JP7374745B2 - トナー - Google Patents

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Description

本開示は、電子写真法、静電記録法に用いられるトナーに関するものである。
従来、電子写真装置においても省エネルギー化が大きな技術的課題として考えられ、定着装置にかかる熱量の大幅な削減が検討されている。特に、トナーにおいては、より低エネルギーでの定着が可能な、いわゆる「低温定着性」のニーズが高まっている。
低温での定着を可能にするための手法としては、トナー中の結着樹脂のガラス転移温度(Tg)を低下させることが挙げられる。しかしながら、Tgを低下させることは、トナーの耐熱保存性を低下させることにつながるため、この手法においては、トナーの低温定着性と耐熱保存性を両立させることは困難であるとされている。
その対策として、可塑剤を添加したトナーが検討されている(特許文献1、2)。可塑剤は、トナーのTgを維持したまま、結着樹脂の軟化速度を速くする作用を有しており、低温定着性及び耐熱保存性を両立しうる。しかし、可塑剤が溶融し、結着樹脂を可塑させるというステップを経てトナーが軟化するため、トナーの溶融速度には限界があり、さらなる低温定着性の向上が望まれている。
そこで、トナーのさらなる低温定着性及び耐熱保存性を両立させるために、結着樹脂として結晶性のビニル樹脂を使用する方法が検討されている。トナー用の結着樹脂として一般的に用いられる非晶性の樹脂は示差走査熱量計(DSC)測定において明確な吸熱ピークを示さないが、結晶性樹脂成分を含有する場合には、DSC測定における吸熱ピークが現れる。
結晶性のビニル樹脂は、分子内の側鎖が規則的に配列することにより、融点まではほとんど軟化しないといった性質を有する。また、融点を境に結晶が急激に融解し、それに伴った急激な粘度の低下が起こる。このため、シャープメルト性に優れ、低温定着性と耐熱保存性を両立する材料として注目されている。通常、結晶性のビニル樹脂は、主鎖骨格に長鎖アルキル基を側鎖として有し、側鎖の長鎖アルキル基同士が結晶化することで、樹脂として結晶性を示す。
特許文献3では、長鎖アルキル基を有する重合性単量体と、非晶性の重合性単量体を共重合した結晶性のビニル樹脂をコアに使用したトナーが提案されている。それにより、低温定着性及び耐熱保存性の両立が図られるとしている。
また、特許文献4では、長鎖アルキル基を有する重合性単量体と、該重合性単量体とSP値が異なる重合性単量体を共重合した結晶性のビニル樹脂を使用したトナーが提案されている。
国際公開第2013/047296号 特開2016-066018号公報 特開2014-130243号公報 国際公開第2018/110593号
しかしながら、特許文献3に記載のトナーは定着画像の耐擦過性に劣ることがわかった。長鎖アルキル基は疎水性が高く、紙との親和性が低い特徴を有している。特許文献3に記載のトナーは長鎖アルキル基の含有量が多いため、定着したトナーと紙との接着性が低
いためであると推察される。
また、特許文献4のトナーは、高印字率の印刷を行うと定着器への紙の巻き付きが起こりやすいことがわかった。長鎖アルキル基は、離型剤と親和性が高く、互いに相溶しやすい。そのため、十分に離型剤が画像表面に染み出すことができず、定着時に離型性を発揮できなくなったためと推察される。
以上のことから、低温定着性及び耐熱保存性に優れ、かつ離型性及び定着画像の耐擦過性に優れたトナーの実現には更なる改善が求められている。
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、低温定着性及び耐熱保存性に優れ、さらに離型性及び定着画像の耐擦過性に優れたトナーを提供することにある。
結着樹脂及び離型剤を有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂が、結晶性樹脂Aを含有し、
該結晶性樹脂Aが、
単量体(a)に由来するモノマーユニット
該単量体(a)とは異なる単量体(b)に由来するモノマーユニット、及び、
該単量体(a)とは異なる単量体(c)に由来するモノマーユニット
を含有し、
該単量体(a)が、炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一であり、
該単量体(a)に由来するモノマーユニットのSP値(J/cm 0.5 をSP(a)とし、該単量体(b)に由来するモノマーユニットのSP値(J/cm 0.5 をSP(b)とし、該単量体(c)に由来するモノマーユニットのSP値(J/cm 0.
をSP(c)としたとき、下記式(5)及び下記式(6)を満足し、
3.00≦(SP(b)-SP(a))≦25.00 ・・・(5)
0.20≦(SP(c)-SP(a))≦1.80 ・・・(6)
該結晶性樹脂A中の該単量体(b)に由来するモノマーユニットの含有割合が、該結晶性樹脂A中のモノマーユニットの総モル数を基準として、20.0モル%~92.0モル%であり、
該結晶性樹脂A中の該単量体(c)に由来するモノマーユニットの含有割合が、該結晶性樹脂A中のモノマーユニットの総モル数を基準として、3.0モル%~30.0モル%であり、
該トナーの示差走査熱量計DSCによる測定において、1回目の昇温における該結晶性樹脂Aに由来する吸熱ピークのピーク温度をTp(℃)とし、1回目の昇温における該結晶性樹脂Aに由来する吸熱ピークの吸熱量をΔH(J/g)とし、該Tpよりも20.0℃低い温度から該Tpよりも3.0℃低い温度までの吸熱量をΔH Tp-3 (J/g)としたとき、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(4)を満足し、
50≦Tp≦70 (1)
20≦ΔH≦70 (2)
0.00≦ΔH Tp-3 /ΔH≦0.20 (4)
該離型剤が、炭化水素系ワックス及びエステルワックスからなる群から選択される少なくとも一である
ことを特徴とするトナー。
本開示によれば、低温定着性及び耐熱保存性に優れ、さらに離型性及び定着画像の耐擦過性に優れたトナーを提供できる。
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
「モノマーユニット」とは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。例えば、ポリマー中のビニル系モノマーが重合した主鎖中の、炭素‐炭素結合1区間を1ユニットとする。ビニル系モノマーとは下記式(C)で表すことができる。
Figure 0007374745000001

[式(C)中、Rは水素原子、又はアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基)を表し、Rは任意の置換基を表す。]
結晶性樹脂とは、示差走査熱量計(DSC)測定において明確な吸熱ピークを示す樹脂をいう。
本発明者らは、結着樹脂に存在する長鎖アルキル基の量を適正化し、長鎖アルキル基同士の相互作用を適切に制御することにより、上記課題を解決できることを見出した。
本開示は、結着樹脂及び離型剤を有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂が、結晶性樹脂Aを含有し、
該結晶性樹脂Aが、単量体(a)に由来するモノマーユニットを含有し、
該単量体(a)が、炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一であり、
該トナーの示差走査熱量計DSCによる測定において、下記式(1)~式(3)を満足し、
該離型剤が、炭化水素系ワックス及びエステルワックスからなる群から選択される少なくとも一であるトナーに関する。
50≦Tp≦70 (1)
20≦ΔH≦70 (2)
0.00≦ΔHTp-3/ΔH≦0.30 (3)
(式(1)~(3)中、
Tp(℃)は、1回目の昇温における、該結晶性樹脂Aに由来する吸熱ピークのピーク温度を示す。
ΔH(J/g)は、1回目の昇温における、該結晶性樹脂Aに由来する吸熱ピークの吸熱量を示す。
ΔHTp-3(J/g)は、該Tpよりも20.0℃低い温度から該Tpよりも3.0℃低い温度までの吸熱量を示す。)
低温定着性及び耐熱保存性を両立するためには、結着樹脂全体が結晶性を有している必要がある。そのためには、結着樹脂の主鎖骨格に側鎖として存在する長鎖アルキル基同士が十分に結晶化する必要があり(式(2))、長鎖アルキル基の含有量が高く、加えて発現する融点が耐熱保存性を確保するのに十分な範囲(式(1))にあることが必要である。
一方で、長鎖アルキル基は紙との親和性が低いため、長鎖アルキル基を含有する樹脂において、吸熱ピークの吸熱量が高すぎると、耐擦過性に劣ることが分かった。耐擦過性を確保するには、長鎖アルキル基の含有量を必要最低限に抑えることが必要であると考えている(式(2))。
また、上記式(3)に示す通り、結着樹脂の吸熱ピークの低温側の裾引きが小さいことが離型性能と相関していることを見出した。結着樹脂中の長鎖アルキル基同士の相互作用が強いために、溶融時の離型剤との相分離性が高まった結果であると考えている。
以下、トナーについて詳細に述べる。
結着樹脂は、結晶性樹脂Aを含有する。結晶性樹脂Aは、単量体(a)に由来するモノマーユニットを含有し、単量体(a)は、炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ
)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つである。単量体(a)に由来するモノマーユニットを含有することで、結晶性樹脂Aは結晶性を示す樹脂となる。
トナーの示差走査熱量計DSCによる測定において、下記式(1)を満足する。
50≦Tp≦70 (1)
式(1)中、Tp(℃)は、1回目の昇温における、結晶性樹脂Aに由来する吸熱ピークのピーク温度を示す。Tpが上記範囲にあることで、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立が可能となる。Tpが50℃よりも小さいと、低温定着性には有利となるが、トナーの耐熱保存性は著しく劣ってしまう。一方、Tpが70℃よりも大きいと、耐熱保存性には優れた性能を示す一方で、低温定着性が低下する。
Tpは、単量体(a)の種類や、結晶性樹脂A中の単量体(a)に由来するモノマーユニットの割合、単量体(a)以外の単量体に由来するモノマーユニットの種類や量により制御可能である。
Tp(℃)は、好ましくは下記式(1´)を満足する。
55≦Tp≦65 (1´)
また、トナーのDSCによる測定において、下記式(2)を満足する。
20≦ΔH≦70 (2)
ΔH(J/g)は、1回目の昇温における、結晶性樹脂Aに由来する吸熱ピークの吸熱量を示す。ΔHは、トナー中において結晶性が維持された状態で存在している結晶性物質の結着樹脂全体における割合を反映する。すなわち、トナー中に結晶性物質を多く存在させた場合であっても、結晶性が損なわれている場合は、ΔHは小さくなる。従って、ΔHが上記範囲にあるようなトナーは、トナー中において結晶性を維持している結晶性樹脂Aの割合が適正であり、良好な低温定着性が得られる。
ΔHが20J/gよりも小さいと、相対的に非晶性樹脂の割合が大きいことを示す。その結果、非晶性の樹脂成分に由来するガラス転移温度(Tg)の影響をより大きく受けるようになる。そのため、良好な低温定着性を示すことが困難となる。
ΔHが70J/gよりも大きいと、単量体(a)の割合が大きくなりすぎ、定着画像の耐擦過性が低下する。
ΔHは、単量体(a)の種類や、結晶性樹脂A中の単量体(a)に由来するモノマーユニットの割合、単量体(a)以外の単量体に由来するモノマーユニットの種類や量により制御可能である。
ΔH(J/g)は、好ましくは下記式(2´)を満足し、より好ましくは下記式(2´´)を満足する。
30≦ΔH≦60 (2´)
35≦ΔH≦55 (2´´)
また、トナーのDSCによる測定において、下記式(3)を満足する。
0.00≦ΔHTp-3/ΔH≦0.30 (3)
ΔHTp-3(J/g)は、Tpよりも20.0℃低い温度からTpよりも3.0℃低い温度までの吸熱量を示す。
ΔHTp-3/ΔHは、吸熱ピークの低温側に着目したものである。従って、ΔHTp-3/ΔHがこの範囲であることは、トナー中の結晶性樹脂Aに由来する吸熱ピークの低温側の裾引きが小さいことを表す。ΔHTp-3/ΔHが小さいことは、長鎖アルキル基と離型剤の相互作用が起こっていないことを表していると考えられる。その理由は以下のように推測している。
結晶性樹脂Aは、長鎖アルキル基を有する単量体(a)に由来するモノマーユニットを有する結晶性のビニル樹脂であり、ビニル樹脂の主鎖骨格に長鎖アルキル基を側鎖として有し、側鎖の長鎖アルキル基同士が相互作用をすることで、樹脂として結晶性を示す。従
って、長鎖アルキル基同士の相互作用が均一にかつ緻密になされている場合、吸熱ピークはシャープになり、低温側の裾引きが少なくなると考えられる。
ここで、トナー中に離型剤が存在すると、長鎖アルキル基が離型剤と相互作用を起こすことで、長鎖アルキル基同士の相互作用を乱す。その結果、該低温側の裾引きが大きくなる。従って、ΔHTp-3/ΔHが0.30よりも小さいことは、長鎖アルキル基同士の相互作用が強く、長鎖アルキル基と離型剤との相互作用が弱いことを表すことになり、離型性が確保される。ΔHTp-3/ΔHの好ましい範囲は0.02以上0.20以下である。
ΔHTp-3/ΔHを上記範囲にするためには、長鎖アルキル基と離型剤との相互作用を弱め、長鎖アルキル基同士の相互作用を強くする手段が挙げられる。
その手段の一例として、トナー粒子作製後に熱処理を施すことが挙げられる。熱処理を施し、長鎖アルキル基と離型剤の相互作用を上回る熱エネルギーを与えることで、長鎖アルキル基と離型剤の相互作用を弱めることができるため、長鎖アルキル基同士の相互作用を強めることができる。また、該結晶性樹脂Aに適切なモノマーユニットを含有させる方法も挙げられる。適切なモノマーユニットについては後述する。
熱処理温度は、Tp-20℃以上、Tp-5℃以下が好ましい。また、熱処理時間は適宜調製可能であるが、通常は0.5時間以上50時間以下(より好ましくは1.5時間以上8時間以下)の範囲で行うことが好ましい。
結晶性樹脂Aについて述べる。結晶性樹脂Aは、単量体(a)に由来するモノマーユニットを含有し、単量体(a)は、炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一である。
炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ヘンエイコサニル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸リグノセリル、(メタ)アクリル酸セリル、(メタ)アクリル酸オクタコシル、(メタ)アクリル酸ミリシル、(メタ)アクリル酸ドトリアコンチル等]及び炭素数18~36の分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシル等]が挙げられる。
これらの内、トナーの保存安定性の観点から、好ましくは炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つであり、より好ましいのは炭素数18~30の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一つであり、さらに好ましいのは直鎖の(メタ)アクリル酸ステアリル及び(メタ)アクリル酸ベヘニルからなる群から選択される少なくとも一である。
単量体(a)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
結晶性樹脂Aは、単量体(a)に由来するモノマーユニットに加えて、さらに単量体(a)とは異なる単量体(b)に由来するモノマーユニットを含有することが好ましい。単量体(a)に由来するモノマーユニットのSP値(J/cm0.5をSP(a)とし、単量体(b)に由来するモノマーユニットのSP値(J/cm0.5をSP(b)とした時、下記式(5)を満足することが好ましく、下記式(5´)を満足することがより好ましい。
3.00≦(SP-SP)≦25.00 ・・・(5)
6.00≦(SP-SP)≦12.00 ・・・(5´)
上記式(5)を満足することで、結晶性樹脂Aの結晶性が低下しにくくなり、融点が維持されやすい。それにより、低温定着性及び耐熱保存性の両立が図りやすくなる。また、上記式(3)を満足しやすくなる。このメカニズムについて、以下のように推察している
単量体(a)に由来するモノマーユニットは、重合体に組み込まれ、単量体(a)に由来するモノマーユニット同士が集合し、ドメインを形成することで結晶性を発現する。通常の場合、他のモノマーユニットが組み込まれていると結晶化を阻害しやすいため、重合体として結晶性を発現しにくくなる。この傾向は、重合体の一分子内にて単量体(a)に由来するモノマーユニットと該他のユニットがランダムに結合されていると顕著になる。
一方、SP-SPが上記式(5)の範囲にあることで、結晶性樹脂Aにおいて単量体(a)と単量体(b)が相溶することなく明確な相分離状態を形成しうると考えられ、結晶性を低下させることなく、融点が維持しやすいと考えられる。
なお、単量体(a)が、2種類以上の炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの場合、SPはそれぞれの単量体(a)に由来するユニットのモル比率で算出した平均値を表す。
例えば、SP値がSP111のモノマーユニットAを単量体(a)由来のモノマーユニットの要件を満たすモノマーユニット全体のモル数を基準としてAモル%含み、SP値がSP112のモノマーユニットBを単量体(a)由来のモノマーユニットの要件を満たすモノマーユニット全体のモル数を基準として(100-A)モル%含む場合のSP値(SP11)は、
SP11=(SP111×A+SP112×(100-A))/100
である。単量体(a)由来のモノマーユニットの要件を満たすモノマーが3以上含まれる場合も同様に計算する。
一方、単量体(b)が2種類以上の重合性単量体である場合、SPはそれぞれの重合性単量体に由来するモノマーユニットのSP値を表し、SP-SPはそれぞれの単量体(b)に由来するモノマーユニットに対して決定される。すなわち、単量体(b)に由来するモノマーユニットは、上記方法で算出したSP11に対して式(5)を満たすSPを有することが好ましい。
結晶性樹脂A中の単量体(a)に由来するモノマーユニットの含有割合が、結晶性樹脂A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、5.0モル%~60.0モル%であることが好ましく、14.0モル%~25.0モル%であることがより好ましい。また、結晶性樹脂A中の単量体(b)に由来するモノマーユニットの含有割合が、結晶性樹脂A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、20.0モル%~95.0モル%であることが好ましく、20.0モル%~92.0モル%であることがより好ましく、30.0モル%~65.0モル%であることがさらに好ましい。
結晶性樹脂A中の単量体(a)に由来するモノマーユニットの含有割合が上記範囲であることで、結晶性樹脂Aのシャープメルト性が発揮されやすく、低温定着性に優れたトナーとなりやすい。なお、結晶性樹脂Aに、2種以上の炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来するユニットが存在する場合、単量体(a)に由来するモノマーユニットの割合は、それらの合計のモル比率を表す。
結晶性樹脂A中の単量体(b)に由来するモノマーユニットの含有割合が上記範囲であることで、結晶性樹脂Aにおいて該単量体(a)に由来するモノマーユニットの結晶化を阻害しにくいため、融点維持がしやすくなる。また、上記式(3)を満足させやすくなる。
また、結晶性樹脂Aにおいて、上記式(5)を満足する単量体(b)に由来するユニットが2種類以上存在する場合、単量体(b)に由来するユニットの割合は、それらの合計のモル比率を表す。
結晶性樹脂A中の単量体(a)に由来するモノマーユニットの含有割合は、結晶性樹脂A中の全モノマーユニットの総質量を基準として、25.0質量%~90.0質量%であることが好ましく、40.0質量%~60.0質量%であることがより好ましい。また、結晶性樹脂A中の単量体(b)に由来するモノマーユニットの含有割合は、結晶性樹脂A中の全モノマーユニットの総質量を基準として、5.0質量%~60.0質量%であることが好ましく、15.0質量%~40.0質量%であることがより好ましい。
単量体(b)としては、例えば以下の重合性単量体のうち、上記式(5)を満たす重合性単量体が挙げられる。
単量体(b)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ニトリル基を有する単量体;例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
ヒドロキシ基を有する単量体;例えば、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル等。
アミド基を有する単量体;例えば、アクリルアミド、炭素数1~30のアミンとエチレン性不飽和結合を有する炭素数2~30のカルボン酸(アクリル酸及びメタクリル酸等)を公知の方法で反応させた単量体。
ウレタン基を有する単量体:例えば、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2~22のアルコール(メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、ビニルアルコール等)と、炭素数1~30のイソシアネート[モノイソシアネート化合物(ベンゼンスルフォニルイソシアネート、トシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p-クロロフェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、t-ブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、2-エチルヘキシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、アダマンチルイソシアネート、2,6-ジメチルフェニルイソシアネート、3,5-ジメチルフェニルイソシアネート及び2,6-ジプロピルフェニルイソシアネート等)、脂肪族ジイソシアネート化合物(トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)、脂環族ジイソシアネート化合物(1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート及び水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート等)、及び芳香族ジイソシアネート化合物(フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネート等)等]とを公知の方法で反応させた単量体、及び
炭素数1~26のアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、t-ブチルアルコール、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セタノール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ノナデシルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール等)と、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2~30のイソシアネート[2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2-(0-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル
)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート及び1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等]とを公知の方法で反応させた単量体等。
ウレア基を有する単量体:例えば炭素数3~22のアミン[1級アミン(ノルマルブチルアミン、t―ブチルアミン、プロピルアミン及びイソプロピルアミン等)、 2級アミ
ン(ジノルマルエチルアミン、ジノルマルプロピルアミン、ジノルマルブチルアミン等)、アニリン及びシクロキシルアミン等]と、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2~30のイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体等。
カルボキシ基を有する単量体;例えば、メタクリル酸、アクリル酸、(メタ)アクリル酸-2-カルボキシエチル。
中でも、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルからなる群から選択される少なくとも一を使用することが好ましい。これらを使用することで、結晶性樹脂Aの融点が高くなりやすく、耐熱保存性が向上しやすい。
また、単量体(b)として、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニルといったビニルエステル類も好ましく用いられる。ビニルエステル類は、非共役モノマーであり、単量体(a)との反応性が低い。その結果、結晶性樹脂Aにおいて単量体(a)に由来するモノマーユニットが集合して結合している状態を形成させやすくなると考えられ、結晶性樹脂Aの結晶性が高まり、低温定着性と耐熱保存性をより両立させやすくなる。
結晶性樹脂Aは、単量体(a)に由来するモノマーユニットに加え、さらに、単量体(a)とは異なる(より好ましくは単量体(a)及び(b)とは異なる)単量体(c)に由来するモノマーユニットを含有してもよい。単量体(c)に由来するモノマーユニットのSP値(J/cm0.5をSP(c)とした時、下記式(6)を満足することが好ましく、下記式(6´)を満足することがより好ましい。
0.20≦(SP-SP)≦1.80 ・・・(6)
0.30≦(SP-SP)≦1.70 ・・・(6´)
結晶性樹脂Aが、式(5)を満足する単量体(b)に由来するモノマーユニットに加えて、上記式(6)を満足する単量体(c)に由来するモノマーユニットを有することで、単量体(a)に由来するモノマーユニットが形成するドメインに由来する結晶性を低下させることなく、さらにトナー中で該ドメインを分散させやすくなる。それにより、トナーの強度を均一に保ちやすくなり、耐久性が向上しやすくなる。また、上記式(3)を満足させやすくなる。
単量体(c)が2種類以上の重合性単量体である場合、SPはそれぞれの重合性単量体に由来するモノマーユニットのSP値を表し、SP-SPはそれぞれの単量体(c)に由来するユニットに対して決定される。すなわち、単量体(c)に由来するモノマーユニットは、上記方法で算出したSP11に対して式(6)を満たすSPを有することが好ましい。
結晶性樹脂A中の単量体(c)に由来するモノマーユニットの含有割合が、結晶性樹脂A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、2.0モル%~35.0モル%であることが好ましく、3.0モル%~30.0モル%であることがより好ましい。単量体(c)に由来するモノマーユニットの含有割合が上記範囲であることで、トナー中での単量体(a)に由来するモノマーユニットのドメインを分散させやすくなり、耐久性が向上しやすくなる。
また、結晶性樹脂Aにおいて、単量体(c)に由来するモノマーユニットが2種類以上存在する場合、単量体(c)に由来するモノマーユニットの含有割合は、それらの合計の
モル比率を表す。
結晶性樹脂A中の単量体(c)に由来するモノマーユニットの含有割合は、結晶性樹脂A中の全モノマーユニットの総質量を基準として、5.0質量%~30.0質量%であることが好ましく、6.0質量%~20.0質量%であることがより好ましい。
単量体(c)としては、単量体(b)として例示した単量体のうち、上記式(5)を満たさない単量体を用いることができる。また、以下の単量体も用いることが可能である。
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステル類。
中でも、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル及び(メタ)アクリル酸-t-ブチルからなる群から選択される少なくとも一が好ましく、メタクリル酸エチル、メタクリル酸-n-ブチル及びメタクリル酸-t-ブチルからなる群から選択される少なくとも一がより好ましい。なお、これらの単量体が上記式(5)を満たす場合には、単量体(b)として用いることができる。
結晶性樹脂Aは、本発明の効果を損ねない範囲で、上記式(5)及び式(6)を満たさないその他の単量体に由来するモノマーユニットを含有していてもよい。
その他の単量体としては、上記単量体(b)、単量体(c)として例示した単量体のうち、上記式(5)及び式(6)を満たさない単量体を用いることができる。また、以下の単量体も用いることが可能である。スチレン、α―メチルスチレン、(メタ)アクリル酸メチル。なお、これらの単量体が上記式(5)又は上記式(6)を満たす場合には、単量体(b)又は単量体(c)として用いることができる。
結晶性樹脂A中の、該その他の単量体に由来するモノマーユニットの含有割合が、結晶性樹脂A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、5.0モル%~40.0モル%であることが好ましい。
結晶性樹脂A中の、該その他の単量体に由来するモノマーユニットの含有割合は、結晶性樹脂A中の全モノマーユニットの総質量を基準として、5.0質量%~30.0質量%であることが好ましい。
トナーは、離型剤を含有する。離型剤は、炭化水素系ワックス及びエステルワックスからなる群から選択される少なくとも一である。炭化水素系ワックス及び/又はエステルワックスを使用することで、有効な離型性を確保可能である。
炭化水素系ワックスとしては特に限定はないが、例えば以下のものが挙げられる。
脂肪族炭化水素系ワックス:低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体、フィッシャートロプシュワックス、またはこれらが酸化、酸付加されたワックス。
エステルワックスは、1分子中にエステル結合を少なくとも1つ有していればよく、天然エステルワックス、合成エステルワックスのいずれを用いてもよい。
エステルワックスとしては特に限定はないが、例えば以下のものが挙げられる。
ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル等の1価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
セバシン酸ジベヘニル等の2価カルボン酸とモノアルコールのエステル類;
エチレングリコールジステアレート、ヘキサンジオールジベヘネート等の2価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
グリセリントリベヘネート等の3価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート等の4価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネート等の6価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ポリグリセリンベヘネート等の多官能アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;カルナバワックス、ライスワックス等の天然エステルワックス類;
なかでも、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネート等の6価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類が好ましい。
離型剤は、炭化水素系ワックス又はエステルワックスを単独で用いてもよく、炭化水素系ワックス及びエステルワックスを併用してもよく、それぞれ二種類以上を混合して用いてもよいが、炭化水素系ワックスを単独で、もしくは二種類以上を使用することが好ましい。離型剤が炭化水素ワックスであることがより好ましい。
トナーにおいて、トナー粒子中の離型剤の含有量は、好ましくは1.0質量%以上30.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以上25.0質量%以下である。トナー粒子中の離型剤の含有量が上記範囲にあることで、定着時の離型性が確保されやすくなる。
離型剤の融点は、60℃以上120℃以下であることが好ましい。離型剤の融点が上記範囲にあることで、定着時に溶融してトナー粒子表面に染み出しやすく、離型性が発揮されやすくなる。より好ましくは70℃以上100℃以下である。
また、結晶性樹脂Aは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーGPCにより測定されるテトラヒドロフランTHF可溶分の重量平均分子量(Mw)が、10000以上200000以下であることが好ましく、20000以上150000以下であることがより好ましい。Mwが上記範囲内であることで、室温付近での弾性が維持しやすくなる。
結着樹脂中の結晶性樹脂Aの含有量が、50.0質量%以上であることが好ましい。50.0質量%以上であることで、トナー中の結晶性樹脂Aの分散性を高い状態で維持しやすくなるため、トナー強度を均一に保ちやすくなり、耐久性が確保されやすくなる。より好ましくは80.0質量%以上100.0質量%以下であり、結着樹脂が結晶性樹脂Aのみからなることがさらに好ましい。
結着樹脂として結晶性樹脂A以外に使用可能な樹脂としては、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、電子写真特性の観点から、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
ビニル系樹脂に使用可能な単量体は、上述した単量体(a)、単量体(b)、単量体(c)に使用可能な単量体、さらに上記その他の単量体等が挙げられる。必要に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル樹脂は、2価以上の多価カルボン酸と多価アルコールの反応により得ることができる。
多価カルボン酸としては例えば以下の化合物が挙げられる。琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、ドデセニルコハク酸のような二塩基酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル、並びに、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸。1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、以下の化合物を挙げることができる。アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール及び1,3-プロピレングリコール);アルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリ
コール);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール);ビスフェノール類(ビスフェノールA);脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド)付加物。アルキレングリコール及びアルキレンエーテルグリコールのアルキル部分は直鎖状であっても、分岐していてもよい。さらに、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール等。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、酸価や水酸基価の調整を目的として、必要に応じて酢酸及び安息香酸のような1価の酸、シクロヘキサノール及びベンジルアルコールのような1価のアルコールも使用することができる。
ポリエステル樹脂の製造方法については特に限定されないが、例えばエステル交換法や直接重縮合法を単独で又は組み合わせて用いることができる。
次に、ポリウレタン樹脂について述べる。ポリウレタン樹脂は、ジオールとジイソシアネート基を含有する物質との反応物であり、ジオール及びジイソシアネートの調整により、各種機能性をもつ樹脂を得ることができる。
ジイソシアネート成分としては、以下のものが挙げられる。炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)が6以上20以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数2以上18以下の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネート、及びこれらジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物。以下、「変性ジイソシアネート」ともいう。)、並びに、これらの2種以上の混合物。
芳香族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。m-及び/又はp-キシリレンジイソシアネート(XDI)及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート。
また、脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びドデカメチレンジイソシアネート。
また、脂環式ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート及びメチルシクロヘキシレンジイソシアネート。
これらの中でも好ましいものは、炭素数6以上15以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数4以上12以下の脂肪族ジイソシアネート、及び炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネートであり、特に好ましいものは、XDI、IPDI及びHDIである。
また、ジイソシアネート成分に加えて、3官能以上のイソシアネート化合物を用いることもできる。
ポリウレタン樹脂に用いることのできるジオール成分としては、前述した該ポリエステル樹脂に用いることのできる2価のアルコールと同様のものを採用できる。
トナー粒子は、結着樹脂及び離型剤を有するコア、及び該コアを被覆するシェルを含有してもよい。
シェルを形成する樹脂は、特に制限されないが、例えば、結着樹脂として結晶性樹脂A以外に使用可能な樹脂として記載した樹脂が使用可能である。中でも、帯電安定性の観点から、ビニル樹脂やポリエステル樹脂が好ましい。より好ましくは非晶性のポリエステル樹脂である。シェルは必ずしもコアの全体を被覆している必要はなく、コアが露出している部分があってもよい。
トナーは、着色剤を含有してもよい。着色剤として、公知の有機顔料、有機染料、無機
顔料、黒色着色剤としてのカーボンブラック、磁性粒子などが挙げられる。そのほかに従来トナーに用いられている着色剤を用いてもよい。
イエロー用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180が好適に用いられる。
マゼンタ用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好適に用いられる。
シアン用着色剤としては、以下のものが挙げられる。銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好適に用いられる。
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
着色剤の含有量は、好ましくは結着樹脂100.0質量部に対し、1.0質量部以上20.0質量部以下である。着色剤として磁性粒子を用いる場合、その含有量は結着樹脂100.0質量部に対し、40.0質量部以上150.0質量部以下であることが好ましい。
必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子に含有させてもよい。また、荷電制御剤をトナー粒子に外部添加してもよい。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン、四級アンモニウム塩、高級脂肪酸の金属塩、ジオルガノスズボレート類、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナー粒子100.0質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上20.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
トナー粒子はそのままトナーとして用いてもよいし、必要により外添剤などを混合しトナー粒子表面に付着させることで、トナーとしてもよい。
外添剤としては、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子からなる群から選ばれる無機微粒子又はその複合酸化物などが挙げられる。複合酸化物としては、例えば、シリカアルミニウム微粒子やチタン酸ストロンチウム微粒子などが挙げられる。
外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上8.0質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上4.0質量部以下であることがより好ましい。
トナー粒子は、本件構成の範囲内であれば、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、粉砕法といった、従来公知のいずれの方法において製造されてもよいが、懸濁重合法によって製造されることが好ましい。
例えば、結晶性樹脂Aを含む結着樹脂を生成する重合性単量体、離型剤及び必要に応じて着色剤などその他の添加剤を混合して重合性単量体組成物を得る。その後、この重合性単量体組成物を連続相(例えば、水系媒体(必要に応じて、分散安定剤を含有させてもよい。))中に加える。そして、連続相中(水系媒体中)で重合性単量体組成物の粒子を形成し、該粒子に含有される重合性単量体を重合させる。こうすることによって、トナー粒子を得ることができる。
すなわち、トナー粒子が、懸濁重合トナー粒子であることが好ましい。
また、好ましくは、トナーの製造方法は、
単量体(a)、及び離型剤を含有する重合性単量体組成物を得る工程、
重合性単量体組成物を水系媒体に分散させて、重合性単量体組成物の粒子を形成する工程、及び
重合性単量体組成物の粒子に含まれる重合性単量体を重合して、トナー粒子を得る工程を有する。
また、得られたトナー粒子に前述の熱処理を行う工程を有することが好ましい。
トナー及びトナー材料の各種物性についての算出方法及び測定方法について以下に記す。
<Tp、ΔH、ΔHTp-3の測定方法>
トナーのTp、ΔH、ΔHTp-3は、DSC Q2000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、示差走査熱量測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。昇温過程として、10℃/minの速度で180℃まで昇温させる。そして、各ピークからピーク温度及び吸熱量を算出する。
トナーを試料とするが、結晶性樹脂Aに由来する吸熱ピークが離型剤等の吸熱ピークと重なっていない場合には、そのまま結晶性樹脂Aに由来する吸熱ピークとして扱う。一方、離型剤の吸熱ピークが結晶性樹脂Aに由来する吸熱ピークと重複する場合は、離型剤に由来する吸熱量を差し引く必要がある。
例えば、以下の方法により、離型剤に由来する吸熱量を差し引き、結晶性樹脂Aに由来する吸熱ピークを得ることができる。
先ず、別途離型剤単体のDSC測定を行い、吸熱特性を求める。次いで、トナー中の離型剤含有量を求める。トナー中の離型剤含有量の測定は、公知の構造解析によって行うことができる。その後、トナー中の離型剤含有量から離型剤に起因する吸熱量を算出し、結晶性樹脂Aに由来するピークからこの分を差し引けばよい。
離型剤が樹脂成分と相溶しやすい場合には、離型剤の含有量に相溶率を乗じた上で離型剤に起因する吸熱量を算出して差し引いておく必要がある。相溶率は、樹脂成分の溶融混合物と離型剤とを、離型剤の含有率と同比率で溶融混合したものについて求めた吸熱量を、予め求めておいた溶融混合物の吸熱量と離型剤単体の吸熱量から算出される理論吸熱量で除した値から算出する。
吸熱量ΔHは、Tpよりも20.0℃低い温度からTpよりも10.0℃高い温度まで
の吸熱量をDSC解析ソフトによって算出する。また、ΔHTp-3は、Tpよりも20.0℃低い温度からTpよりも3.0℃低い温度までの吸熱量をDSC解析ソフトによって算出する。
<結晶性樹脂A中の各種重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合の測定方法>
結晶性樹脂A中の各種重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合の測定は、H-NMRにより以下の条件にて行う。
・測定装置 :FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)
・測定周波数:400MHz
・パルス条件:5.0μs
・周波数範囲:10500Hz
・積算回数 :64回
・測定温度 :30℃
・試料 :測定試料50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
得られたH-NMRチャートより、単量体(a)に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークの中から、他に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。
同様に、単量体(b)に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークの中から、他に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。
さらに、単量体(c)を使用している場合は、単量体(c)に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークから、他に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。その他の単量体を使用している場合も同様に算出する(S)。
単量体(a)に由来するモノマーユニットの含有割合は、上記積分値S、S、S及びSを用いて、以下のようにして求める。尚、n、n、n、nはそれぞれの部位について着眼したピークが帰属される構成要素における水素の数である。
単量体(a)に由来するモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n)+(S/n))}×100
同様に、単量体(b)、単量体(c)、その他の単量体に由来するユニットの割合は以下のように求める。
単量体(b)に由来するモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n)+(S/n))}×100
単量体(c)に由来するモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n)+(S/n))}×100
その他の単量体に由来するモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n)+(S/n))}×100
なお、結晶性樹脂Aにおいて、ビニル基以外の構成要素に水素原子が含まれない重合性単量体が使用されている場合は、13C-NMRを用いて測定原子核を13Cとし、シングルパルスモードにて測定を行い、H-NMRにて同様にして算出する。
また、トナーが懸濁重合法によって製造される場合、離型剤やシェル用樹脂のピークが重なり、独立したピークが観測されないことがある。それにより、結晶性樹脂A中の各種重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合が算出できない場合が生じる。その場合、離型剤やその他の樹脂を使用しないで同様の懸濁重合を行うことで、結晶性樹脂A
’を製造し、結晶性樹脂A’を結晶性樹脂Aとみなして分析することができる。
<SP値の算出方法>
SP、SP、及びSPは、Fedorsによって提案された算出方法に従い、以下のようにして求める。
それぞれの重合性単量体の二重結合が重合によって開裂した状態の分子構造における原子又は原子団に対して、「Polym.Eng.Sci.,14(2),147-154(1974)」に記載の表から蒸発エネルギー(Δei)(cal/mol)及びモル体積(Δvi)(cm/mol)を求め、(4.184×ΣΔei/ΣΔvi)0.5をSP値(J/cm0.5とする。
<ガラス転移温度Tgの測定方法>
ガラス転移温度Tgは、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲-10~200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて-10℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30℃~100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、ガラス転移温度Tgとする。
<結晶性樹脂Aなど樹脂の分子量の測定方法>
結晶性樹脂Aなど樹脂のTHF可溶分の分子量(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
・装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
・カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0ml/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の処方において、部は特に断りのない限り質量基準である。以下、実施例6、7、17、18、24及び27は、それぞれ参考例6、7、17、18、24とする。
<ウレア基を有する単量体の調製>
ジブチルアミン50.0部を反応容器に仕込んだ。その後、撹拌下、室温にてカレンズMOI[2-イソシアナトエチルメタクリレート]5.0部を滴下した。滴下終了後、2時間撹拌を行った。その後、エバポレーターにて未反応のジブチルアミンを除去することで、ウレア基を有する単量体を調製した。
<結晶性樹脂A1の調製>
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、下記材料を投入した。
・トルエン 100.0部
・単量体組成物 100.0部
(単量体組成物は以下のアクリル酸ベヘニル、メタクリロニトリル、メタクリル酸エチル及びスチレンを以下に示す割合で混合したものとする)
(アクリル酸ベヘニル(単量体(a)) 50.0部)
(メタクリロニトリル(単量体(b)) 30.0部)
(メタクリル酸エチル(単量体(c)) 13.0部)
(スチレン(その他の単量体) 7.0部)
・重合開始剤t-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)0.5部
上記反応容器内を200rpmで撹拌しながら、70℃に加熱して12時間重合反応を行い、単量体組成物の重合体がトルエンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分をろ別し、更にメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して結晶性樹脂A1を得た。
<結晶性樹脂A2及びA3の調製>
結晶性樹脂A1の調製において、単量体組成物の添加量を表1に変更する以外はすべて同様にして、結晶性樹脂A2及びA3を調製した。
Figure 0007374745000002
<シェル用樹脂の製造例>
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレーブ中に以下の材料を添加した。
・テレフタル酸 32.3部(50.0モル%)・ビスフェノールA-プロピレンオキサイド2モル付加物67.7部(50.0モル%)・シュウ酸チタンカリウム(触媒) 0.02部
続いて、窒素雰囲気下、常圧下220℃で所望の分子量に到達するまで反応を行った。降温後粉砕し、非晶性ポリエステルであるシェル用樹脂を得た。
得られたシェル用樹脂の重量平均分子量(Mw)は20000、ガラス転移温度(Tg)は70℃であった。
<非晶性樹脂の調製>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
30.0部
・ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
33.0部
・テレフタル酸 21.0部
・ドデセニルコハク酸 15.0部
・酸化ジブチルスズ 0.1部
減圧操作により系内を窒素置換した後、215℃にて5時間攪拌を行った。その後、攪拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、更に2時間保持した。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、非晶性ポリエステルである非晶性樹脂を合成した。非晶性樹脂のMnは5200、Mwが23000、Tgは55℃であった。
<実施例1>
[懸濁重合法によるトナーの製造]
(トナー粒子1の製造)
・メタクリロニトリル(単量体(b)) 30.0部
・メタクリル酸エチル(単量体(c)) 13.0部
・スチレン(その他の単量体) 7.0部
・着色剤 ピグメントブルー15:3 6.5部
からなる混合物を調製した。上記混合物をアトライター(日本コークス社製)に投入し、直径5mmのジルコニアビーズを用いて、200rpmで2時間分散することで原材料分散液を得た。
一方、高速撹拌装置ホモミクサー(プライミクス社製)及び温度計を備えた容器に、イオン交換水735.0部とリン酸三ナトリウム(12水和物)16.0部を添加し、12000rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。そこに、イオン交換水65.0部に塩化カルシウム(2水和物)9.0部を溶解した塩化カルシウム水溶液を投入し、60℃を保持しながら12000rpmで30分間撹拌した。そこに、10%塩酸を加えてpHを6.0に調整し、ヒドロキシアパタイトを含む無機分散安定剤が水中に分散した水系媒体を得た。
続いて、上記原材料分散液を撹拌装置及び温度計を備えた容器に移し、100rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。そこに、
・アクリル酸ベヘニル(単量体(a)) 50.0部
・シェル用樹脂 5.0部
・離型剤1 10.0部
(離型剤1:HNP51、融点77℃、日本精蝋社製)
を添加して60℃を保持しながら100rpmで30分間撹拌した後、重合開始剤としてt-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)5.0部を添加してさらに1分間撹拌した後、上記高速撹拌装置にて12000rpmで撹拌している水系媒体中に投入した。60℃を保持しながら上記高速撹拌装置にて12000rpmで20分間撹拌を継続し、造粒液を得た。
上記造粒液を還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に移し、窒素雰囲気下において150rpmで撹拌しながら70℃に昇温した。70℃を保持しながら150rpmで12時間重合反応を行い、トナー粒子分散液を得た。
得られたトナー粒子分散液を150rpmで撹拌しながら45℃まで冷却した後、45℃を維持したまま5時間熱処理を行った。その後、撹拌を保持したままpHが1.5になるまで希塩酸を加えて分散安定剤を溶解させた。固形分をろ別し、イオン交換水で充分に洗浄した後、30℃で24時間真空乾燥して、トナー粒子1を得た。
また、上記トナー粒子1の製造例において、着色剤、シェル用樹脂、離型剤1を除いた条件で同様に製造を行い、結晶性樹脂1’を得た。結晶性樹脂1’をNMRで分析したところ、アクリル酸ベヘニル由来のモノマーユニットが17.3モル%、メタクリロニトリル由来のモノマーユニットが58.9モル%、メタクリル酸エチル由来のモノマーユニッ
トが15.0モル%、スチレン由来のモノマーユニットが8.8モル%含まれていた。結晶性樹脂1’の物性値をトナー粒子1に用いた結晶性樹脂Aの物性値とした。
(トナー1の調製)
上記トナー粒子1:100.0部に対して、外添剤として、シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンによる疎水化処理、1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m/g)2.0部を加えてヘンシェルミキサー(日本コークス社製)を用い、3000rpmで15分間混合してトナー1を得た。得られたトナー1の物性を表3-1,3-2に、評価結果を表7に示す。
Figure 0007374745000003
Figure 0007374745000004

表中、mol%は、結晶性樹脂A中の、各単量体に由来するモノマーユニットの含有割合である。
Figure 0007374745000005
Figure 0007374745000006
<実施例2、4~12、16~28>
実施例1において、使用する単量体の種類と添加量、離型剤の種類と添加量、熱処理の温度と時間を表2のように変更する以外はすべて同様にして、トナー粒子2、4~12、16~28を得た。なお、離型剤の種類は表5に示す。
さらに、実施例1と同様の外添を行い、トナー2、4~12、16~28を得た。トナーの物性を表3-1,3-2に、評価結果を表7に示す。
Figure 0007374745000007
<実施例3>
(結晶性樹脂分散液1の調製)
・トルエン 300.0部
・結晶性樹脂A1 100.0部
上記材料を秤量・混合し、90℃で溶解させた。
別途、イオン交換水700.0部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0部、ラウリン酸ナトリウム10.0部を加え90℃で加熱溶解させた。次いで前記のトルエン溶液と水溶液を混ぜ合わせ、超高速攪拌装置T.K.ロボミックス(プライミクス製)を用いて7000rpmで攪拌した。さらに、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)用いて200MPaの圧力で乳化した。その後、エバポレーターを用いて、トルエンを除去し、イオン交換水で濃度調整を行い結晶性樹脂A1微粒子の濃度20%の結晶性樹脂分散液1を得た。
結晶性樹脂A1微粒子の体積分布基準の50%粒径(D50)を動的光散乱式粒度分布計ナノトラックUPA-EX150(日機装製)を用いて測定したところ、0.40μmであった。
(非晶性樹脂分散液の調製)
・トルエン 300.0部
・非晶性樹脂 100.0部
上記材料を秤量・混合し、90℃で溶解させた。
別途、イオン交換水700.0部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0部、ラウリン酸ナトリウム10.0部を加え90℃で加熱溶解させた。次いで前記のトルエン溶液と水溶液を混ぜ合わせ、超高速攪拌装置T.K.ロボミックス(プライミクス製)を用いて7000rpmで攪拌した。
さらに、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)用いて200MPaの圧力で乳化した。その後、エバポレーターを用いて、トルエンを除去し、イオン交換水で濃度調整を行い非晶性樹脂微粒子の濃度20%の非晶性樹脂分散液を得た。
非晶性樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径(D50)を動的光散乱式粒度分布計ナノトラックUPA-EX150(日機装製)を用いて測定したところ、0.38μmであった。
(離型剤分散液の調製)
・離型剤1 100.0部
・アニオン界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 5.0部
・イオン交換水 395.0部
上記材料を秤量し、攪拌装置付きの混合容器に投入した後、90℃に加熱し、クレアミックスWモーション(エム・テクニック製)へ循環させて分散処理を60分間行った。分散処理の条件は、以下のようにした。
・ローター外径3cm
・クリアランス0.3mm
・ローター回転数19000r/min
・スクリーン回転数19000r/min
分散処理後、ローター回転数1000r/min、スクリーン回転数0r/min、冷却速度10℃/minの冷却処理条件にて40℃まで冷却することで、離型剤微粒子の濃度20%の離型剤分散液を得た。
離型剤微粒子の体積分布基準の50%粒径(D50)を動的光散乱式粒度分布計ナノトラックUPA-EX150(日機装製)を用いて測定したところ、0.15μmであった。
(着色剤分散液の調製)
・着色剤 50.0部
(シアン顔料 大日精化製:Pigment Blue 15:3)
・アニオン界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 7.5部
・イオン交換水 442.5部
上記材料を秤量・混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)を用いて1時間分散して、着色剤を分散させてなる着色剤微粒子の濃度10%の着色剤分散液を得た。
着色剤微粒子の体積分布基準の50%粒径(D50)を動的光散乱式粒度分布計ナノトラックUPA-EX150(日機装製)を用いて測定したところ、0.20μmであった。
(トナー3の製造)
・結晶性樹脂分散液1 275.0部
・非晶性樹脂分散液 225.0部
・離型剤分散液 50.0部
・着色剤分散液 80.0部
・イオン交換水 160.0部
前記の各材料を丸型ステンレス製フラスコに投入、混合した。続いてホモジナイザー ウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて5000r/minで10分間分散した。1.0%硝酸水溶液を添加し、pHを3.0に調整した後、加熱用ウォーターバス中で撹拌翼を用いて、混合液が撹拌されるような回転数を適宜調節しながらで58℃まで加熱した。
形成された凝集粒子の体積平均粒径を、コールターマルチサイザーIIIを用い、適宜確認し、重量平均粒径(D4)が6.0μmである凝集粒子が形成されたところで、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、攪拌を継続しながら、75℃まで加熱した。そして、75℃で1時間保持することで凝集粒子を融合させた。
その後、45℃まで冷却し5時間の熱処理を行った。
その後、25℃まで冷却し、ろ過・固液分離した後、イオン交換水で洗浄を行った。洗浄終了後に真空乾燥機を用いて乾燥することで、重量平均粒径(D4)が6.07μmのトナー粒子3を得た。
トナー粒子3に対し、実施例1と同様の外添を行い、トナー3を得た。トナー3の物性を表3-1,3-2に、評価結果を表7に示す。
<実施例13~15>
(結晶性樹脂分散液2及び3の調製)
結晶性樹脂分散液1の調製において、使用する結晶性樹脂を結晶性樹脂A2に変更する以外はすべて同様にして、結晶性樹脂分散液2を得た。また、使用する結晶性樹脂を結晶性樹脂A3に変更する以外はすべて同様にして、結晶性樹脂分散液3を得た。
(トナー13~15の製造)
トナー3の製造において、使用する結晶性樹脂分散液の種類及び添加量、非晶性樹脂分散液の添加量、熱処理の時間を表6のように変更する以外はすべて同様にして、トナー13~15を得た。物性を表3-1,3-2に、評価結果を表7に示す。
Figure 0007374745000008
<比較例1~5、7及び8>
トナー1の製造において、使用する単量体の種類と添加量、離型剤の種類と添加量、熱処理の温度と時間を表2のように変更する以外はすべて同様にして、比較用トナー粒子1~5、7及び8を得た。物性を表3-1,3-2に、評価結果を表7に示す。
<比較例6>
トナー3の製造において、使用する結晶性樹脂分散液の添加量、非晶性樹脂分散液の添加量、熱処理の時間を表6のように変更する以外はすべて同様にして、比較用トナー6を得た。物性を表3-1,3-2に、評価結果を表7に示す。
<トナーの評価方法>
<1>低温定着性
トナーが充填されたプロセスカートリッジを25℃、湿度40%RHにて48時間放置した。定着器を外しても動作するように改造したLBP-712Ciを用いて、10mm×10mmの四角画像が転写紙全体に均等に9ポイント配列された画像パターンの未定着画像を出力した。転写紙上のトナー乗り量は、0.80mg/cmとし、定着開始温度を評価した。なお、転写紙は、Fox River Bond(90g/m)を使用した。
定着器は、LBP-712Ciの定着器を外部へ取り外し、レーザービームプリンター外でも動作するようにした外部定着器を用いた。なお、外部定着器は、定着温度を90℃から5℃刻みに上げて行き、プロセススピード:220mm/secの条件で定着を行った。
定着画像を目視で確認し、コールドオフセットが発生しない最低温度を定着開始温度として、低温定着性を以下の基準で評価した。評価結果を表7に示す。
[評価基準]
A:定着開始温度が100℃以下
B:定着開始温度が105℃以上110℃以下
C:定着開始温度が115℃以上120℃以下
D:定着開始温度が120℃以上
<2>耐熱保存性
保存時の安定性を評価するために耐熱保存性の評価を実施した。6gのトナーを100mlの樹脂製カップに入れ、温度50℃、湿度20RH%環境下で10日放置した後、トナーの凝集度を以下のようにして測定し、下記の基準にて評価を行った。
測定装置としては、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)の振動台側面部分に、デジタル表示式振動計「デジバイブロMODEL 1332A」(昭和測器社製)を
接続したものを用いた。そして、パウダーテスターの振動台上に下から、目開き38μm(400メッシュ)の篩、目開き75μm(200メッシュ)の篩、目開き150μm(100メッシュ)の篩の順に重ねてセットした。測定は、23℃、60%RH環境下で、以下の様にして行った。
(1)デジタル表示式振動計の変位の値を0.60mm(peak-to-peak)になるように振動台の振動幅を予め調整した。
(2)上記のように10日放置したトナーを、予め23℃、60%RH環境下において24時間放置し、そのうちトナー5.00gを精秤し、最上段の目開き150μmの篩上に静かにのせた。
(3)篩を15秒間振動させた後、各篩上に残ったトナーの質量を測定して、下式に基づき凝集度を算出した。評価結果を表7に示す。
凝集度(%)={(目開き150μmの篩上の試料質量(g))/5.00(g)}×100
+{(目開き75μmの篩上の試料質量(g))/5.00(g)}×100×0.6
+{(目開き38μmの篩上の試料質量(g))/5.00(g)}×100×0.2
評価基準は下記の通り。
A:凝集度が10.0%未満
B:凝集度が10.0%以上15.0%未満。
C:凝集度が15.0%以上20.0%未満。
D:凝集度が20.0%以上
<3>定着画像の耐擦過性
上記<1>の評価と同様の方法にて、定着画像を印字した。定着温度は、定着開始温度よりも20℃高い温度に設定した。定着画像に、透明なポリエステル製の粘着テープ(商品名:ポリエステルテープNo.5511、ニチバン社)を貼りつけ、50g/cmの荷重をかけた。その後、テープを剥がし、剥がし前後の濃度低下率を定着画像の耐擦過性として評価した。
画像濃度はカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X-Rite 404A:製造元 X-Rite社製)で測定した。評価結果を表7に示す。
[評価基準]
A:濃度低下率が3.0%未満
B:濃度低下率が3.0%以上7.0%未満
C:濃度低下率が7.0%以上10.0%未満
D:濃度低下率が10.0%以上
<4>離型性
評価機としては上記プリンターを用い、評価紙としては、GF-500(A4、坪量64.0g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を使用した。通紙方向は縦向きとした。通紙方向に評価紙の先端から5mm空けて幅100mm、通紙方向に直交する方向に幅200mmの、未定着画像を作製した。該未定着画像のトナー載り量は、1.2mg/cmとした。
そして、上記定着器を用い、上記低温定着性の評価における定着開始温度から5℃刻みに上げていき、定着画像が定着ローラに巻きつくかどうか測定した。巻きつきが起こらない温度領域を離型性として以下の基準で評価した。
評価結果を表7に示す。
[評価基準]
A:巻きつきが起こらない温度領域が40℃以上
B:巻きつきが起こらない温度領域が30℃以上40℃未満
C:巻きつきが起こらない温度領域が20℃以上30℃未満
D:巻きつきが起こらない温度領域が20℃未満
<5>耐久性
市販のキヤノン製プリンターLBP712Ciを使用し、耐久性の評価を行った。LBP9200Cは、一成分接触現像を採用しており、トナー規制部材によって現像担持体上のトナー量を規制している。評価用カートリッジは、市販のカートリッジ中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、評価するトナーを100g充填したものを使用した。上記カートリッジを、シアンステーションに装着し、その他にはダミーカートリッジを装着することで評価を実施した。
23℃、60%RH環境下にて、Fox River Bond(90g/m)を使用し、印字率が1%の画像を連続して出力した。50枚目に、べた画像を出力した。その後、印字率が1%の画像を計20000枚印字した。20000枚印字後、再度べた画像を出力した。20000枚目のべた画像の50枚目に対する濃度低下率を耐久性の評価とした。
画像濃度はカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X-Rite 404A:製造元 X-Rite社製)で測定した。評価結果を表7に示す。
[評価基準]
A:濃度低下率が5.0%未満
B:濃度低下率が5.0%以上7.0%未満
C:濃度低下率が7.0%以上10.0%未満
D:濃度低下率が10.0%以上
Figure 0007374745000009

Claims (9)

  1. 結着樹脂及び離型剤を有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該結着樹脂が、結晶性樹脂Aを含有し、
    該結晶性樹脂Aが、
    単量体(a)に由来するモノマーユニット
    該単量体(a)とは異なる単量体(b)に由来するモノマーユニット、及び、
    該単量体(a)とは異なる単量体(c)に由来するモノマーユニット
    を含有し、
    該単量体(a)が、炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一であり、
    該単量体(a)に由来するモノマーユニットのSP値(J/cm 0.5 をSP(a)とし、該単量体(b)に由来するモノマーユニットのSP値(J/cm 0.5 をSP(b)とし、該単量体(c)に由来するモノマーユニットのSP値(J/cm 0.5 をSP(c)としたとき、下記式(5)及び下記式(6)を満足し、
    3.00≦(SP(b)-SP(a))≦25.00 ・・・(5)
    0.20≦(SP(c)-SP(a))≦1.80 ・・・(6)
    該結晶性樹脂A中の該単量体(b)に由来するモノマーユニットの含有割合が、該結晶性樹脂A中のモノマーユニットの総モル数を基準として、20.0モル%~92.0モル%であり、
    該結晶性樹脂A中の該単量体(c)に由来するモノマーユニットの含有割合が、該結晶性樹脂A中のモノマーユニットの総モル数を基準として、3.0モル%~30.0モル%であり、
    該トナーの示差走査熱量計DSCによる測定において、1回目の昇温における該結晶性樹脂Aに由来する吸熱ピークのピーク温度をTp(℃)とし、1回目の昇温における該結晶性樹脂Aに由来する吸熱ピークの吸熱量をΔH(J/g)とし、該Tpよりも20.0℃低い温度から該Tpよりも3.0℃低い温度までの吸熱量をΔH Tp-3 (J/g)としたとき、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(4)を満足し、
    50≦Tp≦70 (1)
    20≦ΔH≦70 (2)
    0.00≦ΔH Tp-3 /ΔH≦0.20 (4)
    該離型剤が、炭化水素系ワックス及びエステルワックスからなる群から選択される少な
    くとも一である
    ことを特徴とするトナー。
  2. 前記結晶性樹脂A中の前記単量体(a)に由来するモノマーユニットの含有割合が、前記結晶性樹脂A中のモノマーユニットの総モル数を基準として、5.0モル%~60.0モル%である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記結晶性樹脂A中の前記単量体(a)に由来するモノマーユニットの含有割合が、結晶性樹脂A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、14.0モル%以上である、請求項2に記載のトナー。
  4. 前記結晶性樹脂A中の前記単量体(a)に由来するモノマーユニットの含有割合が、結晶性樹脂A中の全モノマーユニットの総モル数を基準として、14.0モル%~25.0モル%である、請求項3に記載のトナー。
  5. 前記単量体(b)が、メタクリロニトリル及びアクリロニトリルからなる群から選ばれる少なくとも一である請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記結着樹脂中の前記結晶性樹脂Aの含有量が、50.0質量%以上である請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記離型剤が、炭化水素系ワックスである請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 前記単量体(c)が、メタクリル酸エチル、メタクリル酸-n-ブチル及びメタクリル酸-t-ブチルからなる群から選ばれる少なくとも一である請求項1~7のいずれか1項に記載のトナー。
  9. 前記単量体(a)が、(メタ)アクリル酸ステアリル及び(メタ)アクリル酸ベヘニルからなる群から選択される少なくとも一である請求項1~のいずれか一項に記載のトナー。
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