JP2022058298A - ガラス積層体、表示装置、電子機器および樹脂層 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐屈曲性および耐衝撃性が良好であり、安全性も向上したガラス積層体、それを用いた表示装置および電子機器、ならびにそれに用いられる樹脂層を提供する。【解決手段】ガラス基材2と、第1樹脂層3と、第2樹脂層4とを有するガラス積層体1であって、前記ガラス基材2は、第1面と、前記第1面とは反対にある第2面と、前記第1面と前記第2面とは異なる第3面と、を有し、前記ガラス基材2の厚さが、100μm以下であり、前記第1樹脂層3が、前記第1面側に存在し、かつ、透明性を有し、前記第2樹脂層4が、前記第3面を覆う、ガラス積層体を提供する。【選択図】図1
Description
本開示は、ガラス積層体、それを用いた表示装置および電子機器、ならびにそれに用いられる樹脂層に関する。
従来、表示装置には、表示装置を保護する目的で、ガラス製や樹脂製のカバー部材が用いられている。このカバー部材は、表示装置を衝撃や傷から保護するものであり、強度、耐衝撃性、耐傷性等が求められる。ガラス製のカバー部材は、表面硬度が高く傷が付きにくい、透明度が高い等の特徴があり、樹脂製のカバー部材は、軽量、割れにくいといった特徴がある。また、一般にカバー部材の厚さが厚いほど表示装置を衝撃から保護する機能が高く、重量やコスト、表示装置のサイズ等から、カバー部材の材質や厚さが適宜選択されて用いられている。
近年、フォルダブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、ベンダブルディスプレイ等のフレキシブルディスプレイの開発が盛んに行われており、中でも、フォルダブルディスプレイ、すなわち折り曲げられる表示装置の開発が進められている。
折れ曲げられる表示装置においては、カバー部材も表示装置の動きに追随して曲がる必要があることから、折り曲げることができるカバー部材が適用されている。樹脂製のカバー部材の場合、化学構造の工夫により無色透明化したポリイミドやポリアミドイミドのフィルムが開発されている(例えば特許文献1参照)。また、ガラス製のカバー部材の場合、超薄板ガラス(Ultra-Thin Glass;UTG)等のようにガラスを薄くすることで折り曲げることができるようにしたカバー部材の検討が進められている(例えば特許文献2参照)。ガラスの中でも、特に、耐屈曲性が高いのは、化学強化ガラスといわれるもので、ガラス表面に膨張する応力を内在させることにより、ガラス表面に生じた微小な傷が屈曲時に大きくならないようにすることで、ガラスを割れにくくしている。
ガラスは、樹脂に比べ弾性率が高いので、同じ厚さの場合、樹脂よりも表示装置を保護する能力が高い。また、ガラスは、光学的にも透明性が高く、より視認性の良い表示装置を製造することが可能となる。一方で、ガラスは薄くなることで、より割れやすくなってしまい、耐衝撃性が劇的に悪化する。外部からの衝撃によって、カバー部材のガラスが割れてしまうと、表示装置を保護する機能が低下するだけでなく、発生した破片や鋭利な端面により使用者の指先等を傷付けてしまうおそれがある。
そこで、ガラス基材に樹脂層を積層することが提案されている。例えば特許文献3には、ガラス基板上に飛散防止層が形成された表示装置用前面板が開示されている。
ガラス基材および樹脂層を有するガラス積層体を備える表示装置においては、樹脂層をガラス基材よりも観察者側に配置することにより、樹脂層によって衝撃によるガラスの割れを抑制し、耐衝撃性を高めることが可能である。しかしながら、後述の実施例および比較例に記載するように、ガラス基材に樹脂層を積層すると、ガラス基材単体よりも耐屈曲性が悪くなる傾向がある。このように、ガラス積層体の耐屈曲性および耐衝撃性は相反する特性であると考えられる。よって、耐屈曲性および耐衝撃性を両立することができるガラス積層体が求められている。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐屈曲性および耐衝撃性が良好であり、安全性も向上したガラス積層体を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本開示の発明者らは鋭意検討を行い、薄いガラス基材の主面側に樹脂層を配置するとともに、ガラス基材の側面を樹脂層で被覆することにより、良好な耐屈曲性および耐衝撃性を両立することができることを見出した。本開示はこのような知見に基づくものである。
本開示の一実施形態は、ガラス基材と、第1樹脂層と、第2樹脂層とを有するガラス積層体であって、上記ガラス基材は、第1面と、前記第1面とは反対にある第2面と、上記第1面と前記第2面とは異なる第3面と、を有し、前記ガラス基材の厚さが、100μm以下であり、上記第1樹脂層が、上記第1面側に存在し、かつ、透明性を有し、上記第2樹脂層が、上記第3面を覆う、ガラス積層体ガラス積層体を提供する。
本開示におけるガラス積層体においては、上記第1樹脂層および上記第2樹脂層が、同一の材料を含有し、かつ、一体であってもよい。
また、本開示におけるガラス積層体においては、上記第1樹脂層の厚さをT1とし、上記第2樹脂層の厚さをT2としたときに、(式1)を満たすことが好ましい。
(式1) 0.01≦T1/T2≦5.0
(式1) 0.01≦T1/T2≦5.0
また、本開示におけるガラス積層体においては、上記ガラス基材の厚さに対する、上記ガラス基材の厚さ方向における上記第2樹脂層の厚さの比率が、0.5以上であることが好ましい。
また、本開示におけるガラス積層体においては、上記第1樹脂層が、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。また、上記第2樹脂層が、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、あるいは、重合性化合物を含む樹脂組成物の硬化物を含有することが好ましい。
また、本開示におけるガラス積層体は、上記ガラス基材と上記第1樹脂層との間にプライマー層を有することができる。
また、本開示におけるガラス積層体は、上記第1樹脂層の上記ガラス基材とは反対の面側に機能層を有することができる。この場合、上記第2樹脂層および上記機能層が、同一材料を含有し、一体であってもよい。また、この場合、上記機能層がハードコート層であり、上記ハードコート層が重合性化合物を含む樹脂組成物の硬化物を含有することが好ましい。
また、本開示におけるガラス積層体は、上記ガラス基材の上記第1樹脂層とは反対の面側に第3樹脂層を有することができる。この場合、上記第3樹脂層が、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。また、この場合、上記第2樹脂層および上記第3樹脂層が、同一材料を含有し、一体であってもよい。
また、本開示におけるガラス積層体においては、上記ガラス基材が化学強化ガラスであることが好ましい。
また、本開示におけるガラス積層体においては、上記第1樹脂層の全光線透過率が82%以上であり、ヘイズが1.0%以下であることが好ましい。
また、本開示におけるガラス積層体は、全光線透過率が82%以上であり、ヘイズが1.0%以下であることが好ましい。
本開示の他の実施形態は、表示パネルと、上記表示パネルの観察者側に配置された、上述のガラス積層体と、を備える表示装置を提供する。
本開示の他の実施形態は、上述の表示装置を備える、電子機器を提供する。
本開示の他の実施形態は、厚さが100μm以下であるガラス基材の主面側に配置され、かつ、上記ガラス基材の側面を被覆するために用いられる樹脂層であって、透明性を有する、樹脂層を提供する。
本開示における樹脂層は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、あるいは、重合性化合物を含む樹脂組成物の硬化物を含有することが好ましい。
また、本開示における樹脂層は、全光線透過率が82%以上であり、ヘイズが1.0%以下であることが好ましい。
本開示においては、耐屈曲性および耐衝撃性が良好であり、安全性も向上したガラス積層体を提供することができるという効果を奏する。
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面側に」または「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
以下、本開示におけるガラス積層体、表示装置、電子機器および樹脂層について詳細に説明する。
A.ガラス積層体
本開示におけるガラス積層体は、ガラス基材と、第1樹脂層と、第2樹脂層とを有するガラス積層体であって、上記ガラス基材は、第1面と、前記第1面とは反対にある第2面と、上記第1面と前記第2面とは異なる第3面と、を有し、前記ガラス基材の厚さが、100μm以下であり、上記第1樹脂層が、上記第1面側に存在し、かつ、透明性を有し、上記第2樹脂層が、上記第3面を覆うものである。
言い換えると、本開示におけるガラス積層体は、厚さが100μm以下であるガラス基材と、前記ガラス基材の一方の主面側に配置され、透明性を有する第1樹脂層と、前記ガラス基材の側面を被覆する第2樹脂層と、を有する。
以下、「上記第1樹脂層が、上記第1面側に存在し、かつ、透明性を有し、」を、「上記ガラス基材の一方の主面側に配置され、透明性を有する第1樹脂層」と表現する場合がある。
本開示におけるガラス積層体は、ガラス基材と、第1樹脂層と、第2樹脂層とを有するガラス積層体であって、上記ガラス基材は、第1面と、前記第1面とは反対にある第2面と、上記第1面と前記第2面とは異なる第3面と、を有し、前記ガラス基材の厚さが、100μm以下であり、上記第1樹脂層が、上記第1面側に存在し、かつ、透明性を有し、上記第2樹脂層が、上記第3面を覆うものである。
言い換えると、本開示におけるガラス積層体は、厚さが100μm以下であるガラス基材と、前記ガラス基材の一方の主面側に配置され、透明性を有する第1樹脂層と、前記ガラス基材の側面を被覆する第2樹脂層と、を有する。
以下、「上記第1樹脂層が、上記第1面側に存在し、かつ、透明性を有し、」を、「上記ガラス基材の一方の主面側に配置され、透明性を有する第1樹脂層」と表現する場合がある。
図1は、本開示におけるガラス積層体の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、ガラス積層体1は、所定の厚さを有するガラス基材2と、ガラス基材2の第1面(以下、主面とする場合がある。)2P側に配置され、透明性を有する第1樹脂層3と、ガラス基材2の第3面(以下、側面とする場合がある)2Sを被覆する第2樹脂層4とを有する。
なお、図1において、第1樹脂層3および第2樹脂層4は、単一の層として構成されているが、これに限定されるものではなく、別々の層として構成されていてもよい。
本開示におけるガラス積層体においては、ガラス基材は、厚さが所定の値以下であり薄いため、耐屈曲性を高めることができる。一方、ガラス基材は、厚さが所定の値以下であり薄いため、割れやすく耐衝撃性が低いことが懸念される。これに対し、本開示においては、ガラス基材の主面側に第1樹脂層が配置されていることにより、ガラス積層体に衝撃が加わった際に、第1樹脂層が衝撃を吸収し、ガラス基材の割れを抑制することができ、耐衝撃性を高めることができる。
ここで、後述の実施例および比較例に記載するように、ガラス基材の主面側に第1樹脂層を配置すると、耐衝撃性を高めることができるものの、ガラス基材単体よりも耐屈曲性が悪くなる。これに対し、本開示においては、ガラス基材の側面が第2樹脂層で被覆されていることにより、良好な耐屈曲性を維持しつつ、耐衝撃性を高めることができる。この理由は以下のように推察される。
ガラス基材は、加工時にマイクロクラックが生じやすく、特にガラス基材の切断時にガラス基材の端部にマイクロクラックが生じやすい。ガラス基材にマイクロクラックがあると、このマイクロクラックを起点に割れが発生しやすくなる。また、ガラス基材に強化ガラスを用いる場合においても、強化ガラスからなる大型のガラス基材を切断して用いる場合には、ガラス基材の切断面、つまり側面には、強化ガラスの表面に形成される圧縮応力層が存在しないことになるため、ガラス基材の側面では強度が低下してしまう。
これに対し、本開示においては、ガラス基材の側面を第2樹脂層で被覆することにより、ガラス基材の側面の強度を高めることができる。また、ガラス基材の側面に直に第2樹脂層が配置されている場合には、第2樹脂層によって、ガラス基材の側面のマイクロクラックを埋めることができ、ガラス基材の側面の強度を高めることができる。よって、ガラス積層体を曲げた際に、ガラス基材の側面からの割れを抑制することができ、良好な耐屈曲性を維持することができる。さらに、ガラス基材の端部における耐衝撃性も高めることができる。
したがって、本開示においては、良好な耐屈曲性および耐衝撃性を両立することが可能である。さらには、ガラス積層体におけるガラス基材が破損したとしても、人体を傷付けるリスクを低減することができ、安全性の高いガラス積層体とすることができる。よって、本開示におけるガラス積層体は、折り曲げることが可能であり、多種多様な表示装置に用いることができ、例えばフォルダブルディスプレイ用部材として使用することができる。
以下、本開示におけるガラス積層体の各構成について説明する。
1.第1樹脂層
本開示における第1樹脂層は、ガラス基材の第1面側に配置され、かつ、透明性を有する。第1樹脂層は、衝撃吸収性を有する衝撃吸収層や、ガラス基材が割れたときのガラスの飛散を抑制する飛散防止層としても機能することができる。第1樹脂層は、本開示におけるガラス積層体を表示装置の表示パネルの観察者側に配置する場合には、ガラス基材よりも観察者側に配置される。
本開示における第1樹脂層は、ガラス基材の第1面側に配置され、かつ、透明性を有する。第1樹脂層は、衝撃吸収性を有する衝撃吸収層や、ガラス基材が割れたときのガラスの飛散を抑制する飛散防止層としても機能することができる。第1樹脂層は、本開示におけるガラス積層体を表示装置の表示パネルの観察者側に配置する場合には、ガラス基材よりも観察者側に配置される。
(1)第1樹脂層の特性
第1樹脂層は、透明性を有する。具体的には、第1樹脂層の全光線透過率は、82%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、88%以上であることがさらに好ましい。なお、上限は100%となる。
第1樹脂層は、透明性を有する。具体的には、第1樹脂層の全光線透過率は、82%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、88%以上であることがさらに好ましい。なお、上限は100%となる。
ここで、第1樹脂層の全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定することができ、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。以下、他の層の全光線透過率の測定方法についても同様とすることができる。
また、第1樹脂層のヘイズは、例えば1.0%以下であることが好ましく、0.8%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。なお、ヘイズの下限値は0%となる。
ここで、第1樹脂層のヘイズは、JIS K-7136に準拠して測定することができ、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。以下、他の層のヘイズの測定方法についても同様とすることができる。
第1樹脂層は、衝撃吸収性を有することが好ましい。具体的には、第1樹脂層の複合弾性率が、4.7GPa以上であることが好ましく、5.7GPa以上であることがさらに好ましい。第1樹脂層の複合弾性率が上記範囲であることにより、衝撃によるガラス基材の割れを抑制することができ、耐衝撃性および耐傷性を向上させることができる。
また、後述の複合弾性率の測定方法によれば、ガラス基材の複合弾性率は約40GPaであることから、第1樹脂層の複合弾性率は、例えば、40GPa以下であることが好ましく、20GPa以下であることがより好ましい。
具体的には、4.7GPa以上40GPa以下であることが好ましく、5.7GPa以上20GPa以下であることがより好ましい。
具体的には、4.7GPa以上40GPa以下であることが好ましく、5.7GPa以上20GPa以下であることがより好ましい。
ここで、第1樹脂層の複合弾性率は、第1樹脂層のインデンテーション硬さ(HIT)を測定する際に求められる接触投影面積Apを用いて算出するものとする。「インデンテーション硬さ」とは、ナノインデンテーション法による硬度測定によって得られる圧子の負荷から除荷までの荷重-変位曲線から求められる値である。第1樹脂層の複合弾性率は、第1樹脂層の弾性変形および圧子の弾性変形が含まれた弾性率である。
インデンテーション硬さ(HIT)の測定は、測定サンプルについてBRUKER社製の「TI950 TriboIndenter」を用いて行うものとする。具体的には、まず、1mm×10mmに切り出したガラス積層体を包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚さ50nm以上100nm以下の切片を切り出す。切片の作製には、「ウルトラミクロトーム EM UC7」(ライカ マイクロシステムズ社製)等を用いることができる。そして、この穴等がない均一な切片が切り出された残りのブロックを測定サンプルとする。次いで、このような測定サンプルにおける上記切片が切り出されることによって得られた断面において、以下の測定条件で、上記圧子としてバーコビッチ(Berkovich)圧子(三角錐、BRUKER社製のTI-0039)を第1樹脂層の断面中央に10秒かけて最大押し込み荷重25μNまで垂直に押し込む。ここで、バーコビッチ圧子は、ガラス基材の影響を避けるためおよび第1樹脂層の側縁の影響を避けるために、ガラス基材と第1樹脂層との界面から第1樹脂層の中央側に500nm離れ、第1樹脂層の両側端からそれぞれ樹脂層の中央側に500nm離れた第1樹脂層の部分内に押し込むものとする。なお、第1樹脂層におけるガラス基材側の面とは反対側の面に機能層等の任意の層が存在する場合には、上記任意の層と第1樹脂層との界面からも第1樹脂層の中央側に500nm離れた第1樹脂層の部分内に押し込むものとする。その後、一定保持して残留応力の緩和を行った後、10秒かけて除荷させて、緩和後の最大荷重を計測し、該最大荷重Pmax(μN)と接触投影面積Ap(nm2)とを用い、Pmax/Apにより、インデンテーション硬さ(HIT)を算出する。上記接触投影面積は、標準試料の溶融石英(BRUKER社製の5-0098)を用いてOliver-Pharr法で圧子先端曲率を補正した接触投影面積である。インデンテーション硬さ(HIT)は、10箇所測定して得られた値の算術平均値とする。なお、測定値の中に算術平均値から±20%以上外れるものが含まれている場合は、その測定値を除外し再測定を行うものとする。測定値の中に算術平均値から±20%以上外れているものが存在するか否かは、測定値をAとし、算術平均値をBとしたとき、(A-B)/B×100によって求められる値(%)が±20%以上であるかによって判断するものとする。インデンテーション硬さ(HIT)は、後述する第1樹脂層に含まれる樹脂の種類等によって調整することができる。
(測定条件)
・荷重速度:2.5μN/秒
・保持時間:5秒
・荷重除荷速度:2.5μN/秒
・測定温度:25℃
・荷重速度:2.5μN/秒
・保持時間:5秒
・荷重除荷速度:2.5μN/秒
・測定温度:25℃
第1樹脂層の複合弾性率Erは、下記数式(1)によって、インデンテーション硬さの測定の際に求められた接触投影面積Apを用いて求める。複合弾性率は、インデンテーション硬さを10箇所測定し、その都度複合弾性率を求め、得られた10箇所の複合弾性率の算術平均値とする。
(上記数式(1)中、Apは接触投影面積であり、Erは第1樹脂層の複合弾性率であり、Sは接触剛性である。)
(2)第1樹脂層の厚さ
第1樹脂層の厚さとしては、柔軟性および衝撃吸収性が得られる厚さであれば特に限定されるものではなく、例えば、5μm以上、60μm以下であることが好ましく、10μm以上、50μm以下であることがより好ましく、15μm以上、40μm以下であることがさらに好ましい。第1樹脂層の厚さが上記範囲内であるように比較的薄いことにより、柔軟性を高めることができ、ガラス積層体を曲げた際に、第1樹脂層の割れを抑制することができ、耐屈曲性を維持することができる。
第1樹脂層の厚さとしては、柔軟性および衝撃吸収性が得られる厚さであれば特に限定されるものではなく、例えば、5μm以上、60μm以下であることが好ましく、10μm以上、50μm以下であることがより好ましく、15μm以上、40μm以下であることがさらに好ましい。第1樹脂層の厚さが上記範囲内であるように比較的薄いことにより、柔軟性を高めることができ、ガラス積層体を曲げた際に、第1樹脂層の割れを抑制することができ、耐屈曲性を維持することができる。
ここで、第1樹脂層の厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)により観察されるガラス積層体の厚さ方向の断面から測定して得られた任意の10箇所の厚さの平均値とすることができる。なお、特に断りの無い限りは、ガラス積層体が有する他の層の厚さの測定方法についても同様とすることができる。
(3)第1樹脂層の材料
(a)樹脂
第1樹脂層に含まれる樹脂としては、上述の複合弾性率を満たし、透明性を有する樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)樹脂
第1樹脂層に含まれる樹脂としては、上述の複合弾性率を満たし、透明性を有する樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、ポリイミド系樹脂とは、主鎖にイミド結合を有する高分子をいう。ポリイミド系樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
以下、ポリイミドを例に挙げて説明する。
(ポリイミド)
ポリイミドは、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて得られるものである。テトラカルボン酸成分とジアミン成分の重合によってポリアミド酸を得てイミド化することが好ましい。イミド化は、化学イミド化で行っても、熱イミド化で行ってもよく、化学イミド化と熱イミド化とを併用してもよい。
ポリイミドは、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて得られるものである。テトラカルボン酸成分とジアミン成分の重合によってポリアミド酸を得てイミド化することが好ましい。イミド化は、化学イミド化で行っても、熱イミド化で行ってもよく、化学イミド化と熱イミド化とを併用してもよい。
ポリイミドとしては、上述の複合弾性率を満たし、透明性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表される構成単位を10モル%以上100モル%以下、及び下記一般式(2)で表される構成単位を(100-x)モル%(ここでxは、上記一般式(1)で表される構成単位のモル%)含み、重量平均分子量が100,000以上であることが好ましい。ポリイミドが、主鎖にエステル結合を介して2面角がねじれたパラビフェニレン基を含む特定の構造のテトラカルボン酸残基と、芳香族環又は脂肪族環を有するジアミン残基とを有し、且つ、特定の重量平均分子量を有することにより、複合弾性率と耐屈曲性のバランスを良好にしやすいからである。
(一般式(1)及び(2)において、R1~R4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、R1及びR2の少なくとも1つ、及びR3及びR4の少なくとも1つは、炭素原子数1~6のアルキル基を表す。Aは芳香族環又は脂肪族環を有するテトラカルボン酸残基である4価の基を表し、Bは、芳香族環又は脂肪族環を有するジアミン残基である2価の基を表す。)
ここで、テトラカルボン酸残基とは、テトラカルボン酸から、4つのカルボキシル基を除いた残基をいい、テトラカルボン酸二無水物から酸二無水物構造を除いた残基と同じ構造を表す。また、ジアミン残基とは、ジアミンから2つのアミノ基を除いた残基をいう。
一般式(1)において、R1及びR2の少なくとも1つ、ならびにR3及びR4の少なくとも1つは、炭素原子数1~6のアルキル基を表す。炭素原子数1~6のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であってよく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基が挙げられる。溶剤溶解性の点から、好ましくは炭素原子数1~4のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1~2のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。また、中でも、溶剤溶解性の点から、R1及びR2、並びにR3及びR4が、メチル基を表すことが好ましい。
一般式(1)において、Bは、芳香族環又は脂肪族環を有するジアミン残基である2価の基を表す。芳香族環又は脂肪族環を有するジアミン残基は、芳香族環を有するジアミン又は脂肪族環を有するジアミンから2つのアミノ基を除いた残基とすることができる。
芳香族環を有するジアミンおよび脂肪族環を有するジアミンの具体例については、例えば特開2019-132930号公報、特開2019-1989号公報に記載のものを挙げることができる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。
上記一般式(2)において、Aは芳香族環又は脂肪族環を有するテトラカルボン酸残基である4価の基を表し、Bは、芳香族環又は脂肪族環を有するジアミン残基である2価の基を表す。上記一般式(2)におけるBは、上記一般式(1)におけるBと同様であってよいので、ここでの説明を省略する。上記一般式(1)におけるBと上記一般式(2)におけるBとは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(2)のAにおけるテトラカルボン酸残基は、芳香族環を有するテトラカルボン酸二無水物から酸二無水物構造を除いた残基、又は、脂肪族環を有するテトラカルボン酸二無水物から酸二無水物構造を除いた残基とすることができる。
芳香族環を有するテトラカルボン酸二無水物および脂肪族環を有するテトラカルボン酸二無水物の具体例については、例えば特開2019-132930号公報、特開2019-1989号公報に記載のものを挙げることができる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。
ポリイミドは、上記一般式(1)で表される構成単位を10モル%以上100モル%以下含むことが好ましい。溶剤への溶解性の点から、ポリイミドは、上記一般式(1)で表される構成単位を15モル%以上含むことがより好ましく、25モル%以上含むことがさらに好ましく、50モル%以上含むことが特に好ましい。
一方、表面硬度や透明性が向上する点から、共重合成分を含んでもよく、ポリイミドは、上記一般式(1)で表される構成単位を95モル%以下含んでいてもよく、90モル%以下含んでいてもよく、80モル%以下含んでいてもよい。
また、ポリイミドは、上記一般式(2)で表される構成単位を(100-x)モル%(ここでxは、上記一般式(1)で表される構成単位のモル%)含むことが好ましい。溶剤への溶解性の点から、ポリイミドは、上記一般式(2)で表される構成単位を85モル%以下含むことがより好ましく、75モル%以下含むことがさらに好ましく、50モル%以下含むことが特に好ましい。
なお、ポリイミドが、上記一般式(1)で表される構成単位を100モル%含む場合には、上記一般式(2)で表される構成単位は0モル%、すなわち含まれない。上記一般式(2)で表される構成単位は0モル%であってもよいが、表面硬度や透明性が向上する点から、共重合成分として含まれていてもよく、ポリイミドは、上記一般式(2)で表される構成単位を5モル%以上含んでいてもよく、10モル%以上含んでいてもよく、20モル%以上含んでいてもよい。
透明性を向上させ、且つ、表面硬度を向上させる点から、Aのテトラカルボン酸残基である4価の基、及び、Bのジアミン残基である2価の基の少なくとも1つは、芳香族環を含み、且つ、(i)フッ素原子、(ii)脂肪族環、及び(iii)芳香族環同士をスルホニル基又はフッ素で置換されていてもよいアルキレン基で連結した構造、からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。ポリイミドが、芳香族環を有するテトラカルボン酸残基及び芳香族環を有するジアミン残基から選ばれる少なくとも一種を含むことにより、分子骨格が剛直となり配向性が高まり、表面硬度が向上するが、剛直な芳香族環骨格は吸収波長が長波長に伸びる傾向があり、可視光領域の透過率が低下する傾向がある。一方で、ポリイミドが(i)フッ素原子を含むと、ポリイミド骨格内の電子状態を電荷移動し難くすることができる点から透明性が向上する。また、ポリイミドが(ii)脂肪族環を含むと、ポリイミド骨格内のπ電子の共役を断ち切ることで骨格内の電荷の移動を阻害することができる点から透明性が向上する。また、ポリイミドが(iii)芳香族環同士をスルホニル基又はフッ素で置換されていてもよいアルキレン基で連結した構造を含むと、ポリイミド骨格内のπ電子の共役を断ち切ることで骨格内の電荷の移動を阻害することができる点から透明性が向上する。
中でも、透明性を向上させ、且つ、表面硬度を向上させる点から、Aのテトラカルボン酸残基である4価の基、及び、Bのジアミン残基である2価の基の少なくとも1つは、芳香族環とフッ素原子とを含むことが好ましく、Bのジアミン残基である2価の基が、芳香族環とフッ素原子とを含むことが好ましい。
ポリイミドは、透明性の点、及び耐屈曲性及び表面硬度の点から、上記一般式(1)及び(2)中のBにおける、上記芳香族環又は脂肪族環を有するジアミン残基が、trans-シクロヘキサンジアミン残基、trans-1,4-ビスメチレンシクロヘキサンジアミン残基、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン残基、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン残基、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン残基、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-[(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル)ビス(4,1-フェニレンオキシ)]ジアニリン残基、2,2-ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン残基、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン残基、及び下記一般式(3)で表される2価の基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基であることが好ましい。特に、透明性と表面硬度の両立の点から、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン残基、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン残基、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン残基、及び、下記一般式(3)で表される2価の基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基であることが好ましく、下記一般式(3)で表される2価の基であることがより好ましい。下記一般式(3)で表される2価の基としては、R5及びR6がパーフルオロアルキル基であることがより好ましく、中でも、炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基又はパーフルオロエチル基であることがより好ましい。また、下記一般式(3)中のR5及びR6におけるアルキル基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
(一般式(3)において、R5及びR6はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、またはパーフルオロアルキル基を表す。)
ポリイミドは、中でも、透明性の点、及び耐屈曲性及び表面硬度の点から、上記一般式(2)中のAにおける芳香族環又は脂肪族環を有するテトラカルボン酸残基が、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物残基、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物残基、ジシクロヘキサン-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物残基、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物残基、ピロメリット酸二無水物残基、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基、3,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基、3,3’-(ヘキサフルオロイソ
プロピリデン)ジフタル酸無水物残基、4,4’-オキシジフタル酸無水物残基、及び、3,4’-オキシジフタル酸無水物残基からなる群から選ばれる少なくとも1種の4価の基であるであることが好ましい。
プロピリデン)ジフタル酸無水物残基、4,4’-オキシジフタル酸無水物残基、及び、3,4’-オキシジフタル酸無水物残基からなる群から選ばれる少なくとも1種の4価の基であるであることが好ましい。
上記一般式(2)中のAにおいて、これらの好適な残基を合計で、50モル%以上含むことが好ましく、70モル%以上含むことがより好ましく、90モル%以上含むことがさらに好ましい。
上記一般式(2)中のAとしては、表面硬度が向上する点からは、ピロメリット酸二無水物残基、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基、及び、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基からなる群から選択される少なくとも一種のような剛直性を向上させるのに適したテトラカルボン酸残基群(グループA)を含むことが好ましい。また、上記一般式(2)中のAとしては、透明性を向上させる点からは、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物残基、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物残基、ジシクロヘキサン-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物残基、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物残基、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基、3,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基、3,3’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基、4,4’-オキシジフタル酸無水物残基、及び、3,4’-オキシジフタル酸無水物残基からなる群から選択される少なくとも一種のような透明性を向上させるのに適したテトラカルボン酸残基群(グループB)を含むことが好ましい。グループAとグループBを混合して用いてもよい。
グループAとグループBを混合する場合、上記剛直性を向上させるのに適したテトラカルボン酸残基群(グループA)と、透明性を向上させるのに適したテトラカルボン酸残基群(グループB)との含有比率は、透明性を向上させるのに適したテトラカルボン酸残基群(グループB)1モルに対して、上記剛直性を向上させるのに適したテトラカルボン酸残基群(グループA)が0.05モル以上9モル以下であることが好ましく、0.1モル以上5モル以下であることがより好ましく、0.3モル以上4モル以下であることがさらに好ましい。
中でも、表面硬度と透明性の向上の点から、上記グループBとしては、フッ素原子を含む、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基、及び3,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基の少なくとも一種を用いることが好ましい。
ポリイミド中の各繰り返し単位の含有割合、各テトラカルボン酸残基や各ジアミン残基の含有割合(モル%)は、ポリイミド製造時には仕込みの分子量から求めることができる。また、ポリイミド中の各テトラカルボン酸残基や各ジアミン残基の含有割合(モル%)は、上記と同様に得られたポリイミドの分解物について、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフ質量分析計、NMR、元素分析、XPS/ESCA及びTOF-SIMSを用いて求めることができる。
ポリイミドは、耐屈曲性が良好な点から、ゲル浸透クロマトグラフィーのポリスチレン換算による重量平均分子量が100,000以上であることが好ましい。耐屈曲性の点から、重量平均分子量は120,000以上であってもよく、140,000以上であってもよく、160,000以上であってもよい。一方で、気泡欠陥が発生し難い点から、重量平均分子量は270,000以下であることが好ましい。さらに溶解性の点から、重量平均分子量は250,000以下であってもよく、230,000以下であってもよく、210,000以下であってもよい。
ポリイミドの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定できる。具体的には、ポリイミドを0.1質量%の濃度のN-メチルピロリドン(NMP)溶液とし、展開溶媒は、含水量500ppm以下の30mmol%LiBr-NMP溶液を用い、東ソー製GPC装置(HLC-8120、使用カラム:SHODEX製GPC LF-804)を用い、サンプル打ち込み量50μL、溶媒流量0.4mL/分、37℃の条件で測定を行う。重量平均分子量は、サンプルと同濃度のポリスチレン標準サンプルを基準に求める。
(b)紫外線吸収剤
第1樹脂層は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。第1樹脂層の紫外線による劣化を抑制することができる。中でも、第1樹脂層がポリイミドを含有する場合には、ポリイミドを含有する第1樹脂層の経時的な色変化を抑制することができる。また、ガラス積層体を備える表示装置において、ガラス積層体よりも表示パネル側に配置されている部材、例えば偏光子等の紫外線による劣化を抑制することができる。
第1樹脂層は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。第1樹脂層の紫外線による劣化を抑制することができる。中でも、第1樹脂層がポリイミドを含有する場合には、ポリイミドを含有する第1樹脂層の経時的な色変化を抑制することができる。また、ガラス積層体を備える表示装置において、ガラス積層体よりも表示パネル側に配置されている部材、例えば偏光子等の紫外線による劣化を抑制することができる。
第1樹脂層に含まれる紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、及び、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤、ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、及び、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例については、例えば特開2019-132930号公報に記載のものを挙げることができる。
紫外線吸収剤としては、中でも、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、が好適に用いられる。
また、紫外線吸収剤は、ポリマーまたはオリゴマーであることが好ましい。ガラス積層体を繰り返し屈曲したときの紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができるからである。このような紫外線吸収剤としては、例えばトリアジン骨格、ベンゾフェノン骨格、又はベンゾトリアゾール骨格を有するポリマー又はオリゴマーを挙げることができ、具体的には、ベンゾトリアゾール骨格やベンゾフェノン骨格を有する(メタ)アクリレートと、メチルメタクリレート(MMA)とを任意の比率で熱共重合したものであることが好ましい。
第1樹脂層中の紫外線吸収剤の含有量としては、特に限定されないが、例えば1質量%以上6質量%以下であることが好ましく、2質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。紫外線吸収剤の含有量が少なすぎると、紫外線吸収剤による効果を十分に得られない場合がある。また、紫外線吸収剤の含有量が多すぎると、第1樹脂層が著しく着色したり、第1樹脂層の強度が低下したりするおそれがある。
(c)他の添加剤
第1樹脂層は、必要に応じて、添加剤をさらに含有することができる。添加剤としては、例えば、無機粒子、巻き取りを円滑にするためのシリカフィラー、製膜性や脱泡性を向上させる界面活性剤、密着性向上剤等が挙げられる。
第1樹脂層は、必要に応じて、添加剤をさらに含有することができる。添加剤としては、例えば、無機粒子、巻き取りを円滑にするためのシリカフィラー、製膜性や脱泡性を向上させる界面活性剤、密着性向上剤等が挙げられる。
(4)第1樹脂層の形成方法
第1樹脂層の形成方法としては、例えば、ガラス基材上に樹脂組成物を塗布する方法が挙げられる。塗布方法としては、所望の厚さで塗布可能な方法であれば特に制限はなく、例えばグラビアコート法、グラビアリバースコート法、グラビアオフセットコート法、スピンコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法等の一般的な塗布方法が挙げられる。また、第1樹脂層の形成方法として、ガラス基材の主面に第1樹脂層を転写する転写法や、ガラス基材の主面に接着層を介してフィルム状の第1樹脂層を貼り合わせる方法を用いることもできる。
第1樹脂層の形成方法としては、例えば、ガラス基材上に樹脂組成物を塗布する方法が挙げられる。塗布方法としては、所望の厚さで塗布可能な方法であれば特に制限はなく、例えばグラビアコート法、グラビアリバースコート法、グラビアオフセットコート法、スピンコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法等の一般的な塗布方法が挙げられる。また、第1樹脂層の形成方法として、ガラス基材の主面に第1樹脂層を転写する転写法や、ガラス基材の主面に接着層を介してフィルム状の第1樹脂層を貼り合わせる方法を用いることもできる。
接着層は、透明性を有する。具体的には、接着層の全光線透過率は、85%以上であれば好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。なお、上限値は100%となる。
接着層に用いられる接着剤としては、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)等の粘着剤や、感光性接着剤を挙げることができる。
接着層の厚さは、例えば、1μm以上100μm以下であることが好ましい。接着層の厚さが厚すぎると、耐屈曲性が損なわれるおそれがある。一方、接着層の厚さが薄すぎると、接着性が担保できず剥がれてしまうおそれがある。
以下、第1樹脂層がポリイミドを含有する場合を例に挙げて説明する。
(ポリイミドを含有する第1樹脂層の形成方法)
ポリイミドを含有する第1樹脂層の形成方法としては、例えば、ガラス基材上に、ポリイミドおよび有機溶剤を含むポリイミドワニスを塗布し、乾燥させる方法、および、ガラス基材上に、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)および有機溶剤を含むポリイミド前駆体組成物を塗布した後、熱処理または化学処理によりポリイミド前駆体をイミド化する方法等が挙げられる。前者の方法では、製膜プロセスの加熱条件を緩和することができる。一方、後者の方法では、ポリイミドの溶解性に制約がなくなるため、ポリイミドの化学構造の選択肢を増やすことができる。
ポリイミドを含有する第1樹脂層の形成方法としては、例えば、ガラス基材上に、ポリイミドおよび有機溶剤を含むポリイミドワニスを塗布し、乾燥させる方法、および、ガラス基材上に、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)および有機溶剤を含むポリイミド前駆体組成物を塗布した後、熱処理または化学処理によりポリイミド前駆体をイミド化する方法等が挙げられる。前者の方法では、製膜プロセスの加熱条件を緩和することができる。一方、後者の方法では、ポリイミドの溶解性に制約がなくなるため、ポリイミドの化学構造の選択肢を増やすことができる。
中でも、気泡欠陥が発生し難く、厚さの均一性が良好な第1樹脂層を得やすい点から、好ましい製造方法としては以下の製造方法が挙げられる。
ポリイミドを含有する第1樹脂層の形成方法は、ポリイミドと、有機溶剤とを含有するポリイミドワニスであって、上記ポリイミドの含有割合は、上記ポリイミドワニス中に6質量%以上15質量%以下であり、25℃における粘度が1,000cps以上50,000cps以下であるポリイミドワニスを調製する調製工程と、上記ポリイミドワニスをガラス基材上に塗布する塗布工程と、塗膜を140℃以下の温度で乾燥する第1乾燥工程と、当該乾燥後塗膜を200℃以上の温度で加熱する第2乾燥工程とを有することが好ましい。
ポリイミドが有機溶剤に良好に溶解する場合には、製膜プロセスの加熱条件を緩和できることから、ポリイミドを有機溶剤に溶解させたポリイミドワニスを用いて第1樹脂層を形成することが好ましい。ポリイミドが、主鎖にエステル結合を介して2面角がねじれたパラビフェニレン基を含む特定の構造のテトラカルボン酸残基を含む構成単位を特定量以上有する場合には、有機溶剤に溶解し易い。ポリイミドが25℃で有機溶剤に6質量%以上溶解するような溶剤溶解性を有する場合には、上記第1樹脂層の形成方法を好適に用いることができる。
上記第1樹脂層の形成方法によれば、ワニス中のポリイミド含有割合を十分な濃度に上げることができ、且つワニスを所望の粘度範囲に調整できるので、気泡欠陥が発生し難く、厚さの均一性が良好な第1樹脂層を得ることができる。
上記有機溶剤としては、ポリイミドが溶解可能であれば特に制限はなく、例えば、非プロトン性極性溶剤または水溶性アルコール系溶剤等を用いることができる。中でも、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の窒素原子を含む有機溶剤;γ-ブチロラクトン等を用いることが好ましい。また、上記有機溶媒は、1種類もしくは2種類以上の混合溶媒として用いることができる。
上記ポリイミドを含有する第1樹脂層の形成方法については、例えば特開2019-1989号公報、特開2019-182974号公報に記載の方法を参照することができる。
2.第2樹脂層
本開示における第2樹脂層は、ガラス基材の側面を被覆する層である。
本開示における第2樹脂層は、ガラス基材の側面を被覆する層である。
なお、本明細書において、ガラス基材の「側面」とは、ガラス基材の対向する第1面および第2面以外の全ての面をいう。また、例えば、ガラス基材が面取り加工が施されたものである場合には、ガラス基材の側面は面取り部を有していてもよい。
第2樹脂層は、透明性を有することが好ましい。具体的には、第2樹脂層の全光線透過率およびヘイズは、上記第1樹脂層の全光線透過率およびヘイズと同様とすることができる。
第2樹脂層は、衝撃吸収性を有することが好ましい。具体的には、第2樹脂層の複合弾性率は、上記第1樹脂層の複合弾性率と同様とすることができる。
なお、第2樹脂層の複合弾性率の測定方法は、上記第1樹脂層の複合弾性率と同様とすることができる。
ガラス基材の主面に平行な方向における第2樹脂層の厚さとしては、柔軟性および衝撃吸収性が得られる厚さであれば特に限定されるものではなく、例えば、4μm以上、2000μm以下であることが好ましく、5μm以上、1000μm以下であることがより好ましく、10μm以上、100μm以下であることがさらに好ましい。ガラス基材の主面に平行な方向における第2樹脂層の厚さが上記範囲内であることにより、ガラス積層体を曲げた際に、ガラス基材の割れを抑制することができ、耐屈曲性を向上させることができる。さらには、ガラス基材の端部における耐衝撃性を向上させることができる。
また、上記第2樹脂層の厚みとしては、上記第1樹脂層の厚さをT1とし、上記第2樹脂層の厚さをT2としたときに、0.01≦T1/T2≦5.0を満たすことが好ましく、0.1≦T1/T2≦4.0を満たすことがより好ましく、特に、0.5≦T1/T2≦3.5を満たすことが好ましい。
上記厚さの比率が上記範囲内であることにより、ガラス積層体を曲げた際に、ガラス基材の割れを抑制することができ、耐屈曲性を向上させることができる。さらには、ガラス基材の端部における耐衝撃性を向上させることができる。
上記厚さの比率が上記範囲内であることにより、ガラス積層体を曲げた際に、ガラス基材の割れを抑制することができ、耐屈曲性を向上させることができる。さらには、ガラス基材の端部における耐衝撃性を向上させることができる。
ここで、「第2樹脂層の厚み」とは、ガラス基材の第3面(側面)において最も突出している部分、つまり本開示の積層体を上記第3面に垂直方向に切断した場合の断面において、ガラス基材の側面における先端部分から、ガラス基材自体とは反対側の方向で、かつ上記第1面と平行な方向における厚みをいう。また、ガラス基材の側面における先端部分からの第2樹脂層の厚さが不均一である場合には、ガラス基材の側面における先端部分からの第2樹脂層の厚さのうち、最小の厚さとする。
ガラス基材の第2樹脂層の厚さは、ガラス基材の端部の形状等に応じて適宜決定される。例えば図2(a)に示すように、ガラス基材2の端部の断面形状が台形状である場合、上記第2樹脂層4の厚さT2は、ガラス基材2の側面における先端部分2Eからの第2樹脂層4の厚さのうち、最小の厚さである。
また、例えば図2(b)に示すように、ガラス基材2の端部の断面形状が矩形状である場合、上記第2樹脂層4の厚さT2は、ガラス基材2の側面における先端部分2Eからの第2樹脂層4の厚さのうち、最小の厚さである。また、例えば図2(c)に示すように、ガラス基材2の端部の断面形状が三角形状である場合、上記第2樹脂層4の厚さT2は、ガラス基材2の側面における先端部分2Eからの第2樹脂層4の厚さである。
さらに、例えば図2(d)に示すように、ガラス基材2の端部の断面形状が半楕円形状である場合、上記第2樹脂層4の厚さT2は、ガラス基材2の側面における先端部分2Eからの第2樹脂層4の厚さである。また、例えば図3(a)に示すように、ガラス基材2の端部の断面形状が略矩形状である場合、上記第2樹脂層4の厚さT2は、ガラス基材2の側面における先端部分2Eからの第2樹脂層4の厚さのうち、最小の厚さである。
さらにまた、例えば図3(b)に示すように、ガラス基材2の端部の断面形状が糸面取り形状である場合、上記第2樹脂層4の厚さT2は、ガラス基材2の側面における先端部分2Eからの第2樹脂層4の厚さのうち、最小の厚さである。また、例えば図3(c)に示すように、ガラス基材2の端部の断面形状が四分円形状である場合、上記第2樹脂層4の厚さT2は、ガラス基材2の側面における先端部分2Eからの第2樹脂層4の厚さである。また、例えば図3(d)に示すように、ガラス基材2の端部の断面形状が半円形状である場合、上記第2樹脂層4の厚さT2は、ガラス基材2の側面における先端部分2Eからの第2樹脂層4の厚さである。
また、第2樹脂層によるガラス基材の側面の被覆の程度としては、ガラス基材の側面を第2樹脂層で被覆することによってガラス基材の側面の強度を高めることが可能であれば特に限定されない。例えば、ガラス基材の側面の全面が第2樹脂層で被覆されていてもよく、ガラス基材の側面の一部が第2樹脂層で被覆されていてもよい。より具体的には、ガラス基材の端辺に存在する側面全部が第2樹脂層で被覆されていてもよく、ガラス基材の端辺に存在する側面の一部が第2樹脂層で被覆されていてもよい。また、側面のガラス基材の厚さ方向の全部が第2樹脂層で被覆されていてもよく、側面のガラス基材の厚さ方向の一部が第2樹脂層で被覆されていてもよい。
ガラス基材の厚さ方向における、第2樹脂層によるガラス基材の側面の被覆の程度としては、具体的には、ガラス基材の厚さT3に対する、ガラス基材の厚さ方向における第2樹脂層の厚さT4の比率(T4/T3)が、例えば、0.5以上であることが好ましく、1.0以上であってもよく、1.5以上であってもよい。上記の比率(T4/T3)が上記範囲であることにより、ガラス積層体を曲げた際に、ガラス基材の割れを抑制することができ、耐屈曲性を向上させることができる。さらには、ガラス基材の端部における耐衝撃性を向上させることができる。なお、上記の比率(T4/T3)の上限値は特に限定されず、例えば、3.0以下であってもよい。例えば、図4(a)においては上記の比率(T4/T3)は1よりも大きくなり、図4(b)においては上記の比率(T4/T3)は1よりも小さくなる。
なお、ガラス基材の厚さ方向とは、ガラス基材の主面(第1面)と垂直な方向をいう。また、ガラス基材の厚さ方向における第2樹脂層の厚さとは、ガラス基材の厚さ方向に沿った、ガラス基材の主面(第1面)から主面と対抗する面(第2面)方向の第2樹脂層の厚さをいう。例えば、図2(a)~(d)、図3(a)~(d)、および図4(a)~(c)において、ガラス基材の厚さ方向における第2樹脂層の厚さT4は、ガラス基材2の厚さ方向に沿った、ガラス基材2の主面2Pからの第2樹脂層4の厚さである。
ここで、ガラス基材の形状は、通常、直方体状であり、六面体である。また、例えばガラス基材が面取り加工が施されたものである場合においても、ガラス基材の形状は、通常、直方体状であり、概ね六面体であるとみなすことができる。この場合、ガラス基材は、対向する第1面および第2面と、4つの第3面(側面)とを有する。このような場合、第2樹脂層によるガラス基材の第3面の被覆の程度としては、ガラス基材の4つの第3面のうち、少なくとも1つの第3面が第2樹脂層で被覆されていればよい。すなわち、この場合、ガラス基材の4つの第3面のうち、1つの第3面が第2樹脂層で被覆されていてもよく、2つの第3面が第2樹脂層で被覆されていてもよく、3つの第3面が第2樹脂層で被覆されていてもよく、4つの第3面が第2樹脂層で被覆されていてもよい。
中でも、ガラス基材の4つの第3面のうち、対向する2つの第3面が第2樹脂層で被覆されていることが好ましく、ガラス基材の4つの第3面のうち、ガラス積層体の屈曲方向に対して略平行な2つの側面が第2樹脂層で被覆されていることが好ましい。例えば図5(a)、(b)に示すように、ガラス積層体1を屈曲させる場合、ガラス積層体1の屈曲部1Fにおいてガラス基材に割れが生じやすい。そのため、ガラス基材の4つの第3面のうち、ガラス積層体1の屈曲方向D1に対して略平行な2つの第3面が第2樹脂層で被覆されていれば、ガラス積層体を屈曲させた際に屈曲部に割れが生じるのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。
特に、ガラス基材の4つの第3面のすべてが第2樹脂層で被覆されていることが好ましい。ガラス積層体を曲げた際に、ガラス基材の割れを抑制することができ、耐屈曲性を向上させることができる。さらには、ガラス基材の端部における耐衝撃性を向上させることができる。
よって、上述したように、上記第2樹脂層の厚さT2に対する、上記第1樹脂層の厚さT1の比率(T1/T2)が所定の範囲内である場合において、ガラス基材が直方体状である場合には、ガラス基材の4つの第3面のうち、少なくとも1つの第3面において、上記の比率(T1/T2)が上記範囲内であることが好ましい。中でも、ガラス基材の4つの第3面のうち、対向する2つの第3面において上記の比率(T1/T2)が上記範囲内であることが好ましく、ガラス基材の4つの第3面のすべてにおいて、上記の比率(T1/T2)が上記範囲内であることがより好ましい。
また、上述したように、ガラス基材の厚さT3に対する、ガラス基材の厚さ方向における第2樹脂層の厚さT4の比率(T4/T3)が所定の範囲内である場合において、ガラス基材が直方体状である場合には、ガラス基材の4つの第3面のうち、少なくとも1つの第3面において、上記の比率(T4/T3)が上記範囲内であることが好ましい。中でも、ガラス基材の4つの第3面のうち、対向する2つの第3面において上記の比率(T4/T3)が上記範囲内であることが好ましく、ガラス基材の4つの第3面のすべてにおいて、上記の比率(T4/T3)が上記範囲内であることが好ましい。
また、上記第2樹脂層によるガラス基材の側面の被覆の程度について、具体的には、ガラス基材が直方体状である場合において、ガラス基材を平面視したときの4辺の合計長さを100%としたとき、ガラス基材の4辺において、上記の比率(T1/T2)が上記範囲内となる割合が、例えば、2%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。上述したように、例えば図5(a)、(b)に示すように、ガラス積層体1を屈曲させる場合、ガラス積層体1の屈曲部1Fにおいてガラス基材に割れが生じやすい。そのため、ガラス基材の4つの側面のうち、ガラス積層体1の屈曲方向D1に対して略平行な2つの側面における屈曲部1Fにおいて、上記の比率(T1/T2)が上記範囲内であれば、ガラス積層体を曲げた際に、ガラス基材の割れを抑制することができる。よって、上記の割合が2%であっても、耐屈曲性の向上が期待できる。
さらに、上記第2樹脂層によるガラス基材の側面の被覆の程度について、具体的には、ガラス基材が直方体状である場合において、ガラス基材を平面視したときの4辺の合計長さを100%としたとき、ガラス基材の4辺において、上記の比率(T4/T3)が上記範囲内となる割合が、例えば、2%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。上述した理由から、上記の割合が2%であっても、耐屈曲性の向上が期待できる。
なお、上記第1面と平行方向における第2樹脂層の厚さ、およびガラス基材の厚さ方向における第2樹脂層の厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)により観察されるガラス積層体の厚さ方向の断面から測定することができる。
第2樹脂層は、ガラス基材の側面を被覆していれば特に限定されるものではないが、中でも、ガラス基材の主面(第1面)側に配置された他の層と同一材料を含有し、一体であることが好ましい。第2樹脂層が、ガラス基材の主面側に配置された他の層と同一材料を含有し、一体である場合には、第2樹脂層と他の層との間に界面がないため、ガラス基材の端部における強度を高めることができる。また、第2樹脂層および他の層を同時に形成することができるので、工程数を減らし、製造効率を高めることができる。
本開示において、二つの層が「同一材料を含有する」、もしくは「同一の材料を含有する」とは、上記二つの層を分析機器により分析した際に、分析機器の誤差を考慮したうえで、同一の結果となることを示すものである。
なお、第2樹脂層が他の層と一体であるとは、第2樹脂層および他の層が、同一材料を含有し、一つの層として連続して形成されていることをいう。
第2樹脂層が他の層と同一材料を含有し、一体である場合、他の層としては、ガラス基材の主面側に配置される層であればよく、例えば、第1樹脂層、後述の機能層、後述の第3樹脂層等が挙げられる。例えば図1に示すように、第2樹脂層4は、第1樹脂層3と同一材料を含有し、一体であってもよい。また、例えば図6に示すように、第1樹脂層3のガラス基材2とは反対の面側にハードコート層5等の機能層が配置されている場合、第2樹脂層4は、ハードコート層5等の機能層と同一材料を含有し、一体であってもよい。また、例えば図7に示すように、ガラス基材2の第1樹脂層3とは反対の面側に第3樹脂層6が配置されている場合、第2樹脂層4は、第3樹脂層6と同一材料を含有し、一体であってもよい。
なお、図7に示すように、第1樹脂層と第2樹脂層とが異なる材料で形成され、第1樹脂層と第2樹脂層との間に境界がある場合における上記第1樹脂層は、上記第2樹脂層との境界まで存在するものとなる。
第2樹脂層の材料としては、上記第1樹脂層に用いられる材料と同様とすることができる。また、第2樹脂層の材料として、後述の機能層に用いられる材料を使用することもできる。
第2樹脂層は、第1樹脂層と一体である場合には、第1樹脂層と同一の材料を含有する。また、第2樹脂層は、第3樹脂層と一体である場合には、第3樹脂層と同一の材料を含有する。また、第2樹脂層は、機能層と一体である場合には、機能層と同一の材料を含有する。
第2樹脂層の形成方法としては、第2樹脂層の形態等に応じて適宜選択される。
例えば、第2樹脂層が第1樹脂層と同一材料を含有し、一体である場合、第1樹脂層の形成と同時に第2樹脂層を形成する。第1樹脂層および第2樹脂層の形成方法としては、例えば、ガラス基材の主面および側面に樹脂組成物を塗布する方法が挙げられる。塗布方法としては、上記第1樹脂層の形成方法と同様とすることができる。また、第2樹脂層が第1樹脂層と同一材料を含有し、一体である場合、第1樹脂層および第2樹脂層の形成方法として、ガラス基材の主面および側面に第1樹脂層を転写する転写法や、ガラス基材の主面および側面に接着層を介してフィルム状の樹脂層を貼り合わせる方法を用いることもできる。また、第2樹脂層が後述の第3樹脂層と同一材料を含有し、一体である場合には、上記の第2樹脂層が第1樹脂層と同一材料を含有し、一体である場合と同様とすることができる。また、第2樹脂層が後述の機能層と同一材料を含有し、一体である場合には、機能層の形成と同時に第2樹脂層を形成する。機能層および第2樹脂層の形成方法としては、後述の機能層の形成方法と同様とすることができる。
3.ガラス基材
本開示におけるガラス基材は、厚さが100μm以下であり、上記第1樹脂層を支持する部材である。
本開示におけるガラス基材は、厚さが100μm以下であり、上記第1樹脂層を支持する部材である。
ガラス基材を構成するガラスとしては、特に限定されないが、中でも、化学強化ガラスであることが好ましい。化学強化ガラスは機械的強度に優れており、その分薄くできる点で好ましい。化学強化ガラスは、典型的には、ガラスの表面近傍について、ナトリウムをカリウムに代える等、イオン種を一部交換することで、化学的な方法によって機械的物性を強化したガラスであり、表面に圧縮応力層を有する。特に、表面圧縮応力値(CS)が450MPa以上である化学強化ガラスが好ましい。
なお、通常、化学強化ガラスの表面圧縮応力値(CS)の上限値は、850MPa以下である。
なお、通常、化学強化ガラスの表面圧縮応力値(CS)の上限値は、850MPa以下である。
ここで、化学強化ガラスの表面圧縮応力値(CS)は、例えば、屈折計法により測定することができる。具体的には、ルケオ社製の屈折計型ガラス表面応力計 FSM-6000LEを用いて測定することがきる。
化学強化ガラス基材を構成するガラスとしては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラス、アルカリバリウムガラス、アルミノホウ珪酸ガラス等が挙げられる。
化学強化ガラス基材の市販品としては、例えば、コーニング社のGorilla Glass(ゴリラガラス)や、AGC社のDragontrail(ドラゴントレイル)等が挙げられる。また、化学強化ガラス基材としては、例えば特開2019-194143号公報に記載のものを用いることもできる。
ガラス基材の厚さは、100μm以下であり、好ましくは15μm以上、100μm以下、より好ましくは20μm以上、90μm以下、さらに好ましくは25μm以上、80μm以下とすることができる。ガラス基材の厚さが上記範囲であるように薄いことにより、良好な柔軟性を得ることができるともに、十分な硬度を得ることができる。また、ガラス積層体のカールを抑制することもできる。さらに、ガラス積層体の軽量化の面で好ましい。
ガラス基材の端部の形状としては、特に限定されるものではない。ガラス基材の端部の断面形状としては、例えば、図2(a)に示すような台形状、図2(b)に示すような矩形状、図2(c)に示すような三角形状、図2(d)に示すような半楕円形状、図3(a)に示すような略矩形状、図3(b)に示すような糸面取り形状、図3(c)に示すような四分円形状、図3(d)に示すような半円形状等、任意の形状とすることができる。
中でも、ガラス基材の端部の断面形状は、ガラス基材の端部の角部が面取りされた形状であることが好ましい。角部が面取りされた形状において、面取りの種類としては、例えば、角面、丸面、甲丸面、カマボコ面等が挙げられる。具体的には、図2(a)、(c)、(d)、図3(a)~(d)に示すような形状が挙げられる。ガラス基材の端部の断面形状が、角部が面取りされた形状である場合、ガラス基材の側面に樹脂組成物を塗布しやすく、第2樹脂層を容易に形成することができる。また、この場合、ガラス基材の耐屈曲性を高めることができる。
特に、ガラス基材の端部の断面形状は、ガラス基材の端部の角部が丸みを帯びた形状を有する形状である、つまり角部がR形状を有する形状であることが好ましい。角部がR形状を有する形状としては、例えば、図2(d)、図3(a)、(c)、(d)に示すような形状が挙げられる。ガラス基材の端部の断面形状が、角部がR形状を有する形状である場合、ガラス基材の側面に樹脂組成物をより塗布しやすく、第2樹脂層を容易に形成することができる。また、この場合、ガラス基材の耐屈曲性をさらに高めることができる。
4.機能層
本開示におけるガラス積層体は、上記第1樹脂層の上記ガラス基材とは反対の面側、すなわち第2面側に機能層をさらに有することができる。機能層としては、例えば、ハードコート層、保護層、反射防止層、防眩層等が挙げられる。
本開示におけるガラス積層体は、上記第1樹脂層の上記ガラス基材とは反対の面側、すなわち第2面側に機能層をさらに有することができる。機能層としては、例えば、ハードコート層、保護層、反射防止層、防眩層等が挙げられる。
また、機能層は、単層であってもよく、複数の層を有していてもよい。また、機能層は、単一の機能を有する層であってもよく、互いに異なる機能を有する複数の層を有していてもよい。例えば、本開示におけるガラス積層体は、機能層として、上記第1樹脂層側から順に、ハードコート層および保護層を有していてもよい。
(1)ハードコート層
本開示におけるガラス積層体は、例えば図8に示すように、第1樹脂層3のガラス基材2とは反対の面側にハードコート層5をさらに有することができる。ハードコート層は、表面硬度を高めるための部材である。ハードコート層が配置されていることにより、耐傷性を向上させることができる。
本開示におけるガラス積層体は、例えば図8に示すように、第1樹脂層3のガラス基材2とは反対の面側にハードコート層5をさらに有することができる。ハードコート層は、表面硬度を高めるための部材である。ハードコート層が配置されていることにより、耐傷性を向上させることができる。
(a)ハードコート層の特性
ここで、「ハードコート層」とは、表面硬度を高めるための部材であり、具体的には、本開示におけるガラス積層体がハードコート層を有する構成において、JIS K 5600-5-4(1999)で規定される鉛筆硬度試験を行った場合に、「H」以上の硬度を示すものをいう。
ここで、「ハードコート層」とは、表面硬度を高めるための部材であり、具体的には、本開示におけるガラス積層体がハードコート層を有する構成において、JIS K 5600-5-4(1999)で規定される鉛筆硬度試験を行った場合に、「H」以上の硬度を示すものをいう。
本開示におけるガラス積層体が、上記第1樹脂層のガラス基材とは反対の面側にハードコート層を有する場合、ガラス積層体のハードコート層側の表面の鉛筆硬度は、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましい。
ここで、鉛筆硬度は、JIS K5600-5-4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で測定される。具体的には、JIS-S-6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5600-5-4(1999)に規定する鉛筆硬度試験をガラス積層体のハードコート層側の表面に行い、傷が付かない最も高い鉛筆硬度を評価することにより行うことができる。測定条件としては、角度45°、荷重750g、速度0.5mm/秒以上1mm/秒以下、温度23±2℃とすることができる。鉛筆硬度試験機としては、例えば、東洋精機(株)製 鉛筆引っかき塗膜硬さ試験機を用いることができる。
(b)ハードコート層の構成
ハードコート層は、単層であってもよく、2層以上の多層構造を有していてもよい。ハードコート層が多層構造を有する場合、表面硬度を向上し、かつ、耐屈曲性および弾性率のバランスを良好にするために、ハードコート層は、鉛筆硬度を充足させるための層と、動的屈曲試験を充足させるための層(耐擦傷性を充足させるための層)とを有することが好ましい。
ハードコート層は、単層であってもよく、2層以上の多層構造を有していてもよい。ハードコート層が多層構造を有する場合、表面硬度を向上し、かつ、耐屈曲性および弾性率のバランスを良好にするために、ハードコート層は、鉛筆硬度を充足させるための層と、動的屈曲試験を充足させるための層(耐擦傷性を充足させるための層)とを有することが好ましい。
(c)ハードコート層の材料
ハードコート層の材料としては、例えば、有機材料、無機材料、有機無機複合材料等を用いることができる。
ハードコート層の材料としては、例えば、有機材料、無機材料、有機無機複合材料等を用いることができる。
中でも、ハードコート層の材料は有機材料であることが好ましい。具体的には、ハードコート層は、重合性化合物を含む樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。重合性化合物を含む樹脂組成物の硬化物は、重合性化合物を、必要に応じて重合開始剤を用い、公知の方法で重合反応させることにより得ることができる。
(i)重合性化合物
重合性化合物は、分子内に重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物の少なくとも1種を用いることができる。
重合性化合物は、分子内に重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物の少なくとも1種を用いることができる。
ラジカル重合性化合物とは、ラジカル重合性基を有する化合物である。ラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応を生じ得る官能基であればよく、特に限定されないが、例えば、炭素-炭素不飽和二重結合を含む基などが挙げられ、具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。なお、ラジカル重合性化合物が2個以上のラジカル重合性基を有する場合、これらのラジカル重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
ラジカル重合性化合物が1分子中に有するラジカル重合性基の数は、ハードコート層の硬度が向上する点から、2つ以上であることが好ましく、さらに3つ以上であることが好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、反応性の高さの点から、中でも(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等と称される分子内に数個の(メタ)アクリロイル基を有する分子量が数百から数千の多官能(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマーを好ましく使用でき、またアクリレートポリマーの側鎖に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートポリマーも好ましく使用できる。中でも、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを好ましく使用できる。ハードコート層が、多官能(メタ)アクリレートモノマーの硬化物を含むことにより、ハードコート層の硬度を向上させ、さらに密着性を向上させることができる。また、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートオリゴマー又はポリマーも好ましく使用できる。ハードコート層が、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー又はポリマーの硬化物を含むことにより、ハードコート層の硬度及び耐屈曲性を向上させ、さらに、密着性を向上させることができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及びメタクリロイルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
多官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例については、例えば特開2019-132930号公報に記載のものを挙げることができる。中でも、反応性が高く、ハードコート層の硬度が向上する点、及び密着性の点から、1分子中に3個以上6個以下の(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましく、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート等を好ましく用いることができ、特に、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、並びにこれらをPO、EO、又はカプロラクトン変性したものから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
樹脂組成物は、ラジカル重合性化合物として、硬度や粘度調整、密着性の向上等のために、単官能(メタ)アクリレートモノマーを含んでいてもよい。単官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例については、例えば特開2019-132930号公報に記載のものを挙げることができる。
カチオン重合性化合物とは、カチオン重合性基を有する化合物である。カチオン重合性化合物が有するカチオン重合性基としては、カチオン重合反応を生じ得る官能基であればよく、特に限定されないが、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基などが挙げられる。なお、カチオン重合性化合物が2個以上のカチオン重合性基を有する場合、これらのカチオン重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
カチオン重合性化合物が1分子中に有するカチオン重合性基の数は、ハードコート層の硬度が向上する点から、2つ以上であることが好ましく、さらに3つ以上であることが好ましい。
また、カチオン重合性化合物としては、中でも、カチオン重合性基としてエポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種を有する化合物が好ましく、エポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種を1分子中に2個以上有する化合物がより好ましい。エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基は、重合反応に伴う収縮が小さいという点から好ましい。また、環状エーテル基のうちエポキシ基を有する化合物は多様な構造の化合物が入手し易く、得られたハードコート層の耐久性に悪影響を与えず、ラジカル重合性化合物との相溶性もコントロールし易いという利点がある。また、環状エーテル基のうちオキセタニル基は、エポキシ基と比較して重合度が高い、低毒性であり、得られたハードコート層を、エポキシ基を有する化合物と組み合わせた際に塗膜中でのカチオン重合性化合物から得られるネットワーク形成速度を早め、ラジカル重合性化合物と混在する領域でも未反応のモノマーを膜中に残さずに独立したネットワークを形成する等の利点がある。
エポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又は、シクロヘキセン環、シクロペンテン環含有化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化する事によって得られる脂環族エポキシ樹脂;脂肪族多価アルコール、又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、コポリマーなどの脂肪族エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFや水添ビスフェノールA等のビスフェノール類、又はそれらのアルキレンオキサイド付加体、カプロラクトン付加体等の誘導体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、及びノボラックエポキシ樹脂等でありビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
脂環族エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、および、オキセタニル基を有するカチオン重合性化合物の具体例については、例えば特開2018-104682号公報に記載のものを挙げることができる。
なお、ハードコート層に含まれる重合性化合物を含む樹脂組成物の硬化物は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)、熱分解ガスクロマトグラフ装置(GC-MS)や、重合物の分解物について、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフ質量分析計、NMR、元素分析、XPS/ESCA及びTOF-SIMS等の組み合わせを用いて分析することができる。
(ii)重合開始剤
樹脂組成物は、必要に応じて重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等を適宜選択して用いることができる。これらの重合開始剤は、光照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。なお、ハードコート層中には、重合開始剤が全て分解されて残留していない場合もある。
樹脂組成物は、必要に応じて重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等を適宜選択して用いることができる。これらの重合開始剤は、光照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。なお、ハードコート層中には、重合開始剤が全て分解されて残留していない場合もある。
ラジカル重合開始剤およびカチオン重合開始剤の具体例については、例えば特開2018-104682号公報に記載のものを挙げることができる。
(iii)粒子
ハードコート層は、無機又は有機粒子を含有することが好ましく、無機微粒子を含有することがより好ましい。ハードコート層が粒子を含有することにより、硬度を向上させることができる。
ハードコート層は、無機又は有機粒子を含有することが好ましく、無機微粒子を含有することがより好ましい。ハードコート層が粒子を含有することにより、硬度を向上させることができる。
無機粒子としては、例えば、シリカ(SiO2)、酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物粒子、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物粒子、金属粒子、金属硫化物粒子、金属窒化物粒子等が挙げられる。中でも、金属酸化物粒子が好ましく、シリカ粒子及び酸化アルミニウム粒子から選ばれる少なくとも一種がより好ましく、シリカ粒子がさらに好ましい。優れた硬度が得られるからである。
また、無機粒子は、当該無機粒子表面に当該無機粒子同士又は重合性化合物の少なくとも1種との間で架橋反応し、共有結合が形成可能な光反応性を有する反応性官能基を少なくとも粒子表面の一部に有する反応性無機粒子であることが好ましい。反応性無機粒子同士又は反応性無機粒子とラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種との間で架橋反応することにより、ハードコート層の硬度をさらに向上させることができる。
反応性無機粒子は、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する。反応性官能基としては、例えば、重合性不飽和基が好適に用いられ、より好ましくは光硬化性不飽和基である。反応性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合、及びエポキシ基等が挙げられる。
反応性シリカ粒子としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、特開2008-165040号公報記載の反応性シリカ粒子等が挙げられる。また、反応性シリカ粒子の市販品としては、例えば、日産化学工業社製;MIBK-SD、MIBK-SDMS、MIBK-SDL、MIBK-SDZL、日揮触媒化成社製;V8802、V8803等が挙げられる。
また、シリカ粒子は、球状シリカ粒子であってもよいが、異型シリカ粒子であることが好ましい。球状シリカ粒子と異型シリカ粒子とを混合させてもよい。なお、本明細書において、異型シリカ粒子とは、ジャガイモ状のランダムな凹凸を表面に有する形状のシリカ粒子を意味する。異型シリカ粒子は、その表面積が球状シリカ粒子と比較して大きいため、このような異型シリカ粒子を含有することで、上記樹脂成分等との接触面積が大きくなり、ハードコート層の硬度をより優れたものとすることができる。
なお、異型シリカ粒子か否かは、ハードコート層の電子顕微鏡による断面観察により確認することができる。
無機粒子の平均粒径は、硬度向上の点から、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。無機粒子の平均粒径が小さすぎると、粒子の製造が困難であり、また粒子同士が凝集しやすくなるおそれがある。また、無機粒子の平均粒径は、透明性の点から、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。無機粒子の平均粒径が大きすぎると、ハードコート層に大きな凹凸が形成されるおそれや、ヘイズが高くなるおそれがある。
ここで、無機粒子の平均粒径は、ハードコート層の電子顕微鏡による断面観察により測定することができ、任意に選択した10個の粒子の粒径の平均を平均粒径とする。なお、異型シリカ粒子の平均粒径は、ハードコート層の断面顕微鏡観察にて現れた異型シリカ粒子の外周の2点間距離の最大値(長径)と最小値(短径)との平均値である。
無機粒子の大きさ及び含有量を調整することで、ハードコート層の硬度を制御できる。
例えば、シリカ粒子の含有量は、上記重合性化合物100質量部に対して、25質量部以上60質量部以下であることが好ましい。
例えば、シリカ粒子の含有量は、上記重合性化合物100質量部に対して、25質量部以上60質量部以下であることが好ましい。
(iv)紫外線吸収剤
ハードコート層は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。上記第1樹脂層の紫外線による劣化を抑制することができる。中でも、上記第1樹脂層がポリイミドを含有する場合には、ポリイミドを含有する第1樹脂層の経時的な色変化を抑制することができる。また、ガラス積層体を備える表示装置において、ガラス積層体よりも表示パネル側に配置されている部材、例えば偏光子等の紫外線による劣化を抑制することができる。
ハードコート層は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。上記第1樹脂層の紫外線による劣化を抑制することができる。中でも、上記第1樹脂層がポリイミドを含有する場合には、ポリイミドを含有する第1樹脂層の経時的な色変化を抑制することができる。また、ガラス積層体を備える表示装置において、ガラス積層体よりも表示パネル側に配置されている部材、例えば偏光子等の紫外線による劣化を抑制することができる。
ハードコート層に含まれる紫外線吸収剤は、中でも、吸光度測定における吸収波長のピークが300nm以上390nm以下にあることが好ましく、320nm以上370nm以下にあることがより好ましく、330nm以上370nm以下にあることがさらに好ましい。このような紫外線吸収剤は、UVA領域の紫外線を効率良く吸収することができ、一方でハードコート層を硬化するための開始剤の吸収波長250nmとピーク波長をずらすことによってハードコート層の硬化阻害を生じさせることなく、紫外線吸収能を有するハードコート層を形成することができるからである。
紫外線吸収剤は、中でも、吸収波長のピークが380nm以下であることが、紫外線吸収剤によって着色することを抑制できる点から好ましい。
なお、紫外線吸収剤の吸光度は、例えば紫外可視近赤外分光光度計(例えば、日本分光(株) V-7100)を用いて測定することができる。
紫外線吸収剤としては、上記第1樹脂層に用いられる紫外線吸収剤と同様とすることができる。
中でも、上記第1樹脂層の紫外線による劣化を抑制する観点から、ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤が好ましく、ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤がより好ましい。
ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例については、例えば特開2019-132930号公報に記載のものを挙げることができる。
ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、中でも、2-ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、下記一般式(A)を有するベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。上記第1樹脂層の紫外線による劣化を抑制し、耐久性を向上させることができる。
(一般式(A)において、X1及びX2はそれぞれ独立に、水酸基、-ORa、又は炭素原子数1~15の炭化水素基を表し、Raは炭素原子数1~15の炭化水素基を表す。)
一般式(A)において、X1、X2及びRaにおける炭素原子数1~15の炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、アリル基、ベンジル基等が挙げられる。炭素原子数3以上の脂肪族炭化水素基は各々、直鎖又は分岐状であってよい。炭化水素基は炭素原子数1~12であることが好ましく、1~8であることがより好ましい。透明性が向上しやすい点から、炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、中でもメチル基及びアリル基であることが好ましい。
耐久性が向上しやすい点から、X1及びX2はそれぞれ独立に、水酸基、又は-ORaであることが好ましい。
一般式(A)を有するベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上としては、中でも、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、及び2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアリルオキシベンゾフェノンからなる群から選択される1種以上であることが好ましく、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、及び2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノンからなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例については、例えば特開2019-132930号公報に記載のものを挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、中でも、2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類が好ましく、下記一般式(B)を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。上記第1樹脂層の紫外線による劣化を抑制し、耐久性を向上させることができる。
(一般式(B)において、Y1、Y2、及びY3はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、-ORb、又は炭素原子数1~15の炭化水素基を表し、Rbは炭素原子数1~15の炭化水素基を表し、Y1、Y2、及びY3の少なくとも1つは、水酸基、-ORb、又は炭素原子数1~15の炭化水素基を表す。Y4は、水素原子又はハロゲン原子を表す。)
一般式(B)において、Y1、Y2、及びY3、並びにRbにおける炭素原子数1~15の炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基等が挙げられる。炭素原子数3以上の脂肪族炭化水素基は各々、直鎖又は分岐状であってよい。炭化水素基は炭素原子数1~12であることが好ましく、1~8であることがより好ましい。透明性が向上しやすい点から、炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、中でも、メチル基、t-ブチル基、t-ペンチル基、n-オクチル基、又はt-オクチル基であることが好ましい。
一般式(B)において、Y4におけるハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等が挙げられ、中でも塩素原子が好ましい。
一般式(B)において、中でも、Y1、及びY3が水素原子で、Y2が水酸基、又は-ORbを表すことが好ましく、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、及び2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。上記第1樹脂層の紫外線による劣化を抑制し、耐久性を向上させることができる。
ハードコート層中の紫外線吸収剤の含有量としては、紫外線吸収剤を混合することによるヘイズを抑制する点から、例えば、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましい。また、上記第1樹脂層の紫外線による劣化の抑制および耐久性の向上の観点から、ハードコート層中の紫外線吸収剤の含有量は、1質量%以上6質量%以下であることが好ましく、2質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
(v)防汚剤
ハードコート層は、防汚剤を含有していてもよい。ガラス積層体に防汚性を付与することができる。
ハードコート層は、防汚剤を含有していてもよい。ガラス積層体に防汚性を付与することができる。
防汚剤としては特に限定されず、例えば、シリコーン系防汚剤、フッ素系防汚剤、シリコーン系かつフッ素系防汚剤が挙げられる。また、防汚剤は、アクリル系防汚剤であってもよい。防汚剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
シリコーン系防汚剤やフッ素系防汚剤を含むハードコート層は、指紋が付きにくく(目立ちにくく)、拭き取り性が良好である。また、シリコーン系防汚剤やフッ素系防汚剤が含まれる場合、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗布時の表面張力を下げることができるので、レベリング性が良く、得られるハードコート層の外観が良好なものとなる。
また、シリコーン系防汚剤を含むハードコート層は、滑り性が良く、耐擦傷性が良好である。このようなシリコーン系防汚剤を含むハードコート層を有するガラス積層体を備える表示装置では、指やペン等で接触したときの滑りが良くなるため、触感が良くなる。
防汚剤は、防汚性能の耐久性を高めるために、反応性官能基を有することが好ましい。防汚剤が反応性官能基を有さない場合には、ガラス積層体の形態がロール状であるかシート状であるかにかかわらず、ガラス積層体を重ねたときに、ガラス積層体のハードコート層側の面とは反対側の面に防汚剤が転移してしまい、ガラス積層体のハードコート層側の面とは反対側の面に他の層を貼付または塗布する際に、他の層が剥がれてしまうおそれがあり、さらに、繰り返し屈曲したときに他の層が剥がれやすくなるおそれがある。これに対し、防汚剤が反応性官能基を有する場合には、防汚性能の性能持続性が良好となる。
防汚剤が有する反応性官能基の数は、1以上であればよく、好ましくは2以上である。2以上の反応性官能基を有する防汚剤を用いることにより、ハードコート層に優れた耐擦傷性を付与することができる。
また、防汚剤は、重量平均分子量が5000以下であることが好ましい。防汚剤の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定できる。
防汚剤は、ハードコート層に均一に分散されていてもよいが、少ない添加量で十分な防汚性を得るとともにハードコート層の強度低下を抑制する観点から、ハードコート層の表面側に偏在していることが好ましい。
防汚剤をハードコート層の表面側に偏在させる方法としては、例えば、ハードコート層の形成時において、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を乾燥させ、硬化させる前に、塗膜を加熱して、塗膜に含まれる樹脂成分の粘度を下げることにより流動性を上げて、防汚剤をハードコート層の表面側に偏在させる方法や、表面張力の低い防汚剤を用い、塗膜の乾燥時に熱をかけずに塗膜の表面に防汚剤を浮かせ、その後塗膜を硬化させることで、防汚剤をハードコート層の表面側に偏在させる方法等が挙げられる。
防汚剤の含有量としては、例えば、上記樹脂成分100質量部に対して、0.01質量部以上3.0質量部以下であることが好ましい。防汚剤の含有量が少なすぎると、ハードコート層に十分な防汚性を付与できない場合があり、また、防汚剤の含有量が多すぎると、ハードコート層の硬度が低下するおそれがある。
(vi)他の添加剤
ハードコート層は、必要に応じて、添加剤をさらに含有することができる。添加剤としては、ハードコート層に付与する機能に応じて適宜選択され、特に限定はされないが、例えば、屈折率を調整するための無機又は有機粒子、赤外線吸収剤、防眩剤、防汚剤、帯電防止剤、青色色素や紫色色素等の着色剤、レベリング剤、界面活性剤、易滑剤、各種増感剤、難燃剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定化剤、表面改質剤等が挙げられる。
ハードコート層は、必要に応じて、添加剤をさらに含有することができる。添加剤としては、ハードコート層に付与する機能に応じて適宜選択され、特に限定はされないが、例えば、屈折率を調整するための無機又は有機粒子、赤外線吸収剤、防眩剤、防汚剤、帯電防止剤、青色色素や紫色色素等の着色剤、レベリング剤、界面活性剤、易滑剤、各種増感剤、難燃剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定化剤、表面改質剤等が挙げられる。
(d)ハードコート層の厚さ
ハードコート層の厚さは、ハードコート層の材料や、ハードコート層が有する機能及びガラス積層体の用途により適宜選択されればよい。例えばハードコート層の材料が有機材料である場合、ハードコート層の厚さは、2μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上30μm以下であることがより好ましく、5μm以上20μm以下であることがさらに好ましく、6μm以上10μm以下であることが特に好ましい。また、例えばハードコート層の材料が無機材料である場合、ハードコート層の厚さは、数十nm程度とすることができる。ハードコート層の厚さが上記範囲内であれば、ハードコート層として十分な硬度を得ることができるとともに、耐屈曲性が良好なガラス積層体を得ることができる。
ハードコート層の厚さは、ハードコート層の材料や、ハードコート層が有する機能及びガラス積層体の用途により適宜選択されればよい。例えばハードコート層の材料が有機材料である場合、ハードコート層の厚さは、2μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上30μm以下であることがより好ましく、5μm以上20μm以下であることがさらに好ましく、6μm以上10μm以下であることが特に好ましい。また、例えばハードコート層の材料が無機材料である場合、ハードコート層の厚さは、数十nm程度とすることができる。ハードコート層の厚さが上記範囲内であれば、ハードコート層として十分な硬度を得ることができるとともに、耐屈曲性が良好なガラス積層体を得ることができる。
(e)ハードコート層の形成方法
ハードコート層の形成方法としては、ハードコート層の材料等に応じて適宜され、例えば、上記第1樹脂層上に、上記重合性化合物等を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法や、蒸着法、スパッタリング法等が挙げられる。
ハードコート層の形成方法としては、ハードコート層の材料等に応じて適宜され、例えば、上記第1樹脂層上に、上記重合性化合物等を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法や、蒸着法、スパッタリング法等が挙げられる。
ハードコート層用硬化性樹脂組成物は、重合性化合物を含有し、必要に応じて、重合開始剤、粒子、紫外線吸収剤、溶剤、添加剤等をさらに含有していてもよい。
第1樹脂層上にハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、目的とする厚さで塗布可能な方法であれば特に制限はなく、例えばグラビアコート法、グラビアリバースコート法、グラビアオフセットコート法、スピンコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法等の一般的な塗布方法が挙げられる。また、ハードコート層用樹脂組成物の塗膜の形成方法として転写法を用いることもできる。
ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜は、必要に応じて乾燥することにより溶剤を除去する。乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥又は加熱乾燥、さらにはこれらの乾燥を組み合わせる方法等が挙げられる。例えば、30℃以上120℃以下の温度で10秒間以上180秒間以下加熱することで乾燥させることができる。
ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を硬化させる方法としては、重合性化合物の重合性基に応じて適宜選択され、例えば、光照射及び加熱の少なくともいずれかを用いることができる。
光照射には、主に、紫外線、可視光線、電子線、電離放射線等が使用される。紫外線硬化の場合には、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用することができる。エネルギー線源の照射量は、例えば、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50mJ/cm2以上5000mJ/cm2以下程度とすることができる。
加熱をする場合は、例えば、40℃以上120℃以下の温度にて処理することができる。また、室温(25℃)で24時間以上放置することにより反応を行ってもよい。
また、ハードコート層の形成方法として、基材層の一方の面にハードコート層が配置されたハードコートフィルムを用い、上記第1樹脂層上に接着層を介してハードコートフィルムを貼り合わせる方法を用いることもできる。この場合、例えば図9に示すように、第1樹脂層3のガラス基材2とは反対の面側に、接着層7と、基材層11およびハードコート層5を有するハードコートフィルム15とをこの順に配置することができる。
接着層は、透明性を有する。具体的には、接着層の全光線透過率は、85%以上であれば好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。なお、上限値は100%となる。
接着層に用いられる接着剤としては、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)等の粘着剤や、感光性接着剤を挙げることができる。
接着層の厚さは、例えば、1μm以上100μm以下であることが好ましい。接着層の厚さが厚すぎると、耐屈曲性が損なわれるおそれがある。一方、接着層の厚さが薄すぎると、接着性が担保できず剥がれてしまうおそれがある。
(2)保護層
本開示におけるガラス積層体は、上記第1樹脂層の上記ガラス基材とは反対の面側に保護層をさらに有していてもよい。
本開示におけるガラス積層体は、上記第1樹脂層の上記ガラス基材とは反対の面側に保護層をさらに有していてもよい。
保護層は、透明性を有する。具体的には、保護層の全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。なお、上限値は100%となる。
保護層は、透明性を有するものであれば特に限定されず、例えば樹脂を含むことができる。保護層に用いられる樹脂としては、透明性を有する保護層を得ることができる樹脂であれば特に限定されず、一般的な樹脂を使用することができる。
ガラス基材の主面に保護層を配置する方法としては、例えば、保護層として保護フィルムを用い、接着層を介して第1樹脂層および保護フィルムを貼り合わせる方法や、第1樹脂層上に保護層を形成する方法等が挙げられる。
接着層については、上述のハードコート層の項に記載した接着層と同様とすることができる。
5.その他の構成
本開示におけるガラス積層体は、上記の各層の他に、必要に応じて他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、プライマー層、第3樹脂層、加飾層等が挙げられる。
本開示におけるガラス積層体は、上記の各層の他に、必要に応じて他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、プライマー層、第3樹脂層、加飾層等が挙げられる。
(1)プライマー層
本開示におけるガラス積層体は、例えば図9~図11に示すように、ガラス基材2と第1樹脂層3との間にプライマー層8を有していてもよい。また、本開示におけるガラス積層体が、後述するように、ガラス基材の第1樹脂層とは反対の面側に第3樹脂層を有する場合には、ガラス基材と第3樹脂層との間にプライマー層を有していてもよい。プライマー層により、ガラス基材と第1樹脂層および第3樹脂層との密着性を向上させることができる。
本開示におけるガラス積層体は、例えば図9~図11に示すように、ガラス基材2と第1樹脂層3との間にプライマー層8を有していてもよい。また、本開示におけるガラス積層体が、後述するように、ガラス基材の第1樹脂層とは反対の面側に第3樹脂層を有する場合には、ガラス基材と第3樹脂層との間にプライマー層を有していてもよい。プライマー層により、ガラス基材と第1樹脂層および第3樹脂層との密着性を向上させることができる。
プライマー層の材料としては、ガラス基材と第1樹脂層または第3樹脂層との密着性を高めることができる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば樹脂を挙げることができる。樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリルウレタン共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、プライマー層の形成に用いられるプライマー層用組成物には、例えば、アルコキシシラン化合物等のシランカップリング剤を添加してもよい。
プライマー層の厚さとしては、ガラス基材と第1樹脂層または第3樹脂層との密着性を高めることが可能な厚さであればよく、例えば、0.1μm以上10μm以下とすることができ、好ましくは0.2μm以上5μm以下とすることができる。
プライマー層の形成方法としては、例えば、ガラス基材上にプライマー層用組成物を塗布する方法が挙げられる。塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、グラビアオフセットコート法、スピンコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法等の一般的な塗布方法が挙げられる。また、プライマー層の形成方法として、転写法を用いることもできる。
(2)第3樹脂層
本開示におけるガラス積層体は、例えば図12に示すように、ガラス基材2の第1樹脂層3とは反対の面側、すなわち第2面側に第3樹脂層6を有していてもよい。ガラス積層体に衝撃が加わった際に、第1樹脂層だけでなく第3樹脂層でも衝撃を吸収し、ガラス基材の割れを抑制することができ、耐衝撃性を向上させることができる。
本開示におけるガラス積層体は、例えば図12に示すように、ガラス基材2の第1樹脂層3とは反対の面側、すなわち第2面側に第3樹脂層6を有していてもよい。ガラス積層体に衝撃が加わった際に、第1樹脂層だけでなく第3樹脂層でも衝撃を吸収し、ガラス基材の割れを抑制することができ、耐衝撃性を向上させることができる。
第3樹脂層の特性および材料については、上記第1樹脂層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
第3樹脂層の厚さとしては、衝撃を吸収することが可能な厚さであればよく、例えば、5μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上75μm以下、さらに好ましくは15μm以上50μm以下とすることができる。
第3樹脂層の形成方法としては、上記第1樹脂層の形成方法と同様とすることができる。
(3)加飾層
本開示におけるガラス積層体は、上記ガラス基材と上記第1樹脂層との間、あるいは上記ガラス基材の上記第1樹脂層とは反対の面側に加飾層を有していてもよい。
本開示におけるガラス積層体は、上記ガラス基材と上記第1樹脂層との間、あるいは上記ガラス基材の上記第1樹脂層とは反対の面側に加飾層を有していてもよい。
加飾層は、着色剤およびバインダ樹脂を含む。加飾層に含まれるバインダ樹脂としては、特に限定されず、一般的な加飾層に用いられる樹脂を用いることができる。また、加飾層に含まれる着色剤は、特に限定されず、一般的な加飾層に用いられる公知の着色剤を用いることができる。
加飾層は、通常、ガラス基材上の一部に配置される。また、加飾層は、パターン形状を有していてもよい。
加飾層の厚さは、特に限定されないが、例えば5μm以上40μm以下とすることができる。
6.ガラス積層体の特性
本開示におけるガラス積層体は、全光線透過率が、例えば82%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、88%以上であることがさらに好ましい。なお、上限値は100%となる。このように全光線透過率が高いことにより、透明性が良好なガラス積層体とすることができる。
本開示におけるガラス積層体は、全光線透過率が、例えば82%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、88%以上であることがさらに好ましい。なお、上限値は100%となる。このように全光線透過率が高いことにより、透明性が良好なガラス積層体とすることができる。
ここで、ガラス積層体の全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定することができ、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。
本開示におけるガラス積層体のヘイズは、例えば1.0%以下であることが好ましく、0.8%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。このようにヘイズが低いことにより、透明性が良好なガラス積層体とすることができる。なお、ヘイズの下限値は0%となる。
ここで、ガラス積層体のヘイズは、JIS K-7136に準拠して測定することができ、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。
本開示におけるガラス積層体は、耐屈曲性を有することが好ましい。具体的には、ガラス積層体は、円筒形マンドレル法による屈曲試験において、ガラス積層体に割れが生じたマンドレルの最小の直径が、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがさらに好ましい。上記マンドレルの最小の直径が上記範囲であれば、耐屈曲性をさらに良好にすることができる。なお、円筒形マンドレル法による屈曲試験については、後述の実施例に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
また、本開示におけるガラス積層体においては、ガラス積層体に対して下記に説明する動的屈曲試験を20万回繰り返し行った場合に、ガラス積層体に割れまたは破断が生じないことが好ましい。
動的屈曲試験では、ガラス基材が外側となるようにガラス積層体を折りたたんでもよく、あるいは、ガラス基材が内側となるようにガラス積層体を折りたたんでもよいが、いずれの場合であっても、ガラス積層体に割れまたは破断が生じないことが好ましい。
動的屈曲試験は、以下のようにして行われる。図13(a)に示すように動的屈曲試験においては、まず、20mm×100mmの大きさのガラス積層体1の短辺部1Cと、短辺部1Cと対向する短辺部1Dとを、平行に配置された固定部21でそれぞれ固定する。
また、図13(a)に示すように、固定部21は水平方向にスライド移動可能になっている。次に、図13(b)に示すように、固定部21を互いに近接するように移動させることで、ガラス積層体1の折りたたむように変形させ、更に、図13(c)に示すように、ガラス積層体1の固定部21で固定された対向する2つの短辺部1C、1Dの間隔dが所定の値となる位置まで固定部21を移動させた後、固定部21を逆方向に移動させてガラス積層体1の変形を解消させる。図13(a)~(c)に示すように固定部21を移動させることで、ガラス積層体1を180°折りたたむことができる。また、ガラス積層体1の屈曲部1Eが固定部21の下端からはみ出さないように動的屈曲試験を行い、かつ固定部21が最接近したときの間隔dを制御することで、ガラス積層体1の対向する2つの短辺部1C、1Dの間隔dを所定の値にできる。例えば、対向する2つの短辺部1C、1Dの間隔dが10mmである場合には、屈曲部1Eの外径を10mmとみなす。
ガラス積層体においては、ガラス積層体1の対向する短辺部1C、1Dの間隔dが8mmとなるように180°折りたたむ試験を20万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことが好ましい。
また、本開示におけるガラス積層体においては、ガラス積層体に対して下記に説明する静的屈曲試験を行った場合に、ガラス積層体において、静的屈曲試験後の開き角θが、100°以上であることが好ましく、130°以上であることがより好ましい。
静的屈曲試験は、以下のようにして行われる。まず、図14(a)に示されるように、ガラス積層体1の短辺部1Cと、短辺部1Cと対向する短辺部1Dとを、短辺部1Cと短辺部1Dの間隔dが10mmとなるように平行に配置された固定部22でそれぞれ固定する。そして、ガラス積層体1を折りたたんだ状態で、23℃で240時間静置する静的屈曲試験を行う。その後、図14(b)に示されるように、静的屈曲試験後に短辺部1Dから固定部22を外すことによって、折りたたみ状態を開放して、室温で30分後にガラス積層体1が自然に開く角度である開き角θを測定する。なお、開き角θは、大きいほど復元性が良好であることを意味し、最大で180°である。
静的屈曲試験では、ガラス基材が内側となるようにガラス積層体を折りたたんでもよく、あるいは、ガラス基材が外側となるようにガラス積層体を折りたたんでもよいが、いずれの場合であっても、開き角θが100°以上であることが好ましく、130°以上であることがより好ましい。
7.ガラス積層体の用途
本開示におけるガラス積層体は、表示装置において、表示パネルよりも観察者側に配置される部材として用いることができる。本開示におけるガラス積層体は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン、デジタルサイネージ、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)、車載ディスプレイ等の電子機器に用いられる表示装置に用いることができる。中でも、本開示におけるガラス積層体は、フォルダブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、ベンダブルディスプレイ等のフレキシブルディスプレイに好ましく用いることができ、フォルダブルディスプレイにより好ましく用いることができる。
本開示におけるガラス積層体は、表示装置において、表示パネルよりも観察者側に配置される部材として用いることができる。本開示におけるガラス積層体は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン、デジタルサイネージ、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)、車載ディスプレイ等の電子機器に用いられる表示装置に用いることができる。中でも、本開示におけるガラス積層体は、フォルダブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、ベンダブルディスプレイ等のフレキシブルディスプレイに好ましく用いることができ、フォルダブルディスプレイにより好ましく用いることができる。
本開示におけるガラス積層体は、表示装置の表面に配置する場合、ガラス基材側の面が表示パネル側、第1樹脂層側の面が外側になるように配置される。
本開示におけるガラス積層体を表示装置の表面に配置する方法としては、特に限定されず、例えば、接着層を介する方法等が挙げられる。接着層としては、ガラス積層体の接着に使用される公知の接着層を用いることができる。
B.表示装置
本開示における表示装置は、表示パネルと、上記表示パネルの観察者側に配置された、上述のガラス積層体と、を備える。
本開示における表示装置は、表示パネルと、上記表示パネルの観察者側に配置された、上述のガラス積層体と、を備える。
図15は、本開示における表示装置の一例を示す概略断面図である。図15に示すように、表示装置30は、表示パネル31と、表示パネル31の観察者側に配置されたガラス積層体1と、を備える。表示装置30において、ガラス積層体1は表示装置30の表面に配置される部材として用いられており、ガラス積層体1と表示パネル31との間には接着層32が配置されている。
本開示におけるガラス積層体については、上述のガラス積層体と同様とすることができる。
本開示における表示パネルとしては、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、LED表示装置等の表示装置に用いられる表示パネルを挙げることができる。
本開示における表示装置は、表示パネルとガラス積層体との間にタッチパネル部材を有することができる。
本開示における表示装置は、フレキシブルディスプレイであることが好ましい。中でも、本開示における表示装置は、折りたたみ可能であることが好ましい。すなわち、本開示における表示装置は、フォルダブルディスプレイであることがより好ましい。本開示における表示装置は、上述のガラス積層体を有することから、耐衝撃性および耐屈曲性に優れており、フレキシブルディスプレイ、さらにはフォルダブルディスプレイとして好適である。
C.電子機器
本開示における電子機器は、上述の表示装置を備える。
本開示における電子機器は、上述の表示装置を備える。
本開示における電子機器としては、上述の表示装置を備えるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン、デジタルサイネージ、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)、車載ディスプレイ等を挙げることができる。
D.樹脂層
本開示における樹脂層は、厚さが100μm以下であるガラス基材の主面側に配置され、かつ、上記ガラス基材の側面を被覆するために用いられる樹脂層であって、透明性を有する。
本開示における樹脂層は、厚さが100μm以下であるガラス基材の主面側に配置され、かつ、上記ガラス基材の側面を被覆するために用いられる樹脂層であって、透明性を有する。
本開示における樹脂層は、所定の厚さを有するガラス基材の主面側に配置し、かつ、ガラス基材の側面を被覆して用いた場合には、上述の「A.ガラス積層体」の項に記載したように、良好な耐屈曲性および耐衝撃性を得ることができる。
本開示における樹脂層については、上述のガラス積層体において、第1樹脂層および第2樹脂層が同一材料を含有し、一体である態様、第2樹脂層および第3樹脂層が同一材料を含有し、一体である態様、ならびに、第2樹脂層および機能層が同一材料を含有し、一体である態様と同様とすることができる。中でも、樹脂層は、上述のガラス積層体において、第1樹脂層および第2樹脂層が同一材料を含有し、一体である態様であることが好ましい。
樹脂層を、ガラス基材の主面に配置し、かつガラス基材の側面を被覆するように配置する方法としては、例えば、接着層を介してガラス基材の主面および側面にフィルム状の樹脂層を貼り合わせる方法が挙げられる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を示し、本開示をさらに説明する。
[比較例1]
(ガラス基材)
厚さ70μmの化学強化されたガラス基材を用いた。このガラス基材は、ガラス基材の端面が加工されており、ガラス基材の端部の形状が図2(a)に示すような形状であった。
(ガラス基材)
厚さ70μmの化学強化されたガラス基材を用いた。このガラス基材は、ガラス基材の端面が加工されており、ガラス基材の端部の形状が図2(a)に示すような形状であった。
[比較例2]
(樹脂層の形成)
比較例1と同様のガラス基材を用い、ガラス基材の主面に、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物(バイロンUR-4800 東洋紡社製)を所定の厚さで成膜し、樹脂層を形成した。樹脂層形成時の乾燥条件は、100℃、3分間とした。また、樹脂層の形成に際しては、上記ガラス基材よりも一回り大きいフィルムを、ガラス基材の樹脂層を形成する主面(第1面)とは反対側の第2面に貼合した後、ガラス基材側の面が上側になるように、板厚0.7mmのキャリアガラスに貼り付け、上記樹脂組成物をダイコート法で塗布した。その際、ダイコーターにおいて、ガラス基材の幅よりノズル幅が小さいノズルを使用して、ガラス基材の側面に樹脂組成物が塗布されないようにした。
(樹脂層の形成)
比較例1と同様のガラス基材を用い、ガラス基材の主面に、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物(バイロンUR-4800 東洋紡社製)を所定の厚さで成膜し、樹脂層を形成した。樹脂層形成時の乾燥条件は、100℃、3分間とした。また、樹脂層の形成に際しては、上記ガラス基材よりも一回り大きいフィルムを、ガラス基材の樹脂層を形成する主面(第1面)とは反対側の第2面に貼合した後、ガラス基材側の面が上側になるように、板厚0.7mmのキャリアガラスに貼り付け、上記樹脂組成物をダイコート法で塗布した。その際、ダイコーターにおいて、ガラス基材の幅よりノズル幅が小さいノズルを使用して、ガラス基材の側面に樹脂組成物が塗布されないようにした。
[実施例1]
(樹脂層の形成)
比較例2において、樹脂層の形成の形成に際して、ダイコーターにおいて、ガラス基材の幅よりもノズル幅が大きいノズルを使用して、ガラス基材の主面および側面に樹脂組成物を塗布したこと以外は、比較例2と同様にして、ガラス基材の主面および側面に樹脂層を形成した。
(樹脂層の形成)
比較例2において、樹脂層の形成の形成に際して、ダイコーターにおいて、ガラス基材の幅よりもノズル幅が大きいノズルを使用して、ガラス基材の主面および側面に樹脂組成物を塗布したこと以外は、比較例2と同様にして、ガラス基材の主面および側面に樹脂層を形成した。
[比較例3]
(ガラス基材)
厚さ70μmの化学強化されたガラス基材を用いた。このガラス基材は、ガラス基材の端面が未加工であり、ガラス基材の端部の形状は図2(b)に示すような形状であった。
(ガラス基材)
厚さ70μmの化学強化されたガラス基材を用いた。このガラス基材は、ガラス基材の端面が未加工であり、ガラス基材の端部の形状は図2(b)に示すような形状であった。
[比較例4]
(樹脂層の形成)
比較例3と同様のガラス基材を用い、樹脂層の厚さを変更したこと以外は、比較例2と同様にして、ガラス基材の主面に樹脂層を形成した。
(樹脂層の形成)
比較例3と同様のガラス基材を用い、樹脂層の厚さを変更したこと以外は、比較例2と同様にして、ガラス基材の主面に樹脂層を形成した。
[比較例5]
(プライマー層の形成)
比較例1と同様のガラス基材を用い、上記ガラス基材上に、下記のプライマー層用組成物をコーティングし、80℃で3分間および150℃で60分間乾燥させ、厚さ1μmのプライマー層を形成した。
(プライマー層の形成)
比較例1と同様のガラス基材を用い、上記ガラス基材上に、下記のプライマー層用組成物をコーティングし、80℃で3分間および150℃で60分間乾燥させ、厚さ1μmのプライマー層を形成した。
<プライマー層用組成物>
・ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(jER1256B40 三菱ケミカル製) 28質量部
・ビスフェノールAノボラック型固形エポキシ樹脂(jER157S65B80 三菱ケミカル製) 5質量部
・2-エチル-4-メチルイミダゾール(東京化成工業製) 1質量部
・溶剤(MEK) 11質量部
・ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(jER1256B40 三菱ケミカル製) 28質量部
・ビスフェノールAノボラック型固形エポキシ樹脂(jER157S65B80 三菱ケミカル製) 5質量部
・2-エチル-4-メチルイミダゾール(東京化成工業製) 1質量部
・溶剤(MEK) 11質量部
(樹脂層の形成)
国際公開2014/046180号公報の合成例1を参照して、下記化学式で表されるテトラカルボン酸二無水物を合成した。
国際公開2014/046180号公報の合成例1を参照して、下記化学式で表されるテトラカルボン酸二無水物を合成した。
5Lのセパラブルフラスコに、脱水されたN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)(1833.2g)、及び、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)(138.48g)を溶解させた溶液を入れ、液温30℃に制御されたところへ、上記化学式で表されるテトラカルボン酸二無水物(TMPBPTME)(176.70g)を、温度上昇が2℃以下になるように徐々に投入し、メカニカルスターラーで30分撹拌した。そこへ、ピロメリット酸二無水物(PMDA)(64.20g)を温度上昇が2℃以下になるように数回に分けて徐々に投入し、ポリイミド前駆体が溶解したポリイミド前駆体溶液(固形分18質量%)を合成した。ポリイミド前駆体に用いられたテトラカルボン酸二無水物のTMPBPTMEとPMDAとのモル比(TMPBPTME:PMDA)は90:10であった。ポリイミド前駆体の重量平均分子量は、75,000であった。
窒素雰囲気下で、5Lのセパラブルフラスコに、室温に下げた上記ポリイミド前駆体溶液(2162g)を加えた。そこへ、脱水されたN,N-ジメチルアセトアミド(432g)を加え均一になるまで撹拌した。次に触媒であるピリジン(6.622g)と無水酢酸(213.67g)を加え24時間室温で撹拌し、ポリイミド溶液を合成した。
得られたポリイミド溶液にN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)(2000g)を加え均一になるまで撹拌した。次に、ポリイミド溶液を5Lビーカーに3等分して移し、各ビーカーにイソプロピルアルコール(3500g)を徐々に加え白色スラリーを得た。上記スラリーをブフナー漏斗上に移してろ過し、続いてイソプロピルアルコール(合計9000g)でかけ流して洗浄し、その後ろ過するという工程を3回繰り返し、真空乾燥機を用いて110℃で乾燥し、ポリイミド(ポリイミド粉体)を得た。GPCによって測定したポリイミドの重量平均分子量は100000であった。
ポリイミドの固形分濃度が12質量%となるように、ポリイミドにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)を添加して、ポリイミドがワニス中に12質量%のポリイミドワニス(樹脂組成物)を調製した。ポリイミドワニス(樹脂組成物)(固形分濃度12質量%)の25℃における粘度は15000cpsであった。
上記プライマー層上に上記ポリイミドワニス(樹脂組成物)を所定の厚さとなるように塗布し、80℃で5分間、150℃で10分間、および230℃で30分間乾燥させ、所定の厚さの樹脂層を形成した。樹脂層の形成に際しては、上記ガラス基材よりも一回り大きいフィルムを、ガラス基材の樹脂層を形成する主面(第1面)とは反対側の第2面に貼合した後、ガラス基材側の面が上側になるように、板厚0.7mmのキャリアガラスに貼り付け、上記樹脂組成物をダイコート法で塗布した。その際、ダイコーターにおいて、ガラス基材の幅よりノズル幅が小さいノズルを使用して、ガラス基材の側面に樹脂組成物が塗布されないようにした。
[実施例2]
(樹脂層の形成)
比較例5において、樹脂層の形成の形成に際して、ダイコーターにおいて、ガラス基材の幅よりもノズル幅が大きいノズルを使用して、ガラス基材の主面および側面に樹脂組成物を塗布したこと以外は、比較例5と同様にして、ガラス基材の主面および側面に樹脂層を形成した。
(樹脂層の形成)
比較例5において、樹脂層の形成の形成に際して、ダイコーターにおいて、ガラス基材の幅よりもノズル幅が大きいノズルを使用して、ガラス基材の主面および側面に樹脂組成物を塗布したこと以外は、比較例5と同様にして、ガラス基材の主面および側面に樹脂層を形成した。
[実施例3]
(樹脂層の形成)
実施例2において、樹脂組成物をスピンコート法で塗布したこと、および樹脂層の厚さを変更したこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基材の主面および側面に樹脂層を形成した。
(樹脂層の形成)
実施例2において、樹脂組成物をスピンコート法で塗布したこと、および樹脂層の厚さを変更したこと以外は、実施例2と同様にして、ガラス基材の主面および側面に樹脂層を形成した。
[実施例4]
(樹脂層の形成)
実施例3において、樹脂層の厚さを変更したこと以外は、実施例3と同様にして、ガラス基材の主面および側面に樹脂層を形成した。
(樹脂層の形成)
実施例3において、樹脂層の厚さを変更したこと以外は、実施例3と同様にして、ガラス基材の主面および側面に樹脂層を形成した。
[実施例5]
下記表1に示す表面圧縮応力値(CS)を有する、化学強化されたガラス基材を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、ガラス基材の主面および側面に樹脂層を形成した。
下記表1に示す表面圧縮応力値(CS)を有する、化学強化されたガラス基材を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、ガラス基材の主面および側面に樹脂層を形成した。
[実施例6]
実施例5において、第2樹脂層の厚さを変更したこと以外は、実施例5と同様にして、ガラス基材の主面および側面に樹脂層を形成した。
実施例5において、第2樹脂層の厚さを変更したこと以外は、実施例5と同様にして、ガラス基材の主面および側面に樹脂層を形成した。
[実施例7]
実施例5において、第2樹脂層の厚さを変更したこと以外は、実施例5と同様にして、ガラス基材の主面および側面に樹脂層を形成した。
実施例5において、第2樹脂層の厚さを変更したこと以外は、実施例5と同様にして、ガラス基材の主面および側面に樹脂層を形成した。
[評価]
(1)屈曲試験(マンドレル試験)
実施例1~5および比較例2、4、5のガラス積層体ならびに比較例1、3のガラス基材に対して、屈曲試験を行った。JIS-K5600-5-1に記載されている円筒形マンドレル法を模して、直径が2mmから32mmまでのマンドレルにサンプル片(100mm×50mm)を巻きつけて、ガラス積層体またはガラス基材の耐屈曲性を評価した。
この際、ガラス積層体は、第1樹脂層が内側、ガラス基材が外側になるようにマンドレルに巻き付けた。ガラス積層体またはガラス基材に割れが生じたマンドレルの最小の直径を表1に示す。なお、数値が小さいほど、耐屈曲性が高いことを示している。また、屈曲試験の結果は、下記の基準で評価した。
A:ガラス積層体またはガラス基材に割れが生じたマンドレルの最小の直径が、5mm以下である。
B:ガラス積層体またはガラス基材に割れが生じたマンドレルの最小の直径が、6mm以上10mm以下である。
C:ガラス積層体またはガラス基材に割れが生じたマンドレルの最小の直径が、12mm以上である。
(1)屈曲試験(マンドレル試験)
実施例1~5および比較例2、4、5のガラス積層体ならびに比較例1、3のガラス基材に対して、屈曲試験を行った。JIS-K5600-5-1に記載されている円筒形マンドレル法を模して、直径が2mmから32mmまでのマンドレルにサンプル片(100mm×50mm)を巻きつけて、ガラス積層体またはガラス基材の耐屈曲性を評価した。
この際、ガラス積層体は、第1樹脂層が内側、ガラス基材が外側になるようにマンドレルに巻き付けた。ガラス積層体またはガラス基材に割れが生じたマンドレルの最小の直径を表1に示す。なお、数値が小さいほど、耐屈曲性が高いことを示している。また、屈曲試験の結果は、下記の基準で評価した。
A:ガラス積層体またはガラス基材に割れが生じたマンドレルの最小の直径が、5mm以下である。
B:ガラス積層体またはガラス基材に割れが生じたマンドレルの最小の直径が、6mm以上10mm以下である。
C:ガラス積層体またはガラス基材に割れが生じたマンドレルの最小の直径が、12mm以上である。
(2)衝撃試験(ペンドロップ試験)
実施例1~5および比較例2、4、5のガラス積層体ならびに比較例1、3のガラス基材に対して、衝撃試験を行った。まず、ガラス積層体のガラス基材の面またはガラス基材に、厚さ50μmの光学粘着フィルム(OCA)と、厚さ100μmのPETフィルムとをこの順に貼り合わせて、試験用積層体を作製した。この試験用積層体のPETフィルム側が厚さ30mmの金属プレートに接するように、金属プレート上に試験用積層体を置いた。次に、試験用積層体の中央部および端部に対して、それぞれ、試験高さより、ペンをその先端を下にして試験用積層体上に落下させた。ここで、試験用積層体の端部とは、ガラス基材の端部から5mm以内の領域を示す。また、試験用積層体の中央部とは、上記試験用積層体の端部以外の領域を示す。
ペンには、ゼブラ社製のブレン0.5BAS88-BK(重量12g、ペン先0.5mmφ)を用いた。表1に、ガラス基材に割れが生じなかった最大の試験高さを示す。なお、数値が大きいほど、耐衝撃性が高いことを示している。また、衝撃試験の結果は、下記の基準で評価した。
A:ガラス基材に割れが生じなかった最大の試験高さが、12cm以上である。
B:ガラス基材に割れが生じなかった最大の試験高さが、8cm以上12cm未満である。
C:ガラス基材に割れが生じなかった最大の試験高さが、8cm未満である。
実施例1~5および比較例2、4、5のガラス積層体ならびに比較例1、3のガラス基材に対して、衝撃試験を行った。まず、ガラス積層体のガラス基材の面またはガラス基材に、厚さ50μmの光学粘着フィルム(OCA)と、厚さ100μmのPETフィルムとをこの順に貼り合わせて、試験用積層体を作製した。この試験用積層体のPETフィルム側が厚さ30mmの金属プレートに接するように、金属プレート上に試験用積層体を置いた。次に、試験用積層体の中央部および端部に対して、それぞれ、試験高さより、ペンをその先端を下にして試験用積層体上に落下させた。ここで、試験用積層体の端部とは、ガラス基材の端部から5mm以内の領域を示す。また、試験用積層体の中央部とは、上記試験用積層体の端部以外の領域を示す。
ペンには、ゼブラ社製のブレン0.5BAS88-BK(重量12g、ペン先0.5mmφ)を用いた。表1に、ガラス基材に割れが生じなかった最大の試験高さを示す。なお、数値が大きいほど、耐衝撃性が高いことを示している。また、衝撃試験の結果は、下記の基準で評価した。
A:ガラス基材に割れが生じなかった最大の試験高さが、12cm以上である。
B:ガラス基材に割れが生じなかった最大の試験高さが、8cm以上12cm未満である。
C:ガラス基材に割れが生じなかった最大の試験高さが、8cm未満である。
(3)全光線透過率およびヘイズ
実施例1~5のガラス積層体について、全光線透過率およびヘイズを測定した。全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製 HM150)により測定した。また、ヘイズは、JIS K-7136に準拠して、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製 HM150)により測定した。
実施例1~5のガラス積層体について、全光線透過率およびヘイズを測定した。全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製 HM150)により測定した。また、ヘイズは、JIS K-7136に準拠して、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製 HM150)により測定した。
(4)化学強化ガラスの表面圧縮応力値(CS)
実施例1~5および比較例1~5におけるガラス基材について、ルケオ社製の屈折計型ガラス表面応力計 FSM-6000LEを用いて、表面圧縮応力値を測定した。
実施例1~5および比較例1~5におけるガラス基材について、ルケオ社製の屈折計型ガラス表面応力計 FSM-6000LEを用いて、表面圧縮応力値を測定した。
なお、表1において、ガラス基材の主面に形成された樹脂層を第1樹脂層とし、ガラス基材の側面に形成された樹脂層を第2樹脂層とする。また、第2樹脂層の厚さT2は、ガラス基材の主面に平行な方向における第2樹脂層の厚さであり、第2樹脂層の厚さT4は、ガラス基材の厚さ方向における第2樹脂層の厚さである。また、被覆率は、ガラス基材を平面視したときの4辺の合計長さを100%としたとき、ガラス基材の4辺において、T1/T2の比率が0.01以上5.0以下となる割合である。
比較例1、2から、ガラス基材の主面側に第1樹脂層が配置されているが、ガラス基材の側面が第2樹脂層で被覆されていない場合(比較例2)は、耐衝撃性が良好であるものの、ガラス基材単体の場合(比較例1)よりも耐屈曲性が悪くなることが確認された。同様に、比較例3、4から、ガラス基材の主面側に第1樹脂層が配置されているが、ガラス基材の側面が第2樹脂層で被覆されていない場合(比較例4)は、耐衝撃性が良好であるものの、ガラス基材単体の場合(比較例3)よりも耐屈曲性が悪くなることが確認された。また、同様に、比較例5では、ガラス基材の主面側に第1樹脂層が配置されているが、ガラス基材の側面が第2樹脂層で被覆されていないため、耐衝撃性が良好であるものの、耐屈曲性に劣っていた。
これに対し、実施例1~4では、ガラス基材の主面側に第1樹脂層が配置され、かつ、ガラス基材の側面が第2樹脂層で被覆されているため、良好な耐屈曲性および耐衝撃性が得られた。
1 … ガラス積層体
2 … ガラス基材
2P … ガラス基材の主面
2S … ガラス基材の側面
3 … 第1樹脂層
4 … 第2樹脂層
5 … ハードコート層
6 … 第3樹脂層
8 … プライマー層
30 … 表示装置
31 … 表示パネル
2 … ガラス基材
2P … ガラス基材の主面
2S … ガラス基材の側面
3 … 第1樹脂層
4 … 第2樹脂層
5 … ハードコート層
6 … 第3樹脂層
8 … プライマー層
30 … 表示装置
31 … 表示パネル
Claims (21)
- ガラス基材と、第1樹脂層と、第2樹脂層とを有するガラス積層体であって、
前記ガラス基材は、第1面と、前記第1面とは反対にある第2面と、前記第1面と前記第2面とは異なる第3面と、を有し、
前記ガラス基材の厚さが、100μm以下であり、
前記第1樹脂層が、前記第1面側に存在し、かつ、透明性を有し、
前記第2樹脂層が、前記第3面を覆う、ガラス積層体。 - 前記第1樹脂層および前記第2樹脂層が、同一の材料を含有し、かつ、一体である、請求項1に記載のガラス積層体。
- 前記第1樹脂層の厚さをT1とし、前記第2樹脂層の厚さをT2としたときに、(式1)を満たす、請求項1または請求項2に記載のガラス積層体。
(式1) 0.01≦T1/T2≦5.0 - 前記ガラス基材の厚さに対する、前記ガラス基材の厚さ方向における前記第2樹脂層の厚さの比率が、0.5以上である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のガラス積層体。
- 前記第1樹脂層が、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のガラス積層体。
- 前記第2樹脂層が、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、あるいは、重合性化合物を含む樹脂組成物の硬化物を含有する、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のガラス積層体。
- 前記ガラス基材と前記第1樹脂層との間にプライマー層を有する、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のガラス積層体。
- 前記第1樹脂層の前記ガラス基材とは反対の面側に機能層を有する、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載のガラス積層体。
- 前記第2樹脂層および前記機能層が、同一材料を含有し、一体である、請求項8に記載のガラス積層体。
- 前記機能層がハードコート層であり、前記ハードコート層が重合性化合物を含む樹脂組成物の硬化物を含有する、請求項8または請求項9に記載のガラス積層体。
- 前記ガラス基材の前記第1樹脂層とは反対の面側に第3樹脂層を有する、請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載のガラス積層体。
- 前記第3樹脂層が、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項11に記載のガラス積層体。
- 前記第2樹脂層および前記第3樹脂層が、同一材料を含有し、一体である、請求項11または請求項12に記載のガラス積層体。
- 前記ガラス基材が化学強化ガラスである、請求項1から請求項13までのいずれかの請求項に記載のガラス積層体。
- 前記第1樹脂層の全光線透過率が82%以上であり、ヘイズが1.0%以下である、請求項1から請求項14までのいずれかの請求項に記載のガラス積層体。
- 全光線透過率が82%以上であり、ヘイズが1.0%以下である、請求項1から請求項15までのいずれかの請求項に記載のガラス積層体。
- 表示パネルと、
前記表示パネルの観察者側に配置された、請求項1から請求項16までのいずれかの請求項に記載のガラス積層体と、
を備える表示装置。 - 請求項17に記載の表示装置を備える、電子機器。
- 厚さが100μm以下であるガラス基材の主面側に配置され、かつ、前記ガラス基材の側面を被覆するために用いられる樹脂層であって、
透明性を有する、樹脂層。 - 前記樹脂層が、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、あるいは、重合性化合物を含む樹脂組成物の硬化物を含有する、請求項19に記載の樹脂層。
- 全光線透過率が82%以上であり、ヘイズが1.0%以下である、請求項19または請求項20に記載の樹脂層。
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