JP2020167085A - 光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な折り畳み性を維持しつつ、優れた耐衝撃性を有する光学フィルム、およびこれを備えた画像表示装置を提供する。【解決手段】折り畳み可能な光学フィルム10であって、樹脂基材11と、樹脂基材11の第1の面11A側に平面状に配置された複数の強化部12と、を備え、強化部12の厚みが、それぞれ150μm以上であり、強化部12のマルテンス硬さが、それぞれ30MPa以上である、光学フィルム10が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、光学フィルムおよび画像表示装置に関する。
従来から、スマートフォンやタブレット端末等の画像表示装置が知られているが、現在、折り畳み可能な画像表示装置の開発が行われている。画像表示装置の表面はカバーガラスで構成されることがあるが、画像表示装置にカバーガラスを用いた場合、硬度は優れるものの、曲がり難いので、折り畳もうとすると割れてしまうおそれが高い。このため、折り畳み可能な画像表示装置には、カバーガラスの代わりに、折り畳むことが可能な、樹脂基材およびハードコート層を備える光学フィルムを用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−125063号公報
このような折り畳み可能な画像表示装置に用いられる光学フィルムには、光学フィルムの表面に衝撃が加わることがあるので、耐衝撃性が求められている。ここで、光学フィルムの表面に衝撃が加わったときには、光学フィルムの表面が凹むことがあり、また画像表示装置において光学フィルムよりも内部に存在する表示パネル(例えば、有機発光ダイオードパネル)等の部材が損傷を受けることがある。
光学フィルムの表面の凹みに関しては、光学フィルム自体に起因する凹みと、光学フィルムよりも画像表示装置の内部に配置された粘着層のような柔らかい層に起因する凹みがある。「光学フィルム自体に起因する凹み」とは、光学フィルムの表面に衝撃が加わったとき、その衝撃によって光学フィルム自体が変形することによって生じる凹みを意味し、「柔らかい層に起因する凹み」とは、この層が柔らかいために、光学フィルムの表面に衝撃が加わったとき、光学フィルムよりも画像表示装置の内部に配置された柔らかい層が塑性変形を起こし、光学フィルムがこの柔らかい層の塑性変形に追従することによって生じる凹みを意味する。
このため、光学フィルムにおいては、光学フィルムの表面に衝撃が加わったときに、光学フィルム自体に起因する凹みおよび柔らかい層に起因する凹みが抑制され、かつ光学フィルムよりも画像表示装置の内部に存在する部材が損傷を受けないような優れた耐衝撃性が求められている。
このようなことから優れた耐衝撃性を得るために、樹脂基材の一方の面側にハードコート層よりも硬い層を設けることが考えられるが、優れた耐衝撃性が得られる程度の硬い層を設けると、折り畳み時に割れてしまうおそれがある。したがって、未だ良好な折り畳み性を維持しつつ、優れた耐衝撃性を有する光学フィルムが得られていないのが現状である。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものである。すなわち、良好な折り畳み性を維持しつつ、優れた耐衝撃性を有する光学フィルム、およびこれを備えた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下の発明を含む。
[1]折り畳み可能な光学フィルムであって、樹脂基材と、前記樹脂基材の第1の面側に平面状に配置された複数の強化部と、を備え、前記強化部の厚みがそれぞれ150μm以上であり、前記強化部のマルテンス硬さがそれぞれ30MPa以上である、光学フィルム。
[2]前記樹脂基材の前記第1の面側に設けられた樹脂層をさらに備え、それぞれの前記強化部の少なくとも一部が前記樹脂層で覆われている、上記[1]に記載の光学フィルム。
[3]前記樹脂層と前記強化部との屈折率差の絶対値が、それぞれ0.02以下である、上記[2]に記載の光学フィルム。
[4]前記光学フィルムの対向する辺部の間隔が30mmとなるように前記光学フィルムを180°折り畳む試験を10万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じない、上記[1]ないし[3]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[5]前記樹脂基材が、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、またはこれらの混合物からなる基材である、上記[1]ないし[4]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[6]折り畳み可能な画像表示装置であって、表示パネルと、前記表示パネルよりも観察者側に配置された上記[1]ないし[5]のいずれか一項に記載の光学フィルムと、を備える、画像表示装置。
[7]前記表示パネルが、有機発光ダイオードパネルである、上記[6]に記載の画像表示装置。
本発明によれば、良好な折り畳み性を維持しつつ、優れた耐衝撃性を有する光学フィルム、およびこのような光学フィルムを備える画像表示装置を提供できる。
実施形態に係る光学フィルムの概略構成図である。 図1の光学フィルムをハードコート層側から平面視した図である。 連続折り畳み試験の様子を模式的に示した図である。 折り畳み静置試験の様子を模式的に示した図である。 剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´を測定する際に用いる固体剪断用治具の概略構成図である。 実施形態に係る画像表示装置の概略構成図である。
以下、本発明の実施形態に係る光学フィルムおよび画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「フィルム」、「シート」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「フィルム」はシートとも呼ばれるような部材も含む意味で用いられる。図1は本実施形態に係る光学フィルムの概略構成図であり、図2は図1の光学フィルムをハードコート層側から平面視した図である。図3は連続折り畳み試験の様子を模式的に示した図であり、図4は折り畳み静置試験の様子を模式的に示した図であり、図5は剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´を測定する際に用いる固体剪断用治具の概略構成図である。
<<<光学フィルム>>>
図1に示される光学フィルム10は、折り畳み可能であり、かつ光透過性を有するフィルムである。本明細書における「光透過性」とは、光を透過させる性質を意味し、例えば、全光線透過率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であることを含む。光透過性とは、必ずしも透明である必要はなく、半透明であってもよい。
図1に示されるように、光学フィルム10は、樹脂基材11と、樹脂基材11の第1の面11A側に平面状に配置された複数の強化部12と、樹脂基材11の第1の面11A側に設けられた樹脂層13と、樹脂基材11の第1の面11Aとは反対側の第2の面11B側に設けられたハードコート層14とを備えるものである。光学フィルム10は、樹脂層13およびハードコート層14を備えているが、樹脂層13およびハードコート層14を備えていなくともよい。強化部12は、接着層17を介して樹脂基材11に貼り付けられている。
図1においては、光学フィルム10の表面10Aは、ハードコート層14の表面14Aとなっている。なお、本明細書においては、光学フィルムの表面は光学フィルムの片側の表面を意味するものとして用いるので、光学フィルムの表面とは反対側の面は、光学フィルムの表面と区別するために裏面と称するものとする。光学フィルム10の裏面10Bは、樹脂層13の表面13Aとなっている。
光学フィルム10は、上記したように折り畳み可能となっている。光学フィルム10は、折り畳み可能な領域である屈曲領域10Cと、屈曲領域10Cの両側に存在する非屈曲領域10Dとを備えている。光学フィルム10は、屈曲領域10Cにおいて折り畳むことが可能となっているので、光学フィルム10を折り畳む際には、屈曲領域10Cで折り畳むものとする。屈曲領域10Cは、強化部12間の隙間12Aに対応する領域であり、非屈曲領域10Dは、強化部12に対応する領域である。図1においては、強化部12間には、隙間12Aが存在するので、屈曲領域10Cは隙間12Aとなっているが、強化部間に隙間が存在しない場合、すなわち強化部と強化部が接している場合には、屈曲領域は強化部と強化部の境界領域となる。
光学フィルム10においては、図2に示されるように2枚の強化部12が平面状に配置されているが、強化部は2枚に限らず、3枚以上配置されていてもよい。また、複数行および複数列となるように4枚以上の強化部が平面状に配置されていてもよい。このように4枚以上の強化部を配置することにより、例えば、縦方向および横方向のような2方向に沿って光学フィルムを折り畳むことができる。
光学フィルム10は、折り畳み可能となっているので、光学フィルム10に対し次に説明する折り畳み試験(連続折り畳み試験)を10万回、20万回、50万回、または100万回繰り返し行った場合であっても、光学フィルム10に割れまたは破断が生じないことが好ましい。光学フィルム10に対し連続折り畳み試験を10万回繰り返し行った場合に、光学フィルム10に割れや破断等が生じると、光学フィルム10の折り畳み性が不充分となる。なお、上記連続折り畳み試験の折り畳み回数を少なくとも10万回で評価しているのは、以下の理由からである。例えば、光学フィルムを折り畳み可能なスマートフォンに組み込むことを想定すると、折り畳みを行う頻度(開閉する頻度)が非常に多くなる。このため、上記連続折り畳み試験の折り畳み回数を例えば1万回や5万回とする評価では、実用的なレベルでの評価を行うことができないおそれがある。具体的には、例えば、常にスマートフォンを使用する人を想定すると、朝の通勤時だけでも5回〜10回はスマートフォンを開閉することが想定されるので、1日だけでも少なくとも30回はスマートフォンを開閉することが想定される。したがって、スマートフォンを1日30回開閉することを想定すると、折り畳み回数が1万回の連続折り畳み試験は、30回×365日=10950回となるので、1年間の使用を想定した試験となる。すなわち、折り畳み回数が1万回の連続折り畳み試験の結果が良好であったとしても、1年経過後は、光学フィルムに折り癖やクラックが生じるおそれがある。したがって、連続折り畳み試験における折り畳み回数が1万回の評価とは、製品として使用できないレベルしか確認できないものであり、使用できるが不十分なものも良好となってしまい、評価することができない。このため、実用的なレベルであるか否かを評価するためには、上記連続折り畳み試験の折り畳み回数は少なくとも10万回で評価する必要がある。連続折り畳み試験は、ハードコート層14が外側となるように光学フィルム10を折り畳むように行われてもよく、またハードコート層14が内側となるように光学フィルム10を折り畳むように行われてもよいが、いずれの場合であっても、光学フィルムに割れまたは破断が生じないことが好ましい。
連続折り畳み試験は、以下のようにして行われる。図3(A)に示すように連続折り畳み試験においては、まず、30mm×100mmの大きさに光学フィルム10を切り出す。なお、30mm×100mmの大きさの光学フィルム10を切り出せない場合には、例えば、10mm×100mmの大きさに光学フィルム10を切り出してもよい。そして、切り出した光学フィルム10の辺部10Eと、辺部10Eと対向する辺部10Fとを、平行に配置された折り畳み耐久試験機(例えば、製品名「U字伸縮試験機DLDMLH−FS」、ユアサシステム機器株式会社製、IEC62715−6−1準拠)の固定部21、22でそれぞれ固定する。固定部21、22による固定は、光学フィルム10の長手方向に片側約10mmの光学フィルム10の部分を保持することによって行われる。ただし、光学フィルム10が上記大きさよりも更に小さい場合、光学フィルム10におけるこの固定に要する部分が約20mmまでであれば、固定部21、22にテープで貼り付けることで測定が可能である。また、図3(A)に示すように、固定部21は水平方向にスライド移動可能になっている。なお、上記装置であると、従来のロッドに光学フィルムを巻きつける方法などと異なり、光学フィルムに張力や摩擦を発生させることなく、曲げの負荷に対しての耐久評価することが可能で好ましい。
次に、図3(B)に示すように、固定部21を固定部22に近接するように移動させることで、屈曲領域10Cを折り畳むように光学フィルム10を変形させ、更に、図3(C)に示すように、光学フィルム10の固定部21、22で固定された対向する2つの辺部の間隔φが30mmとなる位置まで固定部21を移動させた後、固定部21を逆方向に移動させて光学フィルム10の変形を解消させる。
図3(A)〜(C)に示すように固定部21を移動させることで、屈曲領域10Cにおいて光学フィルム10を180°折り畳むことができる。また、光学フィルム10の屈曲部10Gが固定部21、22の下端からはみ出さないようにし、かつ以下の条件で連続折り畳み試験を行い、また固定部21、22が最接近したときの間隔φを30mmに制御することで、光学フィルム10の対向する2つの辺部10E、10Fの間隔φを30mmにできる。この場合、屈曲部10Gの外径を30mmとみなす。なお、光学フィルム10の厚みは、固定部21、22の間隔(30mm)と比較して充分に小さな値であるため、光学フィルム10の連続折り畳み試験の結果は、光学フィルム10の厚みの違いによる影響は受けないとみなすことができる。本明細書における「屈曲部」とは、実際に屈曲している部分を意味するものとする。なお、光学フィルム10においては、対向する2つの辺部10E、10Fの間隔を20mm、10mm、6mm、または3mmにして連続折り畳み試験を10万回繰り返し行った場合であっても、光学フィルム10に割れまたは破断が生じないことがさらに好ましい(対向する2つの辺部10E、10Fの間隔は小さいほど好ましい)。
(折り畳み条件)
・往復速度:90rpm(回毎分)
・試験ストローク:70mm
・屈曲角度:180°
光学フィルム10においては、図4(A)に示されるように、光学フィルム10の辺部10Eと、辺部10Eと対向する辺部10Fとを、辺部10Eと辺部10Fの間隔が30mmとなるように平行に配置された固定部25でそれぞれ固定して、光学フィルム10を屈曲領域10Cで折り畳んだ状態で、70℃で240時間静置する折り畳み静置試験を行い、図4(B)に示されるように、折り畳み静置試験後に辺部10Eから固定部25を外すことによって、折り畳み状態を開放して、室温で30分後に光学フィルム10において光学フィルム10が自然に開く角度である開き角θを測定した場合に、光学フィルム10の開き角θが100°以上であることが好ましい。なお、開き角θは、大きいほど復元性が良好であることを意味し、最大で180°である。折り畳み静置試験は、ハードコート層14が内側となるように光学フィルム10を折り畳むように行われてもよく、またハードコート層14が外側となるように光学フィルム10を折り畳むように行われてもよいが、いずれの場合であっても、開き角θが100°以上であることが好ましい。
また、光学フィルムの裏面側に粘着層や接着層を介して偏光板等の他のフィルムが設けられている場合には、上記と同様の方法によって粘着層や接着層とともに他のフィルムを剥離してから、折り畳み静置試験を行うものとする。なお、このような剥離工程があったとしても、折り畳み静置には大きな影響はない。
光学フィルム10の表面10A(ハードコート層14の表面14A)は、JIS K5600−5−4:1999で規定される鉛筆硬度試験で測定されたときの硬度(鉛筆硬度)が、B以上であることが好ましく、H以上であることがより好ましい。鉛筆硬度試験は、ガラス板側が光学フィルム10の裏面10Bとなるように50mm×100mmの大きさに切り出した光学フィルム10をガラス板上に配置し、折れやシワがないようニチバン株式会社製のセロテープ(登録商標)で固定し、光学フィルムの表面に対し鉛筆硬度試験機(製品名「鉛筆引っかき塗膜硬さ試験機(電動式)」、株式会社東洋精機製作所製)を用いて、鉛筆(製品名「ユニ」、三菱鉛筆株式会社製)に750gの荷重を加えながら鉛筆を1mm/秒の移動速度で移動させることにより行うものとする。鉛筆硬度は、鉛筆硬度試験において光学フィルムの表面に傷が付かなかった最も高い硬度とする。なお、鉛筆硬度の測定の際には、硬度が異なる鉛筆を複数本用いて行うが、鉛筆1本につき5回鉛筆硬度試験を行い、5回のうち4回以上光学フィルムの表面に傷が付かなかった場合には、この硬度の鉛筆においては光学フィルムの表面に傷が付かなかったと判断する。上記傷は、鉛筆硬度試験を行った光学フィルムの表面を蛍光灯下で透過観察して視認されるものを指す。
光学フィルム10は、イエローインデックス(YI)が15以下であることが好ましい。光学フィルム10のYIが15以下であれば、光学フィルムの黄色味を抑制でき、透明性が求められる用途に適用できる。光学フィルム10のイエローインデックス(YI)の上限は、10以下、5以下、または1.5以下であることがより好ましい。イエローインデックス(YI)は、温度23±5℃および相対湿度30%以上70%以下の環境下で、分光光度計(製品名「UV−3100PC」、株式会社島津製作所製、光源:タングステンランプおよび重水素ランプ)を用いて50mm×100mmの大きさに切り出した光学フィルムについて測定された値からJIS Z8722:2009に記載された演算式に従って色度三刺激値X、Y、Zを計算し、三刺激値X、Y、ZからASTM D1925:1962に記載された演算式に従って算出された値である。上記イエローインデックス(YI)は、光学フィルム1枚に対して3回測定し、3回測定して得られた値の算術平均値とする。光学フィルム10のイエローインデックス(YI)の上限は、10以下であることがより好ましい。
光学フィルム10のイエローインデックス(YI)を調整するために、例えば、樹脂基材11に、黄色の補色となる青色の色素を含有させてもよい。樹脂基材として、ポリイミド系樹脂からなる基材を用いたことで、黄色味が問題となるような場合であったとしても、樹脂基材に青色の色素を含ませることで、光学フィルムのイエローインデックス(YI)を低下させることができる。
上記青色の色素としては、顔料または染料のいずれであってもよいが、例えば、光学フィルム10を有機発光ダイオード表示装置に用いる場合、耐光性や耐熱性を兼ね備えたものが好ましい。上記青色の色素として、多環系有機顔料や金属錯体有機顔料等は、染料の分子分散に比べて紫外線による分子裂断の度合いが少なく耐光性が格段に優れるため、耐光性等が求められる用途に好ましく、より具体的には、フタロシアニン系の有機顔料等が好適に挙げられる。ただし、顔料は溶剤に対して粒子分散するため、粒子散乱による透明性阻害は存在するため、顔料分散体の粒度をレイリー散乱域に入れることが好ましい。一方、光学フィルムの透明性が重要視される場合には、上記青色の色素としては、溶剤に対して分子分散する染料を用いることが好ましい。
光学フィルム10のヘイズ値(全ヘイズ値)は3.0%以下であることが好ましい。光学フィルム10の上記ヘイズ値が3.0%以下であれば、光学フィルム10をモバイル端末に用いた場合に、画像表示面の白化を抑制できる。上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いてJIS K7136:2000に準拠した方法により測定することができる。上記ヘイズ値は、光学フィルム10に対して3回測定し、測定して得られた値の算術平均値とする。上記ヘイズ値は、2.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
上記ヘイズ値は、温度23±5℃および相対湿度30%以上70%以下の環境下で、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いてJIS K7136:2000に準拠した方法により測定することができる。上記ヘイズ値は、光学フィルムを50mm×100mmの大きさに切り出した後、カールや皺がなく、かつ指紋や埃等がない状態で設置し、光学フィルム1枚に対して3回測定し、3回測定して得られた値の算術平均値とする。本明細書における「3回測定する」とは、同じ場所を3回測定するのではなく、異なる3箇所を測定することを意味するものとする。光学フィルム10においては、目視した表面10Aは平坦であり、かつハードコート層14等の積層する層も平坦であり、また膜厚のばらつきも±10%の範囲内に収まる。したがって、切り出した光学フィルムの異なる3箇所でヘイズ値を測定することで、おおよその光学フィルムの面内全体のヘイズ値の平均値が得られると考えられる。ヘイズ値のばらつきは、測定対象が1m×3000mと長尺であっても、5インチのスマートフォン程度の大きさであっても、±10%以内である。なお、光学フィルムを上記大きさに切り出せない場合には、例えば、HM−150は測定する際の入口開口が20mmφであるので、直径21mm以上となるようなサンプル大きさが必要になる。このため、22mm×22mm以上の大きさに光学フィルムを適宜切り出してもよい。光学フィルムの大きさが小さい場合は、光源スポットが外れない範囲で少しずつずらす、または角度を変えるなどして測定点を3箇所にする。
光学フィルム10の全光線透過率は、85%以上であることが好ましい。光学フィルム10の全光線透過率が85%以上であれば、優れた光透過性を得ることができる。光学フィルム10の全光線透過率は、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
上記全光線透過率は、温度23±5℃および相対湿度30%以上70%以下の環境下で、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いてJIS K7361−1:1997に準拠した方法により測定することができる。具体的には、全光線透過率は、ヘイズ値の測定方法と同様の方法により測定する。
また、光学フィルムの裏面側に粘着層や接着層を介して偏光板等の他のフィルムが設けられている場合には、粘着層や接着層とともに他のフィルムを剥離してから、連続折り畳み試験、イエローインデックス測定、ヘイズ値測定、全光線透過率測定を行うものとする。他のフィルムの剥離は、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、光学フィルムに粘着層や接着層を介して他のフィルムが付いた積層体をドライヤーで加熱し、光学フィルムと他のフィルムの界面と思われる部位にカッターの刃先を入れて、ゆっくりと剥離していく。このような加熱と剥離を繰り返すことで、粘着層や接着層および他のフィルムを剥離することができる。上記と同様の方法によって粘着層や接着層とともに他のフィルムを剥離してから、光学フィルムの全光線透過率を測定する。なお、このような剥離工程があったとしても、これらの試験やこれらの測定には大きな影響はない。ヘイズ値の測定は、粘着層や接着層の剥離後、さらに粘着層または接着層の汚れをアルコールで良く拭き取ってから行うものとする。
光学フィルム10の用途は、特に限定されないが、光学フィルム10の用途としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ(PC)、ウェアラブル端末、デジタルサイネージ、テレビジョン、カーナビゲーション等の画像表示装置が挙げられる。また、光学フィルム10は、車載用途にも適している。上記各画像表示装置の形態としては、フォルダブル、ローラブルといったフレキシブル性を必要とする用途にも好ましい。
光学フィルム10は、所望の大きさにカットされていてもよいが、ロール状であってもよい。光学フィルム10が所望の大きさにカットされている場合、光学フィルムの大きさは、特に制限されず、画像表示装置の表示面の大きさに応じて適宜決定される。具体的には、光学フィルム10の大きさは、例えば、2.8インチ以上500インチ以下となっていてもよい。本明細書における「インチ」とは、光学フィルムが四角形状である場合には対角線の長さを意味し、円形状である場合には直径を意味し、楕円形状である場合には、短径と長径の和の平均値を意味するものとする。ここで、光学フィルムが四角形状である場合、上記インチを求める際の光学フィルムの縦横比は、画像表示装置の表示画面として問題がなければ特に限定されない。例えば、縦:横=1:1、4:3、16:10、16:9、2:1等が挙げられる。ただし、特に、デザイン性に富む車載用途やデジタルサイネージにおいては、このような縦横比に限定されない。また、光学フィルム10の大きさが大きい場合には、任意の位置からA5サイズ(148mm×210mm)に切り出した後、各測定項目の大きさに切り出すものとする。なお、例えば、光学フィルム10がロール状になっている場合においては、光学フィルム10のロールから所定の長さを繰り出すとともに、ロールの長手方向に沿って延びる両端部を含む非有効領域ではなく、品質が安定している中心部付近の有効領域から所望の大きさに切り出すものとする。
画像表示装置における光学フィルム10の配置箇所は、画像表示装置の内部であってもよいが、画像表示装置の表面付近であることが好ましい。画像表示装置の表面付近に用いられる場合、光学フィルム10は、カバーガラスの代わりに用いられるカバーフィルムとして機能する。
<<樹脂基材>>
樹脂基材11は、光透過性を有する樹脂からなる基材である。樹脂基材11の厚みは、10μm以上100μm以下となっていることが好ましい。樹脂基材11の厚みが10μm以上であれば、光学フィルムのカールを抑制でき、また充分な硬度を得ることができ、更に、光学フィルムをRoll to Rollで製造する場合であっても、シワが発生しにくくなり、外観の悪化を招くおそれがない。一方、樹脂基材11の厚みが100μm以下であれば、光学フィルムの折り畳み性能が良好であり、連続折り畳み試験の要件を満足させることができ、また、光学フィルムの軽量化の面で好ましい。樹脂基材11の厚みは、後述する強化部12の厚みと同様の方法によって、樹脂基材11の厚みを20箇所測定し、その20箇所の厚みの算術平均値とする。樹脂基材11の下限は20μm以上、30μm以上、または40μm以上であることがより好ましく、樹脂基材11の上限は80μm以下、70μm以下、または60μm以下であることがより好ましい。
樹脂基材11を構成する樹脂としては、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンナフタレート樹脂)、またはこれらの樹脂を2以上混合した混合物等が挙げられる。
これらの樹脂の中でも、連続折り畳み試験において割れ又は破断が発生しにくいだけでなく、優れた硬度及び透明性をも有し、また、耐熱性にも優れ、焼成することにより、更に優れた硬度及び透明性を付与することもできる観点から、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、またはこれらの混合物が好ましい。
ポリイミド系樹脂は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて得られるものである。ポリイミド系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、優れた光透過性および優れた剛性を有する点から、下記一般式(1)および下記一般式(3)で表される構造からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有することが好ましい。
Figure 2020167085
上記一般式(1)において、Rはテトラカルボン酸残基である4価の基、Rは、trans−シクロヘキサンジアミン残基、trans−1,4−ビスメチレンシクロヘキサンジアミン残基、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、および下記一般式(2)で表される2価の基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基を表す。nは繰り返し単位数を表し、1以上である。本明細書において、「テトラカルボン酸残基」とは、テトラカルボン酸から、4つのカルボキシル基を除いた残基をいい、テトラカルボン酸二無水物から酸二無水物構造を除いた残基と同じ構造を表す。また、「ジアミン残基」とは、ジアミンから2つのアミノ基を除いた残基をいう。
Figure 2020167085
上記一般式(2)において、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはパーフルオロアルキル基を表す。
Figure 2020167085
上記一般式(3)において、Rはシクロヘキサンテトラカルボン酸残基、シクロペンタンテトラカルボン酸残基、ジシクロヘキサン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸残基、および4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸残基からなる群から選ばれる少なくとも1種の4価の基、Rは、ジアミン残基である2価の基を表す。n’は繰り返し単位数を表し、1以上である。
上記一般式(1)における、Rはテトラカルボン酸残基であり、前記例示されたようなテトラカルボン酸二無水物から酸二無水物構造を除いた残基とすることができる。上記一般式(1)におけるRとしては、中でも、光透過性を向上し、かつ剛性を向上する点から、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸残基、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸残基、ピロメリット酸残基、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸残基、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸残基、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸残基、4,4'-オキシジフタル酸残基、シクロヘキサンテトラカルボン酸残基、およびシクロペンタンテトラカルボン酸残基からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、さらに、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸残基、4,4’−オキシジフタル酸残基、および3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸残基からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
において、これらの好適な残基を合計で、50モル%以上含むことが好ましく、更に70モル%以上含むことが好ましく、より更に90モル%以上含むことが好ましい。
また、Rとして、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸残基、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸残基、およびピロメリット酸残基からなる群から選択される少なくとも1種のような剛直性を向上するのに適したテトラカルボン酸残基群(グループA)と、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸残基、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸残基、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸残基、4,4'−オキシジフタル酸残基、シクロヘキサンテトラカルボン酸残基、およびシクロペンタンテトラカルボン酸残基からなる群から選択される少なくとも1種のような透明性を向上するのに適したテトラカルボン酸残基群(グループB)とを混合して用いることも好ましい。
この場合、前記剛直性を向上するのに適したテトラカルボン酸残基群(グループA)と、透明性を向上するのに適したテトラカルボン酸残基群(グループB)との含有比率は、透明性を向上するのに適したテトラカルボン酸残基群(グループB)1モルに対して、前記剛直性を向上するのに適したテトラカルボン酸残基群(グループA)が0.05モル以上9モル以下であることが好ましく、更に0.1モル以上5モル以下であることが好ましく、より更に0.3モル以上4モル以下であることが好ましい。
上記一般式(1)におけるRとしては、中でも、光透過性を向上し、かつ剛性を向上する点から、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、および上記一般式(2)で表される2価の基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基であることが好ましく、更に、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、ならびに、R3およびR4がパーフルオロアルキル基である上記一般式(2)で表される2価の基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基であることが好ましい。
上記一般式(3)におけるRとしては、中でも、光透過性を向上し、かつ剛性を向上する点から、4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸残基、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸残基、及びオキシジフタル酸残基を含むことが好ましい。
において、これらの好適な残基を、50モル%以上含むことが好ましく、更に70モル%以上含むことが好ましく、より更に90モル%以上含むことが好ましい。
上記一般式(3)におけるRはジアミン残基であり、前記例示されたようなジアミンから2つのアミノ基を除いた残基とすることができる。上記一般式(3)におけるR6としては、中でも、光透過性を向上し、かつ剛性を向上する点から、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン残基、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン残基、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン残基、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン残基、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル残基、1,4−ビス[4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゼン残基、2,2−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン残基、4,4’−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル残基、4,4’−ジアミノベンズアニリド残基、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド残基、及び9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン残基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基を含むことが好ましく、更に、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン残基、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン残基、及び4,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基を含むことが好ましい。
において、これらの好適な残基を合計で、50モル%以上含むことが好ましく、更に70モル%以上含むことが好ましく、より更に90モル%以上含むことが好ましい。
また、Rとして、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン残基、4,4’−ジアミノベンズアニリド残基、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド残基、パラフェニレンジアミン残基、メタフェニレンジアミン残基、および4,4’−ジアミノジフェニルメタン残基からなる群から選択される少なくとも1種のような剛直性を向上するのに適したジアミン残基群(グループC)と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン残基、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン残基、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン残基、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル残基、1,4−ビス[4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゼン残基、2,2−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン残基、4,4’−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル残基、及び9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン残基からなる群から選択される少なくとも1種のような透明性を向上するのに適したジアミン残基群(グループD)とを混合して用いることも好ましい。
この場合、前記剛直性を向上するのに適したジアミン残基群(グループC)と、透明性を向上するのに適したジアミン残基群(グループD)との含有比率は、透明性を向上するのに適したジアミン残基群(グループD)1モルに対して、前記剛直性を向上するのに適したジアミン残基群(グループC)が0.05モル以上9モル以下であることが好ましく、更に0.1モル以上5モル以下であることが好ましく、0.3モル以上4モル以下であることがより好ましい。
上記一般式(1)および上記一般式(3)で表される構造において、nおよびn’はそれぞれ独立に、繰り返し単位数を表し、1以上である。ポリイミドにおける繰り返し単位数nは、後述する好ましいガラス転移温度を示すように、構造に応じて適宜選択されれば良く、特に限定されない。平均繰り返し単位数は、通常10〜2000であり、更に15〜1000であることが好ましい。
また、ポリイミド系樹脂は、その一部にポリアミド構造を含んでいても良い。含んでいても良いポリアミド構造としては、例えば、トリメリット酸無水物のようなトリカルボン酸残基を含むポリアミドイミド構造や、テレフタル酸のようなジカルボン酸残基を含むポリアミド構造が挙げられる。
ポリイミド系樹脂は、耐熱性の点から、ガラス転移温度が250℃以上であることが好ましく、更に、270℃以上であることが好ましい。一方、延伸の容易さやベーク温度低減の点から、ガラス転移温度が400℃以下であることが好ましく、更に、380℃以下であることが好ましい。
具体的には、ポリイミド系樹脂としては、例えば、下記式で表される構造を有する化合物が挙げられる。下記式中、nは、繰り返し単位であり、2以上の整数を表す。
Figure 2020167085
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Figure 2020167085
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Figure 2020167085
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Figure 2020167085
Figure 2020167085
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Figure 2020167085
Figure 2020167085
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上記ポリイミド系樹脂のなかでも、優れた透明性を有することから、分子内又は分子間の電荷移動が起こりにくい構造を有するポリイミド系樹脂またはポリアミド系樹脂が好ましく、具体的には、上記式(4)〜(11)等のフッ素化ポリイミド系樹脂、上記式(13)〜(16)等の脂環構造を有するポリイミド系樹脂が挙げられる。
また、上記式(4)〜(11)等のフッ素化ポリイミド系樹脂では、フッ素化された構造を有するため、高い耐熱性を有しており、ポリイミド系樹脂からなるポリイミドフィルムの製造時の熱によって着色されることもないので、優れた透明性を有する。
ポリアミド系樹脂は、脂肪族ポリアミドのみならず、芳香族ポリアミド(アラミド)を含む概念である。ポリアミド系樹脂としては、例えば、下記式(21)〜(23)で表される骨格を有する化合物が挙げられる。なお、下記式中、nは、繰り返し単位であり、2以上の整数を表す。
Figure 2020167085
Figure 2020167085
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上記式(4)〜(20)および(23)で表されるポリイミド系樹脂またはポリアミド系樹脂を含む基材は、市販のものを用いても良い。上記ポリイミド系樹脂の市販品としては、例えば、三菱ガス化学株式会社製のネオプリム(登録商標)等が挙げられ、上記ポリアミド系樹脂を含む基材の市販品としては、例えば、東レ株式会社製のミクトロン(登録商標)等が挙げられる。
また、上記式(4)〜(20)および(23)で表されるポリイミド系樹脂またはポリアミド系樹脂は、公知の方法により合成したものを用いても良い。例えば、上記式(4)で表されるポリイミド系樹脂の合成方法は、特開2009−132091に記載されており、具体的には、下記式(24)で表される4,4’−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物(FPA)と2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFDB)とを反応させることにより得ることができる。
Figure 2020167085
上記ポリイミド系樹脂またはポリアミド系樹脂の重量平均分子量は、3000以上50万以下の範囲であることが好ましく、5000〜30万の範囲であることがより好ましく、1万以上20万以下の範囲であることが更に好ましい。重量平均分子量が3000未満であると、充分な強度が得られないことがあり、50万を超えると粘度が上昇し、溶解性が低下するため、表面が平滑で膜厚が均一な基材が得られないことがある。なお、本明細書において、「重量平均分子量」とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である。
樹脂基材11は、硬度を向上させることが可能な観点から、上記式(4)〜(11)等で表されるフッ素化ポリイミド系樹脂または上記式(23)等のハロゲン基を有するポリアミド系樹脂を含む基材を用いることが好ましい。なかでも、硬度をより向上させることができる観点から、上記式(4)で表されるポリイミド系樹脂を含む基材を用いることがより好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの少なくとも1種を構成成分とする樹脂等が挙げられる。
<<ハードコート層>>
ハードコート層14は、樹脂基材11の第2の面11B側に設けられている。本明細書における「ハードコート層」とは、光透過性を有し、かつマルテンス硬さが、樹脂基材のマルテンス硬さよりも高い層を意味するものとする。樹脂基材11およびハードコート層14のマルテンス硬さは、後述する強化部12のマルテンス硬さと同様の方法によって測定するものとする。
ハードコート層14の膜厚は、1μm以上20μm以下となっていることが好ましい。ハードコート層14の膜厚が、1μm以上であれば、ハードコート層として充分な硬度を得ることができ、また20μm以下であれば、加工性の悪化を抑制できる。本明細書における「ハードコート層の膜厚」とは、ハードコート層が多層構造となっている場合には、各ハードコート層の膜厚を合計した膜厚(総厚)を意味するものとする。ハードコート層14の下限は2μm以上、3μm以上、または5μm以上であることが好ましく、上限は15μm以下、10μm以下、または8μm以下であることがより好ましい。
ハードコート層の膜厚は、走査透過型電子顕微鏡(STEM)、または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、ハードコート層の断面を撮影し、その断面の画像においてハードコート層14の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の算術平均値とする。
具体的な断面写真の撮影方法を以下に記載する。まず、1mm×10mmの大きさに切り出した光学フィルムを包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚さ70nm以上100nm以下の切片を切り出す。切片の作製には、例えば、ライカ マイクロシステムズ株式会社のウルトラミクロトーム EM UC7等を用いることができる。そして、この穴等がない均一な切片を測定サンプルとする。その後、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて、測定サンプルの断面写真を撮影する。走査透過型電子顕微鏡(STEM)としては、株式会社日立ハイテクノロジーズ製のS−4800が挙げられる。上記S−4800を用いて断面写真を撮影する際には、検出器を「TE」、加速電圧を「30kV」、エミッション電流を「10μA」にして断面観察を行う。倍率については、フォーカスを調節しコントラストおよび明るさを各層が見分けられるか観察しながら5000倍〜20万倍で適宜調節する。好ましい倍率は、1万倍〜10万倍、更に好ましい倍率は1万倍〜5万倍であり、最も好ましい倍率は2.5万倍〜5万倍である。なお、上記S−4800を用いて断面写真を撮影する際には、さらに、ビームモニタ絞りを「3」にし、対物レンズ絞りを「3」にし、またW.D.を「8mm」にしてもよい。ハードコート層の膜厚を測定する際には、断面観察した折に、ハードコート層と他の層(例えば、樹脂基材)との界面コントラストが可能な限り明確に観察できることが重要となる。仮に、コントラスト不足でこの界面が見え難い場合には、四酸化オスミウム、四酸化ルテニウム、リンタングステン酸など染色処理を施すと、有機層間の界面が見やすくなるので、染色処理を行ってもよい。また、界面のコントラストは高倍率である方が分かりにくい場合がある。その場合には、低倍率も同時に観察する。例えば、2.5万倍と5万倍や、5万倍と10万倍など、高低の2つの倍率で観察し、両倍率で上記した算術平均値を求め、さらにその平均値をハードコート層の膜厚の値とする。
ハードコート層は単層構造であってもよいが、折り畳み性能を向上させる観点から2層以上の多層構造であることが好ましい。図1には、ハードコート層14が、第1のハードコート層15と、第1のハードコート層15上に積層された第2のハードコート層16とから構成されている例が示されている。なお、ハードコート層が多層構造の場合、各層のマルテンス硬さが、樹脂基材のマルテンス硬さよりも高くなっている。
<第1のハードコート層>
第1のハードコート層15は、主に光学フィルム10に硬度を付与するための層である。第1のハードコート層15は、第1のハードコート層15の断面中央におけるマルテンス硬さが500MPa以上2000MPa以下であることが好ましい。第1のハードコート層15の断面中央におけるマルテンス硬さが500MPa以上であれば、ハードコート層14の硬度が不充分となることがなく、また2000MPa以下であれば、より優れた折り畳み性を得ることができる。第1のハードコート層15の断面中央におけるマルテンス硬さの下限は600MPa以上、700MPa以上、または800MPa以上であることが好ましく、上限は1500MPa以下、1400MPa以下、または1300MPa以下であることが好ましい。
第1のハードコート層15のマルテンス硬さは、第2のハードコート層16のマルテンス硬さよりも大きいことが好ましい。このようなマルテンス硬さの関係を有することで、光学フィルム10は、鉛筆硬度が特に良好となる。これは、光学フィルム10に鉛筆硬度試験を施して鉛筆に荷重をかけて押しこんだときに、光学フィルム10の変形が抑制されて、傷や凹み変形が少なくなるためである。第1のハードコート層15のマルテンス硬さを第2のハードコート層16のマルテンス硬さよりも大きくする方法としては、例えば、後述する無機粒子の含有量を第1のハードコート層15側により多く含有するよう制御する方法等が挙げられる。なお、ハードコート層が単層構造の場合には、ハードコート層に無機粒子が樹脂基材側に偏在するように、すなわち、上記ハードコート層における無機粒子の存在割合が、樹脂基材側でより大きく、光学フィルムの表面側に向かう従って小さくなるよう傾斜していることが好ましい。
第1のハードコート層15は、樹脂を含んでいる。第1のハードコート層15は、樹脂中に分散された無機粒子をさらに含有することが好ましい。
(樹脂)
樹脂は、重合性化合物(硬化性化合物)の重合体(硬化物)を含む。重合性化合物は、分子内に重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。
重合性化合物としては、多官能(メタ)アクリレートが好ましい。上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO、カプロラクトン等で変性したものが挙げられる。
これらの中でも上述したマルテンス硬さを好適に満たし得ることから、3〜6官能のものが好ましく、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート等が好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
なお、硬度や組成物の粘度調整、密着性の改善等のために、更に単官能(メタ)アクリレートモノマーを含んでいてもよい。上記単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、グリシジルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、及び、アダマンチルアクリレート等が挙げられる。
上記モノマーの重量平均分子量は、樹脂層の硬度を向上させる観点から、1000未満が好ましく、200以上800以下がより好ましい。また、上記重合性オリゴマーの重量平均分子量は、1000以上2万以下であることが好ましく、1000以上1万以下であることがより好ましく、2000以上7000以下であることが更に好ましい。
(無機粒子)
無機粒子としては、硬度を向上させることができれば、特に限定されないが、優れた硬度を得る観点から、シリカ粒子が好ましい。シリカ粒子の中でも、反応性シリカ粒子が好ましい。上記反応性シリカ粒子は、上記多官能(メタ)アクリレートとの間で架橋構造を構成することが可能なシリカ粒子であり、この反応性シリカ粒子を含有することで、第1のハードコート層15の硬度を充分に高めることができる。
上記反応性シリカ粒子は、その表面に反応性官能基を有することが好ましく、該反応性官能基とてしては、例えば、上記の重合性官能基が好適に用いられる。
上記反応性シリカ粒子としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、特開2008−165040号公報記載の反応性シリカ粒子等が挙げられる。また、上記反応性シリカ粒子の市販品としては、例えば、日産化学工業株式会社製のMIBK−SD、MIBK−SDMS、MIBK−SDL、MIBK−SDZL、日揮触媒化成株式会社製のV8802、V8803等が挙げられる。
また、上記シリカ粒子は、球形シリカ粒子であってもよいが、異形シリカ粒子であることが好ましい。球形シリカ粒子と異形シリカ粒子とを混合させてもよい。なお、本明細書における「球形シリカ粒子」とは、例えば、真球状、楕円球状等のシリカ粒子を意味し、また、「異形シリカ粒子」とは、ジャガイモ状(断面観察時のアスペクト比が1.2以上40以下)のランダムな凹凸を表面に有する形状のシリカ粒子を意味する。上記異形シリカ粒子は、その表面積が球形シリカ粒子と比較して大きいため、このような異形シリカ粒子を含有することで、上記多官能(メタ)アクリレート等との接触面積が大きくなり、上記ハードコート層の硬度を向上させることができる。ハードコート層に含まれているシリカ粒子が異形シリカ粒子であるか否かは、ハードコート層の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察することによって確認することができる。球形シリカ粒子を用いる場合、球形シリカ粒子の粒子径が小さいほど、ハードコート層の硬度が高くなる。これに対し、異形シリカ粒子は、市販されている最も小さい粒子径の球形シリカ粒子ほど小さくなくとも、この球形シリカと同等の硬度を達成することができる。
上記シリカ粒子の平均粒子径は、5nm以上200nm以下であることが好ましい。シリカ粒子の平均粒子径が5nm未満であると、粒子自身の製造が困難になり、粒子同士が凝集したりすることがあり、また、異形にするのが極めて困難になることがあり、更に、上記塗工前のインキの段階で異形シリカ粒子の分散性が悪く凝集したりすることがある。一方、上記異形シリカ粒子の平均粒子径が200nmを超えると、ハードコート層に大きな凹凸が形成されたり、ヘイズの上昇といった不具合が生じたりすることがある。シリカ粒子が球形シリカ粒子の場合には、シリカ粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した粒子の断面の画像から20個の粒子の粒子径を測定し、20個の粒子の粒子径の算術平均値とする。また、シリカ粒子が異形シリカ粒子である場合には、シリカ粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影したハードコート層の断面の画像から粒子の外周の2点間距離の最大値(長径)と最小値(短径)とを測定し、平均して粒子径を求め、20個の粒子の粒子径の算術平均値とする。走査透過型電子顕微鏡(STEM)(製品名「S−4800(TYPE2)」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、断面写真の撮影を行う際には、検出器(選択信号)を「TE」、加速電圧を「30kV」、エミッションを「10μA」にして観察を行う。
上記無機粒子の大きさ及び配合量を制御することで第1のハードコート層15の硬度(マルテンス硬さ)を制御できる。例えば、第1のハードコート層15を形成する場合、上記シリカ粒子は直径が5nm以上200nm以下であり、上記重合性化合物100質量部に対して、25〜60質量部であることが好ましい。
<第2のハードコート層>
第2のハードコート層16は、上述した連続折り畳み試験を充足させるための層である。第2のハードコート層16は、第2のハードコート層16の断面中央におけるマルテンス硬さが375MPa以上1500MPa以下であることが好ましい。第2のハードコート層16の断面中央におけるマルテンス硬さが375MPa以上であれば、ハードコート層14の耐擦傷性が不充分となることがなく、また1500MPa以下であれば、より優れた折り畳み性を得ることができる。第2のハードコート層16の断面中央におけるマルテンス硬さの下限は450MPa以上、470MPa以上、または490MPa以上であることがより好ましく、上限は575MPa以下、550MPa以下、または530MPa以下であることがより好ましい。
第2のハードコート層16は、樹脂を含んでいる。第2のハードコート層16は、樹脂中に分散された無機粒子をさらに含んでいてもよい。
(樹脂)
樹脂は、重合性化合物(硬化性化合物)の重合体(硬化物)を含む。重合性化合物としては、多官能(メタ)アクリレートが好ましい。上記多官能(メタ)アクリレートとしては、第1のハードコート層15の欄の多官能(メタ)アクリレートと同様のものが挙げられる。また、第2のハードコート層16は、上記多官能(メタ)アクリレートに加えて、多官能ウレタン(メタ)アクリレート及び/又は多官能エポキシ(メタ)アクリレート等が含まれてもよい。
(無機粒子)
無機粒子としては、第1のハードコート層15の欄の無機粒子と同様のものが挙げられる。第2のハードコート層16における無機粒子の含有量としては、特に限定されないが、例えば、第2のハードコート層16に対し0質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
第1のハードコート層15および第2のハードコート層16の少なくともいずれかは、上述したマルテンス硬さを充足する範囲で、上述した材料以外の材料を含んでいてもよく、例えば、樹脂成分の材料として、電離放射線の照射により硬化物を形成する重合性モノマーや重合性オリゴマー等を含んでいてもよい。上記重合性モノマー又は重合性オリゴマーとしては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー、又は、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。上記分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー、又は、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等のモノマー又はオリゴマーが挙げられる。これら重合性モノマー又は重合性オリゴマーは、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、多官能(6官能以上)で重量平均分子量が1000〜1万のウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
ハードコート層14(第1のハードコート層15および第2のハードコート層16の少なくともいずれか)は、紫外線吸収剤、分光透過率調整剤、および/または防汚剤をさらに含んでいてもよい。
<<強化部>>
複数の強化部12は、樹脂基材11の第1の面11A側に平面状に配置されている。強化部12は、上記したように樹脂基材11の第1の面11Aに接着層17を介して貼り付けられている。
強化部12の厚みは、それぞれ150μm以上となっている。強化部12の厚みの下限は、それぞれ200μm以上、300μm以上、または400μm以上であることがより好ましく、上限は薄く、かつ軽い光学フィルムを設計する観点から、それぞれ1000μm以下、700μm以下、または500μm以下であることが好ましい。
強化部12の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、強化部の断面を撮影し、その断面の画像において強化部の厚みを20箇所測定し、その20箇所の厚みの算術平均値とする。具体的な断面写真の撮影方法は以下の通りとする。まず、1mm×10mmに切り出した光学フィルムを包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚さ70nm以上100nm以下の切片を切り出す。ここで、厚さ70nm以上100nm以下の切片を切り出すこととしたのは、測定時には切片が切り出された残りのブロックを用いるが、この薄さの切片を切り出すことにより残りのブロックの断面の平坦性が良好になるためである。なお、残りのブロックの平坦性が悪いと測定精度が悪化するおそれがある。切片の作製には、例えば、ライカ マイクロシステムズ株式会社のウルトラミクロトーム EM UC7等を用いる。そして、この穴等がない均一な切片が切り出された残りのブロックを測定サンプルとする。その後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、測定サンプルの断面写真を撮影する。走査型電子顕微鏡(SEM)としては、株式会社日立ハイテクノロジーズ製のS−4800が挙げられる。上記S−4800を用いて断面写真を撮影する際には、検出器を「SE」、加速電圧を「5kV」、エミッション電流を「10μA」にして断面観察を行う。倍率については、フォーカスを調節しコントラストおよび明るさを各層が見分けられるか観察しながら100〜10万倍で適宜調節する。さらに、ビームモニタ絞りを「3」にし、対物レンズ絞りを「3」にし、またW.D.を「8mm」にする。樹脂基材および樹脂層の厚みも強化部の厚みと同様の手法によって測定する。
強化部12のマルテンス硬さは、それぞれ30MPa以上となっている。本明細書において、「マルテンス硬さ」とは、ナノインデンテーション法による硬度測定により、圧子を500nm押込んだときの硬度である。強化部12のマルテンス硬さの下限は、それぞれ50MPa以上、100MPa以上、または200MPa以上となっていることが好ましい。強化部12のマルテンス硬さの上限は、落下時の破損等を抑制する観点から、それぞれ5000MPa以下、4000MPa以下、3000MPa以下、または1000MPa以下となっていることが好ましい。
上記マルテンス硬さの測定は、ナノインデンター(例えば、Bruker社製のTI950 TriboIndenter)を用いて、以下のようにして求めることができる。具体的には、まず、1mm×10mmに切り出した光学フィルムを包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚さ70nm以上100nm以下の切片を切り出す。ここで、厚さ70nm以上100nm以下の切片を切り出すこととしたのは、測定時には切片が切り出された残りのブロックを用いるが、この薄さの切片を切り出すことにより残りのブロックの断面の平坦性が良好になるためである。なお、残りのブロックの平坦性が悪いと測定精度が悪化するおそれがある。切片の作製には、例えば、ライカ マイクロシステムズ株式会社のウルトラミクロトーム EM UC7等を用いることができる。そして、この穴等がない均一な切片が切り出された残りのブロックを測定サンプルとする。次いで、このような測定サンプルにおける上記切片が切り出されることによって得られた断面において、以下の測定条件で、上記圧子としてバーコビッチ(Berkovich)圧子(三角錐、Bruker社製のTI−0039)を強化部の断面中央に500nm押し込む。ここで、バーコビッチ圧子は、強化部の側縁の影響を避けるために、強化部の両側端からそれぞれ強化部の中央側に500nm以上離れた部分に押し込むものとする。その後、一定時間保持して残留応力の緩和を行った後、除荷させて、緩和後の最大荷重を計測し、該最大荷重Pmax(μN)と深さ500nmのくぼみ面積A(nm)とを用い、Pmax/Aにより、マルテンス硬さを算出する。マルテンス硬さは、10箇所測定して得られた値の算術平均値とする。なお、測定値の中に算術平均値から±20%以上外れるものが含まれている場合は、その測定値を除外し再測定を行うものとする。測定値の中に算術平均値から±20%以上外れているものが存在するか否かは、測定値をAとし、算術平均値をBとしたとき、(A−B)/B×100によって求められる値(%)が±20%以上であるかによって判断するものとする。
(測定条件)
・荷重速度:10nm/秒
・保持時間:5秒
・荷重除荷速度:10nm/秒
・測定温度:23〜28℃
・相対湿度:30%〜70%
強化部12は、薄型化の観点から、板状であることが好ましく、また強化部12の平面形状としては、特に限定されないが、例えば、多角形状、円形状、または楕円形状等が挙げられる。本明細書における「多角形状」とは、三角形状、あるいは長方形状や正方形状等の矩形状等を含む概念である。図2に示される強化部12は、長方形状となっている。
強化部12間には、光学フィルム10の折り畳みやすさの観点から、隙間12Aが存在していることが好ましい。上記したように光学フィルム10においては、この隙間12Aに対応する領域が屈曲領域10Cとなる。隙間12Aの幅は、300nm以上10mm以下が好ましい。隙間12Aの幅が300nm以上であれば、強化部12が光学フィルム10の折り畳み際に阻害せず、スムーズに折り畳むことができ、また隙間12Aの幅が10mm以下であれば、強化部12が存在する領域が多くなるので、耐衝撃性をより向上させることができる。
強化部12を構成する材料としては、ガラス、アクリル系樹脂、無機(シリカ)有機ハイブリット樹脂等が挙げられる。これらの中でも、屈折率や厚みの調整の容易さおよび加工の容易さの観点からアクリル系樹脂が好ましい。
<<樹脂層>>
樹脂層13は、樹脂を含む層である。樹脂層13は、樹脂基材11の第1の面11A側に設けられ、強化部12の少なくとも一部は樹脂層13で覆われている。図1においては、強化部12における樹脂基材11側の面以外の面が樹脂層13によって覆われている。すなわち、強化部12間の隙間12Aにも樹脂層13の一部が入り込んでおり、強化部12の側面は樹脂層13で覆われている。樹脂層は、2以上の樹脂層からなる多層構造となっていてもよい。
樹脂層13は、強化部12の形状が視認されるのを抑制する機能を有することが好ましい。具体的には、強化部12と樹脂層13の屈折率差の絶対値は、それぞれ0.02以下であることが好ましい。光学フィルム10中に複数の強化部12を配置すると、強化部12の形状が視認されるおそれがあるが、強化部12と樹脂層13の屈折率差が0.02以下であれば、強化部12の形状が視認されにくくなる。強化部12の屈折率は、強化部12の欠片を切り出し等により10個取り出し、取り出した10個の欠片において、ベッケ法により強化部12の屈折率をそれぞれ測定し、測定した強化部12の屈折率の10個の平均値として求めることができる。ベッケ法とは、屈折率が既知の屈折率標準液を用い、上記欠片をスライドガラスなどに置き、そのサンプル上に屈折率標準液を滴下し、屈折率標準液で欠片を浸漬し、その様子を顕微鏡観察によって観察し、強化部の表面と屈折率標準液の屈折率が異なることによって強化部の表面に生じる輝線(ベッケ線)が目視で観察できなくなる屈折率標準液の屈折率を、強化部の屈折率とする方法である。また、樹脂層13の屈折率も、強化部12の屈折率と同様の方法によって求めるものとする。強化部12と樹脂層13の屈折率差は0.01以下であることがより好ましく、0であることが最も好ましい。
強化部12が存在している領域においては、優れた耐衝撃性を得ることができるが、強化部12が存在していない強化部12間の隙間12Aにおいては、耐衝撃性に劣るおそれがある。このため、強化部12間の隙間12Aの耐衝撃性を向上させるために、樹脂層13は、耐衝撃性を有する層であることが好ましい。樹脂層13が耐衝撃性を有する場合、樹脂層13における25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G´が、1MPa以上1500MPa以下となっていることが好ましい。樹脂層13の剪断貯蔵弾性率G´が1MP以上であれば、光学フィルム10の表面10Aに衝撃が加わった際に、光学フィルム自体の変形のみならず、光学フィルムよりも画像表示装置の内部に粘着層が配置されている場合であっても粘着層の塑性変形をより抑制することができる。また、樹脂層13の剪断貯蔵弾性率G´が1500MPa以下であれば、折り畳みの際の光学フィルムの割れをより抑制できる。樹脂層13の剪断貯蔵弾性率G´の下限は、100MPa以上、200MPa以上、または300MPa以上となっていることがより好ましく、樹脂層13の剪断貯蔵弾性率G´の上限は、1200MPa以下、1000MPa以下、または800MPa以下となっていることがより好ましい。このような上限とすることで、折り畳んで静置し、再び開いた際に、良好な復元性を得ることができる。
樹脂層13においては、25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断損失弾性率G´´が、0.1MPa以上200MPa以下となっていることが好ましい。樹脂層13の剪断損失弾性率G´´が0.1MPa以上であれば、衝撃吸収性能をより得ることができる。また、樹脂層13の剪断損失弾性率G´´が200MPa以下であれば、樹脂層13の硬度が低下するおそれもない。樹脂層13の剪断損失弾性率G´´の下限は、1MPa以上、10MPa以上、または30MPa以上となっていることが好ましく、また樹脂層13の剪断損失弾性率G´´の上限は、樹脂層13の薄型化の観点から、150MPa以下、130MPa以下、または100MPa以下となっていることがより好ましい。
樹脂層13の剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´は、動的粘弾性測定装置(DMA)によって測定することができる。動的粘弾性測定装置(DMA)によって、樹脂層13の剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´を測定する際には、まず、10mm×5mmの大きさに切り出した長方形状の光学フィルム10を2枚準備し、動的粘弾性測定装置(製品名「Rheogel-E4000」、株式会社ユービーエム製)のオプションである固体剪断用治具に取り付ける。具体的には、図5に示されるように固体剪断用治具30は、厚さ1mmの1枚の金属製の固体剪断板31と、この固体剪断板31の両側に配置された2つのL型金具32を備えており、固体剪断板31と一方のL型金具32との間で一方の光学フィルム10を挟み、かつ固体剪断板31と他方のL型金具32で他方の光学フィルム10を挟む。この場合、樹脂層13が固体剪断板31側となり、ハードコート層14がL型金具32側となるように光学フィルム10を挟む。そして、ビス33でL型金具32間を締めて、光学フィルム10を固定する。次いで、動的粘弾性測定装置(製品名「Rheogel-E4000」、株式会社ユービーエム製)に、上部チャックおよび下部チャックからなる引張り試験用チャックを取り付けた後、上部チャックと下部チャックの間に固体剪断用治具をチャック間距離20mmで取り付ける。チャック間距離は、上部チャックと下部チャックの間の距離である。そして設定温度を25℃とし2℃/minで昇温させる。この状態で、固体剪断板を固定しながら2つのL型金具に歪み量1%かつ周波数500Hz以上1000Hz以下の範囲の縦振動を与えながら、25℃での固体の動的粘弾性測定を行い、樹脂層13の剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´を測定する。ここで、光学フィルム10は、樹脂層13以外にも樹脂基材11、強化部12やハードコート層14を含むものであるが、樹脂基材11、強化部12やハードコート層14は樹脂層13よりも硬いので、樹脂基材11、強化部12やハードコート層14の影響は無視することができる。このため、光学フィルム10が、樹脂層13以外に、樹脂基材11、強化部12やハードコート層14を含んでいたとしても、光学フィルム10から測定された剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´は、樹脂層13の剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´とみなすことができる。樹脂層13における500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´は、L型金具32に周波数500Hz、750Hz、950Hzの縦振動をそれぞれ与えて、それぞれの周波数において樹脂層13の剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´を測定し、これらの剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´の算術平均値を求め、さらに、この測定を3回繰り返し、それぞれ得られた3つの算術平均値をさらに算術平均した値とする。なお、上記において、500Hz以上1000Hz以下の周波数域としたのは、この周波数域の周波数が、数cmの高さから物体を自由落下させたときに、光学フィルムの表面が数ミクロンから数十ミクロン変形する周波数であり、かつ光学フィルムより画像表示装置の内部に存在する表示パネル等に損傷を与える周波数であるからである。
樹脂層13の膜厚は、50μm以上600μm以下となっていることが好ましい。樹脂層13の膜厚が、50μm以上であれば、樹脂層13の硬度が低下することもなく、また600μm以下であれば、膜厚が厚すぎないので、薄型化に適するとともに、加工性が悪化するおそれもない。本明細書における「樹脂層の膜厚」は、非屈曲領域における樹脂層の膜厚を意味するものとする。樹脂層の膜厚は、強化部の厚みと同様の方法によって、非屈曲領域における樹脂層の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の算術平均値とする。樹脂層13の下限は50μm以上、100μm以上、200μm以上であることがより好ましく、樹脂層13の上限は550μm以下、450μm以下、300μm以下であることがより好ましい。
樹脂層13を構成する樹脂としては、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系ゲル、ウレタン系ゲル、シリコーン系ゲル等が挙げられる。これらの中でも、ウレタン系樹脂やアクリル系ゲルが好ましい。「ゲル」とは、一般に、高粘度で流動性を失った分散系をいう。なお、樹脂層13は、アクリル系ゲルやウレタン系樹脂等の他、ゴムや熱可塑性エラストマーを含有していてもよい。
(ウレタン系樹脂)
ウレタン系樹脂は、ウレタン結合を有する樹脂である。ウレタン系樹脂としては、電離放射線硬化性ウレタン系樹脂組成物の硬化物や熱硬化性ウレタン系樹脂組成物の硬化物等が挙げられる。これらの中でも、高硬度が得られ、硬化速度も早く量産性に優れる観点から、電離放射線硬化性ウレタン系樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。
電離放射線硬化性ウレタン系樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートを含んでおり、熱硬化性ウレタン系樹脂は、ポリオール化合物と、イソシアネート化合物とを含んでいる。ウレタン(メタ)アクリレート、ポリオール化合物、およびイソシアネート化合物は、モノマー、オリゴマー、およびプレポリマーのいずれであってもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート中の(メタ)アクリロイル基の数(官能基数)は、2以上4以下であることが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート中の(メタ)アクリロイル基の数が、2未満であると、鉛筆硬度が低くなるおそれがあり、また4を超えると、硬化収縮が大きくなり、光学フィルムがカールしてしまい、また折り曲げ時に樹脂層にクラックが入るおそれがある。ウレタン(メタ)アクリレート中の(メタ)アクリロイル基の数の上限は、3以下であることがより好ましい。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。
ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、1500以上20000以下であることが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、1500未満であると、耐衝撃性が低下するおそれがあり、また20000を超えると、電離放射線硬化性ウレタン系樹脂組成物の粘度が上昇し、塗工性が悪化するおそれがある。ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量の下限は2000以上であることがより好ましく、上限は15000以下であることがより好ましい。
また、ウレタン(メタ)アクリレート由来の構造を有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(25)、(26)、(27)または(28)で表される構造等が挙げられる。
Figure 2020167085
上記一般式(25)中、Rは分岐鎖状アルキル基を示し、Rは分岐鎖状アルキル基又は飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R10は、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、mは0以上の整数を示し、xは0〜3の整数を示す。
Figure 2020167085
上記一般式(26)中、Rは分岐鎖状アルキル基を示し、Rは分岐鎖状アルキル基又は飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R10は、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、nは1以上の整数を示し、xは0〜3の整数を示す。
Figure 2020167085
上記一般式(27)中、Rは分岐鎖状アルキル基を示し、Rは分岐鎖状アルキル基又は飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R10は、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、mは0以上の整数を示し、xは0〜3の整数を示す。
Figure 2020167085
上記一般式(28)中、Rは分岐鎖状アルキル基を示し、Rは分岐鎖状アルキル基又は飽和環状脂肪族基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R10は、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、nは1以上の整数を示し、xは0〜3の整数を示す。
(アクリル系ゲル)
アクリル系ゲルとしては、粘着剤などに用いられている、アクリル酸エステルを含むモノマーを重合してなるポリマーであれば種々のものを使用することができる。具体的には、アクリル系ゲルとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、i−ミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、i−デシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、i−ステアリル(メタ)アクリレート等のアクリル系モノマーを重合または共重合したものを用いることができる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」および「メタクリレート」の両方を含む意味である。なお、上記(共)重合する際に使用するアクリル酸エステルは、単独で用いる他、2種類以上併用してもよい。
なお、樹脂層13を構成する樹脂が、どのような構造の高分子鎖(繰り返し単位)によって形成されているかは、例えば、熱分解GC−MS及びFT−IRによって樹脂層13を分析することによって判断可能である。特に、熱分解GC−MSは、樹脂層13に含まれる単量体単位をモノマー成分として検知できるため有用である。
樹脂層13は、紫外線吸収剤、分光透過率調整剤、防汚剤、無機粒子および/または有機粒子等を含んでいてもよい。紫外線吸収剤等は、ハードコート層14の欄で説明した紫外線吸収剤等と同様のものが使用できるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<接着層>>
接着層17は、強化部12を樹脂基材11に貼り付けるためのものである。本明細書における「接着層」とは、粘着層を含む概念である。接着層17としては、例えば、OCR(Optically Clear Resin)のような重合性化合物を含む液状の硬化性接着層用組成物の硬化物やOCA(Optical Clear Adhesive)のような粘着シートが挙げられる。
<<光学フィルムの製造方法>>
光学フィルム10は、以下のようにして作製することができる。まず、樹脂基材11の第2の面11B上に、バーコーター等の塗布装置によって、第1のハードコート層用組成物を塗布して、第1のハードコート層用組成物の塗膜を形成する。
<第1のハードコート層用組成物>
第1のハードコート層用組成物は、第1のハードコート層15を形成するための重合性化合物を含んでいる。第1のハードコート層用組成物は、その他、必要に応じて、紫外線吸収剤、分光透過率調整剤、防汚剤、無機粒子、レベリング剤、溶剤、重合開始剤を含んでいてもよい。
(溶媒)
上記溶媒としては、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール、ジアセトンアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ヘプタノン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジアセトンアルコール)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、蟻酸メチル、PGMEA)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)、カーボネート(炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル)、等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。なかでも、上記溶媒としては、ウレタン(メタ)アクリレート等の成分、並びに、他の添加剤を溶解或いは分散させ、第1のハードコート層用組成物を好適に塗工できる点で、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンが好ましい。
(重合開始剤)
重合開始剤は、電離放射線照射より分解されて、ラジカルを発生して重合性化合物の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。
重合開始剤は、電離放射線照射によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば特に限定されない。重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
第1のハードコート層用組成物の塗膜を形成した後、各種の公知の方法で塗膜を、例えば30℃以上120℃以下の温度で10秒間〜120秒間加熱することにより乾燥させ、溶剤を蒸発させる。
塗膜を乾燥させた後、塗膜に紫外線等の電離放射線を照射して、塗膜を半硬化(ハーフキュア)させる。本明細書における「半硬化」とは、電離放射線をさらに照射すると硬化が実質的に進行することを意味する。ただし、この段階で、塗膜を完全硬化(フルキュア)させてもよい。本明細書における「完全硬化」とは、これ以上電離放射線を照射しても硬化が実質的に進行しないことを意味する。
塗膜を半硬化させた後、塗膜上に、バーコーター等の塗布装置によって、第2のハードコート層16を形成するための第2のハードコート層用組成物を塗布して、第2のハードコート層用組成物の塗膜を形成する。
<第2のハードコート層用組成物>
第2のハードコート層用組成物は、第2のハードコート層16を形成するための重合性化合物を含んでいる。第2のハードコート層用組成物は、その他、必要に応じて、紫外線吸収剤、溶剤、重合開始剤を含んでいてもよい。第2のハードコート層用組成物は、第1のハードコート層用組成物と同様に、総固形分が25〜55%であることが好ましい。溶剤および重合開始剤は、第1のハードコート層用組成物で説明した溶剤および重合開始剤と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
第2のハードコート層用組成物の塗膜を形成した後、各種の公知の方法で塗膜を例えば30℃以上120℃以下の温度で10秒間〜120秒間加熱することにより乾燥させ、溶剤を蒸発させる。
塗膜を乾燥させた後、第2のハードコート層用組成物の塗膜に紫外線等の電離放射線を照射して、第1のハードコート層用組成物の塗膜および第2のハードコート層用組成物の塗膜を完全硬化(フルキュア)させて、第1のハードコート層15および第2のハードコート層16を形成して、ハードコート層14を得る。
ハードコート層14を形成した後、樹脂基材11の第1の面11Aに、接着層17を介して平面状に強化部12を配置する。強化部12を配置した後、バーコーター等の塗布装置によって、強化部12の上から樹脂層13を形成するための樹脂層用組成物を塗布して、樹脂層用組成物の塗膜を形成した後、塗膜を硬化させることによって樹脂層13を形成する。これにより、光学フィルム10を得ることができる。
<樹脂層用組成物>
樹脂層がウレタン系樹脂からなる場合には、例えば、樹脂層用組成物は、上記ウレタン樹脂の欄で説明した電離放射線硬化性ウレタン系樹脂組成物を用いることができる。
<<<画像表示装置>>>
光学フィルム10は、折り畳み可能な画像表示装置に組み込んで使用することが可能である。図6は、本実施形態に係る画像表示装置の概略構成図である。図6に示されるように、画像表示装置40は、観察者側に向けて、主に、電池等が収納された筐体41、保護フィルム42、表示パネル43、円偏光板44、タッチセンサ45、および光学フィルム10がこの順で積層されている。表示パネル43と円偏光板44との間、円偏光板44とタッチセンサ45との間、タッチセンサ45と光学フィルム10との間には、光透過性を有する粘着層46が配置されており、これら部材は粘着層46によって互いに固定されている。なお、粘着層46は、表示パネル43と円偏光板44との間、円偏光板44とタッチセンサ45との間、タッチセンサ45と光学フィルム10との間に配置されているが、粘着層の配置箇所は、光学フィルムと表示パネルとの間であれば、特に限定されない。
光学フィルム10は、樹脂基材11が強化部12よりも観察者側となるように配置されている。画像表示装置40においては、光学フィルム10のハードコート層14の表面14A(第2のハードコート層16の表面)が、画像表示装置40の表面40Aを構成している。なお、光学フィルム10は、強化部12が樹脂基材11よりも観察者側となるように配置されていてもよい。
画像表示装置40においては、表示パネル43は、有機発光ダイオード等を含む有機発光ダイオードパネルとなっている。円偏光板44は、タッチセンサ45よりも表示パネル43側に配置されているが、タッチセンサ45と光学フィルム10との間に配置されていてもよい。また、タッチセンサ45は、オンセル方式やインセル方式であってもよい。
粘着層46としては、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)を用いることができるが、耐衝撃性を向上させて、表示パネル43の損傷を防ぐ観点から、上記アクリル系ゲルからなる粘着層を用いることが好ましい。なお、粘着層46に上記アクリル系ゲルからなる粘着層を用いる場合、表示パネル43と円偏光板44との間、円偏光板44とタッチセンサ45との間、タッチセンサ45と光学フィルム10との間の少なくともいずれかに上記粘着層を配置すればよい。また、上記アクリル系ゲルは粘着性があるので、樹脂層13が上記アクリル系ゲルからなる場合には、タッチセンサ45と光学フィルム10との間に粘着層46を設けなくとも、タッチセンサ45に直接樹脂層13を貼り付けることによって、タッチセンサ45と光学フィルム10を固定することができる。
本実施形態によれば、厚みがそれぞれ150μm以上であり、かつマルテンス硬さがそれぞれ30MPa以上の複数の強化部12を備えているので、強化部12に対応する領域である非屈曲領域10Dにおいて、優れた耐衝撃性を得ることができる。すなわち、強化部の厚みが厚くても、強化部のマルテンス硬さが低い場合には、柔らか過ぎてしまい、優れた耐衝撃性が得らないおそれがあり、また強化部のマルテンス硬さが高くても、強化部の厚みが薄い場合には、衝撃が加わると、瞬間的に変形してしまうので、優れた衝撃性が得られないおそれがある。これに対し、本実施形態においては、強化部12は、それぞれ厚みが150μm以上と厚く、またそれぞれマルテンス硬さが30MPa以上と高いので、強化部12に対応する領域である非屈曲領域10Dにおいて優れた耐衝撃性を得ることができる。一方、強化部12間の領域である屈曲領域10Cにおいては、強化部12は存在していないので、非屈曲領域10Dより柔らかい。このため、折り畳むことが可能となる。これにより良好な折り畳み性を維持しつつ、優れた耐衝撃性を得ることができる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。なお、下記の「固形分100%換算値」とは、溶剤希釈品中の固形分を100%としたときの値である。
<ハードコート層用組成物の調製>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、ハードコート層用組成物を得た。
(ハードコート層用組成物1)
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(製品名「M403」、東亜合成株式会社製):25質量部
・ジペンタエリスリトールEO変性ヘキサアクリレート(製品名「A−DPH−6E」、新中村化学工業株式会社製):25質量部
・異形シリカ粒子(平均粒子径25nm、日揮触媒化成株式会社製):50質量部(固形分100%換算値)
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):4質量部
・フッ素系レベリング剤(製品名「F568」、DIC株式会社製):0.2質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):150質量部
(ハードコート層用組成物2)
・ウレタンアクリレート(製品名「UX5000」、日本化薬株式会社製):25質量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(製品名「M403」、東亜合成株式会社製):50質量部
・多官能アクリレートポリマー(製品名「アクリット8KX−014」、大成ファインケミカル株式会社製):25質量部(固形分100%換算値)
・防汚剤(製品名「BYKUV3500」、ビックケミー社製):1.5質量部(固形分100%換算値)
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):4質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):150質量部
<樹脂層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、樹脂層用組成物を得た。
(樹脂層用組成物1)
・ウレタンアクリレート(製品名「UV3310B」、日本合成化学社製、2官能):85質量部
・フェノキシエチルアクリレート(製品名「ビスコート#192」、大阪有機化学工業社製):5質量部
・トリペンタエリスリトールアクリレート、モノおよびジペンタエリスリトールアクリレート、ならびにポリメンタエリスリトールアクリレートの混合物(製品名「ビスコート#802」、大阪有機化学工業社製):10質量部
・重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):5質量部
・メチルイソブチルケトン:10質量部
(樹脂層用組成物2)
・ウレタンアクリレート(製品名「UV3310B」、日本合成化学社製、2官能):85質量部
・フェノキシエチルアクリレート(製品名「ビスコート#192」、大阪有機化学工業社製):15質量部
・重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):5質量部
・メチルイソブチルケトン:10質量部
<実施例1>
樹脂基材として、縦200mm×横200mmの大きさおよび厚み50μmのポリイミド基材(製品名「ネオプリム」、三菱ガス化学株式会社製)を準備し、ポリイミド基材の一方の面である第2の面に、バーコーターでハードコート層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。なお、上記ネオプリム(登録商標)は、ポリイミドフィルムとして市販されているものであった。その後、形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を空気中にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して塗膜を半硬化(ハーフキュア)させた。次いで、半硬化させたハードコート層用組成物1の塗膜の表面に、バーコーターでハードコート層用組成物2を塗布し、塗膜を形成した。形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cmになるように照射して塗膜を完全硬化(フルキュア)させた。これにより、ポリイミド基材上に、膜厚が10μmの第1のハードコート層と、第1のハードコート層上に積層された膜厚が5μmの第2のハードコート層とからなるハードコート層を形成した。そして、ポリイミド基材における第2の面とは反対側の第1の面に、縦200mm×横95mmの大きさおよび厚み400μmのガラス板からなる2枚の強化部を強化部間の隙間が2.5mmとなるように膜厚25μmの接着層(製品名「8146−1」、3Mジャパン株式会社製)を介して平面状に配置した。その後、ガラス板の上からバーコーターで樹脂層用組成物1を塗布して、塗膜を形成した。そして、形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を空気中にて積算光量が1200mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させて、膜厚500μmのウレタン系樹脂からなる樹脂層を形成して、光学フィルムを得た。
上記強化部の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、強化部の断面を撮影し、その断面の画像において強化部の厚みを20箇所測定し、その20箇所の厚みの算術平均値とした。具体的な断面写真の撮影方法は以下の通りとした。まず、1mm×10mmに切り出した光学フィルムを包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚さ70nm以上100nm以下の切片を切り出した。切片の作製には、ライカ マイクロシステムズ株式会社のウルトラミクロトーム EM UC7を用いた。そして、この穴等がない均一な切片が切り出された残りのブロックを測定サンプルとした。その後、走査型電子顕微鏡(SEM)(製品名「S−4800」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、測定サンプルの断面写真を撮影した。上記S−4800を用いて断面写真を撮影する際には、検出器を「SE」、加速電圧を「5kV」、エミッション電流を「10μA」にして断面観察を行った。倍率については、フォーカスを調節しコントラストおよび明るさを各層が見分けられるか観察しながら100〜10万倍で適宜調節した。さらに、ビームモニタ絞りを「3」にし、対物レンズ絞りを「3」にし、またW.D.を「8mm」にした。ポリイミド基材および樹脂層の厚みも強化部の厚みと同様の手法によって測定した。実施例2〜5および比較例1〜5においても、実施例1と同様の手法によってポリイミド基材および強化部の厚み、ならびに樹脂層の膜厚を測定した。
ハードコート層の厚みは、走査透過型電子顕微鏡(STEM)(製品名「S−4800」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、ハードコート層の断面を撮影し、その断面の画像においてハードコート層の厚みを20箇所測定し、その20箇所の膜厚の算術平均値とした。ハードコート層の断面写真は、以下のようにして撮影した。まず、1mm×10mmに切り出した光学フィルムを包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚さ70nm以上100nm以下の切片を切り出した。切片の作製には、ライカ マイクロシステムズ株式会社のウルトラミクロトーム EM UC7を用いた。そして、この穴等がない均一な切片を測定サンプルとした。その後、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて、測定サンプルの断面写真を撮影した。この断面写真の撮影の際には、検出器を「TE」、加速電圧を「30kV」、エミッション電流を「10μA」にしてSTEM観察を行った。倍率については、フォーカスを調節しコントラストおよび明るさを各層が見分けられるか観察しながら5000倍〜20万倍で適宜調節した。なお、断面写真の撮影の際には、さらに、ビームモニタ絞りを「3」にし、対物レンズ絞りを「3」にし、またW.D.を「8mm」にした。実施例2〜5および比較例1〜5においても、実施例1と同様の手法によってハードコート層の膜厚を測定した。
<実施例2>
実施例2においては、ガラス板からなる2枚の強化部の代わりに、縦200mm×横95mmの大きさおよび厚み400μmのアクリル系樹脂板からなる2枚の強化部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<実施例3>
実施例3においては、樹脂層用組成物1の代わりに、樹脂層用組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<実施例4>
実施例4においては、ガラス板からなる2枚の強化部の代わりに、縦200mm×横95mmの大きさおよび厚み400μmの透明ポリビニル系シートからなる2枚の強化部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<実施例5>
実施例5においては、縦200mm×横95mmの大きさおよび厚み400μmのガラス板からなる2枚の強化部の代わりに、縦200mm×横95mmの大きさおよび厚み200μmの大きさのガラス板からなる2枚の強化部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<比較例1>
樹脂基材として、縦200mm×横200mmの大きさおよび厚み50μmのポリイミド基材(製品名「ネオプリム」、三菱ガス化学株式会社製)を準備し、ポリイミド基材の一方の面である第1の面に、バーコーターでハードコート層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。その後、形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を空気中にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して塗膜を半硬化(ハーフキュア)させた。次いで、半硬化させたハードコート層用組成物1の塗膜の表面に、バーコーターでハードコート層用組成物2を塗布し、塗膜を形成した。形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cmになるように照射して塗膜を完全硬化(フルキュア)させた。これにより、ポリイミド基材上に、膜厚が10μmの第1のハードコート層と、第1のハードコート層上に積層された膜厚が5μmの第2のハードコート層とからなるハードコート層を形成した。その後、ポリイミド基材における第1の面とは反対側の第2の面にバーコーターで樹脂層用組成物1を塗布して、塗膜を形成した。そして、形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を空気中にて積算光量が1200mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させて、膜厚500μmのウレタン系樹脂からなる樹脂層を形成して、光学フィルムを得た。
<比較例2>
比較例2においては、ガラス板からなる2枚の強化部の代わりに、縦200mm×横95mm×厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルム(製品名「TD40UL」、富士フイルム株式会社製)からなる2枚の強化部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<比較例3>
比較例3においては、ガラス板からなる2枚の強化部の代わりに、縦200mm×横200mmの大きさおよび厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「A4300」、東洋紡株式会社製)からなる2枚の強化部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<比較例4>
比較例4においては、ガラス板からなる2枚の強化部の代わりに、縦200mm×横200mmの大きさおよび厚み400μmの大きさのガラス板からなる1枚の強化部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<比較例5>
比較例5においては、ガラス板からなる2枚の強化部の代わりに、縦200mm×横200mmの大きさおよび厚み100μmの透明粘着層シート(製品名「8146」、3Mジャパン株式会社製)を2枚重ねて200μmとしたシートからなる2枚の強化部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<マルテンス硬さ測定>
実施例1〜5および比較例2〜5に係る光学フィルムの2枚の強化部のマルテンス硬さをそれぞれ測定した。強化部のマルテンス硬さは、Bruker社製のTI950 TriboIndenterを用いて、測定した。具体的には、まず、1mm×10mmに切り出した光学フィルムを包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚さ70nm以上100nm以下の切片を切り出した。切片の作製には、ライカ マイクロシステムズ株式会社のウルトラミクロトーム EM UC7を用いた。そして、この穴等がない均一な切片が切り出された残りのブロックを測定サンプルとした。次いで、このような測定サンプルにおける上記切片が切り出されることによって得られた断面において、圧子としてバーコビッチ圧子(三角錐、Bruker社製のTI−0039)を用いて、以下の測定条件で、強化部の断面中央から500nm押し込んだ。ここで、バーコビッチ圧子は、強化部の側縁の影響を避けるために、強化部の両側端からそれぞれ強化部の中央側に500nm以上離れた部分に押し込んだ。その後、一定時間保持して残留応力の緩和を行った後、除荷し、緩和後の最大荷重を計測し、該最大荷重Pmax(μN)と深さ500nmのくぼみ面積A(nm)とを用い、Pmax/Aによりマルテンス硬さを算出した。マルテンス硬さは、10箇所測定して得られた値の算術平均値とした。なお、後に示す表1においては、2枚の強化部のうち一方の強化部を第1の強化部とし、他方の強化部を第2の強化部とした。なお、測定値の中に算術平均値から±20%以上外れるものが含まれている場合は、その測定値を除外し再測定を行うものとした。測定値の中に算術平均値から±20%以上外れているものが存在するか否かは、測定値をAとし、算術平均値をBとしたとき、(A−B)/B×100によって求められる値(%)が±20%以上であるかによって判断した。
(測定条件)
・荷重速度:10nm/秒
・保持時間:5秒
・荷重除荷速度:10nm/秒
・測定温度:25℃
・相対湿度:50%
<連続折り畳み試験>
実施例および比較例に係る光学フィルムを30mm×100mmの大きさに切り出して、この切り出した光学フィルムを耐久試験機(製品名「U字伸縮試験機DLDMLH−FS」、ユアサシステム機器株式会社製、IEC62715−6−1準拠)に、光学フィルムの短辺(30mm)側を固定部でそれぞれ固定し、図3(C)に示したように対向する2つの辺部の最小の間隔φが30mmとなるようにして取り付け、以下の条件で光学フィルムのハードコート層側の面を180°折り畳む連続折り畳み試験(ハードコート層が内側となり、樹脂層が外側となるように折り畳む試験)を10万回行い、屈曲部に割れ又は破断が生じていないか調べた。また、実施例および比較例に係る新しい光学フィルムを、上記の耐久試験機に、上記と同様に取り付け、以下の条件で光学フィルムのポリイミド基材側の面を180°折り畳む連続折り畳み試験(ハードコート層が外側となり、ポリイミド基材が内側となるように折り畳む試験)を10万回行い、屈曲部に割れ又は破断が生じていないか調べた。連続折り畳み試験の結果を、以下の基準で評価した。連続折り畳み試験は、温度23℃、相対湿度50%の環境下で行われた。評価基準は、以下の通りとした。なお、実施例1〜5および比較例2、3、5に係る光学フィルムにおいては、強化部間の隙間である屈曲領域で折り畳まれるように調節された。
(折り畳み条件)
・往復速度:90rpm(回毎分)
・試験ストローク:70mm
・屈曲角度:180°
(評価基準)
○:いずれの連続折り畳み試験においても、屈曲部に割れ又は破断が生じていなかった。
×:いずれかの連続折り畳み試験において、屈曲部に割れ又は破断が生じていた。
<耐衝撃性試験>
厚さ0.7mmのソーダガラスの表面に、ソーダガラス側が樹脂層側となるように実施例および比較例に係る50mm×100mmの大きさに切り出した光学フィルムを直接置き、高さ30cmの位置から重さ100g、直径30mmの鉄球を光学フィルムのハードコート層の表面に落下させる耐衝撃性試験Aを各3回行った。また、厚さ0.7mmのソーダガラス上に、ソーダガラス側がポリイミド基材側または樹脂層側となるように実施例および比較例に係る50mm×100mmの大きさに切り出した光学フィルムを、厚み200μmの粘着シート(製品名「高透明性両面テープ 8146−2」、3Mジャパン株式会社製)を介して置き、高さ30cmの位置から重さ100g、直径30mmの鉄球を光学フィルムのハードコート層の表面に落下させる耐衝撃性試験Bを各3回行った。なお、耐衝撃性試験A、Bにおいて、鉄球を落下させる位置はその都度変えるものとした。ただし、実施例1〜5および比較例2〜5に係る光学フィルムにおいては、強化部に対応する領域内に鉄球を落下させるものとした。そして、耐衝撃性試験A後の光学フィルムにおいて、目視によってハードコート層の表面に凹みが生じているかを評価するとともに、ソーダガラスに割れが生じているか評価した。また、耐衝撃性試験B後の光学フィルムにおいて、目視によってハードコート層の表面に凹みが生じているかを評価した。評価結果は、以下の通りとした。
(ハードコート層の表面の凹み評価)
◎:ハードコート層を正面および斜めから観察した場合の両方において、ハードコート層の表面に凹みが確認されなかった。
○:ハードコート層を正面および斜めから観察した場合のいずれかにおいて、ハードコート層の表面に凹みが確認されたが、実使用上問題のないレベルであった。
△:ハードコート層を正面から観察した場合にはハードコート層の表面に凹みが観察されなかったが、斜め観察した場合にはハードコート層の表面に凹みが確認された。
×:ハードコート層を正面および斜めから観察した場合の両方において、ハードコート層の表面に明らかな凹みが観察された。
(ソーダガラスの割れ評価)
◎:ソーダガラスが割れなかった。
○:ソーダガラスに傷が入ったが割れなかった。
△:1〜2回ソーダガラスに割れが生じた。
×:3回ともソーダガラスに割れが生じた。
<鉛筆硬度>
実施例および比較例に係る光学フィルムの表面(ハードコート層の表面)における鉛筆硬度を、JIS K5600−5−4:1999に基づいてそれぞれ測定した。なお、鉛筆硬度試験は、ハードコート層が上側となるように50mm×100mmの大きさに切り出した光学フィルムをガラス板上に配置し、折れやシワがないようニチバン株式会社製のセロテープ(登録商標)で固定し、光学フィルムの表面に対し鉛筆硬度試験機(製品名「鉛筆引っかき塗膜硬さ試験機(電動式)」、株式会社東洋精機製作所製)を用いて、鉛筆(製品名「ユニ」、三菱鉛筆株式会社製)に750gの荷重を加えながら鉛筆を1mm/秒の移動速度で移動させることにより行った。鉛筆硬度は、鉛筆硬度試験において光学フィルムの表面に傷が付かなかった最も高い硬度とする。なお、鉛筆硬度の測定の際には、硬度が異なる鉛筆を複数本用いて行うが、鉛筆1本につき5回鉛筆硬度試験を行い、5回のうち4回以上蛍光灯下で光学フィルムの表面を透過観察した際に光学フィルムの表面に傷が視認されなかった場合には、この硬度の鉛筆においては光学フィルムの表面に傷が付かなかったと判断する。また、強化部を備えた光学フィルムにおける鉛筆硬度試験は、強化部が存在する領域で行った。
<G´、G´´、tanδ>
実施例に係る光学フィルムの樹脂層の剪断貯蔵弾性率G´、剪断損失弾性率G´´、および剪断損失正接tanδを測定した。具体的には、まず、実施例に係る10mm×5mmの大きさに切り出した光学フィルムを2枚準備し、動的粘弾性測定装置(製品名「Rheogel-E4000」、株式会社ユービーエム製)のオプションである固体剪断用治具に取り付けた。具体的には、固体剪断用治具は、厚さ1mmの1枚の金属製の固体剪断板と、この固体剪断板の両側に配置された2つのL型金具を備えており、固体剪断板と一方のL型金具との間で一方の光学フィルムを挟み、かつ固体剪断板と他方のL型金具で他方の光学フィルムを挟んだ。この場合、樹脂層が固体剪断板側となり、ハードコート層がL型金具側となるように光学フィルムを挟んだ。そして、動的粘弾性測定装置(製品名「Rheogel-E4000」、株式会社ユービーエム製)に、上部チャックおよび下部チャックからなる引張り試験用チャックを取り付けた後、上部チャックと下部チャックの間に固体剪断用治具をチャック間距離20mmで取り付けた。そして、設定温度を25℃とし2℃/minで昇温させた。この状態で、固体剪断板を固定しながら2つのL型金具に歪み量1%かつ周波数500Hz以上1000Hz以下の範囲の縦振動を与えながら、25℃で固体の動的粘弾性測定を行い、樹脂層の剪断貯蔵弾性率G´、剪断損失弾性率G´´および剪断損失正接tanδを測定した。ここで、樹脂層における500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G´、剪断損失弾性率G´´および剪断損失正接tanδは、L型金具に周波数500Hz、750Hz、950Hzの縦振動をそれぞれ与えて、それぞれの周波数において樹脂層の剪断貯蔵弾性率G´、剪断損失弾性率G´´および剪断損失正接tanδを測定し、これらの剪断貯蔵弾性率G´、剪断損失弾性率G´´および剪断損失正接tanδの算術平均値を求め、さらに、この測定を3回繰り返し、それぞれ得られた3つの算術平均値をさらに算術平均した値とした。
<屈折率差>
実施例に係る光学フィルムの2枚の強化部および樹脂層の屈折率をそれぞれ測定し、樹脂層と一方の強化部との屈折率差の絶対値および樹脂層と他方の強化部との屈折率差の絶対値を求めた。強化部の屈折率は、強化部の欠片を切り出し等により10個取り出し、取り出した10個の欠片において、ベッケ法により強化部の屈折率をそれぞれ測定し、測定した強化部の屈折率の10個の平均値を強化部の屈折率とした。樹脂層の屈折率も、強化部の屈折率と同様に測定した。なお、後に示す表2においては、2枚の強化部のうち一方の強化部を第1の強化部とし、他方の強化部を第2の強化部とした。
<外観評価>
実施例に係る光学フィルムの平面視したときに、強化部の形状が視認されるか否か目視により評価した。評価基準は、以下の通りとした。
○:強化部の形状が確認されなかった。
△:強化部の形状が若干確認されたが実使用上問題のないレベルであった。
×:強化部の形状が明確に確認された。
以下、結果を表1および表2に示す。
Figure 2020167085
Figure 2020167085
以下、結果について述べる。比較例1に係る光学フィルムにおいては、強化部を備えておらず、また比較例2、3に係る光学フィルムにおいては、第1の強化部および第2の強化部の厚みが150μm未満であったので、良好な折り畳み性を有するものの、衝撃を吸収できず、耐衝撃性試験Aにおいてハードコート層の表面に凹みが確認されるとともにソーダガラスに割れが生じてしまうことがあり、また耐衝撃性試験Bにおいて粘着シートの塑性変形に追従してしまうことによりハードコート層の表面の凹み量が大きかった。比較例4に係る光学フィルムにおいては、1枚のガラス板を用いていたので、折り畳み性に劣っていた。また、比較例5に係る光学フィルムにおいては、第1の強化部および第2の強化部のマルテンス硬さがそれぞれ30MPa未満であったので、良好な折り畳み性を有するものの、衝撃を吸収できず、耐衝撃性試験Aにおいてハードコート層の表面の凹み量が大きいとともにソーダガラスに割れが生じてしまい、また耐衝撃性試験Bにおいて粘着シートの塑性変形に追従してしまうことによりハードコート層の表面の凹み量が大きかった。
これに対し、実施例1〜5に係る光学フィルムにおいては、第1の強化部および第2の強化部の厚みがそれぞれ150μm以上であり、かつマルテンス硬さがそれぞれ30MPa以上であったので、良好な折り畳み性を維持しつつ、また優れた耐衝撃性を有していた。
実施例および比較例に係る光学フィルムのポリイミド基材およびハードコート層のマルテンス硬さを測定したところ、ポリイミド基材のマルテンス硬さは250MPaであり、第1のハードコート層のマルテンス硬さは835MPaであり、第2のハードコート層のマルテンス硬さは470MPaであった。ポリイミド基材およびハードコート層のマルテンス硬さは、上記強化部のマルテンス硬さと同様の条件によって測定された。
10…光学フィルム
10A…表面
10B…裏面
11…樹脂基材
11A…第1の面
11B…第2の面
12…強化部
12A…隙間
13…樹脂層
14…ハードコート層
15…第1のハードコート層
16…第2のハードコート層
40…画像表示装置
43…表示パネル
46…粘着層

Claims (7)

  1. 折り畳み可能な光学フィルムであって、
    樹脂基材と、
    前記樹脂基材における第1の面側に平面状に配置された複数の強化部と、を備え、
    前記強化部の厚みが、それぞれ150μm以上であり、
    前記強化部のマルテンス硬さが、それぞれ30MPa以上である、光学フィルム。
  2. 前記樹脂基材の前記第1の面側に設けられた樹脂層をさらに備え、それぞれの前記強化部の少なくとも一部が前記樹脂層で覆われている、請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記樹脂層と前記強化部との屈折率差の絶対値が、それぞれ0.02以下である、請求項2に記載の光学フィルム。
  4. 前記光学フィルムの対向する辺部の間隔が30mmとなるように前記光学フィルムを180°折り畳む試験を10万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じない、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. 前記樹脂基材が、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、またはこれらの混合物からなる基材である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  6. 折り畳み可能な画像表示装置であって、
    表示パネルと、
    前記表示パネルよりも観察者側に配置された請求項1ないし5のいずれか一項に記載の光学フィルムと、
    を備える、画像表示装置。
  7. 前記表示パネルが、有機発光ダイオードパネルである、請求項6に記載の画像表示装置。
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