以下、複数の実施形態による洗濯機について図面を参照しながら説明する。各実施形態及びその変形例は、図1に示す横軸または斜め軸型のドラム式洗濯機、及び図示しない縦軸型の洗濯機のいずれにも適用することができる。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態について図1~図12を参照して説明する。洗濯機10は、図1~図2に示すように、外箱11、水槽12、回転槽13、制御装置14、回転槽モータ15、排水機構16、操作パネル17、給水機構20、及び投入機構30を備えている。投入機構30は、詳しくは後述する収容部31、自動投入装置32及び処理剤ケース50を含んで構成されている。処理剤の自動投入を行う自動投入装置32は、洗濯運転複数回分の処理剤を内部に貯留可能な処理剤タンク40を含んで構成されている。また、処理剤ケース50は、ユーザが手動で処理剤を投入する際に処理剤を内部に受けて貯留する。収容部31には、処理剤タンク40又は処理剤ケース50のいずれか一方を択一的に収容可能である。
なお、図1において、洗濯機10の設置面側つまり鉛直下側を洗濯機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を洗濯機10の上側とする。洗濯機10は、回転槽13の回転軸が水平へ向かう横軸型又は後方へ向かって下降傾斜した斜め軸型のドラム式洗濯機である。
洗濯機10は、例えばヒートポンプ式やヒータ式の乾燥機能を有していても良いし、備えていなくても良い。水槽12は、外箱11内に配置されて図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。回転槽13は、水槽12内に回転可能に配置されている。この場合、水槽12及び回転槽13は、洗濯物を収容する洗濯槽として機能する。
制御装置14は、図3に示すように、例えばCPU141や、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域142を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、洗濯機10全体の制御を行う。本実施形態の場合、制御装置14は、回転槽モータ15、排水機構16、操作パネル17、給水機構20、及び自動投入装置32の駆動を制御する。回転槽モータ15は、水槽12の外側に設けられており、回転槽13に接続されている。また、回転槽モータ15は、制御装置14に電気的に接続されており、制御装置14からの制御信号に基づき駆動して回転槽13を回転させる。
図2に示す排水機構16は、水槽12内に貯留されている水を洗濯機10の機外に排出するための機能を有する。排水機構16は、排水経路161と、排水弁162と、を有している。排水経路161は、例えば可撓性を有する排水ホースで構成されており、一方の端部が排水弁162に接続され、他方の端部が洗濯機10の機外に引き出されている。排水弁162は、例えば電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁で構成されている。排水弁162は、水槽12の底部に設けられた排水口121と、排水経路161との間に設けられている。排水弁162は、制御装置14に電気的に接続されており、制御装置14からの制御信号に基づき、排水経路161を開閉する。
操作パネル17は、外箱11の上面部の前側部分に設けられており、制御装置14に電気的に接続されている。操作パネル17には、詳細は図示しないが、電源スイッチや、スタートキー、ユーザが洗濯運転コースの設定等を行うための各種操作キー等が設けられている。ユーザは、洗濯運転を実行させるにあたって、自動投入装置32により自動で投入される処理剤を使用するか、又は処理剤ケース50を用いて手動で投入した1回分の処理剤を使用するかを、操作パネル17を用いて選択操作できる。なお、本実施形態において、処理剤とは、洗剤や柔軟仕上げ剤等を含むものである。
給水機構20は、図1に示すように、例えば外箱11内の水槽12の上方左奥部に設けられている。給水機構20は、例えば水道等の外部の給水源からの水を受けて水槽12内への給水を行う。給水機構20は、例えば図2に示すように、給水口21、第1給水経路22、第2給水経路23、供給部24、第1給水弁25、第2給水弁26、及び合流部27を有している。給水口21は、外箱11の上面部において左奥部に露出するように設けられている。給水口21は、例えばホースを介して水道の蛇口等の外部の水源に接続される。
図2、図6~図8に示す給水経路22、23は、給水口21から水槽12及び回転槽13までを接続する経路である。第1給水経路22は、給水口21と、収容部31と、処理剤ケース50と、水槽12及び回転槽13とを接続する。つまり、第1給水経路22は、処理剤ケース50が収容部31に収容されている場合、ユーザが処理剤ケース50に手動で投入した処理剤を水槽12及び回転槽13まで供給する機能を有する。
第2給水経路23は、給水口21と、給水弁25と、供給部24と、水槽12及び回転槽13とを接続する。第2給水経路23は、自動投入装置32によって供給部24に吐出される処理剤を水槽12及び回転槽13まで供給する機能を有する。つまり、第2給水経路23は、外部の水源と水槽12とを接続して、処理剤タンク40が収容部31に収容されている場合、収容部31の外部において自動投入装置32から吐出された処理剤を水槽12に供給する。
供給部24は、第2給水経路23において給水口21及び第2給水弁26の下流部分であって水槽12及び回転槽13よりも上流側に設けられており、自動投入装置32により第2給水経路23に処理剤が供給される部分である。供給部24は、収容部31の外部に設けられている。
給水弁25、26は、電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁である。第1給水弁25は、給水口21と第1給水経路22との間に設けられている。第2給水弁26は、給水口21と第2給水経路23との間に設けられている。そして、第1給水弁25及び第2給水弁26は、制御装置14に電気的に接続されており、制御装置14からの制御信号に基づきそれぞれ第1給水経路22又は第2給水経路23を開閉する。
合流部27は、第1給水経路22と第2給水経路23とが合流する部分である。合流部27は、第2給水経路23において給水弁26及び供給部24の下流側であって水槽12及び回転槽13の上流側部分に設けられている。また、合流部27は、第1給水経路22において給水弁25と、処理剤ケース50の下流側であって、水槽12及び回転槽13の上流側部分に設けられている。本実施形態では、合流部27は、収容部31の内部であって、処理剤ケース50の下流側に設けられている。合流部27は、合流部接続口28を有する。合流部接続口28は、第2給水経路23の合流部27への入口を形成する。
なお、別の実施形態では、第1給水経路22と第2給水経路23とは、収容部31の外部で合流する構成としても良い。この場合、処理剤タンク40の外周を汚さないためには、合流部27は収容部31の下流側に設けることが好ましい。更に別の実施形態では、第1給水経路22と第2給水経路23とは、独立しており水槽12及び回転槽13に至るまで合流しない構成としても良い。
投入機構30は、図1~図2及び図4~図5等に示すように収容部31と、自動投入装置32と、収容部カバー33とを有する。収容部31は、上面が開口した箱状に構成されて外箱11の内部に設けられている。この場合、収容部31は、外箱11の上部であって、左右の端部この場合左端部に設けられている。また、収容部31は、外箱11の上面の一部を洗濯機10の内部に向かって窪ませて形成されている。
収容部31は、前壁部311と、左右の側壁部312と、後壁部313と、底部314と、を有する。前壁部311は、収容部31の前側の内面を構成する。左右の側壁部312は、収容部31の左右の内面を構成する。後壁部313は、収容部31の後ろ側の内面を構成する。前壁部311と、左右の側壁部312と、後壁部313とは、収容部31の内部の空間を囲む壁部を構成する。
底部314は、収容部31の下側の内面を構成する。この場合、底部314は、上段部315と、下段部316とを有する。上段部315は、底部314の奥部に設けられている。下段部316は、底部314の前部に設けられている。下段部316は、上段部315よりも低い面を形成している。上段部315と下段部316との間には、上下方向に延びて上段部315と下段部316とを接続する段壁部317が設けられている。この場合、段壁部317は、壁部311、312、313と共に、収容部31の壁部を構成する。
合流部27は、収容部31のうち、上段部315よりも下方の部分である。つまり、合流部27内部の空間は、収容部31のうち、段壁部317と、下段部316と、左右の側壁部312と、前壁部311とに囲まれている。段壁部317と、下段部316と、左右の側壁部312と、前壁部311とは、合流部27の壁部を形成する。この場合、合流部接続口28は、合流部27の壁部の一部を合流部27の内部から外部に向かって貫いて形成されている。本実施形態では、合流部接続口28は、図2に示すように、段壁部317の一部を貫いて形成されている。
収容部31は、図6~図9に示すように、更に複数この場合2つの注水口34と、収容部排水口35と、収容部接続口36と、を有する。注水口34は、収容部31の壁部311、312、313の上端部の一部を収容部31の内部から外部に向かって貫いて設けられている。注水口34は、例えば前壁部311、又は左右の側壁部312に設けられている。本実施形態では、注水口34は、前壁部311の上端部に設けられている。注水口34は、第1給水経路22の一部を構成しており、収容部31への水の入口として機能する。より具体的には、注水口34は、処理剤ケース50内部へ外部の水源からの水を供給し、処理剤ケース50内部に貯留された処理剤を溶解して水槽12まで流して供給するための水の入口として機能する。
収容部排水口35は、底部314の一部を収容部31の内部から外部に向かって貫いて設けられている。この場合、収容部排水口35は、例えば底部314の前部つまり下段部316に設けられている。収容部排水口35は、第1給水経路22の一部を構成しており、水及び処理剤の収容部31及び合流部27からの出口として機能する。この場合、処理剤ケース50は、第1給水経路22において注水口34の下流であり、収容部排水口35の上流に位置する。なお、底部314は、収容部排水口35に向かって下がるように傾斜していても良い。
第1給水経路22は、第1給水弁25と、注水口34と、収容部31と、処理剤ケース50と、合流部27と、収容部排水口35と、を含んで構成されている。第1給水弁25から注水口34までを、上流部221と称する。収容部排水口35から水槽12までを、下流部222と称する。収容部排水口35を出た水又は処理剤は、下流部222を通って水槽12に供給される。
第2給水経路23は、第2給水弁26と、供給部24と、合流部接続口28と、合流部27と、収容部排水口35と、を含んで構成される。第2給水経路23においては、合流部接続口28が、収容部31への入口として機能する。つまり、供給部24を出た水又は処理剤は、合流部接続口28から収容部31の一部に設けられた合流部27に入る。収容部排水口35から合流部27及び収容部31を出た水又は処理剤は、下流部222を通って水槽12に供給される。
収容部接続口36は、収容部31の壁部311、312、313の一部この場合後壁部313の一部を収容部31の内部から外部に向かって貫いて形成されている。収容部接続口36は、収容部31の内部と外部この場合収容部31の外部であって洗濯機外箱11の内部とを接続している。詳しくは後述するが、収容部接続口36は、自動投入装置32によって処理剤を水槽12に投入する際に、処理剤タンク40に貯留された処理剤の収容部31からの出口として機能する。
収容部カバー33は、外箱11に回動可能に取り付けられており、収容部31の上面の開口を開閉することができる。ユーザは、収容部カバー33を開いて、収容部31に収容された処理剤タンク40又は処理剤ケース50に処理剤を補充することができる。なお、収容部カバー33は、収容部31の上面の開口を閉じた状態で、洗濯機10の外箱11の上面部と同一面を形成するいわば面一の状態となっている。
この場合、第1給水経路22は、図6に示すように洗剤用の第1給水経路22aと、柔軟仕上げ剤用の第1給水経路22bと、を含んで構成されている。また、第1給水弁25は、洗剤用の第1給水弁25aと、柔軟仕上げ剤用の第1給水弁25bと、を含んで構成されている。以降、区別する必要がない場合は、第1給水経路22aと、第1給水経路22bとを第1給水経路22と総称する。また、同様に、第1給水弁25aと、第1給水弁25bとを第1給水弁25と総称する。また、本実施形態では、第2給水経路23は、洗剤用と柔軟仕上げ剤用とで共通である。つまり、洗濯機10は、第2給水経路23及び第2給水弁26をそれぞれ1つずつ備える。なお、別の実施形態では、洗濯機10は、例えば洗剤用及び柔軟仕上げ剤用の複数の第2給水経路23及び複数の第2給水弁26を含んで構成されていても良い。
第1給水経路22の上流部221の構成について、図6を参照して説明する。上流部221は、図6に示すように、洗濯機10の左奥部にある給水口21及び第1給水弁25から出発してやや前方に向けて延びた後、収容部31を迂回するように右へ延びている。収容部31の右の側壁部312の付近まで至ると、上流部221は収容部31の右の側壁部312の傍を前方に向かって延びる。更に、収容部31の前壁部311付近まで至ると、上流部221は収容部31の前壁部311の外側を収容部31の左右方向の中央に向かってつまりこの場合左方向に延びる。収容部31の中央部まで至った上流部221は、注水口34に接続している。図6の黒矢印Aは、第1給水経路22を流れて処理剤ケース50に注水される水の流れを示す。外部の水源からの水は、注水口34から収容部31に注水され、処理剤ケース50によって受けられる。
第2給水経路23の構成について、図6~図8を参照して説明する。図7に示すように、第2給水経路23は、洗濯機10の左奥部にある給水口21及び第1給水弁25から供給部24に向けて前方に延びる。供給部24は、収容部31の後方であって投入ポンプ38の下方に設けられている。第2給水経路23は、供給部24から段壁部317の後方まで更に前方に延びる。その後、第2給水経路23は、図6及び図8に示すように、収容部31の底部314の外側この場合段壁部317の後方を収容部31の左右方向の中央部に向かってつまりこの場合右方向に延びる。その後、第2給水経路23は、合流部接続口28から合流部27及び収容部31と接続している。図6~図8の白抜き矢印Bは、第2給水経路23を流れて合流部27及び収容部31に注水される水の流れを示す。外部の水源からの水は、合流部接続口28から合流部27に注水され、収容部排水口35から排出される。
処理剤ケース50は、収容部31の内部に着脱可能に設けられている。この場合、処理剤ケース50は、図2、図5、図7及び図9等に示すように収容部31の上部寄りつまり収容部カバー33寄りに設けられている。
処理剤ケース50は、図9に示すようにケース本体51を主体に構成されている。ケース本体51は、少なくとも上面の一部が開口した容器状に構成されて収容部31の上部に設けられている。ケース本体51は、ユーザが手動で投入した処理剤を受けて、貯留する機能を有する。
ケース本体51は、枠部52と、複数この場合2個の窪み部53a、53bと、ケース開口54と、を有する。枠部52は、概ね矩形の環状に形成されてケース本体51の上部の外周を囲んでいる。枠部52の上面は、処理剤ケース50の上面を構成する。この場合、処理剤ケース50が収容部31に収容された状態で、枠部52の上面の位置は、注水口34よりも下方に設定されている。そのため、処理剤ケース50には、第1給水経路22を通って注水口34から収容部31に注水される水が、処理剤ケース50に容易に入りやすくなっている。
窪み部53a、53bは、枠部52の内側に設けられて、それぞれケース本体51を下方に向けて窪ませて形成されている。窪み部53a、53bは、例えば左右又は前後方向に並べて配置されている。本実施形態では、窪み部53a、53bは、左右方向に並べて配置されている。複数の窪み部53a、53bは、左側の窪み部53aは、粉状の処理剤例えば洗剤を内部に受けて貯留することができる。また、右側の窪み部53bは、液状の処理剤例えば柔軟仕上げ剤を内部に受けて貯留することができる。窪み部53aと53bとを区別する必要がないときは、窪み部53と総称することがある。
窪み部53は、前面部531と、左右の側面部532と、背面部533と、底面部534と、を有する。前面部531は、窪み部53の前側の壁面を構成する。左右の側面部532は、窪み部53の左右の壁面を構成する。背面部533は、窪み部53の後ろ側の壁面を構成する。底面部534は、窪み部53の窪み形状の底部を構成する。底面部534の位置は、注水口34よりも下方であって、上段部315よりも上方に設定されている。
ケース開口54は、窪み部53を上方に向けて開放して、処理剤ケース50が収容部31に収容された状態で、処理剤ケース50内部の空間と処理剤ケース50外部であって収容部31内部の空間とを連通している。ケース開口54は、処理剤や水の処理剤ケース50への入口として機能する。この場合、ケース開口54の位置は、処理剤ケース50を収容部31にした状態で収容部カバー33が開放されると、ユーザが目視可能な位置に設定されている。そのため、ユーザは、処理剤を手動で投入する際に、ケース開口54の位置を確認しながら投入することができる。
窪み部53aは、図9に示すように孔部55を有する。孔部55は、底面部534を底面部534の厚み方向に貫いて形成された開口である。孔部55は、処理剤ケース50が収容部31に収容された状態で、処理剤ケース50内部の空間と処理剤ケース50外部であって収容部31内部の空間とを連通している。孔部55は、処理剤や水の処理剤ケース50からの出口として機能する。なお、別の実施形態では、孔部55に替えて、例えば前面部531、左右の側面部532、及び背面部533のいずれかの一部に開口を設けて、当該開口から水と処理剤とを排出する構成としても良い。
窪み部53bは、図9に示すようにサイフォン部56を有する。サイフォン部56は、底面部534の一部を上方に突出させて上下方向に開口した中空の筒状に形成されている。サイフォン部56は、処理剤ケース50が収容部31に収容された状態で、ケース本体51内部の空間と収容部31の底部314側の空間とを連通している。
処理剤ケース50は、図9に示すように更にキャップ57を有する。キャップ57は、上部が閉じて下部が開口した中空の有底円筒状に形成されている。キャップ57はサイフォン部56を内部に挿入可能である。窪み部53bに外部の水源から水が供給され、水面位置が所定の高さ以上となると、サイフォン現象により窪み部53b内部の水及び処理剤がサイフォン部56を通過して処理剤ケース50の外部に排出される。
枠部52は、図9に示すように被係止部521を有する。被係止部521は、枠部52の外側端部を下方に向けて突出して形成されている。また、収容部31は、係止部37を有する。この場合、係止部37は、収容部31の壁部311、312、313の一部この場合左右の側壁部312を収容部31の中央に向かって突出させて形成されている。係止部37の収容部31の中心側の先端部は、上方に向けて屈曲している。被係止部521の下側先端部は、係止部37に係止して、下方への移動及び左右方向への移動が規制されている。これにより、処理剤ケース50は、収容部31の所定の位置に配置される。なお、図9等に示す係止部37及び被係止部521の位置及び形状は一例であって、これに限られない。
自動投入装置32は、予め複数回分の処理剤を貯留しておき、複数回の洗濯運転に亘って1回あたり所定量の処理剤を自動で水槽12内に供給する機能を有している。自動投入装置32は、図1~図4等に示すように投入ポンプ38と、処理剤タンク40と、を有している。
処理剤タンク40は、図10及び図11等に示すように矩形状で中空の容器で構成されており、液状の処理剤を内部に貯留することができる。この場合、処理剤タンク40は、複数回の運転で使用する処理剤を貯留するために十分な容量を有している。この場合、処理剤タンク40の容量は特に限定されないが、ユーザの利便性を考慮すると、少なくとも数百mL~2L程度に設定することが好ましい。また、本実施形態の場合、自動投入装置32は、処理剤タンク40を2つ有している。この場合、2つの処理剤タンク40のうち一方は、例えば処理剤として洗剤を貯留するためのものである。また、2つの処理剤タンク40のうち他方は、例えば処理剤として柔軟仕上げ剤を貯留するためのものである。
なお、これら2つの処理剤タンク40の容量は同一であっても良いし異なっていても良い。しかし、一般的な洗濯運転においては、柔軟仕上げ剤よりも洗剤の方がより多く消費する。したがって、これら2つの処理剤タンク40のうち洗剤を貯留するための処理剤タンク40の方が、柔軟仕上げ剤を貯留するための処理剤タンク40よりも容量が大きいことが好ましい。
収容部31は、2つの処理剤タンク40を左右又は前後に並べて収容可能に構成されている。本実施形態では、収容部31は、図1に示すように、処理剤タンク40を左右に並べて収容可能である。この場合、左側の処理剤タンク40は、例えば処理剤として洗剤を貯留するためのものである。また、右側の処理剤タンク40は、例えば処理剤として柔軟仕上げ剤を貯留するためのものである。また、各処理剤タンク40は、収容部31に着脱可能に収容される。ユーザは、収容部カバー33を開放した状態で各処理剤タンク40に処理剤を補充することもできるし、各処理剤タンク40を収容部31から取り外した状態で処理剤タンク40に処理剤を補充することもできる。
自動投入装置32は、各処理剤タンク40に対応した数の投入ポンプ38を有している。本実施形態の場合、自動投入装置32は、処理剤タンク40を2つ有しているため、投入ポンプ38もそれぞれ2つずつ有している。図2では、2組の処理剤タンク40及び投入ポンプ38のうち1組について示している。投入ポンプ38は、流入側に管状のポンプ接続部381を有しており、ポンプ接続部381を介して処理剤タンク40に接続される。これにより、処理剤タンク40は、対応する投入ポンプ38を介して供給部24に接続される。投入ポンプ38は、例えばシリンジポンプであり、処理剤タンク40内に貯留されている処理剤を一定量吸引して、供給部24に吐出する。
この場合、投入ポンプ38の本体は、収容部31の外側に設けられている。本実施形態では、投入ポンプ38は、収容部31の後ろ側つまり後壁部313の外側に設けられている。ポンプ接続部381は、収容部31の壁部311、312、313この場合後壁部313に設けられた収容部接続口36を通って収容部31の内部と外部とを連通している。他の実施形態では、投入ポンプ38の本体は、収容部31の内部に設けられていても良い。また更に別の実施形態では、投入ポンプ38の本体は、処理剤タンク40内部に設けられていても良い。
この構成において、第2給水弁26が開放されると、給水口21から供給された水道水が第2給水経路23に流入し供給部24を通る。供給部24には、自動投入装置32の動作によって、第2給水弁26の動作前に所定量の処理剤が予め吐出される。供給部24に処理剤が貯留している場合、第2給水経路23を通る水は、その処理剤を溶かしながら更に下流に流れる。供給部24を通過した水は、合流部接続口28から合流部27に供給される。合流部27から収容部排水口35を通って排出された水と処理剤とは、下流部222を通って水槽12内に供給される。このように、自動投入装置32は、洗濯機10の運転中に水槽12に対して所定量の処理剤を自動で投入する。
次に、処理剤タンク40の詳細な構成について図10~図11も参照して説明する。処理剤タンク40は、図11等に示すように、タンク本体41、蓋部材42、フィルタ部材43、タンク出口44、管部45、及び漏出防止弁46を有している。タンク本体41は、処理剤タンク40の外殻を構成しており、例えばプラスチックなどの合成樹脂で構成されている。
本実施形態の場合、タンク本体41は、全体として直方体状に形成されており、前面部411、側面部412、背面部413、底面部414、上面部415、及びタンク開口416を有している。前面部411は、タンク本体41の前面を構成する。側面部412は、タンク本体41の左右の側面を構成する。背面部413は、タンク本体41の背面を構成する。底面部414は、タンク本体41の底面を構成する。そして、上面部415は、タンク本体41の上面を構成する。タンク開口416は、上面部415の一部を例えば矩形状に貫いて形成されており、タンク本体41の内部と外部とを連通している。
蓋部材42は、板状であって、タンク本体41と同様に例えばプラスチックなどの合成樹脂で構成されている。蓋部材42は、図示しないヒンジによってタンク本体41の上面部415に取り付けられており、タンク開口416を開閉可能に構成されている。ユーザは、蓋部材42を開けて、タンク開口416を通して処理剤をタンク本体41内に補充することができる。この場合、タンク開口416の位置は、処理剤タンク40を収容部31にした状態で収容部カバー33及び蓋部材42を開放して、ユーザが目視可能な位置に設定されている。そのため、ユーザは、処理剤を処理剤タンク40に補充する際に、タンク開口416の位置を確認しながら補充することができる。
フィルタ部材43は、例えば網状に構成されており、タンク本体41内に設けられている。フィルタ部材43は、タンク本体41の内部空間において、タンク開口416側の空間と、管部45が設けられた空間と、を仕切っている。これにより、フィルタ部材43は、タンク開口416からタンク本体41内に補充された洗剤が管部45から投入ポンプ38に吸込まれる際に、その洗剤中に含まれているごみ等を捕集する機能を有する。
タンク出口44は、タンク本体41の下側後部、この場合、背面部413に設けられている。タンク出口44には、投入ポンプ38のポンプ接続部381が挿入される。ポンプ接続部381は、収容部31の収容部接続口36を通して収容部31の外部から内部に延びている。これにより、タンク本体41内と投入ポンプ38とが接続される。管部45は、タンク出口44に接続されており、タンク本体41の底面部414の近傍まで垂直下方へ延びている。管部45の下端部は、タンク本体41の底面部414から僅かに離れている。
漏出防止弁46は、タンク出口44と管部45との間に設けられている。漏出防止弁46は、処理剤タンク40が収容部31から取り外されて、タンク出口44にポンプ接続部381が接続されていない場合に、タンク本体41内に貯留されている処理剤がタンク出口44からタンク本体41外部へ漏れ出ることを防止する機能を有する。漏出防止弁46は、タンク出口44にポンプ接続部381が接続されている場合には、タンク出口44と管部45との間を開く。これにより、投入ポンプ38は、タンク本体41内に貯留されている処理剤を吸い出すことが可能になる。一方、漏出防止弁46は、タンク出口44にポンプ接続部381が接続されていない場合には、タンク出口44と管部45との間を閉じ、これによりタンク本体41内の処理剤がタンク出口44から外部へ流出することを防ぐ。
なお、フィルタ部材43、管部45、漏出防止弁46等は、図11又は図11以外の図面では省略されていることがある。また、処理剤タンク40は、図10、図11に示すように更に取っ手部47を有していても良い。ユーザは、処理剤タンク40を収容部31から取り外す際や収容部31に収容する際に、取っ手部47を把持して処理剤タンク40を動かすことができる。
更に、本実施形態では、処理剤タンク40は、タンク開口416の位置が、注水口34の位置よりも上方になるように設定されている。本実施形態では、処理剤タンク40は、タンク開口416及び上面部415の位置が、注水口34の位置よりも上方になるように設定されている。そのため、処理剤タンク40を収容部31に収容した場合の上面部415の位置は、処理剤ケース50を収容部31に収容した場合の枠部52の上面の位置よりも上方に設定されている。
制御装置14は、洗濯運転の際に、処理剤を水に溶解する期間に、第1給水弁25又は第2給水弁26を開く制御を行う。制御装置14は、自動投入装置32によって処理剤を水槽12に供給する自動投入モードと、ユーザが手動で処理剤ケース50に投入した処理剤を水槽12に供給する手動投入モードとの設定に従って、第1給水弁25又は第2給水弁26の開閉を制御する。なお、本明細書で処理剤を水に溶解する期間とは、処理剤が洗剤であれば、洗濯行程の初期段階において、処理剤を水に溶解して水槽12に供給する期間のことを指す。また、処理剤が柔軟仕上げ剤であれば、処理剤を水に溶解する期間とは、濯ぎ行程において、処理剤を水に溶解して水槽12に供給する期間のことを指す。処理剤を溶解する期間の前に水槽12に既に水が供給されていても良いし、水が供給されていなくても良い。
本実施形態では、図11に示すように、制御装置14は、ユーザの操作パネル17への設定操作によって自動投入モードが設定されている場合、処理剤を水に溶解して水槽12に供給する期間に、第1給水弁25を閉じて第2給水弁26を開く制御を行う。これにより、処理剤タンク40内から供給部24に供給された処理剤は、第2給水経路23を通る外部の水源からの水に溶解して、合流部接続口28を通して合流部27及び収容部31まで至り、収容部排水口35を通して合流部27及び収容部31から出て下流部222を通って水槽12まで到達する。
また、制御装置14は、図11に示すように、ユーザの操作パネル17への設定操作によって手動投入モードが設定されている場合、処理剤を水に溶解して水槽12に供給する期間に、第1給水弁25を開いて第2給水弁26を閉じる制御を行う。これにより、ユーザが手動により処理剤ケース50に投入した処理剤は、注水口34から注水された外部の水源からの水に溶解して、収容部排水口35から下流部222を通って水槽12まで到達する。
なお、本明細書において、第1給水弁25又は第2給水弁26を開くことは、閉じていた第1給水弁25又は第2給水弁26を開くことと、開いていた第1給水弁25又は第2給水弁26をそのまま開いた状態に維持することとのいずれもを含む概念である。また、第1給水弁25又は第2給水弁26を閉じることは、開いていた第1給水弁25又は第2給水弁26を閉じることと、閉じていた第1給水弁25又は第2給水弁26をそのまま閉じた状態に維持することとのいずれもを含む概念である。
ここで、洗濯機全体のサイズを大きくせずに処理剤タンクと処理剤ケースとを両方設けるためには、処理剤ケースを小型化する必要がある。そして、処理剤ケースが小型化した結果、ユーザが処理剤を手動で処理剤ケースに投入する際に開口が狭いために処理剤がこぼれやすくなるなど、ユーザの使い勝手が低下する虞がある。一方、ユーザは、処理剤ケースと処理剤タンクとを同時に使用することは少ない。そのため、両方を同時に洗濯機に設けると、使用されていないいずれかの構成が収容されている空間は、デッドスペースとなってしまう。
これに対し、説明した本実施形態によれば、洗濯機10は、水槽12と、処理剤ケース50と、自動投入装置32と、処理剤タンク40と、収容部31と、を備える。処理剤ケース50は、水槽12に供給するためにユーザから投入された1回分の洗濯運転で用いる処理剤を受けて内部に貯留可能である。自動投入装置32は、水槽12に所定量の処理剤を自動で投入可能に構成されている。処理剤タンク40は、自動投入装置32の一部を構成し、洗濯運転複数回分の処理剤を貯留可能である。収容部31は、処理剤ケース50又は処理剤タンク40のいずれか一方を択一的に収容可能に構成されている。
これによれば、処理剤タンク40と処理剤ケース50とで空間を共用することができるため、処理剤タンク40及び処理剤ケース50それぞれの容積を大きくすることができる。処理剤タンク40の容積を大きくすることで、処理剤タンク40内に一度に貯留できる処理剤の量が増えるため、ユーザが処理剤を補充する回数を減らすことができる。また、処理剤ケース50を小型化しないでも済むため、ユーザが手動で処理剤を投入することが容易となり、処理剤がこぼれてしまうことが抑制される。そのため、ユーザの利便性が向上する。
ここで、処理剤タンク40又は処理剤ケース50のいずれか一方のみが収容部31に収容されているため、自動投入モードで運転する際には、処理剤ケース50に注水する必要はないし、手動投入モードで運転する際には、供給部24に水を流す必要はない。いずれの投入モードで運転する際も、第1給水経路22及び第2給水経路23の双方に給水する構成とすると、却って次のような問題がある。例えば、自動投入モードで運転する際に、注水口34から注水されてしまうと、処理剤タンク40に掛かって跳ね返った水が洗濯機10の外部に漏れてしまう等の不具合が生じる虞がある。
これに対して、洗濯機10は、第1給水経路22と、第1給水弁25と、第2給水経路23と、第2給水弁26と、制御装置14と、を更に備える。第1給水経路22は、外部の水源と収容部31と水槽12とを接続して、処理剤ケース50が収容部31に収容されている場合、処理剤ケース50内に貯留された処理剤を水槽12に供給する。第1給水弁25は、第1給水経路22と外部の水源との間に設けられて、第1給水経路22を開閉する。第2給水経路23は、外部の水源と水槽12とを接続して、処理剤タンク40が収容部31に収容されている場合、自動投入装置32から吐出された処理剤を水槽12に供給する。第2給水弁26は、第2給水経路23と外部の水源との間に設けられて、第2給水経路23の開閉を行う。制御装置14は、第1給水弁25の開閉及び第2給水弁26の開閉を制御する。
これによれば、第1給水経路22と第2給水経路23とを開閉する給水弁25、26をそれぞれ設け、制御装置14は、第1給水経路22又は第2給水経路23への給水を独立して適宜制御できる。そのため、不必要な給水経路への給水を回避することができる。また、例えば自動投入モードで運転する際に処理剤タンク40に水がかかって水漏れが発生するような事態を抑制することができる。
ここで、自動投入装置32を備えた洗濯機10の場合、ユーザの使い方としては、基本的には通常使用する使用頻度の高い処理剤を自動投入装置32によって自動投入を行い、特定の衣類に対してや特別な汚れ等に対しては当該衣類や汚れに適する処理剤を手動により投入する、ということが想定される。つまり、自動投入モードよりも手動投入モードの使用頻度が低くなることが想定される。ここで、第2給水経路23が合流部27を経由しない構成である場合について検討する。この場合、収容部31内特に下流側部分である収容部排水口35付近に手動投入された処理剤の一部が残ってしまった場合、収容部31にごく偶にしか水が流れないと、残留した処理剤が固化して除去しづらくなる虞がある。
これに対して、収容部31は、収容部排水口35を有する。収容部排水口35は、収容部31の壁部311、312、313、又は底部314の一部を貫いて形成されて、第1給水経路22における収容部31の下流側出口となる。第2給水経路23は、第1給水経路22の収容部排水口35よりも上流側部分つまりこの場合合流部27において第1給水経路22に合流する。
これによれば、自動投入モードで運転する場合も、収容部排水口35付近に水が流れる。そのため、仮に手動投入された処理剤の一部が収容部31内部に残っていても、第2給水弁26から供給された水によって洗い流されることとなる。したがって、手動投入の頻度が低くても、収容部31内に残留した処理剤を除去しやすくなる。よって、ユーザの利便性が向上する。
更に、収容部31は、注水口34を上端部に有する。注水口34は、第1給水経路22の収容部31への上流側入口となる。処理剤ケース50は、ケース開口54を有する。ケース開口54は、処理剤ケース50の内部と外部とを連通し、ユーザが処理剤を処理剤ケース50に投入可能に構成されている。処理剤タンク40は、タンク開口416を有する。タンク開口416は、上面部415に設けられて処理剤タンク40の内部と外部とを連通し、ユーザが処理剤を処理剤タンク40に補充可能に構成されている。ケース開口54の位置は、処理剤ケース50が収容部31に収容された状態で注水口34よりも下方であってかつユーザから目視可能な位置に設定されている。タンク開口416の位置は、処理剤タンク40が収容部31に収容された状態で注水口34と同一高さ又は注水口34よりも上方であってユーザから目視可能な位置に設定されている。
これによれば、処理剤タンク40及び処理剤ケース50は、それぞれが収容部31に収容された状態でユーザが目視しながら処理剤を補充又は投入することができるため、処理剤の補充又は投入を容易にすることができる。また、処理剤ケース50は上方に位置する注水口34から注水することで内部に貯留された処理剤を水と共に流しやすい構成となっている。一方、処理剤タンク40は、収容部31の内部の深さをできる限り利用して容積を大きくすることができる。したがって、ユーザの利便性が向上する。
(第2実施形態)
次に、図13も参照して第2実施形態について説明する。
本実施形態では、制御装置14は、図13に示すように、ユーザの操作パネル17への設定操作によって手動投入モードが設定されている場合、処理剤を水に溶解して水槽12に供給する期間に、第1給水弁25に加えて第2給水弁26を開く制御を行う。これにより、ユーザが手動により処理剤ケース50に投入した処理剤は、注水口34から注水された外部の水源からの水に溶解して、収容部排水口35から下流部222を通って水槽12まで到達する。更に、合流部接続口28からも第2給水経路23を通った処理剤を含まない水が収容部31内に供給される。そのため、収容部31内の水量が増し、処理剤ケース50に投入された処理剤が、一層水に溶解しやすくなると共に、収容部排水口35から排出されやすくなる。
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態によれば、洗濯機10は、操作部としての操作パネル17を更に備える。操作パネル17は、処理剤ケース50に投入した処理剤を水槽12に投入する手動投入モードと、処理剤タンク40内の処理剤を水槽12に投入する自動投入モードと、を切り替える操作をユーザから受け付ける。制御装置14は、操作パネル17に対するユーザの選択操作に基づいて、自動投入モード又は手動投入モードのいずれかによる運転を実行する。制御装置14は、手動投入モードで運転する際、処理剤を外部の水源からの水に溶解させる期間に第1給水弁25と第2給水弁26とを開く処理を実行する。
これによれば、手動投入モードの場合に、第1給水弁25だけでなく第2給水弁26も開くことで、収容部排水口35付近の水量が増え、処理剤が溶解しやすくなる。更に、処理剤ケース50の孔部55から排出された処理剤を含む水の流れとは異なる方向からの、処理剤を含まない水流つまり合流部接続口28から注水された水流によって、収容部排水口35付近に残りがちな処理剤が一層洗い流れやすくなる。
(第3実施形態)
次に、図14~図16も参照して第3実施形態について説明する。
本実施形態では、洗濯機10は、図14及び図15に示すように検知部60を備える。検知部60は、処理剤ケース50が収容部31に収容されていることを検知する機能を有する。この場合、検知部60は、処理剤ケース50を物理的に検知する接触型のセンサであっても良いし、非接触型のセンサであっても良い。
本実施形態では、検知部60は、非接触型の例えばホールIC等の磁気センサである。また、図15に示すように、処理剤ケース50は、被検知部61を有する。被検知部61は、例えば永久磁石を含んで構成されている。制御装置14は、記憶領域142に、処理剤ケース50が収容部31に収容された状態で被検知部61の発生する磁場によって検知部60が検知する磁場の強さを記憶している。そして、制御装置14は、記憶領域142に記憶された磁場の強さと、検知部60が検知した磁場の強さとを比較して、処理剤ケース50が収容部31に収容されているか否かを判断する。
検知部60は、収容部31の壁部311、312、313の外側つまり処理剤ケース50とは反対側に設けられている。本実施形態では、検知部60は、左側壁部312の外側に設けられている。被検知部61は、処理剤ケース50のケース本体51に設けられている。本実施形態では、被検知部61は、例えば枠部52と側面部532との間に設けられている。被検知部61の位置は、処理剤ケース50が収容部31に収容された状態で検知部60と対向する位置に設定されている。
また、本実施形態において、制御装置14の記憶領域142は、検知判定処理を実行するためのプログラムを記憶している。制御装置14は、CPU141においてこのプログラムを実行することにより、検知判定処理部143を、ソフトウェアによって仮想的に実現する。なお、検知判定処理部143は、例えば制御装置14と一体の集積回路としてハードウェア的に実現してもよい。
検知判定処理部143は、検知判定処理を実行可能である。検知判定処理は、検知部60の出力に基づいて処理剤ケース50の収容有無を判定する処理である。
次に、図16も参照しながら、水槽12への処理剤の投入に関する制御内容について説明する。なお、以下の説明では、検知判定処理部143における制御動作は、制御装置14の制御動作として説明する。また、図16のフローチャートの開始時においては、洗濯機10の電源がONとなっており、ユーザによる操作パネル17への操作によって洗濯運転が設定されていることを前提とする。また、以下では処理剤として洗剤を投入する場合の制御内容について説明する。
制御装置14は、処理を開始すると(スタート)、まずステップS11において、検知判定処理を実行する。検知部60が処理剤ケース50を検知した場合(ステップS11でYes)、処理をステップS12に進める。ステップS12において、制御装置14は、処理剤の投入について手動投入モードを設定する。続いて、制御装置14は、ステップS13で制御開始から所定期間が経過したか例えばユーザによる操作パネル17への操作による洗濯運転の開始から所定期間が経過したか否かを判定する。所定期間が経過していなければ(ステップS13でNo)、制御装置14は、ステップS13を繰り返す。所定期間が経過していれば(ステップS13でYes)、ユーザによって処理剤が処理剤ケース50に投入されたものと見做して、処理をステップS14に進める。ステップS14で、制御装置14は、第1給水弁25を開き、第2給水弁26を閉じる処理を行う。これにより、処理剤を水に溶解する期間に、注水口34から処理剤ケース50に水が注水され、処理剤を含んだ水は、下流部222を通って水槽12に供給される。その後、制御装置14は、処理剤の投入に関する制御を終了する(エンド)。
検知部60が処理剤ケース50を検知しなかった場合(ステップS11でNo)、制御装置14は、処理をステップS15に進める。ステップS15において、制御装置14は、処理剤の投入について自動投入モードを設定する。続いて、ステップS16において、制御装置14は、投入ポンプ38を作動させて、処理剤タンク40内に貯留されている処理剤を一定量吸引して、供給部24に吐出する。続いて、ステップS17において、制御装置14は、第1給水弁25を閉じ、第2給水弁26を開く処理を行う。これにより、処理剤を水に溶解する期間に、第2給水弁26から供給部24に水が給水され、処理剤を含んだ水は、合流部接続口28、収容部排水口35及び下流部222を通って水槽12に供給される。その後、制御装置14は、処理剤の投入に関する制御を終了する(エンド)。
なお、処理剤として柔軟仕上げ剤を水槽12に投入する場合は、次の点で洗剤を投入する上記の場合と異なる。まず、検知部60が処理剤ケース50を検知した場合(ステップS11でYes)、ステップS13とステップS14との間に、制御装置14は、洗い工程や濯ぎ工程を実行する。そして、最終濯ぎ工程の段階で、制御装置14によってステップS14が実行され、水槽12に処理剤が投入される。また、検知部60が処理剤ケース50を検知しなかった場合(ステップS11でNo)、ステップS15とステップS16との間に、制御装置14は、洗い工程や濯ぎ工程を実行する。そして、最終濯ぎ工程の段階で、制御装置14によってステップS17が実行され、水槽12に処理剤が投入される。
本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が得られる。
更に、洗濯機10は、処理剤ケース50又は処理剤タンク40が収容部31の内部に収容されていることを検知可能な検知部60を更に備える。
これによれば、処理剤ケース50又は処理剤タンク40のいずれが収容部31に収容されているかを制御装置14が判断できる。そのため、手動投入モードが設定されているのに処理剤ケース50が収容されていない場合や、自動投入モードが設定されているのに処理剤タンク40が収容されていない場合などには、例えばユーザに報知したり、収容されている構成に従って投入モードを制御装置14が設定変更したりすることで、処理剤なしで洗濯運転が実行されてしまうことを抑制することができる。また、制御装置14は、検知された処理剤ケース50又は処理剤タンク40に応じた注水制御及び処理剤投入の制御を行うことができる。そのため、処理剤タンク40が収容部31に収容されていないのに自動投入装置32によって処理剤を投入するための制御を行ってしまうことや、反対に処理剤ケース50が収容部31に収容されていないのに第1給水経路22に注水してしまうことが抑制できる。したがって、処理剤なしで洗濯運転を行ってしまうことを抑制することができる。更に、処理剤ケース50又は処理剤タンク40の収容有無に基づいて制御装置14が自動的に投入モードを設定することもできる。そのため、ユーザは洗濯運転毎に操作パネル17に選択操作を行わなくて済み、ユーザの利便性が向上する。
ここで、収容部31に処理剤タンク40が収容されている場合に第1給水経路22に注水してしまうと、注水口34から収容部31に注水された水が処理剤タンク40にかかってしまい、処理剤タンク40内に侵入してしまう虞や、処理剤タンク40に当たった水が撥ねて洗濯機10の外部に水漏れしてしまう虞がある。
これに対し、本実施形態によれば、制御装置14は、処理剤ケース50が収容部31の内部に収容されていることを検知部60が検知しない場合、処理剤を外部の水源からの水に溶解させる期間に第1給水弁25を閉じる処理を実行する。
これによれば、制御装置14は、検知部60によって処理剤ケース50が検知されないつまり処理剤タンク40が収容されていると想定される場合、第1給水経路22には給水しない。したがって、処理剤タンク40が収容部31に収容されている状態で注水口34から収容部31内に水が注水されることがない。したがって、処理剤タンク40に水が掛かって処理剤タンク40内に侵入してしまうことや、処理剤タンク40に当たった水が撥ねて洗濯機10の外部に水漏れしてしまうことを抑制することができる
なお、別の実施形態では、洗濯機10は、処理剤ケース50を検知する検知部60に替えて、処理剤タンク40を検知する検知部を備えていても良い。この場合、処理剤タンク40は、被検知部61と同様の被検知部を有する構成とすることができる。制御装置14は、処理剤タンク40を検知した場合、処理剤の投入について自動投入モードを設定しても良い。また、制御装置14は、処理剤タンク40を検知しない場合、処理剤の投入について手動投入モードを設定しても良い。
(第4実施形態)
次に、図17を参照して第4実施形態を説明する。本実施形態では、検知部60によって処理剤ケース50が検知された場合、制御装置14は、第2実施形態の手動投入モードでの運転と同様に、処理剤を水に溶解する期間において、第1給水弁25に加えて第2給水弁26を開く。
図17には、本実施形態の水槽12への処理剤の投入に関する制御内容のフローチャートが示されている。本実施形態では、制御装置14は、ステップS14を除いて図16に示す第3実施形態のフローチャートと概ね同様の制御を行う。本実施形態では、制御装置14は、ステップS14に替えて、ステップS21を実行する。ステップS21において、制御装置14は、第1給水弁25に加えて第2給水弁26を開く処理を実行する。これにより、処理剤を水に溶解する期間において、注水口34及び合流部接続口28から収容部31に水が注水される。
この場合、第2実施形態及び第3実施形態と同様の効果が得られる。
更に、本実施形態によれば、洗濯機10は、処理剤ケース50又は処理剤タンク40が収容部31の内部に収容されていることを検知可能な検知部60を備える。制御装置14は、検知部60による検知内容に基づいて、処理剤ケース50に投入した処理剤を水槽12に投入する手動投入モードと、処理剤タンク40内に貯留された処理剤を水槽12に投入する自動投入モードと、のいずれかによる運転を実行可能である。制御装置14は、手動投入モードで運転する際、処理剤を外部の水源からの水に溶解させる期間に第1給水弁25と第2給水弁26とを開く処理を実行する。つまり、制御装置14は、処理剤ケース50が収容部31の内部に収容されていることを検知した場合、または処理剤タンク40が収容部31の内部に収容されていることを検知しない場合、処理剤を外部の水源からの水に溶解させる期間に第1給水弁25と第2給水弁26とを開く処理を実行する。
これによれば、ユーザからの投入モードの選択操作がなくても、処理剤ケース50又は処理剤タンク40の収容有無に基づいて自動的に投入モードが設定されるため、ユーザが洗濯運転毎に選択操作する手間が省ける。また、手動投入モードで洗濯運転する場合、注水口34から注水された水に加えて合流部接続口28からも注水されることで、収容部31の下部で水量が増し、処理剤を含んだ水が勢いよく収容部排水口35から排水されるようになる。更に、注水口34とは異なる方向から注水されるため、多方向に水が流れるため、収容部31の下部の処理剤が洗い流されやすくなり、収容部31の内部に処理剤が残留しづらくなる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について図18を参照して説明する。本実施形態では、洗濯機10は、処理剤ケース50に替えて、処理剤ケース70a、70bを備えている。処理剤ケース70aは、ユーザの手動によって投入された粉末状の処理剤例えば洗剤を内部に受けて貯留する。処理剤ケース70bは、ユーザの手動によって投入された液体用の処理剤例えば柔軟仕上げ剤を内部に受けて貯留する。処理剤ケース70a、70bは上方に向かって開放した概ね矩形の容器状に形成されたケース本体71を主体に構成されている。ケース本体71は、枠部72と、窪み部73とケース開口74と、を有する。枠部72は概ね矩形の環状に形成されて、ケース本体71の外周部に設けられている。枠部72の上面は、ケース本体71の上面を形成する。窪み部73は、枠部72の内側に設けられて、ケース本体71を下方に向けて窪ませて形成されている。この場合、処理剤ケース70aに設けられた窪み部73を、窪み部73aと称する。また、処理剤ケース70bに設けられた窪み部73を、窪み部73bと称する。特に区別する必要がない場合、窪み部73a、73bを、窪み部73と総称する。
窪み部73は、図示しない前面部と、左右の側面部732と、背面部733と、底面部734と、を有する。前面部は、窪み部73の前側の壁面を構成する。左右の側面部732は、窪み部73の左右の壁面を構成する。背面部733は、窪み部73の後ろ側の壁面を構成する。底面部734は、窪み部73の窪み形状の底部を構成する。
ケース開口74は、窪み部73を上方に向けて開放して、処理剤ケース70a、70bが収容部31に収容された状態で、処理剤ケース70a、70b内部の空間と処理剤ケース70a、70b外部であって収容部31内部の空間とを連通している。ケース開口74は、処理剤や水の処理剤ケース70a、70bへの入口として機能する。
窪み部73aは、更に孔部75を有する。孔部75は、底面部734を底面部734の厚み方向に貫いて形成された開口である。孔部75は、処理剤ケース70aが収容部31に収容された状態で、処理剤ケース70a内部の空間と処理剤ケース70a外部であってかつ収容部31内部の空間とを連通している。孔部75は、処理剤や水の処理剤ケース70aからの出口として機能する。なお、別の実施形態では、孔部75に替えて、例えば前面部、左右の側面部732、及び背面部733のいずれかの一部に開口を設けて、当該開口から水と処理剤とを排出する構成としても良い。
窪み部73bは、更にサイフォン部76を有する。サイフォン部76は、底面部734の一部を上方に突出させて上下方向に開口した中空の筒状に形成されている。サイフォン部76は、処理剤ケース70bが収容部31に収容された状態で、処理剤ケース70b内部の空間と収容部31の底部314側の空間とを連通している。
処理剤ケース70bは、更にキャップ77を有する。キャップ77は、上部が閉じて下部が開口した中空の有底円筒状に形成されている。キャップ77はサイフォン部76を内部に挿入可能である。窪み部73bに外部の水源から水が供給され、水面位置が所定の高さ以上となると、サイフォン現象により窪み部73b内部の水及び処理剤がサイフォン部76を通過して処理剤ケース70bの外部に排出される。
この場合、処理剤ケース70aと処理剤ケース70bとは、独立して収容部31に収容したり、或いは収容部31から取り外したりすることができる。そのため、処理剤ケース70aは収容部31に収容して、処理剤ケース70bは取り外して代わりに処理剤タンク40を収容部31に収容することができる。また、逆に、処理剤ケース70aは取り外して代わりに処理剤タンク40を収容部31に収容して、処理剤ケース70bは収容部31に収容することができる。
また、洗濯機10は、検知部60を、処理剤ケース70a、70bのそれぞれに対応して、一つずつ備えている。また、各処理剤ケース70a、70bは、それぞれ被検知部61を一つずつ有している。各検知部60は、検知する磁場の大きさに応じて、処理剤ケース70a及び処理剤ケース70bの収容の有無を検知することができる。制御装置14は、各検知部60の検知結果に基づいて、洗剤及び柔軟仕上げ剤のそれぞれに対して、自動投入装置32を用いる自動投入モードとするか、ユーザの手動による手動投入モードとするかを設定する。更に、本実施形態では、検知判定処理は、検知部60の出力に基づいて処理剤ケース70a、70bそれぞれの収容有無を判定する処理である。
本実施形態では、洗濯機10は、洗剤の投入モードと、柔軟仕上げ剤の投入モードとは、独立して選択することができる。すなわち、洗剤については自動投入を行い、柔軟仕上げ剤については手動投入を行うことや、逆に洗剤については手動投入を行い、柔軟仕上げ剤については自動投入を行うことが可能である。もちろん、洗剤と柔軟仕上げ剤との投入モードを同一にすることも可能である。
本実施形態によれば、上記各実施形態と同様の効果が得られる。
ここで、ユーザは、衣類の種類又は汚れ具合等の状況に応じて、洗剤又は柔軟仕上げ剤のいずれか一方のみを手動又は自動投入したいと考えるかもしれない。例えば、普段は液体洗剤を使用しており、衣類の汚れがひどいときは粉末洗剤を使用したいが、柔軟仕上げ剤は普段と同じ種類の物を使用したいという場合がある。また、例えば柔軟仕上げ剤について普段は香り付きの物を使用しており、特定の衣類について香り無しの物を使用したいが、洗剤については普段と同じ物を使用したいという場合がある。このような場合、洗剤と柔軟仕上げ剤とを必ず一緒に手動又は自動投入しなければならないとすると不便である。
これに対し、本実施形態によれば、洗濯機10は、複数この場合2つの処理剤ケース70a、70bと、複数この場合2つの処理剤タンク40と、を備える。収容部31は、複数の処理剤ケース70a、70bのうち少なくとも1つと、複数の処理剤タンク40のうち少なくとも1つとを、同時に収容可能である。
これによれば、処理剤ケース70a、70bと処理剤タンク40とは、それぞれ独立して選択して収容部31に収容することができる。そのため、ユーザの好みに合わせて適宜処理剤ケース70a、70bのうちいずれかと、処理剤タンク40のうちいずれかと、を選択して収容部31に収容し利用することができる。
なお、処理剤の投入モードを、検知部60の検知結果に基づかずに、ユーザによる操作パネル17への選択操作によって決定する構成としても良い。
なお、上記各実施形態を組み合わせて実施することもできる。
また、上記各実施形態において処理剤ケース50の窪み部53a、窪み部53bは、それぞれ粉末状の処理剤用と液体用の処理剤用としたが、別の実施形態では、いずれもが粉末状の処理剤用であっても良いし、いずれもが液体状の処理剤用であっても良い。前者の場合、窪み部53a及び窪み部53bの両方に処理剤を含んだ水を処理剤ケース50から排出する孔部55を設けても良い。また、後者の場合、窪み部53a及び窪み部53bの両方に処理剤を含んだ水を処理剤ケース50から排出するサイフォン部56を設けても良い。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。