JP2023048281A - 未加硫トレッドゴムの管理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造不良の発生を抑制可能な未加硫トレッドゴムの管理方法を提供する。【解決手段】金型を未加硫トレッドゴムに当てる際に、未加硫トレッドゴムのうち、主溝を形成する金型の突起に当たり得る第1部位にそれぞれ第1基準位置を設定し、未加硫トレッドゴムのうち、対の第1基準位置の間の第2部位に対して、対の第1基準位置の間を均等に分割する奇数個の第2基準位置を設定し、第1基準位置及び第2基準位置それぞれについて未加硫トレッドゴムの厚みを計測し、第1基準位置及び第2基準位置を含む複数の基準位置について、互いに隣接する基準位置における未加硫トレッドゴムの厚み差が所定値以下である場合に、未加硫トレッドゴムの成形が適切と判定し、互いに隣接する基準位置の未加硫トレッドゴムの厚み差が所定値を超える場合に、未加硫トレッドゴムの成形が不良であると判定する。【選択図】図3
Description
本開示は、空気入りタイヤを製造するための未加硫トレッドゴムの管理方法に関する。
空気入りタイヤは、未加硫の生タイヤを金型で加熱及び加圧することで製造される。生タイヤは、トレッドを形成する未加硫トレッドゴムと、本体を構成するケースとを結合して成形される。未加硫トレッドゴムは、加硫後のタイヤの主溝がある部分の厚みやトレッドの厚みに応じて、厚み形状(プロファイル形状)が異なる。未加硫トレッドゴムの厚み形状に凹凸が必要とはいっても、その凹凸が急激に変化する場合には、金型に設けられた弁体を有するベントピースに対する横方向のゴム流れがベントピースのゴムつまりを招来してしまう。ベントピースのゴムつまりは、エア抜け不良によるベア(タイヤ表面の凹み)などの製造不良を招来するおそれがある。特許文献1,2はベントピースに関する技術を開示する。
本開示は、製造不良の発生を抑制可能な未加硫トレッドゴムの管理方法を提供する。
本開示の未加硫トレッドゴムの管理方法は、トレッド陸を形成する凹部と、前記トレッド陸のタイヤ軸方向両側に隣接する主溝を形成する突起とを有する金型を未加硫トレッドゴムに当てる際に、前記未加硫トレッドゴムのうち、前記突起に当たり得る第1部位にそれぞれ第1基準位置を設定し、前記未加硫トレッドゴムのうち、対の前記第1基準位置の間の第2部位に対して、前記対の前記第1基準位置の間を均等に分割する奇数個の第2基準位置を設定し、前記第1基準位置及び前記第2基準位置それぞれについて前記未加硫トレッドゴムの厚みを計測し、前記第1基準位置及び前記第2基準位置を含む複数の基準位置について、互いに隣接する前記基準位置における前記未加硫トレッドゴムの厚み差が所定値以下である場合に、前記未加硫トレッドゴムの成形が適切と判定し、前記互いに隣接する基準位置の前記未加硫トレッドゴムの厚み差が前記所定値を超える場合に、前記未加硫トレッドゴムの成形が不良であると判定する。
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態の未加硫トレッドゴム3の管理方法について、図面を参照して説明する。図1は、空気入りタイヤの製造装置(加硫機)を示す模式的な断面図であり、生タイヤTのみにハッチングを付けている。
以下、本開示の第1実施形態の未加硫トレッドゴム3の管理方法について、図面を参照して説明する。図1は、空気入りタイヤの製造装置(加硫機)を示す模式的な断面図であり、生タイヤTのみにハッチングを付けている。
空気入りタイヤの製造工程に、生タイヤTを加熱及び加圧する加硫工程がある。加硫工程のいては、図1に示す加硫機が用いられる。内圧が付与されたブラダ1が生タイヤTを支持した状態で、金型2が閉められる。金型2は、上モールドユニット20、下モールドユニット21、セクタ22を有する。セクタ22は、トレッドを形成する成形面があり、トレッドを形成する成形面には、トレッド陸を形成する凹部24と、トレッド陸のタイヤ軸方向ADの両側の主溝を形成するための突起23がある。タイヤのトレッドには複数の主溝及びトレッド陸が形成されるため、突起23及び凹部24が複数形成されている。
突起23で区画されるトレッド陸を形成する凹部24には、金型2(セクタ22)と生タイヤTの間の空気を抜くためのベントホール(非図示)及びベントホール(非図示)を閉塞する弁機能を有するベントピース(非図示)が設けられている。ベントピースに対してタイヤ径方向に沿ってゴムが流れる場合には、弁の中にゴムが入りにくいが、ベントピースに対してタイヤ径方向に交差する横方向(路面に接触するトレッド面の面方向に沿った方向)にゴムが流れる場合には、弁の中にゴムがつまりやすくなり、ベントピースが機能しなくなり、エアが残るなどでベアの発生が生じる原因となる。
図2~4は、セクタ22と未加硫トレッドゴム3との接触位置関係を模式的に示す断面図である。図2に示すように、生タイヤTのトレッドを構成する未加硫トレッドゴム3は、完成タイヤのトレッドパターンの凹凸のゴムボリュームに合わせて多少の凹凸がある。しかし、局所的な凹凸の差が大きくなれば、ベントホールの弁の軸方向に交差する方向(路面に接触するトレッド面の面方向に沿った方向)に沿ってゴム流れが発生しやすい。
そこで、本実施形態では、生タイヤTの未加硫トレッドゴム3を次のように管理している。
そこで、本実施形態では、生タイヤTの未加硫トレッドゴム3を次のように管理している。
まず、図2に示すように、金型2(セクタ22)のうち、タイヤ軸方向ADの寸法が最も小さいトレッド陸を形成する第1凹部24aと、第1凹部24aのタイヤ軸方向AD両側に隣接する第1突起23aとを特定する。
次に、金型2を未加硫トレッドゴム3に当てる際に、未加硫トレッドゴム3のうち第1突起23aに当たり得る第1部位3aにそれぞれ第1基準位置P1を設定する。金型2のセンターと加硫機に支持される未加硫トレッドゴム3のセンターは位置合わせされるので、基準に沿って第1部位3aを特定すればよい。なお、金型2と未加硫トレッドゴム3とのセンターリングが行われるが、多少位置ずれすることがあり、可能性が高い部位を第1部位3aとすればよく、厳密でなくてもよい。例えば、第1部位3aと認定した部位の中央に第1基準位置P1を設定すれば、第1基準位置P1が第1突起23aに当たる可能性を高めることができる。
次に、図3に示すように、未加硫トレッドゴム3のうち、対の第1基準位置P1の間にある第2部位3bを特定する。第2部位3bはトレッド陸となる部位であり、金型2の凹部24(第1凹部24a)に接触し得る。第2部位3bに対して、対の第1基準位置P1の間を均等に分割する奇数個の第2基準位置P2を設定する。図3の例では、第2基準位置P2は、3つ設定されているが、奇数個であれば、1個、5個、7個以上でもよい。
このようにすれば、主溝を形成する突起23にあたる部分と、トレッド陸を形成する凹部24にあたる部分とに基準位置P1,P2が設定されるので、基準位置P1,P2における複数の厚み差に、溝底となる部分とトレッド陸の踏面となる部分との厚み差が含まれることになり、凹凸が急な部分を的確に計測可能となり、製造不良の発生を抑制しやすくなる。
このようにすれば、主溝を形成する突起23にあたる部分と、トレッド陸を形成する凹部24にあたる部分とに基準位置P1,P2が設定されるので、基準位置P1,P2における複数の厚み差に、溝底となる部分とトレッド陸の踏面となる部分との厚み差が含まれることになり、凹凸が急な部分を的確に計測可能となり、製造不良の発生を抑制しやすくなる。
次に、図4に示すように、未加硫トレッドゴム3のうち第1部位3aおよび第2部位3b以外の部位(第3部位3cと表記する)に対して、第1基準位置P1及び第2基準位置P2の間隔で離間する複数の第3基準位置P3を設定する。第1実施形態における第1基準位置P1、第2基準位置P2および第3基準位置P3を含む基準位置P1,P2,P3のタイヤ軸方向ADの離間距離は、12mmであるが、これに限定されない。
次に、第1基準位置P1、第2基準位置P2及び第3基準位置P3を含む複数の基準位置P1,P2,P3について、各々の基準位置P1,P2,P3における未加硫トレッドゴム3の厚みを計測する。厚みとは、タイヤの径方向となる方向の厚みを意味し、図2~4では上下方向である。
次に、互いに隣接する基準位置P1,P2,P3における未加硫トレッドゴム3の厚み差を算出する。互いに隣接する基準位置P1,P2,P3における未加硫トレッドゴム3の厚み差の全てが所定値以下であれば、未加硫トレッドゴム3の成形が適切と判定する。ここで、基準位置が5個である場合には、4つの厚み差があり、4つの厚み差の全てが所定値以下であれば、未加硫トレッドゴム3の成形が適切と判定する。第1実施形態において所定値は1.0mmであり、厚み差が1.0mm以下であれば成形適切と判定し、厚み差が1.0mmを超えれば、成形不良と判定するが、所定値は適宜変更可能である。
一方、互いに隣接する基準位置における未加硫トレッドゴム3の厚み差が1つでも所定値を超える場合には、未加硫トレッドゴム3の成形が不良であると判定する。成形不良と判定した場合には、未加硫トレッドゴム3を押し出し成形するためのゴムを吐出する口金を修正してもよい。口金の修正後に再度未加硫トレッドゴム3を吐出し、吐出した未加硫トレッドゴム3に対して上記管理方法を施して、成形が適切となるまで、口金の修正を繰り返すことが挙げられる。
第1実施形態の未加硫トレッドゴム3の管理方法は、口金による未加硫トレッドゴム3の成形が適切であるかを確認する方法であり、一度成形が適切と判定されれば、以後は確認を省略可能である。
次に、互いに隣接する基準位置P1,P2,P3における未加硫トレッドゴム3の厚み差を算出する。互いに隣接する基準位置P1,P2,P3における未加硫トレッドゴム3の厚み差の全てが所定値以下であれば、未加硫トレッドゴム3の成形が適切と判定する。ここで、基準位置が5個である場合には、4つの厚み差があり、4つの厚み差の全てが所定値以下であれば、未加硫トレッドゴム3の成形が適切と判定する。第1実施形態において所定値は1.0mmであり、厚み差が1.0mm以下であれば成形適切と判定し、厚み差が1.0mmを超えれば、成形不良と判定するが、所定値は適宜変更可能である。
一方、互いに隣接する基準位置における未加硫トレッドゴム3の厚み差が1つでも所定値を超える場合には、未加硫トレッドゴム3の成形が不良であると判定する。成形不良と判定した場合には、未加硫トレッドゴム3を押し出し成形するためのゴムを吐出する口金を修正してもよい。口金の修正後に再度未加硫トレッドゴム3を吐出し、吐出した未加硫トレッドゴム3に対して上記管理方法を施して、成形が適切となるまで、口金の修正を繰り返すことが挙げられる。
第1実施形態の未加硫トレッドゴム3の管理方法は、口金による未加硫トレッドゴム3の成形が適切であるかを確認する方法であり、一度成形が適切と判定されれば、以後は確認を省略可能である。
以上のように、特に限定されないが、第1実施形態の未加硫トレッドゴム3の管理方法は、トレッド陸を形成する凹部24と、トレッド陸のタイヤ軸方向AD両側に隣接する主溝を形成する突起23とを有する金型2を未加硫トレッドゴム3に当てる際に、未加硫トレッドゴム3のうち、突起23に当たり得る第1部位3aにそれぞれ第1基準位置P1を設定し、未加硫トレッドゴム3のうち、対の第1基準位置P1の間の第2部位3bに対して、対の第1基準位置P1の間を均等に分割する奇数個の第2基準位置P2を設定し、第1基準位置P1及び第2基準位置P2それぞれについて未加硫トレッドゴム3の厚みを計測し、第1基準位置P1及び第2基準位置P2を含む複数の基準位置P1,P2について、互いに隣接する基準位置P1,P2における未加硫トレッドゴム3の厚み差が所定値以下である場合に、未加硫トレッドゴム3の成形が適切と判定し、互いに隣接する基準位置P1,P2の未加硫トレッドゴム3の厚み差が所定値を超える場合に、未加硫トレッドゴム3の成形が不良であると判定する、としてもよい。
このように、主溝に相当する第1部位3aに設定された2つの第1基準位置P1の間に、奇数個の第2基準位置P2を設定することで、第2基準位置P2の一つがトレッド陸のタイヤ軸方向ADの中心に設定される。第1基準位置P1及び第2基準位置P2を含む基準位置P1,P2の未加硫トレッドゴム3の厚みを計測し、隣接する基準位置P1,P2における未加硫トレッドゴム3の厚み差を所定値以下に抑えることで、トレッド陸を形成する凹部24に入るゴムの起伏が抑えられるので、トレッド陸を形成する凹部24に入ったゴムが横方向(タイヤ径方向に直交し且つトレッド陸の路面との接触面に沿う方向)に流れることを抑制でき、その結果、ベントピースのゴムつまりを抑制可能となる。
特に限定されないが、第1実施形態のように、金型2が、トレッド陸を形成する凹部24を複数有し、金型2のうち、タイヤ軸方向ADの寸法が最も小さいトレッド陸を形成する第1凹部24aと、第1凹部24aのタイヤ軸方向AD両側に隣接する対の第1突起23aとを特定し、未加硫トレッドゴム3のうち、対の第1突起23aに当たり得る第1部位3aに第1基準位置P1を設定し、第1凹部24aに当たり得る第2部位3bに対して第2基準位置P2を設定し、未加硫トレッドゴム3のうち第1部位3aおよび第2部位3b以外の部位に対して、第1基準位置P1及び第2基準位置P2の間隔で離間する複数の第3基準位置P3を設定する、としてもよい。
このように、タイヤ軸方向ADの寸法が最も小さいトレッド陸に合わせた間隔で基準位置P1,P2,P3を設定すれば、溝底となる部分とトレッド陸となる部分の厚み差を的確に計測でき、ベントピースのゴムつまりを更に抑制可能となる。
このように、タイヤ軸方向ADの寸法が最も小さいトレッド陸に合わせた間隔で基準位置P1,P2,P3を設定すれば、溝底となる部分とトレッド陸となる部分の厚み差を的確に計測でき、ベントピースのゴムつまりを更に抑制可能となる。
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。
24…凹部、24a…第1凹部、23…突起、23a…第1突起、3…未加硫トレッドゴム、3a…第1部位、3b…第2部位、3c…第3部位、P1…第1基準位置(基準位置)、P2…第2基準位置(基準位置)、P3…第3基準位置(基準位置)。
Claims (2)
- トレッド陸を形成する凹部と、前記トレッド陸のタイヤ軸方向両側に隣接する主溝を形成する突起とを有する金型を未加硫トレッドゴムに当てる際に、前記未加硫トレッドゴムのうち、前記突起に当たり得る第1部位にそれぞれ第1基準位置を設定し、
前記未加硫トレッドゴムのうち、対の前記第1基準位置の間の第2部位に対して、前記対の第1基準位置の間を均等に分割する奇数個の第2基準位置を設定し、
前記第1基準位置及び前記第2基準位置それぞれについて前記未加硫トレッドゴムの厚みを計測し、
前記第1基準位置及び前記第2基準位置を含む複数の基準位置について、互いに隣接する前記基準位置における前記未加硫トレッドゴムの厚み差が所定値以下である場合に、前記未加硫トレッドゴムの成形が適切と判定し、前記互いに隣接する基準位置の前記未加硫トレッドゴムの厚み差が前記所定値を超える場合に、前記未加硫トレッドゴムの成形が不良であると判定する、未加硫トレッドゴムの管理方法。 - 前記金型が、前記トレッド陸を形成する前記凹部を複数有し、
前記金型のうち、タイヤ軸方向の寸法が最も小さいトレッド陸を形成する第1凹部と、前記第1凹部のタイヤ軸方向両側に隣接する対の第1突起とを特定し、
前記未加硫トレッドゴムのうち、前記対の第1突起に当たり得る第1部位に前記第1基準位置を設定し、前記第1凹部に当たり得る第2部位に対して前記第2基準位置を設定し、
前記未加硫トレッドゴムのうち前記第1部位および前記第2部位以外の部位に対して、前記第1基準位置及び前記第2基準位置の間隔で離間する複数の第3基準位置を設定する、請求項1に記載の未加硫トレッドゴムの管理方法。
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