JP2023040948A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】パラレル方式のハイブリッド車両の燃費性能の一層の向上を図る。【解決手段】前輪の車軸と後輪の車軸とのうち一方を燃料を燃焼させてトルクを発生させる内燃機関により回転駆動し、他方を蓄電装置から電力供給を受けてトルクを発生させる電動機により回転駆動する車両を制御するものであり、前記内燃機関にて燃料を燃焼させて内燃機関により車軸を駆動するときに、前記蓄電装置の蓄電量が閾値以上であることを条件として、蓄電装置から前記電動機に電力を供給し電動機においてトルクを発生させて電動機が内燃機関に対する機械的な負荷とならないようにする車両の制御装置を構成した。【選択図】図3
Description
本発明は、前輪の車軸と後輪の車軸とのうち一方を内燃機関により回転駆動し、他方を電動機により回転駆動する態様の車両を制御する制御装置に関する。
近時、内燃機関及び電動機の二種の動力源を備えるハイブリッド車両が一定の普及を見ている。シリーズ方式のハイブリッド車両(例えば、下記特許文献を参照)では、内燃機関が発電機を駆動して発電を行い、発電した電力を蓄電装置、即ちリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等のバッテリ及び/またはキャパシタに蓄えるとともに、走行用モータジェネレータに給電する。そして、走行用モータジェネレータが、車軸ひいては駆動輪を回転駆動して車両を走行させる。
走行用モータジェネレータは、車両の制動時に、車軸の惰性回転トルクを利用して発電する回生制動を行い、その発電した電力を蓄電装置に回収し蓄えることができる。
シリーズ方式のハイブリッド車両では、内燃機関は専ら発電のために働く。内燃機関は車軸から機械的に切り離されており、内燃機関から車軸に走行のための駆動トルクを入力することはない。
シリーズ方式とは異なる方式として、内燃機関及び電動機の各々が車軸に対して走行のための駆動トルクを入力するパラレル方式のハイブリッド車両が存在する。パラレル方式では、主として内燃機関から車軸に駆動トルクを入力するだけでなく、電動機からも車軸に駆動トルクを入力して適宜内燃機関をアシストすることができる。あるいは、主として電動機から車軸に駆動トルクを入力するようなこともできる。
パラレル方式を具現する手法として、内燃機関により前輪の車軸を回転駆動し、モータジェネレータにより後輪の車軸を回転駆動する構造を採用することが考えられる。ちょうど、前輪駆動車(特に、FF(Front-engine Ftont-drive)車の後輪側にモータジェネレータを付設したような構成である。内燃機関をファイアリング運転し、なおかつモータジェネレータを電動機として作動させれば、(擬似的な)四輪駆動(4-Wheel Drive)走行となる。モータジェネレータを電動機として作動させなければ、二輪駆動(2-Wheel Drive)走行となる。
また、モータジェネレータを発電機として作動させ、回生制動を実施することもできる。回生発電した電力を蓄電装置に蓄え、その電力を再利用してモータジェネレータを電動機として作動させて車軸を駆動すれば、内燃機関における燃料の消費が抑制される。
内燃機関をファイアリングしその出力するエンジントルクを車軸に供給して車両を走行させる場合、電動機を作動させない、即ち電動機がモータトルクを出力しないならば、電動機が接続する車軸に引き摺られて回転し続け、電動機が内燃機関に対する機械的な負荷となる。その負荷トルクを相殺する分、エンジントルクが増大することになり、内燃機関において消費される燃料の量が増加し、車両の燃費性能の低下を招く懸念が生じ得る。
以上の問題に着目してなされた本発明は、パラレル方式のハイブリッド車両の燃費性能の一層の向上を図ることを所期の目的とする。
本発明では、前輪の車軸と後輪の車軸とのうち一方を燃料を燃焼させてトルクを発生させる内燃機関により回転駆動し、他方を蓄電装置から電力供給を受けてトルクを発生させる電動機により回転駆動する車両を制御するものであり、前記内燃機関にて燃料を燃焼させて内燃機関により車軸を駆動するときに、前記蓄電装置の蓄電量が閾値以上であることを条件として、蓄電装置から前記電動機に電力を供給し電動機においてトルクを発生させて電動機が内燃機関に対する機械的な負荷とならないようにする車両の制御装置を構成した。
その上で、前記内燃機関にて燃料を燃焼させて内燃機関により車軸を駆動するときに、前記蓄電装置の蓄電量が閾値未満であることを条件として、前記電動機を発電機として作動させて発電を行い発電した電力を蓄電装置に充電する。
本発明によれば、パラレル方式のハイブリッド車両の燃費性能の一層の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両の概要を示す。本実施形態の車両は、前輪52の車軸51を内燃機関1により回転駆動し、後輪62の車軸61を電動機たるモータジェネレータ2により回転駆動する、パラレル方式のハイブリッド車両である。ちょうど、いわゆるエンジン横置きのFF車の後輪62側にモータジェネレータ2を付設したような構成となっている。
既存のFF車と同様、内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)と前輪52の車軸51との間には、駆動系のトランスミッション3、例えばトルクコンバータやクラッチ、手動変速機または自動変速機(無段変速機(Continuously Variable Transmission)であることがある)、デファレンシャルギア等が介在している。内燃機関1をファイアリング、即ち燃料を気筒11に供給して燃焼させることで発生するエンジントルクは、トランスミッション3を介して車軸51に伝達され、前輪52を回転させる。内燃機関1をファイアリングせずとも(典型的には、気筒11への燃料供給を一時休止する燃料カットを実行するとき)、前輪52及び車軸51が惰性で回転を続けていると、トランスミッション3のクラッチを切断しない限りその回転トルクが内燃機関1の出力軸に伝達されて、内燃機関1の回転が維持される。
モータジェネレータ2の出力軸と後輪62の車軸61との間には、デファレンシャルギア4が介在している。蓄電装置71からモータジェネレータ2に電力を供給し、モータジェネレータ2を電動機として作動させることで発生するモータトルクは、デファレンシャルギア4を介して車軸61に伝達され、後輪62を回転させる。モータジェネレータ2を電動機として作動させずとも、後輪62及び車軸61が惰性で回転を続けていると、その回転トルクがモータジェネレータ2の出力軸に伝達されて、モータジェネレータ2の回転が維持される。
前輪52の車軸51と、後輪62の車軸61とは、機械的に切り離されている。即ち、前輪52の車軸51は後輪62の車軸61から独立して回転可能であり、後輪62の車軸61もまた前輪52の車軸51から独立して回転可能である。内燃機関1の出力するエンジントルクは後輪62の車軸61には伝達されず、モータジェネレータ2の出力するモータトルクは前輪52の車軸51には伝達されない。
内燃機関1をファイアリング運転し、かつモータジェネレータ2を電動機として作動させることにより、前輪52及び後輪62をともに駆動輪とする4WD走行が可能となる。モータジェネレータ2を電動機として作動させなければ、前輪52のみを駆動輪とする2WD走行となる。また、モータジェネレータ2を発電機として作動させて、回生制動を実施することもできる。
モータジェネレータ2に対する電力の供給源となる蓄電装置71は、バッテリ及び/またはキャパシタからなる。本実施形態では、蓄電装置71として、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等を想定している。この蓄電装置71は、容量が比較的大きく、多くの電力量を蓄えることができる。そして、後輪62を駆動するモータジェネレータ2に必要な大きさの電圧及び電流を印加することが可能である。
上記の蓄電装置71とは別に、本実施形態の車両では、内燃機関1の点火プラグ112、インジェクタ111、スロットルモータ等や、車体に実装されている照明灯その他の電装系の電気負荷9に対して電力を供給するための副蓄電装置72を配設している。副蓄電装置72もまた、バッテリ及び/またはキャパシタからなる。本実施形態では、副蓄電装置72として、鉛二次電池等を想定している。蓄電装置71と比較すると、副蓄電装置72はその容量が小さく、出力電圧及び出力電流も小さい。
内燃機関1には、発電機であるオルタネータ17が付随している。オルタネータ17は、内燃機関1の出力軸と機械的に接続し、エンジントルクの供給を受けて稼働する補機の一つである。オルタネータ17は、内燃機関1のファイアリング運転中に発電を行うことができ、その発電した電力を以て副蓄電装置72を充電することができる。
だが、オルタネータ17はモータジェネレータ2に比して小形であり、その発電出力もまたモータジェネレータ2の出力よりも小さい。オルタネータ17が発電した電力を、蓄電装置71に充電することはできない。
蓄電装置71の充電は、基本的には回生制動による。車両の運転者がアクセルペダルから足を離して車両の減速を要求した暁には、内燃機関1の気筒11への燃料噴射を一時休止する燃料カットを実行し、または燃料カットを実行せずに気筒11に対する吸入空気量及び燃料噴射量を減量してファイアリングを続行する。その状態で、モータジェネレータ2を発電機として作動させ、後輪62の車軸61からモータジェネレータ2の出力軸に伝達される惰性回転トルクを利用して、モータジェネレータ2を回転駆動する。後輪62に連れ回されて回転するモータジェネレータ2は発電を行い、発電した電力を蓄電装置71に蓄え、その蓄電量を回復する。このような回生制動により、車両の運動エネルギを電気エネルギとして回収し、後に再利用することができる。
モータジェネレータ2と蓄電装置71とは、VCU(Voltage Control Unit)81及びインバータ82を介して電気的に接続しており、これらがモータジェネレータ2と蓄電装置71との間で授受される電力の電圧調整や交直変換、交流の周波数制御等を担う。
なお、モータジェネレータ2と後輪62の車軸61とは機械的に接続されたままであり、両者は切り離されない(モータジェネレータ2と車軸61との間に断接切換可能なクラッチ等が存在しない)。それ故、モータジェネレータ2を電動機として作動させず、車両が走行して後輪62が回転している間は常に、これに引き摺られたモータジェネレータ2において起電力が発生し得ることになる。蓄電装置71に蓄えている電荷の量が著しく減少し、これを可及的速やかに回復したい場合には、気筒11に対する吸入空気量及び燃料噴射量を増量して、つまりはエンジントルクを増大補正して内燃機関1をファイアリング運転し、車両を2WD走行させながら、モータジェネレータ2を発電機として作動させて発電を行い、蓄電装置71を充電すればよい。
別の見方をすれば、車両の2WD走行中、モータジェネレータ2が発電機として動作し負荷になり得るということでもある。そこで、2WD走行中は、蓄電装置71を充電する必要のない限り、VCU81またはインバータ82においてモータジェネレータ2と蓄電装置71との間の電気的な接続を遮断し、後輪62に連れ回されるモータジェネレータ2を無負荷運転状態とすることが好適である。
因みに、蓄電装置71と副蓄電装置72とは、DC/DCコンバータ83を介して電気的に接続しており、副蓄電装置72から蓄電装置71に向けて電荷を供与することは不可能であるが、蓄電装置71から副蓄電装置72に向けて電荷を供与することは可能である。蓄電装置71に蓄えている電荷の量が上限に達しており、それ以上の充電が困難であるならば、モータジェネレータ2が発電する電力、または蓄電装置71が放電する電力を、DC/DCコンバータ83より降圧して副蓄電装置72に充電することができる。
図2に、本実施形態の車両に搭載される内燃機関1の概要を示す。この内燃機関1は、例えば火花点火式の4ストロークレシプロエンジンであり、複数の気筒11(例えば、三気筒。図2には、そのうち一つを図示する)を包有している。各気筒11の吸気ポート近傍には、吸気ポートに向けて燃料を噴射するインジェクタ111を設けている。また、各気筒11の燃焼室の天井部に、点火プラグ112を取り付けてある。点火プラグ112は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。
吸気を供給するための吸気通路13は、外部から空気を取り入れて各気筒11の吸気ポートへと導く。吸気通路13上には、エアクリーナ131、電子スロットルバルブ132、サージタンク133、吸気マニホルド134を、上流からこの順序に配置している。エアクリーナ131は、吸気通路13における最上流の、空気を取り入れる吸気口に所在する。吸気口は、冷たい空気を取り入れて内燃機関の充填効率を上げるために、車両の前方に開口している。
排気を排出するための排気通路14は、気筒11内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒11の排気ポートから外部へと導く。この排気通路14上には、排気マニホルド142及び排気浄化用の三元触媒141を配置している。
EGR装置12は、排気通路14と吸気通路13とを連通する外部EGR通路121と、EGR通路121上に設けたEGRクーラ122と、EGR通路121を開閉し当該EGR通路121を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ123とを要素とする。EGR通路121の入口は、排気通路14における触媒141の下流の箇所に接続している。EGR通路121の出口は、吸気通路13におけるスロットルバルブ132の下流の箇所(特に、サージタンク133または吸気マニホルド134)に接続している。
内燃機関1には、車両の制動時に必要となる操作力、即ちブレーキペダルの踏力を軽減するためのブレーキブースタ15が付帯している。ブレーキブースタ15は、吸気通路13におけるスロットルバルブ132の下流の箇所(特に、サージタンク133または吸気マニホルド134)から吸気負圧を導き入れ、その負圧を用いてブレーキペダルの踏力を倍力する、この分野では広く知られているものである。
内燃機関1及びモータジェネレータ2の運転制御を司る、車両の制御装置たるECU(Electronic Control Unit)0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。ECU0は、複数基のECUまたはコントローラがCAN(Controller Area Network)等の電気通信回線を介して相互に通信可能に接続されてなるものであることがある。
ECU0の入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、内燃機関1の出力軸であるクランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号b、運転者によるアクセルペダルの踏込量を検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、内燃機関1の気筒11に連なる吸気通路13(特に、サージタンク133または吸気マニホルド134)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号d、蓄電装置71に蓄えている電荷量を検出するセンサ(特に、バッテリ電流及び/またはバッテリ電圧センサ)から出力されるバッテリSOC(State Of Charge)信号e、蓄電装置71の温度を検出するセンサから出力されるバッテリ温度信号f、内燃機関1の冷却水の温度を検出する水温センサから出力される冷却水温信号g、積極的に4WD走行を行うか否かを運転者が選択するためのスイッチからもたされる信号h、車両の前輪52の回転数を検出する車輪速センサから出力される車輪速信号s、車両の後輪62の回転数を検出する車輪速センサから出力される車輪速信号t等が入力される。
但し、車輪速センサが車速センサを兼ねていることがある。その場合には、車輪速センサから独立した車速センサが設けられない。ECU0は、車輪速信号s、tの何れかを参照して、またはこれらを総合して、車両の実車速を演算することになる。
ECU0の出力インタフェースからは、内燃機関1の各気筒11の点火プラグ112に付随するイグナイタに対して点火信号i、インジェクタ111に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ132に対して開度操作信号k、EGRバルブ123に対して開度操作信号l、モータジェネレータ2(または、VCU81)に対してその出力するモータトルクの大きさを制御する信号o等が出力される。
ECU0のプロセッサは、メモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関1の運転を制御する。ECU0は、制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、h、s、tを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に吸入される空気(新気)量を推算する。そして、吸入空気量に見合った(理論空燃比またはその近傍の目標空燃比を達成できるような)要求燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング(一度の燃焼に対する点火の回数を含む)、要求EGR率(または、EGRガス量、EGRガス分圧)、モータジェネレータ2の出力トルク等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、l、oを出力インタフェースを介して印加する。
本実施形態のECU0は、運転者が操作するアクセル開度に基づき、車両の駆動輪に与えるべき駆動トルクの大きさを決定する。要求される駆動トルクは、アクセル開度が大きいほど大きくなる。しかして、ECU0は、アクセル開度に基づく要求駆動トルクのうちのどれくらいを内燃機関1から前輪52の車軸51に入力し、どれくらいをモータジェネレータ2から後輪62の車軸61に入力するか、その比率を決定する。
要求駆動トルクの略100%をファイアリングしている内燃機関1が出力するエンジントルクにより賄うこととすると、前輪52の車軸51にエンジントルクを供給するが、後輪62の車軸61にモータジェネレータ2からモータトルクを供給しない、前輪駆動の2WD走行となる。このときのモータジェネレータ2は、基本的には、蓄電装置71に蓄えている電力を消費しない。
要求駆動トルクを内燃機関1とモータジェネレータ2とで分担し、これらを併用して車軸51、61を回転駆動することもある。このときには、内燃機関1をファイアリングし、内燃機関1が出力するエンジントルクを前輪52の車軸51に供給しつつ、同時に並行してモータジェネレータ2を電動機として作動させ、モータジェネレータ2が出力するモータトルクを後輪62の車軸61に供給する、前後両輪駆動の4WD走行となる。
要求駆動トルクの略100%をモータジェネレータ2が出力するモータトルクにより賄い、そのモータトルクを後輪62の車軸61に供給するEV(Electric Vehicle)走行を実施することもできる。EV走行中は、内燃機関1から前輪52の車軸51にエンジントルクを供給しない、後輪駆動の2WD走行となる。そして、内燃機関1のファイアリングを停止する、即ちインジェクタ111から気筒11への燃料噴射を停止する燃料カットを実施することが可能となる。
ところで、既述の通り、モータジェネレータ2と車軸61と間の機械的な接続は、任意に切断できない。それ故、内燃機関1をファイアリング運転し車軸51を駆動して車両を走行させる場合に、モータジェネレータ2が内燃機関1に対する機械的な負荷となり得る。その負荷トルクを相殺しようとする分、内燃機関1が出力するエンジントルクを増大させると、内燃機関1による燃料消費量が増加して車両の燃費性能が低下することが懸念される。
そこで、図3に示すように、本実施形態のECU0は、要求駆動トルクの略100%をエンジントルクにより賄う、つまるところ内燃機関1から車軸51にエンジントルクを供給し、かつモータジェネレータ2から車軸61にモータトルクを積極的に供給しない(電動機たるモータジェネレータ2から車軸61に入力されるモータトルクを0または0に近い所定値以下に調整する)状況下において(ステップS1)、蓄電装置71に蓄えている電荷の量が閾値以上、換言すれば現在のSOCが閾値X%以上であるならば(ステップS2)、現在の車速に応じて蓄電装置71からモータジェネレータ2に供給する電力を調整する“ゼロトルク制御”を実施する(ステップS3)。
ステップS3では、モータジェネレータ2を電動機として作動させつつも、モータジェネレータ2が出力するモータトルクを必要最小限度に抑制する。これは、モータジェネレータ2により車軸61を回転駆動しないが、モータジェネレータ2が車軸61ひいては内燃機関1に対して機械的な負荷とならないよう、内燃機関1を僅かにアシストする意図である。
また、現在のSOCが閾値X%以上であるということは、既に蓄電装置71が十分に充電され、その空き容量が少ないということでもある。後の車両の減速時または制動時に回生制動を行い、車両の運動エネルギを電気エネルギとして回収するためには、蓄電装置71の充電容量にある程度以上の空きがある必要がある。当然ながら、満充電に近い蓄電装置71に、さらに電荷を蓄えることは困難である。ステップS3にて、モータジェネレータ2を低出力ながら電動機として動作させるのは、蓄電装置71に蓄えた電荷を一部放電してモータジェネレータ2により消費し、後の回生発電のための空き容量を確保する意味合いもある。
ステップS3にて、ECU0は、図4に示すように、現在の車速(または、後輪62及び車軸61の回転数)が高いほど、蓄電装置71から電動機たるモータジェネレータ2に入力する電力(または、モータジェネレータ2のコイルへの印加電流若しくは印加電圧)を大きく調整する。車軸61の回転が速くなると、モータジェネレータ2自体及び/またはモータジェネレータ2と車軸61との間で発生する機械的損失がより増大するからである。ステップS3の処理により、モータジェネレータ2の存在が内燃機関1に与える負荷トルクが可及的に0に近づく。
翻って、蓄電装置71に蓄えている電荷の量が閾値未満、換言すれば現在のSOCが閾値X%未満であるならば(ステップS2)、現在のSOCに応じて発電を行い蓄電装置71を充電する制御を実施する(ステップS4)。
ステップS4では、モータジェネレータ2を発電機として作動させ、発電機たるモータジェネレータ2を車軸61により回転駆動して、発電及び充電を実行する。ステップS4にて、ECU0は、図5に示すように、現在の蓄電装置71の蓄電量が少ないほど、即ちSOCが低いほど、モータジェネレータ2による発電電力(または、モータジェネレータ2の出力電流若しくは出力電圧)を大きく調整する。
ステップS3及びS4の各々で、ECU0は、アクセル開度に基づく要求駆動トルクが達成されるようなエンジントルクを算定する。ECU0は、そのエンジントルクを内燃機関1において出力できるよう、スロットルバルブ132の開度を操作して所要量の吸気を気筒11に導入し、かつ所要量の燃料を気筒11に対して噴射してこれを燃焼させる。特に、ステップS4では、モータジェネレータ2による発電電力が大きくなるほど、内燃機関1に対する機械的な負荷トルクが増大することから、吸気量及び燃料噴射量を増量することになる。
本実施形態では、前輪52の車軸51を燃料を燃焼させてトルクを発生させる内燃機関1により回転駆動し、後輪62の車軸61を蓄電装置71から電力供給を受けてトルクを発生させる電動機たるモータジェネレータ2により回転駆動する車両を制御するものであり、前記内燃機関1にて燃料を燃焼させて内燃機関1により車軸51を駆動するときに、前記蓄電装置71の蓄電量が閾値X以上であることを条件として、蓄電装置71から前記モータジェネレータ2に電力を供給し電動機2においてトルクを発生させてモータジェネレータ2が内燃機関1に対する機械的な負荷とならないよう“ゼロトルク制御”する車両の制御装置0を構成した。
その上で、本実施形態の制御装置0は、前記内燃機関1にて燃料を燃焼させて内燃機関1により車軸51を駆動するときに、前記蓄電装置71の蓄電量が閾値X未満であることを条件として、前記モータジェネレータ2を発電機として作動させて発電を行いその発電した電力を蓄電装置71に充電する。
本実施形態によれば、内燃機関1をファイアリングしその出力するエンジントルクを車軸51に供給して車両を走行させる場合において、モータジェネレータ2が内燃機関1に対する機械的な負荷となることを防止でき、内燃機関1において消費される燃料の量を低減することができる。ひいては、車両の燃費性能の一層の向上に寄与し得る。
また、蓄電装置71に蓄えている電荷が過度に消費されず、常にSOCをある程度以上のレベルに維持しておくことが可能となる。従って、蓄電装置71の寿命を延命できるのみならず、車輪52、62のスリップが起こりやすい降雪時、路面凍結時、雨天時や、ぬかるみ等の悪路走行時において、適時に4WD走行を行ってスリップを効果的に抑止することができる。肝心なときに、蓄電装置71の蓄電量が欠乏しているという問題を回避できる。
内燃機関1により駆動される補機として、既存のオルタネータ17よりも大形で大出力の発電機を付設する必要からも解放される。限られたエンジンルーム(エンジンコンパートメント)の容積を圧迫せず、コストの騰貴も招かずに済む。大形の発電機を付設することによる重量の肥大化、それに伴う燃費性能の悪化も避けられる。
蓄電装置71の容量やモータジェネレータ2の出力も、可及的に縮小できる。このことは、蓄電装置71及びモータジェネレータ2の軽量化にも繋がる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態の車両では、内燃機関1により前輪52の車軸51を回転駆動し、電動機たるモータジェネレータ2により後輪62の車軸61を回転駆動していたが、内燃機関により後輪の車軸を回転駆動し、電動機たるモータジェネレータにより前輪の車軸を回転駆動する構成の車両についても、本発明の制御を適用できることは言うまでもない。
その他、各部の具体的な構成や処理の内容等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
0…制御装置(ECU)
1…内燃機関
2…電動機(モータジェネレータ)
51、61…車軸(前輪の車軸、後輪の車軸)
71…蓄電装置
1…内燃機関
2…電動機(モータジェネレータ)
51、61…車軸(前輪の車軸、後輪の車軸)
71…蓄電装置
Claims (2)
- 前輪の車軸と後輪の車軸とのうち一方を燃料を燃焼させてトルクを発生させる内燃機関により回転駆動し、他方を蓄電装置から電力供給を受けてトルクを発生させる電動機により回転駆動する車両を制御するものであり、
前記内燃機関にて燃料を燃焼させて内燃機関により車軸を駆動するときに、前記蓄電装置の蓄電量が閾値以上であることを条件として、蓄電装置から前記電動機に電力を供給し電動機においてトルクを発生させて電動機が内燃機関に対する機械的な負荷とならないようにする車両の制御装置。 - 前記内燃機関にて燃料を燃焼させて内燃機関により車軸を駆動するときに、前記蓄電装置の蓄電量が閾値未満であることを条件として、前記電動機を発電機として作動させて発電を行い発電した電力を蓄電装置に充電する請求項1記載の車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021148176A JP2023040948A (ja) | 2021-09-10 | 2021-09-10 | 車両の制御装置 |
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2021
- 2021-09-10 JP JP2021148176A patent/JP2023040948A/ja active Pending
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