JP2022119413A - 操舵機能付ハブユニット、操舵システムおよび車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】操舵用アクチュエータの性能を落とすことなく小型化を図り、車両への搭載性および周辺設計の自由度を向上させることができる操舵機能付ハブユニット、操舵システムおよび車両を提供する。【解決手段】操舵機能付ハブユニット1は、ハブユニット本体2、ユニット支持部材3、およびハブユニット本体2を転舵軸心回りに回転駆動させる操舵用アクチュエータ5を備える。操舵用アクチュエータ5は、モータ26と、モータ26の回転を減速する減速機27と、減速機27の回転出力を直進運動に変換する直動機構25とを有する。直動機構25は、回転自在なナット部25cおよび進退可能なねじ軸25Aを含む送りねじ機構38と、ナット部25cを回転支持する回転支持部28とを有する。減速機27は、回転支持部28よりも車両の車幅方向外側に配置されている。【選択図】図2
Description
本発明は、操舵機能付ハブユニット、操舵システムおよび車両に関し、走行状況に合わせ左右の車輪を適切な操舵角に制御することで、燃費の改善および走行安定性と安全性の向上を図る技術に関する。
一般的な車両の操舵装置は機械的に車輪と接続されているため、一般的には固定された単一のステアリングジオメトリしか取ることができず、アッカーマンジオメトリとパラレルジオメトリとの中間的なジオメトリに設定されることが多い。しかし、この場合、低速域では左右輪の舵角差が不足して外輪の舵角が過大となり、高速域では内輪の舵角が過大となる。このように内外輪の車輪横力配分に不要な偏りがあると、走行抵抗の悪化による燃費悪化及びタイヤの早期摩耗の原因となり、また内外輪を効率的に利用できないので、コーナリングのスムーズさが損なわれるといった課題がある。
そこで補助的な操舵機能を備えた技術(特許文献1,2)が提案されている。
しかし特許文献1では、モータを2個使っているため、モータの数量増によるコストの上昇が生じるだけでなく、制御が複雑になる。
特許文献2は、転舵軸に対しハブベアリングを片持ち支持しているため、剛性が低下し、過大な走行Gの発生によってステアリングジオメトリが変化してしまう可能性がある。
また転舵軸上に減速機を設けた場合、モータを含めてサイズが大きくなる。全体のサイズが大きくなると、車輪の内周部に全体を配置することが困難となる。また、減速比の大きい減速機を設けた場合、応答性が悪化する。
しかし特許文献1では、モータを2個使っているため、モータの数量増によるコストの上昇が生じるだけでなく、制御が複雑になる。
特許文献2は、転舵軸に対しハブベアリングを片持ち支持しているため、剛性が低下し、過大な走行Gの発生によってステアリングジオメトリが変化してしまう可能性がある。
また転舵軸上に減速機を設けた場合、モータを含めてサイズが大きくなる。全体のサイズが大きくなると、車輪の内周部に全体を配置することが困難となる。また、減速比の大きい減速機を設けた場合、応答性が悪化する。
特許文献3では、同文献3における図1および図2に操舵機能付ハブユニットを車両の前輪に適用した例が示されている。ハブベアリングを回転駆動させる操舵用アクチュエータは、ハブベアリングのインボード側面の隣接する位置に、車両の車幅方向内側に延伸する形で搭載されている。車両におけるホイールハウスおよび懸架装置は、前記操舵用アクチュエータとの干渉を避けるべく、空間を確保して設計する必要がある。前記ホイールハウスは車輪が収まる空間であり、前記懸架装置はサスペンションアーム、ばね、ショックアブソーバーおよびスタビライザ等を含む。
操舵用アクチュエータを、ハブベアリングのインボード側面の隣接する位置に、車両の車幅方向内側に延伸する形で搭載する場合、以下の課題がある。
操舵用アクチュエータが車両の車幅方向内側へ大きく張り出すと、前記操舵用アクチュエータの周辺にあるホイールハウスまたは懸架装置に干渉するおそれがあり、干渉を避けるべく空間を確保しようとすると、車両の設計の自由度を大きく損ねてしまう。一方、モータ等の操舵用アクチュエータの構成部品を小型化すると、操舵力および応答速度が低下し、本来の目的である走行性の安定等の向上を図ることが難しくなる。
操舵用アクチュエータが車両の車幅方向内側へ大きく張り出すと、前記操舵用アクチュエータの周辺にあるホイールハウスまたは懸架装置に干渉するおそれがあり、干渉を避けるべく空間を確保しようとすると、車両の設計の自由度を大きく損ねてしまう。一方、モータ等の操舵用アクチュエータの構成部品を小型化すると、操舵力および応答速度が低下し、本来の目的である走行性の安定等の向上を図ることが難しくなる。
本発明の目的は、操舵用アクチュエータの性能を落とすことなく小型化を図り、車両への搭載性および周辺設計の自由度を向上させることができる操舵機能付ハブユニット、操舵システムおよび車両を提供することである。
本発明の操舵機能付ハブユニットは、車輪を回転支持するハブベアリングを有するハブユニット本体、懸架装置の足回りフレーム部品に設けられ前記ハブユニット本体を上下方向に延びる転舵軸心回りに回転自在に支持するユニット支持部材、および前記ハブユニット本体を前記転舵軸心回りに回転駆動させる操舵用アクチュエータを備え、
前記操舵用アクチュエータは、モータと、このモータの回転を減速する減速機と、この減速機の回転出力を直進運動に変換する直動機構とを有する操舵機能付ハブユニットであって、
前記直動機構は、回転自在なナット部および進退可能なねじ軸を含む送りねじ機構と、前記ナット部を回転支持する回転支持部とを有し、前記減速機は、前記回転支持部よりも車両の車幅方向外側に配置されている。
前記操舵用アクチュエータは、モータと、このモータの回転を減速する減速機と、この減速機の回転出力を直進運動に変換する直動機構とを有する操舵機能付ハブユニットであって、
前記直動機構は、回転自在なナット部および進退可能なねじ軸を含む送りねじ機構と、前記ナット部を回転支持する回転支持部とを有し、前記減速機は、前記回転支持部よりも車両の車幅方向外側に配置されている。
この構成によると、ナット部を回転支持する回転支持部よりも車両の車幅方向外側に減速機が配置されているため、モータをより車両の車幅方向外側へ配置することができる。これにより、モータを含む操舵用アクチュエータの性能を落とすことなく、モータの車両の車幅方向内側への張り出しを最小限に抑えることができる。したがって、操舵用アクチュエータの小型化を図り、操舵機能付ハブユニットの車両への搭載性および周辺設計の自由度を向上させることができる。
前記減速機は、前記モータおよび前記ナット部にそれぞれ設けられたプーリと、これらプーリに掛け渡されたベルトとを有する平行軸式の減速機であってもよい。この場合、歯車列を有する減速機よりも、静音性に優れ、作動抵抗も低減することができる。
前記減速機は、歯車列を含む平行軸式の減速機であり、前記ナット部の外周に、前記歯車列におけるドリブンギヤが設けられていてもよい。この場合、プーリおよびベルトを有する減速機よりも、メンテナンス性に優れ、耐久性の向上を図れる。
前記直動機構は、台形ねじの滑りねじ式の前記送りねじ機構を備えてもよい。この場合、タイヤからの逆入力の防止効果を高めることができる。
前記直動機構は、前記送りねじ機構および前記回転支持部を覆うカバーであるアクチュエータケースを備えてもよい。この場合、アクチュエータケースにより送りねじ機構および回転支持部に異物等が侵入することを防止できると共に、送りねじ機構および回転支持部に潤滑剤を保持することができる。
前記回転支持部は、背面合わせされた一対の円すいころ軸受であってもよい。このように一対の円すいころ軸受を背面合わせに配置することで、正面合わせの場合よりも作用点間の距離が拡がり、アキシアル荷重に対する剛性に加えて、モーメント荷重に対する剛性を向上させることができる。例えば、操舵角度が増大すると、ハブユニット本体から直動機構に加わる荷重が、直動機構の直進方向に対して斜めにずれる。このため、モーメント荷重に対する剛性が高いと、路面から外力が作用した際の操舵角度を正確に保つうえで有利である。
前記回転支持部は、背面合わせされた一対のアンギュラ玉軸受であってもよい。操舵の負荷が小さい小型車両では、操舵用アクチュエータの推進力も比較的小さいため、回転支持部として一対のアンギュラ玉軸受を採用し得る。本発明によるナット部を回転支持する回転支持部に対し車幅方向外側に減速機を配置する構成を採用することで、モータの車幅方向内側への張り出しを抑えることができ、よりスペースの無い小型車に操舵機能付ハブユニットを容易に搭載することができる。また一対のアンギュラ玉軸受を背面合わせに配置することで、作用点間の距離が拡がり、アキシアル荷重に対する剛性に加えて、モーメント荷重に対する剛性を向上させることができる。
前記回転支持部は、複列円すいころ軸受であってもよい。この場合、回転支持部の軸方向のスペースをよりコンパクトにできるうえに、軸受単体の精度管理により予圧調整が可能となることから、組立性の向上が期待できる。
前記直動機構は、前記回転支持部に予圧を付与する予圧付与手段を備えてもよい。この場合、直動機構のがたつきを削減できると共にアキシアル荷重に対する剛性を確保することができる。
本発明の操舵システムは、本発明の上記いずれかの構成の操舵機能付ハブユニットと、この操舵機能付ハブユニットの操舵用アクチュエータを制御する制御装置とを備えた操舵システムであって、前記制御装置は、与えられた操舵角指令信号に応じた電流指令信号を出力する操舵制御部と、この操舵制御部から入力された電流指令信号に応じた電流を出力して前記操舵用アクチュエータを駆動制御するアクチュエータ駆動制御部とを有する。
この構成によると、操舵制御部は、与えられた操舵角指令信号に応じた電流指令信号を出力する。アクチュエータ駆動制御部は、操舵制御部から入力された電流指令信号に応じた電流を出力して操舵用アクチュエータを駆動制御する。したがって、運転者のハンドル操作による操舵に付加して車輪角度を任意に変更することができる。
本発明の車両は、本発明の上記いずれかの構成の操舵機能付ハブユニットを用いて前輪および後輪のいずれか一方または両方が支持される。このため、本発明の操舵機能付ハブユニットにつき前述した各効果が得られる。前輪は一般的に操舵輪とされるが、操舵輪に、本発明の操舵機能付ハブユニットを適用した場合は、走行中におけるトー角調整に効果的である。後輪は一般的に非操舵輪とされるが、非操舵輪に適用した場合は、非操舵輪の若干の操舵によって低速走行時における最小回転半径の低減および高速走行時における車両安定性の向上を図ることができる。
本発明の操舵機能付ハブユニットは、車輪を回転支持するハブベアリングを有するハブユニット本体、懸架装置の足回りフレーム部品に設けられ前記ハブユニット本体を上下方向に延びる転舵軸心回りに回転自在に支持するユニット支持部材、および前記ハブユニット本体を前記転舵軸心回りに回転駆動させる操舵用アクチュエータを備え、前記操舵用アクチュエータは、モータと、このモータの回転を減速する減速機と、この減速機の回転出力を直進運動に変換する直動機構とを有する操舵機能付ハブユニットであって、前記直動機構は、回転自在なナット部および進退可能なねじ軸を含む送りねじ機構と、前記ナット部を回転支持する回転支持部とを有し、前記減速機は、前記回転支持部よりも車両の車幅方向外側に配置されている。このため、操舵用アクチュエータの性能を落とすことなく小型化を図り、車両への搭載性および周辺設計の自由度を向上させることができる。
本発明の操舵システムは、本発明の上記いずれかの構成の操舵機能付ハブユニットと、この操舵機能付ハブユニットの操舵用アクチュエータを制御する制御装置とを備えた操舵システムであって、前記制御装置は、与えられた操舵角指令信号に応じた電流指令信号を出力する操舵制御部と、この操舵制御部から入力された電流指令信号に応じた電流を出力して前記操舵用アクチュエータを駆動制御するアクチュエータ駆動制御部とを有する。このため、操舵用アクチュエータの性能を落とすことなく小型化を図り、車両への搭載性および周辺設計の自由度を向上させることができる。
本発明の車両は、本発明の上記いずれかの構成の操舵機能付ハブユニットを用いて前輪および後輪のいずれか一方または両方が支持される。このため、操舵用アクチュエータの性能を落とすことなく小型化を図り、車両への搭載性および周辺設計の自由度を向上させることができる。
[第1の実施形態]
本発明の実施形態に係る操舵機能付ハブユニットを図1ないし図6および図10と共に説明する。
図1に示すように、この操舵機能付ハブユニット1は、ハブユニット本体2と、ユニット支持部材3と、操舵用アクチュエータ5とを備える。図10に示すように、本実施形態では、操舵機能付ハブユニット1は、トーションビーム式の懸架装置12Rで支持される左右の後輪9R,9Rを各輪独立して操舵する機能を有し、前輪操舵付きの車両10の後輪9R,9Rに適用される。懸架装置は、トーションビーム式のサスペンションに限定されるものではなく、マルチリンク式サスペンション等他のサスペンションを適用可能である。
本発明の実施形態に係る操舵機能付ハブユニットを図1ないし図6および図10と共に説明する。
図1に示すように、この操舵機能付ハブユニット1は、ハブユニット本体2と、ユニット支持部材3と、操舵用アクチュエータ5とを備える。図10に示すように、本実施形態では、操舵機能付ハブユニット1は、トーションビーム式の懸架装置12Rで支持される左右の後輪9R,9Rを各輪独立して操舵する機能を有し、前輪操舵付きの車両10の後輪9R,9Rに適用される。懸架装置は、トーションビーム式のサスペンションに限定されるものではなく、マルチリンク式サスペンション等他のサスペンションを適用可能である。
操舵機能付ハブユニット1は、ハンドル11aの操作等による左右の前輪9F,9Fの操舵と共に、左右の後輪9R,9Rを微小な角度(約±5deg)独立して操舵可能である。但し、操舵機能付ハブユニット1において、車両制御の要求によっては、前記微小な角度に限らず例えば10°~20°等の比較的大きな角度を左右輪個別に採ることもある。
図1および図10に示すように、懸架装置12Rの左右両側部には、ユニット支持部材3がそれぞれ取り付けられている。図2に示すように、ユニット支持部材3は、例えば、平板状の部材から成る。ユニット支持部材3のインボード側に、操舵用アクチュエータ5が設けられ、ユニット支持部材3のアウトボード側に、ハブユニット本体2が設けられる。操舵機能付ハブユニット1を車両に搭載した状態で、車両の車幅方向外側をアウトボード側といい、車両の車幅方向中央側をインボード側という。なお、操舵機能付ハブユニット1を単に、ハブユニット1と言う場合がある。
ハブユニット本体2と操舵用アクチュエータ5とはジョイント部8により連結されている。通常、このジョイント部8は、防水、防塵のために図示外のブーツが取り付けられている。
図1および図5に示すように、ハブユニット本体2は、車輪の回転軸心Oに直交し且つ上下方向に延びる転舵軸心A回りに回転自在なように、上下二箇所で回転支持部材4,4を介してユニット支持部材3に支持されている。図2に示すように、車輪9は、ホイール9aとタイヤ9bとを備える。
<ハブユニット本体2について>
図2および図5に示すように、ハブユニット本体2は、車輪9を回転支持するハブベアリング15と、上下の転舵軸部16b,16bと、操舵力受け部であるアーム部17とを備える。ハブベアリング15は、内輪18と、外輪19と、これら内外輪18,19間に介在したボール等の転動体20と、転動体20を保持する保持器とを有し、車体側の部材と車輪9とを繋ぎ、車輪9を滑らかに回転させる。
図2および図5に示すように、ハブユニット本体2は、車輪9を回転支持するハブベアリング15と、上下の転舵軸部16b,16bと、操舵力受け部であるアーム部17とを備える。ハブベアリング15は、内輪18と、外輪19と、これら内外輪18,19間に介在したボール等の転動体20と、転動体20を保持する保持器とを有し、車体側の部材と車輪9とを繋ぎ、車輪9を滑らかに回転させる。
このハブベアリング15は、外輪19が固定輪、内輪18が回転輪となり、転動体20が複列とされたアンギュラ玉軸受とされている。内輪18は、ハブフランジ18aaを有しアウトボード側の軌道面を構成するハブ輪部18aと、インボード側の軌道面を構成する内輪部18bとを有する。ハブフランジ18aaに、車輪9のホイール9aがブレーキロータ21aと重なり状態でボルト固定されている。内輪18は、回転軸心O回りに回転する。
上下の転舵軸部16b,16bは、外輪19の外周から上下に突出して設けられたトラニオン軸状である。この例では、上下の転舵軸部16b,16bは、外輪19に一体に形成されている。前記「一体に形成されている」とは、各転舵軸部16bと外輪19とが、複数の要素を結合したものではなく単一の材料から例えば鍛造、機械加工等により単独の物の一部として成形されたことを意味する。
なお外輪19の外周面に嵌合された円環部を備え、この円環部の外周から上下に突出して設けられたトラニオン軸状の転舵軸部16b,16bであってもよい。
なお外輪19の外周面に嵌合された円環部を備え、この円環部の外周から上下に突出して設けられたトラニオン軸状の転舵軸部16b,16bであってもよい。
図2および図3に示すように、ブレーキ21は、ブレーキロータ21aと、図示外のブレーキキャリパとを有する。前記ブレーキキャリパは上下二箇所のブレーキキャリパ取付部22に取付けられる。上下二箇所のブレーキキャリパ取付部22は、外輪19の外周面におけるインボード側端部からアーム状に突出して設けられている。よってハブベアリング15とブレーキキャリパ取付部22は、一体に操舵する。
<回転支持部材等>
図4および図5に示すように、各回転支持部材4は転がり軸受であり、この例では、転がり軸受として、円すいころ軸受が適用されている。転がり軸受は、転舵軸部16bの外周に嵌合された内輪4aと、保持部材Bhに嵌合された外輪4bと、内外輪4a,4b間に介在する複数の転動体4cとを有する。
図4および図5に示すように、各回転支持部材4は転がり軸受であり、この例では、転がり軸受として、円すいころ軸受が適用されている。転がり軸受は、転舵軸部16bの外周に嵌合された内輪4aと、保持部材Bhに嵌合された外輪4bと、内外輪4a,4b間に介在する複数の転動体4cとを有する。
上下の転舵軸部16b,16bは、それぞれユニット支持部材3に設けられた上下の保持部材Bh,Bhの軸受嵌合凹部13,13にそれぞれ嵌合する上下一対の前記回転支持部材4,4を介して、ユニット支持部材3に支持されている。各保持部材Bhは、外輪4bの外周面が嵌合される略円筒形状の保持部材本体部Bbを有する。
図1および図4に示すように、上下の保持部材Bh,Bhには、上下の保持部材本体部Bb,Bb同士を互いに連結する一対のビームBm,Bmが設けられている。各ビームBmはそれぞれ上下方向に延び、長手方向上端部が上側の保持部材本体部Bbのねじ部にボルト33で締結され、長手方向下端部が下側の保持部材本体部Bbのねじ部にボルト33で締結される。これにより転舵軸部16b(図5)の剛性をより高め得る。
図4および図5に示すように、各回転支持部材4は車輪9のホイール9a(図2)内に位置する。この例では、各回転支持部材4が、ホイール9a(図2)内でこのホイール9a(図2)内の幅方向中間付近に配置される。
図1および図4に示すように、上下の保持部材Bh,Bhには、上下の保持部材本体部Bb,Bb同士を互いに連結する一対のビームBm,Bmが設けられている。各ビームBmはそれぞれ上下方向に延び、長手方向上端部が上側の保持部材本体部Bbのねじ部にボルト33で締結され、長手方向下端部が下側の保持部材本体部Bbのねじ部にボルト33で締結される。これにより転舵軸部16b(図5)の剛性をより高め得る。
図4および図5に示すように、各回転支持部材4は車輪9のホイール9a(図2)内に位置する。この例では、各回転支持部材4が、ホイール9a(図2)内でこのホイール9a(図2)内の幅方向中間付近に配置される。
各転舵軸部16bには、転舵軸心Aに沿って延びる雌ねじ部がそれぞれ形成され、この雌ねじ部に螺合するボルト23が設けられている。ボルト23は、フランジ23a付きのボルト23であって、内輪4aの端面にフランジ23aを当接させた状態で前記雌ねじ部に螺合することで内輪4aの端面に押圧力を付与し得る。これにより各回転支持部材4にそれぞれ予圧を与えることで各回転支持部材4の剛性を高め得る。車両の重量がこのハブユニット1に作用した場合でも初期予圧が抜けないように設定される。
回転支持部材4は、円すいころ軸受に限るものではなく、最大負荷等の使用条件によってはアンギュラ玉軸受、球面滑り軸受等の他の形式の軸受を用いることも可能である。その場合も、上記と同様に予圧を与えることができる。なお、フランジ無しのボルトの頭部と内輪4aの端面との間に円板状の押圧部材(図示せず)を介在させ、前記雌ねじ部に螺合するボルトにより、内輪4aの端面に押圧力を付与することで、各回転支持部材4にそれぞれ予圧を与えてもよい。
<操舵用アクチュエータ5>
図2に示すように、操舵用アクチュエータ5は、ハブユニット本体2を転舵軸心A回りに回転駆動させる機能を有する。操舵用アクチュエータ5は、モータ26と、モータ26の回転を減速する減速機27と、この減速機27の正逆の回転出力を出力ロッド25aの往復直線動作に変換する直動機構25とを備える。モータ26は、例えば永久磁石型同期モータとされるが、直流モータであっても、誘導モータであってもよい。
図2に示すように、操舵用アクチュエータ5は、ハブユニット本体2を転舵軸心A回りに回転駆動させる機能を有する。操舵用アクチュエータ5は、モータ26と、モータ26の回転を減速する減速機27と、この減速機27の正逆の回転出力を出力ロッド25aの往復直線動作に変換する直動機構25とを備える。モータ26は、例えば永久磁石型同期モータとされるが、直流モータであっても、誘導モータであってもよい。
<減速機27>
減速機27は、ベルト伝達機構等の巻き掛け式伝達機構または歯車列等を用いることができ、図2および図6の例ではベルト伝達機構が用いられている。減速機27は、ドライブプーリ27a,ドリブンプーリ27bと、これらプーリ27a,27bに掛け渡されたベルト27cとを有する平行軸式の減速機である。モータ26のモータ軸にドライブプーリ27aが結合され、直動機構25のナット部(後述する)25cにドリブンプーリ27bが設けられている。このドリブンプーリ27bは、前記モータ軸に平行に配置されている。
減速機27は、ベルト伝達機構等の巻き掛け式伝達機構または歯車列等を用いることができ、図2および図6の例ではベルト伝達機構が用いられている。減速機27は、ドライブプーリ27a,ドリブンプーリ27bと、これらプーリ27a,27bに掛け渡されたベルト27cとを有する平行軸式の減速機である。モータ26のモータ軸にドライブプーリ27aが結合され、直動機構25のナット部(後述する)25cにドリブンプーリ27bが設けられている。このドリブンプーリ27bは、前記モータ軸に平行に配置されている。
減速機27は、後述する回転支持部28よりも車両の車幅方向外側に配置されている。モータ26の駆動力は、ドライブプーリ27aからベルト27cを介してドリブンプーリ27bに伝達される。前記ドライブプーリ27a,ドリブンプーリ27bとベルト27cとで、巻き掛け式の減速機27が構成される。
<直動機構25>
図6(a)は操舵用アクチュエータ5の内部構造を詳細に示す拡大断面図、図6(b)は図6(a)のVI(b)部の部分拡大断面図である。
図6(a),(b)に示すように、直動機構25は、滑りねじ等の送りねじ機構、またはラック・ピニオン機構等を用いることができ、この例では台形ねじ38aの滑りねじ式の送りねじ機構38が用いられている。この直動機構25は、送りねじ機構38、回転支持部28、回転固定部材43、予圧付与手段45およびこれらの構成部品を覆うカバーであるアクチュエータケース46を備える。
図6(a)は操舵用アクチュエータ5の内部構造を詳細に示す拡大断面図、図6(b)は図6(a)のVI(b)部の部分拡大断面図である。
図6(a),(b)に示すように、直動機構25は、滑りねじ等の送りねじ機構、またはラック・ピニオン機構等を用いることができ、この例では台形ねじ38aの滑りねじ式の送りねじ機構38が用いられている。この直動機構25は、送りねじ機構38、回転支持部28、回転固定部材43、予圧付与手段45およびこれらの構成部品を覆うカバーであるアクチュエータケース46を備える。
送りねじ機構38は、ドリブンプーリ27bが締結されたナット部25cと、このナット部25cの内周に螺合状態に配置されたねじ軸25Aと、すべり軸受47とを有する。滑りねじ内部には、潤滑剤であるグリースが封入されている。ナット部25cおよびねじ軸25Aは、前記台形ねじ38aを構成するねじ溝およびねじ山を有するため、タイヤ9b(図2)からの逆入力の防止効果を高め得る。ナット部25cの軸方向一端には、ねじ軸25Aの出力ロッド25aが摺動可能に貫通する前記すべり軸受47が設けられている。すべり軸受47は、ねじ軸25Aの軸方向の移動を案内すると共に、タイヤ側からの外力がねじ軸25Aに入力された場合に、前記滑りねじにラジアル方向およびモーメント方向の力が負荷されることを防止する。
ナット部25cの外周には、アウトボード側からインボード側に向けて順次、小径部、大径部、中径部および雄ねじ部が形成されている。前記小径部に段差部を介して大径部が繋がり、この大径部のインボート側に段差部を介して中径部が繋がっている。ナット部25cの小径部と、この小径部の径方向外方に対向するアクチュエータケース46の内周面との間には、外部からアクチュエータケース46内に異物、水等が浸入することを防止する環状のシール部材48が設けられている。
ナット部25cの大径部にドリブンプーリ27bが例えば嵌合により固定され、ナット部25cの中径部に、ナット部25cを回転支持する回転支持部28が嵌合固定されている。回転支持部28は、ドリブンプーリ27bを含む減速機27に対し、インボード側に配置されている。換言すれば、減速機27は、回転支持部28よりも車両の車幅方向外側に配置されている。回転支持部28として、この例では、一対の円すいころ軸受28a,28aが背面合わせで組み合わされている。なおナット部25cの大径部に、図示外のキーを介してドリブンプーリ27bの内周面を固定してもよい。ナット部25cの雄ねじ部には、ナット49が螺合されている。
各円すいころ軸受28aは、固定輪である外輪と、回転輪である内輪と、内外輪間に介在する複数の転動体と、これら転動体を保持する保持器とを有する。ナット部25cの中径部に前記各内輪が嵌合固定されると共に、前記中径部における、内輪間に、間座50が配置されている。アクチュエータケース46に、前記各外輪が嵌合固定されている。予圧付与手段45は、前記内輪間に配置される間座50と、前記雄ねじ部に螺合されるナット49とを備え、回転支持部28に予圧を付与する。間座50の厚みつまり軸方向寸法を調整することで適正な予圧が掛けられる。アウトボード側の前記内輪におけるアウトボード側端面がナット部25cの段差部に当接され、インボード側の内輪におけるインボード側端面がナット49に当接された状態でこのナット49が前記雄ねじ部に締め込まれることで回転支持部28に予圧が付与される。
回転固定部材43は、出力ロッド25aをユニット支持部材3に対して回り止めする軸状部材である。この回転固定部材43は、出力ロッド25aのインボード側端部において、出力ロッド25aの軸方向に直交する方向に延びるように、出力ロッド25aに貫通状に嵌合固定されている。回転固定部材43の外周における軸方向両端部には、例えば、環状のすべり軸受51(図8参照)が嵌合されている。
アクチュエータケース46内には、前記すべり軸受の外周面を、ねじ軸25Aの軸方向に沿ってそれぞれ案内する案内面を含む矩形断面状の案内溝が形成されている。換言すれば、回転固定部材43は、前記すべり軸受51(図8)を介して、直動機構25の固定部分であるアクチュエータケース46の前記案内面に摺動自在に接触する。よって回転固定部材43を、前記すべり軸受51(図8参照)を介してアクチュエータケース46の前記矩形断面状の案内溝に沿って摺動させることで、出力ロッド25aを軸方向に往復運動させ得る。
モータ26、減速機27および直動機構25を備えた操舵用アクチュエータ5は、準組立品として組み立てられユニット支持部材3にボルト等により着脱自在に取り付けられる。ユニット支持部材3には、直動機構25をケース内所定位置に支持する嵌合孔、および、出力ロッド25aの進退を許す貫通孔ha等が形成されている。
なお直動機構25には台形ねじ38aの滑りねじを用いた送りねじ機構38を示したが、ボールねじ(図示せず)を用いた直動機構としてもよい。
なお直動機構25には台形ねじ38aの滑りねじを用いた送りねじ機構38を示したが、ボールねじ(図示せず)を用いた直動機構としてもよい。
<センサ等>
車輪の操舵角度をより正確に制御するために、アクチュエータケース46には、直動機構25の位置を検出する位置センサ52が設けられている。位置センサ52は、出力ロッド25aの軸方向の移動量を検出し位置センサ値として出力可能である。位置センサ52は、磁気式、光学式、静電容量式等の各種のセンサを用いることができるが、この実施形態では、磁気センサが用いられている。
車輪の操舵角度をより正確に制御するために、アクチュエータケース46には、直動機構25の位置を検出する位置センサ52が設けられている。位置センサ52は、出力ロッド25aの軸方向の移動量を検出し位置センサ値として出力可能である。位置センサ52は、磁気式、光学式、静電容量式等の各種のセンサを用いることができるが、この実施形態では、磁気センサが用いられている。
アクチュエータケース46内に固定された基板53に、位置センサ52が固定されている。回転固定部材43の軸方向一端部に、位置センサ用測定ターゲットTg(図8参照)が設けられている。前記位置センサ用測定ターゲットとして、永久磁石が適用される。位置センサ52は、前記位置センサ用測定ターゲットが進退する経路に対向する。前記出力ロッド25aが定められた軸方向位置(進退位置)のとき、位置センサ52と前記位置センサ用測定ターゲットTg(図8参照)とが定められたギャップを隔てて互いに対向する。位置センサ52は、出力ロッド25aの進退に伴う前記永久磁石の磁場の変化を読み取り、出力ロッド25aの進退位置を検出する。前記定められたギャップは、設計等によって任意に定めるギャップであって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切なギャップを求めて定められる。
<作用効果>
以上説明した操舵機能付ハブユニット1によれば、車輪9を支持するハブベアリング15を含むハブユニット本体2を、操舵用アクチュエータ5の駆動により、転舵軸心A回りに自由に回転させることができる。ハブユニット本体2は、操舵用アクチュエータ5の出力ロッド25aをモータ26の駆動により進退させることで、出力ロッド25aに連結されたアーム部17を介して回転させられる。
以上説明した操舵機能付ハブユニット1によれば、車輪9を支持するハブベアリング15を含むハブユニット本体2を、操舵用アクチュエータ5の駆動により、転舵軸心A回りに自由に回転させることができる。ハブユニット本体2は、操舵用アクチュエータ5の出力ロッド25aをモータ26の駆動により進退させることで、出力ロッド25aに連結されたアーム部17を介して回転させられる。
操舵用アクチュエータ5によりハブベアリング15(図5)を転舵軸心A回りに一定の範囲で自由に回転させることができ、車両の走行状況に応じて、例えば、車輪9のトー角を任意に変更することができる。
この操舵機能付ハブユニット1の構成を前輪に適用した場合、ステアリング装置11(図11)により運転者のハンドル11aの操作で、車輪9はナックル6(図11)およびユニット支持部材3と共に操舵されるが、この操舵に付加する形で転舵軸心A回りに僅かな角度の補助操舵を車輪毎に独立して行える。補助操舵の角度については、車両の運動性能の向上、走行の安定・安全性向上を図るにつき、僅かな角度で足り、補助操舵可能角度が±5度以下であっても十分に足りる。補助操舵の角度は操舵用アクチュエータ5の制御により行う。
この操舵機能付ハブユニット1の構成を前輪に適用した場合、ステアリング装置11(図11)により運転者のハンドル11aの操作で、車輪9はナックル6(図11)およびユニット支持部材3と共に操舵されるが、この操舵に付加する形で転舵軸心A回りに僅かな角度の補助操舵を車輪毎に独立して行える。補助操舵の角度については、車両の運動性能の向上、走行の安定・安全性向上を図るにつき、僅かな角度で足り、補助操舵可能角度が±5度以下であっても十分に足りる。補助操舵の角度は操舵用アクチュエータ5の制御により行う。
また、旋回走行時に、走行速度に応じて左右輪の舵角差を変えることができる。例えば、高速域の旋回走行においてはパラレルジオメトリとし、低速域の旋回走行においてはアッカーマンジオメトリとする等、走行中にステアリングジオメトリを変化させることができる。このように走行中に車輪角度を任意に変更することができるため、車両の運動性能を向上させ、安定・安全に走行することが可能となる。さらに、左右輪の操舵角度を適切に変えることで、旋回走行における車両の旋回半径を小さくし、小回り性能を向上させることもできる。
さらに直線走行時にも、それぞれの場面に合わせてトー角を調整することで、低速時には燃費を悪化させることなく、高速時には走行安定性を確保する等調整が可能である。
さらに直線走行時にも、それぞれの場面に合わせてトー角を調整することで、低速時には燃費を悪化させることなく、高速時には走行安定性を確保する等調整が可能である。
この操舵機能付ハブユニット1の構成を後輪に適用した場合は、ハブユニット全体は操舵しないが、操舵機能により、前輪と同様に僅かな角度の操舵を車輪毎に独立して行える。後輪の舵角を前輪と同じ位相にすると、操舵時に発生するヨーを抑え、車両の安定性を高めることができる。さらに直線走行時にも左右独立でトー角を調整することで、燃費の向上および走行安定性を確保することができる。
ナット部25cを回転支持する回転支持部28よりも車両の車幅方向外側に減速機27が配置されている。このため、ナット部25cの外周部の軸方向中間部にドリブンプーリ27bが設けられ、このドリブンプーリ27bの軸方向両側に転がり軸受28b,28bが設けられる従来構成(図13,図14)よりも、モータ26をより車両の車幅方向外側へ配置することができる。これにより、モータ26を含む操舵用アクチュエータ5の性能を落とすことなく、モータ26の車両の車幅方向内側への張り出しを最小限に抑えることができる。したがって、操舵用アクチュエータ5の小型化を図り、操舵機能付ハブユニット1の車両への搭載性および周辺設計の自由度を向上させることができる。
一対の転がり軸受28b,28bの間にドリブンプーリ27bが配置される従来構成(図13,図14)では、減速機は軸受幅一つ分だけ、車幅方向内側に寄ってしまう。このことから、モータが車幅方向内側に張り出してしまい、周辺との干渉が避けられない。また、回転支持部である転がり軸受の組立の都合上、一対の転がり軸受は正面合わせとならざるを得ない。これにより、作用点間の距離を拡げられず、モーメント剛性の向上が期待できない。
減速機27は、ドライブプーリ27a,ドリブンプーリ27bとベルト27cとを有する平行軸式の減速機であるため、例えば、歯車列を有する減速機よりも、静音性に優れ、作動抵抗も低減することができる。
直動機構25は、アクチュエータケース46により送りねじ機構38および回転支持部28に異物等が侵入することを防止できると共に、送りねじ機構38および回転支持部28に潤滑剤を保持することができる。
直動機構25は、アクチュエータケース46により送りねじ機構38および回転支持部28に異物等が侵入することを防止できると共に、送りねじ機構38および回転支持部28に潤滑剤を保持することができる。
回転支持部28として、背面合わせされた一対の円すいころ軸受28a,28aを採用することで、正面合わせの場合よりも作用点間の距離が拡がり、アキシアル荷重に対する剛性に加えて、モーメント荷重に対する剛性を向上させることができる。例えば、操舵角度が増大すると、ハブユニット本体2から直動機構25に加わる荷重が、直動機構25の直進方向に対して斜めにずれる。このため、モーメント荷重に対する剛性が高いと、路面から外力が作用した際の操舵角度を正確に保つうえで有利である。
台形ねじ38aが形成されるナット部25cは、ドリブンプーリ27bが締結され、減速機27からの回転力が伝達されると共に、操舵用アクチュエータ5の推進力の反力が作用することから、互いに逆方向の接触角を有する一対の円すいころ軸受28a,28aにより、両方向のアキシアル荷重を受け止めつつ回転支持される。
直動機構25は、回転支持部28に予圧を付与する予圧付与手段45を備えたため、直動機構25のがたつきを削減できると共にアキシアル荷重に対する剛性を確保することができる。
直動機構25は、回転支持部28に予圧を付与する予圧付与手段45を備えたため、直動機構25のがたつきを削減できると共にアキシアル荷重に対する剛性を確保することができる。
<他の実施形態について>
以下の説明においては、各実施形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。各実施形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
以下の説明においては、各実施形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。各実施形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
[第2の実施形態:平行軸式の歯車列による減速機]
図7に示すように、減速機27は、歯車列57を含む平行軸式の減速機であってもよい。この減速機27は、ドライブギヤ54と、ドリブンギヤ55と、アイドラギヤ56とを有する歯車列57を備える。歯車列57はグリース潤滑またはオイル潤滑を選択可能である。ドライブギヤ54、ドリブンギヤ55およびアイドラギヤ56の各ギヤを、総称して「歯車」と称す。歯車として、例えば、鋳鉄、鋳鋼または機械構造用炭素鋼等から成るはすば歯車が適用される。その他歯車に使用できる材質として、例えば、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート等の樹脂を適用可能である。また前記はすば歯車に代えて平歯車を適用することも可能である。
図7に示すように、減速機27は、歯車列57を含む平行軸式の減速機であってもよい。この減速機27は、ドライブギヤ54と、ドリブンギヤ55と、アイドラギヤ56とを有する歯車列57を備える。歯車列57はグリース潤滑またはオイル潤滑を選択可能である。ドライブギヤ54、ドリブンギヤ55およびアイドラギヤ56の各ギヤを、総称して「歯車」と称す。歯車として、例えば、鋳鉄、鋳鋼または機械構造用炭素鋼等から成るはすば歯車が適用される。その他歯車に使用できる材質として、例えば、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート等の樹脂を適用可能である。また前記はすば歯車に代えて平歯車を適用することも可能である。
モータ26のモータ軸にドライブギヤ54が結合され、直動機構25におけるナット部25cの外周のうち大径部に、出力ギヤであるドリブンギヤ55が嵌合固定されている。アイドラギヤ56は、アクチュエータケース46に支持された支持軸58に、転がり軸受59,59を介して回転自在に支持され、ドライブギヤ54およびドリブンギヤ55に噛み合う。ドリブンギヤ55の軸心は、前記支持軸58に平行で且つ前記モータ軸に平行となるように配置されている。
モータ26の駆動力は、ドライブギヤ54からアイドラギヤ56を介してドリブンギヤ55に伝達される。アイドラギヤ56を回転支持する各転がり軸受59としては、この例では深溝玉軸受が適用されているが、針状ころ軸受、アンギュラ玉軸受等の転がり軸受を適用してもよい。
この構成によると、減速機27は、歯車列57を含む平行軸式の減速機であり、ナット部25cの外周に、歯車列57におけるドリブンギヤ55が設けられているため、プーリおよびベルトを有する減速機よりも、メンテナンス性に優れ、耐久性の向上を図れる。その他前述の実施形態と同様の作用効果を奏する。
[第3の実施形態:単列アンギュラ玉軸受背面合わせ]
図8に示すように、直動機構25の回転支持部28は、背面合わせされた一対のアンギュラ玉軸受28c,28cであってもよい。その他、第1の実施形態と同様の構成である。
操舵の負荷が小さい小型車両では、操舵用アクチュエータの推進力も比較的小さいため、回転支持部28として一対のアンギュラ玉軸受28c,28cを採用し得る。ナット部25cを回転支持する回転支持部28に対し車幅方向外側に減速機27を配置する構成を採用することで、モータの車幅方向内側への張り出しを抑えることができ、よりスペースの無い小型車に操舵機能付ハブユニットを容易に搭載することができる。また一対のアンギュラ玉軸受28c,28cを背面合わせに配置することで、正面合わせの場合よりも作用点間の距離が拡がり、アキシアル荷重に対する剛性に加えて、モーメント荷重に対する剛性を向上させることができる。
図8に示すように、直動機構25の回転支持部28は、背面合わせされた一対のアンギュラ玉軸受28c,28cであってもよい。その他、第1の実施形態と同様の構成である。
操舵の負荷が小さい小型車両では、操舵用アクチュエータの推進力も比較的小さいため、回転支持部28として一対のアンギュラ玉軸受28c,28cを採用し得る。ナット部25cを回転支持する回転支持部28に対し車幅方向外側に減速機27を配置する構成を採用することで、モータの車幅方向内側への張り出しを抑えることができ、よりスペースの無い小型車に操舵機能付ハブユニットを容易に搭載することができる。また一対のアンギュラ玉軸受28c,28cを背面合わせに配置することで、正面合わせの場合よりも作用点間の距離が拡がり、アキシアル荷重に対する剛性に加えて、モーメント荷重に対する剛性を向上させることができる。
[第4の実施形態:複列円すいころ軸受]
図9に示すように、回転支持部は、複列円すいころ軸受28Aであってもよい。この場合、回転支持部28Aの軸方向のスペースをよりコンパクトにできるうえに、軸受単体の精度管理により予圧調整が可能となることから、組立性の向上が期待できる。また、この構成では、内輪間に間座を配置することなく、内輪の差幅を調整することで適正な予圧が掛けられる。この場合の予圧付与手段45は、ナット部25cの雄ねじ部に螺合されるナット49である。なお、各実施形態と同様に、内輪間に間座を配置しこの間座の軸方向寸法を調整することで適正な予圧を掛けるようにしてもよい。
図9に示すように、回転支持部は、複列円すいころ軸受28Aであってもよい。この場合、回転支持部28Aの軸方向のスペースをよりコンパクトにできるうえに、軸受単体の精度管理により予圧調整が可能となることから、組立性の向上が期待できる。また、この構成では、内輪間に間座を配置することなく、内輪の差幅を調整することで適正な予圧が掛けられる。この場合の予圧付与手段45は、ナット部25cの雄ねじ部に螺合されるナット49である。なお、各実施形態と同様に、内輪間に間座を配置しこの間座の軸方向寸法を調整することで適正な予圧を掛けるようにしてもよい。
各実施形態において、直動機構25には、本実施形態に示す台形ねじ38aの他、ボールねじまたはラックアンドピニオン機構等、回転運動を直動運動に変換可能な機構が使用できる。
一対の円すいころ軸受28a,28aまたはアンギュラ玉軸受28c,28cを正面合わせに配置することも可能である。
一対の円すいころ軸受28a,28aまたはアンギュラ玉軸受28c,28cを正面合わせに配置することも可能である。
図11に示すように、前輪操舵の車両において、操舵機能付ハブユニット1は、操舵輪である左右の前輪9Fに装備されてもよい。この場合、ユニット支持部材3(図1)が、懸架装置12のナックル(足回りフレーム部品)6に一体または別体に設けられる。前記操舵機能付ハブユニット1の転舵軸心Aは、主な操舵を行うキングピン軸とは異なっている。通常の車両は、車両走行の直進安定性の向上を目的としてキングピン角度が10~20度で設定されているが、この実施形態の操舵機能付ハブユニット1は、前記キングピン角度とは別の角度(軸)の転舵軸を有する。
その他図12に示すように、操舵機能付ハブユニット1を、操舵輪である左右の前輪9F,9Fおよび非操舵輪である左右の後輪9R,9Rにそれぞれ用いてもよい。
<操舵システムについて>
図1に示すように、この操舵システムは、いずれかの実施形態に係る操舵機能付ハブユニット1と、この操舵機能付ハブユニット1の操舵用アクチュエータ5を制御する制御装置29とを備える。制御装置29は、操舵制御部30と、アクチュエータ駆動制御部31とを有する。操舵制御部30は、上位制御部32から与えられた補助操舵角指令信号(操舵角指令信号)に応じた電流指令信号を出力する。
図1に示すように、この操舵システムは、いずれかの実施形態に係る操舵機能付ハブユニット1と、この操舵機能付ハブユニット1の操舵用アクチュエータ5を制御する制御装置29とを備える。制御装置29は、操舵制御部30と、アクチュエータ駆動制御部31とを有する。操舵制御部30は、上位制御部32から与えられた補助操舵角指令信号(操舵角指令信号)に応じた電流指令信号を出力する。
上位制御部32は操舵制御部30の上位の制御手段であり、この上位制御部32として、例えば、車両全般を制御する電気制御ユニット(Vehicle Control Unit,略称VCU)が適用される。アクチュエータ駆動制御部31は、操舵制御部30から入力された電流指令信号に応じた電流を出力して操舵用アクチュエータ5を駆動制御する。アクチュエータ駆動制御部31は、モータ26のコイルに供給する電力を制御する。このアクチュエータ駆動制御部31は、例えば、図示外のスイッチ素子を用いたハーフブリッジ回路を構成し、前記スイッチ素子のON-OFFデューティ比によりモータ印加電圧を決定するPWM制御を行う。これにより、運転者のハンドル操作による操舵に付加して、車輪を微小に角度変化することができる。直線走行時にも、それぞれの場面に合わせてトー角の量を調整し得る。
操舵システムは、運転者のハンドル操作に代えて、図示外の自動運転装置、運転支援装置の指令等によって操舵用アクチュエータ5,5を動作させてもよい。
以上、実施形態に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上、実施形態に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…操舵機能付ハブユニット、2…ハブユニット本体、3…ユニット支持部材、6…ナックル(足回りフレーム部品)、9…車輪、9F…前輪、9R…後輪、10…車両、12,12R…懸架装置、15…ハブベアリング、25…直動機構、25A…ねじ軸、25c…ナット部、26…モータ、27…減速機、27a…ドライブプーリ、27b…ドリブンプーリ、27c…ベルト、28…回転支持部、28A…複列円すいころ軸受、28a…円すいころ軸受、28c…アンギュラ玉軸受、29…制御装置、30…操舵制御部、31…アクチュエータ駆動制御部、38…送りねじ機構、38a…台形ねじ、45…予圧付与手段、46…アクチュエータケース、55…ドリブンギヤ、57…歯車列
Claims (11)
- 車輪を回転支持するハブベアリングを有するハブユニット本体、懸架装置の足回りフレーム部品に設けられ前記ハブユニット本体を上下方向に延びる転舵軸心回りに回転自在に支持するユニット支持部材、および前記ハブユニット本体を前記転舵軸心回りに回転駆動させる操舵用アクチュエータを備え、
前記操舵用アクチュエータは、モータと、このモータの回転を減速する減速機と、この減速機の回転出力を直進運動に変換する直動機構とを有する操舵機能付ハブユニットであって、
前記直動機構は、回転自在なナット部および進退可能なねじ軸を含む送りねじ機構と、前記ナット部を回転支持する回転支持部とを有し、前記減速機は、前記回転支持部よりも車両の車幅方向外側に配置されている操舵機能付ハブユニット。 - 請求項1に記載の操舵機能付ハブユニットにおいて、前記減速機は、前記モータおよび前記ナット部にそれぞれ設けられたプーリと、これらプーリに掛け渡されたベルトとを有する平行軸式の減速機である操舵機能付ハブユニット。
- 請求項1に記載の操舵機能付ハブユニットにおいて、前記減速機は、歯車列を含む平行軸式の減速機であり、前記ナット部の外周に、前記歯車列におけるドリブンギヤが設けられている操舵機能付ハブユニット。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の操舵機能付ハブユニットにおいて、前記直動機構は、台形ねじの滑りねじ式の前記送りねじ機構を備える操舵機能付ハブユニット。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の操舵機能付ハブユニットにおいて、前記直動機構は、前記送りねじ機構および前記回転支持部を覆うカバーであるアクチュエータケースを備える操舵機能付ハブユニット。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の操舵機能付ハブユニットにおいて、前記回転支持部は、背面合わせされた一対の円すいころ軸受である操舵機能付ハブユニット。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の操舵機能付ハブユニットにおいて、前記回転支持部は、背面合わせされた一対のアンギュラ玉軸受である操舵機能付ハブユニット。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の操舵機能付ハブユニットにおいて、前記回転支持部は、複列円すいころ軸受である操舵機能付ハブユニット。
- 請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載の操舵機能付ハブユニットにおいて、前記直動機構は、前記回転支持部に予圧を付与する予圧付与手段を備える操舵機能付ハブユニット。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の操舵機能付ハブユニットと、この操舵機能付ハブユニットの操舵用アクチュエータを制御する制御装置とを備えた操舵システムであって、前記制御装置は、与えられた操舵角指令信号に応じた電流指令信号を出力する操舵制御部と、この操舵制御部から入力された電流指令信号に応じた電流を出力して前記操舵用アクチュエータを駆動制御するアクチュエータ駆動制御部とを有する操舵システム。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の操舵機能付ハブユニットを用いて前輪および後輪のいずれか一方または両方が支持された車両。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021016504A JP2022119413A (ja) | 2021-02-04 | 2021-02-04 | 操舵機能付ハブユニット、操舵システムおよび車両 |
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JP2022119413A true JP2022119413A (ja) | 2022-08-17 |
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ID=82848248
Family Applications (1)
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JP2021016504A Pending JP2022119413A (ja) | 2021-02-04 | 2021-02-04 | 操舵機能付ハブユニット、操舵システムおよび車両 |
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JP (1) | JP2022119413A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024048560A1 (ja) * | 2022-09-01 | 2024-03-07 | Ntn株式会社 | 操舵機能付ハブユニット、操舵システムおよび車両 |
-
2021
- 2021-02-04 JP JP2021016504A patent/JP2022119413A/ja active Pending
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WO2024048560A1 (ja) * | 2022-09-01 | 2024-03-07 | Ntn株式会社 | 操舵機能付ハブユニット、操舵システムおよび車両 |
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