JP2009013106A - 炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体、それらの製造方法、それからなる食品製剤、化粧品、抗炎症剤 - Google Patents
炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体、それらの製造方法、それからなる食品製剤、化粧品、抗炎症剤 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 副作用が弱く、優れた炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体、それらの製造方法、それからなる食品製剤、化粧品、抗炎症剤を提供する。
【解決手段】 炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体は、キサントンにグルコン酸とカルボン酸とが結合してなる誘導体である。このキサントン誘導体は酸性であり、皮膚に浸透して優れた抗炎症作用を呈し、また、その安全性も高い。その製造方法はマンゴスチンの粉砕物に大豆の粉砕物と納豆菌を添加して発酵させた発酵物に酸性水溶液を添加して抽出する工程からなるものである。食品製剤と化粧品は炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体と果汁エキスからなるものである。さらに、抗炎症剤はキサントン誘導体からなるものである。
【選択図】 なし
【解決手段】 炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体は、キサントンにグルコン酸とカルボン酸とが結合してなる誘導体である。このキサントン誘導体は酸性であり、皮膚に浸透して優れた抗炎症作用を呈し、また、その安全性も高い。その製造方法はマンゴスチンの粉砕物に大豆の粉砕物と納豆菌を添加して発酵させた発酵物に酸性水溶液を添加して抽出する工程からなるものである。食品製剤と化粧品は炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体と果汁エキスからなるものである。さらに、抗炎症剤はキサントン誘導体からなるものである。
【選択図】 なし
Description
この発明は、炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体に関するものである。また、前記のキサントン誘導体の製造方法に関するものである。さらに、前記のキサントン誘導体、果汁エキスを含有する組成物からなる食品製剤、化粧品及び抗炎症剤に関するものである。
炎症性サイトカインとは炎症時に、白血球、マクロファージ、リンパ球や単球などの細胞により産生されるたんぱく質であり、発熱、疼痛、発赤などの症状を誘発する。
この炎症性サイトカインはプロスタグランジンやトロンボキサンなどを誘導し、これらのプロスタグランジンが組織や細胞に障害を与え、つらに、発熱、腫脹、赤み、痛みという炎症の症状を全身に及ぼす。
炎症性サイトカインとしては、インターロイキン−1アルファ、インターロイキン−1ベータ、インターロイキン−6、インターロイキン−8、腫瘍壊死因子アルファ(TNFアルファ)がある。
このうち、インターロイキン−1アルファ及びインターロイキン−1ベータは、炎症性細胞である単球やリンパ球から放出され、インターロイキン−6、インターロイキン−8、TNFアルファの分泌を促し、このうちインターロイキン−6は発熱や組織の障害に関与している。また、TNFアルファは、別名カケクチンとも言われ、癌や悪液質の際に放出され、全身症状の悪化や不快感をもたらす(例えば、非特許文献1参照。)。
これらの炎症性サイトカインは細菌、寄生虫やウイルス感染時により細胞内で生成が誘導されて産生される。その経路にはプロテインキナーゼC系やカルシウムを介した細胞内情報伝達系が存在している。さらに、核で転写因子である転写因子カッパB(NF−カッパB)やNF−IL6が炎症性サイトカインのメッセンジャーRNAの転写を促進すると報告されている(例えば、非特許文献2参照。)。
炎症性サイトカインの産生を抑制する物質としてステロイドホルモン製剤が存在し、このステロイドホルモン製剤は炎症細胞の中で、プロテインキナーゼC系や炎症性サイトカインの転写因子を抑制し、炎症性サイトカインの産生を抑制する(例えば、非特許文献3参照。)。
一方、ステロイドホルモン製剤としてはプロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、プレゾニドロン、コルチゾンなどがあるものの、副作用として免疫機能低下、日和見感染、副腎の機能低下、ステロイド紫斑などの皮膚炎などが知られている(例えば、非特許文献4参照。)。
その結果、ステロイドホルモン製剤は、長期間使用できないという欠点がある。
天然の抗炎症剤としては甘草やハーブが知られている。甘草にはグリチルリチン酸が含有され、その働きはステロイド様作用があると報告されている(例えば、非特許文献5参照。)。しかし、その働きは軽度であるという欠点がある。
いくつかの天然由来植物素材は、医薬品、食品、化粧品などとして利用されており、このうち、アニスについては漢方生薬エキス含有組成物及びそれを含有する製剤(例えば、特許文献1参照。)があるものの、マンゴスチンやキサントンに関する炎症についての報告はない。
また、炎症性サイトカインの産生を抑制する物質又は抗炎症剤の発明としては、ハイドロキノン配糖体の少なくとも1種と、美白作用を有する生薬又は生薬エキスとを含む化粧料に関する発明がある(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、抗炎症作用に関する発明としては、抗炎症 用食品の発明(例えば、特許文献3参照。)があるものの、有効成分の特定や化合物についての報告はない。
抗炎症作用を呈するポリフェノールについては、アラキドン酸代謝抑制剤の発明があり、アルトールを有効成分とするアラキドン酸代謝抑制に関する発明がある(例えば、特許文献4参照。)。しかし、炎症性サイトカイン産生を抑制するキサントンに関する発明は見当たらない。
特開2005−187394公報
特開平5−139950公報
特開平11−318387公報
特開2006−219471公報
Grignari G.ら、Haematologica、85、967−972、2000。
Driscoll、E.ら、Environ. Health Perspect、105、1159−1164、1997。
Roman、J.ら、Immunology、98、228−237、1999。
Bruner、C.R.ら、Dermatol.Online J、9、2、2003。
Sasaki、H.ら、Pathobiology、70、229−236、2002−2003。
従来、炎症性サイトカインを抑制する物質としてステロイド剤があるものの、副腎肥大や感染症などの副作用が認められるという問題点があった。また、天然由来の物質の作用は軽度であり、水溶性物質であることが多いため、作用の持続性が低いという問題点があった。
また、通常のポリフェノール類や精油は種々の酸化ストレスや酸化物質によりそれらの活性を消失しやすいという問題点があった。
この発明は上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、副作用が弱く、優れた炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体を提供することにある。
マンゴスチンの粉砕物に酢酸またはクエン酸を添加し、抽出して得られる副作用が弱く、優れた炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体を提供することにある。
また、マンゴスチンの粉砕物に大豆の粉砕物と納豆菌を添加して発酵させた発酵物に酸性水溶液を添加して抽出する工程からなるキサントン誘導体の製造方法を提供することにある。
さらに、炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体1重量に、果汁エキス0.01〜1重量を含有する組成物からなる副作用が弱く、優れた食品製剤を提供することにある。
加えて、炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体1重量に、果汁エキス0.02〜2重量を含有する組成物からなる化粧品を提供することにある。
また、炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体からなる抗炎症剤を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、炎症性サイトカイン産生抑制作用を有する下記の式(1)で示されるキサントン誘導体に関するものである。
Xは、水素またはカルボン酸のいずれか。
請求項2に記載の発明は、マンゴスチンの粉砕物に酢酸を添加し、抽出して得られる請求項1に記載のキサントン誘導体のうち、Xが水素である下記の式(2)で示される炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体に関するものである。
請求項3に記載の発明は、マンゴスチンの粉砕物にクエン酸を添加し、抽出して得られる請求項1に記載のキサントン誘導体のうち、Xがカルボン酸である下記の式(3)で示される炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体に関するものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体の製造方法に関するものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体1重量に、果汁エキス0.01〜1重量を含有する組成物からなる食品製剤に関するものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体1重量に、果汁エキス0.02〜2重量を含有する組成物からなる化粧品に関するものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体からなる抗炎症剤に関するものである。
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1〜3に記載の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体によれば、副作用が弱く、優れた抗炎症作用が発揮される。
請求項4に記載の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体の製造方法によれば、効率良く、かつ、経済的にキサントン誘導体を得ることができる。
請求項5に記載の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体1重量に、果汁エキス0.01〜1重量を含有する組成物からなる食品製剤によれば、副作用が弱く、優れた抗炎症作用が発揮される。
請求項6に記載の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体1重量に、果汁エキス0.02〜2重量を含有する組成物からなる化粧品によれば、副作用が弱く、優れたしわ改善作用が発揮される。
請求項7に記載の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体からなる抗炎症剤によれば、副作用が弱く、優れた抗炎症作用が発揮される。
以下、この発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
まず、炎症性サイトカイン産生抑制作用を有する下記の式(1)で示されるキサントン誘導体について説明する。
Xは、水素またはカルボン酸のいずれか。
ここでいうキサントン誘導体とは、天然に存在するものから抽出、もしくは、発酵、酵素合成、植物による合成、ないしは、化学合成により製造されるキサントン誘導体であり、そのうち、グルコン酸を有し、酸性を示す一連の化合物である。
そもそも、キサントンとは、xanthen−9−one、つまり、ザンテン−9−ワンである。
ここでいうキサントン誘導体とは、キサントン骨格の2位にグルコン酸が結合し、さらに、5位と6位にカルボン酸が結合している。
さらに、7位には水素またはカルボン酸のいずれか一つが結合している。
前記のキサントン誘導体は、マンゴスチンやセントジョーンズワートなどのツバキ目オトギリソウ科の植物に含有されている。このうち、マンゴスチンには、キサントンが豊富に含有されていることから、マンゴスチンは好ましい。
このマンゴスチンはタイやマレーシアなどの東南アジアで食経験が豊富な植物であり、その安全性はすでに確認されていることからより好ましい。
前記のキサントン誘導体は、酸性に溶解性を示して、かつ、脂溶性であるため、皮脂や腸管などの標的となる炎症細胞の細胞膜に馴染みやすいという特徴を有する。
前記のキサントン誘導体はインターロイキン−1アルファ、インターロイキン−8やTNFアルファなどの炎症性サイトカインの産生を抑制する。
前記のキサントン誘導体は単球、マクロファージ、好中球などの炎症性細胞の細胞膜を通過し、炎症のシグナルの中心を担っているNF−カッパBの発現を抑制することにより、炎症性サイトカインの産生を抑制する。
前記のキサントン誘導体は酸性を有するグルコン酸やカルボン酸が結合していることからキサントンそのものに比して小腸や皮膚の細胞膜に馴染みやすく、吸収されやすい。
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されてキサントンとグルコン酸と酢酸に分解され、それぞれは安全性が確認されていることから、前記のキサントン誘導体も安全性が高い。
前記のキサントン誘導体のうち、Xが水素の場合、グルコン酸とカルボン酸残基が腸管の細胞膜に浸透し、細胞内に吸収されやすく、標的となるNF−カッパBに働きやすく、抗炎症作用が増強されることから好ましい。
前記のキサントン誘導体のうち、Xがカルボン酸の場合、さらに、酸性が強まって腸管に浸透しやすく、細胞内に吸収され、標的となるNF−カッパBに働きやすく、抗炎症作用が増強されることから好ましい。
また、キサントン誘導体をマンゴスチンの葉や実や樹皮を原料として加工し、製造し、有機溶媒又は植物油や液化炭酸ガスで抽出して精製することは純度の高いものが得られることから好ましい。有機溶媒としてはエタノール、ヘキサン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、エーテルなどが用いられ、特に、食用加工に用いられるエタノール又は含水エタノールを用いることは、この誘導体の利用範囲が高まることからより好ましい。
前記のキサントン誘導体は前記の酸性水溶液で抽出される。酸性水溶液としては、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸などの有機酸、塩酸、硫酸などの鉱物酸などがある。このうち、有機酸は食品加工用として利用されることから好ましい。さらに、酢酸やクエン酸は入手しやすく、効率良く抽出できることから、より好ましい。
また、化学合成反応による場合には、マグネシウム、アルミニウムなどの金属触媒とともに、加温される。これらの原料は、反応槽に入れられ、溶媒とともに、反応が行われる。この反応物は、生成されたキサントン誘導体は前記の酸性水溶液で抽出され、溶媒を除去されて粗生成物として得ることは、精製に要するコストを削減できることから、好ましい。
目的とするキサントン誘導体を天然の素材から抽出し、あるいは、精製することにより得ることができる。天然の素材としてマンゴスチンやセントジョーンズワートの果実もしくは葉などの植物、又は、海藻、キノコ、食用動物、食用魚類、軟体動物、昆虫、甲殻類などがある。マンゴスチンのうち、特に、マンゴスチンの果皮、樹皮や葉はそれぞれの有用成分の含量が高いことから、抽出しやすいという特徴があり、前記の酸性水溶液により抽出されることは好ましい。
食品産業上、マンゴスチンの果皮は食用魚類の加工時に除去され、廃棄物として廃棄されており、利用されていない。この果皮を原料として抽出、又は、精製することは廃棄物を有効に利用し、廃棄物の量を軽減することから好ましい。
前記のキサントン誘導体を微生物や酵母を用いた発酵により得ることは食用として安全性が確認されており、食経験も豊富であることから好ましく、この場合、用いる微生物としては納豆菌、乳酸菌、紅麹、枯草菌があり、酵母としてはビール酵母や酒精酵母があり、特に、納豆菌はエステル交換作用に優れていることから好ましい。
前記の発酵はマンゴスチンの果皮、葉や樹皮や大豆などの発酵ベースに前記の微生物又は酵母を添加して発酵タンクを用いて実施される。この発酵後、微生物又は酵母と発酵液の混合物から目的とする前記のキサントン誘導体を得ることができる。この場合、前記の酸性水溶液で抽出することは好ましい。
このうち、マンゴスチンの果実、果皮、樹皮や茎は食経験も豊富であり、目的とするキサントン誘導体を安定的に供給できることから好ましい。また、発酵に大豆を用いることは、キサントン誘導体を誘導できる点から好ましい。さらに、前記の発酵物から発酵物から目的とするキサントン誘導体を分離する場合、前記の酸性水溶液などを粗精製の段階で用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
植物から抽出する場合、オトギリソウ科の植物、特に、マンゴスチンの果実、果肉、果皮、葉、茎、花や根、セイヨウオトギリソウ、フクギ、クロシア・ロゼア、ヒペリカム・トリカラー、ヒペリカム・カリシナム、テリハボク、ヒペリカム・カルシナム、ヒペリカム・ヒドコート、ヒペリカム・アンドロサエムム、さらに、コタラヒム、エルカンプーレの葉、樹皮、花、果実や根は、好ましい。
さらに、コタラヒム、エルカンプーレ、アニス、バジル、緑茶、シナモン、バジル、ウメ、スミレ、ヘリオトロープ、オレンジフラワー、スイセン、カーネーション、バナナ、ギョウジャニンニク、タマネギ、ニンニク、大豆、ギジギシ、カンゾウ、ツリフネソウ、ハナイカダ、大麦若葉、葛の花、トウガラシ、カキ、梨、栗、タラ、ワサビ、ワラビ、稲、小麦、トウモロコシ、ダイコン、菜の花、サクラ、マツ、アオキ、アカネ、アカメガシワ、アケビ、アマチャズル、アマドコロ、アロエ、イカリソウ、イタドリ、イノコズチ、イブキジャコウソウ、ウコギ、ウツボグサ、ウド、ウメ、ウラジロガシ、エビスグサ、オウレン、オオバコ、オケラ、オクラ、オトギリソウ、オナモミ、オミナエシ、カキドオシ、カラスウリ、カラスビシャク、カワラケツメイ、カワラナデシコ、カンアオイ、キクイモ、キキョウ、キササゲ、キハダ、キランソウ、キンミズヒキ、クガイソウ、クサボケ、クズ、クチナシ、コウホネ、コブシ、サイカチ、サボンソウ、サルトリイバラバッケツ、サンシュユ、ジャノヒゲ、シラン、セリ、センブリ、タムシバ、タラノキ、タンポポ、チガヤ、ツリガネニンジン、ツワブキ、トチノキ、トチバニンジン、ナンテン、ノイバラ、ハコベ、ハトムギ、ハハコグサ、ヒキオコシ、ヒシ、ヒトツバ、ビワ、フキ、フクジュソウ、フジ、マタタビ、メハジキ、ヤマノイモ、ユキノシタ、ヨモギ、リンドウ、レンギョウ、ロウバイ、ワレモコウなどの葉、茎、花又は根などの植物体は、目的とするキサントン誘導体を含有することから、好ましい。
ここでいうマンゴスチンとは学名Garcinia mangostanaで示され、ツバキ目オトギリソウ科フクギ属またはガルシニア属の樹木であり、東南アジア、南米、アフリカなどの熱帯地方で生育し、1年に数回、果実を結実する。
ここで用いるマンゴスチンは、東南アジア、南米、アフリカのいずれの地方産のものでも良い。
マンゴスチン用いる部位は、果実全体、果肉、果皮、樹皮、根のいずれでも良い。このうち、果実全体、果肉、果皮は、食経験や民間薬としての利用経験が古く、安全性も確立されていることから、好ましい。
前記の植物体の果実全体、果肉、果皮は、新鮮な状態または乾燥したもののいずれでも用いられるが、乾燥された果実からは目的とするキサントン誘導体を得やすことから好ましい。
また、目的とするキサントン誘導体の分離には、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
この分離の場合、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、フルーツ酸などの有機酸や塩酸、硫酸、リン酸などの鉱酸などの酸性溶液を用いることは好ましい。このうち、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸などの有機酸は食品加工に用いられることから、より好ましい。
前記の反応物や組成物から、目的とするキサントン誘導体を精製することは純度の高い物質として摂取した場合にその摂取量を減少させることができる点から好ましい。
高度に精製される場合、分離用担体又は樹脂が利用され、精製される。分離用担体又は樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300マイクロmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
例えば、逆相担体又は樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。
また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体又は樹脂として利用される。
アフィニティ担体又は樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体又は樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体又は樹脂、分配性担体又は樹脂、分子篩用担体又は樹脂及びイオン交換担体又は樹脂が好ましい。
さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体又は樹脂及び分配性担体又は樹脂はより好ましい。
分離用溶媒として有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体又は樹脂が用いられる。また、医薬品製造又は食品製造に利用される担体又は樹脂は好ましい。
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製)及びXAD−2又はXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。これらのうち、ダイヤイオン、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
得られた抽出物は、分離前に分離用担体又は樹脂を膨潤化させるための溶媒に懸濁される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜50倍量が好ましく、3〜20倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜30℃が好ましく、10〜25℃がより好ましい。
分離用溶媒には、水、又は、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸又はそれらの混合液が好ましい。ダイヤイオン及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコール又は低級アルコールと水の混合液が好ましい。
分離された分画を採取後、乾燥又は真空乾燥により溶媒を除去し、目的とするキサントン誘導体を粉末又は濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
前記のキサントン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、浸漬した繊維、プラスチック、衣類、汚染物質による炎症に対する抗炎症剤などに利用される。
医薬品としては、皮膚、全身又は局所の抗炎症剤、抗アレルギー剤、花粉症改善剤、抗アトピー剤などに利用される。また、魚類や家畜などの獣医用医薬品又はペット用抗炎症剤としても利用され、素材が天然由来であることから安全性が高く、より好ましい。さらに、炎症に起因した癌や変異の発症に対しても抑制作用を呈することから、発癌予防又は癌抑制剤として利用される。
前記の食品製剤としては、抗炎症、鼻炎防止、花粉症防止、皮膚炎の予防、筋肉痛や筋肉疲労の予防、疲労回復、滋養強壮、肝臓機能の維持の目的などで使用される。また、この食品製剤はペット用や魚類や家畜などの成育のためにも、用いる素材が天然由来であることから安全性が高く、より好ましい。
この化粧品としては、炎症性サイトカインの産生を抑制することにより抗炎症作用を呈し、また、皮膚局所の血管拡張作用やリンパ管の拡張作用を呈することから、日焼けなどの炎症により発生したしわやたるみの抑制又は生成の予防に効果的である。特に、日焼けによる炎症に対して抗炎症作用を発揮し、しわやたるみの原因を取り除く。また、この化粧品は炎症性サイトカインが多量に産生されるアトピー性皮膚炎に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。
衛生用具としてはガーゼ、マスク、花粉対策用のマスク、炎症を抑制するための生理用品やアトピー患者に対する衣類に用いられる。また、炎症を誘発する室内の空気改善剤、トイレに用いられるプラスチック素材や衣類、消臭剤やシックハウス症に対する改善剤や繊維、衣類などに利用される。さらに、炎症を起因させる環境物質からの防御、たとえば、ダイオキシン、アスベスト、PCB、硫化水素、窒素酸化物などの有害物質から身体を防御するためのマスク、フィルターや燃料添加剤としても、利用される。特に、喫煙やタバコに含まれる有害物質に対して抑制作用を呈することから、タバコのフィルターにも利用される。
次に、マンゴスチンの粉砕物に酢酸を添加し、抽出して得られる請求項1に記載のキサントン誘導体のうち、Xが水素である下記の式(2)で示される炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体について説明する。
ここでいう炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体とは、前記のキサントン誘導体のうち、Xに水素が結合したものである。
ここでいうキサントン誘導体は、酸性であるため、弱酸性の皮脂や細胞膜に馴染みやすいという特長を有する。また、この誘導体は酸性であるため、酸により分解されず、作用持続性に優れ、また、その作用時間が長いという特徴を有する。
ここでいうキサントン誘導体とは、キサントンにグルコン酸とカルボン酸が結合した誘導体である。
前記のキサントン誘導体は酸性が高まった結果、電子構造が安定化され、キサントン単体に比して抗炎症作用に優れている。
前記のキサントン誘導体はインターロイキン−1アルファ、インターロイキン−8やTNFアルファなどの炎症性サイトカインの産生を抑制する。
前記のキサントン誘導体は単球、マクロファージ、好中球などの炎症性細胞の細胞膜を通過し、炎症のシグナルの中心を担っているプロテインキナーゼCの発現を抑制することにより、炎症性サイトカインの産生を抑制する。
前記のキサントン誘導体は酸性を呈することから、分解されず、キサントンに比して小腸や皮膚の細胞膜に馴染みやすく、吸収されやすい。
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は肝臓にて分解されることから、前記のキサントン誘導体も安全性が高い。
前記の発酵物1重量に対して酸性溶液の添加量は、0.03〜3重量である。この場合、攪拌による抽出が好ましく、温度は16〜50℃が好ましく、攪拌時間は0.5〜4時間が好ましい。
前記の攪拌後、上層に分離した水層を採取し、水分を除去することは好ましい。水分を除去するために、東洋技研製TGD−250LF2などの乾燥機が用いられる。
分離されたキサントン誘導体は、体内に吸収された後、過剰量は、エステラーゼなどの消化酵素により分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
前記の反応物から、目的とするキサントン誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の溶媒と樹脂を用いた精製操作を利用することが好ましい。用いる溶媒としては、エタノール、ヘキサン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、エーテルなどが用いられ、特に、食用加工に用いられるエタノール又は含水エタノールを用いることは、この誘導体の利用範囲が高まることからより好ましい。
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、溶媒を除去して目的とするキサントン誘導体を得ることは好ましい。
このようにして得られたキサントン誘導体は、液体又は粉末として得られる。得られたキサントン誘導体は医薬品、食品製剤又は化粧品に利用される。医薬品としては、抗炎症剤、抗肥満剤、脂肪分解剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、抗アレルギー剤などに利用される。
前記の食品製剤は、抗炎症、鼻炎防止、花粉症防止、皮膚炎の予防、筋肉痛や筋肉疲労の予防、疲労回復、滋養強壮、肝臓機能の維持の目的などで使用される。
この化粧品は炎症性サイトカインの産生を抑制することにより抗炎症作用を呈し、また、皮膚局所の血管拡張作用やリンパ管の拡張作用を呈することから、日焼けなどの炎症により発生したしわやたるみの抑制又は生成の予防に効果的である。特に、日焼けによる炎症に対して抗炎症作用を発揮し、しわやたるみの原因を取り除く。
さらに、この化粧品は炎症性サイトカインが多量に産生されるアトピー性皮膚炎や種々の炎症、かゆみ、腫れや虫さされに対して優れた治療または予防的な働きを呈する。
次に、マンゴスチンの粉砕物にクエン酸を添加し、抽出して得られる請求項1に記載のキサントン誘導体のうち、Xがカルボン酸である下記の式(3)で示される炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体について説明する。
ここでいう炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体とは、前記のキサントン誘導体のうち、Xにカルボン酸が結合したものである。
ここでいうキサントン誘導体は、酸性であるため、弱酸性の皮脂や細胞膜に馴染みやすいという特長を有する。また、この誘導体は酸性であるため、酸により分解されず、作用持続性に優れ、また、その作用時間が長いという特徴を有する。
ここでいうキサントン誘導体とは、キサントンにグルコン酸とカルボン酸が結合した誘導体である。
前記のキサントン誘導体は酸性が高まった結果、電子構造が安定化され、キサントン単体に比して抗炎症作用に優れている。
前記のキサントン誘導体はインターロイキン−1アルファ、インターロイキン−8やTNFアルファなどの炎症性サイトカインの産生を抑制する。
前記のキサントン誘導体は単球、マクロファージ、好中球などの炎症性細胞の細胞膜を通過し、炎症のシグナルの中心を担っているプロテインキナーゼCの発現を抑制することにより、炎症性サイトカインの産生を抑制する。
前記のキサントン誘導体は酸性を呈することから、分解されず、キサントンに比して小腸や皮膚の細胞膜に馴染みやすく、吸収されやすい。
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は肝臓にて分解されることから、前記のキサントン誘導体も安全性が高い。
前記の発酵物1重量に対してクエン酸による酸性溶液の添加量は、0.03〜3重量である。この場合、攪拌による抽出が好ましく、温度は16〜50℃が好ましく、攪拌時間は0.5〜4時間が好ましい。
前記の攪拌後、上層に分離した水層を採取し、水分を除去することは好ましい。水分を除去するために、東洋技研製TGD−250LF2などの乾燥機が用いられる。
分離されたキサントン誘導体は、体内に吸収された後、過剰量は、エステラーゼなどの消化酵素により分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
前記の反応物から、目的とするキサントン誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の溶媒と樹脂を用いた精製操作を利用することが好ましい。用いる溶媒としては、エタノール、ヘキサン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、エーテルなどが用いられ、特に、食用加工に用いられるエタノール又は含水エタノールを用いることは、この誘導体の利用範囲が高まることからより好ましい。
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、溶媒を除去して目的とするキサントン誘導体を得ることは好ましい。
このようにして得られたキサントン誘導体は、液体又は粉末として得られる。得られたキサントン誘導体は医薬品、食品製剤又は化粧品に利用される。医薬品としては、抗炎症剤、抗肥満剤、脂肪分解剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、抗アレルギー剤などに利用される。
前記の食品製剤は、抗炎症、鼻炎防止、花粉症防止、皮膚炎の予防、筋肉痛や筋肉疲労の予防、疲労回復、滋養強壮、肝臓機能の維持の目的などで使用される。
この化粧品は炎症性サイトカインの産生を抑制することにより抗炎症作用を呈し、また、皮膚局所の血管拡張作用やリンパ管の拡張作用を呈することから、日焼けなどの炎症により発生したしわやたるみの抑制又は生成の予防に効果的である。特に、日焼けによる炎症に対して抗炎症作用を発揮し、しわやたるみの原因を取り除く。
さらに、この化粧品は炎症性サイトカインが多量に産生されるアトピー性皮膚炎や種々の炎症、かゆみ、腫れや虫さされに対して優れた治療または予防的な働きを呈する。
次に、マンゴスチンの粉砕物に大豆の粉砕物と納豆菌を添加して発酵させた発酵物に酸性水溶液を添加して抽出する工程からなる炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体の製造方法にいて説明する。
目的とするキサントン誘導体とは、前記のキサントン誘導体であり、キサントンにグルコン酸とカルボン酸が結合したものである。
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されることから、安全性が高い。
前記のキサントン誘導体は、マンゴスチンの粉砕物に大豆の粉砕物と納豆菌を添加して発酵させた発酵物に酸性水溶液を添加して抽出する工程からなる。
ここでいうマンゴスチンは学名Garcinia mangostanaで示され、ツバキ目オトギリソウ科フクギ属またはガルシニア属の樹木であり、東南アジア、南米、アフリカなどの熱帯地方で生育し、1年に数回、果実を結実する。
ここで用いるマンゴスチンは、東南アジア、南米、アフリカのいずれの地方産のものでも良い。
マンゴスチン用いる部位は、果実全体、果肉、果皮、樹皮、根のいずれでも良い。このうち、果実全体、果肉、果皮は、食経験や民間薬としての利用経験が古く、安全性も確立されていることから、好ましい。
前記の植物体の果実全体、果肉、果皮は、新鮮な状態または乾燥したもののいずれでも用いられるが、乾燥された果実からは目的とするキサントン誘導体を得やすことから好ましい。
マンゴスチンは中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で粉砕されて使用される。
ここでいう大豆は、日本産、中国産、アメリカ産、ロシア産などいずれの産地のものも、利用でき、使用に際して中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で粉砕される。
ここでいう納豆菌とは、納豆や食品の加工用に用いられる枯草菌の一種である。納豆素本舗製の納豆菌は発酵に適していることから、好ましい。
前記の発酵に関するそれぞれの添加量は、マンゴスチンの粉砕物1重量に対し、大豆の粉砕物の量は0.1〜3重量が好ましく、納豆菌は0.001〜0.03重量が好ましい。
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
また、この発酵は、30〜48℃に加温され、発酵は、24〜72時間行われる。
前記の発酵により生成されたキサントン誘導体は酸性水溶液で抽出される。
ここで用いられる酸性水溶液とはギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、フルーツ酸などの有機酸や塩酸、硫酸、リン酸などの鉱酸などの酸性溶液を含有する水溶液を用いることは好ましい。
このうち、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸などの有機酸は食品加工に用いられることから好ましく、また、酢酸とクエン酸などの酸の組み合わせは、酸性を安定化すさせる目的から、より好ましい。
前記の発酵物1重量に対して前記の酸性水溶液の添加量は、2〜10重量である。この場合、攪拌による抽出が好ましく、攪拌温度は10〜30℃が好ましく、攪拌時間は0.5〜3時間が好ましい。
前記の攪拌後、分離した水溶液層を採取し、水分を除去することは好ましい。水分を除去するために、東洋技研製TGD−250LF2などの乾燥機が用いられる。
分離されたキサントン誘導体は、体内に吸収された後、過剰量は、エステラーゼなどの消化酵素により分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
前記の反応物から、目的とするキサントン誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、有機溶媒を除去して目的とするキサントン誘導体を得ることは好ましい。
分離用溶媒としてはメタノール、エタノール、クロロホルム、ヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、エーテルなどが用いられ、このうち、食品加工用エタノール又は含水エタノールはその利用範囲が高いことから好ましい。
このようにして得られたキサントン誘導体は、液体又は粉末として得られる。
前記のキサントン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、浸漬した繊維、プラスチック、衣類、汚染物質による炎症に対する抗炎症剤などに利用される。
医薬品としては、皮膚、全身又は局所の抗炎症剤、抗アレルギー剤、花粉症改善剤、抗アトピー剤などに利用される。また、魚類や家畜などの獣医用医薬品又はペット用抗炎症剤としても利用され、素材が天然由来であることから安全性が高く、より好ましい。さらに、炎症に起因した癌や変異の発症に対しても抑制作用を呈することから、発癌予防又は癌抑制剤として利用される。
前記の食品製剤としては、抗炎症、鼻炎防止、花粉症防止、皮膚炎の予防、筋肉痛や筋肉疲労の予防、疲労回復、滋養強壮、肝臓機能の維持の目的などで使用される。また、この食品製剤はペット用や魚類や家畜などの成育のためにも、用いる素材が天然由来であることから安全性が高く、より好ましい。
この化粧品としては、炎症性サイトカインの産生を抑制することにより抗炎症作用を呈し、また、皮膚局所の血管拡張作用やリンパ管の拡張作用を呈することから、日焼けなどの炎症により発生したしわやたるみの抑制又は生成の予防に効果的である。特に、日焼けによる炎症に対して抗炎症作用を発揮し、しわやたるみの原因を取り除く。また、この化粧品は炎症性サイトカインが多量に産生されるアトピー性皮膚炎に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。
衛生用具としてはガーゼ、マスク、花粉対策用のマスク、炎症を抑制するための生理用品やアトピー患者に対する衣類に用いられる。また、炎症を誘発する室内の空気改善剤、トイレに用いられるプラスチック素材や衣類、消臭剤やシックハウス症に対する改善剤や繊維、衣類などに利用される。さらに、炎症を起因させる環境物質からの防御、たとえば、ダイオキシン、アスベスト、PCB、硫化水素、窒素酸化物などの有害物質から身体を防御するためのマスク、フィルターや燃料添加剤としても、利用される。特に、喫煙やタバコに含まれる有害物質に対して抑制作用を呈することから、タバコのフィルターにも利用される。
次に、前記の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体1重量に、果汁エキス0.01〜1重量を含有する組成物からなる食品製剤について説明する。
ここでいう炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体とは、前記した天然に存在する、もしくは、発酵、酵素合成植物合成や化学合成により製造されるキサントン誘導体であり、そのうち、脂溶性が高い性質を有する一連の化合物である。
ここでいうキサントン誘導体は、酸性であるため、弱酸性を呈する皮脂や細胞膜に馴染みやすいという特長を有する。
さらに、この誘導体は酸性であるため、作用持続性に優れ、また、その作用時間が長いという特徴を有する。
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解され、代謝されて***されることから、前記のキサントン誘導体も安全性が高い。
前記の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体1重量に対し、添加される果汁エキスは0.01〜1重量であり、これにより組成物が得られる。
キサントン誘導体1重量に対し、果汁エキスが0.01重量を下回る場合、目的とする組成物が十分に得られないおそれがある。
キサントン誘導体1重量に対し、果汁エキスの重量が1重量を上回る場合、キサントン誘導体の溶解性が低下し、析出するおそれがある。
前記の組成物を得るために、混合後も加温されることは好ましい。加温条件として温度は25〜48℃であり、加温時間は3〜49時間である。
加温温度が25℃を下回る場合、十分な反応が生じないおそれがある。加温温度が48℃を上回る場合、酸化により生成された反応物が褐色に変色するおそれがある。加温時間が3時間を下回る場合、十分な生成物が得られないおそれがある。加温時間が49時間を上回る場合、酸化により生成された生成物が褐色に変色するおそれがある。
この組成物は、前記のキサントン誘導体を少しずつ、持続的に放出させて、持続性組成物となることから、好ましい。
また、このように構成することにより、キサントン誘導体が菊の花エキス含有植物油の抗酸化力により安定に維持されて酸化による分解が抑制される。
さらに、前記の組成物が他の原料とともに加工され、食品製剤になる。この場合、種々の食品素材又は飲料品素材に添加することによって、例えば、粉末状、錠剤状、液状(ドリンク剤等)、カプセル状等の形状の食品製剤にすることができる。また、基材、賦形剤、添加剤、副素材、増量剤等を適宜添加してもよい。
前記の食品製剤は、1日数回に分けて経口摂取される。1日の摂取量は0.2〜10gが好ましく、0.3〜6gがより好ましく、0.5〜4gがさらに好ましい。1日の摂取量が、0.2gを下回る場合、十分な抗炎症作用が発揮されないおそれがある。1日の摂取量が、10gを越える場合、コストが高くなるおそれがある。上記の他に、飴、せんべい、クッキー、飲料等の形態で使用することができる。
ここでいう食品製剤とは、人間が食する保健機能食品、健康補助食品、一般食品、病院で用いる病院用食品、また、動物用の飼料又はペット用サプリメント、ペットフードである。
この食品製剤は、抗炎症、鼻炎防止、花粉症防止、皮膚炎の予防、筋肉痛や筋肉疲労の予防、疲労回復、滋養強壮、肝臓機能の維持の目的などで使用される。
次に、前記の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体1重量に、果汁エキス0.02〜2重量を含有する組成物からなる化粧品について説明する。
ここでいうキサントン誘導体は、脂溶性であるため、皮脂や腸管の細胞膜に馴染みやすいという特長を有する。
さらに、この誘導体は脂溶性であるため、作用持続性に優れ、また、その作用時間が長いという特徴を有する。
ここでいう果汁エキスとは食用および化粧品用として利用できる果実由来のエキスのことであり、たとえば、リンゴエキス、洋梨エキス、ブドウエキス、ブルーベリーエキス、ラズベリーエキス、イチゴエキス、クランベリーエキス、チェリーエキス、マンゴスチンエキス、ドリアンエキスである。
前記の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体1重量に対し、添加される果汁エキスは0.02〜2重量であり、これにより組成物が得られる。
キサントン誘導体1重量に対し、果汁エキスの重量が0.02重量を下回る場合、目的とする組成物が十分に得られないおそれがある。
キサントン誘導体1重量に対し、果汁エキスの重量が2重量を上回る場合、キサントン誘導体の溶解性が低下し、析出するおそれがある。
前記の組成物を得るために、混合後も加温されることは好ましい。加温条件として温度は25〜49℃であり、加温時間は3〜60時間である。
加温温度が25℃を下回る場合、十分な反応が生じないおそれがある。加温温度が49℃を上回る場合、酸化により生成された反応物が褐色に変色するおそれがある。
加温時間が3時間を下回る場合、十分な生成物が得られないおそれがある。また、加温時間が60時間を上回る場合、酸化により生成された生成物が褐色に変色するおそれがある。
この組成物は、前記のキサントン誘導体を少しずつ、持続的に放出させて、持続性組成物となることから、好ましい。
また、このように構成することにより、キサントン誘導体が果汁エキスのポリフェノールや有機酸により安定に維持されて酸化による分解が抑制される。
さらに、化粧品として前記の組成物が他の原料とともに加工される。その後、常法に従って油分、界面活性化剤、ビタミン剤、紫外線吸収剤、増粘剤、保湿剤、副素材等とともに用いることができる。
化粧水、クリーム、軟膏、ローション、乳液、パック、オイル、石鹸、洗顔料、香料、オーディコロン、浴用剤、シャンプー、リンス等の形態とすることができる。化粧品製剤の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状又は粉末状として用いることができる。
化粧品として皮膚に1日数回に分けて塗布される。1日の塗布量は0.01〜10gが好ましく、0.05〜3gがより好ましく、0.1〜2gがさらに好ましい。1日の塗布量が、0.01gを下回る場合、しわやたるみの治療または防止効果が発揮されないおそれがある。1日の塗布量が、10gを越える場合、コストが高くなるおそれがある。
ここでいう化粧品とは、人間に用いる化粧品である基礎化粧品、美白化粧品、毛髪洗浄剤、トリートメント剤、染め剤、育毛剤、養毛剤、ボディウォッシュ、医薬部外品である。その他に、動物に用いる皮膚改善剤又はペット用シャンプー、ボディウォッシュである。
この化粧品は炎症性サイトカインの産生を抑制することにより抗炎症作用を呈し、また、皮膚局所の血管拡張作用やリンパ管の拡張作用を呈することから、日焼けなどの炎症により発生したしわやたるみの抑制又は生成の予防に効果的である。
特に、日焼けによる炎症に対して抗炎症作用を発揮し、しわやたるみの原因を取り除く。
さらに、この化粧品は炎症性サイトカインが多量に産生されるアトピー性皮膚炎に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。
次に、前記の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体からなる抗炎症剤について説明する。
ここでいうキサントン誘導体は、酸性であるため、弱酸性の皮膚や細胞膜に馴染みやすいという特長を有する。
さらに、この誘導体は酸性であるため、作用持続性に優れ、また、その作用時間が長いという特徴を有する。
医薬品として用いる場合には、不純物による影響を除去することが必要となるために、酵素反応により合成され、溶媒の残留の少ない前記の構造のキサントン誘導体を用いることが好ましい。
医薬品として経口剤又は非経口剤として利用され、医薬部外品としては、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、石鹸、歯磨き粉等に配合されて利用される。
経口剤としては、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。前記の錠剤及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いることができる。前記の錠剤は、シェラック又は砂糖で被覆することもできる。
また、前記のカプセル剤の場合には、上記の材料にさらに油脂等の液体担体を含有させることができる。前記のシロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、防腐剤、色素香味剤等を含有させることができる。
非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、水剤等の外用剤の他に、注射剤が挙げられる。ここで用いる外用剤の基材としては、ワセリン、パラフィン、油脂類、ラノリン、マクロゴールド等が用いられ、通常の方法によって軟膏剤やクリーム剤等とすることができる。
注射剤には、液剤があり、その他、凍結乾燥剤がある。これは使用時、注射用蒸留水や生理食塩液等に無菌的に溶解して用いられる。
ここでいう抗炎症剤は、皮膚や全身又は局所の炎症に対して治療又は予防効果を目的とした医薬品又は医薬部外品製剤である。
全身の炎症には、発熱、発赤、浮腫などがあり、臓器ごとの炎症として、花粉症、鼻炎、副鼻腔炎、肺炎、脳炎、咽頭炎、気管支炎、角膜炎、腸炎、胃炎、十二指腸炎、大腸炎、肝炎、腎炎、膀胱炎、膵炎、神経炎、筋肉炎、動脈炎、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、日焼けによる皮膚炎などであり、特に、日焼けによる皮膚炎に対しては外用剤として利用される。
これらの全身及び局所の各臓器の炎症に対して炎症性サイトカインの産生を抑制する作用機序により効果を発揮する。
加えて、家畜、ペットの炎症や皮膚炎治療を目的とした獣医用医薬品としても利用できる。
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、以下の説明は例であり、形態を変化させて実施することができる。
まず、マンゴスチン、大豆と納豆菌の発酵により得られるキサントン誘導体について説明する。
タイで栽培されたマンゴスチンの果皮を天日乾燥した。
乾燥したマンゴスチンの果皮1.5kgを中山技術研究所製DM−6にて粉砕した。
これを清浄な培養用タンクに入れ、水道水3.1Lを添加した。これに中国産大豆を水洗後、30分間37℃に加温し、さらに大豆粉砕物2.1kgを添加した。
これに、納豆素本舗製の納豆菌21gを添加した。37℃の温度で、攪拌しながら、42時間発酵した。
発酵が終了したタンクに、水道水3.7Lを添加した。これを発酵物とした。
前記の発酵物に、0.1%酢酸及び0.5%クエン酸含有水溶液の5Lを添加し、30℃で2時間攪拌し、混合した。
これを静置して分離した水層を集め、ろ過後、乾燥機(東洋技研製TGD−250LF2)に供し、粉末として、目的とするキサントン誘導体を得た。これを実施例1の検体とした。
以下に、キサントン誘導体の同定試験について説明する。
(試験例1)
(試験例1)
上記のように得られた実施例1で得られたそれぞれのキサントン誘導体を精製エタノールに溶解し、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析し、さらに、核磁気共鳴装置(NMR、ブルカー製、AC−250)で解析した。
その結果、実施例1の検体からは、キサントン誘導体としてキサントンにグルコン酸及びカルボン酸を結合したキサントン誘導体が同定された。
以下に、キサントン誘導体の炎症性サイトカイン産生の抑制試験について説明する。
(試験例2)
試験にはスギ花粉症に感染した年齢28歳〜55歳の男性5名及び年齢22歳〜60歳の女性5名よりヘパリン加血液を採取し、MEM(日水製薬)により単球を培養した。
試験にはスギ花粉症に感染した年齢28歳〜55歳の男性5名及び年齢22歳〜60歳の女性5名よりヘパリン加血液を採取し、MEM(日水製薬)により単球を培養した。
この単球1000個を35mm径の培養シャーレに播種し、5%炭酸ガス下、37℃で24時間培養した。
これに、スギ花粉(フナミシ製)10ng及び実施例1で得られた検体をジメチルスルホキシドに溶解してそれぞれ1ngを添加し、添加後、48時間した。培養上清を採取し、炎症性サイトカインとしてインターロイキン−1アルファ、インターロイキン−6及びTNFアルファ量をELISAキット(アムジェン製)を用いて吸光度法により定量した。
なお、溶媒対照として検体の代わりに、ジメチルスルホキシド(和光純薬製)を用いた。
また、陽性対照としてステロイド剤であるプロピオン酸クロベタゾールを用いた。
その結果、インターロイキン−1アルファ量の場合、溶媒対照の量を100%とした場合、実施例1の1ngの添加では58%となった。なお、プロピオン酸クロベタゾールは61%であった。
したがって、実施例1の検体は、いずれも、スギ花粉に対してインターロイキン−1アルファの産生を抑制すると結論された。
また、インターロイキン−6量の場合、溶媒対照の量を100%とした場合、実施例1の1ng添加では60%となった。なお、プロピオン酸クロベタゾールは71%であった。
したがって、実施例1の検体は、いずれも、スギ花粉に対してインターロイキン−6の産生を抑制すると結論された。
また、TNFアルファ量の場合、溶媒対照の量を100%とした場合、実施例11ng添加では55%となった。なお、プロピオン酸クロベタゾールは73%であった。
したがって、実施例1の検体は、いずれも、スギ花粉に対してTNFアルファの産生を抑制すると結論された。
以上の結果、実施例1の検体は、炎症性サイトカインの産生をプロピオン酸クロベタゾールと同程度又はそれ以上に抑制するものと考えられた。
以下に、キサントン誘導体を含有する食品製剤の製造について記載する。
前記の実施例1で得られたキサントン誘導体100gを食品加工用混合器(ツカサ製、パウミキサー、シングルタイプ)に入れ、株式会社カゴメ製のリンゴ果汁エキスを添加した。攪拌しながらこれを31℃で6時間加温して冷却後、組成物約203gを得た。
この組成物100gに、食用セルロース300g、アスコルビン酸1g及び食用香料10gを食品加工用ミキサー(ツカサ製、パウミキサー、Wタイプ)に添加し、混合した。これを常法により粉末化し、乾燥後、ブタ由来ゼラチン製ハードカプセルに、1粒300mgとして充填し、食品製剤を得た。これを実施例2の検体とした。
以下に、食品製剤を用いた抗炎症作用について述べる。
(試験例3)
(試験例3)
年齢23〜69歳のイエダニによりクシャミやハナミズを呈する男性10例に、前記の実施例2で得られた食品製剤を1日1回10カプセルずつ、すなわち、1日3gずつ、28日間毎日摂食させた。摂食前及び摂食28日目に、イエダニによる反応性を観察した。さらに、摂食前及び摂食28日目に、血液を採取し、IgE量を免疫抗体法により測定した。
その結果、摂食後には、イエダニによるクシャミやハナミズの発現数は、摂食前に比し、平均で38%となり、明らかな反応性の減少が認められた。
さらに、血液IgE量は、摂食前に比して平均値で44%となり、IgE量の減少が認められた。また、摂食後に、体調や健康状態に異常は、認められなかった。
前記の実施例1で得られたキサントン誘導体100gを化粧品加工用混合器(寿工業製、ポーレコンテナミキサー)に入れ、株式会社キッコーマン製のブドウ果汁エキス10gを添加し、攪拌しながらこれを38℃で33時間加温して冷却後、組成物を得た。
この組成物を前記の混合器に入れ、ミツロウ(アピ製)700g及びスクワラン(日本水産製)1gを添加し、混合して、化粧品製剤としてクリームを得た。これを実施例3の検体とした。同時に、キサントン誘導体を除いた基材のみのクリームを調製した。
以下に、実施例3で得られた検体を用いた試験例について説明する。
(試験例4)
実施例3で得られたクリームを使用して、24〜60才の女性10例を対象に、紫外線に対するしわ改善試験を行なった。すなわち、10例を2群に分け、前記の実施例2のキサントン誘導体を含有するクリームを朝と夜に分けて1日当たり1gずつ、14日間、顔面部に塗布させた。同時に、基材のみを含有するクリームを使用する群を設定した。
(試験例4)
実施例3で得られたクリームを使用して、24〜60才の女性10例を対象に、紫外線に対するしわ改善試験を行なった。すなわち、10例を2群に分け、前記の実施例2のキサントン誘導体を含有するクリームを朝と夜に分けて1日当たり1gずつ、14日間、顔面部に塗布させた。同時に、基材のみを含有するクリームを使用する群を設定した。
前記の女性に、日焼け用紫外線照射装置(エムロック製、ネオタン888)により毎日1時間、紫外線を浴びさせた。使用前及び使用14日後に、顔面の肌温度、皮表角層水分量測定装置(IBS社製、SKICON200)を用いて角質水分量、弾力計(クトメーター)を用いて肌弾性及び単位面積当たりのしわの長さを計測した。
さらに、汗と皮脂を採取し、含有される炎症性サイトカインであるTNFアルファ量を免疫酵素法(アムジェン製)により測定した。
その結果、基材のみのクリーム使用に比してキサントン誘導体を含有するクリームの使用例では、平均値として0.44℃の肌温度の低下が認められた。また、皮表角層水分量は、基材のみのクリーム使用に比してキサントン誘導体を含有するクリームの使用例では、159%に増加した。さらに、弾力計による弾力は、基材のみのクリーム使用に比してキサントン誘導体を含有するクリームの使用例では、166%に増加した。
しわの長さは、基材のみのクリーム使用に比してキサントン誘導体を含有するクリームの使用例では、45%となり、明らかに、しわの減少が認められた。
加えて、汗と皮脂中のTNFアルファ量は、基材のみのクリーム使用に比してキサントン誘導体を含有するクリームの使用例では、平均値として69%に減少した。
さらに、キサントン誘導体を含有するクリームでは副作用は認められず、使用感も良好であった。
したがって、実施例3のクリームには紫外線によるサイトカイン産生を抑制し、しわを改善する作用が確認され、安全性も高かった。
以下に、キサントン誘導体からなる抗炎症剤について述べる。
清浄なステンレス製溶解槽に、前記の実施例1で得られたキサントン誘導体3g、ラノリン150g、マクロゴールド120g、ミツロウ20g、オゾケライト30gを添加し、39℃で2時間溶解した。これを混練機に供し、混合した。これを再度、溶解槽で溶解して、過熱し、脱気装置により脱気させて、目的とする抗炎症剤を実施例4の軟膏剤として得た。
なお、対照として前記の実施例4で得られたキサントン誘導体の代わりとしてラノリンを用いた対照となる検体を作製し、対照検体として試験に用いた。
以下に、前記の実施例4で得られた抗炎症剤を用いた抗炎症試験について説明する。
(試験例5)
24〜60歳のイエダニによりクシャミやハナミズを呈する男性10例に、前記の実施例4で得られた抗炎症剤を1日1回1gずつ、14日間に鼻腔外部、鼻腔周囲や口腔周囲部分に塗布した。
(試験例5)
24〜60歳のイエダニによりクシャミやハナミズを呈する男性10例に、前記の実施例4で得られた抗炎症剤を1日1回1gずつ、14日間に鼻腔外部、鼻腔周囲や口腔周囲部分に塗布した。
塗布前及び塗布14日目に、イエダニによる反応性を観察した。さらに、塗布前及び塗布14日目に、血液を採取し、TNFアルファ量及びIgE量を免疫抗体法により測定した。
その結果、塗布後、イエダニによるクシャミやハナミズの発現数は、塗布前に比して平均で、45%となり、いずれも花粉に対する反応性の減少が認められた。血中のTNFアルファ量は、塗布前に比して平均値で40%となり、炎症性サイトカインであるTNFアルファ量の減少が認められた。
血中IgE量は、塗布前の値に比して43%となり、IgE量の減少が認められた。また、塗布後に、体調や健康状態、臨床検査値に異常は、認められなかった。
したがって、実施例4のキサントン誘導体からなる抗炎症剤は花粉症に対して炎症性サイトカインとIgE量を低下させ、抗炎症効果を呈し、かつ、安全性も確認された。
一方、キサントン誘導体の代わりとしてラノリンを用いた対照検体を用いた場合には、スギ花粉によるクシャミやハナミズの発現数は、塗布前に比して平均値で101%となり、花粉に対する反応性に変化はなかった。
また、ラノリンを用いた対照検体使用による血中のTNFアルファ量は、塗布前に比して平均値で99%となり、炎症性サイトカインであるTNFアルファ量は使用前の値と同程度であり、改善は認められなかった。
ラノリンを用いた対照検体による血中IgE量も平均値で103%となり、使用前の値と同程度であり、改善は認められなかった。
本発明である炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体は、全身及び局所の炎症の防止及び改善を目的とした副作用の弱い、優れた働きを示し、花粉症、鼻炎、皮膚炎、肺炎、気管支炎、肝炎など種々の炎症に苦しむ患者又は半健康人のQOLを改善するものである。
また、本発明である炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体からなる食品製剤は、花粉症、イエダニによる炎症、シックハウス症候群、風邪、アレルギー、皮膚炎などの炎症の改善又はその発症を予防し、国民生活の質的向上に寄与するものである。
さらに、炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体からなる化粧品は、日焼けによるしわやくすみ、皮膚の炎症やアトピーなどの炎症に対して改善又は予防効果を示し、国民のQOLを向上させるものである。
加えて、炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体からなる抗炎症剤によれば、花粉症、鼻炎、皮膚炎、肝炎、脳炎、肺炎、風邪、膵炎、花粉症、アレルギーなどの炎症の改善又は予防に貢献し、国民生活を向上させる。この抗炎症剤は副作用が少なく、優れた抗炎症作用を発揮することにより、医療及び医薬品業界の活性化に寄与するものである。
マンゴスチンの果皮は廃棄又は焼却される。本発明は、これらの廃棄物を有効に利用する点から廃棄物を減少させ、廃棄物による環境破壊を予防でき、かつ、農産物の有効活用が期待され、さらに、農業やそれらの関連産業の発展に寄与するものである。
Claims (7)
- マンゴスチンの粉砕物に大豆の粉砕物と納豆菌を添加して発酵させた発酵物に酸性水溶液を添加して抽出する工程からなる請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体の製造方法。
- 請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体1重量に、果汁エキス0.01〜1重量を含有する組成物からなる食品製剤。
- 請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体1重量に、果汁エキス0.02〜2重量を含有する組成物からなる化粧品。
- 請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有するキサントン誘導体からなる抗炎症剤。
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