JP2022543655A - 放射線曝露を処置するためのセピアプテリン及びその代謝産物の使用 - Google Patents

放射線曝露を処置するためのセピアプテリン及びその代謝産物の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、セピアプテリン、テトラヒドロビオプテリン、又はジヒドロビオプテリンを投与することにより、対象における放射線被曝を処置するための方法を提供する。

Description

連邦政府支援の研究に関するステイトメント
本発明は、米国国立衛生研究所(NIH)から授与されたグラント番号R01 AI133595の政府支援を受けて行われたものである。政府は、本発明について一定の権利を有している。
発明の背景
テロ行為であれ、原子力事故であれ、放射線災害の脅威は、壊滅的な公衆衛生上の緊急事態を意味し、全身放射線誘発性の傷害及び死亡を軽減する医療措置の開発の必要性を強調するものである。全身放射線(TBI)曝露の最初の健康影響は、最も放射線感受性の高い臓器における急性放射線症候群(ARS)であり、この曝露からの生存は、造血系の幹細胞及び前駆細胞並びに消化管系の上皮への損傷の程度によって決定される。造血成長因子、電解質及び輸液、輸血、抗生物質は、ARSの処置法として進歩し、生存率の大幅な向上をもたらしている。しかし、チェルノブイリの生存者に見られるように、造血系と消化管系へのARSを克服した患者は、肺と心臓の晩期障害に屈することが多い。
従って、放射線に曝露した患者の死亡率及び臓器機能を改善する処置法が必要である。
本発明は、放射線曝露患者の処置方法を特徴とする。例えば、本発明は、患者の心臓、消化管、及び/又は肺に対する毒性を緩和するためにセピアプテリン(SP)を採用する。
一態様では、本発明は、有効量のセピアプテリン、テトラヒドロビオプテリン、若しくはジヒドロビオプテリン、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは共結晶を対象に投与することによる、放射線に曝露された対象の処置方法を提供する。
特定の実施形態では、投与することにより、対象における組織及び/又は器官の損傷を軽減又は抑制する、対象における心臓、消化管、及び/又は肺の毒性を軽減又は抑制する、対象における消化管、心臓、及び/又は肺の内皮細胞死を減少させる、及び/又は、対象における消化管、心臓、及び/又は肺の上皮細胞における放射線誘発性炎症を軽減させる。
有効量は、例えば、約0.1~約200mg/kg/日、例えば、約5mg/kg/日~約35mg/kg/日である。
実施形態において、対象は急性放射線症候群を有し、例えば、投与は、放射線への曝露後24時間以内に行われる。実施形態において、対象は慢性放射線症候群を有する。実施形態において、対象は皮膚放射線症候群を有する。実施形態において、対象は1日未満、少なくとも0.3 Gyに曝露される。実施形態において、対象は1日超の期間にわたって少なくとも0.7 Gyに曝露される。
実施形態において、投与は、少なくとも6日間、例えば、少なくとも1週間、少なくとも10日間(例えば、少なくとも14日間)、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約9ヶ月、又は少なくとも約1年間において、少なくとも1日1回行われる。
実施形態において、投与は、miR-15b-3p、miR-106a-5p、miR-133b、miR-136-5p、miR-451a、miR-1、miR-335-3p、let-7d-3p、及び/又はlet-7c-5p(例えば、血清エクソソーム)の発現を増加させ(例えば、BH4が投与された場合)、及び/又は肺上皮細胞におけるIL-1β、IL-6、IL-17A、Spp2、及び/又はTGF-β1の発現を減少させる(例えば、SPが投与された場合)。実施形態において、投与はlet-7a-5p、miR-1、miR-106b-3p、miR-106b-5p、miR-126-3p、miR-181a-5p、miR-335-3p、及び/又はmiR-335-5pの発現を増加させ、及び/又はlet-7g-5p、let-7i-5p、及び/又はmiR-16-5p(例えば、血清エクソソーム)の発現を減少させる(例えば、SPが投与された場合)。
一態様において、本発明は、有効量のセピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することによる、放射線に曝露された対象の組織及び/又は臓器の損傷を軽減又は抑制する方法を特徴とする。
別の態様において、本発明は、有効量のセピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することによる、放射線に曝露された対象における心臓及び/又は肺の毒性を軽減又は抑制する方法を特徴とする。
別の態様において、本発明は、有効量のセピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することによる、放射線に曝露された対象における心臓及び/又は肺の内皮細胞死を減少させる方法を特徴とする。
別の態様において、本発明は、有効量のセピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することによる、対象における心臓及び/又は肺の上皮細胞の放射線誘発性炎症を軽減させる方法を特徴とする。
前記4つの側面の1つの実施形態において、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩の有効量は、1mg/kg未満である。
前記4つの側面の別の実施形態において、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩は、放射線への曝露の約24時間より後に投与される。
前記4つの側面の別の実施形態において、方法は、セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩を複数回投与で投与することを含む。
前記4つの側面の別の実施形態において、方法は、セピオプチン又はその薬学的に許容される塩を少なくとも6日間において、毎日投与することを含む。
前記4つの側面の別の実施形態において、有効量のセピアプテリン又はその薬学的に許容される塩は、miR-15b-3p、miR-106a-5p、miR-133b、miR-136-5p、miR-451a、miR-1、miR-335-3p、let-7d-3p、及び/又はlet-7c-5pの発現を増加させる結果をもたらす。
定義
本願において、文脈から明らかな場合を除き、(i)「a」という用語は、「少なくとも1つ」を意味すると理解してもよく、(ii)用語「又は」は、「及び/又は」を意味すると理解してもよく、(iii)用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」は、それ自体で提示されるか、1つ以上の追加の構成要素又は工程と共に提示されるかにかかわらず、項目別の構成要素又は工程を包含するものと理解してもよく、及び(iv)「約」及び「およそ」という用語は、当業者に理解されるような標準的な変動を許容するものと理解してもよく、且つ(v)範囲が提供される場合、終点を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される「約」という用語は、指定された値の±10%を意味する。
本明細書における値又はパラメータの「約」又は「およそ」への言及は、その値又はパラメータ自体に向けられたバリエーションを含む(及び記述する)。例えば、「約X」に言及する記述は、「X」の記述を含む。
本明細書で使用される「投与」という用語は、対象への組成物の投与を意味する。動物対象への投与(例えば、ヒトへの投与)は、任意の適切な経路によるものであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、投与は、気管支(気管支インスティレーションによるものを含む)、口腔内、腸内、インターダーマル、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、髄腔内、静脈内、脳室内、粘膜、経鼻、経口、直腸、皮下、舌下、局所、気管(気管内インスティレーションによるものを含む)、経皮的、膣内、又は硝子体であってもよい。
化合物の「有効量」は、個体の病状、年齢、性別、体重などの要因、及び化合物が所望の反応を引き出す能力に応じて変わり得る。治療上有効な量とは、化合物の毒性又は有害な作用が、治療上有益な作用に勝る量を包含する。治療上有効な量はまた、利益、例えば、臨床的利益をもたらすのに十分な量も包含する。
「レベル」は、参照と比較した場合の化合物のレベルを意味する。参照は、本明細書で定義されるような、任意の有用な参照であり得る。化合物の「減少したレベル」又は「増加したレベル」は、参照と比較した場合の化合物レベルの減少又は増加(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、又はそれらより多い割合の減少又は増加、約0.01倍未満、約0.02倍未満、約0.1倍未満、約0.3倍未満、約0.5倍未満、約0.8倍未満、又はそれらより小さい倍数未満の減少又は増加、又は、約1.2倍超、約1.4倍超、約1.5倍超、約1.8倍超、約2.0倍超、約3.0倍超、約3.5倍超、約4.5倍超、約5.0倍超、約10倍超、約15倍超、約20倍超、約30倍超、約40倍超、約50倍超、約100倍超、約1000倍超、又はそれらより大きい倍数の増加)を意味する。化合物のレベルは、質量/体積(例えば、g/dL、mg/ml、μg/ml、ng/ml)又はサンプル中の全化合物に対する割合で表現できる。
本明細書で使用される「医薬組成物」という用語は、薬学的に許容される賦形剤と共に製剤化された本明細書に記載の化合物を含む組成物を表す。医薬組成物は、哺乳動物における疾患の治療のための処置レジメンの一部として、政府規制機関の承認を得て生産又は販売されるものであってよい。医薬組成物は、例えば、単位投与形態の経口投与用(例えば、錠剤、カプセル、カプレット、ゲルキャップ、懸濁用パウダー、懸濁液、溶液、又はシロップ)、局所投与用(例えば、クリーム、ゲル、ローション、又は軟膏として)、静脈内投与用(例えば、粒子エンボリを含まない、静脈内使用に適した溶媒系の無菌溶液として)、又は任意の他の薬学的に許容される製剤として製剤化できる。
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される塩」は、セピアプテリン、テトラヒドロビオプテリン、又はジヒドロビオプテリンの薬学的に許容される任意の塩を意味する。薬学的に許容される塩には、固体状態及び/又は溶液中のセピアプテリン、テトラヒドロビオプテリン、又はジヒドロビオプテリンのイオンペアを含む。薬学的に許容される共結晶は、固体状態のフリーベースのセピアプテリン、テトラヒドロビオプテリン、又はジヒドロビオプテリンと酸を含む。塩の形態と共結晶の形態との混合物が、同じ組成物中に存在してもよい。例えば、セピアプテリン、テトラヒドロビオプテリン、又はジヒドロビオプテリンの薬学的に許容される塩は、健全な医学的判断の範囲内にあり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応なしにヒト及び動物の組織と接触して用いるのに適しており、妥当な利益/リスク比に相応する塩を含む。薬学的に許容される塩は、当技術分野でよく知られている。例えば、薬学的に許容される塩は、以下の文献に記載されている:レミントン(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, (22nd ed.) ed. L.V. Allen, Jr., 2013, Pharmaceutical Press, Philadelphia, PA)。塩は、本明細書に記載の化合物の最終的な単離及び精製中にin situで、又はフリーベースグループを適切な有機酸と反応させることによって別々に調製できる。代表的な酸付加塩としては、アセテート、アジペート、アルギネート、アスコルベート、アスパルテート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエート、ビサルフェート、ボレート、ブチレート、カンフォレート、カンフォスルホネート、サイトレート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルサルフェート、エタンスルホネート、フマレート、グルコヘプトネート、グリセロフォスフェート、ヘミスルフェート、ヘプトネート、ヘキサノエート、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、ヒドロイオダイド、2-ヒドロキシ-エタンスルホネート、ラクトビオネート、ラクテート、ラウレート、ラウリルスルフェート、マレート、マレエート、マロネート、メタンスルホネート、2-ナフタレンスルホネート、ニコチネート、ナイトレート、オレエート、オキサレート、パルミテート、パモエート、ペクチネート、パーサルフェート、3-フェニルプロピオネート、フォスフェート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、ステアレート、スクシネート、スルフェート、タートレート、チオシアネート、トルエンスルホネート、ウンデカノエート、及びバレレート塩を含む。
「参照」は、化合物レベル又は他の症状、例えば、組織及び/又は器官の損傷、毒性細胞、死、又は炎症を比較するために使用される任意の有用な基準を意味する。参照は、比較のために使用される任意のサンプル、標準、標準曲線、又はレベルであり得る。参照は、正常な参照サンプル又は参照標準もしくはレベルであり得る。「参照サンプル」は、例えば、コントロール、例えば、「正常コントロール」のような所定の負のコントロール値、又は同じ対象から採取された先行サンプル、正常細胞や正常組織のような正常な健康な対象から採取されたサンプル、疾患を有していない対象のサンプル(例えば、細胞又は組織)、疾患と診断されたが、まだ本発明の化合物による処置を受けていない対象からのサンプル、本発明の化合物によって処置された対象からのサンプル、又は既知の正常な濃度の精製化合物(例えば、本明細書に記載されるいずれか)のサンプルであり得る。「参照標準又はレベル」は、参照サンプルに由来する値又は数値を意味する。「正常コントロール値」は、非疾患状態を示す事前に定められた値であり、例えば、健康なコントロール対象で予想される値である。典型的には、正常コントロール値は、範囲(「XとYの間」)、高閾値(「Xより高くならない」)、低閾値(「Xより低くならない」)として表現される。特定のバイオマーカーについて正常コントロール値内の測定値を有する対象は、典型的には、そのバイオマーカーの「正常範囲内」と呼ばれる。正常な参照標準又はレベルは、疾患又は障害(例えば、ARS)を有しない正常な対象に由来する値又は数値であり得る。好ましい実施形態では、参照サンプル、標準、又はレベルは、以下の基準のうちの少なくとも1つによって対象サンプルに適合される:年齢、体重、性別、病期、及び全般的な健康状態。正常な参照範囲内の精製化合物(例えば、本明細書に記載の任意のもの)のレベルの標準曲線も、参照として使用できる。
本明細書で使用される用語「対象」又は「患者」は、例えば、実験、診断、予防、及び/又は治療目的のために、本発明に係る組成物が投与され得る任意の生物を指す。典型的な対象は、任意の動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒトなどの哺乳類)を含む。対象は、処置を求めるか、処置を必要とするか、処置を受けているか、将来的に処置を受けるか、又は特定の疾患又は状態について訓練を受けた専門家によるケアを受けているヒト又は動物であってもよい。
本明細書で使用する用語「処置する(treat)」、「処置した」、又は「処置している」は、治療的処置と予防的又は防止的措置の両方を意味し、その目的は、望ましくない生理学的状態、障害、又は疾患を防止又は減速(軽減)し、又は有益もしくは望ましい臨床結果を取得することである。有益な又は所望の臨床的結果には、症状の緩和、状態、障害、又は疾患の程度の減少、状態、障害、又は疾患の安定した(即ち、悪化していない)状態、発症の遅延又は状態、障害、又は疾患の進行の遅滞、状態、障害、又は疾患の状態の改善又は寛解(部分的又は全体的であるかを問わない)(検出可能か検出不可能かを問わない)、少なくとも1つの測定可能な身体的パラメータの改善(必ずしも患者によって識別可能である必要はない)、又は、状態、障害、又は疾患の促進又は改善を含むが、これらに限定されない。処置は、過剰なレベルの副作用なしに臨床的に有意な反応を引き起こすことを含む。処置は、処置を受けなかった場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長することも含まれる。
本明細書に記載される化合物、組成物、製剤、及び処置方法の説明は、「含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、及び「から本質的になる(consisting essentially of)」実施形態を含むことが理解されよう。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される全ての組成物、及び本明細書に記載される組成物を用いる全ての方法について、組成物は、記載された成分又は工程を含むことができるか、又は記載された成分又は工程「から本質的になる」ことができる。組成物が、記載された成分「から本質的になる」と記載される場合、組成物は、記載された成分を含み、処置される状態に実質的に影響しない他の成分を含むことができるが、明示的に記載された成分以外の処置される状態に実質的に影響する他の成分を含まない、又は、組成物が、処置される状態に実質的に影響を与える列挙された成分以外の余分な成分を含む場合、組成物は、処置される状態に実質的に影響を与えるのに十分な濃度又は量の余分な成分を含まない。方法が、記載された工程「から本質的になる」と記載される場合、方法は、記載された工程を含み、処置される状態に実質的に影響しない他の工程を含むことができるが、方法は、明示的に記載された工程以外の、処置される状態に実質的に影響する他の工程を含まない。非限定的な具体例として、組成物がある成分「から本質的になる」と記載される場合、組成物は、任意の量の薬学的に許容される担体、ビヒクル、又は希釈剤、及び処置される状態に実質的に影響を与えない他のそのような成分を追加的に含んでもよい。
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、この発明が属する技術分野における通常の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書の開示で使用するための方法及び材料が本明細書に記載されているが、当技術分野で知られている他の、適切な方法及び材料もまた使用できる。材料、方法、及び実施例は、例示に過ぎず、限定することを意図していない。本明細書で言及される全ての出版物、特許出願、特許、配列、データベースエントリ、及び他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。矛盾がある場合、定義を含む本明細書がコントロールする。
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
図1は、本発明で使用される実験プロトコルを示す図である。実験群を放射線で処置した後、テトラヒドロビオプテリン(BH4)、セピアプテリン(SP)、又はビヒクルで処置し、放射線処置後10、30、60、90、及び180日目に評価した。 図2は、放射線治療群におけるビヒクル、BH4、SP投与群のイソプロテレノール反応を示す図である。収縮予備能の評価を10日、30日、60日、90日、及び180日目に測定した。 図3は、放射線処置群の心筋パフォーマンスインデックスを、ビヒクル、BH4、及びSP処置群について示した図である。心筋パフォーマンスインデックスの評価は、10日、30日、60日、90日、及び180日目に測定した。 図4は、放射線の後にビヒクル又はSPで処置した実験群の生存率を示す図である。 図5は、コントロール群に対する放射線処置実験群の呼吸速度を示す図である。 図6A-6Cは、放射線処置後の血清エクソソームmiRNAの相対発現を、非処置コントロール群に対して正規化した図である。データは、放射線、BH4、又はその両方で処置した実験群(6A)、及び放射線、セピアプテリン、又はその両方で処置した実験群(6B(発現抑制)及び6C(発現誘導))について提供されている。 図7は、ビヒクル又はSP処置群に対する放射線処置群のイソプロテレノール反応を示した図である。収縮予備能の評価は、0、30、60、90、及び180日目に測定した。放射線は、照射後10日、30日、60日、90日、及び180日において、ベースラインのビヒクルと比較して、照射ビヒクル群の収縮予備能の低下を誘発した(*p<0.05 vs ベースライン)。SPを6日間投与すると、全ての時点において収縮予備能の低下が抑制された(#p<0.05 vs ビヒクル、同時点)。データは平均値±SEMで表した。 図8は、放射線治療後10、30、60、90、及び180日目のビヒクル又はSP処置群の収縮期及び拡張期機能を示す図である。データはTeiインデックスと等容弛緩時間(IRT)としてプロットされている。放射線による収縮期(Teiインデックス)及び拡張期(Teiインデックス及びIRT)機能の阻害は、セピアプテリンによって緩和される。ビヒクルで処置された照射マウスは、10日目から180日目までTeiとIRTの有意な漸増(*P<0.05 vs.ベースライン)を示した。SPを6日間投与すると、全ての時点においてTeiインデックス及びIRTの増加が抑制された(#p<0.05 vs ビヒクル、同時点)。データは平均値±SEMで表した。 図9は、ビヒクル又はSPで処置した放射線処置実験群の肺機能を示す図である。呼吸速度は、2週間ごとに5分間記録した。SPで処置したマウスは、測定した全ての時点で肺機能が有意に改善した。照射+ビヒクルはn=7-12、照射+SPはn=8-14、*p<0.05。 図10は、心臓及び肺組織におけるサイトカインのmRNA発現の変化を示す図である。プロットされたデータは、ビヒクル又はSPで処置された放射線処置実験群を表す。ビヒクル又はSPで処置した動物の肺及び心臓組織におけるサイトカインのmRNA発現の放射線照射後の変化。肺と心臓の組織は、放射線照射後の異なる時期に動物から採取した。全ての組織サンプルからトータルRNAを抽出し、サイトカインのmRNAについてqPCRを実施した。データは、各群5-6匹の平均±SDで示した。P値はスチューデントt検定で計算し、**- p < 0.05; ***- p < 0.001で示した。 図11A-11Cは、16週目に測定した、ビヒクル又はSPで処置した放射線処置実験群と並んだコントロール群の免疫組織化学(IHC)(11A-11B)及びヒドロキシプロリン(11C)分析を示す図である。 図12は、放射線照射から16週間後のビヒクル又はSP処置マウスの肺における線維化とサイトカインmRNA相対発現との間のスピアマンの相関を示す図である。放射線照射後16週目のビヒクル又はSP処置マウスの肺における線維化とサイトカインmRNA相対発現量との有意なスピアマンの相関の分布図。最も暗い影は、炎症/線維化が高いマウスを表す。IL = インターロイキン、Ccl2 = C-Cモチーフケモカインリガンド2、Runx2 = Runt関連転写因子2、Ccl2 = C-Cモチーフケモカインリガンド2、Runx2 = Runt関連転写因子2、Ctgf = 結合組織成長因子、Spp2 = 分泌型リン酸化タンパク質2、TGF-ベータ1=組織成長因子-ベータ1、BMP2 = 骨形成タンパク質2、Trim72 = トライパータイトモチーフコンテイニング72、IR=放射線、M = 男性、F = 女性、r = スピアマンの順位相関係数。 図13A-13Dは、ポテンシャルバイオマーカー(CRP(13A)、フィブリノーゲン(13B)、IL-6(13C)、及び好中球エラスターゼ(13D))であるELISA測定された蛋白質を示す図である。ビヒクル又はSPで処置した放射線処置実験群の測定値を、4日、8日、16週、及び180日に採取し、コントロール群と比較した。 図14A-14Bは、性別に評価した放射線後の収縮機能に対するビヒクル(14A)及びSP(14B)の効果を示す図である。 図15A-15Bは、性別に評価した放射線後の拡張機能に対するビヒクル(15A)及びSP(15B)の効果を示す図である。 図16A-16Bは、性別に評価した収縮予備能に対するビヒクル(16A)及びSP(16B)の効果を示す図である。
発明の詳細な説明
本発明は、放射線に曝露された対象を処置するための、セピアプテリン、テトラヒドロビオプテリン、ジヒドロビオプテリン又はそれらの薬学的に許容される塩もしくは共結晶の使用方法を特徴とする。理論に束縛されることを望まないが、我々は、放射線誘発の後期肺、消化管及び心臓毒性は、非結合NOS活性及びNO生物学的利用能の低下として定義される内皮機能障害の結果であり、異常創傷修復及び後期正常組織損傷と関連する持続的なプロ線維化プロセスを駆動する慢性炎症状態を確立すると考える。我々は、ヒトと同様の放射線感受性のマウスモデルにおいて、セピアプテリン及びその代謝物(テトラヒドロビオプテリン及びジヒドロビオプテリンなど)が、放射線誘発性の心臓及び肺の損傷を緩和し生存率を向上させるための放射線対策として使用できることを示す。
活性化合物
本発明の方法は、セピアプテリン、テトラヒドロビオプテリン、若しくはジヒドロビオプテリン、又はそれらの塩及び/もしくは共結晶を使用することを特徴とする。セピアプテリンは、生体内でジヒドロビオプテリンとテトラヒドロビオプテリンに変換することができ、ジヒドロビオプテリンとテトラヒドロビオプテリンはインビボで相互変換できる。
セピアプテリンは以下の構造を有する。
Figure 2022543655000001
テトラヒドロビオプテリンは以下の構造を有する。
Figure 2022543655000002
ジヒドロビオプテリンは以下の構造を有する。
Figure 2022543655000003
活性化合物は、任意の適切な形態、例えば、フリーベース、塩、又は共結晶を採用できる。代表的な酸付加塩としては、アセテート、アジペート、アルギネート、アスコルベート、アスパルテート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエート、ビサルフェート、ボレート、ブチレート、カンフォレート、カンフォスルホネート、サイトレート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルサルフェート、エタンスルホネート、フマレート、ゲンチセート、グルコヘプトネート、グリセロフォスフェート、グリコレート、ヘミスルフェート、ヘプトネート、ヘキサノエート、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、ヒドロイオダイド、2-ヒドロキシ-エタンスルホネート、ラクトビオネート、ラクテート、ラウレート、ラウリルスルフェート、マレート、マレエート、マロネート、メタンスルホネート、2-ナフタレンスルホネート、ニコチネート、ナイトレート、オレエート、オキサレート、パルミテート、パモエート、ペクチネート、パーサルフェート、3-フェニルプロピオネート、フォスフェート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、ステアレート、スクシネート、スルフェート、タートレート、チオシアネート、トルエンスルホネート、ウンデカノエート、及びバレレート塩を含む。いくつかの実施形態では、活性化合物又はその塩は、結晶の形態である。
セピオプチンの例示的な塩、共結晶、及び結晶形態は、WO2018/102314、WO2018/102315、WO2019/046849、及びWO2019/232120に記載されており、例えば、WO2018/102314又はWO2018/102315に記載の結晶形態A、B、C、D、E、F又はGのいずれかを挙げることができる。セピアプテリン、ジヒドロビオプテリン、及び/又はテトラヒドロビオプテリンの他の塩又は結晶形態は、当該技術分野において既知である。
処置方法
本発明は、放射線曝露後の対象、例えば、急性放射線症候群(ARS)、皮膚放射線症候群、又は慢性放射線症候群の処置における、対象の処置方法を提供する。特に、本発明は、24時間未満の期間に少なくとも約0.05 Gyに曝露した患者の処置方法を提供する。例えば、患者は、少なくとも約0.3、少なくとも約0.7、少なくとも約1、少なくとも約3、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約30、又は少なくとも約50 Gyに曝露されてもよく、例えば、約0.3と約6の間、約0.7と約6の間、約1と約2の間、約2と約6の間、約6と約20の間、約6と約10の間、約6と約8の間、約10と約20の間、約8と約12の間、又は約20と約50Gyの間であり、曝露期間は約18時間未満、例えば、約12時間未満、約6時間未満、約3時間未満、約1時間未満、約0.5時間未満、又は約0.1時間未満、又は約5分未満、約3分未満、約2分未満、又は約1分未満であってもよい。あるいは、本発明は、24時間を超える期間にわたって少なくとも約0.7 Gyに患者が曝露されることの処置方法を提供する。例えば、患者は、少なくとも約0.7、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、又は少なくとも約8Gyに曝露されてもよく、曝露の期間は、少なくとも約1週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、又はそれらよりも多くの期間、例えば、約1週間~3年、約1週間~1年、約1週間~1ヶ月、約1ヶ月~2年、約1ヶ月~1年、約6ヶ月~2年、約9ヶ月~2年、又は約9ヶ月~15ヶ月であってもよい。放射線照射は、全身であってもよいし、局所的、例えば、皮膚への照射であってもよい。特定の実施形態では、放射線は、放射線療法に起因するものではない。
本発明による処置は、放射線に曝露された対象における組織及び/又は器官の損傷を低減又は抑制させる結果、放射線に曝露された対象における組織又は器官の毒性(例えば、肺、心臓、又は消化管(例えば、肺又は心臓))を低減又は抑制させる結果、放射線に曝露された対象における内皮細胞死(例えば、肺、心臓、又は消化管(例えば、肺又は心臓))が減少させる結果、放射線を受けた対象における上皮細胞の放射線誘発性炎症(例えば、肺、心臓、又は消化管(例えば、肺又は心臓))を減少させる結果、miR-15b-3p、miR-106a-5p、miR-133b、miR-136-5p、miR-451a、miR-1、miR-335-3p、let-7d-3p、及び/又はlet-7c-5pの発現を増加させる結果、IL-1β、IL-6、IL-17A、Spp2、及び/又はTGF-β1の発現を減少させる結果(例えば、肺上皮細胞において)、let-7a-5p、miR-1、miR-106b-3p、miR-106b-5p、miR-126-3p、miR-181a-5p、miR-335-3p、及び/又はmiR-335-5pの発現を増加させる結果、及び/又はlet-7g-5p、let-7i-5p、及び/又はmiR-16-5pの発現を減少させる結果をもたらしてもよい。症状又はサイトカインの減少は、例えば、参照に対して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%であってよい。オリゴヌクレオチド発現の増加は、例えば、参照に対して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、又は少なくとも約500%であってよい。
活性化合物は、任意の適切な用量で投与できる。患者に投与される本発明の組成物の実際の投与量は、体重、状態の重症度、以前の又は同時の治療介入、患者の特質、及び投与経路上のような物理的及び生理学的要因によって決定できる。投与量及び投与経路に応じて、好ましい投与量及び/又は有効量の投与回数は、対象の反応に応じて変更し得る。投与を担当する医師は、いかなる場合においても、組成物中の有効成分の濃度及び個々の対象に対する適切な投与量を決定し得る。治療的有効量は、約0.1mg/kg/日~約200mg/kg/日であってよく、例えば、約0.1~約150mg/kg/日、約0.1~約125mg/kg/日、約0.1~約100mg/kg/日、約0.1~約80mg/kg/日、約0.1~約60mg/kg/日、約0.1~約40mg/kg/日、約0.1~約25mg/kg/日、約0.1~約20mg/kg/日、約0.1~約15mg/kg/日、約0.1~約10mg/kg/日、約0.1~約5mg/kg/日、約0.1~約2.5mg/kg/日、約0.1~約1mg/kg/日、約0.1~約0.5mg/kg/日、約0.5~約200mg/kg/日、約1~約200mg/kg/日、約2.5~約200mg/kg/日、約5~約200mg/kg/日、約10~約200mg/kg/日、約15~約200mg/kg/日、約20~約200mg/kg/日、約25~約200mg/kg/日、約40~約200mg/kg/日、約60~約200mg/kg/日、約80~約200mg/kg/日、約100~約200mg/kg/日、約120~約200mg/kg/日、約140~約200mg/kg/日、約160~約200mg/kg/日、約180~約200mg/kg/日、約5~約80mg/kg/日、約10~約160mg/kg/日、約20~約140mg/kg/日、約40~約120mg/kg/日、約60~約100mg/kg/日、約5~約50mg/kg/日、又は約10~約20mg/kg/日の活性化合物であってもよい。投与は、任意の適切な回数、例えば、処置中に1日1回、1日2回又は1日3回行われてもよい。投与は、必要な限り、例えば、1日~約1年、又は少なくとも6日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、又は少なくとも約9ヶ月間、継続してもよい。
活性化合物は、任意の適切な時間、例えば、放射線照射の約1時間以内、約2時間以内、約6時間以内、約12時間以内、又は約18時間以内、約24時間以内、約2日以内、又は約1週間以内に最初に投与され得る。
製剤化
活性化合物は、当技術分野で知られているようにして医薬組成物に製剤化できる。そのような組成物は、当技術分野で知られているような様々な成分を含んでもよく、例えば、レミントン(The Science and Practice of Pharmacy, (22nd ed.) ed. L.V. Allen, Jr., 2013, Pharmaceutical Press, Philadelphia, PA)を参照。
組成物は、薬学的に許容される担体、例えば、従来使用されているもののいずれかを含んでもよく、溶解性及び化合物との反応性の欠如などの化学物理的考察、並びに投与経路によってのみ制限される。本明細書に記載の薬学的に許容される担体、例えば、ビヒクル、アジュバント、賦形剤、又は希釈剤は、当業者にはよく知られており、一般に容易に入手可能である。薬学的に許容される担体は、活性化合物に対して化学的に不活性であり、使用条件下で有害な副作用又は毒性を有さないものであることが好ましい。
抗酸化剤
本方法に採用される医薬組成物は、抗酸化剤を含んでも含まなくてもよい。抗酸化剤は、活性化合物の酸化的分解を最小化できる。抗酸化剤の例としては、限定されないが、4-クロロ-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、トコフェロール、α-トコフェロール、アルキル化ジフェニルアミン類、アスコルビン酸、アスコルビルミリステート、アスコルビルパルミチテート、アスコルビルステアレート、β-カロテン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、クエン酸、システイン、D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、デベロキサミンメタンスルホネート、ドデシルガレート、エチルパラベン、葉酸、フマル酸、没食子酸、グルタチオン、レシチン、リンゴ酸、メチルパラベン、モノチオグリセロール、N-アセチルシステイン、ノルジヒドログアヤレト酸、オクチルガレート、p-フェニレンジアミン、ポタジウムアスコルベート、ポタジウムメタビスルファイト、ポタジウムソルベート、プロピオン酸、プロピルガレート、レチノール、ソルビン酸、ソディウムアスコルベート、ソディウムビスルファイト、ソディウムハイドロスルファイト、ソディウムイソアスコルベート、ソディウムメタビスルファイト、ソディウムスルファイト、ソディウムチオスルフェート、酒石酸、tert-ブチルヒドロキノン、酢酸トコフェロール、ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンB12、又はビタミンEを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、抗酸化剤として、アスコルビン酸、トコフェロール、レチノール、アスコルビルパルミチテート、N-アセチルシステイン、グルタチオン、ブチル化ヒドロキシトルエン、及び/又はブチル化ヒドロキシアニソールを含む医薬組成物を用いることができる。
いくつかの実施形態では、方法は、約10重量%未満の抗酸化剤、例えば、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、又は約1%未満を含む医薬組成物を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、総重量で約2~9%の抗酸化剤、例えば、約2~4%、約3~5%、約4~6%、約5~7%、約6~8%、又は約7~9%を含む医薬組成物を使用する。いくつかの実施形態では、本方法は、抗酸化剤のUSP最大1日用量の約5~100%を含む医薬組成物を使用し、例えば、いくつかの実施形態では、本方法は、抗酸化剤のUSP最大1日用量の約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約80%、約90%、又は約100%を含む医薬組成物を使用する。いくつかの実施形態では、セピアプテリン、テトラヒドロビオプテリン、若しくはジヒドロビオプテリン、又はそれらの薬学的に許容される塩及び/若しくは共結晶の、抗酸化剤に対する比率は、少なくとも約1:1、例えば、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約4:1、少なくとも約5:1、少なくとも約6:1、少なくとも約7:1、少なくとも約8:1、少なくとも約9:1、又は少なくとも約10:1 wt/wtである。本明細書に記載される組成物のいくつかの実施形態では、組成物は、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)を含み、ここで、セピアプテリン、テトラヒドロビオプテリン、又はジヒドロビオプテリンの薬学的に許容される塩及び/又は共結晶と抗酸化剤の比は、重量比(例えば、その塩と抗酸化剤の重量比)で約4:1(例えば、約5:1より大きい、約6:1より大きい、約7:1、約8:1より大きい、約9:1り大きい、約10:1り大きい、約15:1り大きい、又は約20:1より大きい)より大きい。
分散剤
いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つの分散剤を含む医薬組成物を使用する。分散剤は、製剤中の粒子を分離させ、例えば、水分との接触によりその薬用物質を放出させることができる。分散剤の例としては、架橋ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース(例えば、クロスカルメロース塩、例えば、クロスカルメロースナトリウム)、デンプン(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム)、又はアルギン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の分散剤は、クロスカルメロースの薬学的に許容される塩などのカルボキシメチルセルロースである。いくつかの実施形態では、本方法は、総重量で約0.1~1.5%の分散剤、例えば、約0.1%、約0.5%、約1%、又は約1.5%を含むことができる医薬組成物を使用する。いくつかの実施形態では、本方法は、約1.5%未満の分散剤、例えば、約1%未満、約0.5%未満、又は約0.1%未満の分散剤を含む医薬組成物を使用する。
アンチケーキング剤
アンチケーキング剤は、例えば、溶液中での塊の形成を防止するために、医薬組成物にしばしば添加される。従って、いくつかの実施形態において、本発明の方法で使用される医薬組成物は、少なくとも1つのアンチケーキング剤を含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用される医薬組成物は、少なくとも2つのアンチケーキング剤を含む。例示的なアンチケーキング剤は、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶セルロース、リン酸三カルシウム、微結晶セルロース、マグネシウムステアレート、ソディウムビカーボネート、ソディウムフェロシアニド、ポタジウムフェロシアニド、カルシウムフェロシアニド、カルシウムホスフェート、ソディウムシリケート、コロイド状二酸化ケイ素、カルシウムシリケート、マグネシウムトリシリケート、タルカムパウダー、ソディウムアルミノシリケート、ポタジウムアルミナムシリケート、カルシウムアルミノシリケート、ベントナイト、アルミニウムシリケート、ステアリン酸、及びポリジメチルシロキサンを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアンチケーキング剤は、コロイド状二酸化ケイ素又は微結晶セルロースである。いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用される医薬組成物は、総重量で約65~75%のアンチケーキング剤、例えば、約65%、約67%、約70%、約73%、又は約75%を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用される医薬組成物は、コロイド状二酸化ケイ素及び微結晶セルロースの両方を含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用される医薬組成物は、総重量で約60~65%の微結晶セルロース及び総重量で約5~7%のコロイド状二酸化ケイ素を含む。
投薬用ビヒクル
いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用される医薬組成物は、投与の前に投与ビヒクルと組み合わされる。いくつかの実施形態では、組成物は、医薬組成物の懸濁及び投与を助けるために、例えば、約50~1750センチポイズ(cP)の粘度を有する投与ビヒクル中で投与され得る。使用できる懸濁剤の1つのタイプは、水中のグリセリンとスクロースの組み合わせである(例えば、水中の2.5%グリセリン及び27%スクロースを有するMEDISCA(R)オーラルミックス)。適量の組成物を投与用ビヒクル混合物に添加し、投与直前に組成物を懸濁させるために攪拌できる。
他の懸濁剤も投与用ビヒクルとして使用できる。例示的な懸濁剤は、水、寒天、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポビドン、トラガカント、キサンタンガム、又は当業者に知られている他の懸濁剤を含む。
投与経路
本発明と共に使用するための好適な製剤は多種多様である。経口、エアロゾル、非経口、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、直腸及び膣投与のための以下の製剤は単なる例示であって、決して限定的なものではない。
医薬組成物は、溶液、懸濁液、又はエマルションの形態など、液体製剤であってもよい。経口投与に適した製剤は、(a)カプセル、分包、錠剤、ロゼンジ、及びトローチ、ここで、固体又は顆粒として、それぞれが所定量の活性成分を含み得る、(b)パウダー、(c)液体溶液、例えば、有効量の化合物を水、生理食塩水、オレンジジュースなどの希釈剤に溶解したもの、(d)適切な液体中の懸濁液。及び(e)適切なエマルションから構成され得る。好ましくは、カプセル形態、錠剤形態、及びパウダー形態のような固体経口投与形態である。カプセル形態は、例えば、界面活性剤、潤滑剤、及び不活性充填剤(例えば、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、及びコーンスターチ)を含む通常のハード又はソフトシェルゼラチンタイプであることができる。錠剤の形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸、微結晶セルロース、アカシア、ゼラチン、グアーガム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、マグネシウムステアレート、カルシウムステアレート、ジンクステアレート、ステアリン酸、及びその他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、保存剤、香味剤、及び薬学的に適合する担体の1以上を含み得る。ロゼンジの形態は、通常スクロースとアカシア又はトラガカントなどのフレーバー中に活性成分を含んでなるもの、並びにゼラチンとグリセリン、又はスクロースとアカシアなどの不活性ベース中に活性成分を含んでなるパスティル、活性成分に加えて、当該分野で知られているような担体を含むエマルション、ゲルなどを含み得る。
経口及び/又は非経口投与に適した製剤には、水性及び非水性の等張無菌注射液が含まれ、これは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び/又は製剤を意図する患者の血液と等張にする溶質、並びに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び/又は防腐剤を含み得る水性及び非水性の無菌懸濁液を含む。上記化合物は、薬学的担体中、生理学的に許容可能な希釈剤(例えば、無菌液体又は液体の混合物)に添加した状態で投与できる。それら液体としては、水、食塩水、デキストロース水溶液、及び関連の糖溶液、エタノール、ベンジルアルコール、若しくはヘキサデシルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール400)のグリコール類、及び他のポリエチレンアルコール類、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール等のグリセロールケタール、エーテル類、油類、脂肪酸、脂肪酸エステル若しくはグリセリド、又はアセチル化脂肪酸グリセリドを含む。これらは、石鹸若しくは洗剤等の薬学的に許容可能な界面活性剤、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはカルボキシメチルセルロース等の懸濁化剤、又は乳化剤、及び他の薬学的佐剤をさらに含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
非経口剤形中で使用できる油類の例としては、石油、動物油、植物油、又は合成油を含む。油類の具体的な例としては、ピーナッツ油、大豆油、ごま油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ペトロラタム及び鉱物油を含む。非経口剤形中で使用するために好適な脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸を含む。オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルは好適な脂肪酸エステルの例である。非経口剤形中で使用するために好適な石鹸としては、脂肪酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及びトリエタノールアミン塩を含む。また、好適な界面活性剤としては、(a)例えば、ジメチルジアルキルアンモニウムハライド、及びアルキルピリジニウムハライド等のカチオン性界面活性剤、(b)例えば、アルキル-、アリール-、及びオレフィン-スルホナート、アルキル-、オレフィン-、エーテル-、及びモノグリセリド-硫酸塩、並びにスルホコハク酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、(c)例えば、脂肪族アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、及びポリオキシエチレン・ポリプロピレンコポリマー等の非イオン性界面活性剤、(d)例えば、アルキルβ-アミノプロピオネート、及び2-アルキルイミダゾリン四級アンモニウム塩等の両性界面活性剤、並びに(e)それらの混合物等を含む。
非経口剤形は、典型的には、溶液中に約20~約25重量%の有効化合物を含有し得る。好適な防腐剤及び緩衝剤はそのような剤形中で使用できる。注射部位での刺激を最小限にするか取り除くために、そのような組成物は親水性親油性バランス(HLB)が約12~約17の非イオン性界面活性剤を1つ以上含んでもよい。上記剤形中の界面活性剤の量は、約5~約15重量%である。好適な界面活性剤としては、ポリエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノオレアート等)や、プロピレンオキシドとプロピレングリコールとのの縮合によって形成される疎水性ベースとのエチレンオキシドの高分子量付加物を含む。非経口製剤は、アンプルやバイアルなどの単位用量又は多用量の密封容器で提示することができ、使用直前に注射用の滅菌液体担体、例えば、水を加えることのみを必要とする凍結乾燥(凍結乾燥)状態で保存できる。即席の注射液及び懸濁液は、先に述べた種類の滅菌パウダー、顆粒、及び錠剤から調製できる。
医薬組成物は、注射用製剤であってもよい。注射用組成物のための有効な医薬担体の要件は、当業者にはよく知られている。レミントン(The Science and Practice of Pharmacy, (22nd ed.) ed. L.V. Allen, Jr., 2013, Pharmaceutical Press, Philadelphia, PA)を参照。
経皮薬物放出に有用なものを含む局所製剤は、当業者にはよく知られており、皮膚への適用にける本発明文脈で適している。局所適用組成物は、典型的には、液体、クリーム、ペースト、ローション、及びゲルの形態である。局所投与には、口腔、口腔上皮、口蓋、歯肉、及び鼻粘膜を含む口腔粘膜への適用を含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用される組成物は、セピアプテリン、テトラヒドロビオプテリン、又はジヒドロビオプテリン、並びに適切なビヒクル又は担体を含む。それはまた、抗刺激剤などの他の成分を含んでもよい。担体は、液体、固体、又は半固体であることができる。いくつかの実施形態では、組成物は水溶液である。あるいは、組成物は、様々な成分のための分散液、乳液、ゲル、ローション、又はクリーム状のビヒクルであってもよい。一実施形態では、一次ビヒクルは、水又は実質的に中性である、もしくは実質的に中性にされた生体適合性溶媒である。液体ビヒクルは、所望のpH、コンシステンシー及び粘度を得るために、当技術分野で公知の様々な乳化剤又は分散剤を有する緩衝剤、アルコール、グリセリン及び鉱油等の他の材料を含み得る。組成物は、パウダー又は顆粒のような固体として生産され得る。固体物は、直接塗布するか、又は使用前に水又は生体適合性溶媒に溶解して、実質的に中性である、又は実質的に中性にされた、その後標的部位に塗布できる溶液を形成できる。本発明の実施形態において、皮膚への局所適用のためのビヒクルは、水、緩衝溶液、種々のアルコール、グリセリンなどのグリコール、脂肪酸などの脂質材料、鉱油、ホスホグリセリド、コラーゲン、ゼラチン及びシリコーン系材料を含み得る。
医薬組成物は、吸入を介して投与されるエアロゾル製剤であってもよい。このようなエアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、及び窒素等の加圧された許容される推進剤に設置できる。また、それらは、ネブライザー又は噴霧器などの非加圧製剤用の医薬品として製剤化されてもよい。
さらに、医薬組成物は、坐剤であってもよい。膣投与に適した製剤は、活性成分に加えて、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、又はスプレー製剤として存在してもよく、そのような担体は当技術分野で適切であることが知られている。
経口投与用固形製剤
経口使用のための製剤は、非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に活性化合物を含む粒子を含み、そのような製剤は当業者に知られている(例えば、U.S. Patent Nos.: 5,817,307, 5,824,300, 5,830,456, 5,846,526, 5,882,640, 5,910,304, 6,036,949, 6,036,949, 6,372,218、これらは本明細書に組み込まれる)。賦形剤は、例えば、不活性希釈剤又は充填剤(例えば、ショ糖、ソルビトール、砂糖、マンニトール、微結晶セルロース、ポテトスターチを含む澱粉、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム)、造粒及び崩壊剤(例えば、微結晶セルロースを含むセルロース誘導体、ポテトスターチを含む澱粉、クロスカルメロースナトリウム、アルギネート類又はアルギン酸)、結合剤(例えば、ショ糖、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、ソディウムアルギネート、ゼラチン、澱粉、プレゼラチン化澱粉、微結晶セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はポリエチレングリコール)、及び潤滑剤、滑剤、付着防止剤(例えば、マグネシウムステアレート、ジンクステアレート、ステアリン酸、シリカ類、水添植物油、又はタルク)、及びアンチケーキング剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶セルロース、リン酸三カルシウム、微結晶セルロース、マグネシウムステアレート、ソディウムビカーボネート、ソディウムフェロシアニド、ポタジウムフェロシアニド、カルシウムフェロシアニド、カルシウムホスフェート、ソディウムシリケート、コロイド状二酸化ケイ素、カルシウムシリケート、マグネシウムトリシリケート、タルカムパウダー、ソディウムアルミノシリケート、ポタジウムアルミナムシリケート、カルシウムアルミノシリケート、ベントナイト、アルミニウムシリケート、ステアリン酸、ポリジメチルシロキサン)であってもよい。他の薬学的に許容される賦形剤は、着色剤、香料、可塑剤、腐植剤、及び緩衝剤であり得る。いくつかの実施形態では、賦形剤(例えば、香料)は、組成物と共に包装される。いくつかの実施形態では、賦形剤(例えば、香料)は、組成物とは別に包装される(例えば、投与前に組成物と組み合わされる)。
本発明の方法で使用される固体組成物は、組成物を不要な化学変化、(例えば、活性物質の放出前の化学分解)から保護するように適合されたコーティングを含んでもよい。コーティングは、レミントン(The Science and Practice of Pharmacy, (22nd ed.) ed. L.V. Allen, Jr., 2013, Pharmaceutical Press, Philadelphia, PA)に記載されているのと同様の方法で固形剤形上に適用できる。
パウダー及び顆粒は、上記の成分を用いて、例えば、混合機、流動床装置、溶融凝固装置、回転造粒機、押出/球形機、噴霧乾燥装置などを用いて、常法により調製できる。
本発明の特定の特徴を本明細書で例示し、説明したが、多くの修正、置換、変更、及び等価物は、今や当業者にとって生じ得る。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内に入るような全てのそのような修正及び変更をカバーすることを意図していることが理解される。そして、以下の実施例は、本発明の様々な態様を教示するために提供される。これらの実施例は、本発明の側面の個々の実施形態を表し、当業者は、本発明の側面を均等に教示するために、追加の実施例を生成できることを認識するであろう。
実施例1. C57L/Jマウス群の処置
動物
雄及び雌のC57L/J野生型6-8週齢マウスをいずれもジャクソン研究所(バーハーバー、ミネソタ州)から購入した。マウスは、12:12時間の明暗スケジュールで飼育し、水と餌を自由に摂取できるようにした。実験は、米国国立衛生研究所が発行した生物医学研究のための実験動物のガイドライン(2011年改訂版)に基づき実施した。研究プロトコルは、バージニアコモンウェルス大学のInstitutional Animal Care及びUse Committeeにより承認された。
実験的処置計画
各群に同数の雄マウスと雌マウスを配した。ケタミン/キシラジン麻酔(それぞれ100mg/kg及び10mg/kg)下で、Varian 21EX LINAC (Palo Alto, CA)を使用して、5 Gyの全身照射(TBI)、直後に胸部への6.5 Gyのトップアップ照射、総数11.5 Gyの胸部照射をマウスに受けさせた。照射24時間後、水に溶解した1mg/kgのセピアプテリン又は5mg/kgのBH4で1日1回、6日間経口投与でマウスを処置した(図1)。
実施例2. 心機能の評価
心エコー検査
ベースライン(照射(IR)前)、8、30、60、90、及び180日目に、軽麻酔(30mg/kgペントバルビタールナトリウム)下で経胸壁心エコー検査を全てのマウスに受けさせた。心エコー検査はVevo770イメージングシステム(VisualSonics, Toronto, Ontario, Canada)と30-MHzプローブを用いて行った。心臓は傍胸骨短軸像及び心尖部像からBモードで描出した。左室(LV)拡張末期径(EDD)、LV収縮末期径(ESD)、LV前壁拡張期厚(AWDT)、及びLV後壁拡張期厚(PWDT)、LV前壁収縮期厚(AWST)、及びLV後壁収縮期厚(PWST)は米国心臓病学会の推奨に従ってMモードで測定した。LV駆出分画(EF)及びLV質量は壁厚と室径の測定値から算出した。LVEFはTeicholzの式(LVEF = [LVEDD3 - LVESD3]/LVEDD3)を用いて、以前に記載したように算出した。トランスミタルLVアウトフロートラクトドップラースペクトル(E、A、ET)は心尖部4室観で記録し、心筋性能指数(MPI)は等容性収縮時間(ICT)と等容性弛緩時間(IRT)の比を駆出時間(ET)で除したものとして算出した。心エコー検査を実行及び読み取る研究者は、処置割り付けについて盲検化されていた。β-アドレナリン作動薬であるイソプロテレノール(Sigma Aldrich, St. Louis, MO, USA)20ng/マウスを用いて、SP処置をしていない照射マウスの心収縮力を評価した。心臓収縮力(収縮予備能)は、安静時(LVEFr)及びイソプロテレノール注入(LVEFi)3分後に測定したLVEFの変化率として表し、[(LVEFi-LVEFr)/LVEFr] *100として算出した。収縮予備能の測定は、ベースライン、IR後8、30、60、90、及び180日目に行った。心エコー検査による評価は、処置割り付けに対して盲検化されたオペレーターによって行った。
IR誘発心筋症に対するセピアペプチンの効果
IRを受ける前、及びSP処置を開始する前に、全てのマウスにおいてベースラインで心臓の性能を評価した。その後、IRを受けた後、マウスを処置群(ビヒクル又はSP)に無作為に割り付けた。胸部トップアップ投与により、我々のTBIモデルが収縮期、拡張期機能、及びイソプロテレノールに対する収縮予備能に与える影響について評価した。放射線はイソプロテレノールに対する反応を鈍らせ(図2、7)、心筋パフォーマンスインデックス(図3、8)と等容性弛緩時間を増加させた。IR後6日間、SPを毎日経口投与すると、イソプロテレノールによるβアドレナリン刺激に対する反応を回復させることができた。さらに、SP投与は収縮期及び拡張期機能障害の進行を抑制し、心筋パフォーマンスインデックスとIRTの漸増を改善した。これらの結果について、さらに動物の性別によって評価した。収縮期及び拡張期機能に関しては、放射線又は1 mg/kg SPに対する心機能反応に有意差はなかった(図14A-14B及び図15A-15B)。しかし、雄マウスでは、放射線照射後90日及び180日目に、雌マウスと比較して収縮予備能にさらなる有意な低下が見られた(図16A-16B)。重要なことに、雌雄ともに、SPは、収縮予備能のこの損失を軽減するために等しく効果的であった。
実施例3. 肺機能の評価
呼吸速度による肺の傷害の評価
呼吸速度をMouse Oxシステム(STARR Life Sciences Corp., Allison Park, PA)を用いて、6週目から隔週で測定した。動物はケタミン/キシラジン麻酔下に置かれ、分析領域の毛を剃った。注射後10分、動物を仰臥位にし、センサーを大腿上部に取り付けた。呼吸速度は3分間記録した。呼吸速度は、Mouse Oxソフトウェア内のアルゴリズムを用いて計算した。
SPとBH4は放射線誘発の肺機能損失を軽減する
MouseOxシステムを用いて、マウスに放射線を照射したマウス、SPを伴う照射マウス(図9)、及びBH4を伴う照射マウス(図5)について、呼吸機能の指標として呼吸速度を測定した。1mg/kg/日のSP又は5mg/kgのBH4を6日間投与したマウスは肺損傷の発生が著しく遅れ(SP投与で14週間、ビヒクル投与で10週間)、測定した全てのポイントでビヒクル処置マウスと比較して肺機能の障害が著しく軽減されていることが確認された。
実施例4. マウス群の生存率評価
SPは放射線照射後の生存率を向上させる
心肺機能の向上が全生存に影響を与えたかどうかを判断するために、マウスをIR後180日間にわたって追跡調査した。図4は、1mg/kg/日のSPを6日間投与した場合としなかった場合の、C57L/Jマウスの胸部へのトータル11.5 Gyの線量(5 GyのTBIに続いて胸部へ6.5 Gyの線量)の照射におけるカプランマイヤー生存プロットを示している。無処置で放射線を照射したマウスは、生存期間中央値が137日、試験終了時の生存率が40%となり、生存率が著しく低下した。一方、1mg/kg/日SPを6日間投与したマウスは、生存期間が有意に遅延し、試験終了の180日時点で71%が生存しており、全体的に生存率が改善された。
実施例5. 血清エクソソームmiRNAの発現
EDTAバイアルを用いた心臓穿刺により血液を採取した。血液サンプルを3,000×g、25分間遠心分離し、血漿画分を分取し、液体窒素の気相中で保存した。101Bio社のエクソソーム単離キットを用いて、図6A-6Cに示す時点のマウスの血漿からエクソソームを単離した。Exosome濃度は、EXOCET Exosome Quantitation Kit(System Biosciences)により定量した。各時点で5匹の動物から等しいエクソソーム数を組み合わせ、miRNeasy Micro Kit(QIAGEN)を用いて総エクソソームRNAを抽出した。miRNAの発現プロファイルには、miRCURY LNATM Universal RT microRNA PCR assay (QIAGEN)とExiLENT SYBR(R) Green Maser Mix (QIAGEN)を使用した。エクソソームmiRNAの発現の初期推定は、QuantStudio 5 RT-PCRマシン(Applied Biosystems)で血清/プラズマLNATM miRNA PCR パネル(Cat.# YAHS-106Y、QIAGEN)を用いて実施した。
図6B-6Cに示すサイクル閾値(Ct値)は、1群5匹のマウスからの平均値であり、高品質の正規化コントロールとして実験的に示されたhsa-miR-145-5p及びhsa-miR-221-3pに正規化されている。IR後30日の時点で、ビヒクル投与動物とSP投与動物の間で有意差を示したエクソソームmiRNAの2つの異なるグループが明らかになった。最初のグループは、let-7a-5p、miR-1、miR-106b-3p、miR-106b-5p、miR-126-3p、miR-181a-5p、miR-335-3p、及びmiR-335-5pを含んでいた。このグループのmiRNAの発現は、SP投与動物に比べ、ビヒクル投与動物で有意に低下していた。第2グループでは、SP投与群に比べ、ビヒクル投与群でmiRNAの発現が有意に高かった。第2グループにはlet-7g-5p、let-7i-5p、及びmiR-16-5pが含まれていた。IRによるエクソソームmiRNAの発現変化、及びmiRNA発現に対するセピアプテリンの影響については、いずれも雌雄間に有意差は認められなかった。放射線により有意な発現変化を示し、セピアプテリンにより調節されたmiRNAは、炎症過程(例えば、let-7a-5p、miR-106b-3p、miR-181a-5p、let-7i-5p)、血管形成及び血管の恒常性(miR-106b-3p、miR-126-3p)、心炎症及び線維化(miR-335-5p、let-7i-5p、miR-126-3p、miR-16-5p)に関与している。miR-16-5pはTGF-ベータ/VEGFシグナルを阻害する。BH4による処置(図6A)は、miR-15b-3p、miR-106a-5p、miR-133b、miR-136-5p、miR-451a、miR-1、miR-335-3p、let-7d-3p、及び/又はlet-7c-5pの発現増加を示した。
実施例6. 心臓及び肺の組織におけるサイトカインmRNAの発現
RNAの単離とRT-PCR
RNeasy Miniキット(Qiagen)を用いて、製造元の指示に従い、肺及び心臓組織サンプルからトータルRNAを単離した。RNA濃度はNanoDrop ND-1000スペクトロメーター(Thermo Scientific)を用いて評価した。RNA純度は、A260/A280及びA260/A230の比により評価した。RNA の恒常性は、Agilent 2100 BioAnalyzer(Agilent Technologies)を用いて、28S/18SリボソームRNA(rRNA)の比率とRNAインテグリティナンバー(RIN)で評価した。cDNA 合成とゲノムDNA除去はRT2 First Strand Kit (QIAGEN)を用いて実施した。サンプルはQIAGEN社製RT2 SYBR(R) Green qPCR Mastermixプローブを用いてQuantStudio 5 RT-PCR machine (Applied Biosystems)で増幅した。以下のRT2 qPCR Primer Assays(QIAGEN社製)を使用した:マウスアクチン-β(NM_007393)、マウスBmp2(NM_007553)、マウスCcl2(NM_011333)、マウスCtgf(NM_010217)、マウスIL-1β(NM_008361)、マウスIL-6(NM_031168)、マウスIL-10(NM_010548)、マウスIL-17α(NM_010552)、マウスRunx2(NM_001145920)、マウスSpp1(NM_001204201)、マウスTGF-β1(NM_011577)、マウスTrim72(NM_001079932)。
放射線照射後のサイトカインmRNA発現量の変化
動物に放射線を照射し、24時間後に6日間のSP又は水で処置した後、肺及び心臓組織におけるさまざまなサイトカイン(Bmp2、Ccl2、Ctgf、IL-1β、IL-6、IL-10、IL-17A、IL-33、Runx2、Spp2、TGF-β1及びTrim72)の発現を評価した。組織サンプルのmRNA発現をIR後3つの異なる時点(8日、30日、16週間)で試験し、非処置非照射コントロール動物のmRNA発現と比較した(図10)。心臓組織では、全てのサイトカインでビヒクル処置群とSP処置群の間で発現量に有意な差は見られなかった。肺組織では、サイトカインIL-1β、IL-6、IL-17A、Spp2、及びTGF-β1が、IR後の異なる時点において、ビヒクル処置群とSP処置群の間で有意な発現の差を示した。ビヒクル処置群は、8日後及び30日後の時点で、肺組織におけるIL-1βの相対発現量がSP処置群と比較して有意に高かった(それぞれ2.9±0.649 vs 1.54±0.825及び3.39±0.532 vs 1.66±0.51)。IL-6の相対発現量は、IR後の全ての時点において、ビヒクル処置群ではSP処置群に比べ有意に高かった(8日:16.88±4.91 vs 1.36±0.509、30日:9.09±0.533 vs 4.96±0.905、16週:28.85±5.987 vs 17.05±4.12)。IL-6と並んで、サイトカインIL-17Aも、IR後の全ての時点において、ビヒクル処置群ではSP処置群と比較して有意に高い発現を示した(8:9.19±2.783 vs 2.71±1.874、30日:5.65±2.263 vs 1.49±0.379、16 週:4.5±0.824 vs 2.12±1.173)。サイトカインSpp2及びTGF-β1は、ビヒクル処置群ではIR後16週目にSP処置群と比較して有意に肺組織発現が増加した(4.25±0.537 vs 2.38±0.211及び3.26±0.339 vs 1.53±0.367)。サイトカインCcl2は、30日目の時点で、全ての動物で肺組織の相対発現量が有意に増加し、ビヒクル処置群とSP処置群の間で有意差は認められなかった。
実施例7. 心臓及び肺組織のIHC分析
IHC分析
IR後16週目に、組織学的分析のために心臓と右肺を採取した(図11A-11C)。心臓はホルマリンで回収し、パラフィンに包埋し、5mm切片にスライスした。右肺はOCTで灌流し、6 mmの切片にした.
コラーゲン繊維を検出するために、提供会社の指示(Richard-Allan Scientific Masson's trichrome kit, Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA)に従ってマッソントリクローム染色を行った。心筋及び肺の線維化面積は、コンピューター形態学的解析(Image ProPlus 6.0 software, Media Cybernetics, Rockville, MD, USA)を用いて、全組織面積に対するコラーゲン面積の割合として算出した。炎症、血管形成、及び平滑筋細胞の分化は、心臓と右肺を以下の抗体で染色して測定した:Ly-6G/Ly- 6C (Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)、F40/80及びアルファ-スマ(Cell Signaling, Danvers, MA, USA)、CD-31(BD Pharmigen, San Jose, CA, USA)。一次抗体を二次抗体で検出した後、Novared(Vector Laboratories, Burlingame, CA, USA)で染色し、抗体検出を行った。染色の評価は、処置割り付けに対して盲検化された2人の研究者により、二分法(陽性/陰性)で行い、陽性結果はその後、染色の強度と広がりにより、軽度(1)、中度(2)又は高度(3)の染色として等級付けした。
ヒドロキシプロリン
ヒドロキシプロリン量は、Sigma Aldrich社製ヒドロキシプロリンアッセイキット(St. Louis, MO)を用いて、以前に記載したように測定した。
実施例8. ELISAで測定した蛋白質
プラズマの分析
屠殺時に、EDTA含有チューブに心臓穿刺により血液を採取し、3000rpmで25分間遠心分離してプラズマを単離した。分析にAbcamの以下のELISAプレートを使用した:フィブリノーゲン(ab213478)、好中球エラスターゼ(ab252356)、C反応性蛋白質(ab157712)及びIL-6(ab100713)。プラズマサンプルを製造元の推奨に従って処理し、ELISAキットに用いた。全てのサイトカインは絶対単位で報告した。組織因子、トロンビン、フィブリノーゲンなどの凝固カスケードの主要な分子プレイヤーは、疫学的及びメカニズム的に炎症成分と関連している。遺伝学的及び薬理学的研究により、フィブリノーゲンが局所的あるいは全身的な炎症の程度を決定する上で極めて重要な役割を担っていることが明らかにされている。好中球エラスターゼは、好中球のアズロフィル顆粒に存在するセリンプロテアーゼであり、炎症状態において放出され、その低い基質特異性により細胞外マトリックスを崩壊させ、組織傷害を引き起こす。好中球エラスターゼは、生体内で最も破壊的な酵素の一つである。この酵素は、いったん制御不能になると、肺の透過性バリアの機能を乱し、急性肺傷害の刺激とともに炎症性サイトカインの放出を誘導する。炎症性サイトカインIL-6は、肺組織及び血液中で放射線照射後6時間という早い時期に発現が増加し得る。プラズマ中のIL-6濃度が高いと、肺組織の炎症反応を悪化させ、最終的にIL-6の気管支肺胞への漏出が起こり、さらに肺の損傷が進む可能性がある。肺組織内の高濃度のIL-6は、好中球、単球、マクロファージなどの炎症細胞を傷ついた肺に引き寄せ、最終的に肺に深刻な損傷を与え、慢性線維化を引き起こす可能性がある。プラズマ中のIL-6が急に上昇すると、C反応性蛋白質(CRP)が増加し得る。C反応性蛋白質(CRP)は肝臓で生産され、炎症や感染性物質に対する一般的なストレス反応のバイオマーカーである。血清CRP値は、放射線肺炎の発生を予測するための有効な指標であり、放射線による肺損傷の程度を評価するための貴重な因子となり得ることが示された。
IR後のプラズマ中サイトカイン濃度の変化
ビヒクル処置群の動物は、IR後4日、8日、及び180日の時点で、SP処置群と比較して有意に高いIL-6の血漿レベルを示した(それぞれ304.05±153.23 pg/ml vs 97.00±45.71 pg/ml (p=0.02)、606.09±72.72 pg/ml vs 49.85±39.36 pg/ml (p<0.001)、及び197.22±55.55 pg/ml vs 40.06±43.26 pg/ml (p=0.018))(図13C)。ビヒクル処置群の動物は、IR後8日の時点で、SP処置群と比較して有意に高いフィブリノーゲンの血漿レベルを示した(948.77±98.54 g/ml vs 332.38±109.02 g/ml (p<0.001))(図13B)。ビヒクル処置群の動物は、IR後180日の時点で、SP処置群と比較して有意に高い好中球エラスターゼの血漿レベルを示した(25.21±6.54 ng/ml vs 12.15±2.87 ng/ml (p=0.034))(図13D)。C反応性蛋白質は、IR後のいずれの時点でも、ビヒクル処置動物群とSP処置動物群の間で有意差を示さなかった(図13A)。
実施例9. 線維化とサイトカインmRNA発現の間のスピアマンの相関
統計解析
両側スチューデントのT検定を使用して、単一の独立変数を持つグループの統計的有意性を調べた。P<0.05を有意と見なした。スピアマンの順位相関を特定のmRNA発現と肺線維化の程度との関係を評価するために使用した(図12)。群間の生存率を比較するために、Log-rank分析を用いた。
結論
放射線曝露後24時間からBH4又はその代謝前駆体であるSPを経口投与すると、呼吸頻度の減少、収縮予備能の増強、収縮期及び拡張期機能の向上、生存率の上昇から明らかなように、肺及び心臓機能が増強する。

Claims (20)

  1. 有効量のセピアプテリン、テトラヒドロビオプテリン、又はジヒドロビオプテリン、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは共結晶を対象に投与する工程を含む、放射線に曝露された対象の処置方法。
  2. 前記投与する工程は、対象における組織及び/又は器官の損傷を軽減又は抑制する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記投与する工程は、対象における心臓及び/又は肺の毒性を軽減又は抑制する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記投与する工程は、対象における消化管、心臓、及び/又は肺の内皮細胞死を減少させる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記投与する工程は、対象における消化管、心臓、及び/又は肺の上皮細胞における放射線誘発性の炎症を軽減させる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記有効量が約0.1~約200mg/kg/日である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記対象が急性放射線症候群を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記投与する工程は、放射線への曝露後24時間以内に行われる、請求項1に記載の方法。
  9. 前記投与する工程は、放射線への曝露の少なくとも24時間より後に行われる、請求項7に記載の方法。
  10. 前記対象が慢性放射線症候群を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記対象が皮膚放射線症候群を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記対象が1日未満、少なくとも0.3 Gyに曝露される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記対象が、1日超の期間にわたって少なくとも0.7 Gyに曝露される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記投与する工程は、少なくとも6日間において、少なくとも1日1回行われる、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記投与する工程は、miR-15b-3p、miR-106a-5p、miR-133b、miR-136-5p、miR-451a、miR-1、miR-335-3p、let-7d-3p、及び/又はlet-7c-5pの発現を増加させる、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記投与する工程は、肺上皮細胞におけるIL-1β、IL-6、IL-17A、Spp2、及び/又はTGF-β1の発現を減少させる、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. セピアプテリン又はその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を投与する、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記投与する工程は、let-7a-5p、miR-1、miR-106b-3p、miR-106b-5p、miR-126-3p、miR-181a-5p、miR-335-3p、及び/又はmiR-335-5pの発現を増加させる、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記投与する工程は、let-7g-5p、let-7i-5p、及び/又はmiR-16-5pの発現を減少させる、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記投与する工程は、少なくとも14日間において、少なくとも毎日行われる、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
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