JP2024064038A - 硬化性エポキシ樹脂組成物、及びそれを用いた繊維強化複合材料 - Google Patents

硬化性エポキシ樹脂組成物、及びそれを用いた繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】低粘度で速硬化性に優れ、かつ硬化時に得られる成形物の靱性が高く、それによって、生産性と強度に優れた繊維強化複合材料のマトリクス樹脂として好適に用いられる樹脂組成物を提供すること。【解決手段】非ウレタン変性エポキシ樹脂(A)、ウレタン変性エポキシ樹脂(B)、酸無水物系硬化剤(C)、硬化促進剤(D)を必須成分とし、E型粘度計により測定した25℃における粘度が50~800mPa・sの範囲であって、かつ前記ウレタン変性エポキシ樹脂(B)のゲルパーミッションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量Mwが5,000~50,000であり、ウレタン変性エポキシ樹脂(B)の内、ポリエーテルポリオールに由来する構造の比率が20~50重量%であることを特徴とする繊維強化複合材料用樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、繊維強化複合材料用樹脂組成物、及びそれを用いた繊維強化複合材料に関する。
繊維強化複合材料はガラス繊維、アラミド繊維や炭素繊維等の強化繊維と、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂等の熱硬化性マトリクス樹脂から構成され、軽量かつ、強度、耐食性や耐疲労性等の機械物性に優れることから、航空機、自動車、土木建築およびスポーツ用品等の構造材料として幅広く適応されている。
繊維強化複合材料の製造方法には、熱硬化性のマトリクス樹脂が予め強化繊維へ含浸されたプリプレグを用いた、オートクレーブ成形法、プレス成形法や、強化繊維へ液状のマトリクス樹脂を含浸させる工程と熱硬化による成形工程を含む、ウェットレイアップ成形法、引き抜き成形法、フィラメントワインディング成形法、RTM法等の手法によって実施される。この中でウェットレイアップ成形法、引き抜き成形法、フィラメントワインディング成形法やRTM法では樹脂を速やかに強化繊維に含浸させるため、低粘度のマトリクス樹脂が用いられる。
従来、ウェットレイアップ成形法、引き抜き成形法、フィラメントワインディング成形法では、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられてきた。ラジカル重合性を有する不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂は低粘度であり速硬化性に優れるものの、成形時の硬化収縮率が大きく成形物の引張り伸びや靱性等の機械物性が相対的に低いという課題がある。一方、エポキシ樹脂は耐熱性や強度の高い成形物が得られるものの、樹脂粘度が相対的に高いという課題がある。
繊維強化複合材料に用いられる強化繊維の引張り破断伸度は、ガラス繊維であれば3.0~6.0%、アラミド繊維であれば2.0~5.0%、炭素繊維であれば1.5~2.0%の値を一般的に示すため、マトリクス樹脂には強化繊維よりも引張り破断伸度の高い材料を適応することが、強度に優れる繊維強化複合材料を得る上で望ましい。
引き抜き成形法に用いるマトリクス樹脂として、特許文献1、2にはエポキシ樹脂と酸無水物系硬化剤からなる樹脂組成物を用いたが適応例が提案されている。低粘度なエポキシ樹脂の使用による強化繊維への含浸性向上や内部離型剤の添加による引き抜き成形性の向上が図られている。エポキシ樹脂と酸無水物からなる樹脂組成物を硬化させることで高い強度と耐熱性に優れた硬化物が得られるが、靭性が低く脆いという課題がある。
硬化物に靭性を付与する手法としてエポキシ樹脂と酸無水物系硬化剤からなる樹脂組成物にコアシェルゴムを添加することが特許文献3、4に記されている。コアシェルゴム粒子を添加することによって耐熱性を低下させることなく靭性を付与させているものの、ゴム粒子の柔軟な化学構造に起因して成形物としての弾性率が低下する。弾性率の低下は繊維強化複合材料としての強度低下を招くため望ましくない。
エポキシ樹脂と酸無水物系硬化剤からなる樹脂組成物にウレタン変性エポキシ樹脂を添加することによる靭性の付与が試みられている(特許文献5~7)。いずれもポリオール、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂を原料にウレタン変性エポキシ樹脂が合成されている。引き抜き成形用の樹脂組成物として好適に用いられるためには、硬化前に低粘度で硬化速度が速いことによる生産性の担保と、硬化後の弾性率と靭性が高いことによる成形された繊維強化複合材料の強度が優れることが求められる。よってウレタン変性エポキシ樹脂には前述の物性を満たすために各原料の構成比率に着目する必要がある。
ウレタン変性エポキシ樹脂は構造中にウレタン結合を有しており、ウレタン結合同士が水素結合によって凝集したハードセグメントを形成させると同時に、ポリオール等のゴム弾性を示す化合物を構造中に組み込むことによりソフトセグメントを形成させることができる。さらにウレタン変性エポキシ樹脂と硬化剤との反応によって架橋構造を形成することでハードセグメントとソフトセグメントを含む硬化物が得られる。硬化物として高弾性率と靭性を両立させるためにはハードセグメントとソフトセグメントの割合、すなわちウレタン変性エポキシ樹脂の原料に用いるエポキシ樹脂、ポリイソシアネート、ポリオール等の成種類や構成、および分子量に着目する必要がある。
特許第5028903号公報 特許第5263120号公報 特開2018-35210号公報 特許第5403184号公報 特許第6593573号公報 特許第6739921号公報 特許第6958751号公報
繊維強化複合材料を工業的に製造する際、特に引き抜き成形法では、生産性を高めるため、金型を高温にして連続的に成形することが一般的である。そのため、用いられるマトリクス樹脂として硬化速度の速い樹脂組成物が望ましい。加えて、硬化成形物には、高温での短時間硬化においても樹脂の硬化ひずみによって割れ等が生じないという、破壊強靭性に優れることが求められる。
本発明は、低粘度で速硬化性に優れ、かつ硬化時に得られる成形物の靱性が高く、それによって、生産性と強度に優れた繊維強化複合材料のマトリクス樹脂として好適に用いられる樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明者らは前述の課題を解決するため検討を行った結果、ウレタン変性エポキシ樹脂の構成成分の比率と分子量に着目し、樹脂組成物として低粘度を維持しながら硬化時に高い弾性率と靱性を有する成形物が得られ、前記課題を解決することを見出し本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、非ウレタン変性エポキシ樹脂(A)、ウレタン変性エポキシ樹脂(B)、酸無水物系硬化剤(C)、硬化促進剤(D)を必須成分とし、E型粘度計により測定した25℃における粘度が200~20,000mPa・sの範囲であって、かつ前記ウレタン変性エポキシ樹脂(B)のゲルパーミッションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量Mwが5,000~50,000であり、前記ウレタン変性エポキシ樹脂(B)の内、ポリエーテルポリオールに由来する構造の比率が20~50重量%であることを特徴とする繊維強化複合材料用樹脂組成物である。
本発明の樹脂組成物においては、非ウレタン変性エポキシ樹脂(A)100重量部の内、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が40重量部以上含まれることが好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、ウレタン変性エポキシ樹脂(B)の配合量が、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の合計量100重量部に対し、8~32重量部であることが好ましい。
ウレタン変性エポキシ樹脂(B)の内、ウレタン結合が占める重量比率が3.0~10.0重量%であることが好ましい。
ウレタン変性エポキシ樹脂(B)のエポキシ当量が300~500g/eqであることが好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、硬化促進剤(D)が、25℃で液状のイミダゾールであり、かつ(D)成分の配合量が(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の合計量100重量部に対し、0.5~3.0重量部であることが好ましい。
本発明の繊維強化複合材料における好ましい強化繊維の体積含有率は、55~75体積%である。
強化繊維に連続的に本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物を含浸し、加熱硬化する引き抜き成形法で成形することにより、繊維強化複合材料が好適に得られる。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物は、低粘度なため強化繊維への含浸性に優れた樹脂組成物であり、かつ、迅速に硬化して高い強度と靱性を有する成形物を生成する。本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物は、特に、引き抜き成形法に適し、引き抜き成形法を行うことによって繊維強化複合材料を好適に製造することができる。
合成例1のウレタン変性エポキシ樹脂のGPCチャートを示す。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物は、非ウレタン変性エポキシ樹脂(A)、ウレタン変性エポキシ樹脂(B)、酸無水物系硬化剤(C)、硬化促進剤(D)を必須成分とする。以下、非ウレタン変性エポキシ樹脂(A)、ウレタン変性エポキシ樹脂(B)、酸無水物系硬化剤(C)、硬化促進剤(D)を、それぞれ(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分ともいう。
本発明で使用する非ウレタン変性エポキシ樹脂(A)としては、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有し、ウレタン変性されていないエポキシ化合物を使用することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、イソホロンビスフェノール型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂や、もしくはこれらビスフェノールのハロゲン、アルキル置換体、水添品、単量体に限らず複数の繰り返し単位を有する高分子量体、アルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルや、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂や、
3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレ-ト、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ樹脂や、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリオキシアルキレンジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂や、フタル酸ジグリシジルエステルや、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルや、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステルや、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシリレンジアミン等のグリシジルアミン類等を用いることができる。これらのエポキシ樹脂中、低粘度化の観点から25℃で液状のエポキシ樹脂が好ましく、25℃で半固形または固形のエポキシ樹脂は好ましくない。これらは1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の効果を得るための好ましい形態は、非ウレタン変性エポキシ樹脂(A)100重量部の内、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を40重量部以上、好ましくは45~85重量部、より好ましくは50~70重量部含むことである。ビスフェノールF型エポキシ樹脂を40重量部以上含むことで、樹脂組成物を低粘度化することができ、強化繊維への含浸性を向上することができる。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物に使用される非ウレタン変性エポキシ樹脂(A)の配合量は(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の合計量100重量部に対し、好ましくは25~50重量部、より好ましくは30~50重量部である。
本発明で使用するウレタン変性エポキシ樹脂(B)は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)で測定した重量平均分子量Mwが5,000~50,000であり、好ましくは8,000~40,000であり、より好ましくは12,000~30,000である。Mwが5,000未満であると、樹脂組成物を硬化させた時に靭性を高められず、Mwが50,000を超えると(B)成分の粘度が著しく高くなるため、繊維への含浸性を損なう。
加えて、本発明で使用するウレタン変性エポキシ樹脂(B)の内、ポリエーテルポリオールに由来する構造の比率(ポリエーテルポリオール構造比率)は、20~50重量%であり、好ましくは25~45重量%であり、より好ましくは27~40重量%である。(B)成分の内、ポリエーテルポリオールに由来する構造の比率がこの範囲であることによって、(B)成分としての低粘度を維持しつつ、樹脂組成物を硬化させた時に高い弾性率と靭性を両立させることができる。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物に用いられるウレタン変性エポキシ樹脂(B)の内、ウレタン結合が占める比率は、3.0~10.0重量%であることが好ましく、4.0~7.0重量%であることがより好ましい。3.0重量%未満であると樹脂組成物を硬化させた時の弾性率と靭性が不足し、10.0重量%を超えるとウレタン結合に起因した水素結合による凝集によって樹脂組成物が高粘度となり強化繊維への含浸性を損なうことがある。
ここで、繊維強化複合材料用樹脂組成物において用いられるウレタン変性エポキシ樹脂(B)のウレタン結合が占める比率(重量%)は、下記式で求められる。
ウレタン結合が占める比率=100×(ウレタン変性エポキシ樹脂の合成に用いたポリイソシアネートの重量×(47/ウレタン変性エポキシ樹脂の合成に用いたポリイソシアネートのイソシアネート当量))/ウレタン変性エポキシ樹脂の合成に用いた原料の総重量
本発明で用いるウレタン変性エポキシ樹脂(B)のエポキシ当量は、好ましくは300~500g/eq、より好ましくは300~400g/eqである。この範囲であると、得られる硬化物の弾性率と靭性を高められる。すなわち、エポキシ当量が300g/eq未満であると硬化時に架橋密度が高くなり靭性の低下を招き、500g/eqを超えると高い靭性を示すものの弾性率の低下を招く。
ウレタン変性エポキシ樹脂(B)は、分子内に水酸基を有するエポキシ樹脂と、ポリエーテルポリオール等のポリオール化合物と、ポリイソシアナート化合物とを、加熱反応させることによって得られる。なお、ウレタン変性エポキシ樹脂にはポリウレタンと結合されていない未変性エポキシ樹脂が含有されていてもよい。
ウレタン変性エポキシ樹脂(B)の原料である分子内に水酸基を有するエポキシ樹脂(以下、原料エポキシ樹脂ともいう)としては、分子内に水酸基を有するビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。これを用いると、硬化物の耐熱性を低下させること無しに靭性を高められる。原料エポキシ樹脂の水酸基当量は、好ましくは500~10000g/eq、より好ましくは1000~5000g/eqである。水酸基当量が500g/eqより低い場合、ウレタン変性エポキシ樹脂(B)の粘度が高くなってしまい、10000g/eqより高い場合、硬化物の靭性の低下を招く。原料エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは100~300g/eq、より好ましくは160~260g/eqである。
ウレタン変性エポキシ樹脂(B)の原料であるポリオール化合物、及びポリイソシアナート化合物(以下、それぞれ原料ポリオール化合物、原料ポリイソシアナート化合物ともいう)については、所望のウレタン変性エポキシ樹脂(B)を得られる限り、特に限定されず各種のものを使用できる。
原料ポリオール化合物としては、好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等の水酸基当量240~2000g/eqの中高分子ポリオール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン等の水酸基当量30~120g/eqの低分子ポリオールからなる群から選ばれた一種以上のポリオール化合物が使用できる。また、原料ポリオール化合物として、中高分子ポリオールと低分子ポリオールを併用すると、ウレタン変性エポキシ樹脂中にソフトセグメントとハードセグメントを形成させることができ、硬化物の弾性率と靭性を高められるため望ましい。
原料ポリイソシアナート化合物しては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選ばれた一種以上のポリイソシアネート化合物が使用できる。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物に使用されるウレタン変性エポキシ樹脂(B)の配合量は(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の合計量100重量部に対し、8~32重量部であることが望ましい。8重量部未満であると樹脂組成物を硬化させた時の靭性が不足し、32重量部を超えると樹脂組成物が高粘度となり強化繊維への含浸性を損なう。また樹脂組成物を硬化させた時に硬化物の弾性率が低くなってしまう。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物には、酸無水物系硬化剤(C)が配合される。酸無水物系硬化剤(C)としてカルボン酸無水物を用いることができる。酸無水物系硬化剤(C)の配合量は、非ウレタン変性エポキシ樹脂(A)とウレタン変性エポキシ樹脂(B)の合計エポキシ基1当量に対して、0.8当量以上1.2当量以下が好ましい。酸無水物系硬化剤(C)の比率が0.8当量より小さい場合は硬化不良が起こりやすく、酸無水物が1.2当量より大きい場合は硬化不良が起こりやすい上に硬化後に酸無水物が残存するため加水分解等の影響が出るおそれがある。ただし、硬化の過程で酸無水物やエポキシ樹脂が揮発するおそれがある場合にはその限りではなく、0.5当量以上1.5当量以下で使用してもよい。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物には、硬化促進剤(D)が配合される。硬化促進剤としては、イミダゾール化合物又はリン系化合物が好ましい。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物に含まれるイミダゾール系の硬化促進剤(D)の含有量は、酸無水物系硬化剤(C)の量100重量部に対し、0.1~10重量部、好ましくは0.5~5.0重量部、特に0.8~2.4重量部とすることが好ましい。この範囲内にイミダゾール系の硬化促進剤が含有される時、短時間での硬化性に優れ、かつ加熱硬化時に耐熱性が高い成形物が得られる。
イミダゾール系の硬化促進剤(D)として、本発明における加熱硬化時の速硬化性、硬化時における耐熱性をより満足させるためには、硬化促進剤に、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル6-4′,5′-ジヒドロキシメチルイミダゾール、及び1-シアノエチル-2-エチル-4メチルイミダゾールからなる群から選ばれる一種以上のイミダゾール化合物を用いることが好ましい。硬化促進剤(D)として、25℃で液状のイミダゾール化合物が特に好ましい。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物に含まれるリン系の硬化促進剤(D)の含有量は、酸無水物系硬化剤(C)の量100重量部に対し、0.2~12重量部、好ましくは0.4~4.0重量部、特に0.6~2.0重量部とすることが好ましい。この範囲内にリン系の硬化促進剤が含有される時、短時間での硬化性に優れ、かつ加熱硬化時に弾性率と耐熱性の高い成形物が得られる。
リン系の硬化促進剤(D)として、本発明における加熱硬化時の速硬化性、硬化時における耐熱性をより満足させるためには、硬化促進剤に、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp―トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、
ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、及び2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテルからなる群から選ばれる一種以上のリン系化合物を用いることが好ましい。
また、本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物には、他の硬化性樹脂を追加して配合することもできる。このような硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、硬化性アミノ樹脂、硬化性メラミン樹脂、硬化性ウレア樹脂、硬化性シアネートエステル樹脂、硬化性ウレタン樹脂、硬化性オキセタン樹脂、硬化性エポキシ/オキセタン複合樹脂等が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物は、少なくとも上記の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分を均一に混合することにより製造される。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物は、25℃におけるE型粘度計コーンプレートタイプを使用して測定した粘度が200~20,000mPa・s、好ましくは1,000~17,000mPa・s、より好ましくは2,000~15,000mPa・sの範囲である。粘度がこの範囲にある場合、良好な強化繊維への含浸性を有し、含浸作業時において繊維から樹脂の液垂れが起きにくい。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物から繊維強化複合材料を作製する方法には、強化繊維のファブリックを成形型へ配置、積層させ、樹脂組成物を塗布した後、加熱成形によって硬化成形体を得るウェットレイアップ法、強化繊維を硬化性樹脂組成物が満たされた含浸層へ連続的に通過させた後、加熱しつつ金型を通し、棒状の成形体を連続的に得る引き抜き成形法、強化繊維を硬化性樹脂組成物が満たされた含浸層へ連続的に通過させた後、マンドレルに巻き付けて加熱成形し、円形断面の成形体を得るフィラメントワインディング法、トランスファー成形機に投入し加熱成形するトランスファーモールド法が含まれる。これらの方法により、空隙の少ない、強度の高い繊維強化複合材料が成形される。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物は、中でも、ウェットレイアップ成形法、引き抜き成形法、またはフィラメントワインディング成形法、トランスファーモールド成形法によって繊維強化複合材料が良好に得られる。特に好ましくは、引き抜き成形法が好適に用いられる。ここで、引き抜き成形法とは、プルコム又は連続引抜成形法とも称し、繊維強化複合材料用樹脂組成物を強化繊維に塗布し、これを連続的に加熱硬化して繊維強化複合材料を製造する方法である。
具体的には、帯状の強化繊維を送って本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物を満たした樹脂槽に通し、余分な樹脂を拭い、脱泡した後、加熱装置を設けた金型の一端に導入し、加熱する。金型内で所定時間加熱した後、この強化繊維を金型の他端から引き抜く。この操作を連続的に行い、帯状の繊維強化複合材料を得る。引き抜かれた帯状の繊維強化複合材料を所望のサイズ及び形状に切断する。この引き抜き成形法によって、繊維強化複合材料の成形体が生産性高く得られる。
本発明の繊維強化複合材料に用いられる強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維等から選ばれるが、強度に優れた繊維強化複合材料を得るためには、特に炭素繊維を使用するのが好ましい。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物と強化繊維より構成された繊維強化複合材料における、強化繊維の体積含有率は、好ましくは55~75%の範囲であり、より好ましくは60~70%の範囲である。強化繊維の体積含有率がこの範囲にあると、空隙が少なく、かつ強化繊維の体積含有率が高い成形体が得られるため、優れた強度の繊維強化複合材料成形体が得られる。
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物は、低粘度であるため、強化繊維への含浸性に優れ、かつ、加熱時の速硬化性並びに成形物の高い弾性率と靭性に優れることから、特に引き抜き成形法に好適に用いられる。すなわち、本発明の好適な実施態様は、連続的に強化繊維に本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物を含浸し、加熱硬化する繊維強化複合材料の製造方法である。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。配合量を示す部は、特に断りがない限り重量部である。またエポキシ当量の単位はg/eqである。
実施例で使用した各成分の略号は下記の通りである。
YD-128:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポキシ当量187g/q)
YDF-170:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポキシ当量168g/q)
PG30:平均分子量3000のポリプロピレングリコール、水酸基当量1509g/eq
TMG30:平均分子量3000のポリテトラメチレングリコール、水酸基当量1497g/eq
BD:1,4-ブタンジオール、水酸基当量45g/eq
TDI:トルエンジイソシアネート
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
MTH:メチルテトラヒドロ無水フタル酸(酸無水物基当量166、粘度25℃ 53mPa・s)
MHH:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(酸無水物基当量168、粘度25℃ 61mPa・s)
DMZ:1,2-ジメチルイミダゾール
TBBr:トリブチルメチルアンモニウムブロミド
合成例1
攪拌装置、温度計、還流管、窒素ガス導入装置、仕込み口を備えたガラス製セパラブルフラスコに、YD-128 120部、PG30 70.9部を仕込み、攪拌しながら110℃まで昇温した。次に仕込み口よりTDI 23.1部を入れて1時間経過した後にBD 6.2部を仕込み、更に反応温度を130℃に保ち2時間反応を行い、重量平均分子量Mw18,400、ポリエーテルポリオール構造比率32重量%、ウレタン結合重量比率5.7重量%、エポキシ当量339のウレタン変性エポキシ樹脂を209部得た。このウレタン変性エポキシ樹脂をEPU1と称する。
合成例2
合成例1と同様な装置に、YD-128 120部、PG30 87.2部を仕込み、攪拌しながら110℃まで昇温した。次に仕込み口よりMDI 23.1部を入れて1時間経過した後にBD 5.3部を仕込み、更に反応温度を130℃に保ち2時間反応を行い、重量平均分子量Mw23,700、ポリエーテルポリオール構造比率37重量%、ウレタン結合重量比率4.9重量%、エポキシ当量350のウレタン変性エポキシ樹脂を228部得た。このウレタン変性エポキシ樹脂をEPU2と称する。
合成例3
合成例1と同様な装置に、YD-128 117部、TMG30 55.0部を仕込み、攪拌しながら110℃まで昇温した。次に仕込み口よりMDI 23.1部を入れて1時間経過した後にBD 5.3部を仕込み、更に反応温度を130℃に保ち2時間反応を行い、重量平均分子量Mw15,700、ポリエーテルポリオール構造比率37重量%、ウレタン結合重量比率5.7重量%、エポキシ当量319のウレタン変性エポキシ樹脂を190部得た。このウレタン変性エポキシ樹脂をEPU3と称する。
合成例4
合成例1と同様な装置に、YD-128 133部、PG30 24.1部を仕込み、攪拌しながら110℃まで昇温した。次に仕込み口よりTDI 9.1部を入れて1時間経過した後にBD 2.3部を仕込み、更に反応温度を130℃に保ち2時間反応を行い、重量平均分子量Mw5,900、ポリエーテルポリオール構造比率14重量%、ウレタン結合重量比率2.9重量%、エポキシ当量235のウレタン変性エポキシ樹脂を163部得た。このウレタン変性エポキシ樹脂をEPU4と称する。
合成例5
合成例1と同様な装置に、YD-128 88部、PG30 132部を仕込み、攪拌しながら110℃まで昇温した。次に仕込み口よりMDI 18.0部を入れて1時間経過した後にBD 1.6部を仕込み、更に反応温度を130℃に保ち2時間反応を行い、重量平均分子量Mw32,300、ポリエーテルポリオール構造比率55重量%、ウレタン結合重量比率2.8重量%、エポキシ当量511のウレタン変性エポキシ樹脂を232部得た。このウレタン変性エポキシ樹脂をEPU5と称する。
(重量平均分子量Mwの測定)
東ソー株式会社製ゲル浸透クロマトグラフィーHLC-8420GPC、カラムに東ソー株式会社製 TSKgelG4000HXL、TSKgelG3000HXL、TSKgelG2000HXLを直列に備えたものを使用して、ウレタン変性エポキシ(B)の重量平均分子量Mwを測定した。カラム温度を40℃にし、溶離液にはテトラヒドロフランを用い、1ml/minの流速とし、検出器にRI(示差屈折計)検出器を用いてゲルパーミッションクロマトグラフィー測定を行い、原料に用いたエポキシ樹脂のn=0体のピークのみを除外し、その他の全てのピークを総計して重量平均分子量Mwをポリスチレン基準で求めた。
実施例1
(繊維強化複合材料用樹脂組成物の製造)
(A)成分としてYD-128を39部、(B)成分として合成例1で得られたEPU1を21部、(C)成分としてMTHを39部、(D)成分としてDMZを1.2部、150mLのポリ容器へ入れ、真空ミキサー「あわとり練太郎」(商品名;株式会社シンキー製)を用いて、室温下で5分間攪拌しながら混合し、繊維強化複合材料用樹脂組成物を得た。
(粘度の測定)
25℃における粘度の値をE型粘度計コーンプレートタイプを用いて測定した。繊維強化複合材料用樹脂組成物を調製し、直ちにその内0.8mLを測定に供し、調製から60秒経過後の測定値を繊維強化複合材料用樹脂組成物の粘度の値とした。
(ゲルタイムの測定)
150℃に加熱しておいたゲル化試験機(日新科学株式会社製)のプレート上に硬化性樹脂組成物を添加し、フッ素樹脂棒を用いて一秒間に2回転の速度で攪拌し、硬化性樹脂組成物の硬化が進行し可塑性を失うまでに要した時間をゲル化時間とした。
(曲げ弾性率、曲げ強度の測定)
繊維強化複合材料用樹脂組成物を、平板形状にくり抜かれた4mm厚のスペーサーを設けた縦60mm×横240mmの金型へ流し込み、140℃で4時間硬化させて測定用成形板とし、曲げ弾性率と曲げ強度の測定に用いた。
得られた成形板を卓上バンドソーにより80mm×10mmの大きさに切削し、曲げ試験片をJIS7171に準拠する手法にて23℃の温度条件で万能材料試験機(株式会社島津製作所製 オートグラフAGS-H)を使用して曲げ試験を行い、曲げ弾性率と曲げ強度を算出した。
(破壊靭性の測定)
繊維強化複合材料用樹脂組成物を、平板形状にくり抜かれた2mm厚のスペーサーを設けた縦60mm×横240mmの金型へ流し込み、140℃で4時間硬化させて測定用成形板とし、破壊靱性の測定に用いた。
得られた成形板を卓上バンドソーにより50mm×10mmの大きさに切削し、ASTM E399に準じた亀裂を入れて23℃の温度条件で万能材料試験機(株式会社島津製作所製 オートグラフAGS-H)を使用して破壊靱性を測定した。
(ガラス転移温度測定用試験片の作製)
繊維強化複合材料用樹脂組成物を、平板形状にくり抜かれた4mm厚のスペーサーを設けた縦80mm×横80mmの金型へ流し込み140℃で4時間硬化した後、得られた成形板を卓上バンドソーを用いて50mm×10mmの大きさに切削し、後述するガラス転移温度の測定に用いた。
(ガラス転移温度の測定)
上記成形板を卓上バンドソーにより2.5mm×2.5mmの大きさに切削し、さらにベルトディスクサンダーを用いておよそ0.8mmの厚さまで研磨加工した。示差走査熱量測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製 DSC7000X)を用い、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分の条件で測定し、DSC曲線の変曲点での接線と、変曲の開始が見られる温度、すなわち変曲点から15~30℃低い温度領域における接線との交点を求め、その温度をガラス転移温度Tgとした。
(引き抜き成形板の作製)
得られた繊維強化複合材料用樹脂組成物を樹脂バスに注ぎ込み40℃に保温した。クリールスタンドより炭素繊維(東レ株式会社製 トレカT700SC-24K)37本を束ねて前記の樹脂バスに導き、牽引装置を用いて0.2m/minで引き出しながら、繊維強化複合材料用樹脂組成物を含浸させ、次に、スリットに通すことで過剰に付着した樹脂組成物を絞り出し、得られた帯状の炭素繊維の樹脂組成物含浸体を断面寸法50mm×1.0mm、長さ400mmの140℃に加熱された金型に通し、さらに断面寸法50mm×1.0mm、長さ400mmの160℃に加熱された金型に通すことにより、長さ2m、幅50mm、厚さ1.0mmの炭素繊維強化複合材料の板を引き抜き成形した。作成された板は、炭素繊維の体積含有率が66%で、一方向に配向が揃った炭素繊維を含む繊維強化複合材料であった。
(引き抜き成形板の外観評価)
前記の引き抜き成形工程により作製された炭素繊維強化複合材料の板を目視して、表面に炭素繊維の解れが無いか評価した。成形板表面から炭素繊維の長さ20mm以上の剥離が見られた部位を解れとして数えた。解れの合計数が4ヶ所以下であれば〇、4ヶ所を超える板を×と評価した。
(0°曲げ強度、90°曲げ強度の測定)
前記の成形工程により得られた炭素繊維強化複合材料の板を、フライス盤を用いて繊維平行方向長さ60mm、繊維垂直方向長さ15mmの大きさに切削し、0°曲げ強度の測定に用いた。また同様に炭素繊維強化複合材料の板から繊維平行方向長さ15mm、繊維垂直方向長さ50mmの大きさに切削し、90°曲げ強度の測定に用いた。JISK7074に準拠する手法にて、23℃の温度条件、支点間距離40mmで3点曲げ試験を実施し、0°曲げ強度と90°曲げ強度を測定した。
実施例2~12、比較例1~4
(A)~(D)成分として表1および表2に記載された組成にて各原料を使用した以外は、実施例1と同様の混合条件にて繊維強化複合材料用樹脂組成物を作製し、実施例1と同様の手法にて粘度測定、ゲルタイム測定、曲げ試験、破壊靭性試験、ガラス転移温度測定を実施した。加えて実施例1と同様の手法にて引き抜き成形板の作製、外観評価、および0°と90°の曲げ強度評価を実施した。
実施例1~12及び比較例1~4の試験の結果をそれぞれ表1、表2に示す。
Figure 2024064038000001
Figure 2024064038000002
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物を用いて成形してなる繊維強化複合材料は、航空機、宇宙機、船舶、自動車、土木建築及びスポーツ用品等の構造材料として好適に利用できる。

Claims (9)

  1. 非ウレタン変性エポキシ樹脂(A)、ウレタン変性エポキシ樹脂(B)、酸無水物系硬化剤(C)、硬化促進剤(D)を必須成分とし、E型粘度計により測定した25℃における粘度が200~20,000mPa・sの範囲であって、
    かつ前記ウレタン変性エポキシ樹脂(B)のゲルパーミッションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量Mwが5,000~50,000であり、前記ウレタン変性エポキシ樹脂(B)の内、ポリエーテルポリオールに由来する構造の比率が20~50重量%であることを特徴とする繊維強化複合材料用樹脂組成物。
  2. 非ウレタン変性エポキシ樹脂(A)100重量部の内、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が40重量部以上含むことを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物。
  3. ウレタン変性エポキシ樹脂(B)の配合量が(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の合計量100重量部に対し、8~32重量部であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物。
  4. ウレタン変性エポキシ樹脂(B)100重量部の内、ウレタン結合が占める重量比率が3.0~10.0重量部であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物。
  5. ウレタン変性エポキシ樹脂(B)のエポキシ当量が300~500g/eqであることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物。
  6. 硬化促進剤(D)が、25℃で液状のイミダゾール化合物であり、かつ(D)成分の配合量が(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の合計量100重量部に対し、0.5~3.0重量部であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物に、強化繊維を配合して硬化してなることを特徴とする繊維強化複合材料。
  8. 強化繊維の体積含有率が55~75体積%である請求項7に記載の繊維強化複合材料。
  9. 強化繊維に、連続的に請求項1~6のいずれかに記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物を含浸し、加熱硬化する繊維強化複合材料の製造方法。
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