する。消耗は、外的陰性調節経路(例えば、免疫調節性サイトカイン)、さらには細胞固有の陰性調節(共刺激)経路(PD-1、B7-H3、B7-H4など)の両方から生じ得る。
「T細胞機能を増強する」は、持続性のもしくは増幅された生物学的機能を有するように、または消耗したもしくは不活性なT細胞を更新もしくは再活性化するようにT細胞を誘導する、そのように惹起する、またはそのように刺激することを意味する。T細胞機能を増強することの例には、以下が含まれる:介入前のそのようなレベルと比べての、サイトカイン(例えば、ガンマ-インターフェロン、IL-2、IL-12、およびTNFα)の分泌の増加、増殖の増加、抗原反応性の増加(例えば、ウイルス、病原体、または腫瘍クリアランス)、CD8 T細胞によるグランザイムBなどのエフェクター顆粒の産生の増加。
したがって、本明細書に開示の式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩、プロドラッグ、代謝産物、もしくは誘導体は、T細胞機能不全性障害の処置において有用である。「T細胞機能不全性障害」は、抗原性刺激に対する応答性の低下により特徴づけられる、T細胞の障害または状態である。特定の一実施態様では、T細胞機能不全性障害は、HPK1のキナーゼ活性の上昇と特異的に関連する障害である。別の一実施態様では、T細胞機能不全性障害は、T細胞が、アネルギー性であるか、またはサイトカインを分泌する能力、増殖する能力もしくは細胞溶解活性を実行する能力が減少している障害である。具体的な一態様では、この低下した応答性は、免疫原を発現する病原体または腫瘍の、効果がない制御をもたらす。T細胞機能不全により特徴づけられるT細胞機能不全性障害の例には、未解決の急性感染、慢性感染および腫瘍免疫が含まれる。
したがって、本明細書に開示の化合物は、例えばがんの処置のための腫瘍免疫原性の上昇など、免疫原性の増強が望まれる状態の処置において使用することができる。「免疫原性」は、特定の物質が免疫応答を誘発する能力を指す。腫瘍は、免疫原性であり、腫瘍免疫原性を増強することは、免疫応答による腫瘍細胞のクリアランスを助ける。
「腫瘍免疫」は、腫瘍が免疫認識およびクリアランスを逃れるプロセスを指す。したがって、治療概念として、腫瘍免疫は、そのような回避が減弱され、腫瘍が免疫系によって認識および攻撃される場合に、「処置される」。腫瘍認識の例には、腫瘍結合、腫瘍収縮および腫瘍クリアランスが含まれる。
一態様では、それを必要とする対象において、がんを処置するための方法であって、対象に、式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩、プロドラッグ、代謝産物、もしくは誘導体の有効量を投与することを含む方法を本明細書において提供する。一部の実施形態では、対象は黒色腫を有する。黒色腫は、早期段階でも、後期段階でもよい。一部の実施形態では、対象は結腸直腸癌を有する。結腸直腸癌は、早期段階でも、後期段階でもよい。一部の実施形態では、対象は非小細胞肺癌を有する。非小細胞肺癌は、早期段階でも、後期段階でもよい。一部の実施形態では、対象は膵臓癌を有する。膵臓癌は、早期段階でも、後期段階でもよい。一部の実施形態では、対象は血液悪性病変を有する。血液悪性病変は、早期段階でも、後期段階でもよい。一部の実施形態では、対象は卵巣癌を有する。卵巣癌は、早期段階でも、後期段階でもよい。一部の実施形態では、対象は乳癌を有する。乳癌は、早期段階でも、後期段階でもよい。一部の実施形態では、対象は腎細胞癌を有する。腎細胞癌は、早期段階でも、後期段階でもよい。一部の実施形態では、がんは高レベルのT細胞浸潤を有する。
一部の実施形態では、処置は、処置の休止後に、対象において持続性応答をもたらす。「持続性応答」は、処置の休止後に腫瘍増殖を低減させることに対する持続性の作用を指す。例えば、腫瘍サイズは、投与期の開始時のサイズと比較して、同じか、またはより小さいままであり得る。
本明細書に開示の処置方法は、部分的または完全奏功をもたらし得る。本明細書で使用する場合、「完全奏功」または「CR」は、すべての標的病変の消失を指す;「部分奏功」または「PR」は、ベースラインSLDを参照とした、標的病変の最長の直径の合計(SLD)における少なくとも30%の減少を指す;「安定した疾患」または「SD」は、処置開始以降の最小のSLDを参照とした、PRに適格であるのに不十分な標的病変の収縮、またPDに適格であるのに不十分な増加を指す。本明細書で使用される場合、「全奏効率」(ORR)は、完全奏功(CR)率および部分奏功(PR)率の合計を指す。
本明細書に開示の処置方法は、HPK1アンタゴニストを投与された対象の無増悪生存および全生存の延長をもたらすことができる。本明細書で使用される場合、「無増悪生存」(PFS)は、処置されている疾患(例えば、がん)がその間に悪化しない、処置の間およびその後の時間の長さを指す。無増悪生存には、患者が完全奏功または部分奏功を経験した時間の量、さらには、患者が安定した疾患を経験した時間の量が含まれ得る。
本明細書で使用される場合、「全生存」は、特定の持続期間の時間の後に生きているであろう、群中の対象の百分率を指す。
本明細書において提供される方法の一部の実施形態では、異常な細胞増殖はがんであり、がんは、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮癌、前立腺癌、肺癌(NSCLC、SCLC、扁平上皮細胞癌または腺癌を含む)、食道癌、頭頚部癌、結腸直腸癌、腎臓癌(RCCを含む)、肝臓癌(HCCを含む)、膵臓癌、胃(stomach)(例えば、胃(gastric))癌および甲状腺癌からなる群から選択される。本明細書において提供される方法のさらなる実施形態では、がんは、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮癌、前立腺癌、肺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される。
一部の実施形態では、がんは、乳癌および卵巣癌からなる群から選択される。
一部の実施形態では、がんは卵巣癌である。
他の実施形態では、がんは、例えば、ER陽性/HR陽性乳癌、HER2陰性乳癌;ER陽性/HR陽性乳癌、HER2陽性乳癌;三重陰性乳癌(TNBC);または炎症性乳癌を含む乳癌である。一部の実施形態では、乳癌は、内分泌抵抗性乳癌、トラスツズマブ抵抗性乳癌、またはCDK4/CDK6阻害に対して一次もしくは獲得抵抗性を示す乳癌である。一部の実施形態では、乳癌は、進行性または転移性乳癌である。
一部の実施形態では、本発明の化合物を第一選択療法として投与する。他の実施形態では、本発明の化合物を第2(またはそれより後の)選択治療として投与する。一部の実施形態では、本発明の化合物を、内分泌治療薬および/またはCDK4/CDK6阻害薬での処置の後に、第2(またはそれより後の)選択治療として投与する。一部の実施形態では、本発明の化合物は、内分泌治療薬での処置の後に、第2(またはそれより後の)選択治療として投与する。一部の実施形態では、本発明の化合物を、CDK4/CDK6阻害薬での処置の後に、第2(またはそれより後の)選択治療として投与する。一部の実施形態では、本発明の化合物を、例えば、タキサンまたは白金製剤を含む1つまたは複数の化学療法レジメンでの処置の後に、第2(またはそれより後の)選択治療として投与する。一部の実施形態では、本発明の化合物を、HER2標的化薬、例えば、トラスツズマブでの処置の後に、第2(またはそれより後の)選択治療として投与する。
「異常な細胞増殖」および「過剰増殖障害」という用語は、本出願では互換的に使用される。
「異常な細胞増殖」は、本明細書で使用される場合、別段に示されていない限り、正常な制御機構(例えば、接触阻害の喪失)とは独立している細胞増殖を指す。異常な細胞増殖は、良性(非癌性)であっても、または悪性(癌性)であってもよい。
異常な細胞増殖は、内分泌療法、HER2アンタゴニストまたはCDK4/6阻害に対して抵抗性である腫瘍の異常な増殖を含む。
「追加の抗がん治療薬」という用語は、本明細書で使用される場合、以下のクラス:有糸***阻害薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼIおよびII阻害薬、植物アルカロイド、ホルモン薬およびアンタゴニスト、成長因子阻害薬、放射線、タンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリン/トレオニンキナーゼの阻害薬、細胞周期阻害薬、生体応答修飾物質、酵素阻害薬、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体、細胞傷害薬、ならびに免疫腫瘍薬(免疫腫瘍薬にはモノクローナル抗体、二重特異性抗体、サイトカイン、CAR-t細胞が含まれる)から誘導される薬剤などであるか、またはがんの処置において使用することができる本発明の化合物以外の任意の1種または複数の治療薬を意味する。
本明細書で使用される場合、「がん」は、任意の悪性および/または侵襲性増殖または異常な細胞増殖に起因する腫瘍を指す。がんには、それを形成する細胞型で名付けられる固形腫瘍、血液、骨髄、またはリンパ系のがんが含まれる。固形腫瘍の例には、肉腫および癌腫が含まれる。血液のがんには、これに限定されないが、白血病、リンパ腫および骨髄腫が含まれる。がんには、身体の特異的な部位で始まる原発性がん、始まった場所から身体の他の部位へと伝播した転移性がん、寛解後の元の原発性がんからの再発、および第2の原発性がんとは異なる型の先行がんの履歴を有する者における新たな原発性がんである第2の原発性がんも含まれる。
本明細書において提供される方法の一部の実施形態では、がんは、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮癌、前立腺癌、肺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌および胃癌からなる群から選択される。
剤形およびレジメン
本発明の化合物の投与は、作用部位への化合物の送達を可能にする任意の方法により行うことができる。これらの方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内または注入を含む)、局所、および直腸投与が含まれる。
投与レジメンは、最適な所望の応答を得るために調節することができる。例えば、単一ボーラス剤を投与することもできるし、複数の分割用量を経時的に投与することもできるし、または用量を治療状況の緊急性により示されるとおり、比例して減少または増加させることができる。投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、投薬単位形態で非経口組成物を製剤化することが特に有利である。投薬単位形態は、本明細書で使用される場合、処置される哺乳類対象のための単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指し、その際、各単位は、必要な医薬担体に関連して所望の治療効果が生じるように計算された所定の量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位形態の仕様は、(a)化学治療薬の特有の特徴および達成されるべき特定の治療または予防効果、ならびに(b)そのような活性化合物を配合して個体の感受性を処置する分野に固有の制約により決定され、それらに直接依存し得る。
したがって、当業者は、本明細書において提供される開示に基づき、用量および投与計画が治療分野で周知の方法に従って調節されることを認めるであろう。すなわち、最大許容用量を容易に確立することができ、患者に検出可能な治療効果を与える有効量を決定することもでき、同様に、各薬剤を投与して患者に検出可能な治療効果を与えるための一時的な要求を決定することもできる。したがって、ある特定の用量および投与レジメンを本明細書において例示するが、これらの例は、本発明を実施する際に患者に提供され得る用量および投与レジメンを何ら限定するものではない。
緩和されるべき状態の種類および重症度と共に投薬量の値は変動し得て、単回または複数の用量を含み得ることに注意されたい。さらに、任意の特定の対象について、具体的な投与レジメンを、個々の必要性、および組成物を投与するか、またはその投与を管理する人の専門的判断に従って経時的に調節すべきであること、ならびに本明細書において記載される投薬量範囲は例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載の組成物の範囲および実行を制限することを意図したものではないことは理解されるべきである。例えば、用量を、毒性作用および/または臨床検査値などの臨床効果を含み得る薬物動態または薬力学的パラメーターに基づき調節することができる。したがって、本発明は、当業者により決定されるとおりの患者内用量漸増を包含する。化学治療薬を投与するための適切な投薬量およびレジメンの決定は、関連分野において周知であり、本明細書に開示の教示をいったん提供されれば、当業者により達成されることが理解されるであろう。
投与される本発明の化合物の量は、処置される対象、障害または状態の重症度、投与速度、化合物の性質および処方医の裁量に依存することとなる。しかしながら、有効な投薬量は、単回または分割用量で1日あたり体重1kgあたり約0.001~約100mg、好ましくは約1~約35mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトでは、これは、約0.05~約7g/日、好ましくは約0.1~約2.5g/日になるであろう。一部の場合には、前述の範囲の下限未満の投薬量レベルでも十分すぎる一方で、他の場合には、何らかの有害な副作用を引き起こすことなく、より多い用量を用いることもできるが、ただし、そのような多い用量は初めは、日中を通じて投与するために複数回の少ない用量に分割されることを条件とする。
製剤および投与経路
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容できる担体」は、生体に対して有意な刺激をもたらさず、かつ投与される化合物の生物学的活性および特性を排除しない担体または希釈剤を指す。
薬学的に許容できる担体は、任意の従来の薬学的担体または添加剤を含み得る。担体および/または添加剤の選択は、特定の投与様式、溶解性および安定性に対する担体または添加剤の作用、ならびに剤形の性質などの因子に大きく依存することとなる。
適切な薬学的担体には、不活性な希釈剤または増量剤、水および様々な有機溶媒(水和物および溶媒和物など)が含まれる。医薬組成物は、所望の場合には、香味剤、結合剤、添加剤などの追加の成分を含有し得る。したがって、経口投与では、クエン酸などの様々な添加剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸およびある特定の複雑ケイ酸塩などの様々な崩壊剤と、ならびにスクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムなどの結合剤と一緒に使用することができる。限定ではないが、添加剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプン種、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの滑沢剤が多くの場合に、製錠の目的のために有用である。同様の種類の固体組成物を、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤において使用することもできる。したがって、物質の非限定的例には、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。経口投与のために水性懸濁剤またはエリキシル剤が望ましい場合、その中の活性化合物を、様々な甘味剤または香味剤、着色剤または色素および、所望の場合には、乳化剤または懸濁化剤と、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはそれらの組合せなどの希釈剤と一緒に組み合わせることができる。
医薬組成物は、例えば、経口投与では錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、持続放出製剤、液剤として、非経口注射では滅菌溶液、懸濁剤もしくは乳剤として、局所投与では軟膏剤もしくはクリーム剤として、または直腸投与では坐剤として適した形態であり得る。
例示的な非経口投与形態には、滅菌水溶液、例えば、水性プロピレングリコールまたはデキストロース溶液中の活性化合物の溶液または懸濁液が含まれる。そのような剤形を、所望の場合には適切に緩衝してもよい。
医薬組成物は、正確な投薬量の単回投与に適した単位剤形であってよい。
本発明の化合物を送達するために適切な医薬組成物、およびそれらを調製する方法は、当業者には容易に分かるであろう。そのような組成物およびそれらを調製するための方法は、例えば、その開示が全体で参照により本明細書に援用される「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)において見い出すことができる。
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に入るような嚥下を伴ってもよいし、または化合物が口から直接、血流に入る頬側もしくは舌下投与を使用してもよい。
経口投与に適切な製剤には、錠剤などの固体製剤、微粒子、液体、または粉末を含有するカプセル剤、ロゼンジ剤(液体充填を含む)、チューイング剤、マルチ微粒子およびナノ微粒子、ゲル剤、固溶体、リポソーム、フィルム剤(粘膜粘着剤を含む)、卵形剤、噴霧剤ならびに液体製剤が含まれる。
液体製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。そのような製剤は、軟質または硬質カプセル剤中の充填剤として使用することもでき、典型的には、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切なオイル、ならびに1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤はまた、固体の復元により、例えばサシェから調製することもできる。
本発明の化合物はまた、その開示が全体で参照により本明細書に援用されるLiang and ChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981~986(2001)に記載されているものなどの急速溶解、急速分解剤形で使用することができる。
錠剤剤形では、用量に応じて、薬物は、剤形の1重量%~80重量%、より典型的には剤形の5重量%~60重量%を構成していてよい。薬物に加えて、錠剤は一般に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、α化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが含まれる。一般に、崩壊剤は、剤形の1重量%~25重量%、好ましくは5重量%~20重量%を構成することとなる。
結合剤を一般に使用して、錠剤製剤に粘着性を付与する。適切な結合剤には、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。錠剤はまた、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプン、および二塩基性リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤を含有してよい。
錠剤は任意選択で、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を包含してもよい。存在する場合には、界面活性剤は典型的には、錠剤の0.2重量%~5重量%の量であり、流動促進剤は典型的には、錠剤の0.2重量%~1重量%の量である。
錠剤は一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの滑沢剤も含有する。滑沢剤は一般に、錠剤の0.25重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~3重量%の量で存在する。
他の従来の成分には、抗酸化剤、着色剤、香味剤、防腐剤、および矯味剤が含まれる。
例示的な錠剤は、薬物約80重量%まで、結合剤約10重量%~約90重量%、希釈剤約0重量%~約85重量%、崩壊剤約2重量%~約10重量%、および滑沢剤約0.25重量%~約10重量%を含有する。
錠剤ブレンドを、直接か、ローラーにより圧縮して、錠剤を形成することができる。別法では、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部を湿式、乾式、もしくは溶融造粒するか、溶融凝固させるか、または押し出し、その後に錠剤化することができる。最終製剤は、1つまたは複数の層を含んでよく、コーティングされていてもよいし、もしくはコーティングされていなくてもよく;またはカプセル封入されていてもよい。
錠剤の製剤化は、その開示が全体で参照により本明細書に援用されるH.Lieberman and L. Lachman、Marcel Dekkerによる「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1」、N.Y.、N.Y.、1980(ISBN 0-8247-6918-X)において詳細に論じられている。
経口投与するための固体製剤を、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。
適切な調節放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散液および浸透性コーティングされた粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、Vermaら、Pharmaceutical Technology On line、25(2)、1~14(2001)において見出すことができる。制御放出を達成するためにチューインガムを使用することは、WO00/35298に記載されている。これらの参照文献の開示は、それらの全体で参照により本明細書に援用される。
非経口投与
本発明の化合物を、血流、筋肉、または内臓に直接投与してもよい。非経口投与に適切な手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、尿管内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下が含まれる。非経口投与に適切なデバイスには、針(微細針を包含する)注射器、無針注射器、および点滴技術が含まれる。
非経口製剤は典型的には、塩、炭水化物、および緩衝剤(好ましくは3~9のpHに)などの添加剤を含有してよい水溶液であるが、いくつかの用途では、これらをより適切に、滅菌非水溶液として、または発熱物質不含の滅菌水などの適切なビヒクルと共に使用される乾燥形態として製剤化することができる。
例えば、凍結乾燥による滅菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技術を使用して容易に達成することができる。
非経口溶液の調製において使用される本発明の化合物の溶解性は、溶解性増強剤の導入などの適切な製剤技術を使用することにより増大させることができる。
非経口投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。したがって本発明の化合物を、活性化合物の調節放出をもたらす移植デポー剤として投与するための固体、半固体、またはチキソトロピー液として製剤化することができる。そのような製剤の例には、薬物コーティングされたステントおよびPGLA微小球が含まれる。
本発明の化合物は、皮膚または粘膜に局所で、すなわち、皮膚に、または経皮的に投与することもできる。この目的のための典型的な製剤には、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚貼付剤、ウェハ剤、インプラント剤、スポンジ、繊維、絆創膏、およびマイクロエマルション剤が含まれる。リポソームを使用することもできる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが含まれる。透過促進剤を導入することもできる。例えば、FinninおよびMorganによるJ.Pharm.Sci、88(10)、955~958(1999年10月)を参照されたい。局所投与の他の手段には、電気穿孔法、イオン泳動法、音波泳動法、ソノフォレーシス、および微細針または無針(例えば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が含まれる。これらの参照文献の開示は、それらの全体で参照により本明細書に援用される。
局所投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。
本発明の化合物は、鼻腔内で、または吸入により、典型的には乾燥粉末の形態(単独で、混合物として、例えば、ラクトースとの乾燥ブレンドで、または混合成分粒子として、例えば、ホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合して)で、乾燥粉末吸入器から、またはエアロゾル噴霧剤として、加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは、電磁流体力学を用いて微細な霧を生成する噴霧器)、またはネブライザから、1,1,1,2-テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用して、もしくは使用せずに投与することもできる。鼻腔内での使用では、散剤は、生体用粘着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでよい。
加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器、またはネブライザは、例えば、エタノール、エタノール水溶液、または活性物質の分散、可溶化、もしくはその放出の延長に適切な代替薬剤、溶媒としての噴射剤、およびトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、もしくはオリゴ乳酸などの任意選択の界面活性剤を含む本発明の化合物の溶液または懸濁液を含有する。
乾燥粉末または懸濁液製剤で使用する前に、薬物製品を、吸入による送達に適切なサイズ(典型的には5ミクロン未満)まで超微粉砕する。これは、スパイラルジェット粉砕、流動床ジェット粉砕、ナノ粒子を形成するための臨界流体加工、高圧均一化、または噴霧乾燥などの任意の適切な粉砕方法により達成することができる。
吸入器または注入器で使用するためのカプセル剤(例えば、ゼラチンまたはHPMC製)、ブリスター、およびカートリッジを、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤、およびl-ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの性能調節剤の粉末混合物を含有するように製剤化することができる。ラクトースは、無水であってもよいし、または一水和物の形態であってもよいが、後者が好ましい。他の適切な添加剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが含まれる。
電磁流体力学を用いて微細な霧を生成する噴霧器で使用するために適切な溶液製剤は、動作1回当たり本発明の化合物1μg~20mgを含有してよく、その動作体積は、1μl~100μlまで変動してよい。典型的な製剤は、本発明の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール、および塩化ナトリウムを含む。プロピレングリコールの代わりに使用することができる代替溶媒には、グリセロールおよびポリエチレングリコールが含まれる。
メントールおよびレボメントールなどの適切な香味剤、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味剤を、吸入/鼻腔内投与を意図されている本発明の製剤に加えることができる。
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、例えば、ポリ(DL-乳酸-コグリコール酸(PGLA)を使用して、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が含まれる。
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合、投薬単位は、計測量を送達するバルブにより決定される。本発明による単位は典型的には、所望の量の本発明の化合物を含有する計測用量または「パフ」を投与するように設計される。全一日用量を単回用量で、またはより通常は、一日を通して分割用量として投与することができる。
本発明の化合物は、例えば、坐剤、膣坐剤、または浣腸剤の形態で直腸または膣投与することができる。カカオバターが慣用的な坐剤基剤であるが、様々な代替物を適宜使用することができる。
直腸/膣投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
本発明の化合物は、典型的には等張性pH調節滅菌生理食塩水中の超微粉砕された懸濁液または溶液の液滴の形態で、眼または耳に直接投与することもできる。眼および耳投与に適切な他の製剤には、軟膏剤、生分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えば、シリコーン)インプラント、ウェハ、レンズ、ならびに微粒子またはニオソームもしくはリポソームなどの小胞系が含まれる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ゲランゴムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤と一緒に導入することができる。そのような製剤をイオン泳動法により送達することもできる。
眼/耳投与のための製剤は、即時および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、またはプログラム放出が含まれる。
他の技術
前述の投与方式のいずれかでの使用について、それらの溶解性、溶解速度、矯味、生物学的利用能および/または安定性を向上させるために、本発明の化合物を、シクロデキストリンおよびその適切な誘導体などの溶解性高分子成分またはポリエチレングリコール含有ポリマーと組み合わせることができる。
薬物-シクロデキストリン複合体は例えば、ほとんどの剤形および投与経路に一般に有用であることが分かっている。包接および非包接複合体の両方を使用することができる。薬物との直接的な複合体形成の代わりに、シクロデキストリンを補助的添加剤、すなわち、担体、希釈剤、または溶解剤として使用することができる。これらの目的のために最も一般に使用されるのは、アルファ-、ベータ-、およびガンマ-シクロデキストリンであり、その例は、それらの開示が全体で参照により本明細書に援用されるPCT公報WO91/11172、WO94/02518、およびWO98/55148において見出すことができる。
投薬量
投与される活性化合物の量は、処置を受ける対象、障害または状態の重症度、投与速度、化合物の素質、および処方する処方医の裁量に依存するはずである。しかしながら、有効な投薬量は典型的には、単回用量または分割用量で1日あたり体重1kgあたり約0.001~約100mg、好ましくは約1~約35mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトでは、これは、約0.05~約7000mg/日、好ましくは、約0.1~約2500mg/日の量になるであろう。一部の場合には、前述の範囲の下限未満の投薬量レベルでも十分すぎる一方で、他の場合には、何らかの有害な副作用を引き起こすことなく、より多い用量を用いることもできるが、ただし、そのような多い用量は典型的には、日中を通して投与するために複数回の少ない用量に分割される。
キットオブパーツ
例えば、特定の疾患または状態を処置する目的で、活性化合物の組合せを投与することが望まれ得る限りは、そのうちの少なくとも1種が本発明による化合物を含有する2種以上の医薬組成物を、それらの組成物の同時投与に適したキットの形態で好都合に組み合わせることができることは本発明の範囲内である。したがって、本発明のキットは、そのうちの少なくとも1種が本発明の化合物を含有する2種以上の別個の医薬組成物、および前記組成物を別々に保持するための容器、分割ボトル、または分割ホイルパケットなどの手段を含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などの包装のために使用される熟知されているブリスターパックである。
本発明のキットは、異なる剤形を例えば経口および非経口で投与するために、異なる投与間隔で別個の組成物を投与するために、または相互に別個の組成物を用量決定するために特に適している。服薬遵守を助けるために、キットは典型的には、投与指示書を含み、メモリーエイドを装備していてよい。
併用治療
本明細書で使用される場合、「併用治療」という用語は、本発明の化合物を少なくとも1種の追加の医薬または薬剤(例えば、抗がん薬、ワクチン、抗菌薬、抗ウイルス薬、または抗寄生虫薬)と一緒に連続的に、または同時に投与することを指す。
前述のとおり、本発明の化合物は、抗がん薬などの1種または複数の追加の薬剤と組み合わせて使用することができる。他の承認されているか、または実験的ながん治療、例えば、放射線、外科手術、化学治療薬、標的治療、腫瘍において調節不全になっている他のシグナル伝達経路を阻害する薬剤、およびPD-1アンタゴニストなどの他の免疫増強薬などと組み合わせることにより、ある特定の腫瘍における本発明の化合物の有効性を増強することができる。
併用治療を用いる場合、1種または複数の追加の薬剤を本発明の化合物と連続的に、または同時に投与することができる。一実施形態では、追加の薬剤を、本発明の化合物の投与前に哺乳類(例えば、ヒト)に投与する。別の実施形態では、追加の薬剤を、本発明の化合物の投与後に哺乳類(例えば、ヒト)に投与する。別の実施形態では、追加の薬剤を、本発明の化合物の投与と同時に哺乳類(例えば、ヒト)に投与する。
本発明はまた、上記で定義したとおりの本発明の化合物(前記化合物の水和物、溶媒和物、多形体、異性体、プロドラッグ、および/または前記化合物もしくはその薬学的に許容できる塩の代謝産物を含む)の量を、1種または複数(好ましくは、1~3種)の抗がん治療薬との組み合わせで含む、ヒトを含む哺乳類において異常な細胞増殖を処置するための医薬組成物に関する。
特定の実施形態では、本発明の化合物を、1種または複数のPI3キナーゼ、mTOR、PARP、Kras、IDO、TDO、ALK、ROS、MEK、VEGF、FLT3、AXL、ROR2、EGFR、FGFR、Src/Abl、RTK/Ras、Myc、Raf、PDGF、AKT、c-Kit、erbB、CDK2、CDK4、CDK4/CDK6、CDK5、CDK7、CDK9、SMO、CXCR4、HER2、GLS1、EZH2もしくはHsp90の阻害薬などの標的化薬、またはPD-1アンタゴニスト、PD-L1アンタゴニスト、CTLA-4アンタゴニスト、OX40アゴニスト、4-1BBアゴニスト、もしくはCD80アゴニストなどの免疫調節薬と組み合わせて投与することができる。
他の実施形態では、本発明の化合物は、タモキシフェン、ドセタキセル、パクリタキセル、シスプラチン、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビン、エキセメスタン、レトロゾール、フルベストラント、アナストロゾールまたはトラスツズマブなどの標準治療薬と組み合わせて投与することができる。
合成方法
式Iの化合物は、後記の方法により、有機化学の分野で公知の合成方法、または当技術分野において通常の技能を有する者が熟知している変更および変換を用いて調製することができる。本明細書において用いられる出発物質は、市販されているか、または当技術分野で公知のルーチン的な方法[Compendium of Organic Synthetic Methods, Vol. I-XIII(Wiley-Interscience出版)などの標準的な参考文献に記事の方法など]により調製することができる。好ましい方法には、これに限定されないが、後記の方法が含まれる。
次の合成シークエンスのいずれかの間に、関係する分子のいずれかの上の感受性または反応性基を保護することが必要である、および/または望ましいことがある。これは、参照により本明細書に援用されるT.W.Greene、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley & Sons、1981;T.W.Greene and P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley & Sons、1991;およびT.W.Greene and P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley & Sons、1999に記載のものなどの従来の保護基により達成することができる。
式Iの化合物、またはその薬学的に許容できる塩は、後で本明細書において論述される反応スキームに従って調製することができる。別段に示されていない限り、スキーム内の置換基は、前記のとおりに定義される。
生成物の単離および精製は、通常の技能の化学者には公知の標準的な手順により達成される。
スキーム、方法、および実施例において用いられる様々な記号、上付き文字、および下付き文字は、表示を簡便にするために、および/またはそれらがスキームに導入される順序を反映するために用いられており、添付の特許請求の範囲における記号、上付き文字、および下付き文字と必ずしも対応するように意図されたものではないことは、当業者には理解されるであろう。加えて、当業者は、多くの場合に、これらの化合物は、合成スキームの様々な段階で、これに限定されないが、結晶化、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、およびキラルクロマトグラフィーなどの従来の技法を用いて分離して、単一の鏡像異性体を得ることができる混合物および鏡像異性体であることが分かるであろう。スキームは、本発明の化合物を合成する際に有用な方法の代表である。それらは、本発明の範囲を何らかの方法で束縛するものではない。
本発明の化合物は、本明細書において提供される例示的な手順および当業者に公知のその変更形態に従って調製される。
以下の略語が実施例を通じて用いられる:「Ac」はアセチルを意味し、「ACN」はアセトニトリルを意味し、「BOC」、「Boc」または「boc」はN-tert-ブトキシカルボニルを意味し、「Bu」はブチルを意味し、「tBu」はtert-ブチルを意味し、「DCM」(CHCl)は塩化メチレンを意味し、「de」はジアステレオマー過剰を意味し、「DMF」はN,N-ジメチルホルムアミドを意味し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、「ee」は鏡像異性体過剰率を意味し、「Et」はエチルを意味し、「EtOAc」は酢酸エチルを意味し、「EtOH」はエタノールを意味し、「i-Pr」または「Pr」はイソプロピルを意味し、「Me」はメチルを意味し、「MeOH」はメタノールを意味し、「MS」は質量分析法を意味し、「MTBE」はメチルtert-ブチルエーテルを意味し、「Ph」はフェニルを意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「SFC」は超臨界流体クロマトグラフィーを意味し、「TLC」は薄層クロマトグラフィーを意味し、「Rf」は保持因子を意味し、「約」はおおよそを意味し、「RT」は、周囲温度(一般に、20℃~25℃)を含む室温を意味し、「h」は時間を意味し、「min」は分を意味し、「equiv」は当量を意味し、「sat.」は飽和を意味する。
式Iの化合物は、下に表示されている一般方法に記載の手順により、またはそのルーチン的な変更形態により調製することができる。別段に示されていない限り、方法における置換基は、本明細書で定義されているとおりである。Rが式Iの化合物中に存在するが、それぞれの合成経路内で用いられる中間体から、RがR-iまたはR-iiであるかどうかは明白であろう。本発明はまた、本明細書において用いられる任意の新規の中間体に加えて、式Iの化合物を調製するためのこれらのプロセスの任意の1つまたは複数を包含する。当業者は、次の反応物を冷却する、熱により加熱する、マイクロ波照射下で加熱する、またはフローケミストリー条件下で実行することができることが分かるであろう。本発明の所望の化合物を得るために、方法に記載の順序とは異なる順序で変換を実施する、または変換の1つもしくは複数を変更することが必要であるか、または望ましいことがあることがさらに分かるであろう。
方法A
Figure 2023054768000013
方法Aは、R3bが水素である式Iの化合物の調製を表している。方法Aでは、Rが式I(またはその保護されたバージョン)においてのとおりであれば、必要なカップリングパートナーまたはアミンの間のクロスカップリングまたは求核性芳香族置換により、A-2を得る。式A-1のジクロロピリジンでは、Vは、N(CH、OH、ピペリジン、モルホリン、OMe、OEt、またはOiPrである。次いで、A-2のホルミル化により、アルデヒドA-3を得る。その後のEllmanスルフィンアミドとの縮合により、式A-4の化合物を得る。式A-4の化合物の還元および塩基媒介環化により、式A-5の化合物を得る。別法では、Rがシクロプロピルメチルである式Iの化合物では、本明細書に記載の中間体15cの作製において記載される合成経路を使用して、式A-5の化合物を調製することができる。次のステップで、式A-5のクロロピリジンと式A-6のカルボン酸との間のイリジウムおよびニッケル媒介脱炭酸フォトレドックスカップリングにより、式A-7の化合物を得る。このステップでは、A-6のR3a置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。加えて、RおよびR置換基は、H、Boc、代替の保護基またはアルキルであり得るか;または別法では、R3aおよびR置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるとおりの環系の部分であり得る。パラジウムまたは銅触媒作用下での式A-7の化合物と、ブロモピリジントリアゾールA-8とのカップリング、続く、標準的な条件下でのあらゆる保護基の切断により、式Iのピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンを得る。このステップでは、A-8のR4N置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。
Figure 2023054768000014
ブロモピリジンエステルA-9のヒドラジン分解(J.Med.Chem.、60(2)、722~748;2017)、続く、対応するヒドラジドA-10とジメチルホルムアミドジメチルアセタールの反応により、ホルムアミジンA-11を得る。ホルムアミジンA-11とアミンとの縮合により、トリアゾールA-8を得る。
方法B
Figure 2023054768000015
方法Bは、R3aおよびR3bが水素である式Iの化合物の調製を表している。方法Bの第1のステップでは、式A-3の化合物(V=N(CH、OH、ピペリジン、モルホリン、OMe、OEt、またはOiPr)から、必要なアミノアルキルジンカートとの根岸クロスカップリングにより、式B-1の化合物を得る。このステップでは、RおよびR置換基は、H、式Iに表されているとおりのアルキル、またはBocもしくは代替の保護基のいずれかである。その後のEllmanスルホンアミドとの縮合、還元および塩基媒介環化により、式B-2の化合物を得る。パラジウムまたは銅触媒作用下でのブロモピリジントリアゾールB-3とのカップリングおよびその後の標準的な条件下でのあらゆる保護基の切断により、式Iのピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンを得る。このステップでは、式B-3のR4D置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。
Figure 2023054768000016
式B-4のラクタムを、式B-5のO-アルキルイミダートに変換する。このステップでは、式B-4のR4D置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。式A-10のアシルヒドラジンでの式B-5のO-アルキルイミダートの環化により、式B-3の化合物を得る。
方法C
Figure 2023054768000017
方法Cは、R3bがメチルである式Iの化合物の調製を表している。方法Cの第1のステップでは、式A-5の化合物と式C-1のボロン酸エステルとの間のパラジウム媒介クロスカップリング、続く、オレフィンまたはアルケンの鉄媒介ヒドロアジド化、得られたアミンの還元および任意選択の保護により、式C-2の化合物を得る。このステップでは、式C-1のR3a置換基およびA-5のR置換基は、所望の生成物である式Iにおいてのとおりに、またはその保護された変形形態により表されるべきである。パラジウムまたは銅触媒作用下でのブロモピリジントリアゾールA-8での式C-2の化合物のクロスカップリング、続く、標準的な条件下でのあらゆる保護基の切断により、式Iのピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンを得る。このステップでは、A-8のR4N置換基は、最終生成物である式IのRにおいて所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。
方法D
Figure 2023054768000018
方法Dは、R3bがメチルである式Iの化合物の調製を表している。方法Dの第1のステップでは、銅またはパラジウム触媒作用下でのブロモピリジンD-1での式C-2の化合物のカップリングにより、式D-2の化合物を得る。このステップでは、C-2のR、R、R、およびR3a置換基ならびにD-1のR4C置換基は、最終生成物であるD-3において所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。Rおよび/またはRは任意選択で、このステップでは保護基によって表されていてもよい。必要なアミンでの式D-2の化合物の反応により、式D-3の化合物を得る。このステップでは、R4N置換基は、最終生成物であるD-3において所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。式D-3の化合物中のあらゆる保護基の切断により最終的に、式I-Aのピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンを得る。
Figure 2023054768000019
式D-1の化合物にアクセスするために、式A-10の化合物を適切なアシル塩化物と反応させて、式D-4の化合物を得る。このステップでは、アシル塩化物のR4C置換基は、最終生成物である式Iにおいて表されるとおり、またはその保護されたバージョンである。式D-4の化合物の環化により、式D-1の化合物を得る。
方法E
Figure 2023054768000020
方法Eは、R3bが水素である式Iの化合物の調製を表している。方法Eの第1のステップでは、
i. 式A-5の化合物とトリブチル(1-エトキシビニル)スズとの間のパラジウム媒介クロスカップリング、続く、ビニルエーテルの加水分解により、R3a置換基が、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分により表されるべきである、式E-1のケトンを得るか、または
ii. 式A-5の化合物とシアン化亜鉛との間のパラジウム媒介クロスカップリング、続く、アルキルグリニャール試薬との反応により、R3a置換基が、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分により表されるべきである、式E-1のケトンを得るか
のいずれかである。
このステップでは、A-5のR置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。
式E-1の化合物から、
i. ケトンの還元、続く、メシラートまたはクロリドとしての活性化、アジドでの置き換え、ならびに還元および任意選択の保護により、式A-7の化合物(RおよびRは両方ともHであるか、またはRはHであり、かつRはBocまたは代替の保護基である)を得るか、または
ii. ケトンの還元、続く、メシラートまたはクロリドとしての活性化、アルキルアミンでの置き換え、および任意選択の保護により、式A-7の化合物(Rおよび/またはRはH、アルキル、Bocまたは代替の保護基である)を得るか、または
iii. スルフィンアミドとの縮合、続く、還元により、式A-7の化合物(Rは、Hであり、RはSOtBuである)を得るか
のいずれかである。
パラジウムまたは銅触媒作用下での式A-7の化合物とブロモピリジントリアゾールA-8とのカップリング、続く、標準的な条件下でのあらゆる保護基の切断により、式Iのピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンを得る。このステップでは、A-8のR4N置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分、またはR以内の、その保護された変形形態により表されるべきである。
方法F
Figure 2023054768000021
方法Fは、R3bが水素である式Iの化合物の調製を表している。方法Fでは、パラジウムまたは銅触媒作用下での式A-7の化合物とブロモピリジントリアゾールB-3とのカップリング、続く、標準的な条件下でのあらゆる保護基の切断により、式Iのピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンを得る。このステップでは、B-3のR4C置換基ならびに式A-7のR、R、RおよびR3a置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。このステップでは、式A-7のRおよび/またはR置換基は、Bocまたは別の保護基により表されてもよい。
方法G
Figure 2023054768000022
方法Gは、R3bが水素である式Iの化合物の調製を表している。方法Gの第1のステップでは、式D-1のブロモピリジンを必要なアミンと反応させて、式G-1の化合物を得る。このステップでは、R4CおよびR4N置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。パラジウムまたは銅触媒作用下での式G-1の化合物とA-7とのカップリング、続く、標準的な条件下でのあらゆる保護基の切断により、式Iのピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンを得る。このステップでは、式A-7のR、R、RおよびR3a置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。このステップでは、式A-7のRおよび/またはR置換基は、Bocまたは別の保護基により表されてもよい。
方法H
Figure 2023054768000023
方法Hは、R3bがメチルである式Iの化合物の調製を表している。方法Hの第1のステップでは、パラジウムまたは銅触媒作用下での式C-2の化合物とブロモピリジントリアゾールB-3とのカップリング、続く、標準的な条件下でのあらゆる保護基の切断により、式Iのピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンを得る。このステップでは、C-2のR、R、R、およびR3a置換基ならびにB-3のR4D置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。式C-2のRおよび/またはRは任意選択で、このステップでは保護基により表されていてもよい。
方法I
Figure 2023054768000024
方法Iは、R3bがメチルである式Iの化合物の調製を表している。方法Iの第1のステップでは、パラジウムまたは銅触媒作用下での式C-2の化合物とブロモピリジントリアゾールG-1とのカップリング、続く、標準的な条件下でのあらゆる保護基の切断により、R3bがメチルである式Iのピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンを得る。このステップでは、C-2のR、R、R、およびR3a置換基ならびにG-1のR4CおよびR4N置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。式C-2のRおよび/またはRは任意選択で、このステップでは保護基により表されていてもよい。
方法J
Figure 2023054768000025
方法Jは、R3bが水素である式Iの化合物の調製を表している。方法Jの第1のステップでは、式J-1のアルコールを保護して、式J-2の化合物(例えば、X=OTBDMS)を得る。式J-2の化合物を、式J-3のO-アルキルイミダートに変換する。式A-10のアシルヒドラジンでの式J-3のO-アルキルイミダートの環化により、式J-4の化合物を得る。式J-4の化合物をパラジウムまたは銅の下で式A-7の化合物とカップリングさせ、続いて、標準的な条件下であらゆる保護基を切断して、式Iのピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンを得る。このステップでは、A-7のR、R、RおよびR3a置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。このステップでは、式A-7のRおよび/またはR置換基は任意選択で、保護基により表されていてもよい。
別法では、式J-4の化合物(Xは保護ヒドロキシ基である)から、RがR-iiであり、かつR4DがF原子により置換されているアルキル(X=フッ素)である式Iの化合物を得るために、保護基の切断により、Xがヒドロキシである式J-4の化合物を得る。次いで、アルコールをアルキルフッ化物に変換すると、Xがフッ素である式J-4の化合物を得ることができる。
方法K
Figure 2023054768000026
方法Kは、R3aおよびR3bが水素である式Iの化合物の調製を表している。方法Kでは、式J-4の化合物(Xはフッ素である)を、パラジウムまたは銅触媒作用下で式B-2の化合物とカップリングさせ、続いて、標準的な条件下で保護基を切断することにより、式Iのピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンを得る。このステップでは、B-2のR、RおよびR置換基ならびに式J-4のX置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分、またはその保護された変形形態により表されるべきである。式B-2のRおよび/またはRは任意選択で、このステップでは保護基により表されていてもよい。
方法L
Figure 2023054768000027
方法Lの第1のステップでは、式L-1の化合物をウィティッヒオレフィン化に掛けて、式L-2の化合物を得る。式L-2の化合物の還元およびその後のけん化により、式L-3の化合物を得る。これらのステップでは、L-1のR4D置換基、ならびにL-2およびL-3のR4DおよびR4F置換基、ならびにその後の中間体は、最終生成物である式I(Rの範囲内として)、またはその保護バージョンにおいて表されるとおりである。別法では、一部の式L-3の化合物は市販されている。次のステップでは、式L-3の化合物を式A-10の化合物と反応させて、式L-4の化合物を得る。式L-4の化合物の環化により、式L-5のオキサジアゾールを得る。式L-5の化合物の熱または酸媒介脱保護に続く、その後の環化により、式L-6の化合物を得る。式L-6の化合物をパラジウムまたは銅の下で式A-7、B-2、またはC-2の化合物とカップリングさせ、続いて、標準的な条件下であらゆる保護基を切断して、式Iのピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンを得る。式IのR、R、R3a、およびR3b置換基は、A-7、B-2、もしくはC-2のための先行方法におけるそれらの定義、またはそれらの保護バージョンに依存する。
方法M
Figure 2023054768000028
方法Mは、R3aおよびR3bが水素である式Iの化合物の調製を表している。方法Mでは、パラジウムまたは銅触媒作用下での式B-2の化合物とブロモピリジントリアゾールA-8とのカップリングにより、式Iの保護ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンを得る。このステップでは、式B-2のR、RおよびR置換基ならびに式A-8のR4N置換基は、最終生成物である式Iにおいて所望されるのと同じ部分により、またはその保護された変形形態として、もしくは保護基(例えば、R=Boc)として表されるべきである。標準的な条件下でのあらゆる保護基の切断により、式Iのピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンを得る。
合成中間体の調製
立体化学が既知である、本明細書において調製される中間体および実施例については、立体化学は表示されているとおりであり、名称により、具体的な立体化学が(R)または(S)として指定されている。本明細書において指定された場合の立体化学は既知であり、それというのも、その化合物が既知のキラル出発物質から合成されたか、またはラセミ混合物が分離されて、ある特定の実施例または中間体の立体化学が、X線結晶学を用いて確認されたためである。後者の場合には、次いで、他の実施例または中間体の立体化学が、前述の実施例または中間体の既知のキラリティーおよび合成経路に基づき推測されるであろう。立体化学が分かっていないが、鏡像異性体が分離される場合、キラル炭素原子のところに「or1」または「or2」がある。その名称においては、分割はされたが確認されていない立体化学中心を有する炭素は、記号「ξ」で同定されている。その炭素のところで表示される結合は、立体化学の表示であり、その炭素が、表示の結合配置(実線のくさび)または逆の配置(細断されたくさび)を有するであろうことを意味している。例えば、実施例6aおよび実施例6bを参照されたい。ラセミ化合物は、注記「&1」により示されており、結合は、規定の立体化学として表示されており、その炭素が、表示の結合配置(実線のくさび)また逆の配置(細断されたくさび)を有するであろうことを意味している。例えば、中間体15を参照されたい。
中間体1:2-ブロモ-6-(4-エチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン
Figure 2023054768000029
ステップ1:6-ブロモピリジン-2-カルボヒドラジド(1a)
Figure 2023054768000030
MeOH(120mL)中のメチル6-ブロモ-2-ピリジンカルボキシラート(16.0g、74.0mmol)の溶液に、ヒドラジン一水和物(5.23g、88.8mmol、85%)を添加し、混合物を16時間、室温で撹拌した。得られた溶液をおよそ半分の体積に濃縮し、次いで、メチルtert-ブチルエーテル40mLを添加することにより摩砕し、10分間撹拌した。得られた白色の固体を濾過し、真空下で乾燥して、標題化合物(1a)(15g、94%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.82 (br. s, 1H), 8.13 (dd, J = 0.9, 7.5 Hz, 1H), 7.76 - 7.71 (m,
1H), 7.64 (dd, J = 0.9, 8.0 Hz, 1H), 4.08 (br. s, 2H). m/z (ESI): (C6H6BrN3O)
217.5 (M+H)+.
ステップ2:N’-[(6-ブロモピリジン-2-イル)カルボニル]-N,N-ジメチルヒドラゾノホルムアミド(1b)
Figure 2023054768000031
ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(80mL)中の6-ブロモピリジン-2-カルボヒドラジド(1a)(15.0g、69.4mmol)の溶液を80℃で16時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮して、残渣を得た。この残渣にメチルtert-ブチルエーテル(60mL)を添加し、40分間撹拌した。得られた黄色の固体を濾過し、乾燥して、標題化合物(1b)(16g、85%)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.74 (s, 1H), 8.06 (s, 1H), 8.01 - 7.97 (m, 1H), 7.91 (t, J = 7.7
Hz, 1H), 7.80 (dd, J = 1.0, 7.8 Hz, 1H), 2.84 (s, 6H). m/z (ESI): (C9H11BrN4O)
272.7 (M+H)+.
ステップ3:中間体1
フラスコに、N’-[(6-ブロモピリジン-2-イル)カルボニル]-N,Nジメチルヒドラゾノホルムアミド(1b)(2.0g、7.4mmol)、エチルアミン(0.5mL、333mg、7.4mmol)、酢酸(3mL)およびMeCN(15mL、0.5M)を装入した。溶液を16時間、95℃で加熱した。EtOAc(10mL)およびHO(10mL)を添加した。水層のpHが約pH8になるまで、固体KCOを添加した。層を分離し、水層をEtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。残渣をEtOAc(0.3mL)および石油エーテル(3mL)で5分間スラリー化した。固体を濾取して、中間体1(1.5g、80%)を淡黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.75 (s, 1H), 8.19 (dd, J = 7.7, 0.9 Hz, 1H), 7.99 - 7.90 (m, 1H),
7.79 (dd, J = 8.0, 0.9 Hz, 1H), 4.47 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 1.38 (t, J = 7.2 Hz,
3H); m/z (APCI+): (C9H9BrN4), 252.7 (M+H)+.
中間体2:(5S)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール
Figure 2023054768000032
ステップ1:tert-ブチル{(2S)-5-[2-(6-ブロモピリジン-2-カルボニル)ヒドラジニル]-5-オキソペンタン-2-イル}カルバマート(2a)
Figure 2023054768000033
THF(13.8mL、0.2M)中の(4S)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ペンタン酸(600mg、2.76mmol)の溶液を0℃に冷却した。プロピルホスホン酸無水物溶液(EtOAc中50%溶液、3.62mL、6.08mmol)を、溶液に0℃で添加し、その後、浴を取り外し、反応混合物を30分間、室温で撹拌した。次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.89mL、16.6mmol)および6-ブロモピコリノヒドラジド(656mg、3.04mmol)を添加し、反応混合物を室温で22時間撹拌した。LCMS分析は、出発物質の消費を示した。反応物を水(15mL)でクエンチし、EtOAc(20mL)で分液漏斗に移した。層を分離し、有機相を20%クエン酸(20mL)、NaHCOの飽和溶液(20mL)、およびブライン(20mL)で順に洗浄した。次いで、有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固して、標題化合物(2a)(1.07g、収率93%)をオフホワイト色の固体として得、これをさらに精製せずに採用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.76 (br. s, 1H), 9.36 (br. s, 1H), 8.15 (dd, J = 0.9, 7.5 Hz, 1H),
7.77 - 7.71 (m, 1H), 7.69 - 7.64 (m, 1H), 4.45 (br. d, J = 1.0 Hz, 1H),
3.91 (br. s, 1H), 2.47 - 2.35 (m, 2H), 2.00 - 1.89 (m, 1H), 1.75 - 1.66 (m,
1H), 1.48 (s, 9H), 1.22 (d, J = 6.6 Hz, 3H). LCMS m/z (APCI): (C11H15BrN4O2),
315.0 (M+H-Boc)+.
ステップ2:tert-ブチル{(2S)-4-[5-(6-ブロモピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ブタン-2-イル}カルバマート(2b)
Figure 2023054768000034
DCM(2.8mL、0.25M)中のtert-ブチル{(2S)-5-[2-(6-ブロモピリジン-2-カルボニル)ヒドラジニル]-5-オキソペンタン-2-イル}カルバマート(2a)(290mg、0.698mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.292mL、2.09mmol)およびp-トルエンスルホニルクロリド(160mg、0.838mmol)を添加した。反応物を室温で16時間撹拌した。LCMS分析は、出発物質の消費を示した。エチレンジアミン(0.047mL、0.698mmol)を添加して、過剰のp-トルエンスルホニルクロリドを除去したが;添加の間に、沈澱物がただちに形成した。室温で30分間撹拌した後に、反応物を20%クエン酸(5mL)で洗浄し、層を分離した。水層をDCM(5mL)で抽出し、次いで、合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固して、標題化合物(2b)(274mg、収率98%)を薄黄色の固体として得、これをさらに精製せずに採用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.21 (dd, J = 0.9, 7.6 Hz, 1H), 7.76 - 7.69 (m, 1H), 7.68 - 7.65
(m, 1H), 4.39 (br. s, 1H), 3.85 (br. s, 1H), 3.08 - 3.01 (m, 2H), 2.17 - 2.03
(m, 1H), 2.03 - 1.90 (m, 1H), 1.44 (s, 9H), 1.22 (d, J = 6.6 Hz, 3H). LCMS m/z
(APCI): (C11H13BrN4O), 297.0 (M+H-Boc)+.
ステップ3:中間体2
マイクロ波バイアルに、tert-ブチル{(2S)-4-[5-(6-ブロモピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ブタン-2-イル}カルバマート(2b)(150mg、0.378mmol)およびトリフルオロエタノール(1.89mL、0.2M)を装入し、密閉し、その後、マイクロ波で、30分間、180℃に加熱した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応混合物を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、100%ヘプタンから1:10 MeOH/EtOAc)により精製して、中間体2(74.3mg、収率71%)を淡褐色のゴム状固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.38 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.74 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.58 (d, J =
7.9 Hz, 1H), 5.22 - 5.08 (m, 1H), 3.21 - 3.16 (m, 1H), 3.16 - 3.02 (m, 2H),
2.55 - 2.44 (m, 1H), 1.60 (d, J = 6.6 Hz, 3H). LCMS m/z (APCI): (C11H11BrN4),
279.1 (M+H)+.SFC(400~450バールにおいて、二酸化炭素中10~60%メタノール(0.5%NH)、勾配時間=2分、流速=4mL/分、Chiralpack IC-U 50mm×3mm×1.6μmカラム)により、単一の鏡像異性体であると決定された。中間体2の立体化学を、ステップ1における(4S)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ペンタン酸の使用に基づき指定した。
中間体2の絶対配置は、低分子X線結晶学により明確に立証された。単結晶X線回折研究を、Mo Kα放射線(λ=0.71073)を備えたBruker APEX II Ultra CCD回折計で実施した。結晶は得られたまま使用された(ジクロロメタンから蒸気拡散により成長)。0.200×0.075×0.060mmの無色の結晶をParatoneオイルと共にCryoloopにマウントした。データは、Φおよびω走査を用いて窒素ガス流中で100(2)Kで収集した。結晶検出器間距離は45mmであり、0.80°の走査幅で、曝露時間1秒(2θ範囲に依存)を使用した。データ収集は、θで25.242°に対して100.0%の完全性であった。データを、Bruker SAINTソフトウェアプログラムを用いて統合し、SADABSソフトウェアプログラムを用いて位取りした。直接法(SHELXT)により解析すると、提案された構造と一致する完全なフェージングモデルが生成された。すべての非水素原子を、完全行列最小二乗法(SHELXL-2014)により異方的に精密化した。すべての炭素結合水素原子を、ライディングモデルを用いて配置した。それらの位置を、SHELXL-2014における適切なHFIXコマンドを用いて、それらの親原子に対して拘束した。C-H、N-HおよびO-H水素原子の位置を、適切なHFIXコマンドを用いて精密化した。結晶学的データを表1にまとめる。
Figure 2023054768000035
中間体3:(5S)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール
Figure 2023054768000036
ステップ1:tert-ブチル{(2S)-1-[メトキシ(メチル)アミノ]-1-オキソブタン-2-イル}カルバマート(3a)
Figure 2023054768000037
THF(49.2mL、0.2M)中の(2S)-2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ブタン酸(2.0g、9.84mmol)の溶液を0℃に冷却した。プロピルホスホン酸無水物溶液(EtOAc中50%溶液、12.9mL、21.6mmol)を溶液に0℃で添加し、その後、浴を取り外し、反応混合物を室温に加温し、30分間撹拌した。次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(10.3mL、59.0mmol)およびメトキシ(メチル)アミンヒドロクロリド(1.06g、10.8mmol)を添加し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物を水(40mL)でクエンチし、EtOAc(40mL)で分液漏斗に移した。層を分離し、有機相を20%クエン酸(40mL)、NaHCOの飽和溶液(40mL)、およびブライン(40mL)で順に洗浄した。次いで、有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固して、標題化合物(3a)(1.29g、収率53%)を黄色の油状物として得、これをさらに精製せずに採用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.28 - 5.12 (m, 1H), 4.74 - 4.52 (m, 1H), 3.79 (s, 3H), 3.23 (s,
3H), 1.85 - 1.73 (m, 1H), 1.64 - 1.54 (m, 1H), 1.46 (s, 9H), 0.96 (t, J = 7.5
Hz, 3H). LCMS m/z (APCI): (C11H22N2O4),
247.1 (M+H)+.
ステップ2:tert-ブチル(S)-(1-オキソブタン-2-イル)カルバマート(3b)
Figure 2023054768000038
THF(26.2mL、0.2M)中のtert-ブチル{(2S)-1-[メトキシ(メチル)アミノ]-1-オキソブタン-2-イル}カルバマート(3a)(1.29g、5.25mmol)の溶液を0℃に冷却した。水素化アルミニウムリチウム(2-MeTHF中2.3M溶液、2.51mL、5.77mmol)を溶液に0℃で滴下添加した。反応混合物を40分間、0℃で撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物をEtOAc(10mL)および1M HCl(10mL)でクエンチし、分液漏斗に移した。層を分離し、水相をEtOAc(3×10mL)で抽出した。次いで、合わせた有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、100%ヘプタンから100%EtOAc)により精製して、標題化合物(3b)(0.575g、収率59%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.60 (s, 1H), 5.09 (br. s, 1H), 4.22 (br. s, 1H), 2.04 - 1.90 (m,
1H), 1.73 - 1.64 (m, 2H), 1.48 (s, 9H), 0.99 (t, J = 7.5 Hz, 3H).
ステップ3:エチル(2E,4S)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサ-2-エノアート(3c)
Figure 2023054768000039
DCM(6.14mL、0.5M)中のtert-ブチル(S)-(1-オキソブタン-2-イル)カルバマート(3b)(575mg、3.07mmol)の溶液に、(エトキシカルボニルメチレン)トリフェニルホスホラン(1.60g、4.61mmol)を添加した。反応混合物を室温で17時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物を濃縮乾固し、その後、イソプロパノール(8.5mL、0.36M)および塩化亜鉛(1.26g、9.21mmol)を添加して、トリフェニルホスフィンオキシドを沈殿させた。室温で30分間撹拌した後に、反応混合物を濾過し、濃縮乾固した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、100%ヘプタンから100%EtOAc)により精製して、標題化合物(3c)(653mg、収率83%、>20:1比のE/Z異性体)を無色の油状物として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.86 (dd, J = 5.4, 15.6 Hz, 1H), 5.94 (dd, J = 1.7, 15.7 Hz, 1H),
4.50 (br. s, 1H), 4.31 - 4.16 (m, 3H), 1.65 - 1.63 (m, 1H), 1.60 - 1.51 (m,
1H), 1.47 (s, 9H), 1.32 - 1.30 (m, 3H), 0.99 - 0.95 (m, 3H). LCMS m/z (APCI):
(C8H15NO2), 158.2 (M+H-Boc)+.
ステップ4:エチル(4S)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサノアート(3d)
Figure 2023054768000040
メタノール(12.7mL、0.2M)中のエチル(2E,4S)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサ-2-エノアート(3c)(653mg、2.54mmol)の溶液に、炭素上のパラジウム(10%w/w、270mg、0.254mmol)を添加した。反応バイアルを排気し、動的真空下で10秒間、Hを再充填した。次いで、反応混合物を室温で、1atm H下で18時間撹拌した。混合物を室温で17時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物をCelite(登録商標)で濾過し、濃縮乾固した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、100%ヘプタンから100%EtOAc)により精製して、標題化合物(3d)(589mg、収率90%)を無色の油状物として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.37 - 4.23 (m, 1H), 4.20 - 4.11 (m, 2H), 3.61 - 3.46 (m, 1H), 2.42
- 2.33 (m, 2H), 1.93 - 1.82 (m, 1H), 1.71 - 1.62 (m, 1H), 1.57 - 1.51 (m, 1H),
1.46 (s, 9H), 1.44 - 1.38 (m, 1H), 1.30 - 1.26 (m, 3H), 0.94 (t, J = 7.4
Hz, 3H).
ステップ5:(4S)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサン酸(3e)
Figure 2023054768000041
THF(11.4mL、0.2M)およびMeOH(5.7mL、0.4M)中のエチル(4S)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサノアート(3d)(589mg、2.27mmol)の溶液に、水(2.84mL、0.8M)中のLiOH(544mg、22.7mmol)の溶液を添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応物を濃縮し、その後、5のpHが達成されるまで、水および1M HClを添加した。水層をEtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固して、標題化合物(3e)(260mg、収率50%)を薄黄色の油状物として得、これをさらに精製せずに採用した。
ステップ6:tert-ブチル{(3S)-6-[2-(6-ブロモピリジン-2-カルボニル)ヒドラジニル]-6-オキソヘキサン-3-イル}カルバマート(3f)
Figure 2023054768000042
THF(5.6mL、0.2M)中の(4S)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサン酸(3e)(260mg、1.12mmol)の溶液を0℃に冷却した。プロピルホスホン酸無水物溶液(EtOAc中50%溶液、1.47mL、2.47mmol)を溶液に0℃で添加し、その後、浴を取り外し、反応混合物を30分間、室温で撹拌し、次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.17mL、6.74mmol)および6-ブロモピコリノヒドラジド(267mg、1.24mmol)を添加し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応物を水(15mL)でクエンチし、EtOAc(20mL)で分液漏斗に移した。層を分離し、有機相を20%クエン酸(20mL)、NaHCOの飽和溶液(20mL)、およびブライン(20mL)で順に洗浄した。次いで、有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、100%ヘプタンから100%EtOAc)により精製して、標題化合物(3f)(241mg、収率50%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.76 (br. s, 1H), 9.29 (br. s, 1H), 8.15 (d, J = 6.8 Hz, 1H),
7.76 - 7.71 (m, 1H), 7.68 - 7.64 (m, 1H), 4.45 - 4.31 (m, 1H), 3.69 (br. s,
1H), 2.45 - 2.37 (m, 2H), 2.04 - 1.94 (m, 1H), 1.69 - 1.62 (m, 1H), 1.49 (s,
9H), 1.45 (br. d, J = 7.3 Hz, 2H), 0.99 (t, J = 7.5 Hz, 3H). LCMS
m/z (APCI): (C12H17BrN4O2), 329.0
(M+H-Boc)+.
ステップ7:tert-ブチル{(3S)-1-[5-(6-ブロモピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ペンタン-3-イル}カルバマート(3g)
Figure 2023054768000043
DCM(2.2mL、0.25M)中のtert-ブチル{(3S)-6-[2-(6-ブロモピリジン-2-カルボニル)ヒドラジニル]-6-オキソヘキサン-3-イル}カルバマート(3f)(241mg、0.561mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.235mL、1.68mmol)およびp-トルエンスルホニルクロリド(128mg、0.673mmol)を添加した。反応物を室温で16時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。エチレンジアミン(0.038mL、0.561mmol)を添加して、過剰のp-トルエンスルホニルクロリドを除去し;添加の間に、沈澱物がただちに形成した。室温で30分間撹拌した後に、反応物を20%クエン酸(5mL)で洗浄し、層を分離した。水層をDCM(5mL)で抽出し、次いで、合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、100%ヘプタンから100%EtOAc)により精製して、標題化合物(3g)(178mg、収率77%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.22 (dd, J = 0.7, 7.6 Hz, 1H), 7.77 - 7.72 (m, 1H), 7.68 -
7.65 (m, 1H), 4.35 (br. d, J = 8.2 Hz, 1H), 3.65 (br. s, 1H), 3.07 (dt, J
= 6.1, 10.0 Hz, 2H), 2.21 - 2.11 (m, 1H), 1.93 - 1.83 (m, 1H), 1.65 -
1.61 (m, 1H), 1.53 - 1.48 (m, 1H), 1.46 (s, 9H), 0.98 (t, J = 7.4 Hz,
3H). LCMS m/z (APCI): (C12H15BrN4O), 311.0
(M+H-Boc)+.
ステップ8:中間体3
マイクロ波バイアルに、tert-ブチル{(3S)-1-[5-(6-ブロモピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ペンタン-3-イル}カルバマート(3g)(178mg、0.431mmol)およびトリフルオロエタノール(2.16mL、0.2M)を装入し、密閉し、その後、マイクロ波内で、60分間、180℃に加熱した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応混合物を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、100%ヘプタンから1:10 MeOH/EtOAc)により精製して、中間体3(116mg、収率91%)を無色の油状物として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.26 (dd, J = 0.7, 7.7 Hz, 1H), 7.67 (t, J = 7.9 Hz,
1H), 7.49 (dd, J = 0.7, 7.8 Hz, 1H), 4.90 - 4.83 (m, 1H), 3.07 - 2.89 (m,
3H), 2.58 - 2.49 (m, 1H), 2.04 - 1.97 (m, 1H), 1.83 - 1.70 (m, 1H), 0.96 (t, J
= 7.5 Hz, 3H). LCMS m/z (APCI): (C12H13BrN4),
293.0 (M+H)+.SFC(400~450バールにおいて、二酸化炭素中10~60%メタノール(0.5%NH)、勾配時間=2分、流速=4mL/分、Kromasil(R,R)Whelk-O 50mm×3mm×1.8μmカラム)により、97.4%eeであると決定された。立体化学を、第1のステップでの(2S)-2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ブタン酸の使用に基づき指定した。中間体3の絶対配置は、低分子X線結晶学により明確に立証された。
表2は、Mo Kα放射線(λ=0.71073)を備えたBruker APEX II Ultra CCD回折計で実施された単結晶X線回折研究を示している。結晶は得られたまま使用された(酢酸エチル:メタノール(10:1)から蒸気拡散により成長)。0.180×0.065×0.055mmの無色の結晶をParatoneオイルと共にCryoloop上にマウントした。データは、Φおよびω走査を用いて窒素ガス流中で100(2)Kで収集した。結晶検出器間距離は45mmであり、0.80°の走査幅で、曝露時間2秒(2θ範囲に依存)を使用した。データ収集は、θで25.242°に対して100.0%の完全性であった。データを、Bruker SAINTソフトウェアプログラムを用いて統合し、SADABSソフトウェアプログラムを用いて位取りした。直接法(SHELXT)により解析すると、提案された構造と一致する完全なフェージングモデルが生成された。すべての非水素原子を、完全行列最小二乗法(SHELXL-2014)により異方的に精密化した。すべての炭素結合水素原子を、ライディングモデルを用いて配置した。それらの位置を、SHELXL-2014における適切なHFIXコマンドを用いて、それらの親原子に対して拘束した。C-H、N-HおよびO-H水素原子の位置を、適切なHFIXコマンドを用いて精密化した。
Figure 2023054768000044
中間体4:(S,S)-2-メチル-N-[(1R)-1-{6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}エチル]プロパン-2-スルフィンアミド
Figure 2023054768000045
ステップ1:{2-クロロ-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]ピリジン-4-イル}(ピペリジン-1-イル)メタノン(4a)
Figure 2023054768000046
DMF(1.5mL)中の(2,6-ジクロロピリジン-4-イル)(ピペリジン-1-イル)メタノン(600mg、2.32mmol)および(2R)-2-メチルピロリジン(591mg、6.95mmol)の溶液を100℃で16時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物を室温に冷却し、HO(40mL)を添加し、反応物をDCM(3×40mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO24g、0~20%EtOAc/ヘプタン)により精製して、標題化合物(4a)(664mg、収率93%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.44 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 6.21 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 4.12 (q, J =
7.1 Hz, 1H), 3.72 - 3.62 (m, 2H), 3.54 (ddd, J = 10.5, 7.6, 2.9 Hz, 1H), 3.40 -
3.28 (m, 2H), 2.10 - 2.04 (m, 2H), 1.75 - 1.62 (m, 4H), 1.26 (t, J = 7.2 Hz,
1H), 1.21 (d, J = 6.3 Hz, 2H); m/z (APCI+): (C16H22ClN3O),
308.2 (M+H)+.
ステップ2:2-クロロ-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-4-(ピペリジン-1-カルボニル)ピリジン-3-カルボアルデヒド(4b)
Figure 2023054768000047
DCM(3.0mL)中のDMF(473mg、6.47mmol)の溶液に、POCl(992mg、6.47mmol)を添加した。混合物を10分間撹拌し、次いで、DCM(3.0mL)中の{2-クロロ-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]ピリジン-4-イル}(ピペリジン-1-イル)メタノン(4a)(664mg、2.16mmol)の溶液を添加した。混合物を還流状態で15時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物を濃縮乾固し、NaHCOの飽和溶液(30mL)にゆっくり注ぎ入れた。混合物をDCM(3×30mL)で抽出した。合わせた有機物をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO24g、0~40%EtOAc/ヘプタン)により精製して、標題化合物(4b)(568mg、収率78%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.07 (s, 1H), 5.99 (s, 1H), 4.13 - 4.65 (m, 1H), 3.68 - 3.83 (m,
1H), 3.55 - 3.68 (m, 2H), 3.35 - 3.55 (m, 1H), 2.98 - 3.20 (m, 2H), 1.88 - 2.17
(m, 3H), 1.71 - 1.83 (m, 2H), 1.55 - 1.67 (m, 3H), 1.46 - 1.55 (m, 1H), 1.31 -
1.42 (m, 1H), 1.17 - 1.26 (m, 3H); m/z (APCI+): (C17H22ClN3O2),
336.1 (M+H)+.
ステップ3:N-[(E)-{2-クロロ-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-4-(ピペリジン-1-カルボニル)ピリジン-3-イル}メチリデン]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(4c)
Figure 2023054768000048
THF(10.0mL)中の2-クロロ-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-4-(ピペリジン-1-カルボニル)ピリジン-3-カルボアルデヒド(4b)(432mg、1.29mmol)、(R)-(+)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(187mg、1.54mmol)、およびTi(OEt)(880mg、3.86mmol)の混合物を45℃で16時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の約25%が残っていることを示した。追加のバッチの(R)-(+)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(62.4mg、0.515mmol)、およびTi(OEt)(293mg、1.29mmol)を添加し、混合物を50℃で16時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物を室温に冷却した。混合物をDCM(50mL)で希釈し、NaHCOの飽和溶液(35mL)およびブライン(35mL)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、標題化合物(4c)(495mg、収率88%)を白色のゴムとして得、これをさらに精製せずに採用した。(C2131ClNS)でのm/z(APCI+)、440.2(M+H)
ステップ4:4-クロロ-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(4d)
Figure 2023054768000049
THF(15.0mL)中のN-[(E)-{2-クロロ-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-4-(ピペリジン-1-カルボニル)ピリジン-3-イル}メチリデン]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(4c)(495mg、1.13mmol)の溶液を0℃に冷却し、次いで、LiBHの溶液(THF中2.0M、620mL、1.24mmol)を添加した。混合物を0℃で2時間撹拌し、次いで、NaOMeの溶液(MeOH中25%、2.5mL、10.1mmol)を添加した。反応物を室温に加温し、次いで、16時間撹拌した。反応物をDCM(60mL)で希釈し、飽和NHCl水溶液(60mL)およびブライン(60mL)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、50~100%EtOAc/ヘプタン)により精製して、標題化合物(4d)(199mg、収率70%)を無色の泡状物として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.68 (s, 1H), 6.45 (s, 1H), 4.35 (s, 2H), 4.21 - 4.14 (m, 1H), 3.58
(ddd, J = 10.5, 7.6, 2.8 Hz, 1H), 3.39 (q, J = 8.9 Hz, 1H), 2.13 - 1.97 (m,
2H), 1.75 (dt, J = 5.2, 2.6 Hz, 1H), 1.23 (d, J = 6.3 Hz, 3H). 1つの水素原子が水ピークにより不明確であると推定; m/z (APCI+): (C12H14ClN3O), 252.3
(M+H)+.
ステップ5:6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-カルボニトリル(4e)
Figure 2023054768000050
4-クロロ-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(4d)(438mg、1.74mmol)、Zn(CN)(306mg、2.6mmol)、DMF(15mL)およびPd(PPh(100mg、0.09mmol)の混合物をマイクロ波内で、30分間、140℃に加熱した。反応物をDCMで希釈し、濾過した。濾過ケーキをDCMで洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、粗製の化合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0~100% 1:1 EtOAc:DCM/ヘプタン)により精製して、標題化合物(4e)を黄色の固体(375mg、収率89%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.00 - 6.94 (m, 1H), 6.46 - 6.32 (m, 1H), 4.55 (s, 2H), 4.29 - 4.19
(m, 1H), 3.61 (ddd, J = 2.6, 7.6, 10.3 Hz, 1H), 3.46 - 3.34 (m, 1H), 2.22 -
2.02 (m, 3H), 1.86 - 1.72 (m, 1H), 1.25 (d, J = 6.4 Hz, 3H); m/z (APCI+): (C13H14N4O),
243.1 (M+H)+.
ステップ6:4-アセチル-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(4f)
Figure 2023054768000051
氷/水浴で、THF(15mL)中の6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-カルボニトリル(4e)(355mg、1.47mmol)の溶液に、MeMgBr(4.88mL、14.7mmol、THF中3.0M)を添加した。得られた混合物をこの温度で10分間撹拌し、次いで、室温に加温し、2時間撹拌した。混合物を2N HCl(6mL)で0℃でクエンチし、室温で15分間攪拌した。混合物をNaHCOの飽和溶液で中和し、DCM(3×40mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗製の化合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、20~50%EtOAc/ヘプタン)により精製して、標題化合物(4f)を黄色の固体(190mg、収率50%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)
6.98 (s, 1H), 6.59 (br. s, 1H), 4.70 (s, 2H), 4.28 (br. t, J = 5.7 Hz, 1H),
3.64 (ddd, J = 2.6, 7.5, 10.1 Hz, 1H), 3.48 - 3.38 (m, 1H), 2.70 (s, 3H), 2.19
- 2.10 (m, 2H), 2.08 - 2.01 (m, 1H), 1.79 (td, J = 2.6, 5.0 Hz, 1H), 1.30 (d, J
= 6.2 Hz, 3H); m/z (APCI+): (C14H17N3O2),
260.2 (M+H)+.
ステップ7:中間体4
40mLバイアルに、4-アセチル-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(4f)(200mg、0.77mmol)、(S)-tert-ブチルスルフィンアミド(187mg、1.54mmol)、THF(1.54mL)およびTi(OEt)(1.54mmol、0.323mL)を添加した。バイアルのキャップを締め、48時間、80℃に加熱した。次いで、反応物を-78℃(ドライアイス/アセトン浴)に冷却し、L-セレクトリド(1.54mmol、1.54mL、THF中の1.0M)を滴下した。得られた混合物を-78℃で3時間撹拌した。混合物を室温に加温し、飽和NHCl(2mL)を滴下してクエンチし、次いで、DCM(20mL)およびブライン(20mL)を添加した。混合物をCelite(登録商標)に通して濾過し、DCM(40mL)で洗浄した。有機層を収集し、水層をDCM(20mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗製物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、溶媒はEtOAc中0~10%MeOH)により精製して、中間体4を黄色の泡状物(127mg、収率45%)として得た。(C1828S)でのm/z(APCI+)、365.3(M+H)。立体化学を、ステップ1における(2R)-2-メチルピロリジンおよびステップ7における(S)-tert-ブチルスルフィンアミドの使用に基づき指定した。
中間体5:(S,R)-2-メチル-N-[(1R)-1-{6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}プロピル]プロパン-2-スルフィンアミド
Figure 2023054768000052
ステップ1:6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-4-プロパノイル-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(5a)
Figure 2023054768000053
THF(8.0mL)中の6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-カルボニトリル(4e)(808mg、3.33mmol)の溶液を0℃に冷却し、次いで、臭化エチルマグネシウムの溶液(EtO中3.0M、11.1mL、33.3mmol)で処理した。混合物を室温で1時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物を0℃に冷却し、2N HClの添加によりクエンチした。混合物を室温で10分間撹拌し、NaHCOの飽和溶液の添加により中和し、次いで、DCM(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO24g、0~100%EtOAc/ヘプタン)により精製して、標題化合物(5a)(646mg、収率71%)を黄色の油状物として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.01 (s, 1H), 6.41 (br. s, 1H), 4.73 (s, 2H), 4.39 - 4.22 (m, 1H),
3.66 (ddd, J = 2.6, 7.4, 10.1 Hz, 1H), 3.52 - 3.38 (m, 1H), 3.30 - 3.14 (m,
2H), 2.26 - 2.10 (m, 2H), 2.06 - 2.01 (m, 1H), 1.81 (td, J = 2.5, 5.1 Hz, 1H),
1.31 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 1.24 (t, J = 7.3 Hz, 3H); m/z (APCI+): (C15H19N3O2),
274.2 (M+H)+.
ステップ2:(S,S)-2-メチル-N-[(1E)-1-{6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}プロピリデン]プロパン-2-スルフィンアミド(5b)
Figure 2023054768000054
THF(2.0mL)中の6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-4-プロパノイル-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(5a)(640mg、2.34mmol)の溶液に、(S)-(-)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(568mg、4.68mmol)およびTi(OEt)(2.14g、9.37mmol)を添加した。混合物を90℃で23時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。混合物を室温に冷却し、次いで、ブライン(40mL)およびDCM(30mL)を添加した。混合物を10分間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)に通して濾過した。層を分離した。水層をDCM(30mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、標題化合物(5b)(779mg、収率88%)を白色の泡状物として得、これを次のステップでそのまま採用した。(C1928S)でのm/z(APCI+)、377.2(M+H)
ステップ3:中間体5
THF(12.0mL)中の(S,S)-2-メチル-N-[(1E)-1-{6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}プロピリデン]プロパン-2-スルフィンアミド(5b)(654mg、1.40mmol)の溶液を-78℃に冷却し、次いで、L-セレクトリドの溶液(THF中1.0M、2.5mL、2.5mmol)で滴下処理した。混合物を-78℃で1.5時間撹拌した。追加のL-セレクトリド(1.0M、0.417mL、0.417mmol)を添加し、混合物を-78℃でさらに1.5時間撹拌した。混合物をMeOHでクエンチし、ブライン(50mL)で希釈し、DCM(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO12g、0~10%MeOH/DCM)により精製して、中間体5(300mg、収率57%)を黄色のゴム状物として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.66 (s, 1H), 6.48 (s, 1H), 5.14 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 4.35 (s, 2H),
4.27 - 4.14 (m, 2H), 3.59 - 3.44 (m, 1H), 3.29 - 3.18 (m, 1H), 2.14 - 2.01 (m,
2H), 1.98 - 1.81 (m, 3H), 1.73 - 1.60 (m, 1H), 1.20 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 1.07
(s, 9H), 0.86 - 0.73 (m, 3H); m/z (APCI+): (C19H30N4O2S),
379.2 (M+H)+.
立体化学を、中間体4の合成のステップ1における(2R)-2-メチルピロリジンおよびステップ2における(S)-(-)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミドの使用に基づき指定した。中間体5の絶対配置は、低分子X線結晶学により明確に立証された。
表3は、中間体5の立体化学を確認するX線回折データを示している。単結晶X線回折研究を、Cu Kα放射線(λ=1.54178Å)を備えたBruker Microstar APEX II CCD回折計で実施した。絶対立体化学が決定的に指定された(Flack=0.003(12))。中間体5の結晶をエーテル/ペンタンから4℃で成長させた。0.12×0.04×0.02mm片の無色の結晶をParatoneオイルと共にCryoloop上にマウントした。データは、Φおよびω走査を用いて窒素ガス流中で100(2)Kで収集した。結晶検出器間距離は45mmであり、曝露時間は、1.25°の走査幅を使用して1フレームあたりの2θ範囲に応じて4、6、8、10、14、または20秒であった。データ収集は、θで67.500°に対して97.0%の完全性であった。データを、Bruker SAINTソフトウェアプログラムを用いて統合し、SADABSソフトウェアプログラムを用いて位取りした。直接法(SHELXT)により解析すると、提案された構造と一致する完全なフェージングモデルが生成された。すべての非水素原子を、完全行列最小二乗法(SHELXL-2014)により異方的に精密化した。すべての炭素結合水素原子を、ライディングモデルを用いて配置した。それらの位置を、SHELXL-2014における適切なHFIXコマンドを用いて、それらの親原子に対して拘束した。
Figure 2023054768000055
中間体6:4-(2-アミノプロパン-2-イル)-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
Figure 2023054768000056
THF(9mL)中の6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-カルボニトリル(4e)(213mg、0.88mmol)の懸濁液に、室温で、塩化ランタン(III)ビス(塩化リチウム)錯体(1.76mmol、2.93mL、0.6M)を添加した。得られた混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、-78℃(ドライアイス/アセトン浴)に冷却し、メチルリチウム(3.52mmol、2.20mL、1.6M)を滴下添加した。得られた混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いで、室温に加温した。混合物を飽和NHCl(20mL)、およびブライン(20mL)でクエンチし、次いで、DCM(20mL)を添加した。混合物を室温で5分間撹拌し、Celite(登録商標)に通して濾過した。有機層を収集し、水層をDCM(20mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、溶媒はDCM中0~10%MeOH)により精製して、中間体6を淡茶色の固体(157mg、収率65%)として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.60 (s, 1H), 6.42 (s, 1H), 4.56 (s, 2H), 4.17 (br. t, J = 5.7 Hz,
1H), 3.50 (ddd, J = 2.4, 7.2, 9.8 Hz, 1H), 3.30 - 3.22 (m, 1H), 2.07 - 2.02 (m,
1H), 2.00 - 1.92 (m, 2H), 1.68 (td, J = 2.4, 4.9 Hz, 1H), 1.41 (s, 3H), 1.40
(s, 3H), 1.20 (d, J = 6.2 Hz, 3H); m/z (APCI+): (C15H22N4O),
275.2 (M+H)+.
中間体7:(5R)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-5-(フルオロメチル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール
Figure 2023054768000057
ステップ1:(5R)-5-(フルオロメチル)ピロリジン-2-オン(7a)
Figure 2023054768000058
CHCN(6.74mL、0.5M)中の(5R)-5-(ブロモメチル)ピロリジン-2-オン(600mg、3.37mmol)の溶液をアルミニウムホイルで覆って、光を遮断した。この溶液に、CHCN(12.5mL、0.27M)中のAgF(1.07g、8.43mmol)の懸濁液を一度に添加した。反応物を室温で、暗所で36時間撹拌した。反応物をCelite(登録商標)で濾過し、濃縮乾固した。粗製の残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、100%EtOAcから1:1 EtOAc/アセトン)により精製して、標題化合物(7a)(173mg、収率44%)を無色の油状物として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.17 (br. s, 1H), 4.49 - 4.17 (m, 2H), 4.01 - 3.84 (m, 1H), 2.44 -
2.28 (m, 2H), 2.27 - 2.16 (m, 1H), 1.88 - 1.75 (m, 1H). 19F NMR (376
MHz, CDCl3) δ -224.58 (s, 1F).
ステップ2:tert-ブチル(2R)-2-(フルオロメチル)-5-オキソピロリジン-1-カルボキシラート(7b)
Figure 2023054768000059
CHCN(6.74mL、0.5M)中の(5R)-5-(フルオロメチル)ピロリジン-2-オン(7a)(170mg、1.45mmol)の溶液に、BocO(348mg、1.60mmol)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(17.7mg、0.145mmol)を添加した。反応物を室温で2時間攪拌した。TLC分析(2:1 EtOAc:アセトン)は出発物質の消費を示した。反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、100%ヘプタンから100%EtOAc)により精製して、標題化合物(7b)(277mg、収率88%)を無色の油状物として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.78 - 4.42 (m, 2H), 4.40 - 4.25 (m, 1H), 2.76 - 2.62 (m, 1H), 2.50
- 2.39 (m, 1H), 2.29 - 2.14 (m, 1H), 2.13 - 2.03 (m, 1H), 1.56 (s, 9H). 19F
NMR (376 MHz, CDCl3) δ -233.52 (s, 1F).
ステップ3:tert-ブチル[(2R)-1-フルオロ-5-ヒドラジニル-5-オキソペンタン-2-イル]カルバマート(7c)
Figure 2023054768000060
THF(41.0mL、0.2M)中のtert-ブチル(2R)-2-(フルオロメチル)-5-オキソピロリジン-1-カルボキシラート(7b)(1.78g、8.19mmol)の溶液に、ヒドラジン一水和物(1.3mL、41.0mmol)をシリンジを介して添加した。反応物を室温で30分間攪拌した。TLC分析(1:1 ヘプタン:EtOAc)は出発物質の消費を示した。反応混合物を濃縮し、次いで、EtOAc(50mL)および飽和NHCl水溶液(50mL)を添加した。層を分離し、水層をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固して、標題化合物(7c)(1.6g、収率78%)を白色の固体として得、これをさらに精製せずに採用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.15 - 5.00 (m, 1H), 4.52 - 4.44 (m, 1H), 4.39 - 4.33 (m, 1H), 3.93
- 3.75 (m, 1H), 2.40 (br. s, 2H), 2.00 - 1.81 (m, 2H), 1.46 (s, 9H). 19F
NMR (376 MHz, CDCl3) δ -232.02 (s, 1F).
ステップ4:tert-ブチル{(2R)-5-[2-(6-ブロモピリジン-2-カルボニル)ヒドラジニル]-1-フルオロ-5-オキソペンタン-2-イル}カルバマート(7d)
Figure 2023054768000061
THF(34.7mL、0.2M)中の6-ブロモピリジン-2-カルボン酸(1.4g、6.93mmol)の溶液を0℃に冷却した。プロピルホスホン酸無水物溶液(EtOAc中50%溶液、9.1mL、15.2mmol)を溶液に0℃で添加し、その後、浴を取り外し、反応混合物を30分間、室温で撹拌した。次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(7.24mL、41.6mmol)およびtert-ブチル[(2R)-1-フルオロ-5-ヒドラジニル-5-オキソペンタン-2-イル]カルバマート(7c)(1.90g、7.62mmol)を添加し、反応混合物を室温で17時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物を水(30mL)でクエンチし、EtOAc(50mL)で分液漏斗に移した。層を分離し、有機相を20%クエン酸(30mL)、NaHCOの飽和溶液(30mL)、およびブライン(30mL)で順に洗浄した。次いで、有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固して、標題化合物(7d)(2.37g、収率78%)を黄色の固体として得、これをさらに精製せずに採用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.74 (br. s, 1H), 9.15 (br. s, 1H), 8.14 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.77
- 7.71 (m, 1H), 7.70 - 7.65 (m, 1H), 4.95 (br. d, J = 9.2 Hz, 1H), 4.62 - 4.36
(m, 2H), 4.12 - 3.98 (m, 1H), 2.49 - 2.37 (m, 2H), 2.03 - 1.95 (m, 2H), 1.49
(s, 9H). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -232.01 (s, 1F). LCMS m/z (APCI): (C11H14BrFN4O2),
333.1 (M+H-Boc)+.
ステップ5:tert-ブチル{(2R)-4-[5-(6-ブロモピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-1-フルオロブタン-2-イル}カルバマート(7e)
Figure 2023054768000062
DCM(21.2mL、0.25M)中のtert-ブチル{(2R)-5-[2-(6-ブロモピリジン-2-カルボニル)ヒドラジニル]-1-フルオロ-5-オキソペンタン-2-イル}カルバマート(7d)(2.3g、5.3mmol)の溶液に、トリエチルアミン(2.22mL、15.9mmol)およびp-トルエンスルホニルクロリド(1.21g、6.37mmol)を添加した。反応物を室温で1.5時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。エチレンジアミン(0.355mL、5.31mmol)を添加して、過剰のp-トルエンスルホニルクロリドを除去し、添加の間に、沈澱物がただちに形成した。室温で30分間撹拌した後に、反応物を20%クエン酸(20mL)で洗浄し、層を分離した。水層をDCM(40mL)で抽出し、次いで、合わせた有機層をブライン(25mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濾過し、濃縮乾固して標題化合物(7e)(2.07g、収率94%)を黄色の固体として得、これをさらに精製せずに採用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.21 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.90 - 4.69 (m, 1H), 4.55 (br. d, J = 2.8
Hz, 1H), 4.43 (br. s, 1H), 4.08 - 3.84 (m, 1H), 3.15 - 3.05 (m, 2H), 2.29 -
2.06 (m, 2H), 1.45 (s, 9H). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -231.82 (s, 1F). LCMS m/z (APCI): (C11H12BrFN4O),
315.0 (M+H-Boc)+.
ステップ6:中間体7
マイクロ波バイアルに、tert-ブチル{(2R)-4-[5-(6-ブロモピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-1-フルオロブタン-2-イル}カルバマート(7e)(1.00g、2.41mmol)およびトリフルオロエタノール(10.4mL、0.17M)を装入し、密閉し、その後、マイクロ波中で30分間、180℃に加熱した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応混合物を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、100%ヘプタンから1:10 MeOH/EtOAc)により精製して、中間体7(564mg、収率78%)を黄色の油状物として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.40 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.79 - 7.73 (m, 1H), 7.58 (d, J = 7.9 Hz,
1H), 5.26 - 5.01 (m, 2H), 4.89 - 4.71 (m, 1H), 3.25 - 3.08 (m, 3H), 2.96 - 2.85
(m, 1H). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -235.95 (s, 1F). LCMS m/z (APCI): (C11H10BrFN4),
297.0 (M+H)+.立体化学は、ステップ1における(5R)-5-(ブロモメチル)ピロリジン-2-オンの使用に基づき指定した。
中間体8:tert-ブチルメチル({6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}メチル)カルバマート
Figure 2023054768000063
ステップ1:tert-ブチル({3-ホルミル-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-4-(ピペリジン-1-カルボニル)ピリジン-2-イル}メチル)メチルカルバマート(8a)
Figure 2023054768000064
1,4-ジオキサン(25.0mL)中の2-クロロ-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-4-(ピペリジン-1-カルボニル)ピリジン-3-カルボアルデヒド(4b)(600mg、1.79mmol)およびPdCl(dppf)(261mg、0.357mmol)の溶液に、Nを5分間散布し、次いで、80℃に加熱した。{[(tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]メチル}(クロリド)亜鉛の溶液(THF中0.158M、39.6mL)を80℃で添加し、混合物をさらに35分間、同じ温度で撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。混合物を30℃に冷却し、Celite(登録商標)に通して濾過した。濾過ケーキをDCM(5×10mL)で洗浄し、濾液を濃縮乾固した。残渣を、同一の様式で2-クロロ-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-4-(ピペリジン-1-カルボニル)ピリジン-3-カルボアルデヒド100mgを用いて実行された平行反応から得られた粗製の物質と合わせた。混合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、1:1 EtOAc/石油エーテル)により精製して、標題化合物(8a)(900mg、収率97%)を黄色のゴムとして得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.84 (s, 1H), 6.40 - 6.06 (m, 1H), 4.91 - 4.45 (m, 2H), 4.52 - 3.92
(m, 1H), 3.69 - 3.47 (m, 3H), 3.21 - 3.00 (m, 2H), 2.98 - 2.84 (m, 3H), 2.22 -
1.82 (m, 3H), 1.83 - 1.66 (m, 1H), 1.59 (s, 4H), 1.41 (s, 7H), 1.19 (d, J =
18.2 Hz, 8H). m/z (ESI+): (C24H36N4O4),
445.4 (M+H)+.
:Angew.Chem.Int.Ed.2014、53、2678で調製されたとおり。
ステップ2:tert-ブチルメチル{[3-{(E)-[(2-メチルプロパン-2-スルフィニル)イミノ]メチル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-4-(ピペリジン-1-カルボニル)ピリジン-2-イル]メチル}カルバマート(8b)
Figure 2023054768000065
THF(50.0mL)中のtert-ブチル({3-ホルミル-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-4-(ピペリジン-1-カルボニル)ピリジン-2-イル}メチル)メチルカルバマート(8a)(1.40g、3.15mmol)、Ti(OEt)(1.44g、6.30mmol)、および(S)-(-)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(573mg、4.72mmol)の混合物を50℃で18時間撹拌した。追加のバッチのTi(OEt)(359mg、1.57mmol)および(S)-(-)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(115mg、0.945mmol)を添加し、混合物を50℃で、さらに20時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物をNaCOの飽和溶液(150mL)でクエンチし、DCM(100mL)を添加した。混合物をCelite(登録商標)に通して濾過し、層を分離した。水層をDCM(100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(150mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、標題化合物(8b)(1.7g、収率>99%)を黄色の固体として得た。(C2845S)でのm/z(ESI+)、548.5(M+H)
ステップ5:中間体8
THF(20.0mL)中のtert-ブチルメチル{[3-{(E)-[(2-メチルプロパン-2-スルフィニル)イミノ]メチル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-4-(ピペリジン-1-カルボニル)ピリジン-2-イル]メチル}カルバマート(8b)(1.72g、3.41mmol)の溶液に0℃で、LiBH(68.6mg、3.15mmol)を添加した。反応物を0℃で1時間撹拌した。TLC分析は出発物質の消費を示した。混合物を室温に加温し、NaOMeの溶液(MeOH中30%、6.24g、34.6mmol)を添加した。混合物を16時間、撹拌した。LCMS分析は、所望の生成物量の形成を示した。反応物を濃縮乾固した。残渣をEtOAc(40mL)に溶解し、HO(40mL)で洗浄した。水層をEtOAc(30mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(60mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc)により精製して、中間体8(750mg、収率66%)を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.04 - 6.79 (m, 1H), 6.68 (s, 1H), 4.56 - 4.43 (m, 2H), 4.43 - 4.33
(m, 2H), 4.27 - 4.16 (m, 1H), 3.58 (ddd, J = 2.5, 7.3, 10.0 Hz, 1H), 3.45 -
3.30 (m, 1H), 3.01 - 2.91 (m, 3H), 2.17 - 1.96 (m, 3H), 1.80 - 1.72 (m, 1H),
1.53 - 1.37 (m, 9H), 1.26 - 1.23 (m, 3H); m/z (ESI+): (C19H28N4O3),
361.2 (M+H)+.
立体化学を、中間体4の合成のステップ1における(2R)-2-メチルピロリジンの使用に基づき指定した。
中間体9:tert-ブチルメチル({6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}メチル)カルバマート
Figure 2023054768000066
ステップ1:2-クロロ-N,N-ジメチル-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]ピリジン-4-カルボキサミド(9a)
Figure 2023054768000067
MeCN(120mL)中の2,6-ジクロロ-N,N-ジメチルピリジン-4-カルボキサミド(30.0g、137mmol)およびN-メチルプロパン-2-アミン(50.1g、685mmol)の混合物を3つの密閉反応容器に分配し、それぞれを100℃で60時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応混合物を合わせ、濃縮乾固した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、1:1 EtOAc/石油エーテル)により精製して、標題化合物(9a)(30.5g、収率87%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.45 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 6.31 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 4.82 (p, J =
6.8 Hz, 1H), 3.08 (s, 3H), 2.97 (s, 3H), 2.83 (s, 3H), 1.16 (d, J = 6.7 Hz,
6H); m/z (ESI+): (C12H18ClN3O), 255.9 (M+H)+.
ステップ2:2-クロロ-3-ホルミル-N,N-ジメチル-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]ピリジン-4-カルボキサミド(9b)
Figure 2023054768000068
DCE(120mL)中のDMF(21.9g、299mmol)の溶液に、POCl(45.9g、299mmol)を5~15℃で滴下添加した。混合物を室温で15分間撹拌し、2-クロロ-N,N-ジメチル-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]ピリジン-4-カルボキサミド(9a)(25.5g、99.7mmol)を添加した。反応物を65℃で16時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物を室温に冷却し、飽和NaCO水溶液(900mL)に滴下添加した。混合物をDCM(2×300mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5×500mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、1:1 EtOAc/石油エーテル)により精製して、標題化合物(9b)(23.7g、収率84%)を茶色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.19 (s, 1H), 6.25 (br. s, 1H), 3.12 (s, 3H), 3.02 - 2.85 (m, 3H),
2.77 (s, 3H), 1.22 (br. d, J = 6.5 Hz, 6H); m/z (ESI+): (C13H18ClN3O2),
283.9 (M+H)+.
ステップ3:2-クロロ-N,N-ジメチル-3-{(E)-[(2-メチルプロパン-2-スルフィニル)イミノ]メチル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]ピリジン-4-カルボキサミド(9c)
Figure 2023054768000069
THF(250mL)中の2-クロロ-3-ホルミル-N,N-ジメチル-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]ピリジン-4-カルボキサミド(9b)(23.7g、83.5mmol)、(R)-(+)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(12.1g、100mmol)、およびTi(OEt)(38.1g、167mmol)の混合物を50℃で20時間撹拌した。LMCS分析は出発物質の消費を示した。反応物を濃縮乾固した。残渣をNaHCOの飽和溶液(300mL)と共に30分間撹拌した。混合物を濾過した。濾過ケーキをHO(3×80mL)および石油エーテル(3×50mL)ですすぎ、真空下で乾燥して、標題化合物(9c)(32.3g、収率99%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.07 (s, 1H), 6.74 (s, 1H), 5.36 - 5.10 (m, 1H), 3.30 (s, 3H), 3.26
(s, 3H), 3.10 (s, 3H), 1.54 (d, J = 6.7 Hz, 6H), 1.49 (s, 9H); m/z (ESI+): (C17H27ClN4O2S),
387.2 (M+H)+.
ステップ4:4-クロロ-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(9d)
Figure 2023054768000070
THF(200mL)中の2-クロロ-N,N-ジメチル-3-{(E)-[(2-メチルプロパン-2-スルフィニル)イミノ]メチル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]ピリジン-4-カルボキサミド(9c)(32.3g、83.5mmol)の溶液を0℃に冷却し、LiBH(1.82g、83.5mmol)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。NaOMe(165g、919mmol)を添加し、混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾過ケーキをEtOAc(3×200mL)で洗浄した。合わせた濾液を濃縮乾固した。残渣をDCM(300mL)に溶解し、HO(500mL)で洗浄した。水層をDCM(2×300mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(500mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。固体をDCM(50mL)および石油エーテル(120mL)の混合物中で30分間、スラリー化した。固体を濾取した。濾過ケーキを真空下で乾燥して、標題化合物(9d)(11.3g、収率56%)をオフホワイト色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.19 (s, 1H), 6.79 (s, 1H), 4.82 (p, J = 6.7 Hz, 1H), 4.35 (d, J =
1.2 Hz, 2H), 2.88 (s, 3H), 1.18 (d, J = 6.7 Hz, 6H); m/z (ESI+): (C11H14ClN3O),
239.9 (M+H)+.
ステップ5:メチル6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-カルボキシラート(9e)
Figure 2023054768000071
MeOH(200mL)中の4-クロロ-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(9d)(11.3g、47.1mmol)、PdCl(dppf)(2.16g、2.95mmol)、およびTEA(14.3g、141mmol)の混合物を80℃で40時間、50psiのCOの雰囲気下で撹拌した。TLC分析(1:1 EtOAc/石油エーテル)は出発物質の消費を示した。反応物を濃縮乾固した。残渣をHO(200mL)に溶解し、DCM(2×150mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をDCM(50mL)中で30分間スラリー化した。固体を濾取した。濾過ケーキを石油エーテル(3×5mL)で洗浄し、真空下で乾燥した。濾液をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、40~70%EtOAc/DCM)により精製した。生成物含有フラクションを濃縮乾固し、上の濾過ケーキと合わせて、標題化合物(9e)(12.3g、収率99%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.12 (s, 1H), 6.79 (s, 1H), 4.89 (p, J = 6.6 Hz, 1H), 4.68 (d, J =
1.1 Hz, 2H), 3.97 (s, 3H), 2.96 (s, 3H), 1.21 (d, J = 6.7 Hz, 6H); m/z (ESI+):
(C13H17N3O3), 263.9 (M+H)+.
ステップ6:4-(ヒドロキシメチル)-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(9f)
Figure 2023054768000072
THF(60mL)中のメチル6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-カルボキシラート(9e)(1.0g、3.80mmol)の混合物に、LiAlHの溶液(THF中2.5M、1.67mL、4.18mmol)を0℃で滴下添加した。混合物を0℃で1時間、次いで、20℃で16時間撹拌した。TLC分析(1:1 EtOAc/石油エーテル)は出発物質の消費を示した。混合物を20%NaOH水溶液(0.5mL)の添加によりクエンチした。混合物に、NaSO(4g)を添加した。混合物を30分間撹拌し、次いで、濾過した。濾液を濃縮乾固して、標題化合物(9f)(890mg、収率99%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.04 (s, 1H), 6.82 (s, 1H), 4.85 (p, J = 6.6 Hz, 1H), 4.67 (d, J =
4.7 Hz, 2H), 4.33 (s, 2H), 4.09 (t, J = 4.6 Hz, 1H), 2.92 (s, 3H), 1.20 (d, J =
6.7 Hz, 6H); m/z (ESI+): (C12H17N3O2),
236.0 (M+H)+.
ステップ7:{6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}メチルメタンスルホナート(9g)
Figure 2023054768000073
THF(20.0mL)中の4-(ヒドロキシメチル)-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(9f)(890mg、3.78mmol)およびTEA(957mg、9.46mmol)の混合物に、MsCl(953mg、8.23mmol)を0℃で、Nの雰囲気下で滴下添加した。混合物を0℃で撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物を飽和NaCO水溶液(30mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、標題化合物(9g)(1.2g、収率99%)を黄色の固体として得、これをさらに精製せずに採用した。(C1319S)でのm/z(ESI+)、314.0(M+H)
ステップ8:4-[(メチルアミノ)メチル]-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(9h)
Figure 2023054768000074
THF(20.0mL)中の{6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}メチルメタンスルホナート(9g)(1.18g、3.78mmol)の混合物に、メチルアミンの溶液(THF中2.0M、37.8mL、75.6mmol)を添加した。混合物を1時間、撹拌した。LCMS分析は、出発物質の消費を示した。混合物を濃縮乾固して、標題化合物(9h)(940mg、収率99%)を茶色固体として得、これをさらに精製せずに採用した。(C1320O)でのm/z(ESI+)、249.0(M+H)
ステップ9:中間体9
DCM(20.0mL)中の4-[(メチルアミノ)メチル]-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(9h)(940mg、11.4mmol)およびTEA(1.15g、11.4mmol)の溶液に、BocO(1.65mg、7.57mmol)を添加した。混合物を30分間、撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物を濃縮乾固した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc)により精製して、中間体9(600mg、収率46%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.81 (s, 1H), 6.57 - 6.42 (m, 1H), 4.91 (p, J = 6.6 Hz, 1H), 4.48
(s, 2H), 4.35 (d, J = 12.4 Hz, 2H), 2.92 (s, 3H), 2.88 (s, 3H), 1.48 (s, 5H),
1.41 (s, 4H), 1.17 (d, J = 6.7 Hz, 6H); m/z (ESI+): (C18H28N4O3),
349.2 (M+H)+.
中間体10:(S,S)-2-メチル-N-[(1R)-1-{6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}プロピル]プロパン-2-スルフィンアミド
Figure 2023054768000075
ステップ1:6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-カルボニトリル
Figure 2023054768000076
4-クロロ-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(9d)(706mg、2.95mmol)、Zn(CN)(519mg、4.42mmol)、DMF(10mL)およびPd(PPh(170mg、0.147mmol)の混合物をマイクロ波中で30分間、140℃に加熱した。反応物をDCMで希釈し、濾過した。濾過ケーキをDCMで洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、標題化合物(10a)を黄色の固体(544mg、収率80%)として得、これをさらに精製せずに使用した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
9.01 (s, 1H), 7.13 (s, 1H), 4.80 (td, J = 6.7, 13.4 Hz, 1H), 4.47 (s, 2H), 2.89
(s, 3H), 1.15 (d, J = 6.7 Hz, 6H); m/z (APCI+): (C12H14N4O),
231.2 (M+H)+.
ステップ2:6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-4-プロパノイル-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(10b)
Figure 2023054768000077
THF(20.0mL)中の6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-カルボニトリル(10a)(511mg、2.22mmol)の懸濁液を0℃に冷却し、次いで、エチルマグネシウムブロミドの溶液(EtO中3.0M、7.40mL、22.2mmol)で処理した。混合物を室温で1時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物を0℃に冷却し、飽和NHCl(60mL)の添加によりクエンチし、次いで、DCM(2×80mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO24g、0~100%EtOAc/ヘプタン)により精製して、標題化合物(10b)(125mg、収率22%)を黄色の泡として得た。(C1419)でのm/z(APCI+)、262.2(M+H)
ステップ3:中間体10
THF(6.0mL)中の6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-4-プロパノイル-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(10b)(124mg、0.475mmol)の溶液に、(S)-(-)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(92mg、0.759mmol)およびTi(OEt)(433mg、1.90mmol)を添加した。混合物を還流状態で42時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。混合物を-78℃に冷却し、次いで、L-セレクトリド(THF中1.0M、1.9mL、1.90mmol)の溶液で滴下処理した。混合物を-78℃で4時間撹拌した。混合物をMeOHでクエンチし、ブライン(30mL)で希釈し、DCM(20×2mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO12g、0~10%MeOH/DCM)により精製して、中間体10(72mg、収率41%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.67 (s, 1H), 6.64 (s, 1H), 5.25 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 4.94 (quin, J
= 6.7 Hz, 1H), 4.34 (s, 2H), 4.21 (q, J = 6.7 Hz, 1H), 2.84 (s, 3H), 1.98 -
1.80 (m, 2H), 1.13 (dd, J = 3.6, 6.7 Hz, 6H), 1.06 (s, 9H), 0.83 (t, J = 7.3
Hz, 3H). m/z (APCI+): (C18H30N4O2S),
367.2 (M+H)+.立体化学を、ステップ2における(S)-(-)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミドの使用に基づき指定した。
中間体11:tert-ブチル{[6-(ジメチルアミノ)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル]メチル}メチルカルバマート
Figure 2023054768000078
ステップ1:2-クロロ-6-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルピリジン-4-カルボキサミド(11a)
Figure 2023054768000079
の雰囲気下でメチル2,6-ジクロロピリジン-4-カルボキシラート(58.0g、281mmol)を装入された3.0L丸底フラスコに、N,N-ジメチルアミン(38.1g、845mmol)を0~10℃で添加した。THF(200mL)を添加した。i-PrMgCl(THF中2.0M、352mL、704mmol)の溶液を3時間かけて、反応温度を0~10℃に維持しながら添加した。反応物をさらに10分間、0℃で、次いで、25℃で18時間攪拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物を氷浴中で冷却し、冷飽和NHCl水溶液(500mL)を、反応温度<20℃を維持しながら添加することによりクエンチした。EtOAc(500mL)を添加し、層を分離した。水層をEtOAc(500mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた油状物をヘプタン(200mL)に入れ、固体が形成するまで回転蒸発器で濃縮した。懸濁液を0.5時間撹拌し、固体を濾取した。濾過ケーキをヘキサン(3×50mL)で洗浄した。濾過ケーキを1:20 EtOAc/石油エーテル(100mL)中でスラリー化し、固体を濾取した。濾過ケーキを1:20 EtOAc/石油エーテル(3×30mL)で洗浄し、次いで、真空下で乾燥して、標題化合物(11a)(51g、収率80%)を薄黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.49 (d, J = 0.7 Hz, 1H), 6.35 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 3.13 - 3.09 (m,
9H), 2.98 (s, 3H); m/z (ESI+): (C10H14ClN3O),
227.9 (M+H)+.
ステップ2:2-クロロ-6-(ジメチルアミノ)-3-ホルミル-N,N-ジメチルピリジン-4-カルボキサミド(11b)
Figure 2023054768000080
2セットの反応を平行して実行した。DMF(250mL)を含有する丸底フラスコに、撹拌しながら、POCl(85.9g、560mmol)を15~25℃で添加した。混合物を15~25℃で15分間撹拌し、次いで、2-クロロ-6-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルピリジン-4-カルボキサミド(11a)(25.5g、112mmol)を添加した。混合物を50℃で16時間撹拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。2つの反応物を合わせ、次いで、pH約9を維持しながら冷飽和NaCO水溶液にゆっくり注ぐことによりクエンチした。混合物をEtOAc(4×1.0L)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5×600mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗製の生成物を、同一の様式で、2-クロロ-6-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルピリジン-4-カルボキサミド7.5gおよび5.0gを用いて実行された2つの追加の反応物と合わせた。物質をEtOAc(200mL)に入れ、20分間、スラリー化した。懸濁液を濾過した。濾過ケーキをEtOAc(2×50mL)で洗浄した。濾過ケーキを1:1 石油エーテル/EtOAc(80mL)中で20分間スラリー化した。懸濁液を濾過し、濾過ケーキを1:1 石油エーテル/EtOAc(60mL)で洗浄した。濾過ケーキを真空下で乾燥した。合わせた濾液を濃縮乾固した。残渣を1:1 石油エーテル/EtOAc(100mL)で30分間スラリー化した。懸濁液を濾過し、濾過ケーキを1:1 石油エーテル/EtOAc(2×50mL)で洗浄し、真空下で乾燥した。合わせた乾燥固体を石油エーテル(200mL)中で10分間スラリー化し、固体を濾取した。濾過ケーキを石油エーテル(100mL)で洗浄し、次いで、真空下で濃縮した。合わせた濾液を真空下で約50mLまで濃縮し、次いで、2日間放置した。得られた固体を濾取し、濾過ケーキを3:2 石油エーテル/EtOAc(2×50mL)で洗浄した。固体を標題化合物(11b)(52g、反応物を合わせたセットで収率73%)に黄色の固体として合わせた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.21 (d, J = 0.6 Hz, 1H), 6.28 (d, J = 0.6 Hz, 1H), 3.19 (s, 6H),
3.13 (s, 3H), 2.77 (s, 3H); m/z (ESI+): (C11H14ClN3O2),
255.9 (M+H)+.
ステップ3:tert-ブチル{[6-(ジメチルアミノ)-4-(ジメチルカルバモイル)-3-ホルミルピリジン-2-イル]メチル}メチルカルバマート(11c)
Figure 2023054768000081
THF135mL中のtert-ブチルジメチルカルバマート(3.41g、23.5mmol)およびN,N,N,N-テトラメチレンジアミン(3.27g、28.2mmol)の混合物をNの雰囲気下で-55℃に冷却した。s-BuLiの溶液(シクロヘキサン中1.4M、20.1mL、28.2mmoL)を、-52℃未満の溶液温度(内部)を維持しながらゆっくり添加した。混合物をさらに30分間、-55℃で撹拌し、次いで、-52℃未満での反応温度を維持しながらZnClの溶液(2-メチルテトラヒドロフラン中1.9M、14.8mL、28.2mmol)で処理した。溶液をさらに40分間、-55℃で撹拌し、次いで、室温に加温して、{[(tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]メチル}(クロリド)亜鉛の溶液(c=0.195M)を得た。事前に形成したジンカート溶液の一部(90.2mL、17.6mmoL)をNの雰囲気下で、オーブン乾燥した250mL丸底フラスコに移し、濃縮乾固して、白色の泡状物を得た。フラスコにNを再充填した。別のフラスコに、2-クロロ-6-(ジメチルアミノ)-3-ホルミル-N,N-ジメチルピリジン-4-カルボキサミド(11b)(3.0g、10mmol)、PdCl(dppf)(0.858g、1.17mmol)、1,4-ジオキサン(50mL)およびHO(0.159g、8.8mmol)を装入した。懸濁液を、カニュレーションを介して、ジンカートを含有するフラスコに移し、次いで、混合物を80℃で80分間撹拌した。LCMSは、生成物量の形成を、多少の残りの出発物質と共に示した。{[(tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]メチル}(クロリド)亜鉛溶液(2.0mL)の追加のアリコットを添加し、混合物を80℃で20分間攪拌した。追加の変換は観察されなかった。反応物を0℃に冷却し、飽和NHCl水溶液(10mL)およびHO(20mL)の添加によりクエンチした。混合物を0℃で20分間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)のパッドに通して濾過した。濾液をEtOAc(4×)で抽出した。合わせた有機物をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO80g、0~100%EtOAc/ヘプタンにより精製した。得られた白色の泡状物をMTBEで摩砕し、真空下で濃縮して、標題化合物(11c)(3.8g、収率95%)を薄黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.84 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 6.45 (s, 1H), 4.71 (s, 2H), 3.15 (s, 6H),
2.99 (s, 3H), 2.90 (s, 3H), 2.75 (s, 3H), 1.33 (d, J = 69.8 Hz, 9H); m/z
(ESI+): (C18H28N4O4), 365.3 (M+H)+.
ステップ4:tert-ブチル{[6-(ジメチルアミノ)-4-(ジメチルカルバモイル)-3-{(E)-[(2-メチルプロパン-2-スルフィニル)イミノ]メチル}ピリジン-2-イル]メチル}メチルカルバマート(11d)
Figure 2023054768000082
THF(40mL)中のtert-ブチル{[6-(ジメチルアミノ)-4-(ジメチルカルバモイル)-3-ホルミルピリジン-2-イル]メチル}メチルカルバマート(11c)(3.0g、8.0mmol)および(R)-(+)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(1.2g、9.88mmol)の溶液に、Ti(OEt)(5.63g、24.7mmol)を添加した。混合物を50℃で終夜撹拌した。反応物を室温に冷却し、DCM(50mL)で希釈し、飽和NaHCO溶液(20mL)の添加によりクエンチした。溶液を20分間激しく撹拌し、次いで、Celite(登録商標)のパッドに通して濾過した。Celite(登録商標)をDCM(3×)で洗浄した。合わせた濾液をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO80g、0~100%EtOAc/ヘプタン)により精製して、標題化合物(11d)(3.89g、収率97%)を無色の泡状物として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.39 (s, 1H), 6.46 (s, 1H), 4.77 - 4.55 (m, 2H), 3.12 (s, 6H), 2.95
(s, 3H), 2.93 (s, 3H), 2.74 (s, 3H), 1.41 (s, 4H), 1.20 (s, 5H), 1.12 (s, 9H);
m/z (ESI+): (C22H37N5O4S), 468.4
(M+H)+.
ステップ5:中間体11
tert-ブチル{[6-(ジメチルアミノ)-4-(ジメチルカルバモイル)-3-{(E)-[(2-メチルプロパン-2-スルフィニル)イミノ]メチル}ピリジン-2-イル]メチル}メチルカルバマート(11d)(3.89、8.32mmol)を装入された丸底フラスコに、Nの雰囲気下で、THF(42mL)を添加した。混合物を0℃に冷却し、次いで、LiBHの溶液(THF中2.0M、4.37mL、8.73mmol)で処理した。混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで、NaOMeの溶液(MeOH中25%、17.1mL、74.9mmol)を同じ温度で添加した。反応物を室温にゆっくり加温し、16時間撹拌した。LCMS分析は、出発物質の消費を示した。混合物をDCMで希釈し、飽和NHCl水溶液およびブラインで洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO80g、0~100%EtOAc/ヘプタン)により精製して、中間体11(1.7g、収率64%)を無色の泡状物として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.68 (s, 1H), 6.68 (s, 1H), 4.42 (s, 2H), 4.23 (s, 2H), 3.06 (s,
6H), 2.86 (s, 3H), 1.36 (m, 9H); LCMS m/z (ESI+): (C16H24N4O3),
321.2 (M+H)+.
中間体12:2-ブロモ-6-(4-プロピル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン
Figure 2023054768000083
MeCN(440mL)および酢酸(110mL)中のN’-[(6-ブロモピリジン-2-イル)カルボニル]-N,N-ジメチルヒドラゾノホルムアミド(1b)(29.0g、106.8mmol)およびプロパン-1-アミン(31.6g、534mmoL)の混合物を95℃で16時間攪拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応物を濃縮乾固した。残渣をHO(50mL)に入れ、1N NaOH(約500mL)を用いてpH約9に塩基性にした。混合物をEtOAc(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(150mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をEtOAc(50mL)で10分間スラリー化し、固体を濾取した。濾過ケーキを石油エーテル(2×50mL)で洗浄し、真空中で乾燥して、標題化合物(中間体12)(21.0g、収率74%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.74 (s, 1H), 8.20 (dd, J = 0.7, 7.8 Hz, 1H), 7.98 - 7.91 (m, 1H),
7.78 (dd, J = 0.7, 8.0 Hz, 1H), 4.45 - 4.36 (m, 2H), 1.77 (sxt, J = 7.4 Hz,
2H), 0.87 (t, J = 7.4 Hz, 3H); m/z (ESI+): (C10H11BrN4),
266.7 (M+H)+.
中間体13:(S,S)-2-メチル-N-[(1R)-1-{6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}エチル]プロパン-2-スルフィンアミド
Figure 2023054768000084
ステップ1:4-アセチル-6-(イソプロピル(メチル)アミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
Figure 2023054768000085
臭化メチルマグネシウム(9.11g、76.4mmol、25.9mL、3.0M)を、THF(70mL、c=0.11M)中の6-(イソプロピル(メチル)アミノ)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-カルボニトリル(中間体10a)(1.76g、7.64mmol)の溶液に、0℃で添加した。混合物をこの温度で10分間撹拌し、次いで、室温に加温し、3時間撹拌した。次いで、混合物を2M HCl(7mL)で滴下で室温でクエンチし、30分間攪拌した。NaHCOの飽和溶液(70mL)を添加して溶液を中和し、DCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、真空中で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO40g、10~40%EtOAc/ヘプタン)により精製して、標題化合物(13a)を黄色の固体(553mg、収率29%)として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.82 (s, 1H) 7.06 (s, 1H) 4.88 (br. d, J = 6.72 Hz, 1H) 4.49
(s, 2H) 2.94 (s, 3H) 2.61 (s, 3H) 1.19 (d, J = 6.60 Hz, 6H); m/z (APCI+): (C13H17N3O2),
248.2 (M+H)+.
ステップ2:中間体13
THF(100mL)中のTi(OEt)(29.9g、131mmol)中の4-アセチル-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(13a)(8.10g、32.75mmol)、(S)-tert-ブチルスルフィンアミド(7.94g、65.5mmol)の混合物をN下で、72時間、90℃で加熱し、反応物をLCMSによりモニターした。次いで、反応物を0℃に冷却し、L-セレクトリド(THF中1M、131mmol、131mL)を0℃で滴下添加した。混合物を0℃で3時間撹拌した。混合物を飽和NHCl(200mL)およびブライン(200mL)で0~5℃でクエンチした。懸濁液を、Celite(登録商標)のパッドに通して濾過し、濾過ケーキをDCM(500mL)で洗浄した。濾液層を分離し、水層をDCM(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(250mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0~10%MeOH/DCM)により精製して、中間体13を黄色の固体(10g、87%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.83 (br. s, 1H), 6.75 (s, 1H), 4.89 - 4.76 (m, 1H), 4.48 - 4.39
(m, 1H), 4.37 - 4.26 (m, 3H), 2.83 (s, 3H), 1.55 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.19 -
1.07 (m, 15H). m/z (APCI+): (C17H28N4O2S),
353.2 (M+H)+.立体化学を、ステップ1における(S)-tert-ブチルスルフィンアミドの使用に基づき指定した。
中間体14:(S,R)-2-メチル-N-[(1S)-1-{6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}エチル]プロパン-2-スルフィンアミド
Figure 2023054768000086
Ti(OEt)(20mL)中の4-アセチル-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(4f)(4000mg、15.43mmol)、(R)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(2240mg、18.5mmol)の混合物を100℃で、20時間、N下で攪拌した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。黄色の溶液を0℃に冷却し、THF(50mL)で希釈した。L-セレクトリド(38.6mmol、38.6mL、THF中1M)を0℃で滴下添加した。次いで、混合物を10℃で20時間撹拌した。LCMSは出発物質が残っていることを示した。追加のL-セレクトリド(38.6mmol、38.6mL、THF中1M)を0℃で滴下添加し、混合物を10℃でさらに2時間撹拌した。TLC分析は出発物質の消費を示した。混合物を飽和NHCl水溶液(200mL)で0~5℃でクエンチした。懸濁液をCelite(登録商標)のパッドに通して濾過し、ケーキをEtOAc(2×50mL)で洗浄した。濾液層を分離し、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、残渣を得た。残渣を初めに、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/MeOH=10:1)により精製し、次いで、さらに、分取HPLC(ACSSH-CA;方法カラム:YMC Triart C18 250×50mm×7μm;水(0.05%水酸化アンモニアv/v)-ACNにより精製して、中間体14(2.5g、44%)をオフホワイト色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.70 (s, 1H), 6.47 (br. s, 1H), 4.57 - 4.34 (m, 4H), 4.20 (br. t, J
= 5.9 Hz, 1H), 3.64 - 3.53 (m, 1H), 3.47 - 3.35 (m, 1H), 2.20 - 1.99 (m, 3H),
1.77 (br. dd, J = 2.5, 4.7 Hz, 1H), 1.64 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 1.28 (d, J = 6.2
Hz, 3H), 1.22 (s, 9H). m/z (ESI): (C18H28N4O2S),
365.1 (M+H)+.立体化学を、(R)-tert-ブチルスルフィンアミドの使用に基づき指定した。
中間体15:tert-ブチル{2-メトキシ-1-[6-(1-メチルシクロプロピル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル]エチル}カルバマート
Figure 2023054768000087
ステップ1:エチル3-シアノ-2-ヒドロキシ-6-(1-メチルシクロプロピル)ピリジン-4-カルボキシラート(15a)
Figure 2023054768000088
固体が溶解するまで、EtOH(50mL)中の2-シアノアセトアミド(10.0g、119mmol)およびTEA(12.0g、119mmol)の混合物を65℃(内部温度)に加熱し、次いで、エチル3-(1-メチルシクロプロピル)-3-オキソプロパノアート(24.6g、124mmol)を添加した。混合物を65℃で2時間撹拌した。TLC分析(1:10 EtOAc/石油エーテル)は出発物質の消費を示した。反応物を10℃に冷却した。得られた沈澱物を濾取した。濾過ケーキをMTBE(3×10mL)で洗浄し、真空下で乾燥した。濾液を濃縮乾固した。EtOH(10mL)を添加し、次いで、MTBE(30mL)を添加した。得られた固体を濾取した。濾過ケーキをEtOH(5mL)およびMTBE(2×10mL)で洗浄し、真空下で乾燥した。固体を合わせて、標題化合物(15a)(25.0g、収率85%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.74 (br. s, 1H), 6.63 (br. s, 1H), 4.36 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.45
- 1.27 (m, 6H), 1.16 - 1.06 (m, 2H), 0.92 - 0.75 (m, 2H).
ステップ2:エチル2-クロロ-3-シアノ-6-(1-メチルシクロプロピル)ピリジン-4-カルボキシラート(15b)
Figure 2023054768000089
MeCN(487mL)中のエチル3-シアノ-2-ヒドロキシ-6-(1-メチルシクロプロピル)ピリジン-4-カルボキシラート(15a)(24.0g、97.5mmol)の溶液に、POCl(74.7g、487mmol)を30℃で滴下添加した。混合物を65℃で60時間攪拌した。TLC分析(EtOAc)は出発物質の消費を示した。溶液を濃縮して、残ったPOClを除去した。残渣を氷上に注ぎ、NaHCOの飽和溶液でpH約8に塩基性にした。混合物をEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(1:10 EtOAc/石油エーテル)により精製して、標題化合物(15b)(21.9g、収率85%)を薄黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.79 (s, 1H), 4.50 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 1.55 (s, 3H), 1.50 - 1.40
(m, 5H), 1.03 (q, J = 3.9 Hz, 2H); m/z (ESI+): (C13H13ClN2O2),
264.9 (M+H)+.
ステップ3:4-クロロ-6-(1-メチルシクロプロピル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(15c)
Figure 2023054768000090
EtOH(500mL)中のエチル2-クロロ-3-シアノ-6-(1-メチルシクロプロピル)ピリジン-4-カルボキシラート(15b)(2.5g、9.44mmol)の溶液に、ラネーNi(2.0g、34.1mmol)を添加した。黒色の混合物を30℃で、30psiのHの雰囲気下で、48時間撹拌した。TLC分析(1:10 EtOAc/石油エーテル)は出発物質の消費を示した。混合物をCelite(登録商標)のパッドに通して濾過した。濾過ケーキをMeOH(250mL)で洗浄した。合わせた濾液を濃縮乾固した。残渣をEtOAc(5mL)中で20分間スラリー化し、懸濁液を濾過した。濾過ケーキをEtOAc(2mL)で洗浄し、真空下で乾燥して、標題化合物(15c)(1.1g、収率52%)を灰色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.66 (br. s, 1H), 7.23 - 7.05 (m, 1H), 4.56 - 4.34 (m, 2H), 1.55 (br.
s, 3H), 1.39 - 1.11 (m, 2H), 0.99 - 0.66 (m, 2H); m/z (ESI+): (C11H11ClN2O),
222.8 (M+H)+.
ステップ4:中間体15
40mLバイアルに、4-クロロ-6-(1-メチルシクロプロピル)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(15c)(200mg、0.898mmol)、CsCO(644mg、1.98mmol)、N-(tert-ブトキシカルボニル)-O-メチルセリン(394mg、1.80mmol)、NiCl・グリム(39.5mg、0.18mmol)、ピリジン-2-イル-N-シアノアミジン(26.3mg、0.180mmol)、イリジウム(III)ビス[2-(2,4-ジフルオロフェニル)-5-メチルピリジン]-4,40-ジ-tert-ブチル-2,20-ビピリジンヘキサフルオロホスファート(18.2mg、0.018mmol)および無水DMF(27mL)を装入した。混合物にNを2分間散布し、365nM光を15~25℃で18時間照射した(ファン速度5200r/分、撹拌速度1200r/分、LED100%)。混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル中10~20%[EtOAc中0%MeOH])により精製して、黄色の固体を得た。分取HPLC(カラム:YMC Triart C18 150×25μm×5μm、水(0.05%水酸化アンモニアv/v)-CAN)により精製して、中間体15を白色の固体(315mg、32%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.65 (s, 1H), 6.77 (s, 1H), 5.66 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.94 (d, J =
6.3 Hz, 1H), 4.63 - 4.48 (m, 2H), 3.77 (dd, J = 8.9, 5.0 Hz, 1H), 3.58 - 3.44
(m, 1H), 3.26 (s, 3H), 1.62 (s, 3H), 1.45 (s, 9H), 1.30 (q, J = 3.6 Hz, 2H),
0.88 (q, J = 3.4 Hz, 2H); m/z (ESI+): (C19H27N3O4),
362.3 (M+H)+.
実施例:
本明細書において調製される実施例は、立体化学が確認されている中間体の使用に基づき(例えば、実施例1および2)、または立体特異的出発物質から調製された中間体の使用に基づき(例えば、実施例3および4)指定された立体化学を有する。
(実施例1)
4-[(1R)-1-アミノプロピル]-2-{6-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
Figure 2023054768000091
ステップ1:(S,S)-2-メチル-N-[(1R)-1-(2-{6-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)プロピル]プロパン-2-スルフィンアミド
Figure 2023054768000092
1,4-ジオキサン(4.5mL、c=0.1M)中の(S,S)-2-メチル-N-[(1R)-1-{6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}プロピル]プロパン-2-スルフィンアミド(中間体5)(63.0mg、0.17mmol)、(5S)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール(中間体2)(147mg、0.528mmol)、KPO(336mg、1.59mmol)、Pd(dba)(30.4mg、0.0528mmol)およびキサントホス(61.1mg、0.106mmol)の混合物を40mLバイアル(キャップを締める)内で18時間、100℃(ブロック温度)で加熱した。混合物をCelite(登録商標)に通して濾過し、DCMで洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、粗製の化合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0~10%MeOH/DCM)により精製して、標題化合物を淡黄色の泡状物(194mg、収率64%)として得た。(C2940S)でのm/z(APCI+)、577.3(M+H)
ステップ2:実施例1
1,4-ジオキサン中4N HClの溶液(1.01mmol、0.252mL、4M)を、MeOH(12mL)中の(S,S)-2-メチル-N-[(1R)-1-(2-{6-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)プロピル]プロパン-2-スルフィンアミド(194mg、0.336mmol)の懸濁液に添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去した。粗製の生成物をChiral SFC(Phenomenex Lux Cellulose-1 4.6×100mm 3μmカラム 120バールにおいて、CO中30%MeOH+10mM NH、4mL/分)により精製して、実施例1(146mg、収率92%、>99%de)を淡黄色の固体として得た。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 8.48 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.01 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.91 (d, J =
7.7 Hz, 1H), 6.67 (s, 1H), 5.22 - 5.03 (m, 3H), 4.33 - 4.21 (m, 2H), 3.60 -
3.50 (m, 1H), 3.41 - 3.32 (m, 1H), 3.06 - 2.98 (m, 1H), 2.97 - 2.89 (m, 1H),
2.88 - 2.76 (m, 1H), 2.37 - 2.27 (m, 1H), 2.09 - 1.86 (m, 5H), 1.69 - 1.62 (m,
1H), 1.44 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 1.15 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 0.86 (t, J = 7.4 Hz,
3H); m/z (APCI+): (C26H32N8O), 473.2 (M+H)+;
[α]D22 = +37.0°
(c=0.1 M, MeOH).
表4は、実施例1の立体化学を確認する単結晶X線回折データを示している。単結晶X線回折研究を、Cu Kα放射線(λ=1.54178Å)を備えたBruker Microstar APEX II CCD回折計で実施した。実施例1の結晶をアセトニトリル/ペンタンから成長させた。0.25×0.2×0.15mm片の無色の結晶をParatoneオイルと共にCryoloop上にマウントした。データは、Φおよびω走査を用いて窒素ガス流中で100(2)Kで収集した。結晶検出器間距離は40mmであり、曝露時間は、1.00°の走査幅を使用して1フレームあたりの2θ範囲に応じて2、または10秒であった。データ収集は、θで67.679°に対して99.4%の完全性であった。データを、Bruker SAINTソフトウェアプログラムを用いて統合し、SADABSソフトウェアプログラムを用いて位取りした。直接法(SHELXT)により解析すると、提案された構造と一致する完全なフェージングモデルが生成された。すべての非水素原子を、完全行列最小二乗法(SHELXL-2014)により異方的に精密化した。すべての炭素結合水素原子を、ライディングモデルを用いて配置した。それらの位置を、SHELXL-2014における適切なHFIXコマンドを用いて、それらの親原子に対して拘束した。
Figure 2023054768000093
(実施例2)
4-[(1R)-1-アミノエチル]-2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
Figure 2023054768000094
ステップ1:(S,S)-N-[(1R)-1-(2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)エチル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド
Figure 2023054768000095
1,4-ジオキサン(3mL)中の(S,S)-2-メチル-N-[(1R)-1-{6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}エチル]プロパン-2-スルフィンアミド(中間体4)(50mg、0.14mmol)、(5S)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール(中間体3)(42.2mg、0.144mmol)、およびKPO(87.4mg、0.412mmol)の混合物に、Pd(dba)(12.6mg、0.014mmol)およびキサントホス(15.9mg、0.027mmol)をN下で添加した。添加の後に、混合物にNを2分間吹き込んだ。得られた混合物を密閉し、85℃で18時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、10%EtOAc/MeOH)により精製して、標題化合物(60mg、収率76%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.70 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 8.18 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.93 (t, J =
8.0 Hz, 1H), 6.76 (s, 1H), 5.11 - 5.02 (m, 2H), 4.99 - 4.93 (m, 1H), 4.61 -
4.49 (m, 2H), 4.34 - 4.27 (m, 1H), 3.67 - 3.57 (m, 1H), 3.46 - 3.35 (m, 1H),
3.11 - 3.01 (m, 3H), 2.65 (td, J = 3.7, 7.9 Hz, 1H), 2.19 - 2.08 (m, 3H), 2.07
(s, 1H), 1.86 - 1.79 (m, 1H), 1.79 (br. d, J = 2.3 Hz, 1H), 1.69 (d, J = 6.4
Hz, 3H), 1.31 - 1.28 (m, 3H), 1.22 (s, 9H), 1.02 (t, J = 7.5 Hz, 3H); m/z
(ESI+): (C30H40N8O2S), 577.5 (M+H)+;
[α] D22 = +85.3°
(c=0.1 M, MeOH).
ステップ2:実施例2
EtOAc(5mL)中の(S,S)-N-[(1R)-1-(2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)エチル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(60mg、0.10mmol)の溶液に、EtOAc中4M HCl(3mL)を0℃で滴下添加した。混合物を20℃で1時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮した。残渣に、EtOAc(10mL)および水(10mL)を添加した。水層を、飽和NaHCOで塩基性にし、DCM(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を16時間、凍結乾燥して、実施例2(47mg、95%)を淡黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.59 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.09 - 8.02 (m, 1H), 8.02 - 7.97 (m, 1H),
6.58 (s, 1H), 5.33 (d, J = 17.1 Hz, 1H), 5.10 (d, J = 17.1 Hz, 1H), 4.99 (br.
t, J = 6.1 Hz, 1H), 4.29 - 4.19 (m, 1H), 4.12 (q, J = 6.9 Hz, 1H), 3.55 (br. t,
J = 8.0 Hz, 1H), 3.04 - 2.85 (m, 3H), 2.58 - 2.55 (m, 1H), 2.11 - 1.96 (m, 4H),
1.79 - 1.66 (m, 2H), 1.36 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 1.24 - 1.20 (m, 3H), 0.93 (t, J
= 7.4 Hz, 3H); m/z (ESI+): (C26H32N8O), 473.4
(M+H)+.
実施例3:4-[(1S)-1-アミノエチル]-2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
Figure 2023054768000096
ステップ1:(S,R)-N-[(1S)-1-(2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)エチル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド
Figure 2023054768000097
1,4-ジオキサン(30mL)中の(S,R)-2-メチル-N-[(1S)-1-{6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}エチル]プロパン-2-スルフィンアミド(中間体14)(2000mg、5.487mmol)、(5S)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール(中間体3)(1610mg、5.49mmol)およびKPO4(3490mg、16.5mmol)の懸濁液に、Pd(dba)(502mg、0.549mmol)およびキサントホス(635mg、1.10mmol)をN下で添加した。添加の後に、混合物にアルゴンを2分間吹き込んだ。得られた混合物を密閉し、85℃で18時間撹拌した。TLC分析は出発物質の消費を示した。混合物を、撹拌しながらHO(100mL)で希釈し、得られた懸濁液を濾過した。水性濾液を分離した。固体をDCM(100mL)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、黄色の残渣(3g)を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtOAc中0~10%MeOH)により精製して、黄色の固体を得た。固体をDCM(50mL)に溶解し、シリカ-SH(4g)を添加した。黄色の混合物を20分間還流させた。混合物を濾過し、濾過ケーキをDCM/MeOH(10:1)で洗浄した。濾液を濃縮した。シリカ-SHでの処理をさらに3回繰り返して、標題化合物(2.3g、72.7%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.71 (dd, J = 0.7, 8.4 Hz, 1H), 8.18 (dd, J = 0.7, 7.6 Hz, 1H),
7.97 - 7.87 (m, 1H), 6.76 (s, 1H), 5.19 - 5.11 (m, 1H), 5.03 - 4.94 (m, 2H),
4.65 - 4.57 (m, 1H), 4.57 - 4.51 (m, 1H), 4.24 (br t, J = 6.1 Hz, 1H), 3.66 -
3.56 (m, 1H), 3.48 - 3.39 (m, 1H), 3.13 - 2.98 (m, 3H), 2.71 - 2.59 (m, 1H),
2.21 - 2.03 (m, 4H), 1.87 - 1.75 (m, 2H), 1.68 (d, J = 6.5 Hz, 4H), 1.30 (d, J
= 6.2 Hz, 3H), 1.24 (s, 9H), 1.02 (t, J = 7.5 Hz, 3H). m/z (ESI): (C30H40N8O2S),
577.5 (M+H)+.
ステップ2:実施例3
EtOAc(10mL)中の(S,R)-N-[(1S)-1-(2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)エチル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(2300mg、3.988mmol)の溶液に、EtOAc中4M HCl(20mL)を0℃で添加した。添加の後に、混合物を15℃で1時間撹拌した。反応をLCMSによりモニターした。得られた黄色の懸濁液を濃縮して、残渣を得、これをHO(30mL)に溶解し、EtOAc(25mL)で抽出した。水層を飽和NaHCOの溶液でpH約8に塩基性にし、DCM(3×35mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、固体を得、これに、DCM(50mL)を添加した。溶液を、ガラスマイクロファイバーフィルターGF/F(約0.7μm)に4回通して濾過した。濾液を濃縮して、黄色の固体を得、これを分取HPLC(カラム:Agela DuraShell C18 150×40mm×5μm、水(0.05%水酸化アンモニアv/v)-CAN、勾配時間12分、流速25mL/分)により精製した。これにより、実施例3(1.5g、79.6%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.55 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.08 - 7.90 (m, 2H), 6.51 (s, 1H), 5.26
(d, J = 16.8 Hz, 1H), 5.08 - 4.92 (m, 2H), 4.23 (br. t, J = 5.8 Hz, 1H), 4.09
(q, J = 6.5 Hz, 1H), 3.53 (br. t, J = 7.5 Hz, 1H), 3.30 - 3.23 (m, 1H), 3.07 -
2.83 (m, 3H), 2.62 - 2.53 (m, 1H), 2.16 - 1.85 (m, 6H), 1.77 - 1.64 (m, 2H),
1.33 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 1.21 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 0.93 (t, J = 7.3 Hz, 3H).
m/z (ESI): (C26H32N8O), 473.4 (M+H)+.
(実施例4)
4-[(1R)-1-アミノエチル]-2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
Figure 2023054768000098
ステップ1:(S,S)-N-[(1R)-1-(2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)エチル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド
Figure 2023054768000099
1,4-ジオキサン(17.8mL、c=0.1M)中の(S,S)-2-メチル-N-[(1R)-1-{6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}エチル]プロパン-2-スルフィンアミド(中間体13)(627mg、1.78mmol)、(5S)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール(中間体3)(521mg、1.78mmol)、KPO(1.13g、5.34mmol)、Pd(dba)(102mg、0.178mmol)およびキサントホス(206mg、0.356mmol)の溶液を、凝縮器を備えた100mLフラスコ内で、N下で、18時間、100℃で加熱した。混合物を室温に冷却し、濾過し、DCM(20mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(24g、SiO、0~10% MeOH/DCM)により精製して、標題化合物を淡黄色の固体(808mg、80%)として得た。(C2940S)でのm/z(APCI+)、565.3(M+H)
ステップ2:実施例4
1,4-ジオキサン中のHClの4N溶液(1.07mL、4.29mmol)を、MeOH(14.3mL、c=0.1M)中の(S,S)-N-[(1R)-1-(2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)エチル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(808mg、1.43mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去した。粗製の生成物をChiral SFC(Phenomenex Lux Cellulose-1 21×250mmカラム、120バールに保持されたCO中30%MeOH+10mM NH、100mL/分)により精製して、実施例4(345mg、収率52%、>99%de、純度>99%)を淡黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.56 (dd, J = 1.0, 8.1 Hz, 1H), 8.07 - 8.01 (m, 1H), 8.00 - 7.93 (m,
1H), 6.78 (s, 1H), 5.34 - 5.28 (m, 1H), 5.17 - 5.10 (m, 1H), 5.02 - 4.95 (m,
1H), 4.89 (td, J = 6.7, 13.4 Hz, 1H), 4.18 (q, J = 6.7 Hz, 1H), 3.01 - 2.94 (m,
2H), 2.93 (s, 3H), 2.62 - 2.54 (m, 2H), 2.09 - 1.97 (m, 1H), 1.84 - 1.72 (m,
1H), 1.41 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.20 (d, J = 6.6 Hz, 6H), 0.92 (t, J = 7.5 Hz,
3H); m/z (APCI+): (C25H32N8O), 461.3 (M+H)+.
[α]D22 = +120.5°
(c=0.1 M, MeOH).
実施例5:4-[(1R)-1-アミノプロピル]-2-{3-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]フェニル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
Figure 2023054768000100
ステップ1:(S,S)-2-メチル-N-[(1R)-1-(2-{3-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]フェニル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)プロピル]プロパン-2-スルフィンアミド
Figure 2023054768000101
1,4-ジオキサン(4.5mL、c=0.1M)中の(S,S)-2-メチル-N-(1-{6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}プロピル)プロパン-2-スルフィンアミド(中間体10)(63mg、0.17mmol)、(5S)-3-(3-ブロモフェニル)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール(中間体2)(48mg、0.172mmol)、KPO(109mg、0.516mmol)、Pd(dba)(9.88mg、0.0172mmol)およびキサントホス(19.9mg、0.0344mmol)の混合物を40mLバイアル(キャップを締めた)内で18時間、100℃で加熱した。揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(12g、SiO、0~10%MeOH/DCM)により精製して、標題化合物を淡黄色の泡状物(74.0mg、76%)として得た。(C2940S)でのm/z(APCI+)、565.3(M+H)
ステップ2:実施例5
1,4-ジオキサン中のHClの4N溶液(0.164mL、0.655mmol)を、MeOH(5.0mL、c=0.026M)中の(S,S)-2-メチル-N-[(1R)-1-(2-{3-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]フェニル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)プロピル]プロパン-2-スルフィンアミド(74mg、0.13mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去した。粗製の生成物を、Chiral SFC(Phenomenex Lux Cellulose-1 4.6×100mm 3μmカラム、120バールにおいて、3.0分かけて勾配をかけたCO中5~60%MeOH+10mM NH、4mL/分)により精製して、実施例5(11.6mg、収率19%、>99% de、純度>95%)を淡黄色の固体として得た。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 8.54 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.35 (br. s, 2H), 8.07 (t, J = 8.0 Hz,
1H), 8.00 - 7.90 (m, 1H), 6.91 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 5.27 - 5.07 (m, 3H), 5.01
(br. s, 1H), 4.37 (br. s, 1H), 3.14 - 2.97 (m, 2H), 2.94 (d, J = 1.5 Hz, 3H),
2.92 - 2.85 (m, 1H), 2.42 - 2.35 (m, 1H), 2.06 - 1.91 (m, 2H), 1.50 (d, J = 6.1
Hz, 3H), 1.19 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.15 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.92 (t, J = 7.3
Hz, 3H); m/z (APCI+): (C25H32N8O), 461.3 (M+H)+.
[α]D22 = +75.9°
(c=0.2 M, MeOH).
実施例6:4-[(1ξ)-1-アミノ-2-メトキシエチル]-6-(1-メチルシクロプロピル)-2-{6-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
Figure 2023054768000102
6aおよび6bの立体化学は、これら2つの異性体が分離されたという理解の下に、任意に図示されている(先行する中間体セクションの説明を参照されたい)。
ステップ1:tert-ブチル{2-メトキシ-1-[6-(1-メチルシクロプロピル)-2-{6-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル]エチル}カルバマート
Figure 2023054768000103
tert-ブチル{2-メトキシ-1-[6-(1-メチルシクロプロピル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル]エチル}カルバマート(中間体15)(136mg、0.376mmol)、(5S)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール(中間体2)(105mg、0.376mmol)、KPO(240mg、1.13mmol)、および1,4-ジオキサン(12mL)の溶液に、窒素を2分間吹き込んだ。この混合物に、Pd(dba)(34.5mg、0.038mmol)およびキサントホス(43.5mg、0.075mmol)を添加した。反応物を85℃に加熱し、この温度で18時間撹拌した。反応物を冷却し、43mg規模(中間体15)で実行された同一の反応と合わせた。合わせた混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、10:1 EtOAc/MeOH)、続いて、分取TLC(SiO、10:1 EtOAc/MeOH)により精製して、標題化合物を黄色の固体(170mg、61%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.67 (dd, J = 12.2, 8.3 Hz, 1H), 8.20 - 8.10 (m, 1H), 8.01 - 7.84
(m, 1H), 5.66 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.35 - 5.11 (m, 3H), 5.03 (d, J = 11.7 Hz,
1H), 3.60 - 3.46 (m, 2H), 3.27 (d, J = 8.5 Hz, 3H), 3.16 - 2.94 (m, 4H), 2.50
(d, J = 8.7 Hz, 2H), 2.39 (s, 2H), 1.71 (s, 3H), 1.43 (s, 9H), 1.33 (q, J = 2.3
Hz, 2H), 0.92 (t, J = 2.6 Hz, 2H). m/z (ESI): (C30H37N7O4),
460.2 (M+H)+.
ステップ2:実施例6
DCM(5mL)中のtert-ブチル{2-メトキシ-1-[6-(1-メチルシクロプロピル)-2-{6-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル]エチル}カルバマート(170mg、0.304mmol)の溶液に、EtOAc中のHClの4M溶液(3mL)を0℃で滴下添加した。反応物を20℃で1時間撹拌し、次いで、濃縮した。得られた残渣をHO(15mL)で希釈し、飽和NaHCOの溶液でpH約8に塩基性にした。混合物をDCM(3×8mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、黄色の固体を得た。得られた固体を分取SFC(カラム:Daicel Chiralpak 250mm×30mm×10μm、0.1%NH・HO EtOH)により精製して、以下を得た:
第1に溶離する異性体を実施例6a(30mg、21%)として。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.56
(d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.08 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.99 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.57
(s, 1H), 5.48 (d, J = 18.1 Hz, 1H), 5.30 (d, J = 18.1 Hz, 1H), 5.12 (br. t, J =
6.5 Hz, 1H), 4.30 (t, J = 6.3 Hz, 1H), 3.65 - 3.52 (m, 2H), 3.30 - 3.26 (m,
3H), 3.13 - 2.86 (m, 3H), 2.40 (br. dd, J = 8.4, 11.9 Hz, 3H), 1.59 - 1.52 (m,
6H), 1.31 - 1.24 (m, 2H), 0.89 (d, J = 2.9 Hz, 2H). m/z (ESI): (C25H29N7O),
560.3 (M+H)+. [α] D22 = +66.1° (c=0.1 M, MeOH).
第2に溶離する異性体を実施例6b(33mg、23%)として。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.58
(d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.07 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 7.99 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.55
(s, 1H), 5.44 (d, J = 18.1 Hz, 1H), 5.31 (d, J = 18.1 Hz, 1H), 5.16 (br. t, J =
6.6 Hz, 1H), 4.29 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 3.55 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 3.25 (s, 3H),
3.13 - 2.86 (m, 3H), 2.40 (br. dd, J = 8.2, 11.6 Hz, 1H), 2.12 (br. s, 2H),
1.59 - 1.48 (m, 6H), 1.30 - 1.23 (m, 2H), 0.88 (d, J=3.1 Hz, 2H). m/z (ESI): (C25H29N7O),
560.2 (M+H)+. [α] D22 = +41.5°.
追加の本発明の化合物を本明細書において例示の方法の変更形態により調製したが、それらを表5、6、および7に示す。別段に示されている場合を除いて、キラル炭素を有する化合物はすべて、構造で図示されているとおりの単一の鏡像異性体として調製された、および/または単離された。具体的な立体化学を各キラル炭素について(R)または(S)として指定する化合物名により、キラリティーがさらに示されている。すべてのキラル炭素が既知の立体化学としてそのように指定されている場合、その立体化学は、既知のキラル出発物質の使用および/またはX線結晶学による分割された鏡像異性体の確認に基づく。一部の化合物はラセミ中間体から調製し、適切なキラル分取SFC方法により単一の鏡像異性体に分割した。立体化学が分かっていないが、鏡像異性体が分離された場合、「or1」または「or2」がキラル炭素原子のところに存在する。名称において、分割されたが立体化学中心が確認されていない炭素は、記号「ξ」で同定されている。その炭素に表示された結合は、立体化学の表示であり、その炭素が、表示の結合立体配置(実線のくさび)または逆の立体配置(細断されたくさび)を有するであろうことを意味している。例えば、実施例101および102を参照されたい。得られた場合には、旋光[性](αD22またはαD20)が、IUPAC名の後に示されており、単純にαとして示されている。
Figure 2023054768000104
Figure 2023054768000105
Figure 2023054768000106
Figure 2023054768000107
Figure 2023054768000108
Figure 2023054768000109
Figure 2023054768000110
Figure 2023054768000111
Figure 2023054768000112
Figure 2023054768000113
Figure 2023054768000114
Figure 2023054768000115
Figure 2023054768000116
Figure 2023054768000117
(実施例100)
4-(2-アミノプロパン-2-イル)-2-[6-(4-エチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-2-イル]-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
Figure 2023054768000118
CHCN(3.0mL)中の4-(2-アミノプロパン-2-イル)-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン(中間体6)(63.0mg、0.23mmol)、2-ブロモ-6-(4-エチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン(中間体1)(58.1mg、0.230mmol),KCO(69.8mg、0.505mmol)、CuI(10.9mg、0.058mmol)、およびN,N-ジメチルエチレンジアミン(0.115mmol、0.0125mL)の混合物をマイクロ波照射で30分間、120℃で加熱した。揮発性物質を除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、0~10%MeOH/DCM)により精製した。生成物をHPLC(Phenemonex Gemini NX C18カラム、150×21.2mm、5μm。移動相A:水+10mM酢酸アンモニウム、移動相B:アセトニトリル)によりさらに精製して、実施例100を淡黄色の固体(49.3mg、収率49%)として得た。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 8.74 (s, 1H), 8.62 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.11 - 8.04 (m, 1H), 8.03 -
7.90 (m, 1H), 6.55 (s, 1H), 5.40 (s, 2H), 4.65 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 4.24 - 4.19
(m, 1H), 3.29 - 3.33 (m, 2H, 推定;水ピークにより一部不明確), 2.16 - 2.03 (m, 2H), 1.98 - 1.89 (m, 1H), 1.71 - 1.69 (m, 1H),
1.50 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.47 (d, J = 5.9 Hz, 6H), 1.22 (d, J = 6.2 Hz, 3H);
m/z (APCI+): (C24H30N8O), 447.3 (M+H)+.
Figure 2023054768000119
Figure 2023054768000120
Figure 2023054768000121
Figure 2023054768000122
Figure 2023054768000123
Figure 2023054768000124
Figure 2023054768000125
Figure 2023054768000126
Figure 2023054768000127
Figure 2023054768000128
Figure 2023054768000129
Figure 2023054768000130
Figure 2023054768000131
Figure 2023054768000132
Figure 2023054768000133
Figure 2023054768000134
Figure 2023054768000135
Figure 2023054768000136
Figure 2023054768000137
(実施例200)
2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-4-[(メチルアミノ)メチル]-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
Figure 2023054768000138
ステップ1:tert-ブチル[(2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)メチル]メチルカルバマート
Figure 2023054768000139
1,4-ジオキサン(20.9mL、c=0.1M)中のtert-ブチルメチル({6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}メチル)カルバマート(中間体8)(752mg、2.09mmol)、(5S)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール(中間体3)(612mg、2.09mmol)、KPO(1.33g、6.26mmol)、Pd(dba)(120mg、0.209mmol)、およびキサントホス(241mg、0.417mmol)の混合物を、凝縮器を備えた100mLフラスコ内で、N下で18時間、100℃で加熱した。混合物を室温に冷却し、濾過し、DCM(20mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(24g、SiO、0~10%MeOH/DCM)により精製して、標題化合物を淡黄色の固体(1.13g、85%)として得た。(C3140)でのm/z(APCI+)、573.30(M+H)
ステップ2:実施例200
1,4-ジオキサン中のHClの4N溶液(4.42mL、17.7mmol)を、DCM(22.1mL、c=0.08M)中のtert-ブチル[(2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)メチル]メチルカルバマート(1.01g、1.77mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去した。粗製の生成物をSFC(メタノールおよび10mM NHを用いるZymorSPHER HADPカラム)により精製して、実施例200を淡黄色の固体(640mg、77%)として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.97 (br. s, 1H), 8.60 (dd, J = 0.9, 8.3 Hz, 1H), 8.17 - 8.06 (m,
1H), 8.04 - 7.95 (m, 1H), 6.76 (s, 1H), 5.28 (d, J = 16.6 Hz, 1H), 5.09 - 4.91
(m, 2H), 4.45 - 4.19 (m, 3H), 3.73 - 3.61 (m, 1H), 3.49 - 3.37 (m, 1H), 3.09 -
2.87 (m, 3H), 2.76 (s, 3H), 2.61 - 2.54 (m, 1H), 2.15 - 1.96 (m, 4H), 1.80 -
1.64 (m, 2H), 1.21 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 0.93 (t, J = 7.4 Hz, 3H). m/z (APCI+):
(C26H32N8O), 473.3 (M+H)+. [α]D22 = +76.0° (c=0.1 M, MeOH).
(実施例201)
2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-4-[(メチルアミノ)メチル]-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
Figure 2023054768000140
ステップ1:tert-ブチル[(2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)メチル]メチルカルバマート
Figure 2023054768000141
磁気撹拌棒を備えたスクリューキャップフラスコに、tert-ブチルメチル({6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}メチル)カルバマート(中間体9)(294mg、0.84mmol)、(5S)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール(中間体3)(260mg、0.88mmol)、KPO(537mg、2.53mmol)、Pd(dba)(78.0mg、0.084mmol)、キサントホス(97.6mg、0.17mmol)、および1,4-ジオキサン(16.9mL、0.05M)を添加した。混合物に、Nを5分間吹き込み、その後、フラスコを密閉し、22時間、85℃に加熱した。LCMS分析は出発物質の消費を示した。反応混合物を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、100%ヘプタンから1:10 MeOH/EtOAc)により精製して、標題化合物(344mg、収率73%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 8.72 - 8.65 (m, 1H), 8.13 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.91 (t, J = 7.9
Hz, 1H), 6.89 (s, 1H), 5.13 - 4.85 (m, 4H), 4.25 - 4.08 (m, 1H), 3.10 - 2.96
(m, 6H), 2.96 - 2.93 (m, 3H), 2.66 - 2.58 (m, 1H), 2.07 - 1.94 (m, 1H), 1.87 -
1.74 (m, 1H), 1.53 (s, 1H), 1.50 - 1.35 (m, 9H), 1.23 (dd, J = 2.8, 6.6 Hz,
6H), 1.00 - 0.87 (m, 3H); LCMS m/z (APCI): (C30H40N8O3),
561.3 (M+H)+.
ステップ2:実施例201
磁気撹拌棒を備えていて、tert-ブチル[(2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)メチル]メチルカルバマート(344mg、0.62mmol)およびCHCl(12.3mL、0.05M)を含有するフラスコに、HCl(1,4-ジオキサン中4M、1.53mL、6.2mmol)を添加した。室温で20時間撹拌した後に、LCMS分析は出発物質の消費を示した。トルエン(5mL)を反応フラスコに添加し、反応混合物を濃縮した。粗製の残渣を強イオン交換(SCX)カラムに通して、残留HClを除去し、濃縮して、実施例201(278mg、収率98%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 8.59 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.11 - 8.03 (m, 1H), 8.00 - 7.96 (m,
1H), 6.77 (s, 1H), 5.76 (s, 1H), 5.25 (s, 1H), 5.08 (s, 3H), 3.84 (s, 2H), 3.01
- 2.88 (m, 6H), 2.61 - 2.54 (m, 1H), 2.39 (s, 3H), 2.05 - 1.93 (m, 1H), 1.80 -
1.67 (m, 1H), 1.16 (d, J = 6.7 Hz, 6H), 0.92 (t, J = 7.4 Hz, 3H); LCMS m/z
(APCI): (C25H32N8O), 461.3 (M+H)+.
実施例202:2-{6-[(5R)-5-(フルオロメチル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-4-[(メチルアミノ)メチル]-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
Figure 2023054768000142
ステップ1:tert-ブチル[(2-{6-[(5R)-5-(フルオロメチル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)メチル]メチルカルバマート
Figure 2023054768000143
1,4-ジオキサン(8mL)中のtert-ブチルメチル({6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}メチル)カルバマート(中間体8)(90mg、0.25mmol)、(5S)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール(中間体7)(74.2mg、0.250mmol)、およびKPO(159mg、0.749mmol)の混合物に、Pd(dba)(22.9mg、0.025mmol)およびキサントホス(28.9mg、0.0499mmol)をN下で添加した。添加の後に、混合物にNを2分間吹き込んだ。得られた混合物を密閉し、85℃で18時間撹拌した。反応混合物に、ブライン(30mL)を添加した。混合物をEtOAc(20mL×2)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮して、茶色の固体(250mg)を得た。物質をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、DCM/EtOAc=1:1)により精製して、標題化合物(120mg、83%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.69 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.16 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.96 - 7.86 (m,
1H), 6.72 (s, 1H), 5.40 (d, J = 30.1 Hz, 1H), 5.01 (dd, J = 48.3, 16.6 Hz, 4H),
4.71 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 4.26 - 4.05 (m, 1H), 3.59 (t, J = 8.7 Hz, 1H), 3.39
(q, J = 9.0, 8.4 Hz, 1H), 3.22 - 3.05 (m, 3H), 3.02 (s, 3H), 2.92 - 2.82 (m,
1H), 2.19 - 1.96 (m, 4H), 1.77 - 1.71 (m, 1H), 1.43 (s, 9H), 1.26 (d, J = 6.3
Hz, 3H). LCMS m/z (ESI): (C30H37FN8O3),
577.2 (M+H)+.
ステップ2:実施例202
DCM(8mL)中のtert-ブチル[(2-{6-[(5R)-5-(フルオロメチル)-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル)メチル]メチルカルバマート(120mg、0.208mmol)の懸濁液に、EtOAc中のHCl(4mL、4M)を0℃で滴下添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、LCMSによりモニターした。次いで、反応混合物を0℃に冷却し、EtOAc中のHCl(5.0mL、4M)を添加した。混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を真空中で濃縮して、黄色の固体(100mg)を得た。残渣に、水(10mL)を添加し、EtOAc(10mL)で洗浄した。水層を16時間、凍結乾燥して、実施例202(94mg、88%、HCl塩)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.21 - 9.00 (m, 2H), 8.61 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.14 - 8.08 (m, 1H),
8.06 - 8.02 (m, 1H), 6.75 (s, 1H), 5.43 - 5.29 (m, 1H), 5.23 (d, J = 16.6 Hz,
1H), 5.09 - 4.91 (m, 3H), 4.40 - 4.29 (m, 3H), 3.70 - 3.59 (m, 1H), 3.13 - 2.92
(m, 3H), 2.79 - 2.71 (m, 4H), 2.15 - 1.96 (m, 3H), 1.77 - 1.70 (m, 1H), 1.21
(d, J = 6.3 Hz, 3H). LCMS m/z (ESI): (C25H29FN8O),
477.4 (M+H)+.
Figure 2023054768000144
Figure 2023054768000145
Figure 2023054768000146
Figure 2023054768000147
(実施例300)
6-(ジメチルアミノ)-4-[(メチルアミノ)メチル]-2-[6-(4-プロピル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-2-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
Figure 2023054768000148
ステップ1:tert-ブチル({6-(ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-[6-(4-プロピル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-2-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}メチル)メチルカルバマート
Figure 2023054768000149
1,4-ジオキサン(46mL)中のtert-ブチル{[6-(ジメチルアミノ)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル]メチル}メチルカルバマート(中間体11)(1.33g、4.15mmol)、2-ブロモ-6-(4-プロピル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン(中間体12)(1.16g、4.36mmol)、Pd(dba)(380mg、0.415mmol)、キサントホス(480g、0.830mmol)、およびKPO(2.64g、12.5mmoL)の混合物をNで5分間脱気し、次いで、85℃で16時間撹拌した。反応物をLCMSにより分析すると、これは出発物質の消費を示した。混合物を室温に冷却し、Celite(登録商標)のパッドに通して濾過し、真空下で濃縮した。残渣をEtOAc(15mL)で10分間スラリー化し、固体を濾取した。濾過ケーキをEtOAc(4×)で洗浄し、次いで、真空下で乾燥した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO40g、0~100%EtOAc/ヘプタン、次いで、10%MeOH/EtOAc)により精製して、薄黄色の固体を得た。物質を1:9 EtOH/DCMに溶解し、Ultra-pure Si-Thio SiO(1.59g)で処理した。混合物を2時間撹拌し、次いで濾過した。濾過ケーキを1:9 EtOH/DCMで洗浄し、合わせた濾液を真空下で濃縮した。残渣を1:9 EtOH/DCMに溶解し、Ultra-pure Si-Thio SiO(1.32g)で処理した。混合物を3時間撹拌し、次いで、濾過した。濾過ケーキを1:9 EtOH/DCMで洗浄し、合わせた濾液を濃縮した。残渣を1:9 EtOHに溶解し、Ultra-pure Si-Thio SiO(1.22g)で処理した。混合物を16時間撹拌し、次いで、濾過した。濾過ケーキを1:9 EtOH/DCMで洗浄した。合わせた濾液を濃縮乾固して、標題化合物(2.08g、収率95%)を薄黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.74 (s, 1H), 8.61 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.09 (t, J = 8.0 Hz, 1H),
7.97 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.82 (s, 1H), 5.05 (d, J = 11.7 Hz, 2H), 4.56 (s,
2H), 4.52 - 4.46 (m, 2H), 3.09 (s, 6H), 2.92 (s, 3H), 1.88 - 1.76 (m, 2H), 1.40
- 1.19 (m, 9H), 0.87 (t, J = 7.4 Hz, 3H); LCMS m/z (ESI+): (C26H34N8O3),
507.4 (M+H)+.
ステップ2:実施例300
MeOH(20mL)中のtert-ブチル({6-(ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-[6-(4-プロピル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピリジン-2-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-4-イル}メチル)メチルカルバマート(1.96g、3.87mmol)の懸濁液に、HClの溶液(1,4-ジオキサン中4.0M、19.3mL、77.4mmol)を0℃でゆっくり添加した。混合物を3時間、0℃で撹拌し、次いで、室温にゆっくり加温した。混合物を室温で16時間撹拌した。反応物を濃縮乾固した。固体を1:9 MeOH/DCM(80mL)に溶解し、0℃に冷却し、次いで、NaCOの飽和溶液(25mL)と共に20分間撹拌した。混合物を分離した。水層を1:19 MeOH/DCM(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をHO(2×30mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。固体をEtOAc中で40℃で、40分間スラリー化した。固体を濾取した。濾過ケーキをEtOAcで洗浄し、次いで、16時間、真空炉内で30℃で乾燥して、実施例300(1.42g、収率90%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.73 (s, 1H), 8.62 (dd, J = 8.4, 1.0 Hz, 1H), 8.11 - 8.04 (m, 1H),
8.00 (dd, J = 7.7, 1.0 Hz, 1H), 6.78 (s, 1H), 5.14 (s, 2H), 4.57 (dd, J = 7.9,
6.5 Hz, 2H), 3.80 (s, 2H), 3.09 (s, 6H), 2.35 (s, 3H), 1.88 (h, J = 7.4 Hz, 2H),
0.93 (t, J = 7.4 Hz, 3H); LCMS m/z (ESI+): (C21H26N8O),
407.3 (M+H)+.
バイオアッセイおよびデータ
HPK1生化学酵素アッセイ
蛍光ベースのキレート化増強蛍光(CHEF)方法(1)を用いることにより、およびシステイン残基がスルホンアミド-オキシンベースの誘導体でアルキル化されてC-Sox(CSx)と称されるアミノ酸をもたらす、特許権下の蛍光ペプチド基質を用いることにより、HPK1酵素阻害を測定した。反応を50μL体積で96ウェルプレート内で行ったが、これは、0.5nMヒト全長自己リン酸化組換えHPK1(生成方法については下記を参照されたい)、3μMホスホアクセプターペプチド基質(Ac-[CSx]HSLPRFNR-アミドペプチド基質、AQT0178としても公知、AssayQuant Technologies Inc.、Hopkinton、MA)、試験化合物(11用量3倍系列希釈物、最終的に2%DMSO)またはDMSOのみ、0.002%Tween-20、1mM DTTおよび2.5mM MgClを50mM MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)緩衝液、pH7.8中に含有し、20分のプレインキュベーションの後に45μM ATPの添加により反応を開始した。当初反応速度を、30℃で、15分間、Tecan M1000プレートリーダー(Tecan Group Ltd.、Maennedorf、Zuerich、スイス)においてペプチド蛍光(λex=360nm、λem=500nm)を追跡することにより決定した。非線形回帰法および実験的に測定されたみかけのATP K(19μM)を用いることにより、強結合競合阻害について、当初反応速度をMorrison式(2)にフィットさせることにより阻害定数(K)値を計算した。阻害薬は、反応速度および結晶学的研究から、ATP競合性であることが示された。
自己リン酸化全長組換えHPK1の生成
全長ヒトHPK1をコードするDNA配列(Genbank NM_001042600.2)は、GenScriptで合成され、ある特定の制限エンドヌクレアーゼ酵素認識部位を除去するために、限られた数のサイレント塩基変化(silent base changes)を含み、タバコエッチウイルス(TEV)切断可能なN末端ポリヒスチジン精製タグをコードするDNA配列に融合していた。Bac-to-Bac法(InVitrogen)を用いることにより、組換えバキュロウイルスを調製し、9LのSf21昆虫細胞を感染させるために使用した。すべての精製ステップを4℃で実施した。組換えHPK1を含有する細胞を50mM HEPES-NaOH、pH7.5、250mM NaCl、1mMトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、10μMロイペプチン(Sigma)、10μM E-64(Sigma)、および緩衝液75mLあたり1錠の「EDTA不含」プロテアーゼ阻害薬錠剤(Roche)中で溶解させ、15,000×gで1時間遠心し、上清をProBond IMAC樹脂5mL(InVitrogen)に通した。洗浄後に、HPK1を12.5mLの50mM HEPES-NaOH、pH7.5、400mM NaCl、250mMイミダゾール-HCl pH7.5、1mM TCEP、2μMロイペプチン、および2μM E-64で溶離した。溶離されたHPK1を0.8Lの50mM HEPES-NaOH、pH7.5、400mM NaCl、20mMイミダゾール-HCl pH7.5、1mM TCEP、2uMロイペプチン、2uM E-64、2mM ATP-NaOH pH7.3、5mM MgClおよびTEV1mgに対して終夜透析した(このステップは同時に、後続のリバースIMACクロマトグラフィーステップのための、調製物におけるイミダゾール濃度の低下、TEVプロテアーゼによるポリヒスチジン精製タグの除去、およびMgATPの存在下でのHPK1の自己リン酸化を可能にする)。タグを除去された自己リン酸化HPK1を40mMイミダゾール-HCl、pH7.5に調節し、同様に平衡化させたProBond樹脂の10mLカラムに通した。カラムに通した、タグを除去されたHPK1をおよそ7mLに濃縮し、417mM NaCl、および0.417mM TCEPを含有する41.7mM HEPES-NaOH緩衝液pH7.5中で平衡化および処理されたSuperdex 26/60サイズ排除カラム(GE Healthcare)でのゲル濾過によりさらに精製した。HPK1を含有するピーク画分を貯留し、遠心濃縮器(Millipore)を使用することにより、およそ2.5mLに濃縮した。濃縮したHPK1を、50%(v/v)グリセロールの添加により20%(v/v)グリセロールに調節すると、25mM HEPES-NaOH pH7.5、250mM NaCl、0.25mM TCEPおよび20%(v/v)グリセロールの最終配合物が生じた。Bradfordアッセイ(Pierce試薬)により、タンパク質標準としてウシ血清アルブミン(Pierce2mg/標準mL)を使用して決定すると、最終タンパク質濃度はおよそ1mg/mLであった。質量スペクトログラム分析は、自己リン酸化HPK1がモノマー1つあたり平均15のリン酸を含むことを示した。酵素のアリコットを液体窒素中で急速冷凍させ、-80℃で貯蔵した。クローニング戦略の結果として、最終産物は、グリシン-セリン伸長部を全長タンパク質のN末端に含有する。
N末端タグ付き全長HPK1の最終DNA配列(配列番号1)は、精製タグ(下線部)の除去後に全長HPK1をコードする斜線の後の配列を、追加の5’-GGATCC BamH Iクローニング部位配列(配列番号3):
ATGGCGTCGCATCACCATCACCATCACGATTACGATGGTGCTACGACCGAAAACCTGTATTTTCAG
と共に含む。
これは(配列番号1):
GGATCCATGGACGTCGTGGACCCTGACATTTTCAATAGAGACCCCCGGGACCACTATGACCTGCTACAGCGGCTGGGTGGCGGCACGTATGGGGAAGTCTTTAAGGCTCGCGACAAGGTGTCAGGGGACCTGGTGGCACTGAAGATGGTGAAGATGGAGCCTGATGATGATGTCTCCACCCTTCAGAAGGAAATCCTCATATTGAAAACTTGCCGGCACGCCAACATCGTGGCCTACCACGGGAGTTATCTCTGGTTGCAGAAACTCTGGATCTGCATGGAGTTCTGTGGGGCTGGTTCTCTCCAGGACATCTACCAAGTGACAGGCTCCCTGTCAGAGCTCCAGATTAGCTATGTCTGCCGGGAAGTGCTCCAGGGACTGGCCTATTTGCACTCACAGAAGAAGATACACAGGGACATCAAGGGAGCTAACATCCTCATCAATGATGCTGGGGAGGTCAGATTGGCTGACTTTGGCATCTCGGCCCAGATTGGGGCTACACTGGCCAGACGCCTCTCTTTCATTGGGACACCCTACTGGATGGCTCCGGAAGTGGCAGCTGTGGCCCTGAAGGGAGGATACAATGAGCTGTGTGACATCTGGTCCCTGGGCATCACGGCCATCGAACTGGCCGAGCTACAGCCACCGCTCTTTGATGTGCACCCTCTCAGAGTTCTCTTCCTCATGACCAAGAGTGGCTACCAGCCTCCCCGACTGAAGGAAAAAGGCAAATGGTCGGCTGCCTTCCACAACTTCATCAAAGTCACTCTGACTAAGAGTCCCAAGAAACGACCCAGCGCCACCAAGATGCTCAGTCATCAACTGGTATCCCAGCCTGGGCTGAATCGAGGCCTGATCCTGGATCTTCTTGACAAACTGAAGAATCCCGGGAAAGGACCCTCCATTGGGGACATTGAGGATGAGGAGCCCGAGCTACCCCCTGCTATCCCTCGGCGGATCAGATCCACCCACCGCTCCAGCTCTCTGGGCATCCCAGATGCAGACTGCTGTCGGCGGCACATGGAGTTCAGGAAGCTCCGAGGAATGGAGACCAGACCCCCAGCCAACACCGCTCGCCTACAGCCTCCCCGAGACCTCAGGAGCAGCAGCCCCAGGAAGCAACTGTCAGAGTCGTCTGACGATGACTATGACGACGTGGACATCCCCACCCCTGCAGAGGACACACCTCCTCCACTTCCCCCCAAGCCCAAGTTCCGTTCTCCATCAGACGAGGGTCCTGGGAGCATGGGGGATGATGGGCAGCTGAGCCCGGGGGTGCTGGTCCGGTGTGCCAGTGGGCCCCCACCAAACAGCCCCCGTCCTGGGCCTCCCCCATCCACCAGCAGCCCCCACCTCACCGCCCATTCAGAACCCTCACTCTGGAACCCACCCTCCCGGGAGCTTGACAAGCCCCCACTTCTGCCCCCCAAGAAGGAAAAGATGAAGAGAAAGGGATGTGCCCTTCTCGTAAAGTTGTTCAATGGCTGCCCCCTCCGCATCCACAGCACGGCCGCCTGGACACATCCCTCCACCAAGGACCAGCACCTGCTCCTGGGGGCAGAGGAAGGCATCTTCATCCTGAACCGGAATGACCAGGAGGCCACGCTGGAAATGCTCTTTCCTAGCCGGACTACGTGGGTGTACTCCATCAACAACGTTCTCATGTCTCTCTCAGGAAAGACCCCCCACCTGTATTCTCATAGCATCCTTGGCCTGCTGGAACGGAAAGAGACCAGAGCAGGAAACCCCATCGCTCACATTAGCCCCCACCGCCTACTGGCAAGGAAGAACATGGTTTCCACCAAGATCCAGGACACCAAAGGCTGCCGGGCGTGCTGTGTGGCGGAGGGTGCGAGCTCTGGGGGCCCGTTCCTGTGCGGTGCATTGGAGACGTCCGTTGTCCTGCTTCAGTGGTACCAGCCCATGAACAAATTCCTGCTTGTCCGGCAGGTGCTGTTCCCACTGCCGACGCCTCTGTCCGTGTTCGCGCTGCTGACCGGGCCAGGCTCTGAGCTGCCCGCTGTGTGCATCGGCGTGAGCCCCGGGCGGCCGGGGAAGTCGGTGCTCTTCCACACGGTGCGCTTTGGCGCGCTCTCTTGCTGGCTGGGCGAGATGAGCACCGAGCACAGGGGACCCGTGCAGGTGACCCAGGTAGAGGAAGATATGGTGATGGTGTTGATGGATGGCTCTGTGAAGCTGGTGACCCCGGAGGGGTCCCCAGTCCGGGGACTTCGCACACCTGAGATCCCCATGACCGAAGCGGTGGAGGCCGTGGCTATGGTTGGAGGTCAGCTTCAGGCCTTCTGGAAGCATGGAGTGCAGGTGTGGGCTCTAGGCTCGGATCAGCTGCTACAGGAGCTGAGAGACCCTACCCTCACTTTCCGTCTGCTTGGCTCCCCCAGGCCTGTAGTGGTGGAGACACGCCCAGTGGATGATCCTACTGCTCCCAGCAACCTCTACATCCAGGAATGA
を示す。
N末端タグ付き全長HPK1の最終タンパク質配列(配列番号2)は、精製タグ(下線部)の除去後に斜線の後の配列を、BamH Iクローニング部位からコードされる追加のN末端GlySer配列(配列番号4):
MASHHHHHHDYDGATTENLYFQ
と共に含む。
これは(配列番号2):
GSMDVVDPDIFNRDPRDHYDLLQRLGGGTYGEVFKARDKVSGDLVALKMVKMEPDDDVSTLQKEILILKTCRHANIVAYHGSYLWLQKLWICMEFCGAGSLQDIYQVTGSLSELQISYVCREVLQGLAYLHSQKKIHRDIKGANILINDAGEVRLADFGISAQIGATLARRLSFIGTPYWMAPEVAAVALKGGYNELCDIWSLGITAIELAELQPPLFDVHPLRVLFLMTKSGYQPPRLKEKGKWSAAFHNFIKVTLTKSPKKRPSATKMLSHQLVSQPGLNRGLILDLLDKLKNPGKGPSIGDIEDEEPELPPAIPRRIRSTHRSSSLGIPDADCCRRHMEFRKLRGMETRPPANTARLQPPRDLRSSSPRKQLSESSDDDYDDVDIPTPAEDTPPPLPPKPKFRSPSDEGPGSMGDDGQLSPGVLVRCASGPPPNSPRPGPPPSTSSPHLTAHSEPSLWNPPSRELDKPPLLPPKKEKMKRKGCALLVKLFNGCPLRIHSTAAWTHPSTKDQHLLLGAEEGIFILNRNDQEATLEMLFPSRTTWVYSINNVLMSLSGKTPHLYSHSILGLLERKETRAGNPIAHISPHRLLARKNMVSTKIQDTKGCRACCVAEGASSGGPFLCGALETSVVLLQWYQPMNKFLLVRQVLFPLPTPLSVFALLTGPGSELPAVCIGVSPGRPGKSVLFHTVRFGALSCWLGEMSTEHRGPVQVTQVEEDMVMVLMDGSVKLVTPEGSPVRGLRTPEIPMTEAVEAVAMVGGQLQAFWKHGVQVWALGSDQLLQELRDPTLTFRLLGSPRPVVVETRPVDDPTAPSNLYIQE
を示す。
細胞ベースのアッセイ
ホスホ-SLP-76(Ser376)均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイ
Jurkat細胞を90,000細胞/ウェルで、10%FBSを含有するRPMI1640成長培地90uLに播種し、37℃で、5%COで終夜インキュベートした。翌日、化合物を10mMの最大用量から、11ポイント3倍希釈曲線のためにDMSO中で系列希釈した。化合物を成長培地中に1:100で中間希釈し、その後、細胞上で、最終濃度10μM~0.1nMのために0.1%DMSO中で1:10希釈した。化合物と共に30分間、事前処理した後に、細胞を、200μg/mLのF(ab)2複合化抗CD3(クローンUCTH1)を用いて、15分間、37℃で5%COで刺激した。氷冷PBSで刺激を停止し、細胞を遠心により収集し、その後、Cisbio溶解緩衝液(Cisbio、Bedford、MA)中で溶解した。溶解産物を、抗ホスホ-SLP-76-クリプタートおよび抗ホスホ-SLP-76-d2HTRF抗体を含有する白色低容積プレートに移し、製造者プロトコル(Cisbio、Bedford、MA)に従って、終夜、室温で遮光してインキュベートした。HTRFをPerkin Elmer Envisionで測定し、IC50値を4パラメーター非線形回帰分析を利用する濃度-応答曲線フィッティングにより計算した。
化合物についての生物学的活性データを表8において示す。HPK1 CHEFについてのデータを表8において、列の見出しHPK1 Ki(μM)で示す。細胞ホスホ-SLP-76(Ser376)均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイについてのデータを表8において、列の見出しpSLP76 IC50(μM)で示す。これら2つのアッセイのそれぞれについて、それぞれ隣接する列は、化合物がそのアッセイにおいて試験された回数を示している。
生化学的選択性キナーゼアッセイ。
PRKD2(PKD2)およびRPS6KA2(RSK3)キナーゼアッセイをKmレベルのATPで、Thermo Fisher Scientific,Inc.(Madison、WI)において、タンパク質分解切断に対するリン酸化および非リン酸化ペプチドの感受性差に基づく、そのInvitrogen(商標)SelectScreen(商標)蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)Z’-LYTE(商標)技術を用いて行った。ヒト組換え全長GSTタグ付きPRKD2(PKD2)およびRPS6KA2(RSK3)は、Thermo Fisher Scientific,Inc.(Madison、WI)により生成された。キナーゼアッセイを10μL反応で行った。PRKD2(PKD2)反応は、50mM HEPES、pH7.5中の酵素0.64~5.84ng、25μM ATP(約Km)、2μMのSer/Thr 17(Z’-LYTE(商標)ペプチド基質)、10mM MgCl2、0.01%BRIJ-35、1mM EGTAを含有した。RPS6KA2(RSK3)反応を同様に行ったが、これは、酵素0.5~9ng、または10μM ATP(約Km)および2μM Ser/Thr06ペプチドを含有した。1時間のキナーゼ反応インキュベーションの後に、Z’-LYTE(商標)Development Reagent Aの1:256および1:4096希釈液5μLを、PRKD2(PKD2)およびRPS6KA2(RSK3)反応にそれぞれ添加した。ペプチド基質のFRETシグナルの変化をもたらしたキナーゼ反応の程度を測定し、各キナーゼについての阻害をDMSO対照に関して測定し、2連の測定の平均として報告した。それぞれの50%阻害濃度(IC50)決定は、10用量の2連の測定に基づくものであり、IDBS(Guildford、英国)製のXLfitソフトウェアを用いて標準的な4パラメーターIC50式にフィットさせた。用量反応曲線をモデル番号205(シグモイド用量反応モデル)に曲線フィットさせた。PRKD2 IC50のHPK1 Kiに対する比およびRSK3 IC50のHPK1 Kiに対する比が、PRKD2 IC50およびRSK3 IC50についての列に隣接するそれぞれのカラムに示されている。
3aおよびR3bの少なくとも1個が水素以外であるアルファ分枝状アミン類似体は、非アルファ分枝状アミン化合物、例えば、実施例300と比べて、HPK1についての選択性を、他のキナーゼ(PRKD2およびRSK3を含む)と比べて著しく改善した。Rが(R-ii)である環式縮合トリアゾール、例えば、式I-Bの化合物は、非環式化合物、例えば、実施例300と比べて生化学的および細胞効力の改善をもたらした。
Figure 2023054768000150
Figure 2023054768000151
Figure 2023054768000152
Figure 2023054768000153
表8内の空欄は、データが得られなかったことを意味している。
本明細書で引用されたすべての刊行物および特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。添付の特許請求の範囲の意図および範囲から逸脱することなく、それらに対して一定の変化および変更を行うことができることは当技術分野において通常の技能を有する者には明らかであろう。

Claims (21)

  1. 式Iの化合物:
    Figure 2023054768000154
    またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物:
    [式中、
    は、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロ(C~C)アルコキシ、-N(R)(R)、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、および(C~C)シクロアルキルは、ヒドロキシ、シアノ、(C~C)アルキル、または(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されており、
    およびRはそれぞれ独立に、水素か、またはハロゲン、(C~C)アルコキシ、シアノ、およびヒドロキシからなる群から独立に選択される0、1、もしくは2個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであるか、または
    およびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ハロゲン、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびハロ(C~C)アルコキシからなる群から独立に選択される0、1、または2個の置換基で置換されている(4~8員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
    は、N(R)(R)であり、
    およびRはそれぞれ独立に、水素か、またはハロゲン、(C~C)アルコキシ、シアノ、もしくはヒドロキシである0、もしくは1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであるか、または
    は、水素か、またはハロゲン、(C~C)アルコキシ、シアノ、もしくはヒドロキシである0、もしくは1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、Rは、それが結合している窒素と一緒になって、かつそれが結合しているR3aおよび炭素と一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシ、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびハロ(C~C)アルコキシから独立に選択される0、1、または2個の置換基で置換されている(4~6員)ヘテロシクロアルキルを形成しているか、または
    およびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシ、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、およびハロ(C~C)アルコキシから独立に選択される0、1、または2個の置換基で置換されている(4~6員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
    3aは、水素か、またはヒドロキシ、もしくは(C~C)アルコキシである0もしくは1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、
    3bは、水素か、または(C~C)アルキルであるが、ただし、Rが(R-i)である場合、R3aおよびR3bは、両方一緒にはHではなく、
    は、(R-i)または(R-ii)
    Figure 2023054768000155
    であり、
    4Nは、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)アルキルは、ヒドロキシである0または1個の置換基で置換されており、
    4Cは、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロ(C~C)アルコキシ、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)アルキルおよびハロ(C~C)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ、または(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されており、
    4Dは、水素、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロ(C~C)アルコキシ、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)アルキルおよびハロ(C~C)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ、または(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されており、
    4Eは、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、または(C~C)アルキルであり、
    4Fは、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロ(C~C)アルコキシ、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)アルキルおよびハロ(C~C)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ、または(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されている]。
  2. が、(R-i)であり、
    4Nが、(C~C)アルキル、または(C~C)シクロアルキルであり、
    4Cが、水素、または(C~C)アルキルである、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. が、-N(R)(R)、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)シクロアルキルが、シクロプロピルであり、(C~C)アルキルである0または1個の置換基で置換されており、前記(C~C)アルキルがメチルであり、
    およびRがそれぞれ独立に、水素または(C~C)アルキルであるか、または
    およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、(C~C)アルキルである0、または1個の置換基で置換されている(5員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
    が、N(R)(R)であり、RおよびRがそれぞれ独立に、水素か、またはメチルである(C~C)アルキルであり、
    3aが、(C~C)アルコキシである0または1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、
    3bが、水素、または(C~C)アルキルである、請求項1もしくは2に記載の医薬組成物。
  4. が、(R-ii)であり、
    4Dが、水素、(C~C)アルキル、またはハロ(C~C)アルキルであり、前記(C~C)アルキルが、ヒドロキシである0または1個の置換基で置換されており、
    4Eが、水素であり、
    4Fが、水素、(C~C)アルキル、またはハロ(C~C)アルキルであり、前記(C~C)アルキルが、ヒドロキシである0または1個の置換基で置換されている、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. が、-N(R)(R)、または(C~C)シクロアルキルであり、前記(C~C)シクロアルキルが、シクロプロピルであり、(C~C)アルキルである0または1個の置換基で置換されており、前記(C~C)アルキルがメチルであり、
    およびRがそれぞれ独立に、水素または(C~C)アルキルであるか、または
    およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、(C~C)アルキルである0、または1個の置換基で置換されている(5員)ヘテロシクロアルキルを形成しており、
    が、N(R)(R)であり、RおよびRがそれぞれ独立に、水素か、またはメチルである(C~C)アルキルであり、
    3aが、水素か、または(C~C)アルコキシである0もしくは1個の置換基で置換されている(C~C)アルキルであり、
    3bが、水素、または(C~C)アルキルである、請求項1もしくは請求項4に記載の医薬組成物。
  6. が、2-メチル-ピロリジン-1-イル、または2(R)-メチル-ピロリジン-1-イルである、請求項1から5のいずれかに記載の医薬組成物。
  7. およびRがそれぞれ水素である、請求項1から6のいずれかに記載の医薬組成物。
  8. が水素であり、Rが(C~C)アルキルである、請求項1から6のいずれかに記載の医薬組成物。
  9. 3bが、水素であり、R、R3a、およびR3bの配向が式I(R)または式I(S)の化合物:
    Figure 2023054768000156
    をもたらしている、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  10. が、5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル、(5R)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル、(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル、5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル、(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル、または(5R)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イルであり、前記メチルが、FまたはOHである0または1個の置換基で置換されている、請求項1および4から9のいずれかに記載の医薬組成物。
  11. が、(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル、または(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イルであり、前記メチルが、FまたはOHである0または1個の置換基で置換されている、請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 4-[1-アミノプロピル]-2-{6-[5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
    4-[1-アミノエチル]-2-{6-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
    4-[1-アミノエチル]-2-{6-[5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1s,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
    4-[1-アミノエチル]-2-{6-[5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
    4-[1-アミノプロピル]-2-{3-[5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]フェニル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;もしくは
    4-[1-アミノ-2-メトキシエチル]-6-(1-メチルシクロプロピル)-2-{6-[5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
    である化合物、またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物。
  13. 化合物が、
    4-[(1R)-1-アミノプロピル]-2-{6-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
    4-[(1R)-1-アミノエチル]-2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
    4-[(1S)-1-アミノエチル]-2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
    4-[(1R)-1-アミノエチル]-2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
    4-[(1R)-1-アミノプロピル]-2-{3-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]フェニル}-6-[メチル(プロパン-2-イル)アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;
    4-[(1R)-1-アミノ-2-メトキシエチル]-6-(1-メチルシクロプロピル)-2-{6-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン;もしくは
    4-[(1S)-1-アミノ-2-メトキシエチル]-6-(1-メチルシクロプロピル)-2-{6-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
    である、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 構造:
    Figure 2023054768000157
    を有する化合物を含む医薬組成物。
  15. 4-[(1R)-1-アミノプロピル]-2-{6-[(5S)-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
    である化合物、またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物。
  16. 4-[(1R)-1-アミノエチル]-2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オン
    である化合物、またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物。
  17. 4-[(1S)-1-アミノエチル]-2-{6-[(5S)-5-エチル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,2,4]トリアゾール-3-イル]ピリジン-2-イル}-6-[(2R)-2-メチルピロリジン-1-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピリジン-1-オンである化合物、またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物。
  18. 異常な細胞増殖を処置に用いるための、請求項1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  19. 前記異常な細胞増殖ががんである、請求項18に記載の医薬組成物。
  20. 前記がんが、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮癌、前立腺癌、肺癌、食道癌、頭頚部癌、結腸直腸癌、腎臓癌、肝臓癌、膵臓癌、胃癌、および甲状腺癌からなる群から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
  21. 追加の抗がん治療薬と組み合わせて用いるための、請求項18から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
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