JP2022056348A - 研磨用組成物およびその製造方法、研磨方法ならびに基板の製造方法 - Google Patents

研磨用組成物およびその製造方法、研磨方法ならびに基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、特定の材料に対する高い研磨速度を実現しつつ、異種材料間において、顕著に高い選択比および顕著に高い段差低減効果を実現しうる手段を提供する。【解決手段】本発明は、有機酸を表面に固定したシリカと、ポリアルキレングリコールと、を含有し、ポリアルキレングリコールについてのゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布が所定の分子量範囲内に2つ以上のピークを有し、そのうちの少なくとも1つは、ポリエチレングリコールに由来するピークであり、pHが3以上6以下である、研磨用組成物に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、研磨用組成物およびその製造方法、研磨方法ならびに基板の製造方法に関する。
半導体デバイス製造プロセスにおいては、半導体デバイスの性能の向上につれて、配線をより高密度かつ高集積に製造する技術が必要とされている。このような半導体デバイスの製造プロセスにおいてCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)は、必須のプロセスとなっている。半導体回路の微細化が進むにつれ、パターンウェハの凹凸に要求される平坦性が高くなり、CMPによりナノオーダーの高い平坦性を実現することが求められている。CMPにより高い平滑性を実現するためには、パターンウェハの凸部を高い研磨速度で研磨する一方で凹部はあまり研磨しないことが好ましい。
半導体ウェハは、例えば、回路を形成する多結晶シリコン、絶縁材料である酸化ケイ素、トレンチまたはビアの一部ではない二酸化ケイ素表面をエッチング中の損傷から保護するための窒化ケイ素といった異種材料から構成される。このため、研磨用組成物による各材料の研磨速度の違いによって、ある材料が他の材料に比べて過度に削られるディッシングといった現象等に起因して、段差が残ってしまうという問題がある。これらのことから、パターンウェハの研磨工程において、段差を十分に解消することが求められている。
この要求に応じるための技術として、例えば、特許文献1には、窒化ケイ素等の化学反応性に乏しい研磨対象物を、多結晶シリコン等に比べて高速で研磨可能な研磨用組成物が開示されている。具体的には、かような研磨用組成物として、有機酸を固定化したコロイダルシリカを含有し、pHが6以下である研磨用組成物が開示されている。
また、例えば、特許文献2には、窒化ケイ素等の研磨速度を維持または向上しつつ、多結晶シリコンや酸化ケイ素等の研磨速度を抑制して、ディッシング現象を抑制し、段差を低減することが可能な研磨用組成物が開示されている。具体的には、かような研磨用組成物として、有機酸を表面に固定したシリカと、ポリオキシアルキレン基含有化合物と、を含有し、ポリオキシアルキレン基含有化合物についてのゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(ポリエチレングリコール換算)の分子量分布が2つ以上のピークを有し、pHが7以下である、研磨用組成物が開示されている。
特開2012-040671号公報 国際公開第2016/052281号
しかしながら、近年、半導体デバイス等に要求される性能が向上する中で、研磨用組成物による研磨性能のさらなる向上が期待されている。例えば、特許文献1および特許文献2に記載の研磨用組成物よりも、さらに高い異種材料間の選択比を示し、かつ、異種材料を含む研磨用組成物を研磨した際に、さらに高い段差低減効果を示す研磨用組成物が期待されている。
そこで本発明は、特定の材料に対する高い研磨速度を実現しつつ、異種材料間において、顕著に高い選択比および顕著に高い段差低減効果を実現しうる手段を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決されうる:
有機酸を表面に固定したシリカと、
ポリアルキレングリコールと、
を含有し、
前記ポリアルキレングリコールについてのゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布が2つ以上のピークを有し、
前記分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下のピークであり、
前記分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が100以上800以下のピークであり、
前記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールを含有し、
前記ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるピークの少なくとも1つは、ポリエチレングリコールに由来するピークであり、
pHが3以上6以下である、研磨用組成物。
また、本発明の上記課題は、以下の手段によっても解決されうる:
有機酸を表面に固定したシリカと、
ポリアルキレングリコールと、
を混合する混合工程を有し、
前記ポリアルキレングリコールについてのゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布が2つ以上のピークを有し、
前記分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下のピークであり、
前記分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が100以上800以下のピークであり、
前記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールを含有し、前記ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるピークの、少なくとも1つは、ポリエチレングリコールに由来するピークである、
pHが3以上6以下である、研磨用組成物の製造方法。
そして、本発明の上記課題は、以下の手段によっても解決されうる:
有機酸を表面に固定したシリカと、
ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布において、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるポリエチレングリコールと、
ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布において、ピークトップ分子量が100以上800以下であるポリアルキレングリコールと、
を混合する混合工程を有する、
pHが3以上6以下である、研磨用組成物の製造方法。
本発明によれば、特定の材料に対する高い研磨速度を実現しつつ、異種材料間において、顕著に高い選択比および顕著に高い段差低減効果を実現しうる手段が提供されうる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20℃以上25℃以下の範囲)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で実施する。
<研磨用組成物>
本発明の一態様は、有機酸を表面に固定したシリカと、ポリアルキレングリコールと、を含有し、前記ポリアルキレングリコールについてのゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布が2つ以上のピークを有し、前記分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下のピークであり、前記分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が100以上800以下のピークであり、前記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールを含有し、前記ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるピークの少なくとも1つは、ポリエチレングリコールに由来するピークであり、pHが3以上6以下である、研磨用組成物に関する。
かような研磨用組成物によれば、特定の材料に対する高い研磨速度を実現しつつ、異種材料間において、顕著に高い選択比および顕著に高い段差低減効果を実現しうる手段が提供されうる。
特に、本発明の一実施形態において、窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料と、酸化ケイ素(SiN)等のケイ素-酸素結合を有する材料および多結晶シリコン(ポリシリコン、Poly-Si)等のケイ素-ケイ素結合を有する材料のうちの少なくとも一方とを含む研磨対象物において、本発明の効果はより顕著に奏される。より詳細には、ケイ素-窒素結合を有する材料の研磨速度がより高まる。本発明の一実施形態において、ケイ素-酸素結合を有する材料の研磨速度に対するケイ素-窒素結合を有する材料の研磨速度の比(ケイ素-酸素結合を有する材料に対するケイ素-窒素結合を有する材料の選択比)、およびケイ素-ケイ素結合を有する材料に対するケイ素-窒素結合を有する材料の研磨速度の比(ケイ素-ケイ素結合を有する材料に対するケイ素-窒素結合を有する材料の選択比)がより高まる。本発明の一実施形態において、窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料と、酸化ケイ素等のケイ素-酸素結合を有する材料とを含む研磨対象物の段差低減効果がより高まる。本発明の一実施形態において、窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料と、多結晶シリコン等のケイ素-ケイ素結合を有する材料とを含む研磨対象物の段差低減効果がより高まる。
本発明が、特定の材料に対する高い研磨速度を実現しつつ、異種材料間において、顕著に高い選択比および顕著に高い段差低減効果を実現しうることの詳細な理由は不明であるが、以下のメカニズムによると推測される。
有機酸を表面に固定したシリカのゼータ電位はマイナスであり、かつ絶対値も大きくなる。また、研磨対象物に含まれる材料は、pH6以下において、ゼータ電位がプラスとなるものが存在する。そのため、研磨用組成物のpHが6以下であれば、研磨用組成物中の有機酸を表面に固定したシリカと、このpH範囲でゼータ電位がプラスとなる材料とは、電気的に反発することなく、むしろ引き合うようになる。また、有機酸を表面に固定したシリカは、ヒドロキシ基以外の官能基である、有機酸由来の官能基を有する。この有機酸由来の官能基と、ポリアルキレングリコールとは相互作用せず、シリカが本来有している親水性が発揮され易くなる。さらに、酸性条件下では、有機酸を表面に固定したシリカのゼータ電位が大きいため、有機酸を表面に固定したシリカ同士の電気的反発が起き、有機酸を表面に固定したシリカの分散安定性が向上する。これらのことから、pHが6以下である研磨用組成物において、砥粒として有機酸を表面に固定したシリカを用いることにより、このpH範囲でゼータ電位がプラスとなる材料に対する高い研磨速度が得られることとなる。なお、pHが6以下の範囲において、ゼータ電位がプラスとなる材料としては、例えば、窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料等が挙げられる。
また、ポリアルキレングリコールは、水素結合等の作用によって、研磨対象物の表面に吸着する。そして、ポリアルキレングリコールは、砥粒によるメカニカル作用から、研磨対象物の表面を保護するよう作用する。ここで、研磨対象物の種類によって、ポリアルキレングリコールの吸着のし易さが変化する。このことから、研磨対象物の種類、研磨用組成物中のポリアルキレングリコールの種類、これらの組み合わせ等の選択によって、研磨用組成物による研磨速度、および異種材料間の選択比の制御が可能となる。さらに、分子量分布が2つ以上のピークを有するポリアルキレングリコールを研磨用組成物に含ませることで、より大きな分子量を有する成分が吸着した隙間を、より小さな分子量を有する成分が埋めるようにさらに吸着する。その結果、研磨対象物の表面により緻密な保護膜が形成されることとなり、段差低減効果がより向上する。
そして、有機酸を表面に固定したシリカと、ポリアルキレングリコールとを含有する研磨用組成物のpH範囲を3以上6以下とすることで、特定の材料の組み合わせに係る異種材料間での選択比、例えば、ケイ素-酸素結合を有する材料に対するケイ素-窒素結合を有する材料の選択比を顕著に向上させることができる。
しかしながら、本発明者らは、検討の中で、かようなpH範囲では、特定の材料、例えば、多結晶シリコン等のケイ素-ケイ素結合を有する材料に対する研磨速度の抑制効果が、他のpH範囲よりも減少する場合があることを見出した。このことは、他の異種材料間での選択比、例えば、多結晶シリコン等のケイ素-ケイ素結合を有する材料に対する、窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料の選択比の向上効果は、他のpH範囲よりも小さくなる場合があることを示している。
そこで、本発明者らは、さらに検討を進めた。その結果、特定の成分を含有し、特定の分子量分布を有するポリアルキレングリコールによって、このpH範囲での特定の材料に対する研磨速度の抑制効果の減少が解消されることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明では、有機酸を表面に固定したシリカと、特定の成分を含有し、かつ、特定の分子量分布を有するポリアルキレングリコールとを含有し、pH範囲が3以上6以下である研磨用組成物を用いる。かような研磨用組成物を用いることによって、幅広い組み合わせに係る異種材料間において、顕著に高い選択比および顕著に高い段差低減効果が得られることとなる。この理由は、このpH範囲において、研磨対象物に含まれる各材料、ならびに研磨用組成物中の有機酸を表面に固定したシリカ、およびポリアルキレングリコールの間で、引力、斥力、吸着、脱着等が最適化されるからであると考えられる。そして、これらの相乗効果によって、異種材料間における選択比および段差低減効果が顕著に向上するからであると考えられる。
なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
以下、研磨用組成物に含まれうる各成分や、研磨用組成物の製造に用いられる各原料、研磨用組成物の物性および特徴、ならびに研磨対象物等について説明する。
(有機酸を表面に固定したシリカ)
本発明の一実施形態に係る研磨用組成物は、有機酸を表面に固定したシリカを含む。また、本発明の一実施形態に係る研磨用組成物の製造方法では、原料として、有機酸を表面に固定したシリカを用いる。「有機酸を表面に固定したシリカ」は、砥粒として用いられる、有機酸を表面に化学的に結合させたシリカである。
有機酸を表面に固定したシリカにおいて、有機酸固定前のシリカとしては、特に制限されないが、例えば、フュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらの中でも、コロイダルシリカが好ましい。また、有機酸を表面に固定したシリカにおいて、有機酸固定前のシリカの製造方法は、特に制限されない。しかしながら、高純度での製造を可能とし、本発明の効果をより向上させるとの観点から、有機酸固定前のシリカの製造方法は、ケイ酸ソーダ法、またはゾルゲル法(ゾル-ゲル法)が好ましく、ゾルゲル法がより好ましい。すなわち、有機酸固定前のシリカとしては、ゾルゲル法またはケイ酸ソーダ法で製造されたコロイダルシリカ(例えば、ゾルゲル法で製造されたコロイダルシリカおよびケイ酸ソーダ法で製造されたコロイダルシリカのうちの少なくとも一方)であることが好ましく、ゾルゲル法で製造されたコロイダルシリカであることがより好ましい。
有機酸を表面に固定したシリカにおいて、当該有機酸としては、特に制限されないが、例えば、スルホン酸、カルボン酸、リン酸等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはスルホン酸またはカルボン酸であり、より好ましくはスルホン酸である。なお、有機酸を表面に固定したシリカの表面には、上記有機酸由来の酸性基(例えば、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基など)が(場合によってはリンカー構造を介して)共有結合により固定されていることになる。
有機酸を表面に固定したシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。また、有機酸を表面に固定したシリカは、単独でも用いてもよいし2種以上混合して用いてもよい。
有機酸をシリカ表面へ導入する方法は特に制限されず、例えば、メルカプト基やアルキル基などの状態でシリカ表面に導入し、その後、スルホン酸やカルボン酸に酸化するといった方法が挙げられる。また、例えば、有機酸由来の酸性基に保護基が結合した状態でシリカ表面に導入し、その後、保護基を脱離させるといった方法が挙げられる。また、シリカ表面に有機酸を導入する際に使用される化合物は、有機酸基となりうる官能基を少なくとも1つ有し、さらに、シリカ表面のヒドロキシル基との結合に用いられる官能基、疎水性・親水性を制御するために導入する官能基、立体的嵩高さを制御するために導入される官能基等を含むことが好ましい。
有機酸を表面に固定したシリカの具体的な合成方法として、有機酸の一種であるスルホン酸をシリカの表面に固定するのであれば、例えば、“Sulfonic acid-functionalized silica through quantitative oxidation of thiol groups”, Chem. Commun. 246-247 (2003)に記載の方法で行うことができる。具体的には、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のチオール基を有するシランカップリング剤をシリカにカップリングさせた後に過酸化水素でチオール基を酸化することにより、スルホン酸が表面に固定化されたシリカを得ることができる。あるいは、カルボン酸をシリカの表面に固定するのであれば、例えば、“Novel Silane Coupling Agents Containing a Photolabile 2-Nitrobenzyl Ester for Introduction of a Carboxy Group on the Surface of Silica Gel”, Chemistry Letters, 3, 228-229 (2000)に記載の方法で行うことができる。具体的には、光反応性2-ニトロベンジルエステルを含むシランカップリング剤をシリカにカップリングさせた後に光照射することにより、カルボン酸が表面に固定化されたシリカを得ることができる。
研磨用組成物中の有機酸を表面に固定したシリカの平均一次粒子径は、特に制限されないが、5nm以上であることが好ましく、7nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることがさらに好ましい。また、研磨用組成物中の有機酸を表面に固定したシリカの平均一次粒子径は、50nm以下であることが好ましく、45nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることがさらに好ましい。これらの範囲であると、研磨用組成物による特定の材料の研磨速度がより向上し、異種材料間において、選択比がより向上する。また、段差低減効果もより向上する。したがって、有機酸を表面に固定したシリカの好ましい平均一次粒子径の一例は、10nm以上50nm以下である。なお、有機酸を表面に固定したシリカの平均一次粒子径の値は、例えば、BET法で測定される有機酸を表面に固定したシリカの比表面積に基づいて算出することができる。
研磨用組成物中の有機酸を表面に固定したシリカの平均二次粒子径は、特に制限されないが、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。また、研磨用組成物中の有機酸を表面に固定したシリカの平均二次粒子径は、特に制限されないが、150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、80nm以下であることがさらに好ましい。これらの範囲であると、研磨用組成物による特定の材料の研磨速度がより向上し、異種材料間において、選択比がより向上する。また、段差低減効果もより向上する。したがって、有機酸を表面に固定したシリカの好ましい平均二次粒子径の一例は、20nm以上100nm以下である。なお、有機酸を表面に固定したシリカの平均二次粒子径の値は、例えば、レーザー光を用いた光散乱法測定に基づいて算出することができる。
研磨用組成物中の有機酸を表面に固定したシリカの会合度は、特に制限されないが、1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、2.5以上であることがさらに好ましい。また、研磨用組成物中の有機酸を表面に固定したシリカの会合度は、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。これらの範囲であると、研磨用組成物による特定の材料の研磨速度がより向上し、異種材料間において、選択比がより向上する。また、段差低減効果もより向上する。なお、有機酸を表面に固定したシリカの会合度は、上記の平均二次粒子径の値を上記の平均一次粒子径の値で除することにより算出することができる。
研磨用組成物中の有機酸を表面に固定したシリカのゼータ電位は、負(マイナス)の値であることが好ましく、-5mV以下であることが好ましく、-10mV以下であることがより好ましく、-15mV以下であることがさらに好ましい。これらの範囲であると、シリカの凝集がより生じ難くなる。また、研磨用組成物中の有機酸を表面に固定したシリカのゼータ電位は、-70mV以上であることが好ましく、-60mV以上であることがより好ましく、-50mV以上であることがさらに好ましい。これらの範囲であると、研磨対象物上への砥粒の付着がより生じ難くなる。なお、有機酸を表面に固定したシリカのゼータ電位は、具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
有機酸を表面に固定したシリカの一次粒子および二次粒子の形状は、特に制限されず、それぞれ、球状であってもよく、非球状であってもよい。これらの中でも、二次粒子の形状は、繭型、または繭型よりもさらに異形化が進んだ形状である、鎖状もしくは分岐状等であることが好ましく、繭型であることがより好ましい。
研磨用組成物中の有機酸を表面に固定したシリカの含有量(添加量)は、特に制限されないが、0.001質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。これらの範囲であると、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度がより向上する。また、研磨用組成物中の有機酸を表面に固定したシリカの含有量は、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。これらの範囲であると、研磨用組成物による特定の材料の研磨がより抑制され、異種材料間において、選択比がより向上する。
なお、本発明の一実施形態に係る研磨用組成物では、有機酸を表面に固定したシリカを砥粒として用いることが必須であるが、場合によっては、有機酸を表面に固定していないシリカ等の他の砥粒を併用してもよい。ただし、砥粒全体に占める有機酸を表面に固定したシリカの含有割合は、特に制限されないが、質量基準で50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
(ポリアルキレングリコール)
本発明の一実施形態に係る研磨用組成物は、ポリアルキレングリコールを含む。また、本発明の一実施形態に係る研磨用組成物の製造方法では、原料として、ポリアルキレングリコールを用いる。
ポリアルキレングリコールは、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布が、2つ以上のピークを有することが好ましい。ここで、「2つ以上のピークを有する」とは、ポリアルキレングリコールのGPCによる分子量分布のチャート(微分分子量分布曲線)が、2つ以上の極大値を有することを意味する。典型的には、後述する研磨用組成物の製造方法の欄において説明するように、例えば、GPCによるポリエチレングリコール換算の分子量分布のピークトップ分子量が異なる2種以上のポリアルキレングリコールを用いて研磨用組成物を製造することで、上述したような「2つ以上のピークを有する」の条件を満足する組成物を得ることができる。ここで、前記分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下のピークであり、前記分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が100以上800以下のピークであることが好ましい。そして、前記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールを含有し、前記ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるピークの少なくとも1つは、ポリエチレングリコールに由来するピークであることが好ましい。
ここで、ポリアルキレングリコールのGPCによるポリエチレングリコール換算の分子量分布において、ピークトップ分子量が100以上800以下であるピークの少なくとも1つは、ポリエチレングリコールに由来するピークであることが好ましい。また、ポリアルキレングリコールは、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールをさらに含み、かつ、ピークトップ分子量が100以上800以下であるピークの少なくとも1つは、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールに由来するピークであることが好ましい。そして、本発明の一実施形態に係る研磨用組成物に含まれる、上記のポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールのみであり、全てのピークがポリエチレングリコールに由来するピークであることが特に好ましい。
ポリアルキレングリコールのGPCによるポリエチレングリコール換算の分子量分布のピークの数は、2以上であれば特に制限されないが、2以上10以下であることが好ましく、2または3であることがより好ましく、3であることがさらに好ましい。また、ポリアルキレングリコールのGPCによるポリエチレングリコール換算の分子量分布における、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるピークの数は、1以上であれば特に制限されないが、1以上5以下であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。そして、ポリアルキレングリコールのGPCによるポリエチレングリコール換算の分子量分布における、ピークトップ分子量が100以上800以下であるピークの数は、1以上であれば特に制限されないが、1以上5以下であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。これらの範囲であると、ポリエチレングリコールの分散状態がより良好となる。また、研磨対象物に対するより均一で、より緻密な吸着が可能となり、単独ピークではなしえなかった、段差形状のより良好な制御が可能となる。
ポリアルキレングリコールのGPCによるポリエチレングリコール換算の分子量分布における、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるピークの少なくとも1つは、特に制限されないが、1,100以上5,000以下のピークトップ分子量を有することが好ましく、1,200以上4,000以下のピークトップ分子量を有することがより好ましい。これらの範囲であると、異種材料間において、選択比がより向上する。また、段差低減効果もより向上する。そして、ポリアルキレングリコールが、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるピークを複数有する場合、全てのピークが上記範囲内のピークトップ分子量を有することが好ましい。この際、異種材料間において、選択比がより向上する。また、段差低減効果もより向上する。
ポリアルキレングリコールのGPCによるポリエチレングリコール換算の分子量分布における、ピークトップ分子量が100以上800以下であるピークの少なくとも1つは、特に制限されないが、150以上700以下のピークトップ分子量を有することがより好ましく、200以上600以下のピークトップ分子量を有することがさらにより好ましい。この範囲であると、異種材料間において、選択比がより向上する。また、段差低減効果もより向上する。そして、ポリアルキレングリコールが、ピークトップ分子量が100以上800以下であるピークを複数有する場合、全てのピークが上記範囲内のピークであることが好ましい。この際、異種材料間において、選択比がより向上する。また、段差低減効果もより向上する。
なお、原料として、2種以上のポリアルキレングリコールを使用する場合、原料のポリアルキレングリコールとしては、特に制限されないが、例えば、上記の各ピークの好ましい範囲と同様の範囲のピークトップ分子量を有するポリアルキレングリコール等が挙げられる。
なお、ポリアルキレングリコールについてのGPCによるポリエチレングリコール換算の分子量分布や、ピークトップ分子量は、具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。なお、数平均分子量および重量平均分子量もまた、同様の方法により測定することができる。
研磨用組成物に含まれるポリアルキレングリコールは、市販品から構成されていてもよく、合成品から構成されていてもよい。また、研磨用組成物に含まれるポリアルキレングリコールは、単独の種類のポリアルキレングリコールから構成されていてもよく、2種以上のポリアルキレングリコールから構成されていてもよい。これらの中でも、ポリアルキレングリコールは、単独の種類のポリアルキレングリコールから構成されることが好ましい。
ポリアルキレングリコールの種類としては、特に制限されないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ならびにエチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリコールからなる群より選択される、少なくとも2種以上のコポリマー等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが好ましく、ポリエチレングリコールがより好ましい。
なお、原料として、2種以上のポリアルキレングリコールを使用する場合、原料のポリアルキレングリコールとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。市販品としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレングリコール 200、600、1,000、1,540、2,000、4,000、6,000、8,000、20,000(以上、富士フイルム和光純薬株式会社製)、Polyethylene glycol 10,000(Alfa Aesar製)、ポリプロピレングリコール, ジオール型, 400(富士フイルム和光純薬株式会社製)等が挙げられる。また、プロノン(登録商標)102、プロノン(登録商標)201等のプロノン(登録商標)シリーズに代表されるブロックポリマー(以上、日油株式会社製)等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが好ましく、ポリエチレングリコールがより好ましい。
研磨用組成物中のポリアルキレングリコールの含有量(添加量)は、特に制限されないが、0.001g/L以上であることが好ましく、0.01g/L以上であることがより好ましく、0.1g/L以上であることがさらに好ましい。また、研磨用組成物中のポリアルキレングリコールの含有量は、100g/L以下であることが好ましく、10g/L以下であることがより好ましく、5g/L以下であることがさらに好ましい。これらの範囲であれば、異種材料間において、選択比がより向上する。また、段差低減効果もより向上する。
原料として、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布において、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるポリエチレングリコールと、ピークトップ分子量が100以上800以下であるポリアルキレングリコールとを使用する場合、これらの添加量の総和に対する、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるポリエチレングリコールの添加量の割合は、特に制限されないが、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることがよりさらに好ましく、75質量%以上であることが特に好ましい。また、これらの添加量の総和に対する、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるポリエチレングリコールの添加量の割合は、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましい。
(研磨促進剤)
本発明の一実施形態に係る研磨用組成物は、研磨促進剤を含むことが好ましい。また、本発明の一実施形態に係る研磨用組成物の製造方法では、原料として、研磨促進剤を用いることが好ましい。研磨促進剤は、研磨用組成物による特定の材料の研磨速度を向上させるよう作用する。その結果、異種材料間において、選択比がより向上する。
研磨促進剤としては、特に制限されないが、研磨用組成物が有するpHにおいて、ゼータ電位がプラスとなる材料の研磨速度を向上させることができる化合物(ゼータ電位がプラスとなる材料の研磨促進剤)であることが好ましい。また、窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料の研磨速度を向上させることができる化合物(ケイ素-窒素結合を有する材料の研磨促進剤、好ましくは、窒化ケイ素の研磨促進剤)であることがより好ましい。かような化合物は、研磨対象である材料のゼータ電位のプラスの絶対値が小さい場合であっても、ゼータ電位がマイナスである有機酸を表面に固定したシリカを用いた場合に、より高い研磨速度および高い選択比を実現することができる。
窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料の研磨促進剤としては、特に制限されないが、例えば、N-メチル-D-グルカミン、D-グルカミン、N-エチル-D-グルカミン、N-プロピル-D-グルカミン、N-オクチル-D-グルカミン、N-アセチル-D-グルコサミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)グリシン、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、およびこれらの塩等が挙げられる。また、アルカノールアミン類、アミノ酸、およびこれらの塩等が挙げられる。これらの中でも、N-メチル-D-グルカミンが好ましい。
研磨促進剤は合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。また、研磨促進剤は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
研磨用組成物中の研磨促進剤の含有量(添加量)は、特に制限されないが、0.01g/L以上であることが好ましく、0.1g/L以上であることがより好ましく、1g/L以上であることがさらに好ましい。これらの範囲であると、研磨用促進剤による特定の材料の研磨速度向上効果がより高まる。また、研磨用組成物中の研磨促進剤の含有量は、100g/L以下であることが好ましく、50g/L以下であることがより好ましく、10g/L以下であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、研磨促進剤の再析出が生じる可能性をより低減することができる。また、研磨促進剤と、他の添加剤との反応によって、研磨用組成物の変質が生じる可能性をより低減することができる。
(段差改良剤)
本発明の一実施形態に係る研磨用組成物は、段差改良剤を含むことが好ましい。また、本発明の一実施形態に係る研磨用組成物の製造方法では、原料として、段差改良剤を用いることが好ましい。段差改良剤は、特定の材料の組み合わせに係る異種材料間で意図せずに発生する段差や、パターンの粗密部分の間で意図せずに発生する段差を低減するよう作用する。
段差改良剤としては、特に制限されないが、窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料と、酸化ケイ素等のケイ素-酸素結合を有する材料とを含む研磨対象物の段差低減効果をより向上させることができる化合物(好ましくは、ケイ素-窒素結合を有する材料と、ケイ素-酸素結合を有する材料との段差改良剤、より好ましくは、窒化ケイ素と、酸化ケイ素との段差改良剤)であることが好ましい。また、窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料と、多結晶シリコン等のケイ素-ケイ素結合を有する材料とを含む研磨対象物の段差低減効果をより向上させることができる化合物(好ましくは、ケイ素-窒素結合を有する材料と、ケイ素-ケイ素結合を有する材料との段差改良剤、より好ましくは、窒化ケイ素と、多結晶シリコンとの段差改良剤)であることが好ましい。
窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料と、酸化ケイ素等のケイ素-酸素結合を有する材料との段差改良剤や、窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料と、多結晶シリコン等のケイ素-ケイ素結合を有する材料との段差改良剤としては、特に制限されないが、芳香環と、当該芳香環と直接結合するスルホ基とを有する化合物、およびその塩等が好ましい例として挙げられる。芳香環としては、芳香族炭化水素環であっても、芳香族複素環であってもよく、単環であっても、2以上の環が縮合してなる環であってもよい。より具体的には、例えば、下記一般式(1)で表される化合物、およびその塩、下記一般式(2)で表される化合物、およびその塩、ならびに下記一般式(3)で表される構造単位を含む(共)重合体、およびその塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。すなわち、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される構造単位を含む(共)重合体、およびこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、(共)重合体とは、共重合体および単独重合体を含む総称を表すものとする。
Figure 2022056348000001
上記一般式(1)において、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、スルホ基、スルホ基を含有しないアニオン性基、カチオン性基、炭素数2~6のアルコキシカルボニル基、または炭素数1~10の炭化水素基であり、この際、R~Rの少なくとも1つが、スルホ基である。
Figure 2022056348000002
上記一般式(2)において、R~R14は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、スルホ基、スルホ基を含有しないアニオン性基、カチオン性基、炭素数2~6のアルコキシカルボニル基、または炭素数1~10の炭化水素基であり、この際、R~R14の少なくとも1つが、スルホ基である。
Figure 2022056348000003
上記一般式(3)において、R15~R19は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、スルホ基、スルホ基を含有しないアニオン性基、カチオン性基、炭素数2~6のアルコキシカルボニル基、または炭素数1~10の炭化水素基であり、この際、R15~R19の少なくとも1つが、スルホ基であり、R20~R22は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、スルホ基を含有しないアニオン性基、カチオン性基、炭素数2~6のアルコキシカルボニル基、またはヒドロキシ基、スルホ基を含有しないアニオン性基、カチオン性基、もしくは炭素数2~6のアルコキシカルボニル基で置換されているか、もしくは非置換の炭素数1~10の炭化水素基である。
なお、前記一般式(1)~前記一般式(3)において、アニオン性基とは、カウンターイオンが解離してアニオンとなる官能基を意味する。また、前記一般式(1)~前記一般式(3)において、カチオン性基とは、カウンターイオンが解離して、または他のイオン性化合物の電離により生じたカチオン種と結合して、カチオンとなる官能基を意味する。カチオン性基としては、特に制限されないが、例えば、アミノ基等が挙げられる。
なお、前記一般式(1)~前記一般式(3)において、アミノ基とは、-NH基、-NHR基、-NRR’基(R、R’は置換基を表す)を表す。また、前記一般式(1)~前記一般式(3)において、炭素数2~6のアルコキシカルボニル基としては、特に制限されないが、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピロキシカルボニル基、イソプロピロキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基等が好ましい例として挙げられる。そして、前記一般式(1)~前記一般式(3)において、炭素数1~10の炭化水素基としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が好ましい例として挙げられる。
また、前記一般式(3)で表される構造単位を含む共重合体またはその塩は、他の単量体由来の構造単位をさらに含んでいてもよい。前記一般式(3)で表される構造単位を含む共重合体またはその塩が有する、他の単量体由来の構造単位としては、特に制限されないが、エチレン性不飽和単量体、ジアミン、またはジエポキシドに由来する構成単位等が好ましい例として挙げられる。また、前記一般式(3)で表される構造単位を含む(共)重合体またはその塩の重量平均分子量は、特に制限されないが、1,000以上であることが好ましい。そして、前記一般式(3)で表される構造単位を含む(共)重合体またはその塩の重量平均分子量は、1,000,000以下であることが好ましい。なお、前記一般式(3)で表される構造単位を含む(共)重合体またはその塩の重量平均分子量は、GPCにより測定したポリスチレン換算の値として求めることができる。
これらの中でも、窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料と、酸化ケイ素等のケイ素-酸素結合を有する材料とを含む研磨対象物の段差低減効果、および窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料と、多結晶シリコン等のケイ素-ケイ素結合を有する材料とを含む研磨対象物の段差低減効果の観点から、段差低減剤としては、前記一般式(1)で表される化合物、またはその塩が好ましい。また、前記一般式(1)で表される化合物、またはその塩は、前記一般式(1)において、Rがスルホ基であり、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、スルホ基を含有しないアニオン性基、カチオン性基、炭素数2~6のアルコキシカルボニル基、もしくは炭素数1~10の炭化水素基である化合物、またはその塩であることが好ましい。そして、前記一般式(1)で表される化合物、またはその塩は、前記一般式(1)において、Rがスルホ基であり、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、-NH基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、もしくはtert-ブチル基である化合物、またはその塩であることがより好ましい。さらに、前記一般式(1)で表される化合物、またはその塩は、前記一般式(1)において、Rがスルホ基であり、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、もしくはメチル基である化合物、またはその塩であることがさらに好ましい。
また、窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料と、酸化ケイ素等のケイ素-酸素結合を有する材料とを含む研磨対象物の段差低減効果、および窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料と、多結晶シリコン等のケイ素-ケイ素結合を有する材料とを含む研磨対象物の段差低減効果の観点から、好ましい段差低減剤の具体例としては、特に制限されないが、m-キシレンスルホン酸、またはその塩、p-トルイジン-2-スルホン酸、またはその塩、2-ナフトール-6-スルホン酸、またはその塩、1-ナフタレンスルホン酸、またはその塩、パラスチレンスルホン酸-スチレン共重合体、またはその塩等が挙げられる。よって、好ましい段差低減剤の具体例としては、特に制限されないが、m-キシレンスルホン酸、p-トルイジン-2-スルホン酸、2-ナフトール-6-スルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、パラスチレンスルホン酸-スチレン共重合体、およびこれらの塩等が挙げられる。これらの中でも、前記一般式(1)で表される化合物、またはその塩である、m-キシレンスルホン酸、またはその塩、p-トルイジン-2-スルホン酸、またはその塩がより好ましく、m-キシレンスルホン酸、またはその塩がさらに好ましく、m-キシレンスルホン酸が特に好ましい。よって、より好ましい具体例としては、m-キシレンスルホン酸、p-トルイジン-2-スルホン酸、およびこれらの塩が挙げられ、さらに好ましい具体例としては、m-キシレンスルホン酸およびその塩が挙げられ、特に好ましい具体例としては、m-キシレンスルホン酸が挙げられる。
なお、段差改良剤が塩である場合、スルホ基、または塩を形成しうる他の官能基の一部または全部が塩であってもよい。
段差改良剤は合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。また、段差改良剤は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
研磨用組成物中の段差改良剤の含有量(添加量)は、特に制限されないが、0.01g/L以上であることが好ましく、0.1g/L以上であることがより好ましく、1g/L以上であることがさらに好ましい。これらの範囲であると、特定の材料の組み合わせに係る異種材料間で意図せずに発生する段差や、パターンの粗密部分の間で意図せずに発生する段差の低減効果がより高まる。また、研磨用組成物中の段差改良剤の含有量は、100g/L以下であることが好ましく、50g/L以下であることがより好ましく、10g/L以下であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、段差改良剤の再析出が生じる可能性をより低減することができる。また、段差改良剤と、他の添加剤との反応によって、研磨用組成物の変質が生じる可能性をより低減することができる。
段差改良剤は、研磨用組成物を調製する際の混合時には、段差改良剤そのものの状態であってもよく、その水和物の状態であってもよい。なお、段差改良剤をその水和物の状態で混合する場合、研磨用組成物中の段差改良剤の含有量は、水和水を除いた質量から計算した含有量を表すものとする。
(pH調整剤)
本発明の一実施形態に係る研磨用組成物は、pH調整剤を含むことが好ましい。また、本発明の一実施形態に係る研磨用組成物の製造方法では、原料として、pH調整剤を用いることが好ましい。pH調整剤は、研磨用組成物に適量を添加することにより、研磨用組成物のpHを所望の値へと調整するよう作用する。
pH調整剤としては、特に制限されず、研磨用組成物の分野で用いられる公知のpH調整剤を用いることができる。これらの中でも、公知の酸、塩基、これらの塩等を用いることが好ましい。
pH調整剤としての酸は、特に制限されず、無機酸であっても有機酸であってもよい。無機酸としては、特に制限されないが、例えば、炭酸、塩酸、硝酸、リン酸、次亜リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸等が挙げられる。これらの中でも、硝酸であることが好ましい。
有機酸としては、カルボン酸、ホスホン酸基またはリン酸基を有する有機リン系の酸、スルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、カルボン酸であることが好ましい。
また、有機酸としては、分子内に有機酸基を1つのみ有する有機酸であっても、分子内に有機酸基を2以上有する有機酸であってもよい。分子内に有機酸基を1つのみ有する有機酸としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシ基(カルボン酸基)、ホスホン酸基またはリン酸基、およびスルホ基(スルホン酸基)からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸基を、分子内に1つのみ有する有機酸であることが好ましい。具体的としては、特に制限されないが、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2-メチル酪酸、n-ヘキサン酸、3,3-ジメチル酪酸、2-エチル酪酸、4-メチルペンタン酸、n-ヘプタン酸、2-メチルヘキサン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、ヒドロキシイソ酪酸、サリチル酸、乳酸等のモノカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸等のモノスルホン酸、一価の有機リン系の酸等が挙げられる。また、分子内に有機酸基を2以上有する有機酸としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシ基(カルボン酸基)、ホスホン酸基またはリン酸基、およびスルホ基(スルホン酸基)からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸基を、分子内に2以上有する有機酸であることが好ましい。具体例としては、特に制限されないが、例えば、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、2-ペンテン二酸、メチレンコハク酸、アリルマロン酸、イソプロピリデンコハク酸、2,4-ヘキサジエンニ酸、アセチレンジカルボン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アコニット酸、イタコン酸、メリト酸等の多価カルボン酸、多価スルホン酸、フィチン酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸等の多価の有機リン系の酸等が挙げられる。
塩基の具体例としては、特に制限されないが、例えば、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、テトラメチルアンモニウムおよびテトラエチルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩、エチレンジアミンおよびピペラジンなどのアミン等が挙げられる。
これらの中でも、酸であることが好ましく、分子内に酸性基を2以上有する酸であることがより好ましく、分子内に有機酸基を2以上有する有機酸であることがさらに好ましい。また、多価カルボン酸であることがよりさらに好ましく、脂肪族多価カルボン酸であることが特に好ましく、不飽和脂肪族多価カルボン酸であることがさらに特に好ましい。そして、不飽和脂肪族2価カルボン酸であることが極めて好ましく、マレイン酸であることが最も好ましい。
研磨用組成物中のpH調整剤の含有量(添加量)は、研磨用組成物のpHが3以上6以下となる量であれば特に制限されないが、後述する研磨用組成物の好ましいpH値となるような量を添加することが好ましい。
(分散媒)
本発明の一実施形態に係る研磨用組成物は、分散媒を含むことが好ましい。また、本発明の一実施形態に係る研磨用組成物の製造方法では、原料として、分散媒を用いることが好ましい。分散媒は、各成分を分散または溶解させるよう作用する。
分散媒は、特に制限されないが、水、または有機溶媒等が挙げられる。有機溶媒としては、特に制限されず公知の有機溶媒を用いることができる。これらの中でも、分散媒は、水を含むことが好ましく、水のみであることがより好ましい。さらに、不純物による研磨用組成物の他の成分への影響を防ぐ観点から、できる限り高純度な水を使用することが好ましい。具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後フィルタを通して異物を除去した純水や超純水、または蒸留水が好ましい。また、分散媒として、研磨用組成物の他の成分の分散性などを制御する目的で、水に加えて、水と混和する有機溶媒であるアセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等の有機溶媒などをさらに含んでもよい。水に加えて、水と混和する有機溶媒を用いる場合、水と有機溶媒とを混合し、得られた混合溶媒中に各成分を添加し分散または溶解してもよい。また、これらの有機溶媒を水と混合せずに用いて、各成分を分散または溶解した後に、水と混合してもよい。これらの水と混和する有機溶媒は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
(その他の成分)
本発明の一実施形態に係る研磨用組成物は、必要に応じて、研磨用組成物の分野で使用される、公知の他の成分をさらに含んでいてもよい。また、本発明の一実施形態に係る研磨用組成物の製造方法では、原料として、必要に応じて、研磨用組成物の分野で使用される、公知の他の成分をさらに用いてもよい。他の成分としては、特に制限されないが、例えば、錯化剤、金属防食剤、防腐剤、防カビ剤、酸化剤、還元剤、電気伝導度調整剤、および上記説明した成分以外の水溶性高分子等が挙げられる。これらの中でも、防腐剤、または防カビ剤を含むことが好ましい。
防腐剤、または防カビ剤としては、特に制限されず、研磨用組成物の分野で用いられる、公知の防腐剤や、公知の防カビ剤を用いることができる。具体的には、例えば、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンや5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリン系防腐剤や、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
(研磨用組成物のpH)
本発明の一実施形態において、研磨用組成物のpHは、3以上6以下である。pHの値が6よりも大きいと、ゼータ電位がプラスとなる材料の、ゼータ電位のプラスの絶対値が小さくなるため、ゼータ電位がマイナスである有機酸を表面に固定したシリカを用いた場合に、高い研磨速度で研磨をすることが困難となる。また、その結果、かような材料を含む異種材料間において、選択比が低下する。また、研磨用組成物のpHは、5.5以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。これらの範囲であると、研磨用組成物によりゼータ電位がプラスとなる材料を十分な研磨速度で研磨しつつ、これを含む幅広い組み合わせに係る異種材料間において、より高い選択比およびより高い段差低減効果を得ることができる。一方、pHの値が3未満の場合、異種材料間における選択比が低下する。例えば、研磨対象物上における、窒化ケイ素等のケイ素-窒素結合を有する材料の付近等に酸化ケイ素等のケイ素-酸素結合を有する材料が存在する場合、ケイ素-酸素結合を有する材料に対するケイ素-窒素結合を有する材料の選択比を十分に確保できなくなる。研磨用組成物のpHは、3.5以上であることが好ましく、4.5以上であることがより好ましい。これらの範囲であると、ゼータ電位がプラスとなる材料を含む幅広い組み合わせに係る異種材料間において、より高い選択比およびより高い段差低減効果を得ることができる。なお、研磨用組成物のpHは、実施例に記載の方法により測定することができる。また、研磨用組成物のpHは、例えば、pH調整剤等の添加量によって調整することができる。
(研磨用組成物のタイプ)
本発明の一実施形態における研磨用組成物、または本発明の一実施形態に係る研磨用組成物の製造方法で製造される研磨用組成物は、一液型であってもよいし、二液型をはじめとする多液型であってもよい。多液型である場合、本発明の一実施形態における研磨用組成物、または本発明の一実施形態に係る研磨用組成物の製造方法で製造される研磨用組成物は、そのうちの1つの液であっても、2以上の液であっても、全ての液であってもよい。また、本発明の一実施形態に係る研磨用組成物、または本発明の一実施形態に係る研磨用組成物の製造方法で製造される研磨用組成物は、研磨用組成物の原液を水などの希釈液を使って例えば10倍以上に希釈することによって調整されてもよい。
(研磨対象物)
本発明の一態様に係る研磨用組成物、後述する本発明の他の一態様に係る製造方法により製造される研磨用組成物、後述する本発明のその他の一態様に係る研磨方法、および後述する本発明のさらなる他の一態様に係る基板の製造方法を適用する研磨対象物は、特に制限されず、CMP分野で用いられる公知の研磨対象物に適用することができる。研磨対象物としては、例えば、金属と、ケイ素-窒素結合を有する材料と、その他ケイ素を含む材料とを含む研磨対象物等が挙げられる。
研磨対象物は、2種以上の材料を含む研磨対象物であることが好ましく、(a)ケイ素-窒素結合を有する材料と、(b)その他ケイ素を含む材料とを含む研磨対象物がより好ましい。
(a)ケイ素-窒素結合を有する材料
ケイ素-窒素結合を有する材料としては、特に制限されないが、例えば、窒化ケイ素(SiN)、炭窒化ケイ素(SiCN)などが挙げられる。
(b)その他ケイ素を含む材料
その他ケイ素を含む材料としては、上記ケイ素-窒素結合を有する材料以外のケイ素を含む材料であれば特に制限されないが、例えば、以下のようなものが挙げられる。
(b-1)ケイ素-酸素結合を有する材料
ケイ素-酸素結合を有する材料としては、特に制限されないが、例えば、酸化ケイ素、BD(ブラックダイヤモンド:SiOCH)、FSG(フルオロシリケートグラス)、HSQ(水素シルセスキオキサン)、CYCLOTENE、SiLK、MSQ(Methyl silsesquioxane)等が挙げられる。これらの中でも、酸化ケイ素が好ましい。そして、酸化ケイ素としては、特に制限されないが、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)由来の酸化ケイ素(本明細書において、単に「TEOS-SiO」とも称する)であることが特に好ましい。
(b-2)ケイ素-ケイ素結合を有する材料
ケイ素-ケイ素結合を有する研磨対象物としては、特に制限されないが、例えば、多結晶シリコン(ポリシリコン、Poly-Si)、アモルファスシリコン、単結晶シリコン、n型ドープ単結晶シリコン、p型ドープ単結晶シリコン、SiGe等のSi系合金等が挙げられる。これらの中でも、多結晶シリコンであることが好ましい。
したがって、本発明の一態様に係る研磨用組成物、後述する本発明の他の一態様に係る製造方法により製造される研磨用組成物、後述する本発明のその他の一態様に係る研磨方法、および後述する本発明のさらなる他の一態様に係る基板の製造方法を適用する研磨対象物は、(a)ケイ素-窒素結合を有する材料と、(b)その他ケイ素を含む材料とを含む研磨対象物の研磨に用いられることが好ましい。
また、これらの研磨用組成物は、(a)ケイ素-窒素結合を有する材料と、(b-1)ケイ素-酸素結合を有する材料、または(b-2)ケイ素-ケイ素結合を有する材料とを含む研磨対象物の研磨に用いられることがより好ましい。そして、これらの研磨用組成物は、窒化ケイ素と、酸化ケイ素(例えば、TEOS-SiO等)、または多結晶シリコンとを含む研磨対象物の研磨に用いられることがさらに好ましい。よって、これらの研磨用組成物は、(a)ケイ素-窒素結合を有する材料と、(b-1)ケイ素-酸素結合を有する材料および(b-2)ケイ素-ケイ素結合を有する材料のうちの少なくとも一方とを含む研磨対象物の研磨に用いられることがより好ましい。そして、これらの研磨用組成物は、窒化ケイ素と、酸化ケイ素(例えば、TEOS-SiO等)および多結晶シリコンのうちの少なくとも一方とを含む研磨対象物の研磨に用いられることがさらに好ましい。
また、これらの研磨用組成物は、(a)ケイ素-窒素結合を有する材料と、(b-1)ケイ素-酸素結合を有する材料と、(b-2)ケイ素-ケイ素結合を有する材料とを含む研磨対象物の研磨に用いられることもより好ましい。そして、これらの研磨用組成物は、窒化ケイ素と、酸化ケイ素(例えば、TEOS-SiO等)と、多結晶シリコンとを含む研磨対象物の研磨に用いられることもさらに好ましい。
これらの研磨用組成物を上記のような研磨対象物に適用することで、特定の材料に対するより高い研磨速度を実現しつつ、異種材料間において、より高い選択比およびより高い段差低減効果を実現することができる。
なお、(a)ケイ素-窒素結合を有する材料と、(b)その他ケイ素を含む材料とを含む研磨対象物は、必要に応じて他の材料を含んでいてもよい。他の材料としては、特に制限されないが、例えば金属等が挙げられる。金属としては、特に制限されないが、例えば、銅、アルミニウム、ハフニウム、コバルト、ニッケル、チタン、タングステン等が挙げられる。
なお、研磨対象物は、製品形態としては基板が好ましい。
<研磨用組成物の製造方法>
本発明の他の一態様は、有機酸を表面に固定したシリカと、ポリアルキレングリコールと、を混合する混合工程を有し、前記ポリアルキレングリコールについてのゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布が2つ以上のピークを有し、前記分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下のピークであり、前記分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が100以上800以下のピークであり、前記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールを含有し、前記ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるピークの、少なくとも1つは、ポリエチレングリコールに由来するピークである、pHが3以上6以下である、研磨用組成物の製造方法に関する。本態様によれば、特定の材料に対する高い研磨速度を実現しつつ、異種材料間において、顕著に高い選択比および顕著に高い段差低減効果を実現しうる手段が提供されうる。
また、本発明の他の一態様は、有機酸を表面に固定したシリカと、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布において、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるポリエチレングリコールと、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布において、ピークトップ分子量が100以上800以下であるポリアルキレングリコールと、を混合する混合工程を有する、pHが3以上6以下である、研磨用組成物の製造方法に関する。なお、当該態様に係る製造方法は、上記の態様に係る製造方法の好ましい一実施形態となる場合もありうる。本態様によれば、特定の材料に対する高い研磨速度を実現しつつ、異種材料間において、顕著に高い選択比および顕著に高い段差低減効果を実現しうる手段が提供されうる。
これらの態様において、製造される研磨用組成物の原料、物性、特徴や、製造される研磨用組成物が適用される研磨対象物等の詳細もまた、上記の研磨用組成物の説明と同様である。
また、これらの態様に係る製造方法は、上記の研磨用組成物を製造するための製造方法の好ましい一例であるとも言える。したがって、これらの態様に係る製造方法によって製造される研磨用組成物は、好ましくは、有機酸を表面に固定したシリカと、ポリアルキレングリコールと、を含有し、前記ポリアルキレングリコールについてのゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布が2つ以上のピークを有し、前記分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下のピークであり、前記分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が100以上800以下のピークであり、前記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールを含有し、前記ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるピークの少なくとも1つは、ポリエチレングリコールに由来するピークであり、pHが3以上6以下である研磨用組成物である。この場合、製造される研磨用組成物や、これに含まれる各成分、およびこれが適用される研磨対象物等の詳細等もまた、上記の研磨用組成物の説明と同様である。
混合工程は、有機酸を表面に固定したシリカと、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布のピークトップ分子量が異なる2種以上のポリアルキレングリコールとを混合することを含むことが好ましい。したがって、有機酸を表面に固定したシリカと、分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下のピークであり、分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が100以上800以下のピークである、ポリアルキレングリコールとを混合する場合、混合工程は、分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下のピークであるポリアルキレングリコールと、分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が100以上800以下のピークであるポリアルキレングリコールとを混合することを含むことが好ましい。また、この場合、混合工程は、分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下のピークであるポリエチレングリコールと、分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が100以上800以下のピークであるポリアルキレングリコールとを混合することを含むことが好ましい。
混合工程では、必要に応じて、上記の研磨促進剤、上記の段差改良剤、上記のpH調整剤、上記の分散媒、または上記のその他の成分をさらに混合してもよい。
各成分を混合する際の温度は、特に制限されないが、10~40℃が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。
また、本発明の一実施形態に係る研磨用組成物は、上記のような方法によって研磨用組成物の原液を調製した後、当該原液を水などの希釈液を使って、希釈(例えば、10倍以上に希釈)することによって調整されてもよい。
<研磨方法>
本発明のその他の一態様は、上記の研磨用組成物を用いて、または、上記の製造方法により研磨用組成物を製造し、当該研磨用組成物を用いて、研磨対象物を研磨する、研磨方法に関する。
当該態様は、上記の研磨用組成物や、上記の製造方法により製造された研磨用組成物を用いた研磨方法の一例であるとも言える。このことから、研磨用組成物や、これに含まれる各成分、およびこれが適用される研磨対象物等の詳細等もまた、上記の研磨用組成物の説明と同様である。また、製造される研磨用組成物の原料、物性、特徴や、製造される研磨用組成物が適用される研磨対象物等の詳細もまた、上記の研磨用組成物や、上記の研磨用組成物の製造方法の説明と同様である。したがって、好ましい実施形態の例としては、前述のように、研磨対象物が、ケイ素-窒素結合を有する材料と、その他ケイ素を含む材料とを含む、研磨方法;研磨対象物が、ケイ素-窒素結合を有する材料と、ケイ素-酸素結合を有する材料、またはケイ素-ケイ素結合を有する材料とを含む、研磨方法;研磨対象物が、ケイ素-窒素結合を有する材料と、ケイ素-酸素結合を有する材料、およびケイ素-ケイ素結合を有する材料のうちの少なくとも一方とを含む、研磨方法;研磨対象物が、ケイ素-窒素結合を有する材料と、ケイ素-酸素結合を有する材料と、ケイ素-ケイ素結合を有する材料とを含む、研磨方法;研磨対象物が、窒化ケイ素と、酸化ケイ素(例えば、TEOS-SiO等)、または多結晶シリコンと、を含む、研磨方法;研磨対象物が、窒化ケイ素と、酸化ケイ素(例えば、TEOS-SiO等)と、多結晶シリコンとを含む、研磨方法;等が挙げられる。これより、本発明の一実施形態に係る研磨方法は、ポリシリコンパターンウェハ等のパターンウェハの研磨に好ましく用いることができる。
本発明の一実施形態において、研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨する際には、通常の研磨に用いられる装置や条件を用いて行うことができる。一般的な研磨装置としては、片面研磨装置や両面研磨装置がある。片面研磨装置では、キャリアと呼ばれる保持具を用いて基板を保持し、上方より研磨用組成物を供給しながら、基板の対向面に研磨パッドが貼付した定盤を押し付けて定盤を回転させることにより被研磨材料(研磨対象物)の片面を研磨する。このとき、研磨パッドおよび研磨用組成物と、研磨対象物との摩擦による物理的作用と、研磨用組成物が研磨対象物にもたらす化学的作用とによって研磨される。前記研磨パッドとしては、不織布、ポリウレタン、スウェード等の多孔質体を特に制限なく使用することができる。研磨パッドには、研磨液が溜まるような加工が施されていることが好ましい。
研磨条件としては、研磨荷重、定盤回転数、キャリア回転数、研磨用組成物の流量、研磨時間等が挙げられる。これらの研磨条件に特に制限はないが、例えば、研磨荷重については、基板の単位面積当たり0.1psi以上10psi以下(0.7~68.9kPa、なお、1psi=6894.76Paである。以下同様)であることが好ましく、より好ましくは0.5psi以上8psi以下(3.4~55.1kPa)であり、さらに好ましくは1psi以上6psi以下(6.9~41.4kPa)である。一般に荷重が高くなればなるほど砥粒による摩擦力が高くなり、機械的な加工力が向上するため研磨速度が上昇する。この範囲であれば、より高い研磨速度が発揮され、荷重による基板の破損や、表面に傷などの欠陥が発生することをより抑制することができる。定盤回転数、およびキャリア回転数は、10~500rpm(0.2~8.3s-1、なお、60rpm=1s-1である。以下同様)であることが好ましい。研磨用組成物の供給量は、研磨対象物の全体が覆われる供給量(流量)であればよく、研磨対象物の大きさなどの条件に応じて調整すればよい。研磨パッドに研磨用組成物を供給する方法も特に制限されず、例えば、ポンプ等で連続的に供給する方法が採用される。また、加工時間は、所望の加工結果が得られる時間であれば特に制限されないが、高い研磨速度に起因してより短い時間とすることが好ましい。
<基板の製造方法>
本発明のさらなる他の一態様は、上記の研磨方法で研磨対象物を研磨する工程を含む、基板の製造方法に関する。
当該態様は、上記の研磨用組成物や、上記の製造方法により製造された研磨用組成物を用いた研磨方法を含む、基板の製造方法の好ましい一例であるとも言える。このことから、研磨用組成物や、これに含まれる各成分、およびこれが適用される研磨対象物等の詳細等もまた、上記の研磨用組成物の説明と同様である。また、製造される研磨用組成物の原料、物性、特徴や、製造される研磨用組成物が適用される研磨対象物等の詳細もまた、上記の研磨用組成物や、上記の研磨用組成物の製造方法の説明と同様である。そして、研磨方法の詳細もまた、上記の研磨方法の説明と同様である。したがって、好ましい実施形態の例としては、研磨対象物が、基板である、基板(研磨済基板)の製造方法や、研磨対象物が、半導体基板である、半導体基板(研磨済半導体基板)の製造方法等が挙げられる。したがって、本発明の一実施形態に係る基板の製造方法は、ポリシリコンパターンウェハ等のパターンウェハの製造に好ましく用いることができる。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)/相対湿度40~50%RHの条件下で行われた。
<研磨用組成物の調製>
溶媒としての水に、砥粒、ポリアルキレングリコールまたはエチレングリコール(EG)、pH調整剤、および必要に応じて添加する他の添加剤を添加し、攪拌混合して、各研磨用組成物を得た(混合温度約25℃、混合時間:約10分)。ここで、各研磨用組成物の調製に用いた各成分の種類および濃度(含有量、添加量)は、下記表1および下記表2に示す。また、pH調整剤の濃度(含有量、添加量)は、得られる研磨用組成物が下記表1および下記表2に記載のpHとなる量とした。
なお、研磨用組成物(液温:25℃)のpHは、pHメータ(株式会社堀場製作所製 型番:LAQUA)により確認した。
また、研磨用組成物中の砥粒のゼータ電位[mV]は、研磨用組成物を大塚電子株式会社製ELS-Z2に供し、測定温度25℃でフローセルを用いてレーザードップラー法(電気泳動光散乱測定法)で測定し、得られるデータをSmoluchowskiの式で解析することにより、算出した。
各研磨用組成物の調製に用いた砥粒、およびポリアルキレングリコールの詳細を以下に示す。
(砥粒)
・砥粒1:スルホン酸を表面に固定したシリカ(平均一次粒子径14nm、平均二次粒子径34nm、繭型、未変性(変性前、有機酸固定前)シリカはゾル-ゲル法により製造されたコロイダルシリカ);
・砥粒2:スルホン酸を表面に固定したシリカ(平均一次粒子径32nm、平均二次粒子径69nm、繭型、未変性(変性前、有機酸固定前)シリカはゾル-ゲル法により製造されたコロイダルシリカ);
・砥粒3:スルホン酸を表面に固定したシリカ(平均一次粒子径12nm、平均二次粒子径53nm、繭型、未変性(変性前、有機酸固定前)シリカはケイ酸ソーダ法により製造されたコロイダルシリカ);
・砥粒A:未変性のシリカ(平均一次粒子径14nm、平均二次粒子径34nm、繭型、ゾル-ゲル法により製造されたコロイダルシリカ);
(ポリアルキレングリコール)
・ポリエチレングリコール200(PEG200)(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品名ポリエチレングリコール 200、ピークトップ分子量200のピークを有するポリエチレングリコール);
・ポリエチレングリコール600(PEG600)(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品名ポリエチレングリコール 600、ピークトップ分子量600のピークを有するポリエチレングリコール);
・ポリエチレングリコール1000(PEG1000)(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品名ポリエチレングリコール 1,000、ピークトップ分子量1,000のピークを有するポリエチレングリコール);
・ポリエチレングリコール1540(PEG1540)(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品名ポリエチレングリコール 1,540、ピークトップ分子量1,540のピークを有するポリエチレングリコール);
・ポリエチレングリコール2000(PEG2000)(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品名ポリエチレングリコール 2,000、ピークトップ分子量2,000のピークを有するポリエチレングリコール);
・ポリエチレングリコール4000(PEG4000)(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品名ポリエチレングリコール 4,000、ピークトップ分子量4,000のピークを有するポリエチレングリコール);
・ポリエチレングリコール6000(PEG6000)(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品名ポリエチレングリコール 6,000、ピークトップ分子量6,000のピークを有するポリエチレングリコール);
・ポリエチレングリコール8000(PEG8000)(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品名ポリエチレングリコール 8,000、ピークトップ分子量8,000のピークを有するポリエチレングリコール);
・ポリエチレングリコール10000(PEG10000)(Alfa Aesar製、製品名Polyethylene glycol 10,000、ピークトップ分子量10,000のピークを有するポリエチレングリコール);
・ポリエチレングリコール15000(PEG15000)(ピークトップ分子量15,000のピークを有するポリエチレングリコール);
・ポリエチレングリコール20000(PEG20000)(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品名ポリエチレングリコール 20,000、ピークトップ分子量20,000のピークを有するポリエチレングリコール);
・ポリプロピレングリコール400(PPG400)(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品名ポリプロピレングリコール, ジオール型, 400、ピークトップ分子量400のピークを有するポリプロピレングリコール)。
なお、下記表1および下記表2において、例えば、研磨用組成物1の「ピークトップ分子量1000未満またはEG」の種類の列における、「PEG200/PEG600」とは、PEG200およびPEG600を共に使用したことを表す。また、その濃度(g/L)の列における「0.2/0.4」とは、PEG200の濃度が0.2g/Lであり、PEG600の濃度が0.4g/Lであることを表す。また、その他の種類の組み合わせや、濃度の組み合わせについても同様の方法で表記する。
<分子量分布、および当該分子量分布におけるピークトップ分子量の評価>
上記の原料として使用した各々のポリアルキレングリコールの分子量分布、当該分子量分布におけるピークトップ分子量をゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
また、研磨用組成物中に含まれるポリアルキレングリコール全体としてのポリエチレングリコール換算の分子量分布、および当該分子量分布におけるピークのピークトップ分子量をゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
ポリアルキレングリコールの分子量分布、ピークトップ分子量の測定条件は、下記の通りである。また、標準物質として、ポリエチレングリコールを使用した。
GPC装置:株式会社島津製作所製
型式:Prominence + ELSD検出器(ELSD-LTII)
カラム:VP-ODS(株式会社島津製作所製)
移動相 A:MeOH
B:酢酸1%水溶液
流量:1mL/min
検出器:ELSD temp.40℃、Gain 8、N2GAS 350kPa
オーブン温度:40℃
注入量:40μl。
本測定の結果、研磨用組成物中に含まれるポリアルキレングリコール全体としての分子量分布における各ピークのピークトップ分子量の値は、各々、原料のポリアルキレングリコールについての、分子量分布のピークのピークトップ分子量の値と実質的に同一であった。
<研磨方法>
上記で調製した各研磨用組成物を使用して、各研磨対象物の表面を下記の装置および条件で研磨した。ここで、研磨条件および研磨対象物は、以下の通りである。
(研磨条件)
研磨機:200mmウェハ用CMP片面研磨機
パッド:ポリウレタン製パッド
圧力:3psi(約20.7kPa)
定盤回転数:90rpm(1.5s-1
研磨用組成物の流量:130ml/min
研磨時間:1分間
研磨対象物:200mmウェハ(Poly-Si、SiN、TEOS-SiO)
多結晶シリコン(Poly-Si):低圧化学気相成長法(LPCVD)で製造されたもの:厚さ5,000Å
窒化ケイ素(SiN):低圧化学気相成長法(LPCVD)で製造されたもの:厚さ3,500Å
オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)由来の酸化ケイ素(TEOS-SiO):物理気相成長法(PVD)で製造されたもの:厚さ10,000Å。
研磨速度は、研磨前後の膜厚を光干渉式膜厚測定装置により求め、その差を研磨時間で除することにより評価した。
段差については、下記の構成を有する8インチPoly-Siのパターンウェハを研磨し、ラインアンドスペースが0.25μm/0.25μmである部分(以下、配線部とも称する)について、配線部周りの部分との段差を、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて測定した。
≪8インチPoly-Siパターンウェハ≫
仕様
1層目:P-TEOS-SiO(プラズマTEOS-SiO) 厚さ1,000Å
2層目:Poly-Si 厚さ500Å
3層目:854パターン+エッチング
4層目:SiN 厚さ1,000Å。
ここで、エロージョンとは、配線部のPoly-Si部分が、配線部周りの部分に比べて凹む現象を表す。エロージョンは、研磨後の配線部のPoly-Si部分と、配線部周りとの段差を評価した。
また、ディッシングとは、配線部のSiN部分が、配線部周りの部分に比べて凹む現象を表す。ディッシングは、研磨後の配線部のSiN部分と、配線部周りとの段差を評価した。
なお、本評価においては、SiNの研磨速度は、高いほど好ましいと判断した。
また、本評価においては、TEOS-SiOの研磨速度(Å/min)に対するSiNの研磨速度(Å/min)の比(TEOS-SiOに対するSiNの選択比:SiN/TEOS-SiO)、およびPoly-Siの研磨速度(Å/min)に対するSiNの研磨速度(Å/min)の比(Poly-Siに対するSiNの選択比:SiN/Poly-Si)は、それぞれ高いほど好ましく、共に25以上であると選択比に優れると判断した。
そして、本評価においては、エロージョンおよびディッシングは、それぞれ小さいほど好ましく、エロージョンが45Å以下であり、かつディッシングが25Å以下であると段差低減効果に優れると判断した。
各研磨用組成物の処方および物性を下記表1および下記表2に示す。また、各研磨用組成物の評価結果を下記表3に示す。
Figure 2022056348000004
Figure 2022056348000005
Figure 2022056348000006
上記表1~上記表3に示すように、比較例に係る研磨用組成物は、窒化ケイ素(SiN)の研磨速度が低いこと、TEOS-SiOに対するSiNの選択比が低いこと、Poly-Siに対するSiNの選択比が低いこと、エロージョンが大きいこと、およびディッシングが大きいことの少なくとも1つに該当しており、十分な効果が得られないことが確認された。
一方、本発明に係る研磨用組成物は、窒化ケイ素(SiN)の研磨速度が高く、TEOS-SiOに対するSiNの選択比、およびPoly-Siに対するSiNの選択比が顕著に高く、エロージョンおよびディッシングが極めて小さく、段差低減効果に顕著に優れることが確認された。

Claims (14)

  1. 有機酸を表面に固定したシリカと、
    ポリアルキレングリコールと、
    を含有し、
    前記ポリアルキレングリコールについてのゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布が2つ以上のピークを有し、
    前記分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下のピークであり、
    前記分子量分布の少なくとも1つのピークは、ピークトップ分子量が100以上800以下のピークであり、
    前記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールを含有し、
    前記ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるピークの少なくとも1つは、ポリエチレングリコールに由来するピークであり、
    pHが3以上6以下である、研磨用組成物。
  2. 前記ピークトップ分子量が100以上800以下であるピークの少なくとも1つは、ポリエチレングリコールに由来するピークであるか、
    または、
    前記ポリアルキレングリコールは、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールをさらに含み、かつ、前記ピークトップ分子量が100以上800以下であるピークの少なくとも1つは、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールに由来するピークである、
    請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記有機酸は、スルホン酸またはカルボン酸である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
  4. 前記有機酸を表面に固定したシリカの平均一次粒子径が10nm以上50nm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  5. 前記有機酸を表面に固定したシリカの平均二次粒子径が20nm以上100nm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  6. 前記有機酸を表面に固定したシリカにおいて、有機酸固定前のシリカが、ゾルゲル法またはケイ酸ソーダ法で製造されたコロイダルシリカである、請求項1~5のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  7. 研磨促進剤をさらに含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  8. 段差改良剤をさらに含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  9. 酸をさらに含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  10. ケイ素-窒素結合を有する材料と、ケイ素-酸素結合を有する材料およびケイ素-ケイ素結合を有する材料のうちの少なくとも一方と、を含有する研磨対象物の研磨に用いられる、請求項1~9のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  11. 有機酸を表面に固定したシリカと、
    ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布において、ピークトップ分子量が1,000以上6,000以下であるポリエチレングリコールと、
    ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の分子量分布において、ピークトップ分子量が100以上800以下であるポリアルキレングリコールと、
    を混合する混合工程を有する、
    pHが3以上6以下である、研磨用組成物の製造方法。
  12. 請求項1~10のいずれか1項に記載の研磨用組成物を用いて、
    または、
    請求項11の製造方法により研磨用組成物を製造し、当該研磨用組成物を用いて、
    研磨対象物を研磨する、研磨方法。
  13. 前記研磨対象物は、ケイ素-窒素結合を有する材料と、ケイ素-酸素結合を有する材料およびケイ素-ケイ素結合を有する材料のうちの少なくとも一方とを含む、請求項12に記載の研磨方法。
  14. 研磨対象物は基板であり、請求項12または13に記載の研磨方法で前記研磨対象物を研磨する工程を含む、研磨済基板の製造方法。
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