図1は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナといったイメージングシステム102を概略的に示す。イメージングシステム102は、ほぼ静止したガントリ104と回転ガントリ106とを含む。回転ガントリ106は、(例えばベアリング等を介して)静止ガントリ104によって回転可能に支持され、長手軸、即ち、z軸の周りで開口部108(本明細書ではボア又は検査領域とも呼ぶ)の周りを回転する。
X線サブシステム110が、回転ガントリ104によって回転可能に支持され、回転ガントリ104と連携して回転し、放射X線を放出する。以下でより詳細に説明するように、一例では、X線サブシステム110は、X線源(例えばX線管)と、スペクトルフィルタとを含む。スペクトルフィルタは、X線源によって放出されるX線の光子を光子エネルギーに基づいて選択的にフィルタリングして、第1のエネルギースペクトルX線ビーム、…、N番目の異なるエネルギースペクトルX線ビームを含むN個の異なるX線ビーム(Nは2以上の整数、N>2)を生成する。
イメージングシステム102はまた、1つ以上の他の放射X線フィルタを含んでよい。例えばシステム102は、一般に、スキャンした被験者によって常に吸収されるより低エネルギーの光子をフィルタリングするビーム硬化フィルタを含んでもよい。更に又は或いは、システム102は、被験者の形状を補償してより均一な光束強度を提供する「ボウタイ」フィルタを含んでよい。更に又は或いは、システム102は、検査領域108を横断するビームを成形する線源コリメータを含んでよい。これらのうちの1つ以上は、X線サブシステム110に統合されても又はX線サブシステム110とは別個であってもよい。
放射線感応検出器アレイ112が、検査領域108を横断してX線サブシステム110の反対側の角度弧に沿って回転ガントリ104によって回転可能に支持される。検出器アレイ112は、z軸方向に沿って互いに対して配置された検出器の1つ以上の列を含む。検出器アレイ112は、検査領域108を横断する放射線を検出し、当該放射線を示す投影データ(線積分)を生成する。投影データは、検出された第1のエネルギースペクトルのX線光子の第1の投影データ、…、検出されたN番目のエネルギースペクトルのX線光子のN番目の投影データを含む。
再構成器114が、1つ以上の再構成アルゴリズム116を用いて投影データを再構成する。一例では、1つ以上の再構成アルゴリズム116は、1つ以上のスペクトル再構成アルゴリズム及び少なくとも1つの非スペクトル再構成アルゴリズムを含む。1つ以上の再構成アルゴリズム116は、1つ以上の異なるエネルギースペクトルに対応するスペクトルボリュメトリック画像データを再構成する。少なくとも1つの非スペクトル再構成アルゴリズムは、X線ビームの平均エネルギースペクトルに対応する非スペクトル(例えば広帯域)ボリュメトリック画像データを再構成する。
カウチといった被験者支持体118が、検査領域108内で物体又は被験者を支えて、物体又は被験者のローディング、スキャン及び/又はアンローディングのために物体又は被験者を検査領域108に対して誘導する。コンピューティングシステムがオペレータコンソール120として機能し、ディスプレイといった人間が読み取り可能な出力デバイス、キーボード、マウス等といった入力デバイス、1つ以上のプロセッサ及びコンピュータ可読記憶媒体を含む。コンソール120に常駐するソフトウェアによって、オペレータがシステム102の動作を制御することが可能になる。
図2は、X線サブシステム110の一例を概略的に示す。
この例では、X線サブシステム110は、X線管202と、X線エネルギースペクトルフィルタ208とを含む。X線管202は、焦点204(即ち、X線管202の陰極からの電子が当たってX線が生成されるX線管202の陽極の領域)と、X線管ポート窓206(生成されたX線の出口ポート)とを含む。X線エネルギースペクトルフィルタ208は、X線管ポート窓206と検査領域108との間に少なくとも部分的に空間的に配置され、X線ビームが検査領域108を横断する前に、X線ビームエネルギースペクトルをフィルタリングする。
図3及び図4は、X線エネルギースペクトルフィルタ208の一例を概略的に示す。
この例では、X線エネルギースペクトルフィルタ208は、円筒形であり、中心軸300、高さ(h)302、原点306からの半径(r)304及び外周308を有する。X線エネルギースペクトルフィルタ208は、ある材料でできた1つ以上のフィルタ領域310を含む。各フィルタ領域310は、高さ302に沿った長軸、外周308の弧に沿った幅及び原点306に対して半径方向の奥行きを有する。この例では、各フィルタ領域310の形状は類似又は同じであり、フィルタ領域310は、外周308に沿って互いに平行に配置され、その間にスペース312が配置される。
各フィルタ領域310の特定の材料及び/又は厚さは、フィルタ208の所定の関心エネルギースペクトルに対応する。例えば一例では、各フィルタ領域310は、スズ(Sn)でできた1ミリメートル(1mm±公差)の厚さのフィルタ領域310である。スペース312は、別の材料を含んでも空であってもよい。他の適切な材料は、低密度及び低Z材料といったX線透過材料である。別の適切な材料は、別の関心エネルギースペクトルに対応する材料である。フィルタ領域310及びスペース312の幅は、等しくても等しくなくてもよく、フィルタ領域310の幅が、スペース312の幅より大きくても小さくてもよい。
図3のフィルタ領域310及びスペース312の数及び形状は、説明を目的としたものであり、限定するものではない。図4は、1つ以上のフィルタ領域310及び1つ以上のスペース312を有するより一般的な例を示すが、フィルタ領域310のこの形状も同様に説明を目的としたものであり、限定するものではない。フィルタ208は、ポート窓206から所定の距離、例えばポート窓206に可能な限り近くに又は他の所定の距離に配置することができる。(以下の図26及び図27に、適切な場所の例について説明する)。更に、フィルタ208は、図4に示すように、その長軸(高さ302)及びフィルタ領域310が、X線管202に対してz方向に沿って延在するように配置される。
X線エネルギースペクトルフィルタ208は、この位置で回転可能に支持される。コントローラ、モータ、駆動システム等(図示せず)を使用して、X線エネルギースペクトルフィルタ208を回転させる。X線エネルギースペクトルフィルタ208は、回転軸である中心軸300の周りを回転する。回転軸300は、通常z方向(イメージングスキャナ102の軸方向の軸)と平行である。したがって、フィルタ領域310及びスペース312は共に検出器アレイ112内の検出器の軸(検出器スライス方向)と平行である。
図5、図6及び図7は、X線管202、X線ポート窓206、焦点204及び検査領域108と共に、図3の線A−Aに沿ったX線エネルギースペクトルフィルタ208の断面図を概略的に示す。図5は、円筒形の支持体502について相対し、X線ビーム504の外側にある1対のフィルタ領域310を有するX線エネルギースペクトルフィルタ208を示す。図6では、当該1対のフィルタ領域310は完全にX線ビーム504内にあり、図7では、1対のフィルタ領域310うちの1つが部分的にX線ビーム504内にある。
一例では、各フィルタ領域310は、外周308上の30度(30°)の弧を占める。残りの300度(300°)は、X線透過材料又は他の材料を含むか空のスペースである。他の実施形態では、各フィルタ領域310の範囲は、30度(30°)より大きくても小さくてもよく、及び/又は、2対以上のフィルタ領域310があってもよい。例えば別の例では、X線エネルギースペクトルフィルタ208は、円形に均等に分布する複数対のフィルタ領域310を含み、各対がより小さい角度を占める。一例は、円上に90°離れた2対のフィルタを含み、各フィルタ領域310は15°延在する。
X線エネルギースペクトルフィルタ208が1回転すると、ビーム経路外のフィルタ領域310(図5)で、フィルタリングされていないデータのセットS0が取得され、完全に経路内の両方のフィルタ領域310(図6)で、完全にフィルタリングされたデータのセットS1が取得され、経路内にあるフィルタ領域310のうちの1つだけ(図7)で、部分的にフィルタリングされたデータのセットS2が取得される。有効な取得データは、S0、S1及びS2の加重和である。重みは、ビームファン角度、シリンダ軸からX線焦点までの距離、シリンダ半径及びシリンダ表面上のフィルタ領域310の幅(即ち、薄いフィルタが延在する角度)を含むシステム形状を使用して予め計算することができる。重みは、光線軌道毎に次のように計算することができる。即ち、aS0+bSl+cS2、ここで、a、b、cはそれぞれS0、S1及びS2の重みである。
一例では、X線エネルギースペクトルフィルタ208は、フィルタリングされていないスペクトルで画像を再構成するためにイメージングシステム102がデータを取得するのに必要な最速のデータ取得速度に対応するのに十分速い速度で回転するように駆動される。例えば0.5秒のガントリ1回転で1000個のデータポイントを取得する必要がある場合、X線エネルギースペクトルフィルタ208は、0.5秒で1000回、即ち、2000rps(回転/秒)で回転する。非接触モータといったモータがこの速度に達することが可能である。例えば小型のドリルモータは130000rpmに達することが可能である。
図8から図11では、フィルタ領域310は、シリンダ502の外面にある。図8では、フィルタ領域310は、シリンダ502の内面にある。図9では、フィルタ領域310は、シリンダ502の内面及び外面の両方にある、即ち、内面と外面とにわたっている。図10では、フィルタ領域310は、シリンダ502内にある。図8から図10では、相対するフィルタ領域310からなる対が互いに釣り合うようになっている。或いは、これらの実施形態のそれぞれは、例えば図11に示すように、単一のフィルタ領域310を、当該フィルタ領域310の反対側に釣合い重りを提供するシリンダ502の別の材料又はボリューム1102と共に有してもよい。
図12、図13及び図14は、X線エネルギースペクトルフィルタ208が、複数のサブフィルタ2081、…、208Nを含む一例を概略的に示す。
この構成では、N個のサブフィルタのそれぞれは、異なるスペクトルフィルタリングのために異なるフィルタ領域310で構成される。スキャン前に、関心のフィルタをポート窓206の下の位置に移動させる。特定のサブフィルタ208iは、選択したイメージングプロトコル、関心の生体構造、スキャンパラメータ設定(例えばmAs、kVp)等に対応する。サブフィルタ2081、…、208Nは、コントローラ、モータ及び駆動システムを含むサブシステムを介して移動させることができる。サブフィルタ2081、…、208Nのうちの1つのサブフィルタを、回転ガントリ106(図1)が静止若しくは回転している間及び/又はスキャン前若しくはスキャン中に定位置に移動させる又は定位置から外れるように移動させることができる。
図15及び図16は、各フィルタ領域310が、N個のフィルタセグメント3101、…、310Nからなる列を含む一例を概略的に示す。
この構成では、N個のフィルタセグメント310のそれぞれは、例えば異なる材料、異なるボリュームの材料等を介して、異なるスペクトルフィルタリングのために構成される。スキャン前に、関心のフィルタセグメント310をポート窓206の下の位置に移動させる。特定のフィルタセグメント310iは、選択したイメージングプロトコル、関心の生体構造、スキャンパラメータ設定(例えばmAs、kVp)等に対応する。X線エネルギースペクトルフィルタ208は、コントローラ、モータ及び駆動システムを含むサブシステムを介して移動させることができる。X線エネルギースペクトルフィルタ208は、回転ガントリ106(図1)が静止若しくは回転している間及び/又はスキャン前若しくはスキャン中に、定位置に移動(例えば平行移動)させる又は定位置から外れるように移動(例えば平行移動)させることができる。
別の変形例は、一列のフィルタセグメントを含むフィルタ領域をそれぞれ有する複数のサブフィルタを有する図12から図16の例の組み合わせを含む。
図17及び図18は、図2のX線エネルギースペクトルフィルタ208の変形例を概略的に示す。
この変形例では、図3のX線エネルギースペクトルフィルタ208は、円形ディスクとして構成され、フィルタ領域310は円形ディスクの表面の一部である。ディスクは、半径(r)1702と外周1704とを有する。図17の例では、4つのフィルタ領域310が、それらの間にスペース312を置いて、ディスク上に均等に分布している。当然ながら、ディスクは、1つ以上のフィルタ領域310を含むことができる。この例では、各フィルタ領域310は台形である。別の例では、フィルタ領域310のうちの少なくとも1つは、長方形か、パイ又はピザのスライスのような形状か、及び/又は、他の形状である。図18は、N個のフィルタ領域310を有するX線エネルギースペクトルフィルタ208を示す。
図19及び図20に示すように、X線エネルギースペクトルフィルタ208は、X線ビームの中心1900に対して垂直に配置される。CT軸は、ディスクの半径方向にある。図19及び図20は、それぞれ、フィルタ208を支持及び/又は回転するための異なる構成を示す。図19では、X線エネルギースペクトルフィルタ208は、X線管202の方に向かって延びる支持体1902によって支持される。図20では、X線エネルギースペクトルフィルタ208は、X線管202から離れて延びる支持体2002によって支持される。本明細書では、他の構成も考えられる。
図17では、ディスクの1回転で、フィルタリングされていないスペクトルからの4つのデータセットと、効果的にフィルタリングされたスペクトルからの4つのデータセットとが取得される。各フィルタ領域310が台形であるこの例では、X線エネルギースペクトルフィルタ208がX線ビームを通過すると、フィルタリングされたスペクトルの重みは半径方向に同じであり、すべてのCTスライスが同じ有効スペクトルを有する。各フィルタ領域310が長方形(例えば正方形)である場合、ディスクの回転中心から遠いCTスライスがディスクの中心に近いCTスライスよりもフィルタリングされたスペクトルからより小さい重みを有するという点で、様々なCTスライスがフィルタリングされたスペクトルに対して少し異なる重みを見る。
ビームは、1つのフィルタ領域310によってのみフィルタリングされるため、1回の積分期間中の有効スペクトルは、cS0+dS1であり、重みc及びdは、すべての光線軌道について同じである。フィルタ領域310が、X線ビーム内に進入する又はX線ビームから退出する際に、角散乱といったエッジ効果が生じる可能性がある。エッジはイメージング視野を均一に通過するため、平均効果は、検出器アレイ112(図1)から見た場合のイメージング視野全体で同じである。この場合、反復再構成アルゴリズムが、再構成アルゴリズムのプロジェクタ/バックプロジェクタでこのような効果をモデル化することができる。
図21は、X線サブシステム110の別の変形例を概略的に示す。
この変形例では、X線エネルギースペクトルフィルタ208は、X線管202を収容する。この一例を図22に概略的に示す。図22では、X線管202は、フィルタ208のシリンダ内に配置され囲まれている。この実施形態では、X線ビームは、フィルタ領域310がポート窓206の上を通過するときに、1つのフィルタ領域310のみでフィルタリングされる。
図23は、図12から図14と同様に、複数の図22のサブフィルタ2081、…、208Nを有するX線エネルギースペクトルフィルタ208の一例を概略的に示す。図24及び図25は、図15及び図16と同様に、図22のフィルタセグメント3101、…、310Nからなる列を有するX線エネルギースペクトルフィルタ208の一例を概略的に示す。
別の変形例は、一列のフィルタセグメントを含むフィルタ領域をそれぞれ有する複数のサブフィルタを有する図23から図25の例の組み合わせを含む。
図26は、線源コリメータ2602とボウタイフィルタ2604との間に配置されたX線エネルギースペクトルフィルタ208を概略的に示す。この場合、ビームは最初に成形され、次にフィルタリングされる。図27は、X線管202と線源コリメータ2602との間に配置されたX線エネルギースペクトルフィルタ208を概略的に示す。この場合、ビームは最初にフィルタリングされ、次に成形される。いずれの場合でも、X線エネルギースペクトルフィルタ208は、フィルタトレイに配置されるか又は他の方法で、例えば非スペクトルスキャンのために、X線ビーム経路の外側に移動できるようにされる。或いは、フィルタ208は、例えば非スペクトルスキャンのために、フィルタ領域310がX線ビーム経路の外側にあり、回転されない静的位置に保持されてもよい。
本明細書において説明する実施形態では、X線エネルギースペクトルフィルタ208の回転位置は、基準検出器によって検出されるX線放射束によって決定することができる。即ち、X線放射束は、ビーム経路内にフィルタ領域310がない場合に最大になり、フィルタ領域310が完全に経路内にある場合に最小になり、フィルタ領域310が経路内に進入し、経路から離れるにつれて、最大と最小との間で変化する(増加又は減少する)。図28では、基準検出器は、視野2804を通る経路の外側の検出器アレイ112の少なくとも1つの端領域2802に位置し、これは、スキャン対象の被験者又は物体がスキャンのために配置される領域である。図29では、基準検出器2902は、視野2804を通る経路の外側で、X線エネルギースペクトルフィルタ208と検査領域108との間に配置される。一例では、複数の基準検出器2902(例えば3つ)をある角度範囲内に均等に分布させることができる。ビーム開口に対する基準検出器2902の位置は既知である。この場合、X線エネルギースペクトルフィルタ208の回転速度を検出し、それを使用して、X線エネルギースペクトルフィルタ208がビーム開口に進入する又はビーム開口から離れるタイミングを正確に予測することができる。
一例では、コンソール120は、基準検出器の出力がフィルタ領域310はビーム経路に進入しつつあることを示すと、タイマーを開始し、基準検出器の出力がフィルタ領域310はビーム経路を離れたことを示すと、タイマーを停止する。取得データは、開始時間及び停止時間に同期される。このため、取得データは、開始時間及び停止時間に基づいて、フィルタリングされていないデータセットとフィルタリングされたデータセットとに分けることができる。更に、開始時間から終了時間までの範囲内の特定の時間インスタンス、即ち、時間間隔に対応するデータを取得することができる。このため、フィルタリングされたデータセットは、複数の異なる取得フェーズに分けることができる。例えば取得されたデータは、フィルタリングされたデータS1及びフィルタリングされたデータS2に対応して分けることができる。
別の例では、コンソール120は、フィルタ領域310がビーム経路に進入したことと、ビーム経路を離れたこととの検出を使用して、データ取得をトリガする。例えば基準検出器の出力が、フィルタ領域310はビーム経路内にあることを示すと、データは取得される。基準検出器の出力が、フィルタ領域310がビーム経路を離れつつある又はビーム経路を離れたことを示す場合、X線減衰フィルタ又は不透明フィルタをビーム経路内に移動させて、(図34及び図35に示すように、減衰器3402を使用して)ビームが視野2804を通過するのをブロックするか又はX線管の電流(mAs)を、患者の線量を下げるために低減することができる。反対に、フィルタ領域310がビーム経路の外側にあるときにデータを取得し、フィルタ領域310が完全にビーム経路内にあるときにX線をブロックするか又は管電流を低減する。
図17から図20、図30及び図31に関して、2つの検出器積分イベント間に時間ギャップがある場合(各積分イベントはフレームを生成する)、X線エネルギースペクトルフィルタ208の位置及びその回転速度は、各積分が、コリメートされたX線ビーム3002がフィルタ領域310に既に完全に進入した(図30)後に始まり、コリメートされたX線ビーム3002がフィルタ領域310を出始める直前(図31)に停止するように設定される。
図17から図20及び図32に関して、2つの検出器積分イベント間に時間ギャップがない場合、フィルタ領域310は、積分イベント中にX線ビーム3002に進入する/X線ビーム3002から出る。X線エネルギースペクトルフィルタ208が積分期間全体でα度回転し、フィルタ領域310の弧がβ度の角度を有する場合、フィルタ領域310は、X線ビーム3002の片側から開始し、X線ビーム3002のもう片側に完全に移動する。この積分中の検出器112での有効スペクトルは、SEff=(β/α)S1+((α−β)/α)S0であり、S0は元のスペクトルであり、S1はフィルタ領域310によってフィルタリングされたスペクトルであり、S1(E)=S0(E)eμ(E)Δdであり、ここで、Eはエネルギービンであり、μ(E)はエネルギーEでのフィルタ領域310の線形減衰係数であり、Δdはフィルタ領域310の厚さである。
図33は、本明細書において説明される実施形態による例示的な方法を示す。ステップ3302において、X線エネルギースペクトルフィルタ208を、スキャン中にX線ビームの経路内で回転させる。ステップ3304において、システムは、フィルタ領域110がいつ経路内に(例えば部分的に及び/又は完全に)あるのかを検出する。ステップ3306において、フィルタ領域110の検出に基づいて、取得データが再構成されてボリュメトリック画像データが生成される。結果として得られるボリュメトリック画像データには、表示、アーカイブ、更なる処理等が可能であるスペクトル及び/又は非スペクトルボリュメトリック画像データが含まれる。
上記は、コンピュータ可読記憶媒体(一時的媒体を除く)上に符号化又は埋め込まれ、コンピュータプロセッサ(例えば中央処理演算ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ等)によって実行されると、当該プロセッサに本明細書に説明される動作を行わせるコンピュータ可読命令によって実施することができる。更に又は或いは、コンピュータ可読命令の少なくとも1つは、コンピュータ可読記憶媒体ではない信号、搬送波又は他の一時的媒体によって運ばれる。
本発明は、図面及び上記説明において詳細に例示され、説明されたが、当該例示及び説明は、例示的に見なされるべきであり、限定的に見なされるべきではない。本発明は、開示される実施形態に限定されない。開示された実施形態の他の変形態様は、図面、開示内容及び従属請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解され、実施される。
請求項において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、単数形も、複数形を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に引用される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体といった適切な媒体上に記憶及び/又は分散されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介するといった他の形式で分配されてもよい。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。