JP2017066299A - 樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(A)〜(D)成分を下記の割合で含む樹脂組成物。(A)ポリプロピレン系樹脂16.0〜95.8質量%;(B)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が10〜90質量%であるエチレン酢酸ビニル共重合体1〜40質量%;(C)150℃〜300℃で液体であるリン系難燃剤3〜40質量%;(D)NOR型ヒンダードアミン系化合物0.2〜4.0質量%
【選択図】なし
Description
しかしながら、実施例1では高密度ポリエチレン/EVOH/リン酸第一アンモニウム塩混合物を、反応を伴った溶融混練で製造しているが、未反応成分のブリードアウトが懸念される。予めOH基を含有する高分子とリン酸誘導体難燃剤の化学反応を行い、難燃樹脂成分を製造してからポリオレフィン系樹脂と溶融混練する方法もあるが、工程が増え、コスト高となる。また、VTM−0の高度な難燃性を有する材料は開示されていない。
特許文献4に記載のシクロオレフィン系樹脂をリン酸エステルの相溶化剤として配合を試みたが、混練・加工温度が高くなるため、ポリプロピレン系樹脂の熱分解による低分子量化やNOR型ヒンダードアミンの熱分解が発生し、高い難燃性は得られなかった。
特許文献5に記載のOH基を含有する高分子をリン酸エステルの相溶化剤として試みたが、リン酸エステルがEVOHのOH基と反応しなかった。また、EVOHとリン酸エステルとの相溶性が低いためリン酸エステルがブリードアウトし、透明性及び外観が悪く、高い難燃性は得られなかった。
1.下記(A)〜(D)成分を下記の割合で含む樹脂組成物。
(A)ポリプロピレン系樹脂 16.0〜95.8質量%
(B)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が10〜90質量%であるエチレン酢酸ビニル共重合体 1〜40質量%
(C)150℃〜300℃で液体であるリン系難燃剤 3〜40質量%
(D)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜4.0質量%
2.下記式(1)を満たす1に記載の樹脂組成物。
X≦3.7225×Y+3・・・(1)
(式中、Xは前記(C)成分の樹脂組成物中の含有割合(質量%)であり、Yは前記(A)〜(D)成分の合計量中の、前記(B)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量(質量%)である。)
3.前記(B)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が30質量%以上である1又は2に記載の樹脂組成物。
4.前記(B)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が40質量%以上である1又は2に記載の樹脂組成物。
5.前記(B)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が70質量%以下である1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
6.前記(B)成分と前記(C)成分との含有量の質量比((B)/(C))が1以上である1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
7.前記(B)成分のMFRが0.5〜30g/10分である1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
8.前記(C)成分中のリン含有量が8質量%以上である1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
9.前記(C)成分がリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物及びホスホン酸エステル化合物から選ばれる少なくとも1つである1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
10.前記(C)成分がリン酸エステル化合物である1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
11.前記(C)成分が下記式(20)で表される化合物である1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
12.前記式(20)中のnが0〜10である11に記載の樹脂組成物。
13.前記(C)成分がトリフェニルホスフェート、レゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェート及びレゾルシノールビス−ジフェニルフォスフェートから選ばれる少なくとも1つである1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
14.前記(C)成分がトリフェニルホスフェート及びレゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェートから選ばれる少なくとも1つである1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
15.前記(C)成分がレゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェートである1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
16.前記(A)成分がホモポリプロピレン及びランダムポリプロピレンから選ばれる少なくとも1つである1〜15のいずれかに記載の樹脂組成物。
17.前記(A)成分がホモポリプロピレンである1〜15のいずれかに記載の樹脂組成物。
18.前記(A)成分のMFRが0.5〜30g/10分である1〜17のいずれかに記載の樹脂組成物。
19.前記(D)成分中にカーボネート結合が含まれる1〜18のいずれかに記載の樹脂組成物。
20.前記(A)成分の含有量が46.0〜91.8質量%である1〜19のいずれかに記載の樹脂組成物。
21.前記(B)成分の含有量が5質量%以上である1〜20のいずれかに記載の樹脂組成物。
22.前記(B)成分の含有量が30質量%以下である1〜21のいずれかに記載の樹脂組成物。
23.前記(B)成分の含有量が20質量%以下である1〜21のいずれかに記載の樹脂組成物。
24.前記(C)成分の含有量が5質量%以上である1〜23のいずれかに記載の樹脂組成物。
25.前記(C)成分の含有量が15質量%以上である1〜23のいずれかに記載の樹脂組成物。
26.前記(C)成分の含有量が20質量%以下である1〜25のいずれかに記載の樹脂組成物。
27.前記(C)成分の含有量が10質量%以下である1〜24のいずれかに記載の樹脂組成物。
28.1〜27のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
29.1〜27のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなるシート。
30.29に記載のシートにポリプロピレンを積層した積層シート。
31.1〜27のいずれかに記載の樹脂組成物からなる溶融樹脂を急冷して成形された樹脂シート。
32.前記急冷を表面温度が露点以上50℃以下に保たれた冷却ロールを用いて行う31に記載の樹脂シート。
33.29に記載のシート、30に記載の積層シート、又は31もしくは32に記載の樹脂シートを用いて附形して得られた成形品。
34.前記シート、前記積層シート、又は前記樹脂シートを成形用金型の内面に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して得られたものである33に記載の成形品。
35.前記成形品は、前記シート、前記積層シート、又は前記樹脂シートが非平面状に成形された成形品であり、
前記成形品は、前記シート、前記積層シート、又は前記樹脂シートを成形用金型の内面に合致するように附形し、得られた附形品を前記成形用金型の面に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して得られたものである33に記載の成形品。
36.被覆される芯材を配設したチャンバーボックス内を減圧状態とし、前記前記シート、前記積層シート、又は前記樹脂シートを加熱軟化させ、前記チャンバーボックス内を加圧して、前記加熱軟化させた前記シート、前記積層シート、又は前記樹脂シートを前記芯材に押圧して被覆し、一体化して得られたものである33に記載の成形品。
37.基体の少なくとも一部に成形体を設ける成形物の製造方法であって、複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、前記鏡面エンドレスベルトと前記鏡面冷却ロールの表面温度が露点以上50℃以下に保たれた装置を用い、前記鏡面冷却ロールと前記鏡面エンドレスベルトとの間に、Tダイ押出機に1〜27のいずれかに記載の樹脂組成物からなる溶融樹脂をより押し出して導入し、圧接してシート状に成形するとともに、前記鏡面エンドレスベルトに前記鏡面エンドレスベルトの表面温度より低い温度の冷却水を吹き付けることによって急冷して透明な樹脂シートを製造する工程と、前記樹脂シートを非平面状に成形して前記基体の少なくとも一部に設ける工程と、を実施する成形物の製造方法。
本発明の樹脂組成物は下記(A)〜(D)成分を下記の割合で含む。
(A)ポリプロピレン系樹脂 16.0〜95.8質量%
(B)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が10〜90質量%であるエチレン酢酸ビニル共重合体 1〜40質量%
(C)150℃〜300℃で液体であるリン系難燃剤 3〜40質量%
(D)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜4.0質量%
以下、各成分について説明する。
(A)成分のポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等が挙げられる。(A)成分のポリプロピレン系樹脂の配合により、耐溶剤性を付与することができる。
ホモポリプロピレンはプロピレンの単独重合体であり、ブロックポリプロピレンはエチレンとプロピレンのブロック共重合体であり、ランダムポリプロピレンはエチレンとプロピレンのランダム共重合体である。これらは従来の公知の方法によって得られるものを用いることができる。また、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アイソタクチックペンタッド分率等で表現される立体規則性、溶融張力及びスウェル比等の溶融特性等は特に限定されない。また、透明性向上のために、結晶核剤等の添加剤を添加してもよい。
(A)成分のMFRは、JIS K7210の方法に従って、230℃で2.16kgの荷重で測定する。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の樹脂や加工助剤成分を添加することができる。
難燃性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテルであるSABIC社製のノリルPPO640、ナイロン6であるユニチカ株式会社製A1020LP等が挙げられる。
難燃性樹脂の添加量は、透明性が低下しない範囲(約10質量%以下)が好ましい。
鉱物油系軟化剤は高沸点の石油留分であり、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものはパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系鉱物油系軟化剤と呼ばれている。
(B)成分のエチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレンと酢酸ビニルから得られる共重合体であり、(A)成分のポリプロピレン系樹脂と(C)成分のリン系難燃剤との相溶化剤として作用する。(B)成分は(C)成分のリン系難燃剤を組成物中に均一分散させるため、樹脂組成物の溶融混練が可能となり、優れた難燃性を得ることができる。また、樹脂組成物における(C)成分のリン系難燃剤のブリードアウトが抑制され、透明性を向上することができる。
(B)成分のMFRは、JIS K 6924−1の方法に従い、190℃で、2.16kg荷重で測定する。
X≦3.7225×Y+3・・・(1)
(式中、Xは(C)成分の樹脂組成物中の含有割合(質量%)であり、Yは(A)〜(D)成分の合計量中の、前記(B)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量(質量%)である。)
(B)/(C)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上である。
(B)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分のリン系難燃剤は、150℃〜300℃で液体、即ち、融点が300℃以下である難燃剤である。溶融混錬時に固体である難燃剤(例えば融点を有さない難燃剤)を用いると、溶融混練時に難燃剤が液体状ではないため、(A)成分又は(B)成分に均一に分散せず、物性低下を起こしたり、難燃性が低下したりするおそれがある。
これらの中で好ましくは、トリフェニルフォスフェート(TPP)、トリクレジルフォスフェート(TCP)、レゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェート、レゾルシノールビス−ジフェニルフォスフェート、ビスフェノールAビス−ジフェニルフォスフェート(BADP)、ビフェノールビス−ジフェニルフォスフェート、ビフェノールビス−ジキシレニルフォスフェートであり、より好ましくは、トリフェニルフォスフェート(TPP)、レゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェート、レゾルシノールビス−ジフェニルフォスフェートであり、さらに好ましくは、レゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェートである。
この中で好ましくは、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(メトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼンであり、より好ましくは、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼンであり、さらに好ましくは、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼンである。
炭化水素基としては、鎖状(直鎖及び分岐鎖のいずれでもよい)及び環状(単環、縮合多環、架橋環及びスピロ環のいずれでもよい)のいずれであってもよく、例えば、側鎖を有する環状炭化水素基が挙げられる。また、炭化水素基は、飽和及び不飽和のいずれでもよい。
炭化水素基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
3質量%以上であれば、VTM−0の高度な難燃性が得られる。40質量%以下であれば、(A)成分のポリプロピレン系樹脂と相溶性が低い(C)成分のリン系難燃剤の含有量が適量であるため、(B)成分の特定のエチレン酢酸ビニル共重合体が特定量含まれていれば、(C)成分のリン系難燃剤の相分離がなく、均一に溶融混練ができる。
リン含有量が8質量%以上であると、難燃性性能を有するリン原子を充分含有するため、難燃性に優れる。
リン含有量は、吸光光度法にて測定する。
シクロアルキル基としてはシクロヘキシル等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル、クレジル、キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−トリメチルフェニル、ブチルフェニル、ノニルフェニル等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
化合物No.1(トリフェニルホスフェート)は、例えば大八化学工業株式会社のTPP、化合物No.2(レゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェート)は、例えば大八化学工業株式会社のPX−200、化合物No.3(レゾルシノールビス−ジフェニルフォスフェート)は、例えば大八化学工業株式会社のCR−733S等が使用できる。
(C)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分のNOR型ヒンダードアミン系化合物(安定剤)は、光安定化剤としてよく知られるものであるが、難燃剤としての機能も有することが知られている。
NOR型ヒンダードアミン系安定剤ではなく、N−メチル型ヒンダードアミン系安定剤又はN−H型ヒンダードアミン系安定剤の場合、難燃性が低下するおそれがある。
(a)1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−オクタデシルアミノピペリジン
(b)ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート
(c)2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−s−トリアジン
(d)ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジペート
(e)4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と、2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−s−トリアジンで末端キャップされた2,4−ジクロロ−6−[(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−s−トリアジンとの縮合生成物であるオリゴマー性化合物
(f)4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と、2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−s−トリアジンで末端キャップされた2,4−ジクロロ−6−[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−s−トリアジンとの縮合性生成物であるオリゴマー性化合物
(g)2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−ピペリジン−4−イル)−6−クロロ−s−トリアジン
(h)過酸化処理した4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンと、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジンと、シクロヘキサンと、N,N’−エタン−1,2−ジイルビス(1,3−プロパンジアミン)との反応生成物(N,N’,N’’’−トリス{2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルアミノ]−s−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン)
(i)ビス(1−ウンデカノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート
(J)1−ウンデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン
(k)ビス(1−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート
(D)成分のNOR型ヒンダードアミン系安定剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
0.2質量%以上であれば、高度な難燃性のVTM−0が得られる。また、4質量%以下であれば、可塑剤として作用する(D)成分による溶融混練及び成形加工時のペレット及びシートの融着、着色等の問題がなく、良質なペレット及びシートが得られ、また高価なNOR型ヒンダードアミン系安定剤の多量添加によるコスト高を避けることができる。
本発明の樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の添加剤、加工助剤等を添加することができる。これら添加剤等としては、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、核剤、金属不活性化剤、充填剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第3ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第3ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第3ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第3ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第3ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6―ジ第3ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第3ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第3ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第3ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第3ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第3ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用してもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第3ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第3ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第3オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第3オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第3ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第3ブチルフェニル−3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第3アミルフェニル−3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用してもよい。
脂肪族アミド系滑剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド等が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用してもよい。
脂肪族エステル系滑剤としては、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリル酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ヤシ脂肪酸オクチルエステル、ステアリン酸オクチル、牛脂脂肪酸オクチルエステル、ラウリル酸ラウリル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ミリスチン酸セチル、炭素数28〜30の直鎖状で分岐がない飽和モノカルボン酸(以下モンタン酸と略記する)とエチレングリコールのエステル、モンタン酸とグリセリンのエステル、モンタン酸とブチレングリコールのエステル、モンタン酸とトリメチロールエタンのエステル、モンタン酸とトリメチロールプロパンのエステル、モンタン酸とペンタエリスリトールのエステル、グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスクイオレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用してもよい。
脂肪酸系滑剤のうち不飽和脂肪酸として、具体的には、ミリストレイン酸(テトラデセン酸)、パルミトレイン酸(ヘキサデセン酸)、オレイン酸(cis−9−オクタデセン酸)、エライジン酸(trans−9−オクタデセン酸)、リシノール酸(オクタデカジエン酸)、バクセン酸(cis−11−オクタデセン酸)、リノール酸(オクタデカジエン酸)、リノレン酸(9,11,13−オクタデカトリエン酸)、エレステアリン酸(9,11,13−オクタデカトリエン酸)、ガドレイン酸(イコサン酸)、エルカ酸(ドコサン酸)、ネルボン酸(テトラドコサン酸)等が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用してもよい。
具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(3−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムメソスルフェート、(3−ラウリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ステアロアミドプロピルジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム硝酸塩、ステアロアミドプロピルジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムリン酸塩、カチオン性ポリマー、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硝酸エステル塩、リン酸アルキルエステル塩、アルキルホスフェートアミン塩、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ジグリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリエーテルブロックコポリマー、セチルベタイン、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステル等が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用してもよい。
アルキル置換ベンジリデンソルビトール等のソルビトール類としては、例えば、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−o−メチルベンジリデン2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール。リン系としては、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、有機リン酸塩系複合品。その他、安息香酸ナトリウム、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、酸化アルミニウム、カオリンクレー、タルク、ロジン類、石油樹脂類等が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用してもよい。
具体的には、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、イソフタル酸ビス(2−フェノキシプロピオニルヒドラジド)、デカンジカルボン酸ジサリチロイルビドラジド、シュウ酸ビスベンジリデンヒドラジド、N,N’−ビス{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシル]エチル}オキサミド、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4,−トリアゾール、酸アミド系、メラミン、トリス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5−t−ブチル)フェニル−5−メチル]ホスファイト等が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用してもよい。
「実質的に(A)成分〜(D)成分及び任意添加成分のみからなる」とは、組成物の95質量%以上100質量%以下(好ましくは98質量%以上100質量%以下)が(A)成分〜(D)成分であるか、又は(A)成分〜(D)成分及び任意添加成分であることを意味する。
尚、本発明の組成物は本発明の効果を損なわない範囲で(A)成分〜(D)成分及び任意添加成分の他に不可避不純物を含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物は、各成分を任意の方法で溶融混練することによって製造することができる。例えば、ヘンシェルミキサーに代表される高速撹拌機、バンバリーミキサーに代表されるバッチ式混練機、単軸又は二軸の連続混練機、ロールミキサー等を単独で、又は組み合わせて用いる方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物を成形することによって、シート等の成形体を製造することができる。
成形方法としては、従来公知の成形方法を採用することができ、例えば、射出成形、シート成形、押出成形、異形押出成形、熱プレス成形等が挙げられる。このうち、得られる成形品の外観に優れることや経済性な観点から、溶融押出機を用いてシート成形する方法が好ましい。これらの成形条件は特に限定されない。
本発明の成形体は、ポリプロピレンの特徴である耐トラッキング性、電気絶縁性及び耐薬品性等が必要とされる用途に好適に使用することができる。具体的には、成形体のうち、透明薄肉成形体は、例えばデスクトップパソコンやノート型パソコン等のコンピューター部品、携帯電話部品、電気・電子機器、携帯情報端末、家電製品部品、自動車部品、産業資材及び建築材等に用いられることが好ましい。特に、透明薄肉成形体は、ディスプレイフィルム、加飾フィルム、絶縁シート、マスキングシート、及び養生シートとすることが好ましい。さらに近年、透明薄肉成形体の要望が高まっている加飾シート、バッテリーケース、プラスチックフレーム等も好適な用途として挙げることができる。
本発明のシートにポリプロピレンを積層して積層シートとすることができる。ポリプロピレンを積層することにより、本発明のシートがシート成形ラインと直接接触することを回避することでき、リン系難燃剤の付着を防止することができる。
また、ポリプロピレンにNOR型ヒンダードアミン系化合物(安定剤)を添加することで、耐候性及び難燃性を付与することができる。NOR型ヒンダードアミン系化合物は上記と同様である。
本発明の樹脂組成物からなる溶融樹脂を急冷して成形することにより、本発明の樹脂シートを得ることができる。急冷することにより、複雑な形状に成形してもシートが白化せず、優れた意匠性を付与できる。また、透明性をさらに高めることができる。
この場合、急冷を表面温度が露点以上50℃以下に保たれた冷却ロールを用いて行うことが好ましい。このようにすることで、シートの白化をさらに防止することができる。
この場合、鏡面冷却ロールと鏡面エンドレスベルトとの間に、Tダイ押出機によって樹脂組成物からなる溶融樹脂を導入、圧接してシート状に成形し、鏡面エンドレスベルトに当該ベルトの表面温度より低い温度の冷却水を吹き付けて急冷してシートを製造する。
図1に示す製造装置は、押出機のTダイ12、第1冷却ロール13、第2冷却ロール14、第3冷却ロール15、第4冷却ロール16、金属製エンドレスベルト17、冷却水吹き付けノズル18、水槽19、吸水ロール20、剥離ロール21を備える。
このように構成された製造装置を用いた急冷によるシート11の製造方法を以下に説明する。
この際、第1冷却ロール13及び第4冷却ロール16間の押圧力で弾性材22が圧縮されて弾性変形する。
この弾性材22が弾性変形している部分、即ち、第1冷却ロール13の中心角度θ1に対応する円弧部分で、急冷されたシートは各冷却ロール13、16により面状圧接されている。この際の面圧は、通常0.1MPa以上20MPa以下である。
吹き付けられた冷却水は、水槽19に回収されるとともに、回収された水は排水口19Aより排出される。
尚、金属製エンドレスベルト17の裏面に付着した水は、第4冷却ロール16から第2冷却ロール14への移動途中に設けられている吸水ロール20により除去される。
本発明の成形体(シート)、積層シート又は樹脂シート(以下、これらを「シート等」と言うことがある)を附形することにより成形品とすることができる。附形は、通常、熱成形により行う。
具体的に、インサート形成は、シート等が非平面状に成形されることを特徴とし、シート等を成形用金型の内面に合致するよう附形し、附形品を成形用金型の内面に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行う。
具体的に、インモールド形成は、シート等を成形用金型の内面に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行う。
具体的に、被覆形成は、被覆される芯材を配設したチャンバーボックス内を減圧状態とし、シート等を加熱軟化させ、チャンバーボックス内を加圧して加熱軟化させたシート等を芯材に押圧して被覆し、一体化して行う。
上記のインサート成形、インモールド成形、被覆成形に限らず、例えば被覆後にシートを剥してインキのみを残す転写成形法等、シート等を基体の一部に備えることが可能な各種方法を利用できる。また、シート等は、成形物の表面の一部に1つのみ設けた構成に限らず、複数の成形体を設けてもよい。
(A)ポリプロピレン層(本発明のシート)/基体
(B)ポリプロピレン層(本発明のシート)/印刷層/基体
(C)印刷層/ポリプロピレン層(本発明のシート)/基体
(D)ポリプロピレン層(本発明のシート)/印刷層/ポリプロピレン層B(基材層)/基体
(E)印刷層/ポリプロピレン層(本発明のシート)/印刷層/基体
(F)ポリプロピレン層(本発明のシート)/印刷層/金属薄膜層/基体
(G)ポリプロピレン層(本発明のシート)/蒸着層/基体
(H)蒸着層/ポリプロピレン層(本発明のシート)/基体
(I)ポリプロピレン層(本発明のシート)/蒸着層/ポリプロピレン層B(基材層)/基体
(J)印刷層/ポリプロピレン層(本発明のシート)/印刷層/基体
(K)ポリプロピレン層(本発明のシート)/易接着層/印刷層/基体
(L)ポリプロピレン層(本発明のシート)/易接着層/蒸着層/基体
(C)の構成では、印刷層が例えばインサート成形時の熱に弱い場合でも、インサート成形時の熱で変性せず、良好な印刷層を形成できる。
(D)の層構成では、基材層を設けているので、インサート成形時の熱で変形せず、良好印刷層を形成でき、ポリプロピレン層が印刷の剥れを防止できることから加飾等の意匠性を向上することが容易にできる。
(E)の層構成では、印刷層を複数設けることで、高い意匠性を提供できる。
(F)の層構成では、アルミニウム層等の反射特性を有する金属薄膜層を設けることで、高い意匠性を提供できる。
(G)の層構成では、表面側に位置するポリプロピレン層により、蒸着層が保護された状態となり、蒸着層による良好な意匠性を長期間安定して提供できる。
(H)の構成では、蒸着層が例えばインサート成形時の熱に弱い場合でも、インサート成形時の熱で変性せず、良好な蒸着層を形成できる。
(I)の層構成では、基材層を設けているので、インサート成形時の熱で変形せず、良好蒸着層を形成でき、ポリプロピレン層が蒸着層の剥れを防止できることから加飾等の意匠性を向上することが容易にできる。
(J)の層構成では、蒸着層を複数設けることで、高い意匠性を提供できる。
(K)の層構成では、ポリプロピレン層と印刷層の間に易接着層を設けているので、印刷層のインキの密着性を向上することができる。
(L)の層構成では、ポリプロピレン層と蒸着層の間に易接着層を設けているので、蒸着層の金属又は金属酸化物の密着強度を向上することができる。
さらに、上記層構成中に他の層を設けてもよい。
実施例及び比較例で用いた成分を以下に示す。尚、[(X’)成分]とは、本発明で用いるX成分には該当しないが、X成分に対応する成分であることを示す。
・ホモポリプロピレンA [MFR=0.5g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製 E−105GM]
・ホモポリプロピレンB [MFR=3.0g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー F−133A]
・ホモポリプロピレンD [MFR=30g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー F109V]
・ランダムポリプロピレンA [MFR=7.0g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー F−744NP]
・ランダムポリプロピレンB [MFR=25g/10分(230℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製 F329RA]
・エチレン−プロピレンブロック共重合体G [MI=3g/10分(210℃、2.16kg)、株式会社プライムポリマー製J−466HP]
・エチレン酢酸ビニル共重合体A [MFR=1g/10分(190℃、2.16kg)、酢酸ビニル含有量40質量%、LANXESS社製 レパプレン400]
・エチレン酢酸ビニル共重合体B [MFR=1.7g/10分(190℃、2.16kg)、酢酸ビニル含有量50質量%、LANXESS社製 レパプレン500]
・エチレン酢酸ビニル共重合体C [MFR=3.8g/10分(190℃、2.16kg)、酢酸ビニル含有量70質量%、LANXESS社製 レパプレン700]
・エチレン酢酸ビニル共重合体D [MFR=5.0g/10分(190℃、2.16kg)、酢酸ビニル含有量24質量%、NUC社製 NUC−3195]
・エチレン酢酸ビニル共重合体G [MFR=5.5g/10分(190℃、2.16kg)、酢酸ビニル含有量6質量%、NUC社製 NUC−3660]
・シクロオレフィンポリマー [MFR=10g/10分(260℃、2.16kg)、ガラス転移温度123℃、日本ゼオン社製 ZEONEX330R]
・スチレン系エラストマー [MFR=2.0g/10分(230℃、2.16kg)、スチレン/エチレン・ブチレン比=67/33、旭化成ケミカルズ社製 タフテックH1043]
・エチレン−ビニルアルコール共重合体 [MFR=12g/10分(210℃、2.16kg)、エチレン含有量44mol%、日本合成化学工業社製 ソアノールA4412]
・リン酸エステルA(化合物No.1): トリフェニルホスフェート[大八化学工業株式会社製 TPP、融点49℃、リン含有量9.5%]
・リン酸エステルB(化合物No.2): レゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェート[大八化学工業株式会社製 PX−200、融点92℃、リン含有量9.0%]
・リン酸エステルC(化合物No.3): レゾルシノールビス−ジフェニルフォスフェート[大八化学工業株式会社製 CR−733S、23℃で液体、リン含有量10.5%]
・リン酸エステルD(化合物No.4): ビフェノールビス−ジフェニルフォスフェート[株式会社ADEKA製 FP−900、23℃で液体、リン含有量9.5%]
・リン酸エステルE(化合物No.5): ビフェノールビス−ジキシレニルフォスフェート[大八化学工業株式会社製 PX−202、融点170℃、リン含有量9.0%]
・リン酸エステルF(化合物No.6): ビスフェノールAビス−ジフェニルフォスフェート[株式会社ADEKA製 FP−600、23℃で液体、リン含有量8.8%]
・ホスファゼン化合物 [株式会社伏見製薬所製 ラビトルFP−110、融点109℃、リン含有量13%]
・ホスホン酸エステル化合物 [丸菱油化工業株式会社製 ノンネン73、融点100℃、リン含有量10%]
・リン酸アミン塩化合物[株式会社ADEKA製 FP2100JC、融点なし、リン含有量20%]
・NOR型ヒンダードアミン系安定剤A [BASF社製 FlamestabNOR116FF]
・NOR型ヒンダードアミン系安定剤B [BASF社製 TINUVIN NOR371]
・NOR型ヒンダードアミン系安定剤C [BASF社製 TINUVIN123S]
・NOR型ヒンダードアミン系安定剤D [BASF社製 TINUVIN XT855FF]
・NOR型ヒンダードアミン系安定剤E [株式会社ADEKA製 LA−81]
・N−メチル型ヒンダードアミン系安定剤 [株式会社ADEKA製 LA−52]
・N−H型ヒンダードアミン系安定剤 [株式会社ADEKA製 LA−57]
(分散剤・滑剤)
グリセリンモノステアレート [ライオン株式会社製 GS95P]
(フェノール系酸化防止剤)
テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン [株式会社ADEKA製 アデカスタブAO60]
(リン系酸化防止剤)
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト [株式会社ADEKA製 アデカスタブ2112]
1.樹脂組成物及びペレットの製造
(A)〜(D)成分及びその他成分を混合し、二軸押出機によって溶融混練し、樹脂組成物からなるペレットを作製し、このペレットをシート状に成形した。以下、各工程について説明する。
(1)予備混合
各成分を表1〜5に示す組成で配合し、ヘンシェルミキサーで予備混合した。
実施例1〜5、11〜17は、(A)〜(D)成分及びその他難燃剤・充填剤の合計量100質量部に対して、GS95P(0.3質量部)、アデカスタブAO60(0.1質量部)及びアデカスタブ2112(0.2質量部)を添加剤として添加した。
表1〜5中の配合量の単位は質量%である。
(2)溶融混練
得られた予備混合物を、二軸混練機(シーティーイ株式会社製 商品名CTM35)を用いて200〜230℃で混練して組成物を作製し、ストランドカットを用いてペレット化した。
実施例1〜5、11〜17においては、小平製作所社製のプレス成形機PY−50/50Aを用いて以下のようにシートを製造した。即ち、上記で得られたペレット9gを200℃に加熱し、30トンの圧力で1分加圧した。次いで、水冷プレスで30トンの圧力で3分間加圧し、厚さ0.2mmのプレスシートを得た。
・押出機の直径:90mm
・Tダイの幅:800mm
・シートの引き取り速度:10m/min
・第4冷却ロール及び金属製エンドレスベルト17の表面温度:14℃
・冷却水温度:8℃
・冷却水吹き付け量:200リットル/min
上記で得られた樹脂組成物及び成形体(シート)について、以下の評価を行った。結果を表1〜5に示す。
上記の溶融混練において、以下のように混練性を評価した。即ち、溶融混練時にポリプロピレン系樹脂とリン系難燃剤の相溶性が低く、以下のような生産不良現象があった場合を×とした。
・ポリプロピレン系樹脂のペレット又は溶融物が開放ベント又は真空ベントから噴出した。
・吐出量が不安定になり、サージング現象が起こり、ストランド切れが発生した。
・水槽にリン系難燃剤が溶出(ブリードアウト)し、排出水を汚染した。
・シクロオレフィンポリマーのような融点の高い樹脂を使用して、高温(280℃)で混練し、難燃剤及びエチレン−酢酸ビニル共重合体等が熱分解して激しく着色した。
上記の問題がない場合を○とした。
プレス成形で得られた厚さ0.2mmのプレスシートを、幅50mm、長さ200mmに切出して試料を作製した。Atlas社製のHVULプラスチックUL燃焼テストチャンバーを用い、作製した試料について、UL94−VTMテスト規格に準じて20mm垂直燃焼試験を行った。5本の試料について、それぞれ1回目と2回目の燃焼時間及び綿の発火の有無等から、UL94−VTM規格に従って燃焼ランクをつけた。
燃焼ランクは「VTM−0」が最高であり、「VTM−1」、「VTM−2」となるに従って難燃性は低下する。「VTM−0」〜「VTM−2」のいずれにも該当しないものは「not−VTM」とした。
透明性は内部ヘイズ値にて評価を行った。内部ヘイズ値が低いほど透明であることを表す。
内部ヘイズ値は、シート表面粗さの影響を除外してシート内部の透明性を測定するため、シート表面にシリコーンを塗布して、両面をガラス板で挟んだ状態でヘイズを測定する。このヘイズ値からガラスのみのヘイズ値を除算することで、内部ヘイズを測定する。尚、ヘイズの測定は、日本電色工業株式会社製ヘイズメーターNDH−200を用いて試験規格JIS K 7136に従って測定した。
アズワン株式会社製定温乾燥器DO−600FAを用い、シートを、40℃、湿度30〜40%の状態で7日間処理してブリード評価を行った。
上記の処理前と処理後の内部ヘイズ値を測定し、その変化した値で評価を行った。変化値が大きいとブリードが多く、変化値が小さいとブリードが少ないことを表す。
これらの評価方法は以下の通りである。
赤外線ヒーターにてシートを表面温度145℃に加熱し、成形前の表面積Xに対する成形後の表面積Yの大きさの割合(Y/X)が2.42である金型に真空及び圧縮空気にて押し付けて冷却することで熱成形した。伸び率は、予め印刷した1mm角の方眼模様の成形後の長さを測定して算出した。白化は熱成形品の片面を黒色塗料で塗装し、塗装面とは逆側から目視にて白化を評価した。白化の評価は、黒色がクリアに見えるものを○、黒色が白みかかって見えるものを×とした。
実施例1と同様にして、各成分を表1〜4に示す組成で配合し、樹脂組成物及びペレットを製造する。添加剤も実施例1と同様に加える。また、実施例1と同様にして成形し、得られる樹脂組成物及び成形体(シート)について評価を行う。想定される結果を表1〜4に示す。
また、本発明の樹脂組成物のうち特定のものから得られたシートは透明性が改善され、ブリードの発生もなく、外観が良好であることが分かる。
また、本発明の樹脂組成物を用いて急冷ベルト式冷却を備える押出機で製膜したシートは、従来の公知のエアーナイフ式冷却を備える押出機で製膜したシートに比較して、さらに透明性が良好で、シート成形体の白化がない。
12 Tダイ
13 第1冷却ロール
14 第2冷却ロール
15 第3冷却ロール
16 第4冷却ロール
17 金属製エンドレスベルト
18 冷却水吹き付けノズル
19 水槽
19A 排水口
20 吸水ロール
21 剥離ロール
22 弾性材
Claims (37)
- 下記(A)〜(D)成分を下記の割合で含む樹脂組成物。
(A)ポリプロピレン系樹脂 16.0〜95.8質量%
(B)酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が10〜90質量%であるエチレン酢酸ビニル共重合体 1〜40質量%
(C)150℃〜300℃で液体であるリン系難燃剤 3〜40質量%
(D)NOR型ヒンダードアミン系化合物 0.2〜4.0質量% - 下記式(1)を満たす請求項1に記載の樹脂組成物。
X≦3.7225×Y+3・・・(1)
(式中、Xは前記(C)成分の樹脂組成物中の含有割合(質量%)であり、Yは前記(A)〜(D)成分の合計量中の、前記(B)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量(質量%)である。) - 前記(B)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が30質量%以上である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記(B)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が40質量%以上である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記(B)成分中の酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が70質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(B)成分と前記(C)成分との含有量の質量比((B)/(C))が1以上である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(B)成分のMFRが0.5〜30g/10分である請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(C)成分中のリン含有量が8質量%以上である請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(C)成分がリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物及びホスホン酸エステル化合物から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(C)成分がリン酸エステル化合物である請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記式(20)中のnが0〜10である請求項11に記載の樹脂組成物。
- 前記(C)成分がトリフェニルホスフェート、レゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェート及びレゾルシノールビス−ジフェニルフォスフェートから選ばれる少なくとも1つである請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(C)成分がトリフェニルホスフェート及びレゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェートから選ばれる少なくとも1つである請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(C)成分がレゾルシノールビス−ジキシレニルフォスフェートである請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(A)成分がホモポリプロピレン及びランダムポリプロピレンから選ばれる少なくとも1つである請求項1〜15のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(A)成分がホモポリプロピレンである請求項1〜15のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(A)成分のMFRが0.5〜30g/10分である請求項1〜17のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(D)成分中にカーボネート結合が含まれる請求項1〜18のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(A)成分の含有量が46.0〜91.8質量%である請求項1〜19のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(B)成分の含有量が5質量%以上である請求項1〜20のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(B)成分の含有量が30質量%以下である請求項1〜21のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(B)成分の含有量が20質量%以下である請求項1〜21のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(C)成分の含有量が5質量%以上である請求項1〜23のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(C)成分の含有量が15質量%以上である請求項1〜23のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(C)成分の含有量が20質量%以下である請求項1〜25のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記(C)成分の含有量が10質量%以下である請求項1〜24のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜27のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
- 請求項1〜27のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなるシート。
- 請求項29に記載のシートにポリプロピレンを積層した積層シート。
- 請求項1〜27のいずれかに記載の樹脂組成物からなる溶融樹脂を急冷して成形された樹脂シート。
- 前記急冷を表面温度が露点以上50℃以下に保たれた冷却ロールを用いて行う請求項31に記載の樹脂シート。
- 請求項29に記載のシート、請求項30に記載の積層シート、又は請求項31もしくは32に記載の樹脂シートを用いて附形して得られた成形品。
- 前記シート、前記積層シート、又は前記樹脂シートを成形用金型の内面に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して得られたものである請求項33に記載の成形品。
- 前記成形品は、前記シート、前記積層シート、又は前記樹脂シートが非平面状に成形された成形品であり、
前記成形品は、前記シート、前記積層シート、又は前記樹脂シートを成形用金型の内面に合致するように附形し、得られた附形品を前記成形用金型の面に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して得られたものである請求項33に記載の成形品。 - 被覆される芯材を配設したチャンバーボックス内を減圧状態とし、前記前記シート、前記積層シート、又は前記樹脂シートを加熱軟化させ、前記チャンバーボックス内を加圧して、前記加熱軟化させた前記シート、前記積層シート、又は前記樹脂シートを前記芯材に押圧して被覆し、一体化して得られたものである請求項33に記載の成形品。
- 基体の少なくとも一部に成形体を設ける成形物の製造方法であって、複数の冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷却ロールとを備え、前記鏡面エンドレスベルトと前記鏡面冷却ロールの表面温度が露点以上50℃以下に保たれた装置を用い、前記鏡面冷却ロールと前記鏡面エンドレスベルトとの間に、Tダイ押出機に請求項1〜27のいずれかに記載の樹脂組成物からなる溶融樹脂をより押し出して導入し、圧接してシート状に成形するとともに、前記鏡面エンドレスベルトに前記鏡面エンドレスベルトの表面温度より低い温度の冷却水を吹き付けることによって急冷して透明な樹脂シートを製造する工程と、前記樹脂シートを非平面状に成形して前記基体の少なくとも一部に設ける工程と、を実施する成形物の製造方法。
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