JP2023046555A - 積層フィルム、包装容器、包装体および積層フィルムの製造方法 - Google Patents

積層フィルム、包装容器、包装体および積層フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた保香性を備え、かつ、内容物から発生した二酸化炭素が包装体内部に充満することを抑制可能な包装用の積層フィルムを提供する。【解決手段】基材層3と、接着層2と、香気成分の吸着及び透過を抑えるための低吸着性ヒートシール層1と、をこの順に有する包装用の積層フィルムであり、上記低吸着性ヒートシール層の少なくとも上記接着層側と反対側の表面1Sは、ヒートシール性を有し、かつ環状オレフィン系樹脂を、15質量%以上60質量%以下含有し、上記積層フィルムの二酸化炭素透過度は、7000ml/(m2・24h・atm)以上である、積層フィルムを提供する。【選択図】図1

Description

本開示は、積層フィルム、これを用いた包装容器および包装体、ならびに積層フィルムの製造方法に関する。
保管中に二酸化炭素(炭酸ガス)を発生する内容物を充填した包装体においては、発生した二酸化炭素が包装体内部に充満して、包装体が膨れ上がってしまう現象が発生する。内容物が焙煎済みコーヒー豆またはその粉粒化物である場合には、二酸化炭素の発生量が特に多い。このような現象を防止する為に、包装体に二酸化炭素(炭酸ガス)を逃がすためのバルブを設けていた。しかし、通常のバルブは二酸化炭素だけでなく、香料も同時に逃がしてしまうため、本来のコーヒーの香りを損なう原因となっていた。
このような背景から、香気成分は残し二酸化炭素のみ逃がすという、選択的に気体を通すことができるガス抜きバルブが提案されている(特許文献1)。また、香気成分を逃さないために、二酸化炭素を吸着させて膨張を防ぐフィルム及び積層体が提案されている(特許文献2)。
特開平7-208626号公報 特開2020-163744号公報
特許文献1の発明においては、バルブを貼付する工程があるため、別パーツであるバルブの準備工程と、それを取り付ける工程が別途必要になり、製造工程が複雑となり、コストが高いという問題がある。また、特許文献2に記載の炭酸ガス吸収フィルムは、フィルムの吸収量がある一定以上で飽和してしまうため、重量袋には展開しくい問題がある。また、香気成分の残存に関しては保証されていないため、展開範囲が狭まってしまう問題がある。
本開示は、上記問題に鑑みてなされた発明であり、優れた保香性を備え、かつ、内容物から発生した二酸化炭素が包装体内部に充満することを抑制可能な、包装用の積層フィルムを提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本開示は、基材層と、接着層と、香気成分の吸着及び透過を抑えるための低吸着性ヒートシール層と、をこの順に有する包装用の積層フィルムであり、上記低吸着性ヒートシール層の少なくとも上記接着層側と反対側の表面は、ヒートシール性を有し、かつ環状オレフィン系樹脂を、15質量%以上60質量%以下含有し、上記積層フィルムの二酸化炭素透過度は、7000ml/(m・24h・atm)以上である、積層フィルムを提供する。
また、本開示においては、上述の積層フィルムを備える包装容器を提供する。
また、本開示においては、上述の包装容器と、上記包装容器内に密閉収容された、二酸化炭素を発生し、かつ、香気成分を含有する内容物と、を有する包装体を提供する。
本開示においては、優れた保香性を備え、かつ、内容物から発生した二酸化炭素が包装体内部に充満することを抑制可能な積層フィルムを提供することができるという効果を奏する。
本開示の積層フィルムを例示する概略断面図である。 本開示の積層フィルムを例示する概略断面図である。 実施例におけるGC分析評価結果である。 本開示の包装容器を例示する概略斜視図である。
以下、本開示における実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示における解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
また、本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
A.積層フィルム
図1は、本開示の積層フィルムを例示する概略断面図である。図1に示す本開示の積層フィルム10は、包装用の積層フィルムであり、基材層3と、接着層2と、香気成分の吸着及び透過を抑えるための低吸着性ヒートシール層1と、をこの順に有する。本開示において、低吸着性ヒートシール層1の少なくとも接着層2側と反対側の表面1Sは、ヒートシール性を有し、かつ環状オレフィン系樹脂を、15質量%以上60質量%以下含有するものであり、さらに、上記積層フィルム10は、二酸化炭素透過度が、7000ml/(m・24h・atm)以上であることを特徴とする。本開示の積層フィルムにおける「低吸着性ヒートシール層の少なくとも接着層側と反対側の表面」は、積層フィルムで包装容器を作製し、内容物を密閉収容した包装体とした場合に、内容物と接する側の表面となる。
本発明者らは、接着層側と反対側の表面が、環状オレフィン系樹脂を特定の範囲含有する層である低吸着性ヒートシール層を含み、かつ、二酸化炭素透過度が特定の値以上の包装用の積層フィルムであれば、優れた保香性を備え、かつ、内容物から発生した二酸化炭素が包装体内部に充満することを抑制可能であることを知見した。また、このような積層フィルムであれば、ガス抜きバブル等を包装容器に取り付ける必要がなく、製造工程が容易となり、低コスト化を図ることができる。また、炭酸ガス吸収フィルムのようにフィルムの吸収量がある一定以上で飽和してしまう恐れもないため、重量袋にも展開可能である。
本開示の積層フィルムの二酸化炭素透過度は、7000ml/(m・24h・atm)以上である。上記範囲以上とすることより、積層フィルムを用いて作製した包装容器内にコーヒー豆等の二酸化炭素を発生する内容物を収納した際に、発生した二酸化炭素が包装体内部に充満することを抑制でき、発生した二酸化炭素により包装容器が破損する等の不具合の発生を抑えることができるからである。一方、二酸化炭素透過度の上限は、特に限定されるものではないが、例えば、50000ml/(m・24h・atm)以下であってもよい。
本開示において、二酸化炭素透過度は、以下の測定方法で得られた値である。
[測定方法]
二酸化炭素透過度は、「高分子電解質膜用ガス透過率測定装置GTR-10FC」(GTRテック株式会社製)を用いて、温度23℃、湿度60%RHの測定条件で、JIS K 7126-2(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第2部:等圧法)に基づき測定することができる。サンプル片の大きさは、直径50mmの円形状である。
1.低吸着性ヒートシール層
本開示における低吸着性ヒートシール層は、環状オレフィン系樹脂を含有し、ヒートシール性を有する樹脂フィルムである。環状オレフィン系樹脂を含有することで、香気成分の吸着と透過を抑えることができる。本開示においては、低吸着性ヒートシール層の少なくとも接着層側(基材層側)と反対側の表面は、環状オレフィン系樹脂を、15質量%以上60質量%以下含有する。環状オレフィン系樹脂を15質量%以上60質量%以下含有することで、優れた保香性を備えかつ、必要なシール強度を得ることができる。
低吸着性ヒートシール層は、単層構成であっても、2層以上の多層構成であってもよいが、2層以上の多層構成であることが好ましい。多層構成の場合には、各層の組成は同一であっても異なっていてもよく、環状オレフィン系樹脂を含有しない層を有していてもよく、環状オレフィン系樹脂の含有量が異なる2つ以上の層が含まれていてもよい。本開示においては、環状オレフィン系樹脂を含有する層を、環状オレフィン系樹脂層と称する。
さらに、低吸着性ヒートシール層は、必要に応じて、低密度ポリエチレンを含有することができる。本開示において用いられる低密度ポリエチレンとしては、高圧法低密度ポリエチレン(以下、LDPEとする場合がある。)であっても、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEとする場合がある。)であってもよい。
なお、本開示における低密度ポリエチレンとは、上記LDPE、および上記LLDPEの両者を含む概念である。
低密度ポリエチレンは、環状オレフィン系樹脂と混合されて環状オレフィン系樹脂層に含有されてもよく、環状オレフィン系樹脂を含有しないポリエチレン層として樹脂フィルム中に含まれていてもよい。
図2は、多層構成の低吸着性ヒートシール層1を有する積層フィルム10を例示する概略断面図である。この例で示す低吸着性ヒートシール層1は、環状オレフィン系樹脂を含有する環状オレフィン系樹脂層11およびポリエチレン層12を含む。この例の環状オレフィン系樹脂層11は、環状オレフィン系樹脂を、15質量%以上60質量%以下含有する低含有率環状オレフィン系樹脂層11bに加え、後述する高含有率環状オレフィン系樹脂層11aを有し、ポリエチレン層12は、LDPEからなる層12aと、LLDPEからなる層12bとを有する。
(1)環状オレフィン系樹脂層
本開示における環状オレフィン系樹脂層は、環状オレフィン系樹脂を含有する層であり、香気成分の低透過性と低吸着性に優れた層である。
本開示における環状オレフィン系樹脂層は、少なくとも、環状オレフィン系樹脂を、15質量%以上60質量%以下含有する層(低含有率環状オレフィン系樹脂層)を有し、上記低含有率環状オレフィン系樹脂層が、低吸着性ヒートシール層の接着層側とは反対側の表面(好ましくは、積層フィルムの最表面)を構成するように位置することが好ましい。低含有率環状オレフィン系樹脂層中の環状オレフィン系樹脂の含有量は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。例えば、混合する他の樹脂が低密度ポリエチレンの場合、よりヒートシール性を向上させることができるからである。
上記環状オレフィン系樹脂の量は、結晶性の違いを利用した分別法である結晶化溶出分別法により、定量することができる。
本開示における環状オレフィン系樹脂層は1層からなる単層構成であっても、2層以上の多層構成であってもよく、2層以上の多層構成であることが好ましい。
環状オレフィン系樹脂層は、環状オレフィン系樹脂のみからなる層を含んでも良く、環状オレフィン系樹脂と他の種類の熱可塑性樹脂との混合物を含有する層を含んでも良い。他の種類の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンが好ましい。香気成分の低吸着性と低透過性とヒートシール性を確実に発揮することができるためである。これらの中でも、環状オレフィン系樹脂と、低密度ポリエチレンとの混合物を含有する層であることがより好ましい。
本開示において上記環状オレフィン系樹脂層は、全樹脂成分中に、上記環状オレフィン系樹脂が、80質量%以上、97質量%以下であり、上記LDPEが、3質量%以上、20質量%以下である高含有率環状オレフィン系樹脂層を有することが好ましい。
また、全樹脂成分中に、上記環状オレフィン系樹脂が、15質量%以上、60質量%以下であり、上記LDPEが、3質量%以上、10質量%以下であり、さらに上記LLDPEが、30質量%以上、80質量%以下である低含有率環状オレフィン系樹脂層を有することが好ましい。
この場合、上記低含有率環状オレフィン系樹脂層は、上記低吸着性ヒートシール層の接着層側とは反対側の表面に積層されていることが好ましい。このような層構成にすることによって、低吸着性および低透過性と、ヒートシール性のバランスに優れることができるからである。
なお、上記LDPEおよびLLDPEの量は、結晶性の違いを利用した分別法である結晶化溶出分別法により定量することができる。
本開示における環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンとしてノルボルネン系モノマーが用いられたポリノルボルネン系樹脂が好ましく、ノルボルネン系モノマーとアルケンモノマーとの共重合体であることがより好ましい。ノルボルネン系モノマーは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン(ノルボルネン)骨格を有する化合物である。具体的には、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン及びその誘導体、トリシクロ[4.3.0.12.5]-3-デセン及びその誘導体、トリシクロ[4.4.0.12.5]-3-ウンデセン及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]-3-ドデセン及びその誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]-4-ペンタデセン及びその誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12.5.19.12.08.13]-3-ペンタデセン及びその誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]-4,10-ペンタデカジエン及びその誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12.5.19.12.08.13]-3-ヘキサデセン及びその誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのノルボルネン系モノマーは、置換基として、エステル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基等の極性基を有していてもよい。これらの化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ノルボルネン系モノマーとしては、これらの中でも、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン(ノルボルネン)が好ましい。
アルケンモノマーとしては、α-オレフィンモノマーが好ましく、具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。アルケンモノマーとしては、これらの中でも、エチレンが好ましい。
環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に制限は無いが、60℃以上、170℃以下が、包装材料用の原料樹脂として扱い易いため好ましい。
(2)ポリエチレン層
本発明の低吸着性ヒートシール層は、必要に応じて、ポリエチレン層を含むことができる。ポリエチレン層は、環状オレフィン系樹脂を含有せず、ポリエチレンを含有する層である。ここで、ポリエチレンは、低密度ポリエチレンが好ましく、低密度ポリエチレンとしては、上述したLDPEおよびLLDPEを挙げることができる。
ポリエチレン層は、組成が同一または異なる2層以上が存在してもよく、例えば、LDPEからなる層と、LLDPEからなる層とが積層されていることが好ましい。
ポリエチレン層は、低吸着性ヒートシール層の接着層側の表面を構成していることが好ましく、さらには、LDPEからなる層が低吸着性ヒートシール層の接着層側表面を構成していることがより好ましい。ポリエチレン層の表面を、積層フィルム作製時の接着面として用いることで、積層フィルムのラミネート強度を向上することができる。
(3)その他
また、低吸着性ヒートシール層は、必要に応じて、アンチブロッキング性、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、アンチブロッキング剤、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、他の性能に悪影響を与えない範囲で目的に応じて、任意に添加することができる。
これらの内、アンチブロッキング剤、滑剤等に関しては、低吸着性ヒートシール層が多層構成の場合には、低吸着性ヒートシール層の最表面の層(図2において、低吸着性ヒートシール層1の接着層2側の面とは反対側の表面1S)の層にのみ添加することで、効率よく添加することができる。
さらに、低吸着性ヒートシール層、または低吸着性ヒートシール層を構成する各層の表面には、密着性を向上させるために、積層前に、予め、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的な処理や、化学薬品を用いた酸化処理などの化学的な処理を施しておくこともできる。
低吸着性ヒートシール層の全厚さは、20μm以上、150μm以下が好ましい。上記範囲よりも薄いと保香性が不十分になる虞があり、上記範囲よりも厚くても、保香性はあまり変化せず、積層フィルムを作製した場合の剛性のバランス等を採り難くなり易い。
本開示においては、上記環状オレフィン系樹脂含有層の厚さが、低吸着性ヒートシール層の全厚さの20%以上、50%以下であることが好ましい。上記範囲よりも薄いと保香性が不十分になる虞があり、上記範囲よりも厚くても、保香性はあまり変化せず、低吸着性積層体を作製した場合の剛性のバランス等を採り難くなり易い。
(4)低吸着性ヒートシール層の製造方法
本開示において、低吸着性ヒートシール層は低吸着性ヒートシールフィルムからなる。
低吸着性ヒートシールフィルム及び低吸着性ヒートシールフィルム中の各層の製膜、積層方法は特に限定されず、公知または慣用の製膜方法、積層方法を適用することができる。
低吸着性ヒートシールフィルムを構成する各層を、場合により接着層を介して、他の層上に押出しまたは共押出してエクストルージョンコート法により積層することや、複数の層を押出しまたは共押出してインフレーション法によって製膜したり、キャスト法により形成することもできる。
または、予め製膜された各層のフィルムを、接着剤の、エクストルージョンコート法、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法等により、接着層を介してラミネートしてもよい。
エクストルージョンコート法により積層する場合においては、まず、各層を形成する樹脂又は樹脂組成物を加熱して溶融させて、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に押出し、該溶融物を被積層面上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、各層の形成と被積層面への接着と積層を同時に行うことができる。
エクストルージョンコート法により積層する場合の、各層の樹脂または樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、0.2~50g/10分であることが好ましく、0.5~30g/10分がより好ましい。MFRが上記範囲よりも低いまたは高いと、加工適正に劣り易い。なお、MFRは、JIS K7210に準拠した手法から測定された値である。
インフレーション法を用いる場合の、各層の樹脂または樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、0.2~10g/10分であることが好ましく、0.2~9.5g/10分がより好ましい。MFRが上記範囲よりも低いまたは高いと、加工適正に劣り易い。
2.基材層
本開示の積層フィルムの基材層としては、積層フィルムの二酸化炭素透過度を上述の範囲とすることができるものであれば特に限定されず、積層フィルムの用途に応じて任意のフィルムまたはシートを使用することができる。
基材層としては、例えば、ナイロンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を好適に使用できるほか、紙材等も使用することができる。これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて使用してもよい。また、基材層は、延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよいが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよい。
さらに、基材層表面、または基材層を構成する各層間には、接着性を向上させるために、接着剤層を設けたり、各層の表面に、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けたりすることができる。
例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスまたは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いた酸化処理等の前処理を任意に施して、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
或いは、表面に、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、蒸着アンカーコート剤層等の各種コート剤層を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
基材層が紙材からなる層を含む場合には、さらに、紙材の低吸着性シーラント層とは反対の面上に、保護層を有することが好ましい。保護層は、内容物が湿潤性内容物で有る場合に、基材層の耐水性を向上させるものであり、ポリエチレン系樹脂を含むことが好ましい。
3.接着層
本開示では、接着層によって、各層間を接着することができる。接着層は、一般的な公知の、ドライラミネート用接着剤、EC(エクストルージョンコート)用接着剤、ノンソルベントラミネート用接着剤、任意のアンカーコート剤等を用いて形成することができる。
接着剤は、熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型等であってよく、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの形態でもよく、また、その性状は、フィルム/シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよい。
4.その他の層
本開示の積層フィルムは、印刷層を含んでもよい。印刷層の印刷内容には特に制限は無い。例えば、文字、単色ベタ、明暗色彩模様、凹凸模様、凹凸による回折光沢を呈するものが挙げられる。また、印刷機器による印刷によって形成されたものであってもよく、筆記具によって描かれたものであってもよく、または、絵柄や文字を有するフィルムまたはシートを積層したものであってもよい。
印刷層の厚みは、印刷内容や積層フィルムの用途に応じて、当業者が適宜に決定することができるが、好ましくは5~500μm、より好ましくは10~300μmである。印刷層の表面には、密着性を向上する為に、必要に応じて、各種の表面処理を施すこともできる。
本開示の積層フィルムは、バリア層を有しないことが好ましい。二酸化炭素を透過し難くするからである。本開示において、バリア層とは、金属箔、金属蒸着膜、酸化金属蒸着膜なる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
5.用途
本開示の積層フィルムは、二酸化炭素を発生し、かつ、香気成分を含有する液体、または固体、具体的には、焙煎済みコーヒー豆またはその粉粒化物を内容物とする容器に用いられることが好ましい。
焙煎済みコーヒー豆またはその粉粒化物用の容器として用いることにより、焙煎済みコーヒー豆またはその粉粒化物から発生する二酸化炭素を容器外に排出することが可能となり、特別な内部圧力を調整するための成形品を用いることなく、長期間の保管に際しての二酸化炭素の充満による容器の破損を防止することができると同時に、焙煎済みコーヒー豆またはその粉粒化物の香気成分を、外部に逃すことを防止することが可能となる。
具体的には、本開示の積層フィルムは、焙煎済みコーヒー豆またはその粉粒化物の香気成分の透過を防止する機能を有する。
本開示においては、上記香気成分としては、アルデヒド・ケトン系、環状エーテルフラン系、炭化水素系、硫黄系、エステル系等の化合物が挙げられる。具体的には、アセトアルデヒド、アセトン、2-ブタノン、2-メチルブタナール、3-メチルブタナール、ジアセチル等のアルデヒド・ケトン系化合物、フラン、2-メチルフラン、3-メチルフラン、2,5-ジメチルフラン等の環状エーテルフラン系化合物、2-ペンテン、イソブテン等の炭化水素系化合物、硫化カルボニル等の硫黄系化合物、酢酸メチル等のエステル系化合物等が挙げられる。
B.積層フィルムの製造方法
本開示では、少なくとも一方の表面が、ヒートシール性を有し、かつ環状オレフィン系樹脂を、15質量%以上60質量%以下含有する、香気成分の吸着及び透過を抑えるための低吸着性ヒートシールフィルムを準備する工程と、基材上に接着剤を塗布する工程と、上記低吸着性ヒートシールフィルムを、上記ヒートシール性を有する表面が上記接着剤側とは反対側となるように、上記接着剤を介して上記基材と貼り合わせる工程と、を有する包装用の積層フィルムの製造方法を提供する。このような積層フィルムの製造方法であれば、優れた保香性を備え、かつ、内容物から発生した二酸化炭素が包装体内部に充満することを抑制可能な、包装用の積層フィルムを得ることができる。
1.低吸着性ヒートシールフィルム準備工程
低吸着性ヒートシールフィルムは、上記「A.積層フィルム 1.低吸着性ヒートシール層」で詳述した低吸着性ヒートシールフィルムであるため、ここでの説明は省略する。また、低吸着性ヒートシールフィルムは、エクストルージョンコート法またはインフレーション法により製造して準備することが好ましい。
2.接着剤塗布工程
基材、接着剤は、「A.積層フィルム 2.基材層」、「A.積層フィルム 3.接着剤層」と同様であるため、ここでの説明は省略する。
3.貼り合わせ工程
貼り合わせ工程では、低吸着性ヒートシールフィルムを、ヒートシール性を有する表面が接着剤側とは反対側となるように、接着剤を介して基材と貼り合わせる。これにより、基材層と、接着層と、香気成分の吸着及び透過を抑えるための低吸着性ヒートシール層と、をこの順に有する包装用の積層フィルムが得られる。
C.包装容器
本開示においては、上述の積層フィルムを備える包装容器を提供する。本開示における包装容器は、上述の積層フィルムを用いて、上記低吸着性ヒートシール層が内容物に接するように作製された包装容器である。このような包装容器であれば、優れた保香性を備えつつ、二酸化炭素を発生する内容物を密閉収容した包装体とした場合に、内容物から発生した二酸化炭素が内部に充満することを抑制することができる。図4に、本開示の包装容器の概略斜視図を示す。図4に示す包装容器100は、積層フィルム10を備え、内部に内容物を収納可能なものである。
1.積層フィルム
本開示の包装容器に用いる積層フィルムついては、上記「A.積層フィルム」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
2.包装容器
本開示の包装容器の形状は特に限定されず、袋状、箱状、チューブ状等が挙げられる。包装容器は、密封可能であることが好ましい。袋状の包装容器としては、例えば、上述の積層フィルムを使用し、これを二つ折にするか、又は上述の積層フィルム2枚を用意し、その低吸着性シーラント層の面を対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして製袋した種々の形態の包装袋が挙げられる。袋状としては、パウチ袋状に密閉されて製袋されたものが好ましい。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
箱状の包装容器としては、例えば、基材層に紙材を有する本開示の積層フィルムを用いて、低吸着性シーラント層が接内容物層になるように製函されたものが挙げられる。
本開示の包装容器は、成型品を備えていても良い。例えば、内容物(特には、焙煎済みコーヒー豆またはその粉粒化物)を取り出すための口栓を備えることができる。また、本開示の包装容器は、再封止手段を備えることができる。再封止手段としては、例えばチャックテープを用いることができる。図4に示すように、チャックテープ101は、例えば、雄型部材Xと雌型部材Yとを有し、包装容器100を構成する積層フィルム10の最内層(内容物側の層)の片側に雄型部材Xを取り付け、対面側に雌型部材Yを取り付けることにより構成される。包装容器を開封した後、雄型部材と雌型部材を嵌合させることにより、包装容器を再封することができる。
一方、本開示の包装容器は、内容物(特には、焙煎済みコーヒー豆またはその粉粒化物)から発生する二酸化炭素の透過性が高い積層フィルムを用いるため、ガス抜けバルブを必要としない。そのため、内容物(特に、焙煎済みコーヒー豆またはその粉粒化物)の香気や風味が、ガス抜けバルブを介して包装容器外部に散逸されることを防止することができる。ガス抜けバルブには、例えば、シール型アウターバルブやボタン型インナーバルブがある。これらのガス抜けバルブは、例えば、内容物から発生した二酸化炭素によって、包装体内部が包装体外部よりも高圧になった時に、弁として機能して、包装体内部に充満した二酸化炭素(炭酸ガス)を含む高圧空気を外部に排出して、包装袋内部の気圧を外部と同等になるように調節する働きをする。
D.包装体
本開示では、上述の包装容器と、包装容器内に密閉収容された、二酸化炭素を発生し、かつ、香気成分を含有する内容物と、を有する包装体を提供する。このような包装体であれば、内容物の香気を維持することに優れ、かつ、内容物から発生した二酸化炭素が内部に充満することを抑制することができる。
1.包装容器
本開示における包装容器については、上記「C.包装容器」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。包装体における包装容器は、密閉された状態である。
2.内容物
包装容器に充填される内容物は、二酸化炭素を発生し、かつ、香気成分を含有する液体、固体等であり、具体的には、焙煎済みコーヒー豆またはその粉粒化物等が挙げられる。
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。
[低吸着性ヒートシールフィルム1の作製]
(1)高含有率環状オレフィン系樹脂層を構成する樹脂組成物として、COC(TOPAS(登録商標)8007F-600(ポリプラスチックス(株)製)、ノルボルネン由来繰り返し単位の含有量65質量%、ガラス転移温度78℃)97質量%と、LDPE(旭化成ケミカルズ(株)製サンテックM6545、MFR45.0g/10分、密度0.915g/cm)3質量%とを十分に混練して、樹脂組成物を調製した。
(2)低含有率環状オレフィン系樹脂層を構成する樹脂組成物として、COC(TOPAS(登録商標)8007F-600(ポリプラスチックス(株)製))20質量%、LLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製ユメリット(登録商標)0520F、MFR2g/10分、密度0.904g/cm)45質量%、LDPE(サンテックM6525)5質量%、及び、アンチブロッキング剤マスターバッチ(住友化学(株)製、EMB-21、MFR4g/10分、合成ゼオライト含有)30質量%を十分に混練して、樹脂組成物を調製した。
(3)外層及び第一のポリエチレン層を構成する樹脂として、LDPE(日本ポリエチレン(株)製ノバテック(登録商標)LC522、MFR4.0g/10分、密度0.923g/cm)を用意した。さらに、第二のポリエチレン層を構成する樹脂として、LLDPE(プライムポリマー製ウルトゼックス(登録商標)1520L、MFR2.3g/10分、密度0.914g/cm)を用意した。
(4)上記(1)~(3)で用意した樹脂及び樹脂組成物を用いて、インフレーション法を用いた5層共押出製膜法により、外層7.5μm/第一のポリエチレン層7.5μm/第二のポリエチレン層10μm/高含有率環状オレフィン系樹脂層7.5μm/低含有率環状オレフィン系樹脂層7.5μmの層構成を有する、低吸着性シーラントフィルム1(厚さ40μm)を製造した。なお、本願明細書において、「/」はその左右の層が積層一体化されていることを示す。低吸着性ヒートシールフィルム中の環状オレフィン系樹脂含有量比率は、23.2%であった。また、積層フィルムとした時に、低吸着性シーラントフィルム(低吸着性ヒートシール層)の接着層側と反対側の表面を構成する低含有率環状オレフィン系樹脂層の環状オレフィン系樹脂含有量比率は、20質量%であった。
[低吸着性ヒートシールフィルム2の作製]
(1)高含有率環状オレフィン系樹脂層を構成する樹脂組成物として、COC(ポリプラスチックス(株)製TOPAS(登録商標)8007F-600、ノルボルネン由来繰り返し単位の含有量65質量%、ガラス転移温度78℃)97質量%と、LDPE(旭化成ケミカルズ(株)製サンテックM6545、MFR45.0g/10分、密度0.915g/cm)3質量%とを十分に混練して、樹脂組成物を調製した。
(2)低含有率環状オレフィン系樹脂層を構成する樹脂組成物として、COC(TOPAS(R)8007F-600)20質量%、LLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製ユメリット(R)0520F、MFR2g/10分、密度0.904g/cm)45質量%、LDPE(サンテックM6525)5質量%、及び、アンチブロッキング剤マスターバッチ(住友化学(株)製、EMB-21、MFR4g/10分、合成ゼオライト含有)30質量%を十分に混練して、樹脂組成物を調製した。
(3)外層のポリエチレン層を構成する樹脂として、LDPE(日本ポリエチレン(株)製ノバテック(登録商標)LC522、MFR4.0g/10分、密度0.923g/cm)を用意した。
(4)上記(1)~(3)で用意した樹脂及び樹脂組成物を用いて、インフレーション法を用いた3層共押出製膜法により、外層5μm/高含有率環状オレフィン系樹脂層20μm/低含有率環状オレフィン系樹脂層15μmの層構成を有する、低吸着性シーラントフィルム2(厚さ40μm)を製造した。低吸着性ヒートシールフィルム中の環状オレフィン系樹脂含有量比率は、57.5%であった。また、積層フィルムとした時に、低吸着性シーラントフィルム(低吸着性ヒートシール層)の接着層側と反対側の表面を構成する低含有率環状オレフィン系樹脂層の環状オレフィン系樹脂含有量比率は、20質量%であった。
[積層フィルムの作製]
(実施例1、実施例2)
下記の各基材に、ポリエステルウレタン接着剤(ロックペイント製、RU-004/H-1(配合比7.5/1))を3.5~4g/mの塗布量で塗布し、乾燥後、シーラント層である上記低吸着性シーラントフィルム1を外層が接着層側となるようにドライラミネートし、40℃にて72時間静置し、紙/接着層/低吸着性ヒートシールフィルム1の構成を有する積層フィルム1(実施例1)、PEF/接着層/低吸着性ヒートシールフィルム1の構成を有する積層フィルム2(実施例2)を得た。
紙:日本製紙 CUP-AC(F) 255g/m
PEF(低密度ポリエチレンフィルム):大日本印刷 SKS 40μm
(実施例3)
基材である紙(日本製紙 CUP-AC(F) 255g/m)に、押出しEC方で低密度PE(日本ポリエチレン LC520)を貼り合わせて作製した紙/PEのPE側に、接着剤(ロックペイント製、RU-004/H-1(配合比7.5/1))を3.5~4g/mの塗布量で塗布し、乾燥後、シーラント層である低吸着性シーラントフィルム1を外層が接着層側となるようにドライラミネートし、40℃にて72時間静置し、紙/PE/接着層/低吸着性ヒートシールフィルム1の構成を有する積層フィルム3を得た。
(比較例1)
基材であるPETフィルム(東洋紡 E5100 12μm)のコロナ処理面に、接着剤(ロックペイント製、RU-004/H-1(配合比7.5/1))を3.5~4g/mの塗布量で塗布し、乾燥後、シーラント層である低吸着性シーラントフィルム1を外層が接着層側となるようにドライラミネートし、40℃にて72時間静置。PET/接着層/低吸着性ヒートシールフィルム1の構成を有する積層フィルム4を得た。
[二酸化炭素透過度の測定]
得られた積層フィルムについて、二酸化炭素透過度を測定した。測定はJIS K 7126-2(等圧式)に基づき実施した。測定装置は「高分子電解質膜ガス透過率測定装置GTR-10FC」(GTRテック株式会社製)を使用した。サンプル片の大きさは直径50mmの円盤状とした。
積層フィルム1、積層フィルム2、積層フィルム3の二酸化炭素透過度は、それぞれ、
12,000ml/(m・24h・atm)、10,200ml/(m・24h・atm)、8,500ml/(m・24h・atm)であった。積層フィルム4の二酸化炭素透過度は、2000ml/(m・24h・atm)であった。
[評価]
上記で製造した積層フィルムおよび積層フィルムの製造に用いた低吸着性ヒートシールフィルムについて、以下の評価を行った。
・二酸化炭素透過性評価
上記で製造した、実施例1、実施例3および比較例1の積層フィルムの二酸化炭素透過性について、以下のように評価した。積層フィルムを用いてA4の半分の大きさでパウチを作製し、内容量20gを入れ、シールした。そのパウチの一回り大きいサイズの非吸着パウチ(ジーエルサイエンス社SMART BAG)を外袋として2重袋を作製した。常温、37℃ドライでそれぞれ1週間保存した。保存後、内容物が入った内袋と外袋の間の空気をシリンジで吸引し、MOCON社製のDansensor「CheckPoint II」にて、シリンジ内の二酸化炭素濃度を測定した。低吸着性ヒートシールフィルム単体(COCフィルム)と、ポリエチレンフィルム単体(PEフィルム)の二酸化炭素透過性についても、同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2023046555000002
・保香性評価(GC分析、官能評価)
上記で製造した積層フィルムの保香性について、以下のようにGC分析評価および官能評価を行った。
(1)GC分析評価
上記で製造した低吸着性ヒートシールフィルム単体(COCフィルム)と、ポリエチレンフィルム単体(PEフィルム)、および参考として穴あきアルミ袋を用いてA4の半分の大きさでパウチを作製し、内容量20gを入れ、シールした。コーヒー豆から焙煎した粉を20g入れ、その外側に一回り大きい非吸着パウチ(ジーエルサイエンス社SMART BAG)を外袋として入れた2重パウチを、37℃1か月半保存し、ブランク品(※)と比較した。内袋と外袋の空間からシリンジにて適量ガスを吸引し、ガス成分を分析した。分析は、におい嗅ぎGC装置「Agilent製7890A GC System」を使用した。分析結果を図3(a)~(c)に示す。
※ブランク品:非吸着パウチに直接同量の中身(コーヒー豆から焙煎した粉)を入れ、パウチ内部のガスを直接吸引して、同量の分析を行った。
(2)官能評価
官能評価として、においが低い、やや低い、同等として比較した。評価方法および評価基準を以下に示す。
[評価方法]
上記で製造した、実施例1、実施例3および比較例1の積層フィルムを用い、上記「(1)GC分析評価」と同様に2重パウチを作製し、パウチ(内袋)から漏れ出た匂いを確認するため、上記2重パウチの上記外袋を開封し、各仕様ごとに1回鼻から匂いをかいで、比較した。被験者は5名、同様のパウチで上記行為を2回行い、下記評価基準にてブランクとの比較で点数をつけて総合点を算出し、順位付けを行った。結果を表2に示す。点数が少ない(つまり漏れ出た匂いが少ない)仕様が、匂いを内部に封じ込められている。すなわち、香味を保持していることを意味する。
評価基準
1:匂いを感じない
2:多少匂いを感じる
3:匂いを感じる
4:強い匂いを感じる。
Figure 2023046555000003
表1から、本開示の積層フィルムは、二酸化炭素の透過性が良好であることが確認された。図3から、低吸着性ヒートシールフィルムを用いた場合、ブランクと比較し、香気成分の強度及び面積が小さい傾向であり、すなわち、香気成分のガス透過を抑制できている事が確認された。また、穴あきアルミ袋、PE袋と比較しても、各成分の強度及び面積が小さい傾向であることが確認された。また、表2の結果から、においかぎGCの分析結果(図3)と官能評価の結果について、相関性があることが確認された。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
1 … 低吸着性ヒートシール層
2 … 接着層
3 … 基材層
10 … 積層フィルム

Claims (11)

  1. 基材層と、接着層と、香気成分の吸着及び透過を抑えるための低吸着性ヒートシール層と、をこの順に有する包装用の積層フィルムであり、
    前記低吸着性ヒートシール層の少なくとも前記接着層側と反対側の表面は、ヒートシール性を有し、かつ環状オレフィン系樹脂を、15質量%以上60質量%以下含有し、
    前記積層フィルムの二酸化炭素透過度は、7000ml/(m・24h・atm)以上である、積層フィルム。
  2. 前記低吸着性ヒートシール層の少なくとも前記接着層側と反対側の表面は、前記環状オレフィン系樹脂と低密度ポリエチレンとの混合物を含有する、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記低吸着性ヒートシール層が、前記接着層側から、ポリエチレン層と、前記環状オレフィン系樹脂を含む環状オレフィン系樹脂層と、をこの順に有し、
    前記ポリエチレン層は、前記環状オレフィン系樹脂を含有せず、低密度ポリエチレンを含有する層である、請求項1または請求項2に記載の積層フィルム。
  4. 前記ポリエチレン層は、高圧法低密度ポリエチレンを有する層と、直鎖状低密度ポリエチレンを有する層とを有し、
    前記低吸着性ヒートシール層の前記接着層側の表面が、前記高圧法低密度ポリエチレンを有する層であることを特徴とする、請求項3に記載の積層フィルム。
  5. 前記環状オレフィン系樹脂層は、
    全樹脂成分中に、前記環状オレフィン系樹脂が、80質量%以上、97質量%以下であり、高圧法低密度ポリエチレンが、3質量%以上、20質量%以下である高含有率環状オレフィン系樹脂層と、
    全樹脂成分中に、前記環状オレフィン系樹脂が、15質量%以上、60質量%以下であり、前記高圧法低密度ポリエチレンが、3質量%以上、10質量%以下であり、直鎖状低密度ポリエチレンが、30質量%以上、80質量%以下である低含有率環状オレフィン系樹脂層と、を有し、
    前記低含有率環状オレフィン系樹脂層は、前記低吸着性ヒートシール層の前記接着層側とは反対側の表面に積層されている、請求項3または請求項4に記載の積層フィルム。
  6. 前記基材層は、紙材からなる層を有する、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の積層フィルム。
  7. 前記基材層は、ナイロンフィルム、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムからなる層を有する、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の積層フィルム。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の積層フィルムを備える包装容器。
  9. 請求項8に記載の包装容器と、前記包装容器内に密閉収容された、二酸化炭素を発生し、かつ、香気成分を含有する内容物と、を有する包装体。
  10. 前記内容物が、焙煎済みコーヒー豆またはその粉粒化物である、請求項9に記載の包装体。
  11. 少なくとも一方の表面が、ヒートシール性を有し、かつ環状オレフィン系樹脂を、15質量%以上60質量%以下含有する、香気成分の吸着及び透過を抑えるための低吸着性ヒートシールフィルムを準備する工程と、
    基材上に接着剤を塗布する工程と、
    前記低吸着性ヒートシールフィルムを、前記ヒートシール性を有する表面が前記接着剤側とは反対側となるように、前記接着剤を介して前記基材と貼り合わせる工程と、を有する包装用の積層フィルムの製造方法。
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