JP2022164387A - 固体撮像素子および撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 各画素において、浮遊拡散容量の暗電流の合計値の絶対値をより小さい値として、画素出力信号値の誤差を軽減し得る固体撮像素子および撮像装置を提供する。【解決手段】 光電変換膜320で発生した信号電荷を信号電圧へ変換するn型の浮遊拡散容量313を備え、浮遊拡散容量313は、基板301上に設けられたウエル302内に配され、浮遊拡散容量313の直下領域の少なくとも一部にはウエル302の不純物が注入されていないイオン非注入部302aを設け、該直下領域の不純物濃度は、該直下領域の周囲のウエル302の不純物濃度より低くなるように、かつ該直下領域のウエル302の不純物濃度が、基板301の不純物濃度より高くなるように構成されてなる。【選択図】図5

Description

本発明は、固体撮像素子および撮像装置に関し、詳しくは、積層型光電変換膜またはフォトダイオードからなる光電変換部を備えた、高画質な画像を撮像し得る固体撮像素子および撮像装置に関するものである。
従来、固体撮像素子、例えばCMOS撮像素子においては、雑音が少ない高画質な画像を撮影することができるように、4トランジスタ型画素とアナログCDS(下記非特許文献1を参照)の組み合わせにより画素のリセット雑音除去が行われ、高画質化の技術開発が進められてきた。
さらに、画素サイズが微細化されたことにより、光を電気信号に変換する光電変換部の面積が狭くなり、感度の低下につながることが問題となっていることから、感度を向上させるために、光電変換膜積層型の構造のものが注目されており、研究開発が進められている(下記非特許文献2を参照)。このような光電変換膜積層型の固体撮像素子において、各単位画素が3トランジスタ型とされたものが知られている(下記特許文献1を参照)。
このような光電変換膜積層型の3トランジスタ型画素を、その回路図および駆動波形を用い、従来技術として説明する。なお、ここでは、実施形態に用いる図2および図3を便宜的に用いて説明する。
図2には、光電変換膜(PL)220とn型浮遊拡散容量(FD)213が示されているが、これら光電変換膜220とn型浮遊拡散容量213が、光電変換膜積層型3トランジスタ型のものにおいて、暗電流を発生する部位となっている。
光電変換膜220の暗電流が蓄積される時間は、図3に示すように1撮像フレーム間隔であり、フレーム周波数が60Hzでは16.667ミリ秒となるので、暗電流値が100pA/cm(下記非特許文献3を参照)で画素サイズが2.8×2.8μmであるとすると、1フレーム当たりの暗電流値は約0.8電子/フレーム/画素である。また、n型浮遊拡散容量213の暗電流が蓄積される時間は4トランジスタ型とは異なり1撮像フレーム間隔であるので、n型浮遊拡散容量213の暗電流値は1.19電子/フレーム/画素である(下記特許文献1、ならびに本願の図15および図16を参照)。
特開2013-070181号公報
M. H. White et al., "Characterization of Surface Channel CCD Image Arrays at Low Light Levels," IEEE Journal of Solid-State Circuits, Vol. 9, No. 1, pp. 1-12, 1972. S. Imura et al., "High-Sensitivity Image Sensors Overlaid With Thin-Film Gallium Oxide/Crystalline Selenium Heterojunction Photodiodes," IEEE Transactions on Electron Devices, Vol. 63, No. 1, pp. 86-91, 2016. S. Imura et al., "Low-dark-current photodiodes comprising highly (100)-oriented hexagonal selenium with crystallinity-enhanced tellurium nucleation layers," IEEE Sensors Journal, Vol. 18, No. 8, pp. 3108-3113, 2018.
上述した従来技術の光電変換膜積層型3トランジスタ型画素の場合、n型浮遊拡散容量213の暗電流が蓄積される時間が1撮像フレームと長いことにより、n型浮遊拡散容量の暗電流の値が1.19電子/フレーム/画素と大きい値になっている。
このように、光電変換膜220の光電変換動作により発生する本来の信号電荷量に、上記増大したn型浮遊拡散容量の暗電流の電荷量が加算されてしまうため、本来の画素出力信号値からの誤差が増大した状態での値が出力されてしまうという課題があった。また、このことは、上述した4トランジスタ型画素を備えた固体撮像素子の場合でも同様に、課題とされていた。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、各画素において、浮遊拡散容量の暗電流の絶対値をより小さい値として、画素出力信号値の誤差を軽減し得る固体撮像素子および撮像装置を提供することを目的とするものである。
本発明に係る第1の固体撮像素子は、
画素回路上に配設した、積層体からなる光電変換膜、またはフォトダイオードからなる光電変換部のいずれかの光電変換手段を備えたCMOS型の固体撮像素子であって、
前記光電変換手段で発生した信号電荷を信号電圧へ変換する浮遊拡散容量を備え、
該浮遊拡散容量は、基板上に設けられたウエル内に配するように構成され、
前記浮遊拡散容量は第1の導電型であり、前記ウエルは第2の導電型であり、前記基板は該第2の導電型であるように構成され、
前記浮遊拡散容量の直下領域の少なくとも一部には前記ウエルの不純物が注入されていないイオン非注入部を設け、該直下領域の不純物濃度は、該直下領域の周囲の前記ウエルの不純物濃度より低くなるように、かつ該直下領域の不純物濃度を、前記基板の不純物濃度より高くなるように構成されたことを特徴とするものである。
また、本発明に係る第2の固体撮像素子は、
画素回路上に配設した、積層体からなる光電変換膜、またはフォトダイオードからなる光電変換部のいずれかの光電変換手段を備えたCMOS型の固体撮像素子であって、
前記光電変換手段で発生した信号電荷を信号電圧へ変換する浮遊拡散容量を備え、
該浮遊拡散容量は、基板上に設けられたウエル内に配するように構成され、
前記浮遊拡散容量は第1の導電型であり、前記ウエルは第2の導電型であり、前記基板は該第1の導電型であるように構成され、
前記浮遊拡散容量の直下領域の少なくとも一部には前記ウエルの不純物が注入されていないイオン非注入部を設け、該直下領域の不純物濃度は、該直下領域の周囲の前記ウエルの不純物濃度より低くなるように構成されたことを特徴とするものである。
また、前記積層体からなる光電変換膜を前記光電変換手段として備えたCMOS型の固体撮像素子であって、
前記画素回路が、前記浮遊拡散容量とリセット電源の間に配置されたリセットトランジスタと、前記浮遊拡散容量と接続されたゲート電極を備えたソースフォロアアンプトランジスタと、画素を選択するための駆動波形が入力されるゲート電極を備えた選択トランジスタと、の3つのトランジスタを備えたことが好ましい。
また、前記積層体からなる光電変換膜を前記光電変換手段として備えたCMOS型の固体撮像素子であって、
前記浮遊拡散容量はn型半導体により構成され、前記ウエルはp型半導体により構成され、画素電極が前記浮遊拡散容量に接続された構成とされ、
前記光電変換膜は、電子注入阻止層、光電変換層兼電荷増倍層、正孔注入阻止層、および膜電極の各層をこの順に前記画素電極上に積層されてなり、
該膜電極には、前記画素電極へのリセット電圧に対して正の電圧を印加し、光電変換により発生した電子正孔対のうち正孔を前記光電変換膜の走行キャリアとして用いるように構成されてなることが好ましい。
また、前記フォトダイオードからなる光電変換部を前記光電変換手段として備えたCMOS型の固体撮像素子であって、
前記画素回路が、前記フォトダイオードと前記浮遊拡散容量の間に配置された転送トランジスタと、前記浮遊拡散容量とリセット電源の間に配置されたリセットトランジスタと、前記浮遊拡散容量と接続されたゲート電極を備えたソースフォロアアンプトランジスタと、画素を選択するための駆動波形が入力されるゲート電極を備えた選択トランジスタと、の4つのトランジスタを備えたことが好ましい。
また、本発明に係る撮像装置は、上述したいずれかに記載の固体撮像素子を備え、この固体撮像素子により得られた画像情報を出力する手段を備えたことを特徴とするものである。
この撮像装置において、前記浮遊拡散容量の直下領域の前記ウエルの不純物濃度をNとしたとき、空乏層の厚みDを、下式(A)に基づいて求める空乏層厚み算出手段を備えたことが好ましい。
D=C/N …(A)
ただし、Cは一定値。
本発明の固体撮像素子および撮像装置においては、浮遊拡散容量は第1の導電型であり、ウエルは第2の導電型であり、基板は第2の導電型であるように構成され、浮遊拡散容量の直下領域の少なくとも一部にウエルの不純物が注入されていないイオン非注入部を設け、この直下領域の不純物濃度を、この直下領域の周囲のウエルにおける不純物濃度より低くするように、かつこの直下領域の不純物濃度を該基板の不純物濃度より高くするように構成されている。
または、浮遊拡散容量は第1の導電型であり、ウエルは第2の導電型であり、基板は第1の導電型であるように構成され、浮遊拡散容量の直下領域の少なくとも一部にはウエルの不純物が注入されていないイオン非注入部を設け、この直下領域の不純物濃度を、この直下領域の周囲のウエルにおける不純物濃度より低くするように構成されている。
このように、浮遊拡散容量の直下領域の少なくとも一部にはウエルの不純物が注入されていないイオン非注入部を設けた構成とされているため、この直下領域は周囲からの固体中の不純物拡散による不純物はあるものの、結局、不純物濃度が低い状態とされる。
このため、深さに対する電位の変化においては、ウエルを一様に形成した従来技術の空乏層の底部位置に比べ、より深部まで空乏層の底部位置が拡がることになり、浮遊拡散容量とウエルの間の接合の電位勾配が緩やかになるので、バンド間トンネリングにより生成される接合暗電流を低減することができる。
また、この直下領域のウエルにおける不純物が該基板の不純物と同じ導電型であり、かつ、不純物濃度が該基板の不純物濃度より高くなるように構成されている、または、直下領域のウエルにおける不純物と該基板の不純物が異なる導電型で構成されているので、基板の電位を基準とした直下領域のウエルに電位障壁が形成され、基板から浮遊拡散容量へ電子の暗電流が流入することを防ぐ効果を有する。
これにより、ノードの暗電流の絶対値が増加することによる、出力信号の本来の信号値からの誤差を軽減し、精度が向上した画素出力信号を得ることができる固体撮像素子および撮像装置を得ることができる。
なお、特開2008-091788号公報には、n型浮遊拡散容量の寄生容量を低減する技術が開示されているが、本願発明のように、浮遊拡散容量の暗電流を低減することを目的とするものではなく、その構成に想到するまでのアプローチも相違することから、発明として全く異なるものである。
本発明の第1実施形態(第2実施形態についても同様)に係る固体撮像素子の構成を模式的に示す図である。 第1実施形態に係る膜積層タイプの光電変換膜を備えた固体撮像素子における、3トランジスタ型画素回路の等価回路を示す回路図である。 第1実施形態に係る固体撮像素子において、信号読出しを行った場合における画素回路へ入力される信号のタイムチャートを示すものである。 第1実施形態に係る固体撮像素子において、図3に示す信号のタイムチャートの(a)、(b)、(c)、(d)各タイミングにおけるエネルギーバンドを示す模式図である。 第1実施形態に係る固体撮像素子の画素部の断面模式図である。 図5のA-A′線断面におけるバンド図であって、リセット時の状態を示す図である。 図5に示す第1実施形態の固体撮像素子の画素部における、n型浮遊拡散容量の平面レイアウト図(a)と、断面不純物分布を示す図(b)である。 図7に示す第1実施形態のn型浮遊拡散容量の深さ方向の不純物濃度分布およびキャリア濃度分布、ならびに電位分布を示す図である。 図7と図8に示す第1実施形態のn型浮遊拡散容量の蓄積時間と蓄積電荷量の関係を示すグラフ(○:対数目盛で表す)と、図15と図16に示す従来技術のn型浮遊拡散容量の蓄積時間と蓄積電荷量の関係を示すグラフ(●:対数目盛で表す)を比較して示すものである。 図7と図8に示す第1実施形態のn型浮遊拡散容量の蓄積時間と蓄積電荷量の関係を示すグラフ(○:線形目盛で表す)と、図15と図16に示す従来技術のn型浮遊拡散容量の蓄積時間と蓄積電荷量の関係を示すグラフ(●:線形目盛で表す)を比較して示すものである。 第2実施形態に係るn型フォトダイオードタイプの光電変換部を備えた固体撮像素子における、4トランジスタ型画素回路の等価回路を示す回路図である。 第2実施形態に係る固体撮像素子において、信号読出しを行った場合における画素回路へ入力される信号のタイムチャートを示すものである。 第2実施形態に係る固体撮像素子において、図12に示す信号のタイムチャートの(a)、(b)、(c)、(d)、(e)各タイミングにおけるエネルギーバンドを示す模式図である。 第2実施形態に係る固体撮像素子の画素部の断面模式図である。 従来技術に係る固体撮像素子において、n型浮遊拡散容量の平面レイアウト図(a)と、断面不純物分布を示す図(b)である。 従来技術に係る固体撮像素子において、n型浮遊拡散容量の深さ方向の不純物濃度分布およびキャリア濃度分布、ならびに電位分布を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る固体撮像素子について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下の記載においては、まず光電変換膜を用いた第1実施形態について詳しく説明し、その後n型光電変換部(n-PD)を用いた第2実施形態について説明する。
また、上記第1実施形態においては、光電変換手段の暗電流はキャリアを正孔とし、浮遊拡散容量の暗電流はキャリアを電子とした例を示しているが、本発明の固体撮像素子としては、その他の場合について変更態様に記述した種々の組み合わせとすることが可能である。
ここで、以下に記載される技術用語について、簡単に説明しておく。すなわち、n型光電変換部とはn型不純物濃度が低いn型のことを称し、n型浮遊拡散容量とはn型不純物濃度が高いn型のことを称し、光電変換膜とはp型不純物濃度が低いp型またはi型のことを称する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態(後述する第2実施形態も同様)の固体撮像素子の前提となる単位画素の画素アレイ101を示すものであり、具体的にはCMOS型固体撮像素子100のシステム構成図である。CMOS型固体撮像素子100は、光電変換素子を含む単位画素102がアレイ状に2次元配列され、画素駆動配線103、垂直信号線104と接続している画素アレイ101を有するとともに、周辺回路として、列並列信号処理回路105、出力回路106、タイミング制御回路107、水平走査回路108、垂直走査回路109から構成されている。なお、列並列信号処理回路105は、アナログデジタル変換回路(ADC)を含む構成となっている。
ここで、列並列信号処理回路105および水平走査回路108が、図1中の上方および下方に配されているのは、片側に配された場合に比べ、列並列信号処理回路105のレイアウト幅を単位画素幅の2倍にしつつ、単位画素1列あたり1個の列並列信号処理回路を配置することができるという理由からである。
なお、本発明の第1実施形態に係る撮像装置は、例えば図1に示す固体撮像素子100を備え、さらに、例えば出力回路106からの信号を、そのまま、または所望の信号形態に変換して外部に出力する信号出力部を備えた装置であり、例えば、カメラやセンサ等を含む広義の撮像装置である。
図2は、本実施形態に係る固体撮像素子に用いられる、単位画素102の等価回路図を示すものである。図2に示す本実施形態に係る単位画素102の等価回路は、光電変換膜(PL)220から信号電荷を読み出す画素回路が、n型浮遊拡散容量(FD)213、リセットトランジスタ(RT)214、ソースフォロアアンプトランジスタ(SF)215、選択トランジスタ(SL)216、画素出力(OUT)217、ソースフォロアアンプトランジスタ電源(SFVDD)222、リセットトランジスタ電源(RTVDD)223から構成されたnMOS3トランジスタ型の単位画素102の回路構成とされている。
図2に示すように、光電変換膜(PL)220は、下部電極がビア(VIA)227を通してn型浮遊拡散容量(FD)213に接続される。n型浮遊拡散容量(FD)213をリセットするリセットトランジスタ(RT)214がn型浮遊拡散容量(FD)213とリセットトランジスタ電源(RTVDD)223との間に接続される。n型浮遊拡散容量(FD)213はソースフォロアアンプトランジスタ(SF)215のゲート電極に接続される。ソースフォロアアンプトランジスタ(SF)215と選択トランジスタ(SL)216がソースフォロアアンプトランジスタ電源(SFVDD)222と画素出力(OUT)217の間に接続される。
なお、図2はnMOS3トランジスタ型の単位画素102の画素回路を示すものであるが、付加的な機能としてフィードバックリセット機能を備えた回路構成としてもよい。
図3に、本実施形態に係る単位画素102の画素回路における入力信号のタイムチャートを示す。具体的には、選択トランジスタ(SL)216およびn型浮遊拡散容量リセットトランジスタ(RT)214の入力信号のタイムチャートを示す。
また、これらのラベルの後の(1)、(2)、(n)等の符号は、図1における画素アレイ101の何行目の単位画素であるのかを表している。また、アナログデジタル変換回路(ADC)のサンプリングタイミングのタイムチャートを示すものである。また、デジタル相関二重サンプリング回路(DCDS)でリセットノイズを低減する演算について示すものである。
図4に、図3の各タイミング(a)、(b)、(c)、(d)におけるエネルギーバンド模式図を示す。
図3と図4における(a)のタイミングは、電荷蓄積時であることを示すものである。光電変換膜(PL)220の上部電極(膜電極)に、リセットトランジスタ電源(RTVDD)223の電圧を基準として正電圧を加えており、光電変換膜(PL)220で信号電荷の正孔が発生し、光電変換膜(PL)220からVIA227を経てn型浮遊拡散容量(FD)213に信号電荷の正孔が移動し、n型浮遊拡散容量(FD)213で信号電荷の正孔が蓄積され、電位が大きくなる。
(b)のタイミングでは、選択トランジスタ(SL)216がオンになり当該画素が選択され、n型浮遊拡散容量(FD)213に蓄積された信号電荷が読み出されて、アナログデジタル変換回路(ADC)においてアナログ値からデジタル値へ変換される。
(c)のタイミングでは、リセットトランジスタ(RT)214がオンになり、n型浮遊拡散容量(FD)213がリセットトランジスタ電源(RTVDD)223の電圧値にリセットされる。
(d)のタイミングでは、リセットトランジスタ(RT)214がオフになる。また、n型浮遊拡散容量(FD)213に混入したリセットノイズが読み出されて、アナログデジタル変換回路(ADC)においてアナログ値からデジタル値へ変換される。
図3においてM-1フレームの1行目の単位画素102のリセット後、リセットノイズの値が読み出される。Mフレームの1行目の読み出しまでが1回の蓄積時間になる。その後、単位画素102が選択されて、リセットノイズが重畳された信号がアナログデジタル変換されて読み出される。このMフレーム1行目のリセットノイズが重畳された信号がアナログデジタル変換された値と、M-1フレーム1行目のリセットノイズがアナログデジタル変換された値とでは、リセットノイズが同じものであるので、センサ外部でのデジタル相関二重サンプリング処理により、リセットノイズが相殺されて、信号のみを分離して抽出することができる(特開2015-167343号公報を参照)。
図5に、本実施形態に係る固体撮像素子の画素構造の断面模式図を示す。この固体撮像素子は、画素回路上に光電変換膜320を積層してなる。
光電変換膜320は、電子注入阻止層(厚みは例えば20nm)307、光電変換層(兼電荷増倍層)(厚みは例えば300nm)305、正孔注入阻止層(厚みは例えば20nm)304、およびITO層からなる膜電極(厚みは例えば30nm)306が、この順に積層された構造とされている。
また、画素回路は、p型基板301上にp型ウエル302を形成し、p型ウエル302内にn型MOSトランジスタ部を形成することで構成される。なお、画素電極303はn型浮遊拡散容量313と電気的に接続されている。n型浮遊拡散容量313とリセットトランジスタ電源323の間にリセットトランジスタ314のゲート電極が接続されている。また、p型基板301と画素電極303の間には絶縁層309が設けられている。
図6は、図5のA-A′線断面におけるバンド図であって、リセット時の状態を示すものである。
図6のバンド図は画素内部の状態を示す相対的な電位図であり、正孔注入阻止層304、光電変換層(兼電荷増倍層)305、電子注入阻止層307、およびn型浮遊拡散容量313とp型基板301(シリコン半導体材料)に対しては、伝導帯下端と価電子帯上端が表されている。
また、画素電極303とn型浮遊拡散容量313間の電位は2.3Vであり、n型浮遊拡散容量313をリセットした状態におけるリセット電圧である。膜電極(ITO層)306の電位は15.3Vであり、画素電極303のリセット電圧を基準として+13.0Vが印加されており、膜内の走行キャリアは正孔となっている。
膜電極306と光電変換層(兼電荷増倍層)305の間に正孔注入阻止層304を入れることにより、膜電極306から光電変換層(兼電荷増倍層)305へ正孔が注入されることを阻止している。画素電極303と光電変換層(兼電荷増倍層)305の間に電子注入阻止層307を入れることにより、画素電極303から光電変換層(兼電荷増倍層)305へ電子が注入されることを阻止している。画素電極303とp型基板301の間にn型浮遊拡散容量313を配置することにより、画素電極303からp型基板301へ電子が移動することを阻止している。
(本実施形態(第1実施形態および第2実施形態)におけるn型浮遊拡散容量の暗電流を低減する原理)
図7に第1実施形態(第2実施形態についても同様)におけるn型浮遊拡散容量(FD)313の構成について説明する。図7(a)は、CMOS型撮像素子を作製するパターン転写用マスクを上方から見た場合の平面レイアウト図を示すものであり、n型浮遊拡散容量313の直下の矩形領域においてのみp型ウエル302に不純物が注入されていないイオン非注入部を設ける様子が示されている。
すなわち、イオン注入プロセスでは、n型浮遊拡散容量313の直下領域にはp型ウエル302の不純物のイオン注入がなされず、n型浮遊拡散容量313の直下領域の周囲の領域にはp型ウエル302の不純物のイオン注入が行われる。イオン注入後の加熱処理により、周囲のp型ウエル302のイオン注入がなされた領域から、イオン注入に係るp型不純物がn型浮遊拡散容量313の直下領域に固体中の不純物拡散により拡散され、p型不純物の濃度分布が形成される。この結果、断面不純物分布図である図7(b)に示すように、p型ウエル302の不純物濃度が部分的に低い領域が形成される。
図8の上部には、n型浮遊拡散容量313の中央部分における、深さ(μm)に対する不純物濃度およびキャリア濃度の変化を表すグラフを、また、図8の下部には、深さ(μm)に対する電位の変化を表すグラフを、各々示す。
ここで、本実施形態に係る図7および図8についての理解を容易にするため、まず、図7に対応する、従来技術に係る図15を、さらに図8に対応する、従来技術に係る図16を用いて、従来技術について説明する。
まず、図15に示す、従来技術におけるn型浮遊拡散容量713の構成について説明する。図15(a)は、CMOS型撮像素子を作成するパターン転写用マスクの平面レイアウト図であり、n型浮遊拡散容量713の直下を含めた領域全体にp型ウエル702のイオン注入がなされた領域を設けるように構成する。このため、n型浮遊拡散容量713の直下領域でもp型ウエル702の不純物のイオン注入がなされるため、断面不純物分布図(b)に示すように、p型ウエル702の不純物濃度が一様に形成されることになる。
ここで、図16を用い、従来技術に係る固体撮像素子における、n型浮遊拡散容量713の深さ方向の不純物濃度分布およびキャリア濃度分布、ならびに電位分布について説明する。
図16の上部には、n型浮遊拡散容量713の中央部分における、深さ(μm)に対する不純物濃度およびキャリア濃度の変化を表すグラフを、また、図16の下部には、深さ(μm)に対する電位の変化を表すグラフを、各々示す。
p型ウエル702は均一(一様)に形成されているので、p型ウエル702の不純物濃度は、標準の濃度になっている。このため、深さと電位の関係においては、n型浮遊拡散容量713の直下領域における、p型ウエル702の不純物濃度を低減させた図8に示す本実施形態の場合に比べ、空乏層の底位置が深部まで拡がっていない。このため、n型浮遊拡散容量713とその直下領域のp型ウエル702の間の接合の電位勾配が急峻になるので、バンド間トンネリングにより生成される接合暗電流が増加する(〈2〉を参照)。ただし、p型基板701の電位に比してp型ウエル702の電位は低く、p型ウエル702の電位がp型基板701の電位を基準として電位障壁を構成するので、p型基板701の少数キャリアである電子による暗電流がn型浮遊拡散容量713に流入しない(〈1〉を参照)電位分布となっている。
これに対し、本実施形態に係るp型ウエル302の不純物濃度は、図16に示す従来技術の場合とは異なり、n型浮遊拡散容量313の直下領域にp型ウエル302の不純物が注入されていないイオン非注入部を設けているため、n型浮遊拡散容量313の直下領域では、図8に示すように低い不純物濃度になっている。このため、深さに対する電位の変化においては、図16に示す従来技術の空乏層の底部位置(0.5μm)に比べ、本実施形態のものでは、より深部(0.7μm)まで空乏層の底部位置が拡がっている。したがって、n型浮遊拡散容量313とその直下領域のp型ウエル302の間の接合の電位勾配が緩やかになるので、バンド間トンネリングにより生成される接合暗電流を低減する(〈2〉を参照)ことができる。
なお、上述した空乏層の底部位置(厚み)について説明するに、半導体においてpn階段接合を形成した場合、n型領域の不純物濃度N、n型領域の空乏層の厚さW、p型領域の不純物濃度N、およびp型領域の空乏層の厚さWの間には、
×W=N×W
の関係があるので、これを利用して、求めることも有効である。
すなわち、本実施形態に係る撮像装置(の空乏層厚み算出手段(図示せず))において、n型浮遊拡散容量の空乏層の厚さをD、およびその不純物濃度をNとした場合、DとNの積から求められたC(一定値)を利用した下式(A)からn型浮遊拡散容量の直下領域のp型ウエルの空乏層の厚さDを求めることが可能である。
D=C/N …(A)
ただし、Nはn型浮遊拡散容量の直下領域のp型ウエルの不純物濃度である。
また、本実施形態においては、p型基板301の不純物濃度は、n型浮遊拡散容量313の直下領域のp型ウエル302における不純物濃度より低くなっている。このため、p型基板301の電位を基準とした場合、n型浮遊拡散容量313の直下領域のp型ウエル302の電位はより低くなり、p型ウエル302の電位がp型基板301の電位を基準として電位障壁となる。
なお、上記電位障壁により、p型基板301の少数キャリアである電子の暗電流がn型浮遊拡散容量313へ流入しない(〈1〉を参照)電位分布となっていることについては、図16に示す従来技術と同じとなる。
すなわち、このp型基板301の電位を基準としたn型浮遊拡散容量313の直下領域のp型ウエル302の電位障壁高さは、p型基板301に存在する少数キャリアである電子の熱揺らぎのエネルギーである3kT(室温で0.078eV)以上であれば、p型基板301からn型浮遊拡散容量313へ電子の暗電流が流入することを防ぐ効果(〈1〉を参照)があるので、この電位障壁高さは、図16に示す従来技術の電位障壁高さより低くなっているものの、電子の暗電流が流入することを防ぐ効果(〈1〉を参照)において略同等と考えて差し支えない。
縦横両軸を対数目盛とした図9、および縦横両軸を線形目盛とした図10に、第1実施形態のn型浮遊拡散容量の蓄積時間と蓄積電荷量の関係を示すグラフ(○印)と、従来技術のn型浮遊拡散容量の蓄積時間と蓄積電荷量の関係を示すグラフ(●印)を各々示す。なお、図10は、第1実施形態に係る直線の傾きと、従来技術に係る直線の傾きの違いを明らかにするために表されたものである。
ここで、n型浮遊拡散容量の面積は、0.2584μmであり、フレーム周波数は60Hzである。
このとき、図7に示す本実施形態の場合、すなわち、n型浮遊拡散容量313の直下領域において、p型ウエル302の不純物が注入されていないイオン非注入部を設けた場合には、電子暗電流の測定結果は1.12電子/フレーム/画素であった。
一方、図15に示す従来技術の場合、すなわち、n型浮遊拡散容量713の直下領域にp型ウエル702の不純物が均一に存在している場合には、電子暗電流の測定結果は1.19電子/フレーム/画素であった。
したがって、n型浮遊拡散容量713の直下領域にp型ウエル702が均一に存在する従来技術の場合に比べ、n型浮遊拡散容量直下領域にp型ウエル302の不純物が注入されていないイオン非注入部を設けた、本実施形態の場合には電子暗電流が6%低減した。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、この第2実施形態は、第2実施形態特有の構成および作用効果を有するほか、上記第1実施形態と類似の構成および作用効果をも有しているので、本来は、第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と共通する部分については省略することも可能であるが、以下の記載においては、発明の理解を容易、かつ円滑にするため、上記第1実施形態と重複する部分についても敢えて省略しないで説明する場合がある。
図11は、第2実施形態に係る固体撮像素子に用いられる、単位画素102´の等価回路図を示すものである。図11に示す第2実施形態に係る単位画素102´の等価回路は、p型ウエルに囲まれたn型光電変換部(n-PD)519から信号電荷を読み出す画素回路が、転送トランジスタ(TX)518、n型浮遊拡散容量(FD)513、リセットトランジスタ(RT)514、ソースフォロアアンプトランジスタ(SF)515、選択トランジスタ(SL)516、画素出力(OUT)517、ソースフォロアアンプトランジスタ電源(SFVDD)522、リセットトランジスタ電源(RTVDD)523から構成されたnMOS4トランジスタ型の単位画素102´の回路構成とされている。
n型光電変換部(n-PD)519は、p型ウエルに囲まれてなり、転送トランジスタ(TX)518に接続される。n型浮遊拡散容量(FD)513は、転送トランジスタ(TX)518に接続される。n型浮遊拡散容量(FD)513をリセットするリセットトランジスタ(RT)514がn型浮遊拡散容量(FD)513とリセットトランジスタ電源(RTVDD)523との間に接続される。n型浮遊拡散容量(FD)513はソースフォロアアンプトランジスタ(SF)515のゲート電極に接続される。ソースフォロアアンプトランジスタ(SF)515と選択トランジスタ(SL)516がソースフォロアアンプトランジスタ電源(SFVDD)522と画素出力(OUT)517の間に接続される。
本実施形態に係る単位画素102´の画素回路における入力信号のタイムチャート(選択トランジスタ(SL)516およびn型浮遊拡散容量リセットトランジスタ(RT)514の入力信号のタイムチャート)は、図12により表される。また、図13に、図12の各タイミング(a)、(b)、(c)、(d)、(e)におけるエネルギーバンド模式図を示す。
図12と図13における(a)のタイミングは、電荷蓄積時であることを示すものである。n型光電変換部(n-PD)519で信号電荷の電子が発生すると、n型光電変換部(n-PD)519に電子が蓄積される。
(b)のタイミングでは、選択トランジスタ(SL)516がオンになり当該画素が選択され、リセットトランジスタ(RT)514がオンになり、n型浮遊拡散容量(FD)513がリセットトランジスタ電源(RTVDD)523の電圧値にリセットされる。
(c)のタイミングでは、リセットトランジスタ(RT)514がオフになり、n型浮遊拡散容量(FD)513がリセットトランジスタ電源(RTVDD)523の電圧値で保持され、隔離される。この電圧値には、リセットノイズが含まれる。そして、相関二重サンプリング回路(CDS)がn型浮遊拡散容量(FD)に残留するリセットノイズを含む電圧値を読み込んで保持する。
(d)のタイミングでは、転送トランジスタ(TX)518がオンになり、n型光電変換部(n-PD)519からn型浮遊拡散容量(FD)513へ電子が移動し、n型浮遊拡散容量(FD)513の電位が変動する。
(e)のタイミングでは、転送トランジスタ(TX)518がオフになり、n型浮遊拡散容量(FD)513にリセットノイズを含む信号電圧値が保持され、隔離される。そして、相関二重サンプリング回路(CDS)がn型浮遊拡散容量(FD)513に保持されたリセットノイズを含む信号電圧値を読み込む段階で、(c)のタイミングで保持されているリセットノイズをキャンセルして、信号電圧値のみの値とする。この値をアナログデジタル変換回路(ADC)においてアナログ値からデジタル値へ変換する。
図12において、M-1フレームの1行目の単位画素102´のリセット後、リセットノイズの値が読み出される。次にM-1フレームの1行目のリセットノイズを含む信号電圧値が読み出される。このM-1フレームの同一水平走査期間内のリセットノイズは同じものであるので、相関二重サンプリング回路(CDS)の処理により、リセットノイズがキャンセルされて、信号のみを分離して抽出することができる。
図14に、本実施形態に係る固体撮像素子の画素構造の断面模式図を示す。n型光電変換部619は、p型基板601上に構成される。また、画素回路は、p型基板601上にp型ウエル602を形成し、p型ウエル602内にn型MOSトランジスタ部を形成することで構成される。転送トランジスタ(TX)618は、n型光電変換部619とn型浮遊拡散容量613の間に構成される。リセットトランジスタ614は、n型浮遊拡散容量613とリセットトランジスタ電源623が接続する拡散層の間に構成される。また、p型基板601上には絶縁層609が設けられおり、その上に保護膜610が設けられている。
なお、第2実施形態におけるn型浮遊拡散容量の暗電流を低減する原理については、上記第1実施形態の説明と同様であるので、ここでは省略する。
なお、本発明の第2実施形態に係る撮像装置においては、例えば、第2実施形態に係る固体撮像素子100´を備え、この固体撮像素子100´により得られた画像情報を出力する出力部を備えることにより構成される。
(変更態様)
本発明に係る固体撮像素子および撮像装置としては、第1および第2実施形態の他、種々の形態を採用することが可能である。
すなわち、本発明に係る図5に示す第1実施形態、および図14に示す第2実施形態の固体撮像素子および撮像装置においては、浮遊拡散容量はn型であり、ウエルと基板はp型であり、浮遊拡散容量の暗電流は電子であったが、浮遊拡散容量がp型であり、ウエルと基板がn型であり、浮遊拡散容量の暗電流が正孔であってもよい。この場合、浮遊拡散容量の直下領域のウエルの不純物濃度は、浮遊拡散容量の直下領域の周囲の領域のウエルの不純物濃度より低くするように設定され、浮遊拡散容量の直下領域のウエルの不純物濃度は、基板の不純物濃度より高くするように設定される。
また、浮遊拡散容量がn型であり、ウエルがp型であり、基板がn型であり、浮遊拡散容量の暗電流が電子であってもよい。また、浮遊拡散容量がp型であり、ウエルがn型であり、基板がp型であり、浮遊拡散容量の暗電流が正孔であってもよい。これらの2つの場合、浮遊拡散容量の直下領域のウエルの不純物濃度は、浮遊拡散容量の直下領域の周囲の領域のウエルの不純物濃度より低くするように設定される。基板の導電型がウエルの導電型と互いに異なっているので、基板の不純物濃度については任意である。
また、本発明に係る図5における上記第1実施形態の固体撮像素子および撮像装置においては、光電変換手段で発生したキャリアは電子正孔対のうち正孔としたが、光電変換手段で発生したキャリアは電子正孔対のうち電子であってもよい。この場合は、図4~図6において、電子注入阻止層307、光電変換層(兼電荷増倍層)305、正孔注入阻止層304の3つの層から構成される接合の向きが逆となり、膜電極のITO層306の印加電圧は浮遊拡散容量313のリセット電圧を基準として負となる。
また、上述した第1実施形態の固体撮像素子の光電変換膜は、電子注入阻止層、光電変換層(兼電荷増倍層)、正孔注入阻止層の各層、および膜電極をこの順に積層されてなるように構成されているが、これら各層の間に他の層を挿入するようにしてもよい。例えば、独立した、電子輸送層や正孔輸送層を上記層間に別途挿入するようにしてもよい。また、光電変換層と電荷増倍層を2つの層に分離してもよい。また、別の電子注入阻止層や正孔注入阻止層を別途挿入するようにしてもよい。また、電子注入阻止層と正孔注入阻止層は光電変換層(兼電荷増倍層)と別の材料とされていてもよいし、ドープする不純物を変更した同じ材料で構成してもよい。
また、上記第1実施形態の固体撮像素子の光電変換膜は、電荷増倍の機能を有していてもよい。また、特定の波長の光を吸収することにより、波長選択性の機能を有していてもよい。
また、上記第1実施形態においては、光電変換層(兼電荷増倍層)の材料として、インジウムリンを用いることが可能である。インジウムリンを材料としたアバランシェ増倍時の過剰雑音について報告がある。インジウムリンでは、電子のイオン化率αより正孔のイオン化率βの方が高く、イオン化率比k=α/βは約0.25である。過剰雑音係数Fは、増倍率Mとイオン化率比kを用いて、F=Mk+(1-k)(2-1/M)で表され、イオン化率比kが小さいほど、過剰雑音係数Fは小さくなる。インジウムリンは走行キャリアを正孔として過剰雑音係数が小さいので、アバランシェフォトダイオードに使用されている。したがって、インジウムリンを固体撮像素子の光電変換層(兼電荷増倍層)に使用することができれば、S/Nのよい増倍が得られるので、好適である。また、一般に正孔のイオン化率が電子のイオン化率より高い材料を用いることが可能である。
また、インジウムリンに替えて、ゲルマニウム、インジウムガリウムヒ素リン(リン対ヒ素の組成がX:1-Xにおいて、Xが0.7以上)を用いることが可能である。
また、上記第1実施形態において、光電変換膜320を画素回路上に積層した構造にするようにしているが、これに替えて、光電変換膜320をダミーの支持基板上に形成しておいて、その後、光電変換膜320を画素回路上に接合することで形成してもよい。これにより、光電変換膜320を構成する材料に単結晶材料を用いることができる。また、アモルファス材料や多結晶材料を用いることもできる。また、光電変換膜320を画素回路上に蒸着法やスパッタ法により直接積層することで形成してもよい。これにより、光電変換膜320を構成する材料にアモルファス材料や多結晶材料を用いることができる。
また、上記第2実施形態において、固体撮像素子のn型光電変換部は単結晶材料で構成されていてもよい。また、上記第2実施形態においては、n型光電変換部の材料として、シリコンを用いることが可能である。
100 CMOS型固体撮像素子
101 画素アレイ
102、102´ 単位画素
103、103´ 画素駆動配線
104、104´ 垂直信号線
105 列並列信号処理回路
106 出力回路
107 タイミング制御回路
108 水平走査回路
109 垂直走査回路
213、313、513、613、713 n型浮遊拡散容量(FD)
214、314、514、614、714 リセットトランジスタ(RT)
215、515 ソースフォロアアンプトランジスタ(SF)
216、516 選択トランジスタ(SL)
217、517 画素出力(OUT)
220、320 光電変換膜(PL)
222、522 ソースフォロアアンプトランジスタ電源(SFVDD)
223、323、523、623 リセットトランジスタ電源(RTVDD)
227 ビア(VIA)
301、601、701 p型基板
302、602、702 p型ウエル
302a イオン非注入部
303 画素電極
304 正孔注入阻止層
305 光電変換層
306 膜電極
307 電子注入阻止層
309、609 絶縁層
518、618 転送トランジスタ(TX)
519、619 n型光電変換部(n-PD)
610 保護膜
DCDS デジタル相関二重サンプリング回路

Claims (7)

  1. 画素回路上に配設した、積層体からなる光電変換膜、またはフォトダイオードからなる光電変換部のいずれかの光電変換手段を備えたCMOS型の固体撮像素子であって、
    前記光電変換手段で発生した信号電荷を信号電圧へ変換する浮遊拡散容量を備え、
    該浮遊拡散容量は、基板上に設けられたウエル内に配するように構成され、
    前記浮遊拡散容量は第1の導電型であり、前記ウエルは第2の導電型であり、前記基板は該第2の導電型であるように構成され、
    前記浮遊拡散容量の直下領域の少なくとも一部には前記ウエルの不純物が注入されていないイオン非注入部を設け、該直下領域の不純物濃度は、該直下領域の周囲の前記ウエルの不純物濃度より低くなるように、かつ該直下領域の不純物濃度を、前記基板の不純物濃度より高くなるように構成されたことを特徴とする固体撮像素子。
  2. 画素回路上に配設した、積層体からなる光電変換膜、またはフォトダイオードからなる光電変換部のいずれかの光電変換手段を備えたCMOS型の固体撮像素子であって、
    前記光電変換手段で発生した信号電荷を信号電圧へ変換する浮遊拡散容量を備え、
    該浮遊拡散容量は、基板上に設けられたウエル内に配するように構成され、
    前記浮遊拡散容量は第1の導電型であり、前記ウエルは第2の導電型であり、前記基板は該第1の導電型であるように構成され、
    前記浮遊拡散容量の直下領域の少なくとも一部には前記ウエルの不純物が注入されていないイオン非注入部を設け、該直下領域の不純物濃度は、該直下領域の周囲の前記ウエルの不純物濃度より低くなるように構成されたことを特徴とする固体撮像素子。
  3. 前記積層体からなる光電変換膜を前記光電変換手段として備えたCMOS型の固体撮像素子であって、
    前記画素回路が、前記浮遊拡散容量とリセット電源の間に配置されたリセットトランジスタと、前記浮遊拡散容量と接続されたゲート電極を備えたソースフォロアアンプトランジスタと、画素を選択するための駆動波形が入力されるゲート電極を備えた選択トランジスタと、の3つのトランジスタを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像素子。
  4. 前記積層体からなる光電変換膜を前記光電変換手段として備えたCMOS型の固体撮像素子であって、
    前記浮遊拡散容量はn型半導体により構成され、前記ウエルはp型半導体により構成され、画素電極が前記浮遊拡散容量に接続された構成とされ、
    前記光電変換膜は、電子注入阻止層、光電変換層兼電荷増倍層、正孔注入阻止層、および膜電極の各層をこの順に前記画素電極上に積層されてなり、
    該膜電極には、前記画素電極へのリセット電圧に対して正の電圧を印加し、光電変換により発生した電子正孔対のうち正孔を前記光電変換膜の走行キャリアとして用いるように構成されてなることを特徴とする請求項1~3のうちいずれか1項に記載の固体撮像素子。
  5. 前記フォトダイオードからなる光電変換部を前記光電変換手段として備えたCMOS型の固体撮像素子であって、
    前記画素回路が、前記フォトダイオードと前記浮遊拡散容量の間に配置された転送トランジスタと、前記浮遊拡散容量とリセット電源の間に配置されたリセットトランジスタと、前記浮遊拡散容量と接続されたゲート電極を備えたソースフォロアアンプトランジスタと、画素を選択するための駆動波形が入力されるゲート電極を備えた選択トランジスタと、の4つのトランジスタを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像素子。
  6. 請求項1~5のうちいずれか1項に記載の固体撮像素子を備え、この固体撮像素子により得られた画像情報を出力する手段を備えたことを特徴とする撮像装置。
  7. 前記浮遊拡散容量の直下領域の前記ウエルの不純物濃度をNとしたとき、空乏層の厚みDを、下式(A)に基づいて求める空乏層厚み算出手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
    D=C/N …(A)
    ただし、Cは一定値。
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