JP2022077501A - 角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 食品由来成分を有効成分として用い、角層セラミド合成促進作用により、皮膚の保湿効果、皮膚の乾燥予防もしくは改善効果、又は皮膚バリア機能低下に伴う疾患の予防もしくは改善効果を奏する、皮膚外用組成物を提供すること。【解決手段】 4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有する角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物であり、好適には皮膚の保湿、皮膚の乾燥予防もしくは改善、又は皮膚バリア機能低下に伴う疾患の予防もしくは改善のための医薬品、医薬部外品又は化粧料を提供する。4’-デメチルノビレチンはカンキツ果皮成分のノビレチンから麹菌発酵法により変換して得ることができるため、本発明の皮膚外用組成物は安全性が高く副作用の心配がない。【選択図】 なし
Description
本発明は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有する角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物であり、角層セラミド合成促進作用による皮膚の保湿用、皮膚の乾燥予防もしくは改善用、又は皮膚バリア機能低下に伴う疾患の予防もしくは治療用の皮膚外用組成物に関する。
皮膚は様々な機能を有するが、特に重要なのが、外界からの有害物質の侵入を防ぐバリア機能並びに体表からの水分の喪失を防ぐ皮膚表面の保湿機能である。しかしながら、加齢に伴いバリア機能、保湿機能は低下し、肌のかさつきや有害物質・微生物などの侵入により皮膚トラブルが生じやすくなる(例えば、非特許文献1参照)。
また、アトピー性皮膚炎患者の皮診部および非皮診部は、健常者に比べて顕著にセラミド量が減少していることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。さらに加齢による老人性乾皮症は、従来から知られている皮脂の減少だけではなく、セラミドの減少によることも明らかにされている(例えば、非特許文献2参照)。
これまでに、細胞系で角層セラミド合成促進効果のある化合物としては、セラミドからアシル基が外れたフィトスフィンゴシン(例えば、特許文献1参照)やイチゴ種子エキスのチリロサイド(例えば、非特許文献3参照)などが報告されている。しかしながら、角層セラミド合成促進剤の実際のヒト皮膚に塗布した場合の効果については十分な検証が行われているものは見当たらず、実用的に利用されているものがないのが現状である。
一方、ポリメトキシフラボノイドであるノビレチンは、カンキツ特有のフラボノイドであるが、近年、がん予防、老化抑制、抗動脈硬化作用等さまざまな生理作用が知られるようになってきた。
本発明者らは、ノビレチンを多く含有するカンキツ類の果皮を用い、特定種類の麹菌で発酵することにより、主成分の一つであるノビレチンが4’-デメチルノビレチンに変換することを明らかにした。また、本発明者らは、4’-デメチルノビレチンが、優れた記憶改善作用を有することも見出した(例えば、特許文献2参照)。
Imokawa G, et al.,J Invest Dermatol,96,523-526(1991)
Akimoto K, et al.,J Dermatol(Tokyo),20,1-6(1993)
Takeda S, et al., PLoS ONE 13(10):e0205061(2018)
本発明は、食品由来の安全性の高い成分を有効成分とし、角層セラミド合成促進作用により、皮膚の保湿効果、皮膚の乾燥予防もしくは改善効果、又は皮膚バリア機能低下に伴う疾患の予防もしくは治療効果を奏する、皮膚外用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、さらに4’-デメチルノビレチンの機能性について検討を重ねた結果、驚くべきことに、4’-デメチルノビレチンが角層セラミド合成促進作用を有していることを発見した。そして、当該作用により4’-デメチルノビレチンを皮膚に塗布した場合に皮膚の保湿・乾燥予防に有効であることを見出した。また、角層セラミドの減少に起因する、皮膚バリア機能低下に伴う疾患の予防又は治療に対しても、4’-デメチルノビレチンの皮膚への塗布が有効であるものと推測された。これらの知見に基づいて、本発明者らは本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有する角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物に関する。
上記角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物は、皮膚の保湿用、皮膚の乾燥予防もしくは改善用、又は皮膚バリア機能低下に伴う疾患の予防もしくは治療用の、医薬品、医薬部外品又は化粧料とすることができる。
本発明は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有することにより、皮膚に塗布した場合に角層セラミド合成を促進し、皮膚の保湿効果、皮膚の乾燥予防もしくは改善効果並びに皮膚バリア機能低下に伴う疾患の予防もしくは治療効果を奏する皮膚外用組成物を提供することを可能とする。
4’-デメチルノビレチンはカンキツ果皮成分のノビレチンから麹菌発酵法により変換して得ることができるため、本発明の角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物は安全性が高く副作用の心配がない。
以下、本願の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有する角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物に関する。
本実施形態は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有する角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物に関する。
本実施形態に係る角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物は、皮膚に塗布した場合に、皮膚の保湿効果、皮膚の乾燥予防もしくは改善効果、又は皮膚バリア機能低下に伴う疾患の予防もしくは治療効果を有することから、これらの効果を目的とした医薬品、医薬部外品又は化粧料とすることができる。
〔4’-デメチルノビレチン〕
4’-デメチルノビレチン(式1)は市販されていないが、合成品を用いることができる。あるいは、上記した特許文献2の方法により、ノビレチンを含有するカンキツ類、特に果皮を用いた麹菌発酵により得られた4’-デメチルノビレチン純品(単離物)または4’-デメチルノビレチン含有組成物を用いることができる。合成品よりも、麹菌発酵によるノビレチンの生物変換を利用する特許文献2の方法の方が簡便かつ安価なため、好適である。
4’-デメチルノビレチン(式1)は市販されていないが、合成品を用いることができる。あるいは、上記した特許文献2の方法により、ノビレチンを含有するカンキツ類、特に果皮を用いた麹菌発酵により得られた4’-デメチルノビレチン純品(単離物)または4’-デメチルノビレチン含有組成物を用いることができる。合成品よりも、麹菌発酵によるノビレチンの生物変換を利用する特許文献2の方法の方が簡便かつ安価なため、好適である。
4’-デメチルノビレチンは、ノビレチンが体内で吸収された後にできる代謝産物の一つでもある。カンキツ果皮はマーマレード、砂糖煮などのお菓子の原料として利用され、また、ノビレチン含量の高いマンダリンオレンジ(Citrus reticulata)はチンピとして長年の食経験があり、4’-デメチルノビレチンおよびその含有組成物は、非常に安全性が高い。
特許文献2に記載された方法に準じた、4’-デメチルノビレチンおよびその含有組成物の製造方法について、以下に説明する。
〔発酵原料〕
麹菌発酵の原料は、ポリメトキシフラボノイドであるノビレチンを含有するカンキツ類の‘果実’(果皮、果汁、果肉、種子などを含む果実全体)であるが、特には、ノビレチンの含有率、廃棄物の有効利用の観点から、‘果皮’を用いることが望ましい。
麹菌発酵の原料は、ポリメトキシフラボノイドであるノビレチンを含有するカンキツ類の‘果実’(果皮、果汁、果肉、種子などを含む果実全体)であるが、特には、ノビレチンの含有率、廃棄物の有効利用の観点から、‘果皮’を用いることが望ましい。
また、カンキツ類の種類としては、ノビレチンを含有するカンキツ類であれば、如何なる品種、系統のもの(例えば、ポンカン、シークワーシャ、タンジェリン、タチバナなど)も用いることもできる。
なお、発酵原料としては、カンキツ類の植物体の他の部分(例えば、葉、芽、茎、花、など)を含むものを用いてもよいが、ノビレチンの含有率の点でこれらを含まないものであることが望ましい。
上記カンキツ類は、好ましくは、収穫・採取した生のもの、水洗いしたもの、を用いることが望ましいが、乾燥、凍結、長期保存したものなどであっても用いることができる。
また、カンキツ類はそのままの形態で用いてもよいが、刻むか、砕片化するか、擂潰するかのいずれかの処理を行うことが望ましい。
当該工程は、カンキツ類をいくつかの破片に大きめに刻むこと、細かい小片に細断すること、破砕すること、擂り潰すこと、粉末状にすること、等、幅広い行為を含むものである。好ましくは、1~数cm程度に大きめに刻んだ状態にすることによって、行うことができる。
またさらには、これら発酵原料から、予めノビレチンを抽出して得た抽出物(エキス、乾燥物)や、純品のノビレチンとして単離したものを用いることもできる。
なお、これら発酵原料は、後記の麹菌発酵を行う前に、加熱処理を行って、原料中の雑菌を殺菌しておくことが好ましい。
〔麹菌発酵〕
前記発酵原料を発酵させる麹菌としては、例えばアスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・サイトイ(Aspergillus saitoi)、アスペルギルス・ウサミ(Aspergillus usamii)、リゾプス属糸状菌(別名クモノスカビ)、などを用いることができる。また、これらを混合させて用いてもよい。
前記発酵原料を発酵させる麹菌としては、例えばアスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・サイトイ(Aspergillus saitoi)、アスペルギルス・ウサミ(Aspergillus usamii)、リゾプス属糸状菌(別名クモノスカビ)、などを用いることができる。また、これらを混合させて用いてもよい。
前記麹菌のうち好ましくは、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、を用いると、4’-デメチルノビレチンを高い含有率で得ることができる。
発酵原料へ前記麹菌を接種する方法としては、麹菌の胞子を発酵原料に直接振りかけて付着させることができる。また、予め前記麹菌を液体培養により予備発酵した培地を、発酵原料全体に行き渡るように接種してもよい。
前記麹菌を発酵原料に接種する場合の微生物発酵条件としては、好気的条件で行うことが望ましいことから、例えば有底円筒状の底部が広く深さが浅い容器が好適である。
このような容器の底部に、発酵原料を万遍なく広げ、空気との接触面積が大きくなるようにするとよい。
発酵温度としては、前記麹菌の生育に好適な条件として、好ましくは10~40℃、より好ましくは20~40℃、さらに好ましくは25~32℃で行われる。加えて、前記麹菌の生育に好適な条件として、暗所で発酵させるのが好ましい。また、原料中に十分な水分が含まれている状態であることが好ましい。
4’-デメチルノビレチンを多量に得るための微生物発酵の発酵期間としては、1~14日間とすることができ、好ましくは2~14日間、より好ましくは2~10日間、さらに好ましくは2~4日間である。
この発酵期間が1日間未満の場合には、前記麹菌による微生物発酵がほとんど進行していないことから十分な4’-デメチルノビレチンが得られない。また、逆に14日間を超える場合には、微生物変換により生成された4’-デメチルノビレチンの分解が進み、またカンキツ由来の好ましい芳香が消失する。
また、当該麹菌発酵においては、麹菌から分泌される酵素によって、ノビレチンがデメチル化され、4’-デメチルノビレチンへと変換させるものである。
従って、麹菌発酵を行う代わりに、当該麹菌もしくは発酵後に得られる発酵物から溶液抽出を行ってノビレチンをデメチル化する酵素を含む酵素液を得、当該酵素を用いて前記原料と酵素反応を行って反応物を得ることで、4’-デメチルノビレチンを得ることも可能である。
具体的には、当該麹菌発酵後の発酵物からの水溶解物を回収し、粗酵素液として用いることで、酵素反応を行うことができる。
上記の麹菌発酵を行うことによって、前記カンキツ原料に含有されるポリメトキシフラボノイドであるノビレチンは、すべて4’-デメチルノビレチンに変換される。
具体的には、前記カンキツ原料を麹菌発酵することによって、4’-デメチルノビレチンが乾燥重量あたり約0.5~1.5質量%(具体的には、約1質量%)という、高い含有率の麹菌発酵物を得ることができる。
従って、ここで得られた麹菌発酵物を、得られたそのままの形態で、もしくは、加工(例えば、細片化、擂潰、粉末化、乾燥、など)して、本実施形態の角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物の有効成分として用いることができる。
〔溶液抽出〕
なお、純度の点を鑑みると、本実施形態の角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物の製造においては、前記麹菌発酵の後に得られる発酵物から溶液抽出を行って、抽出物を得ることが望ましい。
なお、純度の点を鑑みると、本実施形態の角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物の製造においては、前記麹菌発酵の後に得られる発酵物から溶液抽出を行って、抽出物を得ることが望ましい。
当該溶液抽出工程は、前記麹菌発酵物に対して直接行うこともできるが、前記麹菌発酵物について、さらに細片化、破砕、擂潰、粉末化等のいずれかの処理を行った後に得られたものに対して行うことが望ましい。
溶液抽出工程に用いる溶媒は、水、緩衝液、有機溶媒、またはそれらの含水溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノールのような低級脂肪族アルコールや、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム等が挙げられる。
これらの溶媒の中でも、水、エタノールあるいは含水エタノールが抽出効率や取り扱いやすさ、安全性の面で特に好ましい。
また、特には、終濃度55%以上、好ましくは終濃度60%以上、さらに好ましくは終濃度80%以上のエタノールを用いて抽出を行うことで、不純物である多糖類の溶出を抑制でき、4’-デメチルノビレチンの抽出効率を向上できるため好ましい。
抽出条件としては、前記原料(好ましくは砕片化物)に対して、前記溶媒を、1から50倍量、好ましくは2~15倍量(いずれも質量比)加え、0℃~溶媒の沸点の温度条件、好ましくは室温~溶媒の沸点以下の温度で、5分~1ヶ月間、好ましくは20分~1週間、浸漬もしくは振盪することにより、抽出することが可能である。
得られた抽出液は、凍結乾燥やエバポレーター等を用いて乾燥させることで、濃縮乾固物とすることができる。
また、溶液抽出工程は、異なる複数の溶媒で、複数回行うこともできる。特に、一度目の抽出を水や低濃度の含水アルコールで行った場合、次に前記特定濃度以上のエタノールを用いた抽出を行うことで、4’-デメチルノビレチンの抽出効率を向上させることができる。
上記により得られた抽出物(前記抽出液や濃縮乾固物)は、そのまま本実施形態の角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物の有効成分として用いることができる。
〔精製〕
また、これらに対して、精製工程を行うことによって、純度をさらに高めることができる。
また、これらに対して、精製工程を行うことによって、純度をさらに高めることができる。
精製工程としては、液-液分離抽出や、シリカゲル、化学修飾シリカゲル、活性炭、合成吸着樹脂担体等によるカラム精製により、高純度化を行うことができる。以下に好適な精製条件の一例を示す。
まず、抽出液(具体的にはエタノール抽出を経た抽出液)を、33~41%エタノール(具体的には40%エタノール)で平衡化した多孔性合成吸着樹脂(具体的には、ダイヤイオンHP20〔三菱化学社製〕)のカラムに供する。そして、39~43%エタノール(具体的には43%エタノール)で溶出される成分を除去する。次に、44~46%エタノール(具体的には45%エタノール)で溶出される成分を回収することにより、4’-デメチルノビレチン高含有組成物を得ることができる。
また、上記のように得られた4’-デメチルノビレチン高含有組成物は、さらにODSカラムクロマトグラフィー(具体的には60%メタノール溶出)、薄層クロマトグラフィー(TLC)(具体的にはヘキサン/エタノール〔7:3〕)、ODS-HPLC(具体的には37%〔V/V〕アセトニトリル・水の混合溶媒)に供し、目的ピークを採取することで、4’-デメチルノビレチンの純品を単離することができる。
上記により得られる4’-デメチルノビレチンは、4’位が脱メチル化したノビレチンのモノデメチル体である。4’-デメチルノビレチンは脱メチル化により極性が高くなり、ノビレチンに比べてアルコール、水への溶解性に優れる。
また、4'-デメチルノビレチンは、優れた角層セラミド合成促進作用を有することにより、皮膚に塗布した場合に優れた保湿作用、並びに皮膚バリア機能低下に伴う疾患の予防、治療もしくは改善作用を有するものである。
ここで、「皮膚バリア機能低下に伴う疾患」としては、特に限定されないが、たとえば乾癬、ドライスキン、乾皮症、アトピー性皮膚炎などを挙げることができる。
したがって、4’-デメチルノビレチンは、角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物の有効成分として用いることができる。
また、4’-デメチルノビレチンは、その角層セラミド合成促進作用により、皮膚の保湿用、皮膚の乾燥の予防もしくは改善用、又は皮膚バリア機能低下に伴う疾患の予防もしくは治療用である皮膚外用組成物、好適には医薬品、医薬部外品又は化粧料の有効成分として用いることができる。
〔角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物、医薬品、医薬部外品及び化粧料〕
本実施形態の角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有することを特徴とする。
本実施形態の角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有することを特徴とする。
また、角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物としては、具体的には、皮膚の保湿用、皮膚の乾燥の予防もしくは改善用、又は皮膚バリア機能低下に伴う疾患の予防もしくは治療用の、医薬品、医薬部外品又は化粧料を挙げることができる。
上記の4’-デメチルノビレチンは、上記工程で得られる各組成物(‘発酵物を直接含有する組成物’‘溶液抽出物’‘高含有組成物’)や、‘単離物’として各種原料に混合することで、角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物、医薬品、医薬部外品又は化粧料の有効成分として用いることができる。
4’-デメチルノビレチンの有効摂取量としては、4’-デメチルノビレチンを0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上含む皮膚外用組成物を1日1回以上、好ましくは1~3回/日、皮膚に塗布することにより、優れた角層セラミド合成促進作用や皮膚の保湿作用が得られ、皮膚の乾燥、皮膚バリア機能低下に伴う疾患に対する優れた予防、治療もしくは改善作用を得ることができる。
従って、この必要量を確保できる形態や摂取方法(回数、量)で、本実施形態の角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物、医薬品、医薬部外品又は化粧料を皮膚に塗布することで、上記薬理作用が得られることが期待される。ただし、対象の年齢、体重、症状、摂取スケジュール、製剤形態などにより、摂取量や塗布量を適宜決定することが望ましい。
また、角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物、医薬品、医薬部外品又は化粧料における4’-デメチルノビレチンの含有量としては、上記必要な摂取量を担保できるように含有するものであればよいが、具体的には、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上となるように含有させることができる。また、上限としては、20質量%以下を挙げることができる。
角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物、医薬品、医薬部外品又は化粧料の形態としては、例えば、液体状やジェル状、クリーム状、軟膏などの形態とすることができる。
本実施形態の角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物、医薬品、医薬部外品又は化粧料には、4’-デメチルノビレチンまたはその含有組成物以外にも、本発明の効果を奏する範囲内で、各種担体や添加剤、他の薬効成分などが含まれていても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。
<実施例1> 4’-デメチルノビレチン含有組成物の調製
特許文献2に記載の方法に準じて、ポンカン果皮を麹菌発酵することによりノビレチン変換物4’-デメチルノビレチン含有組成物を調製した。
特許文献2に記載の方法に準じて、ポンカン果皮を麹菌発酵することによりノビレチン変換物4’-デメチルノビレチン含有組成物を調製した。
すなわち、ポンカン果皮10kgを刻んで細片化し、蒸煮処理により滅菌処理を行った。得られたポンカン果皮に、全体に行き渡るようにアスペルギルス・アワモリ((株)ビオック製)を接種した。そして、30℃の恒温室内にて発酵処理(麹菌発酵)を好気的に4日間行うことで、麹菌発酵物を得た。
得られた麹菌発酵物6kgに対して80%(v/v)エタノール75Lを添加し、100℃において1時間エキス抽出して抽出液を得た。当該抽出液を、あらかじめ40%(v/v)エタノールで平衡化したダイヤイオンHP20(多孔性合成吸着樹脂カラム)に供し、3Lの43%(v/v)エタノールで非吸着成分を除いた後、10Lの45%(v/v)エタノールで溶出する成分を回収した。当該回収物をロータリーエバポレーターで濃縮乾固することにより、4’-デメチルノビレチン21%含有組成物を得た。
<実施例2> 4’-デメチルノビレチン単離物の調製
上記により得られた4’-デメチルノビレチン高含有組成物2gを20%(v/v)メタノールに溶解し、ODSカラムクロマトグラフィー(内径20mmφ、長さ30cmカラムに和光ゲル50C18を30g詰めた)に供した。40%(v/v)メタノールで溶出する成分を除去し、60%(v/v)メタノールで溶出する成分を得た。
上記により得られた4’-デメチルノビレチン高含有組成物2gを20%(v/v)メタノールに溶解し、ODSカラムクロマトグラフィー(内径20mmφ、長さ30cmカラムに和光ゲル50C18を30g詰めた)に供した。40%(v/v)メタノールで溶出する成分を除去し、60%(v/v)メタノールで溶出する成分を得た。
次いで、得られた成分について、展開溶媒ヘキサン/エタノール=7:3の条件で分取TLCクロマトグラフィー(シリカゲル70PF254プレートワコー、膜厚0.75mm、和光純薬製)を行い、4’-デメチルノビレチンを含む画分を、UVランプを用いて確認しながら採取した。
そして、得られた画分を、分取HPLCカラム(TSK GEL ODS、東ソー社製、4.6mm×25cm)に供し、37%(v/v)アセトニトリルの移動層によって、純品の4’-デメチルノビレチン20mgを得た。
<実施例3> ヒト3次元培養表皮モデルを用いた角層セラミド合成への効果
4’-デメチルノビレチン純品あるいは4’-デメチルノビレチン含有組成物をヒト3次元培養表皮モデル(角層モデル)に添加し、角層セラミド合成への効果を調べた。
4’-デメチルノビレチン純品あるいは4’-デメチルノビレチン含有組成物をヒト3次元培養表皮モデル(角層モデル)に添加し、角層セラミド合成への効果を調べた。
ヒト3次元培養表皮モデルはLabCyte EPI-MODEL 6D(J-TEC社)を用いた。当該表皮モデルの開封後1日間は、付属の専用アッセイ培地([EPI-MODEL][CORNEA-MODEL](J-TEC社))で培養した。その後、上記アッセイ培地に対し、4’-デメチルノビレチン(10μM、実施例2調製品)もしくは4’-デメチルノビレチン含有組成物(4.5,9,18μg/mL、実施例1調製品)を溶解した培地で培養を行い、培養6日目で組織を回収した。なお、培地交換は1日おきに実施した。対照(Control)として、4’-デメチルノビレチン又は4’-デメチルノビレチン含有組成物の代わりにDMSOを0.1%(容量比)添加したアッセイ培地を用いて、同様に培養を行った。
角層セラミド産生量は、トータルセラミド、セラミドEOS、セラミドNS/NDS(NSとNDSの合計)、セラミドNPについて評価した(サンプル数:n=3)。各セラミドの定量方法は以下の通りである。
培養6日目に回収した組織をトリプシン処理し、角層を分離させた。得られた角層をPBSで複数回洗浄後、抽出液(クロロホルム:メタノール:PBS=1:2:0.8(容量比))の入ったガラスホモジナイザーで角層を一定時間破砕した。破砕後は、角層を試験管に移し、ボルテックスで20分間振盪した後、遠心分離にて沈殿物と上清を分離した。当該沈殿物はBCA法にてタンパク定量し、角層タンパク重量あたりのセラミド量の算出に使用した。
一方、上記の上清に抽出液(クロロホルム:PBS=1:1(容量比))を加え、ボルテックスで20分間振盪したのち、遠心分離にて層を分離した。ガラスシリンジで下層のみを回収し、窒素乾固で完全に溶媒を除去した後、クロロホルム・メタノール混合液(クロロホルム:メタノール=2:1(容量比))を所定量加えて溶解するまでボルテックス処理することで、サンプル溶液とした。
セラミドの定量は、「機能性化粧品素材開発のための実験法-in vitro/細胞/組織培養-」(芋川玄爾 監修、2007年、シーエムシー出版)を参考にして、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)を使用して行った。標準物質として使用したnon hydroxy ceramideおよびhydroxy ceramideはMatreya, LLC社より購入し、Ceramide IIIおよびCeramide VIはEvonik Industries AG社(Essen)より、Ceramide TIC-001は高砂香料工業株式会社より、それぞれ供与された。各標準物質は、0.2mg/mLとなるように、クロロホルム・メタノール混合液(クロロホルム:メタノール=2:1(容量比))に溶解し、標準液とした。
所定量のサンプル溶液および標準液をシリカゲルプレート(HPTLCガラスプレート シリカゲル60 F254(Merck社))に供与し、展開溶媒(クロロホルム:メタノール:酢酸=190:9:1(容量比))で展開した。取り出したTLCプレートを室温で風乾後、展開溶媒(クロロホルム:メタノール:酢酸=197:2:1(容量比))で再度展開した。取り出したTLCプレートは室温で風乾した後、10%硫酸銅・8%リン酸(各質量比)の混合溶液を噴霧し、180℃で6分間加熱してスポットを発色させた。発色したTLCプレートはスキャン後、Image J(Wayne Rasband)にて解析し、各スポットの濃度及び大きさに基づいて各セラミドを定量した。
なお、セラミドNS/NDSの定量においては、non hydroxy ceramideを標準物質として用いた。セラミドASの定量には、hydroxy ceramideを標準物質として用いた。セラミドNPの定量においては、Ceramide IIIを標準物質として用いた。セラミドAPの定量においては、Ceramide VIを標準物質として用いた。セラミドNDSの定量においては、Ceramide TIC-001を標準物質として用いた。トータルセラミドの定量においては、上記で求めたセラミドを含む、セラミドEOS、NS、NDS、NP、EOH、AS、NH、APおよびAHの合計量として算出した。
結果を図1及び図2に示す。図1は、ヒト3次元培養表皮モデルに対して4’-デメチルノビレチン(DeNOB)を添加したときの角層セラミド合成への効果(6日後)を示す図である(実施例3)。
図1中、(A)はトータルセラミド、(B)はセラミドEOS、(C)はセラミドNS/NDS、(D)はセラミドNPの結果を示す。グラフの縦軸はセラミド産生量(単位:μg/mg蛋白)を示す。バーは標準偏差を示し、*、**は無添加の対照(Control)に比べて各々p<0.05、p<0.01で有意差があることを示す。
4’-デメチルノビレチン(実施例2調製品)の添加により、トータルセラミドは1.54倍、セラミドEOSは1.50倍、NS/NDSは1.59倍、セラミドNPは1.57倍へとそれぞれ有意に増大した(図1)。
図2は、ヒト3次元培養表皮モデルに対して4’-デメチルノビレチン(DeNOB)含有組成物を添加したときの角層セラミド合成への効果(6日後)を示す図である(実施例3)。
図2中、(A)はトータルセラミド、(B)はセラミドNS/NDS、(C)はセラミドNPの結果を示す。グラフの縦軸はセラミド産生量(単位:μg/mg蛋白)を示す。バーは標準偏差を示し、*は無添加の対照(Control)に比べてp<0.05で有意差があることを示す。
4’-デメチルノビレチン含有組成物(実施例1調製品)の添加により、トータルセラミドは1.36倍、NS/NDSは1.34倍、セラミドNPは1.40倍へとそれぞれ有意に増大した(図2)。
以上のことから、4’-デメチルノビレチンおよび4’-デメチルノビレチン含有組成物の角層セラミド合成促進作用が明らかとなった。
<実施例4> ヒト3次元培養表皮モデルを用いたセラミド合成酵素遺伝子発現への効果
4’-デメチルノビレチン純品あるいは4’-デメチルノビレチン含有組成物をヒト3次元培養表皮モデル(角層モデル)に添加し、角層セラミド合成酵素遺伝子発現への効果を調べた。図3は、セラミド生合成経路と関連遺伝子を示す図である。本実施例では、セラミド合成関連遺伝子として、セラミド合成酵素1(CERS1)、2(CERS2)、グルコシルセラミド合成酵素(UGCG)、スフィンゴミエリン合成酵素2(SMS2)について検討した。
4’-デメチルノビレチン純品あるいは4’-デメチルノビレチン含有組成物をヒト3次元培養表皮モデル(角層モデル)に添加し、角層セラミド合成酵素遺伝子発現への効果を調べた。図3は、セラミド生合成経路と関連遺伝子を示す図である。本実施例では、セラミド合成関連遺伝子として、セラミド合成酵素1(CERS1)、2(CERS2)、グルコシルセラミド合成酵素(UGCG)、スフィンゴミエリン合成酵素2(SMS2)について検討した。
ヒト3次元培養表皮モデルを上記実施例3と同様に培養し、評価物質添加後培養3日目に回収した組織から、トリプシン処理で表皮細胞を取り出した。ここで、アッセイ培地に対する4’-デメチルノビレチン(実施例2調製品)の添加量は10μM、4’-デメチルノビレチン含有組成物(実施例1調製品)の添加量は9,18μg/mLとした。対照(Control)として、4’-デメチルノビレチン又は4’-デメチルノビレチン含有組成物の代わりにDMSOを0.1%(容量比)添加したアッセイ培地を用いて、同様に培養を行った。
得られた表皮細胞から、RNeasy Mini Kit(Qiagen社)を用いて総RNAを抽出し、Rever TraAce qPCR RT kit(TOYOBO社)を用いて、総RNAからcDNA合成を行った。次に、得られたcDNAを用いて、リアルタイムRT-PCR法により、セラミド生合成関連酵素(CERS1、CERS2、UGCGおよびSMS2)の遺伝子発現量を定量した。リアルタイムRT-PCR法には、TB Green Fast qPCR Mix(TaKaRa社)を使用し、CERS1、CERS2、UGCGおよびSMS2のプライマーは表1に示す塩基配列からなるものを用いた。
なお、内部標準としてGAPDHを用いた。リアルタイムRT-PCRの操作は定められた方法に従い、CERS1、CERS2、UGCGおよびSMS2のmRNAの発現量を、内部標準であるGAPDH mRNAの発現量に対する割合として求めた。CERS1、CERS2、UGCGおよびSMS2の発現率は、対照(DMSO 0.1%)のmRNA発現量に対する4’-デメチルノビレチンもしくは4’-デメチルノビレチン含有組成物添加群のmRNA発現量の比率として算出した(サンプル数:n=3)。
結果を図4および図5に示す。図4は、ヒト3次元培養表皮モデルに対して4’-デメチルノビレチン(DeNOB)を添加したときのセラミド関連遺伝子への効果(3日後)を示す図である。図4中、(A)はCERS1、(B)はCERS2、(C)はUGCGの結果を示す。グラフの縦軸は、無添加の対照(Control)におけるmRNA発現量を1としたときの、mRNA発現量の割合(相対的mRNA発現量)を示す。バーは標準偏差を示し、*は無添加の対照(Control)に比べてp<0.05で有意差があることを示す。4’-デメチルノビレチン(実施例2調製品)の添加により、CERS1、CERS2、UGCG共に発現量の有意な上昇が示された(図4)。
図5は、ヒト3次元培養表皮モデルに対して4’-デメチルノビレチン(DeNOB)含有組成物を添加したときのセラミド関連遺伝子への効果を示す図である。図5中、(A)はCERS1、(B)はCERS2、(C)はUGCG、(D)はSMS2の結果を示す。グラフの縦軸は、無添加の対照(Control)におけるmRNA発現量を1としたときの、mRNA発現量の割合(相対的mRNA発現量)を示す。バーは標準偏差を示し、#、*は無添加の対照(Control)に比べて各々p<0.1で傾向、p<0.05で有意差があることを示す。4’-デメチルノビレチン含有組成物(実施例1調製品)の添加により、CERS1、CERS2、UGCG、SMS2それぞれについて発現量の有意な上昇が示された(図5)。
以上のことから、4’-デメチルノビレチンまたは4’-デメチルノビレチン含有組成物の培養細胞への添加により、セラミド合成酵素活性が亢進したことで、角層セラミド合成が促進されたことが裏付けられた。
<実施例5> 4’-デメチルノビレチン配合化粧水のヒト連用肌保湿効果試験
被検者10名の顔面の半顔に対して被検品(実施例2で調製した4’-デメチルノビレチンを0.005%(質量比)配合した化粧水)、もう一方に対照としてプラセボ品(4’-デメチルノビレチン非配合の化粧水)を、朝夕1日2回、各0.25mLずつ連用させた。試験開始前と2週間連用後、4週間連用後の3回にわたり、試験部位の状態および変化を測定評価した。以下の表2に被検品とプラセボ品の化粧水組成を示した。
被検者10名の顔面の半顔に対して被検品(実施例2で調製した4’-デメチルノビレチンを0.005%(質量比)配合した化粧水)、もう一方に対照としてプラセボ品(4’-デメチルノビレチン非配合の化粧水)を、朝夕1日2回、各0.25mLずつ連用させた。試験開始前と2週間連用後、4週間連用後の3回にわたり、試験部位の状態および変化を測定評価した。以下の表2に被検品とプラセボ品の化粧水組成を示した。
すなわち、被検者は上記した3回の観察日ごとに市販のクレンジングおよび洗顔料で洗顔後、温度21.0±0.3℃、相対湿度45.0±2.0%に維持された部屋で約20分間の安静期間を過ごし、試験環境に肌を馴化させた後に、次のように角層水分量、経表皮水分蒸散量および皮膚弾力性の機器測定を行い、皮膚の保湿・乾燥改善効果を評価した。
・角層水分量:Corneometer CM825(Courage+Khazaka社、ドイツ)により3回測定し、平均値をその被検者の角層水分量(単位:a.u.)とした。
・経皮水分蒸散量:Tewameter TM300(Courage+Khazaka社、ドイツ)により測定し、測定値をその被検者の経皮水分蒸散量(単位:g/h/m2)とした。
・皮膚弾力性:Cutometer CT580(プローブ開口部2.0mm、陰圧150mbar、Courage+Khazaka社、ドイツ)により2回測定し、「R7」の平均値をその被検者の皮膚弾力性(単位:a.u.)とした。
結果を図6および図7に示す。図6は、4’-デメチルノビレチン配合化粧水のヒト連用肌保湿試験での角層水分量への効果を示す図である。図6中、(A)は角層水分量測定値、(B)は角層水分量差分値、を示す。グラフの縦軸は角層水分量(単位:a.u.)を示す。バーは標準偏差を示し、*、**は無添加のプラセボ群に比べて各々p<0.05、p<0.01で有意差があることを示す。
2週間および4週間後連用後の角層水分量の測定値、試験前後の差分値において、被検品塗布群はプラセボ群に比較して有意に高い値を示した(図6(A)、図6(B))。このことから、4’-デメチルノビレチン配合化粧水を連用したことにより、角層セラミド合成が促進され、肌がより整ったと考えられた。
図7は、4’-デメチルノビレチン配合化粧水のヒト連用肌保湿試験での経皮水分蒸散量への効果を示す図である。図7中、(A)は経皮水分蒸散量測定値、(B)は経皮水分蒸散量差分値、(C)は経皮水分蒸散量相対値を示す。グラフの縦軸は経皮水分蒸散量(単位:g/h/m2)を示す。バーは標準偏差を示し、**、***は無添加のプラセボ群に比べて各々p<0.01、p<0.001で有意差があることを示す。
4週間連用後の経皮水分蒸散量の測定において、被検品塗布群はプラセボ群に比較して有意に低い値を示した(図7(A))。また、2週間および4週間連用後の経皮水分蒸散量の、試験前後の差分値並びに相対値において、被検品塗布群はプラセボ群と比較して有意に低い値を示した(図7(B)、図7(C))。以上のことから、4’-デメチルノビレチン配合化粧水を連用したことにより角層セラミド合成が促進され、肌のバリア機能が向上したと考えられた。
図8は、4’-デメチルノビレチン配合化粧水のヒト連用肌保湿試験での皮膚弾力性への効果を示す図である。図8中、(A)は皮膚弾力性測定値、(B)は皮膚弾力性差分値、を示す。グラフの縦軸は皮膚弾力性(単位:a.u.)を示す。バーは標準偏差を示し、†は無添加のプラセボ群に比べてp<0.1で傾向があることを示す。
4週間連用後の皮膚の弾力性の測定値および試験前後の差分値において、被検品塗布群はプラセボ群と比較して傾向差をもって高い値を示した(図8(A)、図8(B))。このことから、4’-デメチルノビレチン配合化粧水を連用したことに起因する肌のバリア機能の向上(図7参照)が、肌のハリに現れたものと思われる。
以上の結果から、4’-デメチルノビレチン配合化粧水を連用したことにより、皮膚の保湿・乾燥改善、皮膚の弾力性(ハリ)向上、並びに皮膚のバリア機能の向上、といった効果が奏されることが示された。
<実施例6> 皮膚外用組成物の処方例
処方例1 クリームの調製
以下の量で各原料を配合し、4’-デメチルノビレチン配合のクリームを製造した。
オリーブスクワラン 30ml
ミツロウ 5g
4’-デメチルノビレチン100mg含有1,3-プロパンジオール溶液 5ml
精製水 15ml
処方例1 クリームの調製
以下の量で各原料を配合し、4’-デメチルノビレチン配合のクリームを製造した。
オリーブスクワラン 30ml
ミツロウ 5g
4’-デメチルノビレチン100mg含有1,3-プロパンジオール溶液 5ml
精製水 15ml
処方例2 軟膏の調製
以下の量で各原料を配合し、4’-デメチルノビレチン配合の軟膏を製造した。
オリーブスクワラン 30ml
ミツロウ 5g
ティートゥリー精油 3滴
4’-デメチルノビレチン100mg含有1,3-プロパンジオール溶液 5ml
以下の量で各原料を配合し、4’-デメチルノビレチン配合の軟膏を製造した。
オリーブスクワラン 30ml
ミツロウ 5g
ティートゥリー精油 3滴
4’-デメチルノビレチン100mg含有1,3-プロパンジオール溶液 5ml
処方例3 ローションの調製
以下の量で各原料を配合し、4’-デメチルノビレチン配合のローションを製造した。
グリセリン 7g
4’-デメチルノビレチン20mg含有1,3-プロパンジオール溶液 5ml
水 86ml
カーボポール 0.1g
以下の量で各原料を配合し、4’-デメチルノビレチン配合のローションを製造した。
グリセリン 7g
4’-デメチルノビレチン20mg含有1,3-プロパンジオール溶液 5ml
水 86ml
カーボポール 0.1g
処方例4 化粧水の調製
以下の量で各原料を配合し、4’-デメチルノビレチン配合の化粧水を製造した。
水 200ml
尿素 5g
グリセリン 1ml
4’-デメチルノビレチン20mg含有1,3-プロパンジオール溶液 1ml
以下の量で各原料を配合し、4’-デメチルノビレチン配合の化粧水を製造した。
水 200ml
尿素 5g
グリセリン 1ml
4’-デメチルノビレチン20mg含有1,3-プロパンジオール溶液 1ml
処方例5 サンスクリーン剤の調製
以下の量で各原料を配合し、4’-デメチルノビレチン配合のサンスクリーン剤を製造した。
スクワラン 30ml
ミツロウ 5g
微粒子二酸化チタン 7g
4’-デメチルノビレチン20mg含有1,3-プロパンジオール溶液 1ml
精製水 70ml
以下の量で各原料を配合し、4’-デメチルノビレチン配合のサンスクリーン剤を製造した。
スクワラン 30ml
ミツロウ 5g
微粒子二酸化チタン 7g
4’-デメチルノビレチン20mg含有1,3-プロパンジオール溶液 1ml
精製水 70ml
本発明は、安全性の高い原料である4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有することにより、皮膚に塗布した場合に角層セラミド合成促進効果を有し、皮膚の保湿用、皮膚の乾燥予防・改善用並びに皮膚バリア機能低下に伴う疾患の予防・治療・改善用の皮膚外用組成物として、特に化粧料、医薬部外品、医薬品等に利用されることが期待される。
Claims (2)
- 4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有する角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物。
- 皮膚の保湿用、皮膚の乾燥予防もしくは改善用、又は皮膚バリア機能低下に伴う疾患の予防もしくは治療用の、医薬品、医薬部外品又は化粧料である、請求項1記載の角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物。
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JP2021171563A Pending JP2022077501A (ja) | 2020-11-11 | 2021-10-20 | 角層セラミド合成促進用皮膚外用組成物 |
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