JP2022074283A - ハードコート層形成用組成物およびハードコートフィルム - Google Patents

ハードコート層形成用組成物およびハードコートフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】防汚層を設置することなく、ハードコート層に耐熱性、防汚機能を付与し、基材との高い密着性を有するとともに、優れた耐カール性、耐擦傷性、表面硬度を付与でき、汚れの除去が簡便にでき、その特性が劣化することなく常に視認性の高いハードコート層を形成できるハードコート層形成用組成物およびハードコートフィルムの提供。【解決手段】多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と下記式(I)または特定式で表される部分構造を有するモノマー(B)と、光ラジカル重合開始剤(C)と、重合性基を有する含フッ素化合物(D)と非重合性添加剤(E)とを含有する組成物で、前記組成物中の前記非重合性添加剤(E)の配合割合が50質量%以下であることを特徴とするハードコート層形成用組成物。TIFF2022074283000009.tif4458【選択図】なし

Description

本発明は、ハードコート層形成用組成物およびハードコートフィルムに関する。
液晶ディスプレイ用偏光板保護フィルムや、有機ELディスプレイ等に用いられる円偏光板の保護フィルムには、様々な機能を持たせるために樹脂層が形成されている。樹脂層は、例えば帯電防止機能を持たせるための帯電防止層、反射を抑えるための反射防止層、表面硬度を向上させるためのハードコート層といったものである。特にハードコート層を設けることはディプレイ用途では必須になっており、ハードコート層は単層で用いられるだけでなく、反射防止層を積層する場合はその下層となり、重要な役割を担っている。
これらの偏光板の適用アプリケーションが液晶テレビ、ノートパソコンなどに広く広がるにつれて多様な特性が要求されるようになり、蛍光灯の映り込みが少ない反射防止機能、埃が付きにくい帯電防止機能、指紋等が拭取れる防汚機能などの特性も要求されるようになってきた。特にノートパソコンなどでは、人が使用することによって、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚れが付着する場合が多い。一般に、偏光板の表面エネルギーは大きいために、そのような汚れが付着しやすい。また、反射防止膜の表面には微細な凹凸があるため、汚れを除去することが容易ではない。さらに、そのような汚れが付着した部分だけ高反射となり、汚れが目立つという問題があった。
そこで、これらの問題を解決するため、汚れが付着しにくく、付着しても拭き取りやすい性能を持つ防汚層を、光学部材の表面に形成する技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、基材の表面に、主として二酸化ケイ素からなる反射防止膜を設け、更にその表面に有機ケイ素置換基を含む化合物で処理した防汚性、耐摩擦性の反射防止物品が提案されている。特許文献2には、同様に基材表面を末端シラノール有機ポリシロキサンで被覆した防汚性、耐摩擦性のCRTフィルターが提案されている。また、特許文献3には、ポリフルオロアルキル基を含むモノ及びジシラン化合物及び、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシのシラン化合物を含有する反射防止膜をその表面に有する、防汚性・低反射性プラスチックが提案されている。
また、ハードコート層には、用途に応じて耐熱水性、耐候性、耐擦傷性、耐磨耗性などの性能を向上させるため、各種添加剤を混合することが一般的となっている。特にタッチパネル用途で使用する場合においては、様々な耐環境特性、たとえば、耐熱性や耐吸水性等が求められている。このため添加剤においても、ハードコート層形成用組成物の加工温度や使用温度に十分耐える耐熱性が必要となる。添加剤の耐熱性を高めるために、例えば、特許文献4~6には、添加剤の分子量を高分子量化するという技術が開示されている。
特開平1-086101号公報 特開平4-338901号公報 特開昭61-247743号公報 特開平10-338777号公報 特開2003-40937号公報 国際公開第2008/062860号
しかしながら、従来のハードコートフィルムは、指紋拭き取り性などの防汚性と高度な耐熱性を両立できるものは無く、またハードコートに機能を付与する目的で混合される添加剤についても高温下ではある程度の添加剤の分解が生じ、その機能を十分に発揮することが困難となっている。さらに、添加剤の熱分解生成物がハードコートの劣化を促進することも多い。このような状況下において近年における高度な耐熱性要求を満たしたハードコート層形成用組成物の開発が所望される。
本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、防汚層を設置することなく、ハードコート層に耐熱性、防汚機能を付与し、基材との高い密着性を有するとともに、優れた耐カール性、耐擦傷性、表面硬度を付与でき、汚れの除去が簡便にでき、その特性が劣化することなく常に視認性の高いハードコート層を形成できるハードコート層形成用組成物およびハードコートフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らによる鋭意検討の結果、耐熱性に優れる特定のモノマーを使用し、さらに組成物に対する添加剤の配合割合を特定範囲に調整することが上記課題を解決するために重要であることが見出された。
上記課題を解決するための本発明の一局面は、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマーおよびジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーから選択された多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と、下記一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)と、光ラジカル重合開始剤(C)と、重合性基を有する含フッ素化合物(D)と非重合性添加剤(E)とを含有する組成物で、組成物中の非重合性添加剤(E)の配合割合が50質量%以下であることを特徴とするハードコート層形成用組成物。
Figure 2022074283000001
式(I)において、Qは式中に示されるエステル結合を表し、Rは置換基を表し、n1は1~5の整数を表し、*は一般式(I)で表されるモノマー残部との結合部位を表し、**は式中のフェニル基との結合部位を表す。
Figure 2022074283000002
式(II)において、Qは式(I)中のQで表されるエステル結合以外の連結基又は単結合を表し、Rは置換基を表し、n2は1~5の整数を表し、*は一般式(II)で表されるモノマー残部との結合部位を表す。但し、少なくとも1つのRは水酸基を表す。
ハードコート層形成用組成物中の一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の含有率が多官能(メタ)アクリルモノマーと重合性基を有する含フッ素化合物の和に対し2モル%以上50モル%以下である、ハードコート層形成用組成物。
一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)が、(メタ)アクリレート系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー、およびN-置換マレイミド系モノマーのいずれかである、ハードコート層形成用組成物。
多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の合計に対し、多官能(メタ)アクルモノマー(A)が50重量%以上95重量%以下の割合で含まれる、ハードコート層形成用組成物。
重合性基を有する含フッ素化合物(D)の添加量が、多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と、一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の合計に対して0.01重量%以上10重量%以下である、ハードコート層形成用組成物。
光ラジカル重合開始剤(C)の添加量が、多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と、一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の合計に対して0.01重量%以上10重量%以下である、ハードコート層形成用組成物。
透明基材上に、ハードコート層形成用組成物を硬化したハードコート層を有し、かつ、ハードコート層表面の表面自由エネルギーが20mN/m以下であり、且つ、ハードコート層の膜厚が5~25μmであることを特徴とするハードコートフィルム。
本発明によれば、防汚層を設置することなく、ハードコート層に耐熱性および防汚機能を付与し、基材との高い密着性を有するとともに、優れた耐カール性、耐擦傷性、表面硬度を付与でき、汚れの除去が簡便にでき、その特性が劣化することなく常に視認性の高いハードコート層を形成できるハードコート層形成用組成物およびハードコートフィルムを提供できる。
本発明の一実施形態に係るハードコートフィルムの断面図
本発明は、例えば陰極管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)のようなディスプレイの表面を保護する目的で利用される、ハードコート層形成用組成物およびハードコートフィルムに関するものである。さらに詳しくは、本発明は、基材との高い密着性を有するとともに、耐熱性、防汚性に優れ、なおかつ優れた耐カール性、耐擦傷性、表面硬度を付与できるハードコート層形成用組成物およびハードコートフィルムに関する。
本発明者は、透明基材上のハードコート層に防汚特性の付与を検討した結果、本発明の多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と、下記一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)と、光ラジカル重合開始剤(C)と、重合性基を有する含フッ素化合物(D)と非重合性添加剤(E)を含むハードコート層形成用組成物において、上記従来の課題を解決できることを見出した。
以下、本発明を実施するための形態(以下において、「本実施形態」という)について詳細に説明する。
本発明のハードコート層形成用組成物を構成する多官能(メタ)アクリルモノマー(A)は、1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールの該水酸基が、2個以上の(メタ)アクリル酸のエステル化物となっている化合物が好ましい。その他にはアクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートおよびポリエーテルアクリレート、また、メラミンやイソシアヌル酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いられ得るが、特にウレタン(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーを用いると、ハードコート層の硬度ならびに可撓性を著しく向上させることができる。
なお、本発明において「(メタ)アクリルモノマー」とは「アクリルモノマー」と「メタクリルモノマー」の両方を示している。たとえば、「多官能(メタ)アクリルモノマー」は「多官能アクリルモノマー」と「多官能メタクリルモノマー」の両方を示している。また、本発明の多官能(メタ)アクリルモノマー(A)および一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)はオリゴマーであっても構わない。
本発明にて好ましい多官能(メタ)アクリルモノマー(A)として用いられるウレタンアクリレートは、一般に、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に、水酸基を有するアクリレートモノマーを反応させることで容易に形成されるものを挙げることができる。具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどを用いることができる。また、これらの単量体は、1種または2種以上を混合して使用することができる。また、これらは塗液においてモノマーであってもよいし、一部が重合したオリゴマーであってもかまわない。
市販されている多官能アクリル系モノマーとしては三菱レイヨン株式会社;(商品名“ダイヤビーム”シリーズなど)、ナガセケムテックス株式会社;(商品名“デナコール”シリーズなど)、新中村化学工業株式会社;(商品名“NKエステル”シリーズなど)、大日本インキ化学工業株式会社;(商品名“UNIDIC”シリーズなど)、東亜合成株式会社;(商品名“アロニックス”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(商品名“ブレンマー”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名“KAYARAD”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名“ライトエステル”シリーズ、“ライトアクリレート”シリーズなど)などの製品を利用することができる。
本発明におけるハードコート層形成用組成物は、一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)を含有する。
Figure 2022074283000003
式(I)において、Qは式中に示されるエステル結合を表し、Rは置換基を表し、n1は1~5の整数を表し、*は式(I)で表されるモノマー残部との結合部位を表し、**は式中のフェニル基との結合部位を表す。
により表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、炭素数1~5のアルキル基)、シクロアルキル基(例えば、炭素数3~6のシクロアルキル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基又はエトキシ基)、水酸基、アセチル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。n1は、上記の通り1~5の整数を表し、1~3の整数であってもよい。n1が2以上の整数の場合、複数存在するRは全て同じでもよいし、全て異なっていてもよく、一部が同じであってもよい。
Figure 2022074283000004
式(II)において、Qは式(I)中のQで表されるエステル結合以外の連結基又は単結合を表し、Rは置換基を表し、n2は1~5の整数を表し、*は式(II)で表されるモノマー残部との結合部位を表す。但し、少なくとも1つのRは水酸基を表す。
は、上記の通り、Qで表されるエステル結合以外の連結基又は単結合を表す。Qで表されるエステル結合以外の連結基としては、例えば、-CONR-(Rは、水素原子、又はアルキル基を表す。)、アルキレン基(例えば、炭素数1~4のアルキレン基)、ウレタン結合、エーテル結合、*-O-CO-**で表されるエステル結合(**は式
(II)中のフェニル基との結合部位を表す。)等が挙げられる。
により表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、炭素数1~5のアルキル基)、シクロアルキル基(例えば、炭素数3~6のシクロアルキル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)、水酸基、アセチル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。但し、上記の通り、少なくとも1つのRは水酸基を表す。
n2は、上記の通り1~5の整数を表し、あるいは1~3の整数であってもよい。n2が2以上の整数の場合、複数存在するRは、全て同じでもよいし、全て異なっていてもよく、一部が同じであってもよい。複数のRが全て同じである場合、Rは全て水酸基となる。
上述した一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート系モノマーであってよく、(メタ)アクリルアミド系モノマーであってよく、N-置換マレイミド系モノマーであってよく、またはスチレン系モノマーであってよい。
上述した一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマーが(メタ)アクリレート系モノマーであるとき、例えば、4-メトキシフェニル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル(メタ)アクリレート、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル(メタ)アクリレート、2-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート,3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-4-tert-ブチルフェニル(メタ)アクリレート、2,4-ジ-メチル-6-tert-ブチルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上述した一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマーが(メタ)アクリルアミド系モノマーであるとき、例えば、N-(4-ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上述した一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマーがN-置換マレイミド系モノマーであるとき、例えば、4-ヒドロキシフェニルマレイミド、3-ヒドロキシフェニルマレイミド等が挙げられる。
上述した一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマーがスチレン系モノマーであるとき、例えば、α-メチル-p-ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリルモノマー(A)の使用割合は、多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と、一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の合計に対して1~99重量%が好ましく、50重量%以上95重量%以下が更に好ましい。多官能(メタ)アクリルモノマー(A)の使用割合が50重量%未満の場合には、十分な硬度を有するハードコート層を得るという点で不十分な場合があり、形成されるハードコート層の鉛筆硬度が低下するなどの不都合を招く場合がある。また、多官能(メタ)アクリルモノマー(A)の使用割合が95重量%を超える場合には、多官能(メタ)アクリルモノマー(A)の硬化収縮により、硬化被膜側にハードコートフィルムが大きくカールするなどの不都合を招く場合がある。また、一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の使用割合が少ないために重合性基を有する含フッ素化合物(D)の相溶性が十分でなく、塗液の白濁化、沈殿物の発生が起きてしまい、保存安定性が良好なハードコート用組成物を得るという点で不十分な場合がある。
本発明のハードコート層形成用組成物を構成する光ラジカル重合開始剤(C)としては、電離放射線を照射することでラジカルを発生し、アクリルモノマーの重合反応を開始する化合物が好ましい。
光ラジカル重合開始剤(C)の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、p-イソプロピル-α-ヒドロキシイソブチルフェノン、α-ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合せて使用してもよい。
光ラジカル重合開始剤(C)の使用量は、ハードコート層形成用組成物の多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と、一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の合計に対して、0.01重量%以上10重量%以下が適当である。0.01重量%よりも少ない場合は電離放射線が照射された際に十分な硬化反応が進行せず、10重量%を超える場合はハードコート層下部まで十分に電離放射線が届かなくなってしまう。
本発明のハードコート層形成用組成物を構成する重合性基を有する含フッ素化合物(D)に、フッ素系添加剤を加えることでハードコート層表面に防汚特性を付与することが可能である。ここで、重合性基を有しないフッ素化合物にフッ素系添加剤を加えた場合は、添加剤がハードコート層表面に浮いて存在する状態となるため、布等で拭いた際にハードコート表面から取り去られてしまうこととなる。このことから、一度布等で表面を拭取ってしまうと、防汚性が無くなるという欠点を有している。本発明では、防汚特性を有するフッ素化合物に重合性基を持たせることで、ハードコート層形成時にフッ素系添加剤も合せて重合することとなり、布等で表面を拭いても防汚特性が維持されるという利点を有している。
重合性基を有する含フッ素化合物(D)の重合性基が(メタ)アクリレート基を有する化合物であることがさらに好ましい。これは、重合性基を有する含フッ素化合物(D)が多官能(メタ)アクリレート化合物と共重合することも可能となり、電離放射線によるラジカル重合によって高硬度化が図れるためである。
このような本発明の重合性基を有する含フッ素化合物(D)としては、オプツールDAC(ダイキン工業(株)製)、SUA1900L10、SUA1900L6(新中村化学(株)製)、UT3971(日本合成(株)製)、ディフェンサTF3001、ディフェンサTF3000、ディフェンサTF3028(大日本インキ(株)製)、ライトプロコートAFC3000(共栄社化学(株)製)、KNS5300(信越シリコーン(株)製)、UVHC1105、UVHC8550(GE東芝シリコーン(株)製)などが挙げられる。
本発明の重合性基を有する含フッ素化合物(D)の使用量は、ハードコート層形成用組成物の多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と、一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の合計に対して、0.01~10重量%が適当である。0.01重量%よりも少ない場合は十分な防汚特性は発現せず、表面エネルギーも20mN/mよりも大きい値を示す。10重量%を超える場合は、重合性モノマーおよび溶剤との相溶性が良くないために、塗液の白濁化、沈殿発生が起こってしまい、塗液やハードコート層の欠陥発生などの不都合を招く場合がある。
本実施形態において、一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の含有率は、(メタ)アクリルモノマー(A)と重合性基を有する含フッ素化合物(D)の和に対し、2モル%以上50モル%の範囲であることが好ましい。一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の含有率が2モル%以上の場合、ハードコートフィルムおよび併用される添加剤の熱分解をより効果的に抑制することができる。
また、一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の含有率が50モル%以下の場合、樹脂および併用される添加剤の熱分解の抑制効果を維持しつつ、加熱時の樹脂の黄変の発生や、樹脂が硬くなり脆くなることを効果的に抑制することができる。同様の観点から、一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の含有率は、2モル%以上30モル%以下であってよく、あるいは2モル%以上20モル%以下であってよい。
また本発明では、ハードコート層の改質剤として、塗布性改良剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、無機系粒子、有機系粒子、有機系潤滑剤、有機高分子化合物、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料あるいは安定剤などの非重合性添加剤(E)をさらに加えることができる。これらの添加剤は活性線による反応を損なわない範囲内でハードコート層を構成する塗布層の組成物成分として使用され、用途に応じてハードコート層の特性を改良することができる。非重合性添加剤(E)の配合割合は、ハードコート層形成用組成物の溶剤以外の成分の質量合計の50質量%以下である。非重合性添加剤(E)の具体例を表1に示す。
Figure 2022074283000005
本発明のハードコート層形成用組成物を硬化させる方法としては、活性線、特に紫外線を照射する方法が好適であり、ハードコート層形成用組成物に、光ラジカル重合開始剤を加えて紫外線を照射することで硬化させることができる。紫外線照射においては、400nm以下の波長を含む光であれば良く、例えば超高圧水銀灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ等を用いることができる。また、必要に応じて加熱工程を加えてもよい。
本発明のハードコート層形成用組成物には、製造時の熱重合や貯蔵中の暗反応を防止するために、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルまたは2,5-t-ブチルハイドロキノンなどの熱重合防止剤を加えることが望ましい。熱重合防止剤の添加量は、ハードコート層形成用組成物の固形分に対し、0.005から0.05重量%が好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係るハードコートフィルムの断面図である。図1に示すように、本実施形態のハードコートフィルムは、透明基材上にハードコート層を備える。ハードコート層は、本発明のハードコート層形成用組成物を透明基材上に塗布することで形成される。
ハードコート層形成用組成物の塗布方法としては、バーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、ロールコーター、ダイコーター、コンマーコーター等の公知の塗工手段を用いることができる。このとき、ハードコート層形成用組成物には、必要に応じて溶媒が加えられる。溶媒としては、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、2-ブタノン、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n-ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酢酸n-ペンチル、およびγ-プチロラクトン、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、2-プロパノール、1-ブタノール、シクロペンタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ジクロロメタン、トリクロロメタン、トリクロロエチレン、エチレンクロライド、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、クロロホルム等を用いることができる。なお、溶媒は1種類に限定されるものではなく、複数の溶媒を混合して混合溶媒としてもよい。
透明基材としては、透光性を有するフィルム状のものが好ましく、基材として適度の透明性、機械強度を有していれば良い。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、三酢酸セルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)等のフィルムを用いることができる。中でも、液晶ディスプレイの前面にハードコートフィルムを設ける場合、三酢酸セルロース(TAC)は光学異方性がないため、好ましく用いられる。
本発明のハードコートフィルムは、最外層にハードコート層を備える。このとき、本発明のハードコートフィルムはハードコート層表面の表面エネルギーが20mN/m以下であることが好ましい。
表面自由エネルギーは、ハードコート層表面の防汚特性の評価方法の指標として用いることができ、この表面自由エネルギーによりハードコート表面の防汚性の有無および大小を推測することが出来る。表面自由エネルギーはハードコート層表面における接触角から拡張Fowkesの式で求めることができ、この値が小さいほうが防汚特性に優れる。本発明のハードコートフィルムは、表面自由エネルギーが20mN/m以下であるため、高い防汚特性を有する。
また、本発明のハードコートフィルムにおいて、ハードコート層表面の表面自由エネルギーは、15mN/m以上であることが好ましい。表面自由エネルギーはその値が小さいほど防汚特性の高いハードコートフィルムとすることができる。しかし、ハードコート層表面の表面自由エネルギーを15mN/m未満とした場合には、重合性基を有する含フッ素化合物(D)を相当量入れる必要があり、このときハードコート層形成用組成物は白化し、形成されるハードコートフィルムは白っぽくなるため、得られるハードコートフィルムはディスプレイの表面に設けるのに適さないものとなる場合がある。
塗布して得られたハードコート層の膜厚は、必要とされる硬度によりその膜厚が決定されるが、好ましい膜厚としては3~30μm、さらに好ましくは5~25μmである。3μm未満の膜厚では十分な硬度が得られず、一方、30μmを超えるとハードコート層の硬化収縮により透明基材が非常にカールしてしまい、次工程で破断等の不具合が発生してしまう。
本発明のハードコートフィルムには、必要に応じて、機能層が設けられる。機能層は透明基材とハードコート層の間もしくはハードコート層が設けられていない側の透明基材表面に設けられる。これらの機能層としては、反射防止層、帯電防止層、防眩層、電磁波遮蔽層、赤外線吸収層、紫外線吸収層、色補正層等が挙げられる。なお、これらの機能層は単層で用いてもかまわないし、異なる機能を有する層を複数用いてもかまわない。透明基材上にハードコート層が形成されたハードコートフィルム、及び、さらにこれらの機能層を設けたハードコートィルムは、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイといった各種のディスプレイ表面と貼りあわせることができ、耐擦傷性と防汚性に優れたディスプレイを提供することが可能となる。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。ハードコートフィルムの性能は、下記の方法に従って評価した。
Haze:日本電色製NDH-2000を用いJIS-K7105に準じ測定を行い、ハードコートフィルムのHAZE(%)を求めた。
全光線透過率:日本電色製NDH-2000を用いJIS-K7105に準じ測定を行い、ハードコートフィルムの透過率(%)を求めた。
鉛筆硬度:JIS-K5400に準じ評価を行い、ハードコートフィルムのハードコート層の硬度を求めた。
耐擦傷性:ハードコートフィルムのハードコート層に#0000のスチールウールを用いて250g/cmの荷重をかけながら10往復し、傷の発生の有無を確認した。判定基準は次の通りとした。
○:キズ無し
×:キズ有り
防汚特性:ハードコートフィルムのハードコート層表面に指紋をつけ、セルロース製不織布(ペンコットM-3:旭化成(株)製)を用いて250g/cmの荷重をかけながら指紋を拭取り、その取れ易さを目視判定にて行った。判定基準は次の通りとした。
○:指紋を完全に拭き取ることができる
△:指紋の拭き取り跡が残る
×:指紋を拭き取ることができない
表面エネルギー:接触角計(CA-X型:協和界面科学(株)製)を用いて、乾燥状態(20℃-65%RH)で直径1.8mmの液滴を針先に作り、これをハードコート層の表面に接触させて液滴を作った。接触角とは、固体と液体とが接触する点における液体表面に対する接線と固体表面とがなす角であり、液体を含む側の角度で定義した。液体としては、蒸留水及びn-ヘキサデカンをそれぞれ使用した。この2種類の溶液の接触角を元に拡張Fowkes計算式にて求めた。
耐熱性:ガラス基板上にハードコート層形成用組成物の塗膜を形成した後、数mg程度をガラス基板から切り出してアルミパンへ封入し、窒素雰囲気下での質量減少率(%)を以下の方法によって測定した。質量減少率(%)の測定には示差熱熱質量同時測定装置(STA7000、(株)日立ハイテクサイエンス製)を用いた。サンプルを窒素雰囲気下において250℃で20分間加熱し、加熱前の初期質量(M)から加熱後の質量(M)を減算した質量減少量(M=M-M)を初期質量(M)で割ることによって、質量減少率([M/M]×100)(%)を算出した。質量減少率が低いほど耐熱性に優れる。
添加剤の熱劣化:ハードコート層形成用組成物には、添加剤としてヒンダードアミン系光安定剤(商品名:チヌビン(Tinuvin(登録商標))123、BASFジャパン(株)製)が0.1質量部添加されており、ガラス基板上に上記光安定剤が添加されたハードコート層を形成した。上記塗膜が形成されたガラス基板を250℃で10分間加熱し、塗膜中の上記添加剤の残存率を以下の方法によって測定した。ガラス基板を1cmの大きさで切り出し、アセトン1.5mLに浸漬して、超音波洗浄機中で60分間抽出を行った。超高速液体クロマトグラフィー/質量分析(UHPLC/MS)(超高速液体クロマトグラフ/質量分析計(UHPLC/MS)、Agilent製 1260 LC System/6130B Single Quad MS System)によって、ガラス基板抽出液中の添加剤の定量を行った。加熱後に残存する添加剤量(V)を加熱前の初期添加剤量(V)で割ることによって、添加剤残存率([V/V]×100)(%)を算出した。
以上の評価では実施例1~4、比較例1~4のハードコートフィルムを用いた。以下に当該ハードコートフィルムの作製方法を説明する。
<実施例1>
透明基材として厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルム基材を用い、
ウレタンアクリレート:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、UA-306H(共栄社化学) 80重量部
アクリルモノマー:4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(昭和電工) 10重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ) 1.5重量部
フッ素系化合物:オプツールDAC(ダイキン工業) 0.5重量部
添加剤:Tinuvin 123(BASFジャパン) 0.1重量部
溶剤:酢酸エチル 100重量部
を攪拌、混合した塗布液を基材上に、バーコート法により硬化膜厚12μmになるように塗布、乾燥させ、メタルハライドランプにより400mJ/cmの紫外線を照射しハードコート層を形成し、実施例1のハードコートフィルムを作製した。このハードコートフィルムの全光線透過率、Haze、耐擦傷性試験、鉛筆硬度、防汚特性、耐熱性の測定結果を表2にまとめて示す。
<実施例2>
透明基材として厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルム基材を用い、
ウレタンアクリレート:ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、UA-306I(共栄社化学) 80重量部
アクリルモノマー:4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(昭和電工) 10重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ) 1.5重量部
フッ素系化合物:オプツールDAC(ダイキン工業) 0.5重量部
添加剤:Tinuvin 123(BASFジャパン) 0.1重量部
溶剤:酢酸エチル 100重量部
を攪拌、混合した塗布液を基材上に、バーコート法により硬化膜厚12μmになるように塗布、乾燥させ、メタルハライドランプにより400mJ/cmの紫外線を照射しハードコート層を形成し、実施例2のハードコートフィルムを作製した。このハードコートフィルムの全光線透過率、Haze、耐擦傷性試験、鉛筆硬度、防汚特性、耐熱性の測定結果を表2にまとめて示す。
<実施例3>
透明基材として厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルム基材を用い、
ウレタンアクリレート:UA-306H(共栄社化学) 80重量部
アクリルモノマー:4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(昭和電工) 10重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ) 1.5重量部
フッ素系化合物:ディフェンサTF3001(DIC) 1.0重量部
添加剤:Tinuvin 123(BASFジャパン) 0.1重量部
溶剤:酢酸エチル 100重量部
を攪拌、混合した塗布液を基材上に、バーコート法により硬化膜厚12μmになるように塗布、乾燥させ、メタルハライドランプにより400mJ/cmの紫外線を照射しハードコート層を形成し、実施例3のハードコートフィルムを作製した。このハードコートフィルムの全光線透過率、Haze、耐擦傷性試験、鉛筆硬度、防汚特性、耐熱性の測定結果を表2にまとめて示す。
<実施例4>
透明基材として厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルム基材を用い、
ウレタンアクリレート:UA-306H(共栄社化学) 80重量部
アクリルモノマー:N-(4-ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド(富士フイルム和光純薬) 10重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ) 1.5重量部
フッ素系化合物:オプツールDAC(ダイキン工業) 0.5重量部
添加剤:Tinuvin 123(BASFジャパン) 0.1重量部
溶剤:メチルイソブチルケトン 100重量部
を攪拌、混合した塗布液を基材上に、バーコート法により硬化膜厚12μmになるように塗布、乾燥させ、メタルハライドランプにより400mJ/cmの紫外線を照射しハードコート層を形成し、実施例4のハードコートフィルムを作製した。このハードコートフィルムの全光線透過率、Haze、耐擦傷性試験、鉛筆硬度、防汚特性、耐熱性の測定結果を表2にまとめて示す。
<比較例1>
透明基材として厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルム基材を用い、
ウレタンアクリレート:UA-306H(共栄社化学) 80重量部
アクリルモノマー:4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(昭和電工) 10重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ) 1.5重量部
非重合性フッ素系化合物:メガファックF470(DIC) 1.0重量部
添加剤:Tinuvin 123(BASFジャパン) 0.1重量部
溶剤:酢酸エチル 100重量部
を攪拌、混合した塗布液を基材上に、バーコート法により硬化膜厚12μmになるように塗布、乾燥させ、メタルハライドランプにより400mJ/cm2の紫外線を照射しハードコート層を形成し、比較例1のハードコートフィルムを作製した。このハードコートフィルムの全光線透過率、Haze、耐擦傷性試験、鉛筆硬度、防汚特性の測定結果を表2にまとめて示す。
<比較例2>
透明基材として厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルム基材を用い、
ウレタンアクリレート:UA-306H(共栄社化学) 80重量部
アクリルモノマー:4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(昭和電工) 10重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ) 1.5重量部
シリコーン系添加剤:BYK-UV3500(ビックケミー) 1.0重量部
添加剤:Tinuvin 123(BASFジャパン) 0.1重量部
溶剤:酢酸エチル 100重量部
を攪拌、混合した塗布液を基材上に、バーコート法により硬化膜厚12μmになるように塗布、乾燥させ、メタルハライドランプにより400mJ/cmの紫外線を照射しハードコート層を形成し、比較例2のハードコートフィルムを作製した。このハードコートフィルムの全光線透過率、Haze、耐擦傷性試験、鉛筆硬度、防汚特性の測定結果を表2にまとめて示す。
<比較例3>
透明基材として厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルム基材を用い、
ウレタンアクリレート:UA-306H(共栄社化学) 80重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ) 1.5重量部
フッ素系化合物:オプツールDAC(ダイキン工業) 0.5重量部
添加剤:Tinuvin 123(BASFジャパン) 0.1重量部
溶剤:酢酸エチル 100重量部
を攪拌したが、塗液が白濁してしまい評価不可であった。
<比較例4>
透明基材として厚さ80μmの三酢酸セルロースフィルム基材を用い、
ウレタンアクリレート:UA-306H(共栄社化学) 90重量部
アクリルモノマー:スチレン(東京化成工業) 10重量部
開始剤:イルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ) 1.5重量部
フッ素系化合物:オプツールDAC(ダイキン工業) 0.5重量部
添加剤:Tinuvin 123(BASFジャパン) 0.1重量部
溶剤:酢酸エチル 100重量部
を攪拌したが、塗液が白濁してしまい評価不可であった。
以上の実施例1から4及び比較例1、2の評価結果を表2にまとめて示す。
Figure 2022074283000006
実施例1~4、比較例1、2において、多官能(メタ)アクリルモノマー(A)としてウレタンアクリレートを用いたため、いずれのハードコートフィルムも鉛筆硬度は3Hであり、また、耐擦傷性も良好であった。
実施例1~4と比較例1、2を比べると、重合性基を有する含フッ素化合物(D)を用いた実施例1~4のハードコートフィルムは、十分な防汚特性を有し、表面エネルギーが20mN/m以下で良好であったのに対し、重合性基を有する含フッ素化合物を用いなかった比較例1、2では、十分な防汚特性が発揮されず、表面エネルギーが20mN/mを超えていた。また、一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)を使用することで加熱による質量減少及び添加剤の劣化を抑制することができる。しかし、比較例1および2では、非重合性フッ素系化合物および非重合性シリコーン系化合物を用いていることから、光硬化後の塗膜内部の均一性が悪化し、熱により劣化しやすい部分が生じたことが原因で、質量減少率が高く、残存率が低くなったと考えられる。なお、質量減少率は3%以下の場合を良好とし、残存率は95%以上の場合を良好とする。
実施例1から4と比較例3、4を比べると、一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)を使用することで、フッ素系添加剤との相溶性が向上することが分かる。

Claims (7)

  1. ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマーおよびジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーから選択された多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と、
    下記一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)と、
    光ラジカル重合開始剤(C)と、
    重合性基を有する含フッ素化合物(D)と
    非重合性添加剤(E)とを含有する組成物で、
    前記組成物中の前記非重合性添加剤(E)の配合割合が50質量%以下であることを特徴とするハードコート層形成用組成物。
    Figure 2022074283000007
    式(I)において、Qは式中に示されるエステル結合を表し、Rは置換基を表し、n1は1~5の整数を表し、*は一般式(I)で表されるモノマー残部との結合部位を表し、**は式中のフェニル基との結合部位を表す。
    Figure 2022074283000008
    式(II)において、Qは式(I)中のQで表されるエステル結合以外の連結基又は単結合を表し、Rは置換基を表し、n2は1~5の整数を表し、*は一般式(II)で表されるモノマー残部との結合部位を表す。但し、少なくとも1つのRは水酸基を表す。
  2. 前記ハードコート層形成用組成物中の前記一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の含有率が前記多官能(メタ)アクリルモノマーと前記重合性基を有する含フッ素化合物の和に対し2モル%以上50モル%以下である、請求項1に記載のハードコート層形成用組成物。
  3. 前記一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)が、(メタ)アクリレート系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー、およびN-置換マレイミド系モノマーのいずれかである、請求項1又は2に記載のハードコート層形成用組成物。
  4. 前記多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と前記一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の合計に対し、前記多官能(メタ)アクリルモノマー(A)が50重量%以上95重量%以下の割合で含まれる、請求項1~3のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
  5. 前記重合性基を有する含フッ素化合物(D)の添加量が、前記多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と、前記一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の合計に対して0.01重量%以上10重量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
  6. 前記光ラジカル重合開始剤(C)の添加量が、前記多官能(メタ)アクリルモノマー(A)と、前記一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するモノマー(B)の合計に対して0.01重量%以上10重量%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
  7. 透明基材上に、請求項1~6のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物を硬化したハードコート層を有し、かつ、前記ハードコート層表面の表面自由エネルギーが20mN/m以下であり、且つ、前記ハードコート層の膜厚が5~25μmであることを特徴とするハードコートフィルム。
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