JP6427870B2 - 低吸着性シーラントフィルム並びにそれを用いた積層体及び包装袋 - Google Patents
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Description
したがって、これらの樹脂からなるシーラント層を最内層、すなわち内容物と接する層として有する包装材は、有機化合物を有効成分として含む化成品、医薬品、食品等の包装には不適であり、あらかじめ内容物中に有効成分を多めに含ませる等の対策が必要である。
しかしながら、アクリロニトリル系樹脂は、良好なシール強度が得られず、また高価であるため、より好ましい低吸着性シーラントの開発が求められている。
1.少なくとも、第一のポリオレフィン系樹脂層と、第二のポリオレフィン系樹脂層と、第一の環状ポリオレフィン系樹脂層と、第二の環状ポリオレフィン系樹脂層がこの順に隣接して積層されていることを特徴とする、シーラントフィルム。
2.前記第一のポリオレフィン系樹脂層と、前記第二のポリオレフィン系樹脂層と、前記第一の環状ポリオレフィン系樹脂層と、前記第二の環状ポリオレフィン系樹脂層との共押出により形成されてなることを特徴とする、上記1に記載のシーラントフィルム。
3.前記第一及び第二のポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする、上記1または2に記載のシーラントフィルム。
4.前記第一のポリオレフィン系樹脂層の厚みが10〜50μmであり、前記第二のポリオレフィン系樹脂層の厚みが25〜90μmであり、前記第一の環状ポリオレフィン系樹脂層の厚みが2〜10μmであり、前記第二の環状ポリオレフィン系樹脂層の厚みが3〜30μmであることを特徴とする、上記1〜3のいずれかに記載のシーラントフィルム。5.上記1〜4のいずれかに記載のシーラントフィルムをシーラント層として有する積層体であって、該シーラントフィルムの第二の環状ポリオレフィン系樹脂層が、積層体における最表層であることを特徴とする積層体。
6.上記5に記載の積層体からなる包装袋であって、該積層体を、前記第二の環状ポリオレフィン系樹脂層が最内層となるように重ね合せ、製袋して得られることを特徴とする、上記包装袋。
7.上記6に記載の包装袋に内容物を充填してなる包装体。
また、この効果は、これら4層を共押出することにより、特にインフレーション法により共押出することにより、一層顕著になる。
また、自立性袋(スタンディングパウチ)等の最内層を形成するのに十分な高いシール強度を示す。さらに、本発明の環状ポリオレフィン系樹脂は、高い分子間力を発揮し、分
子間の距離が近い密な表面構造を有するため、該樹脂を含む本発明のシーラントフィルムは、低分子量成分の溶出を抑制し、保香性に優れる。
また、一般に、環状ポリオレフィン系樹脂は、その溶融成膜時に、高い分子間力が働き、ポリマー間で凝集を引き起こすことが知られている。その結果、膜の至る所で樹脂が凝集して瘤状のゲル塊を形成し、均一な膜表面を得ることが難しい。そして、この傾向は、インフレーション法による成膜時には一層顕著になる。
1.本発明のシーラントフィルム及びそれを用いた積層体の層構成
図1〜2は、本発明のシーラントフィルム及びそれを有する積層体の層構成の一例を示す概略的断面図である。
本発明のシーラントフィルムは、図1に示すように、第一のポリオレフィン系樹脂層1、第二のポリオレフィン系樹脂層2、第一の環状ポリオレフィン系樹脂層3、第二の環状ポリオレフィン系樹脂層4の4層を基本の構成とする。
シーラントフィルムAと基材層Bとは、接着剤層10を介してラミネートすることにより積層してもよい。また、本発明のシーラントフィルムの各層を構成する樹脂及び樹脂組成物を、基材層B上に共押出コーティングすることにより、接着剤層を介さずに直接積層することもできる。基材層Bは、包装用途に応じて任意の構成を有してよい。
第一のポリオレフィン系樹脂層は、シーラントフィルムに、柔軟性、カール防止性、滑
り性を付与するための層である。そのため、(1)ポリオレフィン系樹脂と、(2)カール防止剤と、(3)アンチブロッキング剤を有する。
これらの中で、環状ポリオレフィン系樹脂組成物層との接着性が高く、また該層と共押出した際に製膜安定性を一層高めるため、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが特に好ましい。
これらモノマーを、低圧法、スラリー法、溶液法、気相法等の重合方法を用いて重合する。通常は、短鎖分布として炭素数1000個あたり、3〜25個の短鎖分岐を有するが、炭素数約20個を超えるような長鎖分岐は有しない。通常、直鎖状低密度ポリエチレンにおいて、エチレン由来の構造単位は約99.9〜90モル%であり、α−オレフィン由来の構造単位は約0.1〜10モル%である。
本発明では、構造均一性に優れる点で、メタロセン触媒で調製された直鎖状低密度ポリエチレンを好適に使用することができる。
本発明において、上記のポリオレフィン系樹脂の添加量としては、第一のポリオレフィン系樹脂層を構成する樹脂組成物100質量%に対し、40〜95質量%、好ましくは、50〜90質量%である。
上記において、40質量%未満であると、十分な柔軟性を発現することが困難であることから好ましくない。
各層の硬度差により生じる「そり」を解消するための、カール防止剤としては、ポリプロピレン系樹脂、環状尿素化合物、ポリエチレングリコール、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンイミン、エポキシ化ポリアミド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂等や、これらと、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン酢酸ビニル−塩化ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン系共重合体等を併用したものが上げられるが、本発明においては、特にブロックポリプロピレン樹脂が好ましい。
本発明において、上記のカール防止剤の添加量としては、第一のポリオレフィン系樹脂層を構成する樹脂組成物100質量%に対し、5〜20質量%、好ましくは、7〜15質量%である。
上記において、5質量%未満であると、十分なカール防止効果を発現することが困難で
あることから好ましくなく、また20質量%を越えると、この層の他の成分との混練性が不良となり分離してしまう恐れがあることから好ましくない。
アンチブロッキング剤としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸等のケイ酸塩、その他、カオリン、タルク、珪藻土等の無機化合物系のアンチブロッキング剤の1種ないし2種以上を添加することができる。
本発明において、上記のアンチブロッキング剤の添加量としては、第一のポリオレフィン系樹脂層を構成する樹脂組成物100質量%に対し、0.3〜3質量%、好ましくは、0.5〜1質量%である。
上記において、0.3質量%未満であると、フィルムの表面に露出するアンチブロッキング剤の量が少なく、アンチブロッキング効果を発現することが困難であることから好ましくなく、また3質量%を越えると、フィルムの透明性が低下することから好ましくない。
第二のポリオレフィン系樹脂層は、シーラントフィルムに柔軟性を付与すると共に、耐衝撃性や耐落下性を付与するものであり、さらに、第一の環状ポリオレフィン系樹脂層との接着性を確保するための層でもある。そのため、基本的にはポリオレフィン系樹脂からなる。
ポリオレフィン系樹脂層を形成するポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン等が用いられる。
これらの中で、環状ポリオレフィン系樹脂組成物層との接着性が高く、また該層と共押出した際に製膜安定性を一層高めるため、第一のポリオレフィン系樹脂層で用いたのと同様の、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが特に好ましい。
第一の環状ポリオレフィン系樹脂層は、シーラントフィルムに非吸着性を付与するための層であり、基本的には環状ポリオレフィン系樹脂からなる。
第一の環状ポリオレフィン系樹脂層は、主成分である環状ポリオレフィン樹脂のみ、あるいはこれとオレフィン系樹脂とを含む環状ポリオレフィン系樹脂組成物からなる。
開環メタセシス重合体(COP)を含む第一の環状ポリオレフィン系樹脂層の層厚は、成膜可能な範囲であれば薄くしても差し支えなく、それにより非吸着性やシール強度に大
きな影響は与えない。
環状オレフィンとしては、エチレン系不飽和結合及びビシクロ環を有する任意の環状炭化水素を使用することができるが、特にビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(ノルボルネン)骨格を有するものが好ましい。
また、包装材料として用いる際にヒートシール温度を低くする効果があることから、本発明においては、ガラス転移温度が75℃より低い、環状ポリオレフィン樹脂が適している。
本発明において、開環メタセシス重合体の製造は、公知の開環メタセシス重合反応であれば特に限定されず、上記の環状オレフィンを、重合触媒を用いて開環重合させることによって製造することができる。
本発明において好適に使用される開環メタセシス重合体は、いくつか市販されており、例えば日本ゼオン株式会社製のZEONOR(R)等が挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。
これらの中で、環状ポリオレフィン系樹脂との相溶性がよく、共押出した際に製膜安定性を一層高めるため、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが特に好ましい。
式会社製、ユメリット(R)UM−0520F、住友化学株式会社製のスミカセン(R)等が挙げられる。
そして、これらLLDPE等の添加量は、第一の環状ポリオレフィン系樹脂層を構成する樹脂組成物100質量%に対し、0〜50質量%、好ましくは、0〜30質量%である。
オレフィン系樹脂の配合比率が50質量%より多いと、シーラントフィルムのたるみの防止や製膜はより容易になるが、環状ポリオレフィンの有する非吸着性が損なわれ、また、透明性が低下する。
第二の環状ポリオレフィン系樹脂層は、シーラントフィルムにシール性を付与すると共に、非吸着性と滑り性を付与するための層である。そのため、(1)ポリオレフィン系樹脂と、(2)環状ポリオレフィン系樹脂と、(3)アンチブロッキング剤を有する。
これらの中で、環状ポリオレフィン系樹脂との相溶性がよく、共押出した際に製膜安定性を一層高めるため、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが特に好ましい。
本発明において、上記のポリオレフィン系樹脂の添加量としては、第二の環状ポリオレフィン系樹脂層を構成する樹脂組成物100質量%に対し、10〜80質量%、好ましくは、30〜70質量%である。
上記において、10質量%未満であると、十分なシール性を発揮することが困難であることから好ましくない。
そして、第一の環状ポリオレフィン系樹脂層において用いた環状ポリオレフィン系樹脂を、この層の環状ポリオレフィン系樹脂として用いることができる。
上記において、20質量%未満であると、十分な非吸着性を発揮することが困難であることから好ましくない。また50質量%より多いと十分なシール性が発揮できなくなる。
アンチブロッキング剤としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸等のケイ酸塩、その他、カオリン、タルク、珪藻土等の無機化合物系のアンチブロッキング剤の1種ないし2種以上を添加することができる。
第一のポリオレフィン系樹脂層において用いたアンチブロッキング剤を、この層のアンチブロッキング剤として用いることができる。
上記において、0.1質量%未満であると、フィルムの表面に露出するアンチブロッキング剤の量が少なく、アンチブロッキング効果を発現することが困難であることから好ましくなく、また5質量%を越えると、フィルムの透明性が低下することから好ましくない。
なお、上記の各4層には、適宜、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、架橋剤、染料、顔料等の着色剤、更には、改質用樹脂等の添加剤の1種ないし2種以上を添加してもよい。
本発明のシーラントフィルムは、任意の方法により製造されるが、良好な成膜安定性、成膜容易性及び層間密着性を得て、シール強度及び低吸着性を一層高めるために、好ましくは、第一のポリオレフィン系樹脂層と、第二のポリオレフィン系樹脂層と、第一の環状ポリオレフィン系樹脂層と、第二の環状ポリオレフィン系樹脂層とを、共押出することにより製造する。
共押出の方法としては、溶融共押出法(例えばTダイ法、インフレーション法)等の成膜法により、第一のポリオレフィン系樹脂層と、第二のポリオレフィン系樹脂層と、第一の環状ポリオレフィン系樹脂層と、第二の環状ポリオレフィン系樹脂層とを共押出して多層シーラントフィルムを製造することができる。または、これらの樹脂及び樹脂組成物を、任意の基材層上に共押出コーティングすることにより形成してもよい。
特に、インフレーション法を用いて製膜することにより、4層間の密着性が高まり、一層高いシール強度及び低吸着性を示すシーラントフィルムを提供することができる。
本発明のシーラントフィルムは、任意の層厚を有するものでよいが、安定した成膜化及び製品コストの観点から好適には、全体として40〜170μmの層厚を有する。ここで、各層の厚さは、シーラントフィルムを適用する包装材の用途、所望の非吸着性及びシール強度等に応じて適宜に設定することができるが、好適には、第一のポリオレフィン系樹脂層の層厚は、製品コストの観点から、10〜40μm、より好ましくは15〜30μmである。10μmより薄いと、十分な滑り性、カール防止性や柔軟性が確保できない。
第二のポリオレフィン系樹脂層の層厚は、25〜90μm、より好ましくは35〜50μmである。25μmより薄いと、十分な柔軟性や第一の環状ポリオレフィン系樹脂層との接着性と共に、耐衝撃性や耐落下性を確保することができない。また、厚すぎるとコストアップとなる。
さらに、第二の環状ポリオレフィン系樹脂層の層厚は、3〜30μm、より好ましくは
5〜15μmである。3μmより薄いと、高いシール強度が得られず、詰め替え用スタンディングパウチのような高い耐衝撃性が要求される包装用途に不適である。さらに、十分な非吸着性やすべり性が確保できない。また、30μmより厚くしてもシール強度は向上しないため好ましくない。
本発明のシーラントフィルムを、第二の環状ポリオレフィン系樹脂層が積層体における最表層となるように、第一のポリオレフィン系樹脂層側の表面を任意の基材層と対向させて積層し、積層体を得ることができる。
そして、基材層を構成する基材フィルムは、特に限定されず、包装体の構成や、物流において要求される機械的強度、耐薬品性、耐溶剤性、製造性等に応じて、種々の材料が適用できる。
(1) ONフィルム/接着剤層/シーラントフィルム;
(2) ONフィルム/接着剤層/一軸延伸または二軸延伸HDPEフィルム/接着剤層/シーラントフィルム ;
(3) ONフィルム/接着剤層/一軸延伸または二軸延伸PPフィルム/接着剤層/シーラントフィルム;
(4) ONフィルム/接着剤層/一軸延伸または二軸延伸PPフィルム/接着剤層/アルミニウム箔/接着剤層/シーラントフィルム ;
(5) ONフィルム/シリカまたはアルミナまたはアルミニウム蒸着層/接着剤層/一軸延伸または二軸延伸HDPEフィルム/接着剤層/シーラントフィルム;
(6) ONフィルム/アンカーコート剤層/HDPE層/シーラント層[ここで、HDPE層及びシーラント層は、共押出コーティング法によりアンカーコート剤層上に積層される];
(7) ONフィルム/アンカーコート剤層/HDPE層/低密度ポリエチレン(LDPE)層/接着剤層/シーラントフィルム[ここで、HDPE層及びLDPE層は、共押出コーティング法によりアンカーコート剤層上に積層される];
(8) PETフィルム/接着剤層/アルミニウム箔/接着剤層/ONフィルム/接着剤層/シーラントフィルム ;
(9) PETフィルム/接着剤層/シリカまたはアルミナまたはアルミニウム蒸着層/ONフィルム/接着剤層/シーラントフィルム;
(10)PETフィルム/接着剤層/ONフィルム/接着剤層/アルミニウム箔/接着剤層/シーラントフィルム ;
(11)PETフィルム/接着剤層/EVOHフィルム/接着剤層/ONフィルム/接着剤層/シーラントフィルム。
上記の本発明の積層体を使用し、第二の環状ポリオレフィン系樹脂層が最内層となるように製袋して、包装袋とすることができる。また、本発明の積層体を、第二の環状ポリオレフィン系樹脂層を最内層とする蓋材として使用し、包装容器を製造することができる。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明の積層体よりなる包装袋や包装容器は、特に、有機化合物を有効成分として含む化成品、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品、マウスウオッシュ等の包装のために、例えば、貼付剤の外袋として、または液体洗剤、液体柔軟剤、液体石鹸等の詰め替え用内容物に使用されるスタンディングパウチとして、好適に使用することができる。特に、本発明の積層体は、低吸着性だけでなく、優れたシール強度を示すため、大容量の液体を充填する必要があるスタンディングパウチのように、高い耐衝撃性が求められる包装袋の製造に適している。
内容物を充填して包装体を製造するには、シールせずに残しておいた充填口から内容物を充填した後、充填口を、例えば脱気シール等によりヒートシールして密封する。
次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
(1)アンチブロッキング剤マスターバッチ(住友化学株式会社製、EMB−21;シリカ10質量%のマスターバッチ)5質量%、ブロックポリプロピレン(サンアロマー株式会社製、PF380A)10質量%、LLDPE(株式会社プライムポリマー製、ウルトラゼックス(R)UZ−1520L)85質量%をブレンドして第一のポリオレフィン系樹脂層を調整した。
(2)アンチブロッキング剤マスターバッチ(住友化学株式会社製、EMB−21)10質量%、LLDPE(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、ユメリット(R)UM−0520F)50質量%及び環状ポリオレフィン(日本ゼオン株式会社製、ZEONEX5000)40質量%をブレンドして、第二の環状ポリオレフィン系樹脂層を調製した。
(3)上記(1)に記載の第一のポリオレフィン系樹脂層と、第二のポリオレフィン系樹
脂層であるLLDPE(株式会社プライムポリマー製、ウルトゼックス(R)1520L)と、第一の環状ポリオレフィン系樹脂層である環状ポリオレフィン(日本ゼオン株式会社製、ZEONEX5000)と、上記(2)に記載の第二の環状ポリオレフィン系樹脂層を、共押出インフレーション法により、第一のポリオレフィン系樹脂層22.5μm/第二のポリオレフィン系樹脂層であるLLDPE層45.0μm/第一の環状ポリオレフィン層5μm/第二の環状ポリオレフィン系樹脂層7.5μmの4層からなる厚さ80μmのシーラントフィルムを製膜した。なお、本願明細書の積層体の記載において、「/」はその左右の層が積層一体化されていることを示す。
(5)基材層のナイロンフィルムを設けた面に接着剤を同様に塗布し、上記(3)で製造した本発明のシーラントフィルムを貼り合せた後、40℃の恒温槽に48時間保管し、接着剤を硬化させて、本発明の積層体を製造した。得られた積層体の層構成は以下のとおりであった:
PETフィルム/接着剤層/アルミ箔/接着剤層/ナイロンフィルム/接着剤層/第一のポリオレフィン系樹脂層/第二のポリオレフィン系樹脂層であるLLDPE層/第一の環状ポリオレフィン系樹脂層/第二の環状ポリオレフィン系樹脂層
シーラントフィルムを、第一のポリオレフィン系樹脂層(22.5μm)/LLDPE層(45.0μm)/第一の環状ポリオレフィン層(12.5μm)とした以外は、実施例1と同様にして包装材料を作製した。
シーラントフィルムを、第一のポリオレフィン系樹脂層(22.5μm)/LLDPE層(50.0μm)/第二の環状ポリオレフィン層(7.5μm)とした以外は、実施例1と同様にして包装材料を作製した。
シーラントフィルムを、LLDPE層(層厚80.0μm)のみで作製した以外は、実施例1と同様にして包装材料を作製した。
(1)吸着性試験
実施例1及び比較例1〜3の積層体を胴材及び底材として用いて、外形寸法:高さ237mm×幅130mm、底部の折り込み部の高さ35mm、シール幅5mmのスタンディングパウチを製造した。また、底部は舟底型のシールパターンでヒートシールした。
上部開口部から、メントール濃度が5μg/mlとなるように調製したメントール-エタノール溶液100mlを充填した後、開口部を脱気シールにより密封した。
50℃の雰囲気下で2週間保存した後、溶液中のメントール含有量をGC/MS法により測定し、吸着量を求めた。
実施例1及び比較例1〜3の積層体を、シーラント面を対向させて重ね合せ、ヒートシーラー(テスター産業(株)製TP-701S HEAT SEAL TESTER)で、170℃で1秒間、圧力
1kgf/cm2でヒートシールした。
次いで、これを幅15mmの短冊状に切り出し、テンシロン引張試験機((株)オリエンテック製 RTC-1310A)を用いて圧着されたシール部を引き剥がし、シール強度を測定した。このときの引張速度は300mm/分とした。
上記吸着性試験と同様にスタンディングパウチを製造し、上部開口部から水450mlを充填した後、開口部を密封した。これを120cmの高さから5回落下させ、破袋しなければ○とし、破袋すれば×とした。
以下の表に結果を示す。
2.第二のポリオレフィン系樹脂層
3.第一の環状ポリオレフィン系樹脂層
4.第二の環状ポリオレフィン系樹脂層
5.PETフィルム
6.接着剤層
7.アルミ箔
8.接着剤層
9.ナイロンフィルム
10.接着剤層
A.シーラントフィルム
B.基材層
Claims (6)
- 少なくとも、第一のポリオレフィン系樹脂層と、第二のポリオレフィン系樹脂層と、第一の環状ポリオレフィン系樹脂層と、第二の環状ポリオレフィン系樹脂層がこの順に隣接して積層されており、第二の環状ポリオレフィン系樹脂層が最内層を構成し、第一及び第二のポリオレフィン系樹脂層が、それぞれ、40〜95質量%及び100質量%の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含み、第一及び第二の環状ポリオレフィン系樹脂層が、それぞれ、70〜100質量%及び20〜50質量%の環状ポリオレフィン樹脂を含み、そして第一の環状ポリオレフィン系樹脂層の層厚が第二の環状ポリオレフィン系樹脂層の層厚より薄いことを特徴とする、シーラントフィルム。
- 前記第一のポリオレフィン系樹脂層と、前記第二のポリオレフィン系樹脂層と、前記第一の環状ポリオレフィン系樹脂層と、前記第二の環状ポリオレフィン系樹脂層との共押出により形成されてなることを特徴とする、請求項1に記載のシーラントフィルム。
- 前記第一のポリオレフィン系樹脂層の厚みが10〜50μmであり、前記第二のポリオレフィン系樹脂層の厚みが25〜90μmであり、前記第一の環状ポリオレフィン系樹脂層の厚みが2〜10μmであり、前記第二の環状ポリオレフィン系樹脂層の厚みが3〜30μmであることを特徴とする、請求項1または2に記載のシーラントフィルム。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のシーラントフィルムをシーラント層として有する積層体であって、該シーラントフィルムの第二の環状ポリオレフィン系樹脂層が、積層体における最表層であることを特徴とする積層体。
- 請求項4に記載の積層体からなる包装袋であって、該積層体を、前記第二の環状ポリオレフィン系樹脂層が最内層となるように重ね合せ、製袋して得られることを特徴とする、上記包装袋。
- 請求項5に記載の包装袋に内容物を充填してなる包装体。
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