JP2021181670A - 消臭性繊維構造物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルカリ処理されても消臭機能が復活し、耐洗濯性も高い消臭性繊維構造物及びその製造方法を提供する。【解決手段】ポリマーに無機層状消臭剤を混合した消臭繊維を含む消臭性繊維構造物であって、前記無機層状消臭剤は、層間距離が0.1nm以上0.9nm以下であり、かつ結晶子サイズが1nm以上30nm以下であり、前記消臭性繊維構造物は、家庭洗濯0回と10回後のアンモニアガス減少率がいずれも70%以上である。本発明の製造方法は、繊維構造物をアルカリ処理する工程と、有機酸を含む水溶液で浸漬加熱する加工工程を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、消臭性能が高く耐洗濯性も高い消臭性繊維構造物及びその製造方法に関する。
消臭性繊維はカーペット、カーテン、寝具、下着類、おむつ、生理用品などに使用されており、とくに肌に直接接触する衣類は、汗、加齢臭などの臭いにより不快感を生ずることがあり、消臭機能を有する繊維製品の要望は高い。
特許文献1には、弾性繊維と、消臭繊維としてヒドラジン処理による架橋結合とカルボキシル基を含む架橋アクリレート糸を使用して編み物とすることが提案されている。特許文献2には、亜鉛酸化物とリン酸ジルコニウムを含有する弾性繊維が提案されている。特許文献3には、α−リン酸ジルコニウム及び/又はα−リン酸チタンを含有する合成繊維が提案されている。
特開2002−000659号公報 特開2006−028453号公報 特開2018‐178313号公報
しかし、特許文献1のような架橋アクリレート糸は、吸湿性が高く、吸湿・吸水すると消臭機能は発揮されないという問題がある。また特許文献2及び3の繊維は、アルカリ処理すると消臭機能が失活してしまう問題がある。アルカリ処理は、ポリエステル繊維の場合はアルカリ減量加工で使用され、コットン繊維、麻繊維等の場合は精錬、晒、漂白、シルケット加工(マーセライズ加工)で使用されており、消臭機能の失活は問題である。
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決し、アルカリ処理されても消臭機能が復活し、耐洗濯性も高い消臭性繊維構造物及びその製造方法を提供する。
本発明の消臭性繊維構造物は、ポリマーに無機層状消臭剤を混合した消臭繊維を含む消臭性繊維構造物であって、前記無機層状消臭剤は、層間距離が0.1nm以上0.9nm以下であり、かつ結晶子サイズが1nm以上30nm以下であり、前記消臭性繊維構造物は、家庭洗濯0回と10回後のアンモニアガス減少率がいずれも70%以上である。
本発明の消臭性繊維構造物の製造方法は、ポリマーに無機層状消臭剤を混合した消臭繊維を含む消臭性繊維構造物の製造方法であって、前記繊維構造物をアルカリ処理した後、カルボキシル基を含む炭素数2〜6の有機酸から選ばれる少なくとも一つの有機酸で処理することにより、
前記無機層状消臭剤は、層間距離が0.1nm以上0.9nm以下であり、かつ結晶子サイズが1nm以上30nm以下であり、前記消臭性繊維構造物は、家庭洗濯0回と10回後のアンモニアガス減少率がいずれも70%以上である。
本発明は、ポリマーに無機層状消臭剤を混合した消臭繊維を含む消臭性繊維構造物であって、前記無機層状消臭剤は、層間距離が0.1nm以上0.9nm以下であり、かつ結晶子サイズが1nm以上30nm以下であり、前記消臭性繊維構造物は、家庭洗濯0回と10回後のアンモニアガス減少率がいずれも70%以上であることにより、消臭性能が高く耐洗濯性も高い消臭性繊維構造物及びその製造方法を提供できる。すなわち、無機層状消臭剤を混合した消臭繊維を含む消臭性繊維構造物はアルカリ処理すると層間距離が0.9nmを越え消臭機能が著しく低下するが、有機酸処理により前記消臭剤の層間距離が0.9nm以下となり、消臭機能が復活する。この消臭機能は耐洗濯性も良好である。
図1は本発明の一実施例で使用する無機層状消臭剤の広角X線回折パターン多重プロットグラフであり、2θ=10°付近の拡大図である。
本発明者らは、α−リン酸ジルコニウムなどの無機層状消臭剤を含有する弾性繊維は、当初は消臭機能があるものの、アルカリ処理すると消臭機能が失活してしまう問題に行き当たり、その原因を調べた。α−リン酸ジルコニウムの層構造は下記(化1)に示すとおりであり、その層間距離は約7.55A(オングストローム,0.755nm)である(長谷川禎告ら著「層状リン酸塩M(IV)(HPO42・H2O(M=Zr,Hf)のイオン交換特性について」,IONICS誌,1985年10月号)。
Figure 2021181670
前記α−リン酸ジルコニウムの層間距離は、アンモニア分子サイズ以下の物質を取り込むことができ、取り込まれたガスは、α−リン酸ジルコニウム結晶の官能基とイオン結合することにより中和し消臭されると推定される。
ところが、繊維構造物がアルカリ処理のような強アルカリ条件下に置かれると、アルカリ金属などとのイオン交換により前記層間距離0.9nmを超える距離に広がってしまい、アンモニア以外の物質も取り込まれ、活性官能基が減少し、消臭機能が失活してしまうことが分かった。そこで消臭機能を復活させるため様々な検討をしたところ、アルカリ処理した後に有機酸処理すると前記無機層状消臭剤の層間距離を元の状態に戻せることがわかり、消臭機能も復活することが分かった。この実験条件と結果は後に説明するが、重要な点は次の表1のとおりである。
Figure 2021181670
表1から明らかなとおり、α−リン酸ジルコニウムの層間距離及び結晶子サイズは、精練・漂白処理後は大きくなるが、有機酸処理することにより、層間距離は元の状態に戻り、結晶子サイズは元の状態より小さくなる。これは新規な知見である。
本発明は、以上の着想と課題を基に完成されたものである。
本発明は、ポリマーに無機層状消臭剤を混合した消臭繊維を含む消臭性繊維構造物である。一例として、紡糸液に無機層状消臭剤を添加混合して得られる繊維を使用する。紡糸は溶融紡糸でも湿式紡糸でもよい。前記消臭性繊維構造物はアルカリ処理されている。アルカリ処理は、ポリエステル繊維の場合はアルカリ減量加工で使用される。コットン繊維、麻繊維等の場合は精錬、晒、漂白、シルケット加工(マーセライズ加工)で使用される。前記消臭繊維の無機層状消臭剤の添加量は、消臭繊維を母数としたとき、0.5〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは1〜7質量%である。前記の範囲であれば消臭性を高く維持できる。
前記繊維構造物はアルカリ処理された後、有機酸処理されており、前記消臭剤の層間距離が0.9nm以下であり、家庭洗濯0回と10回後のアンモニア消臭性がいずれも70%以上である。前記消臭剤の好ましい層間距離は0.70〜0.85nmであり、さらに好ましくは0.72〜0.80nmである。これにより、消臭性能が高く耐洗濯性も高い消臭性繊維構造物となる。また有機酸処理すると、前記消臭剤はナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の結合がなくなり、前記消臭剤は消臭機能が復活する。
前記消臭剤は、α−リン酸ジルコニウム、α−リン酸ハフニウム及びα−リン酸チタンから選ばれる少なくとも一つが好ましい。α−リン酸ジルコニウム及びα−リン酸チタンは前記特許文献3で消臭効果が認められている。α−リン酸ハフニウムは前記(化1)の出典文献に層間距離がα−リン酸ジルコニウムが同等と記載されている。この中でもα−リン酸ジルコニウムが好ましい。
前記消臭繊維は、合成繊維及び再生繊維から選ばれる少なくとも一つが好ましい。消臭繊維を構成するポリマーは、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂であってもよいし、再生セルロース、アクリル系ポリマーなどの熱硬化性樹脂であってもよい。これらの樹脂は紡糸液で無機層状消臭剤と混合できる。再生繊維はレーヨン、キュプラ、ポリノジック、リヨセル(登録商標)などを含む。無機層状消臭剤を混合できる紡糸液であれば、どのようなものでも使用できる。
前記繊維構造物は、前記消臭繊維100質量%又は前記消臭繊維と他の繊維を含み、他の繊維を含む場合は前記繊維構造物を母数としたとき、前記消臭繊維は1〜99質量%であるのが好ましい。より好ましくは前記消臭繊維が2〜50質量%であり、さらに好ましくは前記消臭繊維が5〜30質量%である。前記の範囲であれば消臭性を発揮できる。前記他の繊維は、天然繊維、合成繊維及び再生繊維から選ばれる少なくとも一つであるのが好ましい。天然繊維は、コットン(木綿)、麻、ウール、絹などを含む。
前記有機酸は、カルボキシル基を含む炭素数2〜6の有機酸が好ましい。前記有機酸は前記消臭剤の復活に有効である。また、水溶液にすることができ、処理するにも都合が良い。前記カルボキシル基を含む炭素数2〜6の有機酸は、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酢酸及びコハク酸から選ばれる少なくとも一つが好ましい。光学異性体がある場合はこれも含む。
クエン酸は下記(化2)で示される構造を有している。
Figure 2021181670
マレイン酸は下記(化3)で示される構造を有している。
Figure 2021181670
リンゴ酸は下記(化4)で示される構造を有している。
Figure 2021181670
酢酸は下記(化5)で示される構造を有している。
Figure 2021181670
コハク酸は下記(化6)で示される構造を有している。
Figure 2021181670
前記繊維構造物の生地pHは4.0〜5.8が好ましく、さらに好ましくは生地pH4.1〜5.5である。このように生地pHが弱酸性サイドにあることは、肌にやさしく、悪影響を与えることはない。生地pHは、JIS L1096:2010 8.37に規定されている「織物及び編物の生地試験方法」により測定する。
前記繊維構造物の家庭洗濯10回後のアンモニア消臭性は70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。これにより、消臭性能が高く耐洗濯性も高い消臭性繊維構造物とすることができる。家庭洗濯法及びアンモニア消臭性試験は後に説明する。
本発明において繊維構造物は、いかなる構造、形状のものであってもよく、例えば、布帛状物、帯状物、紐状物、糸状物などが挙げられる。好ましくは布帛状の織編物や不織布を含む物が使用され、かかる繊維構造物を含む複合材料を含む物であってもよい。
本発明の一実施形態の繊維構造物は、弾性繊維と少なくともコットンを含んでおり、それ以外の繊維として、合成繊維、再生繊維、半合成繊維、コットン以外の天然繊維などを含んでいてもよい。前記繊維構造物を母数としたとき、弾性繊維とコットンの比率は、弾性繊維1〜30質量%、コットンは70〜99質量%が好ましい。また、コットンを母数としたとき、コットン10〜90質量%、コットン以外の繊維10〜90質量%が好ましい。
合成繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維などが挙げられる。ポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどが挙げられ、これらにイソフタル酸などの第三成分が共重合されたものが挙げられる。再生繊維や半合成繊維としては、レーヨン、アセテートなどが挙げられ、天然繊維としては麻、羊毛、絹などが挙げられる。これらの繊維は短繊維、長繊維のいずれでもよく、単独あるいは2種以上を混繊、混紡や複合加工糸などとして使用することができる。またこれらの合成繊維や天然繊維とポリウレタンからなる弾性繊維とのカバリング、エアー交絡、合撚、複合仮撚やコアスパンヤーンなどの複合加工糸として使用することができる。
前記繊維構造物は、編み物、織物又はこれらから縫製された衣類であるのが好ましい。とくに編み物としては、レッグウエア、インナーウエア、スポーツウエア、靴下などの伸縮性衣類に好適である。その他、おむつ、生理用品などにも適用できる。これらは消臭性能が高く耐洗濯性も高いことが求められている。
本発明の消臭性繊維構造物の製造方法は、繊維構造物を、アルカリ性物質を含む水溶液で処理するアルカリ処理工程と、その後、有機酸を含む水溶液で浸漬加熱する有機酸処理工程を含む。前記アルカリ処理工程は、漂白処理及びアルカリ減量処理から選ばれる少なくとも一つであるのが好ましい。漂白は常法が採用でき、過酸化水素水溶液等の酸素系漂白剤での処理が好ましい。次亜塩素酸ナトリウム含有水溶液等の塩素系漂白剤はポリウレタン弾性繊維を傷めるので好ましくない。有機酸処理は、染色の前又は後にすることが好ましい。とくに好ましくは有機酸処理した後に染色する。このようにすると、鮮明な染色ができる。
前記消臭性繊維構造物にコットン、麻などの天然繊維を含む場合は、下記の工程を含むことが好ましい。
(1)精練工程
(2)漂白工程
(3)染色工程
(4)柔軟工程
(5)有機酸を含む水溶液で浸漬加熱する加工工程
前記工程のうち、(1)〜(4)は常法を使用できる。精練工程と漂白工程は同一工程で行ってもよい。また染色工程においては、様々な色調に染色できる。(5)の加工工程においては、浸漬加熱以外にもパディング処理も可能であるが、消臭性能の点からバッチ処理の浸漬加熱が好ましい。有機酸を含む水溶液の有機酸の濃度は0.5〜10g/Lが好ましい。
前記有機酸処理した後に、染色することが好ましいのは前記のとおりである。
次に、無機層状消臭剤を含む消臭繊維が弾性繊維の場合について説明する。この弾性繊維は、ポリエステル系弾性繊維、ポリアミド系弾性繊維、ポリオレフィン系弾性繊維、ポリウレタン系弾性繊維等が挙げられるが、なかでもポリウレタン系弾性繊維が好ましい。弾性繊維には、前記消臭剤が混合されている。
本発明において、弾性繊維を構成するポリウレタンに使用されるポリウレタンは、出発物質がポリマージオールおよびジイソシアネートである構造を含むポリウレタンであれば任意のものであってよく、特に限定されるものではない。また、その合成法も特に限定されるものではない。すなわち、例えば、ポリマージオールとジイソシアネートと低分子量ジアミンとを原料とするポリウレタンウレアであってもよく、また、ポリマージオールとジイソシアネートと低分子量ジオールとを原料とするポリウレタンウレタンであってもよい。
なお、本発明においては、ポリマージオール化合物とはジオール化合物のうち数平均分子量(以降、分子量と略すこともある)が200以上のものをいい、分子量200未満のものを低分子ジオール化合物という。また、ポリマージオールの分子量としては、分子量1000以上8000以下が好ましく、1500以上6000以下の範囲にあることがさらに好ましい。また、鎖伸長剤として水酸基とアミノ基を分子内に有する化合物を使用したポリウレタンウレアであってもよい。本発明の効果を妨げない範囲で3官能性以上の多官能性のグリコールやイソシアネート等が使用されることも好ましい。
ポリマージオールとしては、ポリエーテル系グリコール、ポリエステル系グリコール、ポリカーボネートジオール等が好ましい。そして、特に柔軟性、伸度を糸に付与する観点からポリエーテル系グリコールが使用されることが好ましい。
ポリエーテル系グリコールとしては、具体的には、ポリエチレングリコール、変性ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略す)、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)および3−メチル−THFの共重合体である変性PTMG、THFおよび2,3−ジメチル−THFの共重合体である変性PTMG、THF及びネオペンチルグリコールの共重合体である変性PTMG、THFとエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドが不規則に配列したランダム共重合体等が挙げられる。これらポリエーテル系グリコール類の1種を使用してもよいし、また2種以上を使用してもよい。中でもPTMGまたは変性PTMGが好ましい。
次にジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す)、トリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートベンゼン、キシリレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが、特に耐熱性や強度の高いポリウレタンからなる弾性糸を得ることができるため好適である。さらに脂環族ジイソシアネートとして、例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、オクタヒドロ−1,5−ナフタレンジイソシアネートなどが好ましい。脂肪族ジイソシアネートは、特にポリウレタンからなる弾性糸の黄変を抑制する際に有効に使用できる。そして、これらのジイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
次にポリウレタンに用いられる鎖伸長剤は、低分子量ジアミンおよび低分子量ジオールのうちの少なくとも1種を使用するのが好ましい。なお、エタノールアミンのような水酸基とアミノ基を分子中に有するものであってもよい。
低分子量ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p,p’−メチレンジアニリン、1,3−シクロヘキシルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)ホスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらの中から1種または2種以上が使用されることが好ましい。特に好ましくはエチレンジアミンである。エチレンジアミンを用いることにより伸度および弾性回復性、さらに耐熱性に優れた糸を容易に得ることができる。これらの鎖伸長剤に架橋構造を形成することのできるトリアミン化合物、例えば、ジエチレントリアミン等を効果が失わない程度に加えてもよい また、低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、1−メチル−1,2−エタンジオールなどが代表的なものである。これらの中から1種または2種以上が使用されることが好ましい。特に好ましくはエチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,4ブタンジオールである。これらを用いると、ジオール伸長のポリウレタンとしては耐熱性がより高くなり、また、より強度の高いポリウレタンからなる弾性糸を得ることができる。
ポリウレタンには、末端封鎖剤が1種または2種以上混合使用されることも好ましい。末端封鎖剤としては、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルメチルアミン、イソブチルメチルアミン、イソペンチルメチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミンなどのモノアミン、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、シクロペンタノールなどのモノオール、フェニルイソシアネートなどのモノイソシアネートなどが好ましい。
前記消臭剤の含有量は、ポリウレタンからなる弾性繊維の全質量に対して0.5質量%以上10質量%以下の範囲であることが好ましい。前記消臭剤の含有量が0.5質量%以上とすることにより、布帛とした際にさらに高いアンモニアガスの消臭性が得られるので、好ましい。より好ましくは1.0質量%以上である。一方、含有量が10質量%を越えると、伸縮特性の悪化やコスト面で好ましくない。より好ましくは7.0質量%以下である。消臭性と物性面、コスト面というバランスを考慮すると、1.5質量%以上5.0質量%以下の範囲が特に好ましい。
前記消臭剤は、紡糸原液の紡糸口金への詰まりを抑えるという観点から、平均一次粒子径が3.0μm以下のものが好ましい。より好ましくは1.5μm以下である。また、分散性の観点から平均一次粒子径が0.05μmより小さい場合、凝集力が高まり紡糸原液中に均一に混合することが困難になるため、平均一次粒子径が0.05μm以上のものが好ましい。より好ましくは0.15μm以上である。
さらに、ポリウレタンからなる弾性繊維には、各種安定剤や顔料などが含有されていてもよい。例えば、耐光剤、酸化防止剤などにBHTや住友化学工業株式会社製の“スミライザー”(登録商標)GA−80などのヒンダードフェノール系薬剤、各種のチバガイギー社製“チヌビン”(登録商標)などのベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系薬剤、住友化学工業株式会社製の“スミライザー”(登録商標)P−16などのリン系薬剤、各種のヒンダードアミン系薬剤、酸化鉄、酸化チタンなどの各種顔料、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カーボンブラックなどの無機物、フッ素系またはシリコーン系樹脂粉体、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸、また、シリコーン、鉱物油などの滑剤、酸化セリウム、ベタインやリン酸系などの各種の帯電防止剤などが含まれることも好ましく、またこれらがポリウレタンと結合を有することも好ましい。そして、特に光や各種の酸化窒素などへの耐久性をさらに高めるには、例えば、日本ヒドラジン株式会社製のHN−150などの酸化窒素補足剤、住友化学工業株式会社製の“スミライザー”(登録商標)GA−80などの熱酸化安定剤、住友化学工業株式会社製の“スミソーブ”(登録商標)300♯622などの光安定剤を含有することも好ましい。
こうして得られるポリウレタン紡糸溶液の濃度は、通常、30質量%以上80質量%以下の範囲が好ましい。この紡糸溶液の中に前記消臭剤を混合する。
以上のように構成した紡糸溶液を、たとえば乾式紡糸、湿式紡糸、もしくは溶融紡糸し、巻き取ることで、本発明のポリウレタン弾性繊維を得ることができる。中でも、細物から太物まであらゆる繊度において安定に紡糸できるという観点から、乾式紡糸が好ましい。
本発明のポリウレタン弾性繊維の繊度、断面形状などは特に限定されるものではない。例えば、糸の断面形状は円形であってもよく、また扁平であってもよい。
そして、乾式紡糸方式についても特に限定されるものではなく、所望する特性や紡糸設備に見合った紡糸条件等を適宜選択して紡糸すればよい。
たとえば、本発明のポリウレタン弾性繊維の永久歪率と応力緩和は、特にゴデローラーと巻取機の速度比の影響を受けやすいので、糸の使用目的に応じて適宜決定されるのが好ましい。
すなわち、所望の永久歪率と応力緩和を有するポリウレタン弾性繊維を得る観点から、ゴデローラーと巻取機の速度比は1.10以上1.65以下の範囲として巻き取ることが好ましい。そして、特に低い永久歪率と、低い応力緩和を有するポリウレタン弾性繊維を得る際には、ゴデローラーと巻取機の速度比は1.15以上1.4以下の範囲がより好ましく、1.15以上1.35以下の範囲がさらに好ましい。一方、高い永久歪率と、高い応力緩和を有するポリウレタン弾性繊維を得る際には、ゴデローラーと巻取機の速度比は1.25以上1.65以下の範囲として巻き取ることが好ましく、1.35以上1.65以下の範囲がより好ましい。
また、紡糸速度は、得られるポリウレタン弾性繊維の強度を向上させる観点から、300m/分以上であることが好ましい。
油剤を弾性繊維に付着させるには、油剤を溶剤等で希釈することなくそのまま給油する所謂ニート給油をするのが好ましい。その付着工程としては、紡糸後でパッケージに巻き取るまでの間の工程、巻き取ったパッケージを巻き返す工程、整経機で整経する工程等が挙げられるが、いずれの工程でもよく、また付着方法は、ローラー給油法、ガイド給油法、スプレー給油法等の公知の方法が適用できる。油剤の付着量は、弾性繊維に対し0.1〜5質量%が好ましい。
本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。まず、以下に本発明における各種特性の評価方法を説明する。
[消臭性の評価方法]
SEKマーク繊維製品認証基準(制定者:一般社団法人繊維評価技術協議会 製品認証部、改訂日:2015年4月1日)に記載の消臭性試験に準拠し、検知管法により臭気成分の消臭性評価を行なった。臭気成分としては、アンモニアを用いた。
臭気成分の初発濃度は、アンモニア100ppmとした。空試験として、5Lサンプルバック(フィルム製)に臭気成分のみを成分毎に充填、密封し、2時間放置後、残存ガス濃度を各成分対応のガス検知管を用いて測定し、これを空試験濃度とした。次に測定に用いる試料(10cm×10cm)をサンプルバック(フィルム製)に入れ、前記した所定の濃度の臭気成分を充填、密封し、2時間後の残存ガス濃度をガス検知管で測定し、これを測定濃度とした。測定は3回行い、その平均値を用いて、下記式により、残存ガス濃度の減少率を算出し、減少率として表記した。
消臭成分の減少率(%)=((空試験濃度−各試料の測定濃度)/空試験濃度))×100
減少率の評価基準は、アンモニア70%以上、酢酸70%以上、イソ吉草酸85%以上、ノネナール75%以上を合格とした。
[洗濯方法]
SEKマーク繊維製品の洗濯方法(制定者:一般社団法人繊維評価技術協議会 製品認証部、改訂日:2014年4月1日)に記載の標準洗濯法に準拠し、JIS L 0217: 1995.「繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法」に記載の洗い方103に規定される家庭電気洗濯機を使用し、40℃の水30Lに対し40mLの割合でJAFET標準配合洗剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルファオレフィンスルホン酸ナトリウムを配合)を添加して洗濯液とし、浴比が1:30になるよう試料および必要に応じて負荷布を投入して、5分間洗濯、脱水、2分間すすぎ洗い、脱水、2分間すすぎ洗い、脱水の工程を1回とし、これを10回繰り返した後、吊り干しで乾燥した。
[生地pH]
JIS L1096:2010 8.37に規定されている「織物及び編物の生地試験方法」により測定した。ガラスフラスコに50mlの蒸留水を入れて2分間沸騰した後、細かく切った生地試験片5.0gを投入し、栓をして30分間放置した。30分後、抽出液を25℃±2℃に調整し、pHメーターで抽出液のpHを測定した。
<繊維構造物の各処理段階における前記消臭剤の層間距離、結晶子サイズとアンモニアガス減少率>
α−リン酸ジルコニウム粉体(単体)を、精練・漂白、反応染料による染色、クエン酸を使用して有機酸処理し、各処理段階における層間距離、結晶子サイズ及びアンモニアガス減少率を調べた。また、繊維構造物の各処理段階におけるα−リン酸ジルコニウム粉体(単体)の層間距離及び消臭機能についても分析した。すなわち、精練・漂白、反応染料による染色、クエン酸を使用した有機酸処理、各処理段階の繊維構造物からα−リン酸ジルコニウム粉体(単体)を取り出し、層間距離、結晶子サイズ及びアンモニアガス減少率を調べた。
繊維構造物から取り出す方法は、実施例1、および実施例3の処理布を用いて、繊維構造物を構成する繊維を溶解できる溶媒を用いて、有機成分を完全に溶解し、その残渣を遠心分離により分離した。
<無機層状消臭剤>
α−リン酸ジルコニウム粉体(平均粒子径0.8μm,レーザー回折光散乱法による粒度分布測定法による体積基準、累積粒度分布D50メジアン径)(単体)を使用した。
<粉体の精練・漂白処理>
フラスコに水酸化ナトリウム水溶液2.5g/L、精練剤として日華化学社製商品名”WX-HC”3.0g/L、キレート剤0.5g/L、漂白剤として35%過酸化水素水溶液5g/Lの割合で計量し、全体を1000mLの水溶液とし、この水溶液にα−リン酸ジルコニウム粉体10gを加え、混合しながら、液温を20℃から95℃に昇温し30分間精練・漂白処理した。次に処理水を遠心分離器にて遠心分離し、精練・漂白処理したα−リン酸ジルコニウムの粉体を取り出した。
<粉体の染色処理>
下記の成分と条件で、反応性染料により蛍光増白染色を行った。
・蛍光増白剤:ハンツマン・ジャパン社製商品名”UVITEX BHT LIQ”を2g/L
・緩衝剤:芒硝(硫酸ナトリウム)10g/L
・均染剤:日華化学社製商品名”ニューボン”0.5g/Lの割合で計量し、全体を1000mLの水溶液とし、この水溶液に前記精練・漂白処理したα−リン酸ジルコニウムを加えて混合した。
・条件:80℃で60分間染色処理した後、遠心分離器にて遠心分離し、染色処理したα−リン酸ジルコニウムの粉体を取り出した。
<粉体のクエン酸による有機酸処理>
クエン酸10g/Lの割合の水溶液を1000mLに、前記染色処理したα−リン酸ジルコニウムを加えて混合、70℃、20分間処理した後、遠心分離器にて遠心分離し、有機酸処理したα−リン酸ジルコニウムの粉体を取り出した。
未処理のα−リン酸ジルコニウム粉体の他、以上のようにして得られた精練・漂白処理したα−リン酸ジルコニウム粉体(精練・漂白処理後)、染色処理したα−リン酸ジルコニウム粉体(染色処理後)、有機酸処理したα−リン酸ジルコニウム粉体(有機酸処理後)の消臭性を評価した。
<層間距離、結晶子サイズ>
層間距離、および結晶子サイズの測定はCu−Kα線を用い、Ni板をフィルターとして粉末X線回折分析を行った。また得られた回折図形をASTMカードまたは既存文献と比較することにより、結晶構造の同定を行った。
広角X線回析により層間距離を分析した。結果は図1及び表2〜4にまとめて示す。図1の横軸は各資料の広角X線回析パターンの多重プロット(重ね書き)であり、2θ=10°付近の拡大図である。図1において、2θが9°は1.0nm、11.7°は0.75nmである。
表2は粉体処理の分析結果、表3は実施例1の処理布から前記消臭剤を取り出したものの分析結果、表4は実施例3の処理布から前記消臭剤を取り出したものの分析結果である。
Figure 2021181670

Figure 2021181670
Figure 2021181670
表2〜4から明らかなとおり、消臭剤のα−リン酸ジルコニウム粉体は、精練・漂白処理後は消臭機能が大幅に低下するが、有機酸処理により復活することが確認できた。また層間距離も精練・漂白処理後は約1.0nmになるが、有機酸処理により0.75nmに戻ることが確認できた。
次に、広角X線回折の標準データから、染色処理後と有機酸処理後の消臭剤の同定を行った。この結果を表5に示す。
Figure 2021181670
表5から明らかなとおり、染色処理後の無機層状消臭剤にはナトリウム、カリウムの化合物が同定された。また、有機酸処理後の無機層状消臭剤はナトリウム、カリウムがなくなり、元のリン酸ジルコニウムが同定された。
以上から、ナトリウム、カリウムが結合していない無機層状消臭剤はアンモニア消臭機能が高く、ナトリウム、カリウムが結合している無機層状消臭剤はアンモニア消臭機能が低下することが分かった。
以上の無機層状消臭剤の粉体を用いた実験から、無機層状消臭剤を混合できる紡糸液であれば、どのようなものでも使用できることがわかる。
(実施例1)
<繊維素材>
・コットン糸:市販のコットン紡績糸(メートル番手40番、単糸)を使用した。
・ポリウレタン弾性繊維は、無機層状消臭剤としてα−リン酸ジルコニウム4質量%含むポリウレタンからなる弾性糸33decitexを使用した。
<編み物編成>
上記のコットン糸と弾性糸を使用して、ゲージ数28の丸編み機で編み物を編成した。得られた編み物の目付は165g/m、質量割合はコットン糸91.1質量%、弾性糸8.9質量%であった。得られた編み物を生機という。
<精練・漂白処理>
染色機に水酸化ナトリウム水溶液2.5g/L、精練剤として日華化学社製商品名”WX-HC”3.0g/L、キレート剤0.5g/L、漂白剤として35%過酸化水素水溶液5g/L、全体を20Lの水溶液とし、この水溶液に1000gの編み物を浸漬し、液温を20℃から95℃に昇温し30分間精練・漂白処理した。次に処理水を排水し、清浄水を加え、50℃に昇温して5分間湯洗した。次に湯水を排水し、90%酢酸0.25g/L水を加え、40℃に昇温して5分間混合し、酢酸水を排水し、再度清浄水を加え、50℃に昇温して5分間湯洗し、脱水乾燥した。
<染色処理>
下記の成分と条件で、反応性染料により蛍光増白染色を行った。
・蛍光増白剤:ハンツマン・ジャパン社製商品名”UVITEX BHT LIQ”0.15%owf
・緩衝剤:芒硝(硫酸ナトリウム)10g/L
・均染剤:日華化学社製商品名”ニューボン”0.5g/L
・条件:80℃で60分間染色処理した後、60℃で10分間中和処理し、60℃で10分間ソーピングし、60℃で10分間湯洗した後、脱水乾燥した。
<柔軟処理>
柔軟剤として、北広ケミカル社製商品名”ソフテックスA-1017S”を1.5owf%、を加えた水溶液中で、40℃で20分間柔軟処理し、20℃で5分間水洗した後、脱水乾燥した。
<クエン酸による有機酸処理>
クエン酸10g/L水溶液とし、染色機内に染色後の編み物を浸漬し、70℃、20分間処理した後、洗浄し、脱水乾燥した。
以上のようにして得られたクエン酸による処理後の編み物を評価した。
(実施例2)
クエン酸5g/L水溶液とした以外は実施例1と同様に実施した。
(比較例1)
上記の生機を評価した。
(比較例2)
上記の精練・漂白処理後の編み物を評価した。
(比較例3)
上記の染色処理後の編み物を評価した。
(比較例4)
上記の柔軟処理後の編み物を評価した。
以上の条件と結果を表6〜7にまとめて示す。
Figure 2021181670
Figure 2021181670
表6の比較例1と2から、弾性繊維とコットン糸からなる編み物を精練・漂白すると、弾性繊維が有する消臭性能は低下し、蛍光増白処理、柔軟加工処理によりさらに低下してしまう。しかしクエン酸を浸漬加熱処理したものは、消臭性能が高く、洗濯耐久性も高いことを確認できた。
(実施例3)
<繊維素材>
コットン糸に代えて、アクリル繊維30質量%とコットン繊維70質量%からなる混紡紡績糸(メートル番手40番、単糸)を使用した以外は実施例1と同様とした。編み物の質量割合はアクリル繊維27質量%、コットン繊維62質量%、弾性繊維11質量%であった。
<染色処理>
実施例1に加えて、カチオン性染料にて蛍光増白染色を行った。
・蛍光増白剤:ハンツマン・ジャパン社製商品名”UVITEX AC LIQ”0.3%owf
・均染剤:日成化成社製商品名”Nichilon Salt C-25” 0.5%owf
・酸:酢酸水溶液0.5g/L
・条件:40℃で10分間、75℃で15分間、100℃で45分間染色処理した後、60℃で10分間ソーピングし、60℃で10分間湯洗した後、脱水乾燥した。
・アクリルを蛍光増白処理した後に、実施例1と同様にコットンの蛍光増白処理を行った
以上のほかは実施例1と同様に処理した。
(実施例4)
クエン酸5g/L水溶液とした以外は実施例3と同様に実施した。
(比較例5)
上記の精練漂白処理後の編み物を評価した。
(比較例6)
上記の柔軟処理後の編み物を評価した。
以上の条件と結果を表8にまとめて示す。
Figure 2021181670
表8から明らかなとおり、弾性繊維とアクリル繊維/コットン繊維の混紡紡績糸からなる編み物を漂白し、クエン酸処理したものは、消臭性能が高く、洗濯耐久性も高かった。
(実施例5〜8)
(1)使用原糸は以下の通りとした。
・コットン糸:市販のコットン紡績糸(メートル番手40番、単糸)を使用した。
・ポリウレタン弾性繊維は、無機層状消臭剤としてα−リン酸ジルコニウム4質量%含むポリウレタンからなる弾性糸22decitexを使用した。
(2)生地は以下の通りとした。
・上記のコットン糸と弾性糸を使用して、ゲージ数28の丸編み機で編み物を編成した。
・得られた編み物の目付は160g/m、質量割合はコットン糸94.4質量%、弾性糸5.6質量%であった。
(3)後処理
表9に示す以外は実施例1と同様に実施した。条件と結果を表9にまとめて示す。
Figure 2021181670
表9から明らかなとおり、有機酸として酢酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸も耐洗濯性のある消臭加工ができた。
(実施例9)
(1)使用原糸は以下の通りとした。
・コットン糸:市販のコットン紡績糸(メートル番手40番、単糸)を使用した。
・ポリウレタン弾性繊維は、無機層状消臭剤としてα−リン酸ジルコニウム4質量%含むポリウレタンからなる弾性糸22decitexを使用した。
(2)生地は以下の通りとした。
・上記のコットン糸と弾性糸を使用して、ゲージ数28の丸編み機で編み物を編成した。
・得られた編み物の目付は160g/m、質量割合はコットン糸93.1質量%、弾性糸6.9質量%であった。
(3)後処理
表10に示す以外は実施例1と同様に実施した。条件と結果を表10にまとめて示す。なお、白色度は染色布帛を分光光度計(KONICA MINOLTA社製、形式:CM-3700d、D65光源)を用いてX,Y,Z,x,yを測定し、JIS Z 8715-1999に従って白色度を求めた。数値が高い方がより白いことを表す。
Figure 2021181670
(実施例10)
染色と有機酸処理の順序を変え、有機酸処理を先にし、染色を後にした以外は実施例9と同様に実施した。条件と結果を表10及び表11にまとめて示す。
Figure 2021181670
Figure 2021181670
実施例9及び10から明らかなとおり、有機酸処理を先にし、染色を後にしたほうが、白色度は高いことが確認できた。
また表12から、消臭剤のα−リン酸ジルコニウム粉体は、精練・漂白処理後は消臭機能が大幅に低下するが、有機酸処理を先にし、染色を後にしても消臭機能は復活することが確認できた。
本発明の消臭性繊維構造物は、汗臭や加齢臭の消臭に優れ、カーペット、カーテン、寝具、下着類、おむつ、生理用品などに好適である。とくにレッグウエア、インナーウエア、スポーツウエア、靴下などの伸縮性衣類に好適である。

Claims (10)

  1. ポリマーに無機層状消臭剤を混合した消臭繊維を含む消臭性繊維構造物であって、
    前記無機層状消臭剤は、層間距離が0.1nm以上0.9nm以下であり、かつ結晶子サイズが1nm以上30nm以下であり、
    前記消臭性繊維構造物は、家庭洗濯0回と10回後のアンモニアガス減少率がいずれも70%以上であることを特徴とする消臭性繊維構造物。
  2. 前記無機層状消臭剤は、α−リン酸ジルコニウム及び、α−リン酸ハフニウム及びリン酸チタンから選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の消臭性繊維構造物。
  3. 前記消臭繊維は、合成繊維及び再生繊維から選ばれる少なくとも一つである請求項1又は2に記載の消臭性繊維構造物。
  4. 前記繊維構造物は、前記消臭繊維100質量%又は前記消臭繊維と他の繊維を含み、他の繊維を含む場合は前記繊維構造物を母数としたとき、前記消臭繊維は1〜99質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の消臭性繊維構造物。
  5. 前記他の繊維は、天然繊維、合成繊維及び再生繊維から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜4のいずれかに記載の消臭性繊維構造物。
  6. 前記有機酸はクエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酢酸及びコハク酸から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜5のいずれかに記載の消臭性繊維構造物。
  7. 前記繊維構造物は、編み物、織物又はこれらから縫製された衣類である請求項1〜6のいずれかに記載の消臭性繊維構造物。
  8. ポリマーに無機層状消臭剤を混合した消臭繊維を含む消臭性繊維構造物の製造方法であって、前記繊維構造物をアルカリ処理した後、カルボキシル基を含む炭素数2〜6の有機酸から選ばれる少なくとも一つの有機酸で処理することにより、
    前記無機層状消臭剤は、層間距離が0.1nm以上0.9nm以下であり、かつ結晶子サイズが1nm以上30nm以下であり、前記消臭性繊維構造物は、家庭洗濯0回と10回後のアンモニアガス減少率がいずれも70%以上であることを特徴とする消臭性繊維構造物の製造方法。
  9. 前記アルカリ処理工程は、漂白処理及びアルカリ減量処理から選ばれる少なくとも一つである請求項8に記載の消臭性繊維構造物の製造方法。
  10. 前記有機酸処理は、染色の前又は後にする請求項8又は9に記載の消臭性繊維構造物の製造方法。
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