JP2022044079A - 小麦全粒粉およびこれを用いた小麦粉含有食品 - Google Patents

小麦全粒粉およびこれを用いた小麦粉含有食品 Download PDF

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Abstract

【課題】可視サイズのふすま片が存在しつつ二次加工性に優れる小麦全粒粉、および該小麦全粒粉を使用した、食感が良好でふすま片の見える外観の小麦粉含有食品を提供する。【解決手段】粒径75μmまでの累積体積が30%以上であり、粒径510μmまでの累積体積が80~95%である小麦全粒粉、および該小麦粉全粒粉を2質量%以上含有することを特徴とする、小麦粉を原料とする小麦粉加工食品を製造するための小麦粉組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、小麦全粒粉およびこれを配合した小麦粉組成物を原料とする小麦粉含有食品に関する。
小麦全粒粉は、小麦粒(原料小麦)の全成分を含む小麦粉である。小麦粒は、約13~15%の外皮と約2~3%の胚芽と残りの胚乳から構成され、外皮がふすまに、胚乳が小麦粉になる。これらの成分を含む小麦全粒粉は、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの栄養素に富み、近年の健康意識の高まりに沿うものである。
小麦全粒粉は、小麦粒から外皮部等を取り除かずにそのまま粗粉砕するか、あるいは粗粉砕した後、さらに粉砕処理することにより製造されているが、ふすまは粉砕されにくく、得られる全粒粉には大きなふすまの断片が多く混入しているため、舌にざらつく触感やふすま独特の臭いやえぐみがあり、小麦粉加工食品の食感や二次加工性に悪影響を及ぼすことが知られている。
これらの問題は、全粒粉の粒度を細かくすることで改善できるため、たとえば、小麦粒の水分を低くしてから粉砕してふすまを細粉砕する(特許文献1)、分別したふすま部を微粉砕してから小麦粉に混合する(特許文献2)、小麦粒の粗粉砕物を粗粉と微粉とに分取して、粗粉画分を再粉砕後微粉画分と混合する(特許文献3)技術などが報告されている。一方で、健康感を想起させる可視サイズのふすま片が減少するため、見た目の全粒粉らしさが低下するという問題がある。
特開2008-104393号公報 特開2015-70836号公報 特開2007-61813号公報
本発明は、健康感を想起させる可視サイズのふすま片が存在しながら、二次加工性(作業性)に優れ、これをベーカリー製品等の小麦粉含有食品に使用した場合に、その食感と二次加工性が改良される小麦全粒粉を提供することをその課題とする。また、この小麦全粒粉を使用した、食感がよく、ふすま片の見える全粒粉らしい外観の小麦粉含有食品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、小麦全粒粉中にさほどは大きくはないものの可視サイズであるふすま片がある一方、胚乳部は微粉砕されていることが重要であることがわかった。そして、そのような条件を満たす小麦全粒粉は、特定の粒子径分布を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下(1)、(2)に記載の小麦全粒粉または(3)、(4)に記載の小麦粉組成物に係る。
(1)粒径75μmまでの累積体積が30%以上であり、粒径510μmまでの累積体積が80~95%である、小麦全粒粉。
(2)粒径300μmまでの累積体積が70~90%である、上記(1)に記載の小麦全粒粉。
(3)上記(1)または(2)に記載の小麦全粒粉を含む、小麦粉組成物。
(4)前記小麦全粒粉を5~60質量%含む、上記(3)に記載の小麦粉組成物。
また、本発明は、以下(5)、(6)に記載の小麦粉含有食品に係る。
(5)上記(1)または(2)に記載の小麦全粒粉もしくは上記(3)または(4)に記載の小麦粉組成物を含む原料を用いた小麦粉含有食品。
(6)ベーカリー製品、麺、または揚げ物である、上記(5)に記載の小麦粉含有食品。
本発明によれば、可視サイズのふすま片が存在し見た目に全粒粉らしさがあり(健康感を想起させる外観を有し)ながらも二次加工性(作業性)に優れた小麦全粒粉が得られる。本発明の小麦全粒粉を使用したベーカリー製品(パン類、菓子類)は、ふんわり、しっとりとした食感となり、麺は、可視サイズのふすま片を含む割にざらつきのない滑らかな食感となり、揚げ物は、油っこさの少ない食感が得られる。いずれの小麦粉含有食品も、ふすま片が見られ、全粒粉らしく健康感を想起させる外観を有する。
本発明の小麦全粒粉には、小麦粒をそのまま丸ごと粉砕することにより得られる小麦全粒粉と、その成分組成が、小麦粒をそのまま粉砕して得られる小麦全粒粉と同等の小麦粉が包含される。たとえば、小麦粒の粉砕画分を混合して全粒粉と同じ成分組成に調整した小麦粉も含まれる。
原料となる小麦の種類は特に限定されない。目的とする小麦粉含有食品に応じて、適宜、普通小麦、デュラム小麦、クラブ小麦、スペルト小麦等を単独でまたは配合して使用できる。これらの小麦は、硬質小麦、中間質小麦、軟質小麦のいずれであってもよい。また、国内産麦、北米産麦、豪州産麦等のいずれであってもよい。
小麦全粒粉の製造方法は特に限定されず、公知の粉砕方法を適宜用いることができ、ロール式製粉、石臼式製粉、衝撃式粉砕機等のいずれでもよい。
なかでも衝撃式粉砕は、粉砕時の回転数やサクションバランス、スクリーン等の調整を行うことで、採分・再粉砕の繰返しの煩雑な工程を必要としないため、最も簡便で好ましい。衝撃式粉砕に用いる粉砕機としては、衝撃板と回転ローター間で機械的衝撃により粉砕を行うものであれば特に限定されるものではなく、たとえば、ハンマーミル、ターボミル、ブレードミル、ピンミル等を用いることができる。
また、粉砕工程において、粉砕効率向上等のために粗粒画分と細粒画分に分取して、それぞれ別に粉砕した後で配合してもよい。粉砕した小麦粉にふすま片を配合して全粒粉と同じ組成に調整する場合のふすま片のサイズは、配合後の全粒粉の粒径分布が、本発明の範囲内になるように調整されていれば特に限定されない。たとえばふすま片単体として、目開き3500μmの篩をすべて通過するサイズでもよく、食品安全の観点からは目開き2500μmの篩をすべて通過するサイズであることが好ましく、目開き2000μmの篩をすべて通過するサイズであることがより好ましく、目開き1000μmの篩をすべて通過するサイズであることがさらに好ましい。
本発明の小麦全粒粉の粒度分布は、粒径75μmまでの累積体積が30%以上であり、かつ粒径510μmまでの累積体積が80~95%である。
市販されている一般の小麦全粒粉では、粒径150μmまでの累積体積が30%程度であることと比較すると、本発明の小麦全粒粉は粒径75μmまでの累積体積が30%以上であって細かめである。
また、市販されている細粒タイプの小麦全粒粉では、粒径510μmまでの累積体積が97%以上程度であり、510μmを超える大きなふすま片が殆どないことと比較すると、本発明の小麦全粒粉には、粒径510μmを超えるそこそこ大きなふすま片がある程度存在することで、二次加工後にもふすま片が見られる。
本発明の粒径はレーザー回折・散乱法で測定した値であり、累積体積(%)とは、体積基準分布で測定した粒度分布を基準として、小さな粒子から特定粒径の粒子まで累積した粒子体積の、全粒子体積に対する割合(%)をいう。たとえば、累積体積50%とは、特定粒径の粒子まで累積した粒子体積が全粒子体積の半分であることを意味し、その特定の粒径が累積体積50%の粒径である。
本発明の小麦全粒粉の粒径75μmまでの累積体積は30%以上であり、このことは、粒径75μmのものを含む粒径75μm以下の粒子の体積の累積が、全粒子体積に対して30%以上であることを意味する。粒径75μmまでの累積体積は30%以上、好ましくは40%以上である。粒径75μmまでの累積体積は、90%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。
また、粒径300μmまでの累積体積は70~90%であることが好ましく、80~90%がより好ましい。粒径300μm以下の粒子の体積の累積が、全粒子体積に対して70~90%であるから、小麦粒の多くの胚乳が粒径300μm以下に粉砕されている。
本発明の小麦全粒粉は、目開き3500μmの篩をすべて通過するサイズでもよく、食品安全の観点からは目開き2500μmの篩をすべて通過するサイズであることが好ましく、目開き2000μmの篩をすべて通過するサイズであることがより好ましく、目開き1000μmの篩をすべて通過するサイズであることがさらに好ましい。
本発明の小麦全粒粉の粒径510μmまでの累積体積は80~95%である。本発明の小麦全粒粉には、粒径510μmを超えるある程度大きなふすま片を含む画分が5~20%存在することから、二次加工後の製品中にもふすま片が見られ、製品に健康観を想起させる外観を与える。粒径510μmまでの累積体積は、好ましくは85~95%、より好ましくは90~95%である。
本発明の小麦全粒粉は、従来の小麦粉と同様に使用でき、小麦粉に配合することによって小麦粉組成物とする。使用する小麦粉の一部を本発明の小麦全粒粉に置き換えて配合することができる。配合量は、2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがよりさらに好ましい。配合量の上限は、本発明の小麦全粒粉のみでも使用可能であることから規定されるものではなく、小麦粉の性質によっても異なるが、小麦粉組成物とする場合には、60質量%程度までの配合量で品質的価値の付与効果を充分に引き上げることができる。
本発明の小麦全粒粉、またこの小麦全粒粉を含有する小麦粉組成物は、ベーカリー製品、麺、または揚げ物等の小麦粉含有食品の製造に用いられる。ベーカリー製品としては、パン類、菓子類、たこ焼、たい焼、どら焼、お好み焼、ホットケーキ、パンケーキ、ワッフル、クレープ、蒸しパン、蒸しケーキ等が、麺には、うどん、冷や麦、素麺、中華麺、パスタ類、麺皮等が、揚げ物には、パン粉を付けたフライ、フリッター、から揚げ、天ぷら等の衣付きフライ食品が例示される。
本発明の小麦粉含有食品の製造時には、いずれも二次加工性が良好であり、ドウを作製する場合にはつながりのよい生地が得られ、バッターを作製する場合にはざらつきがなく滑らかな生地が得られる。そして、製造されたベーカリー製品はふんわり、しっとりとした食感に、麺はふすまを含む割にざらつきのない滑らかな食感に、揚げ物は油っこさが少ない食感となり、いずれの食感も改善される。また、いずれの小麦粉含有食品も外観にふすま片が見られ、全粒粉らしく、また健康感を想起させる外観となる。
本発明の詳細を実施例で説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。また、累積体積の「%」は「体積%」を意味する。
小麦全粒粉製造例1
北米産硬質小麦を用いて、衝撃式粉砕機で粉砕し、小麦全粒粉を得た(全粒粉(1))。
得られた小麦全粒粉について、レーザー回折式粒度分布測定装置(HELOS&RODOS、日本レーザー製)を用いて、測定レンジR6にて体積基準の粒子径分布(積算分布または累積分布)を測定した。測定の結果、粒径75μm、300μm、510μmの累積体積は、それぞれ44.07%、81.44%、91.42%であった。
小麦全粒粉製造例2
北海道産中間質小麦を用いて、衝撃式粉砕機で粉砕し、小麦全粒粉を得た(全粒粉(2))。
得られた小麦全粒粉について、レーザー回折式粒度分布測定装置(HELOS&RODOS、日本レーザー製)を用いて、測定レンジR6にて体積基準の粒子径分布(積算分布または累積分布)を測定した。測定の結果、粒径75μm、300μm、510μmの累積体積は、それぞれ59.33%、86.46%、93.09%であった。
小麦全粒粉製造例3
北米産硬質小麦を用いて、ロール式粉砕機による粉砕と連続した工程の篩機による篩分けを繰り返し行い得られた小麦粉および裾粉と、北海道産中間質小麦を用いて、ロール式粉砕機による粉砕と連続した工程の篩機による篩分けを繰り返し行い得られたふすま(目開き2000μmの篩をすべて通過させた)を、一般的な小麦の構成比に従って再構成して小麦全粒粉を調製した(全粒粉(3))。この小麦全粒粉について、同様にレーザー回折式粒度分布測定装置(HELOS&RODOS、日本レーザー製)を用いて、測定レンジR6にて体積基準の粒子径分布(積算分布または累積分布)を測定した。測定の結果、粒径75μm、300μm、510μmの累積体積は、それぞれ38.20%、75.20%、80.88%であった。
小麦全粒粉製造例1~3で製造した全粒粉(1)~(3)と、市販のパン用小麦粉(「キングスター」昭和産業株式会社製)、市販の小麦全粒粉(粗粉タイプ、「全粒粉D」昭和産業株式会社製)、市販の小麦全粒粉(細粉タイプ、「FH全粒粉」日本製粉株式会社製)とを比較した。市販のパン用小麦粉、市販の小麦全粒粉(粗粉タイプ)、市販の小麦全粒粉(細粉タイプ)の、レーザー回折・散乱法で測定した粒径75μm、300μm、510μmの累積体積は、それぞれパン用小麦粉(参考例1):59.97%、100.00%、100.00%、市販の小麦全粒粉(粗粉タイプ、比較例1):19.10%、50.00%、72.91%、市販の小麦全粒粉(細粉タイプ、比較例2):72.83%、99.32%、100.00%であった(表1)。
試験例1
[サンドイッチ用食パンの製造]
小麦全粒粉として全粒粉(1)~(3)と、比較例1として市販の小麦全粒粉(粗粉タイプ)、比較例2として市販の小麦全粒粉(細粉タイプ)、を、いずれも市販のパン用小麦粉70質量部に対して30質量部使用し、以下の表1の原料の配合で標準中種法によりサンドイッチ用食パンを製造した。参考例1は、市販のパン用小麦粉のみを使用して同様にサンドイッチ用食パンを製造した。
Figure 2022044079000001
注:表1の体積基準粒度分布累積(%)は、本捏に用いたパン用小麦粉または各全粒粉の体積基準粒度分布累積(%)である。
サンドイッチ用食パンの製造は、以下のとおり行った。
(1)中種の作製
中種の全材料をミキサーボウルに入れ、低速で3分間、中速で3分間混捏し、24℃に捏ね上げた。続いて、28℃、75%RHで4時間発酵させた。
(2)本捏工程
発酵を終えた中種と本捏材料をミキサーボウルに入れ、低速で3分間、中速で3分間混捏してからショートニングを投入し、さらに低速で3分間、中速で3分間混捏し、27℃に捏ね上げた。続いて、28℃、75%RHで20分間発酵させた。
(3)生地を220gに分割して丸め、20分間室温で休ませてから、ミニモルダーを使用して棒状に成形してから、3斤食パン型にUの字に生地を6個詰め、38℃、85%RHで50分間最終発酵させた。
(4)食パン型に蓋をし、200℃のオーブンで40分間焼成した。
[サンドイッチ用食パンの評価]
実施例1~3、比較例1、2の全粒粉を使用した5種類の食パン生地と、参考例1のパン用小麦粉のみを使用した食パン、計6種類の食パン生地について、10名の専門パネルによって、二次加工性(生地のつながり:ミキシング終了時の生地形成の進みやすさ)について、評価基準に従い評価した。
焼成した食パンを放熱した後袋に入れ、翌日12mm厚にスライスし、卵フィリングをサンドしてサンドイッチに加工し、出来上がったサンドイッチを冷蔵庫(5℃)に入れて、その翌日に試食評価を行った。
実施例1~3、比較例1、2、参考例1の全粒粉を使用した計6種類の食パンについて、10名の専門パネルによって、食感(しっとり感、ソフト感)、外観(ふすま片の見え方)の4項目について、評価基準に従い評価した。評価基準は下記のとおりであり、評価結果を表1に示す。
[評価基準]
(1)二次加工性評価
上記食パン生地の製造時における生地のつながり、生地膜の伸びやすさを二次加工性として評価した。専門パネル10名により、以下の評価基準で官能評価を行い、その平均値を評価点とした。評価点の算出方法は、以下の(2)~(4)でも同じである。
評価基準
5:生地のつながりが非常に良く、膜が薄く伸びやすい(=参考例1または4)
4:生地のつながりが良く、膜が薄く伸びやすい
3:生地のつながりがやや良く、膜がやや薄く伸びやすい
2:生地のつながりが悪く、膜が薄く伸びにくい(膜が厚い)
1:生地のつながりが非常に悪く、膜が薄く伸びにくい(膜が厚い)
(2)食感(しっとり感)
上記食パンの食感におけるしっとり感について、官能評価を行った。
評価基準
5:非常にしっとりした食感である(=参考例1または4)
4:しっとりした食感である
3:ややしっとりした食感である
2:やや乾いた感じの食感である
1:乾いてざらついた感じの食感である
(3)食感(ソフト感)
上記食パンの食感におけるソフト感について、官能評価を行った。
評価基準
5:非常にふんわりとし、ソフトな食感である(=参考例1または4)
4:ふんわりとし、ソフトな食感である
3:ややソフトな食感である
2:やや重い食感である
1:重い食感である
(4)外観
上記食パンのふすま片の見え方について、官能評価を行った。
評価基準
5:茶色い粒が目立ち、健康感を想起させる
4:茶色い粒がやや目立ち、やや健康感を想起させる
3:茶色い粒がわずかに見える
2:茶色い粒はほとんど見えず、やや均質である
1:茶色い粒は無く、均質である(=参考例1、2、3または4)
[評価結果]
実施例1~3または比較例1、2の小麦全粒粉含むパンの評価結果から、本発明の小麦全粒粉を用いた場合には、従来の小麦全粒粉を用いた場合と比較して、二次加工性、食感、および外観の3つの評価のバランスが、非常に良好になることがわかった。
比較例1では、ふすま片以外にも粒の大きな胚乳であるセモリナの存在が観察されるが、実施例1~3および比較例2ではセモリナはほとんど見られない。また、粒以外の生地部分が、比較例1では膜が厚く不均一であるのに対して、実施例1~3および比較例2では、膜が薄く均一であることが観察され、このことにより、食感におけるしっとり感とソフト感が付与されていると考えられる。
試験例2
試験例1において、実施例1の小麦全粒粉の配合量を変えて表2に示す配合量に調整した以外は、試験例1と同じ条件で、サンドイッチ用食パンの製造と加工と評価を行った。得られた評価結果を表2に示す。
Figure 2022044079000002
表2には、全粒粉(1)の配合量が、パン用小麦粉と全粒粉(1)を足して100質量部としたうちの2質量部~80質量部の範囲である場合に、二次加工性、食感、および外観の3つの評価のバランスの良好さが維持されることが示されている。
本発明の小麦全粒粉は、これが配合される小麦粉組成物を使用する小麦粉加工食品において、配合量の上限や下限なく品質的価値の付与効果を充分に発揮できることがわかる。特に、60質量部以下の配合量の場合に、二次加工性、食感、外観の3つの評価のバランスが良く、20~30質量部の配合量とした場合に、より好ましいことがわかる。
試験例3
[中華麺の製造]
小麦全粒粉として、実施例9では全粒粉(1)を、比較例3では市販の小麦全粒粉(粗粉タイプ、「全粒粉D」昭和産業株式会社製)を、いずれも市販の中華麺用小麦粉(「金蘭」昭和産業株式会社製)95質量部に対して5質量部使用し、以下の表3の原料の配合で中華麺を製造した。参考例2は、市販の中華麺用小麦粉のみを使用して同様に中華麺を製造した。
材料を混合し、ミキサーを用いて中速5分間および低速10分間の条件で混捏した。常温で30分間熟成させた後、ロール式製麺機を用いて麺生地から麺帯を製造した。次いで、麺帯を麺厚1.5mmにて切り出し(切刃:角20番)、得られた麺線(生麺)を冷蔵庫で2日間熟成させ、中華麺を得た。得られた中華麺を熱湯で3分間茹でた後、温かいスープ(醤油ラーメンスープ、株式会社創味食品製)に入れて調理し、評価した。
Figure 2022044079000003
実施例9、比較例3および参考例2の中華麺について、10名の専門パネルによって、二次加工性(生地のつながり)、食感(ざらつき)、外観(ふすま片の見え方)の3項目について、下記の評価基準に従い評価した。外観の評価基準ならびに評価点の算出方法は、上記サンドイッチ用食パンと同じである。評価結果を表3に示す。
[評価基準]
(1)二次加工性評価
上記中華麺の製造時における生地のつながり、水なじみを二次加工性として評価した。
評価基準
5:水なじみが非常に良く、生地のつながりが非常に良い(=参考例2)
4:水なじみが良く、生地のつながりが良い
3:水なじみが良く、生地のつながりがやや良い
2:水なじみがやや悪く、生地のつながりがやや悪い
1:水なじみが悪く、生地のつながりが悪い。バサバサする
(2)食感(ざらつき)
上記中華麺の食感におけるざらつきについて、官能評価を行った。
評価基準
5:ざらつきを殆ど感じず、良好(=参考例2)
4:ざらつきをわずかに感じるが、良好
3:ざらつきを感じる
2:ざらつきを強く感じ、不良
1:ざらつきを非常に強く感じ、不良
表3から、本発明の小麦全粒粉を用いた場合には、従来の小麦全粒粉を用いた場合と比較して、中華麺における二次加工性、食感、および外観の3つの評価のバランスが、非常に良好で、可視サイズのふすま片を含み健康観を想起させる外観であるとともに、ざらつきのない滑らかな食感となる麺が得られることがわかる。
試験例4
[えび天ぷらの製造]
小麦全粒粉として、実施例10では全粒粉(2)を、比較例4では市販の小麦全粒粉(粗粉タイプ、「全粒粉D」昭和産業株式会社製)を、参考例3では市販の中力粉(「北海道100」昭和産業株式会社製)を、いずれも天ぷら粉(「黄金」昭和産業株式会社製)90質量部に対して10質量部使用し、以下の表4の原料の配合で天ぷら用バッターを製造した。
えびに打ち粉を付着させた後、各天ぷら用バッターに浸漬してバッターを付着させ、170~180℃の油中に投入し、2分30秒間油ちょうした。油ちょう後10分間放冷後評価した。
Figure 2022044079000004
実施例10、比較例4および参考例3のバッターを使用したえび天ぷらについて、10名の専門パネルによって、食感(油っこさ)、外観(ふすま片の見え方)の2項目について、下記の評価基準に従い評価した。外観の評価基準ならびに評価点の算出方法は、上記サンドイッチ用食パンと同じである。評価結果を表4に示す。
[評価基準]
食感(油っこさ)
上記えび天ぷらの食感における油っこさについて、官能評価を行った。
評価基準
5:油っこさを殆ど感じず、良好
4:油っこさをわずかに感じるが、良好(=参考例3)
3:油っこさを感じるが、良好
2:油っこさを強く感じ、不良
1:油っこさを非常に強く感じ、不良
表4には、本発明の小麦全粒粉を用いた場合には、従来の小麦全粒粉を用いた場合と比較して、天ぷらの油っこさを感じにくい食感の天ぷらが得られ、可視サイズのふすま片を含み健康観を想起させる外観であることが示されている。
試験例5
[パンケーキの製造]
小麦全粒粉として、実施例11では全粒粉(2)を、比較例5では市販の小麦全粒粉(粗粉タイプ、「全粒粉D」昭和産業株式会社製)を、参考例4では市販の中力粉(「北海道100」昭和産業株式会社製)を、いずれもホットケーキミックス(「いろいろ洋菓子が作れるホットケーキミックス」昭和産業株式会社製)120質量部に対して30質量部加え、以下の表5の原料の配合でパンケーキを製造した。
全材料をボウルに入れ、ホイッパーで40回撹拌して生地を調製した。80g/枚を180℃に熱したホットプレートで、3分間焼成し、反転してさらに3分間焼成し、パンケーキを得た。焼成後10分間放冷却後評価した。
Figure 2022044079000005
実施例11、比較例5および参考例4のパンケーキについて、10名の専門パネルによって、食感(しっとり感、ソフト感)、外観(ふすま片の見え方)の3項目について、評価基準に従い評価した。評価基準ならびに評価点の算出方法は、上記サンドイッチ用食パンと同じである。評価結果を表5に示す。
表5には、本発明の小麦全粒粉を用いた場合には、従来の小麦全粒粉を用いた場合と比較して、パンケーキにおけるしっとり感、ソフト感、および外観の3つの評価のバランスが、非常に良好であるパンケーキが得られ、可視サイズのふすま片を含み健康観を想起させる外観であることが示されている。

Claims (6)

  1. 粒径75μmまでの累積体積が30%以上であり、粒径510μmまでの累積体積が80~95%である、小麦全粒粉。
  2. 粒径300μmまでの累積体積が70~90%である、請求項1に記載の小麦全粒粉。
  3. 請求項1または2に記載の小麦全粒粉を含む小麦粉組成物。
  4. 前記小麦全粒粉を5~60質量%含む、請求項3に記載の小麦粉組成物。
  5. 請求項1または2に記載の小麦全粒粉もしくは請求項3または4に記載の小麦粉組成物を含む原料を用いた小麦粉含有食品。
  6. ベーカリー製品、麺、または揚げ物である、請求項5に記載の小麦粉含有食品。
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