JP2022156912A - 硬化性樹脂組成物、およびこれを用いた繊維強化複合材料 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、およびこれを用いた繊維強化複合材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2022156912A
JP2022156912A JP2021060851A JP2021060851A JP2022156912A JP 2022156912 A JP2022156912 A JP 2022156912A JP 2021060851 A JP2021060851 A JP 2021060851A JP 2021060851 A JP2021060851 A JP 2021060851A JP 2022156912 A JP2022156912 A JP 2022156912A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
antioxidant
fiber
curable resin
reinforced composite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021060851A
Other languages
English (en)
Inventor
裕一 谷口
Yuichi Taniguchi
康幸 ▲高▼尾
Yasuyuki Takao
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd filed Critical Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Priority to JP2021060851A priority Critical patent/JP2022156912A/ja
Publication of JP2022156912A publication Critical patent/JP2022156912A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)

Abstract

【課題】 酸化劣化に耐性を有する成形物が得られ、長期の熱履歴を経た後にも強度低下が小さく、繊維強化複合材料の耐熱信頼性を向上させることができる硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】 エポキシ樹脂(A)、脂環式アミン化合物(B)、及び酸化防止剤(C)を必須成分とし、酸化防止剤がナフトール系または芳香族アミン系であり、酸化防止剤(C)の添加量が(A)~(C)成分の合計100質量部に対し0.05~3質量部であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性に優れる硬化性樹脂組成物であり、長期の熱履歴後も高い強度を有する繊維強化複合材料のマトリクス樹脂に関する。
繊維強化複合材料は、一般に、ガラス繊維、アラミド繊維や炭素繊維等の強化繊維と、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂等の熱硬化性マトリクス樹脂から構成され、軽量かつ、強度、耐食性や耐疲労性等の機械物性に優れることから、航空機、自動車、土木建築およびスポーツ用品等の構造材料として幅広く適応されている。
繊維強化複合材料の製造方法には、熱硬化性のマトリクス樹脂が予め強化繊維へ含浸されたプリプレグを用いたオートクレーブ成形法またはプレス成形法や、強化繊維へ液状のマトリクス樹脂を含浸させる工程と熱硬化による成形工程を含むレジントランスファー成形法、リキッドコンプレッション成形法、ウェットレイアップ成形法、引き抜き成形法またはフィラメントワインディング成形法等の手法によって実施されている。
レジントランスファー成形法、リキッドコンプレッション成形法、ウェットレイアップ成形法、引き抜き成形法またはフィラメントワインディング成形法等では、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等、液状の熱硬化性樹脂が用いられてきた。エポキシ樹脂からなる熱硬化性樹脂組成物の一例として、主剤にエポキシ樹脂、硬化剤にアミン化合物を用いた樹脂組成物があり、作業する現場での取り扱い性や速硬化性、硬化後の耐熱性や強度が求められる用途で広く適応されている。
エポキシ樹脂と、硬化剤にアミン化合物を用いた樹脂組成物は速硬化性に優れ、強度や靱性の高い硬化物が得られるものの、長期間高温に晒されることによって酸化劣化による分解反応が生じることで硬化物の着色や強度と靭性の低下を招くという課題がある。
酸化劣化を抑制する目的で、エポキシ樹脂組成物に酸化防止剤を添加する試みがなされている。特許文献1にはエポキシ樹脂と硬化剤としてフェノールノボラック化合物、酸化防止剤としてヒンダードフェノールやリン系化合物の添加、特許文献2~3にはエポキシ樹脂と硬化剤として酸無水物化合物、酸化防止剤としてヒンダードフェノール、リン系化合物、硫黄系化合物やアミン系化合物の添加、特許文献4にはエポキシ樹脂と硬化剤としてジシアンジアミド、酸化防止剤としてヒンダードフェノール、硫黄系化合物、硫黄系化合物やヒンダードアミン系化合物の添加などの検討がなされている。
繊維強化複合材料のマトリクス樹脂では屋外使用や高温環境下で使用される用途があり、硬化後の初期物性だけでなく、長期間の熱履歴を経た後にも強度物性を維持することが求められている。
特開平7-309998号公報 特開2012-236893号公報 特許第6501359号公報 特許第6163763号公報
本発明は、酸化劣化に耐性を有する成形物が得られ、長時間の熱履歴を経た後にも強度低下が小さく繊維強化複合材料の耐熱信頼性を向上させられる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前述の課題を解決するため検討を行った結果、特定のエポキシ樹脂、アミン化合物と酸化防止剤を用いることにより、長時間の熱履歴を経た後にも強度物性を維持することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、エポキシ樹脂(A)、脂環式アミン化合物(B)、酸化防止剤(C)を必須成分とし、酸化防止剤がナフトール系または芳香族アミン系であり、酸化防止剤(C)の添加量が(A)成分、(B)成分、(C)成分の合計100質量部に対し0.05~3質量部であることを特徴とする硬化性樹脂組成物である。
好ましい酸化防止剤(C)としては、下記式(1)または(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022156912000001
(式中、Rは炭素数1~4の炭化水素基を表す。)
Figure 2022156912000002
(式中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、または炭素数1~4の炭化水素基を表す。)
エポキシ樹脂(A)と脂環式アミン化合物(B)の重量比が、90:10~70:30の範囲であることがより好ましい。
また、硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、脂環式アミン化合物(B)、酸化防止剤(C)に加えて、コアシェルゴム粒子(D)を含み、コアシェルゴム粒子(D)の配合量が(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の合計100質量部に対し、1~8質量部であることがよい。
また、上記硬化性樹脂組成物を130℃で1時間熱処理して硬化させて得られた硬化物(I)と、更にこの硬化物(I)を170℃で20時間熱処理させて得られた硬化物(II)の引張り強度の維持率(T2/T1)が90%以上であることが望ましい。ここで、T1は硬化物(I)の引張り強度、T2は硬化物(II)の引張り強度である。
本発明の他の形態は、上記硬化性樹脂組成物に強化繊維を配合してなることを特徴とする繊維強化複合材料用樹脂組成物である。また。この繊維強化複合材料用樹脂組成物から得られる繊維強化複合材料である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、これを含む材料を硬化して得られる繊維強化複合材料又は成形物の耐熱性に優れ、長期の熱履歴を経た後にも強度低下が小さい。特に、レジントランスファー成形法またはリキッドコンプレッション成形法に付して成形体とするために使用される硬化性樹脂組成物として適する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、脂環式アミン化合物(B)、酸化防止剤(C)で構成される硬化性樹脂組成物である。ここで、エポキシ樹脂(A)、脂環式アミン化合物(B)、酸化防止剤(C)を、それぞれ(A)成分、(B)成分、及び(C)成分ともいう。
本発明で使用するエポキシ樹脂(A)として好ましくは、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物であり、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、イソホロンビスフェノール型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂や、これらビスフェノール型エポキシ樹脂のハロゲン化物、アルキル置換体、水添品、単量体に限らず複数の繰り返し単位を有する高分子量体、アルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルや、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂や、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレ-ト、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ樹脂や、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂や、フタル酸ジグリシジルエステルや、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルや、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステルや、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシリレンジアミン等のグリシジルアミン類等を用いることができる。これらは1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのエポキシ樹脂のうち、経済性と耐熱性の観点から、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等を用いると、成形体の耐熱性を向上させることができる。
本発明で使用する脂環式アミン化合物(B)は、脂環構造を有するアミン化合物である。脂環式アミンは反応性に優れ、かつ硬化時の耐熱性を高められる。
脂環式アミン化合物(B)の具体例としては、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、1,3,6-トリスアミノメチルシクロヘキサン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン等の脂環構造を有するポリアミン、およびこれらの脂環構造にアルキル基が置換した誘導体が挙げられる。脂環式アミン化合物(C)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの内、下記式(3)で表される脂環式アミン化合物が好ましく、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、又はビス(アミノメチル)ノルボルナンが、硬化後の耐熱性と強度の点でより好ましい。
X-(CHNH (3)
(式中、Xは脂環構造を有する炭素数1~16のn価の有機基を表し、nは2又は3を表す。)
本発明で使用する酸化防止剤(C)はナフトール系または芳香族アミン系である。一般的な酸化防止剤としてヒンダードフェノール系が挙げられるが、エポキシ樹脂とアミン化合物からなる硬化物では酸化防止能が働き難く、長期の熱履歴によって酸化劣化により強度が低下する傾向が見られる。一方、本発明ではナフトール系または芳香族アミン系の酸化防止剤がエポキシ樹脂とアミン化合物からなる硬化物においてもラジカルトラップによる酸化防止能が機能することを見出し、長期の熱履歴による酸化劣化を抑制することで強度を維持することができる。
酸化防止剤(C)の添加量は(A)成分、(B)成分、(C)成分の合計100質量部に対し0.05~3質量部である。0.05質量部未満であると酸化防止能が不十分であり、3質量部を超えると初期の硬化物物性を低下させる要因となる。
ナフトール系酸化防止剤の例としては、1,4-ナフトキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、4-メトキシ-1-ナフトール、4-エトキシ-1-ナフトール、4-ベンジルオキシ-1-ナフトール、1,4-ジメトキシナフタレン、1,4-ジエトキシナフタレン、5-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、5,8-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、2,5-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
芳香族アミン系酸化防止剤の例として、フェノチアジン、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N’-ジフェニル-1,4-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-1,4-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-1,4-フェニレンジアミン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
好ましい酸化防止剤(C)としては、上記式(1)で表されるナフトール系酸化防止剤や、式(2)で表される芳香族アミン系酸化防止剤がある。
式(1)において、Rは炭素数1~4の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1~3のアルキル基である。式(2)において、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、または炭素数1~4の炭化水素残基を表し、好ましくは水素原子、又は炭素数1~3のアルキル基である。
エポキシ樹脂(A)と脂環式アミン化合物(B)の重量比は、90:10~70:30の範囲が好ましく、この範囲は、硬化後における初期の耐熱性と熱履歴を経た後の強度維持の観点から好ましい。エポキシ樹脂の重量比が90を超えると耐熱性が低くなり、70未満であると相対的に脂環式アミン構造が多くなるため熱履歴により酸化劣化が生じやすく強度が低下する。
硬化剤としては、脂環式アミン化合物(B)以外の他のエポキシ樹脂用硬化剤も使用することができる。この場合、(A)成分、(B)成分、(C)成分の合計100質量部に対し10質量部未満であることがよい。これら他のエポキシ樹脂用硬化剤としては、例えば、フェノール系、チオール系等のエポキシ樹脂用硬化剤が挙げられる。
その他、硬化促進剤、粘度調整剤、内部離型剤などを含むことができる。
上記他のエポキシ樹脂用硬化剤として用いるフェノール系硬化剤は、特に制限はないがビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール、フェノールノボラック樹脂、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル型樹脂、トリアジン骨格含有ナフトール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂等が挙げられる。フェノール系硬化剤は1種または2種以上を併用してもよい。
脂環式アミン化合物(B)又はこれと他のエポキシ樹脂用硬化剤からなる硬化剤と共に、硬化反応を促進するため硬化触媒、または硬化促進剤を使用することができる。硬化触媒、硬化促進剤としては、三級アミン、カルボン酸、ルイス酸錯体、オニウム塩、イミダゾール、アルコール類や、フェノール、クレゾール、アリルフェノール、ニトロフェノール、パラアミノフェノール、メタアミノフェノール、モノ-t-ブチルフェノール、ジ-t-ブチルフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、テトラメチルハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチル-イソプロピルハイドロキノン、モノ-t-ブチルハイドロキノン、ジ-t-ブチルハイドロキノン、モノ-t-アミルハイドロキノン、ジ-t-アミルハイドロキノン、ニトロハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、ジフェニルハイドロキノン、クロロハイドロキノン、ジクロロハイドロキノン、トリクロロハイドロキノン、テトラクロロハイドロキノン、ブロムハイドロキノン、ジブロムハイドロキノン、トリブロムハイドロキノン、テトラブロムハイドロキノン、カテコール、t-ブチルカテコール、レゾルシノール、ピロガロール、ジニトロピロガロール、1,2,4-ベンゼントリオールなどのフェノール化合物などを用いることができ、これら硬化触媒、硬化促進剤は1種または2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、脂環式アミン化合物(B)、酸化防止剤(C)に加えて、コアシェルゴム粒子(D)を含むことができる。この場合、コアシェルゴム粒子(D)の配合量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の合計100質量部に対し、1~8質量部であることがよく、この範囲であると硬化後における初期の靭性を向上させることができ、かつ長期の熱履歴後も強度と靭性を維持する硬化物が得られる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)を含む主剤と、脂環式アミン化合物(B)含む硬化剤とに分けて保存し、現場で、又は使用の直前に混合して硬化性樹脂組成物とすることは長期保存の観点から望ましい。
上記主剤および硬化剤には、その他の成分として、可塑剤、染料、有機顔料や無機充填剤、高分子化合物、カップリング剤、界面活性剤および溶剤など適宜配合することもできる。また、他の硬化性樹脂を配合することもできる。このような硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、硬化性アミノ樹脂、硬化性メラミン樹脂、硬化性ウレア樹脂、硬化性シアネートエステル樹脂、硬化性ウレタン樹脂、硬化性オキセタン樹脂、硬化性エポキシ/オキセタン複合樹脂等が挙げられるがこれらに限定されない。これらは、主剤および硬化剤に含まれる成分との反応性や粘度等を考慮して、いずれかに配合することができる。主剤又は硬化剤に含まれる成分と反応する配合は、避けることになる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、カップリング剤や、カーボン粒子や金属めっき有機粒子等の導電性粒子、熱硬化性樹脂粒子、あるいはシリカゲル、ナノシリカ、アルミナファイバーやクレー等の無機フィラーや、導電性フィラーを配合することができる。導電性粒子や導電性フィラーを用いることにより得られる樹脂硬化物や繊維強化複合材料の導電性を向上させられる。
導電性フィラーとしては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、金属ナノ粒子などが挙げられ、単独で使用しても併用してもよい。この中で特にカーボンナノチューブの配合は導電性を向上させるだけで無く、繊維強化複合材料に対して1wt%未満の配合量でも繊維強化複合材料の衝撃強度を高められるという点で広く知られており、好適に用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は130℃で1時間熱処理して硬化させた得られた硬化物(I)を、更に170℃で20時間の熱履歴を与えて硬化物(II)とした後の引張り強度の維持率が90%以上であることが望ましい。90%以上であると長期間の熱履歴後も安定した物性を発現し、繊維強化複合材料のマトリクス樹脂として望ましいものとなる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、強化繊維を配合して繊維強化複合材料用組成物とすることができる。強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維等から選ばれるが、強度に優れた繊維強化複合材料を得るためには炭素繊維が好ましい。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物における強化繊維の体積含有率は、好ましくは45~70%、より好ましくは48~62%の範囲である。この範囲にすることにより、空隙が少なく、かつ強化繊維の体積含有率が高い成形体が得られるため、優れた強度の繊維強化複合材料が得られる。この繊維強化複合材料用樹脂組成物は、プリプレグとして使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物又は繊維強化複合材料用樹脂組成物から繊維強化複合材料を作製する方法は、特に限定されないが、RTM(Resin Transfer Molding)法又はLCM(Liquid Compression Molding)法が好適である。RTM法とは、強化繊維からなる繊維基材あるいはプリフォームを成形型内に設置し、その成形型内に液状の硬化性樹脂組成物を注入して強化繊維に含浸させて、繊維強化複合材料用樹脂組成物とし、その後に加熱してこれを硬化させて、成形体を得る方法である。LCM法とは、あらかじめ樹脂をなじませた強化繊維からなる繊維基材あるいはプリフォームを成形型内に成形圧力を解放した状態で設置し、成形型を型締めすることで含浸と成形を同時に行い繊維強化複合材料前駆体とした後に金型を加熱して前駆体を硬化させて、繊維強化複合材料(成形体)を得る方法である。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。配合量を示す部は、特に断りがない限り質量部である。
実施例で使用した各成分の略号は、以下の通りである。
(A)成分
YD-128:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製)
YDF-170:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製)
YDPN-638:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製)
(B)成分
CHDA:1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン
NBDA:ビス(アミノメチル)ノルボルナン (異性体混合物)
BCDA:メチレンビス(シクロヘキシルアミン) (異性体混合物)
(B’)成分
TETA:トリエチレンテトラミン(脂肪族アミン系硬化剤)
(C)成分
HMN:4-メトキシ-1-ナフトール(ナフトール系酸化防止剤)
PTZ:フェノチアジン(芳香族アミン系酸化防止剤)
(C’)成分
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)
(D)成分
MX-154:コアシェル型ゴム粒子を40wt%含有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(カネカ社製)であり、コアシェルゴム粒子(MX-CSR)とビスフェノールA型エポキシ樹脂成分(MX-EP)を含む。MX-EPは(A)成分として計算する。
実施例1
(A)成分としてYD-128を83部、(C)成分としてHMNを0.3部使用し、これらを150mLのポリ容器へ入れ、真空ミキサー「あわとり練太郎」(シンキー社製)を用いて、5分間攪拌しHMNを均一に溶解させた。次に(B)成分としてCHDAを17部追加し、真空ミキサーを用いて2分間攪拌し、硬化性樹脂組成物を得た。
実施例2~16、比較例1~8
(A)~(C)成分として表1、および表2に記載された組成にて各原料を使用した以外は、実施例1と同様の混合条件にて硬化性樹脂組成物を作製した。
各強度物性の測定または試験方法は、以下のとおりである。
(引張り強度測定用試験片の作製)
得られた硬化性樹脂組成物をJISK-7161に記載の形状にくりぬかれた金型に注型し、熱風循環式オーブン内にて130℃で1時間熱をかけて硬化させ引張り試験測定用の試験片を得た。
(引張り強度の維持率の測定)
オートグラフAGS-X(島津製作所製)を用いて、引張り試験片をJISK-7161に準拠した手法により測定し、最大引張り応力(MPa)を初期の引張り強度(T1)とした。また、引張り試験片をオーブン内にて170℃で20時間の熱履歴を加えた後に引張り試験片を取り出し、JISK-7161に準拠した手法により引張り試験を実施し、最大引張り応力(MPa)を熱履歴後の引張り強度(T2)とした。その後、引張り強度の維持率を下記式により算出した。
引張り強度の維持率=100×(T2/T1)
(破壊靭性測定用試験片の作製)
樹脂組成物を4mm厚のコの字型スペーサーを縦150mm×横150mm×厚さ8mmの鋼製板2枚で挟むことにより金型を作製し、熱風循環式オーブン内にて130℃で1時間熱をかけて硬化させ、140mm×130mm×厚さ4mmの成形物を得た。次に卓上バンドソーにより80mm×10mmの大きさに切削し、後述する破壊靭性の測定に用いた。
(破壊靭性の測定)
オートグラフAGS-X(島津製作所製)を用いて、破壊靭性測定用試験片をASTM D5045に記載に準拠した手法により測定し、初期の破壊靭性値とした。また、破壊靭性測定用試験片をオーブン内にて170℃で20時間の熱履歴を加えた後に破壊靭性測定用試験片を取り出し、ASTM D5045に準拠した手法により破壊靭性試験を実施し、得られた値を熱履歴後の破壊靭性とした。
実施例および比較例の試験結果を、それぞれ表1、表2に示す。
配合量は重量部であり、引っ張り強度の単位はMPaであり、破壊靭性の単位はMPa・m0.5である。
Figure 2022156912000003
Figure 2022156912000004
Figure 2022156912000005

Claims (7)

  1. エポキシ樹脂(A)、脂環式アミン化合物(B)、及び酸化防止剤(C)を必須成分とし、酸化防止剤がナフトール系または芳香族アミン系であり、酸化防止剤(C)の添加量が(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計100質量部に対し0.05~3質量部であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 酸化防止剤(C)が、下記式(1)または式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 2022156912000006
    (式中、Rは炭素数1~4の炭化水素基を表す。)
    Figure 2022156912000007
    (式中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、または炭素数1~4の炭化水素基を表す。)
  3. エポキシ樹脂(A)と脂環式アミン化合物(B)の重量比が、90:10~70:30の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. エポキシ樹脂(A)、脂環式アミン化合物(B)、酸化防止剤(C)に加えて、コアシェルゴム粒子(D)を含み、コアシェルゴム粒子(D)の配合量が(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の合計100質量部に対し、1~8質量部であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 硬化性樹脂組成物を130℃で1時間熱処理して硬化させて得られた硬化物(I)と、更に硬化物(I)を170℃で20時間熱処理させたて得られた硬化物(II)の引張り強度の維持率が90%以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物に、強化繊維を配合してなることを特徴とする繊維強化複合材料用樹脂組成物。
  7. 請求項6に記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物から得られる繊維強化複合材料。
JP2021060851A 2021-03-31 2021-03-31 硬化性樹脂組成物、およびこれを用いた繊維強化複合材料 Pending JP2022156912A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021060851A JP2022156912A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 硬化性樹脂組成物、およびこれを用いた繊維強化複合材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021060851A JP2022156912A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 硬化性樹脂組成物、およびこれを用いた繊維強化複合材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022156912A true JP2022156912A (ja) 2022-10-14

Family

ID=83560045

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021060851A Pending JP2022156912A (ja) 2021-03-31 2021-03-31 硬化性樹脂組成物、およびこれを用いた繊維強化複合材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022156912A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2017150521A1 (ja) 成形材料および繊維強化複合材料
JP7221871B2 (ja) 繊維強化複合材料用樹脂組成物及びそれを用いた繊維強化複合材料
EP3527605B1 (en) Resin composition for fiber-reinforced composite materials and fiber-reinforced composite material using same
JP2019048954A (ja) エポキシ樹脂組成物および繊維強化複合材料
JP7099113B2 (ja) 炭素繊維プリプレグの製造方法
JP2019178224A (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた繊維強化複合材料
JPWO2018123454A1 (ja) 硬化性エポキシ樹脂組成物、及びそれを用いた繊維強化複合材料
JP7307050B2 (ja) 繊維強化複合材料用樹脂組成物及びそれを用いた繊維強化複合材料
JP2022156912A (ja) 硬化性樹脂組成物、およびこれを用いた繊維強化複合材料
JP7161482B2 (ja) 硬化性エポキシ樹脂組成物、及びそれを用いた繊維強化複合材料
JP7424990B2 (ja) 繊維強化複合材料用樹脂組成物及びそれを用いた繊維強化複合材料
JP2019116545A (ja) エポキシ樹脂組成物の硬化方法
JP2019167443A (ja) エポキシ樹脂組成物および繊維強化複合材料用プリプレグ
JP7230433B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、成形材料の製造方法、成形材料、繊維強化複合材料及び繊維強化複合材料の製造方法
JP2024064038A (ja) 硬化性エポキシ樹脂組成物、及びそれを用いた繊維強化複合材料
JP2023149614A (ja) エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料及び成形体
JP2023056441A (ja) エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240226