JP2013044055A - 芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維、および防透性を有する布帛 - Google Patents

芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維、および防透性を有する布帛 Download PDF

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Abstract

【課題】薄い布帛でも優れた透け防止性を兼ね備え、風合いに優れた防透性布帛を得ることが可能な芯鞘型偏平断面繊維、およびこれを用いてなる織編物などの防透性布帛を提供する。
【解決手段】単糸の長さ方向に直交する断面が扁平形状であり、芯部が酸化チタン微粒子を5〜40重量%含有したポリエステルAで形成され、他方、鞘部が酸化チタン微粒子を5重量%未満含有したポリエステルBで形成され、かつ(1)酸化チタンの平均粒径は、0.15〜0.40μmm、(2)単糸繊度が0.5〜10.0dtex、(3)芯部の面積Aと鞘部の面積Bとの比A:Bが5:95〜95:5、(4)強度が2.0cN/dtex以上、(5)扁平形状が長手方向に丸断面単糸の3〜6個が接合した形状、以上の(1)〜(5)の条件を満足する芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維、ならびにこれを用いた防透性布帛。
【選択図】図1

Description

本発明は、芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維、およびそれを用いた透け防止性に優れた織物、編物(以下、織物、編物を総称して織編物ということがある)などの布帛に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、薄い布帛でも優れた透け防止性を兼ね備え、風合いに優れた布帛を提供することができる芯鞘型ポリエステル偏平断面繊維、およびこれを用いた防透性を有する織編物などの布帛に関するものである。
ポリエステル繊維は、寸法安定性や耐薬品性などの耐久性に優れ、その機能性の有用さから多目的に用いられており、例えば衣料用、産業用、資材用、医療用などに好適に用いられている。
一方、市場では、合成繊維の特品化の要望が年々高まっており、中でもテニスウェア、水着、レオタ−ド等のスポ−ツ衣料、あるいはブラウスやオフィスユニフォ−ム、白衣などの用途においては薄くても中が透けて見えないような性能が必要とされ、合成繊維各社を中心に種々の検討がなされている。
一般的に、繊維中に、セラミックス、中でも酸化チタンを多量に添加することにより高い防透け性が得られることが知られている。しかしながら、多量に含有した酸化チタンが糸表面に露出されていると、仮撚工程、撚糸工程、製織および製編工程などのガイド、ローラー、筬および編み針などの摩耗を促進し、頻繁に部品を交換する必要があり、交換費用および機械損失によるコストアップは避けられない。
かかる問題を解決するために、芯鞘複合糸で芯成分に酸化チタンを多く含有させ、鞘成分に酸化チタンを少なく含有させる技術が提案されている(特許文献1,2,3参照)。確かに、この方法によって従来の繊維の欠点を解消し、ある程度の防透け性が保持しながら、製糸時の巻取りロールや糸道ガイドの摩耗および仮撚工程、撚糸工程、製織および製編工程における繊維と摺動部分での摩耗を低減させることが可能となった。しかしながら、近年の防透け性要求レベルは年々高くなっており、従来の防透けレベルでは満足のいかないレベルとなっている。
また、さらなる防透け性の向上として芯鞘複合糸の芯部に炭化珪素を含有させる技術が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、炭化珪素を含有させることにより防透け性は向上するが酸化チタンよりもコストが高く、ランニングコストがかかる。また、白色ではないため淡色への展開が難しい。
かかる欠点を改善するため、芯鞘複合紡糸で芯成分に酸化チタンを多く含有させ、単繊維断面形状が六〜十葉の扁平多葉形にする技術が提案されている(特許文献5参照)。この技術では、上記に示した加工工程での磨耗問題は改善されるものの、鞘成分のみを通過する光が発生することから、透け防止性においては十分な対策となっていなかった。さらには綿を混繊することで透け防止効果を付与したりしているが、綿の混繊率が大きく、厚くて固い風合いしか得られていない。
特許第1479587号明細書(特公昭63−17926号公報) 特開2003−227040号公報 特許第3908851号明細書 特開2002−61032号公報 特開2008−81863号公報
本発明は、薄い布帛でも優れた透け防止性を兼ね備え、風合いに優れた防透性布帛を得ることが可能な芯鞘型偏平断面繊維、およびこれを用いてなる織編物などの防透性布帛を提供することにある。
本発明は、単糸の長さ方向に直交する断面が扁平形状であり、芯部が酸化チタン微粒子を5〜40重量%含有したポリエステルAで形成され、他方、鞘部が酸化チタン微粒子を5重量%未満含有したポリエステルBで形成され、かつ下記(1)〜(5)の条件を満足することを特徴とする芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維に関する。
(1)酸化チタンの平均粒径(電子顕微鏡観察で測定)は、0.15〜0.40μmである。
(2)芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維の単糸繊度が0.5〜10.0dtexである。
(3)芯部の面積Aと鞘部の面積Bとの比A:Bが5:95〜95:5の範囲である。
(4)芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維の強度が2.0cN/dtex以上である。
(5)芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維の扁平形状が長手方向に丸断面単糸の3〜6個が接合した形状である。
ここで、扁平断面の最大径A(長軸)と該長軸に直交する最大径の長さB(短軸)の比である扁平度A/Bは3〜6が好ましい。
次に、本発明は、上記芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維を少なくとも一部に用いてなることを特徴とする布帛に関する。
この布帛の白色度(JIS Z 8729−1994に準拠して測定)は、好ましくは80以上である。
本発明によれば、良好な防透け性、UVカット性が得られ、扁平断面糸の断面が細繊度の丸断面糸が数個つながった形状をしているため、同一繊度の単純な丸断面糸と比較して、ソフトな風合いを有するポリエステル繊維およびその織編物などの布帛を提供できる。特に、ブラウスやオフィスユニフォ−ム、白衣などの用途に展開すると、原糸の断面形状の吸水効果により、汗によるべたつき感から解放される。また、これらの用途では重要なセールスポイントである、防透け性およびUVカット効果も同時に得ることができる。また、水に濡れた際の防透性も得ることができる。
(a)は偏平断面糸の断面模式図、(b)は丸断面糸の断面模式図、(c)は2つの山を有する偏平糸の断面模式図、(d)は本発明を構成する単糸の断面模式図、(e)は本発明を構成する単糸の断面模式図、(f)は本発明を構成する単糸の断面模式図、(g)は本発明を構成する単糸の断面模式図、(h)は7つの山を有する偏平糸の断面模式図である。 本発明の一実施態様で、偏平断面繊維の断面模式図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のポリエステル繊維を構成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどの繊維形成性ポリエステルが好ましい。すなわち、テレフタル酸を主たる二官能性カルボン酸成分とし、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどを主たるグリコール成分とするポリアルキレンテレフタレート系ポリエステルが好ましい。また、特許第4202361号明細書に記載されたポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとしポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルや、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルでもよい。さらには、かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルや、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステル、ポリ乳酸やステレオコンプレックスポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルでもよい。
また、テレフタル酸成分の一部を他の二官能性カルボン酸成分で置換えたポリエステルであってもよく、及び/又はグリコール成分の一部を他のジオール化合物で置換えたポリエステルであってもよい。
ここで、使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボン酸をあげることができる。
また、上記グリコール以外のジオール化合物としては例えばシクロヘキサン−1,4−メタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSの如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物及びポリオキシアルキレングリコール等をあげることができる。
さらに、ポリエステルが実質的に線状である範囲でトリメリット酸、ピロメリット酸のごときポリカルボン酸、グリセリン、トリメチp−ルプロパン、ペンタエリスリトールのごときポリオールなどを使用することができる。
本発明の酸化チタンは、芯部に5〜40重量%含有する必要がある。好ましくは、20〜30重量%である。5重量%未満では、充分な隠蔽性は得られず、高い隠蔽性を得るには上記範囲が好ましい。また、鞘部は酸化チタン微粒子を5重量%未満含有する必要がある。5重量%以上では、仮撚工程、撚糸工程、製織および製編工程などのガイド、ローラー、筬および編み針などの摩耗を促進し、頻繁に部品を交換する必要があり、交換費用および機械損失によるコストアップは避けられない。
本発明の酸化チタンは白色顔料として、あるいは隠蔽素材として用いられるので、可視光との相互作用の強い粒径を有している必要があり、すなわち、本発明の酸化チタンの平均粒径は、0.15〜0.40μmの範囲にあることが必要である。好ましくは、0.20〜0.35μmの範囲である。これは、酸化チタンの隠蔽能力が可視光の散乱によるものであるため、対象波長の1/2で散乱係数が最も高くなり隠蔽能力が最大となるが、可視光の波長域が400〜700nmであるので、上記範囲が好ましい。0.15μm未満、0.40μmを超える範囲では、充分な隠蔽性は得られない。
ここで、酸化チタンの平均粒径は、電子顕微鏡で粒子の直径を測定した値である。
本発明では、ルチル型(屈折率 n=2.72)やアタナーゼ型(屈折率n=2.6)の酸化チタンとともに、必要に応じて他の無機化合物粒子を併用しても良い。無機化合粒子としては、例えば、Fe(n=2.7)、CeO(同2.3)、ZnS(同2.3)、PbCl(同2.3)、CdO(同2.2)、Sb(同2.0)、WO(同2.0)、SiC(同2.0)、In(同2.0)、PbO(同2.6)、Ta(同2.4)、ZnO(同2.1)、ZrO(同2.0)、MgO(同1.6)、CeF(同1.6)、AlF(同1.6)、Al(同1.6)が例示されるが、中でも、チタン酸カリウム、チタン酸鉛、酸化鉛(II)、硫化亜鉛、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム(IV)が好ましく用いられる。なお、この無機化合物粒子の屈折率が1.6未満の場合、赤外線の透過性が高く好ましくない。また、屈折率が5以上の粒子は工業的に使用可能なものはなく、屈折率としては好ましくは1.8以上、さらに好ましくは2.0以上である。
本発明の酸化チタンをはじめとするこれらの無機化合物粒子は、必要に応じ、表面処理されていても良い。その場合、従来公知の表面処理方法を使用すること出来る。例えば、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化ジルコニウムで粒子表面を覆うことによって、ポリエステルへの分散性を向上させたり、粒子の色相を変えたり、ポリエステルに対する粒子表面の活性を低下させ、ポリエステルの熱安定性を向上させることができる。
また、本発明の芯鞘型ポリエステル偏平断面繊維には、黒色顔料が含まれることで、繊維の透け防止効果が格段に向上することから、必要に応じて、黒色顔料が2〜10ppm含まれても良い。この黒色顔料としてはカーボンブラック系顔料、アニリンブラック系顔料、酸化鉄ブラック系顔料などがある。汎用性やコストを考慮すると、カーボンブラック(CB)の利用が最も好ましい。黒色顔料の含有量が2ppmに満たない場合、透け防止効果の向上は見られない。一方10ppmを超えると、糸の黒さ(暗さ)が目立つようになり、白色、淡色などの明るい糸が必要とされる用途に適さなくなる。糸の透け防止効果と白さのバランスを考えると黒色顔料の含有量は2〜6ppmが好ましい。
次に、本発明の芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維の総繊度、単糸繊度については、風合いの点で、総繊度30〜400dtex(より好ましくは50〜200dtex)、単糸繊度が0.5〜10.0dtx(好ましくは0.5〜5dtex、より好ましくは1〜4dtex)の範囲が適当である。
単糸繊度が0.5dtx未満では、単糸間の繊度斑が発生し、製糸性が悪化する。一方、10.0dtxを超えると、繊維のソフト感が損なわれ、さらに織物や編物を作成する際の取扱い性が悪化する。
さらに、本発明の芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維は、芯部ポリエステルAと鞘部ポリエステルBの面積比A:Bは5:95〜95:5の範囲にする必要がある。A:Bが、5:95未満の場合にはポリエステルAによる隠蔽性の発現が不十分になり、一方、95:5を超える場合は、製糸性が悪化し、得られる芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維の強度が2.0cN/dtex未満となり、布帛にした場合の強度が不足するため好ましくない。好ましくは50:50〜95:5、より好ましくは60:40〜90:10である。
さらに、本発明の芯鞘型ポリエステル偏平断面繊維は、強度が2.0cN/dtex以上、好ましくは3.0〜8.0cN/dtexである。2.0cN/dtex未満では、布帛にした場合の強度が不足するため好ましくない。強度を2.0cN/dtex以上にするには、例えば、延伸倍率を破断に至る倍率の75〜85%程度の倍率を採用して配向させ、延伸後の熱処理により結晶化させると良い。
本発明の芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維は、単糸の長さ方向に直交する断面が扁平形状であり、長手方向に丸断面単糸の3〜6個が接合した形状を有し、接合部分にくびれ部が形成されていることが必要である〔図1の(d)〜(g)参照〕。通常の丸断面単糸、或いは丸断面単糸2個が接合した形状の場合には〔図1の(b)〜(c)参照〕、織物中の芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維がワイドに広がった集合形態を形成し難くなり、経糸と緯糸とで形成される空隙(組織空隙)が大きくなり、その結果、該空隙から光が通過し、十分な隠蔽性を得ることができない恐れがあり好ましくない。逆に、7個を超えると〔図1の(h)参照〕、製糸性が困難となるため好ましくない。
ここで、前記のくびれ部とは、図2に模式的に示すように、短辺の長さが短くなっている部分のことである。かかるくびれ部において、凹部の深さとしては、短辺の長さの最大値(B)と最小値(C)の比B/Cで、1.05以上(好ましくは1.1以上)となる深さであることが好ましい。また、図2において、凹部が両側部に形成されているものを例示するが、一方の側部にのみ、凹部が形成されていてもよい。そして、このくびれ部の個数は2個所以上である必要があり、くびれ部が1個所以下ではくびれ部において十分な光の乱反射や透過光の屈折が得られず、満足な隠蔽性が得られないため好ましくない。該くびれ部の個数は2個所以上であれば特に限定されないが、製糸性を考慮すると3〜5個所が適当である。なお、図2はくびれ部が2個の場合を例示するものである。
芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維の繊維形態としては、特に限定されず、長繊維でも短繊維でもよい。なかでも、経糸と緯糸とで形成される空隙を小さくするために、無撚または甘撚りされた長繊維が好ましく例示される。特に、撚数が1,000T/m以下(より好ましくは200T/m以下、特に好ましくは無撚)であることが好ましい。芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維は、仮撚捲縮加工や、タスラン加工やインターレース加工などの空気加工が施されたものでもよい。
本発明で得られる芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維を少なくとも一部に用いた布帛の白色度は、80以上、好ましくは90以上である。白色度が80に達しない場合は、隠蔽性が不足したり、明度が不足するため、隠蔽性が要求される用途に適さず好ましくない。この白色度を80以上にするには、布帛中の本発明で得られる繊維の含有率を30%以上とすることが好ましく、組み合わせる繊維は酸化チタンを含有する繊維で構成すればよい。
ここで、白色度は、JIS Z 8729−1994に準拠して測定された値である。
本発明のポリエステル繊維への酸化チタンなどの無機化合物粒子の添加方法としては、粒子化合物を粉体状のまま添加する方法、および高濃度のマスターバッチをあらかじめ作成し、紡糸時に無添加のポリエステルとチップブレンドする方法を挙げることができ、ポリエステル融液への添加、あるいはマスターバッチでの添加による方法が無機化合物粒子の繊維中への分散性の点で好ましく用いられる。
本発明のポリエステル繊維の製糸方法は、特に制限はなく、従来公知の方法が採用される。すなわち、ポリエステルを乾燥後、溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の引取り速度は400〜5,000m/分で紡糸することが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られる繊維の強度も充分なものであると共に、安定して捲取りを行うこともできる。さらに、上述の方法で得られた未延伸糸もしくは部分延伸糸を、延伸工程もしくは仮撚加工工程にて1.2倍〜6.0倍程度の範囲で延伸することが好ましい。仮撚加工方法としては、公知の方法で行うことが出来るが、接触式のヒーターを備えた仮撚加工機を用い、第1仮撚ヒーターの温度が100〜500℃で延伸仮撚加工することが好ましい。
本発明のポリエステル繊維の繊維形態は特に限定されないが、繊維の表面積を大きくして優れた熱線遮蔽性を得る上で短繊維(紡績糸)よりも長繊維(マルチフィラメント糸)であることが好ましい。また、他の繊維と混繊して用いることもできる。かかるポリエステル繊維には、通常の空気加工、仮撚捲縮加工、撚糸が施されていてもさしつかえない。
本発明のポリエステル繊維を布帛とする場合は、布帛全てに用いてもよく、部分的に用いても良い。その組織は特に限定されず、織物でもよいし編物でもよいし不織布でもよい。
本発明のポリエステル繊維は、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、ラジカル捕捉剤、酸化防止剤、固相重合促進剤、整色剤、蛍光増白剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、難燃剤又は艶消剤等を含んでいてもよい。
本発明をさらに下記実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定されるものではない。また、各種特性は、下記の方法により測定した。
(1)平均粒径
酸化チタンの平均粒径は、電子顕微鏡(SEM)によって写真を撮影し、無作為に抽出した粒子について、n=10で粒子の直径を測定した。
(2)単糸繊度
JIS L−1013−8.3.1に準拠して、見掛繊度を測定し、フィラメント数から単糸繊度を測定した。
(3)繊維の引張強度
JIS L−1013−8.5.1に準拠して測定した。
(4)くびれ部比及び扁平係数 (図2参照)
くびれ部比:本発明の扁平断面糸の単糸を繊維軸方向に10m毎に10箇所サンプリングし、おのおの断面顕微鏡写真を撮影した。撮影された全繊維断面について、短軸の最大長さBと、くびれ部の短軸の最小長さCとの比(B/C)を測定し、全測定値の平均値(n=5)で表したものである。
扁平係数:本発明の扁平断面糸の単糸を繊維軸方向に10m毎に10箇所サンプリングし、おのおの断面顕微鏡写真を撮影した。撮影された全繊維断面について、長軸即ち最も長い部位の長さ(A)と、長軸に直交する短軸Cの最大長さ(B)との比A/Bを測定し、全測定値の平均値(n=5)で表したものである。
(5)製糸安定性
24時間(1日間)連続紡糸を行い、製糸性を次の判定方法に従った。
◎:糸切れ率が3.0%未満
○:糸切れ率が3.0%以上5.0%未満
△:糸切れ率が5.0%以上7.0%未満
×:糸切れ率が7.0%以上
(6)白色度
得られた延伸糸の筒編み(目付け150g/m2)について、JIS Z 8729−1994、L*a*b*表色系をMacbeth(登録商標)Color-Eye3100を用いて測定し、L*値、a*値、b*値を測定し、下式に従って白色度を求めた。
白色度=100−〔(100−L*)2+a*2+b*20.5
(7)防透性
得られた延伸糸の筒編み(目付け150g/m2)の下に、28ポイントで印字されたアルファベットを上面に貼り付けた白板を置き、目視にてアルファベットが識別可能か、次の判定方法に従った。
◎:アルファベットの識別は不可能。
○:やや黒い影が確認できるが、アルファベットの識別は不可能。
△:見る方向によっては、アルファベットの識別が可能。
×:容易にアルファベットの識別が可能。
[実施例1]
芯部に酸化チタン(テイカ製、JR−600A、ルチル型、平均粒径0.25μm)を20重量%含有したポリエステルAを用い、鞘部に酸化チタン(チタン工業製、KT−30T、アナターゼ型、平均粒径0.3μm)を3重量%含有したポリエステルBを用いて、乾燥ポリマーを紡糸設備にて各々常法で溶融し、ギヤポンプを経て2成分複合紡糸ヘッドに供給した。芯と鞘ポリマーの面積比率が70/30となるように設定した。同時に供給された芯部と鞘部の溶融ポリマーは、4つ山扁平断面(くびれ部3個所)に穿孔された孔数36孔の口金より、紡糸温度290℃で紡出し、紡糸筒からの冷却風で冷却・固化し、紡糸油剤を付与しつつ一つの糸条として集束し、2,500m/分の速度で紡糸し、78dtx/36filを一旦巻取り、ディスク仮撚にて、プレートヒーター180℃、加工速度350m/min、D/Y1.9で仮撚加工を施して、フィラメントの横断面形状がくびれ部を3個有する扁平断面(B/C=1.1、断面扁平度3.9)の芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維44dtex/36filを得た。得られた繊維を3本合糸して筒編みを作成し、白色度を評価した。得られた繊維の物性を表1に示す。
[実施例2〜3,比較例1〜5]
実施例1において、酸化チタンの量、粒径、繊維の断面形状を変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。
なお、比較例1では、芯部に酸化チタン(テイカ製、JR−1000、ルチル型、平均粒径1.0μm)を用いた。
得られた繊維の物性、白色度を表1に示す。
表1に示すとおり、本発明の範囲内である実施例1、2、3は、物性が良好で、白色度も高く、防透性にも優れたものであり、実施例1の繊維を用いて200g/mの丸編みを作成し、肌に接触させ、透け感を確認したが、防透性に優れるものであった。平均粒径が本発明範囲外の大きい粒子を添加した比較例1は製糸安定性、防透性ともに劣るものとなった。また、本発明の粒子添加量範囲外の少ない添加量の比較例2も同様に防透性に劣り、添加量が多すぎる比較例3は紡糸時の工程が悪く、巻取り不可能であった。さらに、鞘部に粒子を添加していない比較例4は、鞘部の透過により防透性に劣るものとなった。また、くびれ部がなく、扁平形状である比較例5は、繊維表面の乱反射が得られず、防透性に劣る結果となった。
本発明の芯鞘型ポリエステル偏平断面繊維を用いた布帛は、ドレープ性とドライ感を有し、さらに良好な防透け性、UVカット性が得られる。また、水に濡れた際の防透性も得られるため、ユニホームやスポーツやアウターをはじめとする衣料、および産業資材などの多くの用途に利用可能であり、その工業的価値は極めて大である。
A:長軸
B:短軸の最大値
C:短軸の最小値

Claims (4)

  1. 単糸の長さ方向に直交する断面が扁平形状であり、芯部が酸化チタン微粒子を5〜40重量%含有したポリエステルAで形成され、他方、鞘部が酸化チタン微粒子を5重量%未満含有したポリエステルBで形成され、かつ下記(1)〜(5)の条件を満足することを特徴とする芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維。
    (1)酸化チタンの平均粒径(電子顕微鏡観察で測定)は、0.15〜0.40μmである。
    (2)芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維の単糸繊度が0.5〜10.0dtexである。
    (3)芯部の面積Aと鞘部の面積Bとの比A:Bが5:95〜95:5の範囲である。
    (4)芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維の強度が2.0cN/dtex以上である。
    (5)芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維の扁平形状が長手方向に丸断面単糸の3〜6個が接合した形状である。
  2. 扁平断面の最大径A(長軸)と該長軸に直交する最大径の長さB(短軸)の比である扁平度A/Bが3〜6である請求項1記載の芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維。
  3. 請求項1〜2のいずれかに記載の芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維を少なくとも一部に用いてなることを特徴とする布帛。
  4. 白色度(JIS Z 8729−1994に準拠して測定)が80以上である請求項3記載の布帛。
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