以下、調理システムの実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、図面に示す調理システムは一例であり、図面に示された構成によって適用機器が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これらは説明のためのものであって、実施の形態を限定するものではない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係または形状等が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る調理システム500の概略構成図である。図1に示すように、調理システム500は、加熱調理器100と保冷庫200とを備える。加熱調理器100と保冷庫200は、無線通信可能に接続される。加熱調理器100は、誘導加熱調理器であり、加熱装置30と冷却装置40とを備える。保冷庫200は、冷蔵庫であり、保冷室210と、保冷室210内を冷却する冷却機構220を備える。
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器100の概略斜視図である。図3は、実施の形態1に係る加熱調理器100の上面図である。図2に示すように、加熱調理器100は、本体1およびトッププレート2を備える。トッププレート2は、金属の枠体であるフレーム21で保持され、本体1の上面に設置されている。図2および図3に示すように、本実施の形態のトッププレート2は、同一平面上に配置された第1トッププレート3と、第2トッププレート4と、第3トッププレート5とから構成される。なお、ここで言う「同一平面上」とは、加熱調理器100の上面を構成し、トッププレート2として機能するものであればよく、厳密に同一の平面を構成するものだけでなく若干の段差を有するものも含むものとする。第1トッププレート3と、第2トッププレート4と、第3トッププレート5とは、それぞれ異なる材質で構成される。
第1トッププレート3は、第3トッププレート5と前後方向に隣接し、トッププレート2の手前側に配置される。第1トッププレート3は、トッププレート2の全領域の3分の1以上の大きさを有する。第1トッププレート3は、上方に載置される調理容器を誘導加熱方式で加熱可能な材質で構成される。例えば、第1トッププレート3は、耐熱強化ガラスまたは結晶化ガラスで構成される。
第1トッププレート3の下方には、加熱装置30が配置される。第1トッププレート3の上面には、加熱装置30の加熱範囲を示す加熱口31が形成される。本実施の形態の加熱調理器100は、2つの加熱装置30を備え、第1トッププレート3上には、対応する2つの加熱口31が形成される。加熱口31は、第1トッププレート3に印刷または塗布される。加熱口31の形状は、加熱装置30を構成する加熱コイルの外形と同じ形状か、または、加熱コイルの外形よりも若干大きい形状に形成される。本実施の形態では、加熱口31は上面視で円形状に形成されている。なお、加熱口31および加熱装置30の数および形状は、図2および図3に示す例に限定されるものではない。
第1トッププレート3の手前側には、加熱調理器100の電源のON/OFF、または火力等の加熱設定のための操作を受け付ける操作部6と、加熱調理器100の状態を表示する表示部7とが設けられる。
操作部6は、例えば複数の発光ダイオード(LED)を有する表示画面と、静電容量式のタッチセンサとを備える。操作部6は、タッチセンサを用いて、加熱調理器100の主電源のON/OFF、ならびに加熱装置30および冷却装置40の機能設定の入力を受け付ける。機能設定は、加熱装置30の火力、温度、および調理モード、ならびに冷却装置40の温度および冷却モードなどを含む。冷却装置40の冷却モードは、保冷庫200と連携動作を行う連携保冷モードを含む。操作部6は、メンブレンシートを用いた接点ボタンにより構成され、使用者により接点ボタンが押下されることにより、入力操作を検知するものでもよい。
表示部7は、例えば、液晶(LCD)、各種発光素子(LEDなど)、または有機電界発光(Electro Luminescence:EL)素子などにより構成される。表示部7は、第1トッププレート3の左右方向の中央部に配置された中央表示部と、左側の加熱口31の手前側の左表示部と、右側の加熱口31の手前側の右表示部とを備える。各表示部には、投入火力、通電条件、制御状況、設定情報、モードの選択表示、進行状況、警告情報など、加熱調理器100の各機能部の設定状態および動作状態に関する情報などが表示される。
具体的には、表示部7の左表示部と右表示部には、加熱装置30の加熱機能における選択された調理モード、自動調理の進行状況および加熱口31に載置された調理容器の温度が表示される。表示部7の中央表示部には、冷却装置40の冷却機能における冷却モード、設定温度、および第2トッププレート4上に載置された調理容器の温度などが表示される。
第2トッププレート4は、第3トッププレート5の領域内に配置される。第2トッププレート4は、第1トッププレート3および第3トッププレート5とは、熱伝導率、透過特性、耐熱性、または耐湿性等の特性が異なる材質で構成される。例えば、第2トッププレート4は、第1トッププレート3よりも熱電率が高いアルミニウムまたは銅等の単一金属、ステンレス、窒化アルミニウムまたは酸化アルミニウム(アルミナ)等の合金、もしくはシリコン等の合成高分子化合物等で構成される。
第2トッププレート4の下方には、冷却装置40が配置される。第2トッププレート4の上面には、冷却装置40の冷却範囲を示す冷却口が設けられてもよい。なお、冷却口は、冷却口と第2トッププレート4とが同じ大きさの場合は、不要とすることができ、製造コストを低減できる。
第3トッププレート5は、第1トッププレート3と前後方向に隣接し、トッププレート2の奥側に配置される。第3トッププレート5は、第1トッププレート3および第2トッププレート4とは異なる材質であって、熱伝導率が低く、耐熱温度、断熱、絶縁性および成形性に優れた材質で構成される。例えば、第3トッププレート5は、エポキシ樹脂等の耐熱性および耐湿性を有する樹脂で構成される。第3トッププレート5をエポキシ樹脂とすることで、第1トッププレート3と第2トッププレート4との間の断熱材および絶縁材が不要となる。また、第3トッププレート5を樹脂で構成することで成形性が向上し、様々な形状に加工することが容易となる。
第3トッププレート5の奥側には、本体1への吸気と本体1からの排気を行う吸排気口8が設けられる。吸排気口8には、通気性を有するカバーが設けられ、本体1内部への埃または異物侵入を防止している。
図4は、実施の形態1に係る加熱調理器100の設置例である。図4は、加熱調理器100を側方から見た図である。図4に示すように、加熱調理器100は、システムキッチン300の手前側に配置され、加熱調理器100の本体1とトッププレート2でシステムキッチン300の天板301を挟み込むように設置される。システムキッチン300の前面には、加熱調理器100とシステムキッチン300との下方空間を隠す化粧板が貼付される。または、該下方空間に収納、またはその他の家電が配置されてもよい。また、第1トッププレート3の上に被加熱物である調理容器50aが載置され、第2トッププレート4の上に被冷却物である調理容器50bが載置される。
図5は、実施の形態1に係る加熱調理器100の断面模式図である。図5は、加熱調理器100を図3のA-A断面で切断した状態を示す。図5に示すように、本体1の内部には、第1トッププレート3の下方に配置される加熱装置30と、第2トッププレート4の下方に配置される冷却装置40とが設けられる。また、本体1の内部には、加熱装置30と、冷却装置40とを駆動する第1駆動回路32および第2駆動回路42(図7)が実装された基板10が設けられる。なお、第1駆動回路32および第2駆動回路42は、別々の基板に実装されてもよい。
加熱装置30は、第1トッププレート3に設けられた加熱口31の下方に配置される。加熱装置30は、例えば銅線またはアルミ線などの導線が巻回してなる円形の加熱コイルであり、高周波電流が供給されることで高周波磁界を発生する。加熱装置30は、例えば第1コイル、第2コイルに分割された、二重環状のコイルである。また、第1コイル、第2コイルは、電気的に接続され、同一の駆動回路によって駆動される。なお、加熱装置30の形状および駆動回路の構成は、これに限定されるものではない。例えば、加熱装置30の形状は楕円でもよい。また、加熱装置30の構成は、三重環状以上の環状であってもよく、または、複数のコイルが組み合わされて構成されてもよい。また、分割されるコイルは、電気的に接続されていなくてもよく、複数の駆動回路によってそれぞれ独立して駆動されてもよい。また、加熱装置30として、加熱コイルに替えて、輻射熱方式加熱源とである電気ヒーター(例えばニクロム線またはハロゲンヒーター、ラジエントヒーター)を用いてもよい。または、加熱コイルと電気ヒーターとを組み合わせて用いてもよい。
冷却装置40は、第2トッププレート4を下面から冷却することで、第2トッププレート4上に載置された調理容器50bを冷却する。図6は、実施の形態1に係る冷却装置40の断面模式図である。冷却装置40は、ペルチェ素子401および放熱手段402からなる。ペルチェ素子401は、複数のP型熱電半導体と複数のN型熱電半導体と複数の電極を、セラミックなどの絶縁性材料で構成された一対の平面板で挟み込むように構成される。P型熱電半導体とN型熱電半導体は、交互に配置され、電極は隣り合って配置されるP型熱電半導体とN型熱電半導体を電気的に接続する。端部に配置された電極は、リード線で基板10に実装される第2駆動回路42に接続され、第2駆動回路42からの直流電圧が印加される。電極に直流電流が流れると、P型熱電半導体およびN型熱電半導体と電極との接触面で、発熱または吸熱が起きる。これにより、ペルチェ素子401の一対の平面上の絶縁部材の一方が冷却され、他方が加熱される。ペルチェ素子401の冷却される側の絶縁部材を、第2トッププレート4の下面に密着して配置することで、第2トッププレート4を冷却できる。
放熱手段402は、ペルチェ素子401の加熱される側の絶縁部材に密着して配置される。放熱手段402は、例えば放熱フィンによって構成され、放熱手段402が加熱調理器100の送風装置15(図7)から供給される冷却風によって冷却されることによって、ペルチェ素子401の絶縁部材の熱が放熱される。この時、ペルチェ素子401の絶縁部材と第2トッププレート4の接合面、およびペルチェ素子401の絶縁部材と放熱手段402の接合面には、サーマルグリースまたは接着剤等を塗布し、密着性を高めることが望ましい。これにより、冷却効率および放熱効率の低下となる空気層の介在を抑制することができる。なお、放熱手段402の近傍に、放熱手段402を冷却するための専用の送風装置を配置してもよい。
なお、冷却装置40は、ペルチェ素子401を含むものに限らず、第2トッププレート4に載置された調理容器50bを冷却するものであればよい。例えば、冷却装置40は、圧縮機を用いた冷媒回路、ヒートパイプ、またはベイパーチャンバー等を用いたものであってもよい。また、図6に示すように、第2トッププレート4の下方には、第2トッププレート4の上方に載置される調理容器50bの温度を検出する第2温度センサ43が配置される。
図5に戻って、第3トッププレート5は、第1トッププレート3を保持する第1保持部501を有する。第1保持部501は、第3トッププレート5の手前側の端部に設けられた切り欠きである。第1トッププレート3の奥側の端部が第1保持部501に嵌め込まれることで、第1トッププレート3が、第3トッププレート5と同一平面上に保持される。また、第1保持部501には、耐熱性および絶縁性のある接着剤が塗布され、これにより第1トッププレート3が第3トッププレート5に固定される。
さらに、第3トッププレート5は、下方に冷却装置40が配置される開口502と、第2トッププレート4を保持する第2保持部503とを有する。開口502は、冷却装置40の大きさおよび形状に対応する大きさおよび形状を有する。第2保持部503は、開口502の周縁に設けられた切り欠きである。第2トッププレート4が第2保持部503に嵌め込まれることで、第2トッププレート4が、第3トッププレート5と同一平面上に保持される。また、第2保持部503には、耐熱性および絶縁性のある接着剤が塗布され、これにより第2トッププレート4が第3トッププレート5に固定される。
第1トッププレート3、第2トッププレート4および第3トッププレート5で構成されるトッププレート2の外周は、フレーム21に挟み込まれ、本体1の筐体101とネジ等により固定される。本実施の形態では、トッププレート2の外周を構成する第1トッププレート3と第3トッププレート5とがフレーム21に挟み込まれる。これにより、トッププレート2の結合性および可搬性が向上する。なお、第3トッププレート5の第1保持部501および第2保持部503の形状および固定方法は、上記に限定されるものではなく、第1トッププレート3と第2トッププレート4とを第3トッププレート5と同一平面上に接合できる構成であればよい。
図7は、実施の形態1に係る調理システム500の制御ブロック図である。加熱調理器100の本体1の内部には、さらに、制御部11と、電源部12と、通信部13と、報知部14と、送風装置15と、第1駆動回路32と、第2駆動回路42と、第1温度センサ33と、第2温度センサ43と、が設けられる。
制御部11は、加熱調理器100全体の動作を制御する。制御部11は、その機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア、またはマイコン等の演算装置およびメモリ等の記憶部とその上で実行されるソフトウェアとで構成される。また、制御部11は、操作部6を介して入力される設定と、第1温度センサ33によって検出された調理容器50aの温度とに基づいて第1駆動回路32を制御し、加熱装置30の加熱制御を行う。制御部11は、操作部6を介して入力される設定と、第2温度センサ43によって検出された調理容器50bの温度とに基づいて第2駆動回路42を制御し、冷却装置40の冷却制御を行う。
また、制御部11は、保冷庫200との連携動作を行う。具体的には、制御部11は、保冷庫200との通信を確立するための信号の送信および受信を行う。また、制御部11は、加熱調理器100における加熱設定および冷却設定に関する情報、ならびに加熱および冷却される調理容器50aおよび50bの温度などの加熱状況および冷却状況に関する情報を保冷庫200へ送信する。また、制御部11は、保冷庫200からの受信した保冷庫の設定情報または保冷室210内の温度情報を表示部7に表示してもよいし、または受信した情報に基づいて加熱調理器100の制御を行ってもよい。
電源部12は、商用電源に接続され、操作部6における主電源のON/OFF操作に基づいて、加熱調理器100の各部への電力の供給を開始または停止する。
通信部13は、保冷庫200と赤外線通信、Bluetooth(登録商標)等の無線通信、または家庭内LAN(Local Area Network)を介して通信を行う。また、通信部13は、スマートフォンなどの保冷庫200以外の外部機器と通信を行ってもよい。
報知部14は、例えばスピーカであり、加熱調理器100の設定内容、加熱状況、または冷却状況等を音声にて報知する。なお、制御部11は、報知部14にて報知する内容を外部機器に送信し、外部機器から報知させてもよい。この場合は、加熱調理器100の報知部14を省略することができる。また、表示部7を報知部とし、報知部14にて報知される内容を表示部7に表示してもよい。
送風装置15は、加熱調理器100の外部の空気を、吸排気口8から加熱調理器100本体1の内部に吸気し、本体1の内部に冷却用の風を送風する。本体1の内部に送風された冷却風は、本体1の内部の第1駆動回路32、第2駆動回路42、加熱装置30、および冷却装置40を冷却した後、吸排気口8から加熱調理器100の外部に排気される。
第1駆動回路32は、電源部12から供給される交流電流を20~100kHz程度の高周波電流に変換して、加熱装置30へ供給するインバータ回路である。加熱装置30は、第1駆動回路32から高周波電流が供給されることで高周波磁界を発生し、調理容器50aを誘導加熱する。本実施の形態では2つの加熱装置30に対応して2つの第1駆動回路32を有する。
第2駆動回路42は、直流電源回路を含み、電源部12から供給される交流電流を任意の直流電流に変換して、冷却装置40へ出力する。冷却装置40は、第2駆動回路42から直流電流が供給されることで、発熱および吸熱し、調理容器50bを冷却する。
第1温度センサ33は、加熱装置30の近傍に配置され、第1トッププレート3上に載置された調理容器50aの温度を検出する。第1温度センサ33は、第1トッププレート3の透過窓(図示せず)を介して、調理容器50aが放射する赤外線を検出する赤外線センサなどの非接触式センサ、または第1トッププレート3の裏面に貼りつけられたサーミスタなどの接触式センサである。もしくは、第1温度センサ33は、非接触式センサと接触式センサとの組み合わせであってもよい。
第2温度センサ43は、図6に示すように、第2トッププレート4の下方に配置され、第2トッププレート4の上方に載置される調理容器50bの温度を検出する。第2温度センサ43は、第2トッププレート4の透過窓(図示せず)を介して、調理容器50bが放射する赤外線を検出する赤外線センサなどの非接触式センサ、または第2トッププレート4の裏面に貼りつけられたサーミスタなどの接触式センサである。もしくは、第2温度センサ43は、非接触式センサと接触式センサとの組み合わせであってもよい。
また、図7に示すように、保冷庫200は、制御部201と、電源部202と、通信部203と、温度センサ204と、冷却機構220と、とを備える。
制御部201は、保冷庫200全体の動作を制御する。制御部201は、その機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア、またはマイコン等の演算装置およびメモリ等の記憶部とその上で実行されるソフトウェアとで構成される。制御部201は、図示しない操作部を介して入力される設定と、温度センサ204によって検出された保冷室210内の温度とに基づいて冷却機構220を制御し、保冷室210内の冷却制御を行う。
また、制御部201は、加熱調理器100との連携動作を行う。具体的には、制御部201は、加熱調理器100からの受信した情報と、温度センサ204によって検出された保冷室210内の温度とに基づいて、冷却機構220の冷却制御を行う。また、制御部201は、加熱調理器100との通信を確立するための信号の送信および受信を行う。また、制御部201は、保冷庫200の冷却設定に関する情報、ならびに保冷室210内の温度などの冷却状況に関する情報を加熱調理器100へ送信してもよい。
電源部202は、商用電源に接続され、保冷庫200の各部への電力の供給を開始または停止する。
通信部203は、加熱調理器100と赤外線通信、Bluetooth(登録商標)等の無線通信、または家庭内LAN(Local Area Network)を介して通信を行う。また、通信部203は、スマートフォンなどの加熱調理器100以外の外部機器と通信を行ってもよい。
温度センサ204は、保冷室210の壁面等に設けられ、保冷室210内の温度を検出する。温度センサ204は、赤外線センサなどの非接触式センサ、またはサーミスタなどの接触式センサである。もしくは、温度センサ204は、非接触式センサと接触式センサとの組み合わせであってもよい。
冷却機構220は、圧縮機と、凝縮器と、減圧装置と、蒸発器と、送風装置と、を備える冷媒回路により構成される。冷却機構220の蒸発機が、冷却器として保冷室210内の空気を冷却する。制御部201は、冷却機構220の圧縮機の運転または送風装置の運転を制御することで、保冷室210内の冷却制御を行う。なお、冷却機構220は、冷媒回路に限定されるものではなく、ペルチェ素子などの冷却素子とその駆動回路とで構成されてもよい。
(加熱調理器の動作)
次に、本実施の形態の加熱調理器100の動作について説明する。図8は、実施の形態1に係る加熱調理器100の加熱動作の一例を示すフローチャートである。加熱動作は、加熱装置30が制御部11により制御されて実行される。まず、使用者により加熱調理器100の主電源がONにされると、制御部11が起動され、各種データの初期化が行われ、使用者による指示待ちの状態となる(S101)。そして、操作部6を介して加熱装置30の加熱設定が入力される(S102)。加熱装置30の加熱設定としては、温度、火力、加熱時間、または調理メニューの設定などがある。制御部11は、入力された加熱設定を、表示部7に表示する。
続いて、加熱を開始するか否かが判断される(S103)。制御部11は、使用者により、操作部6を介して加熱開始の指示が入力された場合に、加熱を開始すると判断する。そして、加熱を開始すると判断されると(S103:YES)、加熱装置30が駆動される(S104)。詳しくは、使用者によって入力された加熱設定に基づいて、加熱装置30を駆動するように、制御部11によって第1駆動回路32が制御され、第1駆動回路32から加熱装置30に所定の周波数の高周波電流が供給される。加熱装置30の加熱コイルに高周波電流が流れることで高周波磁束が発生し、第1トッププレート3上に載置された調理容器50aの底面に磁束変化を打ち消す方向に渦電流が流れる。その渦電流と調理容器50aの材質の抵抗とによって、調理容器50aの底面が加熱される。
そして、加熱を終了するか否かが判断される(S105)。制御部11は、使用者により操作部6を介して加熱の停止が指示された場合、または加熱設定で選択された自動調理メニューが終了した場合などに、加熱を終了すると判断する。加熱を終了すると判断された場合(S105:YES)、制御部11によって第1駆動回路32が停止され、加熱装置30への電流供給が遮断される(S106)。
図9は、実施の形態1に係る加熱調理器100の冷却動作の一例を示すフローチャートである。冷却動作は、冷却装置40が制御部11により制御されて実行される。まず、使用者により加熱調理器100の主電源がONにされると、制御部11が起動され、各種データの初期化が行われ、使用者による指示待ちの状態となる(S201)。そして、操作部6を介して冷却装置40の冷却設定が入力される(S202)。冷却装置40の冷却設定は、調理容器50bの設定温度Tsである。
続いて、冷却を開始するか否かが判断される(S203)。制御部11は、使用者により、操作部6を介して冷却開始の指示が入力された場合に、冷却を開始すると判断する。そして、冷却を開始すると判断されると(S203:YES)、冷却装置40が駆動される(S204)。詳しくは、使用者によって入力された冷却設定に基づいて、冷却装置40を駆動するように、制御部11によって第2駆動回路42が制御され、冷却装置40が冷却される。そして、冷却装置40に密着している第2トッププレート4が冷却されることで、第2トッププレート4に載置される調理容器50bが冷却される。
そして、第2温度センサ43により調理容器50bの温度Tが検出され(S205)、検出された温度Tが、入力された設定温度Tsよりも低いか否かが判断される(S206)。検出された調理容器50bの温度Tが設定温度より低い場合は(S206:YES)、冷却装置40が停止される(S208)。一方、検出された調理容器50bの温度Tが設定温度Ts以上の場合は(S206:NO)、冷却を終了するか否かが判断され(S207)、冷却を終了しない場合は(S207:NO)、ステップS205へ戻る。
そして、冷却を終了すると判断された場合(S207:YES)、制御部11によって第2駆動回路42が停止され、冷却装置40への電流供給が遮断される(S208)。図9の例では、制御部11は、使用者により操作部6を介して冷却の停止が指示された場合等に加え、調理容器50bの温度Tが設定温度Tsに達した場合にも冷却を終了する。
次に、加熱調理器100と保冷庫200との連携動作制御について説明する。本実施の形態の調理システム500では、加熱調理器100は、冷却装置40において冷却される調理容器50bの温度に関する情報を含む冷却情報を保冷庫200に送信する。保冷庫200の制御部201は、受信した冷却情報に基づいて、保冷庫200の保冷室210内の温度制御を行う。
図10は、実施の形態1に係る加熱調理器100と保冷庫200との連携動作の一例を示すフローチャートである。図10では、加熱調理器100の制御部11により実行されるフローと、保冷庫200の制御部201により実行されるフローとをまとめて記載している。まず、加熱調理器100における動作について説明する。
まず、使用者により加熱調理器100の主電源がONにされると、制御部11が起動され、各種データの初期化が行われ、使用者による指示待ちの状態となる(S301)。次に、加熱調理器100の操作部6を介して、加熱調理器100と保冷庫200とを連携させるモードである連携保冷モードが選択される(S302)。連携保冷モードが選択されると、加熱調理器100の制御部11により、加熱調理器100の通信部13を介して、保冷庫200に接続信号が送信される(S303)。
そして、保冷庫200から応答信号を受信したか否かが判断される(S304)。保冷庫200から応答信号を受信していない場合は(S304:NO)、受信するまで待機する。保冷庫200から応答信号を受信した場合(S304:YES)、加熱調理器100により保冷庫200が認識され、無線通信が確立される。
続いて、操作部6を介して冷却装置40の冷却設定が入力される(S305)。冷却装置40の冷却設定は、調理容器50bの設定温度Tsである。入力された冷却設定は、冷却情報として保冷庫200に送信される(S306)。なお、このとき、制御部11は冷却情報を表示部7に表示してもよい。
続いて、冷却を開始するか否かが判断される(S307)。制御部11は、使用者により、操作部6を介して冷却開始の指示が入力された場合に、冷却を開始すると判断する。そして、冷却を開始すると判断されると(S307:YES)、冷却装置40が駆動される(S308)。詳しくは、使用者によって入力された冷却設定に基づいて、冷却装置40を駆動するように、制御部11によって第2駆動回路42が制御され、冷却装置40が冷却される。そして、冷却装置40に密着している第2トッププレート4が冷却されることで、第2トッププレート4に載置される調理容器50bが冷却される。
そして、第2温度センサ43により調理容器50bの温度Tが検出され(S309)、検出された温度Tが、入力された設定温度Tsよりも低いか否かが判断される(S310)。検出された調理容器50bの温度Tが設定温度Ts以上の場合は(S310:NO)、ステップS309に戻り、以降の処理が繰り返される。一方、検出された調理容器50bの温度Tが設定温度Tsより低い場合は(S310:YES)、報知部14を介して調理容器温度Tが設定温度Tsになり、冷却動作を終了する旨が使用者に報知される(S311)。また、報知部14は、調理容器50bを保冷庫200の保冷室210に入れるよう指示する報知を行ってもよい。また、報知部14に替えて、または加えて、表示部7に冷却動作の終了および調理容器50bの移動を伝える表示を行ってもよい。その後、冷却装置40が停止される(S312)。
なお、ステップS310では、調理容器50bの温度Tと設定温度Tsとを比較することに替えて、調理容器50bの温度Tと、設定温度Tsとの温度差の絶対値と、管理温度差Cと比較してもよい(|T-Ts|<C)。管理温度差Cは、許容値を示すものであり、予め設定され制御部11に記憶される。この場合は、調理容器50bの温度Tと設定温度Tsとの温度差の絶対値が管理温度差C未満となった場合に、冷却装置40が停止される。
次に保冷庫200における動作について説明する。保冷庫200は、使用者により電源が投入されることにより、制御部201が起動され、各種データの初期化が行われる。そして、予め設定された保冷条件、または使用者の指示に従って、保冷室210内が設定温度Trfとなる保冷状態を維持するよう制御される(S401)。保冷状態において、保冷庫200の通信部203が、加熱調理器100からの接続信号が受信すると(S402)、加熱調理器100に応答信号が送信される(S403)。
そして、加熱調理器100から冷却情報を受信する(S404)。そして、制御部201により、受信した冷却情報と温度センサ204で検出された庫内温度Trと、から目標温度Troが設定される(S405)。目標温度Troは、例えば、以下のように求められる。まず、制御部201は、冷却情報に含まれる加熱調理器100の設定温度Tsと、庫内温度Trとの差分ΔTsr(=Ts-Tr)を求める。そして、差分ΔTsrと予め設定された0より大きい管理値Csとを比較し、ΔTsr>Csの場合、すなわち設定温度Tsが庫内温度Trより管理値Cs以上高い場合は、目標温度Tro=庫内設定温度Trf+補正値Thとする。一方、ΔTsr≦Csの場合、すなわち設定温度Tsが庫内温度Trより管理値Cs以上高くない場合は、目標温度Tro=庫内設定温度Trfとする。
補正値Thは、予め設定された0より小さい値である。制御部201は、1つまたは複数の管理値Csと各管理値に対応する1つまたは複数の補正値Thとを有し、差分ΔTsrを1つまたは複数のCsと比較して、対応する補正値Thを設定する。例えば、管理値Csが複数ある場合であって、比較の結果がCsn>ΔTrs>Csmである場合、制御部201は、管理値Csmに対応する補正値Thmを用いて目標温度Troを求める。
なお、目標温度Troを求める際に、管理値Csを用いず、ΔTsr>0の場合、すなわち設定温度Tsが庫内温度Trより高い場合に目標温度Tro=庫内設定温度Trf+補正値Thとしてもよい。この場合の補正値Thは、差分ΔTsrに応じて設定され、具体的にはΔTsrが大きいほど小さい値が設定される。ΔTsr≦0の場合、すなわち設定温度Tsが庫内温度Tr以下の場合は、目標温度Tro=庫内設定温度Trfとしてもよい。また、目標温度Troまたは補正値Thは、設定温度Tsと庫内温度Trとから予め作成されたマトリックス表を用いて決定されてもよいし、設定温度Tsと庫内温度Trの関数から算出されてもよい。
続いて、温度センサ204により、保冷室210内の温度である庫内温度Trが検出される(S406)。そして、庫内温度Trと、目標温度Troとの差の絶対値(|Tr-Tro|)と、管理温度差Cとが比較される(S407)。管理温度差Cは、許容値を示すものであり、予め設定され、制御部201に記憶される。
庫内温度Trと目標温度Troとの差の絶対値が、管理温度差C以上の場合(S407:NO)、庫内温度Trと目標温度Troとの差の絶対値が小さくなるよう、庫内温度Trを変更する制御が行われる(S408)。具体的には、庫内温度Trと目標温度Troとを比較し、庫内温度Trが目標温度Troよりも高い場合は、庫内温度Trが低くなるように、冷却機構220が制御される。これにより、加熱調理器100で冷却された設定温度Tsの調理容器50bが保冷室210に収容されることを想定し、予め庫内温度Trを下げることができる。
また、庫内温度Trと目標温度Troとの差の絶対値が、管理温度差C未満の場合(S407:YES)、現在の庫内温度Trを維持するように冷却機構220が制御される(S409)。この状態で、加熱調理器100で冷却された調理容器50bが収容されるまで待機する。
次に、保冷室210内に調理容器50bが収容されたか否かが検出される(S410)。制御部201は、庫内画像情報、保冷庫200のドアの開閉、または庫内温度Trの上昇情報などから調理容器50bが保冷室210内に収容されたか否かを判別する。保冷室210内に調理容器50bが収容されていない場合(S410:NO)、収容されるまで、待機する。このとき、庫内温度Trは目標温度Troの管理温度差Cの範囲内に維持される。
一方、保冷室210内に調理容器50bが検出された場合(S410:YES)、温度センサ204により、庫内温度Trが検出される(S411)。そして、庫内温度Trと、保冷庫200において予め設定されていた設定温度Trfとの差の絶対値(|Tr-Trf|)と、管理温度差Cとが比較される(S412)。
そして、庫内温度Trと設定温度Trfとの差の絶対値が、管理温度差C以上の場合(S412:NO)、庫内温度Trと設定温度Trfとの差の絶対値が小さくなるよう、庫内温度Trを変更する制御が行われる(S413)。
一方、庫内温度Trと設定温度Trfとの差の絶対値が、管理温度差C未満の場合(S412:YES)、現在の庫内温度Trを維持するように冷却機構220が制御される(S414)。これにより、保冷室210内は、設定温度Trfで維持される。
以上のように、本実施の形態の調理システムによると、冷却装置40を備える加熱調理器100と保冷庫200とが連携し、冷却装置40で冷却した調理容器50bを保冷庫4200に収納することができ、保冷庫200における冷却負荷が低減する。また、加熱調理器100と保冷庫200とで冷却後の調理容器50bの温度に関する情報を含む冷却情報を共有することで、保冷庫200において冷却能力の過不足なく、調理容器50bを効率よく冷却することができる。
また、調理容器50bを迅速に冷却することで、調理物を衛生的に保存することができ、使用者の利便性および安心感を向上させることができる。また、下ごしらえ材料または作り置き料理を素早く最適な温度に到達させ、保管できることで、下ごしらえ材料または作り置き料理の活用による調理時間を短縮でき、また調理の手間も削減することができる。さらに、高温の調理容器50bが保冷庫200に挿入されることによる他の保冷物の温度の上昇を抑制することもできる。
なお、調理システム500における加熱調理器100と保冷庫200との連携動作は、図10に記載されるものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
(変形例1-1)
加熱調理器100の制御部11は、加熱調理器100の冷却装置40によって冷却される調理容器50bの温度変化から、設定温度Tsへの到達時間taを算出し、到達時間taを冷却情報として保冷庫200に送信してもよい。そして、保冷庫200の制御部201は、加熱調理器100から受信した冷却情報に含まれる到達時間taに合わせ、庫内温度Trが目標温度Troに達するように制御してもよい。
図11は、変形例1-1に係る加熱調理器100における到達時間taの推定を説明する図である。図11において横軸は時間、縦軸は第2温度センサ43で検出される調理容器50bの温度である。また、図11の三角は実測値を示し、円は推定値を示す。本変形例において、加熱調理器100の制御部11は、下記の式(1)に基づき到達時間taを算出する。
到達時間ta=tc×ΔTg/ΔTn・・・(1)
図11に示すように、tcは、N回目に調理容器温度T1を検出した時間と、N+1回目に調理容器温度T2を検出した時間との差である。ΔTgは、N+1回目に検出した調理容器温度T2と、設定温度Tsとの差である。ΔTnは、N回目に検出された調理容器温度T1と、N+1回目に検出された調理容器温度T2との差である。
図12は、変形例1-1に係る加熱調理器100と保冷庫200との連携動作の一例を示すフローチャートである。加熱調理器100の制御部11により実行される冷却動作において、ステップS301からステップS308までは、実施の形態1と同じである。そして、第2温度センサ43により、調理容器50bの温度Tnが検出され(S501)、制御部11に記憶される(S502)。
そして、調理容器温度の検出が1回目か否かが判断され(S503)、1回目の場合は(S503:YES)、ステップS507へ移行する。一方、1回目でない場合は(S503:NO)、温度差ΔTn、温度差ΔTg、および時間差tcが算出される(S504)。温度差ΔTnは、前回(N-1回目)の調理容器温度Tn-1と、今回(N回目)の調理容器温度Tnとの温度差である。温度差ΔTgは、調理容器温度Tnと設定温度Tsとの温度差である。時間差tcは、前回(N-1回目)と今回(N回目)との時間差である。
そして、温度差ΔTn、温度差ΔTg、および時間差tcから、式(1)を用いて到達時間taが算出され(S505)、冷却情報として保冷庫200に送信される(S506)。続いて、検出された調理容器50bの温度Tnが、入力された設定温度Tsよりも低いか否かが判断される(S507)、検出された調理容器50bの温度Tnが設定温度Ts以上の場合は(S507:NO)、ステップS501に戻り、以降の処理が繰り返される。一方、検出された調理容器50bの温度Tが設定温度Tsより低い場合は(S507:YES)、実施の形態1と同じステップS311に移行し、冷却動作の終了が報知され、冷却装置40が停止される。
保冷庫200では、加熱調理器100の通信部13から受信した冷却情報に含まれる到達時間taに合わせ、庫内温度Trが目標温度Troに達するように冷却機構220が制御される。詳しくは、保冷庫200において、冷却情報を受信すると(S404)、目標温度Troが設定される(S405)。目標温度Troの設定は、実施の形態1と同じである。
そして、温度センサ204で検出された庫内温度Trと目標温度Troとの差の絶対値が、管理温度差C未満の場合(S407:YES)、実施の形態1と同じステップS409に移行し、以降の処理が実施される。一方、温度センサ204で検出された庫内温度Trと目標温度Troとの差の絶対値が、管理温度差C以上の場合(S407:NO)、庫内温度Trと目標温度Troとの温度差と、到達時間taとから、庫内温度Trの目標変化率が算出される(S508)。目標変化率は、時間当たりの温度変化量であり、庫内温度Trと目標温度Troとの温度差を到達時間taで除して求められる。そして、算出された目標変化率で庫内温度Trが変化するように、冷却機構220が制御される(S408)。その後は、実施の形態1と同じ処理が実行される。
本変形例によると、調理容器50bを保冷庫200に入れるタイミングで保冷庫200の保冷室210内の温度が目標温度Troとなるように制御できる。これにより、保冷室210内を目標温度Troで維持する時間を短縮でき、消費電力を削減できる。その結果、さらに効率よく調理物を冷却することができる。
(変形例1-2)
加熱調理器100の制御部11は、加熱調理器100の冷却装置40によって冷却される調理容器50bの温度変化量が、管理変化量より小さくなった場合に、冷却動作を停止してもよい。
図13は、変形例1-2に係る加熱調理器100における温度変化量の算出を説明する図である。図13において横軸は時間、縦軸は第2温度センサ43で検出される調理容器50bの温度である。また、図13の三角は実測値を示し、円は推定値を示す。図13に示すように、時間の経過にともない、調理容器50bの温度変化量は少なくなる。例えば、最初に検出された調理容器温度T1と、2回目に検出された調理容器温度T2との温度変化量ΔT1よりも、N回目に検出された調理容器温度Tnと、N+1回目に検出された調理容器温度Tn+1との温度変化量ΔTnの方が小さくなる。
図14は、変形例1-2に係る加熱調理器100の連携動作の一例を示すフローチャートである。加熱調理器100の制御部11により実行される冷却動作において、ステップS301からステップS308までは、実施の形態1と同じである。そして、第2温度センサ43により、調理容器50bの温度Tnが検出され(S601)、制御部11に記憶される(S602)。
そして、調理容器温度の測定が1回目か否かが判断され(S603)、1回目の場合は(S603:YES)、ステップS605へ移行する。一方、1回目でない場合は(S603:NO)、前回(N-1回目)の調理容器温度Tn-1と、今回(N回目)の調理容器温度Tnとの温度差ΔTnが算出される(S604)。
そして、検出された調理容器50bの温度Tnが、入力された設定温度Tsよりも低いか否かが判断される(S605)。検出された調理容器50bの温度Tnが設定温度Tsより低い場合は(S605:YES)、実施の形態1と同じステップS311に移行し、冷却動作の終了が報知され、冷却装置40が停止される。一方、検出された調理容器50bの温度Tnが設定温度Ts以上の場合(S605:NO)、温度変化量ΔTnと予め設定された管理変化量Caとが比較される(S606)。
そして、温度変化量ΔTnが予め設定された管理変化量Ca以上の場合(S606:NO)、ステップS601に戻り、以降の処理が繰り返される。一方、温度変化量ΔTnが予め設定された管理変化量Caより小さい場合(S606:YES)、実施の形態1と同じステップS311に移行し、冷却動作の終了が報知され、冷却装置40が停止される。ここでは、加熱調理器100の制御部11は、設定温度Tsの到達までに時間を要するか、または設定温度Tsへの到達は不可能と判断し、冷却動作を停止し、保冷庫200への移動を報知する。
(変形例1-3)
図15は、変形例1-3に係る加熱調理器100の連携動作の一例を示すフローチャートである。図15に示すように、温度変化量ΔTnが予め設定された管理変化量Caより小さい場合(S606:YES)、加熱調理器100の制御部11により、冷却装置40の冷却能力を上げるように制御を行い(S607)、ステップS601に戻ってもよい。
変形例1-2または変形例1-3のような制御とすることで、冷却能力、または設定温度Tsなどにより、設定温度Tsの到達までに時間がかかる場合、または到達が不可能な場合は、早期に保冷庫200へ移動させて冷却することができる。これにより不要な電力を削減できるとともに、冷却時間も短縮できる。なお、変形例1-2および変形例1-3では、温度変化量ΔTnと管理変化量Caとを比較したが、温度変化率と、予め設定された変化率Raとを比較してもよい。また、加熱調理器100において、調理容器50bの温度Tが設定温度Tsに到達するまでに時間がかかる場合、または到達が不可能な場合は、調理容器50bの温度Tを冷却情報として保冷庫200に送信してもよい。そして、保冷庫200の制御部201は、設定温度Tsの替わりに調理容器50bの温度Tを用いて目標温度Troを再計算し、庫内温度を制御してもよい。
また、加熱調理器100における冷却装置40は、図1に記載されるものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
(変形例1-4)
図16は、変形例1-4に係る加熱調理器100Aの斜視図である。図17は、変形例1-4に係る加熱調理器100Aの側面図である。図17では、加熱調理器100Aの内部構成の一部を破線で示している。
図16に示すように、加熱調理器100Aの本体1Aの内部に加熱庫9を備えてもよい。加熱庫9には、加熱庫9内に配置された被加熱物を加熱するための加熱源が設けられる。加熱庫9の加熱源は、上部および下部に設けられるシーズヒーター等の輻射式電気加熱源、電磁誘導式加熱源、マイクロ波式加熱源、または熱風によるコンベクション方式加熱源である。または、加熱庫9に複数種類の加熱源を上下に組み合わせて配置してもよい。また、加熱庫9の庫内上下にそれぞれヒーターを設置し、さらにマイクロ波を発信するアンテナを庫内壁面に配置してもよい。
加熱庫9の前面には扉90が設けられる。扉90には加熱庫9の内部を視認できるよう視認窓を設けてもよい。また、扉90の最前面には使い勝手の良いように把持部91が設けられる。また、加熱庫9の内部において加熱時に排出される煙等の排気風は、吸排気口8から排気されてもよいし、本体1Aの奥部に別途設けた排気口より排気されてもよい。
また、図16に示すように、本変形例の加熱調理器100Aの上面は、第1トッププレート3のみによって形成される。また、本変形例の第1トッププレート3の下方には、3つの加熱装置30が配置され、第1トッププレート3の上面には、3つの加熱口31、31Aが形成される。また、加熱調理器100Aは、第1駆動回路32も3つ備える。
また、第1トッププレート3の後方であって、2つの吸排気口8の間には、冷却風を吹き出す冷風口405が設けられる。図17に示すように、冷風口405の下方には、冷却装置40Aが配置される。冷却装置40Aは、ファン、またはペルチェ素子などの冷却素子とファンとの組み合わせにより構成され、冷風口405から吹き出される冷却風を生成する。冷風口405は、奥側の加熱口31Aに載置された調理容器50bの側面と対向するよう配置され、冷風口405から吹き出される冷却風が調理容器50bの側面に吹き付けられ、調理容器50bを冷却する。
本変形例の第2温度センサ43は、加熱口31Aに載置された調理容器50bの温度を検出するものとする。また、第2駆動回路42は、冷却装置40Aのファンとペルチェ素子とを駆動するものとする。なお、冷風口405を、加熱調理器100Aの本体1の内部に収納できる構成としてもよい。
本変形例のような構成とすることで、加熱口31を削減することなく、加熱動作と冷却動作の両方を実施するこができ、利便性が向上する。
(変形例1-5)
図18は、変形例1-5に係る加熱調理器100Bの側面図である。図18では、加熱調理器100Bの内部構成の一部を破線で示している。図18に示すように、加熱庫9に近接して冷却装置40Bを配置し、加熱庫9を温冷庫として構成してもよい。
冷却装置40Bは、変形例1-4の冷却装置40Aと同様に、ファン、またはペルチェ素子などの冷却素子とファンとの組み合わせにより構成され、加熱庫9内に冷却風を吹き出して、加熱庫9内を冷却する。加熱庫9内に収容された調理容器50bは、側面から吹き付ける冷却装置40Bからの冷却風により冷却される。
本変形例の第2温度センサ43は、加熱庫9内の温度、または加熱庫9内に収容された調理容器50bの温度を検出するものとする。また、第2駆動回路42は、冷却装置40Bのファンとペルチェ素子とを駆動するものとする。
本変形例のような構成とすることで、加熱口31を削減することなく、加熱動作と冷却動作の両方を実施することができ、利便性が向上する。また、調理容器50bを加熱庫9内で冷却することで冷却効率が向上し、冷却時間の短縮および消費電力の削減を実現できる。
実施の形態2.
実施の形態2に係る調理システム500Aについて説明する。実施の形態2の調理システム500Aは、冷却装置が加熱調理器と別体の冷却ユニットに設けられる点において、実施の形態1と相違する。図19は、実施の形態2に係る加熱調理器100Cおよび冷却ユニット400の概略構成図である。図19は、加熱調理器100Cおよび冷却ユニット400を側方から見た図であり、加熱調理器100Cおよび冷却ユニット400の内部構成の一部を破線で示している。
図19に示すように、本実施の形態の冷却ユニット400は、加熱調理器100Cと別体で構成され、加熱調理器100Cの第3トッププレート5上に載置される。冷却ユニット400は、筐体410と、筐体410内に配置される冷却装置40と、受電装置70とを備える。調理容器50bは、筐体410内において、冷却装置40上に配置され、冷却装置40により冷却される。
加熱調理器100Cは、本体1A内に給電装置60を備える。給電装置60は、電磁誘導方式の非接触給電装置であり、第3トッププレート5の下方に配置される。給電装置60は、例えば銅線またはアルミ線などの導線が巻回してなる円形の給電コイルであり、高周波電流が供給されることで高周波磁界を発生する。給電装置60に発生した高周波磁界により、第3トッププレート5上に載置された受電装置70の受電コイルに電流が流れ、冷却ユニット400が充電され、動作可能となる。電磁誘導方式では、給電装置60の給電コイルの中心と受電コイルの中心との位置が一致することで充電効率が上がるため、第3トッププレート5に受電装置70の載置位置を表示してもよい。これにより、受電コイルが給電装置60の給電コイル上に確実に配置され、充電効率が向上する。
図20は、実施の形態2に係る調理システム500Aの制御ブロック図である。図20に示すように、加熱調理器100Cは、制御部11と、電源部12と、通信部13と、報知部14と、送風装置15と、第1駆動回路32と、第3駆動回路62と、第1温度センサ33と、をさらに備える。制御部11、電源部12、通信部13、報知部14、送風装置15、第1駆動回路32、および第1温度センサ33は、実施の形態1と同じである。第3駆動回路62は、電源部12から供給される交流電流を20~100kHz程度の高周波電流に変換して、給電装置60へ供給するインバータ回路である。給電装置60は、第3駆動回路62から高周波電流が供給されることで高周波磁界を発生し、受電機器である冷却ユニット400の非接触給電を行う。
冷却ユニット400は、制御部430と、通信部440と、第2駆動回路450と、第2温度センサ460と、をさらに備える。制御部430は、冷却ユニット400全体の動作を制御する。制御部430は、その機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア、またはマイコン等の演算装置およびメモリ等の記憶部とその上で実行されるソフトウェアとで構成される。また、制御部430は、加熱調理器100Cを介して入力される冷却設定と、第2温度センサ460によって検出された調理容器50bの温度とに基づいて第2駆動回路450を制御し、冷却装置40の冷却制御を行う。
通信部440は、加熱調理器100Cおよび保冷庫200と赤外線通信、Bluetooth(登録商標)等の無線通信、または家庭内LAN(Local Area Network)を介して通信を行う。また、通信部440は、スマートフォンなどの外部機器と通信を行ってもよい。
第2駆動回路450は、直流電源回路を含み、受電装置70から供給される交流電流を任意の直流電流に変換して、冷却装置40へ出力する。冷却装置40は、実施の形態1と同様にペルチェ素子401および放熱手段402からなり、第2駆動回路450から直流電流が供給されることで、発熱および吸熱し、調理容器50bを冷却する。
第2温度センサ460は、筐体410の内壁面または底面などに配置され、筐体410内に収容される調理容器50bの温度を検出する。第2温度センサ460は、調理容器50bが放射する赤外線を検出する赤外線センサなどの非接触式センサ、またはサーミスタなどの接触式センサである。もしくは、第2温度センサ460は、非接触式センサと接触式センサとの組み合わせであってもよい。
受電装置70は、図示しない受電コイルを有し、加熱調理器100Cの給電装置60から供給された電力を受電し、第2駆動回路450を駆動する。
本実施の形態では、加熱調理器100Cと、冷却ユニット400と、保冷庫200とが連携動作を行う。この場合、加熱調理器100Cの制御部11と冷却ユニット400の制御部430により、図10に示す加熱調理器100のフローチャートが実行される。冷却ユニット400の冷却設定は、加熱調理器100Cの操作部6を介して入力され、冷却ユニット400に送信される。入力された冷却設定に基づく冷却情報は、冷却ユニット400から保冷庫200に送信されてもよいし、加熱調理器100Cから保冷庫200に送信されてもよい。保冷庫200は、冷却ユニット400または加熱調理器100Cから冷却情報を受信し、保冷室210の温度制御を行う。
また、冷却ユニット400の通信部440は、加熱調理器100Cの通信部13と通信を行い、加熱調理器100Cの表示部7に冷却ユニット400への通電状況、または冷却ユニット400の稼働状況などを表示させてもよい。または、冷却ユニット400に操作部を設け、冷却ユニット400に直接冷却設定が入力される構成としてもよい。この場合は、加熱調理器100Cを介することなく、冷却ユニット400と、保冷庫200とにより連携動作が行われる。
本実施の形態のような構成とすることで、加熱調理器100Cに給電機能を設けることができ、利便性が向上する。
なお、給電装置60の非接触給電方式は、電磁誘導方式に限定されない。例えば、給電装置60は、給電側と受電側にコイルとコンデンサを埋め込み、それぞれの共振器を磁界共鳴させて電力を伝送する磁界共鳴方式であってもよい。または、給電装置60は、給電側と受電側にそれぞれ電極を設置し、電極が近接したときに発生する電界を利用してエネルギーを伝送する電界結合方式等であってもよい。また、冷却ユニット400は、加熱調理器100Cにより非接触給電されるものに限定されない。例えば、第3トッププレート5に電源部12に接続された電源口を設け、受電装置70と電気的に接続して給電する構成としてもよい。
実施の形態3.
実施の形態3に係る調理システム500Bについて説明する。実施の形態3の調理システム500Bは、冷却装置が加熱調理器と別体の冷却ユニットに設けられる点において、実施の形態1と相違する。図21は、実施の形態3に係る加熱調理器100Dおよび冷却ユニット400Aの概略構成図である。
図21に示すように、本実施の形態の冷却ユニット400Aは、加熱調理器100Dと別体で構成され、加熱調理器100Dの上方に配置される換気扇305に配置される。冷却ユニット400Aは、加熱調理器100Dに対向する位置に設けられた冷風口411を有する筐体410Aを備え、冷風口411から換気扇305の下方に向かって冷却風を吹き出すものである。
加熱調理器100Dの上面は、第1トッププレート3のみによって形成される。また第1トッププレート3の上面には、3つの加熱口31が形成され、加熱口31の下方には、それぞれ加熱装置30(図22)が配置される。
図22は、実施の形態3に係る調理システム500Bの制御ブロック図である。図22に示すように、加熱調理器100Dは、実施の形態1と同様の、制御部11と、電源部12と、通信部13と、報知部14と、送風装置15と、加熱装置30と、第1駆動回路32と、第1温度センサ33と、を備える。本実施の形態の加熱調理器100Dは、3つの加熱装置30と、3つの第1駆動回路32と、を備える。
冷却ユニット400Aは、冷却装置40Aと、制御部430と、通信部440と、第2駆動回路450と、第2温度センサ460と、電源部470と、をさらに備える。冷却装置40Aは、変形例1-4と同様に、ファン、またはペルチェ素子などの冷却素子とファンとの組み合わせにより構成され、冷風口411から吹き出される冷却風を生成する。冷風口411から吹き出される冷却風は、上方から調理容器50bに吹き付けられ、調理容器50bを冷却する。
冷却ユニット400Aの制御部430および通信部440の構成は、実施の形態2と同じである。電源部470は、商用電源に接続され、冷却ユニット400Aの各部への電力の供給を開始または停止する。なお、電源部470は、商用電源に接続されるものに限定されるものではなく、筐体410A内部に配置される充電部であってもよいし、電池が挿入され電力が供給される電池挿入部であってもよい。
第2駆動回路450は、電源部470から供給される交流電流を任意の直流電流に変換して、冷却装置40Aへ出力し、ペルチェ素子およびファンを駆動する。第2温度センサ460は、加熱調理器100Dの第1トッププレート3上に載置される調理容器50bの温度を非接触で検出する赤外線センサである。なお、冷却ユニット400Aから第2温度センサ460を省略し、加熱調理器100Dに内蔵される第1温度センサ33によって調理容器50bの温度を検出してもよい。
本実施の形態では、加熱調理器100Dと、冷却ユニット400Aと、保冷庫200とが連携動作を行う。この場合の具体的な動作は、実施の形態1および実施の形態2と同じである。
本実施の形態のような構成とすることで、調理容器50bの載置位置の自由度が向上し、利便性が向上する。また、第1温度センサ33および第2温度センサ460により、冷却される調理容器50bの温度を上下から検出することもでき、温度検出精度が向上する。また、冷却ユニット400Aを換気扇305に配置することで、加熱調理器100Dによる加熱の影響を低減させることができる。
(変形例3-1)
実施の形態3の調理システム500における冷却ユニット400Aの配置は、図21に示す例に限定されるものではない。図23は、変形例3-1に係る加熱調理器100Dおよび冷却ユニット400Aの概略構成図である。
図23に示すように、冷却ユニット400Aをシステムキッチン300の上方に配置される上方吊戸棚306の下面に配置し、天板301上に載置された調理容器50bを冷却する構成としてもよい。加熱調理器100D、冷却ユニット400A、保冷庫200の構成および連携動作は、実施の形態3と同じである。
本変形例のような構成とすることで、調理容器50bをシステムキッチン300の天板301上で冷却することが可能となり、調理容器50bの載置位置の自由度が向上する。また、冷却する調理容器50bによって加熱調理器100Dの加熱口31を占有せずにすむことで、調理時の利便性が向上する。なお、冷却ユニット400Aの位置は、上方吊戸棚306の下面に限定されるものではなく、上方吊戸棚306の下方内部に配置してもよい。
実施の形態4.
実施の形態4に係る調理システムについて説明する。実施の形態4の調理システムは、冷却ユニットの構成および配置において、実施の形態3と相違する。加熱調理器100Dおよび保冷庫200の構成は、実施の形態3と同じである。図24は、実施の形態4に係る冷却ユニット400Bの概略構成図である。
図24に示すように、本実施の形態の冷却ユニット400Bは、加熱調理器100Dと別体で構成され、システムキッチン300の天板301の上面、かつ加熱調理器100Dの近傍に配置される。冷却ユニット400Bは、冷風口411と、冷却口412とが形成された筐体410Bを備える。冷風口411は、筐体410Bの正面に配置され、加熱調理器100Dの第1トッププレート3に載置された調理容器50b1の側面に冷風を吹き出し、冷却するものである。冷却口412は、筐体410Bの上面に配置され、実施の形態1の第2トッププレート4と同様に、熱伝導率、透過特性、耐熱性、または耐湿性等の特性が異なる材質で構成される。
本実施の形態の冷却ユニット400Bは、実施の形態3の冷却ユニット400Aと同様の冷却装置40Aと、制御部430と、通信部440と、第2駆動回路450と、第2温度センサ460と、電源部470と、を備える。冷却装置40Aによって冷却口412が冷却され、冷風口411から吹き出される冷風が生成される。また、本実施の形態の冷却ユニット400Bは、調理容器50b1と調理容器50b2との温度を検出するため、2つの第2温度センサ460を備えている。
また、本実施の形態では、加熱調理器100Dと、冷却ユニット400Bと、保冷庫200とが連携動作を行う。この場合の具体的な動作は、実施の形態1および実施の形態2と同じである。
本実施の形態のような構成とすることで、調理容器50b1、50b2の載置位置の自由度が向上する。また、冷却ユニット400Bの上面を、冷却口412としてだけではなく、調理器具、または調味料等の載置棚として活用でき、利便性が向上する。
実施の形態5.
実施の形態5に係る調理システムについて説明する。実施の形態5の調理システムは、冷却ユニットがシステムキッチンの一部として構成される点において、実施の形態3と相違する。加熱調理器100Dおよび保冷庫200の構成は、実施の形態3と同じである。図25は、実施の形態5に係る冷却ユニット400Cの概略構成図である。
図25に示すように、本実施の形態の冷却ユニット400Cは、システムキッチン300の天板301の一部として構成される。冷却ユニット400Cは、天板301上面かつ加熱調理器100Dの後方の壁面または側方の壁面に設けられる。冷却ユニット400Cは、複数の冷風口411を備え、加熱調理器100Dの第1トッププレート3または天板301に載置された調理容器50bに冷風を吹き出し、冷却する。
本実施の形態の冷却ユニット400Cは、実施の形態3の冷却ユニット400Aと同様の冷却装置40Aと、制御部430と、通信部440と、第2駆動回路450と、第2温度センサ460と、電源部470と、を備える。冷却装置40Aにより、冷風口411から吹き出される冷却風が生成される。また、本実施の形態の冷却ユニット400Cは、複数の調理容器50bの温度を検出するため、複数の第2温度センサ460を備えていてもよい。
また、本実施の形態では、加熱調理器100Dと、冷却ユニット400Cと、保冷庫200とが連携動作を行う。この場合の具体的な動作は、実施の形態1および実施の形態2と同じである。
本実施の形態のような構成とすることで、調理容器50bの載置位置の自由度が向上するとともに、加熱調理器100Dの加熱口31を占有せずにすむため、調理時の利便性が向上する。また、冷却ユニット400Cの容積制限が緩和され、製造性が向上する。
(変形例5-1)
図26は、変形例5-1に係る冷却ユニット400Dの概略構成図である。図26に示すように、本変形例の冷却ユニット400Dは、天板301上に配置される冷却口412と、冷却口412の下方に配置される冷却装置40とを備え、冷却口412に載置される調理容器50bを冷却するものである。
また、冷却ユニット400Dは、実施の形態3の冷却ユニット400Aと同様の制御部430と、通信部440と、第2駆動回路450と、第2温度センサ460と、電源部470と、をさらに備える。また、本実施の形態では、加熱調理器100Dと、冷却ユニット400Dと、保冷庫200とが連携動作を行う。この場合の具体的な動作は、実施の形態3と同じである。
本変形例のような構成とすることで、加熱調理器100Dの加熱口31を占有せずにすみ、調理時の利便性が向上する。また、冷却ユニット400Dの容積制限が緩和され、製造性が向上する。また、天板301の冷却口412を、低温作業を必要とする調理、例えばテンパリング、またはパイ生地作成の作業場としても活用でき、利便性が向上する。
実施の形態6.
実施の形態6に係る調理システム500Cについて説明する。実施の形態6では、調理システム全体の制御を入力するためのシステム操作部を備える点において、実施の形態3と相違する。加熱調理器100D、冷却ユニット400Aおよび保冷庫200の構成は、実施の形態3と同じである。図27は、実施の形態6に係る調理システム500Cの概略構成図である。
図27に示すように、本実施の形態の調理システム500Cは、加熱調理器100D、冷却ユニット400A、保冷庫200に加え、システムキッチン300の一部として構成されたシステム操作部307を備える。システム操作部307は、天板301の上面に配置される。または、システム操作部307をシステムキッチン300の側壁手前側に配置してもよい。システム操作部307は、例えば複数の発光ダイオード(LED)を有する表示画面と、静電容量式のタッチセンサとを備える。なお、システム操作部307をタッチパネルで構成してもよいし、システム操作部307と別体で各種設定情報を表示する表示部を設けてもよい。
システム操作部307は、図示しない通信部を有し、加熱調理器100D、冷却ユニット400A、および保冷庫200と無線通信する。システム操作部307を介して、加熱調理器100D、冷却ユニット400A、および保冷庫200に関する各種設定が入力され、加熱調理器100D、冷却ユニット400A、および保冷庫200に送信される。
本実施の形態では、システム操作部307と、加熱調理器100Dと、冷却ユニット400Aと、保冷庫200とが連携動作を行う。この場合、加熱調理器100Dの制御部11と冷却ユニット400Aの制御部430により、図10に示す加熱調理器100のフローチャートが実行される。冷却ユニット400Aの冷却設定は、システム操作部307を介して入力され、冷却ユニット400Aに送信される。入力された冷却設定に基づく冷却情報は、冷却ユニット400Aから保冷庫200に送信されてもよいし、システム操作部307から保冷庫200に送信されてもよい。保冷庫200は、冷却ユニット400Aまたはシステム操作部307から冷却情報を受信し、保冷室210の温度制御を行う。
本変形例のような構成とすることで、システム操作部307により、加熱調理器100D、冷却ユニット400A、および保冷庫200の操作を行うことができ、利便性が向上する。
実施の形態7.
実施の形態7に係る調理システム500Dについて説明する。図28は、実施の形態7に係る調理システム500Dの概略構成図である。図28に示すように、本実施の形態の調理システム500は、加熱調理器100、保冷庫200、およびスマートフォンなどの外部情報端末600がクラウド700を介して連携するものである。
本実施の形態では、外部情報端末600を用いて、加熱調理器100および保冷庫200を遠隔で操作することができる。外部情報端末600に入力された操作は、クラウド700において記憶される。加熱調理器100および保冷庫200は、クラウド700経由で各種設定情報、および加熱または冷却状態を受信し、制御を行う。
以上が実施の形態の説明であるが、上記の実施の形態は、種々に変形することが可能である。また、各実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成を任意に組合せることも可能である。例えば、実施の形態1と実施の形態6とを組み合わせ、冷却装置40を備える加熱調理器100と、保冷庫200と、システム操作部307とが無線通信を行う構成としてもよい。また、調理システム500は、複数の冷却装置を備えてもよい。例えば、調理システムにおいて、変形例3-1の冷却ユニット400Aと、実施の形態5の冷却ユニット400Cと、変形例5-1の冷却ユニット400Dとを備える構成としてもよい。
また、上記実施の形態において、第2温度センサ43は、冷却装置40で冷却される調理容器50bの温度を検出するものとしたが、調理容器50bが載置される第2トッププレート4など、調理容器50bの周囲の構成要素の温度を検出するものであってもよい。この場合は、制御部11において、第2温度センサ43によって検出された第2トッププレート4の温度から、調理容器50bの温度が算出される。この場合、上記の説明における「第2温度センサ43によって検出された調理容器50bの温度」との記載は、「第2温度センサ43の検出結果から算出された調理容器50bの温度」と読み替えるものとする。また、第1温度センサおよび第2温度センサは、加熱調理器100および冷却ユニット400とは別体で構成してもよい。例えば、加熱調理器100の上方から、赤外線センサまたはイメージセンサで調理容器50bの温度を検出するものであってもよい。または、第1温度センサおよび第2温度センサを調理容器50bに挿入し、被加熱物の温度を直接検出するものであってもよい。
さらに、冷却装置40を用いた冷却制御においては、設定温度Tsに替えて、冷却装置40への電力投入量、加熱設定における火力に相当する冷却強さ、または冷却時間等が冷却設定として入力されてもよい。制御部201は、入力された設定に応じた設定温度Tsを求め、上記の冷却制御を行う。この場合は、設定された冷却強さに応じて、冷却装置40に供給する直流電力のON/OFFが制御される。具体的には、設定された冷却強さが強い程、ON時間が長くなるように、直流電力のON状態とOFF状態とを周期的に切り替える。冷却装置40に直流電力が供給されると、ペルチェ素子401の絶縁部材が冷却され、密着している第2トッププレート4が冷却されることで、第2トッププレート4に載置される調理容器50bが冷却される。
また、この場合は、加熱調理器100は、冷却装置40への電力投入量、加熱設定における火力に相当する冷却強さ、または冷却時間と、第2温度センサ43で検出された調理容器50bの温度Tとを冷却情報として保冷庫200に送信する。保冷庫200では、電力投入量、冷却強さ、または冷却時間と、調理容器50bの温度Tとから、冷却動作終了後の調理容器50bの温度Tを算出し、目標温度Troを設定する。または、加熱調理器100は、第2温度センサ43で検出された調理容器50bの温度Tのみを冷却情報として保冷庫200に送信し、保冷庫200は、調理容器50bの温度Tに基づき目標温度Troを設定してもよい。