JP2022105423A - ハーフプレキャスト部材およびコンクリート版の施工方法 - Google Patents
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Description
ハーフプレキャスト部材には、予め鉄筋が突設されているのが一般的である。現場打ち部分の鉄筋は、ハーフプレキャスト部材に突設された鉄筋を利用して配筋する。例えば、特許文献1には、ハーフプレキャスト部材の上面からあばら筋の一部を突出させ、現場打ち部分の主筋をあばら筋の内空側(あばら筋とハーフプレキャスト部材の表面との間)に軸方向に沿って挿入する配筋方法が開示されている。
床版や頂版などの版状の部材を施工する場合には、せん断補強筋が突設されたハーフプレキャスト部材の表面から隙間をあけて、現場打ち部分の主筋および配力筋を格子状に配筋する必要がある。せん断補強筋は、端部に形成されたフック状の係止部を格子状の鉄筋に係止する。なお、コンクリート部材の上筋と下筋とを連結するせん断補強筋の端部にフック状の係止部が形成されていると、主筋および配力筋を配筋する際に障害になってしまう。そのため、ハーフプレキャスト部材に突設した下側せん断補強筋と、格子状の鉄筋に係止させる上側せん断補強筋とを重ね継手により連結する場合がある。ところが、せん断補強筋を分割する施工方法は、配筋作業に手間がかかるとともに、重ね継手の分だけ鉄筋量が増加してしまう。
前記ハーフプレキャスト部材を使用したコンクリート版の施工方法は、ハーフプレキャスト部材を配設するPCa版配設工程と、前記上鉄筋を配筋する配筋工程と、前記ハーフプレキャスト部材上にコンクリートを打設する打設工程とを備えている。前記配筋工程では、前記上側格子状鉄筋を構成する第一筋および第二筋のうち下側に配筋される第一筋を前記補強筋に固定した後、上側に配筋される第二筋を前記係止部と前記第一筋との間に挿入する。
かかるハーフプレキャスト部材およびコンクリート版の施工方法によれば、ハーフプレキャスト部材に予めせん断補強筋(補強筋)が配筋されているため、上側格子状鉄筋の配筋後にせん断補強筋を配筋する手間を省略できる。また、せん断補強筋を継ぎ足す必要もないため、重ね継手による鉄筋量の増加を招くこともない。せん断補強筋の係止部は、平板状を呈しているため、上側格子状鉄筋の配筋は係止部の下側に滑り込ませればよく、したがって、上側格子状鉄筋の配筋作業時にせん断補強筋の存在が障害になることもない。また、ハーフプレキャスト部材を使用することで、フルプレキャスト部材を使用するよりも低コストに抑えることができる。
また、複数の前記補強筋同士を連結する連結部材を有していれば、コンクリート版の部材厚が大きく、補強筋の突出長が大きい場合であっても、補強筋の変形を抑制できる。
さらに、前記第一筋の下端に当接する高さ位置に連結部材(段取り筋)を複数の前記補強筋に横架しておき、前記配筋工程において、前記連結部材と前記補強筋との角部に前記第一筋を配筋した後、前記第一筋と前記補強筋の角部に前記第二筋を配筋するのが望ましい。こうすることで、上側格子状鉄筋の位置決めが容易にとなり、工期短縮化を図ることができる。
本実施形態のボックスカルバート1は、図1に示すように、頂版11と、左右の側壁12,12と底版13とにより断面視矩形枠状を呈している。ボックスカルバート1の頂版11は、左右の側壁12,12に横架されたハーフプレキャスト部材2と、側壁12の上面及びハーフプレキャスト部材2の上面に打設された現場打ちコンクリート3とにより構成されている。図2(a)に頂版11の縦断面図を示す。図2(a)に示すように、頂版11の上部には上面に沿って上側格子状鉄筋4が配筋されていて、頂版11の下部には下側格子状鉄筋5が配筋されている。また、上側格子状鉄筋4と下側格子状鉄筋5は、せん断補強筋(補強筋6)により連結されている。
PCa版配設工程S1は、図4(a)に示すように、ハーフプレキャスト部材2を配設する工程である。ハーフプレキャスト部材2は、左右の側壁12,12の上端に横架する。ハーフプレキャスト部材2は、図示しない固定部材により、側壁12に固定する。
配筋工程S2では、図4(b)に示すように、上側格子状鉄筋4を配筋する。図5に配筋工程S2の作業状況を示す。まず、図5(a)に示すように、補強筋6に固定された連結部材8(段取り筋)と補強筋6との角部に上側横筋42(第一筋)を配筋する。次に、図5(b)に示すように、上端係止部62と上側横筋42との間に上側縦筋41(第二筋)を挿入して、上側横筋42と補強筋6との角部に上側縦筋41を配筋する。上側縦筋41は、上方から上側横筋42に載置させた後、上側横筋42上をスライドさせることにより、上端係止部62と上側横筋42との間に滑り込ませればよい。配筋工程S2では、図4(b)に示すように、上側格子状鉄筋4の配筋とともに、ハーフプレキャスト部材2の側方に型枠9を設置する。型枠9は、側壁12の外面の延長線と型枠9の内面が一致するように組み立てる。
打設工程S3は、ハーフプレキャスト部材2上にコンクリート(現場打ちコンクリート3)を打設する工程である。図4(c)に打設工程S3の作業状況を示す。図4(c)に示すように、コンクリートは、上側格子状鉄筋4および補強筋6を巻き込んだ状態で型枠9内に打設する。
また、上端係止部62は、上側格子状鉄筋4の上側縦筋41と上側横筋42との交差部の上側に重なるように配筋され、かつ、複数の上端係止部62は、同じ向きに配筋されているため、上端係止部62の側方において上側格子状鉄筋4を下降させつつ横方向にスライドさせることで、上側縦筋41と上側横筋42の交差部に上端係止部62を重ねることができる。
また、連結部材8は、上側横筋42の下端に当接する高さ位置に横架されているため、上側格子状鉄筋4の位置決めが容易にとなり、工期短縮化を図ることができる。
ハーフプレキャスト部材2は、工場等において正確に形成するため、補強筋6を正確な位置に配筋することができる。つまり、補強筋6を基準にして上側格子状鉄筋4を配筋できるので、上側格子状鉄筋4を簡易かつ正確に配置することができる。また、上端係止部62も正確な高さ位置に設けられているため、上端係止部62を目安に上側格子状鉄筋4を組み立てることで、配筋時の高さ出しおよびピッチの位置決めが容易になる。
前記実施形態では、ボックスカルバート1の頂版11を構築する場合について説明したが、ハーフプレキャスト部材2を利用して構築するコンクリート版は頂版11に限定されるものではない。
上側格子状鉄筋4は、予め格子状に組み立てられたものを上端係止部62に係止させるように配設してもよい。
上端係止部62の向きや形状は限定されるものではない。
また、連結部材8の固定箇所は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。また、連結部材8は、必ずしも上側格子状鉄筋4の上側縦筋41と平行である必要はなく、上側横筋42と平行でもよいし、上側縦筋41および上側横筋42に対して傾斜していてもよい。
下端係止部61は、フックに限定されるものではなく、例えば、上端係止部62と同様に補強筋6の下端に固定された平板であってもよい。なお、上端係止部62の補強筋6への固定方法は摩擦圧接に限定されるものではなく、例えば溶接してもよいし、上端係止部62に形成された雌ネジに補強筋6の上端に形成された雄ネジを螺合してもよい。
11 頂版(コンクリート版)
12 側壁
13 底版
2 ハーフプレキャスト部材
3 現場打ちコンクリート
4 上側格子状鉄筋
41 上側縦筋(第二筋)
42 上側横筋(第一筋)
5 下側格子状鉄筋
51 下側縦筋
52 下側横筋
6 補強筋
61 下端係止部
62 上端係止部
7 コンクリート部
8 連結部材
9 型枠
Claims (5)
- コンクリート版の下部を構成するハーフプレキャスト部材であって、
下側格子状鉄筋が埋設されたコンクリート部と、コンクリート部に植設された複数の補強筋とを有し、
前記補強筋の下端は、前記下側格子状鉄筋に係止されていて、
前記補強筋の上端には、前記コンクリート版の上側格子状鉄筋に係止される平板状の係止部が一体に固定されていることを特徴とする、ハーフプレキャスト部材。 - 前記補強筋の前記係止部は、前記上側格子状鉄筋の縦筋と横筋との交差部の上側に重なるように配筋され、かつ、複数の前記補強筋の前記係止部は、同じ向きに配筋されていることを特徴とする、請求項1に記載のハーフプレキャスト部材。
- 複数の前記補強筋同士を連結する連結部材を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のハーフプレキャスト部材。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のハーフプレキャスト部材を配設するPCa版配設工程と、
前記上側格子状鉄筋を配筋する配筋工程と、
前記ハーフプレキャスト部材上にコンクリートを打設する打設工程と、を備えるコンクリート版の施工方法であって、
前記配筋工程では、前記上側格子状鉄筋を構成する第一筋および第二筋のうち下側に配筋される第一筋を前記補強筋に固定した後、上側に配筋される第二筋を前記係止部と前記第一筋との間に挿入することを特徴とする、コンクリート版の施工方法。 - 複数の前記補強筋には、前記第一筋の下端に当接する高さ位置に連結部材が横架されており、
前記配筋工程では、前記連結部材と前記補強筋との角部に前記第一筋を配筋した後、前記第一筋と前記補強筋との角部に前記第二筋を配筋することを特徴とする、請求項4に記載のコンクリート版の施工方法。
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