JP2022162968A - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

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崇 松井
Takashi Matsui
祐 吉田
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侑奈 山本
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Abstract

【課題】低温定着性及び耐熱保存性に優れ、さらに耐久性、定着画像の耐擦過性及び帯電安定性に優れたトナー。【解決手段】結着樹脂を有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナーを試料とする示差走査熱量測定において、1回目の昇温における、該結着樹脂に由来する吸熱ピークのピーク温度が、50℃以上70℃以下であり、該トナー1g当たりの吸熱量が、30J/g以上70J/g以下であり、該結着樹脂のクロロホルム可溶分に対し、貧溶媒としてアセトニトリル、良溶媒としてクロロホルムを使用し、アセトニトリル100体積%の移動相組成から、クロロホルム100体積%の移動相組成に直線的に変化させたときの溶出成分をグラジエントLC分析した際に、特定のピークの関係を有することを特徴とするトナー。【選択図】なし

Description

本開示は、電子写真法、静電記録法に用いられるトナー及びトナーの製造方法に関する。
従来、電子写真装置においても省エネルギー化が大きな技術的課題として考えられ、定着装置にかかる熱量の大幅な削減が検討されている。特に、トナーにおいては、より低エネルギーでの定着が可能な、いわゆる「低温定着性」のニーズが高まっている。低温での定着を可能にするための手法としては、トナー中の結着樹脂のガラス転移温度(Tg)を低下させることが挙げられる。しかしながら、Tgを低下させることは、トナーの耐熱保存性を低下させることにつながるため、この手法においては、トナーの低温定着性と耐熱保存性を両立させることは困難であるとされている。
その対策として、例えば、特許文献1、2では、可塑剤を添加したトナーが検討されている。可塑剤は、トナーのTgを維持したまま、結着樹脂の軟化速度を速くする作用を有しており、低温定着性及び耐熱保存性を両立しうる。しかし、可塑剤が溶融し、結着樹脂を可塑させるというステップを経てトナーが軟化するため、トナーの溶融速度には限界があり、さらなる低温定着性の向上が望まれている。
そこで、トナーのさらなる低温定着性及び耐熱保存性を両立させるために、結着樹脂として結晶性のビニル樹脂を使用する方法が検討されている。トナー用の結着樹脂として一般的に用いられる非晶性の樹脂は示差走査熱量測定(DSC測定)において明確な吸熱ピークを示さないが、結晶性樹脂成分を含有する場合には、DSC測定における吸熱ピークが現れる。
結晶性のビニル樹脂は、分子内の側鎖が規則的に配列することにより、融点まではほとんど軟化しないといった性質を有する。また、融点を境に結晶が急激に融解し、それに伴った急激な粘度の低下が起こる。このため、シャープメルト性に優れ、低温定着性と耐熱保存性を両立する材料として注目されている。通常、結晶性のビニル樹脂は、主鎖骨格中に長鎖アルキル基を側鎖として有し、側鎖の長鎖アルキル基同士が結晶化することで、結晶性を示す。
特許文献3では、長鎖アルキル基を有する重合性単量体と、該重合性単量体とはSP値の異なる非晶性の重合性単量体を共重合した結晶性のビニル樹脂を使用したトナーが提案されている。それにより、低温定着性及び耐熱保存性の両立が図られるとしている。また、特許文献4では、結晶性のビニル樹脂と、該結晶性のビニル樹脂よりも水との接触角が小さい樹脂を併用したトナーが提案されている。
国際公開第2013/047296号 特開2016-066018号公報 特開2020-173414号公報 特開2002-108018号公報
しかしながら、特許文献3及び4に記載のトナーは低温定着性と耐熱保存性を満足しながら、定着画像の耐擦過性と高温高湿環境における帯電安定性を両立することが困難であることがわかった。長鎖アルキル基は疎水性が高く、紙との親和性が低い特徴を有している。特許文献3及び4に記載のトナーの構成では、低温定着性を確保するために長鎖アルキル基の含有量が多くなると、紙との接着性が低くなり、定着画像の耐擦過性に劣り、また、耐久性が低下する。また、長鎖アルキル基の含有量が少なくなると、結着樹脂の極性が高くなることで、高温高湿環境においてトナーの吸水が生じ、帯電安定性に劣ることが分かった。
以上より、本開示は、低温定着性及び耐熱保存性に優れ、さらに耐久性、高温高湿環境下での帯電安定性及び定着画像の耐擦過性に優れたトナー及びトナーの製造方法を提供する。
本開示は、結着樹脂を有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーを試料とする示差走査熱量計測定において、
1回目の昇温における、該結着樹脂に由来する吸熱ピークのピーク温度が、50℃以上70℃以下であり、該トナー1g当たりの吸熱量が、30J/g以上70J/g以下であり、
該結着樹脂のクロロホルム可溶分に対し、貧溶媒としてアセトニトリル、良溶媒としてクロロホルムを使用し、アセトニトリル100体積%の移動相組成から、クロロホルム100体積%の移動相組成に直線的に変化させたときの溶出成分をグラジエントLC分析した際に、以下の式(1)及び(2)を満足するトナーに関する。
0.08≦B/T≦0.30 ・・・(1)
0.40≦C/T≦0.70 ・・・(2)
Tは、移動相中のクロロホルムの割合が5.0体積%以上95.0体積%以下における、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出したピークのピーク面積を表し、
Bは、移動相中のクロロホルムの割合が30.0体積%以上60.0体積%以下における、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出したピークのピーク面積を表し、
Cは、移動相中のクロロホルムの割合が80.0体積%以上95.0体積%以下における、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出したピークのピーク面積を表す。
また、本開示は、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
下記式(9)で示される重合性単量体(x)、該重合性単量体(x)以外のその他の重合性単量体、及び重合開始剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体の中で形成する造粒工程、及び
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させることによりトナー粒子を得る重合工程、を有し、
該造粒工程において、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体中の該重合性単量体(x)の含有割合が、40.0質量%以上80.0質量%以下であり、
該重合開始剤は、第一の重合開始剤と第二の重合開始剤を含有し、該第一の重合開始剤の10時間半減期温度をR1とし、該第二の重合開始剤の10時間半減期温度をR2としたとき、R1及びR2は下記式(10)及び(11)を満足し、
該重合工程が、
該重合性単量体(x)の重合転化率が60質量%~80質量%に、該その他の重合性単量体の重合転化率が90質量%~99質量%に達するまで下記温度T1(℃)で重合させる工程、及び
該温度T1(℃)で重合させた後、下記温度T2(℃)にて該重合性単量体(x)の重合転化率が95質量%以上になるまで重合させる工程を有するトナーの製造方法に関する。
Figure 2022162968000001

式(9)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、mは15~35の整数を表す。
40≦R1≦60 ・・・(10)
65≦R2≦85 ・・・(11)
R1+5≦T1≦R1+15 ・・・(12)
R2+5≦T2≦R2+20 ・・・(13)
また、本開示は、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
式(9)で示される重合性単量体(x)、該重合性単量体(x)以外のその他の重合性単量体、及び重合開始剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体の中で形成する造粒工程、及び
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させることによりトナー粒子を得る重合工程、を有し、
該造粒工程において、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体中の該重合性単量体(x)の含有割合が、40.0質量%以上80.0質量%以下であり、
該重合工程において、
該重合性単量体(x)の重合転化率が60質量%~80質量%に、該その他の重合性単量体の重合転化率が90質量%~99質量%に達するまで重合させた後、さらに重合開始剤を添加して該重合性単量体(x)の重合転化率が95質量%以上になるまで重合させるトナーの製造方法に関する。
また、本開示は、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
式(9)で示される重合性単量体(x)、該重合性単量体(x)以外のその他の重合性単量体、及び重合開始剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体の中で形成する造粒工程、及び
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させることによりトナー粒子を得る重合工程、を有し、
該造粒工程において、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体中の該重合性単量体(x)の含有割合が、30.0質量%以上75.0質量%以下であり、
該重合工程が、
該重合性単量体(x)及び該その他の重合性単量体の重合転化率が90質量%~99質量%に達するまで重合させる工程(i)、及び
該工程(i)の後、さらに重合性単量体(x)を添加し、該重合性単量体(x)の重合転化率が95質量%以上になるまで重合させる工程(ii)
を有し、
該工程(ii)における該重合性単量体(x)の添加量が、該造粒工程における該重合性単量体(x)の添加量に対し、20.0質量%以上50.0質量%以下であるトナーの製造方法に関する。
本開示によれば、低温定着性及び耐熱保存性に優れ、さらに耐久性、高温高湿環境下での帯電安定性及び定着画像の耐擦過性に優れたトナーを提供できる。
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。「モノマーユニット」とは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。例えば、ポリマー中の重合性単量体が重合した主鎖中の、炭素-炭素結合1区間を1ユニットとする。重合性単量体とは下記式(C)で表すことができる。
Figure 2022162968000002
式(C)中、Rは水素原子、又はアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基)を表し、Rは任意の置換基を表す。結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定において明確な吸熱ピークを示す樹脂をいう。
本発明者らは、結着樹脂に由来する吸熱ピークのピーク温度、吸熱量、さらに、結着樹脂のクロロホルム可溶分の極性を適切に制御することにより、上記課題を解決できることを見出した。
本開示は、結着樹脂を有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーを試料とする示差走査熱量測定において、
1回目の昇温における、該結着樹脂に由来する吸熱ピークのピーク温度が、50℃以上70℃以下であり、該トナー1g当たりの吸熱量が、30J/g以上70J/g以下であり、
該結着樹脂のクロロホルム可溶分に対し、貧溶媒としてアセトニトリル、良溶媒としてクロロホルムを使用し、アセトニトリル100体積%の移動相組成から、クロロホルム100体積%の移動相組成に直線的に変化させたときの溶出成分をグラジエントLC分析した際に、以下の式(1)及び(2)を満足するトナーに関する。
0.08≦B/T≦0.30 ・・・(1)
0.40≦C/T≦0.70 ・・・(2)
Tは、移動相中のクロロホルムの割合が5.0体積%以上95.0体積%以下における、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出したピークのピーク面積を表し、
Bは、移動相中のクロロホルムの割合が30.0体積%以上60.0体積%以下における、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出したピークのピーク面積を表し、
Cは、移動相中のクロロホルムの割合が80.0体積%以上95.0体積%以下における、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出したピークのピーク面積を表す。
低温定着性及び耐熱保存性を両立するためには、結着樹脂全体が結晶性を有しており、さらに効果的な結晶量を確保する必要がある。そのためには、結着樹脂中の結晶成分の量を表す吸熱量が十分である必要があり(吸熱ピークの吸熱量)、加えて発現する融点が耐熱保存性を確保するのに十分な範囲(吸熱ピークのピーク温度)にあることが必要である。
また、一般に結晶性を示す樹脂は長鎖アルキルなど極性が低い部位を有する。長鎖アルキルなど極性が低い部分は紙との親和性が低いため、その量が増えていくと耐擦過性が低下しやすいことがわかった。耐擦過性を確保するためには、結着樹脂中の極性の低い成分を必要最小限に抑えつつ、極性の高い成分を一定量確保することが必要であると考えている(式(1)及び(2))。例えば、結晶性のビニル樹脂においては、長鎖アルキル基の紙との親和性の低さから、長鎖アルキル基の量が増えていくと耐擦過性が低下しやすいため、上記の通り極性を制御することが好ましい。
一方で、結着樹脂中の長鎖アルキル基など極性の低い成分の量を少なくすると、極性の高い成分が増加することで、水分吸着量が増加し、高温高湿環境下における帯電不足によるカブリが発生してしまうことがわかった。高温高湿環境下における環境安定性を確保するには、結着樹脂中の極性の高い成分を必要最小限に抑えつつ、極性の低い成分を一定量確保することが必要であると考えている(式(1)及び(2))。
以下、トナーについて詳細に述べる。トナーを試料とする示差走査熱量測定において、1回目の昇温における、結着樹脂に由来する吸熱ピークのピーク温度が50℃以上70℃以下である。吸熱ピーク温度が上記範囲にあることで、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立が可能となる。ピーク温度が50℃よりも小さいと、低温定着性には有利となるが、トナーの耐熱保存性は著しく劣ってしまう。一方、ピーク温度が70℃よりも大きいと、耐熱保存性には優れた性能を示す一方で、低温定着性が低下する。
吸熱ピーク温度は、結着樹脂が長鎖アルキル基を有するビニル樹脂の場合は、長鎖アルキル基の長さや、結着樹脂中の長鎖アルキル基の割合等により制御可能である。また、結着樹脂がポリエステル樹脂の場合は、使用するジオール成分及びジカルボン酸成分の炭素数で制御可能である。該吸熱ピーク温度は、好ましくは57℃以上65℃以下である。
また、結着樹脂に由来する吸熱ピークの吸熱量が、トナー1g当たり、30J/g以上70J/g以下である。吸熱ピークの吸熱量は、トナー中において結晶性が維持された状態で存在している結晶性物質の結着樹脂全体における割合を反映する。すなわち、トナー中に結晶性物質を多く存在させた場合であっても、結晶性が損なわれている場合は、吸熱ピークの吸熱量は小さくなる。従って、吸熱ピークの吸熱量が上記範囲にあるようなトナーは、トナー中において結晶性を維持している結晶性樹脂の割合が適正であり、良好な低温定着性が得られる。
トナー1g当たりの吸熱ピークの吸熱量が30J/gよりも小さいと、相対的に非晶性樹脂の割合が大きいことを示す。その結果、非晶性の樹脂成分に由来するガラス転移温度(Tg)の影響をより大きく受けるようになる。そのため、良好な低温定着性を示すことが困難となる。トナー1g当たりの吸熱ピークの吸熱量が70J/gよりも大きいと、結晶成分が多くなりすぎ、結晶界面でのへき開が起こりやすくなることで、樹脂が脆くなりやすく、耐久性が低下する。
吸熱ピークの吸熱量は、結晶性を示す樹脂の種類や、結着樹脂中の結晶性を示す成分の割合により制御可能である。トナー1g当たりの吸熱ピークの吸熱量の下限は、好ましくは35J/g以上であり、上限は、好ましくは60J/g以下、より好ましくは55J/g以下である。
また、結着樹脂のクロロホルム可溶分に対し、貧溶媒としてアセトニトリル、良溶媒としてクロロホルムを使用し、アセトニトリル100体積%の移動相組成から、クロロホルム100体積%の移動相組成に直線的に変化させたときの溶出成分をグラジエントLC分析した際に、以下の式(1)及び(2)を満足する。
0.08≦B/T≦0.30 ・・・(1)
0.40≦C/T≦0.70 ・・・(2)
Tは、移動相中のクロロホルムの割合が5.0体積%以上95.0体積%以下における、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出したピークのピーク面積を表し、
Bは、移動相中のクロロホルムの割合が30.0体積%以上60.0体積%以下における、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出したピークのピーク面積を表し、
Cは、移動相中のクロロホルムの割合が80.0体積%以上95.0体積%以下における、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出したピークのピーク面積を表す。
上記式(1)及び(2)は、結着樹脂中のクロロホルム可溶分の極性に着目したものである。グラジエントLC分析についての詳細は後述するが、結着樹脂のクロロホルム可溶分について、アセトニトリル100体積%の移動相組成から、クロロホルム100体積%の移動相組成に直線的に変化させた際の溶出成分を、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出する。アセトニトリルは極性の高い溶媒であり、極性の高い成分が溶出する。クロロホルムは極性が低いため、クロロホルムを直線的に増加させていくと、極性が高い成分から極性の低い成分が徐々に溶出してくる。従って、本分析では、結着樹脂中の樹脂の極性に応じた分離をすることができる。
B/Tは、結着樹脂中の極性がある程度高い成分の割合を表し、C/Tは、結着樹脂中の極性が低い成分の割合を表す。B/T及びC/Tが式(1)及び(2)の範囲内であることは、結着樹脂が、極性のある程度高い成分量を含有しつつ、極性の低い成分も含有していることを示す。上記範囲を満たすことで、高温高湿環境下での帯電安定性及び定着画像の耐擦過性を確保することが可能である。
B/Tが0.08よりも小さいと、結着樹脂中の極性のある程度高い成分が少なすぎ、定着画像の耐擦過性が低下する。B/Tが0.30よりも大きいと、極性の高い成分が多すぎるため、高温高湿環境下での帯電安定性に劣る。B/Tは、好ましくは下記式(4)を満足する。
0.10≦B/T≦0.25 ・・・(4)
また、C/Tが0.40よりも小さいと、極性の低い成分が少なくなりすぎるため、高温高湿環境下における帯電安定性が低下する。。C/Tが0.70よりも大きいと、極性の低い成分が多くなりすぎるため、紙との密着性が低下する。C/Tは、好ましくは下記式(5)を満足する。
0.50≦C/T≦0.70 ・・・(5)
上記式(1)及び(2)を満足するためには、結着樹脂中で組成に偏りを設け、極性のある程度高い組成の高分子と、極性の低い組成の高分子を適正に存在させる方法が挙げられる。その手段として、結着樹脂がビニル系樹脂の場合、使用するモノマーの反応性や転化率推移に応じて、モノマーや重合開始剤を追加で添加するなどの工夫が挙げられる。
結着樹脂のクロロホルム可溶分に対し、貧溶媒としてアセトニトリル、良溶媒としてクロロホルムを使用したグラジエントLC分析を行った際に、以下の式(6)を満足することが好ましい。より好ましくは式(6´)を満たす。
0.00≦A/T≦0.05 ・・・(6)
0.00≦A/T≦0.03 ・・・(6´)
式中、Aは、移動相中のクロロホルムの割合が5.0体積%以上30.0体積%未満における、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出したピークのピーク面積を表す。A/Tは、結着樹脂のクロロホルム可溶分における極性のかなり高い成分を表す。A/Tが
上記式(6)を満足することで、帯電安定性がより良好になり、高温高湿環境下における放置カブリが抑制されやすくなる。A/Tは、極性の高い成分の使用量により制御できる。
結着樹脂の質量を基準とする、結着樹脂のクロロホルム可溶分の含有割合は、好ましくは30質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは60質量%以上99質量%以下である。結着樹脂のクロロホルム可溶分の含有割合が上記範囲であると、ゲル分の量を少なく制御でき、低温定着性を確保しやすくなる。結着樹脂のクロロホルム可溶分の含有割合は、使用する架橋剤の種類や量などにより制御できる。
結着樹脂について述べる。結着樹脂は、結晶性を有するビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂が結合したハイブリッド樹脂であってもよい。結着樹脂はビニル系樹脂を含むことが好ましく、ビニル系樹脂であることが好ましい。結着樹脂中のビニル系樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%~100質量%であり、より好ましくは80質量%~100質量%であり、さらに好ましくは90質量%~100質量%であり、特に好ましくは100質量%である。
なお、ビニル系樹脂は、ビニル基などのエチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物の重合体又は共重合体である。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。また、結着樹脂は、下記式(3)で示されるモノマーユニット(a)を有することが好ましい。
Figure 2022162968000003
式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは15~35の整数を表す。式(3)は、長鎖アルキル基を有するモノマーユニットを示しており、結着樹脂が長鎖アルキル基を有することで、結着樹脂が結晶性を示しやすくなる。式(3)中のnが15~35であることで、該結着樹脂に由来する吸熱ピークのピーク温度を範囲内に制御しやすくなる。nは、好ましくは17~29の整数である。
式(3)で示されるモノマーユニットを導入するための方法としては、ビニル系単量体又はエチレン性不飽和結合を含有する樹脂と以下のような(メタ)アクリル酸エステルを重合させる方法がある。例えば、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ヘンエイコサニル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸リグノセリル、(メタ)アクリル酸セリル、(メタ)アクリル酸オクタコサ、(メタ)アクリル酸ミリシル、(メタ)アクリル酸ドトリアコンタ及び(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシル等が挙げられる。
結着樹脂は、式(3)で表されるモノマーユニットを2種以上含有してもよい。結着樹脂中の、式(3)で示されるモノマーユニット(a)の含有割合は、40.0質量%以上
80.0質量%以下であることが好ましく、40.0質量%以上70.0質量%以下であることがより好ましく、40.0質量%以上60.0質量%以下であることがさらに好ましい。上記範囲であると、結着樹脂中の極性の高い成分及び極性の低い成分のバランスが良好になり、低温定着性、紙との密着性、帯電安定性及び耐久性がより良好になる。
結着樹脂は、モノマーユニット(a)に加え、モノマーユニット(a)とは異なるモノマーユニット(b)を含有し、モノマーユニット(a)のSP値をSP、モノマーユニット(b)のSP値をSPとしたとき、下記式(7)を満たすことが好ましい。
3.00≦(SP-SP)≦25.00 ・・・(7)
上記式(7)を満足することで、結着樹脂の結晶性が低下しにくくなり、融点が維持されやすい。それにより、低温定着性及び耐熱保存性の両立が図りやすくなる。このメカニズムについて、以下のように推察している。モノマーユニット(a)は、重合体に組み込まれ、モノマーユニット(a)同士が集合し、ドメインを形成することで結晶性を発現する。通常の場合、他のモノマーユニットが組み込まれていると結晶化を阻害しやすいため、重合体として結晶性を発現しにくくなる。この傾向は、重合体の一分子内にてモノマーユニット(a)と他のモノマーユニットがランダムに結合されていると顕著になる。
一方、SP-SPが上記式(7)の範囲にあることで、結着樹脂においてモノマーユニット(a)とモノマーユニット(b)が相溶することなく明確な相分離状態を形成しうると考えられ、結晶性を低下させることなく、融点が維持しやすいと考えられる。SP-SPは、下記式(7´)を満足することがより好ましい。
6.00≦(SP-SP)≦12.00 ・・・(7´)
なお、モノマーユニット(a)が2種類以上含有する場合、SPはそれぞれのモノマーユニット(a)のモル比率で算出した平均値を表す。例えば、SP値がSP111のモノマーユニットAをモノマーユニット(a)の要件を満たすモノマーユニット全体のモル数を基準としてAモル%含み、SP値がSP112のモノマーユニットBをモノマーユニット(a)の要件を満たすモノマーユニット全体のモル数を基準として(100-A)モル%含む場合のSP値(SP11)は、
SP11=(SP111×A+SP112×(100-A))/100
である。
一方、モノマーユニット(b)が2種類以上である場合、SPはそれぞれのモノマーユニットのSP値を表し、SP-SPはそれぞれのモノマーユニット(b)に対して決定される。すなわち、モノマーユニット(b)は、上記方法で算出したSP11に対して式(7)を満たすSPを有することが好ましい。モノマーユニット(b)は、下記式(8a)~(8c)で示されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも一が好ましく、下記式(8)で示されることが好ましい。
Figure 2022162968000004

Figure 2022162968000005

式中、Rは、それぞれ水素原子又はメチル基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
式(8)で表されるモノマーユニット(b)は、上記式(7)を満足しやすい。結着樹脂に式(8)で示されるモノマーユニットを導入するための方法としては、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルを、樹脂中のエチレン性不飽和結合と、又はエチレン性不飽和結合を有する単量体と、重合させる方法が挙げられる。モノマーユニット(b)を形成するモノマー(重合性単量体(Y))は、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、酢酸ビニルからなる群から選択される少なくとも一であることが好ましい。
結着樹脂がビニル系樹脂を含む場合、モノマーユニット(b)を形成するモノマー(重合性単量体(Y))としては、上記の他に以下のものが挙げられる。
ヒドロキシ基を有する単量体;例えば、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル等。
アミド基を有する単量体;例えば、アクリルアミド、炭素数1~30のアミンとエチレン性不飽和結合を有する炭素数2~30のカルボン酸(アクリル酸及びメタクリル酸等)を公知の方法で反応させた単量体。
ウレタン基を有する単量体:例えば、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2~22のアルコール(メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、ビニルアルコール等)と、炭素数1~30のイソシアネート[モノイソシアネート化合物(ベンゼンスルフォニルイソシアネート、トシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p-クロロフェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、t-ブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、2-エチルヘキシルイソシアネ
ート、ドデシルイソシアネート、アダマンチルイソシアネート、2,6-ジメチルフェニルイソシアネート、3,5-ジメチルフェニルイソシアネート及び2,6-ジプロピルフェニルイソシアネート等)、脂肪族ジイソシアネート化合物(トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)、脂環族ジイソシアネート化合物(1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート及び水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート等)、及び芳香族ジイソシアネート化合物(フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネート等)等]とを公知の方法で反応させた単量体、及び
炭素数1~26のアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、t-ブチルアルコール、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セタノール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ノナデシルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール等)と、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2~30のイソシアネート[2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2-(0-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート及び1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等]とを公知の方法で反応させた単量体等。
ウレア基を有する単量体:例えば炭素数3~22のアミン[1級アミン(ノルマルブチルアミン、t―ブチルアミン、プロピルアミン及びイソプロピルアミン等)、 2級アミ
ン(ジノルマルエチルアミン、ジノルマルプロピルアミン、ジノルマルブチルアミン等)、アニリン及びシクロキシルアミン等]と、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2~30のイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体等。
カルボキシ基を有する単量体;例えば、メタクリル酸、アクリル酸、(メタ)アクリル酸-2-カルボキシエチル。
結着樹脂中の、モノマーユニット(b)の含有割合は、5.0質量%~40.0質量%であることが好ましく、20.0質量%~35.0質量%であることがより好ましい。
結着樹脂は、モノマーユニット(a)及びモノマーユニット(b)に加え、モノマーユニット(a)及びモノマーユニット(b)とは異なるその他のモノマーユニットを含有してもよい。例えば、第三の重合性単量体が重合した第三のモノマーユニット及び第四の重合性単量体が重合した第四のモノマーユニットを有していてもよい。その他のモノマーユニットを形成するモノマーとしては、下記が挙げられる。スチレン、α―メチルスチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステル類。
第三の重合性単量体及び第四の重合性単量体として、スチレン及び炭素数1~4(好ましくは1~3、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは2)の(メタ)アクリル酸エステルを用いることが好ましい。例えば、好ましくは、第三の重合性単量体がスチレンであり、第四の重合性単量体が、炭素数1~4(好ましくは1~3、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは2)の(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一である。すなわち、好ましくは、結着樹脂は、下記式(A)で表されるスチレンが重合したモノマーユニット及び下記式(B)で表される(メタ)アクリル酸エステルが重合したモノマーユニットを有する。式(B)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1~4(好ましくは1~3、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは2)のアルキル基を表す。
Figure 2022162968000006
結着樹脂中の、その他のモノマーユニットの含有割合は、5.0質量%~30.0質量%であることが好ましい。結着樹脂中の、式(A)で表されるモノマーユニットの含有割合は、好ましくは5.0質量%~30.0質量%であり、より好ましくは8.0質量%~20.0質量%である。結着樹脂中の、式(B)で表されるモノマーユニットの含有割合は、好ましくは1.0質量%~20.0質量%であり、より好ましくは5.0質量%~10.0質量%である。
また、結着樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるテトラヒドロフラン(THF)可溶分の重量平均分子量(Mw)が、10000以上200000以下であることが好ましく、20000以上150000以下であることがより好ましく、70000以上110000以下であることがさらに好ましい。Mwが上記範囲内であることで、室温付近での弾性が維持しやすくなる。
結着樹脂はポリエステル樹脂を含んでいてもよい。結着樹脂として使用可能なポリエステル樹脂について述べる。
ポリエステル樹脂は、2価以上の多価カルボン酸と多価アルコールの反応により得ることができる。多価カルボン酸としては例えば以下の化合物が挙げられる。琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、ドデセニルコハク酸のような二塩基酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル、並びに、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸。1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、以下の化合物を挙げることができる。アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール及び1,3-プロピレングリコー
ル);アルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール);ビスフェノール類(ビスフェノールA);脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド)付加物。アルキレングリコール及びアルキレンエーテルグリコールのアルキル部分は直鎖状であっても、分岐していてもよい。さらに、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール等。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、酸価や水酸基価の調整を目的として、必要に応じて酢酸及び安息香酸のような1価の酸、シクロヘキサノール及びベンジルアルコールのような1価のアルコールも使用することができる。ポリエステル樹脂の製造方法については特に限定されないが、例えばエステル交換法や直接重縮合法を単独で又は組み合わせて用いることができる。
次に、ポリウレタン樹脂について述べる。ポリウレタン樹脂は、ジオールとジイソシアネート基を含有する物質との反応物であり、ジオール及びジイソシアネートの調整により、各種機能性をもつ樹脂を得ることができる。
ジイソシアネート成分としては、以下のものが挙げられる。炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)が6以上20以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数2以上18以下の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネート、及びこれらジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物。以下、「変性ジイソシアネート」ともいう。)、並びに、これらの2種以上の混合物。
芳香族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。m-及び/又はp-キシリレンジイソシアネート(XDI)及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート。
また、脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びドデカメチレンジイソシアネート。
また、脂環式ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート及びメチルシクロヘキシレンジイソシアネート。
これらの中でも好ましいものは、炭素数6以上15以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数4以上12以下の脂肪族ジイソシアネート、及び炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネートであり、特に好ましいものは、XDI、IPDI及びHDIである。また、ジイソシアネート成分に加えて、3官能以上のイソシアネート化合物を用いることもできる。ポリウレタン樹脂に用いることのできるジオール成分としては、前述した該ポリエステル樹脂に用いることのできる2価のアルコールと同様のものを採用できる。
トナー粒子は、結着樹脂を有するコア粒子、及び該コア粒子を被覆するシェルを含有してもよい。シェルを形成する樹脂は、特に制限されないが、帯電安定性の観点から、ビニル樹脂又はポリエステル樹脂が好ましい。より好ましくは非晶性のポリエステル樹脂である。シェルは必ずしもコアの全体を被覆している必要はなく、コアが露出している部分があってもよい。
<離型剤>
トナーは、離型剤を含有してもよい。離型剤は、好ましくは炭化水素系ワックス及びエ
ステルワックスからなる群から選択される少なくとも一である。炭化水素系ワックス及び/又はエステルワックスを使用することで、有効な離型性を確保しやすくなる。炭化水素系ワックスとしては特に限定はないが、例えば以下のものが挙げられる。
脂肪族炭化水素系ワックス:低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体、フィッシャートロプシュワックス、またはこれらが酸化、酸付加されたワックス。
エステルワックスは、1分子中にエステル結合を少なくとも1つ有していればよく、天然エステルワックス、合成エステルワックスのいずれを用いてもよい。エステルワックスとしては特に限定はないが、例えば以下のものが挙げられる。
ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル等の1価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
セバシン酸ジベヘニル等の2価カルボン酸とモノアルコールのエステル類;
エチレングリコールジステアレート、ヘキサンジオールジベヘネート等の2価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
グリセリントリベヘネート等の3価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート等の4価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネート等の6価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ポリグリセリンベヘネート等の多官能アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;カルナバワックス、ライスワックス等の天然エステルワックス類;
なかでも、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネート等の6価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類が好ましい。
離型剤は、炭化水素系ワックス又はエステルワックスを単独で用いてもよく、炭化水素系ワックス及びエステルワックスを併用してもよく、それぞれ二種類以上を混合して用いてもよいが、炭化水素系ワックスを単独で、もしくは二種類以上を使用することが好ましい。離型剤が炭化水素ワックスであることがより好ましい。
トナー粒子中の離型剤の含有量は、好ましくは1.0質量%以上30.0質量%以下であり、より好ましくは2.0質量%以上25.0質量%以下である。トナー粒子中の離型剤の含有量が上記範囲にあることで、定着時の離型性が確保されやすくなる。
離型剤の融点は、60℃以上120℃以下であることが好ましい。離型剤の融点が上記範囲にあることで、定着時に溶融してトナー粒子表面に染み出しやすく、離型性が発揮されやすくなる。より好ましくは70℃以上100℃以下である。
<着色剤>
トナーは、着色剤を含有してもよい。着色剤として、公知の有機顔料、有機染料、無機顔料、黒色着色剤としてのカーボンブラック、磁性粒子などが挙げられる。そのほかに従来トナーに用いられている着色剤を用いてもよい。
イエロー用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74
、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180が好適に用いられる。
マゼンタ用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好適に用いられる。
シアン用着色剤としては、以下のものが挙げられる。銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好適に用いられる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
着色剤の含有量は、好ましくは結着樹脂100.0質量部に対し、1.0質量部以上20.0質量部以下である。着色剤として磁性粒子を用いる場合、その含有量は結着樹脂100.0質量部に対し、40.0質量部以上150.0質量部以下であることが好ましい。
<荷電制御剤>
必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子に含有させてもよい。また、荷電制御剤をトナー粒子に外部添加してもよい。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン、四級アンモニウム塩、高級脂肪酸の金属塩、ジオルガノスズボレート類、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。荷電制御剤の含有量は、トナー粒子100.0質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上20.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
<外添剤>
トナー粒子はそのままトナーとして用いてもよいし、必要により外添剤などを混合しトナー粒子表面に付着させることで、トナーとしてもよい。外添剤としては、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子からなる群から選ばれる無機微粒子又はその複合酸化物などが挙げられる。複合酸化物としては、例えば、シリカアルミニウム微粒子やチタン酸ストロンチウム微粒子などが挙げられる。外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上8.0質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上4.0質量部以下であることがより好ましい。
続いて、トナーの製造方法について詳細に述べる。トナー粒子は、本件構成の範囲内であれば、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、粉砕法といった、従来公知のいずれの方
法において製造されてもよい。なかでも、上記式(1)及び(2)を満足させやすいことから、懸濁重合法が好ましい。
<懸濁重合法によるトナーの製造方法>
(分散工程)
結着樹脂を生成する重合性単量体及び必要に応じて着色剤などの各種材料を混合し、分散機を用いてこれらを溶融、溶解又は分散させた原材料分散液を調製する。さらに、必要に応じて材料の項に挙げた、ワックス、荷電制御剤、粘度調整のための溶剤、さらに他の添加剤を原材料分散液に適宜加えることが可能である。粘度調整のための溶剤としては、上記材料を良好に溶解・分散可能で、水への溶解性が低い溶剤であれば特に制限なく公知の溶剤を用いることができる。例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル等が挙げられる。また、分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機が挙げられる。
(造粒工程)
原材料分散液を、あらかじめ用意しておいた水系媒体中に投入し、高速撹拌機又は超音波分散機などの分散機を用いて懸濁液を調製する。水系媒体には粒径調整及び凝集抑制のための分散安定剤を含有することが好ましい。分散安定剤としては、特に制限なく従来公知の分散安定剤を使用することができる。
例えば、無機の分散安定剤としてヒドロキシアパタイト、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等に代表されるリン酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等に代表される炭酸塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等に代表される金属水酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等に代表される硫酸塩、メタケイ酸カルシウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
また、有機の分散安定剤としては以下の、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン等が挙げられる。
中でも、無機の分散安定剤が電荷の分極が大きく、油相への吸着力が強いために、凝集抑制効果が強く、好ましい。また、pH調整により容易に除去可能であることからヒドロキシアパタイト、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウムがさらに好ましい。
(重合工程)
懸濁液中の重合性単量体を重合してトナー粒子を得る。重合開始剤は、原材料分散液を調製する際に他の添加剤とともに混合してもよく、水系媒体中に懸濁させる直前に原材料分散液中に混合してもよい。また、造粒工程中や造粒工程完了後、すなわち重合工程を開始する直前、あるいは重合工程中に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることもできる。重合性単量体を重合して重合体を得たあと、必要に応じて加熱又は減圧することで脱溶剤処理を行い、トナー粒子の水分散液を得る。
重合開始剤としては、特段の制限なく公知の重合開始剤を用いることができる。具体的には以下のものが挙げられる。過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化-tert-ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1-フェニル-2-メチルプロピル-1-ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸-tert-ヒドロペルオキシド、過ギ酸-tert-ブチル、
過酢酸-tert-ブチル、過安息香酸-tert-ブチル、過フェニル酢酸-tert-ブチル、過メトキシ酢酸-tert-ブチル、過N-(3-トルイル)パルミチン酸-tert-ブチルベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレ-ト、t-ブチルパーオキシイソブチレ-ト、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等に代表される過酸化物系重合開始剤;
2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等に代表されるアゾ系またはジアゾ系重合開始剤など。
原材料分散液中に高親水性の非晶性樹脂を添加した場合には、造粒工程から重合工程にかけて、非晶性樹脂がトナー粒子表面へと移行し、シェル層を形成する。
(ろ過工程、洗浄工程、乾燥工程、分級工程、外添工程)
トナー粒子の水分散液から固液分離によって固形分を得るろ過工程、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程、粒度調整のための分級工程を行い、トナー粒子を得る。トナー粒子はそのままトナーとして用いてもよい。必要に応じてトナー粒子と無機微粉体等の外部添加剤とを混合機を用いて混合・付着させ、トナーを得ることもできる。懸濁重合法において、上記式(1)及び(2)を満足させやすくするため、トナー粒子は、下記の方法(I)~(III)のいずれかで製造されることが好ましい。
製造方法(I)は以下の通り。結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、下記式(9)で示される重合性単量体(x)、該重合性単量体(x)以外のその他の重合性単量体、及び重合開始剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体の中で形成する造粒工程、及び
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させることによりトナー粒子を得る重合工程、を有し、
該造粒工程において、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体中の該重合性単量体(x)の含有割合が、40.0質量%以上80.0質量%以下(より好ましくは45.0質量%~60.0質量%)であり、
該重合開始剤は、第一の重合開始剤と第二の重合開始剤を含有し、該第一の重合開始剤の10時間半減期温度をR1とし、該第二の重合開始剤の10時間半減期温度をR2としたとき、R1及びR2は下記式(10)及び(11)を満足し、
該重合工程が、
該重合性単量体(x)の重合転化率が60質量%~80質量%(より好ましくは65質量%~75質量%)に、該その他の重合性単量体の重合転化率が90質量%~99質量%(より好ましくは92質量%~97質量%)に達するまで温度T1(℃)で重合させる工程(第一段階の重合反応)、及び
該温度T1(℃)で重合させた後、温度T2(℃)にて該重合性単量体(x)の重合転化率が95質量%以上(好ましくは99質量%以上)になるまで重合させる工程(第二段階の重合反応)を有するトナーの製造方法。
Figure 2022162968000007
式(9)中、Rは式(3)中のRと同様であり、mはnと同様である。すなわち、Rは水素原子又はメチル基を表し、mは15~35の整数(好ましくは17~29の整数)を表す。
40≦R1≦60 ・・・(10)
65≦R2≦85 ・・・(11)
R1+5≦T1≦R1+15 ・・・(12)
R2+5≦T2≦R2+20 ・・・(13)
(10)、(11)、(12)、(13)は、それぞれ下記(10´)、(11´)、(12´)、(13´)であることがより好ましい。
50≦R1≦60 ・・・(10´)
70≦R2≦80 ・・・(11´)
R1+10≦T1≦R1+15 ・・・(12´)
R2+10≦T2≦R2+17 ・・・(13´)
製造方法(II)は以下の通り。結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
式(9)で示される重合性単量体(x)、該重合性単量体(x)以外のその他の重合性単量体、及び重合開始剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体の中で形成する造粒工程、及び
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させることによりトナー粒子を得る重合工程、を有し、
該造粒工程において、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体中の該重合性単量体(x)の含有割合が、40.0質量%以上80.0質量%以下(より好ましくは45.0質量%~60.0質量%)であり、
該重合工程において、
該重合性単量体(x)の重合転化率が60質量%~80質量%(好ましくは65質量%~75質量%)に、該その他の重合性単量体の重合転化率が90質量%~99質量%に達するまで重合させた後(第一段階の重合反応)、さらに重合開始剤を添加して該重合性単量体(x)の重合転化率が95質量%以上(好ましくは99質量%以上)になるまで重合させる(第二段階の重合反応)ことを特徴とするトナーの製造方法。
製造方法(III)は以下の通り。結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
式(9)で示される重合性単量体(x)、該重合性単量体(x)以外のその他の重合性単量体、及び重合開始剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体の中で形成する造粒工程、及び
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させることによりトナー
粒子を得る重合工程、を有し、
該造粒工程において、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体中の該重合性単量体(x)の含有割合が、30.0質量%以上75.0質量%以下(より好ましくは30.0質量%~40.0質量%)であり、
該重合工程が、
該重合性単量体(x)及び該その他の重合性単量体の重合転化率が90質量%~99質量%に達するまで重合させる工程(i)、及び
該工程(i)の後、さらに重合性単量体(x)を添加し、該重合性単量体(x)の重合転化率が95質量%以上(好ましくは99質量%以上)になるまで重合させる工程(ii)を有し、
該工程(ii)における該重合性単量体(x)の添加量が、該造粒工程における該重合性単量体(x)の添加量に対し、20.0質量%以上50.0質量%以下(より好ましくは35.0質量%以上45.0質量%以下)であることを特徴とするトナーの製造方法。
上記製造方法(I)~(III)のいずれかを採用することで、重合性単量体(x)の量にある程度の偏りがある結着樹脂を製造可能であるため、上記式(1)及び(2)を満足させることができる。
式(9)で示される重合性単量体(x)は、式(3)で示されるモノマーユニット(a)を形成する。重合性単量体(x)以外のその他の重合性単量体は、前述のモノマーユニット(b)を形成する重合性単量体(Y)、第三の重合性単量体及び第四の重合性単量体が挙げられる。重合性単量体(x)以外のその他の重合性単量体は、好ましくは重合性単量体(Y)を含み、より好ましくは重合性単量体(Y)、第三の重合性単量体及び第四の重合性単量体を含む。
また、重合開始剤は、特に制限されず前述したような公知のものを使用すればよく、所望の反応性を有するものを適宜選択すればよい。例えば、前述した重合開始剤から式(10)及び(11)を満たすものを選択すればよい。例えば、重合性単量体100質量部に対し、t-ブチルパーオキシピバレートを6.0~10.0質量部、及びt-ブチルパーオキシイソブチレートを0.4~1.5質量部使用しうる。
トナー及びトナー材料の各種物性についての算出方法及び測定方法について以下に記す。
<トナーからの、結着樹脂中のクロロホルム可溶分の分離及び含有割合の測定>
トナー1.5gを精秤(W1[g])し、予め精秤した円筒濾紙(商品名:No.86R、サイズ28×100mm、アドバンテック東洋社製)に入れてソックスレー抽出器にセットする。溶媒としてクロロホルム200mLを用いて18時間抽出し、その際に溶媒の抽出サイクルが約5分に一回になるような還流速度で抽出を行う。
抽出終了後、円筒ろ紙を取り出して風乾した後、40℃で8時間真空乾燥し、抽出残分を含む円筒濾紙の質量を秤量し、円筒濾紙の質量を差し引くことにより、抽出残分の質量(W2[g])を算出する。また、“トナー中に含有されるクロロホルム可溶分”は、このクロロホルム抽出液からエバポレータでクロロホルムを十分に留去することで得られる。
次に、樹脂成分以外の成分の含有量(W3[g])を以下の手順で求める。予め秤量した30mLの磁性るつぼに約2gのトナーを精秤(Wa[g])する。
磁性るつぼを電気炉に入れ約900℃で約3時間加熱し、電気炉中で放冷し、常温下でデシケーター中に1時間以上放冷し、焼却残灰分を含むるつぼの質量を秤量し、るつぼの質量を差し引くことにより焼却残灰分(Wb[g])を算出する。
そして、下記式(A)により、試料W1[g]中の焼却残灰分の質量(W3[g])を
算出する。
W3=W1×(Wb/Wa) ・・・(A)
また、トナーが離型剤を含有する場合、結着樹脂と離型剤を分離する必要がある。結着樹脂と離型剤の分離は、リサイクルHPLCにより、分子量2000以下の成分を離型剤として分離することで行う。分離方法を以下に示す。
まず、上記した方法にて得られた“トナー中に含有されるクロロホルム可溶分”の分子量分布を測定する。分子量分布の測定のために、“トナー中に含有されるクロロホルム可溶分”をクロロホルムに溶解し、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、クロロホルムに可溶な成分の濃度が1.0質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で分子量分布を測定する。
・装置:LC-Sakura NEXT(日本分析工業社製)
・カラム:JAIGEL2H、4H(日本分析工業社製)
・溶離液:クロロホルム
・流速:10.0ml/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料注入量:1.0ml
分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
こうして得られた分子量曲線に基づいて、“トナー中に含有されるクロロホルム可溶分”のクロロホルム溶液から分子量2000以下となる成分を繰り返し分取する。分子量2000以下の成分を除去した残分からクロロホルムを除去したものが、結着樹脂成分(Wc[g])であり、“結着樹脂のクロロホルム可溶分”である。一方、分取した分子量2000以下の成分からクロロホルムを除去したものが離型剤成分(Wd[g])である。
そして、下記式により、試料W1[g]中のクロロホルム可溶分(W4[g])中の結着樹脂成分の含有量(W5[g])を算出する。
W4=W1-W2
W5=W4×(Wc/(Wc+Wd))
この場合、トナーにおける結着樹脂中のクロロホルム可溶分の含有割合は、下記式で求められる。
トナーにおける結着樹脂中のクロロホルム可溶分の含有割合(質量%)=W5/{W5+(W2-W3)}×100
<結着樹脂のクロロホルム可溶分のグラジエントLC分析方法>
上記した“結着樹脂のクロロホルム可溶分”を試料とする。試料はクロロホルムにてサンプル濃度が0.1質量%となるように調整し、その溶液を0.45μmのPTFEフィルターで濾過したものを測定に供した。グラジエントポリマーLC測定条件を以下に示す。
装置 :UlTIMATE3000 (Thermo Fisher Scientific製)
移動相 :A クロロホルム(HPLC)、B アセトニトリル(HPLC)
グラジエント:2min(A/B=0/100)→25min(A/B=100/0)
(なお、移動相の変化の勾配は直線になるようした。)
流速 :1.0mL/分
注入 :0.1質量%×20μL
カラム :Tosoh TSKgel ODS(4.6mmφx150mm x 5μm)
カラム温度 :40℃
検出器 :Corona荷電化粒子検出器(Corona-CAD)(Therm
o Fisher Scientific製)
測定で得られた時間-強度のグラフについて、時間をクロロホルムの割合に変換した後、下記クロロホルムの割合のピークの面積を算出する。移動相中のクロロホルムの割合が5.0体積%以上95.0体積%以下におけるピークの面積をTとし、移動相中のクロロホルムの割合が30.0体積%以上60.0体積%以下におけるピークの面積をBとし、移動相中のクロロホルムの割合が80.0体積%以上95.0体積%以下におけるピークの面積をCとする。さらに、移動相中のクロロホルムの割合が5.0体積%以上30.0体積%未満におけるピークの面積をAとする。ピーク面積は、例えば、クロロホルムの割合5.0体積%以上95.0体積%以下におけるピークの場合、5.0体積%の縦軸、95.0体積%の縦軸、強度曲線及び横軸(強度0)とで囲まれた範囲の面積を算出すればよい。
<吸熱ピークのピーク温度、吸熱ピークの吸熱量の測定方法>
トナーにおける結着樹脂の吸熱ピークのピーク温度、吸熱量は、DSC Q2000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料(トナー)5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、示差走査熱量測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。昇温過程として、10℃/minの速度で180℃まで昇温させる。そして、各ピークからピーク温度及び吸熱量を算出する。結着樹脂に由来するピークが複数存在する場合は、ピーク温度に関しては最大のピークを対象にする。吸熱量に関してはすべてのピークの吸熱量の和を算出する。
トナーを試料とするが、結着樹脂に由来する吸熱ピークが離型剤等の吸熱ピークと重なっていない場合には、そのままに結着樹脂に由来する吸熱ピークとして扱う。一方、離型剤の吸熱ピークが結着樹脂に由来する吸熱ピークと重複する場合は、離型剤に由来する吸熱量を差し引く必要がある。
以下の方法により、離型剤に由来する吸熱量を差し引き、結着樹脂に由来する吸熱ピークを得ることができる。先ず、別途離型剤単体のDSC測定を行い、吸熱特性を求める。次いで、トナー中の離型剤含有量を求める。トナー中の離型剤含有量の測定は、公知の構造解析によって行うことができる。その後、トナー中の離型剤含有量から離型剤に起因する吸熱量を算出し、結着樹脂に由来するピークからこの分を差し引けばよい。
離型剤が樹脂成分と相溶しやすい場合には、離型剤の含有量に相溶率を乗じた上で離型剤に起因する吸熱量を算出して差し引いておく必要がある。相溶率は、樹脂成分の溶融混合物と離型剤とを、離型剤の含有率と同比率で溶融混合したものについて求めた吸熱量を、予め求めておいた溶融混合物の吸熱量と離型剤単体の吸熱量から算出される理論吸熱量で除した値から算出する。吸熱量は、吸熱ピークよりも20.0℃低い温度から10.0
℃高い温度までの吸熱量をDSC解析ソフト(TA Universal Analysis)によって算出する。
<結着樹脂中の各種モノマーユニットの含有割合の測定方法>
結着樹脂中の各種モノマーユニットの含有割合の測定は、H-NMRにより以下の条件にて行う。
・測定装置 :FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)
・測定周波数:400MHz
・パルス条件:5.0μs
・周波数範囲:10500Hz
・積算回数 :64回
・測定温度 :30℃
・試料 :測定試料50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
得られたH-NMRチャートより、モノマーユニット(a)の構成要素に帰属されるピークの中から、他のモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。同様に、モノマーユニット(b)の構成要素に帰属されるピークの中から、他のモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。
さらに、第三、第四のモノマーユニットを含有している場合は、第三、第四のモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークから、他のモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値S及びSを算出する。
モノマーユニット(a)の含有割合は、上記積分値S、S、S及びSを用いて、以下のようにして求める。なお、n、n、n、nはそれぞれの部位について着眼したピークが帰属される構成要素における水素の数である。
モノマーユニット(a)の含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n)+(S/n))}×100
同様に、モノマーユニット(b)、第三、第四のモノマーユニットの割合は以下のように求める。
モノマーユニット(b)の含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n)+(S/n))}×100
第三のモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n)+(S/n))}×100
第四のモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n)+(S/n))}×100
なお、結着樹脂において、ビニル基以外の構成要素に水素原子が含まれない重合性単量体が使用されている場合は、13C-NMRを用いて測定原子核を13Cとし、シングルパルスモードにて測定を行い、H-NMRにて同様にして算出する。また、トナーが懸濁重合法によって製造される場合、離型剤やシェル用樹脂のピークが重なり、独立したピークが観測されないことがある。それにより、結着樹脂中の各種ユニットの含有割合が算出できない場合が生じる。その場合、離型剤やその他の樹脂を使用しないで同様の懸濁重合を行うことで、結着樹脂’を製造し、結着樹脂’を結着樹脂とみなして分析することが
できる。
<SP値の算出方法>
SP、SPは、Fedorsによって提案された算出方法に従い、以下のようにして求める。それぞれのモノマーユニットの分子構造における原子又は原子団に対して、「Polym.Eng.Sci.,14(2),147-154(1974)」に記載の表から蒸発エネルギー(Δei)(cal/mol)及びモル体積(Δvi)(cm/mol)を求め、(4.184×ΣΔei/ΣΔvi)0.5をSP値(J/cm0.5とする。
<樹脂の分子量の測定方法>
樹脂のTHF可溶分の分子量(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
・装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
・カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0ml/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<重合性単量体の重合転化率の測定方法>
重合性単量体の重合転化率は、ガスクロマトグラフィー(GC)を用い、以下のようにして測定する。トナー粒子分散液500mgを精秤しサンプルビンに入れる。これに精秤した10gのアセトンを加えてフタをした後、よく混合し、発振周波数42kHz、電気的出力125Wの卓上型超音波洗浄器(商品名「B2510J-MTH」、ブランソン社製)にて超音波を30分間照射する。その後、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)を用いて濾過を行い、濾液2μLをガスクロマトグラフィーで分析する。
GC:HP社 6890GC
カラム:HP社 INNOWax(200μm×0.40μm×25m)
キャリアーガス:He(コンスタントプレッシャーモード:20psi)
オーブン:(1)50℃で10分ホールド、(2)10℃/分で200℃まで昇温、(3)200℃で5分ホールド
注入口:200℃、パルスドスプリットレスモード(20→40psi、until0.5分)
スプリット比:5.0:1.0
検出器:250℃(FID)
そして、予め使用した重合性単量体を用いて作成した検量線により、残留している重合性単量体の「残存量」を算出する。その後、下記式に従い、重合性単量体の重合転化率(質量%)を規定する。
重合転化率(質量%)=
100×(1-(重合性単量体の残存量)/(使用した重合性単量体の総量))
また、ガスクロマトグラフィーでは検出不可能な重合性単量体(例えばアクリル酸ベヘ
ニルなど)の場合、その重合転化率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)を使用して以下のようにして測定する。まず、重合中のトナー粒子分散液約500mgを精秤しサンプルビンに入れる。これを、精秤した約10gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させる。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
・装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
・カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0ml/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料注入量:0.10ml
そして、予め使用した重合性単量体を用いて作成した検量線により、残留している重合性単量体の「残存量」を算出する。その後、下記式に従い、重合性単量体の重合転化率(質量%)を規定する。測定装置及び測定条件は、上記樹脂の分子量の測定方法と同じである。
重合転化率(質量%)=
100×(1-(重合性単量体の残存量)/(使用した重合性単量体の総量))
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の処方において、部は特に断りのない限り質量基準である。
<実施例1>
[懸濁重合法によるトナーの製造]
(トナー粒子1の製造)
・メタクリロニトリル(重合性単量体(Y)) 30.0部
・スチレン(第三の重合性単量体) 13.0部
・メタクリル酸エチル(第四の重合性単量体) 7.0部
・ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム 1.0部
・着色剤 ピグメントブルー15:3 6.5部
上記材料からなる混合物を調製した。上記混合物をアトライター(日本コークス社製)に投入し、直径5mmのジルコニアビーズを用いて、200rpmで2時間分散することで原材料分散液を得た。一方、高速撹拌装置ホモミクサー(プライミクス社製)及び温度計を備えた容器に、イオン交換水735.0部とリン酸三ナトリウム(12水和物)16.0部を添加し、12000rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。そこに、イオン交換水65.0部に塩化カルシウム(2水和物)9.0部を溶解した塩化カルシウム水溶液を投入し、60℃を保持しながら12000rpmで30分間撹拌した。そこに、10%塩酸を加えてpHを6.0に調整し、ヒドロキシアパタイトを含む無機分散安定剤が水中に分散した水系媒体を得た。
続いて、上記原材料分散液を撹拌装置及び温度計を備えた容器に移し、100rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。
・アクリル酸ベヘニル(重合性単量体(X)) 50.0部
・離型剤1 10.0部
(離型剤1:DP18(ジペンタエリスリトールステアリン酸エステルワックス、融点79℃、日本精蝋社製)
そこに、上記材料を添加して60℃を保持しながら100rpmで30分間撹拌した後、重合開始剤としてt-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)7.0部、及びt-ブチルパーオキシイソブチレート(アルケマ吉富社製:L80)1.0部を添加してさらに1分間撹拌した後、上記高速撹拌装置にて12000rpmで撹拌している水系媒体中に投入した。60℃を保持しながら上記高速撹拌装置にて12000rpmで20分間撹拌を継続し、造粒液を得た。
上記造粒液を還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に移し、窒素雰囲気下において150rpmで撹拌しながら70℃(温度T1)に昇温し、150rpmで第一段階の重合反応を行った。第一段階の重合反応の保持時間は、あらかじめ上記反応を行いながら重合転化率を測定したときの、重合性単量体(x)の重合転化率が70質量%に、その他の重合性単量体の重合転化率が95質量%になった時間とした。その後、90℃まで昇温し、90℃(温度T2)を保持しながら第二段階の重合反応を5時間行うことで、トナー粒子分散液を得た。なお、第二段階の重合反応での重合性単量体(x)の重合転化率は、100質量%であった。
得られたトナー粒子分散液を150rpmで撹拌しながら45℃まで冷却した後、45℃を維持したまま5時間熱処理を行った。その後、撹拌を保持したままpHが1.5になるまで希塩酸を加えて分散安定剤を溶解させた。固形分をろ別し、イオン交換水で充分に洗浄した後、30℃で24時間真空乾燥して、トナー粒子1を得た。
(トナー1の調製)
上記トナー粒子1:100.0部に対して、外添剤として、シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンによる疎水化処理、1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m/g)2.0部を加えてヘンシェルミキサー(日本コークス社製)を用い、3000rpmで15分間混合してトナー1を得た。得られたトナー1の物性を表3に、評価結果を表4に示す。
Figure 2022162968000008
Figure 2022162968000009

各トナーにおいて、表1-2に記載の重合転化率になるまで温度T1で重合を行い、その後、温度T2にて第二の重合反応を行った。
Figure 2022162968000010
Figure 2022162968000011

モノマーユニット(a)の割合は、結着樹脂中の含有割合を示す。Mwは、結着樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の重量平均分子量を示す。
<実施例2~18>
実施例1において、使用する重合性単量体の種類と添加量、第一の重合開始剤及び第二の重合開始剤の種類及び添加量、重合条件を表1-1及び1-2のように変更する以外はすべて同様にして、トナー粒子2~18を得た。さらに、実施例1と同様の外添を行い、トナー2~18を得た。トナーの物性を表3に、評価結果を表4に示す。なお、表1-1中、架橋剤に記載のHDDAとは、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートを表す。
<実施例19>
(トナー粒子19の製造)
・メタクリロニトリル(重合性単量体(Y)) 30.0部
・スチレン(第三の重合性単量体) 13.0部
・メタクリル酸エチル(第四の重合性単量体) 7.0部
・ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム 1.0部
・着色剤 ピグメントブルー15:3 6.5部
上記材料からなる混合物を調製した。上記混合物をアトライター(日本コークス社製)に投入し、直径5mmのジルコニアビーズを用いて、200rpmで2時間分散することで原材料分散液を得た。
一方、高速撹拌装置ホモミクサー(プライミクス社製)及び温度計を備えた容器に、イオン交換水735.0部とリン酸三ナトリウム(12水和物)16.0部を添加し、12000rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。そこに、イオン交換水65.0部に塩化カルシウム(2水和物)9.0部を溶解した塩化カルシウム水溶液を投入し、60℃を保持しながら12000rpmで30分間撹拌した。そこに、10%塩酸を加えてpHを6.0に調整し、ヒドロキシアパタイトを含む無機分散安定剤が水中に分散した水系媒体を得た。
続いて、上記原材料分散液を撹拌装置及び温度計を備えた容器に移し、100rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。
・アクリル酸ベヘニル(重合性単量体(X)) 50.0部
・離型剤1 10.0部
そこに、上記材料を添加して60℃を保持しながら100rpmで30分間撹拌した後、重合開始剤としてt-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)7.0部を添加してさらに1分間撹拌した後、上記高速撹拌装置にて12000rpmで撹拌している水系媒体中に投入した。60℃を保持しながら上記高速撹拌装置にて12000rpmで20分間撹拌を継続し、造粒液を得た。
上記造粒液を還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に移し、窒素雰囲気下において150rpmで撹拌しながら70℃に昇温し、150rpmで第一段階の重合反応を行った。第一段階の重合反応の保持時間は、あらかじめ上記反応を行いながら重合転化率を測定したときの、重合性単量体(x)の重合転化率が70質量%に、その他の重合性単量体の重合転化率が95質量%になった時間とした。その後、t-ブチルパーオキシピバレートを2.0部添加し、第二段階の重合反応を5時間行うことで、トナー粒子分散液を得た。なお、第二段階の重合反応での重合性単量体(x)の重合転化率は、100質量%であった。
得られたトナー粒子分散液を150rpmで撹拌しながら45℃まで冷却した後、45℃を維持したまま5時間熱処理を行った。その後、撹拌を保持したままpHが1.5になるまで希塩酸を加えて分散安定剤を溶解させた。固形分をろ別し、イオン交換水で充分に洗浄した後、30℃で24時間真空乾燥して、トナー粒子19を得た。
(トナー19の調製)
上記トナー粒子19:100.0部に対して、外添剤として、シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンによる疎水化処理、1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m/g)2.0部を加えてヘンシェルミキサー(日本コークス社製)を用い、3000rpmで15分間混合してトナー19を得た。得られたトナー19の物性を表3に、評価結果を表4に示す。
<実施例20>
(トナー粒子20の製造)
・メタクリロニトリル(重合性単量体(Y)) 30.0部
・スチレン(第三の重合性単量体) 13.0部
・メタクリル酸エチル(第四の重合性単量体) 7.0部
・ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム 1.0部
・着色剤 ピグメントブルー15:3 6.5部
上記材料からなる混合物を調製した。上記混合物をアトライター(日本コークス社製)に投入し、直径5mmのジルコニアビーズを用いて、200rpmで2時間分散することで原材料分散液を得た。
一方、高速撹拌装置ホモミクサー(プライミクス社製)及び温度計を備えた容器に、イオン交換水735.0部とリン酸三ナトリウム(12水和物)16.0部を添加し、12000rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。そこに、イオン交換水65.0部に塩化カルシウム(2水和物)9.0部を溶解した塩化カルシウム水溶液を投入し、60℃を保持しながら12000rpmで30分間撹拌した。そこに、10%塩酸を加えてpHを6.0に調整し、ヒドロキシアパタイトを含む無機分散安定剤が水中に分散した水系媒体を得た。
続いて、上記原材料分散液を撹拌装置及び温度計を備えた容器に移し、100rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。
・アクリル酸ベヘニル(重合性単量体(X)) 35.0部
・離型剤1 10.0部
そこに、上記材料を添加して60℃を保持しながら100rpmで30分間撹拌した後、重合開始剤としてt-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)9.0部を添加してさらに1分間撹拌した後、上記高速撹拌装置にて12000rpmで撹拌している水系媒体中に投入した。60℃を保持しながら上記高速撹拌装置にて12000rpmで20分間撹拌を継続し、造粒液を得た。
上記造粒液を還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に移し、窒素雰囲気下において150rpmで撹拌しながら70℃に昇温し、150rpmで第一段階の重合反応を行った。第一段階の重合反応の保持時間は、あらかじめ上記反応を行いながら重合転化率を測定したときの、重合性単量体(x)の重合転化率が93質量%に、その他の重合性単量体の重合転化率が95質量%になった時間とした。その後、アクリル酸ベヘニルを15.0部添加し、第二段階の重合反応を5時間行うことで、トナー粒子分散液を得た。なお、第二段階の重合反応での重合性単量体(x)の重合転化率は、100質量%であった。
得られたトナー粒子分散液を150rpmで撹拌しながら45℃まで冷却した後、45℃を維持したまま5時間熱処理を行った。その後、撹拌を保持したままpHが1.5になるまで希塩酸を加えて分散安定剤を溶解させた。固形分をろ別し、イオン交換水で充分に洗浄した後、30℃で24時間真空乾燥して、トナー粒子20を得た。
(トナー20の調製)
上記トナー粒子20:100.0部に対して、外添剤として、シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンによる疎水化処理、1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m/g)2.0部を加えてヘンシェルミキサー(日本コークス社製)を用い、3000rpmで15分間混合してトナー20を得た。得られたトナー20の物性を表3に、評価結果を表4に示す。
<比較例1>
(比較用トナー粒子1の製造)
・メタクリロニトリル(重合性単量体(Y)) 22.0部
・スチレン(第三の重合性単量体) 11.0部
・ジーt-ブチルサリチル酸アルミニウム 1.0部
・着色剤 ピグメントブルー15:3 6.5部
上記材料からなる混合物を調製した。上記混合物をアトライター(日本コークス社製)に投入し、直径5mmのジルコニアビーズを用いて、200rpmで2時間分散することで原材料分散液を得た。
一方、高速撹拌装置ホモミクサー(プライミクス社製)及び温度計を備えた容器に、イオン交換水735.0部とリン酸三ナトリウム(12水和物)16.0部を添加し、12000rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。そこに、イオン交換水65.0部に塩化カルシウム(2水和物)9.0部を溶解した塩化カルシウム水溶液を投入し、60℃を保持しながら12000rpmで30分間撹拌した。そこに、10%塩酸を加えてpHを6.0に調整し、ヒドロキシアパタイトを含む無機分散安定剤が水中に分散した水系媒体を得た。
続いて、上記原材料分散液を撹拌装置及び温度計を備えた容器に移し、100rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。
・アクリル酸ベヘニル(重合性単量体(X)) 67.0部
・離型剤1 10.0部
(離型剤1:DP18(ジペンタエリスリトールステアリン酸エステルワックス、融点79℃、日本精蝋社製)
そこに、上記材料を添加して60℃を保持しながら100rpmで30分間撹拌した後、重合開始剤としてt-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)8.0部を添加してさらに1分間撹拌した後、上記高速撹拌装置にて12000rpmで撹拌している水系媒体中に投入した。60℃を保持しながら上記高速撹拌装置にて12000rpmで20分間撹拌を継続し、造粒液を得た。
上記造粒液を還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に移し、窒素雰囲気下において150rpmで撹拌しながら70℃に昇温した。70℃を保持しながら150rpmで10時間重合反応を行い、トナー粒子分散液を得た。
得られたトナー粒子分散液を150rpmで撹拌しながら45℃まで冷却した後、45℃を維持したまま5時間熱処理を行った。その後、撹拌を保持したままpHが1.5になるまで希塩酸を加えて分散安定剤を溶解させた。固形分をろ別し、イオン交換水で充分に洗浄した後、30℃で24時間真空乾燥して、比較用トナー粒子1を得た。
(比較用トナー1の調製)
上記比較用トナー粒子1:100.0部に対して、外添剤として、シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンによる疎水化処理、1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m/g)2.0部を加えてヘンシェルミキサー(日本コークス社製)を用い、3000rpmで15分間混合して比較用トナー1を得た。得られた比較用トナー1の物性を表3に、評価結果を表4に示す。
<比較例2>
比較例1において、使用する重合性単量体の種類と添加量を表1-1のように変更する以外はすべて同様にして、比較用トナー粒子2を得た。さらに、実施例1と同様の外添を行い、比較用トナー2を得た。トナーの物性を表3に、評価結果を表4に示す。
<比較例3~6>
実施例1において、使用する重合性単量体の種類と添加量、第一の重合開始剤及び第二
の重合開始剤の種類及び添加量、重合条件を表1-1及び1-2のように変更する以外はすべて同様にして、比較用トナー粒子3~6を得た。さらに、実施例1と同様の外添を行い、比較用トナー3~6を得た。トナーの物性を表3に、評価結果を表4に示す。
<比較例7>
(樹脂粒子分散液1の作製)
・スチレン 300.0部
・アクリル酸ステアリル 700.0部
・ドデシルメルカプタン 6.0部
・デカンジオールアクリル酸エステル 4.0部
以上を混合し、溶解したものを、アニオン性界面活性剤ニューレックスペーストH(日油社製)20.0部をイオン交換水1300.0部に溶解したものに、フラスコ中にて分散、乳化した。10分間攪拌しながら、過硫酸アンモニウム20.0部を溶解したイオン交換水200.0部を投入し、窒素置換を行った後、内容物が70℃になるまで加熱し、6時間乳化重合を行った。その後、反応液を室温まで冷却することで樹脂粒子分散液1を作製した。
(樹脂粒子分散液2の作製)
・スチレン 300.0部
・アクリル酸ステアリル 700.0部
・アクリル酸 20.0部
・ドデシルメルカプタン 12.0部
・デカンジオールアクリル酸エステル 4.0部
以上を混合し、溶解したものを、アニオン性界面活性剤ニューレックスペーストH(日油社製)20.0部をイオン交換水1300.0部に溶解したものに、フラスコ中にて分散、乳化した。10分間攪拌しながら、過硫酸アンモニウム20.0部を溶解したイオン交換水200.0部を投入し、窒素置換を行った後、内容物が70℃になるまで加熱し、6時間乳化重合を行った。その後、反応液を室温まで冷却することで樹脂粒子分散液2を作製した。
(着色剤分散液の調製)
フタロシアニン顔料 ・・・・・・・・・・250部
(大日精化(株)製:PV FAST BLUE)
アニオン界面活性剤 ・・・・・・・・・・20部
(第一工業製薬(株)社製:ネオゲンRK)
イオン交換水 ・・・・・・・・・・730部
以上を混合し、溶解させた後、ホモジナイザー(IKA製ウルトラタラックス)を用いて分散し、着色剤分散液を得た。
(離型剤粒子分散液の調製)
ポリエチレンワックス ・・・・・・・・・・400部
(東洋ペトロライト社製:Polywax725)
アニオン界面活性剤 ・・・・・・・・・・20部
(日本油脂(株)製:ニューレックスR)
イオン交換水 ・・・・・・・・・・580部
以上を混合し、溶解させた後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックス)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤粒子(ポリエチレンワックス)を分散させてなる離型剤粒子分散液を調製した。
(比較用トナー粒子7の製造)
樹脂粒子分散液1 900.0部
樹脂粒子分散液2 225.0部
着色剤粒子分散液 100.0部
離型剤粒子分散液 63.0部
硫酸アルミニウム 5.0部
(和光純薬社製)
イオン交換水 1000.0部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、pH2.0に調整した後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用オイルバス中で64℃まで攪拌しながら加熱した。61℃で3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.0μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。更に4時間61℃で加熱攪拌を保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.4μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。この凝集粒子のpHは2.5であった。そこで炭酸水素ナトリウム(和光純薬社製)を0.5重量%に希釈した水溶液を添加し、pHを7.2に調整した後、攪拌を継続しながら90℃まで加熱し、6時間保持した。その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることにより比較用トナー粒子7を得た。得られた比較用トナー粒子7の平均粒径は5.5μmであった。さらに、実施例1と同様の外添を行い、比較用トナー7を得た。トナーの物性を表3に、評価結果を表4に示す。
<トナーの評価方法>
<1>低温定着性
トナーが充填されたプロセスカートリッジを25℃、湿度40%RHにて48時間放置した。定着器を外しても動作するように改造したLBP-712Ciを用いて、10mm×10mmの四角画像が転写紙全体に均等に9ポイント配列された画像パターンの未定着画像を出力した。転写紙上のトナー乗り量は、0.80mg/cmとし、定着開始温度を評価した。なお、転写紙は、Fox River Bond(90g/m)を使用した。
定着器は、LBP-712Ciの定着器を外部へ取り外し、レーザービームプリンター外でも動作するようにした外部定着器を用いた。なお、外部定着器は、定着温度を90℃から5℃刻みに上げて行き、プロセススピード:230mm/secの条件で定着を行った。定着画像を目視で確認し、コールドオフセットが発生しない最低温度を定着開始温度として、低温定着性を以下の基準で評価した。評価結果を表4に示す。
[評価基準]
A:定着開始温度が100℃以下
B:定着開始温度が105℃以上110℃以下
C:定着開始温度が115℃以上120℃以下
D:定着開始温度が125℃以上
<2>耐熱保存性
保存時の安定性を評価するために耐熱保存性の評価を実施した。5gのトナーを100mlの樹脂製カップに入れ、温度50℃、湿度70%RH環境下で3日放置した後、トナーの凝集度を以下のようにして測定し、下記の基準にて評価を行った。測定装置としては、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)の振動台側面部分に、デジタル表示式振動計「デジバイブロ MODEL 1332A」(昭和測器社製)を接続したものを用いた。そして、パウダーテスターの振動台上に下から、目開き38μm(400メッシュ)の篩、目開き75μm(200メッシュ)の篩、目開き150μm(100メッシュ)の篩の順に重ねてセットした。測定は、23℃、60%RH環境下で、以下の様にして行った。
(1)デジタル表示式振動計の変位の値を0.60mm(peak-to-peak)になるように振動台の振動幅を予め調整した。
(2)上記のように3日放置したトナーを、予め23℃、60%RH環境下にて24時間放置した。そして、トナー5.00gを精秤し、最上段の目開き150μmの篩上に静かにのせた。
(3)篩を15秒間振動させた後、各篩上に残ったトナーの質量を測定して、下式に基づき凝集度を算出した。評価結果を表4に示す。
凝集度(%)={(目開き150μmの篩上の試料質量(g))/5.00(g)}×100+{(目開き75μmの篩上の試料質量(g))/5.00(g)}×100×0.6+{(目開き38μmの篩上の試料質量(g))/5.00(g)}×100×0.2[評価基準]
A:凝集度が10%未満
B:凝集度が10%以上15%未満。
C:凝集度が15%以上20%未満。
D:凝集度が20%以上
<3>紙との密着性(定着画像の耐擦過性)
上記<1>の評価と同様の方法にて、定着画像を印字した。定着温度は、定着開始温度よりも10℃高い温度に設定した。得られた定着画像の画像領域に、柔和な薄紙(商品名「ダスパー」、小津産業社製)を被せ、該薄紙の上から4.9kPaの荷重をかけつつ5往復、該画像領域を摺擦した。摺擦前と摺擦後の画像濃度をそれぞれ測定して、下記式により画像濃度の低下率ΔD(%)を算出した。このΔD(%)を耐擦過性の指標とした。ΔD(%)={(摺擦前の画像濃度-摺擦後の画像濃度)/摺擦前の画像濃度}×100
画像濃度はカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X-Rite 404A:製造元 X-Rite社製)で測定した。評価結果を表4に示す。
[評価基準]
A:濃度低下率が3.0%未満
B:濃度低下率が3.0%以上7.0%未満
C:濃度低下率が7.0%以上10.0%未満
D:濃度低下率が10.0%以上
<4>帯電安定性
LBP-712Ciを用い、高温高湿環境下(HH)(温度32.5℃、湿度80%RH)において、該プリンターを用いて印字率1%の画像を3000枚プリントアウトした。3日放置後、白地部を有する画像を1枚プリントアウトした。得られた画像に対して、反射濃度計(リフレクトメーター モデル TC-6DS 東京電色社製)を用いて、反射
率の測定を行った。測定で用いるフィルターには、アンバーフィルターを用いた。白地部反射率の最悪値Ds(%)、画像形成前の転写材の反射率をDr(%)とした際のDr-Dsをカブリとして、以下の基準により評価を行った。評価結果を表4に示す。
[評価基準]
A:カブリが1.0%未満
B:カブリが1.0%以上3.0%未満
C:カブリが3.0%以上5.0%未満
D:カブリが5.0%以上
<5>耐久性
市販のキヤノン製プリンターLBP712Ciを使用し、耐久性の評価を行った。LBP-712Ciは、一成分接触現像を採用しており、トナー規制部材によって現像担持体
上のトナー量を規制している。評価用カートリッジは、市販のカートリッジ中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、評価するトナーを100g充填したものを使用した。上記カートリッジを、シアンステーションに装着し、その他にはダミーカートリッジを装着することで評価を実施した。
15℃、10%RH環境下にて、Fox River Bond(90g/m)を使用し、印字率が1%の画像を連続して出力した。11000枚出力後、0.40mg/cmのトナー載り量のべた画像を出力し、画像上のスジ(現像スジ)発生の有無を確認した。その後、印字率が1%の画像を連続して出力し、1000枚出力するごとに、べた画像を出力して、現像スジ発生の有無を確認した。評価結果を表4に示す。
[評価基準]
A:15,000枚まで、現像スジ未発生
B:14,000枚で現像スジ発生
C:12,000枚、13,000枚で現像スジ発生
D:11,000枚で現像スジ発生
Figure 2022162968000012

Claims (14)

  1. 結着樹脂を有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該トナーを試料とする示差走査熱量測定において、
    1回目の昇温における、該結着樹脂に由来する吸熱ピークのピーク温度が、50℃以上70℃以下であり、該トナー1g当たりの吸熱量が、30J/g以上70J/g以下であり、
    該結着樹脂のクロロホルム可溶分に対し、貧溶媒としてアセトニトリル、良溶媒としてクロロホルムを使用し、アセトニトリル100体積%の移動相組成から、クロロホルム100体積%の移動相組成に直線的に変化させたときの溶出成分をグラジエントLC分析した際に、以下の式(1)及び(2)を満足することを特徴とするトナー。
    0.08≦B/T≦0.30 ・・・(1)
    0.40≦C/T≦0.70 ・・・(2)
    Tは、移動相中のクロロホルムの割合が5.0体積%以上95.0体積%以下における、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出したピークのピーク面積を表し、
    Bは、移動相中のクロロホルムの割合が30.0体積%以上60.0体積%以下における、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出したピークのピーク面積を表し、
    Cは、移動相中のクロロホルムの割合が80.0体積%以上95.0体積%以下における、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出したピークのピーク面積を表す。
  2. 前記結着樹脂が、下記式(3)で示されるモノマーユニット(a)を有する請求項1に記載のトナー。
    Figure 2022162968000013


    式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは15~35の整数を表す。
  3. 前記結着樹脂における、前記式(3)で示されるモノマーユニット(a)の含有割合が、40.0質量%以上80.0質量%以下である請求項2に記載のトナー。
  4. 該結着樹脂が、前記モノマーユニット(a)に加え、前記モノマーユニット(a)とは異なるモノマーユニット(b)を含有し、
    前記モノマーユニット(a)のSP値をSP、該モノマーユニット(b)のSP値をSPとしたとき、下記式(7)を満たす請求項2又は3に記載のトナー。
    3.00≦(SP-SP)≦25.00 ・・・(7)
  5. 前記モノマーユニット(b)が、下記式(8a)~(8c)で示されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも一である請求項4に記載のトナー。
    Figure 2022162968000014

    式中、Rは、それぞれ水素原子又はメチル基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
  6. 前記モノマーユニット(b)が下記式(8)で示される請求項4に記載のトナー。
    Figure 2022162968000015

    式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
  7. 前記B/Tが、下記式(4)を満足する請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
    0.10≦B/T≦0.25 ・・・(4)
  8. 前記C/Tが、下記式(5)を満足する請求項1~7のいずれか一項に記載のトナー。
    0.50≦C/T≦0.70 ・・・(5)
  9. 前記結着樹脂のクロロホルム可溶分に対し、貧溶媒としてアセトニトリル、良溶媒としてクロロホルムを使用したグラジエントLC分析を行った際に、以下の式(6)を満足する請求項1~8のいずれか一項に記載のトナー。
    0.00≦A/T≦0.05 ・・・(6)
    式(6)中、Aは、移動相中のクロロホルムの割合が5.0体積%以上30.0体積%未満における、Corona荷電化粒子検出器を用いて検出したピークのピーク面積を表す。
  10. 前記結着樹脂の質量を基準とする、前記結着樹脂のクロロホルム可溶分の含有割合が、30質量%以上100質量%以下である請求項1~9のいずれか一項に記載のトナー。
  11. 前記結着樹脂が、ビニル系樹脂である請求項1~10のいずれか一項に記載のトナー。
  12. 結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
    下記式(9)で示される重合性単量体(x)、該重合性単量体(x)以外のその他の重合性単量体、及び重合開始剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体の中で形成する造粒工程、及び
    該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させることによりトナー粒子を得る重合工程、を有し、
    該造粒工程において、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体中の該重合性単量体(x)の含有割合が、40.0質量%以上80.0質量%以下であり、
    該重合開始剤は、第一の重合開始剤と第二の重合開始剤を含有し、該第一の重合開始剤の10時間半減期温度をR1とし、該第二の重合開始剤の10時間半減期温度をR2としたとき、R1及びR2は下記式(10)及び(11)を満足し、
    該重合工程が、
    該重合性単量体(x)の重合転化率が60質量%~80質量%に、該その他の重合性単量体の重合転化率が90質量%~99質量%に達するまで下記温度T1(℃)で重合させる工程、及び
    該温度T1(℃)で重合させた後、下記温度T2(℃)にて該重合性単量体(x)の重合転化率が95質量%以上になるまで重合させる工程を有することを特徴とするトナーの製造方法。
    Figure 2022162968000016

    式(9)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、mは15~35の整数を表す。
    40≦R1≦60 ・・・(10)
    65≦R2≦85 ・・・(11)
    R1+5≦T1≦R1+15 ・・・(12)
    R2+5≦T2≦R2+20 ・・・(13)
  13. 結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
    下記式(9)で示される重合性単量体(x)、該重合性単量体(x)以外のその他の重合性単量体、及び重合開始剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体の中で形成する造粒工程、及び
    該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させることによりトナー粒子を得る重合工程、を有し、
    該造粒工程において、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体中の該重合性単量体(x)の含有割合が、40.0質量%以上80.0質量%以下であり、
    該重合工程において、
    該重合性単量体(x)の重合転化率が60質量%~80質量%に、該その他の重合性単量体の重合転化率が90質量%~99質量%に達するまで重合させた後、さらに重合開始剤を添加して該重合性単量体(x)の重合転化率が95質量%以上になるまで重合させることを特徴とするトナーの製造方法。
    Figure 2022162968000017

    式(9)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、mは15~35の整数を表す。
  14. 結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
    下記式(9)で示される重合性単量体(x)、該重合性単量体(x)以外のその他の重合性単量体、及び重合開始剤を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体の中で形成する造粒工程、及び
    該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合させることによりトナー粒子を得る重合工程、を有し、
    該造粒工程において、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体中の該重合性単量体(x)の含有割合が、30.0質量%以上75.0質量%以下であり、
    該重合工程が、
    該重合性単量体(x)及び該その他の重合性単量体の重合転化率が90質量%~99質量%に達するまで重合させる工程(i)、及び
    該工程(i)の後、さらに重合性単量体(x)を添加し、該重合性単量体(x)の重合転化率が95質量%以上になるまで重合させる工程(ii)
    を有し、
    該工程(ii)における該重合性単量体(x)の添加量が、該造粒工程における該重合性単量体(x)の添加量に対し、20.0質量%以上50.0質量%以下であることを特徴とするトナーの製造方法。
    Figure 2022162968000018

    式(9)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、mは15~35の整数を表す。
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