JP2023014023A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた低圧縮永久歪み特性を有する熱可塑性エラストマー組成物を提供する。【解決手段】本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物は、エチレン、炭素数3~20のα-オレフィン及び非共役ポリエンの共重合体であるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)と、鉱物油系軟化剤(C)とを、架橋剤(D)の存在下で溶融混練して得られ、前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は少なくとも一部が架橋されており、前記ポリオレフィン樹脂(B)の連続相(海相)中に、前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)が分散相(島相)として分散している海島構造を有し、前記組成物の断面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したときに、前記連続相の局所弾性率(b)と前記分散相の局所弾性率(a)との比(b)/(a)が10~30である。【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関する。
エチレン系共重合体とα-オレフィン系熱可塑性樹脂からなる組成物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理することにより得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなオレフィン系熱可塑性エラストマーを材料として用いた成形加工は、その製造に際して加硫工程が不要であり、通常の熱可塑性樹脂の成形方法、例えば射出成形、異形押出成形、カレンダー加工、ブロー成形等が採用できるという利点がある。
その一方で、このようなオレフィン系熱可塑性エラストマーは、加硫ゴムと比較すると、ゴム弾性、すなわち外部応力によって変形した際の復元性が劣るという問題があった。そこで、このような問題を解決するために、架橋剤を増量してエチレン系共重合体の架橋密度を向上させることや、エチレン系共重合体のムーニー粘度を引き上げること等の方法によってエラストマーの改良が行われてきた。
特開2014-193969号公報
しかしながら、上記の方法では、α-オレフィン系熱可塑性樹脂が分解することや、α-オレフィン系熱可塑性樹脂とエチレン系共重合体とが分散不良を生じることに起因して、圧縮永久歪み特性を低く抑えることが困難であるという課題があった。
本発明に係る幾つかの態様は、優れた低圧縮永久歪み特性を有する熱可塑性エラストマー組成物を提供するものである。また、本発明に係る幾つかの態様は、優れた低圧縮永久歪み特性に加えて、成形加工性にも優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下のいずれかの態様として実現することができる。
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物の一態様は、
エチレン、炭素数3~20のα-オレフィン及び非共役ポリエンの共重合体であるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)と、鉱物油系軟化剤(C)とを、架橋剤(D)の存在下で溶融混練して得られる熱可塑性エラストマー組成物であって、
前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は少なくとも一部が架橋されており、
前記ポリオレフィン樹脂(B)の連続相(海相)中に、前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)が分散相(島相)として分散している海島構造を有し、
前記組成物の断面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したときに、前記連続相の局所弾
性率(b)と前記分散相の局所弾性率(a)との比(b)/(a)が10~30である。
前記熱可塑性エラストマー組成物の一態様において、
前記連続相の局所弾性率(b)が3~90MPaであることができる。
前記熱可塑性エラストマー組成物の一態様において、
前記鉱物油系軟化剤(C)と前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)との質量比(C)/(A)が0.8~1.9の範囲であることができる。
前記熱可塑性エラストマー組成物の一態様において、
前記架橋剤(D)が有機過酸化物であり、多官能性化合物(E)を更に用いて得られるものであることができる。
前記熱可塑性エラストマー組成物のいずれかの態様において、
前記ポリオレフィン樹脂(B)の、温度30℃、周波数1.00Hz、歪量0.05%の条件での動的粘弾性測定により求められる、貯蔵弾性率が200~1000MPaであることができる。
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物の一態様によれば、優れた低圧縮永久歪み特性が得られる。また、本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物の一態様によれば、優れた低圧縮永久歪み特性に加えて、成形加工性にも優れる。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
本明細書において、「X~Y」を用いて記載された数値範囲は、数値Xを下限値として含み、かつ、数値Yを上限値として含むものとして解釈される。
なお、本明細書中においては、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)を「成分(A)」と、ポリオレフィン樹脂(B)を「成分(B)」と、鉱物油系軟化剤(C)を「成分(C)」と、架橋剤(D)を「成分(D)」と、多官能性化合物(E)を「成分(E)」と、それぞれ略して用いることがある。
1.熱可塑性エラストマー組成物
本発明の一実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、
エチレン、炭素数3~20のα-オレフィン及び非共役ポリエンの共重合体であるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)と、鉱物油系軟化剤(C)とを、架橋剤(D)の存在下で溶融混練して得られる熱可塑性エラストマー組成物であって、
前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は少なくとも一部が架橋されており、
前記ポリオレフィン樹脂(B)の連続相(海相)中に、前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)が分散相(島相)として分散している海島構造を有し、
前記組成物の断面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したときに、前記連続相の局所弾性率(b)と前記分散相の局所弾性率(a)との比(b)/(a)が10~30である。
本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物において、前記連続相の局所弾性率(b
)が3~90MPaであることが好ましい。
本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)を分散相、成分(B)を連続相とした海島構造を形成しており、原子間力顕微鏡によって観察される二相の局所弾性率差を小さくすることによって、外部応力による変形に対しての圧縮永久歪み特性が改善されることが明らかとなった。二相の局所弾性率差を小さくするためには、成分(A)の分散相の局所弾性率を大きくする、あるいは成分(B)の連続相の局所弾性率を小さくする、又はそれらを同時に満たすことによって達成することができる。圧縮永久歪み値としては、低い方がより良い特性であり、50%以下であることが好ましい。
以下、本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物に含まれる各成分について説明する。
1.1.エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)
本実施形態において使用されるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)としては、例えば、エチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重合体ゴム、エチレン・1-ブテン・非共役ジエン三元共重合体ゴムなどの、エチレンと炭素数3~10のα-オレフィンを主成分とするランダム共重合体が挙げられる。
上記炭素数3~10のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン等を挙げることができ、これらは1種単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。これらのうち、特にプロピレン、1-ブテンが好ましい。
上記非共役ジエンとしては、1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、3,6-ジメチル-1,7-オクタジエン、4,5-ジメチル-1,7-オクタジエン、5-メチル-1,8-ノナジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、2,5-ノルボルナジエン等を挙げることができ、これらは1種単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。これらのうち、特に1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネンが好ましい。
成分(A)の具体例としては、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン三元共重合体、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン三元共重合体、及びエチレン・1-ブテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン三元共重合体等が挙げられる。
これらの三元共重合体におけるエチレン含量は、エチレン単位と、プロピレン又は1-ブテン単位と、ジシクロペンタジエン又は5-エチリデン-2-ノルボルネン単位の合計を100質量%とした場合に、好ましくは47~92質量%であり、より好ましくは60~90質量%である。また、プロピレン又は1-ブテン含量は、エチレン単位と、プロピレン又は1-ブテン単位と、ジシクロペンタジエン又は5-エチリデン-2-ノルボルネン単位の合計を100質量%とした場合に、好ましくは5~50質量%であり、より好ましくは10~40質量%である。上記三元共重合体のエチレン含量が前記範囲にあると、架橋効率が向上する傾向があるため、圧縮永久歪み特性を低く抑えることができる場合がある。
また、ジシクロペンタジエン又は5-エチリデン-2-ノルボルネン含量は、エチレン単位と、プロピレン又は1-ブテン単位と、ジシクロペンタジエン又は5-エチリデン-2-ノルボルネン単位の合計を100質量%とした場合に、好ましくは3~10質量%で
あり、より好ましくは3~8質量%である。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)のデカリン溶媒中135℃で測定した場合の極限粘度[η]は、好ましくは1~10dl/gであり、より好ましくは2~10dl/gであり、特に好ましくは3~9dl/gである。
また、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)の分散比(Mw/Mn)は、好ましくは5.0以下であり、より好ましくは4.5以下であり、特に好ましくは4.0以下である。ここで、Mwは重量平均分子量を、Mnは数平均分子量をそれぞれ表し、Mw及びMnはゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定されたポリスチレン換算値である。
成分(A)は、重合時に後述する鉱物油系軟化剤(C)が添加された油展ゴムとして配合されてもよい。成分(A)を油展ゴムとして配合することで、成形加工性が向上する傾向にある。
本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物中の成分(A)の含有割合は、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計量を100質量%とした場合、好ましくは17~50質量%であり、より好ましくは20~47質量%であり、特に好ましくは22~44質量%である。
1.2.ポリオレフィン樹脂(B)
本実施形態において使用されるポリオレフィン樹脂(B)としては、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・1-ペンテン共重合体、プロピレン・3-メチル-1-ブテン共重合体、プロピレン・1-ヘキセン共重合体、プロピレン・3-メチル-1-ペンテン共重合体、プロピレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、プロピレン・3-エチル-1-ペンテン共重合体、プロピレン・1-オクテン共重合体、プロピレン・1-デセン共重合体及びプロピレン・1-ウンデセン共重合体、アタクチックポリプロピレン、アタクチックポリ-1-ブテン等の単独重合体や、プロピレン(50モル%以上含有)と他のα-オレフィン(エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン等)との共重合体、1-ブテン(50モル%以上含有)と他のα-オレフィン(エチレン、プロピレン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン等)との共重合体等を挙げることができる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態で使用されるポリオレフィン樹脂(B)の、温度30℃、周波数1.00Hz、歪量0.05%の条件での動的粘弾性測定により求められる貯蔵弾性率は、好ましくは200~1000MPaであり、より好ましくは200~850MPaであり、特に好ましくは200~750MPaである。ポリオレフィン樹脂(B)の動的粘弾性測定により求められる貯蔵弾性率が前記範囲にあると、組成物のAFMにより測定した連続相の弾性率(b)が低下し、弾性率比(b)/(a)が10~30の範囲をとり易く、圧縮永久歪み特性を低く抑えられる傾向にある。動的粘弾性測定装置としては、例えば、TA Instruments社製の粘弾性測定装置RSA-GII(型式)等を使用することができる。
また、ポリオレフィン樹脂(B)の、JIS K7210:2014に準拠し230℃、21Nの条件で測定したMFRは、好ましくは1~150g/10minであり、より好ましくは2.5~150g/10minであり、特に好ましくは5~150g/10minである。ポリオレフィン樹脂(B)のMFRが前記範囲にあると、組成物の流動性が
向上することで射出成形性も向上し、成形外観が良くなる傾向にある。
本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物中のポリオレフィン樹脂(B)の含有割合は、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計量を100質量%とした場合、好ましくは8~50質量%であり、より好ましくは9~40質量%であり、特に好ましくは10~30質量%である。
1.3.鉱物油系軟化剤(C)
本実施形態で使用される鉱物油系軟化剤(C)は、重量平均分子量で300~2000、特には500~1500の分子量を有するものが好ましい。鉱物油系炭化水素からなるゴム用軟化剤は、一般に、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の三者の混合物であって、パラフィン鎖の炭素数が全炭素数中の50%以上を占めるものがパラフィン系オイル、ナフテン環の炭素数が全炭素数中の30~45%のものがナフテン系オイル、芳香族環の炭素数が全炭素数中の30%以上のものが芳香族系オイルと、それぞれ分類されているが、本発明においては、パラフィン系のものが好ましく、特に水添パラフィン系のものが好ましい。また、鉱物油系炭化水素は、40℃の動粘度が20~800cSt、特には50~600cStであるもの、流動点が-40~0℃、特には-30~0℃であるものが好ましい。
本実施形態で使用される成分(A)が油展ゴムである場合、油展ゴムに含まれる伸展油も鉱物油系軟化剤(C)である。
鉱物油系軟化剤(C)の配合割合は、鉱物油系軟化剤(C)と前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)との配合比(C)/(A)が、好ましくは0.8~1.9、より好ましくは0.9~1.8、特に好ましくは1~1.7の範囲となるように配合するとよい。鉱物油系軟化剤(C)の配合割合が前記範囲にあると、成分(A)に適度な流動性が付与されるとともに、成分(A)からのオイルブリードの発生を抑制できる。
1.4.架橋剤(D)
本実施形態において使用される架橋剤(D)としては、有機過酸化物、フェノール系架橋剤、多官能性化合物(E)、硫黄、硫黄化合物、p-キノン、p-キノンジオキシムの誘導体、エポキシ化合物、シラン化合物、アミノ樹脂等を挙げることができ、有機過酸化物及びフェノール系架橋剤のいずれか1種と、多官能性化合物(E)とを併用することが好ましく、有機過酸化物と多官能性化合物(E)とを併用することがより好ましい。
1.4.1.有機過酸化物
上記有機過酸化物としては、1,3-ジ(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキセン-3、1,3-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,2-ジ(tert-ブチルパーオキシ)-p-イソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジ-tert-ブチルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシド、tert-ブチルクミルパーオキシド、p-メンタンパーオキシド、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジラウロイルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキシド、p-クロロベンゾイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ(tert-ブチルパーオキシ)パーベンゾエート、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルパーオキシ)バレレート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等を挙げることができる
。これらの有機過酸化物のうち、1,3-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキシド類が好ましい。
有機過酸化物の配合割合は、均一かつ緩和な部分架橋を行う観点から、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計100質量部に対して、好ましくは0.01~2.0質量部であり、より好ましくは0.02~1.5質量部である。
1.4.2.フェノール系架橋剤
上記フェノール系架橋剤としては、下記一般式(1)で表されるp-置換フェノール系化合物、o-置換フェノール-アルデヒド縮合物、m-置換フェノール-アルデヒド縮合物、臭素化アルキルフェノール-アルデヒド縮合物等を挙げることができるが、特にp-置換フェノール系化合物が好ましい。
Figure 2023014023000001
(式(1)中、nは0~10の整数であり、Xはヒドロキシル基、ハロゲン化アルキル基及びハロゲン原子の少なくともいずれかであり、Rは炭素数1~15の飽和炭化水素基である。)
なお、p-置換フェノール系化合物は、アルカリ触媒の存在下においてp-置換フェノールとアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)との縮合反応により得られる。
フェノール系架橋剤の配合割合は、均一かつ緩和な部分架橋を行う観点から、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは0.3~5質量部であり、特に好ましくは0.4~2質量部である。
フェノール系架橋剤を使用する場合、架橋促進剤を併用してもよい。フェノール系架橋剤と併用可能な架橋促進剤としては、例えば、塩化第一スズ、塩化第二鉄等の金属ハロゲン化物;塩素化ポリプロピレン、臭素化ポリプロピレン、臭素化ブチルゴム、クロロプレンゴム等の有機ハロゲン化物が挙げられる。更に、上記架橋促進剤以外に、酸化亜鉛のような金属酸化物や、ステアリン酸等の分散剤を併用してもよい。
1.4.3.多官能性化合物(E)
本発明において「多官能性化合物」とは、一分子中に非共役の炭素-炭素二重結合を二つ以上もつ低分子化合物であって、同二重結合をもたない他の架橋剤と併用することにより架橋反応を効率的に進行させ、均一な架橋構造と優れたゴム弾性を発現することができる化合物のことをいう。
本実施形態において使用される多官能性化合物(E)としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)
アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-トルイレンビスマレイミド、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリル酸亜鉛等が挙げられる。これらの多官能性化合物(E)は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。
架橋剤(D)として有機過酸化物を使用した場合に、溶融混練中で発生するフリーラジカルに対する反応性の高い多官能性化合物(E)を併用することで、架橋反応が速やかに進行し、架橋密度の高いゴムドメインを形成できるととともに、フリーラジカルの架橋反応以外の副反応(例えば、フリーラジカル種同士の不均化反応、架橋反応に関与しない水素引き抜き反応、共重合体ゴムやポリオレフィン樹脂の主鎖切断を伴うβ脱離反応)を抑制することができる。
多官能性化合物(E)の配合割合は、相構造の均一性及び成形加工性を維持する観点から、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量部に対して、好ましくは3質量部以下であり、より好ましくは0.1~1.5質量部であり、特に好ましくは0.2~1.2質量部である。
1.5.その他の添加剤
本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて各種添加剤、例えば滑剤、老化防止剤、熱安定剤、耐候剤、金属不活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、銅害防止剤などの安定剤、防菌・防かび剤、鉱物油系以外の軟化剤、分散剤、可塑剤、結晶核剤、難燃剤、シリコーンオイル、シリコーンポリマー、粘着付与剤、発泡助剤、酸化チタン、カーボンブラックなどの着色剤、フェライトなどの金属粉末、ガラス繊維、金属繊維などの無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの有機繊維、複合繊維、チタン酸カリウムウィスカーなどの無機ウィスカー、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、アスベスト、マイカ、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、ハイドロタルサイト、カオリン、けい藻土、グラファイト、軽石、エボ粉、コットンフロック、コルク粉、硫酸バリウム、フッ素樹脂、ポリマービーズなどの充填剤またはこれらの混合物、ポリオレフィンワックス、セルロースパウダー、ゴム粉、木粉などの充填剤、低分子量ポリマーなどを配合して用いることができる。
上記鉱物油系以外の軟化剤としては、通常用いられるゴム用軟化剤であれば特に制限されないが、例えば、植物油(やし油等)、脂肪酸と高級アルコールとのエステル類(フタル酸ジエステル類等)、リン酸トリエステル類、ポリブテン系、ポリブタジエン系等の低分子量等の炭化水素等が挙げられる。
1.6.AFMによる局所弾性率の測定
本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物の断面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したときに、連続相の局所弾性率(b)と分散相の局所弾性率(a)との比(b)/(a)は、10~30であり、好ましくは11~30であり、より好ましくは12~30である。比(b)/(a)が前記範囲にあると、組成物中の連続相と分散相の局所弾性率差が小さくなることで、連続相と分散相の弾性率のバランスが良好となるため、優れた低圧縮永久歪み特性が得られる。比(b)/(a)が30を超えると、連続相の弾性率が相対的に高くなるので、組成物が硬くなりやすく、圧縮永久歪み特性が大きくなる傾向がある。
上記分散相の局所弾性率(a)は、好ましくは0.3~5.0MPaであり、より好ましくは0.3~4.5MPaであり、特に好ましくは0.4~4.0MPaである。分散相の局所弾性率(a)が前記範囲にあると、連続相との局所弾性率差を小さくしやすいの
で、連続相と分散相の弾性率のバランスが良好となりやすく、優れた低圧縮永久歪み特性が得られやすい傾向がある。
上記連続相の局所弾性率(b)は、好ましくは3~90MPaであり、より好ましくは5~85MPaであり、特に好ましくは8~80MPaである。連続相の局所弾性率(b)が前記範囲にあると、組成物が柔らかくなりやすく、優れた低圧縮永久歪み特性が得られやすい傾向がある。
本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物中の連続相及び分散相の局所弾性率は、組成物断面を原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観測することによって得られる。具体的には、以下のようにして求めた。得られた熱可塑性エラストマー組成物を、-120℃に凍結した状態で射出流動方向に対して垂直になるようにウルトラミクロトーム(Leica EM
FC7(LeicaMicrosystemsGmbH,Germany))を用いて切削し、観察に適した平滑面を得た。続いて、断面の連続相、分散相の局所弾性率を測定するため、公称値バネ定数5N/mのカンチレバー RTESPA-150(Bruker,USA)を取り付けた原子間力顕微鏡(Dimension XR(Bruker,USA))を使用して、PeakForce QNMモードで観察範囲256×256ピクセル、それぞれの点におけるフォースカーブを得た。フォースカーブの解析はBruker Nanoscope Analysisを用いてJKR二点法に基づきフィッティングを行い弾性率値を算出し、観察面の弾性率マッピング像を得た。局所弾性率比の算出に用いた各相の弾性率の値は、横軸を弾性率とするヒストグラムをガウシアンフィッティングした際の中央値を代表値として決定した。このときの横軸は10を底とする対数スケールであり、フィッティング処理にはIgor Pro(HULINKS,Japan)ソフトを用いた。
1.7.成形体及び用途
本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、例えばガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット発泡成形法等の射出成形法、押出成形法、中空成形法、圧縮成形法等の各種成形方法を用いて成形体とすることができる。これらの中でも、射出成形法が好適である。例えば射出成形を行う場合、成形温度は通常130~280℃であり、好ましくは150~250℃である。また、射出圧力は通常5~100MPaであり、好ましくは10~80MPaである。一方、金型温度は通常0~80℃であり、好ましくは20~60℃である。なお、これらの成形を行った後に、得られた成形体に積層成形や熱成形等の二次工程をさらに行うこともできる。
本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、自動車用部材や建材用部材、特に自動車用シール剤や建材用シール剤として好適である。また、本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、自動車部品(エアバッグ収納カバー、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ステアリングホイール、ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、エアダクトホース、カップホルダー、サイドブレーキグリップ、シフトノブカバー、フラッパードアシール、ワイヤーハーネスグロメット、ラックアンドピニオンブーツ、サスペンションカバーブーツ、ガラスガイド、インナーベルトラインシール、ルーフガイド、トランクリッドシール、モールデッドクォーターウィンドガスケット、コーナーモールディング、グラスエンキャプシュレーション、フードシール、グラスランチャンネル、セカンダリーシール、ボディパネル、サイドシールド、ドア表皮、ホース、ワイヤーハーネスカバー、シートアジャスターカバー、各種パッキン類等)、土木・建材部品(地盤改良用シート、上水板、騒音振動防止壁等の土木資材や建材、土木・建築用各種ガスケットおよびシート、止水材、目地材、窓枠、窓枠パッキン等)、衛生用品(生理用品、使い捨ておむつ、歯ブラシ用グリップ等)、スポーツ用品(ゴルフクラブやテニスラケットのグリップ類等)、工業用部品(医療用容器、ガスケット、パッキン等)、食品用部品(容器、パッキン等)、医療用機器部品、電線、雑貨、玩具等の幅広い分野で用いることができる
また、本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、後工程で他の任意のエラストマー、熱可塑性樹脂あるいは添加剤と混合して使用することもできる。他の任意のエラストマーの具体例としては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。他の任意の熱可塑性樹脂の具体例としては、α-オレフィン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー等を挙げることができる。他の任意の添加剤の具体例としては、機能性フィラー(導電性カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、マイカ、クレイ、タルク、金属粒子、金属被覆粒子、中空粒子、マイクロカプセル等)、可塑剤、タッキファイヤー、着色剤、およびそのいずれかを含むマスターバッチが挙げられる。
2.熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)とポリオレフィン樹脂(B)と鉱物油系軟化剤(C)を、架橋剤(D)の存在下で溶融混練して得られるものである。本発明における「溶融混練」とは、剪断力を加えること及び加熱することの両方を行うことを指す。架橋剤(D)の存在下で、成分(A)と成分(B)と成分(C)の溶融混練を行うことにより、成分(B)の連続相(海相)中に成分(A)が分散相(島相)として分散している海島構造を有する熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
溶融混練を行うことのできる装置としては、例えば、開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、ニーダー、一軸押出機、同方向回転型連続式二軸押出機、異方向回転型連続式二軸混練機等の装置を挙げることができる。また、この混練装置で行う処理は、バッチ式又は連続式の何れであってもよい。
溶融混練の温度条件は、成分(A)及び成分(B)の溶融と架橋反応とのバランスの観点から、150~250℃の範囲で行うことが好ましい。溶融混練の処理時間は、特に限定されないが、生産性等を考慮すると、通常0.1~30分である。
3.実施例
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の「%」又は「部」は、特に断らない限り質量基準である。
3.1.使用した材料
(1)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム
下表1に示すエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムに対して、鉱物油系軟化剤(出光興産社製、商品名「ダイアナプロセスオイルPW380」)を下表2の割合で含有する油展エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムOSR-1~OSR-4を使用した。
Figure 2023014023000002
Figure 2023014023000003
(2)ポリオレフィン樹脂
ポリオレフィン樹脂として、以下に示す(B)-1、(B)-2、(B)-3、(B)-4、(B)-5の何れかを使用した。
・(B)-1:日本ポリプロ社製、商品名「ノバテックPP FL02A」50質量%と出光興産社製、商品名「L-MODU S400」50質量%の混合物;MFR109g/10min、貯蔵弾性率220MPa
・(B)-2:日本ポリプロ社製、商品名「ノバテックPP FL02A」70質量%と出光興産社製、商品名「L-MODU S400」30質量%の混合物;MFR35g/10min、貯蔵弾性率380MPa
・(B)-3:日本ポリプロ社製、商品名「ノバテックPP MA3」、MFR11g/10min、貯蔵弾性率1800MPa
・(B)-4:日本ポリプロ社製、商品名「ウィンテック WMG03」50質量%と出光興産社製、商品名「L-MODU S400」50質量%の混合物;MFR160g/10min、貯蔵弾性率320MPa
・(B)-5:日本ポリプロ社製、商品名「ウィンテック WMG03UX」50質量%と出光興産社製、商品名「L-MODU S400」50質量%の混合物;MFR160g/10min、貯蔵弾性率350MPa、WMG03UX中に透明化核剤を含有。
なお、上記貯蔵弾性率は、温度30℃、周波数1.00Hz、歪量0.05%の条件下で動的粘弾性測定装置(TA Instruments社製、「RSA-GII」を用いて測定した値である。
(3)鉱物油系軟化剤
・(C):出光興産社製、商品名「ダイアナプロセスオイルPW380」
(4)架橋剤
・(D):2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、日油社製、商品名「パーヘキサ25B-40」
(5)多官能性化合物
・(E)-1:ジビニルベンゼン、三共化成社製、商品名「ジビニルベンゼン(純度55wt%)」
・(E)-2:ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、大内
新興化学工業社製、商品名「BMI-5100」
(6)老化防止剤
・ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、BASFジャパン社製、商品名「Irganox 1010」
3.2.実施例1
3.2.1.熱可塑性エラストマー組成物の製造
油展エチレン・α―オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムOSR-1を55質量部、ポリオレフィン樹脂(B)-3を15質量部、OSR-1に含まれる鉱物油系軟化剤以外に鉱物油系軟化剤(C)を30質量部、老化防止剤を0.1質量部、150℃に加熱した10リッター双腕型加圧ニーダー(日本スピンドル製造社製)に投入し、40rpmで20分間混練りした。その後、溶融状態の組成物を180℃、40rpmに設定したフィーダールーダー(日本スピンドル製造社製)にてペレット化した。得られたペレット物に架橋剤(D)1.2質量部と多官能性化合物(E)-1、0.8質量部とを配合し、ヘンシェルミキサーにて30秒間混合し、二軸押出機(神戸製鋼所製、型式「HYPERKTX 30」、同方向完全噛み合い型スクリュー、スクリューフライト部の長さLとスクリュー直径Dとの比であるL/Dが74)を用いて、230℃、500rpmで2分間滞留する条件にて溶融混練処理を施しながら押し出して、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を得た。
3.2.2.連続相及び分散相の局所弾性率の測定
上記で得られた熱可塑性エラストマー組成物中の連続相及び分散相の局所弾性率は、組成物断面を原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観測することによって求めた。具体的には、以下のようにして求めた。得られた熱可塑性エラストマー組成物を、-120℃に凍結した状態で射出流動方向に対して垂直になるようにウルトラミクロトーム(Leica EM FC7(LeicaMicrosystemsGmbH,Germany))を用いて切削し、観察に適した平滑面を得た。続いて、断面の連続相、分散相の局所弾性率を測定するため、公称値バネ定数5N/mのカンチレバー RTESPA-150(Bruker,USA)を取り付けた原子間力顕微鏡(Dimension XR(Bruker,USA))を使用して、PeakForce QNMモードで観察範囲256×256ピクセル、それぞれの点におけるフォースカーブを得た。フォースカーブの解析はBruker Nanoscope Analysisを用いてJKR二点法に基づきフィッティングを行い弾性率値を算出し、観察面の弾性率マッピング像を得た。局所弾性率比の算出に用いた各相の弾性率の値は、横軸を弾性率とするヒストグラムをガウシアンフィッティングした際の中央値を代表値として決定した。このときの横軸は10を底とする対数スケールであり、フィッティング処理にはIgor Pro(HULINKS,Japan)ソフトを用いた。
3.2.3.評価方法
得られたペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を用いて、MFRについて下記方法により評価した。
(1)MFR
JIS K7210:2014に準拠して、MFR(メルトフローレート)を温度230℃、荷重21.2N(2.16kg)の条件にて測定した。得られた測定値を流動性の評価値とした。
次いで、型締力110トンの射出成形機(日本製鋼社製、商品名「J-110AD」)を用いて120mm×120mm×2mm(縦×横×厚さ)の平板を射出成形して試験片を得た。得られた試験片について、圧縮永久歪み、硬度、引張強さ、最大伸び、及び成形
外観を評価した。
(2)圧縮永久歪み
弾性回復性の指標として、JIS K6262:2013に準拠して70℃で22時間、25%圧縮したときの圧縮永久歪みを測定した。圧縮永久歪みの値が小さいほど、弾性回復性がよいと判断できる。
(3)硬度(デュロA)
JIS K6253-3:2012(Duro-A)に準拠して測定した。
(4)引張試験
JIS K6251:2017に準拠して、引張強さ(T)、最大伸び(E)を測定した。
(5)成形外観
上記で得られた試験片のヒケ、やけ、フローマークについて下記の2段階で評価した。(評価基準)
A:ヒケ、やけ、フローマークがなく成形外観が優れる。
B:ヒケ、やけ、フローマークいずれかの現象が発生しており、成形外観が劣る。
(6)加硫EPDMとの熱融着性
<接合体の製造>
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン三元共重合体(商品名「EP 57C」、JSR社製)100質量部、カーボンブラック(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製)120質量部、炭酸カルシウム(商品名「スーパーSSS」、算術平均粒子径1.8μm、丸尾カルシウム社製)50質量部、パラフィン系のプロセスオイル(商品名「PW90」、出光興産社製)70質量部、活性亜鉛華(堺化学工業社製)5質量部及びステアリン酸(ADEKA社製)1質量部を、バンバリーミキサーを用いて50℃、70rpm、2.5分の条件で混合して混合物を得た。得られた混合物の全量(346質量部)に、脱水剤(商品名「ベスタPP」、井上石灰工業社製)10質量部、加硫促進剤として商品名「ノクセラーM-P」0.6質量部、商品名「ノクセラーCZ-G」0.5質量部、商品名「ノクセラーTT-P」1.2質量部及び商品名「ノクセラーBZP」2質量部(以上、いずれも大内新興化学工業社製)並びに硫黄2質量部を添加し、オープンロールを用いて50℃において混練した後、170℃において10分間加硫して、120mm×120mm×2mm(縦×横×厚さ)の加硫ゴムシートとした。このシートを、ダンベルカッターを用いて長さ60mm、幅50mmに打ち抜くことにより、成形体(I)を得た。次に、熱可塑性エラストマー組成物を、欠部(上記成形体(I)を貼り付けた割型内)に収まるように、シリンダー温度250℃、金型温度50℃、射出率50cm/secの条件にて上記割型内に射出成形し、上記熱可塑性エラストマー組成物に由来する成形体(II)と上記成形体(I)とが接合した接合体(120mm×120mm×2mm(縦×横×厚さ))を得た。
<融着性の評価>
得られた接合体を、JIS-3号ダンベルカッターで打ち抜いて加硫ゴム接着性評価用の試験片(ダンベル状試験片)とした。このとき、上記平板は、射出融着面(上記成形体(I)と上記成形体(II)とが射出融着した面)が、標線の間に位置し、ダンベルの長さ方向に対して垂直となるように打ち抜いて融着性評価用の試料片を作製した。得られた試料片の射出融着面に沿って180℃の折り曲げを表裏で繰り返し、剥離までにかかった折り曲げ回数から融着性を評価した。
3.3.実施例2~10、比較例1~4
下表3に示す割合で実施例1と同様にしてペレット状の熱可塑性エラストマー組成物及び試験片を作製し、実施例1と同様に評価した。
3.4.評価結果
下表3に、各実施例及び各比較例の熱可塑性エラストマー組成物の組成、及び評価結果を示す。
Figure 2023014023000004
上表3の評価結果より、実施例1~10の熱可塑性エラストマー組成物は、比較例1~
4の熱可塑性エラストマー組成物よりも、低圧縮永久歪み特性の点で特に優れていることがわかった。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を包含する。また本発明は、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を他の構成に置き換えた構成を包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成をも包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成をも包含する。

Claims (5)

  1. エチレン、炭素数3~20のα-オレフィン及び非共役ポリエンの共重合体であるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)と、鉱物油系軟化剤(C)とを、架橋剤(D)の存在下で溶融混練して得られる熱可塑性エラストマー組成物であって、
    前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は少なくとも一部が架橋されており、
    前記ポリオレフィン樹脂(B)の連続相(海相)中に、前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)が分散相(島相)として分散している海島構造を有し、
    前記組成物の断面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したときに、前記連続相の局所弾性率(b)と前記分散相の局所弾性率(a)との比(b)/(a)が10~30である熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記連続相の局所弾性率(b)が3~90MPaである、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記鉱物油系軟化剤(C)と前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)との質量比(C)/(A)が0.8~1.9の範囲である、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記架橋剤(D)が有機過酸化物であり、多官能性化合物(E)を更に用いて得られる請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記ポリオレフィン樹脂(B)の、温度30℃、周波数1.00Hz、歪量0.05%の条件での動的粘弾性測定により求められる貯蔵弾性率が200~1000MPaである、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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